IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社スター精機の特許一覧

<>
  • 特開-チャック装置及び搬送装置 図1
  • 特開-チャック装置及び搬送装置 図2
  • 特開-チャック装置及び搬送装置 図3
  • 特開-チャック装置及び搬送装置 図4
  • 特開-チャック装置及び搬送装置 図5
  • 特開-チャック装置及び搬送装置 図6
  • 特開-チャック装置及び搬送装置 図7
  • 特開-チャック装置及び搬送装置 図8
  • 特開-チャック装置及び搬送装置 図9
  • 特開-チャック装置及び搬送装置 図10
  • 特開-チャック装置及び搬送装置 図11
  • 特開-チャック装置及び搬送装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179338
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】チャック装置及び搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B25J15/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050638
(22)【出願日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2021086435
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000132231
【氏名又は名称】株式会社スター精機
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】水野 耕治
(72)【発明者】
【氏名】武井 英治
(72)【発明者】
【氏名】筧 真純
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS03
3C707DS02
3C707EU12
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT11
3C707MT03
(57)【要約】
【課題】簡単な機構で、ワークを素早く把持することが可能なチャック装置及び搬送装置を提供すること。
【解決手段】ワークWを吸着して把持するチャック20は、ワークWに対向する基部24と、基部24に配置され、ワークを吸着する第1吸着パッド44と、ワークWの側面を支持する支持片41と、を備える。支持片41は、ヒンジ機構40を介して基部24の外縁側に取り付けられ、基部24に対してヒンジ機構40を中心として回転可能に構成されている。また、チャック20は、支持片41に対して、ワークWの側面から離間する方向に回転させる弾性力を加えるコイルバネ42と、支持片41からワークWの側に突出し、基部24の側に押圧されることにより弾性力に抗して支持片41をワークWの側面の側に回転させるレバー部材43と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを吸着して把持するチャック装置において、
前記ワークに対向する基部と、
前記基部に配置され、前記ワークの上面を吸着する吸着パッドと、
前記ワークの側面を支持する支持部材と、
入力部に入力された力の方向を変換して伝達する変換機構と、を備え、
前記支持部材は、前記基部に対して移動可能又は回転可能に構成され、
前記変換機構の前記入力部は、前記基部に対して移動可能又は回転可能に構成され、
前記変換機構は、前記入力部が前記ワークによって押圧されることにより前記入力部に加えられた力の方向を変換して、前記支持部材を前記ワークの側面の側に移動又は回転させるチャック装置。
【請求項2】
前記変換機構の前記入力部は、水平方向において前記吸着パッドを中心とする所定範囲内であって、前記吸着パッドよりも下側に配置され、前記基部に対して上下方向に移動可能に構成され、
前記変換機構は、前記ワークを前記吸着パッドに吸着させる際、前記入力部が前記ワークによって上方に押圧される力の方向を変換して、前記支持部材を前記ワークの側面の側に移動又は回転させる請求項1に記載のチャック装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記基部に対して水平方向に移動可能に構成され、
前記入力部は、上下方向に延びる棒状に形成されており、
前記変換機構は、一端が前記入力部に連結され、他端が前記支持部材に連結されるベルト部と、前記ベルト部に加えられる力の方向を変える歯車装置とを備え、
前記変換機構は、前記入力部により前記ベルト部の一端が上方に引っ張られた場合、前記歯車装置を介して前記ベルトの他端を水平方向に引っ張って当該他端に連結される前記支持部材を水平方向に移動させることにより、前記ワークの側面の側に前記支持部材を移動させる請求項2に記載のチャック装置。
【請求項4】
前記変換機構は、前記吸着パッドに吸着されている状態の前記ワークの側面から前記支持部材を離間する方向に弾性力を加える弾性体を備え、
前記変換機構は、前記入力部が前記ワークによって押圧される際、前記入力部に加えられた力の方向を変換して、前記弾性体の弾性力に抗って前記支持部材を前記ワークの側面の側に移動又は回転させる請求項1~3のうちいずれか1項に記載のチャック装置。
【請求項5】
ワークを吸着して把持するチャック装置において、
前記ワークに対向する基部と、
前記基部に配置され、前記ワークの上面を吸着する吸着パッドと、
前記ワークの側面を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、ヒンジ機構を介して前記基部の外縁側に取り付けられ、前記基部に対してヒンジ機構を中心として回転可能に構成され、
前記支持部材に対して、前記ワークの側面から離間する方向に回転させる弾性力を加える弾性体と、
前記支持部材から前記ワークの側に突出し、前記基部側に押圧されることにより前記弾性力に抗して前記支持部材を前記ワークの側面の側に回転させるレバー部材と、を備えるチャック装置。
【請求項6】
前記レバー部材は、前記支持部材の基部側端部から前記ワークの側に突出し、前記支持部材に対して所定角度を有するように固定され、
前記弾性体は、前記基部と前記レバー部材との間に配置され、前記レバー部材に対して前記基部から離間する方向に弾性力を加える請求項5に記載のチャック装置。
【請求項7】
前記支持部材に、前記ワークの側面を吸着する側面用吸着パッドを備える請求項1~6のうちいずれか1項に記載のチャック装置。
【請求項8】
前記支持部材は、前記ワークを中心として、片側にのみに配置されている請求項1~7のうちいずれか1項に記載のチャック装置。
【請求項9】
前記支持部材は、前記ワークに対して第1方向において対向する第1支持部材と、前記ワークに対して第1方向と直交する第2方向において対向する第2支持部材と、を有する請求項1~8のうちいずれか1項に記載のチャック装置。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか1項に記載のチャック装置が取り付けられる搬送装置において、
前記チャック装置を水平方向及び上下方向に移動させる移動部と、
前記チャック装置を旋回させる旋回部と、を備え、
前記移動部が前記ワークを把持した前記チャック装置を水平移動させる前、前記旋回部は、前記チャック装置の進行方向において前記支持部材を後方に配置させるように前記チャック装置を旋回させる搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを把持するチャック装置、及びワークを把持するチャック装置が取り付けられる搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークの輸送のためにパレットにワークを積載するパレタイズ装置などの搬送装置では、例えば、特許文献1に記載されているようなチャックが利用されている。特許文献1に記載されているチャックでは、吸着パッドを負圧化してワークを吸着して、把持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-160115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のチャックは、ワークの上面を吸着体によって吸着した後、側面をクランプで挟持している。これにより、ワークの保持及び位置決めを確実に行うことができ、ワークを高速移動させることが可能となっている。しかしながら、特許文献1におけるクランプは、駆動装置(モータなどの駆動源)を必要としており、チャックが複雑化し、重くなるというような課題が生じる。また、ワークの配置後、ワークの側面をクランプで挟持させるための駆動時間が必要となり、把持するために必要とする時間が長いといった課題もある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、簡単な機構で、ワークを素早く把持することが可能なチャック装置及び搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、ワークを吸着して把持するチャック装置において、前記ワークに対向する基部と、前記基部に配置され、前記ワークの上面を吸着する吸着パッドと、前記ワークの側面を支持する支持部材と、入力部に入力された力の方向を変換して伝達する変換機構と、を備え、前記支持部材は、前記基部に対して移動可能又は回転可能に構成され、前記変換機構の前記入力部は、前記基部に対して移動可能又は回転可能に構成され、前記変換機構は、前記入力部が前記ワークによって押圧されることにより前記入力部に加えられた力の方向を変換して、前記支持部材を前記ワークの側面の側に移動又は回転させる。
【0007】
上記手段のように、吸着パッドにてワークを吸着し、チャックを移動させる際、ワークの側面を支持する支持部材を備えたことにより、ワークの揺動を抑制することができる。このため、ワークを安定して把持することができ、ワークを高速移動させることが可能となる。
【0008】
また、入力部が、ワークにより基部側に押圧されると、変換機構は、その力の方向を変換することにより、支持部材をワークの側面の側に移動又は回転させる。このため、駆動源がなくても、簡単な機構で、支持部材をワークの側面側に移動又は回転させることが可能となる。
【0009】
上記課題を解決するための第2の手段は、ワークを吸着して把持するチャック装置は、前記ワークに対向する基部と、前記基部に配置され、前記ワークの上面を吸着する吸着パッドと、前記ワークの側面を支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、ヒンジ機構を介して前記基部の外縁側に取り付けられ、前記基部に対してヒンジ機構を中心として回転可能に構成され、前記支持部材に対して、前記ワークの側面から離間する方向に回転させる弾性力を加える弾性体と、前記支持部材から前記ワークの側に突出し、前記基部側に押圧されることにより前記弾性力に抗して前記支持部材を前記ワークの側面の側に回転させるレバー部材と、を備える。
【0010】
吸着パッドにてワークを吸着し、チャックを移動させる際、ワークの側面を支持する支持部材を備えたことにより、ワークの揺動を抑制することができる。このため、ワークを安定して把持することができ、ワークを高速移動させることが可能となる。
【0011】
また、支持部材は、ヒンジ機構を介して対向面の外縁側に取り付けられ、基部に対してヒンジ機構を中心として回転可能に構成され、支持部材からワークの側に突出するレバー部材は、基部側に押圧されることにより弾性力に抗して支持部材をワークの側面の側に回転させるように構成されている。このため、吸着パッドにワークを吸着させるために、ワークを基部に配置する際、ワークにレバー部材を押圧させて、支持部材をワークの側面側に回転させ、ワークの側面に支持部材を対向させることが可能となる。
【0012】
また、支持部材に対して、ワークの側面から離間させる方向に回転させる弾性力を加える弾性体を備えているため、レバー部材がワークにより押圧されていない場合、支持部材を外側に回転させ、支持部材をワークの側面から離間させることができる。したがって、モータなどのアクチュエータを用いず、簡単な機構で、ワークの把持時に、ワークの側面に支持部材を素早く対向させ、ワークの解放時に、ワークの側面から支持部材を素早く離間させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】パレタイズ装置の斜視図。
図2】(a)は、チャックの斜視図であり、(b)は、チャックの側面図。
図3】積層されたワークを示す斜視図。
図4】チャックの動作態様を示す模式図。
図5】チャックの動作態様を示す模式図。
図6】チャックの動作態様を示す模式図。
図7】第2実施形態のチャックの下面図。
図8】第3実施形態のチャックの斜視図。
図9】第3実施形態のチャックの正面図。
図10】第3実施形態のチャックの上面図。
図11】第3実施形態のチャックの右側面図。
図12】第3実施形態のチャックの動作態様を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる「チャック装置」を具体化した各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。また、各実施形態及び変形例の説明において、明示している構成の組み合わせだけでなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、各実施形態及び変形例を組み合わせることも可能である。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示すように、チャック装置20は、搬送装置としてのパレタイズ装置10に取り付けられる。図1に示すパレタイズ装置10は、ワークWを供給場所から順次搬送して、予め決められた位置に設置された可搬式のパレットP上に整列させて積載する装置、すなわち、パレタイズする装置である。ワークWは、直方体の箱、例えばダンボール箱であり、外部の搬送設備(ベルトコンベヤなど)から、パレタイズ装置10に設けられているローラコンベヤ1に供給される。そして、供給されたワークWは、ローラコンベヤ1に設けられたストッパ(図示略)により、所定の静止位置に位置決めされて静止する。パレタイズ装置10は、ローラコンベヤ1上に位置決めされて静止しているワークWを把持して搬送するように構成されている。以下、詳しく説明する。
【0016】
図1に示すように、パレタイズ装置10は、ワークWを把持するチャック装置20(以下、単にチャック20と示す)と、チャック20を移動させる移動部としての搬送機構30と、搬送機構30が固定される直方体の枠体70と、を備える。また、パレタイズ装置10は、チャック20及び搬送機構30の動作を制御する制御部としての制御装置100と、各種情報を入出力可能な情報端末としてのコントローラ(図示略)と、を備える。
【0017】
本実施形態において、枠体70の長手方向をX軸方向とし、短手方向(X軸に直交する方向)をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向に垂直となる方向をZ軸方向と示す。なお、パレタイズ装置10は、通常、平面に設置されるため、Z軸方向が上下方向に相当する。また、X軸方向及びY軸方向が、水平方向に相当する。
【0018】
搬送機構30は、枠体70に固定され、Z軸方向に沿って伸びるように形成されている柱部50と、柱部50に固定され、Y軸方向に沿って伸びるように形成されているアーム部60と、を有する。
【0019】
枠体70には、X軸ガイドレール51がX軸方向に沿って設けられており、柱部50は、X軸ガイドレール51に対して、X軸方向に沿って移動可能に固定されている。柱部50は、枠体70の底部に配置されるX軸サーボモータ(図示略)の出力軸に対して歯付きベルト等を介して駆動連結されている。すなわち、柱部50は、X軸サーボモータの駆動力に基づき、X軸ガイドレール51に沿ってX軸方向に往復移動するように構成されている。
【0020】
柱部50には、Z軸ガイドレール61がZ軸方向に沿って設けられており、アーム部60は、Z軸ガイドレール61に対して、Z軸方向に沿って移動可能に固定されている。アーム部60は、柱部50に設けられているZ軸サーボモータの出力軸に対して歯付きベルト等を介して駆動連結されている。すなわち、アーム部60は、Z軸サーボモータの駆動力に基づき、Z軸ガイドレール61に沿ってZ軸方向に往復移動するように構成されている。
【0021】
アーム部60には、Y軸ガイドレール21がY軸方向に沿って設けられており、チャック20は、Y軸ガイドレール21に対して、Y軸方向に沿って移動可能に固定されている。チャック20は、アーム部60に設けられているY軸サーボモータの出力軸に対して歯付きベルト等を介して駆動連結されている。すなわち、チャック20は、Y軸サーボモータの駆動力に基づき、Y軸ガイドレール21に沿ってY軸方向に往復移動するように構成されている。
【0022】
以上に説明したように、搬送機構30は、チャック20を水平方向において直交する2方向(X軸方向及びY軸方向)、及び上下方向(Z軸方向)に直動可能に構成されている。
【0023】
図1に示すように、チャック20は、旋回部としての回転機構23を介してアーム部60に固定されている。回転機構23は、内蔵する旋回サーボモータ(図示略)の駆動力に基づき、回転機構23を中心としてZ軸周り(図1において矢印Rの方向)にチャック20を旋回可能に構成されている。
【0024】
図2に示すように、チャック20は、回転機構23に取り付けられる長方形状の基部24を有する。基部24は、ワークWの上面に対向する対向面25を、その下部に備えている。基部24は、その対向面25がZ軸に対して垂直となるように回転機構23に対して固定されている。この対向面25には、ワークWを吸着する第1吸着パッド26が設けられている。本実施形態では、第1吸着パッド26が複数設けられている。各第1吸着パッド26は、図示しないエア配管を介してエジェクタが接続されている。エジェクタの動作によって第1吸着パッド26の内部は、負圧となり、これによりワークWの上面を吸着させることが可能となっている。
【0025】
制御装置100は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等からなる周知のマイクロコンピュータを備えた電子制御装置である。制御装置100は、前述した各種サーボモータを駆動させるための駆動回路を備えており、駆動回路を介して各種サーボモータの動作を制御可能に構成されている。また、制御装置100は、エジェクタを作動させて、第1吸着パッド26によるワークWの吸着動作を制御可能に構成されている。
【0026】
また、この制御装置100は、各種センサ、各種サーボモータ及びコントローラ等と接続されており、各種情報を取得可能に構成されている。また、制御装置100は、各種機能を備え、取得した各種情報に基づき、各種機能を実行する。これらの機能は、制御装置100が備える記憶装置(記憶用メモリ)に記憶されたプログラムが実行されることで、各種機能が実現される。なお、各種機能は、ハードウェアである電子回路によって実現されてもよく、あるいは、少なくとも一部をソフトウェア、すなわちコンピュータ上で実行される処理によって実現されてもよい。
【0027】
各種機能の中には、例えば、ワークWを搬送し、パレットPに積載するパレタイズ機能が存在する。パレタイズ機能について簡単に説明すると、制御装置100は、所定の静止位置に位置決めされて静止しているワークWをチャック20により把持させ、ワークWごとチャック20を搬送機構30によりパレットP上に移動させ、解放することにより、ワークWを積載する機能である。この機能により、ワークWは、例えば、図3に示すように、パレットP上に、上下方向(Z軸方向)に複数段に亘って積み重ねられるとともに、各段において、所定方向(X軸方向又はY軸方向)に複数の列(図3ではX軸方向に2列)に整列させて積載される。
【0028】
ところで、ワークWが、ダンボール箱のような包装資材により内容物が包まれて構成されている場合、内容物の重量、もしくは包装資材の強度によっては、ワークWの上面を吸着するだけでは、ワークWの把持が安定しない可能性がある。すなわち、ワークWの上面を吸着し、チャックを水平方向に移動させる際、その慣性力の影響を受けて、水平方向に揺動する場合がある。ワークWが激しく揺動すると、吸着が外れる虞があるので、ワークWの移動開始時における加速や停止時における減速を緩やかにする必要があり、ワークWを高速移動させることが難しかった。そこで、本実施形態のチャック20では、以下のように構成している。以下、図2に基づいて詳しく説明する。
【0029】
基部24の対向面25には、ヒンジ機構40を介して対向面25の外縁側に取り付けられ支持部材としての支持片41が設けられている。本実施形態において、支持片41は、基部24の短手方向端部において、その基端がヒンジ機構40を介して取り付けられている。支持片41は、基部24(対向面25)を中心として、短手方向において片側にのみに配置されている。
【0030】
この支持片41は、ワークWの側面を支持するように、略四角板状に形成されており、基部24に対して先端が下方となるように、つまり、ぶら下がるように取り付けられている。その際、支持片41の面が対向面25の側(つまり、ワークWの側面の側)に向くように支持片41が取り付けられている。すなわち、支持片41がZ軸方向(対向面25の垂直方向)に沿うように、その先端が下方に位置するとき、支持片41の側面の垂直方向が、短手方向に沿うように、支持片41が配置されている。このとき、支持片41の対向面25の側の側面を内側側面41aと示し、反対側の側面を、外側側面41bと示す。
【0031】
この支持片41は、対向面25に対してヒンジ機構40を中心として回転可能に構成されている。この回転方向(矢印Y1の方向)は、基部24(対向面25)の短手方向に沿う方向となっている。また、支持片41は、一定の許容角度の範囲内で回転可能に構成されている。許容角度は、Z軸方向に対する支持片41との内側側面41aの角度α(図4参照)が、3度以上、45度以下、より好ましくは15度以下となるように設定されている。
【0032】
また、基部24と、支持片41との間には、弾性体としてのコイルバネ42が設けられている。このコイルバネ42は、ヒンジ機構40の軸40aに取り付けられている。なお、ヒンジ機構40の軸40aは、基部24の長手方向に沿って配置されている。コイルバネ42は、支持片41(より詳しくは後述するレバー部材43)に対して、対向面25の外側に回転させる弾性力を加える。つまり、コイルバネ42は、Z軸方向に対する支持片41の内側側面41aの角度αが広がる方向(ワークWの側面から離間する方向)に弾性力を付与する。
【0033】
また、図4に示すように、支持片41には、その内側から突出するレバー部材43を備える。レバー部材43は、支持片41から対向面25の内側に突出し、対向面25の垂直方向(Z軸方向)において対向面25と重複する。レバー部材43は、支持片41の内側側面41aに対して所定角度をなすように固定されている。本実施形態では、レバー部材43は、支持片41の内側側面41aに対して90度をなすように固定されている。このため、レバー部材43は、基部24の側(上側)に押圧されることによりコイルバネ42の弾性力に抗して支持片41をワークWの側面の側(つまり、図6の矢印Y2の方向)に回転させることとなる。なお、コイルバネ42は、基部24とレバー部材43との間に配置され、レバー部材43に対して基部24から離間する方向に弾性力を加えている。
【0034】
また、支持片41の内側側面41aに、ワークWの側面を吸着する側面用吸着パッドとしての第2吸着パッド44を備える。本実施形態では、第2吸着パッド44が複数設けられている。各第2吸着パッド44は、第1吸着パッド26と同様に、図示しないエア配管を介してエジェクタが接続されており、エジェクタによって第2吸着パッド44の内部を負圧にすることにより、ワークWの側面を吸着させることが可能となっている。
【0035】
次に、このように構成されたチャック20の作用について図4図6に基づいて説明する。まず、チャック20により、ワークWを把持する際の動作について説明する。図4に示すように、制御装置100は、ワークWが基部24の下方に位置するように、すなわち、Z軸方向において、ワークWの上面が、基部24の対向面25と対向するように、チャック20を搬送機構30により移動させる。その際、制御装置100は、ワークWの長手方向が、基部24の長手方向に沿うようにチャック20を回転させることが望ましい。
【0036】
図5に示すように、制御装置100は、ワークWが基部24の下方に位置するとき、Z軸方向に、チャック20を下降させる。チャック20を下降させると、対向面25とワークWの上面との間には、レバー部材43が配置されているので、レバー部材43が対向面25の側(つまり、上方)に押圧される。
【0037】
図6に示すように、レバー部材43が対向面25の側に押圧されると、支持片41がコイルバネ42の弾性力に逆らって、ヒンジ機構40を中心として支持片41の先端が内側に回転する。つまり、Z軸方向に対する支持片41の内側側面41aの角度αが小さくなる方向に支持片41が回転する(図6の矢印Y2の方向)。これにより、支持片41は、ワークWの側面の側に回転することとなる。
【0038】
レバー部材43と支持片41の内側側面41aとの角度β(図4参照)は、約90度に設定されているため、レバー部材43が対向面25に当接すると、支持片41の内側側面41aは、ワークWの側面に対向することとなる。
【0039】
制御装置100は、この状態で第1吸着パッド26によりワークWの上面を吸着させるとともに、第2吸着パッド44によりワークWの側面を吸着させ、ワークWの上面及び側面を把持する。この状態で、制御装置100は、ワークWを所望の位置まで移動させる。
【0040】
ワークWをチャック20ごと移動させる際、制御装置100は、対向面25の垂直方向(Z軸方向)、若しくは、支持片41の先端が対向面25の内側に移動する方向(図2において矢印Y3の方向)にのみ移動させることが望ましい。矢印Y3の方向とは、短手方向であって、基部24の外側から内側に向かう方向のことである。つまり、制御装置100は、ワークWをチャック20ごと水平方向に移動させる場合、進行方向において支持片41が後ろ側に位置するようにチャック20を回転機構23によって旋回(回転)させてから、ワークWを水平方向に移動させるようにすることが望ましい。これにより、支持片41は、進行方向においてワークWの後方に位置することとなる。
【0041】
そして、制御装置100は、所望の位置まで移動させた場合、ワークWの把持を解放するようにチャック20を動作させる。ワークWの把持を解放する場合には、この逆の動作が行われる。すなわち、制御装置100は、第1吸着パッド26及び第2吸着パッド44の吸着を解除して、ワークWの上面及び側面を解放する。
【0042】
次に、制御装置100は、チャック20を上方に移動させる。チャック20を上方に移動させると、コイルバネ42の弾性力により、レバー部材43が下方(対向面25から離間する方向)に移動するとともに、支持片41が外側に回転する。これにより、基部24の対向面25がワークWの上面と離間するとともに、支持片41がワークWの側面と離間することとなる。
【0043】
上記第1実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0044】
チャック20にワークWの側面を支持する支持片41を備えたことにより、チャック20が取り付けられるパレタイズ装置10は、第1吸着パッド26にてワークWを吸着し、チャック20を水平方向に移動させる際、ワークWの揺動を抑制することができる。このため、ワークWを安定して把持することができ、ワークWを高速移動させることが可能となる。
【0045】
また、支持片41は、ヒンジ機構40を介して基部24の外縁側に取り付けられ、基部24に対してヒンジ機構40を中心として回転可能に構成され、支持片41からワークWの側面側に突出するレバー部材43は、基部24の側に押圧されることにより弾性力に抗して支持片41をワークWの側面の側に回転させるように構成されている。このため、第1吸着パッド26にワークWを吸着させるために、ワークWを対向面25の側に押圧する際、レバー部材43を対向面25の側に押圧して、支持片41を内側に回転させ、ワークWの側面に支持片41の内側側面41aを対向させることが可能となる。
【0046】
また、支持片41に対して、ワークWの側面から離間する方向に回転させる弾性力を加えるコイルバネ42を備えているため、レバー部材43がワークWにより押圧されていない場合、支持片41を外側に回転させ、支持片41をワークWの側面から離間させることができる。したがって、モータなどのアクチュエータを用いず、簡単な機構で、ワークWの把持時に、ワークWの側面に支持片41を素早く対向させ、ワークWの解放時に、ワークWの側面から支持片41を素早く離間させることができる。
【0047】
支持片41に、ワークWの側面を吸着する第2吸着パッド44を備えた。このため、第2吸着パッド44により、ワークWの側面を吸着させることにより、ワークWの側面をより安定して把持することができ、水平移動時におけるワークWの揺動をより抑制することができる。したがって、ワークWをより高速に移動させることができる。なお、第1吸着パッド26とともに、第2吸着パッド44を同時に作動させれば、ワークWの側面を把持するための作動時間を余分に設ける必要もない。
【0048】
支持片41は、ワークW(又は対向面25)を中心として、片側にのみに配置されている。つまり、支持片41は、短手方向において片側にのみ設けられている。このため、パレタイズ装置10のチャック20として採用される場合、ワークWを図3に示すように隙間なく配列することができる。つまり、ワークWの間に、支持片41が位置しないように、支持片41を移動させることができ、パレットP上で整列したワークWの間に支持片41による隙間が形成しないようにすることができる。
【0049】
なお、ワークWの側面を吸着する第2吸着パッド44を備えているため、支持片41は、短手方向において、片側にのみに設けている場合であっても、水平移動時におけるワークWの揺動を確実に抑制することができる。
【0050】
(第2実施形態)
上記第1実施形態の構成を、次の第2実施形態のように変更してもよい。以下、第2実施形態では、主に、上記各実施形態で説明した構成に対する相違部分について説明する。また、第2実施形態では、パレタイズ装置10の基本構成として、第1実施形態のものを例に説明する。
【0051】
図7に示すように、第2実施形態のチャック20では、基部24の短手方向の一方側のみならず、長手方向の一方側にも支持片41が取り付けられている。ここで、基部24の短手方向の一方側に設けられた支持片41を、第1支持部材としての第1支持片411と示し、基部24の長手方向の一方側に設けられた支持片41を、第2支持部材としての第2支持片412と示す。第1支持片411は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
第2支持片412は、第1支持片411と同様に、基部24の長手方向端部において、その基端がヒンジ機構40を介して取り付けられている。第2支持片412は、対向面25を中心として、長手方向において片側にのみに配置されている。
【0053】
第2支持片412は、ワークWの側面(長手方向側の側面)を支持するように、略四角板状に形成されており、基部24に対して先端が下方となるように、つまり、ぶら下がるように取り付けられている。その際、第2支持片412の面が対向面25の側(つまり、ワークWの長手方向側面の側)に向くように支持片41が取り付けられている。すなわち、第2支持片412がZ軸方向に沿うように、その先端が下方に位置するとき、第2支持片412の側面の垂直方向が、長手方向に沿うように、支持片41が配置されている。
【0054】
この第2支持片412は、対向面25に対してヒンジ機構40を中心として回転可能に構成されている。この回転方向は、対向面25の長手方向に沿う方向となっている。よって、第1支持片411の先端が対向面25の内側に移動する第1方向(図7において矢印Y11が指し示す方向)と、第2支持片412の先端が対向面25の内側に移動する第2方向(図7において矢印Y12が指し示す方向)とが直交するように、第1支持片411及び第2支持片412が、対向面25に配置されていることとなる。つまり、支持片41には、ワークWに対して第1方向において対向する第1支持片411と、ワークWに対して第1方向と直交する第2方向において対向する第2支持片412と、が存在する。
【0055】
なお、それ以外の構成は、第2支持片412と第1支持片411は同様であるため、説明を省略する。また、チャック20の作用についても第1実施形態とほぼ同様である。
【0056】
第2実施形態の構成によれば、次のような効果を得ることができる。
【0057】
チャック20は、第1支持片411と、第2支持片412とを備え、第1支持片411の先端が内側に移動する第1方向と、第2支持片412の先端が内側に移動する第2方向とが直交するように、第1支持片411及び第2支持片412が、対向面25に配置されている。つまり、支持片41には、ワークWに対して第1方向において対向する第1支持片411と、ワークWに対して第1方向と直交する第2方向において対向する第2支持片412と、が存在する。このため、ワークWの直交する2側面を支持することができるため、1つの側面のみを支持する場合に比較して、水平移動時におけるワークWの揺動をより抑制することができる。また、ワークWの直交する2つの側面を支持するため、ワークWを旋回させる手間を少なくすることができる。
【0058】
第1支持片411は、第1方向(短手方向)において片側にのみに配置され、第2支持片412は、第2方向(長手方向)において片側にのみに配置されている。このため、第1実施形態と同様に、パレタイズ装置10のチャック20として採用される場合、ワークWを図3に示すように隙間なく配列することができる。つまり、ワークWの間に、支持片41が位置しないように、支持片41を移動させることができ、パレットP上で整列したワークWの間に支持片41による隙間が形成しないようにすることができる。
【0059】
(変形例)
・上記実施形態において、Z軸方向に対する支持片41(第1支持片411及び第2支持片412を含む。以下同じ)の内側側面41aの角度αの許容角度は、任意に変更してもよい。同様に、レバー部材43と支持片41の内側側面41aとの間における角度βは、90度に限らず、任意に変更してもよい。ただし、対向面25から支持片41の内側側面41aまでの角度が、レバー部材43と支持片41の内側側面41aとの間における角度βよりも大きな角度となるように、Z軸方向に対する内側側面41aの角度αの許容角度が設定される必要がある。
【0060】
・上記実施形態において、支持片41に第2吸着パッド44を設けなくてもよい。この場合、ワークWごとチャック20を水平移動させる際、進行方向においてワークWの後方又は前方に支持片41が配置されるよう、事前にチャック20を旋回させることが望ましい。また、支持片41に第2吸着パッド44を設けない場合、短手方向(又は長手方向)両端に支持片41を配置して、進行方向両側においてワークWの側面を支持するように構成してもよい。
【0061】
・上記実施形態において、支持片41に第2吸着パッド44を設ける場合、ワークWの側面を吸着して把持することができるため、ワークWごとチャック20を水平移動させる際、進行方向においてワークWの後方又は前方に支持片41が配置されるようにチャック20を旋回させなくてもよい。
【0062】
・上記実施形態において、支持片41の内側側面41aに、第2吸着パッド44の代わりに内側側面41aから突出する凸部を設けてもよい。また、ゴムや、バネ、スポンジ等のクッション材を設けてもよい。
【0063】
・上記実施形態において、支持片41は、平板状に構成する必要はなく、例えば、爪状に形成し、側面を複数の爪によって支持するようにしてもよい。
【0064】
・上記実施形態において、支持片41は、短手方向において片側にのみ設けたが、両側に設けてもよい。また、支持片41は、長手方向において片側にのみ設けてもよく、長手方向において両側に設けてもよい。
【0065】
・上記実施形態において、吸着パッド26,44の構成は任意に変更してもよい。例えば、ワークWの接触部分にスポンジ材を利用した吸着パッド26,44を採用してもよい。
【0066】
・上記実施形態において、ワークWの形状は、基部24の対向面25に対向する面(吸着面)が存在するのであれば、任意に変更してもよい。例えば、ワークWの側面に凹凸形状が設けられていてもよい。また、例えば、ワークWの上面が蓋部材により閉塞されており、蓋部材がフランジ状に、ワークWの側面よりも突出していてもよい。この場合、支持片41から第2吸着パッド44又は凸部(当接部分)の突出寸法を調整して、ワークWの側面に第2吸着パッド44又は凸部が当接可能に構成する必要がある。
【0067】
・上記実施形態において、ヒンジ機構40及びレバー部材43によって、レバー部材43に入力された力の方向を変換して伝達する変換機構が構成される。この場合、レバー部材43が入力部として機能する。また、支持片41は、基部24に対して回転可能に構成され、レバー部材43は、基部24に対して回転可能に構成されている。また、上述したように、第1又は第2実施形態のチャック20では、レバー部材43がワークWによって押圧された際、レバー部材43に加えられた力の方向が変換され、コイルバネ42の弾性力に抗って支持片41がワークWの側面の側に回転される。
【0068】
(第3実施形態)
上記第1実施形態の構成を、次の第3実施形態のように変更してもよい。以下、第3実施形態では、主に、上記各実施形態で説明した構成に対する相違部分について説明する。また、第3実施形態では、パレタイズ装置10の基本構成として、第1実施形態のものを例に説明する。
【0069】
図8に示すように、第3実施形態のチャック120は、回転機構23に取り付けられる長方形の板状の基部124を有する。基部124は、ワークWの上面に対向する対向面125を、その下部に備えている。基部124は、その対向面125がZ軸に対して垂直となるように回転機構23に対して固定されている。
【0070】
この基部124には、長手方向両端部に、長尺状の第1支持棒101が一対固定されている。第1支持棒101は、基部124の短手方向に沿って延びるように構成されている。この第1支持棒101は、図9に示すように、基部124の対向面125(つまり、基部124のZ軸方向下方)に固定される固定金具としてのジョイント102に挿通されて、基部124に吊り下げられるように固定されている。
【0071】
この第1支持棒101は、基部124の短手方向両側にそれぞれ突出している。また、各第1支持棒101において、基部124からの突出量は、一方側(図9において右側)が他方側(左側)よりも多く(長く)なるように固定されている。
【0072】
図8及び図9に示すように、この第1支持棒101には、ワークWを吸着する第1吸着パッド126が吊り下げられるように固定されている。本実施形態では、第1吸着パッド126が複数(4つ)設けられており、各第1支持棒101において、基部124の短手方向両側に配置されている。第1吸着パッド126の構成及びその制御法は、第1吸着パッド26と同様であるため、省略する。
【0073】
また、この第1支持棒101の一方側(突出量が多い側、図9において右側)には、ワークWの側面を支持する支持部材としての側面支持部110が設けられている。この側面支持部110は、第1支持棒101に沿って基部124の短手方向(図9の左右方向)に移動可能に取り付けられている。
【0074】
側面支持部110について詳しく説明する。側面支持部110は、第1支持棒101に固定される一対のスライド部材111と、一対のスライド部材111を連結する渡り部材112と、渡り部材112に固定されている一対の第2支持棒113と、第2支持棒113に固定される第2吸着パッド144と、を備える。
【0075】
図8等に示すように、各スライド部材111は、四角筒状に形成されており、各スライド部材111の貫通孔に、第1支持棒101が挿通されている。そして、各スライド部材111は、第1支持棒101に沿って移動可能に構成されている。
【0076】
渡り部材112は、長板状に形成されており、各スライド部材111のZ軸方向下面に固定される。これにより、渡り部材112は、一対のスライド部材111を連結する。
【0077】
図11に示すように、第2支持棒113は、上下方向(Z軸方向)に延びる棒状に形成されており、その上端が、渡り部材112に固定されている。つまり、第2支持棒113は、渡り部材112の下側に吊り下げられるように固定されている。
【0078】
また、図11に示すように、第2支持棒113は、一対の第1支持棒101の中間地点を避けるように、中間地点を中心として左右対称に配置されている。なお、図8等に示すように、第2支持棒113において、その下方側に、一対の第2支持棒113の下端側を連結して、補強する補強部材114が設けられていてもよい。
【0079】
各第2支持棒113の上下2か所に、第2吸着パッド144が上下方向に並ぶようにそれぞれ固定されている。第2吸着パッド144は、第1支持棒101が延びる方向(基部124の短手方向)において、第1吸着パッド126の側を向くように、つまり、ワークWの側面の側を向くように、固定されている。第2吸着パッド144の構成及びその制御法は、第2吸着パッド44と同様である。
【0080】
また、チャック120は、ワークWを第1吸着パッド126により吸着させる際、側面支持部110をワークWの側面に配置させるための機構としての変換機構150を備える。変換機構150は、ワークWを第1吸着パッド126に吸着させる際、入力部としての入力レバー151がワークWによって上方に押圧される力の方向を変換して、側面支持部110をワークWの側面の側に移動させるものである。以下、変換機構150について説明する。
【0081】
図8図11に示すように、変換機構150は、入力レバー151と、ベルト部としての連結ベルト152と、歯車装置としてのアイドラー153と、弾性体としてのバネ部材154と、を備える。
【0082】
図8及び図11に示すように、入力レバー151は、Z軸方向(上下方向)に延びるように形成されている。具体的には、入力レバー151は、一対のロッド151aと、一対のロッド151aの下端を連結し、ワークWと当接する下端部151bと、一対のロッド151aの上端を連結し、連結ベルト152の一端が固定される上端部151cと、を有する。
【0083】
この入力レバー151は、基部124に対して上下方向(Z軸方向)に移動可能に固定されている。具体的には、図8に示すように、一対の第1支持棒101を繋ぐ板部材に設けられた貫通孔に入力レバー151が挿通されて、支持されている。また、入力レバー151の下端部151bが、水平方向において第1吸着パッド126を中心とする所定範囲内に配置されるように、入力レバー151が基部124に対して固定されている。水平方向において第1吸着パッド126を中心とする所定範囲内とは、把持対象となるワークWの上面の範囲内のことを意味する。つまり、ワークWが第1吸着パッド126により吸着されたとき、ワークWの上面の範囲内に、入力レバー151の下端部151bが配置されていることが望ましい。
【0084】
なお、ワークWが段ボール箱などであることを想定した場合、なるべくワークWの外縁部分に近い方が、ワークWにおける当接面の強度的に望ましい。ただし、あまりにワークWの外縁に近すぎると、下端部151bがワークWに当接しない可能性があるので、外縁部分からある程度のマージンを設けることが好ましい。このため、本実施形態では、図9及び図11に示すように、基部124の短手方向において側面支持部110の側に配置される一対の第1吸着パッド126において、基部124の長手方向の中間位置に、配置されている。
【0085】
また、図12(a)に示すように、ワークWがチャック120により把持されていないとき、入力レバー151の下端部151bが、Z軸方向(上下方向)において第1吸着パッド126よりも下側に飛び出るように、入力レバー151が基部124に対して固定されている。
【0086】
連結ベルト152は、一端が入力レバー151の上端部151cに連結され、他端が側面支持部110に連結される。連結ベルト152の他端は、側面支持部110の渡り部材112の上面において、一対のスライド部材111の中間部分に固定されている。また、連結ベルト152は、歯付きベルトであり、一方の面(図8に示すように、上面側)に歯が設けられている。
【0087】
アイドラー153は、連結ベルト152に対してテンションをかけるように、連結ベルト152の間に介在している。アイドラー153は、連結ベルト152に加えられる力の方向を変える遊び歯車であり、連結ベルト152の歯と噛み合うように構成されている。アイドラー153は、基部124の長手方向に延びる回転軸153aを中心として回転可能に固定されている。回転軸153aの両端は、それぞれ固定装置153bによって一対の第1支持棒101に固定されている。
【0088】
また、固定装置153bと、スライド部材111との間には、第1支持棒101に沿って弾性力を付与する弾性体としてのバネ部材154が設けられている。固定装置153bは、第1支持棒101に対して移動不能に固定されていることから、このバネ部材154は、固定装置153bから離れる方向にスライド部材111に対して弾性力を付与することとなる。つまり、バネ部材154は、側面支持部110に対して、基部124から離れる方向(図9において右側)に力を付与することとなる。
【0089】
次に、チャック120がワークWを把持する際における変換機構150の動作について図12に基づいて説明する。図12(a)は、ワークWが把持される前におけるチャック120の正面図である。図12(b)は、ワークWが把持されたときにおけるチャック120の正面図である。なお、図12において、入力レバー151や側面支持部110の移動量を強調して図示しているが、実際の移動量は図12よりも少なくてもよい。
【0090】
図12(a)に示すように、ワークWがチャック120により把持される前、入力レバー151の下端部151bは、Z軸方向(上下方向)において第1吸着パッド126よりも下側に突出している。
【0091】
まず、制御装置100は、ワークWが基部124の下方に位置するように、すなわち、Z軸方向において、ワークWの上面が、基部124の対向面125と対向するように、チャック120を搬送機構30により移動させる。その際、制御装置100は、ワークWの長手方向が、基部24の長手方向に沿うようにチャック120を回転させることが望ましい。
【0092】
その後、制御装置100は、ワークWが基部124の下方に位置するとき、Z軸方向に、チャック120を下降させる。チャック120を下降させると、入力レバー151の下端部151bは、第1吸着パッド126よりも下側に突出しているので、入力レバー151が基部124の側(つまり、上方)に押圧される。
【0093】
図12(b)に示すように、入力レバー151が基部124の側に押圧されると、入力レバー151によって連結ベルト152の一端が上方に引っ張られることとなる。変換機構150は、入力レバー151により連結ベルト152の一端が上方に引っ張られた場合、アイドラー153を介して連結ベルト152の他端を水平方向に引っ張って当該他端に連結される側面支持部110を水平方向に移動させる。つまり、変換機構150は、入力レバー151がワークWによって押圧される際、入力レバー151に加えられた力の方向を変換して、バネ部材154の弾性力に抗って側面支持部110を移動させることとなる。これにより、側面支持部110は、ワークWの側面の側に移動し、ワークWの側面に対向することとなる。
【0094】
制御装置100は、この状態で第1吸着パッド126によりワークWの上面を吸着させるとともに、第2吸着パッド144によりワークWの側面を吸着させ、ワークWの上面及び側面を把持する。把持した後、制御装置100は、ワークWを所望の位置まで移動させる。
【0095】
ワークWをチャック120ごと移動させる際、制御装置100は、対向面125の垂直方向(Z軸方向)、若しくは、基部124の短手方向にのみ移動させることが望ましい。つまり、水平方向に移動させる場合、移動方向において、前後のいずれかに側面支持部110が配置されていることが望ましい。さらに言えば、制御装置100は、ワークWをチャック120ごと水平方向に移動させる場合、進行方向において側面支持部110が後ろ側に位置するようにチャック120を回転機構23によって旋回(回転)させてから、ワークWを水平方向に移動させるようにすることが好ましい。これにより、側面支持部110は、進行方向においてワークWの後方に位置することとなる。
【0096】
そして、制御装置100は、所望の位置まで移動させた場合、ワークWの把持を解放するようにチャック120を動作させる。ワークWの把持を解放する場合には、この逆の動作が行われる。すなわち、制御装置100は、第1吸着パッド126及び第2吸着パッド144の吸着を解除して、ワークWの上面及び側面を解放する。
【0097】
次に、制御装置100は、チャック120を上方に移動させる。チャック120を上方に移動させると、バネ部材154の弾性力により、側面支持部110が基部124から離間する方向(図12(b)において右側)に移動するとともに、入力レバー151が下方に移動する。これにより、基部124の対向面125がワークWの上面と離間するとともに、側面支持部110がワークWの側面と離間して、図12(a)に示すような初期状態に戻る。
【0098】
上記第3実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0099】
チャック120にワークWの側面を支持する側面支持部110を備えたことにより、チャック120が取り付けられるパレタイズ装置10は、第1吸着パッド126にてワークWを吸着し、チャック120を水平方向に移動させる際、ワークWの揺動を抑制することができる。このため、ワークWを安定して把持することができ、ワークWを高速移動させることが可能となる。
【0100】
また、変換機構150は、ワークWを第1吸着パッド126に吸着させる際、入力レバー151がワークWによって上方に押圧される力の方向を変換して、側面支持部110をワークWの側面の側に移動させる。このため、第1吸着パッド126にワークWを吸着させるために、ワークWを基部124の側に押圧する際、入力レバー151を基部124の側に押圧させて、変換機構150により側面支持部110をワークWの側面の側に移動させることが可能となる。このように、側面支持部110をワークWの側面の側に移動させるために、モータなどの駆動源を備える必要がなくなり、チャック120構造を簡単にし、軽量化することが可能となる。また、ワークWの上面を第1吸着パッド126に近づけると同時に、変換機構150によって側面支持部110をワークWの側面に近づけることができるため、ワークWを固定するために必要とする時間を短くすることができる。
【0101】
また、側面支持部110に対して、ワークWの側面から離間する方向に回転させる弾性力を加えるバネ部材154を備えている。このため、入力レバー151がワークWの上面により押圧されていない場合、バネ部材154の弾性力により側面支持部110をワークWの側面から離間する方向に移動させることができる。すなわち、ワークWを基部124から離間させるように、第1吸着パッド126による吸着の解除後、チャック120を上方に移動させると、バネ部材154の弾性力により側面支持部110を基部124から離間する方向に移動させ、入力レバー151の下端部151bを第1吸着パッド126よりも下方に位置するように移動させることができる。したがって、モータなどのアクチュエータを用いず、簡単な機構で、ワークWの解放時に、ワークWの側面から側面支持部110を素早く離間させることができる。
【0102】
側面支持部110に、ワークWの側面を吸着する第2吸着パッド144を備えた。このため、第2吸着パッド144により、ワークWの側面を吸着させることにより、ワークWの側面をより安定して把持することができ、水平移動時におけるワークWの揺動をより抑制することができる。
【0103】
側面支持部110は、ワークW(又は基部124)を中心として、片側にのみに配置されている。このため、第1実施形態と同様に、パレタイズ装置10のチャック120として採用される場合、ワークWを図3に示すように隙間なく配列することができる。
【0104】
(第3実施形態の変形例)
・上記第3実施形態において、側面支持部110に第2吸着パッド144を設けなくてもよい。この場合、ワークWごとチャック120を水平移動させる際、進行方向においてワークWの後方又は前方に側面支持部110が配置されるために、事前にチャック120を旋回させることが望ましい。また、側面支持部110に第2吸着パッド144を設けない場合、短手方向(又は長手方向)両端に側面支持部110を配置して、進行方向両側においてワークWの側面を支持するように構成してもよい。
【0105】
・上記第3実施形態において、側面支持部110に第2吸着パッド144を設ける場合、ワークWの側面を吸着して把持することができるため、ワークWごとチャック120を水平移動させる際、進行方向においてワークWの後方又は前方に側面支持部110が配置されるようにチャック120を旋回させなくてもよい。
【0106】
・上記第3実施形態において、側面支持部110に、第2吸着パッド144の代わりに側面支持部110から突出する凸部を設けてもよい。また、ゴムや、バネ、スポンジ等のクッション材を設けてもよい。
【0107】
・上記第3実施形態において、側面支持部110を、基部124の短手方向において片側にのみ設けたが、両側に設けてもよい。また、側面支持部110を、基部124の長手方向において片側にのみ設けてもよく、長手方向において両側に設けてもよい。
【0108】
・上記第3実施形態において、吸着パッド126,144の構成は任意に変更してもよい。例えば、ワークWの接触部分にスポンジ材を利用した吸着パッド126,144を採用してもよい。
【0109】
・上記第3実施形態において、変換機構150は、連結ベルト152及びアイドラー153を備えていたが、力の方向を変換することができるのであれば、その構成を任意に変更してもよい。例えば、連結ベルト152は、歯付きベルトでなくてもよい。また、アイドラー153は、例えば、定滑車に変更してもよい。
【0110】
・上記第3実施形態において、ワークWの形状は、基部124の対向面125に対向する面(吸着面)が存在するのであれば、任意に変更してもよい。例えば、ワークWの側面に凹凸形状が設けられていてもよい。また、例えば、ワークWの上面が蓋部材により閉塞されており、蓋部材がフランジ状に、ワークWの側面よりも突出していてもよい。
【符号の説明】
【0111】
10…パレタイズ装置、20,120…チャック、24,124…基部、25,125…対向面、26,126…第1吸着パッド、30…搬送機構、40…ヒンジ機構、41…支持片、42…コイルバネ、43…レバー部材、44,144…第2吸着パッド、50…柱部、60…アーム部、100…制御装置、110…側面支持部、150…変換機構、151…入力レバー、152…連結ベルト、153…アイドラー、154…バネ部材、411…第1支持片、412…第2支持片、P…パレット、W…ワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12