(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179339
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】窓
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050742
(22)【出願日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2021085705
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】大西 久夫
(72)【発明者】
【氏名】草開 常徳
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239CA03
2E239CA04
2E239CA22
2E239CA29
2E239CA32
2E239CA43
(57)【要約】
【課題】建物の開口部の防火性能を向上させる。
【解決手段】枠材と、障子を備え、枠材は、開口部の上、下内周面に固定され障子の上下辺を室内外から覆う見付壁部を有し、障子を案内する上、下枠材と、開口部の縦内周面に固定され障子の戸先側縦辺に対向する見付壁部を有し一組の長尺部材からなる縦枠材を有しており、障子は、防火ガラス板により形成されており、閉鎖時に戸先側縦辺が縦枠材の見付壁部の間に配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠材と、障子を備え、
枠材は、開口部の上、下内周面に固定され障子の上下辺を室内外から覆う見付壁部を有し、障子を案内する上、下枠材と、開口部の縦内周面に固定され障子の戸先側縦辺に対向する見付壁部を有し一組の長尺部材からなる縦枠材を有しており、
障子は、防火ガラス板により形成されており、閉鎖時に戸先側縦辺が縦枠材の見付壁部の間に配置される窓。
【請求項2】
枠材と、障子を備え、
枠材は、開口部の上内周面に固定され障子の上辺を室内外から覆う見付壁部を有する上枠材と、開口部の下内周面に固定され下レールを有する下枠材と、開口部の縦内周面に固定され障子の戸先側縦辺に対向する見付壁部を有する縦枠材を有しており、
障子は、防火ガラス板の下辺に戸車取付材が取り付けられて形成されており、閉鎖時に戸先側縦辺が縦枠材の見付壁部の間に配置される窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部等に配置される窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に配置される窓が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、建物の開口部の防火性能を高めたいという課題があった。
【0005】
本発明は、建物の開口部の防火性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の窓は、枠材と、障子を備え、枠材は、開口部の上、下内周面に固定され障子の上下辺を室内外から覆う見付壁部を有し、障子を案内する上、下枠材と、開口部の縦内周面に固定され障子の戸先側縦辺に対向する見付壁部を有し一組の長尺部材からなる縦枠材を有しており、障子は、防火ガラス板により形成されており、閉鎖時に戸先側縦辺が縦枠材の見付壁部の間に配置される窓である。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の窓によれば、建物の開口部の防火性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】第1の実施形態の窓の上枠部分および下枠部分の拡大縦断面図である。
【
図6】第2の実施形態の窓の縦断面図であり、(a)は、全体縦断面図であり、(b)は、下枠部分の一部拡大縦断面図である。
【
図7】第2の実施形態の窓の横断面図であり、(a)は、全体横断面図であり、(b)(c)は、右縦枠部分の横断面図である。
【
図9】第3の実施形態の窓の縦断面図であり、(a)は、上下枠材および障子の拡大縦断面図であり、(b)は、上枠部分の一部拡大縦断面図であり、(c)は、下枠部分の一部拡大縦断面図である。
【
図10】第3の実施形態の窓の横断面図であり、(a)は、全体横断面図であり、(b)(c)は、左縦枠部分の横断面図であり、(d)は、障子の一部拡大横断面図である。
【
図12】第4の実施形態の窓の横断面図であり、(a)は全体横断面図であり、(b)(c)は縦枠材の横断面図である。
【
図13】第4の実施形態の窓の縦枠材の図であり、(a)ないし(d)は縦枠材を構成する部材の下方部位を内周側から見た図である。
【
図14】第4の実施形態の窓の縦枠材を内周側から見た図である。
【
図15】第4の実施形態の窓の縦枠材を内周側から見た分解斜視図である。
【
図16】第4の実施形態の窓の縦枠材を内周側から見た斜視図である。
【
図17】第4の実施形態の窓の縦枠材の火災時の図であり、縦枠材を内周側から見た斜視図である。
【
図18】第4の実施形態の窓の縦枠材の火災時の図であり、縦枠材を内周側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の窓として、建物の開口部に取り付けられた引き違い窓の室内側に設置される窓の例を用いて、図面を参考にして説明する。
【0010】
-全体の構成-
実施形態の窓は、
図1,2に示すように、建物の開口部に配置される室外側窓Aの室内側であって、開口部の内周面、例えば木製の額部材Bの内周面に固定される枠材1と、枠材1の内周に引違い自在に配置される内、外障子2,2を備えている。
【0011】
-第1の実施形態-
(枠材)
本実施形態の枠材1は、上枠材11、下枠材12および左、右の縦枠材13,13を有している。
上枠材11、下枠材12および左、右の縦枠材13,13は、それぞれステンレス等の金属材料からなる複数枚の長尺部材を組み合わせて形成されている。
【0012】
上枠材11は、
図3に示すように、全体として、開口部の上内周面に固定される固定部11aと、固定部11aの内周面から下方に延設される3つの見付壁部111b,112b,114bによって形成される案内部11b,11cを有している。
【0013】
上枠材11は、室内側を構成する2つのL形長尺部材111,112と、室外側を構成する平板長尺部材113およびL形長尺部材114から構成されている。
【0014】
上枠材11の室内側を構成する2つのL形長尺部材111、112は、いずれも見込壁部111a,112aと、見込壁部111a,112aの室外側端から下方に延びる見付壁部111b,112bを有している。
【0015】
2つのL形長尺部材111、112のうちの内周側に積層されるL形長尺部材111の見込壁部111aは、外周側に積層されるL形長尺部材112の見込壁部112aに比べて見込み寸法が小さく形成されている。
2つのL形長尺部材111、112は、お互いの見込壁部111a,112aが室内側辺を揃えた状態で上下に積層され開口部の上内周面(上方の額部材Bの下面)に沿って配置されており、積層された両見込壁部111a,112aは開口部の上内周面にビス等の固定手段b1によって固定されている。
【0016】
開口部の上内周面に固定された2つのL形長尺部材111、112は、見付壁部111b,112bの下端位置が一致しており、両見付壁部111b,112bは内障子2の上辺を室内外から覆い、内障子2を案内する案内部11bを形成している。
【0017】
上枠材11の室外側を構成する平板長尺部材113は、見込壁部113aを有しており,L形長尺部材114は、見込壁部114aと、見込壁部114aの室内側端から下方に延びる見付壁部114bを有している。
【0018】
上枠材11の室外側を構成するL形長尺部材114の見込壁部114aは、平板長尺部材113の内周側に配置され、見込壁部113aに比べて見込み寸法が小さく形成されている。
L形長尺部材114および平板長尺部材113は、見込壁部114a,113aが室外側辺を揃えた状態で上下に積層され開口部の上内周面(上方の額部材Bの下面)に沿って配置されており、積層された両見込壁部114a,113aは開口部の上内周面にビス等の固定手段b1によって固定されている。
【0019】
開口部の上内周面に固定されたL形長尺部材114の見付壁部114bの下端位置は、上枠材11の室内側を構成する他方のL形長尺部材112の見付壁部112bの下端位置と一致しており、両見付壁部114b,112bは外障子2の上辺を室内外から覆い、外障子2を案内する案内部11cを形成している。
【0020】
下枠材12は、
図3に示すように、見付寸法が上枠材11に比べて小さい点を除いて基本的に上枠材11と同様の構成をしており、全体として、開口部の上内周面に固定される固定部12aと、固定部12aの内周面から上方に延設される3つの見付壁部121b,122b,124bによって形成される案内部12b,12cを有している。
【0021】
下枠材12は、室内側を構成する2つのL形長尺部材121,122と、室外側を構成する平板長尺部材123およびL形長尺部材124から構成されている。
【0022】
下枠材12の室内側を構成する2つのL形長尺部材121、122は、いずれも見込壁部121a,122aと、見込壁部121a,122aの室外側端から上方に延びる見付壁部121b,122bを有している。
【0023】
2つのL形長尺部材121、122のうちの内周側に積層されるL形長尺部材121の見込壁部121aは、外周側に積層されるL形長尺部材122の見込壁部122aに比べて見込み寸法が小さく形成されている。
2つのL形長尺部材121、122は、お互いの見込壁部121a,122aが室内側辺を揃えた状態で上下に積層され開口部の下内周面(下方の額部材Bの上面)に沿って配置されており、積層された両見込壁部121a,122aは開口部の下内周面にビス等の固定手段b2によって固定されている。
【0024】
開口部の下内周面に固定された2つのL形長尺部材121、122は、見付壁部121b,122bの上端位置が一致しており、両見付壁部121b,122bは内障子2の下辺を室内外から覆い、内障子2を案内する案内部12bを形成している。
【0025】
下枠材12の室外側を構成する平板長尺部材123は、見込壁部123aを有しており,L形長尺部材124は、見込壁部124aと、見込壁部124aの室内側端から下方に延びる見付壁部124bを有している。
【0026】
下枠材12の室外側を構成するL形長尺部材124の見込壁部124aは、平板長尺部材123の内周側に配置され、見込壁部123aに比べて見込み寸法が小さく形成されている。
L形長尺部材124および平板長尺部材123は、お互いの見込壁部124a,123aが室外側辺を揃えた状態で上下に積層され開口部の下内周面(下方の額部材Bの上面)に沿って配置されており、積層された両見込壁部124a,123aは開口部の下内周面にビス等の固定手段b2によって固定されている。
【0027】
開口部の下内周面に固定されたL形長尺部材124の見付壁部124bの上端位置は、下枠材12の室内側を構成する他方のL形長尺部材122の見付壁部122bの上端位置と一致しており、両見付壁部124b,122bは外障子2の下辺を室内外から覆い、外障子2を案内する案内部12cを形成している。
【0028】
縦枠材13は、
図4に示すように、室内側を構成するL形長尺部材131と、室外側を構成するL形長尺部材132とからなる、一組のL字形長尺部材から構成されている。
【0029】
縦枠材13の室内側を構成するL形長尺部材131は、見込壁部131aと、見込壁部131aの室外側端から内周方向に延びる見付壁部131bを有しており、室外側を構成するL形長尺部材132は、見込壁部132aと、見込壁部132aの室内側端から内周方向に延びる見付壁部132bを有している。
【0030】
2つのL形長尺部材131、132は、お互いの見付壁部131b,132bを対向させた状態で、見込壁部131a,132aを開口部の縦内周面(左右の額部材Bの内周面)に配置されビス等の固定手段b3によって開口部の縦内周面に固定されている。
【0031】
開口部の縦内周面に固定された2つのL形長尺部材131、132は、見付壁部131b,132bの内周端位置が一致しており、両見付壁部131b,132bによって開口部の縦内周に内、外障子2,2の戸先側縦辺が納まる納まり部13aが形成されている。
内、外障子2,2の閉鎖時には、内、外障子2,2の戸先側縦辺は開口部の縦内周面に直接当接して納まり部13aに納められ、両見付壁部131b,132bは内、外障子2,2の戸先側縦片辺を室内外から覆っている。
【0032】
上枠材11,下枠材12と、左右の縦枠材13、13は、ビス等の固定具によって四周に組まれるものではないが、
図5に示すように、それぞれ開口部の内周面に固定されることで、全体として枠を形成している。
【0033】
具体的には、枠の左側の縦枠材13は、納まり部13aが上枠材11の室外側の案内部11cと下枠材12の室外側の案内部12cと連続するように配置されており、枠の右側の縦枠材13は、納まり部13aが上枠材11の室内側の案内部11bと下枠材12の室内側の案内部12bと連続するように配置されて、それぞれ開口部の内周面に固定されている。
【0034】
なお、左の縦枠材13は、見付壁部131b,132bの上端部分が上枠材11の室外側から二つの見付壁部112b,114bが納まる分削除され、見付壁部131b,132bの下端部分が下枠材12の室外側から二つの見付壁部122b,124bが納まる分削除されている。
同様に、右の縦枠材13は、見付壁部131b,132bの上端が上枠材11の室内側から二つの見付壁部111b,112bが納まる分削除され、見付壁部131b,132bの下端が下枠材12の室内側から二つの見付壁部121b,122bが納まる分削除されており、見付壁部同士の干渉を防止し、上、下枠材および左右の縦枠材のスムーズな納まりを可能にしている。
【0035】
(障子)
本実施形態の内、外障子2は、
図3,4に示すように、例えば耐熱結晶化ガラス等の防火ガラス板のみからなり、アルミ等の框材を備えていない。
内、外障子2,2は、上枠材11および下枠材12に形成された案内部11b,11c,12b,12cに対してケンドンによって装着され、摺動自在に配置されている。
【0036】
内、外障子2,2は、閉鎖状態において、戸先が開口部の縦内周面に当接し、上下辺が室内外から上枠材11および下枠材12の見付壁部によって覆われており、戸先側縦辺が縦枠材13の見付壁部131b,132bによって覆われている。
【0037】
(本実施形態の窓の効果)
以上のように、本実施形態の窓は、開口部の内周に長尺の枠材を固定して枠を形成し、耐火性を有するガラス板によって障子を形成することで、簡単な構成で防火設備を設けることができる。
【0038】
そして、本実施形態の窓は、耐火性を有するガラス板からなる障子の外周の室内外面を枠材によって覆っているので、室内外で火炎の通り道が形成され難く、防火性能を維持することができる。
また、縦枠材は、障子の戸先が当接する部位を有しておらず、障子は、戸先を開口部の内周面に直接当接させているので、火災時の熱による縦枠材の変形によって障子を移動させ、障子と枠材との間に隙間が生じる危険性を少なくし、さらに防火性能を維持することができる。
さらに、左の縦枠材13は、外障子2の戸先辺を収める納まり部13aのみが形成され、右の縦枠材13は、内障子2の戸先辺を収める納まり部13aのみが形成されているので、防火性を維持しながら単純な構成により施工性が向上させることができる。
さらに、上枠材11、下枠材12、および左右の縦枠材13がL字形の部材で形成してあるので、製造が容易であり、また、左の縦枠材13は、L字形の部材で外障子2の戸先辺を納める納まり部13aのみを形成し、右の縦枠材13は、L字形の部材で内障子2を納める納まり部13aのみを形成してあるので、部材コストを削減できる。
【0039】
-第2の実施形態-
(枠材)
本実施形態の枠材1は、それぞれステンレス、アルミ合金等の金属材料からなる上枠材51、下枠材52および左、右の縦枠材53,53を有している。
なお、本実施形態の窓について、第1の実施形態の窓と同様の構成については、説明を省略する。
【0040】
上枠材51は、
図6(a)に示すように、開口部の上内周面B1に固定される見込壁部51aと、見込壁部51aの室内側端および室外側端から下方に延設される室内側壁部51bおよび室外側壁部51cと、見込壁部51aの内周面から下方に延設される3つの見付壁部51d,51e,51fを有しており、3つの見付壁部51d,51e,51fによって内、外障子2,2の上辺を案内する上案内部51g,51gが形成されている
【0041】
上枠材51は、見込壁部51aが開口部の上内周面B1に樹脂スペーサ512を挟んで配置され、上案内部51g,51gの底部においてビス等の固定手段b1によって固定されている。
【0042】
上枠材51は、見込壁部51aの外周面に長手方向延びる複数のリブ51iが設けられており、見込壁部51aの外周面と樹脂スペーサ512との間の適宜位置に、火災時の熱によって膨張する加熱発泡材f,fが配置されている。
【0043】
下枠材52は、
図6(a)に示すように、開口部の下内周面B2に固定される見込壁部52aと、見込壁部52aの内周面から上方に延設される内、外下レール52b、52bを有している。
内、外下レール52b,52bは、上端が水平方向に屈曲して見込み方向に幅広の戸車載置部52c,52cが形成されている。
【0044】
下枠材52は、見込壁部52aが開口部の下内周面B2に樹脂スペーサ522を挟んで配置され、内、外下レール52b、52b間においてビス等の固定手段b2によって固定されている。
【0045】
下枠材52の見込壁部52aの外周面は、長手方向延びる複数のリブ52iが設けられており、見込壁部52aの外周面と樹脂スペーサ522との間の適宜位置に、火災時の熱によって膨張する加熱発泡材f,fが配置されている。
なお、下枠材52は、
図6(b)に示すように、見込壁部52aの上面で内、外下レール52b,52b間において、固定手段b2の頭部を覆うように、カバー部材52dを設けてもよい。
【0046】
縦枠材53は、
図7(a)(b)に示すように、アルミ合金等の金属材料からなり開口部の縦内周面B3に固定される外周部材531と、ステンレス、アルミ合金等の金属材料からなり外周部材531の内周に取り付けられる内周部材532を有している。
縦枠材53は、垂直軸を中心にして180度回転させることで、左右の縦枠を兼用することができる。
【0047】
縦枠材53の外周部材531は、開口部の縦内周面B3に固定される見込壁部531aと、見込壁部531aの室内端および室外端から内周方向に延設される見付壁部531b,531bを有している。
【0048】
縦枠材53の内周部材532は、室内側見付壁532aと、室外側見付壁532bと、室内側見付壁532aの内周端から室外方向に延設される室内側見込壁532cと、室外側見付壁532bの内周端から室内方向に延設される室外側見込壁532dと、室内側見込壁532cの室外側から外周方向に延設される障子受室内側壁532eと、室外側見込壁532dの室内側から外周方向に延設される障子受室外側壁532fと、障子受室内側壁532eと障子受室外側壁532fを連絡する底壁532gを有している。
【0049】
縦枠材53は、外周部材531の内、外の見付壁部531bの間に内周部材532を挿入して内周部材532の底壁532gを外周部材531の見込壁部531aに当接させ、ビス等の固定手段b32によって連結することで形成されている。
【0050】
縦枠材53は、内周部材532の障子受室内側壁532eと障子受室外側壁532fと底壁532gによって、閉鎖時の障子2の戸先辺を受け入れる納まり部53aが形成されており、納まり部53aの見込み方向両側に中空部53bが形成されている。
【0051】
縦枠材53に形成される納まり部53aは、内周部材532の室内側見込壁532cと室外側見込壁532dの見込み幅寸法が異ならせることで、見込み方向の一方側に偏らせて形成されており、縦枠材53は、縦枠材53を垂直軸を中心に反転させることで、左右に配置された縦枠材53の納まり部53aの位置を見込み方向に異ならせて配置されている。
【0052】
具体的には、左の縦枠材53は、閉鎖時に縦枠材53に当接する外障子2の戸先辺を収める納まり部53aのみが形成され、右の縦枠材53は、閉鎖時に右の縦枠材53に当接する内障子2の戸先辺を収める納まり部53aのみが形成されるように配置されている。
【0053】
縦枠材53は、外周部材531の見込壁部531aが開口部の縦内周面B3に樹脂スペーサ535を挟んで配置され、ビス等の固定手段b3によって固定されている。
縦枠材53の外周部材531の見込壁部531aの外周面は、長手方向延びる複数のリブ531iが設けられており、見込壁部531aの外周面と樹脂スペーサ535との間の適宜位置に、火災時の熱によって膨張する加熱発泡材f,fが配置されている。
【0054】
なお、縦枠材53は、アルミ合金等の金属材料からなる外周部材531と、アルミ合金等の金属材料からなる二つの内周部材533,534によって形成されてもよい。
【0055】
例えば、縦枠材53は、
図7(c)に示すように、外周部材531を、開口部Bの縦内周面に固定される見込壁部531aと、見込壁部531aの室内端から内周方向に延設される室内側壁部(見付壁部)531bと、見込壁部531aの室外端から内周方向に延設される室外側壁部(見付壁部)531cと、見込壁部531aの内周面から内周方向に延設される障子受室内側壁部531dと、障子受室外側壁部531eとから形成し、内周部材533,534を、それぞれ平板状部材によって形成し、外周部材531の室内側壁部531bと障子受室内側壁部531dとの間、および外周部材531の室外側壁部531cと障子受室外側壁部531eとの間にそれぞれ内周部材533,534を取り付けることで形成してもよい。
【0056】
その際、外周部材531の室内側壁部531bと、障子受室内側壁部531dと、室外側壁部531cと、障子受室外側壁部531eの内周端に、それぞれ係止部531fを形成しておき、内周部材533,534の両端に形成された係止部533a,534aを係止して両者を一体化することで形成されてもよい。
【0057】
(障子)
内、外障子2,2は、
図6,
図7に示すように、例えば耐熱結晶化ガラス等の防火ガラス板20の下辺に戸車取付材22が取り付けられて形成されている。
内、外障子2,2は、上辺が上枠材51に形成された上案内部51gに案内され、戸車取付材22の戸車22aが下枠材52の内、外下レール52b、52bの戸車載置部52c,52cに載置されて、摺動自在に配置されている。
【0058】
なお、内、外障子2,2は、上辺に樹脂材料等からなる上辺部材21を装着して、上枠材51の上案内部51gに案内されるようにしてもよく、それによって、障子2の摺動動作を安定させることができ、また、ガラス板と金属製の枠材との当接による音鳴り等を抑制することができる。
また、内障子2は、防火ガラス板20の室内側面に手掛部2aを接着等の固定手段によって取付けてもよい。
【0059】
閉鎖状態の内、外障子2,2は、上辺が室内外から上枠材51の見付壁部51d,51e,51fに覆われており、左右の戸先側縦辺がそれぞれ縦枠材13,13の納まり部53aに納まって配置される。
【0060】
(本実施形態の窓の効果)
本実施形態の窓は、開口部の内周に長尺の枠材を固定して枠を形成し、耐火性を有するガラス板によって障子を形成することで、簡単な構成で防火設備を設けることができる。
【0061】
そして、本実施形態の窓は、耐火性を有するガラス板からなる障子の外周の室内外面を枠材によって覆っているので、室内外で火炎の通り道が形成され難く、防火性能を維持することができる。
【0062】
また、左の縦枠材53は、外障子2の戸先辺を収める納まり部53aのみが形成され、右の縦枠材53は、内障子2の戸先辺を収める納まり部53aのみが形成されており、縦枠材53と内外障子2との隙間を内周部材で覆っているし、左右の縦枠材53の納まり部53aの見込み方向両側に中空部53b、53bが形成されているので、火災時に、火炎が通り難く、内、外障子2,2の戸先辺を収める納まり部53aを保護することができ、防火性能を向上させることができる。
【0063】
さらに、内、外障子2,2を案内する内、外下レール52b,52bは、見込み方向に幅広に形成された幅広部分(戸車載置部52c,52c)を有しており、該幅広部分が内、外障子2,2の戸車取付材22の下方内部において戸車22a,22aを載置しているので、内、外障子2,2が見込み方向にずれて召合せ部に隙間が空くことを抑制するとともに、内、外下レール52b,52bと戸車取付材22との間の隙間を小さく抑えることができ、防火性能を向上させることができる。
【0064】
-第3の実施形態-
本実施形態の窓は、開口部Bの内周面に配置される枠材1と、枠材1に案内されて左右方向に摺動自在に配置される複数(本例では、3枚)の障子2を備えている。
枠材1は、それぞれアルミ合金等の金属材料からなる上枠材71、下枠材72および左、右の縦枠材73,73を有している。
なお、本実施形態の窓について、第1、第2の実施形態の窓と同様の構成については、説明を省略する。
【0065】
上枠材71は、
図8に示すように、開口部の上内周面B1に配置される複数の上枠部材711を有している。
上枠部材711は、
図9(a)(b)に示すように、開口部の上内周面B1に固定される見込壁711aと、見込壁711aの室内外方向の一端より内周方向(下方)に延設されてなる見付壁711bとを有する断面略L字状の長尺部材である。
【0066】
上枠部材711は、見込壁711aに複数の長孔711cが形成されており、ビス等の固定手段b1によって開口部の上内周面B1に固定されている。
上枠材71は、複数の上枠部材711が見込み方向に隣接して配置されることで、隣接する上枠部材711の見付壁711b間に障子2を案内する上案内部71aが形成されている。
【0067】
下枠材72は、
図8,
図9(a)に示すように、アルミ合金、木、樹脂材料等からなる芯材722と、芯材722の左右に取付けられるアルミ合金等の金属材料からなる2つのレール形材721を有しており、全体として断面略長方形の下枠本体の上面に複数の下レール部721dが設けられている。
【0068】
下枠材72のレール形材721は、
図9(c)に示すように、芯材722の上面に沿う見込壁721aと、芯材722の室内側面もしくは室外側面に沿う見付壁721bと、見付壁721bの下端から芯材722の下面に沿うように延びる底壁721cと、見込壁721aの上面から上方に延びる複数の下レール部721d,721dを有しており、見込壁721aの二つの下レール部721d,721dの間には、ビス孔721eが形成されている。
レール形材721の下レール部721dは、上部に見込み方向に幅広に形成された戸車載置部721fが形成されている。
【0069】
下枠材72は、芯材722の左右の辺がレール形材721の見込壁721aと底壁721cの間に挿入されて形成され、開口部の下内周面B2に載置されて、見込壁721aの二つの下レール部721d,721dの間でビス等の固定手段b2によって固定されている。
【0070】
なお、開口部Bに固定された下枠材72の室内側および室外側に、下レール部721dの戸車載置部721fの上面と石膏ボードCの上端面が面一となるように石膏ボードC等を配置してもよい。
下枠材72の下レール部721dの戸車載置部721fの上端と石膏ボードCの上端面を面一とすることで、意匠性を向上することができる等の効果を奏することができる。
【0071】
縦枠材73は、
図8,
図10(a)に示すように、アルミ合金等の金属材料からなる主縦枠材731と、アルミ合金等の金属材料からなる副縦枠材732を有しており、両部材が長さ調節自在に連結されて形成されている。
【0072】
主縦枠材731は、
図10(b)に示すように、見込壁731aと、見込壁731aの室内端および室外端から内周方向に延びる見付壁部731b,731bを有する断面略U字状の長尺部材である。
【0073】
主縦枠材731は、上端を開口部の上内周面B1に当接もしくは近接させ、見込壁731aを開口部の縦内周面B3に沿わせて配置されており、見込壁731aが開口部の縦内周面B3にビス等の固定手段b3によって固定されている。
【0074】
副縦枠材732は、
図10(b)(c)に示すように、見込壁732aと、見込壁732aの室内端および室外端から内周方向に延びる見付壁部732b,732bを有する断面略U字状の部材である。
【0075】
副縦枠材732は、下端を開口部の下内周面B2(もしくは下内周面B2上に配置された石膏ボード等)に当接もしくは近接させて見込壁732aを開口部の縦内周面B3に沿わせて配置されており、見込壁732aと開口部の縦内周面B3との間に樹脂スペーサ734を挟んだ状態で接着等されて固定されている。
【0076】
開口部に配置された縦枠材73は、主縦枠材731の下方部分と副縦枠材732の上方部分が重複し、重複部分において、両部材の室内側壁同士および室外側壁同士がねじ等の固定手段b4によって連結されている。
【0077】
主縦枠材731の見付壁部731bおよび副縦枠材732の見付壁部732bには、両部材を連結するためのネジ孔が形成されているが、主縦枠材731の見付壁部731bもしくは副縦枠材732の見付壁部732bのネジ孔が長孔に形成されており、主縦枠材731と副縦枠材732の連結部において両部材がずれることで、縦枠材73が熱伸びした際に該熱伸びを吸収することができる。
【0078】
なお、開口部Bに固定された縦枠材73の室内側および室外側に石膏ボードC等を配置してもよい。
【0079】
(障子)
本実施形態の複数の障子2は、
図8ないし
図10に示すように、例えば耐熱結晶化ガラス等の防火ガラス板20の下辺に戸車取付材22が取り付けられて形成されている。
障子2は、上辺が上枠材71に形成された上案内部71aに案内され、戸車取付材22の戸車22aが下枠材72の下レール部721dに案内されて、摺動自在に配置されている。
なお、障子2は、上辺に樹脂材料等よりなる上辺部材21を装着して、上枠材71の上案内部71aに案内されるようにしてもよい。
【0080】
複数の障子2のうち、左右端に配置される障子2は、手掛部2aが取付けられていてもよく、手掛部2aを設けることで、手掛部2aを持って障子2の開閉を行うことができる。
【0081】
また、障子2は、隣接する障子2同士を連動するための係合部2bが設けられていてもよい。
例えば、障子2は、
図10(d)に示すように、樹脂材料からなる扁平ブロック状の部材を隣接する障子2と対向する面の左右端部の下方部位にビス等の固定手段bによって取り付けられることで、係合部2bが設けられていてもよい。
複数の障子2は、左右端の障子2を左右に移動させることで、隣接する障子2,2の係合部2b,2b同士が係合し、隣接する障子2を連動させることができる。
【0082】
閉鎖状態の複数の障子2は、上辺が室内外から上枠材71を構成する上枠部材711の見付壁711bにそれぞれ覆われており、左右端に配置される障子2の戸先側縦辺が縦枠材73の内周面に当接もしくは近接して、縦枠材73の主縦枠材731の室内側および室外側の見付壁部731bの間に配置され室内外から覆われている。
【0083】
(本実施形態の窓の効果)
本実施形態の窓は、開口部の内周に長尺の枠材を固定して枠を形成し、耐火性を有するガラス板によって障子を形成することで、簡単な構成で防火設備を設けることができる。
【0084】
そして、本実施形態の窓は、耐火性を有するガラス板からなる障子の外周の室内外面を枠材によって覆っているので、室内外で火炎の通り道が形成され難く、防火性能を維持することができる。
【0085】
さらに、障子2を案内する下レール部721dは、見込み方向に幅広に形成された幅広部分(戸車載置部721f)を有しており、該幅広部分が障子2の戸車取付材22の下方内部において戸車22aを載置しているので、障子2が見込み方向にずれて召合せ部に隙間が空くことを抑制するとともに、下レール部721dと戸車取付材22との間の隙間を小さく抑えることができ、防火性能を向上させることができる。
また、上枠材71は、複数のL字形の部材で形成してあり、下枠材72は、同一形状のレール形材721を芯材に固定して形成してあるので、部材が兼用できて部材コストを削減できる。
【0086】
-第4の実施形態-
本実施形態の窓は、開口部Bの内周面に配置される枠材1と、枠材1に案内されて左右方向に摺動自在に配置される複数(本例では、3枚)の障子2を備えている。
枠材1は、それぞれアルミ合金等の金属材料からなる上枠材91、下枠材92および左、右の縦枠材93,93を有している。
なお、本実施形態の窓について、第1ないし第3の実施形態の窓と同様の構成については、説明を省略する。
【0087】
上枠材91は、アルミ合金等の金属材料からなり、
図11に示すように、開口部の上内周面B1に固定される見込壁部91aと、見込壁部91aの内周面から下方に延設される4つの見付壁部91b,91c,91d,91eを有しており、4つの見付壁部91b,91c,91d,91e間に障子2,2の上辺を案内する3つの上案内部91f,91g,91hが形成されている。
【0088】
上枠材91は、見込壁部91aが開口部の上内周面B1に沿うように配置され、室内側および室外側の上案内部91f,91hにおいて、ビス等の固定手段b1,b1によって固定されている。
【0089】
下枠材92は、アルミ合金等の金属材料からなり、
図11に示すように、開口部の下内周面B2に固定される見込壁部92aと、見込壁部92aの内周面から上方に延設される内レール部92b,中レール部92cおよび外レール部92dを有している。
下枠材92の内レール部92b,中レール部92cおよび外レール部92dは、上部に見込み方向に幅広に形成された戸車載置部が形成されている。
【0090】
下枠材92は、見込壁部92aが開口部の下内周面B2に沿うように配置され、内レール部92bと中レール部92cの間、および中レール部92cと外レール部92dの間において、ビス等の固定手段b2,b2によって固定されている。
【0091】
上枠材91および下枠材92は、見込壁部91a,92aの外周面に長手方向に延びる複数をリブが設けられ、上内周面B1もしくは下内周面B2との間に間隔を保って配置されており、見込壁部91a,92aの外周面と上内周面B1もしくは下内周面B2との間の適宜位置に、必要に応じて、火災時の熱によって膨張する加熱発泡材を配置してもよい。
【0092】
縦枠材93は、左右で同一の構成を備えており、開口部の縦内周面B3に長手方向に沿って配置される主縦枠材(主枠材)931と、主縦枠材931の下方端部に長手方向に移動可能に連結される副縦枠材(副枠材)932と、主縦枠材931の内周に係合される内周部材(カバー材)933を有している。
縦枠材93は、垂直軸を中心にして180度回転させることで、左右の縦枠が兼用でき、上下を開口部の上内周面B1および下内周面B2に当接もしくは近接させた状態で開口部の縦内周面B3に固定されている。
【0093】
主縦枠材931は、
図12(a)(b)(c),
図13(a),
図14,
図15(a)に示すように,見込壁部931aと、見込壁部931aの室内端および室外端から内周方向に延設される見付壁部931b,931bを有している。
【0094】
主縦枠材931は、アルミ合金等の金属材料からなり長さ寸法が開口部Bの高さ寸法Hよりも短い寸法h931を有する長尺状の本体部931Aと、本体部931Aの長手方向端部、本実施形態では下端部に連続して設けられる樹脂製の覆い部931Bからなり、全体として開口部Bの高さ寸法Hと同程度の長さ寸法h93を有している。
【0095】
主縦枠材931は、縦枠材93が開口部に固定された際に、本体部931Aの上端を上内周面B1に当接もしくは近接させ、覆い部931Bの下端を下内周面B2に当接もしくは近接させて、見込壁部931aが開口部の縦内周面B3に沿うように配置され、ビス等の固定手段b3によって固定されている。
【0096】
なお、主縦枠材931の覆い部931Bは、本体部931Aと同様に見込壁部と室内外の見付壁部を有していてもよいが、少なくとも室内側から見て副縦枠材932を覆う程度の寸法・形状を備えていればよい。
【0097】
また、主縦枠材931の本体部931Aの下端に対して覆い部931Bを連続して設ける手段は、限定されるものではなく、例えば、覆い部931Bの上方部位に本体部931Aの下端内周面に沿うような挿入部を設け、挿入部を本体部931Aの内側に接着等することで設けるなどすればよい。
【0098】
主縦枠材931の本体部931Aは、見込壁部931aの内周面から内周方向に延びてその後一方側に屈曲してなる係合片931cと一方側の見付壁部931bの内側面から突出する係合片931dが設けられており、両係合片931c,931dによって内周部材(カバー材)933が係合される被係合部が形成されている。
【0099】
主縦枠材931の本体部931Aの係合片931cおよび係合片931dは、下方領域において切り欠かれており、主縦枠材931の下方内周に副縦枠材932が連結された際に、係合片931cおよび係合片931dと副縦枠材932が干渉することを防いでいる。
【0100】
主縦枠材931は、建物の開口部Bに配置された際に室外側となる見付壁部931bに上下方向に長い長孔931eが形成されている。
なお、主縦枠材931に設けられる長孔931eは、室内側の見付壁部931bに設けられていてもよく、また、両方の見付壁部931bに設けられていてもよい。
【0101】
副縦枠材932は、アルミ合金等の金属材料からなり、
図12(c),
図13(b),
図14,
図15(a)に示すように,主縦枠材931の内側に配置され、主縦枠材931の見込壁部931aに沿う見込壁部932aと、見込壁部932aの室内端および室外端から内周方向に延設され、主縦枠材931の見付壁部931b,931bに沿う見付壁部932b,932bを有している。
【0102】
副縦枠材932は、建物の開口部Bに配置された際に室外側となる見付壁部932bにねじ孔932eが形成されており、
図13(c),
図14に見られるように、主縦枠材931の内側に配置され、主縦枠材931の室外側の見付壁部931bに形成された長孔931eと、副縦枠材932の室外側の見付壁部932bに形成されたねじ孔932eがネジ等の固定手段b93で固定されて連結されている。
【0103】
主縦枠材931の長孔931eにおける固定手段b93の位置は、主縦枠材931と副縦枠材932によって形成される縦材の長さ寸法が開口部Bの高さ寸法Hと同じ寸法となる位置に調整されて固定されており、副縦枠材932は、縦枠材13が開口部に固定された際に、下端が下内周面B2に当接もしくは近接している。
【0104】
縦枠材93は、副縦枠材932の下端位置と主縦枠材931の覆い部931Bの下端位置が同一となることが好ましいが、設計誤差や開口部Bの高さ寸法H誤差によっては、副縦枠材932の下端が覆い部931Bの下端から突出するように連結されてもよい。
【0105】
なお、副縦枠材932は、火災時に主縦枠材931の熱伸びが吸収できるように、主縦枠材931に対して長手方向に移動可能に取り付けられていればよく、副縦枠材932が取付けられる部位は、主縦枠材931の下方端部に限るものではない。
また、副縦枠材932が取付けられる主縦枠材931の端部とは、主縦枠材931の端面部分に限定されるものではなく、端部付近の領域であってもよい。
【0106】
内周部材(カバー材)933は、
図12(a)(b),
図14,
図15(b)に示すように,見込壁部933aと、見込壁部933aの室内端および室外端から外周方向に延設される見付壁部933b,933bと、見付壁部933b,933bの外周端に設けられた係合爪933c,933cを有している。
【0107】
内周部材933は、アルミ合金等の金属材料からなり主縦枠材931の長さ寸法h93よりも小さな長さ寸法h933を有する本体部933Aと、本体部933Aの上下端部に嵌め込まれた樹脂製の端部部材(キャップ部材)933Bを有している。
【0108】
本体部933Aの上端部及び下端部に嵌め込まれた端部部材933Bは、本体部933Aの寸法h933と主縦枠材931との寸法h93との差分の寸法分突出しており、全体として縦枠材13の長さ寸法h13と同程度の長さ寸法を有している。
【0109】
内周部材933の樹脂製の端部部材933Bは、本体部933Aの上端部および下端部の両方に設けられていてもよいが、上端部および下端部の一方に設けられていてもよい。
【0110】
なお、樹脂製の端部部材933Bが本体部933Aの端部から突出する寸法とは、本体部933Aの上端部および下端部に嵌め込まれる上下の端部部材933Bの突出量の合計を意味し、上端部および下端部の一方に設けられている場合には、該一方に設けられている端部部材933Bの突出量を意味する。
【0111】
また、内周部材(カバー部材)933の端部部材933Bを含めた全体の寸法は、主縦枠材931の長さ寸法h93と同程度の長さ寸法であることが好ましいが、設計誤差等によっては、縦枠材13の長さ寸法h93よりも短くてもよい。
【0112】
内周部材(カバー部材)933は、本体部933Aの下方領域において見付壁部933b,933bが外周側から切りかかれて切欠き部933fが形成されている。
【0113】
内周部材(カバー部材)933は、主縦枠材931の係合片931c,931dに対して内周側から係合爪933c,933cを係合させることで主縦枠材931の内周に係合される。
このとき、内周部材933は、切欠き部933fが主縦枠材931に連結された副縦枠材932の内周側に位置することで、副縦枠材932と干渉することなく、主縦枠材931の内周に納めることができる。
【0114】
そして、主縦枠材931及び副縦枠材932の内周に内周部材933が配置された縦枠材93は、
図12(a),
図16に示すように、見込み方向で内周部材933が係合されていない側に障子2の戸先辺を納める納まり部93aが形成されており、開口部の上内周面B1と下内周面B2の間に配置され縦内周面B3に固定されている。
【0115】
なお、本実施形態の障子の構成は、第3の実施形態の障子と同様であるので、ここでは適宜符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0116】
(本実施形態の窓の効果)
本実施形態の窓は、耐火性を有するガラス板からなる障子の外周の室内外面を金属製の枠材によって覆うことで、室内外で火炎の通り道が形成され難く、防火性能を維持することができる。
【0117】
そして、火災時には、金属製の枠材、特に比較的長尺に形成される縦枠材93に伸びが生じやすく、該伸びによって建具が破壊される可能性があるが、本実施形態の建具は、縦枠材93が金属製の主縦枠材931の下方に金属製の副縦枠材932を移動可能に連結して形成しているので、火災時の熱によって縦枠材93が伸びても、
図13(d),
図17,
図18に示すように、主縦枠材931と副縦枠材932を連結する固定手段b93が主縦枠材931の長孔931e内でずれることで連結部分が移動して主縦枠材931の伸び部分を吸収することができる。
したがって、火災時に、長さ寸法の大きい縦枠材93が伸びることによる建具の破壊等を抑制し、室内外の連通を抑制することができる。
【0118】
しかも、主縦枠材931は、金属製の本体部931Aの端部に樹脂製の覆い部931Bが設けられているので、通常時に主縦枠材931の内周に配置した副縦枠材932の露出を防止しながら、火災時には、溶融して主縦枠材931と副縦枠材932による熱伸びの吸収を妨げることが無い。
【0119】
また、本実施形態の窓は、縦枠材93は、主縦枠材931の内周に内周部材(カバー部材)933を配置しているので、障子2の戸先辺を納める納まり部93a以外の縦枠材93の内周を保護することができ、障子2が配置されない縦枠材93の内周面や縦枠材93をビス等によって固定する固定部分等を保護することができる。
さらに、縦枠材93と内外障子2との隙間を(カバー部材)933で覆っており、主縦枠材931と内周部材(カバー部材)933によって中空部を形成することで、火災時に火炎が通り難く、納まり部93aを保護して防火性能を向上することができる。
【0120】
そして、本実施形態の内周部材933は、端部に樹脂製の端部部材933Bが設けられているので、主縦枠材931の内周位置で内周部材933が火災時の熱によって伸びても、
図17,
図18に示すように、端部部材933Bが溶融して、内周部材(カバー部材)933の伸びを吸収することができるので、内周部材(カバー部材)933の伸びによる建具の破壊等を抑制し、室内外の連通を抑制することができる。
【0121】
-他の実施形態-
上枠材および下枠材は、開口部の内周面に固定するための固定部と、障子の上下を案内する案内部を有するものであれば、限定されない。
また、左右の縦枠材は、障子の戸先を室内外から覆う見付壁部(収め部)が形成されるものであれば、その断面形状は限定されない。
【0122】
さらに、上枠材、下枠材および縦枠材の材料は、ステンレスやアルミ製の金属材料、その他の難燃性の材料など、上枠材、下枠材および縦枠材の材質については、特に限定されるものではない。
【0123】
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0124】
1 :枠材
2 :障子
11 :上枠材
111b :見付壁部
121b :見付壁部
114b :見付壁部
12 :下枠材
121b :見付壁部
122b :見付壁部
124b :見付壁部
13 :縦枠材
131b :見付壁部
132b :見付壁部