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特開2022-179347検査システム及びその方法並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179347
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】検査システム及びその方法並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20221125BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20221125BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20221125BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221125BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221125BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y50/02
B29C64/153
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064487
(22)【出願日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】P 2021086249
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】橘 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】河野 亮
(72)【発明者】
【氏名】大坪 慶之
(72)【発明者】
【氏名】山科 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 章裕
(72)【発明者】
【氏名】木村 竜也
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AP12
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL67
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】
【課題】検査を効率化することのできる検査システム及びその方法並びにプログラムを提供する。
【解決手段】粉体を積層して形成する造形物の検査システム60であって、それぞれの層の表面の画像を取得する取得部61と、取得した画像に基づいて粉体の層の表面における欠陥部(凹部または凸部)及び欠陥部の位置を特定する特定部63と、複数の層において、欠陥部が同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定する判定部64とを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を積層して形成する造形物の検査システムであって、
それぞれの層の表面の画像を取得する取得部と、
前記画像に基づいて前記層の表面における欠陥部及び前記欠陥部の位置を特定する特定部と、
複数の層において、前記欠陥部が同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定する判定部と、
を備える検査システム。
【請求項2】
前記造形物は、粉体を熱源により固着して層が形成され、
前記判定部は、前記欠陥部が同じ位置に所定層数以上連続して発生した場合に、異常と判定し、
前記所定層数は、前記熱源により粉体を固着可能な積層方向の距離を所定距離として、前記所定距離以上の積層数に設定される請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
取得した前記画像に対して前記欠陥部を強調する画像処理を行う処理部を備え、
前記特定部は、前記画像処理が行われた画像に基づいて、前記欠陥部及び前記欠陥部の位置を特定する請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記画像処理は、前記表面の台形補正、前記表面のトリミング、コントラスト調整、二値化、一次微分、二次微分、輪郭抽出、及びノイズ除去の少なくともいずれか1つを含む請求項3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記処理部は、前記欠陥部を含まない前記画像を基準画像として、前記画像に対して前記基準画像の白黒反転画像を重ね合わせる処理を行う請求項3に記載の検査システム。
【請求項6】
前記処理部は、前記欠陥部を含まない前記画像を基準画像として、前記画像に対して前記基準画像を差し引く処理を行う請求項3に記載の検査システム。
【請求項7】
前記処理部は、前記欠陥部を含まない前記画像を基準画像として、前記画像に対して前記基準画像を差し引き、輝度値が0以下となった箇所の輝度値を0とし、前記画像に対して前記基準画像の白黒反転画像を足し合わせ、輝度値が上限値以上となった箇所の輝度値を前記上限値とする処理を行う請求項3に記載の検査システム。
【請求項8】
材料を積層して形成する造形物の検査方法であって、
それぞれの層の表面の画像を取得する工程と、
前記画像に基づいて前記層の表面における欠陥部及び前記欠陥部の位置を特定する工程と、
複数の層において、前記欠陥部が同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定する工程と、
を有する検査方法。
【請求項9】
材料を積層して形成する造形物の検査プログラムであって、
それぞれの層の表面の画像を取得する処理と、
前記画像に基づいて前記層の表面における欠陥部及び前記欠陥部の位置を特定する処理と、
複数の層において、前記欠陥部が同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定する処理と、
をコンピュータに実行させるための検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査システム及びその方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
AM(Aditive Manufacturing)製品は、材料を積層して製造される。AM製品の品質保証としては、X線検査などの非破壊検査が行われる場合がある。
【0003】
特にPBF(Powder Bed Fusion:粉末床溶融結合法)では、造形中において、粉末敷設状態を確認することにより、検査が行われる場合もある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6708792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
AM製品の検査としてX線などの非破壊検査を行った場合、コストアップの一因となる可能性がある。
造形中において粉末敷設状態を記録した画像を人が判定する場合には、造形物につき画像が2万枚程度となることもあり、効率的に検査を行うこと困難である。
【0006】
特許文献1等のように、粉末敷設状態として造形面の画像データを用いて判定を行う場合には、1層の造形面のみで欠陥ありとして異常と判定すると、異常判定の層数が膨大となり確認作業の負担が増加する可能性がある。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、検査を効率化することのできる検査システム及びその方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る検査システムは、材料を積層して形成する造形物の検査システムであって、それぞれの層の表面の画像を取得する取得部と、前記画像に基づいて前記層の表面における欠陥部及び前記欠陥部の位置を特定する特定部と、複数の層において、前記欠陥部が同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定する判定部と、を備える。
【0009】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る検査方法は、材料を積層して形成する造形物の検査方法であって、それぞれの層の表面の画像を取得する工程と、前記画像に基づいて前記層の表面における欠陥部及び前記欠陥部の位置を特定する工程と、複数の層において、前記欠陥部が同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定する工程と、を有する。
【0010】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る検査プログラムは、材料を積層して形成する造形物の検査プログラムであって、それぞれの層の表面の画像を取得する処理と、前記画像に基づいて前記層の表面における欠陥部及び前記欠陥部の位置を特定する処理と、複数の層において、前記欠陥部が同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、検査を効率化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係る造形装置の概略構成を示す図である。
図2】本開示の一実施形態に係る造形層の形成の一例を示す図である。
図3】本開示の一実施形態に係る造形層の形成の一例を示す図である。
図4】本開示の一実施形態に係る造形層の形成の一例を示す図である。
図5】本開示の一実施形態に係る検査システムのハードウェア構成の一例を示した図である。
図6】本開示の一実施形態に係る検査システムが備える機能を示した機能ブロック図である。
図7】本開示の一実施形態に係る画像処理の一例を示す図である。
図8】本開示の一実施形態に係る画像処理が行われた画像の一例を示す図である。
図9】本開示の一実施形態に係る欠陥部となる異常例の画像を示す図である。
図10】本開示の一実施形態に係る異常判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図11】本開示の一実施形態に係る第1処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係る検査システム及びその方法並びにプログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態に係る造形装置10の概略構成を示す図である。
定盤22及び柱26は、ベース21に固定されている。ベース21は、上面が水平となるように設置されている。定盤22の上面も水平となっている。そして、この定盤22の上面がステージとなり、材料である粉体が敷き詰められ、造形層が形成される。定盤22の上面の周縁全体にフランジ上の凸部22aが形成されている。凸部22aの外周面は造形槽23の内側面と接触しており、定盤22の上面及び造形槽23の内側面にて囲われた空間において粉体を保持することができる。材料としての粉体は、例えば、金属材料やセラミック材料などの材料である。すなわち、造形装置10はPowder Bed Fusion(PBF,粉末床溶融結合法)により造形物を形成する。
【0015】
造形槽23の造形部35に粉体が敷設され粉体層が形成される。そして、粉体層にレーザ32を照射することで、粉体を溶解及び固着して造形層(硬化層)を形成する。本実施形態では、粉体を固着する熱源をレーザ32として説明する。造形槽23は、上下方向(積層方向)に移動可能とされており、一定量上昇させて、造形層を積層形成していく。具体的には、造形槽23のフランジ部23aの上面が水平となるように、フランジ部23aの下面を支持部24が支持している。そして、支持部24は駆動部25に連結されており、造形槽23を上下方向に移動させる。駆動部25は、柱26に固定されており、例えばモータ等を備えている。
【0016】
レーザスキャナ28は、造形部35に形成された粉体層に対してレーザ32を照射する。レーザスキャナ28は、支持部27に支持されており、水平面上においてレーザ32を走査することができる。すなわち、水平面上の任意の箇所の粉体を選択的に加熱して固化することが可能である。レーザ32はレーザ発振器で生成されて光ファイバを介してレーザスキャナ28へ導入される。
【0017】
造形部35において、粉体は形成部41から供給される。例えば、配管51及び配管48は分岐47を介して供給部46に接続されており、減圧器49で配管48を介して供給部46を減圧し、貯蔵部50から配管51を介して粉体が供給部46へ供給される。そして、供給部46から配管45を介して分配器44へ供給される。分配器44では粉体を計量して、所定量の粉体を形成部41の空隙42へ供給する。そして、形成部41は、水平方向(鉛直方向と直交する方向)へ移動して、造形部35に粉体層を形成する。
【0018】
具体的には、造形物37を形成する際、駆動部25は造形槽23を上方向に移動させ、これにより形成済みの造形面と造形槽23のフランジ部23aの上面との間に段差が形成される。そして、形成部41が水平方向に移動することで、固着して形成された造形層の最上層の上に新たに粉体層が形成される。このとき、粉体層の最上層とフランジ部23aの上面とが高さが等しくなる。そして、粉体層の所定領域にレーザ32を照射して選択的に加熱して固化する。このようにして造形層が形成されていく。造形槽23を上方向に移動して同様の動作を繰り返すことで、各造形層が積層されていく。
【0019】
さらに、造形装置10には、カメラ55が設けられている。カメラ55は、例えばレーザスキャナ28や支持部27に支持されており、レーザスキャナ28の近辺に設けられている。そして、造形部35に対する撮影を行い、形成済みの造形面の画像を生成する。造形面とは、造形対象となっている層の表面である。撮影した画像は後述する検査システム60において使用される。カメラ55は、欠陥部Dに対する所望の検出分解能に基づいて仕様が設定される。撮影された画像は、例えば白黒画像である。すなわち、画像の各ピクセルにおいて、輝度値として0から上限値までの値が設定されている。上限値とは、8ビット(256階調)では255である。輝度値が0に近いほど黒く表示され、輝度値が上限値に近いほど白く表示される。欠陥部Dは、白く映る場合もあれば黒く映る場合もある。
【0020】
次に、各造形層の形成の一例について図2を用いて説明する。
例えば、図2に示すように、造形層A1、造形層A2、造形層A3が形成されると、造形層A4の造形が開始され、造形層A3の上部に粉体が敷設される。これにより造形層A4に対応して粉末層が形成される。そして、ビーム走査がされると、敷設された粉体が固着して造形層A4が形成される。そして、次層である造形層A5の造形が開始される。造形層A5においても同様に、粉体が敷設されて粉末層が形成され、ビーム走査によって、粉体が固着して造形層A5が形成される。このようにして、造形層が積層されて造形物が形成される。
【0021】
ここで、レーザ32は、積層方向において、溶け込み深さの範囲にある粉体を固着可能である。レーザ32の溶け込み深さとは、レーザ(熱源)32によって粉体の溶解及び固着が可能な積層方向の距離(深さ)である。溶け込み深さは、最上層の表面から所定距離Lの深さとなる。このように、レーザ32は、最上層の粉体を固着するだけでなく、より深い位置の粉体も固着可能である。例えば、1層分の厚さに対して、溶け込み深さ(すなわち所定距離L)は数倍大きい。
【0022】
次に、造形装置10における検査システム60について説明する。
検査システム60は、造形物の検査を行う。例えば、図3に示すように、造形層B1、造形層B2、造形層B3が形成されると、造形層B4の造形が開始され、造形層B3の上部に粉末が敷設される。この時に欠陥部Dが発生したとする。欠陥部Dとは、造形面の表面における凹部である。造形面表面の高さは正常な場合にはほぼ均一になるものの、正常でない場合には、一部の表面の高さが低くなる(すなわち凹部)ことがあるため、この凹部を欠陥部(異常部)Dとする。例えば正常な層の表面(所定高さ)から所定値以上低い箇所を凹部の欠陥部Dとしても良い。この異常の具体例としては、粉末陥没、粉末ショート等である。そして、ビーム走査がされると、欠陥部Dの部分が表面欠陥となり、造形層表面に残留する。この状態で、造形層B5の形成のために粉末が敷設されると、表面欠陥を埋めつつ造形層B5に対して粉末が敷設される。そして、ビーム走査がされると、レーザ32の溶け込み深さは造形層B5の積層高さよりも十分深いため、造形層B4の欠陥部Dの粉末も固着しつつ、造形層B5が形成される。すなわち、粉末欠陥は残留しなくなり、内部品質への影響が抑制される。
【0023】
一方で、図4に示すように、造形層C1、造形層C2、造形層C3が形成され、かつ連続して同じ位置に欠陥部Dが発生している場合に、造形層C3の上部の造形層C4の形成のために粉末が敷設され、この時に造形層C4にも欠陥部Dが発生したとする。そして、ビーム走査がされると、欠陥部Dの部分が表面欠陥となって、造形層表面に残留する。この状態で、造形層C5の形成のために粉末が敷設されると、表面欠陥を埋めつつ造形層C5に対して粉末が敷設される。そして、ビーム走査がされると、欠陥部Dの粉末も固着して、造形層C5が形成される。しかしながら、レーザ32の溶け込み深さが届かない欠陥部Dの粉体は固着せず内部欠陥として残留してしまう。
【0024】
検査システム60では、図3及び図4の事例を考慮して、効率的に造形物の検査が実行可能となっている。図3及び図4の例では凹部の欠陥を例として説明したが、凸部を欠陥部(異常部)Dとしてもよい。例えば正常な層の表面(所定高さ)から所定値以上高い箇所が凸部の欠陥部Dとなる。この異常の具体例としては、粉末落下やリコータ干渉である。欠陥部Dが凸部の場合であっても、局所的に敷設粉末量が増えるため、溶け込み深さが届かない部分が内部欠陥となる可能性がある。
【0025】
図5は、本実施形態に係る検査システム60のハードウェア構成の一例を示した図である。
図5に示すように、検査システム60は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU110と、CPU110が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)120と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)130と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)140と、ネットワーク等に接続するための通信部150とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることとしてもよい。これら各部は、バス180を介して接続されている。
【0026】
また、検査システム60は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。
【0027】
なお、CPU110が実行するプログラム等を記憶するための記憶媒体は、ROM120に限られない。例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の他の補助記憶装置であってもよい。
【0028】
後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式でハードディスクドライブ140等に記録されており、このプログラムをCPU110がRAM130等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROM120やその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0029】
図6は、検査システム60が備える機能を示した機能ブロック図である。図6に示されるように、検査システム60は、取得部61と、処理部62と、特定部63と、判定部64とを備えている。
【0030】
取得部61は、それぞれの層の表面の画像を取得する。具体的には、取得部61は、造形中の造形層の表面(造形面)の画像を、層ごとに取得する。すなわち、造形物を構成する造形層のすべて(一部としても良い)に対して検査を行うこととなる。特に、画像は、粉末敷設状態が記録される。画像の撮影タイミングは、粉末敷設後であって固着前(すなわちビーム照射前)に行うことが好ましい。これは、凹部の欠陥は固着前でも固着後でも確認できる一方で、凸部の欠陥は固着前では確認できるものの、ビーム照射によってならされて(高さが一様になって)固着後では確認が困難となる可能性があるためである。すなわち、欠陥部が凹部であっても凸部であっても、固着前(ビーム照射前)に撮影を行うことで効果的に欠陥の判定を行うことが可能となる。しかしながら、粉末敷設状態がわかれば、ビーム照射により粉体を固着する前の画像でも、固着したあとの画像でもよい。
【0031】
処理部62は、取得した画像に対して画像処理を行う。具体的には、処理部62は、取得した画像に対して欠陥部Dを強調する画像処理(特徴部抽出)を行う。画像処理は、台形補正、トリミング、コントラスト調整、二値化、一次微分、二次微分、輪郭抽出、及びノイズ除去の少なくともいずれか1つである。欠陥部Dが強調される(欠陥部Dを判定しやすくする)画像処理であればその他の画像処理を用いても良い。
【0032】
図7は、画像処理の一例を示す図である。図7では、矢印の方向に画像処理が進む。まず、入力画像は撮影された画像である。カメラ55で造形面を撮影する際に、カメラ55の撮影方向は鉛直方向に対して傾きを持つ場合がある。このような場合には、画像に現れる造形面は、図7のように台形となる。このため、処理P1として、トリミング及び台形補正を行う。トリミングは、造形面以外の部分を画像から排除する処理である。台形補正は、台形に写っている造形面を正方形(真正面から撮影したかのように)へ補正する。
【0033】
そして、次に処理P2としてコントラスト調整を行い、処理P3として二値化(一次微分あるいは二次微分としてもよい)を行う。このようにすると欠陥部Dが浮き彫りとなってきて、更に処理P4として輪郭抽出を行う。この状態ではノイズも画像に含まれているため、処理P5としてノイズ除去を行う。ノイズ除去では、設定したサイズ(例えば面積)以下の欠陥部Dも除去されることとしても良い。このようにして、欠陥部Dが強調される。
【0034】
図8は、画像処理が行われた後の欠陥部Dが強調された画像の一例を示している。また、図8では、造形面(すなわち水平面)上の座標をx軸及びy軸で表している。このように、画像から欠陥部D及び欠陥部Dの位置(座標)が読み取れる。
【0035】
図9は、欠陥部Dとなる異常例の画像を示している。図9に示すように、リコータ干渉、粉末落下、粉末ショート、及び粉末陥没といった各異常が欠陥部Dとして画像に現れる。
【0036】
特定部63は、画像(画像処理が行われた画像)に基づいて層の表面における欠陥部D及び欠陥部Dの位置を特定する。図8で示すように、画像には欠陥部Dが現れている。このため、特定部63では、画像に基づいて各欠陥部Dと、それぞれの欠陥部Dの位置である造形面上の座標を特定する。欠陥部Dには範囲があるため、この範囲に含まれる座標が特定されることが好ましい。
【0037】
本実施形態では、撮影した画像に対して画像処理を行うこととしているが、画像処理をしなくても欠陥部D及び欠陥部Dの位置が特定できれば、画像処理を行わないこととしてもよい。
【0038】
判定部64は、複数の層において、欠陥部Dが同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定する。前述のように、図3のように層単体で欠陥が発生していたとしても次層の形成過程で欠陥が治ってしまうこともあり、単層で異常判定をして確認作業を行うこととすると作業負担が大きい。一方で、前述の図4のように、欠陥が連続する場合には、レーザ32の溶け込み深さでカバーできず内部欠陥が残留してしまう可能性もある。このため、判定部64は、欠陥部Dが同じ位置に所定層数以上連続して発生した場合に、異常と判定する。すなわち、特定部63で特定された各層の欠陥部Dの位置に基づいて、所定層数以上で座標が等しい位置に欠陥部Dが発生した場合に、異常と判定する。
【0039】
具体的には、図4に示すように、レーザ32の溶け込み深さが所定距離Lである場合に、この所定距離Lで届かない位置に固着していない粉体があると、この粉体の領域が欠陥となってしまう。このため、所定層数を、該所定距離L以上の積層距離(積層方向の距離)となるように設定する。すなわち、所定層数分の造形層の積層方向の距離は、所定距離L以上となる。そして、判定部64は、所定層数以上連続して同じ位置に欠陥部Dが発生した場合に異常が発生する可能性があると判定する。異常が発生する可能性があると判定した場合には、警告を検査員等に通知することとしてもよい。
【0040】
図4の例では、レーザ32の溶け込み深さは所定距離Lであり、所定距離L以上の積層数は4層となる。このため、例えば所定層数は4層として設定される。図4のように、4層連続して同じ位置に欠陥が発生した場合には、内部欠陥が発生してしまうため、異常の判定がされる。なお、内部欠陥が発生したとしても大きさが許容範囲内であれば、所定層数を所定距離Lよりも大きい距離に対応して設定しても良い。
【0041】
このように複数の層の欠陥部Dに基づいて異常判定を行うことで、積層の過程で治る欠陥に対する異常判定を抑制して、検査を効率化することができる。例えば、異常が判定された後に、必要範囲に対して非破壊検査等をすることとしてもよい。このような場合には、非破壊検査の検査範囲を抑制することができる。
【0042】
次に、上述の検査システム60による異常判定処理の一例について図10を参照して説明する。図10は、本実施形態に係る異常判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図10に示すフローは、例えば、造形層が形成されて画像が取得される度に実施される。画像が取得される度でなくても、各造形層に対応する画像を蓄積しておいて、造形後などに実施することとしてもよい。
【0043】
まず、画像撮影を行う(S101)。
次に、トリミング及び台形補正を行う(S102)。次に、コントラスト調整を行う(S103)。次に、二値化(一次微分や二次微分を行っても良い)を行う(S104)。そして、ノイズ除去を行う(S105)。すなわち、S102からS105が画像処理となる。
【0044】
次に、欠陥部Dを検出したか否かを判定する(S106)。例えば、画像における欠陥部Dと想定される領域の面積が閾値以上である場合に、この領域を欠陥部Dと判定する。なお、画像に基づいて欠陥部Dを判定することができれば、判定方法は限定されない。
【0045】
欠陥部Dを検出しない場合(S106のNO判定)には、正常と判定する(S107)。
欠陥部Dを検出した場合(S106のYES判定)には、欠陥部Dの座標を記録する(S108)。
【0046】
次に、所定層数連続で同一座標に欠陥部Dが発生したか否かを判定する(S109)。S109では、判定済の下層の造形層に対する欠陥部Dの座標の記録(S108の処理)を参照して判定を行う。
【0047】
所定層数連続で同一座標に欠陥部Dが発生していない場合(S109のNO判定)には、異常と判定するのを保留する(S110)。
【0048】
所定層数連続で同一座標に欠陥部Dが発生した場合(S109のYES判定)には、異常と判定する(S111)。
【0049】
このような処理によって、品質保証の劣化を抑制しつつ検査負担を軽減することができる。
【0050】
上記では、処理部62が行う画像処理について説明したがその他の画像処理を行うこととしても良い。例えば、欠陥部Dを含まない画像を基準画像として用いることで、画像にもともと含まれる成分の影響を抑制することができる。基準画像は、例えば、欠陥部Dが含まれないと想定される正常な造形面を撮影した画像として予め取得される。基準画像は、単に造形部35を撮影した画像としてもよい。基準画像を用いた処理について以下に第1処理、第2処理、第3処理を説明する。これらの処理は、例えば図10のS102とS103の間に実行されるが、S102の前に実行することも可能である。
【0051】
まず、基準画像を用いた第1処理について説明する。
第1処理では、処理部62は、撮影された画像に対して基準画像の白黒反転画像を重ね合わせる処理を行う。図11には、第1処理の例を示している。図11に示すように、正常画像に対して、トリミング及び台形補正をして基準画像とする。そして、基準画像の白黒反転画像を生成する。この白黒反転画像を、例えば図10の処理S102が実行された画像に重ね合わせ(足し合わせ)をすることで、評価用画像を得る。この評価用画像を用いて図10の処理S103以降が実行される。
【0052】
このように、基準画像の白黒反転画像を用いることで、もともとある輝度のばらつきを平均化して、欠陥部Dを強調することができる。なお、欠陥部Dが黒く表れている場合(輝度が低い)において、基準画像の白黒反転画像を足し合わせると、輝度値が上限値以上となる可能性があるが、この場合には、合成後に輝度値が上限値以上の箇所(ピクセル)については輝度値を上限値として表示することとしてもよい。このようにすることで、黒く表示される欠陥部Dが強調される。なお、合成後に輝度値が上限値以上となる可能性がある箇所とは、評価用画像において欠陥部Dを除く正常な造形面に該当する箇所である。
【0053】
次に、基準画像を用いた第2処理について説明する。
第2処理では、処理部62は、撮影された画像に対して基準画像を差し引く処理を行う。具体的には、基準画像を処理S102が実行された画像から差し引くことで、評価用画像を得る。この評価用画像を用いて図10の処理S103以降が実行される。
【0054】
このように、基準画像を用いることで、もともと画像に含まれる輝度のばらつきを抑制して、欠陥部Dを強調することができる。なお、欠陥部Dが白く表れている場合(輝度が高い)において、基準画像を差し引くと、輝度値が0以下となる可能性があるが、この場合には、合成後に輝度値が0以下の箇所(ピクセル)については輝度値を0(下限値)として表示することとしてもよい。このようにすることで、白く表示される欠陥部Dが強調される。なお、合成後に輝度値が0以下となる可能性がある箇所とは、評価用画像において欠陥部Dを除く正常な造形面に該当する箇所である。
【0055】
次に、基準画像を用いた第3処理について説明する。
第3処理では、第1処理及び第2処理の両方を行う。すなわち、基準画像の白黒反転画像を、撮影した画像に重ね合わせ(足し合わせ)をすることで、第1評価用画像を得る。この第1評価用画像を用いて図10の処理S103以降が実行される。すなわち、第1評価用画像に基づいて欠陥部Dの特定が行われる。なお、欠陥部Dが黒く表れている場合(輝度が低い)において、基準画像の白黒反転画像を足し合わせると、輝度値が上限値以上となる可能性があるが、この場合には、合成後に輝度値が上限値以上の箇所(ピクセル)については輝度値を上限値として表示することが好ましい。なお、合成後に輝度値が上限値以上となる可能性がある箇所とは、評価用画像において欠陥部Dを除く正常な造形面に該当する箇所である。
一方で、基準画像を処理S102が実行された画像から差し引くことで、第2評価用画像を得る。この第2評価用画像を用いて図10の処理S103以降が実行される。このように、第2評価用画像に基づいても欠陥部Dの特定がされる。なお、欠陥部Dが白く表れている場合(輝度が高い)において、基準画像を差し引くと、輝度値が0以下となる可能性があるが、この場合には、合成後に輝度値が0以下の箇所(ピクセル)については輝度値を0として表示することが好ましい。なお、合成後に輝度値が0以下となる可能性がある箇所とは、評価用画像において欠陥部Dを除く正常な造形面に該当する箇所である。
【0056】
そして、第1評価用画像に基づいて特定された欠陥部D及び欠陥部Dの位置と、第2評価用画像に基づいて特定された欠陥部D及び欠陥部Dの位置と、を合成して、元の撮影した画像に対する欠陥部D及び欠陥部Dの位置(座標)の記録が行われる。このように第3処理では第1処理及び第2処理の両方に対応する処理が行われるため、欠陥部Dをより強調する処理を行うことができる。
【0057】
造形面を撮影した画像は、欠陥がないとしても輝度分布を有している。そして、輝度分布や平均の輝度は造形装置10(特にカメラ55)によって異なる場合がある。しかし、基準画像を用いて処理を行うことで、装置依存を抑制して、欠陥判定を行うことが可能となる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る検査システム及びその方法並びにプログラムによれば、層の表面の画像に基づいて欠陥部D及び欠陥部Dの位置を特定し、欠陥部Dが同じ位置に複数連続して発生した場合に異常判定を行うことで、内部欠陥の検査負担を軽減することができる。例えば、1つの層ごとに異常判定を行う場合には、該異常ごとに確認作業を要するが、ある層に欠陥部Dが発生しても次層の形成において同じ位置に欠陥部Dが形成されていなければ該欠陥部Dが改善される可能性がある。すなわち、複数層連続して同じ位置に欠陥部Dが発生した場合に内部品質に影響があると考えられる。このため、欠陥部Dが同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定することで確認作業負担を軽減して検査を効率化することができる。
【0059】
所定層数が、熱源により粉体を固着可能な積層方向の距離を所定距離Lとして、所定距離L以上の積層数に設定されることとして、判定部64は、欠陥部Dが同じ位置に所定層数以上連続して発生した場合に、異常と判定することで、内部品質の劣化を抑制しつつ効率的に検査を行うことができる。
【0060】
本開示は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。なお、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0061】
以上説明した各実施形態に記載の検査システム及びその方法並びにプログラムは例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る検査システム(60)は、材料(粉体)を積層して形成する造形物の検査システムであって、それぞれの層の表面の画像を取得する取得部(61)と、前記画像に基づいて前記層の表面における欠陥部(D)及び前記欠陥部の位置を特定する特定部(63)と、複数の層において、前記欠陥部が同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定する判定部(64)と、を備える。
【0062】
本開示に係る検査システムによれば、層の表面の画像に基づいて欠陥部及び欠陥部の位置を特定し、欠陥部が同じ位置に複数連続して発生した場合に異常判定を行うことで、内部欠陥の検査負担を軽減することができる。例えば、1つの層ごとに異常判定を行う場合には、該異常ごとに確認作業を要するが、ある層に欠陥部が発生しても次層の形成において同じ位置に欠陥部が形成されていなければ該欠陥部が改善される可能性がある。すなわち、複数層連続して同じ位置に欠陥部が発生した場合に内部品質に影響があると考えられる。このため、欠陥部が同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定することで確認作業負担を軽減して検査を効率化することができる。
【0063】
本開示の第2態様に係る検査システムは、前記第1態様において、前記造形物は、粉体を熱源(32)により固着して層が形成され、前記判定部は、前記欠陥部が同じ位置に所定層数以上連続して発生した場合に、異常と判定し、前記所定層数は、前記熱源により粉体を固着可能な積層方向の距離を所定距離(L)として、前記所定距離以上の積層数に設定されることとしてもよい。
【0064】
本開示に係る検査システムによれば、所定層数が、熱源により粉体を固着可能な積層方向の距離を所定距離として、所定距離以上の積層数に設定されることとして、判定部は、欠陥部が同じ位置に所定層数以上連続して発生した場合に、異常と判定することで、内部品質の劣化を抑制しつつ効率的に検査を行うことができる。
【0065】
本開示の第3態様に係る検査システムは、前記第1態様又は前記第2態様において、取得した前記画像に対して前記欠陥部を強調する画像処理を行う処理部(62)を備え、前記特定部は、前記画像処理が行われた画像に基づいて、前記欠陥部及び前記欠陥部の位置を特定することとしてもよい。
【0066】
本開示に係る検査システムによれば、欠陥部が強調される画像処理が行われることで、欠陥部判定を効率化することができる。
【0067】
本開示の第4態様に係る検査システムは、前記第3態様において、前記画像処理は、前記表面の台形補正、前記表面のトリミング、コントラスト調整、二値化、一次微分、二次微分、輪郭抽出、及びノイズ除去の少なくともいずれか1つを含むこととしてもよい。
【0068】
本開示に係る検査システムによれば、表面の台形補正、表面のトリミング、コントラスト調整、二値化、一次微分、二次微分、輪郭抽出、及びノイズ除去の少なくともいずれか1つに欠陥部を強調することができる。
【0069】
本開示の第5態様に係る検査システムは、前記第3態様又は前記第4態様において、前記処理部は、前記欠陥部を含まない前記画像を基準画像として、前記画像に対して前記基準画像の白黒反転画像を重ね合わせる処理を行うこととしてもよい。
【0070】
本開示に係る検査システムによれば、欠陥部を含まない画像を基準画像として、該画像に対して基準画像の白黒反転画像を重ね合わせる処理を行うことで、画像にもともと含まれる白黒濃淡の影響を抑制して、欠陥部を強調することができる。
【0071】
本開示の第6態様に係る検査システムは、前記第3態様から前記第5態様のいずれかにおいて、前記処理部は、前記欠陥部を含まない前記画像を基準画像として、前記画像に対して前記基準画像を差し引く処理を行うこととしてもよい。
【0072】
本開示に係る検査システムによれば、欠陥部を含まない画像を基準画像として、画像に対して基準画像を差し引く処理を行うことで、画像にもともと含まれる白黒濃淡の影響を抑制して、欠陥部を強調することができる。
【0073】
本開示の第7態様に係る検査システムは、前記第3態様又は前記第4態様において、前記処理部は、前記欠陥部を含まない前記画像を基準画像として、前記画像に対して前記基準画像を差し引き、輝度値が0以下となった箇所の輝度値を0とし、前記画像に対して前記基準画像の白黒反転画像を足し合わせ、輝度値が上限値以上となった箇所の輝度値を前記上限値とする処理を行うこととしてもよい。
【0074】
本開示に係る検査システムによれば、欠陥部を含まない画像を基準画像として、画像に対して基準画像を差し引き、輝度値が0以下となった箇所の輝度値を0とすることで、画像において白に近い色(輝度値が上限値に近い)で現れた欠陥部を強調することができる。そして、画像に対して基準画像の白黒反転画像を足し合わせ、輝度値が上限値以上となった箇所の輝度値を上限値とすることで、画像において黒に近い色(輝度値が0に近い)で現れた欠陥部を強調することができる。
【0075】
本開示の第8態様に係る検査方法は、材料を積層して形成する造形物の検査方法であって、それぞれの層の表面の画像を取得する工程と、前記画像に基づいて前記層の表面における欠陥部及び前記欠陥部の位置を特定する工程と、複数の層において、前記欠陥部が同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定する工程と、を有する。
【0076】
本開示の第9態様に係る検査プログラムは、材料を積層して形成する造形物の検査プログラムであって、それぞれの層の表面の画像を取得する処理と、前記画像に基づいて前記層の表面における欠陥部及び前記欠陥部の位置を特定する処理と、複数の層において、前記欠陥部が同じ位置に複数連続して発生した場合に、異常と判定する処理と、をコンピュータに実行させる。
【符号の説明】
【0077】
10 :造形装置
21 :ベース
22 :定盤
22a :凸部
23 :造形槽
23a :フランジ部
24 :支持部
25 :駆動部
26 :柱
27 :支持部
28 :レーザスキャナ
32 :レーザ(熱源)
35 :造形部
37 :造形物
41 :形成部
42 :空隙
44 :分配器
45 :配管
46 :供給部
47 :分岐
48 :配管
49 :減圧器
50 :貯蔵部
51 :配管
55 :カメラ
60 :検査システム
61 :取得部
62 :処理部
63 :特定部
64 :判定部
110 :CPU
120 :ROM
130 :RAM
140 :ハードディスクドライブ
150 :通信部
180 :バス
D :欠陥部
L :所定距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11