(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179365
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ポリオキシメチレンマイクロ粒子並びにその製造及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/14 20060101AFI20221125BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20221125BHJP
B29C 64/165 20170101ALI20221125BHJP
【FI】
C08J3/14 CEZ
B29C64/153
B29C64/165
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070760
(22)【出願日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】17/325,296
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】森光 謙太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・エム.・ファルジア
【テーマコード(参考)】
4F070
4F213
【Fターム(参考)】
4F070AA52
4F070AB21
4F070AE14
4F070DA22
4F070DC07
4F070DC09
4F213AA23
4F213AB06
4F213AB07
4F213AB11
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4F213AB18
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL23
4F213WL24
4F213WL25
4F213WL26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高度に球状の熱可塑性ポリオキシメチレン粒子を製造する方法を提供する。
【解決手段】方法は、ポリオキシメチレン(POM)ホモポリマー又はコポリマーを、1つ以上の溶媒に高温(例えば、1つ以上の溶媒の沸点+10℃(T
BP+10C)まで)で溶解して、ポリマー混合物を形成することであって、POMホモポリマー又はコポリマーと、1つ以上の溶媒とに関する総ハンセン溶解度パラメータの差(Δδ
t)が、6以下である、形成することと、ポリマー混合物を冷却して、POM粒子組成物を形成することと、POM粒子組成物を単離することと、を含む。当該方法は、周囲圧力で実施され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
ポリオキシメチレン(POM)ホモポリマー又はコポリマーを、高温で1つ以上の溶媒中に溶解して、ポリマー混合物を形成することであって、前記POMホモポリマー又はコポリマーと、前記1つ以上の溶媒とに関する総ハンセン溶解度パラメータの差(Δδt)が、6以下である、形成することと、
前記ポリマー混合物を冷却して、POM粒子組成物を形成することと、
前記POM粒子組成物を単離することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の溶媒が、C1~C8酸アミド、C4~C8環状エーテル、C4~C8炭酸エステル、C4~C8環状アミド、C4~C8環状エステル、プロパノール、フェノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ニトロベンゼン、アニリン、ブロモベンゼン、クロロフェノール、及びマロリニトリルからなる群から選択される1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の溶媒が、2~6の範囲のΔδtを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高温が、前記1つ以上の溶媒の沸点+10℃(TBP+10C)までである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶解が、周囲圧力下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー混合物の前記POMホモポリマー又はコポリマー重量パーセント(重量%)が、約10重量%~約20重量%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー混合物を冷却するステップ中に、前記POMホモポリマー又はコポリマーと、沈殿溶媒との間に7以上のΔδtを有する前記沈殿溶媒を添加することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記POM粒子組成物を触媒でドープすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記POM粒子組成物が、ASTM D3663-20に従って決定された約5m2/g~約30m2/gの範囲のBET表面積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記POM粒子組成物が、ASTM D1921-18に従って決定された約40μm~約70μmの範囲のD50を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記POM粒子組成物が、約180℃~約400℃の範囲の分解温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記POM粒子組成物が、約14℃~約30℃の範囲の焼結ウィンドウを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記POM粒子組成物が、前記POMホモポリマー又はコポリマーの前記焼結ウィンドウの5℃以内の焼結ウィンドウを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記POM粒子が、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記POM粒子組成物が、約1%~約5%の範囲の空隙空間率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
単離することが、前記ポリマー混合物から前記POM粒子組成物を濾過することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記POM粒子組成物が、ASTM D6393-14に従って決定された約20°~約50°の安息角を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記POM粒子組成物が、約0.6以上の円形度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
方法であって、
請求項1に記載のPOM粒子組成物を、特定の形状で表面上に堆積させることと、
前記POM粒子組成物の少なくとも一部を加熱して、その圧密化を促進し、圧密化体を形成することであって、その結果、前記圧密化体が、圧密化後に、約1.0%以上の空隙率を有する、形成することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記圧密化体が、約1.0%~約5.0%の範囲の空隙率を有する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱可塑性ポリオキシメチレン粒子及びそのような粒子を作製する方法に関する。そのような粒子、特に高度に球状の熱可塑性ポリオキシメチレン粒子は、とりわけ、積層造形のための出発材料として有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
積層造形としても知られる三次元(Three-dimensional、3-D)印刷は、急速に成長している技術分野である。従来、三次元印刷は、ラピッドプロトタイピング作業に使用されてきたが、この技術は、ラピッドプロトタイピングとは完全に異なる構造的及び機械的公差を有し得る、商業的及び工業的目的での製造にますます用いられている。
【0003】
三次元印刷は、その後の圧密化の正確な堆積位置に、1)溶融されたか又は固化可能な材料の小さい液滴若しくは流れ、又は2)粉末粒子のいずれかを、任意の数の複雑な形状を有することができるより大きいオブジェクト(「圧密化体」)へと、堆積させることによって行う。堆積及び圧密化プロセスは、典型的には、コンピュータの制御下で行われて、より大きなオブジェクトを層ごとに積み上げる。特定の例では、選択的レーザー焼結(selective laser sintering、SLS)は、ポリマー粒子の圧密化を促進するためにレーザーを使用する三次元印刷システムを含む。堆積及び圧密化技術の場合、不規則な形状及び不十分な流動特性を有する粒子は、一貫性のない層堆積、不十分な充填、並びに欠陥、空隙、及び他の構造的弱点の形成につながる可能性があるため、ポリマー粒子の性質が重要になる。一貫した層を形成する際のこれらの課題により、厳密な構造的及び機械的公差を有するオブジェクトを印刷する際の難しさも増加する。
【0004】
良好な印刷性能及び中間層融合の最大化のために、固体状態で良好な流動特性を示すポリマー粒子が選択されることが多い。流動特性は、例えば、試料からの、特定のサイズの標準篩を通過することができる粉末粒子の割合を測定する、かつ/又は安息角を測定することによって評価され得る。一般に、粒子の円形度が高く、粒径分布が狭いほど、粉末流動性能が高くなる。
【0005】
市販のポリマー粒子は、多くの場合、極低温磨砕又は沈殿プロセスによって得られ、それは、積層造形中の流動性能を妨げる可能性がある不規則な微粒子形状及び広い粒径分布をもたらし得る。粒径分布範囲が広いことも、この点に関して同様に問題となり得る。不十分な粉末流動性能は、充填剤及び流動助剤との乾式ブレンドによってある程度対処され得るが、これらの技術は、微粒子アグロメレーションに起因して、エラストマーなどのより軟質のポリマー材料で、限定された有効性を有し得る。更に、充填剤及び流動助剤は、不規則形状の粉末粒子の不十分な充填効率をほとんど改善しない場合がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、概して、POM粒子組成物及びそれを製造する方法に関する。
【0007】
一態様では、方法は、ポリオキシメチレン(polyoxymethylene、POM)ホモポリマー又はコポリマーを、高温で1つ以上の溶媒中に溶解して、ポリマー混合物を形成することであって、POMホモポリマー又はコポリマーと、1つ以上の溶媒とに関する総ハンセン溶解度パラメータの差(Δδt)が、6以下である、形成することと、ポリマー混合物を冷却して、POM粒子組成物を形成することと、POM粒子組成物を単離することと、を含む、方法。
【0008】
別の態様では、組成物は、POM粒子組成物を製造する際に使用されるポリオキシメチレン出発材料の焼結ウィンドウの5℃以内である焼結ウィンドウを有するポリオキシメチレン(POM)粒子組成物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれ、排他的な実施形態として見られるべきではない。開示される主題には、その形態及び機能において、当業者が想到し、しかも本開示の利益を有するような、相当な修正、変更、組み合わせ、及び等価物を考えることができる。
【0010】
【
図1】本開示による、エラストマー微粒子を生成するための非限定的な例示的方法のフローチャートである。
【0011】
【
図2】極低温磨砕によって調製された比較のPOM粉末の例示的な走査型電子顕微鏡写真である。
【0012】
【
図3】本開示によるPOMホモポリマー粒子の光学顕微鏡写真である。
【0013】
【
図4】本開示によるPOMホモポリマー粒子の粒径分布である。
【0014】
【
図5】本開示によるPOMコポリマー粒子の光学顕微鏡写真である。
【0015】
【
図6】本開示によるPOMコポリマー粒子の粒径分布である。
【0016】
【
図7A】本開示によって調製されたPOMホモポリマー粒子のSEM顕微鏡写真である。
【
図7B】本開示によって調製されたPOMホモポリマー粒子のSEM顕微鏡写真である。
【0017】
【
図8A】本開示によって調製されたPOMコポリマー粒子のSEM顕微鏡写真である。
【
図8B】本開示によって調製されたPOMコポリマー粒子のSEM顕微鏡写真である。
【0018】
【
図9】本開示による溶媒としてベンジルアルコールを使用して沈殿させたPOMホモポリマー粒子のSEM顕微鏡写真である。
【0019】
【
図10】本開示による溶媒としてベンジルアルコールを使用して沈殿させたPOMコポリマー粒子のSEM顕微鏡写真である。
【0020】
【
図11】本開示による溶媒としてガンマ-ブチロラクトンを使用して沈殿させたPOMホモポリマー粒子のSEM顕微鏡写真である。
【0021】
【
図12】本開示による溶媒としてガンマ-ブチロラクトンを使用して沈殿させたPOMコポリマー粒子のSEM顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、概して、高い表面積及び狭いサイズ分布を有するポリオキシメチレン(POM)粒子組成物を調製するための方法に関する。方法は、温度に基づく結晶化及び沈殿技術を使用するPOM粒子組成物の形成を含む。生成されたPOM粒子組成物は、階層的に構造化された特徴を有し、かつ積層造形を含む様々な用途に好適な高い円形度を有する、高度にファセットされた粒子を含む。
【0023】
定義及び試験方法
【0024】
本明細書の説明及び特許請求の範囲で使用される用語は、以下の段落によって修正される場合を除き、明白かつ通常の意味を有する。
【0025】
本明細書で使用するとき、「熱可塑性ポリマー」という用語は、加熱及び冷却時に軟化/溶融し、可逆的に硬化/固化するプラスチックポリマー材料を指す。熱可塑性ポリマーは、熱可塑性エラストマーを包含する。
【0026】
本明細書で使用するとき、「エラストマー」という用語は、結晶性「硬質」部分及び非晶性「軟質」部分を含むコポリマーを指す。ポリウレタンの場合、結晶性部分は、ウレタン官能性及び任意選択の鎖延長基を含むポリウレタンの一部分を含んでもよく、軟質部分は、例えば、ポリオールを含んでもよい。
【0027】
本明細書で使用される場合、「周囲圧力」は、約0.1MPa~約0.2MPaの範囲の圧力を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「例えば、など(such as)」及び「含む(including)」の区切り文字は、例示目的で提供される種に先行するが、指定されない限り、それらの種のみに開示を限定することを意図するものではない。
【0029】
以下本明細書では、D10、D50、D90、及び直径スパンは、粒径を記載するために主に使用される。本明細書で使用される場合、「D10」という用語は、それ未満の直径では、粒子集団の10%(別途指定のない限り、体積に基づく分布)が見出されることを意味している。本明細書で使用される場合、「D50」、「平均粒子直径」、及び「平均粒径」という用語は、それ未満の直径では、粒子集団の50%(別途指定のない限り、体積に基づく中央値平均)が見出されることを意味している。本明細書で使用される場合、「D90」という用語は、それ未満の直径では、粒子集団の90%(別途指定のない限り、体積に基づく分布)が見出されることを意味している。本明細書で使用する場合、直径を指す際の「直径スパン」及び「スパン」及び「スパンサイズ」という用語は、粒径分布の広がりの指標を提供し、(D90-D10)/D50として計算される。
【0030】
粒径及び粒径分布は、Malvern MASTERSIZER(商標)3000を使用する光散乱技術によって決定される。光散乱技術については、対照試料は、Malvern Analytical Ltd.から入手した商標名Quality Audit Standards QAS4002(商標)の15μm~150μmの範囲内の直径を有するガラスビーズであった。別途示されない限り、試料は乾燥粉末として分析した。分析した粒子は、空気中に分散させ、MASTERSIZER(商標)3000により、AERO S(商標)乾燥粉体分散モジュールを使用して分析した。粒径は、サイズの関数としての体積密度のプロットから、計器ソフトウェアを使用して導出した。
【0031】
粒径測定及び直径スパンは、光学デジタル顕微鏡法によっても決定することができる。光学画像は、粒径分析のためのバージョン2.3.5.1ソフトウェア(システムバージョン1.93)を使用するKeyence VHX-2000デジタル顕微鏡を使用して得る。
【0032】
本明細書で使用するとき、篩過について言及する場合、孔/スクリーンサイズは、U.S.A.Standard Sieve(ASTM E11-17)により説明されているものである。
【0033】
本明細書で使用する場合、粒子に関する「円形度」という用語は、粒子が完全な球体にどの程度近いかを指して用いられる。円形度を決定するために、フロー粒子イメージングを使用する光学顕微鏡画像を粒子から取得する。顕微鏡画像の平面内の粒子の周囲の長さ(P)及び面積(A)を(例えば、Malvern Instrumentsから入手可能なSYSMEX FPIA 3000粒子形状及び粒径分析器を使用して)計算する。粒子の真円度はCEA/Pであり、式中、CEAは、実際の粒子の面積(A)に相当する面積を有する円の円周である。本明細書では、円形度は、SYSMEX FPIA 3000粒子形状及び粒径分析器による3回の運転に基づいており、1回の運転当たり6,000~10,000個の粒子が分析される。報告される円形度は、粒子数に基づく中央値平均円形度である。分析では、背景ピクセルと粒子ピクセルとの間のグレースケールレベルを区別するための閾値(例えば、不均一な照明条件を補正するため)を、バックグラウンドモーダル値の90%に設定した。
【0034】
本明細書で使用するとき、「焼結期」という用語は、融解温度(Tm)オンセットと結晶化温度(Tc)オンセットとの間の差、又は(Tm-Tc)オンセットを指す。Tm、Tm(オンセット)、Tc、及びTc(オンセット)は、ASTM E794-06(2018)による示差走査熱量測定で10℃/分の昇温速度及び10℃/分の冷却速度を使用して決定される。
【0035】
別途指定のない限り、ポリマーの融点は、ASTM E794-06(2018)により、昇温速度及び冷却速度10℃/分で決定する。
【0036】
別途指定のない限り、ポリマーの軟化温度又は軟化点は、ASTM D6090-17により決定される。軟化温度は、1℃/分の加熱速度で0.50グラムの試料を使用して、Mettler-Toledoから入手可能なカップアンドボール装置を使用することで測定することができる。
【0037】
安息角は、粉体の流動性の尺度である。安息角の測定値は、Carr指数によって特性評価されるASTM D6393-14「Standard Test Method for Bulk Solids」を使用するHosokawa Micron Powder Characteristics Tester PT-Rを使用して決定された。
【0038】
ハウスナー比(Hr)は、粉体の流動性の尺度であり、Hr=ρタップ/ρバルクにより計算し、式中、ρバルクは、ASTM D6393-14による嵩密度であり、ρタップはASTM D6393-14によるタップ密度である。
【0039】
本明細書で使用するとき、分散媒の粘度は、別途指定のない限り、ASTM D445-19により測定して、25℃での動粘度である。商業的に獲得された分散媒(例えば、PDMS油)については、本明細書に引用される運動粘度データは、前述のASTMに従って測定されたか、又は別の標準測定技術に従って測定されたかにかかわらず、製造業者によって提供されたものである。
【0040】
本明細書で使用される場合、ハンセン溶解度パラメータは、Hansen Solubility Parameters:A User’s Handbook.Charles M.Hansen.CRC Press,Boca Raton,FL.2007.2nd Ed.によって決定される。更に、混合物についてのハンセン溶解度パラメータは、混合物中の各構成成分についてのハンセン溶解度パラメータの体積加重平均によって計算することができる。総ハンセン溶解度パラメータは、3つのハンセン溶解度の構成成分:δD(分散相互作用から)、δP(極性引力から)、及びδ(水素結合から)の幾何平均である。
【0041】
ポリオキシメチレン粒子及び製造方法
【0042】
積層造形(Additive manufacturing、AM)は、印刷可能な材料の数及び品質が拡大するにつれて、短期又は1回限りの機能部品に対するプロトタイプオブジェクトよりも重要性が増している。しかしながら、AMに好適な比較的限定された数の熱可塑性ポリマータイプが存在し、適切なサイズで利用可能である。合成されるとき、ポリマー原料は、AMと非相溶性である大きな粒子又は凝集体として分布する傾向がある。粒径を低減することができるが、方法は、多くの場合、粒子の流れ及び堆積に影響を及ぼす不規則な粒子形状及び広い粒径分布を生成する、又は効果的にスケールするのが困難であり得る高温高圧条件の使用を伴う、粉砕技術を含む。
【0043】
本明細書に開示される方法は、周囲圧力及び比較的低温でのポリマー溶解及び沈殿による高い円形度及び狭い粒径分布を有するPOM粒子組成物の形成を含む。POMは、ホルムアルデヒド系半結晶性エンジニアリング熱可塑性樹脂であり、ポリアセタール、ポリホルムアルデヒド、ポリメチレングリコール、及びポリオキシメチレングリコールという同等の名称によっても知られている。POM微粒子組成物はまた、例えば、5~11のメンバーを有するサイクルを含有する、環状エーテル及び/又は環状アセタールコモノマーによって導入された1つ以上のエチレンオキシド及び/又はジオキソランコモノマーを有するPOMコポリマーを含み得る。本明細書に開示されるPOMコポリマー組成物は、約2重量%~約50重量%の範囲の全モノマーの重量パーセントとして充填された1つ以上のコモノマーを含み得る。
【0044】
AMで使用されるPOM及び一般的なポリマーの様々な機械的特性の比較を表1に示す。
【表1】
【0045】
粉末床融合(powder bed fusion、PBF)又は選択的レーザー焼結(SLS)などの層状堆積AM技術においてPOMなどの熱可塑性樹脂を利用する試みがなされているが、多くの堆積及び圧密化技術のために、粒子を、約50μm~約70μmの作業可能な範囲内に入れるために粉末化又は粉砕によって、ほとんどの未変性(合成時のまま)のポリマー粒子組成物は、加工されなければならない。例えば、標準的なサイズ低減方法は、多くの場合、極低温粉砕、噴霧乾燥、及び湿式磨砕、続いて、加熱されたダウナー反応器などでの熱丸めを含む。しかしながら、粉砕及び粉末化を使用すると、多くの場合、形状が不規則であって、不十分な流動特性を示す広い粒径分布を有する粒子が製造される。
【0046】
本明細書に開示されるPOM粒子組成物は、特に、粒子組成物を製造するために使用される標準的な技術と比較すると、増強された粒子均一性及び粒子流量を有する。製造されたPOM粒子組成物は、良好な粒子流及び堆積を示すことができ、それにより加熱及び圧密化時の空隙の形成を低減することができ、弾性率及び降伏応力などの印刷オブジェクトの機械的特性の増加をもたらす。
【0047】
加えて、本明細書に開示されるPOM粒子組成物は、増強された表面積及び形態を示し、これは、触媒組成物における濾過及び配合を含む他の用途のための材料の有用性を高め得る。粒子の形態は、増加した空隙空間及び有効表面積を示し、これにより、精製及び触媒基材などの他の用途への粒子の適用性が増加する。複雑な粒子形状はまた、AM中の局所加熱下での圧密化中の焼結性能を増加させることもでき、増加した多孔度、細孔接続性、テクスチャ、及び層化を有する圧密物品の形成をもたらし得る。本明細書に記載のPOMポリマー組成物の形態は、しわの寄った階層構造(粒子を形成するために一緒に接着された血小板又はシート)、及び多孔性のうちの1つ以上によって特徴付けられ得る。
【0048】
増加した表面積を有するものとして概して統合されているが、それらから形成された粒子及び圧密化物品は、不規則な表面及び形状、例えば、血小板様層、プリーツ構造、フラクタル様凝集体、花様粒子、剥離粒子、及び微細構造、ファセット、及びそれらの体積全体にわたる特徴を有する粒子を示し得る。
【0049】
本明細書に開示される方法は、加熱を伴う定義されたハンセン溶解度パラメータを有する1つ以上の溶媒における周囲圧力でのPOMホモポリマー又はコポリマーの溶解を含む、高い表面積及び狭い粒度分布を有するPOMポリマー組成物の形成を含む。
図1は、本開示によるポリマーマイクロスフェアを製造するための非限定的な例示的方法100のフローチャートである。示されるように、POMポリマー102及び溶媒104を合わせて(106)、混合物108を製造する。混合物108は、約5重量%~約50重量%、約8重量%~約25重量%、又は約10重量%~約20重量%の範囲で、POMポリマー102(重量%)の重量パーセントと一緒に配合することができる。「102」は、POMポリマーについて使用されるが、本明細書に開示される方法はまた、POMコポリマー及びポリマーブレンドにも適用することができる。
【0050】
本明細書に開示される方法で使用するための好適な溶媒104は、POMポリマー及びコポリマーを溶解することができる溶媒を含み、溶媒中でのポリマー溶解の最適化のために溶媒/ポリマー相互作用を説明するハンセン溶解度パラメータ(Hansen Solubility Parameter、HSP)を使用して選択され得る。HSPは、エントロピーと、溶媒及び材料分子間の相互作用の性質と、に依存し、特に、相互作用が、極性、分散性、又は水素結合に基づいているかどうかは関係がない。これらの相互作用の強さは、MPa1/2単位のハンセン溶解度パラメータの極性(δp)、分散(δd)、及び水素結合(δh)成分として、多くのポリマー及び溶媒について定量化し、表にしてある。総ハンセン溶解度パラメータ(δt)はまた、式1に従って取得することもできる。
【0051】
(δt)2=(δp)2+(δd)2+(δh)2 式1
【0052】
POMホモポリマー又はコポリマーのδ
tとそれぞれの溶媒のδ
tとの差の絶対値として計算される総ハンセン溶解度パラメータの差(Δδ
t)は、ポリマーの溶解度を説明するための有用な測定基準となり得る。一般に、ポリマーと溶媒との間のΔδtが低いほど、ポリマーの溶解度が高いことを示している。特定の理論によって限定されないが、Δδtが約2より高いと、表面粗さ、フェーシング、及び小板又はフレーク形成の増強に寄与すると考えられる。例えば、可溶化されるそれぞれのポリマーよりも高いδ
Hを有する溶媒は、ポリマーと溶媒の優先的な水素結合に起因して、不規則な凝集体を形成する傾向がある。結果として、粒子形成中のポリマー充填は、不完全になる傾向があり、粒子及び表面の形態に変化をもたらす。表2には、参照としてPOM溶解度を使用して、いくつかの選択された溶媒及びそれらの関連するHSPを列挙している。
【表2】
【0053】
本明細書に開示される方法で有用な好適な溶媒としては、約6以下、約5.5以下、又は約5以下の可溶化されるPOMホモポリマー又はコポリマーに関してΔδtを有する溶媒(又は溶媒混合物)が挙げられる。本明細書に開示される方法で有用な好適な溶媒としては、約2~約6、又は約2.5~約6、又は約2.5~約5.5の範囲で可溶化されるPOMホモポリマー又はコポリマーに関してΔδtを有する溶媒(又は溶媒混合物)が挙げられる。
【0054】
好適な溶媒としては、C1~C8酸アミド、例えば、ホルムアミド及びジメチルホルムアミド;C4~C8環状エーテル;C4~C8環状アミド、例えば、N-メチルピロリドン;C4~C8環状エステル、例えば、ガンマブチロラクトン;C4~C8炭酸エステル、例えば、炭酸エチレン;アルコール、例えば、プロパノール、フェノール、シクロヘキサノール、及びベンジルアルコール;ニトロベンゼン;アニリンを含むアミン含有芳香族などの芳香族化合物、ブロモベンゼン、クロロフェノールを含むハロゲン化芳香族化合物;など;及びマロリニトリルが挙げられる。
【0055】
混合物108の製造中、POMポリマー102及び溶媒(又は溶媒混合物)104は、独立して、106で組み合わされるプロセスの前、間、及び/又は後に、約100℃~約220℃、約120℃~約190℃、又は約150℃~約190℃の範囲の温度まで、加熱され得る。POMポリマー102、溶媒104、及び/又は混合物108が加熱される温度は、使用される特定の溶媒又は溶媒混合物104の沸点によって変化し得る。一般に、加熱は、溶媒又は溶媒混合物の沸点+10℃であり得る(溶媒又は溶媒混合物のTBP+10C)。例えば、DMFの沸点は、周囲圧力で約153℃であるため、唯一の溶媒としてのDMFとの混合物は、周囲圧力で約163℃に加熱され得る。別の例では、混合物は、溶媒の混合物を含んでいてもよく、その場合、混合物は、溶媒の混合物の沸点+10℃まで加熱され得る。当業者は、沸点が圧力及び組成によって変化することを認め、所定の温度に関する溶媒又は溶媒混合物の沸点を決定する方法を知っている。好ましくは、溶媒又は溶媒混合物の有意な蒸発は、固体濃度が所望のレベルに維持されるように回避される。
【0056】
次いで、混合物108を110で冷却して、沈殿したPOMポリマー粒子を含有する混合物112を形成することができる。沈殿溶媒116を混合物112に添加して、沈殿を開始させ、かつ/又は形成されたPOM粒子を洗浄することができる。沈殿溶媒116は、溶媒104と混和性であってもよく、沈殿したPOM粒子と非反応性(例えば、非膨潤性及び非溶解性)であってもよい。沈殿溶媒116は、約7つ以上のPOMホモポリマー又はコポリマーに対してΔδtを有する溶媒(又は溶媒混合物)を含むことができる。沈殿溶媒は、アルコール、例えば、メタノール、エタノールなど、水、ポリオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどを含み得る。沈殿溶媒116は、溶媒104対沈殿溶媒の比が、約2:1~約1:2、約1.5:1~約1:1、又は約1.5:1~約1:1.5の範囲で添加することができる。
【0057】
沈殿後、混合物112を118で分離して、POM粒子組成物120を得ることができる。118での分離プロセスは、濾過、デカンテーション、沈降などを含むいくつかの分離技術を含むことができる。分離プロセス118中及び/又はその後に、追加の沈殿溶媒116を添加して、POM粒子組成物120を洗浄することができる。POM粒子組成物120は、122で更に処理されて、例えば、周囲条件下又は真空下での乾燥によって、熱を加えることによって、又は加えないで、微量の溶媒104及び/又は沈殿溶媒116を除去することができる。
【0058】
本明細書に開示されるPOMポリマー組成物120は、表面に空隙空間を導入する粗いファセット表面形態を示すことができる。空隙空間は、一般にポリマーを含有せず、むしろ、空隙空間は、例えば、残留溶媒104、空気、又は空隙を含有し得る。POM粒子組成物120は、約0.5%~約10%、約0.5%~約5%、又は約1%~約5%の範囲の空隙空間のパーセンテージを含むことができる。
【0059】
POM粒子組成物120は、約5重量%以下(又は約0.001重量%~約5重量%、又は約0.001重量%~約0.1重量%、又は約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.1重量%~約2重量%、又は約1重量%~約5重量%で、POM粒子組成物120の残留溶媒104及び/又は沈殿溶媒116を含み得る。
【0060】
POMポリマー組成物120は、任意選択で、122で更に精製されて、精製されたポリマー粒子124を生成し得る。例えば、粒径分布を狭くする(又は直径スパンを低減する)ために、ポリマー粒子120は、約10μm~約250μm(又は約10μm~約100μm、又は約50μm~約200μm、又は約150μm~約250μm)の孔径を有する篩を通過させることができる。
【0061】
精製技術の更に別の例では、POM粒子組成物124(又は120)を、126で添加剤とブレンドして、補充されたPOM粒子組成物128を達成し得る。添加剤の例としては、抗酸化剤、酸捕捉剤、安定剤添加剤、流動助剤、充填剤、又は意図された用途のためにPOM粒子組成物の特性を調整することを意図した他の物質が挙げられる。追加の構成成分の混合は、乾式ブレンド技術によって行われ得る。流動助剤(例えば、カーボンブラック、グラファイト、シリカ等)及び同様の物質の好適な例は、当業者によく知られている。
【0062】
本明細書に開示されるPOM粒子組成物120は、意図された用途に基づいて更に処理され得る。一例では、POM粒子組成物120を、篩又は類似の構造を通過させて、不十分な流動特性を有し得るより大きな粒子及び凝集粒子を除去し得る。POM粒子組成物120はまた、いくつかの物理的混合アプローチを使用して、触媒及び他の粒子のための担体としても機能し得る。例えば、触媒は、均質化によってメタノールなどの好適な溶媒中に分散され、適合性溶媒で既に湿潤したPOM粒子組成物120を含有する溶液と組み合わされ得る。次いで、溶媒混合物を蒸発させて、触媒ドープPOM粒子を得ることができ、次いで、マトリックス又は他の支持体に3D印刷され得る。同様に、POM粒子組成物124及び128に同じ技術を適用することができる。
【0063】
POM粒子組成物120は、約5μm~約50μm(又は約10μm~約50μm、約10μm~約40μm、約15μm~約35μm、又は約15μm~約25μm)のD10、約20μm~約90μm(又は約20μm~約80μm、又は約25μm~約75μm、又は約30μm~約75μm、又は約40μm~約70μm)のD50、及び約70μm~約180μm(又は約75μm~約170μm、又は約80μm~約165μm、又は約90μm~約155μm)のD90を有することができ、D10<D50<D90である。POM粒子組成物120はまた、約0.4~約3(又は約0.6~約2、又は約0.4~約1.5、又は約1~約3)の直径スパンも有し得る。限定するものではないが、1.0以上の直径スパン値は広いとみなされ、直径スパン値0.75以下は狭いとみなされる。同様に、同じ範囲を、POM粒子組成物124及び128に適用し得る。粒径測定は、Malvern MASTERSIZER 3000を含む任意の好適な試験デバイスを使用して行うことができる。
【0064】
POM粒子組成物120は、約0.6以上(又は約0.6~約1.0、又は約0.65~約0.95、又は約0.7~約0.95、又は約0.75~約0.99、又は約0.77~約0.99、又は約0.8~0.99)の円形度を有し得る。同様に、同じ範囲がPOM粒子組成物124及び128に適用され得る。
【0065】
POM粒子組成物120は、ASTM D6393-14に従って決定された約20°~約50°(又は約20°~約45°、又は約25°~約45°、又は約30°~約45°、又は約35°~約45°)の安息角を有し得る。同様に、同じ範囲がPOM粒子組成物124及び128に適用され得る。
【0066】
POM粒子組成物120は、約1.0~約1.5(又は約1.0~約1.2、又は約1.1~約1.3、又は約1.2~約1.35、又は約1.3~約1.5)のハウスナー比を有し得る。同様に、同じ範囲がPOM粒子組成物124及び128に適用され得る。
【0067】
POM粒子組成物120は、約0.3g/cm3~約1.3g/cm3(又は約0.3g/cm3~約1.3g/cm3、又は約0.4g/cm3~約1.25g/cm3、又は約0.5g/cm3~約1.2g/cm3、又は約0.5g/cm3~約1.1g/cm3)の嵩密度を有し得る。同様に、同じ範囲がPOM粒子組成物124及び128に適用され得る。
【0068】
本明細書に開示されるPOM粒子組成物120は、約14℃~約30℃、約15℃~約25℃、又は約15℃~約20℃の範囲の焼結ウィンドウを有し得る。POM粒子組成物120の焼結ウィンドウは、POMポリマー102の焼結ウィンドウの10℃以内、好ましくは5℃以内であり得る。同様に、同じ範囲がPOM粒子組成物124及び128に適用され得る。
【0069】
本明細書に開示されるPOM粒子組成物120は、約0.3g/cm3~約1.3g/cm3(又は約0.3g/cm3~約1.3g/cm3、又は約0.4g/cm3~約1.25g/cm3、又は約0.5g/cm3~約1.2g/cm3、又は約0.5g/cm3~約1.1g/cm3)の嵩密度を有し得る。同様に、同じ範囲がPOM粒子組成物124及び128に適用され得る。
【0070】
本明細書に開示されるPOM粒子組成物120は、ASTM D3663-20に従って決定された、約10m2/g~約350m2/g、約10m2/g~約300m2/g、約15m2/g~約250m2/g、又は約20m2/g~約200m2/gのBET表面積を有し得る。同様に、同じ範囲がPOM粒子組成物124及び128に適用され得る。
【0071】
本明細書に開示されるPOM粒子組成物120は、約180℃~約400℃、約180℃~約380℃、又は約180℃~約350℃の範囲の分解温度を有し得る。同様に、同じ範囲がPOM粒子組成物124及び128に適用され得る。
【0072】
POM粒子組成物120は、約150℃~約200℃、約160℃~約200℃、又は約170℃~約190℃の融点又は軟化温度を有し得る。同様に、同じ範囲がPOM粒子組成物124及び128に適用され得る。
【0073】
アプリケーション
【0074】
特定の用途では、本明細書に開示される組成物は、三次元印刷プロセス、特に選択的レーザー焼結を用いて粒子圧密化を促進するプロセスで利用され得る。本開示のPOM粒子組成物は、市販されているものなどの不規則な形状又はより広い微粒子分布を有するポリマー粒子にわたって有利な特性を示し得る。POM粒子組成物はまた、物品、軽量複合材を調製するためにAM技術を使用して印刷され、触媒でドープされ、かつ支持体に印刷され得るか、又は油吸収のために膜若しくはマトリックスに組み込まれ得る。AM技術は、POM粒子組成物の加熱及び圧密化を利用することができ、粉末床融合(PBF)、選択的レーザー焼結(SLS)、選択的熱焼結(Selective Heat Sintering、SHS)、選択的レーザー溶融(Selective Laser Melting、SLM)、電子ビーム溶融(Electron Beam Melting、EBM)、バインダージェッティング、及びマルチジェットフュージョン(Multi Jet Fusion、MJF)を含み得る。非限定的な例では、本開示のPOM粒子組成物は、より低いレーザー出力で圧密化され、三次元印刷によって製造されたオブジェクト内での空隙形成の減少された程度をもたらし得る。
【0075】
本開示のAMプロセスは、本開示のPOM粒子組成物120(同様に、124又は128)を特定の形状及び/又は層で表面に堆積させることと、堆積させたら、ポリマー粒子の少なくとも一部を加熱して、その圧密化を促進し、圧密化体(オブジェクト)を形成することであって、その結果、圧密化体が、約1%以上(例えば、1%~約5%、又は約1.5%~約5%,又は約2.5%~約5%、又は約3%~約5%)の空隙率を有する、形成することと、を含み得る。例えば、POM粒子組成物粒子120(同様に、124又は128)の加熱及び圧密化は、レーザーを用いるAM装置において起こり得、その結果、加熱及び圧密化は、選択的レーザー焼結によって起こる。
【0076】
本明細書に開示されるPOM粒子組成物は、ナイロンなどの代替の熱可塑性樹脂と比較すると、強化された弾性率及び降伏応力を有する物品を調製するために使用することができる。AMを使用して形成可能なオブジェクトの例としては、容器(例えば、食品用、飲料用、化粧品用、パーソナルケア組成物用、医療用等)、靴底、玩具、家具部品、装飾家庭用品、プラスチックギア、ねじ、ナット、ボルト、ケーブルタイ、医療用物品、人工装具、整形外科用インプラント、教育における学習を支援するアーチファクトの生成、手術を支援するための3D解剖学的モデル、ロボット工学、生体医学デバイス(装具学)、家庭電化製品、歯科、自動車及び航空機/航空宇宙部品、電子機器、スポーツ用品等が挙げられる。本開示のPOM粒子組成物のための他の用途としては、塗料及び粉末コーティングの充填剤、インクジェット材料及び電子写真トナーなどとしての使用が挙げられ得るが、これらに限定されない。
例示的実施形態
【0077】
本明細書に開示される実施形態は以下を含む。
【0078】
A.POM粒子組成物を調製するための方法。方法は、POMホモポリマー又はコポリマーを、1つ以上の溶媒に高温(例えば、1つ以上の溶媒の沸点+10℃(TBP+10C)まで)で溶解してポリマー混合物を形成することであって、POMホモポリマー又はコポリマーと、1つ以上の溶媒とに関する総ハンセン溶解度パラメータの差(Δδt)が、6以下である、形成することと、ポリマー混合物を冷却して、POM粒子組成物を形成することと、POM粒子組成物を単離することと、を含む。
【0079】
B.POM粒子組成物を使用するAMの方法。方法は、本開示のPOM粒子組成物を、特定の形状で表面上に堆積させることと、POM粒子組成物の少なくとも一部を加熱して、その圧密化を促進し、圧密化体(オブジェクト)を形成することであって、その結果、圧密化体が、圧密化後に、約1.0%以上の空隙率を有する、形成することと、を含む。
【0080】
C.POM粒子組成物。POM粒子組成物を製造する際に使用されるポリオキシメチレン出発材料の焼結ウィンドウの5℃以内である焼結ウィンドウを有するPOM粒子組成物を含む組成物。
【0081】
実施形態A、B、及びCの各々は、次の追加の要素のうちの1つ以上を任意の組み合わせで有し得る:要素1:1つ以上の溶媒が、C1~C8酸アミド、C4~C8環状エーテル、C4~C8炭酸エステル、C4~C8環状アミド、C4~C8環状エステル、プロパノール、フェノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ニトロベンゼン、アニリン、ブロモベンゼン、クロロフェノール、マロリニトリルからなる群から選択される1つ以上を含み、要素2:1つ以上の溶媒が、2~6の範囲内のΔδtを有し、要素3:高温が、約120℃~約190℃の範囲内であり、要素4:溶解が、周囲圧力下で実施され、要素5:ポリマー混合物のPOMホモポリマー又はコポリマー重量パーセント(重量%)が、約10重量%~約20重量%の範囲であり、要素6:更に、ポリマー混合物を冷却するステップ中に、POMホモポリマー又はコポリマーと、沈殿溶媒との間に7以上のΔδtを有する沈殿溶媒を添加することを含み、要素7:POM粒子組成物を触媒にドープすることを更に含み、要素8:POM粒子組成物が、ASTM D3663-20に従って決定された約5m2/g~約30m2/gの範囲のBET表面積を有し、要素9:POM粒子組成物が、ASTM D1921-18に従って決定された約40μm~約70μmの範囲のD50を有し、要素10:POM粒子組成物が、約180℃~約400℃の範囲の分解温度を有し、要素11:POM粒子組成物が、約14℃~約30℃の範囲の焼結ウィンドウを有し、要素12:POM粒子組成物が、POMホモポリマー又はコポリマーの焼結ウィンドウの5℃以内の焼結ウィンドウを有し、要素13:POM粒子組成物が、約1.0~約1.5の範囲のハウスナー比を有し、要素14:POM粒子組成物が、約1%~約5%の範囲の空隙空間率を有し、要素15:単離することが、ポリマー混合物からPOM粒子組成物を濾過することを含み、要素16:POM粒子組成物が、ASTM D6393-14に従って決定された約20°~約50°の安息角を有し、要素17:POM粒子組成物が、約1.0%~約5.0%の範囲の空隙空間率を有し、要素18:POM粒子組成物が、約14℃~約30℃の範囲の焼結ウィンドウを有し、要素19:POM粒子組成物が、ASTM D3663-20に従って決定された約10m2/g~約350m2/gの範囲のBET表面積を有し、要素20:POM粒子組成物が、ASTM D6393-14に従って決定された約20°~約50°の安息角を有し、要素21:高温が、1つ以上の溶媒の沸点+10℃(TBP+10C)であり、要素22:ポリマー混合物のPOMホモポリマー又はコポリマー重量パーセント(重量%)が、約10重量%~約20重量%の範囲であり、要素23:1つ以上の溶媒が、約2~約6の範囲内のΔδtを有し、要素24:粒子が、約0.6以上の円形度を有し、要素25:粒子が、約5μm~約50μmのD10と、約40μm~約70μmのD50と、約90μm~約155μmのD90と、を有し、D10<D50<D90である。
【0082】
非限定的な例として、A、B、及びCに適用可能な例示的な組み合わせとしては、1と、2~25のうちのいずれか1つ以上、2と、1、3~25のうちのいずれか1つ以上、3と、1~2及び4~25のうちのいずれか1つ以上、4と、1~3及び5~25のうちのいずれか1つ以上、5と、1~4及び6~25のうちのいずれか1つ以上、6と、1~5及び7~25のうちのいずれか1つ以上、7と、1~6及び8~25のうちのいずれか1つ以上、8と、1~7及び9~25のうちのいずれか1つ以上、9と、1~8及び10~25のうちのいずれか1つ以上、10と、1~9及び11~25のうちのいずれか1つ以上、11と、1~10及び12~25のうちのいずれか1つ以上、12と、1~11及び13~25のうちのいずれか1つ以上、13と、1~12及び14~25のうちのいずれか1つ以上、14と、1~13及び15~25のうちのいずれか1つ以上、15と、1~14及び16~25のうちのいずれか1つ以上、16と、1~15及び17~25のうちのいずれか1つ以上、17と、1~16及び18~25のうちのいずれか1つ以上、18と、1~17及び19~25のうちのいずれか1つ以上、19と、1~18及び20~25のうちのいずれか1つ以上、20と、1~19及び21~25のうちのいずれか1つ以上、21と、1~20及び22~25のうちのいずれか1つ以上、22と、1~21及び23~25のうちのいずれか1つ以上、23と、1~22及び24~25のうちのいずれか1つ以上、24と、1~23及び25のうちのいずれか1つ以上、並びに25と、1~24のうちのいずれか1つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
条項
【0083】
条項1:方法であって、ポリオキシメチレン(POM)ホモポリマー又はコポリマーを、1つ以上の溶媒に高温(例えば、1つ以上の溶媒の沸点+10℃(TBP+10C)まで)で溶解してポリマー混合物を形成することであって、POMホモポリマー又はコポリマーと、1つ以上の溶媒とに関する総ハンセン溶解度パラメータの差(Δδt)が、6以下である、形成することと、ポリマー混合物を冷却して、POM粒子組成物を形成することと、POM粒子組成物を単離することと、を含む、方法。
【0084】
条項2:1つ以上の溶媒が、C1~C8酸アミド、C4~C8環状エーテル、C4~C8炭酸エステル、C4~C8環状アミド、C4~C8環状エステル、プロパノール、フェノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ニトロベンゼン、アニリン、ブロモベンゼン、クロロフェノール、マロリニトリルからなる群から選択される1つ以上を含む、条項1に記載の方法。
【0085】
条項3:1つ以上の溶媒が、2~6の範囲のΔδtを有する、条項1に記載の方法。
【0086】
条項4:高温が、約120℃~約190℃の範囲にある、条項1に記載の方法。
【0087】
条項5:溶解が、周囲圧力下で実施される、条項1に記載の方法。
【0088】
条項6:ポリマー混合物のPOMホモポリマー又はコポリマー重量パーセント(重量%)が、約10重量%~約20重量%の範囲にある、条項1に記載の方法。
【0089】
条項7:ポリマー混合物を冷却するステップ中に、POMホモポリマー又はコポリマーと、沈殿溶媒との間に7以上のΔδtを有する沈殿溶媒を添加することを更に含む、条項1に記載の方法。
【0090】
条項8:POM粒子組成物を触媒でドープすることを更に含む、条項1に記載の方法。
【0091】
条項9:POM粒子組成物が、ASTM D3663-20に従って決定された約5m2/g~約30m2/gの範囲のBET表面積を有する、条項1に記載の方法。
【0092】
条項10:POM粒子組成物が、ASTM D1921-18に従って決定された約40μm~約70μmの範囲のD50を有する、条項1に記載の方法。
【0093】
条項11:POM粒子組成物が、約180℃~約400℃の範囲の分解温度を有する、条項1に記載の方法。
【0094】
条項12:POM粒子組成物が、約14℃~約30℃の範囲の焼結ウィンドウを有する、条項1に記載の方法。
【0095】
条項13:POM粒子組成物が、POMホモポリマー又はコポリマーの焼結ウィンドウの5℃以内の焼結ウィンドウを有する、条項1に記載の方法。
【0096】
条項14:POM粒子が、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、条項1に記載の方法。
【0097】
条項15:POM粒子組成物が、約1%~約5%の範囲の空隙空間率を有する、条項1に記載の方法。
【0098】
条項16:単離することが、ポリマー混合物からPOM粒子組成物を濾過することを含む、条項1に記載の方法。
【0099】
条項17:POM粒子組成物が、ASTM D6393-14に従って決定された約20°~約50°の安息角を有する、条項1に記載の方法。
【0100】
条項18:条項1によって作製された、POM粒子組成物。
【0101】
条項19:方法であって、条項18に記載のPOM粒子組成物を、特定の形状で表面上に堆積させることと、POM粒子組成物の少なくとも一部を加熱して、その圧密化を促進し、圧密化体(オブジェクト)を形成することであって、その結果、圧密化体が、圧密化後に、約1.0%以上の空隙率を有する、形成することと、を含む、方法。
【0102】
条項20:圧密化体が、約1.0%~約5.0%の範囲の空隙率を有する、条項19に記載の方法。
【0103】
条項21:組成物であって、POM粒子組成物を製造する際に使用されるポリオキシメチレン出発材料の焼結ウィンドウの5℃以内である焼結ウィンドウを有するポリオキシメチレン(POM)粒子組成物を含む組成物。
【0104】
条項22:POM粒子組成物が、約1.0%~約5.0%の範囲の空隙空間率を有する、条項21に記載の組成物。
【0105】
条項23:POM粒子組成物が、約14℃~約30℃の範囲の焼結ウィンドウを有する、条項21に記載の組成物。
【0106】
条項24:POM粒子組成物が、ASTM D3663-20に従って決定された約10m2/g~約350m2/gの範囲のBET表面積を有する、条項21に記載の組成物。
【0107】
条項25:POM粒子組成物が、ASTM D6393-14に従って決定された約20°~約50°の安息角を有する、条項21に記載の組成物。
【0108】
条項26:ポリオキシメチレン(POM)ホモポリマー又はコポリマーを、周囲圧力下で溶媒に高温(例えば、1つ以上の溶媒の沸点+10℃(TBP+10C)まで)で溶解して、ポリマー混合物を形成することであって、POMホモポリマー又はコポリマーと、1つ以上の溶媒とに関する総ハンセン溶解度パラメータの差(Δδt)が、6以下である、形成することと、ポリマー混合物を冷却して、POM粒子組成物を形成することと、POM粒子組成物を単離することと、を含む、方法によって、POM粒子組成物が調製される、条項21に記載の組成物。
【0109】
条項27:高温が、約120℃~約190℃の範囲にある、条項26に記載の組成物。
【0110】
条項28:ポリマー混合物のPOMホモポリマー又はコポリマー重量パーセント(重量%)が、約10重量%~約20重量%の範囲にある、条項26に記載の組成物。
【0111】
条項29:1つ以上の溶媒が、約2~約6の範囲のΔδtを有する、条項26に記載の組成物。
【0112】
条項30:粒子が、約0.6以上の円形度を有する、条項21に記載の組成物。
【0113】
条項31:粒子が、約5μm~約50μmのD10と、約40μm~約70μmのD50と、約90μm~約155μmのD90と、を有し、D10<D50<D90である、条項21に記載の組成物。
【0114】
本発明の実施形態のより良好な理解を容易にするために、好ましい又は代表的な実施形態の以下の実施例を付与する。以下の実施例は、決して、本発明の範囲を制限するか、又は定義するように読解されるべきではない。
【実施例0115】
比較例:POM粒子の極低温粉砕
【0116】
比較例として、ペレットを80μm未満の粒径に極低温磨砕し、次いで0.2重量%のAEROSIL(登録商標)シリカ添加剤と混合して、粒子の流れを改善することによって、POM粉末を生成させた。粒径を低減するために、POMペレットの試料を、-50℃に冷却し、逆回転ピンディスクミルで粉砕した。粉砕後、その粉末を、分級し、80μmの平均粒径に篩分けした。97.5%は<250μm、88%は<125μmであり、53.5%は<63μmである。得られた粉末のSEM顕微鏡写真を
図1に示す。不十分な円形度を有する不規則な粒子形状が観察された。
【0117】
実施例1:POMホモポリマー及びコポリマーの溶解
【0118】
この例では、POM粒子組成物は、本開示による溶解及び沈殿法によって調製される。バイアル内で、1グラムの粒状POM(Goodfellow OX316300 Delrin Tenac(Delta Scientific))を、9mLのジメチルホルムアミド(DMF)と組み合わせた。磁気撹拌棒をバイアルに添加し、バイアルを300rpmで撹拌しながら油浴中で135℃に浸漬した。15分で、温度は140℃に達し、溶液は溶解せずに濁っており、55分までにいくらかの泡立ちを伴う濁りが生じた。POMを1.75時間までに完全に溶解し、ポリマー混合物を室温に冷却してゲルを形成した。
【0119】
環状エーテル及び/又は環状アセタールコモノマーによって導入された2重量%~5重量%のエチレンオキシド単位を有するPOMコポリマーマイクロ粒子を溶解するために使用されるのと同じ手順。一般に、コポリマーは、小さな気泡の発生を伴うホモポリマーよりも速く溶解した。撹拌1.5時間で、ポリマー混合物を300rpmで撹拌しながら室温まで冷却してゲルを得た。
【0120】
実施例2:POMポリマー及びコポリマーのための沈殿手順
【0121】
実施例1からのPOMホモポリマー及びコポリマーゲルを、個々の100mLビーカーに移した。各ビーカーに、20mLのメタノールを添加し、ゲルを、大きな凝集体を完全に粉砕するスパチュラで撹拌した。得られた粒子を別々のWHATMAN(登録商標)グレード1濾紙で捕集し、濾紙で支持しながら20mLのメタノールですすいだ。試料を捕集し、約65℃に設定したオーブン内で一晩乾燥させた。POMホモポリマー(試料1)が、0.958g(収率96%)の白色粉末で得られ、POMコポリマー(試料2)が、0.970g(収率97%)の白色粉末で得られた。
【0122】
溶解及び沈殿中に、未使用樹脂に添加された様々な安定剤添加剤は、表3に示したように、ホモ及びコポリマーの両方の分解温度の変化によって示されるように、POM粒子の沈殿中にポリマーマトリックスから溶媒中に必然的に抽出される。酸化防止剤、ホルムアルデヒド捕捉剤、又はUV安定剤などの添加剤は、沈殿前に、追加の「湿式」相処理ステップ中に、粒子に戻し添加される、又は代わりに乾燥添加剤(複数可)として粒子とブレンドされ得る。
【表3】
【0123】
試料1及び2を、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)によって分析した。試料1及び2は両方とも、それらの焼結ウィンドウ(融点と再結晶点との差として計算される)が約29%~35%減少するが、両方とも有用な範囲内に留まっている。表4に示すように、DSCデータは、溶融ピーク及び再結晶化ピークの狭窄も示し、粒子への加工中に加工添加剤が減少した可能性を示している。
【表4】
【0124】
表4に示すように、未加工ペレット、並びに試料1及び2に対して誘導結合プラズマ分析も行った。元素分析は、ホウ素(B)及びアンチモン(Sb)が検出されなかったことを示し、一方、カルシウム(Ca)及びケイ素(Si)はある程度増加したことを示している。
【表5】
【0125】
図2は、試料1の光学顕微鏡写真であり、次いで、
図3に示した粒径分布を構築するために使用され、これは、微粒子及び凝集物の両方に起因する広い分布を有する約53マイクロメートルのD50を示している。
【0126】
図4は、試料2の光学顕微鏡写真であり、次いで、
図5に示した粒径分布を構築するために使用され、これは、微粒子及び凝集物の両方に起因する広い分布を有する約50マイクロメートルのD50を示している。
【0127】
各試料の粒径もまた、Malvern Mastersizer 3000によって分析した。湿潤試料及び乾燥試料に関する結果を表5に示す。
【表6】
【0128】
試料1及び2もまた、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)によって分析した。
図7A及び7Bは、様々な倍率での試料1からの粒子に関するSEM顕微鏡写真である。
図8A及び8Bは、様々な倍率での試料2からの粒子に関するSEM顕微鏡写真である。写真で示した両方の試料は、溶解及び沈殿に特徴的な強化されファセットされた表面積を示している。
【0129】
実施例3:追加の溶媒によって製造されたPOM粒子。
【0130】
実施例1及び2に記載の溶解及び沈殿方法論を、追加の溶媒ベンジルアルコール及びガンマ-ブチロラクトンを使用して、POMポリマー及びコポリマーについても繰り返した。
図9は、溶媒としてベンジルアルコールを使用して沈殿させたPOMホモポリマー粒子のSEM顕微鏡写真である。
図10は、溶媒としてベンジルアルコールを使用して沈殿させたPOMコポリマー粒子のSEM顕微鏡写真である。
図11は、溶媒としてガンマ-ブチロラクトンを使用して沈殿させたPOMホモポリマー粒子のSEM顕微鏡写真である。
図12は、溶媒としてガンマ-ブチロラクトンを使用して沈殿させたPOMコポリマー粒子のSEM顕微鏡写真である。
【0131】
本明細書に記載されるすべての文書は、そのような実施が許可されるすべての法域の目的のために、参照により本明細書に組み込まれ、このテキストと矛盾しない範囲で、任意の優先文書及び/又は試験手順を含む。前述の一般的な説明及び具体的な実施形態から明らかなように、本開示の形態が例示及び説明されてきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができる。したがって、本開示はそれにより限定されることは意図されていない。例えば、本明細書に記載される組成物は、本明細書に明示的に列挙又は開示されていない任意の構成成分、又は組成物を含まなくてもよい。任意の方法は、本明細書に列挙又は開示されていないいかなる工程を欠いてもよい。同様に、用語「備える、含む(comprising)」は、用語「含む(including)」と同義であると考えられる。方法、組成物、要素又は要素の群が移行句「備える、含む(comprising)」で先行する場合はいつでも、本発明者らがまた、組成物、要素、又は複数の要素の列挙に先行する移行句「から本質的になる」、「からなる」、「からなる群から選択される」、又は「である」で同じ組成物又は要素の群を企図すること、及びその逆もまた同様であることは理解される。
【0132】
別途示されない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される成分、分子量などの特性、反応条件などの量を表すすべての数は、すべての場合において、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではなく、それぞれの数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。
【0133】
下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内にある任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。とりわけ、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、又は等しく「約a~b(approximately a to b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a-b)」という形態の)値のすべての範囲は、広範な値の範囲内に包含されるすべての数及び範囲を記載するものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって別途明示的かつ明確に定義されない限り、平易な通常の意味を有する。加えて、請求項で使用するとき、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書において、それが導入する要素のうちの1つ又は1つ超を意味するように定義される。
【0134】
1つ以上の例示的な実施形態が本明細書に提示される。明確にするために、物理的実装のすべての特徴が本出願に記載又は表示されているわけではない。本開示の物理的な実施形態の開発では、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約によるコンプライアンスなど、実装によって及び随時に変化する開発者の目標を達成するために、数多くの実装固有の決定がなされなければならないことは理解される。開発者の努力に多くの時間が費やされる可能性があるが、それでも、そのような努力は、本開示の利益を有する当業者にとって日常的な仕事であろう。
【0135】
したがって、本開示は、言及された目標及び利点、並びにそれに固有の目標及び利点を達成するように十分に適合されている。上述の具体的な実施形態は例示的なものに過ぎず、本明細書に教示の利益を有する当業者にとって明らかである、異なるが同等の様式で本開示が修正及び実施され得る。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細に限定することを意図するものではない。したがって、上記に開示された具体的な例示的実施形態が、変更され、組み合わされ、又は修正され得、すべてのそのような変形が、本開示の範囲及び趣旨内で考慮されることは明らかである。好適に本明細書に例示的に開示される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素、及び/又は本明細書に開示される任意の任意選択の要素の不在下で実施されてもよい。