(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179371
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 8/00 20090101AFI20221125BHJP
H04W 12/77 20210101ALI20221125BHJP
H04W 12/50 20210101ALI20221125BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20221125BHJP
G06F 21/44 20130101ALI20221125BHJP
H04W 84/10 20090101ALN20221125BHJP
【FI】
H04W8/00 110
H04W12/77
H04W12/50
H04W76/10
G06F21/44
H04W84/10 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074627
(22)【出願日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2021085045
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】凌 通
(72)【発明者】
【氏名】鴻巣 光司
(72)【発明者】
【氏名】三和 剛
(72)【発明者】
【氏名】神坂 学
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067DD11
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE25
5K067EE35
(57)【要約】
【課題】ユーザビリティの低下を招くことなく、外部装置と無線通信可能に接続された携帯端末の消費電力低減を図り得る構成を提供する。
【解決手段】携帯端末10は、情報コードCからクレードル60の識別情報等を取得する取得部として読取処理を行う制御部41及び撮像部43と、取得された識別情報をアドバタイジングすることでクレードル60からの接続要求を受け付けて、クレードル60と無線通信するための処理を行う通信部47とを備える。そして、クレードル60は、当該クレードル60の識別情報をアドバタイジングする携帯端末10に対して接続要求を行い、携帯端末10と無線通信するための処理を行う通信部75を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末及び外部装置の2つの機器を無線通信可能に接続する無線通信システムであって、
前記携帯端末は、
前記外部装置の識別情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記識別情報をアドバタイジングすることで前記外部装置からの接続要求を受け付けて、前記外部装置と無線通信するための処理を行う端末側無線通信部と、
を備え、
前記外部装置は、
当該外部装置の前記識別情報をアドバタイジングする前記携帯端末に対して接続要求を行い、前記携帯端末と無線通信するための処理を行う装置側無線通信部を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記識別情報とともに所定の認証情報を取得し、
前記外部装置は、前記所定の認証情報が予め記憶される記憶部を備え、前記装置側無線通信部により前記接続要求を行った機器に対して前記記憶部に記憶される前記所定の認証情報を送信し、
前記携帯端末は、前記端末側無線通信部により前記接続要求を受け付けた機器から前記所定の認証情報として受信した情報と前記取得部により取得された前記所定の認証情報とに基づいて接続可否を判定する判定部を備えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記所定の認証情報は、前記識別情報が光学的に読み取り可能に記録される情報コードに暗号化されて記録され、
前記取得部は、前記所定の認証情報及び前記識別情報を前記情報コードから光学的に読み取り可能に構成されることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記端末側無線通信部は、利用可能な複数の周波数帯域のうち1又は2以上の既定の周波数帯域にて前記識別情報をアドバタイジングすることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記取得部は、前記既定の周波数帯域に関する情報を取得可能に構成されることを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
携帯端末及び外部装置の2つの機器を無線通信可能に接続する無線通信システムであって、
前記携帯端末は、
前記外部装置の識別情報及び所定の認証情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記識別情報をアドバタイジングする前記外部装置に接続要求を行うことでなされた無線通信時に、前記所定の認証情報に関して前記外部装置と共有するための処理を行う端末側無線通信部と、
を備え、
前記外部装置は、
当該外部装置の前記識別情報をアドバタイジングすることで前記携帯端末からの接続要求を受け付けることでなされた無線通信時に、前記所定の認証情報に関して前記携帯端末と共有するための処理を行う装置側無線通信部を備え、
前記携帯端末は、前記所定の認証情報の共有化後になされる再起動後に、前記端末側無線通信部によって、前記所定の認証情報をアドバタイジングすることで前記外部装置からの接続要求を受け付けて、前記外部装置と無線通信するための処理を行い、
前記外部装置は、前記所定の認証情報の共有化後になされる再起動後に、前記装置側無線通信部によって、前記所定の認証情報をアドバタイジングする前記携帯端末に対して接続要求を行い、前記携帯端末と無線通信するための処理を行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
前記端末側無線通信部は、利用可能な複数の周波数帯域のうち1又は2以上の既定の周波数帯域にて前記所定の認証情報をアドバタイジングすることを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記取得部は、前記既定の周波数帯域に関する情報を取得可能に構成されることを特徴とする請求項7に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記端末側無線通信部は、
前記取得部によって取得された前記識別情報をアドバタイジングする前記外部装置を探索する探索処理を行って当該探索処理が成功した後に、前記識別情報をアドバタイジングすることで前記外部装置からの接続要求を受け付けて、前記外部装置と無線通信するための処理を行い、
前記装置側無線通信部は、
一定距離内に近づいた前記携帯端末に対して無線通信可能となるように無線通信時の出力電力を下げた状態で、当該外部装置の前記識別情報をアドバタイジングする前記携帯端末を探索する探索処理と前記識別情報をアドバタイジングする処理とを交互に行った際に、前記探索処理が成功すると、前記識別情報をアドバタイジングする前記携帯端末に対して接続要求を行って前記携帯端末と無線通信するための処理を行うことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記携帯端末は、
前記外部装置から指定された機能に設定するための設定値に関する設定情報が更新可能に記憶される端末側設定情報記憶部を備え、
無線通信開始時に前記端末側設定情報記憶部に記憶される前記設定情報を前記装置側無線通信部により前記外部装置に対して送信して、当該送信に応じて前記外部装置から更新用の情報が受信されると、当該更新用の情報に応じて前記端末側設定情報記憶部の前記設定情報が更新され、
前記外部装置は、
当該外部装置が指定する機能に前記携帯端末を設定するための設定値に関する設定情報が記憶される装置側設定情報記憶部と、
無線通信開始時に前記携帯端末から受信した前記設定情報と前記装置側設定情報記憶部に記憶される前記設定情報とが一致するか否かについて判定する判定部と、
を備え、
前記判定部により一致しないと判定されると、前記装置側設定情報記憶部に記憶される前記設定情報を前記更新用の情報として前記装置側無線通信部により前記携帯端末に対して送信することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記携帯端末は、
前記外部装置から指定された機能に設定するための設定値に関する設定情報が更新可能に記憶される端末側設定情報記憶部を備え、
前記端末側設定情報記憶部に記憶される前記設定情報を前記装置側無線通信部により前記識別情報とともにアドバタイジングし、無線通信開始時に前記外部装置から更新用の情報が受信されると、当該更新用の情報に応じて前記端末側設定情報記憶部の前記設定情報が更新され、
前記外部装置は、
当該外部装置が指定する機能に前記携帯端末を設定するための設定値に関する設定情報が記憶される装置側設定情報記憶部と、
前記識別情報をアドバタイジングしている前記携帯端末の探索成功時に当該携帯端末から受信した前記設定情報と前記装置側設定情報記憶部に記憶される前記設定情報とが一致するか否かについて判定する判定部と、
を備え、
前記判定部により一致しないと判定されると、前記装置側設定情報記憶部に記憶される前記設定情報を前記更新用の情報として前記装置側無線通信部により前記携帯端末に対して送信することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記設定情報は、前記設定値から所定のハッシュ関数を用いてデータ量が小さくなるように算出したハッシュ値であることを特徴とする請求項10又は11に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末及び外部装置の2つの機器を無線通信可能に接続する無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末とサーバ等に有線接続された充電装置などの外部装置とを無線通信可能に接続することで携帯端末にて取得した情報等を外部装置を介してサーバ等に送信する運用など、2つの機器を無線通信可能に接続して必要なデータを送受信する運用がなされている。
【0003】
このように2つの機器を無線通信可能に接続するための技術として、例えば、下記特許文献1に開示される電子機器及び充電装置が知られている。この電子機器では、充電装置に載置される前にその充電装置に付されたQRコード(登録商標)をデコードすることで、このデコード結果に基づいて、載置された充電装置とのデータ通信を制限又は許可するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯端末を充電装置等の所望の外部装置に無線接続するためにその充電装置等に付されたQRコードなどを上記携帯端末にて読み取るような従来の運用では、一般的に、携帯端末と充電装置等とがBluetooth(登録商標)規格に基づく無線通信方式にて接続される。より具体的には、充電装置等がその識別情報を周囲にアドバタイジングしている状態で、QRコードなどを利用して上記識別情報を取得した携帯端末によって、その識別情報をアドバタイジングしている機器が探索される。そして、探索された充電装置等に対して携帯端末から接続要求がなされて接続処理が完了することで、携帯端末と充電装置等との間で無線通信可能なBluetoothリンクが確立される。
【0006】
上述のように識別情報を周囲にアドバタイジングしている充電装置等に対して携帯端末から接続要求する場合、携帯端末がマスター側(接続する側)、充電装置等がスレーブ側(接続される側)となる。このように携帯端末をマスター、充電装置等をスレーブとして動作させる場合、マスターからスレーブへの問い合わせ回数がスレーブからマスターへの応答回数に対して多くなる等の理由によって、携帯端末をスレーブとして動作させる場合と比較して、携帯端末の電力消費が増大してしまうという問題がある。このため、充電装置等に対して所定の操作を行うことで、携帯端末をスレーブ、充電装置等をマスターとして動作させることもできるが、この充電装置等に対する無線接続開始用の操作が従来の携帯端末に対する無線接続開始用の操作(例えば、充電装置に付されたQRコードを携帯端末で読み取る操作)と大きく異なってしまうために、ユーザビリティの低下を招いてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ユーザビリティの低下を招くことなく、外部装置と無線通信可能に接続された携帯端末の消費電力低減を図り得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
携帯端末(10)及び外部装置(60)の2つの機器を無線通信可能に接続する無線通信システム(1)であって、
前記携帯端末は、
前記外部装置の識別情報を取得する取得部(41,43)と、
前記取得部によって取得された前記識別情報をアドバタイジングすることで前記外部装置からの接続要求を受け付けて、前記外部装置と無線通信するための処理を行う端末側無線通信部(47,41)と、
を備え、
前記外部装置は、
当該外部装置の前記識別情報をアドバタイジングする前記携帯端末に対して接続要求を行い、前記携帯端末と無線通信するための処理を行う装置側無線通信部(75,71)を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載の発明は、
携帯端末(10)及び外部装置(60)の2つの機器を無線通信可能に接続する無線通信システム(1)であって、
前記携帯端末は、
前記外部装置の識別情報及び所定の認証情報を取得する取得部(41,43)と、
前記取得部によって取得された前記識別情報をアドバタイジングする前記外部装置に接続要求を行うことでなされた無線通信時に、前記所定の認証情報に関して前記外部装置と共有するための処理を行う端末側無線通信部(47,41)と、
を備え、
前記外部装置は、
当該外部装置の前記識別情報をアドバタイジングすることで前記携帯端末からの接続要求を受け付けることでなされた無線通信時に、前記所定の認証情報に関して前記携帯端末と共有するための処理を行う装置側無線通信部(75,71)を備え、
前記携帯端末は、前記所定の認証情報の共有化後になされる再起動後に、前記端末側無線通信部によって、前記所定の認証情報をアドバタイジングすることで前記外部装置からの接続要求を受け付けて、前記外部装置と無線通信するための処理を行い、
前記外部装置は、前記所定の認証情報の共有化後になされる再起動後に、前記装置側無線通信部によって、前記所定の認証情報をアドバタイジングする前記携帯端末に対して接続要求を行い、前記携帯端末と無線通信するための処理を行うことを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、携帯端末は、外部装置の識別情報を取得する取得部と、取得部によって取得された識別情報をアドバタイジングすることで外部装置からの接続要求を受け付けて、外部装置と無線通信するための処理を行う端末側無線通信部とを備える。そして、外部装置は、当該外部装置の識別情報をアドバタイジングする携帯端末に対して接続要求を行い、携帯端末と無線通信するための処理を行う装置側無線通信部を備える。
【0011】
これにより、外部装置の識別情報をアドバタイジングしている携帯端末に対して外部装置から接続要求がなされるため、携帯端末をスレーブ、外部装置をマスターとして動作させることができる。特に、ユーザは、取得部にて識別情報を取得するように携帯端末を操作すればよく、外部装置に対して無線接続開始用の操作を行う必要もない。したがって、ユーザビリティの低下を招くことなく、外部装置と無線通信可能に接続された携帯端末の消費電力低減を図ることができる。
【0012】
請求項2の発明では、携帯端末は、取得部にて、識別情報とともに所定の認証情報を取得し、外部装置は、装置側無線通信部により接続要求を行った機器に対して記憶部に記憶される所定の認証情報を送信する。そして、携帯端末は、端末側無線通信部により接続要求を受け付けた機器から所定の認証情報として受信した情報と取得部により取得された所定の認証情報とに基づいて接続可否を判定する判定部を備える。
【0013】
これにより、接続予定の外部装置と異なる他の機器では、上記所定の認証情報を送信できないことから携帯端末の判定部にて接続を許可するための判定がなされることもないので、携帯端末が意図しない他の機器に誤接続する可能性を低減することができる。
【0014】
請求項3の発明では、所定の認証情報は、識別情報が光学的に読み取り可能に記録される情報コードに暗号化されて記録され、取得部は、所定の認証情報及び識別情報を上記情報コードから光学的に読み取り可能に構成される。
【0015】
これにより、ユーザは、取得部にて上記情報コードを撮像するように携帯端末を操作することで、その携帯端末に所定の認証情報及び識別情報を読み取らせることができる。特に、所定の認証情報は、情報コードに暗号化されて記録されることから解読手段を有しない機器では取得されないので、携帯端末が意図しない他の機器に誤接続する可能性をより一層低減することができる。
【0016】
請求項4の発明では、端末側無線通信部は、利用可能な複数の周波数帯域のうち1又は2以上の既定の周波数帯域にて識別情報をアドバタイジングする。これにより、探索すべき周波数帯域が限定されるために外部装置が携帯端末を探索しやすくなることから無線接続完了までの時間が短縮されるので、携帯端末が意図しない他の機器に誤接続する可能性をさらに低減することができる。
【0017】
請求項5の発明では、取得部は、既定の周波数帯域に関する情報を取得可能に構成されるため、既定の周波数帯域を予め決めることなくその使用環境等に応じて携帯端末が利用しやすい周波数帯域に変えることができる。
【0018】
請求項6の発明では、携帯端末は、外部装置の識別情報及び所定の認証情報を取得する取得部と、取得部によって取得された識別情報をアドバタイジングする外部装置に接続要求を行うことでなされた無線通信時に、所定の認証情報に関して外部装置と共有するための処理を行う端末側無線通信部と、を備える。また、外部装置は、当該外部装置の識別情報をアドバタイジングすることで携帯端末からの接続要求を受け付けることでなされた無線通信時に、所定の認証情報に関して携帯端末と共有するための処理を行う装置側無線通信部を備える。そして、携帯端末は、所定の認証情報の共有化後になされる再起動後に、端末側無線通信部によって、所定の認証情報をアドバタイジングすることで外部装置からの接続要求を受け付けて、外部装置と無線通信するための処理を行い、外部装置は、所定の認証情報の共有化後になされる再起動後に、装置側無線通信部によって、所定の認証情報をアドバタイジングする携帯端末に対して接続要求を行い、携帯端末と無線通信するための処理を行う。
【0019】
これにより、所定の認証情報の共有化後になされる再起動後では、所定の認証情報をアドバタイジングしている携帯端末に対して外部装置から接続要求がなされるため、携帯端末をスレーブ、外部装置をマスターとして動作させることができる。特に、ユーザは、取得部にて識別情報及び所定の認証情報を取得するように携帯端末を操作すればよく、外部装置に対して無線接続開始用の操作を行う必要もない。したがって、ユーザビリティの低下を招くことなく、外部装置と無線通信可能に接続された携帯端末の消費電力低減を図ることができる。
【0020】
請求項7の発明では、端末側無線通信部は、利用可能な複数の周波数帯域のうち1又は2以上の既定の周波数帯域にて所定の認証情報をアドバタイジングする。これにより、探索すべき周波数帯域が限定されるために外部装置が携帯端末を探索しやすくなることから無線接続完了までの時間が短縮されるので、携帯端末が意図しない他の機器に誤接続する可能性を低減することができる。
【0021】
請求項8の発明では、取得部は、既定の周波数帯域に関する情報を取得可能に構成されるため、既定の周波数帯域を予め決めることなくその使用環境等に応じて携帯端末が利用しやすい周波数帯域に変えることができる。
【0022】
請求項9の発明では、端末側無線通信部は、取得部によって取得された識別情報をアドバタイジングする外部装置を探索する探索処理を行って当該探索処理が成功した後に、識別情報をアドバタイジングすることで外部装置からの接続要求を受け付けて、外部装置と無線通信するための処理を行う。装置側無線通信部は、一定距離内に近づいた携帯端末に対して無線通信可能となるように無線通信時の出力電力を下げた状態で、当該外部装置の識別情報をアドバタイジングする携帯端末を探索する探索処理と識別情報をアドバタイジングする処理とを交互に行った際に、探索処理が成功すると、識別情報をアドバタイジングする携帯端末に対して接続要求を行って携帯端末と無線通信するための処理を行う。
【0023】
これにより、携帯端末と外部装置とが上記一定距離内に近づいておらず互いに離れて探索できないような場合には、携帯端末が無駄に識別情報をアドバタイジングすることもないので、携帯端末の消費電力低減をさらに図ることができる。
【0024】
請求項10の発明では、携帯端末において、無線通信開始時に端末側設定情報記憶部に記憶される設定情報を端末側無線通信部により外部装置に対して送信して、当該送信に応じて外部装置から更新用の情報が受信されると、当該更新用の情報に応じて端末側設定情報記憶部の設定情報が更新される。外部装置では、無線通信開始時に携帯端末から受信した設定情報と装置側設定情報記憶部に記憶される設定情報とが一致しないと判定部により判定されると、装置側設定情報記憶部に記憶される設定情報が更新用の情報として装置側無線通信部により携帯端末に対して送信される。
【0025】
外部装置ごとに携帯端末に対して指定する機能が異なる場合、前回と異なる外部装置に無線接続された携帯端末では、設定変更用の操作がなされないと、その外部装置が指定する機能を実施できない可能性がある。例えば、前回接続した外部装置ではQRコードのみを読み取るように指定され、今回接続した外部装置ではバーコードのみを読み取るように指定される場合、設定変更用の操作がなされていない携帯端末では今回接続した外部装置が指定するバーコードの読み取りを実施できないという問題が生じる。
【0026】
このため、無線通信開始時に携帯端末にて記憶されている設定情報と外部装置にて記憶されている設定情報とが一致するか否かについて判定することで、両者が一致する場合には、携帯端末が前回と同じ外部装置と無線接続していると判断でき、このような場合には設定変更する必要もない。その一方で、両者が一致しない場合には、携帯端末が前回と異なる外部装置と無線接続していると判断して、携帯端末の設定情報が今回無線接続した外部装置から受信した更新用の情報に応じて更新される。これにより、ユーザが設定変更用の操作をすることなく、今回無線接続した外部装置に合わせて設定変更することができる。
【0027】
請求項11の発明では、携帯端末において、端末側設定情報記憶部に記憶される設定情報が端末側無線通信部により識別情報とともにアドバタイジングされ、無線通信開始時に外部装置から更新用の情報が受信されると、当該更新用の情報に応じて端末側設定情報記憶部の設定情報が更新される。外部装置では、識別情報をアドバタイジングしている携帯端末の探索成功時に当該携帯端末から受信した設定情報と装置側設定情報記憶部に記憶される設定情報とが一致しないと判定部により判定されると、装置側設定情報記憶部に記憶される設定情報が更新用の情報として装置側無線通信部により携帯端末に対して送信される。
【0028】
このようにしても、携帯端末の探索成功時に当該携帯端末から受信した設定情報と装置側設定情報記憶部に記憶される設定情報とが一致しない場合には、携帯端末が前回と異なる外部装置と無線接続していると判断して、携帯端末の設定情報が今回無線接続した外部装置から受信した更新用の情報に応じて更新される。これにより、ユーザが設定変更用の操作をすることなく、今回無線接続した外部装置に合わせて設定変更することができる。
【0029】
請求項12の発明では、設定情報は、設定値から所定のハッシュ関数を用いてデータ量が小さくなるように算出したハッシュ値であるため、設定値そのものを送受信する場合と比較して、無線通信時のデータ通信量を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1実施形態に係る無線通信システムの携帯端末及びクレードルを示す斜視図である。
【
図3】
図1の携帯端末の電気的構成等を概略的に例示するブロック図である。
【
図4】
図1のクレードルの電気的構成等を概略的に例示するブロック図である。
【
図5】第1実施形態において携帯端末の制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図6】第1実施形態においてクレードルの制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図7】第1実施形態において携帯端末がスレーブとして動作しクレードルがマスターとして動作するまでの処理手順を例示するシーケンス図である。
【
図8】第2実施形態において携帯端末の制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図9】第2実施形態においてクレードルの制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図10】第2実施形態において携帯端末がスレーブとして動作しクレードルがマスターとして動作するまでの処理手順を例示するシーケンス図である。
【
図11】第3実施形態において携帯端末の制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図12】第3実施形態においてクレードルの制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図13】第3実施形態において携帯端末がスレーブとして動作しクレードルがマスターとして動作するまでの処理手順を例示するシーケンス図である。
【
図14】第4実施形態において携帯端末の制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図15】第4実施形態においてクレードルの制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図16】第4実施形態において携帯端末がスレーブとして動作しクレードルがマスターとして動作するまでの処理手順を例示するシーケンス図である。
【
図17】
図17(A)は、従来の無線接続開始時での無線接続状態を説明する説明図であり、
図17(B)は、画像パターン等を読み取るまでペアリングが削除されない無線接続状態を説明する説明図である。
【
図18】第5実施形態における第1の具体例での無線接続状態を説明する説明図である。
【
図19】第5実施形態における第2の具体例での無線接続状態を説明する説明図である。
【
図20】第5実施形態における第3の具体例での無線接続状態を説明する説明図であり、
図20(A)は、期間T2が経過しても無線接続中である場合を示し、
図20(B)は、期間T2の経過前に無線接続が終了して期間T2の経過後に無線接続が開始される場合を示し、
図20(C)は、期間T2の経過前に無線接続が開始される場合を示す。
【
図21】第5実施形態における第4の具体例での無線接続状態を説明する説明図であり、
図21(A)は、期間T3の経過後に無線接続が開始される場合を示し、
図21(B)は、期間T3の経過前に無線接続が開始される場合を示す。
【
図22】第6実施形態において携帯端末の制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図23】第6実施形態においてクレードルの制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図24】第6実施形態において携帯端末がスレーブとして動作しクレードルがマスターとして動作するまでの処理手順を例示するシーケンス図である。
【
図25】第6実施形態の変形例において携帯端末の制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図26】第6実施形態の変形例においてクレードルの制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図27】第7実施形態において携帯端末の制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図28】第7実施形態においてクレードルの制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図29】第7実施形態において携帯端末がスレーブとして動作しクレードルがマスターとして動作するまでの処理手順を例示するシーケンス図である。
【
図30】第7実施形態の変形例において携帯端末の制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図31】第7実施形態の変形例においてクレードルの制御部にてなされる無線通信確立処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1実施形態]
以下、本発明の無線通信システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る無線通信システム1は、携帯端末及び外部装置の2つの機器を無線通信可能に接続するシステムである。より具体的には、無線通信システム1は、無線通信可能に接続する携帯端末及び外部装置として、充電を要する携帯端末10と、外部電源からの電力を利用して携帯端末10を充電するクレードル60とを備え、
図1に示すように携帯端末10をクレードル60に載置することで、無線通信可能な状態にて充電が開始されるシステムとして構成されている。
【0032】
まず、携帯端末10の構成について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る携帯端末10は、情報コード(例えば、バーコードやQRコード)などの光学的情報を光学的に読み取る携帯型の情報読取機器として構成されている。
【0033】
図2に示すように、携帯端末10の外郭を構成する筐体11は、読取口21が形成される上ケース20と使用者によって把持される把持部31が形成される下ケース30とを組み付けることで、各種電子部品を収容する収容空間を形成するように構成される。上ケース20には、読取口21を情報コードに向けやすくするために、読取口21が向く方向にガイド22が延出するように設けられている。このガイド22の上面は、上ケース20と下ケース30との組み合わせ面に対して略平行になっている。
【0034】
下ケース30は、ガイド22などの上ケース20の下方に組み付けられる組付部32と、下ケース30の組付部32よりも下方部位を構成する把持部31とが一体となるように形成されている。把持部31は、拭き取り消毒作業等を容易に実施できるようにするため、外面に溝等がないように形成され、組付部32との連結部分も滑らかに湾曲するように形成されている。
【0035】
上ケース20のガイド22と下ケース30における組付部32の前方に延出する部位とにより延出部12が形成される。この延出部12は、読取口21の把持部側となる下側縁と把持部31との間から読取口21が向く方向に略薄板状に延出する部位であって、その内部には、無線電力伝送用の受電コイル53が配置されている。
【0036】
把持部31には、ガイド22の下方となる位置であって、把持部31を把持した状態の指で触れることが可能な位置にて、前方に向けて滑らかに突出するように操作台座33が設けられる。この操作台座33は、前方に位置する平坦状の面が、情報コードを読み取る読取処理を開始する際に押圧操作されることで歪む操作面34として機能するように構成されている。
【0037】
図3に示すように、携帯端末10は、当該携帯端末10全体を制御可能なCPU等からなる制御部41、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部42、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成される撮像部43、撮像部43の撮像視野に向けて照明光を照射する照明部44、操作面34に対する読取開始操作を検知する操作検知部45、クレードル60に充電可能に載置された載置状態を検知する端末側検知部として機能する載置検知部46、クレードル60等の外部装置と無線通信を行うための通信インタフェースとして構成される通信部47などを備えている。これらの各種電子部品の少なくとも一部は、筐体11の上ケース20及び下ケース30によって構成される収容空間に収容されている。例えば、撮像部43が読取口21を介した前方を撮像範囲とし、照明部44が読取口21を介して撮像視野に向けて照明光を照射するように、撮像部43及び照明部44が上ケース20に収容されている。
【0038】
操作検知部45は、操作面34に生じる歪みを検知するための圧電センサ(圧電素子センサ)であって、操作面34に対して把持部31の内面側となる位置に配置されている。操作検知部45は、操作面34の歪みが所定値以上になると、読取開始操作がなされたとして、制御部41に対して所定の操作検知信号を出力するように構成されている。
【0039】
制御部41は、操作検知部45から上記検知信号を受けることで、撮像部43によって撮像されたQRコード等の情報コード(
図3の符号C参照)の撮像画像を利用した読取処理を開始し、この読取処理にて情報コードに光学的に読み取り可能に記録された情報を所定の解読方法で解読するように構成されている。
【0040】
通信部47は、制御部41により制御されて、Bluetooth(登録商標)通信等にてワイヤレスで接続されたクレードル60等の外部装置に対して、上記読取処理にて取得された読取結果や所定のデータ等を送受信するように構成されている。なお、通信部47は、クレードル60等の外部装置と無線通信するための処理を行う「端末側無線通信部」の一例に相当し得る。
【0041】
さらに、筐体11内には、電源制御部51及びキャパシタ52が設けられている。電源制御部51は、キャパシタ52から携帯端末10の各部位への電力供給を制御するとともに電磁誘導方式による充電を制御する機能を有するものである。電源制御部51は、制御部41による制御に応じて、クレードル60からの送電により受電コイル53に起電力が生じると、整流や平滑化等を行ってキャパシタ52に電力を供給することで、キャパシタ52の充電を行うように機能する。キャパシタ52は、例えば、電気二重層コンデンサ(スーパーキャパシタ)であって、リチウムイオン電池などの二次電池に対して急速充電に優れる蓄電デバイスである。受電コイル53は、携帯端末10を延出部12にてクレードル60に載置したときに、クレードル60の送電コイル83に近接して対向するように、延出部12内に配置されている。
【0042】
次に、クレードル60の構成について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るクレードル60は、載置された携帯端末10を外部電源から供給される電力を利用して充電する機能に加えて、上述した読取結果等に関して携帯端末10と無線通信する機能を有する据え置き型の外部装置である。クレードル60は、
図1に示すように、外郭を形成する筐体61の上部に携帯端末10の延出部12を保持するための保持部62が設けられており、この保持部62にて延出部12が保持されるように載置された携帯端末10を充電するように構成されている。
【0043】
筐体61の側面には、当該クレードル60を他の機器と識別するための識別情報(例えば、シリアル番号)と、所定の認証情報及び指示情報とが光学的に読み取り可能に記録されるQRコードが、情報コードCとして貼り付けされている。上述した指示情報は、後述するように携帯端末10をスレーブとして動作させる指示を行うための情報であり、無線通信時において携帯端末10がマスターとして動作する際にその携帯端末10によって読み取られる従来の情報コードには記録されない情報である。
【0044】
図4に示すように、クレードル60は、当該クレードル60全体を制御可能なCPU等からなる制御部71、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部72、操作部73、載置検知部74、通信部75、電源制御部81、二次電池82及び送電コイル83を備えている。
【0045】
記憶部72には、上述した情報コードCに記録される識別情報及び所定の認証情報等が、後述するように制御部71によって実施される無線通信確立処理にて利用可能に記憶されている。操作部73は、操作ボタン等を有し、制御部71に対して操作ボタン等の操作に応じた操作信号を与える構成をなしており、制御部71は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。載置検知部74は、保持部62による保持状態にて、携帯端末10が充電可能に載置された載置状態を検知する装置側検知部として機能するように構成されている。
【0046】
通信部75は、携帯端末10や上位機器となる管理サーバ等の他の機器との間での無線又は有線にてデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部71と協働して通信処理を行う構成をなしている。特に、本実施形態では、通信部75は、制御部71により制御されて、Bluetooth通信等にてワイヤレスで接続された携帯端末10に対して、上記読取結果や所定のデータ等を送受信するように構成されている。なお、通信部75は、携帯端末10と無線通信するための処理を行う「装置側無線通信部」の一例に相当し得る。
【0047】
電源制御部81は、制御部71により制御されて、外部電源から供給される電力を利用して二次電池82を充電する制御と、二次電池82からの電力を利用して送電コイル83を介して携帯端末10を充電する制御等とを行うように構成されている。
【0048】
二次電池82は、装置側蓄電デバイスとして機能するもので、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等であって、電源制御部81によって充電状態等が管理されるように筐体61内に収容されている。
【0049】
送電コイル83は、電源制御部81による制御に応じて交流電圧が供給されることで、電磁誘導を利用して受電コイル53を介して携帯端末10に電力を伝送するように機能する。この送電コイル83は、保持部62にて保持された延出部12内の受電コイル53に近接して対向するため、保持部62の底面を構成する充電面の内面側に配置されている。
【0050】
次に、本実施形態の特徴的な無線通信方法について、
図5~
図7を参照して説明する。
一般的に、ユーザが充電装置等に付されたQRコードを携帯端末にて読み取る無線接続開始用の操作を行うことで、携帯端末と充電装置等とを無線通信可能に接続する構成では、QRコードから読み取った識別情報を取得した携帯端末によって、その識別情報をアドバタイジングしている充電装置等が探索される。このような構成では、探索された充電装置等に対して携帯端末から接続要求がなされるため、Bluetoothリンク確立時に、携帯端末がマスター、充電装置等がスレーブとして動作するので、携帯端末がスレーブとして動作する場合と比較して、携帯端末の電力消費が増大してしまう。その一方で、充電装置等をマスターとして動作させるために充電装置等に対して無線接続開始用の操作を行うようにすると、従来の携帯端末に対する無線接続開始用の操作と大きく異なってしまうために、ユーザビリティの低下を招いてしまう場合がある。
【0051】
そこで、本実施形態では、ユーザによる無線接続開始用の操作を従来操作と変えないために、ユーザがクレードル60に付された情報コードCを携帯端末10にて読み取る操作を行うことを前提として、Bluetoothリンク確立時に、携帯端末10がスレーブとして動作するための処理を行い、クレードル60がマスターとして動作するための処理を行うように構成される。
【0052】
以下、携帯端末10がスレーブとして動作するとともにクレードル60がマスターとして動作するために、携帯端末10にてなされる無線通信確立処理及びクレードル60にて無線通信確立処理について、図面を参照して詳述する。
【0053】
まず、携帯端末10の制御部41にてなされる無線通信確立処理について、
図5に示すフローチャート等を参照して説明する。
接続すべき機器の識別情報を記録した情報コードが撮像部43にて撮像されてその識別情報が読み取られることで、制御部41にて無線通信確立処理が開始されると、
図5のステップS101の判定処理にて、当該識別情報とともに上述した指示情報が読み取られているか否かについて判定される。なお、ユーザにより、撮像部43にて情報コードを撮像するように携帯端末10が操作され、その撮像された情報コードの撮像画像に対して制御部41により読取処理(デコード処理)がなされることで、その情報コードから識別情報等を光学的に読み取って取得する制御部41及び撮像部43は、「取得部」の一例に相当し得る。
【0054】
載置される前の携帯端末10によってクレードル60に付された情報コードCが撮像されていることで、その情報コードCから識別情報及び認証情報とともに指示情報が読み取られていると(S101でYes)、所定のタイムアウト時間が設定される(S103)。そして、その設定からの経過時間がタイムアウト時間内であり(S105でYes)、クレードル60から接続指示を受け付けていない状態では(S109でNo)、ステップS107に示すアドバタイジング処理がなされる。この処理では、指示情報とともに読み取られた識別情報が、通信部47を利用して周囲にアドバタイジング(通知)される(
図7のF11参照)。クレードル60から接続指示を受け付けることなく、上記経過時間がタイムアウト時間外になると(S105でNo)、本無線通信確立処理が終了する。
【0055】
上述のように設定されたタイムアウト時間内にて、後述するようにクレードル60からの接続要求を受け付けると(S109でYes)、ペアリング処理が開始される(S111:
図7のF13参照)。このようにペアリング処理が開始されると、Bluetooth規格に基づく宣言として、当該携帯端末10の能力(機能)にかかわらず、意図的に「IO Capability:Display Only」がクレードル60に対して宣言される(S113:
図7のF14参照)。
【0056】
上記宣言に応じて、後述するようにクレードル60から指定情報の表示要求を受け付けると(S115)、ステップS117の判定処理にて、表示要求された指定情報が上述のように指示情報とともに読み取られた認証情報に一致するか否かについて判定される。なお、上記ステップS117の判定処理を行う制御部41は、接続要求を受け付けた機器から所定の認証情報として受信した情報と取得部により取得された所定の認証情報とに基づいて接続可否を判定する「判定部」の一例に相当し得る。
【0057】
表示要求された指定情報が上記認証情報に一致する場合には(S117でYes)、認証成功としてペアリング処理が完了し(
図7のF17参照)、クレードル60とのBluetoothリンクが確立されて(S119:
図7のF18参照)、無線通信可能な状態になる。このようにBluetoothリンクが確立される場合には、アドバタイジングしている携帯端末10に対してクレードル60から接続要求がなされるため、携帯端末10がスレーブとして動作するとともにクレードル60がマスターとして動作する。
【0058】
これに対して、表示要求された指定情報が上記認証情報に一致しない場合には(S117でNo)、認証失敗として、ペアリング処理がキャンセルされて(S121)、本無線通信確立処理が終了する。
【0059】
一方、指示情報が記録されていない従来の情報コードから識別情報等が読み取られていると(S101でNo)、所定のタイムアウト時間が設定された後(S123)、そのタイムアウト時間内にて(S125でYes)、読み取った識別情報をアドバタイジングしている機器を探索(スキャン)するための処理がなされる(S127)。そして、上記探索が成功すると(S129でYes)、その探索された機器との間で従来のペアリング処理がなされてBluetoothリンクが確立され(S131)、無線通信可能な状態になる。このようにBluetoothリンクが確立される場合には、アドバタイジングしているクレードル60に対して携帯端末10から接続要求がなされるため、携帯端末10がマスターとして動作するとともにクレードル60がスレーブとして動作する。
【0060】
次に、クレードル60の制御部71にてなされる無線通信確立処理について、
図6に示すフローチャート等を参照して説明する。
クレードル60が充電可能かつ無線通信可能に起動されることで、制御部71にて無線通信確立処理が開始されると、
図6のステップS201に示す探索処理がなされる。この処理では、記憶部72に記憶される識別情報をアドバタイジングしている機器を探索するための処理がなされる。
【0061】
上述のように携帯端末10がクレードル60に対応する識別情報をアドバタイジングしていることで、上記探索処理が成功すると(S203でYes)、当該識別情報をアドバタイジングしている機器、すなわち、携帯端末10に対してBluetooth規格に基づく接続要求がなされる(S205:
図7のF12参照)。
【0062】
その後、ペアリングが開始されて(S207:
図7のF13参照)、携帯端末10から「Display Only」の宣言を受けると、その携帯端末10に対して、当該クレードル60の能力(機能)にかかわらず、意図的に「IO Capability:Keyboard Only」が宣言される(S209:
図7のF15参照)。続いて、ステップS211に示す表示要求処理がなされ、記憶部72に記憶される認証情報が上述した表示要求する指定情報として携帯端末10に送信される(
図7のF16参照)。このように指定情報として送信した認証情報が携帯端末10にて情報コードCから読み取られた認証情報に一致することで(S117でYes)、ペアリング処理が完了し(
図7のF17参照)、携帯端末10とのBluetoothリンクが確立されて(S213:
図7のF18参照)、無線通信可能な状態になる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信システム1では、携帯端末10は、情報コードCからクレードル60の識別情報等を取得する取得部として読取処理を行う制御部41及び撮像部43と、取得された識別情報をアドバタイジングすることでクレードル60からの接続要求を受け付けて、クレードル60と無線通信するための処理を行う通信部47とを備える。そして、クレードル60は、当該クレードル60の識別情報をアドバタイジングする携帯端末10に対して接続要求を行い、携帯端末10と無線通信するための処理を行う通信部75を備える。
【0064】
これにより、クレードル60の識別情報をアドバタイジングしている携帯端末10に対してクレードル60から接続要求がなされるため、携帯端末10をスレーブ、クレードル60をマスターとして動作させることができる。特に、ユーザは、撮像部43にてクレードル60の情報コードCを撮像するように(取得部にて識別情報を取得するように)携帯端末10を操作すればよく、クレードル60に対して無線接続開始用の操作を行う必要もない。したがって、ユーザビリティの低下を招くことなく、クレードル60と無線通信可能に接続された携帯端末10の消費電力低減を図ることができる。
【0065】
特に、携帯端末10は、上記読取処理にて、識別情報とともに所定の認証情報を取得し、クレードル60は、通信部75により接続要求を行った機器に対して記憶部72に記憶される所定の認証情報を指定情報として送信する。そして、携帯端末10は、通信部47により接続要求を受け付けた機器から所定の認証情報として受信した情報と読取処理にて取得された所定の認証情報とに基づいて接続可否を判定する判定処理(S117)を行う。
【0066】
これにより、接続予定のクレードル60と異なる他の機器では、上記所定の認証情報を送信できないことから携帯端末10の判定処理にて接続を許可するための判定がなされることもないので、携帯端末10が意図しない他の機器に誤接続する可能性を低減することができる。
【0067】
本実施形態の変形例として、所定の認証情報は、識別情報等とともにQRコードに記録されることに限らず、識別情報が光学的に読み取り可能に記録される情報コードに暗号化されて記録されてもよい。この場合、携帯端末10は、上述のように暗号化された情報を解読するための暗号鍵等を予め取得して記憶部42に記憶することができる。このように、所定の認証情報は、情報コードに暗号化されて記録されることから解読手段を有しない機器では取得されないので、携帯端末10が意図しない他の機器に誤接続する可能性をより一層低減することができる。
【0068】
なお、暗号化の方法としては、例えば、復号鍵を要しない情報が記録される公開領域と復号鍵を要する暗号化された情報が記録される非公開領域とを備える一部非公開コードを採用し、非公開領域に所定の認証情報を記録し、公開領域に識別情報を記録するようにしてもよい。このような一部非公開コードの生成方法や生成される一部非公開コードの具体的構成としては、例えば、特開2009-9547公報、特開2008-299422公報などに開示された技術を好適に用いることができる。
【0069】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る無線通信システムについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、ペアリング処理を行わない場合でも接続可否を判定する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
以下、本実施形態において、ペアリング処理を行わないことを前提に、携帯端末10がスレーブとして動作するとともにクレードル60がマスターとして動作するために、携帯端末10にてなされる無線通信確立処理及びクレードル60にて無線通信確立処理について、図面を参照して詳述する。
【0071】
まず、携帯端末10の制御部41にてなされる無線通信確立処理について、
図8に示すフローチャート等を参照して説明する。
上記第1実施形態と同様に、制御部41にて無線通信確立処理が開始されて、読み取った識別情報を周囲にアドバタイジングしている間に(
図8のS107:
図10のF21参照)、クレードル60からの接続要求を受け付けると(S109でYes)、クレードル60とのBluetoothリンクが確立されて(S119:
図10のF23参照)、無線通信可能な状態になる。その後、後述するようにクレードル60から認証情報として送信される情報が受信されて(S115a)、その情報が情報コードCから読み取られた認証情報に一致する場合には(S117でYes)、上述のように確立されたBluetoothリンクが維持される。このBluetoothリンク維持状態では、上記第1実施形態と同様に、アドバタイジングしている携帯端末10に対してクレードル60から接続要求がなされるため、携帯端末10がスレーブとして動作するとともにクレードル60がマスターとして動作する。
【0072】
これに対して、クレードル60から認証情報として受信した情報が情報コードCから読み取られた認証情報に一致しない場合には(S117でNo)、認証失敗として、Bluetoothリンクが切断されて(S121a:
図10のF25参照)、本無線通信確立処理が終了する。
【0073】
次に、クレードル60の制御部71にてなされる無線通信確立処理について、
図9に示すフローチャート等を参照して説明する。
上記第1実施形態と同様に、制御部71にて無線通信確立処理が開始されて、記憶部72に記憶される識別情報をアドバタイジングしている携帯端末10が探索されると(
図9のS203でYes)、その携帯端末10に対してBluetooth規格に基づく接続要求がなされることで(S205:
図10のF22参照)、携帯端末10とのBluetoothリンクが確立されて(S213:
図10のF23参照)、無線通信可能な状態になる。
【0074】
続いて、ステップS211aに示す認証情報送信処理がなされ、記憶部72に記憶される認証情報が携帯端末10に送信される(
図10のF24参照)。このように送信した認証情報が携帯端末10にて情報コードCから読み取られた認証情報に一致することで(S117でYes)、上述のように確立されたBluetoothリンクが維持される。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信システム1では、ペアリング処理を行わないことを前提に、携帯端末10は、上記読取処理にて、識別情報とともに所定の認証情報を取得し、クレードル60は、通信部75により接続要求を行った機器に対して記憶部72に記憶される所定の認証情報を送信する。そして、携帯端末10は、通信部47により接続要求を受け付けた機器から所定の認証情報として受信した情報と読取処理にて取得された所定の認証情報とに基づいて接続可否を判定する判定処理(S117)を行う。
【0076】
このようにしても、上記第1実施形態と同様に、携帯端末10をスレーブ、クレードル60をマスターとして動作させることができる。また、接続予定のクレードル60と異なる他の機器では、上記所定の認証情報を送信できないことから携帯端末10の判定処理にて接続を許可するための判定がなされることもないので、携帯端末10が意図しない他の機器に誤接続する可能性を低減することができる。
【0077】
なお、ペアリング処理がなされる場合には、上記第1実施形態にて述べたようにペアリング処理中にクレードル60から受け付けた指定情報と読み取った認証情報とに基づいて接続可否を判定することに限らず、通常のペアリング処理完了後に上述したようにクレードル60から認証情報として受信した情報と読み取った認証情報とに基づいて接続可否を判定してもよい。
【0078】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る無線通信システムについて、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、携帯端末10をマスター、外部装置をクレードル60として動作させるようにBluetoothリンクを一旦確立した後に、携帯端末10をスレーブ、クレードル60をマスターとして動作させるようにBluetoothリンクを新たに確立する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
本実施形態では、情報コードCに記録される所定の認証情報を携帯端末10とクレードル60とで共有化した後に、両機器を再起動して、その共有化された所定の認証情報をアドバタイジングしている携帯端末10に対してクレードル60から接続要求を行うことで、携帯端末10をスレーブ、クレードル60をマスターとして動作させる。このように所定の認証情報を共有化するため、共有化前の状態では、従来のように自身の識別情報をアドバタイジングしているクレードル60に対して携帯端末10から接続要求を行うことで、携帯端末10をマスター、外部装置をクレードル60として動作させるようにBluetoothリンクを一旦確立させる。
【0080】
以下、本実施形態において、携帯端末10がスレーブとして動作するとともにクレードル60がマスターとして動作するために、携帯端末10にてなされる無線通信確立処理及びクレードル60にて無線通信確立処理について、図面を参照して詳述する。
【0081】
まず、携帯端末10の制御部41にてなされる無線通信確立処理について、
図11に示すフローチャート等を参照して説明する。
接続すべき機器の識別情報を記録した情報コードが撮像部43にて撮像されてその識別情報が読み取られることで、制御部41にて無線通信確立処理が開始されると、
図11のステップS301の判定処理にて、当該識別情報とともに上述した指示情報が読み取られているか否かについて判定される。
【0082】
載置される前の携帯端末10によってクレードル60に付された情報コードCが撮像されていることで、その情報コードCから識別情報及び認証情報とともに指示情報が読み取られていると(S301でYes)、所定のタイムアウト時間が設定される(S303)。そして、ステップS307に示す探索処理がなされ、上述のように読み取った識別情報をアドバタイジングしている機器を探索(スキャン)するための処理がなされる。そして、上記探索が成功しないうちに(S309でNo)、上記経過時間がタイムアウト時間外になると(S305でNo)、本無線通信確立処理が終了する。
【0083】
上述のように設定されたタイムアウト時間内にて、識別情報をアドバタイジングしている機器の探索に成功すると(S309でYes)、当該識別情報をアドバタイジングしている機器、すなわち、クレードル60に対してBluetooth規格に基づく接続要求がなされる(S311:
図13のF32参照)。そして、ペアリング処理がなされてクレードル60とのBluetoothリンクが一旦確立されることで(S313:
図13のF33参照)、無線通信可能な状態になる。
【0084】
続いて、ステップS315に示す認証情報共有化処理がなされる。この処理では、情報コードCから読み取った所定の認証情報が、共有化する情報として通信部47を介してクレードル60に送信されることで、クレードル60との間で共有化される(
図13のF34参照)。この共有化後に携帯端末10を再起動するための処理がなされ(S317)、クレードル60との無線通信が遮断される(
図13のF35参照)。
【0085】
このように再起動した後、ステップS319に示すアドバタイジング処理がなされ、共有化された認証情報が、通信部47を利用して周囲にアドバタイジング(通知)される(
図13のF36参照)。そして、後述するようにクレードル60からの接続要求を受け付けると(S321でYes)、ペアリング処理がなされてクレードル60とのBluetoothリンクが確立されることで(S323:
図13のF38参照)、無線通信可能な状態になる。このようにBluetoothリンクが確立される場合には、アドバタイジングしている携帯端末10に対してクレードル60から接続要求がなされるため、携帯端末10がスレーブとして動作するとともにクレードル60がマスターとして動作する。
【0086】
一方、指示情報が記録されていない従来の情報コードから識別情報等が読み取られていると(S301でNo)、所定のタイムアウト時間が設定された後(S325)、そのタイムアウト時間内にて(S327でYes)、読み取った識別情報をアドバタイジングしている機器を探索(スキャン)するための処理がなされる(S329)。そして、上記探索が成功すると(S331でYes)、その探索された機器との間で従来のペアリング処理がなされてBluetoothリンクが確立され(S333)、無線通信可能な状態になる。このようにBluetoothリンクが確立される場合には、アドバタイジングしているクレードル60に対して携帯端末10から接続要求がなされるため、携帯端末10がマスターとして動作するとともにクレードル60がスレーブとして動作する。
【0087】
次に、クレードル60の制御部71にてなされる無線通信確立処理について、
図12に示すフローチャート等を参照して説明する。
クレードル60が充電可能かつ無線通信可能に起動されることで、制御部71にて無線通信確立処理が開始されると、
図12のステップS401に示すアドバタイジング処理がなされる。この処理では、記憶部72に記憶される識別情報が、通信部75を利用して周囲にアドバタイジング(通知)される(
図13のF31参照)。そして、上述のように携帯端末10からの接続要求を受け付けると(S403でYes)、ペアリング処理がなされて携帯端末10とのBluetoothリンクが確立されることで(S405:
図13のF33参照)、無線通信可能な状態になる。
【0088】
続いて、ステップS407に示す認証情報共有化処理がなされ、通信部47を介して携帯端末10から受信した所定の認証情報が、携帯端末10との間で共有化される(
図13のF34参照)。この共有化後にクレードル60を再起動するための処理がなされ(S409)、携帯端末10との無線通信が遮断される(
図13のF35参照)。
【0089】
このように再起動した後、ステップS411に示す探索処理がなされ、上述のように共有化された認証情報をアドバタイジングしている携帯端末10を探索(スキャン)するための処理がなされる。そして、上記探索が成功すると(S413でYes)、ペアリング処理がなされて携帯端末10とのBluetoothリンクが確立されることで(S415:
図13のF38参照)、無線通信可能な状態になる。
【0090】
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信システム1では、携帯端末10は、情報コードCからクレードル60の識別情報及び所定の認証情報等を取得する取得部として読取処理を行う制御部41及び撮像部43と、取得された識別情報をアドバタイジングするクレードル60に接続要求を行うことでなされた無線通信時に、所定の認証情報に関してクレードル60と共有するための処理を行う通信部47と、を備える。また、クレードル60は、当該クレードル60の識別情報をアドバタイジングすることで携帯端末10からの接続要求を受け付けることでなされた無線通信時に、所定の認証情報に関して携帯端末10と共有するための処理を行う通信部75を備える。そして、携帯端末10は、所定の認証情報の共有化後になされる再起動後に、通信部47及び制御部41によって、所定の認証情報をアドバタイジングすることでクレードル60からの接続要求を受け付けて、クレードル60と無線通信するための処理を行い、クレードル60は、所定の認証情報の共有化後になされる再起動後に、通信部75及び制御部71によって、所定の認証情報をアドバタイジングする携帯端末10に対して接続要求を行い、携帯端末10と無線通信するための処理を行う。
【0091】
これにより、所定の認証情報の共有化後になされる再起動後では、所定の認証情報をアドバタイジングしている携帯端末10に対してクレードル60から接続要求がなされるため、携帯端末10をスレーブ、クレードル60をマスターとして動作させることができる。特に、ユーザは、撮像部43にてクレードル60の情報コードCを撮像するように(取得部にて識別情報及び所定の認証情報を取得するように)携帯端末10を操作すればよく、クレードル60に対して無線接続開始用の操作を行う必要もない。したがって、ユーザビリティの低下を招くことなく、クレードル60と無線通信可能に接続された携帯端末10の消費電力低減を図ることができる。
【0092】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る無線通信システムについて、図面を参照して説明する。
本第4実施形態では、携帯端末10とクレードル60とを一定距離内に近づけた場合に携帯端末10にてアドバタイジング処理が開始される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
例えば、クレードル60に付された情報コードCと異なる情報コード等を利用してクレードル60の識別情報を読み取る(取得する)場合、携帯端末10とクレードル60とが一定距離離れていることから無線通信不能な状態であると、携帯端末10が無駄に識別情報をアドバタイジングしてしまうために、携帯端末10の消費電力低減効果を十分に得られない可能性がある。
【0094】
そこで、本実施形態では、携帯端末10とクレードル60とを一定距離内に近づけた場合に携帯端末10にてアドバタイジング処理を開始することで、携帯端末10の消費電力低減を図る。
【0095】
以下、本実施形態において、携帯端末10がスレーブとして動作するとともにクレードル60がマスターとして動作するために、携帯端末10にてなされる無線通信確立処理及びクレードル60にて無線通信確立処理について、図面を参照して詳述する。
【0096】
まず、携帯端末10の制御部41にてなされる無線通信確立処理について、
図14に示すフローチャート等を参照して説明する。
制御部41にて無線通信確立処理が開始されて、クレードル60の識別情報が読み取られて(
図14のS101でYes)、所定のタイムアウト時間が設定されると(S141)、そのタイムアウト時間内にて(S143でYes)、ステップS145に示す探索処理がなされる。この処理では、上記識別情報をアドバタイジングしている機器を探索(スキャン)するための処理がなされる(
図16のF41参照)。
【0097】
携帯端末10とクレードル60とが離れているために識別情報をアドバタイジングしているクレードル60を探索できない場合には、ステップS147の判定処理にてNoとの判定が繰り返されて、上記探索処理が継続される。そして、後述するようにクレードル60によるアドバタイジングを受信することで探索に成功すると(S147でYes:
図16のF44参照)、上記第1実施形態にて述べたステップS103以降の処理がなされる。
【0098】
次に、クレードル60の制御部71にてなされる無線通信確立処理について、
図15に示すフローチャート等を参照して説明する。
制御部71にて無線通信確立処理が開始されると、まず、
図15のステップS221に示す低出力電力設定処理がなされる。この処理では、一定距離(例えば、30cm)内に近づいた携帯端末10に対して無線通信可能となるように無線通信時の出力電力を下げるための処理がなされる。
【0099】
上述のように出力電力が下げられると、ステップS223に示すアドバタイジング処理がなされ、自身の識別情報がアドバタイジングされる(
図16のF42参照)。また、上述したステップS201に示す探索処理がなされ、識別情報をアドバタイジングしている携帯端末10を探索するための処理がなされる(
図16のF43参照)。
【0100】
携帯端末10とクレードル60とが一定距離内にないために、識別情報をアドバタイジングしている携帯端末10の探索に成功しない場合には(S203でNo)、自身の識別情報をアドバタイジングする処理(S223)と識別情報をアドバタイジングしている携帯端末10を探索する処理(S201)とが交互に繰り返される。
【0101】
その後、ユーザが一定距離内に携帯端末10をクレードル60に近づけると、識別情報をアドバタイジングしている携帯端末10の探索に成功する(S203でYes)。その際、携帯端末10でも識別情報をアドバタイジングしているクレードル60の探索に成功する(S147でYes)。これにより、上記第1実施形態と同様に、携帯端末10に対して接続要求がなされ(S205)、ペアリングが開始される(S207)
【0102】
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信システム1では、携帯端末10は、取得された識別情報をアドバタイジングするクレードル60を探索する探索処理(S145)を行って当該探索処理が成功した後に、識別情報をアドバタイジングすることでクレードル60からの接続要求を受け付けて、クレードル60と無線通信するための処理を行う。クレードル60は、一定距離内に近づいた携帯端末10に対して無線通信可能となるように無線通信時の出力電力を下げた状態で(S221)、当該クレードル60の識別情報をアドバタイジングする携帯端末10を探索する探索処理(S201)と識別情報をアドバタイジングする処理(S223)とを交互に行った際に、探索処理が成功すると、識別情報をアドバタイジングする携帯端末10に対して接続要求を行って携帯端末10と無線通信するための処理を行う。
【0103】
これにより、携帯端末10とクレードル60とが上記一定距離内に近づいておらず互いに離れて探索できないような場合には、携帯端末10が無駄に識別情報をアドバタイジングすることもないので、携帯端末10の消費電力低減をさらに図ることができる。
【0104】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る無線通信システムについて、図面を参照して説明する。
本第5実施形態では、前回のBluetoothリンク確立時の接続情報(ペアリング情報)を都度削除する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
一般的に、Bluetoothリンクを確立させて携帯端末と外部装置とを無線接続させる場合、一度無線接続が成功すると、次回接続時にお互い自動的に無線接続するために、各々相手方と再接続するためのペアリング情報(Bluetoothリンク確立時の接続情報)が保持されるという利点がある。例えば、マウスとパーソナルコンピュータ、キーボードとパーソナルコンピュータ、ヘッドホンと携帯式音楽プレーヤー、ヘルスチェック用ウェアラブル装置とスマートフォンなど、一度接続相手を決定し、その後、その接続先を変えることなく使用する運用形態には適している。
【0106】
しかし、その一方で、前述の便利な機能が、運用方法によっては支障をもたらす場合がある。例えば、ある店舗内で、店員一人一人に携帯端末とホスト(外部装置)をセットで供給されず、任意の携帯端末と任意のホストを任意のタイミングで選択し、接続して使用するような場合である。選択した携帯端末およびホストがそれぞれ前回接続した相手のペアリング情報を保持していると、電源が投入された際に選択した携帯端末とホスト間で無線接続が成立せず、選択した携帯端末は前回接続したホストと、選択したホストは前回接続した携帯端末と、各々無線接続が成立してしまい、運用が出来ない状況に陥る。例えば、
図17(A)に例示するように、前回、ホストAに無線接続していたデバイス(携帯端末)aとデバイス(携帯端末)bに無線接続していたホストBとを接続しようとするユーザの意図と無関係に、ペアリングが維持されているために、デバイスaとホストAとが無線接続するとともにデバイスbとホストBとが無線接続してしまう可能性がある。
【0107】
ホストがスマートフォンやタブレットのような画面上で接続相手が分かる場合は、そこからいったん切断することも可能だが、来客対応中にこの状況に陥った場合、お客様を待たせて接続し直しする作業を試みなくてはならない。また、第4実施例までに記載されているような、外面表示機能を持たないクレードル(外部装置)がマスターとなる場合は、接続相手の情報を確認することが出来ない状況に陥り、誤って接続された携帯端末のペアリング情報を削除することが容易ではない。
【0108】
このような問題に関して、例えば、特開2008-211507号公報に開示される無線通信システムが知られている。この無線通信システムでは、接続相手に接続情報をコード化した画像パターンが表示され、この接続情報を読み取った装置がその接続相手と無線LAN通信する方法が提案されている。このような方法は、接続相手の情報を容易に入力でき、接続先を切り替える手段としては効果的な方法であると言える。しかしながら、ペアリング情報をお互い保持していることで、電源投入直後から相手との接続が実施されるようなBluetoothの仕様では、携帯端末が接続相手に表示された画像パターン等を読み取る前から、前回接続されたホストと接続状態になるため、現在選択しているホストと確実に通信できる状況を構築できるものではなく、上記課題を解決できるものではない。例えば、
図17(B)に例示するように、画像パターン等を読み取るまでの期間T0にて、ユーザが意図しない携帯端末A及びホストAの無線接続と携帯端末B及びホストBの無線接続が成立してしまい、この期間Toの途中で誤った運用になってしまう可能性がある。
【0109】
そこで、本実施形態では、前回のペアリング情報(Bluetoothリンク確立時の接続情報)を都度自動的に削除することで、ユーザが意図しない無線接続を抑制する。なお、以下の説明では、携帯端末10と同じ機能を有する携帯端末10a及び携帯端末10bとホスト機能を有する外部装置であるタブレット90a及びタブレット90bとに関して、前回、携帯端末10a及びタブレット90aが無線接続するとともに携帯端末10b及びタブレット90bが無線接続しており、今回、携帯端末10aとタブレット90bとを無線接続するとともに携帯端末10bとタブレット90aとを無線接続するように選択する場合について説明する。
【0110】
第1の具体例として、
図18に示すように、無線接続終了時に、タブレット90a及びタブレット90bのそれぞれで、維持している携帯端末のペアリング情報を自動的に削除する。その後の無線接続開始時には、選択された相手との無線接続が成立するまでの期間T1で、無線接続が成立していないことを示す未接続状態報知処理がなされる。この処理では、携帯端末10a及び携帯端末10bとタブレット90a及びタブレット90bとのそれぞれで、表示LEDの発光やブザーの報音などを利用して、上記未接続状態が報知される。この報知を受けたユーザは、選択した無線接続(携帯端末10a及びタブレット90bの無線接続、又は、携帯端末10b及びタブレット90aの無線接続)が成立していない状態を容易に把握できるだけでなく、この報知終了後に選択した無線接続が成立したことを容易に把握することができる。
【0111】
第2の具体例として、
図19に示すように、無線接続終了時ではペアリング情報を削除せず、無線接続開始時に、タブレット90a及びタブレット90bのそれぞれで、維持している携帯端末のペアリング情報を自動的に削除した後上記未接続状態報知処理を行う。このようにしても、上記報知を受けたユーザは、選択した無線接続(携帯端末10a及びタブレット90bの無線接続、又は、携帯端末10b及びタブレット90aの無線接続)が成立していない状態を容易に把握できるだけでなく、この報知終了後に選択した無線接続が成立したことを容易に把握することができる。
【0112】
第3の具体例として、前回の無線接続開始からの期間T2を基準に、タブレット90a及びタブレット90bのそれぞれで、維持している携帯端末のペアリング情報を自動的に削除する。
図20(A)に示すように、期間T2が経過しても無線接続中であれば、その無線接続終了時に、タブレット90a及びタブレット90bのそれぞれで、維持している携帯端末のペアリング情報を自動的に削除する。その後の無線接続開始時には、選択された相手との無線接続が成立するまで上記未接続状態報知処理がなされる。また、
図20(B)に示すように、期間T2の経過前に無線接続が終了して期間T2の経過後に無線接続が開始される場合には、その無線接続開始時に、タブレット90a及びタブレット90bのそれぞれで、維持している携帯端末のペアリング情報を自動的に削除した後上記未接続状態報知処理を行う。また、
図20(C)に示すように、期間T2の経過前に無線接続が開始される場合には、期間T2の経過後に、タブレット90a及びタブレット90bのそれぞれで、維持している携帯端末のペアリング情報を自動的に削除した後上記未接続状態報知処理を行う。このようにしても、上記報知を受けたユーザは、選択した無線接続(携帯端末10a及びタブレット90bの無線接続、又は、携帯端末10b及びタブレット90aの無線接続)が成立していない状態を容易に把握できるだけでなく、この報知終了後に選択した無線接続が成立したことを容易に把握することができる。
【0113】
第4の具体例として、前回の無線接続終了からの期間T3を基準に、タブレット90a及びタブレット90bのそれぞれで、維持している携帯端末のペアリング情報を自動的に削除する。
図21(A)に示すように、期間T3の経過後に無線接続が開始される場合には、無線接続開始時に、タブレット90a及びタブレット90bのそれぞれで、維持している携帯端末のペアリング情報を自動的に削除した後上記未接続状態報知処理を行う。また、
図21(B)に示すように、期間T3の経過前に無線接続が開始される場合には、期間T3の経過後に、無線接続を終了してから、タブレット90a及びタブレット90bのそれぞれで、維持している携帯端末のペアリング情報を自動的に削除した後上記未接続状態報知処理を行う。このようにしても、上記報知を受けたユーザは、選択した無線接続(携帯端末10a及びタブレット90bの無線接続、又は、携帯端末10b及びタブレット90aの無線接続)が成立していない状態を容易に把握できるだけでなく、この報知終了後に選択した無線接続が成立したことを容易に把握することができる。
【0114】
なお、無線接続終了のきっかけは、上述したようにタブレットから実施することに限らず、携帯端末から実施しても良い。この場合、無線接続終了の要求を受けたタブレットは、ユーザアプリケーションに直接その要求を通知して、そのアプリケーションにてペアリング情報を削除しても良いし、ミドルウェアやサービスのようなユーザアプリケーションを介さないソフトウェアで処置しても良い。また、上述した第4実施例までの、携帯端末(スレーブ)とクレードル(マスター)の構成で、かつ携帯端末側で接続情報(ペアリング情報)を管理している事例では、携帯端末側で、ペアリング情報を自動的に削除する処理を実施しても良い。
【0115】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る無線通信システムについて、図面を参照して説明する。
本第6実施形態では、無線接続したクレードルに合わせて携帯端末の設定を変更可能な点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0116】
クレードル60が接続されているサーバ等によって、そのクレードル60を介して接続される携帯端末10に対して実施される機能が指定される場合がある。すなわち、接続される外部装置(クレードル60及びサーバ等)ごとに携帯端末10に対して指定する機能が異なる場合がある。このような運用として、例えば、環境Aで採用されるサーバAでは、クレードルAを介して接続される携帯端末Aに対してQRコードのみを読み取るように指定し、環境Bで採用されるサーバBでは、クレードルBを介して接続される携帯端末Bに対してバーコードのみを読み取るように指定するような場合である。これにより、サーバA及びサーバBでは、その環境等にて処理不要な情報コードの読取結果を受信することもなく、処理負荷軽減等を図ることができる。
【0117】
その一方で、クレードルAを介してサーバAに接続していた携帯端末Aが故障などにより使用できなくなったために、クレードルBを介してサーバBに接続していた携帯端末BをサーバAにクレードルAを介して接続して使用する場合がある。このような場合、サーバBに接続していた携帯端末Bは、バーコードのみを読み取る設定となっているため、設定変更用の操作がなされないと、サーバAが要求するQRコードの読取結果を送信できないという問題がある。
【0118】
また、例えば、クレードルAを介して携帯端末Aが接続されるサーバAは、携帯端末Aに対して送信される所定のコマンドを利用して読み取りタイミングを指定し、クレードルBを介して携帯端末Bが接続されるサーバBは、携帯端末Bに対して読み取りタイミングを指定せず、携帯端末Bのトリガキー操作に応じたタイミングでその携帯端末Bの読取結果を送信させるような運用もある。このような場合、携帯端末Aに代えた携帯端末BがクレードルAを介して接続されたサーバAでは、設定変更用の操作がなされないと、上記コマンドを送信してもその指定するタイミングに合わせて携帯端末Bから読取結果を受信できないという問題がある。
【0119】
すなわち、外部装置(クレードル60及びサーバ等)ごとに携帯端末10に対して指定する機能が異なる場合、前回と異なる外部装置に無線接続された携帯端末10では、設定変更用の操作がなされないと、その外部装置が指定する機能を実施できない可能性がある。
【0120】
そこで、本実施形態では、携帯端末10の記憶部42に、クレードル60を介して指定された機能に設定するための設定値及びこの設定値からハッシュ値をデータ量が小さくなるように算出するための所定のハッシュ関数に関する情報が記憶される。この設定値が例えばQRコードのみを読み取る機能に限定するためのものであれば、この設定値を記憶部42に記憶した携帯端末10では、QRコードの読取結果のみをクレードル60を介してサーバ等に送信するように機能する。また、クレードル60の記憶部72に、当該クレードル60を介して指定する機能に携帯端末10を設定するための設定値及び上記所定のハッシュ関数に関する情報と、この所定のハッシュ関数を用いて上記設定値から算出したハッシュ値とが記憶される。なお、記憶部42は、「端末側設定情報記憶部」の一例に相当し、記憶部72は、「装置側設定情報記憶部」の一例に相当し得る。
【0121】
そして、クレードル60では、無線通信開始時に携帯端末10から受信したハッシュ値と記憶部72に記憶されるハッシュ値とが一致しない場合に、記憶部72に記憶される設定値を更新用の情報として携帯端末10に送信する。そして、携帯端末10では、無線通信開始時にクレードル60から更新用の情報として設定値が受信されると、当該更新用の情報に応じて記憶部42の設定値が更新される。これにより、携帯端末10が前回と同じクレードル60と無線接続している場合には携帯端末10の設定値が変更されず、携帯端末10が前回と異なるクレードル60と無線接続していることで携帯端末10の設定値が自動的に変更される。
【0122】
以下、本実施形態において、無線接続したクレードル60に合わせて携帯端末10の設定を変更可能としつつ、携帯端末10がスレーブとして動作するとともにクレードル60がマスターとして動作するために、携帯端末10にてなされる無線通信確立処理及びクレードル60にて無線通信確立処理について、図面を参照して詳述する。
【0123】
まず、携帯端末10の制御部41にてなされる無線通信確立処理について、
図22に示すフローチャート等を参照して説明する。
上記第1実施形態と同様に、制御部41にて無線通信確立処理が開始されて、読み取った識別情報を周囲にアドバタイジングしている間に(
図22のS107:
図24のF11参照)、クレードル60からの接続要求を受け付けた後(S109でYes)、認証情報が一致することで(S117でYes)、クレードル60とのBluetoothリンクが確立されて(S119:
図24のF18参照)、無線通信可能な状態になる。
【0124】
この無線通信開始時に、ステップS151に示す設定情報送信処理にて、記憶部42に記憶される設定値から上記所定のハッシュ関数を用いて算出したハッシュ値が設定情報として通信部47を介してクレードル60に送信される(
図24のF51参照)。なお、ハッシュ値は、都度算出されることなく、設定値等が更新されるごとに、予め算出されて記憶部42に記憶されてもよい。
【0125】
そして、クレードル60から上述した更新用の情報が受信されない場合には(S153でNo)、記憶部42の設定値が更新されることなく、本無線通信確立処理が終了する。一方、クレードル60から上述した更新用の情報が通信部47を介して受信されると(S153でYes)、ステップS155に示す更新処理がなされ、当該更新用の情報に応じて記憶部42の設定値が更新されて、本無線通信確立処理が終了する。
【0126】
次に、クレードル60の制御部71にてなされる無線通信確立処理について、
図23に示すフローチャート等を参照して説明する。
上記第1実施形態と同様に、制御部71にて無線通信確立処理が開始されて、記憶部72に記憶される識別情報をアドバタイジングしている携帯端末10が探索されると(
図23のS203でYes)、その携帯端末10に対してBluetooth規格に基づく接続要求がなされることで(S205:
図24のF12参照)、上述したように携帯端末10とのBluetoothリンクが確立されて(S213:
図10のF18参照)、無線通信可能な状態になる。
【0127】
この無線通信開始時に、通信部75を介して携帯端末10から設定情報としてハッシュ値が受信されると(S231)、ステップS233に示す判定処理にて、携帯端末10から受信したハッシュ値と記憶部72に記憶されるハッシュ値とが一致するか否かについて判定される。ここで、携帯端末10からのハッシュ値と記憶部72のハッシュ値とが一致する場合には(S233でYes)、携帯端末10が前回と同じクレードル60と無線接続していると判断して、更新用の情報を送信することなく、本無線通信確立処理が終了する。
【0128】
一方、携帯端末10からのハッシュ値と記憶部72のハッシュ値とが一致しない場合には(S233でNo)、ステップS235に示す設定値送信処理がなされ、記憶部72に記憶される設定値が更新用の情報として通信部75を介して携帯端末10に送信される(
図24のF52参照)。そして、無線接続した携帯端末10に関する情報が接続先情報として記憶部72に記憶されて(S237)、本無線通信確立処理が終了する。なお、上記ステップS233の判定処理を実施する制御部71は、「判定部」の一例に相当し得る。
【0129】
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信システム1では、携帯端末10において、無線通信開始時に記憶部42に記憶される設定値から算出されるハッシュ値を通信部47を介してクレードル60に対して送信して、当該送信に応じてクレードル60から更新用の情報が受信されると、当該更新用の情報に応じて記憶部42の設定値が更新される。クレードル60では、無線通信開始時に携帯端末10から受信したハッシュ値と記憶部72に記憶されるハッシュ値とが一致しないと判定されると(S233でNo)、記憶部72に記憶される設定値が更新用の情報として通信部75を介して携帯端末10に対して送信される(S235)。
【0130】
このように、無線通信開始時に携帯端末10にて記憶されている設定値から算出されるハッシュ値とクレードル60にて記憶されているハッシュ値とが一致するか否かについて判定することで、両者が一致する場合には、携帯端末10が前回と同じクレードル60と無線接続していると判断でき、このような場合には設定変更する必要もない。その一方で、両者が一致しない場合には、携帯端末10が前回と異なるクレードル60と無線接続していると判断して、携帯端末10の設定値が今回無線接続したクレードル60から受信した更新用の情報に応じて更新される。これにより、ユーザが設定変更用の操作をすることなく、今回無線接続したクレードル60に合わせて携帯端末10を設定変更することができる。
【0131】
特に、設定値から所定のハッシュ関数を用いてデータ量が小さくなるように算出したハッシュ値が携帯端末10からクレードル60に送信されるため、設定値そのものを送受信する場合と比較して、無線通信時のデータ通信量を軽減することができる。
【0132】
なお、上記ステップS151の設定情報送信処理では、設定情報として設定値から上記所定のハッシュ関数を用いて算出したハッシュ値がクレードル60に送信されることに限らず、設定値に関する設定情報、例えば、設定値そのものがクレードル60に送信されてもよい。
【0133】
無線接続したクレードル60に合わせて携帯端末10の設定を変更可能とする本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。例えば、上述した第2実施形態に適用する場合には、携帯端末10において
図25に示す無線通信確立処理がなされ、クレードル60において
図26に示す無線通信確立処理がなされる。
【0134】
具体的には、携帯端末10では、Bluetoothリンクが確立されて無線通信可能な状態になったクレードル60から受信された認証情報が情報コードCから読み取られた認証情報に一致すると(
図25のS117でYes)、記憶部42に記憶されるハッシュ値がクレードル60に送信される(S151)。その後に、更新用の情報が受信されると(S153でYes)、当該更新用の情報に応じて記憶部42の設定値が更新される(S155)。クレードル60では、Bluetoothリンクが確立されて無線通信可能な状態になった携帯端末10に対して認証情報を送信した後(
図26のS211a)、携帯端末10から設定情報として受信したハッシュ値と記憶部72のハッシュ値とが一致しない場合に(S233でNo)、記憶部72に記憶される設定値が更新用の情報として携帯端末10に送信される(S235)。このようにしても、ユーザが設定変更用の操作をすることなく、今回無線接続したクレードル60に合わせて携帯端末10を設定変更することができる。
【0135】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る無線通信システムについて、図面を参照して説明する。
本第7実施形態では、携帯端末でのアドバタイジング処理時に、識別情報等に加えてハッシュ値等の設定情報をアドバタイジング(通知)する点が、上記第6実施形態と主に異なる。したがって、第6実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0136】
本実施形態では、携帯端末10からクレードル60へのハッシュ値等の設定情報の送信を、上記第6実施形態のようなBluetoothリンクが確立した無線通信開始時ではなく、識別情報等のアドバタイジング(通知)時に行うことで、携帯端末10とクレードル60との間でデータ送受信可能となるまでの時間の短縮を図る。
【0137】
以下、本実施形態において、無線接続したクレードル60に合わせて携帯端末10の設定を変更可能としつつ、携帯端末10がスレーブとして動作するとともにクレードル60がマスターとして動作するために、携帯端末10にてなされる無線通信確立処理及びクレードル60にて無線通信確立処理について、図面を参照して詳述する。
【0138】
まず、携帯端末10の制御部41にてなされる無線通信確立処理について、
図27に示すフローチャート等を参照して説明する。
上記第6実施形態と同様に、制御部41にて無線通信確立処理が開始されて、撮像されたクレードル60の情報コードCから識別情報等が読み取られると(
図27のS101でYes)、クレードル60から接続指示を受け付けるまで、ステップS107aに示すアドバタイジング処理がなされる。この処理では、指示情報とともに読み取られた識別情報と記憶部42に記憶される設定値から算出されたハッシュ値とが、通信部47を利用して周囲にアドバタイジング(通知)される(
図29のF11a参照)。
【0139】
そして、表示要求された指定情報が上記認証情報に一致することで(S117でYes)、クレードル60とのBluetoothリンクが確立された後(S119:
図29のF18参照)、そのクレードル60から上述した更新用の情報が受信されると(S153でYes)、当該更新用の情報に応じて記憶部42の設定値が更新される(S155)。
【0140】
次に、クレードル60の制御部71にてなされる無線通信確立処理について、
図28に示すフローチャート等を参照して説明する。
上記第6実施形態と同様に、制御部71にて無線通信確立処理が開始されて、記憶部72に記憶される識別情報等をアドバタイジングしている携帯端末10が探索されると(
図28のS203でYes)、識別情報とともにアドバタイジングされているハッシュ値(設定情報)が確認される(S239)。続いて、その携帯端末10に対してBluetooth規格に基づく接続要求がなされることで(S205:
図29のF12参照)、上述したように携帯端末10とのBluetoothリンクが確立されて(S213:
図29のF18参照)、無線通信可能な状態になる。
【0141】
この無線通信開始時に、ステップS233に示す判定処理にて、上述のように探索時に確認された携帯端末10からのハッシュ値と記憶部72に記憶されるハッシュ値とが一致するか否かについて判定される。ここで、探索時に確認された携帯端末10からのハッシュ値と記憶部72のハッシュ値とが一致する場合には(S233でYes)、携帯端末10が前回と同じクレードル60と無線接続していると判断して、更新用の情報を送信することなく、本無線通信確立処理が終了する。
【0142】
一方、探索時に確認された携帯端末10からのハッシュ値と記憶部72のハッシュ値とが一致しない場合には(S233でNo)、ステップS235に示す設定値送信処理にて、記憶部72に記憶される設定値が更新用の情報として通信部75を介して携帯端末10に送信される(
図29のF52参照)。
【0143】
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信システム1では、携帯端末10において、記憶部42に記憶される設定値から算出されるハッシュ値が通信部47により識別情報とともにアドバタイジングされ、無線通信開始時にクレードル60から更新用の情報が受信されると、当該更新用の情報に応じて記憶部42の設定値が更新される。クレードル60では、識別情報をアドバタイジングしている携帯端末10の探索成功時に当該携帯端末10から設定情報として受信したハッシュ値と記憶部72に記憶されるハッシュ値とが一致しないと判定されると(S233でNo)、記憶部72に記憶される設定値が更新用の情報として通信部75により携帯端末10に対して送信される(S235)。
【0144】
このようにしても、携帯端末10の探索成功時に当該携帯端末10から受信したハッシュ値と記憶部72に記憶されるハッシュ値とが一致しない場合には、携帯端末10が前回と異なるクレードル60と無線接続していると判断して、携帯端末10の設定値が今回無線接続したクレードル60から受信した更新用の情報に応じて更新される。これにより、ユーザが設定変更用の操作をすることなく、今回無線接続したクレードル60に合わせて携帯端末10を設定変更することができる。
【0145】
携帯端末10でのアドバタイジング処理時に識別情報等に加えてハッシュ値等の設定情報をアドバタイジング(通知)することを前提に、無線接続したクレードル60に合わせて携帯端末10の設定を変更可能とする本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。例えば、上述した第2実施形態に適用する場合には、携帯端末10において
図30に示す無線通信確立処理がなされ、クレードル60において
図31に示す無線通信確立処理がなされる。
【0146】
具体的には、携帯端末10では、識別情報及びハッシュ値をアドバタイジングすることで(
図30のS107a)、クレードル60からの接続要求を受け付けた後(S109でYes)、Bluetoothリンクが確立されて無線通信可能な状態になったクレードル60から受信された認証情報が情報コードCから読み取られた認証情報に一致すると(S117でYes)、更新用の情報が受信されることで(S153でYes)、当該更新用の情報に応じて記憶部42の設定値が更新される(S155)。クレードル60では、記憶部72に記憶される識別情報等をアドバタイジングしている携帯端末10が探索されて(
図31のS203でYes)、識別情報とともにアドバタイジングされているハッシュ値が確認される(S239)。その後、Bluetoothリンクが確立されて無線通信可能な状態になった携帯端末10に対して認証情報を送信した後(S211a)、上述のように確認されたハッシュ値と記憶部72のハッシュ値とが一致しない場合に(S233でNo)、記憶部72に記憶される設定値が更新用の情報として携帯端末10に送信される(S235)。このようにしても、ユーザが設定変更用の操作をすることなく、今回無線接続したクレードル60に合わせて携帯端末10を設定変更することができる。
【0147】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上記第1実施形態等において通信部47を利用してなされるアドバタイジング処理では、利用可能な複数の周波数帯域のうち1又は2以上の既定の周波数帯域にて識別情報をアドバタイジングし、クレードル60において通信部75を利用してなされる探索処理では、上記既定の周波数帯域にて識別情報を探索するようにしてもよい。これにより、探索すべき周波数帯域が限定されるためにクレードル60が携帯端末10を探索しやすくなることから無線接続完了までの時間が短縮されるので、携帯端末10が意図しない他の機器に誤接続する可能性をさらに低減することができる。特に、情報コードCに記録される情報等を利用して上記既定の周波数帯域に関する情報を取得することで、既定の周波数帯域を予め決めることなくその使用環境等に応じて携帯端末10が利用しやすい周波数帯域に変えることができる。
【0148】
(2)上記第3実施形態等において通信部47を利用してなされるアドバタイジング処理では、利用可能な複数の周波数帯域のうち1又は2以上の既定の周波数帯域にて共有化された所定の認証情報をアドバタイジングし、クレードル60において通信部75を利用してなされる探索処理では、上記既定の周波数帯域にて共有化された所定の認証情報を探索するようにしてもよい。これにより、探索すべき周波数帯域が限定されるためにクレードル60が携帯端末10を探索しやすくなることから無線接続完了までの時間が短縮されるので、携帯端末10が意図しない他の機器に誤接続する可能性をさらに低減することができる。特に、情報コードCに記録される情報等を利用して上記既定の周波数帯域に関する情報を取得することで、既定の周波数帯域を予め決めることなくその使用環境等に応じて携帯端末10が利用しやすい周波数帯域に変えることができる。
【0149】
(3)本発明は、QRコード等を光学的に読み取る携帯端末10とその携帯端末10を充電するクレードル60との2つの機器を無線通信可能に接続する無線通信システムに採用されることに限らず、他の機能を有する携帯型の機器(常時充電されない機器)と外部機器となる他の機器とを無線通信可能に接続する無線通信システムに採用されてもよい。
【0150】
(4)本発明は、Bluetooth規格に基づく無線通信方式にて携帯端末及び外部装置の2つの機器を無線通信可能に接続する無線通信システムに採用されることに限らず、所定の情報をアドバタイジングする一方の機器とその所定の情報を探索する他方の機器とを他の無線通信方式にて無線通信可能に接続する無線通信システムに採用されてもよい。
【0151】
(5)識別情報等は、携帯端末10によって、クレードル60に付された情報コードCから光学的に読み取られることに限らず、所定の媒体に表示された情報コードから光学的に読み取られてもよい。また、識別情報等は、携帯端末10が取得部として有する他の情報読取機能を利用することで、例えば、所定の媒体に付された無線タグ等から読み取られてもよい。
【符号の説明】
【0152】
1…無線通信システム
10…携帯端末
41…制御部(取得部,判定部,端末側無線通信部)
42…記憶部(端末側設定情報記憶部)
43…撮像部(取得部)
47…通信部(端末側無線通信部)
60…クレードル(外部装置)
71…制御部(装置側無線通信部,判定部)
72…記憶部(装置側設定情報記憶部)
75…通信部(装置側無線通信部)
C…情報コード