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特開2022-179377再生ペットボトルの量表示システム及び再生ペットボトル取得システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179377
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】再生ペットボトルの量表示システム及び再生ペットボトル取得システム
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/00 20060101AFI20221125BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20221125BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20221125BHJP
   B09B 101/75 20220101ALN20221125BHJP
   B09B 101/10 20220101ALN20221125BHJP
【FI】
B29B17/00 ZAB
B09B5/00 Q
G06Q10/00 400
B09B101:75
B09B101:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078090
(22)【出願日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2021084872
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517219100
【氏名又は名称】株式会社アライン
(74)【代理人】
【識別番号】110002114
【氏名又は名称】特許業務法人河野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100128624
【弁理士】
【氏名又は名称】穂坂 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138483
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 晃一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 正浩
【テーマコード(参考)】
4D004
4F401
5L049
【Fターム(参考)】
4D004AA10
4D004AA27
4D004BA06
4D004CA02
4D004CA07
4D004CA14
4D004CA29
4D004DA16
4F401AA22
4F401AC11
4F401BA13
4F401CA13
4F401CA22
4F401CA58
4F401DB00
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】
再商品化のラインを経て再生ペットボトルを得るにあたり、得られた再生ペットボトルの原料が使用済みペットボトルであることを把握できるシステム、そのような再生ペットボトルがいつ得られるかが把握できるシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】
回収箱から回収する際の重量と、全ての工程を経て再生ペットボトルになった際の重量との間の予測歩留り情報と予測必要日数を取得しておく。回収箱から回収した際の重量と、回収箱から回収した日が判明すれば、計算によって、原料が使用済みペットボトルである再生ペットボトルの重量が判明し、両者を紐づけられる。
【選択図】 図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再商品化のラインを経て使用済みペットボトルから得られる再生ペットボトルの量を表示する再生ペットボトルの量表示システムであって、
再商品化の過程で減少する重量の割合である歩留りをあらかじめ予測して得た予測歩留り情報と前記再商品化のラインに投入した使用済みペットボトルの重量である投入量情報とに基づき得られる再生ペットボトルの重量を算出する重量算出手段を備えた再生ペットボトルの量表示システム。
【請求項2】
再商品化によって再生ペットボトルが得られるまでに要する期間をあらかじめ予測して得た予測再商品化期間と前記再商品化のラインに使用済みペットボトルを投入した時である投入時情報とに基づき前記再生ペットボトルが得られる時を算出する時算出手段を備えており、
前記時算出手段によって得られた前記再生ペットボトルが得られる時を表示することを特徴とする請求項1に記載の再生ペットボトルの量表示システム。
【請求項3】
再商品化のラインを経て使用済みペットボトルから再生ペットボトルを得る再生ペットボトル取得システムであって、
再商品化の過程で減少する重量の割合である歩留りをあらかじめ予測して得た予測歩留り情報と前記再商品化のラインに投入した使用済みペットボトルの重量である投入量情報とに基づき得られる再生ペットボトルの重量を算出する重量算出手段を備えた再生ペットボトル取得システム。
【請求項4】
再商品化によって再生ペットボトルが得られるまでに要する期間をあらかじめ予測して得た予測再商品化期間と前記再商品化のラインに使用済みペットボトルを投入した時である投入時情報とに基づき前記再生ペットボトルが得られる時を算出する時算出手段を備えた請求項3に記載の再生ペットボトル取得システム。
【請求項5】
再商品化に複数の工程があり、
工程毎に各工程の結果物である再生ペットボトル中間体が得られ、
前記予測歩留り情報が再生ペットボトル中間体毎に得られ、
再生ペットボトル中間体毎に得られた予測歩留まり情報と前記投入量情報とに基づき、
再生ペットボトル中間体の重量を算出する再生ペットボトル中間体重量算出手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の再生ペットボトル取得システム。
【請求項6】
再商品化に複数の工程があり、
工程毎に各工程の結果物である再生ペットボトル中間体が得られ、
再生ペットボトル中間体が得られるまでに要する期間をあらかじめ予測して得た予測再生ペットボトル中間体取得期間と前記再商品化のラインに使用済みペットボトルを投入した時である投入時情報とに基づき
前記再生ペットボトル中間体が得られる時を算出する再生ペットボトル中間体取得時算出手段を備えた請求項4に記載の再生ペットボトル取得システム。
【請求項7】
使用済みペットボトルを再商品化のラインに投入する以前に使用済みペットボトルを回収する使用済みペットボトル回収手段を備えており、
前記使用済みペットボトル回収手段には前記予測歩留りの値が異なる回収手段である一の回収手段と他の回収手段があり、
前記重量算出手段において、適用する予測歩留りを回収手段に応じて決定する適用予測歩留り決定手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の再生ペットボトル取得システム。
【請求項8】
前記重量算出手段によって得られた再生ペットボトルの重量を表示する手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の再生ペットボトル取得システム。
【請求項9】
前記特算出手段によって得られた再生ペットボトルが得られる時を表示する手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の再生ペットボトル取得システム。
【請求項10】
使用済みペットボトルを再商品化のラインに投入する以前に使用済みペットボトルを回収する使用済みペットボトル回収手段を備えており、
前記使用済みペットボトル回収手段により回収された全回収物にはペットボトル以外の回収物が含まれており、
前記全回収物から選出して得たペットボトルを前記再商品化のラインに投入するにあたり、
前記全回収物のうちペットボトルが占める重量の割合を予測して得た予測ペットボトル割合と前記全回収物の重量とに基づいて算出されたペットボトル重量を、
前記全回収物から選出して得たペットボトルの重量として用いることを特徴とする請求項3に記載の再生ペットボトル取得システム。
【請求項11】
前記ペットボトル以外の回収物にアルミ缶及びスチール缶が含まれており、
前記全回収物のうちアルミ缶が占める重量の割合を予測して得た予測アルミ缶割合と前記全回収物の重量とに基づいて算出して全回収物中のアルミ缶の重量を取得し、
前記全回収物のうちスチール缶が占める重量の割合を予測して得た予測スチール缶割合と前記全回収物の重量とに基づいて算出して全回収物中のスチール缶の重量を取得することを特徴とする請求項10に記載の再生ペットボトル取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
再商品化のラインを経て使用済みペットボトルから得られる再生ペットボトルの量を表示するシステムに関する。また、そのような再生ペットボトルを取得するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般廃棄物の減量と資源の有効活用の確保が世界規模で求められており、その一環でペットボトルは、容器包装リサイクル法により再商品化義務のある容器包装とされている。ペットボトルのリサイクルには、カスケードリサイクルといわれる繊維やシートにして再商品化するものと、水平リサイクルといわれるペットボトルとして再商品化するものとがある。カスケードリサイクルでは、再商品化で得られた商品は廃棄されることが多い。一方、水平リサイクルでは、再商品化により得られたペットボトルが、使用後に再度ペットボトルとして再商品化されるといった循環が生じ得る。よってペットボトルの再商品化にあっては、水平リサイクルによりペットボトルとして再商品化することが、資源の有効利用を持続的に行うことができる点で望ましい。
【0003】
上記に鑑み、ペットボトルの製造者・販売者等は、使用済みペットボトルの再商品化義務を負っており、さらに、新たなペットボトルの利用にあたり、水平リサイクルによる、使用済みペットボトルからの再商品化で得たペットボトルを利用することが推奨されている。
【0004】
ところが、次に説明する通り、再商品化で得たペットボトルの原料が、使用済みペットボトルであったか否かを判断するのは困難であった。なお、ここにいう再生ペットボトルは同じボトルを洗浄して再使用するいわゆるリターナブルペットボトルを対象外としている。
【0005】
図3に、使用済みのペットボトルから再生ペットボトルを得る工程を示す。
[ベール]回収したペットボトルを、輸送しやすくするために、圧縮し、結束材で梱包して俵状にする。
[フレーク]ペットボトルを洗浄し異物を除去して、再溶解用に細かく粉砕し(約8mm角くらい)、乾燥させる。
[ペレット]フレークを加熱し溶解させたのち、粒状にする。
[プリフォーム]ペレットを溶かして試験管型にする。この後、飲料メーカー等ペットボトルを利用する者が望むペットボトルの形体に膨らませて、最終的な再生ペットボトルとなる。
【0006】
上記工程において、まず、ベールの段階で、個々のベールはペットボトルのみで構成されるとは限らない。廃棄物の収集は廃棄物の種類に分けて行おうとされてはいるものの、現実には分別は不完全である。廃棄物の回収箱には、ペットボトル以外のプラスチック製容器包装、ビンや缶、といったものが混入している。これらの廃棄物はベールにする前段階である程度分別され、ペットボトルのみがベール化されることが好ましいが、分別の程度は回収業者次第である。
【0007】
また、フレークの段階では、ペットボトルと他のプラスチック製容器包装が混在することが多い。材料の共通性から、ペットボトルとプラスチック製容器包装はいずれもフレークの対象だからである。
【0008】
図4に、使用済みペットボトルから再生ペットボトルを得る工程を、その工程を司る主体の観点を加味して示す。なお、図4では地方公共団体等が処理を扱う家庭ごみを対象外に表示している。
【0009】
ペットボトルの回収は、ペットボトルの再商品化義務を負う者が行っている。回収箱Aは小売店Aの店頭に置かれた回収箱であり、回収箱Bは小売店Bの店頭に置かれた回収箱である。それぞれの回収箱はそれぞれの小売店が管理している。ここにいう小売店とは、ペットボトル飲料等を小売しているものであり、例えばスーパーマーケットやドラッグストアである。また、管理とは、回収箱内の廃棄物の回収を回収業者に依頼し、いずれの回収業者が、いつ、どれほどの量を回収したかを把握することをいう。回収箱Cは自動販売機横に置かれた回収箱であり、各自動販売機で販売されている商品を製造販売する企業(いわゆる飲料メーカー)が自らの管理で回収し、いつどれほどの量を回収したかを把握している。
【0010】
ベール工程を司るのは、通常はペットボトルを回収する者である。図4ではこの者を回収・ベール業者と表現している。回収・ベール業者は、ベール化したペットボトルを、次の工程を行う者に搬入する。ベール工程の次の工程はフレーク工程であるところ、フレーク工程とその次の段階のペレット工程はまとめて一つの業者が行うことが多い。図4ではこの者をフレーク・ペレット業者と表現した。フレーク工程とペレット工程の個々を別の者が司ることもある。また、図4に示す通り、回収箱Aで回収されたペットボトルと回収箱Bで回収されたペットボトルのフレーク工程・ペレット工程を、共通のフレーク・ペレット業者Aが司ることもある。ペレット化された商品は、さらに、プリフォーム工程を行う者のもとに搬入される。プリフォーム化された商品は次にペットボトル化する者の下に搬入される。ペットボトル化された最終商品は飲料メーカーAに搬入される。
【0011】
上記の通り、使用済みペットボトルは、回収箱から回収された後は、再商品化の工程で、他の回収箱から回収された使用済みペットボトルと混ざり合い、また他のプラスチック製容器包装とも混ざり合う。このため、再商品化の過程を経て得られた再生ペットボトルとその原料となった使用済みペットボトルを紐づけることはほぼできないと考えられていた。再生ペットボトルを、その原料であった使用済みペットボトルと紐づけることができれば、その紐づけられた再生ペットボトルについては、水平リサイクルによる再生ペットボトルということができる。飲料メーカーや小売業者等、再商品化義務を負う者は、再商品化の内容が水平サイクルであり、果すべき義務を果たしたことを知ることができる手段を嘱望していた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】https://www.petbottle-rec.gr.jp/more/recycling.htmlPETボトルリサイクル推進協議会のホームページ「再商品化(事業者)」2021年3月10日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
再商品化のラインを経て再生ペットボトルを得るにあたり、得られた再生ペットボトルの原料が使用済みペットボトルであることを把握できるシステムを提供することを課題とする。また、商品化ラインを経て再生ペットボトルを得るにあたり、得られる再生ペットボトルの重量を把握できるシステムを提供することを課題とする。
【0014】
再商品化のラインを経て再生ペットボトルを得るにあたり、得られた再生ペットボトルの原料が使用済みペットボトルであり、そのような再生ペットボトルがいつ得られるかが把握できるシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)再商品化のラインを経て使用済みペットボトルから得られる再生ペットボトルの量を表示する再生ペットボトルの量表示システムであって、再商品化の過程で減少する重量の割合である歩留りをあらかじめ予測して得た予測歩留り情報と前記再商品化のラインに投入した使用済みペットボトルの重量である投入量情報とに基づき得られる再生ペットボトルの重量を算出する重量算出手段を備えた再生ペットボトルの量表示システムによって課題を解決する。
(2)再商品化によって再生ペットボトルが得られるまでに要する期間をあらかじめ予測して得た予測再商品化期間と前記再商品化のラインに使用済みペットボトルを投入した時である投入時情報とに基づき前記再生ペットボトルが得られる時を算出する時算出手段を備えており、前記時算出手段によって得られた前記再生ペットボトルが得られる時を表示することを特徴とする(1)に記載の再生ペットボトルの量表示システムによって課題を解決する。
(3)再商品化のラインを経て使用済みペットボトルから再生ペットボトルを得る再生ペットボトル取得システムであって、
再商品化の過程で減少する重量の割合である歩留りをあらかじめ予測して得た予測歩留り情報と前記再商品化のラインに投入した使用済みペットボトルの重量である投入量情報とに基づき得られる再生ペットボトルの重量を算出する重量算出手段を備えた再生ペットボトル取得システムによって課題を解決する。
(4)再商品化によって再生ペットボトルが得られるまでに要する期間をあらかじめ予測して得た予測再商品化期間と前記再商品化のラインに使用済みペットボトルを投入した時である投入時情報とに基づき前記再生ペットボトルが得られる時を算出する時算出手段を備えた(3)に記載の再生ペットボトル取得システムによって課題を解決する。
(5)再商品化に複数の工程があり、工程毎に各工程の結果物である再生ペットボトル中間体が得られ、前記予測歩留り情報が再生ペットボトル中間体毎に得られ、再生ペットボトル中間体毎に得られた予測歩留まり情報と前記投入量情報とに基づき、再生ペットボトル中間体の重量を算出する再生ペットボトル中間体重量算出手段を備えることを特徴とする(3)に記載の再生ペットボトル取得システムによって課題を解決する。
(6)再商品化に複数の工程があり、工程毎に各工程の結果物である再生ペットボトル中間体が得られ、再生ペットボトル中間体が得られるまでに要する期間をあらかじめ予測して得た予測再生ペットボトル中間体取得期間と前記再商品化のラインに使用済みペットボトルを投入した時である投入時情報とに基づき前記再生ペットボトル中間体が得られる時を算出する再生ペットボトル中間体取得時算出手段を備えた(4)に記載の再生ペットボトル取得システムによって課題を解決する。
(7)使用済みペットボトルを再商品化のラインに投入する以前に使用済みペットボトルを回収する使用済みペットボトル回収手段を備えており、前記使用済みペットボトル回収手段には前記予測歩留りの値が異なる回収手段である一の回収手段と他の回収手段があり、前記重量算出手段において、適用する予測歩留りを回収手段に応じて決定する適用予測歩留り決定手段を備えることを特徴とする(3)に記載の再生ペットボトル取得システムによって課題を解決する。
(8)前記重量算出手段によって得られた再生ペットボトルの重量を表示する手段を備えることを特徴とする(3)に記載の再生ペットボトル取得システムによって課題を解決する。
(9)前記特算出手段によって得られた再生ペットボトルが得られる時を表示する手段を備えることを特徴とする(4)に記載の再生ペットボトル取得システムによって課題を解決する。
(10)使用済みペットボトルを再商品化のラインに投入する以前に使用済みペットボトルを回収する使用済みペットボトル回収手段を備えており、前記使用済みペットボトル回収手段により回収された全回収物にはペットボトル以外の回収物が含まれており、前記全回収物から選出して得たペットボトルを前記再商品化のラインに投入するにあたり、前記全回収物のうちペットボトルが占める重量の割合を予測して得た予測ペットボトル割合と前記全回収物の重量とに基づいて算出されたペットボトル重量を、前記全回収物から選出して得たペットボトルの重量として用いることを特徴とする(3)に記載の再生ペットボトル取得システムによって課題を解決する。
(11)前記ペットボトル以外の回収物にアルミ缶及びスチール缶が含まれており、前記全回収物のうちアルミ缶が占める重量の割合を予測して得た予測アルミ缶割合と前記全回収物の重量とに基づいて算出して全回収物中のアルミ缶の重量を取得し、前記全回収物のうちスチール缶が占める重量の割合を予測して得た予測スチール缶割合と前記全回収物の重量とに基づいて算出して全回収物中のスチール缶の重量を取得することを特徴とする(10)に記載の再生ペットボトル取得システムによって課題を解決する。
【0016】
予測歩留り情報を予め取得しておくことがこの発明の重要点である。ここに歩留りとは、再商品化の過程で減少する重量の割合である。ペットボトルの再商品化は、前述の通り、複数の工程(ベール工程、フレーク工程、ペレット工程、プリフォーム工程)を経る。そこで、再商品化の工程に入る前のペットボトルの重量とベール工程を経たのちのペットボトルの重量の割合、再商品化の工程に入る前のペットボトルの重量とフレーク工程を経たのちの重量の割合、・・・・といった、工程毎の歩留まりを取得する。また、再商品化の工程に入る前のペットボトルの重量と、全ての工程を経て再生されたペットボトルの重量の割合である歩留まりを取得する。ペットボトルは、再商品化の過程において、汚れを取る、溶融させる、粒状に加工する、といった作業が行われるため重量が減少する。そして、これらの作業はほぼ確立しており、いずれの業者が行ってもほぼ同様の歩留りとなるため、歩留まりの予測ができる。回収箱から回収する際の重量と、全ての工程を経て再生ペットボトルになった際の重量との間の歩留り情報を取得しておくことにより、あとは回収箱から回収した対象物の重量の測定値を得ることで、計算によって、各工程後の結果物の重量が判明する。また、計算によって、最終的に得られる再生ペットボトルの重量が判明する。こうして得られた再生ペットボトルは、再生ペットボトルを容器として利用する飲料メーカー等に搬入され再利用される。
【0017】
使用済みペットボトルの回収から再生ペットボトルが飲料メーカーに搬入されるまでの経過をシステム管理者が管理し、かつ、原料が使用済みペットボトルである再生ペットボトルの重量を提示することにより、飲料メーカーに搬入する再生ペットボトルの原料が使用済みペットボトルであることの裏付けができる。
【0018】
システム管理者は、原料が使用済みペットボトルである再生ペットボトルの重量を飲料メーカー等に知らせることができる。
【0019】
このようにして、飲料メーカーが水平リサイクルによる再生ペットボトルを利用することにより、ペットボトルに関し資源の持続的な有効活用が実現される。
【0020】
ペットボトルの再商品化の工程がほぼ確立していることにより、回収箱から回収した時から全ての工程を経て再生ペットボトルになる時までに要する期間についても、ある程度予測することができる。再商品化の各工程の結果物を得るまでの期間についても同様である。その期間を予測して設定しておくことにより、回収箱から回収した時についての情報があれば、計算により、各工程の結果物を得る時、及び再生ぺットボトルのできる時が判明する。この結果、原料が使用済みペットボトルである再生ペットボトルに関し、その量の情報に加えて、その量の再生ペットボトルのできる時が判明する。その結果、この再生ペットボトル取得システムにおいて、そのような再生ペットボトルのできる時についても併せて管理の対象にすることができる。再生ペットボトルを利用する飲料メーカーは、水平リサイクルによる再生ペットボトルに関し、その量とその得られる時の双方の情報を得ることができる。
【0021】
使用済みペットボトルの再商品化の作業工程がほぼ確立しているために、使用済みペットボトルの回収時からの重量の減少率は、作業工程毎に予測値を得ることができる。使用済みペットボトルの回収時の重量を知ることにより、作業工程毎に設定された予測歩留りとの積により、各作業工程毎に、得られる途中経過の商品の重量が判明する。作業工程に至る時についても同様である。
【0022】
システム管理者は、作業工程毎に、途中経過の商品を得られる時と、途中経過の商品の量の情報についても知ることができ、これを飲料メーカー等に知らせることができる。
【0023】
予測歩留りに関し、使用済みペットボトルの回収手段次第で、適用すべき予測歩留りが異なる場合がある。その場合には、回収手段に関する情報に基づき、適用すべき予測歩留りを決定する必要がある。
【0024】
重量算出手段によって得られた再生ペットボトルの重量や、時算出手段によって得られた再生ペットボトルの得られる時を表示する手段は、従来の手段を利用する。
【0025】
予測歩留りと予測商品化期間は、直近の平均値に基づき見直しがされ、再生ペットボトル等の得られる量と時に関し、予測値が実際の値と同様になるようにされる。
【発明の効果】
【0026】
再商品化のラインを経て再生ペットボトルを得るにあたり、得られた再生ペットボトルの原料が使用済みペットボトルであることを把握できるシステムを提供することができる。
【0027】
再商品化のラインを経て再生ペットボトルを得るにあたり、得られた再生ペットボトルの原料が使用済みペットボトルであり、そのような再生ペットボトルがいつ得られるかが把握できるシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】システム管理者端末のハードウェア的な構成を示す。
図2】システム管理者のコンピュータと他のコンピュータの関係を示す。
図3】ペットボトル再商品化の工程を示す。
図4】ペットボトル再商品化の工程を示す。
図5】各工程の予測歩留りを示す(実施例1)。
図6】各工程の予測日数を示す(実施例1)。
図7】再生ペットボトル完成までの予測日数と予測歩留りを示す(実施例1)。
図8】回収時の入力画面を示す(実施例1)。
図9】回収時の入力画面を示す(実施例1)。
図10】回収時の入力画面を示す(実施例1)。
図11】回収時の入力画面を示す(実施例1)。
図12】搬入量取得処理をフローチャートで示す(実施例1)。
図13】搬入日取得処理をフローチャートで示す(実施例1)。
図14】予測歩留り決定処理をフローチャートで示す(実施例1)。
図15】予測再商品化期間決定処理をフローチャートで示す(実施例1)。
図16】搬入量取得処理をフローチャートで示す(実施例1)。
図17】搬入日取得処理をフローチャートで示す(実施例1)。
図18】回収量閲覧画面を示す(実施例1)。
図19】回収量閲覧画面を示す(実施例1)。
図20】供給量閲覧画面を示す(実施例1)。
図21】調達量閲覧画面を示す(実施例1)。
図22】調達量閲覧画面を示す(実施例1)。
図23】自動販売機横回収箱で回収される廃棄物を示す(実施例2)。
図24】自動販売機横の回収箱での回収物の予測重量比を示す(実施例2)。
図25】各回収量取得処理をフローチャートで示す(実施例2)。
図26】回収量閲覧画面を示す(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[発明の概要]
実施例に係る発明を、次の順序で説明する。
[実施例1]
1.システム構成(図1図7
2.回収ペットボトルの記録(図8図11
3.飲料メーカー等への搬入量と搬入日の計算・記録・表示(図12図17
4.使用済みペットボトルの回収量の計算・記録・表示(図18図19
5.水平リサイクルによる再生ペットボトルの供給量と調達量の計算・記録・表示(図20図22
[実施例2]
6.自動販売機横の回収箱における、回収物の回収量の計算・記録・表示(図23図26
【実施例0030】
[1.システム構成(図1図7)]
図1に実施例のシステムのシステム管理者端末1のハードウェア的な構成を示す。システム管理者端末1は、システム全体を制御するための制御部2を備えている。この制御部2には、データバス等のバスライン9を介して、入力装置6、表示装置7、通信制御装置8、記憶装置10が接続されている。
【0031】
制御部2は、CPU3、ROM4、RAM5を備えている。CPU3は、ROM4や記憶装置等の各種記憶部に記憶されたプログラムに従って、各種の情報処理や制御を行う。ROM4は、CPU3が各種制御や演算を行うための各種プログラムやデータが予め格納されたリードオンリーメモリである。RAM5は、CPU3にワーキングメモリとして使用されるランダムアクセスメモリである。このRAM5には、本実施形態による各種処理を行うための各種エリアが確保可能になっている。
【0032】
入力装置6には、キーボード、マウス、タッチパネル等が配置される(図示せず)。キーボードには、文字入力のためのキー、数字を入力するためのテンキー、各種機能を実行するための機能キー、カーソルキー、等の各種キーが配置されている。マウスは、ポインティングデバイスであり、表示装置7に表示されたキーやアイコン等をクリックすることで対応する機能の指定を行う入力装置である。タッチパネルは、表示装置7の表面に配置される入力機器で、表示装置7に画面表示された各種操作キーに対応したユーザのタッチ位置を特定し、当該タッチ位置に対応して表示された操作キーの入力を受け付ける。
【0033】
表示装置7は、CRTや液晶ディスプレイ等が使用される。この表示装置には、キーボードやマウスによる入力結果が表示されたり、イメージ情報が表示されたりする。
【0034】
通信制御装置8は、システム管理者端末1と他のパーソナルコンピュータ等の各種外部電子機器との間をネットワーク接続するための制御装置である。通信制御装置8は、これら各種外部電子機器からシステム管理者端末1にアクセスすることが可能になっており、外部電子機器から検索条件文を入力することができる。
【0035】
記憶装置10は、読み書き可能な記憶媒体と、その記憶媒体に対してプログラムやデータ等の各種情報を読み書きするための駆動装置で構成されている。この記憶装置10に使用される記憶媒体としては、主としてハードディスクが使用される。記憶装置10は、データ格納部11、プログラム格納部12、及び図示しないその他の格納部(例えば、この記憶装置10内に格納されているプログラムやデータ等をバックアップするための格納部)等を有する。データ格納部11には、後述の通り本実施形態においてシステムが必要とするデータが格納されている。プログラム格納部12には、後述の通り本実施形態における各種処理プログラムが格納されている。
【0036】
本実施形態のシステム管理者端末1は、コンピュータシステムで構成するだけでなく、LANのサーバ、コンピュータ通信のホスト、インターネット上に接続されたコンピュータシステム等によって構成することも可能である。また、ネットワーク上の各機器に機能分散させ、ネットワーク全体でシステム管理者端末1と同様の構成とすることも可能である。
【0037】
図2に示す通り、実施例に係るシステムは、システム管理者のコンピュータと、回収箱管理者のコンピュータと、各再商品化事業者のコンピュータと、飲料メーカー事業者のコンピュータと、ネットワークまたはLAN等の情報通信網で接続されている。実施例に係るシステムは、コンピュータシステムで構成するだけでなく、LANのサーバ、コンピュータ通信のホスト、インターネット上に接続されたコンピュータシステム等によって構成することも可能である。
【0038】
図1に示す通り、記憶装置10はデータ格納部11とプログラム格納部12とを備える。
データ格納部11は、
(a)回収箱管理者情報記録装置、
(b)再商品化事業者情報記録装置、
(c)飲料メーカー情報記録装置、
(d)予測される歩留り情報記録装置、
(e)予測される必要日数情報記録装置、
(f)搬入情報記録装置、を備える。
プログラム格納部12は、
(g)適用歩留り決定処理、
(h)搬入日取得処理、
(i)搬入量取得処理、
(j)表示処理、
(k)予測歩留り決定処理、
(l)予測商品化期間決定処理、のための各プログラムを備える。
【0039】
(a)回収箱管理者情報記録装置には次の事項が記録される。
・実施例の管理システムを利用する回収箱管理者の基本情報(名称、住所等)
・回収箱の廃棄物の回収業者、回収日、回収量
回収箱管理者とは、図4で例示する小売店A、小売店B、等、廃棄物回収用の箱を設置している者をいう。
【0040】
(b)再商品化事業者情報記録装置には次の事項が記録される。
・実施例の管理システムを利用する各再商品化事業者の基本情報(名称、住所等)
・各工程の商品の搬入元、搬入先、搬入量、搬入日
再商品化事業者とは、ペットボトルの再商品化を行う事業者をいう。すなわちペットボトルを回収する事業者、ベール化する事業者、フレーク化する事業者、ペレット化する事業者、プリフォーム化する事業者及びペットボトル化事業者である。複数の作業を行う事業者もある。
【0041】
(c)飲料メーカー情報記録装置には次の事項が記録される。
・実施例の管理システムを利用する飲料メーカーの基本情報(名称、住所等)
・自動販売機横の回収箱の管理者・回収者に関する基本情報(名称、住所等)
・ペットボトルの搬入元、搬入先、搬入量、搬入日
飲料メーカーとは、飲料を製造し、容器としてのペットボトルに飲料を充填して、ペットボトル飲料を製造する事業者をいう。
【0042】
(d)予測される歩留り情報記録装置には次の事項が記録される。
・計算によって得た、再生ペットボトルが完成するまでの予測される歩留り
・計算によって得た、各工程における予測される歩留り
・修正されて得た、再生ペットボトルが完成するまでの予測される歩留り
・修正されて得た、各工程における予測される歩留り
【0043】
(e)予測される必要日数情報記録装置には次の事項が記録される。
・計算によって得た、再生ペットボトルが完成するまでの、予測される必要日数
・計算によって得た、各工程における、予測される必要日数
・修正されて得た、再生ペットボトルが完成するまでの、予測される必要日数
・修正されて得た、各工程における、予測される必要日数
【0044】
(f)搬入情報記録装置には次の事項が記録される。
・計算によって得た、各工程での搬入量
・計算によって得た、完成した再生ペットボトルの搬入量
・計算によって得た、各工程での搬入日
・計算によって得た、完成した再生ペットボトルの搬入日
【0045】
(g)適用歩留り決定処理には、適用すべき歩留りを決定するためのプログラムが記録される。
【0046】
(h)搬入日取得処理には、搬入日を計算して取得するためのプログラムが記録される。
【0047】
(i)搬入量取得処理には、搬入量を計算して取得するためのプログラムが記録される。
【0048】
(j)表示処理には再生ペットボトルの回収量、供給量、調達量、等を表示するためのプログラムが記録される。
【0049】
(k)予測歩留り決定処理には予測歩留りを見直し、決定するためのプログラムが記録される。
【0050】
(l)予測商品化期間決定処理には予測商品化期間を見直し、決定するためのプログラムが記録される。
【0051】
図5に、各工程で予測される歩留り(重量%)を示す。これらの値は、各工程で得られる途中経過の商品の重量を実際の重量を計測して得た値の平均値である。図では、小売店店頭の回収箱で回収した場合の歩留りと、自動販売機横の回収箱で回収した場合の歩留りの双方を表示している。
【0052】
小売店店頭の回収箱で回収した場合の歩留りは次の通りである。回収業者は、回収箱の廃棄物を袋に入った状態で回収する。この場合の廃棄物は、ペットボトル用の回収箱である場合と、ペットボトル用という限定のされていない回収箱である場合のいずれもある。ベール化は回収業者が行うことが多い。ベール化の際、回収廃棄物に混入しているペットボトル以外の廃棄物を取り除く必要がある。また、汚れのひどいペットボトルも取り除く必要がある。そのような仕分けを行った結果、重量は減少する。
【0053】
小売店店頭の回収箱で回収した廃棄物では、ベール化したものの重量の、回収箱から回収した際の重量と比較した割合の平均値は80%である。同様に、フレークの重量の、ベールの重量と比較した割合の平均値は98%であり、ペレットの重量の、フレークの重量と比較した割合の平均値は98%であり、プリフォームの重量の、ペレットの重量と比較した割合の平均値は95%であり、再生ペットボトルの重量の、プリフォームの重量と比較した割合の平均値は98%である。そこで、それぞれの値が予測歩留りとなる。
【0054】
自動販売機横の回収箱で回収した廃棄物では、ベール化したものの重量の、回収箱から回収した際の重量と比較した割合の平均値は70%である。同様に、フレークの重量の、ベールの重量と比較した割合の平均値は92%であり、ペレットの重量の、フレークの重量と比較した割合の平均値は92%であり、プリフォームの重量の、ペレットの重量と比較した割合の平均値は92%であり、再生ペットボトルの重量の、プリフォームの重量と比較した割合の平均値は97%である。そこで、それぞれの値が予測歩留りとなる。
【0055】
自動販売機横の回収箱は、小売店店頭の回収箱と比べて、予測歩留りが低い。これは、自動販売機横の回収箱は、回収箱の管理者が近辺に居ないことも影響して、ペットボトル以外の廃棄物の混入が多いためと、廃棄物の汚れが激しいためである。
【0056】
図6に、各工程で必要な予測日数を示す。これらの値は、各工程の必要日数を計測して得た値の平均値である。図では、小売店店頭の回収箱で回収した場合の予測日数と、自動販売機横の回収箱で回収した場合の予測日数の双方を表示している。
【0057】
小売店店頭の回収箱の廃棄物を回収した日から、ベール化した商品をフレーク工程を司る業者に搬入した日までに要した日数の平均値は3日であり、フレーク化した商品をペレット工程を司る業者に搬入するまでに要した日数の平均値は20日であり、ペレット化した商品をプリフォーム工程を司る業者に搬入するまでに要した日数の平均値は20日であり、プリフォーム化した商品をペットボトル化を司る業者に搬入するまでに要した日数の平均値は30日であり、ペットボトル化した商品を飲料メーカーに搬入するまでに要した日数の平均値は10日である。そこで、それぞれの値が予測必要日数となる。
【0058】
自動販売機の回収箱で回収した廃棄物では、回収した廃棄物からペットボトルを選り分け、ベール化するまでに要した日数の平均値は3日であり、ベール化した商品をフレーク化するまでに要した日数の平均値は15日であり、フレーク化した商品をペレット化するまでに要した日数の平均値は15日であり、ペレット化した商品をプリフォーム化するまでに要した日数の平均値は20日であり、プリフォーム化した商品を再生ペットボトルにするまでに要した日数の平均値は2日である。そこで、それぞれの値が予測必要日数となる。
【0059】
図7に、再生ペットボトル完成までの予測必要日数と予測歩留りを、小売店横の回数箱のから回収した場合と、自動販売機横の回収箱から回収した場合の両方について示す。回収日から、再生ペットボトルを飲料メーカーに搬入するまでに必要な日数は、小売店店舗の回収箱から回収したペットボトルでは73日であり、自動販売機横の回収箱から回収したペットボトルでは70日であった。再生ペッボトルの重量の、回収した際に計測した廃棄物の重量に対する割合は、小売店店舗の回収箱から回収したペットボトルでは68%であり、自動販売機横の回収箱から回収したペットボトルでは40%であった。
【0060】
図5から図7に示すデータは、システム管理者のコンピュータの記憶装置の(d)予測される歩留り情報記録装置と、(e)予測される必要日数情報記録装置に記録される。また後述の通り、予測された歩留りと必要日数の値が適正かどうかを定期的に検証し(図14図15)、変更が必要な場合には変更する。
【0061】
2.回収ペットボトルの記録(図8図11
図4に示す通り、小売店横の回収箱の廃棄物と、自動販売機横の回収箱の廃棄物とでは、回収する者が異なる。これは、廃棄物の再商品化義務の相違に基づく。すなわち、小売店横の回収箱の廃棄物は再商品化義務が小売店にあり、自動販売機横の回収箱の廃棄物は再商品化義務がその自動販売機で飲料を販売する飲料メーカーにあるためである。よって、小売店横の回収箱では、小売店から依頼を受けた回収業者が回収し、自動販売機横の回収箱では、飲料メーカー又はその依頼を受けた回収業者が回収する。
【0062】
図8図9によって、小売店前の回収箱の廃棄物の回収者が、回収情報を入力するための入力画面について説明する。
【0063】
図8に示す通り、小売店の回収箱から回収した回収者の作業画面には、まず、「回収量入力」と「回収量一覧」のいずれの作業を行うか選択するための画面が現れる。回収情報を入力する場合、回収者は「回収量入力」の画面を選択する。「回収量一覧」の画面を選択すると図17に示す回収量閲覧画面が現れる。回収量閲覧画面については後述する。回収者が「回収量入力」の画面を選択すると、図9に示す回収量入力画面が現れる。回収者は、回収量入力画面において、次の事項を入力する。
・回収箱管理者(通常は小売店名)
・回収箱設置場所(通常は小売店の支店名)
・回収数(通常は回収した袋数)
・回収日時
・搬入先(次に搬入する先)
入力された情報は、システム管理者端末1(図1)に送られ、記憶装置10のデータ格納部11の(f)搬入情報記録装置に記録される。
【0064】
図10図11によって、自動販売機横の回収箱の廃棄物の回収者(図面では「飲料メーカー株式会社回収営業所」と表示)が、自動販売機横の回収箱から回収した場合の、回収情報の入力画面について説明する。
【0065】
自動販売機横の回収箱から回収した回収者の作業画面には、まず、図10に示す通り、「回収量入力」と「回収量一覧」のいずれの作業を行うか選択するための画面が現れる。回収情報を入力する場合、回収者は「回収量入力」の画面を選択する。「回収量一覧」の画面を選択すると図18に示す回収量閲覧画面が現れる。回収量閲覧画面については後述する。「回収量入力」の画面を選択すると、図11に示す回収量入力画面が現れる。回収者は、回収量入力画面において、次の事項を入力する。
・回収箱管理者(通常は飲料メーカーの名称)
・回収箱設置場所(通常は自動販売機の番号)
・回収数(通常は回収した袋数)
・回収日時
・搬入先(次に搬入する先)
入力された情報は、システム管理者端末1(図1)に送られ、記憶装置10のデータ格納部11の(f)搬入情報記録装置に記録される。
【0066】
[3.飲料メーカー等への搬入量と搬入日の計算・記録(図12図17)]
再商品化が終了し再生ペットボトルを飲料メーカーに搬入する場合の、搬入量と搬入日の計算・記録のための処理を説明する(図12図13)。また、予測歩留りを見直す処理を説明する(図14図15)。また、再商品化の途中経過の商品の、搬入量と搬入日の計算・記録のための処理を説明する(図16図17)。これらの処理はいずれもシステム管理者の端末のCPUが行う。
【0067】
使用済みペットボトルを再商品化して再生ペットボトルを得るにあたり、図7に示す通り、小売店の店舗前の回収箱で回収される廃棄物から得られるペットボトルと、自動販売機横の回収箱で回収される廃棄物から得られるペットボトルとでは、予測される、得られる再生ペットボトルの重量の割合が異なる。すなわち、予測される歩留りが異なる。これは、小売店横の回収箱では、回収箱の近くに回収箱を管理する小売店があるため、比較的廃棄物分類のルールが守られ、かつ汚れも激しくない一方、自動販売機横の回収箱は、回収箱を管理する者が回収箱の近辺にいないこともあり廃棄物分類のルールが守られず、汚れが激しい場合が多いためである。また、再生ペットボトルを得るまでに再商品化のルートが異なるため、再生ペットボトルが得られるまでに要する日数も異なる。
【0068】
図12によって、予測される搬入量を取得するための処理をフローチャートで説明する。CPUは回収箱の廃棄物の回収者からの、回収量の情報を取得する(S1)。CPUはその回収が小売店の店舗前の回収箱からの回収か否かを判断する(S2)。その回収が小売店の店舗前の回収箱からの回収の場合、CPUは小売店回収箱の歩留りを適用することを決定する(S3)。次に、回収量と歩留りを掛け合わせて、飲料メーカーに搬入される量を取得し(S4)、記録して処理は終了する。すなわち歩留りとして図7の表のデータから68%の歩留りを適用することを決定し、計算して予測される搬入量を取得し記録する。
【0069】
その回収が小売店の店舗前の回収箱からの回収でない場合、CPUはその回収が自動販売機横の回収箱からの回収か否か判断する(S5)。その回収が自動販売機横の回収箱からの回収の場合、CPUは自動販売機横の回収箱の歩留りを適用することが決定する(S6)。次に、回収量と歩留りを掛け合わせて、飲料メーカーに搬入される量を取得し(S7)、記録して処理を終了する。すなわち図7の表のデータから歩留りとして40%を適用することを決定し、計算して予測される搬入量を取得し記録する。
【0070】
その回収が自動販売機横の回収箱からの回収でない場合(S5)、適用するべき歩留りがないので、歩留りを決定せずに処理は終了する。
【0071】
図13によって、予測搬入日取得処理をフローチャートで説明する。CPUは回収箱の廃棄物の回収者からの、回収日の情報を取得する(S8)。CPUはその回収が小売店の店舗前の回収箱からの回収か否かを判断する(S9)。その回収が小売店の店舗前の回収箱からの回収の場合、CPUは小売店回収箱の予測日数を適用することを決定する(S10)。次に、回収日に予測日数を加えて、飲料メーカーに搬入される日を取得し(S11)、記録して処理は終了する。すなわち予測商品化期間として図7の表のデータから予測必要日数として73日を適用することを決定し、計算して予測される搬入日を取得し記録する。
【0072】
その回収が小売店の店舗前の回収箱からの回収でない場合、CPUはその回収が自動販売機横の回収箱からの回収か否か判断する(S12)。その回収が自動販売機横の回収箱からの回収の場合、CPUは自動販売機横の回収箱の予測日数を適用することが決定する(S13)。次に、回収日と予測日数を加えて、飲料メーカーに搬入される日を取得し(S14)、記録して処理を終了する。すなわち図7の表のデータから予測日数として70日を適用することを決定し、回収日に加えて、飲料メーカーに搬入される日を決定し記録する。
【0073】
その回収が自動販売機横の回収箱からの回収でない場合(S12)、適用するべき予測商品化期間がないので、予測商品化期間を決定せずに処理は終了する。
【0074】
予測歩留りや予測日数は、社会情勢や再商品化を行う者の事情等により変化する。このため、再生ペットボトルの得られる量と再生ペットボトルを得るまでに要する日数を実際のものに則したものにするために、予測歩留りと予測日数は定期的に見直しがされる。この見直しは、各商品化事業者毎の数値に対しても行われるし、使用済みペットボトルの回収記録がされたときすなわちスタートから、再生ペットボトルが飲料メーカーに搬入されるまですなわちゴールまでの一括した数値についても行われる。見直された予測歩留りの情報は、システム管理者端末1(図1)に送られ、記憶装置10のデータ格納部11の(d)予測される歩留り情報記録装置に記録される。見直された予測日数の情報は、同様に(e)予測される必要日数情報記録装置に記録される。
【0075】
図14によって、予測歩留りを見直すための、予測歩留り決定処理をフローチャートで説明する。CPUは、直近100例について、減少量の平均値を取得する(S15)。CPUは、得られた平均値が現在の予測歩留りと同じかどうか判断する(S16)。得られた平均値が現在の予測歩留りと同じ場合には、現在の予測歩留りを維持し(S17)、処理は終了する。得られた平均値が現在の予測歩留りと異なる場合には予測歩留りをS11の値に変更し(S18)、記録して処理は終了する。
【0076】
図15によって、予測再商品化期間を見直すための、予測再商品化期間決定処理をフローチャートで説明する。CPUは、直近100例について、商品化に要する日数の平均値を取得する(S19)。CPUは、得られた平均値が現在の予測再商品化期間と同じかどうか判断する(S20)。得られた平均値が現在の予測再商品化期間と同じ場合には、現在の予測再商品化期間を維持し(S21)、処理は終了する。得られた平均値が現在の予測再商品化期間と異なる場合には予測再商品化期間をS15の値に変更し(S22)、記録して処理は終了する。
【0077】
図16によって、再商品化の途中経過における、搬入量取得処理をフローチャートで背明する。CPUは、回収箱管理者の回収量情報を取得する(S23)。CPUは、いずれの搬入先への搬入量と搬入日を知りたいかについての情報、すなわち搬入先情報を取得する(S24)。CPUは、S24で取得した搬入先に搬入した場合の予測歩留り情報を取得する(S25)。CPUは、S23で得た回収量情報と、S25で得た歩留り情報により、搬入先への搬入量を取得し(S26)、処理は終了する。
【0078】
図17によって、再商品化の途中経過における、搬入日取得処理をフローチャートで背明する。CPUは、回収箱管理者の回収日情報を取得する(S27)。CPUは、いずれの搬入先への搬入量と搬入日を知りたいかについての情報、すなわち搬入先情報を取得する(S28)。CPUは、S27で取得した搬入先に搬入した場合の搬入までに要する日数の情報を取得する(S29)。CPUは、S27で得た回収日情報と、S29で得た搬入までに要する日数情報により、搬入先への搬入日を取得し(S30)、記録して処理は終了する。
【0079】
[4.使用済みペットボトルの回収量の計算・記録・表示(図18図19)]
使用済みペットボトルの回収量を閲覧するための画面を説明する。使用済みペットボトルの回収量の情報を必要とするのは、使用済みペットボトルの回収を義務付けられている、小売店と飲料メーカーである。図18は小売店用の閲覧画面であり、小売店横の回収箱での回収量を閲覧する。図19は飲料メーカー用の閲覧画面であり、自動販売機横回収箱での回収量を閲覧する。
【0080】
閲覧画面の表示は、システム管理者のコンピュータのCPUが、管理者のコンピュータのデータ格納部に記録された情報に基づき、周知の表示用プログラムに従って表示処理を行う。
【0081】
図18の閲覧画面は、図8の選択画面で「回収量一覧」が選択されると開く。図19の閲覧画面は、図10の選択画面で「回収量一覧」が選択されると開く。この閲覧画面における各表示の意味内容を図18で説明する。図19における各表示の意味内容は図18と同様である。
【0082】
図18に示す通り、回収量は、一ヶ月毎にまとめられる。図18では2020年11月の回収量を表示している。回収量は、一覧表示と詳細表示で表示される。一覧表示では、回収量、ベール、フレーク・ペレット、プリフォーム、の各段階に分けて、それぞれの合計量が表示される。この数値のうち、回収量は実際の回収量を示すが、ベール、フレーク・ペレット及びプリフォームに示された量は、図16に示す搬入量取得処理によって得られた量を示す。
【0083】
詳細表示では、店名、搬入先、袋数、合計量、日時、の観点で分けて日時順に表示される。これらの表示は、図9に記載する回収量入力画面を介して回収者が入力した情報に基づき表示される。「店名」の欄には小売店の支店名が表示され、回収箱のある場所を知ることができる。「搬入先」の欄には回収された回収箱が運び込まれた先である搬入先が表示される。搬入先次第で、さらに次の搬入先に搬入されるまでに要する日数や、歩留りが異なる場合があるため、搬入先に関する情報が必要となる。「袋数」の欄に回収された袋の数が表示され、「合計」には、合計量が表示される。「日時」には回収箱から回収された日時が表示される。
【0084】
[5.水平リサイクルによる再生ペットボトルの供給量と調達量の計算・記録・表示(図20図22)]
図20によって、水平リサイクルによる再生ペットボトル、すなわち使用済みペットボトルを原料として得られた再生ペットボトルの供給量を、小売店が閲覧するための画面を説明する。供給量は一ヶ月毎にまとめられる。図20では、2020年11月の供給量を表示している。供給量は一覧表示と詳細表示で表示される。一覧表示では、回収量、ベール、フレーク・ペレット、プリフォーム、の各段階に分けて、供給量合計が表示される。この数値のうち、回収量は実際の回収量を示すが、ベール、フレーク・ペレット及びプリフォームの量は、図16に示す搬入量取得処理によって得られた量を示している。詳細表示では、一ヶ月分の供給量が、飲料メーカー毎に、回収量、ベール、フレーク・ペレット、プリフォーム、の各段階に分けて表示される。
【0085】
図21図22によって、水平リサイクルによる再生ペットボトル、すなわち使用済みペットボトルを原料として得られた再生ペットボトルの調達量を、飲料メーカーが閲覧するための画面を説明する。図21が小売店の回収箱からの調達量であり、図22が、自動販売機横の回収箱からの調達量である。
【0086】
調達量は一ヶ月毎にまとめられる。図21及び図22では、2020年11月の調達量を表示している。調達量は一覧表示と詳細表示で表示される。一覧表示では、回収量、ベール、フレーク・ペレット、プリフォーム、の各段階に分けて、一ヶ月の調達量合計が表示される。この数値のうち、回収量は実際の回収量を示すが、ベール、フレーク・ペレット及びプリフォームの量は、図16に示す搬入量取得処理によって得られた量を示す。詳細表示では、一ヶ月分の調達量が、飲料メーカー毎に、回収量、ベール、フレーク・ペレット、プリフォーム、の各段階に分けて表示される。
【0087】
閲覧画面の表示は、システム管理者のコンピュータのCPUが、管理者のコンピュータのデータ格納部に記録された情報に基づき、周知の表示用プログラムに従って表示処理を行う。
【実施例0088】
[6.自動販売機横の回収箱における、回収物の回収量の計算・記録・表示(図23図26)]
図23図26によって、自動販売機横の回収箱における回収物の回収量の計算・記録・表示(実施例2)を説明する。
【0089】
図23に示す通り、自動販売機横のペットボトル用の回収箱では、ペットボトルに加え、アルミ缶、スチール缶、その他のごみがかなりの割合で混入する。回収箱が人の目が届かない場所にあることが多く、ルールが守られないためである。自動販売機横の回収箱での回収物は、飲料メーカーの営業所が回収する。その後、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶のそれぞれに分類される。ペットボトルについてはペットボトルのリサイクル対象になり、アルミ缶やスチール缶についても、それぞれ、回収業者が買い取る。
【0090】
ペットボトル、アルミ缶、スチール缶は、それぞれ買い取る際の費用が異なるところ、自動販売機横のペットボトル用の回収箱での回収物を回収した飲料メーカーの営業所の手を離れる際に、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶のそれぞれに分類されているとは限らない。ペットボトル、アルミ缶、スチール缶のそれぞれに分類する前の段階では、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶のそれぞれの重量を知ることができず、各々の対価を知ることもできない。自動販売機横で回収された回収物の全重量に基づいてそれぞれの重量を知ることができれば、分類する前に回収物全体の対価を計算することができる。また、ペットボトルについては、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶のそれぞれに分類する前の段階で、自動販売機横で回収された回収物の全重量に基づいて再生ペットボトルのサイクルに投入するペットボトルの重量を把握できる。アルミ缶、スチール缶については、把握した重量に基づいて販売ができる。
【0091】
図24に、自動販売機横の回収箱で回収されるペットボトル、アルミ缶、スチール缶、その他のごみの予測重量比を、A営業所、B営業所、C営業所毎に示す。予測重量比は、所定期間の平均値によって得る。自動販売機横の回収箱で回収されるペットボトル、アルミ缶、スチール缶、その他のごみの予測重量比は、自動販売機の場所によって様々である。ある場所では、比較的人目に付きやすい場所に回収箱があり、また付近にペットボトル、アルミ缶、スチール缶、その他のごみのそれぞれの回収箱があるために、ルールが守られやすく、他の廃棄物の混入が少ない。また、ある場所では、付近にアルミ缶の製品を対象にした自動販売機があるためにアルミ缶の混入がしやすい。すなわち図24に示す通り、それぞれの回収箱で回収される回収物の平均値によって求める予測重量比は、営業所毎に様々である。
【0092】
図25によって、自動販売機横の回収箱からのペットボトル、アルミ缶、スチール缶の回収量を取得し記録するための処理をフローチャートで説明する。CPUは回収箱における全回収量情報を取得する(S31)。CPUは、全重量にペットボトルの予測重量比を乗じて、予測されるペットボトルの重量を取得し、記録装置のデータ格納部に記録する(S32)。CPUは、全重量にアルミ缶の予測重量比を乗じて、予測されるアルミ缶の重量を取得し、記録装置のデータ格納部に記録する(S33)。CPUは、全重量にスチール缶の予測重量比を乗じて、予測されるスチール缶の重量を取得し、記録装置のデータ格納部に記録する(S34)。処理を終了する。このような処理が、営業所毎に為される。
【0093】
図26の閲覧画面は、自動販売機横の回収箱からの、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶の回収量を閲覧する際の閲覧画面である。飲料メーカー株式会社の、2021年4月19日~2022年4月19日の一年間の回収量が表示されている。
【0094】
上記期間中のA営業所の全回収量が6,552kgであり、A営業所における予測重量比は、図24に示す通り、ペットボトル35%、アルミ缶12%、スチール缶12%、その他ごみ41%である。これらの数値を用いて、図25に示す処理により、回収ペットボトルは2,293kg、回収アルミ缶は786kg、回収スチール缶は786kg、回収されたその他のごみは2,687kg、であることが取得され、記録装置のデータ格納部に記録される。
【0095】
B営業所、C営業所についても、同様に、回収ペットボトル、回収アルミ缶、回収スチール缶、回収されたその他のごみの重量が、それぞれ図26に示す通りに取得され、記録装置のデータ格納部に記録される。
【0096】
A営業所、B営業所、C営業所の回収量の総合計は、それぞれの回収量を加えることにより取得される。各値が表示される。
【0097】
図24から図26では、各営業所毎に得られた予測重量比を用いる例について説明したが、各営業所毎ではなく、飲料メーカー毎に、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、その他のごみ予測重量比を備えているのでも構わない。この場合、各営業所から回収された回収物の全重量の情報があれば、図25に示した処理によって、ペットボトルの全回収量、アルミ缶の全回収量、スチール缶の全回収量、その他ごみの全回収量、を取得できる。
【符号の説明】
【0098】
1 システム管理者端末
2 制御部
3 CPU
4 ROM
5 RAM
6 入力装置
7 表示装置
8 通信制御装置
9 バスライン
10 記憶装置
11 データ格納部
12 プログラム格納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26