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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179389
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】レーダ検出におけるマルチパス分類
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/58 20060101AFI20221125BHJP
   G01S 13/86 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G01S13/58
G01S13/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022079554
(22)【出願日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】21175394
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502208205
【氏名又は名称】アクシス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マネソン, アンダース
(72)【発明者】
【氏名】ニュスライン, アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】セディン, アントン
(72)【発明者】
【氏名】パパデリス, アラス
(72)【発明者】
【氏名】シュタール, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ワドマーク, ダビド
(72)【発明者】
【氏名】ヒューニッシュ, セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】アダルビヨルンソン, ステファン
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB17
5J070AC01
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC13
5J070AC15
5J070AE09
5J070AF01
5J070AH50
5J070AK07
5J070AK14
5J070AK35
5J070BA01
5J070BB06
5J070BD08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レーダユニットにより取得されたシーンのトラックを分類するための方法に関する。
【解決手段】方法は、レーダユニット(100)を使用してシーンのレーダ検出を取得することと、トラッカモジュール(206)にそのシーンにおける特定のトラックを示すトラック特有の特徴データを生成するためにレーダ検出の一部を供給することと、経時的に集められたシーン特有の特徴についての情報と、ゴーストターゲット検出が予期されるそのシーンにおけるエリアと、リアルターゲット検出が予期されるエリアと、を示す情報と、を含むシーンモデル(208)にレーダ検出の一部を供給することと、それらのシーン特有の特徴のサブセットは、それらのレーダ検出から判定され、その特定のトラックをそのシーンモデルにおける位置に関連付けることにより、その特定のトラックを、リアルターゲット又はゴーストターゲットに属するものとして分類することと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーン(1)の監視のために静止して載置された据え置き型のレーダユニット(100)により取得された前記シーン(1)のレーダ検出においてトラックを分類するための方法であって、
前記据え置き型のレーダユニットを使用して前記シーン(1)のレーダ検出を取得すること(S102)と、
前記レーダ検出の少なくとも一部を、トラッカモジュール(206)に、前記シーンにおける特定のトラック(103、302)を示すトラック特有の特徴データを生成するために供給すること(S104)と、
前記レーダ検出の少なくとも一部を、前記シーンのゴーストターゲットとリアルターゲットの双方からの検出された物体と先に検出されたトラックとについての情報と、ゴーストターゲット検出が予期される前記シーンにおけるエリア(320、324)と、リアルターゲット検出が予期されるエリア(322)と、を示す情報と、を含む、経時的に集められた前記シーン(1)のシーン特有の特徴についての情報を含むシーンモデル(208)に供給すること(S106)と、ここで、前記シーン特有の特徴の少なくともサブセットは、前記レーダ検出から判定され、
前記特定のトラックを前記シーンモデルにおける位置に関連付けることにより、前記特定のトラックを、リアルターゲット(102)又はゴーストターゲット(109)に属するものとして分類すること(S108)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記トラック特有の特徴データと前記シーン特有の特徴とを、前記特定のトラック(103、302)に関連する前記シーンモデル(208)から、前記特定のトラック(103、302)を分類するための分類子モジュール(210)に供給することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特定のトラック(103、302)に、シーン特有の特徴を、前記シーン(1)における前記特定のトラック(103、302)の判定された位置に基づいて割り当てることをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記特定のトラック(103、302)と、前記特定のトラック(103、302)に割り当てられた前記シーン特有の特徴と、のうちの少なくとも1つを、前記シーンモデル(208)に加えることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
トラック特有の特徴データを生成することは、範囲測定、ドプラ測定、方位角測定、及び高度測定のうちの少なくとも1つの時間的進化を表すものを形成することと、前記表すものをニューラルネットワークにおいて処理することと、を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
トラック特有の特徴は、範囲測定、ドプラ測定、方位角測定、及び高度測定のうちの少なくとも1つ、並びに、前記特定のトラック(103、302)が、現在の時間フレームにおいて、現在の最も強い前記特定のトラック若しくは前記レーダユニット(100)に最も近いものであるか、又は、前記特定のトラック(103、302)が、現在の時間フレームにおいて、最も弱い前記特定のトラック若しくは前記据え置き型のレーダユニット(100)から最も遠い前記トラックであるか、を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記据え置き型のレーダユニット(100)は、周波数変調連続波レーダである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記シーン特有の特徴はすべて、前記レーダ検出から判定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記シーン特有の特徴の少なくとも一部は、光検出デバイス(502)により撮像された光学画像データから判定される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
同じ前記レーダ検出を、前記トラッカモジュール(206)と前記シーンモデル(208)とに供給することをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
レーダ検出をすべて前記シーンモデル(208)に供給し、動いているターゲットを示すレーダ検出のみを前記トラッカモジュール(206)に供給することをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
特定のトラック(103、302)を、光検出デバイス(502)により取得された前記シーン(1)を表すものと比較することと、これにより、対応するトラックが、前記光検出デバイス(502)により取得された前記シーン(1)を前記表すものになければ、前記特定のトラック(103、302)をゴーストトラックとして分類することと、をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
コンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータにより実行されると、前記コンピュータに、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムを含む、非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項14】
シーン(1)の監視のために静止して載置された据え置き型のレーダユニットにより取得された前記シーン(1)のレーダ検出においてトラックを分類するためのコントロールユニット(402)であって、
前記据え置き型のレーダユニット(100)により撮像された前記シーン(1)のレーダ検出を示すデータを取得し、
レーダ検出データの少なくとも一部を、トラッカモジュール(206)において、前記シーンにおける特定のトラック(302)を示すトラック特有の特徴データを生成するために処理し、
前記レーダ検出データの少なくとも一部を、前記シーンのゴーストターゲットとリアルターゲットの双方からの検出された物体と先に検出されたトラックとについての情報と、ゴーストターゲット検出が予期される前記シーンにおけるエリア(320、324)と、リアルターゲット検出が予期されるエリア(322)と、についての情報と、を含む、経時的に集められた前記シーン(1)のシーン特有の特徴についての情報を含むシーンモデル(208)に供給し、ここで、前記シーン特有の特徴の少なくともサブセットは、前記レーダ検出から判定され、
前記特定のトラックを前記シーンモデルにおける位置に関連付けることにより、前記特定のトラックを、リアルターゲット(102)又はゴーストターゲット(104)に属するものとして分類するように構成されている、
コントロールユニット。
【請求項15】
据え置き型のレーダユニットと、請求項14に記載のコントロールユニット(402)と、を含むシステム(400、500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、近距離レーダ監視の分野、特に、シーンのレーダ検出においてトラックを分類するための方法及びコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ検出の原理は、送信されたレーダ信号が物体を反射して、レーダのアンテナにより検出されることである。適切な信号処理により、物体速度及びレーダに相対的な位置などのプロパティを推定することができる。しかし、物体の位置を推定することは、ゴーストターゲットと呼ばれるもの、つまり、リアルターゲットと間違われる、その環境における複数の反射を検出することに関する課題に直面する。
【0003】
ゴーストターゲットは、検出された信号の元となるものを判定することが困難なために生じる。検出された信号が、リアルターゲットからの直接反射であるか、又は、検出された信号が、近隣の表面の二次的な反射であるか、を、高い精度をもって判定することは容易ではない。
【0004】
建物の壁、コンテナ、駐車している車、信号機など多くの反射面が存在する都市環境では、ゴーストターゲットは大きな問題である。
【0005】
都市環境においてゴーストターゲットを扱う1つの方法は、レーダによりカバーされるゾーンのマップにおいて除外エリアを線引きするようユーザに求め、これにより、どこの信号を無視するべきかをレーダにはっきりと指示することである。しかしこれは、レーダの使い易さを大きく下げることとなる。追加的に、複数の反射から生じるゴーストターゲットが検出エリアにおいて出現する場合があり、そのような反射は、除外エリアを加えることによっても除外されない。さらに、シーン内に駐車しているトラックなどにより、新たな反射面がそのシーンに導入される場合があり、そのシーンに対するそのような変化は、予め定められた除外エリアにより扱われない。
【発明の概要】
【0006】
従来技術の上記及び他の欠点を考慮して、本発明の目的は、従来技術のそれら欠点の少なくともいくつかを軽減する、シーンのレーダ検出においてトラックをゴーストターゲット又はリアルターゲットに属するものとして分類するための改善された方法を提供することである。
【0007】
本発明の第1の態様によると、据え置き型のレーダユニットにより取得されたシーンのレーダ検出においてトラックを分類するための方法がしたがって提供される。この方法は、以下のステップを含む。据え置き型レーダユニットを使用してシーンのレーダ検出を取得する。レーダ検出の少なくとも一部を、トラッカモジュールに、そのシーンにおける特定のトラックを示すトラック特有の特徴データを生成するために供給する。レーダ検出の少なくとも一部を、経時的に集められたシーン特有の特徴についての情報と、ゴーストターゲット検出が予期されるそのシーンにおけるエリアと、リアルターゲット検出が予期されるエリアと、についての情報と、を含むシーンモデルに供給する。そのモデルのシーン特有の特徴の少なくともサブセットは、それらのレーダ検出から判定される。この方法は、その特定のトラックをそのシーンモデルにおける位置に関連付けることにより、その特定のトラックを、リアルターゲット又はゴーストターゲットに属するものとして分類することをさらに含む。
【0008】
本発明は、リアルターゲットからのトラックを、マルチパスターゲットとも呼ばれるゴーストターゲットのそれらから、そのレーダからの検出を利用することにより分けて、シーン特有の特徴のシーンモデルを生成することと、トラック特有の特徴を生成することと、の双方の実現に基づいている。より具体的には、シーンモデルは、シーンについての情報を経時的に時間的に集めたものであり、これは、検出された物体と先に検出されたトラックとについての情報を含んでよい。したがって、シーン特有の特徴は、そのシーンにおける静止物体と表面の双方についての情報と、ゴーストターゲットとリアルターゲットの双方からのトラックについての情報と、を含んでよい。換言すると、シーンモデルは、レーダ検出から判定されたものとしてシーンを説明するシーン特有の特徴についての情報と、過去のトラックの空間的情報と、を含む。
【0009】
そのようなシーンモデルは、そのシーンにおいて、ゴーストターゲットが生じる可能性が最も高い場所と、リアルターゲットが生じる可能性が最も高い場所と、についての情報を、そのシーンにおける先に検出されたトラックとシーン特有の特徴とから集められた情報に基づいて提供することを、本発明者達は認識した。
【0010】
トラック特有の特徴データは、特定のトラックについての情報を提供する。トラック特有の特徴の情報を、シーンの前のトラックと一般的なレイアウトとについてのシーンモデルに保存された情報に関連付けること、例えば、相互に関連付けることにより、その特定のトラックがゴーストターゲット又はリアルターゲットに属するか予測することが可能となる。換言すると、トラック特有の特徴データは、特定のトラックについてのスナップショット情報を提供してよく、この情報は、そのシーンモデルにおける過去のデータと比較されて、特定のトラックが分類される。
【0011】
本発明の実施形態のそれぞれを用いて、以下に説明するターゲットの分類は、監視の用途などにおいて誤アラームを引き起こす場合がある誤検出の数を減らすことを提供する。さらに、除外ゾーンが必要でなくなるなど、設置がさほど複雑でなくなる。依然としてさらに、この分類方法は、屋外環境と比較してゴーストトラックの量がより多い、屋内での、より密度の高い環境での使用を可能にする場合がある。
【0012】
シーンモデルは、経時的に検出されるようなシーン特有の特徴のマップであってよく、例えば、雑音比に対して信号が高いなどの強いターゲットや最も近いターゲット、及び、雑音比に対して信号が低いなどの弱いターゲットや最も遠いターゲット、同様にトラック特有の特徴の反射面とエリアとについての情報をしたがって含んでよい。最も近いターゲットと最も遠いターゲットとは、対象となるものである。なぜなら、ゴーストターゲットは一般的に、リアルターゲットよりも遠い距離にて出現するからである。
【0013】
シーン特有の特徴は、そのシーンにおいて経時的に集められたトラック特有の空間的特徴、つまり、トラック特有の特徴の空間的時間的進化と考えられてよい。さらに、集めることのために、シーン特有の特徴の時間スケールは、特定のトラックの状態のスナップショットを示す場合があるトラック特有の特徴の寿命より長くなる。換言すると、トラック特有のデータは、特定のトラックを現在のフレームにおいて検出されるものとして説明する情報などの、特定のトラックの現在の状態に関連するものと考えられてよい。フレームはここでは、レーダの離散化された/デジタル化された動作に関連する。
【0014】
据え置き型のレーダは、静止して載置されて移動しないレーダと解釈されるべきである。さらに、据え置き型のレーダは、シーンを掃引する可動部を有しない。その代わりに、レーダは、ビーム形成又は掃引を使用することなくすべての方向から検出された信号に適合されている。
【0015】
据え置き型のレーダユニットは、シーンの監視のために構成されている近距離レーダであってよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、トラック特有の特徴データとシーン特有の特徴とが、特定のトラックに関連するシーンモデルから、特定のトラックを分類するよう適合されている分類子モジュールに渡される。したがって、分類子モジュールは、トラック特有の特徴データにおける情報からの特定のトラックと、その特定のトラックに関連するシーンモデルからのシーン特有の特徴データと、を分類するよう適合されている。1つの考えられる実装では、分類子モジュールは、特定のトラックを分類するためのニューラルネットワークを含む。
【0017】
ニューラルネットワークは、分類のための効率的なツールを提供する。ニューラルネットワークは好ましくは、特定のトラックの時間的進化を取得するよう適合されている。分類を行うよう適合されている様々なタイプのニューラルネットワークが考えられ、それ自体が知られている。好適なニューラルネットワーク例は、再帰型ニューラルネットワーク及び畳み込みニューラルネットワークである。再帰型ニューラルネットワークは、時間的進化の取得に特に効率がよい。
【0018】
さらに、他の好適な分類子は、分類に効率的なランダムフォレスト分類子などの決定木分類子であってよい。さらに、サポートベクトルマシン分類子及びロジスティック回帰分類子などの分類子もまた考えられる。
【0019】
さらに、分類子は、統計的分類子、ヒューリスティック分類子、又はファジーロジック分類子であってよい。さらに、テーブル、つまり、シーン特有の特徴並びにトラック特有の特徴、対応する分類、及び、ゴーストターゲット又はリアルターゲットなどのデータを組み合わせたルックアップテーブルを使用することも実現可能である。
【0020】
いくつかの実施形態では、特定のトラックには、シーン特有の特徴が、シーンにおける特定のトラックの判定された位置に基づいて割り当てられてよい。これらのシーン特有の特徴は、例えば、特定のトラックが反射面により閉塞されている確率と、同じエリアにおける前のトラックからの信号がどれほど強いかと、である。これは、分類子において特定のトラックをより正確に分類することを提供する。特に、割り当てステップは、最も適しているシーン特有の特徴を分類子に転送することを提供する。
【0021】
さらに、特定のトラックに割り当てられたシーン特有の特徴は、シーンモデルに好適に加えられてよい。さらに、特定のトラックが、シーンモデルに加えられてよい。結果として、さらなる情報がシーンモデルに加えられ、これは、これにより、シーンモデルを改善し、したがって、リアルターゲットからのトラックを、将来の検出におけるゴーストターゲットのそれらから分ける分類ステップの精度も改善する。換言すると、シーンモデルはオンラインで、この分類方法を使用して、そのシーンモデルが、将来の分類に対してより正確となるよう、改善される。
【0022】
実施形態のそれぞれでは、トラック特有の特徴データを生成することは、範囲測定、ドプラ測定、方位角測定、及び仰角測定のうちの少なくとも1つの時間的進化を表すものを形成することと、この表すものをニューラルネットワークにおいて処理することと、を含んでよい。
【0023】
トラック特有の特徴は、レーダ検出から行われる様々なタイプの測定から判定されてよい。例えば、範囲測定、ドプラ測定、方位角測定、及び仰角測定のうちの少なくとも1つ、並びに、特定のトラックが、現在の時間フレームにおいて、現在の最も強い特定のトラック若しくはレーダユニットに最も近いものであるか、又は、特定のトラックが、現在の時間フレームにおいて、最も弱い特定のトラック若しくはレーダユニットから最も遠いトラックであるか、が使用される。
【0024】
本発明の実施形態のそれぞれは、様々なタイプの据え置き型のレーダに適用可能である。1つの好適な実施形態では、据え置き型のレーダは、周波数変調連続波レーダである。
【0025】
いくつかの実施形態では、シーン特有の特徴のすべてが、レーダ検出から判定されてよい。結果として、レーダは、スタンドアローン型ユニットとして作動してよい。
【0026】
しかし、他の考えられる実施形態のそれぞれでは、シーン特有の特徴の少なくとも一部は、光検出デバイスにより撮像された光学画像データから判定される。したがって、この方法は、例えば、カメラとレーダとを含むフィージョンシステムに適用可能であり、ここでは、シーン特有の特徴の詳細が、カメラにより検出されるシーン特有の特徴も含めることにより改善される。
【0027】
レーダ検出をシーンモデルとトラッカモジュールとに供給することは、様々な方法で分割又は組み合わされてよい。例えば、同じレーダ検出が、トラッカモジュールとシーンモデルとに供給されてよい。これは、異なるタイプの検出を分ける必要なく、シンプルで容易な供給を提供する。
【0028】
それでもなお、それは、レーダ検出のすべてをシーンモデルに供給して、動いているターゲットを示すレーダ検出のみをトラッカモジュールに供給することに好適であってよい。このようにして、トラッカモジュールは、特定のトラックを判定することに最も関連するターゲットに関連するデータのみを処理する必要があり、これにより、トラッキングモジュールに要求される処理能力を軽減し、後続の分類ステップの精度を潜在的に改善する。
【0029】
いくつかの実施形態では、特定のトラックは、光検出デバイスにより取得されたシーンを表すものと比較されてよく、これにより、対応するトラックが、光検出デバイスにより取得されたシーンを表すものに存在しなければ、特定のトラックをゴーストトラックとして分類する。したがって、レーダユニット及びカメラなどを含むフィージョンシステムは、空間的対応及び非対応試験を提供し、トラックがゴーストトラック又はリアルトラックであるかのインジケーションを提供してよい。このタイプのフィージョンシステムの使用は、分類をさらに改善する場合がある。なぜならそれは、シーンとそこでのトラックとについての追加情報を提供するからである。光検出デバイスの1つの実施形態は、カメラにおいて使用されるようなイメージセンサである。そのような検出デバイスの他の例は、ライダ(LIDAR)及び光学式飛行時間センサである。レーダのそれと同様の、シーン特有の特徴についての空間的データを取得する、音響センサ、特に、マイクロフォンアレイも使用することができる。
【0030】
本発明の第2の態様によると、コンピュータプログラムであって、そのプログラムがコンピュータにより実行されると、そのコンピュータに、ここで説明する実施形態のいずれか1つの方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0031】
本発明のこの第2の態様のさらなる実施形態のそれぞれと、それらを通して得られる効果と、は、本発明の第1の態様についてのそれら上記説明に大きく類似する。
【0032】
本発明の第3の態様によると、据え置き型のレーダユニットにより取得されたシーンのレーダ検出においてトラックを分類するためのコントロールユニットが提供される。コントロールユニットは、据え置き型レーダユニットにより撮像されたシーンのレーダ検出を示すデータを取得し、レーダ検出の少なくとも一部を、トラッカモジュールにおいて、そのシーンにおける特定のトラックを示すトラック特有の特徴データを生成するために処理し、レーダ検出の少なくとも一部を、経時的に集められたシーン特有の特徴についての情報と、ゴーストターゲット検出が予期されるそのシーンにおけるエリアと、リアルターゲット検出が予期されるエリアと、についての情報と、を含むシーンモデルに供給し、ここで、それらのシーン特有の特徴の少なくともサブセットは、それらのレーダ検出から判定され、その特定のトラックをそのシーンモデルにおける位置に関連付けることにより、その特定のトラックを、リアルターゲット又はゴーストターゲットに属するものとして分類するように構成されている。
【0033】
本発明のこの第3の態様のさらなる実施形態のそれぞれと、それらを通して得られる効果と、は、本発明の第1の態様と第2の態様とについてのそれら上記説明に大きく類似する。
【0034】
据え置き型のレーダユニットと、第3の態様に係るコントロールユニットと、を含むシステムがさらに提供される。このシステムは、以下に説明する実施形態のいずれか1つと同様の利点と特徴とを提供する。
【0035】
本発明のさらなる特徴と、それによる利点と、が、添付の特許請求の範囲と、以下の説明と、を検討する際に、明らかとなるであろう。当業者である名宛人であれば、本発明の様々な特徴が組み合わされて、以下に説明するそれら以外の実施形態がそれぞれ、本発明の範囲を逸脱することなく創造されてよいことを認識するであろう。
【0036】
本発明の様々な態様は、その特定の特徴及び利点を含み、以下の発明を実施するための形態と、以下に示す添付の図面と、から、容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】シーンからレーダ検出を取得するよう配置された据え置き型のレーダユニットを概念的に示す。
図2】本発明の実施形態のそれぞれに係る、検出されたトラックを分類するためのレーダユニット及び関連付けられている機能又はモジュールのブロック図である。
図3】本発明の実施形態のそれぞれに係る、シーンモデルにおける位置に関連させる処理におけるシーンモデルと特定のトラックとを概念的に示す。
図4】本発明の実施形態のそれぞれに係る方法ステップのフローチャートである。
図5】本発明の実施形態のそれぞれに係るシステムのブロック図である。
図6】本発明の実施形態のそれぞれに係るシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明を、添付図面を参照して以下に更に詳細に説明する。ここでは、本発明の現在の好適な実施形態を示す。本発明はしかし、多くの異なる形態にて体現されてよく、以下に示す実施形態に限定されるものとして理解すべきでない。むしろこれらの実施形態は、完璧性及び完全性のために、そして、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。類似の参照符号は、これらの図面を通して、同様の構成要素を示す。
【0039】
これらの図面、特に図1を見ると、シーン1と、シーン1からレーダ検出を取得するよう配置された据え置き型のレーダユニット100と、が示されている。シーン1では、これは、レーダユニット100の検出エリアとも考えられ、ターゲット102が通り道103に沿って移動している。据え置き型のレーダユニット100は、レーダ信号104をシーン1に向けて放つ。信号のいくつか、ここでは、105として示される、は、ターゲット102を反射して、据え置き型のレーダユニット100に直接戻る。レーダ信号105は、据え置き型のレーダユニット100のアンテナにより検出される。レーダを使用してのレーダ信号の検出と、レーダの作動と、は、それ自体が当業者に知られるものと考えられ、ここでは詳しく説明しない。
【0040】
シーン1は、建物の壁などの反射物体106をさらに含む。ターゲット102からレーダユニット100に直接戻る信号105は、リアルターゲット102の検出を表す。その結果として、リアルターゲット102の特定のトラックは、リアルターゲット102に属する。
【0041】
リアルターゲット102はさらに、レーダ信号107を、物体106の表面108に向けて反射して、ここではそれは、レーダユニット100に向けて反射する。この反射した信号107の検出、これは、表面108から伝わる、は、標準的なレーダ検出技術により、通り道110に沿って移動する物体106の「内側」の物体109に属するものとして解釈される。このターゲット109はしたがって、ゴーストターゲット109を表す。なぜなら、物体106の内側のその位置には、リアルターゲットは存在し得ないからである。
【0042】
上記説明に基づいて、検出されたトラックは、その検出されたトラックの位置を、リアルターゲット102がどこにあるか予期して、ゴーストターゲット109がどこにあるか予期することについての情報を伴うシーンモデルにおける位置に、次に説明する方法を使用して関連付けることにより、リアルターゲット102又はゴーストターゲット109に属するものとして分類されてよい。
【0043】
レーダユニット100は、様々なタイプのものであってよいが、1つの考えられる実装では、据え置き型のレーダユニット100は、周波数変調連続波レーダである。他の好適な実装は、他の種類の周波数変調レーダ、位相変調レーダ、特に、連続波位相変調レーダ、コヒーレントパルス又はパルストレインを送信するレーダ、又は、複数のキャリアを使用するレーダ、特に、OFDMレーダである。
【0044】
図2は、検出されたトラックを分類するためのレーダユニット100及び関連付けられている機能又はモジュールのブロック図である。
【0045】
レーダユニット100からのレーダ検出は、トラッカモジュール206に供給される。トラッカモジュール206は、この分類方法の他の機能のための、別々の処理回路上で、又は、共通コントローラ上で作動するソフトウェアモジュールであってよい。トラッカモジュール206は、レーダユニット100から受け取ったレーダ検出を処理して、トラック特有の特徴を判定するように構成されている。
【0046】
トラック特有の特徴は、範囲測定、ドプラ測定、方位角測定、及び高度測定のうちの少なくとも1つ、及び、特定のトラックが、現在の時間フレームにおいて、現在の最も強い特定のトラック若しくはレーダユニットに最も近いものであるか、又は、特定のトラックが、現在の時間フレームにおいて、最も弱い特定のトラック若しくはレーダユニットから最も遠いトラックであるか、そして、特定のトラックの現在の寿命、を含む。トラッカモジュールは、デカルト座標又は極座標における空間座標と速度測定とを出力してよい。速度は、ドプラ測定から、又は、当業者に知られる他の方法により判定されてよい。
【0047】
トラッカモジュール206は好ましくは、レーダユニットに対して速度がゼロでないターゲットのみを検出する。これは特に、レーダユニットに最も近い検出に関して関連性がある。なぜなら、その最も近い物体よりもレーダに近い静止反射がある場合があるからである。速度がゼロでないターゲットのみをレーダトラッカに検出させることは、この問題を軽減する。なぜなら、トラッカモジュールは静止反射を検出しないからである。
【0048】
トラック特有の特徴データを生成することは、範囲測定、ドプラ測定、方位角測定、及び高度測定のうちの少なくとも1つの時間的進化を表すものを形成することと、この表すものをニューラルネットワークにおいて処理することと、を含む。したがって、トラッカモジュール206は、トラック特有のデータを、上述するトラック特有の特徴の測定を、ニューラルネットワークへの入力として使用して生成することに使用されるニューラルネットワークであってよい。
【0049】
トラック特有の特徴データを生成する1つの方法は、様々なフレームにわたって、それらフレームのそれぞれについてのトラックについての範囲及びドプラ測定などの測定の分布を描き、トラックのそれぞれについてのイメージを形成することである。これらのイメージは、トラック特有の特徴の時間的進化を示すものと考えられてよく、畳み込みニューラルネットワークへの入力として使用されてよく、ここでそれらは、密度の高い特徴に変換される。トラック特有の特徴の他の表すもの、例えば、ポイントクラウドと呼ばれるものも可能である。
【0050】
さらに、レーダユニット100からのレーダ検出は、シーンモデル208に供給されてよい。シーンモデル208は、メモリデバイスに保存されてよく、経時的に集められたシーン特有の特徴を含む。シーンモデル208は、経時的に集められたシーンにおける異なる特徴のマップにより表されてよい。シーンにおける物体の位置及び物体のトラックと、経時的に集められた、検出されたトラックについての空間的情報と、が、シーンモデル208に含まれてよい。
【0051】
特に、シーンモデル208は、ゴーストターゲット検出が予期されるシーンにおけるエリアと、リアルターゲット検出が予期されるエリアと、を示す情報を含む。
【0052】
トラック特有の特徴とシーン特有の特徴とは、いくつかの方法にて連結又は結合され、それらは続いて、分類子210への入力として使用される。分類子210は具体的には、シーンモデル208からの情報と、トラッカ206により検出される特定のトラックの位置の情報と、を利用して、その特定のトラックを、リアルトラック又はゴーストトラックに属するものとして分類するように構成されている。
【0053】
分類子モジュール210は、特定の実装に依存して、異なるタイプの分類子を作動させてよい。例えば、分類ステップを行うよう適合されている分類子ニューラルネットワークが使用されてよい。ニューラルネットワークは好ましくは、特定のトラックの時間的進化を取得するよう適合されている。分類を行うよう適合されている様々なタイプのニューラルネットワークが考えられ、それ自体が知られている。好適なニューラルネットワーク例は、再帰型ニューラルネットワーク及び畳み込みニューラルネットワークである。他の好適な分類子は、ランダムフォレスト分類子などの決定木分類子であってよい。さらに、サポートベクトルマシン分類子、ロジスティック回帰分類子、ヒューリスティック分類子、ファジーロジック分類子、若しくは統計的分類子などの分類子、又は、ルックアップテーブルが、分類子モジュール210において使用されることもまた考えられる。
【0054】
分類子モジュールは、分類ステップの結果を示す出力212を提供する。
【0055】
トラッカモジュール206において判定されたトラックには、シーン特有の特徴が、シーンにおけるトラックの位置に基づいて割り当てられてよい。結果として、特定のトラックが検出されると、その位置が、シーンモデルにおける位置と相互に関連付けられてよく、これにより、シーン特有の特徴が、特定のトラックに割り当てられてよい。例えば、特定のトラックには、トラックが反射面により閉塞されていることと、同じエリアにおける前のトラックからの信号がどれほど強いかと、を示すシーン特有の特徴が割り当てられてよい。そのような割り当ては、特定のトラックが、リアルターゲット又はゴーストターゲットから生じているかのインジケーションを提供する。割り当てられたシーン特有の特徴は、分類子モジュール210に供給される。
【0056】
さらに、シーンモデル208は、特定のトラックに割り当てられたシーン特有の特徴をシーンモデル208に加えることにより更新されてよい。これにより、そのモデルに、シーン特有の特徴をさらに集める。さらに、特定のトラックについての情報が、シーンモデル208に加えられてよい。特徴をシーンモデル208に加えることの利点は、後続の分類に対してシーンモデル208を強化することである。さらに、それは、シーン1において変化があった場合に、シーンモデルを更新することを可能にして、したがって、トラックのアダプティブな分類を提供する。
【0057】
図2は、レーダ検出が、シーンモデル208とトラッカモジュール206の双方に供給されていることを示す。レーダ検出は、様々な方法で分割又はフィルタされてよい、又は、同じレーダ検出は、トラッカモジュール206とシーンモデル208とに供給されてよい。いくつかの実装では、レーダ検出はすべて、シーンモデル208に供給され、動いているターゲットを示すレーダ検出のみが、トラッカモジュール206に供給される。
【0058】
シーン特有の特徴がすべて、レーダ検出から判定されてよい。しかし、他の考えられる実施形態のそれぞれでは、レーダは、カメラなどの光検出デバイスにより補完される。そのようなフィージョンシステムでは、シーン特有の特徴の少なくとも一部は、光検出デバイスにより撮像された光学画像データから判定されてよく、これにより、さらなるソースからの追加データをさらに加えることにより、シーンモデル208を向上させる。
【0059】
図3は、シーンモデル208における位置に関連させる処理におけるシーンモデル208と特定のトラック302とを概念的に示す。
【0060】
シーンモデル208は、ゴーストターゲット検出が予期されるシーンにおけるエリア320、324と、リアルターゲット検出が予期されるエリア322と、を示す情報を含む。この情報は、あるエリアが、リアルターゲット検出又はゴーストターゲット検出に関連することに関連する場合がある、又は、そのことを導き出すことが可能な場合があることのいずれのインジケーションを含んでよい。シーンモデル208は、マップにおけるエリア320、322、324それ自体を直接示さない。しかし、シーン特有の特徴が、シーンモデル208から、例えば、エリア320における位置に収まるトラックに基づいて抽出される場合、そのトラックのトラック特有の特徴とともに抽出されるシーン特有の特徴は、ゴーストターゲット分類となる可能性が高い。同様に、シーン特有の特徴が、シーンモデル208から、エリア322における位置に収まるトラックに基づいて抽出される場合、そのトラックのトラック特有の特徴とともに抽出されるシーン特有の特徴は、リアルターゲット分類となる可能性が高い。
【0061】
さらなる一例として、1つの位置に出現するトラックはしばしば、リアルターゲットが位置し得ない建物若しくはコンテナ、又は駐車しているトラックなどの、シーンの物体の位置に属するエリアに継続することが、先に検出されたトラックから知ることができてよい。したがって、トラック302が、ゴーストトラックが見つかると予期されるそのようなエリア320に出現すると、そのようなトラックに関連するシーンモデル208のシーン特有の特徴は、分類子がそのトラックを、ゴーストターゲットに属するものとして分類する場合がある。したがって、エリア320に出現しているトラックが、ゴーストターゲットである可能性が最も高いことが、シーンモデル208において集められたデータから知ることができてよい。
【0062】
エリア320は、シーンにおいて、ある物体により占有されるエリアである必要は必ずしもないことが理解されるべきである。トラックがそのエリアにおいて検出されると、そのエリアがゴーストターゲットに属する可能性が最も高い、ということが理解されるべきである。
【0063】
特定のターゲットが検出される度に、シーン特有の特徴が割り当てられてよい。例えば、特定のトラック302には、エリア320に対応してそれが検出された位置に関連するシーン特有の特徴が割り当てられてよい。これらのシーン特有の特徴と、対応するトラック特有の特徴と、は、特定のトラックを分類するために分類子に供給転送される。
【0064】
さらに、特定のターゲットにシーン特有の特徴を割り当てることは、シーンモデル208を変化し続けるシーンに適合させることを提供してよい。例えば、新たな物体がシーンに導入される場合を想定する。この新たな物体は、検出を経時的に集めて、したがって、新たな物体をシーンモデル208にマップするシーンモデル208に供給されたレーダ検出を使用して検出されてマップされる。新たなトラックが検出されると、トラックには、新たな物体に関連するシーン特有の特徴がますます割り当てられる。その結果として、さらなるエリア324に関連するシーン特有の特徴が形成され、ここでは、検出されたトラックがゴーストターゲットに属することが予期される。結果として、この発明に関するコンセプトは、変化し続けるシーンに分類を適合させることを可能にする。
【0065】
図4は、本発明の実施形態のそれぞれに係る方法ステップのフローチャートである。
【0066】
ステップ102では、据え置き型レーダユニット100を使用してシーンのレーダ検出を取得する。
【0067】
ステップ104では、レーダ検出の少なくとも一部を、トラッカモジュール106に、そのシーンにおける特定のトラック302を示すトラック特有の特徴データを生成するために供給する。
【0068】
ステップ106では、レーダ検出の少なくとも一部を、経時的に集められたシーン特有の特徴についての情報と、ゴーストターゲット検出が予期されるそのシーンにおけるエリアと、リアルターゲット検出が予期されるエリア322と、を示す情報と、を含むシーンモデル208に供給する。シーン特有の特徴の少なくともサブセットは、それらのレーダ検出から判定される。
【0069】
ステップ108では、その特定のトラックをそのシーンモデル208における位置に関連付けることにより、その特定のトラックを、リアルターゲット102又はゴーストターゲット109に属するものとして分類する。
【0070】
任意のステップ110では、出力が提供される。この出力は、さらなる処理ステップにて使用されてよい、及び/又は、ユーザインターフェースへのインジケーション又は信号として使用されてよい。
【0071】
図5は、本発明の実施形態のそれぞれに係るシステム400を概念的に示す。システム400は、据え置き型のレーダユニット100と、コントロールユニット402と、を含む。
【0072】
コントロールユニット402は、据え置き型のレーダユニット100により取得されたシーン1のレーダ検出においてトラックを分類するように構成されている。
【0073】
コントロールユニット402は、レーダユニット100に通信可能に接続されており、それが、据え置き型レーダユニット100により撮像されたシーンのレーダ検出を示すデータを取得できるようになっている。コントロールユニット402は、レーダユニット100に無線接続されてよく、又は、それは、レーダユニット100に配線接続されてよく、データが、レーダユニット100からコントロールユニット402に転送され得るようになっている。いくつかの考えられる実装では、コントロールユニットは、リモートサーバなどに配置されて、例えば、この分類方法を「クラウド」にて実装してよい。他の考えられる実装では、コントロールユニット402は、レーダユニット100に含まれる。
【0074】
さらに、コントロールユニット402は、レーダ検出データの少なくとも一部を、トラッカモジュール206において、そのシーンにおける特定のトラック302を示すトラック特有の特徴データを生成するために処理するように構成されている。トラッカモジュール206はここでは、コントロールユニット402の一部、又はここで作動する、例えば、ソフトウェアモジュールとして概念的に示されている。しかし、トラッカモジュールは、メインコントロールユニット402と通信する別々のコントロールユニット上でも等しく作動してよい。
【0075】
コントロールユニット402はさらに、レーダ検出データの少なくとも一部を、経時的に集められたシーン特有の特徴についての情報と、ゴーストターゲット検出が予期されるシーンにおけるエリア320と、リアルターゲット検出が予期されるエリア322と、についての情報と、を含むシーンモデル208に供給するように構成されている。シーン特有の特徴の少なくともサブセットは、それらのレーダ検出から判定される。コントロールユニット402はしたがって、シーン特有の特徴をレーダ検出から生成して、それらをシーンモデル208に加えるように構成されてよい。シーンモデル208は、コントロールユニット402にアクセス可能な、又は、コントロールユニット402の一部であるメモリデバイスに保存される。
【0076】
コントロールユニット402は、その特定のトラックをそのシーンモデル208における位置に関連付けることにより、その特定のトラックを、リアルターゲット102又はゴーストターゲット109に属するものとして分類するように構成されている。コントロールユニット402は、トラック特有の特徴データとシーンモデル208とを、特定のトラックを分類するよう適合されている分類子を含む分類子モジュール210に供給する。
【0077】
シーンモデル208は、例えば、メモリデバイス上に保存されたルックアップテーブル又はマップデータとして表されてよい、又は、個別のグリッドポイントとして保存されてよい。
【0078】
図6は、本発明のさらに考えられる実施形態のブロック図である。図5に関連して説明した特徴及び構成要素に加えて、システム500は、カメラ又はLIDARなどの光検出デバイス502をさらに含む。さらに、音響センサ、特に、マイクロフォンアレイもまた考えられる。
【0079】
トラッカモジュール206により判定された特定のトラックは、分類子モジュール210において、分類の一部として、シーン208を表すものと、又は、光検出デバイス502により取得されたシーンから抽出された特徴と比較されてよい。例えば、対応するトラックが、光検出デバイス502により取得されたシーンを表すものに存在しなければ、分類子モジュール210は、その特定のトラックをゴーストトラックとして分類してよい。換言すると、分類子モジュール210が、カメラ502により検出されたトラックとレーダ100より検出されたトラックとの間に一致を見いださなければ、分類子モジュール210からの出力は、その特定のトラックがゴーストターゲットに属している可能性がより高いものとなる。
【0080】
同様に、分類子モジュール210が、カメラ502により検出されたトラックとレーダ100により検出されたトラックとの間の一致を示せば、分類子モジュール210からの出力は、分類モジュール210の出力にも依存して、その特定のトラックがリアルターゲットに属している可能性がより高いものとなる。
【0081】
コントロールユニットは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルデジタル信号プロセッサ、又は別のプログラマブルデバイスを含む。コントロールユニットはまた、又はその代わりに、特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ若しくはプログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイス、又はデジタル信号プロセッサを含む。コントロールユニットは、上述するマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又はプログラマブルデジタル信号プロセッサなどのプログラマブルデバイスを含む。プロセッサは、プログラマブルデバイスの動作を制御するコンピュータにより実行可能なコードをさらに含んでよい。
【0082】
本開示の制御機能は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、若しくは、適切なシステムのための、この目的又は別の目的のために取り込まれた専用コンピュータプロセッサにより、又はハードワイヤシステムにより、実装されてよい。本開示の範囲内の実施形態は、マシンによる実行が可能な命令、又は、そこに保存されたデータ構造を実行するための、又はこれらを有するためのマシン可読媒体を含むプログラム製品を含む。そのようなマシン可読媒体は、汎用若しくは専用コンピュータ又はプロセッサを持つ他のマシンによりアクセスできるいずれの利用可能な媒体であり得る。例示を目的として、そのようなマシン可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM、若しくは、他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気ストレージデバイス、又は、マシンによる実行が可能な命令若しくはデータ構造の形態の所望するプログラムコードを実行若しくは保存するために使用できて、汎用若しくは専用コンピュータ又はプロセッサを持つ他のマシンによりアクセスできるいずれの他の媒体を含み得る。情報がネットワーク又は別の通信接続(ハードワイヤ、ワイヤレス、又は、ハードワイヤ若しくはワイヤレスの組み合わせのいずれ)を介してマシンに転送又は提供されると、そのマシンはその接続を、マシン可読媒体として正しく見る。したがって、いずれのそのような接続は、マシン可読媒体と正しく呼ばれる。上記の組み合わせもまた、マシン可読媒体の範囲に含まれる。マシンによる実行が可能な命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用処理マシンに特定の機能若しくは機能のグループを行わせる命令及びデータを含む。
【0083】
図面はシーケンスを示す場合があるが、ステップの順序は、描かれているものとは異なってよい。また、2つ又はそれ以上のステップが同時に行われてよいし、又は、部分的に同時であってよい。そのようなバリエーションは、選択されているソフトウェア及びハードウェアシステム、並びに、設計者の選択に依存することとなる。そのようなバリエーションはすべて、本開示の範囲内にある。同様に、ソフトウェアの実装は、種々の接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、及び決定ステップを達成するためのルールベースのロジック及び他のロジックを伴う標準的なプログラミング技術を用いて達成され得る。追加的に、本発明は、その具体的に例示する実施形態を参照して説明したが、多くの異なる変更や改変などが、当業者に明白となるであろう。
【0084】
さらに、開示する実施形態に対するバリエーションが、特許権を主張する本発明の実施において、本図面、本開示、及び添付の本特許請求の範囲の検討により、当業者である名宛人により理解され、達成され得る。さらに、特許請求の範囲では、「含む(comprising)」という用語は、他の要素又はステップを排除しない。不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】