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特開2022-179395ノイズキャンセリングのためにデュアルコイル構成要素を有する補聴器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179395
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ノイズキャンセリングのためにデュアルコイル構成要素を有する補聴器
(51)【国際特許分類】
   H04R 25/00 20060101AFI20221125BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H04R25/00 Z
H02M3/155 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022080359
(22)【出願日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】PA202170261
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】21175310
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ウェッセル リンドバーグ
(72)【発明者】
【氏名】キム フェーリング アンデルセン
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AS05
5H730BB13
5H730DD02
5H730DD03
5H730DD04
5H730FG01
5H730ZZ17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】補聴器及び補聴器内のスイッチドモード電源から発生する電磁ノイズを軽減する方法を提供する。
【解決手段】ユーザの耳に装着される補聴器2は、受信した音声信号に基づいて、1つ又は複数の入力信号を生成するための入力トランスデューサ4と、1つ又は複数の入力信号を処理するために構成された信号プロセッサ6と、信号プロセッサからの出力信号に基づいて、音声出力信号を提供するための出力トランスデューサ8と、補聴器に電力を提供するためのスイッチドモード電源(SMPS)10と、を備える。SMPSは、第1のコイル構成要素12と、第2のコイル構成要素14と、を備える。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、補聴器における電磁ノイズを軽減するように配列されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの耳に装着されるように構成された補聴器であって、
受信された音声信号に基づいて、1つ又は複数の入力信号を生成するための入力トランスデューサと、
前記1つ又は複数の入力信号を処理するために構成された信号プロセッサと、
前記信号プロセッサからの出力信号に基づいて、音声出力信号を提供するための出力トランスデューサと、
前記補聴器に電力を提供するためのスイッチドモード電源(SMPS)と、を備え、
前記スイッチドモード電源(SMPS)は、
第1のコイル構成要素と、
第2のコイル構成要素と、を備え、
前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、前記補聴器における電磁ノイズを軽減するように配列されている、補聴器。
【請求項2】
前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、互いの近傍に配列されている、請求項1に記載の補聴器。
【請求項3】
前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、弱め合うように相互作用するように結合されている、請求項1から2のいずれか一項に記載の補聴器。
【請求項4】
前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素によりそれぞれ生成された磁場が逆相であるように、配列されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の補聴器。
【請求項5】
前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、ほぼ同様のインダクタンスを有している、請求項1から4のいずれか一項に記載の補聴器。
【請求項6】
前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、互いに直列に配列されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の補聴器。
【請求項7】
前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、互いに並列に配列されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の補聴器。
【請求項8】
前記スイッチドモード電源(SMPS)は、バックコンバータである、請求項1から7のいずれか一項に記載の補聴器。
【請求項9】
前記補聴器は、バッテリを備え、前記バッテリは、充電式バッテリである、請求項1から8のいずれか一項に記載の補聴器。
【請求項10】
前記補聴器は、1つ又は複数の通信コイルを備え、前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、前記補聴器における前記1つ又は複数の通信コイルのために電磁ノイズを軽減するように配列されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の補聴器。
【請求項11】
前記1つ又は複数の通信コイルは、磁気誘導(MI)コイル及び/又はテレコイルである、請求項1から10のいずれかに記載の補聴器。
【請求項12】
ユーザの耳に装着されるように構成された補聴器における電磁ノイズを軽減するための方法であって、
前記補聴器は、
受信された音声信号に基づいて、1つ又は複数の入力信号を生成するための入力トランスデューサと、
前記1つ又は複数の入力信号を処理するために構成された信号プロセッサと、
前記信号プロセッサからの出力信号に基づいて、音声出力信号を提供するための出力トランスデューサと、
前記補聴器に電力を提供するためのスイッチドモード電源(SMPS)と、
1つ又は複数の電子デバイスとのワイヤレス通信を提供するための1つ又は複数の通信コイルと、を備え、
前記スイッチドモード電源(SMPS)は、
第1のコイル構成要素と、
第2のコイル構成要素と、を備え、
前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、前記スイッチドモード電源(SMPS)が前記補聴器に電力を提供するときに前記1つ又は複数の通信コイルのために電磁ノイズを軽減するように配列されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、補聴器と、当該補聴器における電磁ノイズを軽減するための方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
補聴器は、非常に小さく精巧なデバイスであり、ヒトの耳内、例えば外耳道内に嵌合するために、又は、外耳の後ろに位置するために、十分に小さなハウジング又はシェル内に収容された、多くの電気構成要素、電子構成要素、及び金属製構成要素を備える。補聴器のハウジング又はシェルの、この小さいサイズは、様々な構成要素の使用及び共在に対して高度な設計制約を課しており、当該構成要素のいくつかは、電磁ノイズに対して極めて敏感である。補聴器内におけるスイッチドモード電源の使用は、典型的に電磁ノイズを発生し、この電磁ノイズは、補聴器内における、通信コイルのような感度の高い構成要素を擾乱し得る。これにより、補聴器内のスイッチドモード電源から発生する電磁ノイズを軽減する必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示によると、上述の及び他の目的は、開示される補聴器及び方法によって得られる。
【0004】
ユーザの耳に装着されるように構成された補聴器が開示される。補聴器は、受信された音声信号に基づいて、1つ又は複数の入力信号を生成するための入力トランスデューサを備える。補聴器は、1つ又は複数の入力信号を処理するために構成された信号プロセッサを備える。補聴器は、信号プロセッサからの出力信号に基づいて、音声出力信号を提供するための出力トランスデューサを備える。補聴器は、補聴器に電力を提供するためのスイッチドモード電源(SMPS)を備える。スイッチドモード電源(SMPS)は、第1のコイル構成要素と、第2のコイル構成要素と、を備える。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、補聴器における電磁ノイズを軽減するように配列されている。
【0005】
電磁ノイズの軽減が改善された補聴器が提供されることが、利点である。補聴器における電磁ノイズは欠点であり得るが、その理由は、電磁ノイズが、補聴器内の、ノイズに敏感な構成要素を擾乱し得るためである。このような構成要素は、1つ又は複数の通信コイルであってもよく、ワイヤレス通信能力は、このようなノイズによって減少又は脆弱化され得る。従来より、ノイズに敏感な構成要素は、シールド要素の使用により、又は、バッテリの陰影効果のようにバッテリにより、このようなノイズから或る程度シールドされてきた。しかしながら、補聴器のサイズ及び設計の制約が益々厳しくなっているために、シールド要素の使用が望ましくないことがあり得る。さらに、補聴器のサイズ及び設計の制約が厳しいために、バッテリをシールド用に使用し得るよう、構成要素を補聴器ハウジング内に配置することが実現可能ではない場合があり得る。さらに、バッテリ及び/又は追加的なシールド要素によるこのようなシールドが、充分ではない場合があり得る。補聴器内におけるシールドの必要性が低減又は排除され得ることが、本発明の利点である。ワイヤレス通信能力が改善された補聴器が提供され得ることが、さらなる利点である。よって、ワイヤレス通信能力が改善された補聴器が、シールドの必要性が低減又は排除された状態で提供され得ることが、利点である。
【0006】
使用時において、SMPSは、典型的に、コイル構成要素を通過する電流のバーストをもたらし、電場が変化していることを意味する。これにより、磁場の放射が発生し、磁場の放射は、この磁場に結合し得る、補聴器内における敏感な構成要素を擾乱し得るか、又は、それらに影響を及ぼし得る。このため、典型的に、SMPSによって生じる磁場は、望まれない場と見なされて、ノイズと見なされる。補聴器内の異なる構成要素が、このようなノイズに敏感であり得る。例えば、SMPSによって典型的に生じるノイズは、通信コイル用の所望のワイヤレス通信信号の受信を妨害し得る。補聴器においてSMPSによって生じる磁場、及び、それによりSMPSによって生じるノイズが、軽減又はキャンセルされ得ることが利点である。SMPSからの望まれない磁場を低減又は排除することにより、例えば1つ又は複数の通信コイルといった、ノイズに敏感な構成要素と、SMPSと、が補聴器の同じハウジング又は同じシェル内に共在することが可能になり得ることが利点である。
【0007】
補聴器は、ユーザの耳に装着されるように構成される。補聴器は、ユーザの耳に、ユーザの耳上に、ユーザの耳内に、ユーザの外耳道内に、ユーザの耳の後ろに、等に配置され得る。ユーザは、各耳に1つの補聴器といった、2つの補聴器を装着し得る。
【0008】
補聴器は、ハウジングを備えていてもよい。ハウジングは、使用中にユーザの外耳の後ろに設けられるために構成され得る。補聴器は、使用中にユーザの外耳道内に設けられるために構成されたシェルを備えていてもよい。補聴器の電子構成要素は、ハウジング内及び/又はシェルに設けられてもよい。
【0009】
補聴器は、ユーザの聴覚補償を実施するために構成されていてもよい。さらに、補聴器は、音声通信のために構成され得、例えば、ユーザによる、音楽又はラジオのようなメディアの受聴を可能にし、及び/又は、ユーザによる通話を実行することを可能にする。
【0010】
補聴器は、補聴器の装着者の聴覚損失を補償するあらゆる補聴器といった、あらゆる補聴器であってよい。当業者は、様々な種類の補聴器について熟知しており、補聴器の装着者の耳内に及び/又は耳に補聴器を配置するための様々な選択肢について熟知している。
【0011】
例えば、補聴器は、外耳道内レシーバ(Receiver-In-Canal:RIC)タイプ、耳内レシーバ(Receiver-In-the-Ear:RIE若しくはRITE)タイプ、又は、耳内マイクロフォン及びレシーバ(Microphone-and-Receiver-In-the-Ear:MaRIE)タイプの補聴器であってよく、レシーバが、例えば耳内ユニットの一部として、使用中に装着者の外耳道内のような耳内に位置決めされており、一方で、信号プロセッサ、ワイヤレス通信ユニット、バッテリ等のように、他の補聴器構成要素は、アセンブリとして提供されて、耳掛け式(Behind-The-Ear:BTE)ユニットのハウジング内に搭載されている。プラグ・ソケットコネクタが、BTEユニットと、イヤピース、例えばRIEユニット又はMaRIEユニットと、を接続してもよい。補聴器は、ユーザの外耳道内に嵌合するように形成及びサイズ化されたシェルを有している、耳内式(in-the-ear:ITE)、外耳道内式(in-the-canal:ITC)、又は、完全耳道内式(completely-in-the-canal:CIC)の補聴器であってよい。シェルは、信号プロセッサ、入力トランスデューサ等のような全ての補聴器構成要素を収容してもよい。
【0012】
補聴器は、受信された音声信号に基づいて、1つ又は複数の入力信号を生成するための入力トランスデューサ、例えばマイクロフォン、を備える。音声信号は、アナログ信号であってもよい。入力信号は、デジタル信号であってもよい。したがって、第1の入力トランスデューサ、例えば、マイクロフォン又はアナログ-デジタルコンバータは、アナログ音声信号をデジタル入力信号に変換してもよい。全ての信号は、音響信号又は音響についての情報を備える信号であってもよい。
【0013】
補聴器は、1つ又は複数の入力信号を処理するために構成された信号プロセッサを備える。1つ又は複数の入力信号は、1つ又は複数の入力信号を処理するための信号プロセッサに提供されてもよい。信号は、ユーザの聴覚損失又は難聴を補償するといった目的で処理されてもよい。信号プロセッサは、出力信号を提供してもよい。
【0014】
補聴器は、信号プロセッサからの出力信号に基づいて、音声出力信号を提供するための出力トランスデューサ、例えば、レシーバ、スピーカ、又は、ラウドスピーカ、を備える。出力トランスデューサは、信号プロセッサの出力に接続されてもよい。出力トランスデューサは、出力信号をユーザの耳に出力してもよい。出力トランスデューサ又はデジタル-アナログコンバータは、デジタル信号であるプロセッサからの出力信号を、アナログ信号に変換してもよい。
【0015】
補聴器は、補聴器に電力を提供するためのスイッチドモード電源(SMPS)を備える。SMPSは、スイッチングモード電源、スイッチモード電源、スイッチド電源、又は、スイッチャとも称されてもよい。SMPSは、電力を変換するためにスイッチングレギュレータを組み込んだ電源として一般に知られている。換言すると、SMPSは、典型的に、電圧電流特性を変換しながらDC源からDC負荷に電力を伝達する。SMPSのスイッチングレギュレータは、典型的に、トランジスタ及びダイオードを備える。SMPSは、典型的に、コンデンサ、インダクタ、又は、これら2つの組み合わせのようなエネルギ貯蔵要素を備える。そのため、SMPSは、典型的に、スイッチングレギュレータを使用して、エネルギ貯蔵要素のために、異なる電気的構成又は異なる状態間でスイッチングする。
【0016】
スイッチドモード電源(SMPS)は、補聴器に電力を提供するために構成されており、電力は、補聴器のバッテリにより発生されてもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素が、SMPSのエネルギ貯蔵要素であるために構成されてもよい。SMPSは、トランジスタ、例えば、MOSFET、IGBT、又はBJTトランジスタ、及び/又は、ダイオードのような1つ又は複数のスイッチングレギュレータ又はスイッチを備えていてもよい。SMPSは、SMPSに備えられた電気構成要素が相互接続され得るように、回路を備えていてもよい。SMPSは、1つ又は複数のスイッチングレギュレータを使用して、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素のためのように、エネルギ貯蔵要素のために、異なる電気的構成又は異なる状態間でスイッチングするために構成されてもよい。
【0017】
補聴器のバッテリは、充電式バッテリであってもよく、充電式バッテリは、充電器において再充電されるように構成されており、例えば、当該バッテリを備える補聴器は、当該バッテリを充電するために充電器内に挿入され得る。SMPSは、バッテリに接続され得、バッテリにより提供される電圧を、より低い電圧値又は電圧レベルに変換するために構成され得る。換言すると、SMPSは、バッテリから提供される電圧を低下させてもよい。SMPSは、補聴器のバッテリと負荷との間に設けられてもよい。換言すると、SMPSは、電源を必要とする補聴器のバッテリと、例えば、入力トランスデューサ、信号プロセッサ等といった電気的又は電子的構成要素と、の間に設けられてもよい。
【0018】
SMPSから発生する電磁ノイズの周波数は典型的に、SMPSがエネルギ貯蔵要素のために異なる電気的構成又は異なる状態間でスイッチングするときの、自身のスイッチング周波数によって決まる。典型的に、この周波数は約100kHzであってもよい。このような信号の高調波のために、ノイズは典型的に、大きな周波数レンジにおいて存在する。この周波数レンジは、補聴器内の他の構成要素により使用されている周波数値又は周波数レンジと重複してもよい。これにより、通信コイルといった補聴器内の構成要素は、SMPSから発生する電磁ノイズに影響されやすいかもしれない。
【0019】
スイッチドモード電源(SMPS)は、第1のコイル構成要素と、第2のコイル構成要素と、を備える。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、デュアルコイル構成要素を構成してもよい。コイル構成要素は、コイル、インダクタ、チョーク、又はリアクトルとして知られていてもよく、電流が自身を通って流れる場合、磁場にエネルギを貯蔵する、パッシブ2端子電気構成要素として示されてもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、SMPSのエネルギ貯蔵要素であるように構成されてもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素の各々は、ワイヤ又は導体を備えていてもよく、当該ワイヤ又は当該導体は、コイル構成要素の周囲における巻線を構成してもよい。各コイル構成要素の巻線は、所与の向きを有していてもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素の各々は、SMPS及び/又は補聴器内の他の構成要素への電気的接続のために構成された端子を備えていてもよく、電気的接続は、ワイヤ、導電要素、又は伝送線等を介していてもよい。
【0020】
第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、補聴器における電磁ノイズを軽減するように配列又は結合されている。SMPSは、それぞれ、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素のために、異なる電気的構成又は状態間でスイッチングするために構成されていてもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素のために、異なる電気的構成又は状態間でスイッチングするために、電流のバーストが、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素を通って起こり得る。電流のバーストとは、交流電場を意味し、交流電場は磁場を生成する。第1のコイル構成要素は、第1の磁場を生成してもよい。第2のコイル構成要素は、第2の磁場を生成してもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、第1のコイル構成要素により生成された磁場が、第2のコイル構成要素により生成された磁場を打ち消すように配列されてもよく、したがって、第1の磁場は、第2の磁場を打ち消してもよい。第1の磁場及び第2の磁場の組み合わせから結果的に発生する磁場は、単独で取った場合の第1の磁場及び/又は第2の磁場に比べ、低減又はキャンセルされ得る。これにより、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素を有しているSMPSから発生する電磁ノイズは、コイル構成要素を1つのみ備えたSMPSを有している場合と比べて軽減され得る。ノイズが、コイル構成要素を1つのみ備えたSMPSからのノイズレベルに比べ、実質的に軽減され得るか、又は、キャンセル若しくは排除さえもされ得るといったように、軽減され得ることが見て取れる。
【0021】
いくつかの実施形態において、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、互いに近傍に配列されている。これにより、第1の構成要素及び第2のコイル構成要素は、互いの付近に、又は、互いに並置されるように互いの近隣に設けられてもよい。換言すると、第1のコイル構成要素は、第2のコイル構成要素に近接して、又は、第2のコイル構成要素の近傍に、設けられてもよい。第1のコイル構成要素は、1ミリメートル(mm)未満、0.5mm未満、0.25mm未満、0.1mm未満のように、2mm未満の距離以内のように、アセンブリ設計要件が許容するように第2のコイル構成要素の付近に配列されてもよい。換言すると、第1のコイル構成要素と第2のコイル構成要素との間の距離は、製造方法の技術的許容範囲内でできるだけ短くてもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、互いの付近に配列されてもよく、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素によりそれぞれ生成された磁場は、相互作用し得るか、又は、互いに干渉し得る。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素が互いの近傍に配列されている場合、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素によりそれぞれ生成された磁場は、互いに弱め合うように(destructively)相互作用するといったように、互いに相互作用し得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、弱め合うように相互作用するように結合されている。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、第1のコイル構成要素により生成された磁場が、第2のコイル構成要素により生成された磁場と弱め合うように相互作用するように結合されていてもよい。重ね合わせの原理によって、弱め合う相互作用又は干渉は、第1の磁場のように第1のコイル構成要素により生成された磁場が、第2の磁場のように第2のコイル構成要素により生成された磁場の方向とは反対の方向を有することによって生じ得る。これにより、これら2つの磁場は、所与の瞬間においてほぼ反対の方向を有し得る。2つの磁場のほぼ反対の方向とは、一実施形態において、第1の磁場が、第2の磁場の方向とは、±15%以内、より好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内、より好ましくは±1%以内において、反対の方向を有するものと解釈されてもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素によりそれぞれ生成された第1の磁場及び第2の磁場の方向は、当該コイル構成要素を通過する電流の方向によって決まり得る。電流の方向、及び、それにより、磁場の方向は、コイル構成要素の端子の構成、コイル構成要素の巻線の向き、及び/又は、コイル構成要素の向き、によって決まり得る。これにより、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、コイル構成要素の端子の構成、コイル構成要素の巻線の向き、及び/又は、コイル構成要素の向きによって、第1のコイル構成要素により生成された第1の磁場が、第2のコイル構成要素により生成された第2の磁場とは、ほぼ反対の場方向のような反対の場方向を有していてもよく、これによって、第2の磁場と弱め合うように相互作用するように、配列され、設けられ、又は結合されてもよい。弱め合いの相互作用によって、第1の磁場及び第2の磁場の組み合わせの結果として発生する場は、低減又はキャンセルされ得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素によりそれぞれ生成された磁場が、互いに位相がずれているように、互いを基準としてπ(パイ)又は180°(度)の奇数倍である位相差を有するように、逆相に配列されている。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素によりそれぞれ生成された磁場は、弱め合うように相互作用する反対の極性を有していてもよい。これにより、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、弱め合うように相互作用し得る。弱め合いの相互作用によって、第1の磁場及び第2の磁場の組み合わせによりもたらされた、結果的に生じる場は、低減又はキャンセルされ得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、ほぼ同様の又は類似のインダクタンスを有している。ほぼ同様のインダクタンスとは、一実施形態において、第1のコイル構成要素のインダクタンスが、第2のコイル構成要素のインダクタンスと、±15%以内、より好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内、より好ましくは±1%以内において、同一であるものと解釈されてもよい。コイル構成要素は、典型的に、Lと典型的に表記される、自身のインダクタンスにより特徴付けられる。インダクタンスは、典型的に、コイル構成要素の材料と、コイル構成要素又は周囲の巻線の巻き数と、によって決まる。インダクタンスは典型的に、巻線の巻き数の二乗に比例する。典型的に、補聴器におけるSMPS内のコイル構成要素についての所望のL値は、およそ2.2μH(マイクロヘンリー)である。SMPS内のコイル構成要素は、2、5、10、20、50、100、200、500のような数巻きから数百巻きの巻線を有し得る。好ましい値は、20巻きの巻線であってもよい。これにより、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、ほぼ同様の巻き数の巻線を有していてもよく、及び/又は、ほぼ同様の材料を含んでいてもよい。ほぼ同様の巻き数の巻線とは、一実施形態において、第1のコイル構成要素の巻線の巻き数が、第2のコイル構成要素の巻線の巻き数と、±15%以内、より好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内、より好ましくは±1%以内において、同一であるものと解釈されてもよい。ほぼ同様の材料とは、一実施形態において、第1のコイル構成要素の材料が、第2のコイル構成要素の材料と、±15%以内、より好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内、より好ましくは±1%以内において、同一であるものと解釈されてもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素がほぼ同様のインダクタンスを有していることから、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素によりそれぞれ生成された磁場は、大きさがほぼ同様であってもよい。換言すると、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素により生成された磁場の強度は、ほぼ同様であるか、又は、互いにほぼ等しくてもよい。ほぼ同様の大きさ、又は、ほぼ同様の若しくはほぼ等しい強度とは、一実施形態において、第1のコイル構成要素により生成された磁場が、第2のコイル構成要素により生成された磁場と、大きさ及び/又は強度が、±15%以内、より好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内、より好ましくは±1%以内において、同一であるものと解釈されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、互いに直列に配列されている。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素が互いに直列に配列されているとき、各コイル構成要素についてのインダクタンス値は、コイル構成要素を1つのみ有しているSMPS内のコイル構成要素についての所望のインダクタンス値のほぼ約半分、すなわちL/2であってもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素がほぼ同様のインダクタンスを有し得るため、第1の構成要素及び第2の構成要素の両方は、ほぼL/2というインダクタンス値を有し得、Lは、コイル構成要素を1つのみ有しているSMPS内のコイル構成要素についての所望のL値である。ほぼL/2とは、一実施形態において、L/2に、±15%以内、より好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内、より好ましくは±1%以内において、等しいものと解釈されてもよい。各コイル構成要素の巻線は、所与の向きを有していてもよく、その向きは、時計回り及び反時計回りと定義されてもよい。
【0026】
第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、第1のコイル構成要素を通過する電流の方向が、第2のコイル構成要素を通過する電流と同じ方向であり得るように、互いに直列に配列され得る。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素が互いに直列に配列されているとき、第1のコイル構成要素の巻線は、第2のコイル構成要素の巻線に比べて反対の向きで巻き回されてもよい。例えば、第1のコイル構成要素の巻線は、時計回りの向きを有し、一方で、第2のコイル構成要素の巻線は、反時計回りの向きを有していてもよく、逆であってもよい。これにより、第1のコイル構成要素により生成された磁場は、第2のコイル構成要素により生成された磁場とは異なる方向を有し得、したがって、第2のコイル構成要素により生成された磁場を打ち消し得、それにより、結果的に生じる磁場は、低減又はキャンセルされてもよい。
【0027】
代替的に、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、第1のコイル構成要素を通過する電流の方向が、第2のコイル構成要素を通過する電流の方向とは反対であるように、互いに直列に配列されてもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素が互いを基準として直列に配列されている場合、第1のコイル構成要素の巻線は、第2のコイル構成要素の巻線の向きと同じ向きで巻き回されていてもよい。例えば、第1のコイル構成要素の巻線及び第2のコイル構成要素の巻線は、両方が時計回りの向きを有していてもよく、又は、両方が反時計回りの向きを有していてもよい。これにより、第1のコイル構成要素により生成された磁場は、第2のコイル構成要素により生成された磁場とは異なる方向を有し得、したがって、第2のコイル構成要素により生成された磁場を打ち消し得、それにより、結果的に生じる磁場は、低減又はキャンセルされてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、互いに並列に配列されている。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素が互いに並列に配列されている場合、各コイル構成要素のインダクタンス値は、コイル構成要素を1つのみ有しているSMPS内のコイル構成要素の所望のインダクタンス値の倍又は2倍、よって2*Lであってもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素がほぼ同様のインダクタンスを有し得るため、第1の構成要素及び第2の構成要素の両方は、ほぼ2*Lというインダクタンス値を有していてもよく、Lは、コイル構成要素を1つのみ有しているSMPS内のコイル構成要素についての所望のL値である。ほぼ2*Lとは、一実施形態において、2*Lに、±15%以内、より好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内、より好ましくは±1%以内において、等しいものと解釈されてもよい。各コイル構成要素の巻線は、所与の向きを有していてもよく得、その向きは、時計回り及び反時計回りと定義されていてもよい。
【0029】
第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、第1のコイル構成要素を通過する電流の方向が、第2のコイル構成要素を通過する電流の方向とは反対であるように、互いに並列に配列されていてもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素が互いを基準として並列に配列されている場合、第1のコイル構成要素の巻線は、第2のコイル構成要素の巻線に比べて同じ向きで巻き回されていてもよい。例えば、第1のコイル構成要素の巻線及び第2のコイル構成要素の巻線は、両方が時計回りの向きを有していてもよく、又は、両方が反時計回りの向きをしていてもよい。これにより、第1のコイル構成要素により生成された磁場は、第2のコイル構成要素により生成された磁場とは異なる方向を有し得、これにより、第2のコイル構成要素により生成された磁場を打ち消し得、したがって、結果的に生じる磁場は、低減又はキャンセルされてもよい。
【0030】
代替的に、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、第1のコイル構成要素を通過する電流の方向が、第2のコイル構成要素を通過する電流と同じ方向であるように、互いに並列に配列されてもよい。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素が互いに並列に配列されている場合、第1のコイル構成要素の巻線は、第2のコイル構成要素の巻線に比べて反対の向きで巻き回されていてもよい。例えば、第1のコイル構成要素の巻線は、時計回りの向きを有していてもよく、一方で、第2のコイル構成要素の巻線は、反時計回りの配向を有していてもよく、逆であってもよい。これにより、第1のコイル構成要素により生成された磁場は、第2のコイル構成要素により生成された磁場とは異なる方向を有し得、それにより、第2のコイル構成要素により生成された磁場を打ち消し得、したがって、結果的に生じる磁場は、低減又はキャンセルされてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、スイッチドモード電源(SMPS)は、バックコンバータである。典型的に、バックコンバータは、ステップダウンコンバータとしても知られており、SMPSの一部類であると見なされる。バックコンバータは、トランジスタ及びダイオードのように、2つの半導体スイッチを、スイッチングレギュレータとして備えていてもよい。代替的に、2つの半導体スイッチは、2つのトランジスタであってよい。バックコンバータは、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素に加えて、1つ以上のコンデンサ及び抵抗器を備えていてもよい。バックコンバータは、動作中に、スイッチングレギュレータを使用して、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素のために、異なる電気的構成又は異なる状態間でスイッチングするために構成されていてもよく、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、以下においてインダクタと呼ばれてもよい。バックコンバータは、電源を必要とする補聴器のバッテリと電気的構成要素又は電子的構成要素との間に設けられてもよい。
【0032】
以下においては、スイッチドモード電源(SMPS)の先行技術の一例であって、例えば、バックコンバータであり、エネルギ貯蔵要素としてコイル構成要素又はインダクタを1つのみ備えており、スイッチングレギュレータを使用して、SMPS回路のエネルギ貯蔵要素のために、異なる電気的構成又は異なる状態間でスイッチングする、先行技術の一例について説明する。換言すると、例えばバックコンバータである、SMPSの先行技術の一例は、以下のように動作してもよい。スイッチングレギュレータが開かれている状態(オフ状態)から開始されると、回路内の電流はゼロである。スイッチングレギュレータが閉じられると(オン状態)、電流は増加し始め、インダクタは、変化する電流に応じて、端子間に反対の電圧を生じる。この電圧降下は、電源(例えば、バッテリ)の電圧を打ち消し、したがって、負荷(例えば、補聴器の負荷)の両端のネット電圧を低減する。電流の変化率は経時的に減少し、そうすると、インダクタの両端の電圧もまた減少し、負荷における電圧が増加する。この時間中に、インダクタは、磁場の形でエネルギを貯蔵する。電流が依然として変化している間にスイッチングレギュレータが開放された場合、インダクタの両端に電圧降下があり得、そのため、負荷におけるネット電圧は、入力電圧源未満となり得る。スイッチングレギュレータが再び開かれると(オフ状態)、電圧源が回路から除去され得、電流は減少し得る。減少する電流によってインダクタの両端における電圧降下が生じ(オン状態における降下とは反対)、今度はインダクタが電流源となる。インダクタの磁場における貯蔵エネルギは、負荷を通る電流の流れをサポートする。この電流は、入力電圧源が接続解除されている間に亘って流れており、オン状態中に流れている電流に加えられると、合計が、平均入力電流(オフ状態中はゼロである)よりも大きな電流となる。平均電流の「増加」は、電圧の低減を補い、理想的には、負荷に提供された電力を保持する。インダクタは、オフ状態中に、自身の貯蔵エネルギを、回路のそれ以外の部分に放出する。インダクタが完全に放出する前にスイッチングレギュレータが再び閉じられた場合(オン状態)、負荷における電圧が、ゼロよりも大きくなり得る。上述のように、コイル構成要素又はインダクタを1つのみ備えたSMPSの先行技術の例は、SMPSから発生する電磁ノイズに影響され得る、通信コイルのような補聴器内の構成要素を擾乱する電磁ノイズを発生し得る。
【0033】
開示されたような補聴器は、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素を備えたSMPSを備える。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、補聴器における電磁ノイズを軽減するように配列されている。
【0034】
いくつかの実施形態において、補聴器は、バッテリを備える。バッテリは、補聴器の電源であってもよい。バッテリは、リチウムイオンバッテリのような充電式バッテリであってもよい。充電式バッテリは、典型的に、非充電式バッテリよりも高い電圧を有している。バッテリからの、より高い電圧は、典型的に、ノイズレベルがより高くなることを意味する。したがって、充電式バッテリに接続されたSMPSから発生する電磁ノイズが軽減され得ることは利点である。
【0035】
いくつかの実施形態において、補聴器は、1つ又は複数の通信コイルを備える。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、補聴器における1つ又は複数の通信コイルのために電磁ノイズを軽減するように配列されていてもよい。
【0036】
1つ又は複数の通信コイルは、ワイヤレス通信のために構成されてもよい。いくつかの実施形態において、補聴器は、1つ又は複数のワイヤレス通信ユニット、磁気誘導チップ、又は、磁気誘導制御ユニットを備えていてもよい。1つ又は複数のワイヤレス通信ユニットは、ワイヤレスデータ通信のために構成されていてもよく、この点に関し、電磁場を発出及び受信するための1つ又は複数の通信コイルと相互接続されていてもよい。
【0037】
補聴器は、1つ又は複数の通信コイルに加えて、ワイヤレス通信のために構成されたRFアンテナを備えていてもよい。RFアンテナは、ワイヤレス通信ユニットと相互接続されてもよい。RFアンテナは、例えば、およそ2.4GHzで動作してもよい。したがって、RFアンテナは典型的に、SMPSから発生する電磁ノイズに影響されやすくないであろう。
【0038】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の通信コイルは、磁気誘導(MI)コイル及び/又はテレコイルである。よって、補聴器は、1つ又は複数のMIコイルを備えていてもよい。代替的に又は追加的に、補聴器は、1つ又は複数のテレコイルを備えていてもよい。
【0039】
MIコイルは、2MHzから10MHz、5MHzから15MHz、10MHzから11MHzの間のように、2MHzから30MHzの間の周波数のレンジ内での、声、音声、及びデータの送信を含むワイヤレス通信のために構成され得る。これらの周波数において、MIコイルへの及びMIコイルからの電磁放射は、ヒトの頭部及び身体を通って及びそれらの周囲を伝播し、組織内において有意な損失は伴わない。このような周波数で動作するMIコイルは、ノイズレベルが充分に軽減されない場合、SMPSから発生する電磁ノイズに影響されやすいかもしれない。
【0040】
MIコイルは、ワイヤレス通信ユニットと相互接続されてもよい。MIコイルは、磁気アンテナと称されてもよい。MIコイルは、ユーザの他方の耳内に設けられ得る他の補聴器とワイヤレス通信するように構成されてもよい。それにより、MIコイルは、両耳間(Ear-to-Ear:E2E)通信のために使用されてもよい。MIコイルは、他の電子デバイスとのワイヤレス通信のために構成されてもよい。MIコイルは、電磁場のワイヤレス発出及びワイヤレス受信の両方のために構成されてもよい。
【0041】
テレコイル又はTコイルは、電磁信号のワイヤレス受信のために構成されてもよい。テレコイルは、誘導ヒアリングループシステム、FMシステム、及び赤外線システムのようないわゆる受聴支援システムからの信号を通信又は受信するために構成されてもよい。これにより、ユーザは、ラジオ番組、テレビ番組、又は、映画館内の映画からの音声といった媒体の受聴が可能になり得、通話を実行すること等が可能になり得る。テレコイルは、典型的におよそ10KHz以下の音声周波数における信号を受信するために構成されていてもよい。このような周波数で動作するテレコイルは、ノイズレベルが充分に軽減されない場合、SMPSから発生する電磁ノイズに影響されやすい。
【0042】
これにより、聴覚装置は、1つ又は複数のワイヤレス通信ユニット又は無線装置を備えていてもよい。1つ又は複数のワイヤレス通信ユニットは、ワイヤレスデータ通信のために構成されており、この点に関し、電磁場を発出及び受信するための1つ又は複数のアンテナと相互接続されている。1つ又は複数のワイヤレス通信ユニットの各々は、トランスミッタ、レシーバ、トランシーバのようなトランスミッタ-レシーバ対、及び/又は、無線ユニットを備えていてもよい。1つ又は複数のワイヤレス通信ユニットは、Bluetooth(登録商標)、WLAN規格、特化された近接型アンテナプロトコル、専用プロトコル、低電力ワイヤレス通信プロトコル、RF通信プロトコル、磁気誘導プロトコル等のような製造固有プロトコル、を含む、当業者に知られているような任意のプロトコルを使用した通信のために構成されていてもよい。1つ又は複数のワイヤレス通信ユニットは、同じ通信プロトコル、又は、同じタイプの通信プロトコルを使用した通信のために構成されていてもよく、又は、1つ又は複数のワイヤレス通信ユニットは、異なる通信プロトコルを使用した通信のために構成されていてもよい。
【0043】
1つ又は複数通信コイル、及び、第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素を備えたSMPSは、同じ補聴器ハウジング内又は同じ補聴器シェル内に設けられていてもよい。
【0044】
補聴器における電磁ノイズを軽減するための方法についても開示する。補聴器は、ユーザの耳に装着されるように構成されている。補聴器は、受信された音声信号に基づいて、1つ又は複数の入力信号を生成するための入力トランスデューサと、又は複数の入力信号を処理するために構成された信号プロセッサと、信号プロセッサからの出力信号に基づいて、音声出力信号を提供するための出力トランスデューサと、補聴器に電力を提供するためのスイッチドモード電源(SMPS)と、1つ又は複数の電子デバイスとのワイヤレス通信を提供するための1つ以上の通信コイルと、を備える。スイッチドモード電源(SMPS)は、第1のコイル構成要素と、第2のコイル構成要素と、を備える。第1のコイル構成要素及び第2のコイル構成要素は、スイッチドモード電源(SMPS)が補聴器に電力を提供するときに1つ又は複数の通信コイルのために電磁ノイズを軽減するように配列されている。
【0045】
補聴器における電磁ノイズの軽減を改善するための方法が提供されることが、利点である。この方法が、補聴器における改善されたワイヤレス通信能力を提供し得ることが、利点である。この方法が、シールドの必要性を低減又は排除しつつ、補聴器における改善されたワイヤレス通信能力を提供し得ることが、さらなる利点である。
【0046】
この方法が、SMPSからの望まれない磁場を低減又は排除し得ることが利点であり、これにより、例えば1つ又は複数の通信コイルのように、ノイズに敏感な構成要素と、SMPSと、が補聴器の同じハウジング又は同じシェル内に共在することが可能になる。
【0047】
本発明は、上記の及び以下記載の補聴器、及び、対応する聴覚装置、電子デバイス、方法、使途、を含む異なる態様に関しており、これらの各々は、述べられた最初の態様に関連して説明された利益及び利点のうちの1つ又は複数を生み、且つ、述べられた最初の態様に関連して説明された、及び/又は、附属の特許請求の範囲に開示された、実施形態に対応する1つ又は複数の実施形態を有している。
【0048】
上の及び他の特徴及び利点は、その例示的な実施形態の、以下の詳細な説明により、以下のような添付の図面を参照すると、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】例示的な補聴器を概略的に示す。
図2】例示的な補聴器を概略的に示す。
図3】例示的な先行技術のスイッチモード電源を概略的に示す。
図4a】2つの例示的なスイッチドモード電源を概略的に示す。
図4b】2つの例示的なスイッチドモード電源を概略的に示す。
図5a】デュアルコイル構成要素の4つの例示的な配列を概略的に示す。
図5b】デュアルコイル構成要素の4つの例示的な配列を概略的に示す。
図5c】デュアルコイル構成要素の4つの例示的な配列を概略的に示す。
図5d】デュアルコイル構成要素の4つの例示的な配列を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、様々な実施形態について、図を参照して説明する。同一の参照番号は、全体にわたって同一の要素を指す。よって、同一の要素は、各図の説明に関して詳細に説明されない。これらの図が、実施形態の説明を容易にすることのみを意図している点にも留意されるべきである。それらは、特許請求の範囲に記載された発明の網羅的な説明として、又は、特許請求の範囲に記載された発明の範囲に対する限定を意図されるものではない。さらに、例示された一実施形態は、示された態様又は利点の全てを必ずしも有している必要はない。特定の一実施形態とともに説明された態様又は利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、あらゆる他の実施形態において、たとえそのように例示されていない場合でも、又は、たとえそのように明示的に記載されていない場合でも可能である。
【0051】
全体にわたり、同一の又は対応する部分については、同じ参照番号が使用される。
【0052】
図1は、例示的な補聴器2を概略的に示している。補聴器2は、ユーザの耳に装着されるように構成されている。補聴器2は、受信された音声信号に基づいて、1つ以上の入力信号を生成するための入力トランスデューサ4を備える。補聴器2は、1つ又は複数の入力信号を処理するために構成された信号プロセッサ6を備える。補聴器2は、信号プロセッサ6からの出力信号に基づいて、音声出力信号を提供するための出力トランスデューサ8を備える。補聴器2は、補聴器2に電力を提供するためのスイッチドモード電源(SMPS)10を備える。スイッチドモード電源(SMPS)10は、第1のコイル構成要素12と、第2のコイル構成要素14と、を備える。第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、補聴器2における電磁ノイズを軽減するように配列されている。
【0053】
スイッチドモード電源(SMPS)10は、信号プロセッサ6に接続されている。
【0054】
図2は、例示的な補聴器2を概略的に例示している。図2の補聴器2は、図1の補聴器と同じ特徴を備える。
【0055】
補聴器2は、ユーザの耳に装着されるように構成されている。補聴器2は、受信された音声信号に基づいて、1つ又は複数の入力信号を生成するための入力トランスデューサ4を備える。補聴器2は、1つ又は複数の入力信号を処理するために構成された信号プロセッサ6を備える。補聴器2は、信号プロセッサ6からの出力信号に基づいて、音声出力信号を提供するための出力トランスデューサ8を備える。補聴器2は、補聴器2に電力を提供するためのスイッチドモード電源(SMPS)10を備える。スイッチドモード電源(SMPS)10は、第1のコイル構成要素12と、第2のコイル構成要素14と、を備える。第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、補聴器2における電磁ノイズを軽減するように配列されている。
【0056】
図2の補聴器2は、以下に記載されるさらなる特徴を備える。
【0057】
補聴器2は、ここでは2つの通信コイルとして示される1つ又は複数の通信コイルを備える。第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、補聴器2内の1つ又は複数の通信コイルのために、電磁ノイズを軽減するように配列されている。
【0058】
この図において、1つ又は複数の通信コイルは、磁気誘導(MI)コイル28及びテレコイル30である。これにより、第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、MIコイル28及びテレコイル30のために、電磁ノイズを軽減するように配列されている。MIコイルは、ワイヤレス通信ユニット22と相互接続されている。
【0059】
第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、互いの近傍に配列されている。
【0060】
第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、互いに直列に配列されていてもよい。このことは、図3Aに示されている。
【0061】
代替的に、第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、互いに並列に配列されていてもよい。このことは、図3Bに示されている。
【0062】
補聴器2は、バッテリ16を備える。バッテリ16は、充電式バッテリであってもよい。この図において、SMPS10は、電源を必要とする補聴器のバッテリ16と、ここでは入力トランスデューサ4、信号プロセッサ6、出力トランスデューサ8、1つ又は複数の通信コイル28、30、及びワイヤレス通信ユニット22として例示されている電気的構成要素又は電子的構成要素と、の間に設けられている。
【0063】
図3は、例示的な先行技術のスイッチモード電源(SMPS)10を概略的に示す。SMPS10は、バックコンバータとして示されている。バックコンバータ10は、ここではトランジスタ及びダイオードとしてそれぞれ例示されているスイッチングレギュレータ24及び26を備える。バックコンバータは、インダクタ40、コンデンサ32、及び抵抗器38を備える。抵抗器38は、補聴器の、例えば負荷に対応していてもよい。
【0064】
例示的な先行技術のSMPSは、以下のように動作してもよい。スイッチングレギュレータ24が開かれている状態(オフ状態)から開始されると、回路内の電流はゼロである。スイッチングレギュレータ24が最初に閉じられると(オン状態)、電流は増加し始め、インダクタ40は、変化する電流に応じて、端子間に反対の電圧を生じる。この電圧降下は、電源(例えば、バッテリ)の電圧を打ち消し、したがって、負荷の両端のネット電圧を低減する。電流の変化率は経時的に減少し、そうすると、インダクタの両端の電圧もまた減少し、負荷における電圧が増加する。この時間中に、インダクタ40は、磁場の形でエネルギを貯蔵する。電流が依然として変化している間にスイッチングレギュレータ24が開かれる場合、インダクタ40の両端に電圧降下が存在し得、そのため、負荷におけるネット電圧は、入力電圧源未満となり得る。スイッチングレギュレータ24が再び開かれると(オフ状態)、電圧源が回路から除去され得、電流は減少し得る。減少する電流によってインダクタ40の両端における電圧降下が生じ(オン状態における降下とは反対)、今度はインダクタ40が電流源となる。インダクタの磁場における貯蔵エネルギは、負荷を通る電流の流れをサポートする。この電流は、入力電圧源が接続解除されている間に亘って流れており、オン状態中に流れている電流に加えられると、合計が、平均入力電流(オフ状態中はゼロである)よりも大きな電流となる。平均電流の「増加」は、電圧の低減を補い、理想的には、負荷に提供された電力を保持する。インダクタ40は、オフ状態中に、自身の貯蔵エネルギを、回路のそれ以外の部分に放出する。インダクタ40が完全に放電する前にスイッチングレギュレータ24が再び閉じられた場合(オン状態)、負荷における電圧が、ゼロよりも大きくなり得る。インダクタ40を1つのみ備えたSMPSの先行技術の例は、SMPSから発生する電磁ノイズに影響されやすい、通信コイルのような、補聴器内の構成要素を擾乱する電磁ノイズを生じるかもしれない。
【0065】
図4a及び図4bは、この発明に従った2つの例示的なスイッチドモード電源(SMPS)10を概略的に示している。
【0066】
SMPS10は、補聴器に電力を提供するために構成されており、電力は、補聴器内のバッテリにより生じる。SMPS10は、バッテリに接続されている。
【0067】
図3と同じく、SMPS10は、バックコンバータとして示されており、スイッチングレギュレータ24、26、コンデンサ32、及び抵抗器38を備える。しかしながら、図4a及び図4bのSMPSは、図3に示す先行技術の例のような単一のインダクタを備える代わりに、補聴器内に設けられたときに電磁ノイズを軽減するように配列された、第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14を備える。
【0068】
図4aは、互いに直列に配列された第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14を示している。
【0069】
図4bは、互いに並列に配列された第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14を示している。
【0070】
図5a、図5b、図5c、及び図5dは、第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14の4つの例示的な配列を概略的に示す。
【0071】
4つの全ての配列において、第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、互いの近傍に配列されている。
【0072】
4つの全ての配列において、第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、弱め合うように相互作用するように結合されている。
【0073】
4つの全ての配列において、第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14によりそれぞれ生成された磁場が動作中に逆相であるように、配列されている。
【0074】
第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、ほぼ同様のインダクタンスを有している。
【0075】
第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14の各々は、ワイヤ又は導体を備え、当該ワイヤ又は当該導体は、コイル構成要素12、14の周囲における巻線を構成する。各コイル構成要素12、14の巻線は、図中、黒い点で示されている、所与の向きを有している。第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14の各々は、例えば図1図2、及び図4に例示されるような、SMPS及び/又は補聴器内の他の構成要素への電気的接続のために構成された端子(図示せず)を備えており、電気的接続は、ワイヤ、導電要素、又は伝送線等を介していてもよい。
【0076】
図5a及び図5bは、互いに直列に配列された第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14を示している。
【0077】
図5aにおいて、第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、第1のコイル構成要素12を通過する電流の方向(矢印で示す)が第2のコイル構成要素14を通過する電流の方向(矢印で示す)とは反対になり得るように、互いに直列に配列されている。図5aにおいて、第1のコイル構成要素12の巻線は、黒い点で示されるように、第2のコイル構成要素14の巻線の向きと同じ向きで巻き回されているものとして示されている。
【0078】
図5bにおいて、第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、第1のコイル構成要素12を通過する電流の方向(矢印で示す)が第2のコイル構成要素14を通過する電流と同じ方向(矢印で示す)であるように、互いに直列に配列されている。図5bにおいて、第1のコイル構成要素12の巻線は、黒い点で示されるように、第2のコイル構成要素14の巻線に対して、反対の向きで巻き回されているものとして示されている。
【0079】
図5c及び図5dは、互いに並列に配列された第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14を示している。
【0080】
図5cにおいて、第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、第1のコイル構成要素12を通過する電流の方向(矢印で示す)が第2のコイル構成要素14を通過する電流と同じ方向(矢印で示す)であるように、互いに並列に配列されている。図5cにおいて、第1のコイル構成要素12の巻線は、黒い点で示されるように、第2のコイル構成要素14の巻線に対して、反対の向きで巻き回されているものとして示されている。
【0081】
図5dにおいて、第1のコイル構成要素12及び第2のコイル構成要素14は、第1のコイル構成要素12を通過する電流の方向(矢印で示す)が第2のコイル構成要素14を通過する電流の方向(矢印で示す)とは反対であるように、互いに並列に配列されている。図5dにおいて、第1のコイル構成要素12の巻線は、黒い点で示されるように、第2のコイル構成要素14の巻線に比べ、同じ向きで巻き回されているものとして示されている。
【0082】
特定の特徴が示され、説明されてきたが、これらは、特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図していないことが理解されるであろうし、当業者には、特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正が行われ得ることが自明になるであろう。それ故に、明細書及び図面は、限定的な意味合いよりもむしろ、例示的な意味合いで捉えられるべきである。特許請求 の範囲に記載された発明は、全ての代替物、修正物、及び均等物をカバーすることが意図される。
【0083】
(項目1)
ユーザの耳に装着されるように構成された補聴器であって、
受信された音声信号に基づいて、1つ又は複数の入力信号を生成するための入力トランスデューサと、
前記1つ又は複数の入力信号を処理するために構成された信号プロセッサと、
前記信号プロセッサからの出力信号に基づいて、音声出力信号を提供するための出力トランスデューサと、
前記補聴器に電力を提供するためのスイッチドモード電源(SMPS)と、を備え、
前記スイッチドモード電源(SMPS)は、
第1のコイル構成要素と、
第2のコイル構成要素と、を備え、
前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、前記補聴器における電磁ノイズを軽減するように配列されている、補聴器。
【0084】
(項目2)前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、互いの近傍に配列されている、項目1に記載の補聴器。
【0085】
(項目3)前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、弱め合うように相互作用するように結合されている、項目1から2のいずれか一項に記載の補聴器。
【0086】
(項目4)前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素によりそれぞれ生成された磁場が逆相であるように、配列されている、項目1から3のいずれか一項に記載の補聴器。
【0087】
(項目5)前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、ほぼ同様のインダクタンスを有している、項目1から4のいずれか一項に記載の補聴器。
【0088】
(項目6)前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、互いに直列に配列されている、項目1から5のいずれか一項に記載の補聴器。
【0089】
(項目7)前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、互いに並列に配列されている、項目1から6のいずれか一項に記載の補聴器。
【0090】
(項目8)前記スイッチドモード電源(SMPS)は、バックコンバータである、項目1から7のいずれか一項に記載の補聴器。
【0091】
(項目9)前記補聴器は、バッテリを備え、前記バッテリは、充電式バッテリである、項目1から8のいずれか一項に記載の補聴器。
【0092】
(項目10)前記補聴器は、1つ又は複数の通信コイルを備え、前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、前記補聴器における前記1つ又は複数の通信コイルのために電磁ノイズを軽減するように配列されている、項目1から9のいずれか一項に記載の補聴器。
【0093】
(項目11)前記1つ又は複数の通信コイルは、磁気誘導(MI)コイル及び/又はテレコイルである、項目1から10のいずれかに記載の補聴器。
【0094】
(項目12)ユーザの耳に装着されるように構成された補聴器における電磁ノイズを軽減するための方法であって、
前記補聴器は、
受信された音声信号に基づいて、1つ又は複数の入力信号を生成するための入力トランスデューサと、
前記1つ又は複数の入力信号を処理するために構成された信号プロセッサと、
前記信号プロセッサからの出力信号に基づいて、音声出力信号を提供するための出力トランスデューサと、
前記補聴器に電力を提供するためのスイッチドモード電源(SMPS)と、
1つ又は複数の電子デバイスとのワイヤレス通信を提供するための1つ又は複数の通信コイルと、を備え、
前記スイッチドモード電源(SMPS)は、
第1のコイル構成要素と、
第2のコイル構成要素と、を備え、
前記第1のコイル構成要素及び前記第2のコイル構成要素は、前記スイッチドモード電源(SMPS)が前記補聴器に電力を提供するときに前記1つ又は複数の通信コイルのために電磁ノイズを軽減するように配列されている、方法。
【符号の説明】
【0095】
2:補聴器、4:入力トランスデューサ、6:信号プロセッサ、8:出力トランスデューサ、10:SMPS、12:第1のコイル構成要素、14:第2のコイル構成要素、16:バッテリ、22:ワイヤレス通信ユニット、24:トランジスタ、26:ダイオード、28:MIコイル、30:テレコイル、32:キャパシタ、38:抵抗器、40:インダクタ
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図5d
【外国語明細書】