(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179401
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】照明システム及び投影装置
(51)【国際特許分類】
F21V 14/00 20180101AFI20221125BHJP
F21V 9/35 20180101ALI20221125BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20221125BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20221125BHJP
G02B 3/14 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
F21V14/00 100
F21V9/35
F21V9/40 200
F21S2/00 300
G02B3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080568
(22)【出願日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】202110555408.5
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】周 嘉豪
(72)【発明者】
【氏名】歐 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 瑞翊
(72)【発明者】
【氏名】呂 志宏
(57)【要約】
【課題】照明システムは励起光源、第1の可変焦点レンズ、第2の可変焦点レンズ及び制御ユニットを含む。
【解決手段】励起光源は励起光束を提供する。第1の可変焦点レンズは励起光束の伝達経路上に配置される。第2の可変焦点レンズは励起光束の伝達経路上に配置され、かつ、第1の可変焦点レンズは励起光源と第2の可変焦点レンズとの間に位置する。第2の可変焦点レンズは第1の可変焦点レンズから出射された励起光束を受ける。制御ユニットは第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズに電気的に接続され、第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズの焦点距離を同期調整する。前記照明システムは光の均一度を高め、及びレーザースペックルを消去することができる。本発明はまた前記照明システムを含む投影装置も提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明システムであって、
前記照明システムは励起光源、第1の可変焦点レンズ、第2の可変焦点レンズ及び制御ユニットを含み、
前記励起光源は励起光束を提供し、
前記第1の可変焦点レンズは前記励起光束の伝達経路上に配置され、
前記第2の可変焦点レンズは前記励起光束の伝達経路上に配置され、かつ、前記第1の可変焦点レンズは前記励起光源と前記第2の可変焦点レンズとの間に位置し、前記第2の可変焦点レンズは前記第1の可変焦点レンズから出射された前記励起光束を受け、
前記制御ユニットは前記第1の可変焦点レンズ及び前記第2の可変焦点レンズに電気的に接続され、かつ、前記第1の可変焦点レンズ及び前記第2の可変焦点レンズの焦点距離を同期調整することを特徴とする、照明システム。
【請求項2】
前記第2の可変焦点レンズを通った前記励起光束が平行光であることを特徴とする、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記第1の可変焦点レンズと前記第2の可変焦点レンズが共焦点であることを特徴とする、請求項1に記載の照明システム。
【請求項4】
前記第1の可変焦点レンズと前記第2の可変焦点レンズとの間の距離が固定不変であることを特徴とする、請求項1に記載の照明システム。
【請求項5】
前記第1の可変焦点レンズと前記第2の可変焦点レンズの屈折度が何れも正であることを特徴とする、請求項1に記載の照明システム。
【請求項6】
一時系列において、前記第1の可変焦点レンズの屈折度が負であり、前記第2の可変焦点レンズの屈折度が正であることを特徴とする、請求項1に記載の照明システム。
【請求項7】
別の時系列において、前記第1の可変焦点レンズの屈折度が正であり、前記第2の可変焦点レンズの屈折度が負であることを特徴とする、請求項6に記載の照明システム。
【請求項8】
前記第2の可変焦点レンズを通った前記励起光束の光点形状が円形であることを特徴とする、請求項1に記載の照明システム。
【請求項9】
前記照明システムはさらに波長変換ホイールを含み、
前記波長変換ホイールは、前記第2の可変焦点レンズを通った前記励起光束の伝達経路上に配置され、前記励起光束を変換光束に変換する、請求項1に記載の照明システム。
【請求項10】
投影装置であって、
前記投影装置は照明システム、ライトバルブ及び投影レンズアセンブリを含み、
前記照明システムは照明光束を提供し、かつ、励起光源、第1の可変焦点レンズ、第2の可変焦点レンズ、制御ユニット及び波長変換ホイールを含み、
前記励起光源は励起光束を提供し、
前記第1の可変焦点レンズは前記励起光束の伝達経路上に配置され、
前記第2の可変焦点レンズは前記励起光束の伝達経路上に配置され、かつ、前記第1の可変焦点レンズは前記励起光源と前記第2の可変焦点レンズとの間に位置し、前記第2の可変焦点レンズは前記第1の可変焦点レンズから出射された前記励起光束を受け、
前記制御ユニットは前記第1の可変焦点レンズ及び前記第2の可変焦点レンズに電気的に接続され、かつ、前記第1の可変焦点レンズ及び前記第2の可変焦点レンズの焦点距離を同期調整し、
前記波長変換ホイールは前記第2の可変焦点レンズを通った前記励起光束の伝達経路上に配置され、前記励起光束を変換光束に変換し、かつ、前記照明光束が前記励起光束及び前記変換光束を含み、
前記ライトバルブは前記照明光束の伝達経路上に配置され、かつ、前記照明光束を画像光束に変換し、
前記投影レンズアセンブリは前記画像光束の伝達経路上に配置され、かつ、前記画像光束を通すことを特徴とする、投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特に照明システム及びその照明システムを用いた投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投影装置に用いられる光源の種類は、投影装置の輝度、彩度(color saturation)、使用寿命、無害エコ等に対する市場の要求により、超高圧水銀灯(UHP lamp)、発光ダイオード(light emitting diode,LED)からレーザーダイオード(laser diode,LD)へと進化してきた。
【0003】
従来のレーザーダイオードを用いた投影装置では、レーザーダイオードが励起光束を提供して蛍光体回転ホイール上の蛍光体層を励起し、蛍光光束を生成する。しかし、レーザー(laser)の高いコヒーレンス(coherence)により、励起光束の干渉が起こりやすく、明暗交差してランダムに分布したレーザースペックル現象(laser speckle)が発生する。
【0004】
現在、レーザースペックル現象の低減に使用される方法として、拡散シートを追加する方法または焦点距離を変更する方法がある。拡散シートを振動させることで、光点(light spot)の発生位置を絶えずに変えて、レーザースペックル現象を低減し、光の均一度を高めることができる。ただし、拡散シートの使用により、光束が拡散されて収束が難しくなる。
【0005】
一方、可変焦点レンズを用いることでも、光点発生の位置を絶えずに変えて、レーザースペックル現象を低減し、光の均一度を高めることができる。しかし、光束を平面波(即ち、平行光)の状態に維持する必要がある場合、単一の可変焦点レンズにより波の進行方式が破壊され、結像品質が低下することになる。
【0006】
「背景技術」部分は発明内容の理解を促すことのみを目的とし、「背景技術」が開示した内容に当業者が既知の従来技術以外の一部構成が含まれている可能性がある。「背景技術」が開示した内容は、当該内容または本発明の1つ若しくは複数の実施例が解決しようとする課題が本発明の出願前に既に当業者に把握または認識されていたことを意味するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、光均一度を高め及びレーザースペックルを消去できる照明システムを提供する。
【0008】
本発明は、光均一度を高め及び結像品質を改善できる投影装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のその他の目的と利点について、本発明が開示する技術特徴からさらに理解を深めることができる。
【0010】
前記一つ、一部若しくはすべての目的、またはその他の目的を実現するために、本発明の一実施例が提供する照明システムは、励起光源、第1の可変焦点レンズ、第2の可変焦点レンズ及び制御ユニットを含む。励起光源は励起光束を提供する。第1の可変焦点レンズは励起光束の伝達経路上に配置される。第2の可変焦点レンズは励起光束の伝達経路上に配置され、かつ、第1の可変焦点レンズが励起光源と第2の可変焦点レンズとの間に位置する。第2の可変焦点レンズは第1の可変焦点レンズから出射された励起光束を受ける。制御ユニットは第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズに電気的に接続され、かつ、第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズの焦点距離を同期調整する。
【0011】
前記一つ、一部若しくはすべての目的、またはその他の目的を実現するために、本発明の一実施例が提供する投影装置はライトバルブ、投影レンズアセンブリ及び前記照明システムを含む。前記照明システムはさらに波長変換ホイールを含み、第2の可変焦点レンズを通った励起光束の伝達経路上に配置され、励起光束を変換光束に変換する。照明光束は励起光束及び変換光束を含む。ライトバルブは照明光束の伝達経路上に配置され、かつ、照明光束を画像光束に変換する。投影レンズアセンブリは画像光束の伝達経路上に配置され、かつ、画像光束を透過させる。
【0012】
本発明の実施例の照明システムにおいて、制御ユニットが第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズに電気的に接続され、かつ、第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズの焦点距離を同期調整する。励起光束が第1の可変焦点レンズを通る時に、焦点距離が絶えずに変わることで、光点が発生する位置を絶えずに変えて、レーザースペックル現象を低減し、光の均一度を高めることができる。これと同時に、第1の可変焦点レンズを通った励起光束は、焦点距離が変わることで、平行光から発散光または収束光に調整される。一方、第2の可変焦点レンズの焦点距離は、第1の可変焦点レンズの当時の焦点距離に応じて調整することができ、第1の可変焦点レンズから出射された励起光束が第2の可変焦点レンズを経由した後に、調整されて再度平行光に戻され、光束補償の効果を達成できる。本発明の実施例の投影装置は前記照明システムを使用することで、光均一度を高め、結像品質を改善することができる。
【0013】
本発明の前記特徴と利点をより明確に、分かりやすく示すために、以下は実施例を挙げて、かつ図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明の一実施例の第1の可変焦点レンズまたは第2の可変焦点レンズの形式変換の概略図。
【
図3A】本発明の一実施例における第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズの焦点距離調整の概略図。
【
図3B】本発明の別の実施例における第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズの焦点距離調整の概略図。
【
図3C】本発明の別の実施例における第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズの焦点距離調整の概略図。
【
図4】本実施例の励起光束が波長変換ホイールにおいて形成する光点の概略図。
【
図5】本発明の一実施例の投影装置のブロック概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の前記及びその他の技術内容、特徴及び効果を明確に示すべく、以下は図面を参照しながら好ましい実施例を詳しく説明する。以下の実施例で言及される方向用語、例えば上、下、左、右、前または後などは、図面を参照する方向のみである。従って、これらの方向用語は説明目的に用いられたものであり、本発明を制限するものではない。
【0016】
図1は本発明の一実施例の照明システムの概略図である。
図2は本発明の一実施例の第1の可変焦点レンズまたは第2の可変焦点レンズの形式変換の概略図である。
図1及び
図2を参照すると、本実施例の照明システム100は励起光源110、第1の可変焦点レンズ120、第2の可変焦点レンズ130及び制御ユニット140を含む。励起光源110は励起光束Lを提供する。第1の可変焦点レンズ120は励起光束Lの伝達経路上に配置される。第2の可変焦点レンズ130は励起光束Lの伝達経路上に配置され、かつ、第1の可変焦点レンズ120は励起光源110と第2の可変焦点レンズ130との間に位置する。第2の可変焦点レンズ130は、第1の可変焦点レンズ120から出射された励起光束Lを受ける。具体的に言うと、励起光束Lは励起光源110から出射された後、まず第1の可変焦点レンズ120を通って、次に第2の可変焦点レンズ130を通る。第1の可変焦点レンズ120と第2の可変焦点レンズ130の位置を取り替えることも可能であり、本発明は第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130が照明システム100中における相対位置について制限しない。制御ユニット140は第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130に電気的に接続され、かつ、第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130の焦点距離を同期調整する。
【0017】
励起光源110は例えばレーザー(laser)光源、または高いコヒーレンスを有る励起光束Lを提供できるその他の光源であってもよい。本実施例において、励起光源110から出射された励起光束Lは平行光であり、かつ、第1の可変焦点レンズ120まで伝達される。
【0018】
第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130について、薄膜または界面の曲率を変える(レンズの表面形状を変える)ことで焦点距離変更の目的を達成し、または材料自体の特性を変えることで焦点距離変更の目的を達成する。
図2が示すように、第1の可変焦点レンズ120を例にすると、第1の可変焦点レンズ120は平面レンズの形、凹レンズの形及び凸レンズの形に任意に変換することができ、異なる焦点距離によって、第1の可変焦点レンズ120を通った光束を平行光、収束光または発散光に変換する。第1の可変焦点レンズ120の種類は例えば液晶レンズ、液圧レンズ、機械駆動レンズ、エレクトロウェッティングレンズ等を含むが、これに限定されない。以上の第1の可変焦点レンズ120に関する説明は第2の可変焦点レンズ130にも適用され、かつ、本実施例において、第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130にそれぞれ異なる種類の可変焦点レンズを選んでもよい。
【0019】
本実施例の配置構造において、第1の可変焦点レンズ120と第2の可変焦点レンズ130との間の距離D1は例えば固定されて不変であり、かつ、励起光源110と第1の可変焦点レンズ120との間の距離D2も例えば固定されて不変である。第1の可変焦点レンズ120と第2の可変焦点レンズ130は何れも可変焦点であり、かつ、励起光束Lの伝達経路において前後に移動して焦点距離を変更する必要がないため、従来の照明システムで使用される一般的なレンズに比べると、本実施例の照明システム100は体積が比較的に小さい。距離D1が固定不変である場合、変数を減らすこともできて、励起光束Lの品質がより一層安定する。
【0020】
また、第1の可変焦点レンズ120は例えば第2の可変焦点レンズ130と共焦点であってもよいが、これに限定されない。共焦点が第1の可変焦点レンズ120と第2の可変焦点レンズ130との間、励起光源110と第1の可変焦点レンズ120との間、または第2の可変焦点レンズ130の第1の可変焦点レンズ120から離れている一側になるように調整してもよい。別の実施例において、第1の可変焦点レンズ120と第2の可変焦点レンズ130の焦点がそれぞれに異なる位置になるように調整してもよい。
【0021】
具体的に言うと、第1の可変焦点レンズ120の機能は、焦点距離を絶えずに変えることで、励起光束Lが通った後の光点発生位置を絶えずに変えて、レーザースペックル現象を低減させ、光の均一度を高めることである。第2の可変焦点レンズ130の機能は、第1の可変焦点レンズ120を通った励起光束Lが焦点距離の変更により、平行光から発散光または収束光に調整された時に、第2の可変焦点レンズ130は自身の焦点距離を変えることで励起光束Lに対し調整を行い、第1の可変焦点レンズ120から出射された励起光束Lが第2の可変焦点レンズ130の調整を経た後、再度平行光に戻され、光束補償の効果を達成する。これにより、光の均一度を高め、結像品質を維持できる。
【0022】
第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130の焦点距離を絶えずに変えると同時に、平行光の補償効果を達成する。本実施例の制御ユニット140は、第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130の焦点距離を同期調整するものであり、かつ、本発明のニーズに応えるために、制御ユニット140は第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130の焦点距離を同期に、かつ各々に調整することが好ましい。以下は、制御ユニット140が異なる時系列(time sequence)において第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130に対し異なる信号を与えて、第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130を同期変更する形で焦点距離を調整することについて詳しく説明する。
【0023】
図3Aは本発明の一実施例における第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズの焦点距離調整の概略図である。
図3Aを参照すると、第1の可変焦点レンズ120と第2の可変焦点レンズ130の屈折度(diopter)が何れも正であり、即ち、第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130は何れも凸レンズの形式であり、かつ、焦点fは第1の可変焦点レンズ120と第2の可変焦点レンズ130との間に位置する。一時系列において、励起光束Lが第1の可変焦点レンズ120を通った後、収束光に調整され、かつ、焦点fを通った後、発散光になって第2の可変焦点レンズ130まで伝達される。そして、励起光束Lが第2の可変焦点レンズ130を通った後、収束調整によって平行光に戻されるが、焦点距離f2が焦点距離f1より大きいため、元の励起光束に比較すると、光束が拡大されている。つまり、励起光源110が投射した励起光束Lの光点面積は、第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130を通った後の励起光束Lの光点面積より小さい。逆に、別の時系列において、焦点fが第1の可変焦点レンズ120と第2の可変焦点レンズ130との間に位置し、かつ、焦点距離f2が焦点距離f1より小さい場合、励起光束Lが第2の可変焦点レンズ130を通った後、元の励起光束に比較すると、光束が縮小される。つまり、励起光源110が投射した励起光束Lの光点面積は、第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130を通った後の励起光束Lの光点面積より大きい。
【0024】
図3Bから
図3Cは本発明の別の実施例における第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズの焦点距離調整の概略図である。
図3Bを参照すると、別の実施例では、第1の時系列において、第1の可変焦点レンズ120の屈折度が負であり、第2の可変焦点レンズ130の屈折度が正であり、即ち、第1の可変焦点レンズ120が凹レンズの形式であり、第2の可変焦点レンズ130が凸レンズの形式であり、かつ、焦点fが励起光源110と第1の可変焦点レンズ120との間に位置する。励起光束Lが第1の可変焦点レンズ120を通った後、発散光に調整され、かつ、第2の可変焦点レンズ130まで伝達される。そして、励起光束Lが第2の可変焦点レンズ130を通った後、収束調整によって平行光に戻されるが、焦点距離f2が焦点距離f1より大きいため、元の励起光束に比較すると、光束が拡大される。つまり、励起光源110が投射した励起光束Lの光点面積は、第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130を通った後の励起光束Lの光点面積より小さい。
【0025】
図3Cを参照すると、別の時系列において、制御ユニット140によって異なる信号を与えて、第1の可変焦点レンズ120の屈折度を正に変更し、及び第2の可変焦点レンズ130の屈折度を負に変更し、即ち、第1の可変焦点レンズ120が凸レンズの形式であり、第2の可変焦点レンズ130が凹レンズの形式であり、かつ、焦点fが第2の可変焦点レンズ130の第1の可変焦点レンズ120から離れた一側に位置する。励起光束Lが第1の可変焦点レンズ120を通った後、調整されて収束光になり、かつ、第2の可変焦点レンズ130まで伝達される。そして、励起光束Lが第2の可変焦点レンズ130を通った後、発散により調整されて平行光に戻されるが、焦点距離f2が焦点距離f1より小さいため、元の励起光束に比較すると、光束が縮小される。つまり、励起光源110が投射した励起光束Lの光点面積が第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130を通った後の励起光束Lの光点面積より大きい。
【0026】
以上から分かるように、制御ユニット140は第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130の焦点距離を同期かつ各々に調整することにより、異なる時系列において励起光束Lを平行光に維持したまま拡大または縮小し、光点位置を絶えずに変えて、レーザースペックル現象をさらに低減し、光の均一度を高める。
図4は本実施例の励起光束が波長変換ホイールにおいて形成した光点の概略図である。
図1及び
図4を参照すると、本実施例の照明システム100は例えばさらに波長変換ホイール150を含み、第2の可変焦点レンズ130を通った励起光束Lの伝達経路上に配置されて、励起光束Lを変換光束に変換する。波長変換ホイール150が使用する波長変換材料は例えばガラス封止蛍光体(phosphor in glass,PIG)、セラミックス封止蛍光体(phosphor in ceramic,PIC)、多結晶蛍光シート、単結晶蛍光シートまたはシリコン封止蛍光体(phosphor in silicon,PIS)等を含むが、これに限定されない。また、本実施例の励起光源110が提供する励起光束Lの光点形状が例えば円形であるが、これに限定されない。
図4が示すように、光点S1は拡大後の励起光束Lが波長変換ホイール150において形成したものであり、光点S2は正常な励起光束Lが波長変換ホイール150において形成したものであり、光点S3は縮小後の励起光束Lが波長変換ホイール150において形成したものである。ここで、光点S3の面積範囲内に、光点S1~S3が重なるため、光の均一度が最も高い。なお、ここで言う「拡大」及び「縮小」は単に固定された大きさ状態ではなく、連続的な範囲間の線形変化であり、光点S1~S3は概略説明に過ぎない。第1の可変焦点レンズ120及び第2の可変焦点レンズ130の時系列に応じた同期調整によって生成される光点の大きさが絶えずに変化するため、レーザースペックル(laser speckle)を消去し、及び励起光束Lの光の均一度を高める目的を達成できる。
【0027】
図5は本発明の一実施例の投影装置のブロック概略図である。
図5を参照すると、本実施例の投影装置10は照明システム100、ライトバルブ200及び投影レンズアセンブリ300を含む。照明システム100は照明光束L1を提供し、ライトバルブ200は照明光束L1の伝達経路上に配置されて、照明光束L1を画像光束L2に変換し、投影レンズアセンブリ300は画像光束L2の伝達経路上に波長されて、画像光束L2を屏幕に投射し、屏幕上に画像画面を形成する。
【0028】
ライトバルブ200は透過式ライトバルブまたは反射式ライトバルブであってもよく、透過式ライトバルブは透過式液晶パネルであり、反射式ライトバルブがデジタルマイクロミラー素子(Digital Micro-mirror Device,DMD)、液晶ディスプレイ(liquid-crystal display,LCD)、液晶層シリコンパネル(Liquid Crystal On Silicon panel,LCoS panel)、透光液晶パネル(Transparent Liquid Crystal Panel)、電気光学変調器(Electro-Optical Modulator)、磁気光学変調器(Maganeto-Optic modulator)、音声光学変調器(Acousto-Optic Modulator,AOM)であるが、これに限定されない。異なる設計構造により、ライトバルブ200の数が一つまたは複数であってもよい。
【0029】
投影レンズアセンブリ300は例えば屈折度を有する一つまたは複数の光学ミラーシートの組み合わせを含み、例えば、両凹レンズ、両凸レンズ、凹凸レンズ、凸凹レンズ、平凸レンズ及び平凹レンズ等の非平面ミラーシートの様々組み合わせを含む。一実施例において、投影レンズアセンブリ300は平面光学ミラーシートを含んでもよい。本発明は投影レンズアセンブリ300の形態及びその種類について制限しない。
【0030】
波長変換ホイール150は変換エリア及び光学エリア(図未示)を含み、光学エリアが反射エリアまたは透過エリアであってもよく、励起光束Lが波長変換ホイール150に照射した時、変換エリアが励起光束Lを変換光束Lpに変換し、変換光束Lpの波長が励起光束Lの波長と異なり、光学エリアが反射区である場合、励起光束Lを反射し、または光学エリアが透過エリアである場合、励起光束Lを透過させる。つまり、励起光束Lが光学エリアを経由して波長変換ホイール150を離れた場合は励起光束Lrである。照明光束L1は変換光束Lp及び励起光束Lrを含む。照明システム100はさらにその他の光学素子を含み、照明光束L1をライトバルブ200まで伝達するとしてもよい。
【0031】
照明システム100は照明光束L1の光の均一度を高め、及びレーザースペックルを消去することができるため、照明システム100を用いた投影装置10も光の均一度を高め、かつ、画像光束L2が屏幕まで投射された結像品質を改善することができる。
【0032】
以上を纏めると、本発明の実施例の照明システムにおいて、制御ユニットは第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズに電気的に接続され、かつ、時系列に第1の可変焦点レンズ及び第2の可変焦点レンズの焦点距離を同期調整する。励起光束が第1の可変焦点レンズを通る時に、焦点距離が絶えずに変わるため、光点発生の位置を絶えずに変えることができ、レーザースペックル現象を低減し、光の均一度を高めることができる。同時に、第1の可変焦点レンズを通った励起光束は、焦点距離の変化により、平行光から調整されて発散光または収束光になる。第2の可変焦点レンズの焦点距離は第1の可変焦点レンズの当時の焦点距離を基に調整され、第1の可変焦点レンズから出射された励起光束が第2の可変焦点レンズを通った後に、再度平行光に戻され、光束補償の効果を達成する。本発明の実施例の投影装置は前記照明システムを使用することで、光の均一度を高め、結像品質を改善することができる。
【0033】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、これを以って本発明の実施範囲を制限すべきではない。即ち、本発明の請求の範囲及び明細書を基に行った簡単かつ等価な変更と修正はすべて本発明の範囲内に属する。また、本発明の任意の実施例または請求項は必ずしも本発明で開示されたすべての目的、利点または特徴を備えるとは限らない。また、要約書と表題(発明名称)は特許文献検索に利用されるものであり、本発明の権利範囲を制限するものではない。また、明細書または請求の範囲で言及される「第1」、「第2」等の用語は素子(element)の名称を示し、または異なる実施例や範囲を区別するものであり、素子の数の上限または下限を制限するものではない。
【符号の説明】
【0034】
10 投影装置
100 照明システム
110 励起光源
120 第1の可変焦点レンズ
130 第2の可変焦点レンズ
140 制御ユニット
150 波長変換ホイール
200 ライトバルブ
300 投影レンズアセンブリ
D1、D2 距離
F 焦点
f1、f2 焦点距離
L 励起光束
L1 照明光束
L2 画像光束
Lp 変換光束
Lr 反射された励起光束
S1、S2、S3 光点