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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179403
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】皮膚用化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/87 20060101AFI20221125BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20221125BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20221125BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20221125BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61K8/87
A61K8/73
A61K8/31
A61K8/37
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080785
(22)【出願日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2021086158
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋子
(72)【発明者】
【氏名】村上 幸美
(72)【発明者】
【氏名】若月 明子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC402
4C083AC421
4C083AC422
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD262
4C083AD282
4C083AD352
4C083BB11
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD31
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】第3級アミン基(塩)及び/又は第4級アンモニウム塩基を含有する特定のポリウレタン樹脂を含み、安定性に優れた皮膚用化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリウレタン樹脂とイオン性官能基を有さない多糖類と水と油性成分とを含み、ポリウレタン樹脂が、一般式(1)で表される第3級アミン化合物(a11)、第3級アミン化合物(a11)の塩及び第3級アミン化合物(a11)の4級化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の含窒素化合物(a1)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂(P)である皮膚用化粧料とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン樹脂とイオン性官能基を有さない多糖類と水と油性成分とを含み、
ポリウレタン樹脂が、下記一般式(1)で表される第3級アミン化合物(a11)、第3級アミン化合物(a11)の塩及び第3級アミン化合物(a11)の4級化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の含窒素化合物(a1)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂(P)である皮膚用化粧料。
【化1】

(式中、Rは炭素数1~24の炭化水素基、炭素数1~24のヒドロキシアルキル基、炭素数1~24のメルカプトアルキル基又は炭素数1~24のアミノアルキル基であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~24のヒドロキシアルキル基、炭素数1~24のメルカプトアルキル基又は炭素数1~24のアミノアルキル基である。)
【請求項2】
油性成分が、炭化水素、グリセリンと炭素数8~22の脂肪酸とのトリエステル、及び炭素数8~22の脂肪酸と炭素数8~22の1価アルコールとのエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の皮膚用化粧料。
【請求項3】
ポリウレタン樹脂(P)が、含窒素化合物(a1)、含窒素化合物(a1)以外のポリオール(a2)及びポリイソシアネート(B)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂であり、含窒素化合物(a1)の合計重量が、含窒素化合物(a1)と含窒素化合物(a1)以外のポリオール(a2)との合計重量に基づいて10~75重量%である請求項1又は2に記載の皮膚用化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料を含む皮膚用外用剤のうち、肌荒れを抑制・改善するものとして、第3級アミン基(塩)及び/又は第4級アンモニウム塩基を含有する活性水素含有化合物を必須として得られるポリウレタン樹脂の水分散溶液を用いた皮膚外用剤が知られている(特許文献1)。
皮膚外用剤を皮膚用化粧料として用いる場合には、安定性を高め、使用しやすい粘度に調整するために増粘剤を用いることが行われるが、特許文献1に記載の皮膚外用剤に対して水溶性増粘剤を用いると、皮膚外用剤中でポリウレタン樹脂が凝集するなど製品の安定性が悪く、皮膚用外用剤として使用できなくなる場合があるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-203739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、第3級アミン基(塩)及び/又は第4級アンモニウム塩基を含有する特定のポリウレタン樹脂を含み、ポリウレタン樹脂の凝集が生じることがない皮膚用化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ポリウレタン樹脂とイオン性官能基を有さない多糖類と水と油性成分とを含み、ポリウレタン樹脂が、下記一般式(1)で表される第3級アミン化合物(a11)、第3級アミン化合物(a11)の塩及び第3級アミン化合物(a11)の4級化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の含窒素化合物(a1)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂(P)である皮膚用化粧料である。
【0006】
【化1】
【0007】
式中、Rは炭素数1~24の炭化水素基、炭素数1~24のヒドロキシアルキル基、炭素数1~24のメルカプトアルキル基又は炭素数1~24のアミノアルキル基であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~24のヒドロキシアルキル基、炭素数1~24のメルカプトアルキル基又は炭素数1~24のアミノアルキル基である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚用化粧料は、第3級アミン基(塩)及び/又は第4級アンモニウム塩基を含有する特定のポリウレタン樹脂を含み、かつ安定性に優れた皮膚用化粧料である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ポリウレタン樹脂と、イオン性官能基を有さない多糖類と水と油性成分とを含み、ポリウレタン樹脂が、下記一般式(1)で表される第3級アミン化合物(a11)、第3級アミン化合物(a11)の塩及び第3級アミン化合物(a11)の4級化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の含窒素化合物(a1)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂(P)である皮膚用化粧料である。
【0010】
【化2】
【0011】
一般式(1)中、Rは炭素数1~24の炭化水素基、炭素数1~24のヒドロキシアルキル基、炭素数1~24のメルカプトアルキル基又は炭素数1~24のアミノアルキル基であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~24のヒドロキシアルキル基、炭素数1~24のメルカプトアルキル基又は炭素数1~24のアミノアルキル基である。
【0012】
一般式(1)中、Rは炭素数1~24の炭化水素基、炭素数1~24のヒドロキシアルキル基、炭素数1~24のメルカプトアルキル基又は炭素数1~24のアミノアルキル基である。
一般式(1)においてRで表される、炭素数1~24の炭化水素基としては、炭素数1~24の直鎖脂肪族炭化水素基(メチル基、エチル基、ラウリル基、及びテトラコサニル基等)、分岐鎖を有する炭素数3~24の脂肪族炭化水素基(1-メチルエチル基、3-メチルブチル基、2,3,5-トリメチルヘキシル基、及び1-メチルトリコサニル基等)、炭素数5~24の脂環式炭化水素基(シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等)、炭素数6~24の芳香脂肪族炭化水素基(ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、及びトリチル基等)及び炭素数6~24の芳香族炭化水素基(フェニル基、ナフチル基、及びアントリル基等)が挙げられる。
【0013】
炭素数1~24の炭化水素基としては、炭素数1~24の直鎖脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1~12の直鎖脂肪族炭化水素基が更に好ましく、炭素数1~3の直鎖脂肪族炭化水素基が特に好ましく、メチル基及びエチル基が最も好ましい。
【0014】
一般式(1)においてRで表される、炭素数1~24のモノヒドロキシアルキル基としては、炭素数1~24の脂肪族炭化水素基が有する水素原子のうちいずれか1つの水素原子を水酸基で置換した基があげられ、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基、1-ヒドロキシドデシル基、及び2-ヒドロキシイコシル基等があげられる。ヒドロキシアルキル基としては、炭素数1~12のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数1~3のヒドロキシアルキル基が更に好ましく、ヒドロキシエチル基が特に好ましい。
【0015】
一般式(1)においてRで表される、炭素数1~24のメルカプトアルキル基としては、炭素数1~24の脂肪族炭化水素基が有する水素原子のうちいずれか1つの水素原子をメルカプト基で置換した基があげられ、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基、2-メルカプトプロピル基、4-メルカプトブチル基、1-メルカプトドデシル基、及び2-メルカプトイコシル基等があげられる。メルカプトアルキル基としては、炭素数1~12のメルカプトアルキル基が好ましく、炭素数1~3のメルカプトアルキル基が更に好ましく、メルカプトエチル基が特に好ましい。
【0016】
一般式(1)においてRで表される、炭素数1~24のアミノアルキル基としては、炭素数1~24の脂肪族炭化水素基が有する水素原子のうちいずれか1つの水素原子をアミノ基で置換した基があげられ、アミノメチル基、アミノエチル基、3-アミノプロピル基、4-アミノブチル基、4-アミノフェニル基、12-アミノドデシル基、及び20-アミノイコシル基等があげられる。アミノアルキル基としては、炭素数1~12のアミノアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアミノアルキル基に好ましく、アミノエチル基が特に好ましい。
【0017】
一般式(1)中、Rで表される基としては、炭素数1~12の直鎖脂肪族炭化水素基及び炭素数1~12のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数1~3の直鎖脂肪族炭化水素基及び炭素数1~3のヒドロキシアルキル基が更に好ましく、メチル基、エチル基、及びヒドロキシエチル基が特に好ましい。
【0018】
一般式(1)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~24のヒドロキシアルキル基、炭素数1~24のメルカプトアルキル基又は炭素数1~24のアミノアルキル基である。
及びRで表される炭素数1~24のヒドロキシアルキル基としては、一般式(1)においてRで表される炭素数1~24のヒドロキシアルキル基と同じものがあげられ、好ましいものも同じである。
及びRで表される炭素数1~24のメルカプトアルキル基としては、一般式(1)においてRで表される炭素数1~24のメルカプトアルキル基と同じものがあげられ、好ましいものも同じである。
及びRで表される炭素数1~24のアミノアルキル基としては、一般式(1)においてRで表される炭素数1~24のアミノアルキル基と同じものがあげられ、好ましいものも同じである。
一般式(1)において、R及びRで表される基は、同じであっても異なっていても良く、同じであることが好ましい。
【0019】
一般式(1)中、R及びRとしては、炭素数1~12のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数1~3のヒドロキシアルキル基が更に好ましく、ヒドロキシエチル基が特に好ましい。
【0020】
一般式(1)において、Rで表される基は、R及びRのいずれかと同じであってもよく、R、R及びRが全て同じであっても良く、R、R及びRが全て異なっていても良い。なかでも、Rが炭素数1~24の炭化水素基又は炭素数1~24のヒドロキシアルキル基であり、R及びRが同じ炭素数1~24のヒドロキシアルキル基であることが好ましい。
【0021】
一般式(1)で表される第3級アミン化合物(a11)としては、1つの炭化水素基と2つのヒドロキシアルキル基を有する化合物(a11-1)、1つの炭化水素基と2つのアミノ基を有する化合物(a11-2)、1つの炭化水素基と2つのメルカプト基を有する化合物(a11-3)、1つの炭化水素基と1つのヒドロキシアルキル基と1つのアミノアルキル基とを有する化合物(a11-4)、1つの炭化水素基と1つのヒドロキシアルキル基と1つのメルカプトアルキル基を有する化合物(a11-5)、1つの炭化水素基と1つのアミノアルキル基と1つのメルカプトアルキル基を有する化合物(a11-6)、及び3つのヒドロキシアルキル基を有する化合物(a11-7)等があげられる。
【0022】
1つの炭化水素基と2つのヒドロキシアルキル基を有する化合物(a11-1)としては、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-メチルジプロパノールアミン、及びN-ラウリルジエタノールアミン等が挙げられる。
【0023】
1つの炭化水素基と2つのアミノ基を有する化合物(a11-2)としては、ビス(アミノプロピル)メチルアミン、ビス(アミノエチル)メチルアミン、ビス(アミノメチル)メチルアミン、ビス(アミノエチル)エチルアミン、及びビス(アミノエチル)シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
【0024】
1つの炭化水素基と2つのメルカプト基を有する化合物(a11-3)としては、N,N-ジメルカプトエチル-N-メチルアミン、N,N-ジメルカプトプロピル-N-メチルアミン、N,N-ジメルカプトエチル-N-ステアリルアミン、及びN,N-ジメルカプトエチル-N-シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
【0025】
1つの炭化水素基と1つのヒドロキシアルキル基と1つのアミノアルキル基とを有する化合物(a11-4)としては、N-メチル-N-(アミノエチル)エタノールアミン、N-エチル-N-(アミノプロピル)エタノールアミン、及びN-ヒドロキシエチル-N-アミノエチルアニリン等が挙げられる。
【0026】
1つの炭化水素基と1つのヒドロキシアルキル基と1つのメルカプトアルキル基を有する化合物(a11-5)としては、N-メチル-N-(メルカプトエチル)エタノールアミン、N-エチル-N-(メルカプトエチル)エタノールアミン、N-メチル-N-(メルカプトメチル)エタノールアミン、N-メチル-N-(メルカプトプロピル)エタノールアミン、及びN-メチル-N-(メルカプトエチル)プロパノールアミン等が挙げられる。
【0027】
1つの炭化水素基と1つのアミノアルキル基と1つのメルカプトアルキル基を有する化合物(a11-6)としては、N-メチル-N-(アミノエチル)メルカプトエチルアミン、N-メチル-N-(アミノブチル)メルカプトエチルアミン、N-メチル-N-(アミノエチル)メルカプトラウリルアミン、N-メチル-N-(アミノエチル)メルカプトステアリルアミン、及びN-メチル-N-(アミノブチル)メルカプトエチルアミン等が挙げられる。
【0028】
3つのヒドロキシアルキル基を有する化合物(a11-7)としては、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0029】
一般式(1)で表される第3級アミン化合物(a11)としては、1つの炭化水素基と2つのヒドロキシアルキル基を有する化合物(a11-1)、及び3つのヒドロキシアルキル基を有する化合物(a11-7)が好ましく、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンが更に好ましく、N-メチルジエタノールアミンが最も好ましい。
【0030】
第3級アミン化合物(a11)の塩[以下、塩(a12)と略記することがある]は、前記の第3級アミン化合物(a11)と酸(D)との中和塩である。
酸(D)としては、無機酸(塩酸、硫酸、及び硝酸等)、及び有機酸[モノカルボン酸(ギ酸、酢酸、及びステアリン酸等)、ポリカルボン酸(シュウ酸、及びイタコン酸等)、及びヒドロキシカルボン酸(クエン酸、酒石酸、及び乳酸等)等]が挙げられる。
【0031】
第3級アミン化合物(a11)の塩としては、第3級アミン化合物(a11)と、無機酸又はヒドロキシカルボン酸との中和塩が好ましく、更に好ましくは前記の第3級アミン化合物(a11)と乳酸との中和塩である。
塩(a12)となる第3級アミン化合物(a11)としては、1つの炭化水素基と2つのヒドロキシアルキル基を有する化合物(a11-1)、及び3つのヒドロキシアルキル基を有する化合物(a11-7)が好ましく、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンが更に好ましい。
塩(a12)としては、N-メチルジエタノールアミンと乳酸との塩、N-エチルジエタノールアミンと乳酸との塩、及びトリエタノールアミンと乳酸との塩が好ましく、N-エチルジエタノールアミンと乳酸との塩がさらに好ましい。
【0032】
本発明の皮膚用化粧料が含むポリウレタン樹脂(P)が、第3級アミン化合物(a11)の塩に由来する構造を有する場合、ポリウレタン樹脂(P)は、塩(a12)を含む単量体組成物を他の構成単量体と反応してなるポリウレタン樹脂であっても良く、第3級アミン化合物(a11)を含む単量体組成物が反応してなるポリウレタン樹脂を更に酸(D)で中和して得られるポリウレタン樹脂(P)であっても良い。
【0033】
第3級アミン化合物(a11)の4級化物[以下、4級化物(a13)と略記することがある]は、一般式(1)で表される第3級アミンにおいてR~Rで表される基が結合した窒素原子にアルキル基が結合してなるアンモニウムイオンとカチオンとからなる塩であり、第3級アミン化合物(a11)とアルキル化剤(E)とを用いた4級化反応により得ることができる。
アルキル化剤(E)としては、ハロゲン化アルキル(塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル及びモノクロロ酢酸ナトリウム等)、及びアルキル硫酸エステル(ジメチル硫酸、及びジエチル硫酸等)等が挙げられる。
第3級アミン化合物(a11)とアルキル化剤(E)とを用いた4級化反応は、以下の方法(1)~方法(3)で行うことが出来る。
[方法(1)]第3級アミン化合物(a11)を必要に応じて溶剤に溶解し、耐圧反応容器中で50~80℃に加熱と撹拌を行いながら、アルキル化剤(E)であるハロゲン化アルキルを滴下して反応させる方法。
[方法(2)]第3級アミン化合物(a11)を必要に応じて溶剤に溶解し、ガラス製反応容器中で10~50℃に加熱と撹拌を行いながら、アルキル化剤(E)であるジアルキル硫酸を滴下して反応させる方法。
[方法(3)]ガラス製反応容器を用いて50~80℃の常圧条件下で第3級アミン化合物(a11)とアルキル化剤(E)であるハロゲン化アルキルと必要に応じて用いる溶剤とを一度に混合撹拌して反応させる方法。
【0034】
本発明の皮膚用化粧料が含むポリウレタン樹脂(P)が、第3級アミン化合物(a11)の4級化物に由来する構造を有する場合、ポリウレタン樹脂(P)は、4級化物(a13)を含む単量体組成物が反応してなるポリウレタン樹脂であっても良く、第3級アミン化合物(a11)を含む単量体組成物が反応してなるポリウレタン樹脂に含まれ、かつ第3級アミン化合物(a11)に由来する窒素原子を、アルキル化剤(E)で4級化したポリウレタン樹脂(P)であっても良い。
【0035】
第3級アミン化合物(a11)の4級化物に用いるアルキル化剤(E)としては、モノクロロ酢酸ナトリウム及びジメチル硫酸が好ましい。
4級化物(a13)となる第3級アミン化合物(a11)としては、1つの炭化水素基と2つのヒドロキシアルキル基を有する化合物(a11-1)、及び3つのヒドロキシアルキル基を有する化合物(a11-7)が好ましく、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンが更に好ましく、N-メチルジエタノールアミンが最も好ましい。
第3級アミン化合物(a11)の4級化物としては、N-メチルジエタノールアミンとモノクロロ酢酸ナトリウムとを反応してなる4級化物、及びN-メチルジエタノールアミンとジメチル硫酸とを反応してなる4級化物が好ましい。
【0036】
本発明の皮膚化粧料が含むポリウレタン樹脂が必須構成単量体とする含窒素化合物(a1)としては、第3級アミン化合物(a11)の塩及び第3級アミン化合物(a11)の4級化物が好ましい。
【0037】
本発明の皮膚用化粧料に含まれるポリウレタン樹脂(P)の構成単量体は、更に含窒素化合物(a1)以外のポリオール[以下、ポリオール(a2)と記載する]を含むことが好ましく、本発明の皮膚用化粧料が含むポリウレタン樹脂(P)は、含窒素化合物(a1)、ポリオール(a2)及びポリイソシアネート(B)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂(P)が構成単量体としてポリオール(a2)を含むことで、皮膚に塗布したときの滑らかさと皮膜感が得られる。
【0038】
ポリオール(a2)は2個以上の水酸基を有する化合物であれば制限なく用いることができるが、イオン性の置換基(カルボキシル基、スルホ基及びホスホ基等)を有さないポリオールが好ましい。
好ましいポリオール(a2)としては、エーテル基を含まない炭素数1~6の2~3価アルコール、ポリエステルジオール、及びポリエーテルジオール等があげられる。
【0039】
エーテル基を含まない炭素数1~6の2~3価アルコールとしては、メチルペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、及びトリメチロールプロパン等があげられる。
【0040】
ポリエーテルジオールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを好ましく用いることができる。
【0041】
ポリエステルジオールとしては、ジカルボン酸とイオン性の官能基を有さないジオールとを構成単量体とする両末端に水酸基を有するポリエステル等が挙げられ、ジカルボン酸のモル数よりも多いモル数のジオールを用いて縮合重合することによって得ることができる。
ポリエステルジオールの構成単量体であるジオールとしては、(ポリ)アルキレングリコール[エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等]、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、ジオキサングリコール、アダマンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、メチルオクタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-メチルプロパンジオール、1,3,3-メチルペンタンジオール、1,5-ヘキサメチレングリコール、オクチレングリコール、9-ノナンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-ポリイソプレンジオール、1,4-ポリブタジエンジオール及び1,2-ポリブタジエンジオール等が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコールは、アルキレングリコール又はポリアルキレングリコールを意味する。
【0042】
ポリエステルジオールの構成単量体であるジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t-ブチルイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸及び4,4’-ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
【0043】
ポリエステルジオールを構成するジオールとしては、皮膚に塗布したときの滑らかさの観点から、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、3-メチルペンタンジオール及び1,4-ブタンジオールが好ましく、3-メチルペンタンジオール及び1,4-ブタンジオールがさらに好ましく、ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸が好ましく、アジピン酸がさらに好ましい。
(ポリ)エチレングリコールは、エチレングリコール又はポリエチレングリコールを意味し、(ポリ)プロピレングリコールは、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールを意味する。
【0044】
ポリエステルジオールの重量平均分子量は、好ましくは500~6000であり、更に好ましくは1000~3000である。
500以上であれば、皮膚に塗布したときの皮膜感が良好であり、6000以下であればポリウレタン樹脂(P)の単量体組成物の混合が容易で反応性が良好となり好ましい。
【0045】
ポリエステルジオールの重量平均分子量(以下、Mwと略称することがある。)は、GPCを用いて以下の条件で測定することが出来る。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC-8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)
【0046】
ポリオール(a2)としては、炭素数1~13のアミン[ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジアミノトルエン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン、アミノエチルピペラジン、アニリン及びメチレンビス(オルソクロロアニリン)等]のアルキレンオキサイド付加物、炭素数1~12の4~8価のアルコール(ペンタエリスリトール、メチルグルコシド、ソルビトール、及びサッカロース等)、及び炭素数6~12の多価フェノール(ビスフェノールA、及びハイドロキノン等)等も用いることができる。 ポリオール(a2)は、1種を用いても2種以上を併用してもよい。
【0047】
ポリウレタン樹脂(P)が含窒素化合物(a1)とポリオール(a2)とを必須構成単量体とする場合、含窒素化合物(a1)の合計重量割合は、含窒素化合物(a1)とポリオール(a2)との合計重量に基づいて10~75重量%であることが好ましい。含窒素化合物(a1)の合計重量割合がこの範囲であると、化粧料の安定性が良好となり好ましい。
【0048】
本発明において、ポリウレタン樹脂(P)の構成単量体であるポリイソシアネート(B)としては、芳香族ポリイソシアネート(B1)、脂肪族ポリイソシアネート(B2)、脂環式ポリイソシアネート(B3)、芳香脂肪族ポリイソシアネート(B4)及び前述(B1)~(B4)の変性物(B5)等が挙げられる。
(B)は1種でも、2種以上を併用してもよい。
【0049】
芳香族ポリイソシアネート(B1)としては、炭素数(イソシアナト基中の1つの炭素原子を除いた炭素数を意味する。以下のポリイソシアネートの炭素数も同様とする。)6~16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6~20の芳香族トリイソシアネート、これらのイソシアネートの粗製物及びこれらイソシアネートの混合物等が挙げられ、1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’-又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI、又はポリメリックMDI)、及びTDIとポリメリックMDIとの混合物等が挙げられる。
【0050】
脂肪族ポリイソシアネート(B2)としては、炭素数6~10の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられ、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0051】
脂環式ポリイソシアネート(B3)としては、炭素数6~16の脂環式ジイソシアネート等が挙げられ、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0052】
芳香脂肪族ポリイソシアネート(B4)としては、炭素数8~12の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられ、キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0053】
ポリイソシアネート(B)としては、前記ポリイソシアネート(B1)~(B4)の変性物を用いても良く、ウレタン変性MDI及びカルボジイミド変性MDI等が挙げられる。
【0054】
これらのポリイソシアネート(B)のうち、皮膚に塗布したときの柔軟性の観点からイソホロンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを使用することが好ましい。
【0055】
ポリウレタン樹脂(P)を構成する構成単量体である、含窒素化合物(a1)とポリオール(a2)とポリイソシアネート(B)において、イソシアネート指数[(NCO基/OH基の当量比)×100]は種々変えることができるが、好ましくは50~200であり、更に好ましくは110~180である。
【0056】
ポリウレタン樹脂(P)は、構成単量体に、水酸基を除く活性水素原子を含有する置換基(アミノ基、及びチオール基等)を2個以上有する多官能合物(以下、多官能化合物と記載する)を含んでも良い。
多官能化合物は、活性水素原子1個当たりの数平均分子量が200未満である活性水素含有化合物であることが好ましい。
【0057】
多官能化合物としては、活性水素原子数が2~5個であり、かつ活性水素原子1個当たりの数平均分子量が200未満である活性水素含有化合物が好ましい。
好ましい多官能合物としては、炭素数1~13のアミン(ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジアミノトルエン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン、アミノエチルピペラジン、アニリン及びメチレンビス(オルソクロロアニリン)等)等があげられる。
【0058】
ポリウレタン樹脂(P)は、構成単量体に、末端封止剤として、活性水素原子を有する官能基を1つ有し、かつ活性水素原子1個当たりの数平均分子量が200未満である単官能合物(以下、単官能化合物と記載する)を含んでもよい。
単官能化合物としては、モノアルコール(ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル等)及びモノアミン(プチルアミン及びジアリルアミン等)等]等があげられる。
【0059】
本発明の皮膚用化粧料が含むポリウレタン樹脂(P)は、公知の方法で含窒素化合物(a1)並びに必要に応じて用いるポリオール(a2)及び多官能化合物及び単官能化合物を含む組成物とポリイソシアネート(B)とを反応することで得ることが出来る。
なお、以下において、含窒素化合物(a1)と必要に応じて用いるポリオール(a2)及び多官能化合物及び単官能化合物とを含む組成物を活性水素原子含有組成物と記載する。
ポリウレタン樹脂(P)を得る方法としては、活性水素原子含有組成物の一部及びポリイソシアネート(B)の一部とを反応して前駆体(プレポリマーともいう)を製造し、続いて前記プレポリマーと残りの活性水素原子含有組成物等、又は残りのポリイソシアネート(B)とを反応させる方法(プレポリマー法)、及び活性水素原子含有組成物とポリイソシアネート(B)とを一括して反応させる方法(ワンショット法)等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂(P)の製造方法としてはプレポリマー法が好ましい。
【0060】
ポリウレタン樹脂(P)がポリ(オキシアルキレン)基を有する場合、ポリアルキレングリコールを必須成分として含むポリオール(a2)とポリイソシアネート(B)とを反応しても良く、含窒素化合物(a1)のアルキレンオキサイド付加物と必要に応じて用いるポリオール(a2)とポリイソシアネート(B)と反応しても良い。
含窒素化合物(a1)のアルキレンオキサイド付加物を用いる場合、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)、1,2-プロピレンオキサイド(PO)、1、2-、2、3-もしくは1、3-ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(THF)、及びエピクロルヒドリンなどが挙げられる。
含窒素化合物(a1)のアルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドは単独でも2種以上併用してもよく、2種以上併用する場合のアルキレンオキサイドの付加はブロック付加でもランダム付加でも両者の混合系でも良い。
【0061】
ポリウレタン樹脂(P)の重量平均分子量は、好ましくは3,000~100,000であり、更に好ましくは5000から80,000である。
3,000以上であれば、官能評価でハリ感(保護感)に優れ、100,000以下であれば皮膚用化粧料中での安定性が良好である。
イソシアネート指数、ポリオール(a2)の組成、多官能化合物の使用量及び単官能化合物の使用量を調整することでポリウレタン樹脂(P)の重量平均分子量を好ましい範囲に調整することができる。
【0062】
本発明の皮膚用化粧料が含む、イオン性官能基を有さない多糖類としては、多糖類のうちイオン性官能基を有さない多糖類を制限なく使用することができる。なお、イオン性官能基とは、カチオン性官能基(アミノ基、及びアンモニオ基等)及びアニオン性官能基(カルボキシル基、スルホニル基、及びホスソリル基等)を意味する。
イオン性官能基を有さない多糖類として好ましいものとしては、キシログルカン、ローカストビーンガム、グァーガム、アガロース、でんぷん、セルロース及びこれらのアルキレンオキサイド付加物(ヒドロキシエチルセルロース等)等が挙げられる。
これらの多糖類は、化学合成したものであっても、植物種子等から分離精製等して得られる天然物由来のものであっても良い。
イオン性官能基を有さない多糖類としては、ヒドロキシエチルセルロース、グァーガム、及びセルロースが好ましい。
イオン性官能基を有さない多糖類は、水溶性であっても水不溶性であっても良い。水不溶性の多糖類を用いる場合、ナノファイバー及びナノクリスタル等の微粒子であることが好ましい。
イオン性官能基を有さない多糖類を用いることで、皮膚用化粧料に含まれるポリウレタン樹脂を凝集させることなく、安定性を高め、使用しやすい粘度に調整するができる。
【0063】
本発明の皮膚用化粧料が含む水は、イオン性官能基を有さない多糖類が増粘作用を発現し、化粧料の粘度の調整を行うために必須の成分であり、精製水、天然水(海水及び温泉水等)、及び植物原料から抽出した水(植物蒸留水及び樹皮液等)等を制限なく使用することができる。
【0064】
本発明の皮膚用化粧料が必須成分として含む油性成分は、化粧品原料として公知の油性成分[シリコーン、油脂、ろう(ワックスともいう)、炭化水素、脂肪酸、アルコール及びエステル等]であれば制限なく使用できる。
【0065】
なかでも、油性成分としては、炭化水素、グリセリンと炭素数8~22の脂肪酸とのトリエステル、及び炭素数8~22である脂肪酸と炭素数8~22である1価アルコールとのエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
油性成分がこれらを含むと、使用感(保護感)が良好となり好ましい。
【0066】
油性成分である炭化水素としては、ワセリン、ミネラルオイル及びスクワラン等が挙げられる。
【0067】
油性成分である、グリセリンと炭素数8~22の脂肪酸とのトリエステルとして好ましいものとしては、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、ラウリン酸トリグリセリド、2-エチルヘキサン酸トリグリセリド、トリメチロールプロパンの2-エチルヘキサン酸トリエステル、カプリル酸及びカプリン酸の混合物とグリセリンとのトリエステル、イソステアリン酸トリグリセリド、トリメチロールプロパンのイソステアリン酸トリエステル等が挙げられる。
これらのトリエステルとしては、化学合成品を用いてもよい。
また、本発明の皮膚用化粧料がトリエステルを含む場合、トリエステルを含む混合物である天然油脂を用いることでトリエステルを含有させても良い。前記のトリエステルを含む天然油脂のうち、植物性油脂としては、パーム油、ヤシ油、及びアボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、米油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ククイナッツ油、月見草油、マカデミアナッツ油、カニナバラ果実油(ローズヒップ油)及びメドウホーム油等が挙げられる。
【0068】
油性成分である、炭素数8~22である脂肪酸と炭素数8~22である1価アルコールとのエステルとして好ましいものとしては、イソノナン酸イソノニルエステル、イソノナン酸イソトリデシルエステル、エチルヘキサン酸セチルエステル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシルエステル、ミリスチン酸イソプロピルエステル、ミリスチン酸イソセチルエステル、ミリスチン酸オクチルドデシルエステル、イソステアリン酸エチルエステル、イソステアリン酸イソプロピルエステル、イソステアリン酸ヘキシルデシルエステル、イソステアリン酸イソステアリルエステル、イソステアリン酸コレステリルエステル、イソステアリン酸フィトステリルエステル、乳酸イソステアリルエステル、乳酸オクチルドデシルエステル、オレイン酸オレイルエステル、オレイン酸フィトステリルエステル、オレイン酸オクチルドデシルエステル、ネオペンタン酸イソデシルエステル、ネオペンタン酸イソステアリルエステル、パルミチン酸イソプロピルエステル、パルミチン酸エチルヘキシルエステル、ラウリン酸ヘキシルエステル、ラウリン酸イソアミルエステル、ネオデカン酸オクチルドデシルエステル、リシノレイン酸オクチルドデシルエステル、エルカ酸オレイルエステル、エルカ酸オクチルドデシルエステル、及びラウロイルサルコシンイソプロピルエステル等が挙げられる。
【0069】
本発明の化粧料は、前記のポリウレタン樹脂、イオン性官能基を有さない多糖類、水及び油性成分を含む皮膚用化粧料であれば制限はなく、前記のポリウレタン樹脂、イオン性官能基を有さない多糖類、水及び油性成分の含有量は、化粧料の性状、使用方法、及び使用目的等に応じて適宜調整することができる。
【0070】
化粧料を皮膚の上に広げた際の使用感等の観点から、前記のポリウレタン樹脂(P)は、化粧料の合計重量に基づいて0.0005~3重量%であることが好ましく、0.001~2重量%であることが更に好ましく、0.002~1.5重量%であることが特に好ましい。
【0071】
イオン性官能基を有さない多糖類は、化粧料の合計重量に基づいて0.01~5重量%であることが好ましく、0.05~5重量%であることが更に好ましい。
【0072】
水は、化粧料の合計重量に基づいて1~95重量%であることが好ましく、5~90重量%であることが更に好ましい。
【0073】
油性成分の含有量は、化粧料の合計重量に基づいて0.01重量%以上であることが好ましい。特に皮膚用化粧料がクリーム剤である場合には1重量%以上であることが更に好ましく、5重量%以上であることが特に好ましい。油性成分の含有量の上限は、50重量%であることが好ましく、40重量%であることが更に好ましい。
【0074】
本発明の皮膚用化粧料は、本発明の効果を阻害しない範囲で、界面活性剤、コンディショニング剤、増粘剤、パール化剤、紫外線吸収・散乱剤、シリコーン、キレート剤、保湿剤、顔料、防腐剤、酸化防止剤、及びpH調整剤等の公知のその他の添加剤を含んでも良い。
【0075】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウム、2-ヒドロキシラウリルエーテル酢酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、及びβ-ラウリルアミノプロピロン酸ナトリウム等の両性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキシド、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド、モノステアリン酸エチレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル等の非イオン性界面活性剤、並びに、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
安定性等の観点から、界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤が好ましい。
【0076】
コンディショニング剤としては、カチオン化セルロース、カチオン化グァーガム、カチオン化加水分解コムギタンパク及びカチオン化加水分解ダイズタンパク等が挙げられる。
【0077】
増粘剤としては、イオン性の官能基を有さない増粘剤でありことが好ましく、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド、ラウリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、(架橋型)アクリル酸重合体(塩)、ジオレイン酸ポリエチレングリコールメチルグルコース、トリオレイン酸ポリエチレングリコールメチルグルコース及びポリオキシエチレンセトステアリルヒドロキシミリチスチルエーテル等が挙げられる。なかでも、ラウリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコールメチルグルコース、トリオレイン酸ポリエチレングリコールメチルグルコース、及びポリオキシエチレンセトステアリルヒドロキシミリチスチルエーテル等が好ましい。
【0078】
パール化剤としては、ジステアリン酸エチレングリコール等が挙げられる。
【0079】
紫外線吸収・散乱剤としては、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸オクチル、エチルヘキシルトリアゾン、サリチル酸オクチル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、酸化チタン、及び酸化亜鉛等が挙げられる。
【0080】
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、クエン酸及びその塩等が挙げられる。
【0081】
保湿剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及びピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0082】
顔料としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄などの無機顔料、赤色202号、赤色228号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色404号、橙201号、緑201号、紫201号などの有機色素等が挙げられる。
【0083】
防腐剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、安息香酸(塩)、サリチル酸(塩)及びソルビン酸(塩)等が挙げられる。
【0084】
酸化防止剤としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、α-トコフェロール、エリソルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0085】
pH調整剤としては、クエン酸、水酸化ナトリウム、また、ジイソプロパノールアミンなどの有機アミン類などが挙げられる。
【0086】
本発明の皮膚用化粧料は、ポリウレタン樹脂(P)とイオン性官能基を有さない多糖類と水と油性成分と必要により用いる前記のその他の添加剤を混合することで得ることができ、ポリウレタン樹脂(P)とイオン性官能基を有さない多糖類と水と油性成分と必要により用いる前記のその他の添加剤との混合順序に特に制限はないが、油性成分を含む油相を撹拌し、撹拌している油相に、イオン性官能基を有さない多糖類と水とを含む水相を徐々に加え、水中油型の乳化物を作製し、更に水中油型乳化物にポリウレタン樹脂(P)を混合することが好ましい。
【0087】
本発明の皮膚用化粧料の製造において、ポリウレタン樹脂(P)と水相との混合は、汎用的なスターラーを用いた機械撹拌、撹拌棒などを用いた手撹拌、汎用ミキサー(ホモミキサー、ホモディスパー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンミキサー、V型ミキサー、ジューサーミキサー、プラネタリーミキサー、スタンドミキサー、及び自転公転式ミキサー等)、及び超音波分散機等を用いて行うことができる。
【0088】
ポリウレタン樹脂(P)を水相に混合する場合、ポリウレタン樹脂(P)の性状は粉体状であっても、溶液であっても、分散液であっても良いが、混合の容易さ等の観点から、ポリウレタン樹脂(P)が水性媒体中に分散されているポリウレタン樹脂(P)の水性分散体であることが好ましい。
前記ポリウレタン樹脂(P)を分散させる水性媒体としては、水、水とメタノールとの混合溶媒、及び水とエタノールの混合溶媒等が挙げられる。この中でも、皮膚用化粧料に用いるという観点から、水がより好ましい。
【0089】
ポリウレタン樹脂(P)の水性分散体の25℃での粘度は、ハンドリング性の観点から、好ましくは5~3,000mPa・sであり、更に好ましくは8~2,000mPa・sであり、最も好ましくは10~1,000mPa・sである。
粘度はBL型粘度計を用いて測定することができる。
【0090】
ポリウレタン樹脂(P)の水性分散体の固形分濃度(揮発性成分以外の成分の重量割合)は、ハンドリング性の観点から、好ましくは10~40重量%、更に好ましくは15~35重量%であり、最も好ましくは20~30重量%である。
固形分濃度は、ペトリ皿に精秤した水性分散体1gを、循環式定温乾燥機を用いて105℃で、90分間加熱した後の重量を精秤し、加熱前の重量に対する加熱後の残存重量の割合(百分率)を計算することにより得ることができる。
【0091】
ポリウレタン樹脂(P)の水性分散体は、前記のポリウレタン樹脂(P)を特公昭42-24192号公報記載の方法等の公知の方法で分散体にすることができる。
なかでも、ポリウレタン樹脂(P)のアセトン溶媒(好ましくは固形分濃度60重量%)を撹拌しながら水を加え、次いでアセトンを留去する事により水分散体(好ましくは固形分濃度45重量%)とする方法が好ましい。
【0092】
本発明の皮膚用化粧料の剤型としては、液剤、エアゾール剤、クリーム剤、ゲル剤(ジェリー剤)、粉剤、軟膏剤等があげられる。これらの剤型のうち、使いやすさの観点から好ましいのは液剤、エアゾール剤、クリーム剤又はゲル剤である。
【0093】
エアゾール剤である場合には、ポリウレタン樹脂(P)とイオン性官能基を有さない多糖類と水と油性成分と必要により用いる前記のその他の添加剤とを混合して得られた皮膚用化粧料を噴射剤[低沸点のフッ化炭化水素(フロン22等)及び低沸点の脂肪族炭化水素(プロパン、及びブタン等)等]とともに容器に密閉して使用される。
【0094】
本発明の皮膚用化粧料は、皮膚の上に塗布する化粧料であれば、その目的、用途に制限はないが、安定性持続性、ハリ感(保護感)等の観点から、ハンドクリーム、化粧水、乳液、アイクリーム、フェイスクリーム、ナイトクリーム、及びサンスクリーン等として用いることが好ましい。
【実施例0095】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。以下において、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。
【0096】
<製造例1>
温度計及び撹拌機を付けた耐圧反応容器に、数平均分子量2,000の1,4-ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール150.0部、数平均分子量2,000のポリテトラメチレングリコール58.0部、N-メチルジエタノールアミン12.0部、イソホロンジイソシアネート67.0部及びアセトン125部を仕込み、反応容器内を窒素ガスで置換した後、撹拌下90℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液を30℃まで冷却後、ジメチル硫酸12.5部を滴下し、30~40℃で4級化を行った。得られた4級化物に30~50℃で撹拌下、水720部を加えて、減圧下50~60℃でアセトンを留去し、固形分濃度30重量%、粘度420mPa・sのウレタン樹脂(P1)水分散液(U-1)1,000部を得た。ウレタン樹脂(P1)の重量平均分子量は61000であった。
【0097】
<製造例2>
温度計及び撹拌機を付けた耐圧反応容器に、数平均分子量2,000のポリテトラメチレングリコール97.0部、数平均分子量2,000の3-メチルペンタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール100.0部、1,4-ブタンジオール7.0部、N-メチルジエタノールアミン15.0部、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート65.0部及びアセトン125部を仕込み、反応容器内を窒素ガスで置換した後、撹拌下90℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液を70℃に冷却後、モノクロロ酢酸ナトリウム16.0部を加え、更に70℃で4級化を行った。得られた4級化物に30~50℃で撹拌下、水720部を加えて、減圧下50~60℃でアセトンを留去し、固形分濃度30重量%、粘度600mPa・sのウレタン樹脂(P2)の水分散液(U-2)1,000部を得た。ウレタン樹脂(P2)の 重量平均分子量は54000であった。
【0098】
<製造例3>
温度計及び撹拌機を付けた耐圧反応容器に、数平均分子量2,000のポリテトラメチレングリコール48.0部、N-メチルジエタノールアミン68.0部、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート118.0部及びアセトン125部を仕込み、反応容器内を窒素ガスで置換した後、撹拌下90℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液を50℃まで冷却後、無水エタノール30.0部を加え、更に4時間、50℃で反応を行った。得られたアセトン溶液に乳酸57.0部を加え、45~55℃で中和を行った。得られた中和物に30~50℃で撹拌下、水720部を加えて、減圧下50~60℃でアセトンを留去し、固形分濃度30重量%、粘度2,000mPa・sのウレタン樹脂(P3)の水分散液(U-3)1,000部を得た。ウレタン樹脂(P3)の 重量平均分子量は10000であった。
【0099】
<製造例4>
温度計及び撹拌機を付けた耐圧反応容器に、数平均分子量2,000の1,4-ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール180.2部、1,4-ブタンジオール6.2部、ジメチロールプロピオン酸19.6部、イソホロンジイソシアネート94.0部及びアセトン125部を仕込み反応容器内を窒素ガスで置換した後、撹拌下90℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液を45℃まで冷却後、1Nの水酸化ナトリウム140部を加え、45~55℃で中和を行った。得られた中和物に30~50℃で撹拌下、水588部を加えて、減圧下50~60℃でアセトンを留去し、固形分濃度30重量%、粘度320mPa・sのウレタン樹脂(P’1)水分散液(U’-1)1,000部を得た。ウレタン樹脂(P’1)の 重量平均分子量は49000であった。
【0100】
【表1】
【0101】
<実施例1~8、比較例1~2>
製造例1~4で得られたウレタン樹脂水分散液(U-1)~(U-3)及び(U’-1)と表1に記載した成分とを用い、以下の(1)~(7)の操作を行って、製造例1~8及び比較例1~2にかかるハンドクリームを調製した。なお、表1及び表2の成分の欄に記載した数字は、各成分の重量部を意味する。
(1)表1中のア相に記載された重量部数の成分を秤量して容器に入れ、85℃に加熱して溶解し、撹拌混合し、均一な混合物(ア相)を作製する。
(2)表1中のイ-i相に記載された重量部数の成分を空の容器に入れ、撹拌混合し、均一な混合物(イ-i相)を作製する。
(3)表1中のイ-ii相に記載された重量部数の成分を空の容器に入れ、撹拌混合し、均一な混合物(イ相-ii)を作製する。
(4)前記の混合物(イ-i相)を円盤状回転翼付き縦型高速撹拌機(ディスパー等)で撹拌し、撹拌下の混合物(イ-i相)に混合物(イ-ii相)を添加し、粘度が上がるまで撹拌を続けて混合物(イ相M)を作製する。
(5)(4)で作製した混合物(イ相M)を85℃に加熱し、85℃に加熱して円盤状回転翼付き縦型高速撹拌機で撹拌している混合物(ア相)に添加し、撹拌を添加後1分間以上維持して乳化物を作製する。
(6)(5)で作製した乳化物の温度が50℃まで下がれば、撹拌を続けたままウ相を添加し、室温に下がるまで更に撹拌を続けてクリーム状の混合物を作製する。
(7)脱泡機を用いて、(7)で作製したクリーム状の混合物から気泡を除き、ハンドクリームを作製する。
【0102】
実施例1~8及び比較例1~2で得た、それぞれのハンドクリームについて、保湿持続性、保存安定性、及び使用感に関する官能評価[サラッと感(べたつきのなさ)、ハリ感(保護感)、及び手洗い後のハリ感(保護感)の持続性]を以下の方法で評価し、その結果を表2及び表3に記載した。
【0103】
<保湿持続性>
年齢25~55歳の女性、合計10名を被験者とし、各被験者の腕の内側に0.2gのハンドクリームを指で塗り広げ、角層水分測定器(Courage + Khazaka electronic GmbH社製、コルネオメーターCM825)を用いて塗布直後の角層水分と8時間の角層水分とを測定し、塗布直後の角層水分値に対する8時間後の角層水分値の比率を計算した。被験者10名の前記比率の平均値を以下の基準で3段階に分類して保湿持続性として評価した。
なお、ハンドクリームを塗布する15分前から角層水分測定を終えるまでの間、被験者は気温24~26℃、湿度50~70%に保った室内ですごした。
〇:8時間後/塗布直後 0.5以上
△:8時間後/塗布直後 0.3以上0.5未満
×:8時間後/塗布直後 0.3以下
【0104】
<保存安定性>
50mLのガラス瓶に、40mLのハンドクリームを入れ、密閉して、40℃で1か月間保存し、保存後の化粧料の外観及び流動性を目視により観察した。流動性は、45度に傾けたときの流れ性を目視で観察し、その観察結果を下記の基準で3段階に分類して保存安定性を評価した。
〇:外観及び/又は流動性に変化なし。
△:外観にわずかな変化(わずかな油相の分離や凝集物の発生)があるか、流動性にやや変化が認められる。
×:外観上大きな変化(はっきりした油相の分離や凝集物の発生)があるか、流動性に大きな変化が認められる。
【0105】
<官能評価>
年齢25~55歳の女性、合計10名を被験者とし、各被験者の腕の内側に0.2gのハンドクリームを指で塗り広げ、その後、塗布部分を水洗いした。各被験者が塗布直後のサラッと感(べたつきのなさ)及びハリ感(保護感)、並びに水洗い後のハリ感の持続性を、最も良いものを5点、最も悪いものを1点とした5段階で評価し、被験者10名の評点の平均点を官能評価の結果とした。
なお、ハンドクリームの塗布する15分前から評価を終えるまでの間、被験者は気温24~26℃、湿度50~70%に保った室内ですごした。
【0106】
【表2】
【0107】
【表3】
【0108】
<実施例9>
製造例1で得られたウレタン樹脂水分散液(U-1)と表3に記載した成分とを用い、以下の方法で化粧水を調製した。なお、表3の成分の欄に記載した数字は、各成分の重量部を意味する。
(1)表3中のア相に記載された重量部数の成分を均一混合し、混合物(ア相)を作製する。
(2)表3中のイ相に記載された重量部数の成分を均一混合し、混合物(イ相)を作製する。
(3)ア相を円盤状回転翼付き縦型高速撹拌機(ディスパー等)で撹拌し、撹拌下のア相にイ相を添加した。添加後、更に1分間均一撹拌を続けて均一に混合することで化粧水を作成した。
【0109】
実施例9で得た化粧水について、保湿持続性、保存安定性、及び使用感に関する官能評価[サラッと感(べたつきのなさ)、及びハリ感]を以下の方法で評価し、その結果を表4に示した。
【0110】
<保湿持続性>
年齢25~55歳の女性、合計10名を被験者とし、各被験者の腕の内側に0.2gの化粧水を指で塗り広げ、角層水分測定器(Courage + Khazaka electronic GmbH社製、コルネオメーターCM825)を用いて塗布直後の角層水分と8時間の角層水分とを測定し、塗布直後の角層水分値に対する8時間後の角層水分値の比率を計算した。被験者10名の前記比率の平均値を以下の基準で3段階に分類して保湿持続性として評価した。
なお、化粧水を塗布する15分前から角層水分測定を終えるまでの間、被験者は気温24~26℃、湿度50~70%に保った室内ですごした。
〇:8時間後/塗布直後 0.5以上
△:8時間後/塗布直後 0.3以上0.5未満
×:8時間後/塗布直後 0.3以下
【0111】
<保存安定性>
50mLのガラス瓶に、40mLの化粧水を入れ、密閉して、40℃で1か月間保存し、保存後の化粧料の外観を目視により観察した。その観察結果を下記の基準で3段階に分類して保存安定性を評価した。
〇:外観に変化なし。
△:外観にやや変化(わずかな油相の分離や凝集物の発生)が認められる。
×:外観に大きな変化(はっきりした油相の分離や凝集物の発生)が認められる。
【0112】
<官能評価>
年齢25~55歳の女性、合計10名を被験者とし、各被験者の腕の内側に0.2gの化粧水を指で塗り広げた。各被験者が塗布直後のサラッと感(べたつきのなさ)及びハリ感(保護感)を、最も良いものを5点、最も悪いものを1点とした5段階で評価し、被験者10名の評点の平均点を官能評価結果とした。
なお、化粧水を塗布する15分前から官能評価を終えるまでの間、被験者は気温24~26℃、湿度50~70%に保った室内ですごした。
【0113】
【表4】
【0114】
表2~4の結果から、本発明の実施例1~9で得られた皮膚用化粧料は、安定性に優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の皮膚用化粧料は、安定性持続性、ハリ感(保護感)等の観点から、ハンドクリーム、化粧水、乳液、アイクリーム、フェイスクリーム、ナイトクリーム、及びサンスクリーン等として有用である。