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特開2022-179416血中O2/CO2濃度測定付きカテーテル
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  • 特開-血中O2/CO2濃度測定付きカテーテル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179416
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】血中O2/CO2濃度測定付きカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20221125BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20221125BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20221125BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20221125BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61B5/1455
A61B5/367
A61B5/287
A61B5/33 100
A61B5/33 200
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022081392
(22)【出願日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】17/324,266
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C038KK04
4C038KK05
4C038KL05
4C038KL07
4C038KX01
4C127AA02
4C127DD05
4C127KK03
4C127KK05
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK36
4C160KK70
(57)【要約】
【課題】患者の器官に挿入するためのプローブを提供すること。
【解決手段】患者の器官に挿入するためのプローブは、医療デバイス及び光学センサを備える。医療デバイスは、プローブの遠位端に取り付けられ、器官内の組織の電気生理学的(EP)感知及びアブレーションの一方又は両方を実行するように構成されている。光学センサは、器官内の血液中の少なくとも1つのガスの濃度を示す光信号を局所的に取得するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の器官に挿入するためのプローブであって、
前記プローブの遠位端に取り付けられ、かつ前記器官内の組織の電気生理学的(EP)感知及びアブレーションの一方又は両方を実行するように構成された医療デバイスと、
前記器官内の血液中の少なくとも1つのガスの濃度を示す光信号を局所的に取得するように構成された光学センサと、
を備える、プローブ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガスが、酸素及び二酸化炭素の一方又は両方を含む、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記光学センサが、前記少なくとも1つのガスに対して感受性のある蛍光素子を含む、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記組織が、心臓組織である、請求項1に記載のプローブ。
【請求項5】
医療システムであって、
患者の身体の血管に挿入するためのプローブであって、
前記身体内の組織の電気生理学的(EP)感知及びアブレーションのうちの少なくとも1つを実行するように構成された遠位端医療デバイスと、
前記血管内の血液と相互作用するように光信号を誘導し、かつ前記血液と相互作用した前記光信号を出力するように構成された光ファイバーと、
を備える、プローブと、
前記出力された光信号を収集及び測定するように構成された電気光学測定ユニットと、
前記プローブからの前記測定された光信号を分析することによって、前記血液中の少なくとも1つのガスの濃度を推定するように構成されたプロセッサと、
を備える、医療システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのガスが、酸素及び二酸化炭素の一方又は両方を含む、請求項5に記載の医療システム。
【請求項7】
前記血液中の前記少なくとも1つのガスの前記推定された濃度に基づいて前記患者に通気するように構成されたベンチレータを備える、請求項5に記載の医療システム。
【請求項8】
前記光ファイバーの縁部が、前記少なくとも1つのガスに対して感受性のある蛍光素子に結合されている、請求項5に記載の医療システム。
【請求項9】
前記光ファイバーの遠位端に光学センサを備え、前記光学センサが、前記血液中の前記少なくとも1つのガスの前記濃度を示す信号を局所的に取得するように構成されている、請求項5に記載の医療システム。
【請求項10】
前記組織が、心臓組織である、請求項5に記載の医療システム。
【請求項11】
前記組織が、前記血管の壁組織である、請求項5に記載の医療システム。
【請求項12】
前記遠位端医療デバイスが、1つ以上の感知電極を備える、請求項5に記載の医療システム。
【請求項13】
前記遠位端医療デバイスが、1つ以上のアブレーション電極を備える、請求項5に記載の医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療用プローブに関し、具体的には、カテーテルにおける血中ガス濃度測定に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の血液のO及び/又はCO濃度を測定するための様々な侵襲的医療用プローブが、特許文献において提案された。例えば、米国特許第3,814,081号は、生体の血液中の酸素飽和度を測定するための光学測定カテーテルを記載している。このカテーテルは、互いに沿って近接して配置された照明ファイバー光学系及び受光ファイバー光学系を利用し、その前端部は、血液が流れている生体の器官に一緒に挿入されるように適合されている。血液中の酸素飽和度は、Hbの吸収スペクトルがHbOの吸収スペクトルとは異なるという事実により、血液に入射して反射し、それによって、受光ファイバー光学系によって受光される光によって測定される。
【0003】
別の例として、米国特許第4,201,222号は、吸収チャンバを含む光学カテーテルを記載しており、血液ガス、血圧、及び脈拍数の同時測定のための膨張性半透性ダイアフラムが開示されている。
【0004】
米国特許出願公開第2011/0105869号は、生体内の直接組織圧に耐えるのに十分な強度を有する耐久性のある組織pH/pCO及び/又は組織酸素感受性プローブを記載しており、プローブは、単一のチャンバ内に、又は別個のチャンバ内にそれぞれ、フルオロフォアが励起されて結果として得られる蛍光が測定されると、pCOレベル(単数又は複数)が計算される、pH感受性フルオロフォア、及び/又は励起されると酸素消光性リン光を生成する酸素感受性蛍光体溶液を一緒に含有する、生体適合性ガス透過性膜内に1つ以上のセンサチャンバを備える。更に提供されるのは、プローブを備える組織pH/pCO及び/又は組織酸素検出及び測定システムである。
【0005】
米国特許第4,476,870号は、体内の特定の血管を通って流れている血流中の気体酸素の分圧の測定及び監視を伴う生理学的研究のために、人体組織に移植される光ファイバープローブを記載している。プローブの使用は、色素蛍光酸素消滅の原理に基づく。構造的に、プローブは、ファイバーのジャケット又はエンベロープとして機能する、多孔性ポリマーチューブのセクションで終わるプラスチック光ファイバーの2つのストランドを備える。チューブは、多孔性吸着性粒子状ポリマー支持体上に配置された好適な蛍光励起性色素で充填される。チューブ又はジャケットは、通常、疎水性のガス透過性の市販材料で作製されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に記載される本発明の一実施形態は、患者の器官に挿入するためのプローブを提供し、プローブは、医療デバイス及び光学センサを備える。医療デバイスは、プローブの遠位端に取り付けられ、器官内の組織の電気生理学的(electrophysiological、EP)感知及びアブレーションの一方又は両方を実行するように構成されている。光学センサは、器官内の血液中の少なくとも1つのガスの濃度を示す光信号を局所的に取得するように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのガスは、酸素及び二酸化炭素の一方又は両方を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、光学センサは、少なくとも1つのガスに対して感受性のある蛍光素子を含む。
【0009】
一実施形態では、組織は、心臓組織である。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、プローブと、電気光学測定ユニットと、プロセッサと、を備える医療システムが追加的に提供される。プローブは、患者の身体の血管への挿入のために構成されており、プローブは、(i)身体内の組織の電気生理学的(EP)感知及びアブレーションのうちの少なくとも1つを実行するように構成された遠位端医療デバイスと、(ii)血管内の血液と相互作用するように光信号を誘導し、かつ血液と相互作用した光信号を出力するように構成された光ファイバーと、を備える。電気光学測定ユニットは、出力された光信号を収集し、測定するように構成されている。プロセッサは、プローブからの測定された光信号を分析することによって、血液中の少なくとも1つのガスの濃度を推定するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、医療システムは、血液中の少なくとも1つのガスの推定された濃度に基づいて患者に通気するように構成されたベンチレータを更に備える。
【0012】
いくつかの実施形態では、医療システムは、光ファイバーの遠位端に光学センサを更に含み、光学センサは、血液中の少なくとも1つのガスの濃度を示す信号を局所的に取得するように構成されている。
【0013】
一実施形態では、組織は、血管の壁組織である。
【0014】
別の実施形態では、遠位端医療デバイスは、1つ以上の感知電極を備える。
【0015】
更に別の実施形態では、遠位端医療デバイスは、1つ以上のアブレーション電極を含む。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、患者の器官にプローブを挿入することを含む方法が更に提供される。プローブの遠位端に取り付けられた医療デバイスを使用して、器官内の組織の電気生理学的(EP)感知及びアブレーションの一方又は両方が実行される。プローブに取り付けられた光学センサを使用して、器官内の血液中の少なくとも1つのガスの濃度を示す光学信号が局所的に取得される。
【0017】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による、血中O/CO濃度指示信号を取得するための光ファイバーが取り付けられたカテーテルを備える心臓電気生理学的(EP)診断及び/又はアブレーションのためのシステムの概略描写図である。
図2】本発明の一実施形態による、図1のシステムに含まれる血中O/CO濃度検出サブシステムの、ブロック図と組み合わせた概略描写図である。
図3】本発明の一実施形態による、図2のサブシステムを使用して患者に通気する方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
概論
いくつかの侵襲的プローブ処置(例えば、外科的カテーテル法)では、患者は、静脈内処置が実行されている間に挿管される。処置中、例えば、ベンチレータが正しい流量の挿管された空気を送達するために、挿管された患者の血中酸素(O)及び二酸化炭素(CO)ガス濃度が測定される。
【0020】
挿管された患者の呼吸状態を評価するためのゴールドスタンダードは、例えば、専用の動脈カテーテルを使用した、動脈血ガス分析である。血中O及びCO濃度は、患者パルスオキシメータなどの他の独立した手段によって、及び/又は患者によって吐き出された空気の測定から測定することができる。しかしながら、局所的に(例えば、心室内の)O及びCO濃度を測定するために、専用プローブがしばしば必要とされ、これらは両方とも、そのような侵襲的プローブ処置を複雑にし、それらをより高価にする。
【0021】
例えば、血液pH、PCO及びPOの測定に蛍光光学センサを使用する臨床動脈血ガス(arterial blood gas、ABG)監視システムが報告されている。ポイントオブケアABGシステムは、Optical Sensorsによって製造されたSensiCath(商標)光学センサユニットからなる。別の例として、動脈血ガス及び酸塩基状態の連続的なリアルタイムの動脈内監視のためのシステム(ABG)は、Optex Biomedical,Incorporated,The Woodlands(Texas,U.S.A.)のOptex BioSentry Systemである。システムは、外部モニタと共に、単一のプローブに埋め込んだ蛍光及び吸収性化学分析物を含有し、かつ20ゲージの留置動脈カテーテル(Optex Optode Sensor)の内部に挿入することができる、3つの別個の光ファイバーチャネルからなる。
【0022】
また更なる例として、Davenportらは、The Analyst(142(10),pp.1711-1719)の「Dual pO2/pCO fiber optic sensing film」と題する論文に、酸素及び二酸化炭素の両方に対して感受性のある先端コーティング溶液を使用する、生物医学的感知用途のための光ファイバーマルチセンサを報告している。白金オクタエチルポルフィリン(PtOEP)に基づく酸素感受性リン光消光複合体を、8-ヒドロキシピレン-1,3,6-トリスルホン酸三ナトリウム塩(HPTS)に基づく二酸化炭素感受性リン光化合物と組み合わせた。青色光(470nm)によって励起されると、結果として得られたコーティングは、CO及びOそれぞれの分圧に応答した515nm(緑色)及び645nm(赤色)での2つの蛍光ピークを有した。センサを生体外で試験して、CO及びOを同時に、かつリアルタイムで測定できることを示した。O及びCO測定に有意な交差感受性又は重複は見られなかった。
【0023】
以下に記載される本発明の実施形態は、体内の組織の診断及び/又は治療を行うことに加えて、O及び/又はCO濃度などの患者の血液中の少なくとも1つのガス濃度を局所的に測定する手段を含むプローブ(例えば、カテーテル)を提供する。したがって、プローブがそれらの意図されたタスク(例えば、心臓マッピング及び/又はアブレーション)を実行している間に、それらは、O及び/又はCO濃度を測定するための専用プローブとして更に機能する。
【0024】
開示された技術を使用してO及び/又はCO濃度を局所的に測定する手段を組み込むことができるプローブの例としては、焦点カテーテル、並びに拡張可能なフレーム上に複数の電極を有するカテーテルが挙げられる。しかしながら、開示された技術は、他の侵襲的ツールに必要な変更を加えて実装することができる。
【0025】
一実施形態では、プローブの遠位端に取り付けられ、かつ器官内の組織の電気生理学的(EP)感知及びアブレーションの一方又は両方を実行するように構成された医療デバイスを備えるプローブが提供される。遠位端は、器官内の血液中の少なくとも1つのガスの濃度を示す光信号を局所的に取得するように構成された光学センサを更に備える。
【0026】
例示的な実施形態では、電気生理学的(EP)マッピング検査中の心臓感知及びペーシングに恒常的に使用される冠状静脈洞(coronary sinus、CS)カテーテルのものなどの遠位端医療デバイスは、患者の心臓血液中のO及び/又はCO濃度を測定するための光ファイバーを更に含む。組織は、血管又は心室の壁組織であってもよい。
【0027】
局所的に測定する(例えば、血中O及び/又はCO濃度を示す信号を取得する)前述の手段は、他の潜在的に商業的に利用可能な技術の中でもとりわけ、光(例えば、光ファイバーを使用する)、光化学(例えば、遠位センサを使用する)などの商業的に利用可能な技術であってもよい。したがって、プローブは、O及び/又はCO濃度を示す信号を分析するために、電気光学的である、又は何らかの他の手段による、外部分析装置に近接して結合することができる。
【0028】
一実施形態では、開示されたプローブは、光ファイバーを組み込み、ファイバー遠位縁部は、遠位に光学的に結合された、プローブの遠位端を取り囲む血液と流体接触するO及び/又はCO感受性蛍光素子に、戻り光を伝送しそこから収集する。光ファイバーは、ファイバーの近位端で、外部光学O/CO分析装置に結合されている。分析装置は、光を光ファイバーに伝送し、戻された(例えば、光ファイバーに反射して戻る)光の分析から、局所O及び/又はCO血中濃度を決定する。
【0029】
別の実施形態では、光化学センサは、ファイバーの遠位端に組み込まれ、蛍光などの光化学信号は、外部電気光学ユニットによる分析のためにセンサから近位に伝送される。
【0030】
他のタスクを実行するように構成されたカテーテルに血中O/CO濃度検出能力を組み込むことによって、開示された技術は、カテーテルベースの(例えば、心臓)診断及び治療を簡素化することができる。
【0031】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、血中O/CO濃度指示信号を取得するための光ファイバーが取り付けられたカテーテル28を備える心臓電気生理学的(EP)診断及び/又はアブレーションのためのシステム20の概略描写図である。挿入図25に見られるカテーテル28の遠位端32は、1つ以上の電極50と、遠位に光学的に結合された、周囲の血液と流体接触する血中PO及びPCO感受性蛍光素子515に、戻り光を伝送しそこから収集するための切断された縁部51を有する光ファイバー40と、を備える。
【0032】
医師26は、血管を通して患者22の心室24内にカテーテル28を挿入し、カテーテルの遠位端32が診断/治療される心室にアクセスするように、カテーテルを操作する。見られるように、患者22は、挿管チューブ66を使用して、静脈内心臓処置全体を通して挿管される。
【0033】
いくつかの実施形態では、位置追跡システムを使用して、プロセッサ41は、心臓26内のカテーテルの電極50の位置座標を正確に決定する。図示する実施形態では、プロセッサ41は、(カテーテル上の)電極と体表面電極(図示せず)との間の測定されたインピーダンスに基づいて位置座標を決定する。システム20を使用する電極位置感知の方法は、様々な医療用途に、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,California)により製造されているCARTO(商標)システムに実装されており、米国特許第7,756,576号、同第7,869,865号、及び同第7,848,787号に詳細に記述されており、これらの開示は、全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
遠位端32を心室に配置した後に、医師26は、電極50を使用してEP信号を取得する、かつ/又はアブレーションを実行するためにコンソール42内のアブレーション発生器44を使用して、電気ケーブル38を介して心臓組織にアブレーションエネルギー(例えば、RF)を適用することができる。
【0035】
光ファイバー40の近位端は、コンソール42内の光学O/CO分析装置48に結合されている。分析装置(典型的には電気光学測定ユニット)は、分析光を光ファイバー内に投射し、光ファイバー内に戻され(例えば反射され)てファイバーの近位端で出力された光の分析から、図示の実施例では、プロセッサ41によって実行されるアルゴリズムを使用して、心室の血液中のO及び/又はCO濃度を決定する。
【0036】
プロセッサ41は、通常、本明細書に記載の機能を実施するようにソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができる。あるいは代替的に又は追加的に、ソフトウェアは、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上に提供及び/又は記憶することができる。具体的には、プロセッサ41は、プロセッサ41が図3に示すステップを実行することを可能にする専用アルゴリズムを実行する。
【0037】
図示する実施形態は、単一のRFアブレーション電極先端を備える焦点カテーテルの使用を具体的に説明しているが、本明細書に記載の技術は、上述のように、様々な種類のプローブ及び侵襲的ツールを用いて適用することができる。
【0038】
カテーテルへの血中O/CO濃度取得の追加
図2は、本発明の一実施形態による、図1のシステム20に含まれる血中O/CO濃度検出サブシステム21の、ブロック図と組み合わせた概略描写図である。
【0039】
挿入図55に見られるように、例として、電極50を備える焦点心臓カテーテルである、カテーテル28の遠位端32は、血液中のO及びCO濃度を検出するために、PO及び/又はPCO液体感受性である蛍光遠位素子515を有する光ファイバー40を含む。ファイバー40の切断された縁部51は、血中O及び/又はCO感受性蛍光素子515への光の伝送を可能にし、戻り蛍光光をファイバーに結合する。
【0040】
光ファイバー40の近位端は、典型的には蛍光信号を測定してO/COの分圧を推定する、市販のO/CO電気光学分析装置48に結合されている。分析装置は、分析光を光ファイバーに伝送し、光ファイバーに戻され(例えば、反射され)てファイバーの近位端で出力された光を受光する。分析装置は、光(例えば、その減衰レベル又はそのスペクトルの変化)を分析して、心室の血液中のO及びCOの濃度を推定する。分圧値で与えられる成人の正常な血液ガス濃度は、80~100mmHgのpO及び35~45mmHgのPCOである。軽度~重度の低酸素血症は、80mmHg未満のpOから40mmHg未満までのpOによって特徴付けられる。呼吸性アシドーシスは、10mmHgを超えるpOの上昇によって特徴付けられる。呼吸性アルカローシスは、10mmHgを超えるpOの低下によって特徴付けられる。図示する実施例では、必要とされる計算は、素子515からの蛍光光を分析するための、プロセッサ41によって実行される市販のアルゴリズムを使用して実行される。
【0041】
推定された血中O及び/又はCO濃度は、ベンチレータ60のプロセッサに入力され、プロセッサは、挿管中に、濃度に従って通気力を調整する。
【0042】
図2は、簡略化及び明確にするために、開示された技術に関する要素のみを示す。例えば、麻酔のためなどの追加の機器は、図示されていない。
【0043】
図3は、本発明の一実施形態による、図2のサブシステム21を使用して患者に通気する方法を概略的に示すフローチャートである。提示された実施形態によるアルゴリズムは、患者通気ステップ70で、患者22が挿管され通気されたときに始まるプロセスを実行する。
【0044】
患者が通気されると、医師26は、プローブナビゲーションステップ70で、血管を介して患者22の身体内の標的位置に、カテーテル28などのプローブをナビゲートする。
【0045】
図3に見られるように、ステップ74~78は、処置全体を通して、すなわち、ステップ70~72と並行して、連続的に行われる。更に、ステップ80は、患者が安定した呼吸状態にあることを示すステップ74~78からの入力に依存し得る。
【0046】
光信号取得ステップ74で、プローブは、血液中のO及び/又はCOの濃度を示す光信号を取得する。
【0047】
血中O/CO濃度推定ステップ76では、光学感知システムは、取得された光信号を分析して、これらの濃度を推定する。上述したように、血中O/CO濃度を検出する1つの方法は、周囲の血液と流体連通する蛍光素子515を照明し、それからの蛍光を収集することである。
【0048】
通気調整ステップ78で、ベンチレータ60は、推定された血中O/CO濃度に従って患者22の通気を調整する。プロセスは、ステップ74に戻り、新しい光信号を取得する。
【0049】
最後に、医師26は、診断及び/又は治療ステップ80において、プローブを動作させて、標的位置で固体組織の診断及び/又は治療を実行する。
【0050】
図3に示す例示的なフローチャートは、単に概念を明確化する目的のために選ばれたものである。他の侵襲的医療デバイスを挿入することなどの、追加のステップが含まれてもよい。
【0051】
本明細書に記述される実施形態は、主に心臓用途に関するものであるが、本明細書に記載される方法及びシステムは、神経科、及び腎臓部の除神経術などの他の医療用途で用いることもできる。
【0052】
したがって、上記の実施形態は例として挙げたものであり、本発明は上述に具体的に示し説明したものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義される程度まで、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の不可欠な部分と見なすものとする。
【0053】
〔実施の態様〕
(1) 患者の器官に挿入するためのプローブであって、
前記プローブの遠位端に取り付けられ、かつ前記器官内の組織の電気生理学的(EP)感知及びアブレーションの一方又は両方を実行するように構成された医療デバイスと、
前記器官内の血液中の少なくとも1つのガスの濃度を示す光信号を局所的に取得するように構成された光学センサと、
を備える、プローブ。
(2) 前記少なくとも1つのガスが、酸素及び二酸化炭素の一方又は両方を含む、実施態様1に記載のプローブ。
(3) 前記光学センサが、前記少なくとも1つのガスに対して感受性のある蛍光素子を含む、実施態様1に記載のプローブ。
(4) 前記組織が、心臓組織である、実施態様1に記載のプローブ。
(5) 医療システムであって、
患者の身体の血管に挿入するためのプローブであって、
前記身体内の組織の電気生理学的(EP)感知及びアブレーションのうちの少なくとも1つを実行するように構成された遠位端医療デバイスと、
前記血管内の血液と相互作用するように光信号を誘導し、かつ前記血液と相互作用した前記光信号を出力するように構成された光ファイバーと、
を備える、プローブと、
前記出力された光信号を収集及び測定するように構成された電気光学測定ユニットと、
前記プローブからの前記測定された光信号を分析することによって、前記血液中の少なくとも1つのガスの濃度を推定するように構成されたプロセッサと、
を備える、医療システム。
【0054】
(6) 前記少なくとも1つのガスが、酸素及び二酸化炭素の一方又は両方を含む、実施態様5に記載の医療システム。
(7) 前記血液中の前記少なくとも1つのガスの前記推定された濃度に基づいて前記患者に通気するように構成されたベンチレータを備える、実施態様5に記載の医療システム。
(8) 前記光ファイバーの縁部が、前記少なくとも1つのガスに対して感受性のある蛍光素子に結合されている、実施態様5に記載の医療システム。
(9) 前記光ファイバーの遠位端に光学センサを備え、前記光学センサが、前記血液中の前記少なくとも1つのガスの前記濃度を示す信号を局所的に取得するように構成されている、実施態様5に記載の医療システム。
(10) 前記組織が、心臓組織である、実施態様5に記載の医療システム。
【0055】
(11) 前記組織が、前記血管の壁組織である、実施態様5に記載の医療システム。
(12) 前記遠位端医療デバイスが、1つ以上の感知電極を備える、実施態様5に記載の医療システム。
(13) 前記遠位端医療デバイスが、1つ以上のアブレーション電極を備える、実施態様5に記載の医療システム。
(14) 方法であって、
患者の器官にプローブを挿入することと、
前記プローブの遠位端に取り付けられた医療デバイスを使用して、前記器官内の組織の電気生理学的(EP)感知及びアブレーションの一方又は両方を実行することと、
前記プローブに取り付けられた光学センサを使用して、前記器官内の血液中の少なくとも1つのガスの濃度を示す光信号を局所的に取得することと、
を含む、方法。
図1
図2
図3
【外国語明細書】