(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179422
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】移送面上でキャリアを移動させるための方法および分配システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20221125BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20221125BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
B65G1/04 555Z
B65G1/137 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022081607
(22)【出願日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】21175165
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】エトヴィン・オーステルブルク
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・スングン・シリトー
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022LL12
3F022MM11
3F022MM44
3F022NN31
3F022NN44
3F022PP06
3F022QQ17
3F522AA02
3F522AA03
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3F522JJ02
3F522KK05
3F522LL03
3F522LL62
(57)【要約】 (修正有)
【課題】分配システムの移送面上でのキャリアの改善された、より効率的な、信頼性の高い移送を可能にする分配システムを制御する方法および分配システムを提供する。
【解決手段】移送面20上でキャリア12,14を移動させるための方法および分配システム10に関する。分配システム10は、少なくとも1つの第1のキャリア12および少なくとも1つの第2のキャリア14と、複数の移動位置を含む移送面20と、各キャリアを移動位置に移動させるように適合された駆動手段と、駆動手段を制御するように適合された制御装置とを備える。制御装置24は、各キャリアについて移動を計画し、計画された移動をチェックし、必要に応じてキャリアが移送面上を移動する前に新たな移動を計画する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配システム(10)が移送面(20)上でキャリア(12、14)を移動させるための方法(52)であって、前記分配システム(10)が、それぞれが物品(16、18)を運ぶように適合された少なくとも1つの第1のキャリア(12)および少なくとも1つの第2のキャリア(14)と、各キャリア(12、14)が移動を開始し、移動し、停止し、待機し、および/またはその移動方向を変更することができる複数の移動位置(22)を含む移送面(20)と、各キャリア(12、14)を前記移動位置(22)に移動させるように適合された駆動手段と、前記駆動手段を制御するように適合された制御装置(24)とを備え、前記方法が、以下のステップ(54、56、58、60)、即ち、
a)前記制御装置(24)が、各キャリア(12、14)について、第1の移動位置(30、32)から第2の移動位置(34、36)までの移動(26、28)を計画し、各キャリア(12、14)について、その計画された第2の移動位置(34、36)に隣接する予約移動位置(38、40)を決定すること、
b)前記制御装置(24)が、前記少なくとも1つの第1のキャリア(12)の前記計画された第2の移動位置(34)が、前記少なくとも1つの第2のキャリア(14)の決定された予約移動位置(40)上に位置するかどうかをチェックすること、
c)前記少なくとも1つの第1のキャリア(12)の前記計画された第2の移動位置(34)が前記少なくとも1つの第2のキャリア(14)の決定された予約移動位置(40)上に位置する場合、前記制御装置(24)が、前記少なくとも1つの第1のキャリア(12)について、前記少なくとも1つの第2のキャリア(14)の決定された予約移動位置(40)上に位置しない新たな第2の移動位置(44)への新たな移動(42)を計画すること、
d)前記制御装置(24)が、前記少なくとも1つの第1のキャリア(12)をその計画された新たな第2の移動位置(44)に移動させ、且つ、前記少なくとも1つの第2のキャリア(14)をその計画された第2の移動位置(36)に移動させるように、前記駆動手段を制御すること
を含む方法(52)。
【請求項2】
各キャリア(12、14)の前記決定された予約移動位置(38、40)が、その計画された第2の移動位置(34、36)の前に位置する少なくとも1つの予約移動位置と、その計画された移動(26、28)の方向に対してその計画された第2の移動位置(34、36)の少なくとも一方側に位置する少なくとも1つの予約移動位置とを含む、請求項1に記載の方法(52)。
【請求項3】
ステップc)において、新たな第2の移動位置(44)への前記新たな移動(42)の前記計画が、前記計画された移動(26)を短縮すること、または前記計画された移動(26)を延長することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記計画された移動(26)が、前記計画された移動(26)を前記計画された移動(26)と同じ方向にまたは前記計画された移動(26)の方向に垂直な方向に延長することによって延長される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)において、前記制御装置(24)が、前記少なくとも1つの第1のキャリア(12)について、その計画された第2の移動位置(34)から第3の移動位置への後続の移動をさらに計画し、ステップc)において、前記新たな第2の移動位置(44)への前記新たな移動(42)の計画が、前記新たな第2の移動位置(44)と前記計画された第3の移動位置との間に位置する移動位置(22)の数を最小化することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ステップc)において、新たな第2の移動位置(44)への前記新たな移動(42)の前記計画が、前記少なくとも1つの第1のキャリア(12)について、その計画された新たな第2の移動位置(44)に隣接する新たな予約移動位置(39)を決定することと、前記少なくとも1つの第1のキャリア(12)の前記新たに決定された予約移動位置(39)と、前記少なくとも1つの第2のキャリア(14)の前記決定された予約移動位置(40)との重複を最大化することと、をさらに含む、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記移送面(20)が、複数の移動位置(22)を含む第1の領域(48)を含み、ステップa)において、前記制御装置(24)が、計画された第2の移動位置(34、36)である前記第1の領域(48)の移動位置(22)の割合をさらに計算し、前記制御装置が、前記計算された移動位置(22)の割合が所定の閾値を上回る場合に、前記第1の領域(50)において第2の移動位置(34、36)が計画されたキャリア(12、14)についてステップb)からd)を実行する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記移送面(20)が、それぞれが複数の移動位置(22)を含む第1の領域(48)および第2の領域(50)を含み、ステップa)において、前記制御装置(24)が、計画された第2の移動位置(34、36)である前記第1の領域(48)の移動位置(22)の割合をさらに計算し、前記計算された移動位置(22)の割合が所定の閾値を上回る場合、前記制御装置が、前記第2の領域(50)において第2の移動位置(34、36)が計画されたキャリア(12、14)についてステップb)からd)を実行する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記移送面(20)が、複数の移動位置(22)を含む第1の領域(48)を含み、前記分配システム(10)が、前記第1の領域(48)内のキャリア(12、14)を検出し、前記第1の領域(48)内の前記検出されたキャリア(12、14)の数を決定し、前記第1の領域(50)内の決定された前記検出されたキャリア(12、14)の数の値を前記制御装置(24)に送信するように構成されたキャリア検出システム(46)をさらに備え、ステップb)の前に、前記制御装置(24)が、前記第1の領域(50)内の決定された前記検出されたキャリア(12、14)の数の前記値を受信し、前記受信された値に基づいて検出されたキャリア(12、14)によって占有された前記第1の領域(50)の移動位置(22)の割合を計算し、前記制御装置が、検出されたキャリア(12、14)によって占有された前記計算された移動位置(22)の割合が所定の閾値を上回る場合、前記第1の領域(48)において検出されたキャリア(12、14)についてステップb)からd)を実行する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記移送面(20)が、それぞれが複数の移動位置(22)を含む第1の領域(48)および第2の領域(50)を含み、前記分配システム(10)が、前記第1の領域(48)または前記第1の領域(48)および前記第2の領域(50)内のキャリア(12、14)を検出し、前記第1の領域(48)内の前記検出されたキャリア(12、14)の数を決定し、前記第1の領域(50)内の決定された前記検出されたキャリア(12、14)の数の値を前記制御装置(24)に送信するように構成されたキャリア検出システム(46)をさらに備え、ステップb)の前に、前記制御装置(24)が、前記第1の領域(50)内の決定された前記検出されたキャリア(12、14)の数の前記値を受信し、前記受信された値に基づいて前記検出されたキャリア(12、14)によって占有された前記第1の領域(50)の移動位置(22)の割合を計算し、前記制御装置が、前記第1の領域(48)において検出されたキャリア(12、14)によって占有された移動位置(22)の前記計算された割合が所定の閾値を上回る場合、前記第2の領域(50)において第2の移動位置(34、36)が計画されたキャリア(12、14)、または前記第2の領域(50)において検出されたキャリア(12、14)についてステップb)からd)を実行する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
分配システム(10)であって、
-それぞれが物品(16、18)を運ぶように適合された少なくとも1つの第1のキャリア(12)および少なくとも1つの第2のキャリア(14)と、
-各キャリア(12、14)が移動を開始し、移動し、停止し、待機し、および/またはその移動方向を変更することができる複数の移動位置(22)を含む移送面(20)と、
-各キャリア(12、14)を前記移動位置(22)に移動させるように適合された駆動手段と、
-前記駆動手段を制御するように適合された制御装置(24)と、を備え、
前記分配システム(10)が、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法(52)の前記ステップ(54、56、58、60)を実行するように構成されている、分配システム。
【請求項12】
前記移送面(20)が、複数の移動位置(22)を含む第1の領域(48)を含み、前記分配システム(10)が、前記第1の領域(48)内のキャリア(12、14)を検出し、前記第1の領域(48)内の前記検出されたキャリア(12、14)の数を決定し、前記第1の領域(50)内の決定された前記検出されたキャリア(12、14)の数の値を前記制御装置(24)に送信するように構成されたキャリア検出システム(46)をさらに備え、前記分配システム(10)が、請求項9に記載の方法の前記ステップを実行するように構成されている、請求項11に記載の分配システム(10)。
【請求項13】
前記移送面(20)が、それぞれが複数の移動位置(22)を含む第1の領域(48)および第2の領域(50)を含み、前記分配システム(10)が、前記第1の領域(48)または前記第1の領域(48)および前記第2の領域(50)内のキャリア(12、14)を検出し、前記第1の領域(48)内の前記検出されたキャリア(12、14)の数を決定し、前記第1の領域(50)内の決定された前記検出されたキャリア(12、14)の数の値を前記制御装置(24)に送信するように構成されたキャリア検出システム(46)をさらに備え、前記分配システム(10)が、請求項10に記載の方法の前記ステップを実行するように構成されている、請求項11に記載の分配システム(10)。
【請求項14】
請求項11、12、または13に記載の分配システム(10)に、請求項1から8のいずれか一項、請求項9、または請求項10に記載の方法の前記ステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移送面上でキャリアを移動させるための、特に実験室分配システム上で実験室容器を移送することができるキャリアを移動させるための方法および分配システムに関する。開示された方法および分配システムはまた、物品、倉庫の商品、製造現場で製造される製品、または移送面上の他の物体などのペイロードを移送することができるキャリアを移動させるために適用されることができる。
【背景技術】
【0002】
診断実験室システムでは、試験試料容器、試験試薬容器、または試験消耗品容器などの物品は、所定の実験室ワークフローにしたがって、事前分析ステーション、分析ステーション、事後分析ステーションなどの複数の実験室ステーション間で移送される。典型的には、そのような実験室容器は、キャリア上で移送される。完全に自動化された診断実験室システムでは、試験試料の調製、分析、または保管などの異なる試料処理ステップを実行することができる接続された事前分析、分析、および事後分析ステーションに実験室容器を分配するために、計画された経路にしたがって分配システムの移送面上でキャリアが移動される。
【0003】
移送面上でキャリアを移送するための分配システムおよび方法は、当該技術分野において周知である。例えば、実験室分配システムは、例えば、欧州特許第3095739号明細書、欧州特許第3537159号明細書または国際公開第2012158541号パンフレットに記載されている。これらの刊行物は、移送面上に受動的キャリアまたは自己推進キャリアを有する実験室試料分配システムを記載している。国際公開第2008148513号パンフレットは、1つ以上の搬送装置、特に可動パレット、車、またはホイールもしくはロールに取り付けられた容器を移動させる電磁平面モータを備える保管または搬送システムを記載している。国際公開第2017186825号パンフレットは、使用時にグリッド形成に配置された複数のセルを横断することができるロボットロードハンドラを備えるロボットロードハンドラ調整システムを記載している。
【0004】
自動診断実験室ステーションのスループットの向上、ターンアラウンドタイムの向上、および試験ポートフォリオの増加により、移送される物品および対応する経路の数、ならびに実験室分配システム上の経路の複雑さが増加している。キャリアが移送面上での移動の実行において互いにブロックするリスク、または互いに衝突するリスクは、移送面上のトラフィック密度および複雑さが増すにつれて増加する。
【0005】
したがって、改善された、より効率的な、信頼性の高い方法でキャリアを移送面上で移動させる必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、分配システムの移送面上でのキャリアの改善された、より効率的な、信頼性の高い移送を可能にする分配システムを制御する方法および分配システムを提供することである。
【0007】
本開示は、移送面上でキャリアを移動させるための分配システムのための方法に関する。分配システムは、それぞれが物品を運ぶように適合された少なくとも1つの第1のキャリアおよび少なくとも1つの第2のキャリアを備える。分配システムは、各キャリアが移動を開始し、移動し、停止し、待機し、および/またはその移動方向を変更することができる複数の移動位置を含む移送面と、各キャリアを移動位置に移動させるように適合された駆動手段とをさらに備える。分配システムは、駆動手段を制御するように適合された制御装置をさらに備える。本方法は、以下のステップ、即ち:
a)制御装置が、各キャリアについて第1の移動位置から第2の移動位置への移動を計画し、その計画された第2の移動位置に隣接する各キャリア予約移動位置を決定すること、
b)制御装置が、少なくとも1つの第1のキャリアの計画された第2の移動位置が、少なくとも1つの第2のキャリアの決定された予約移動位置に位置するかどうかをチェックすること、
c)少なくとも1つの第1のキャリアの計画された第2の移動位置が少なくとも1つの第2のキャリアの決定された予約移動位置に位置する場合、制御装置が、少なくとも1つの第1のキャリアについて、少なくとも1つの第2のキャリアの決定された予約移動位置に位置しない新たな第2の移動位置への新たな移動を計画すること、
d)制御装置が、駆動手段を制御して、少なくとも1つの第1のキャリアを、その計画された新たな第2の移動位置に移動させ、少なくとも1つの第2のキャリアを、その計画された第2の移動位置に移動すること、
を含む。
本開示はまた、分配システムであって、
-それぞれが物品を運ぶように適合された少なくとも1つの第1のキャリアおよび少なくとも1つの第2のキャリアと、
-各キャリアが移動を開始し、移動し、停止し、待機し、および/またはその移動方向を変更することができる複数の移動位置を含む移送面と、
-各キャリアを移動位置に移動させるように適合された駆動手段と、
-駆動手段を制御するように適合された制御装置と、
を備える、分配システムに関する。
【0008】
また、分配システムは、本明細書に記載の方法のステップを実行するように構成されている。
【0009】
本開示は、さらに、本明細書に記載の分配システムに、本明細書に記載の方法のステップを実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0010】
本開示は、さらに、本明細書に記載のコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読記憶媒体に関する。
詳細な説明
【0011】
本開示は、移送面上でキャリアを移動させるための分配システムのための方法に関する。分配システムは、それぞれが物品を運ぶように適合された少なくとも1つの第1のキャリアおよび少なくとも1つの第2のキャリアを備える。分配システムは、各キャリアが移動を開始し、移動し、停止し、待機し、および/またはその移動方向を変更することができる複数の移動位置を含む移送面と、各キャリアを移動位置に移動させるように適合された駆動手段とをさらに備える。分配システムは、駆動手段を制御するように適合された制御装置をさらに備える。本方法は、以下のステップ、即ち:
a)制御装置が、各キャリアについて第1の移動位置から第2の移動位置への移動を計画し、その計画された第2の移動位置に隣接する各キャリア予約移動位置を決定すること、
b)制御装置が、少なくとも1つの第1のキャリアの計画された第2の移動位置が、少なくとも1つの第2のキャリアの決定された予約移動位置に位置するかどうかをチェックすること、
c)少なくとも1つの第1のキャリアの計画された第2の移動位置が少なくとも1つの第2のキャリアの決定された予約移動位置に位置する場合、制御装置が、少なくとも1つの第1のキャリアについて、少なくとも1つの第2のキャリアの決定された予約移動位置に位置しない新たな第2の移動位置への新たな移動を計画すること、
d)制御装置が、駆動手段を制御して、少なくとも1つの第1のキャリアを、その計画された新たな第2の移動位置に移動させ、少なくとも1つの第2のキャリアを、その計画された第2の移動位置に移動すること、
を含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、「キャリア」という用語は、物品またはペイロードを支持および移送するための支持構造に関する。キャリアには、特に、必要な方法および向きで物体を支持し、必要に応じて固定するための適切な保持手段が設けられている。一実施形態では、キャリアは、実験室容器などの物品またはペイロードを受け取り、保持し、移送し、および/または解放するように構成されている。キャリアは、自己推進とすることができ、または移送面によって推進され、移送面上で移動されることができる。例えば、キャリアは、モータ駆動ホイールを備える。モータ駆動ホイールを備えるキャリアは、当該技術分野で周知であり、米国特許第9182419号明細書に記載されているように設計されることができる。別の例では、キャリアは、磁力がキャリアに印加されるように磁場と相互作用する少なくとも1つの磁気装置を備える。磁場と相互作用する少なくとも1つの磁気的に活性な装置を備えるキャリアは、当技術分野で周知であり、欧州特許出願公開第2988134号明細書に記載されているように、または欧州特許出願公開第3070479号明細書に記載されているように設計されることができる。
【0013】
一実施形態では、少なくとも1つの第1のキャリアは、少なくとも1つの第2のキャリアよりも低い優先度を有する。各キャリアの優先度は、搬送される物品の優先度によって決定されることができる。例えば、少なくとも1つの第2のキャリアの物品は、少なくとも1つの第1のキャリアによって運ばれる実験室容器内の試験試料と比較して、試験結果が高い緊急性で要求される試験試料を含む実験室容器である。したがって、ステップc)において、制御装置は、少なくとも1つの第1のキャリアについて新たな移動を計画し、少なくとも1つの第2のキャリアについては計画しない。
【0014】
本明細書で使用される場合、「移送面」という用語は、キャリアが面に沿って少なくとも2次元で移動可能であるようにキャリアがその上に配置される2次元平面、表面、ベッド、層、プラットフォーム、またはフラットベースに関する。例えば、移送面は、診断実験室または製造現場の地面または製造ホール内に取り付けられた摺動面とすることができる。移送面は、傾斜面を含んで垂直または水平に設置されることができる。湾曲した移送面も可能である。キャリアは、移動を駆動および制御するために摩擦が使用されることができるように移送面に接触することができ、またはキャリアは、例えばキャリアと移送面との間に小さなギャップを提供する空気もしくは磁気浮上によって非接触で移動することができる。3次元のために、移送面は、上向きおよび下向きの傾斜の対応する制限に対応して形成されるか、または制御を失うことなく到達可能な高さに対応する制限を有する磁気浮上またはエアクッション技術などの何らかの種類の浮上機構が設置される。3次元の垂直移送のために、エレベータ/パターノスター機構も設置されることができる。
【0015】
本明細書で使用される場合、「移動位置」という用語は、キャリアが移動を開始し、移動し、停止し、待機し、および/またはその方向を変更することができる移送面上の所定の位置に関する。欧州特許第2566787号明細書または国際公開第2013098202号パンフレットに記載されているようなシステムでは、駆動手段は、そのハードウェアの制限によってこれらの移動位置を画定する。これらのシステムでは、通常、移動位置は、電磁コイルの上方に画定される。これらの移動位置において、キャリアの移動を開始し、キャリアを移動させ、キャリアを停止させ、キャリアを待機させ、その移動方向を変更することができる。他の移送面上では、移動位置は、交差点、合流点、開始位置および停止位置の有用なセットを形成するために必要または要求されるように画定されることができる。
【0016】
本明細書で使用される場合、「駆動手段」という用語は、移送面上でキャリアを移動させるように構成されたシステムに関する。駆動手段は、例えばバッテリおよび電子機器が接続された電気モータに接続されたホイールなど、キャリア自体に実装されることができる。別の可能性は、リニアモータである。受動キャリアも可能である。例えば、磁気装置がキャリア内に固定され、磁気コイルなどの磁気的に活性な駆動可能要素によって磁力が提供され、発生した電磁場によってキャリアが強制的に移動する。コイルは、移送面の下方、上方、横方、または中に設置されることができる。例えば、移送面の下方の磁気コイルの配置は、例えば欧州特許第2566787号明細書または国際公開第2013098202号パンフレットに記載されている。
【0017】
本明細書で使用される「制御装置」という用語は、キャリアが移送面上の計画された移動位置に移動されるように駆動手段を制御するように構成可能な任意の物理的または仮想的処理装置を包含する。制御装置は、データ管理ユニットから、ある移動位置にどのキャリアが何時に移送される必要があるかの情報を受信することができる。この情報に基づいて、制御装置は、分配システムの移送面上のキャリアの開始位置から最終目的位置までの1つ以上の移動を含む経路を決定することができる。制御装置は、分配システムを制御して、キャリアを分配システムの移送面上の右移動位置に移動および/または停止させることができる。制御装置は、例えば、移送面上でキャリアの移動を実行するための命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行するように適合されたプログラマブルロジックコントローラとして具現化されることができる。
【0018】
一実施形態では、制御装置は、ステップa)からc)を実行するように構成された第1のサブ装置と、ステップd)を実行するように構成された第2のサブ装置とを備え、第2のサブ装置は、第1のサブ装置および駆動手段に通信可能に接続される。
【0019】
一実施形態では、制御装置は、分配システムに含まれる。別の実施形態では、制御装置は、分配システムに通信可能に接続された外部制御装置である。
【0020】
一実施形態では、第2の移動位置は、キャリアが所定の待機時間だけ待機することができる移動位置である。例えば、キャリアは、次の移動が実行可能になるまで第2の移動位置で待機する。待機時間は、移送面上の現在のトラフィック状況またはトラフィック密度に依存することができる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「予約移動位置」という用語は、第2の移動位置になることができない移動位置に関する。したがって、決定された予約移動位置は、ある時点で別のキャリアを移動または位置決めすることができる第2の移動位置になることができないキャリアの第2の移動位置に隣接する移動位置である。または、換言すれば、キャリアの第2の移動位置に隣接する決定された予約移動位置は、他のキャリアによって占有されることができない。したがって、キャリアがその第2の移動位置に位置するとき、キャリアは、常にその周りに少なくとも2つの自由移動位置を有し、その結果、キャリアは、後続の移動によってその第2の移動位置から離れるように移動されることができる。したがって、キャリアは、常に移送面上に一定の自由な移動空間を有し、移送面上の他のキャリアによって完全にブロックされる可能性も包囲される可能性も決してなく、その結果、キャリアがそれらの移動を実行するのを互いにブロックするデッドロック状況が低減または防止されることができる。一実施形態では、少なくとも1つの第1のキャリアの決定された予約移動位置は、少なくとも1つの第2のキャリアの決定された予約移動位置と重複する。したがって、移送面上の決定された予約移動位置の数は最小にされることができ、同時に、さらなるキャリアの移動の計画に利用可能な移動位置の数は最大にされることができる。例えば、複数のキャリアは、決定された共通の予約移動位置を共有して、複数のキャリア間の予約移動位置の経路を形成する。一実施形態では、キャリアの決定された予約移動位置は、その計画された移動上に位置しない。したがって、キャリアは、キャリアがその第2の移動位置に位置するとき、キャリアがその第2の移動位置から後の移動によって前方または側方に移動されることができるように、常に前方および/または側方に位置する少なくとも2つの自由移動位置を有する。
【0022】
一実施形態では、決定された予約移動位置は、所定時間にわたって第2の移動位置になることができない移動位置である。したがって、決定された予約移動位置は、所定時間にわたって特定のキャリアについて予約される。例えば、所定時間は、第1の移動位置から第2の移動位置への計画された移動を実行するための所要時間である。所定時間の後、決定された予約移動位置が解放され、ステップa)におけるさらなる移動またはステップc)におけるさらなる新たな移動の計画に使用されることができる。
【0023】
一実施形態では、決定された予約移動位置は、所定のイベントが発生するまで第2の移動位置になることができない移動位置である。例えば、所定のイベントは、キャリアが移送面上に位置するか、または所定の移動位置もしくは任意の他の所定の位置を通過するときである。イベントの後、決定された予約移動位置が解放され、ステップa)におけるさらなる移動またはステップc)におけるさらなる新たな移動の計画に使用されることができる。
【0024】
一実施形態では、各キャリアの決定された予約移動位置は、その計画された第2の移動位置の前に位置する少なくとも1つの予約移動位置と、その計画された移動の方向に対してその計画された第2の移動位置の少なくとも一方側に位置する少なくとも1つの予約移動位置とを含む。したがって、キャリアの第2の移動位置に隣接する少なくとも2つの移動位置は、他のキャリアによって占有されることができない。第2の移動位置の周りの決定された予約移動位置のこの配置により、キャリアは、キャリアがその第2の移動位置に配置されているとき、キャリアの計画された移動の方向に対して前方の少なくとも1つの自由移動位置と、その隣の少なくとも1つの自由移動位置とを常に有する。したがって、後続の移動において、キャリアは、まっすぐ前方に移動するか、またはその移動方向を90°変更することができる。
【0025】
さらなる実施形態では、各キャリアの決定された予約移動位置は、その計画された第2の移動位置の前に位置し、その計画された移動の方向に対してその計画された第2の移動位置の一方側に位置する少なくとも1つの予約移動位置とともに予約移動位置のL字形ラインを形成する2つの予約移動位置を含む。第2の移動位置の周りの決定された予約移動位置のこの配置により、キャリアがその第2の移動位置に位置するとき、キャリアは、前方の少なくとも2つの自由移動位置と、その隣の少なくとも1つの移動位置とを常に有する。したがって、キャリアの後続の移動の可能な移動方向の数が改善される。
【0026】
さらなる実施形態では、各キャリアの決定された予約移動位置は、その計画された第2の移動位置の前に位置し、その計画された移動の方向に対してその計画された第2の移動位置の一方側に位置する少なくとも1つの予約移動位置とともに予約移動位置のL字形ラインを形成する3つの予約移動位置を含む。第2の移動位置の周りの決定された予約移動位置のこの配置により、キャリアがその第2の移動位置に位置するとき、キャリアは、前方の少なくとも3つの自由移動位置と、その隣の少なくとも1つの移動位置とを常に有する。したがって、キャリアの後続の移動の可能な移動方向の数がさらに改善される。
【0027】
一実施形態では、ステップc)において、新たな第2の移動位置への新たな移動の計画は、計画された移動を短縮すること、または計画された移動を延長することを含む。一実施形態では、計画された移動を短縮することができない場合、例えば、新たな第2の移動位置が依然としてキャリアの決定された予約移動位置に位置するか、またはキャリアが既に新たな第2の移動位置に位置している場合、計画された移動は延長される。あるいは、計画された移動を延長することができない場合、例えば、新たな第2の移動位置が依然としてキャリアの決定された予約移動位置に位置するか、またはキャリアが既に新たな第2の移動位置に位置している場合、計画された移動は短縮される。
【0028】
一実施形態では、計画された移動は、計画された移動の同じ方向または計画された移動の方向に垂直な方向に計画された移動を延長することによって延長される。一実施形態では、計画された移動を計画された移動の同じ方向に延長することができない場合、例えば、新たな第2の移動位置が依然として決定された予約移動位置に位置するか、またはキャリアが既に新たな第2の移動位置に位置している場合、計画された移動は、計画された移動の方向に垂直な方向に延長される。計画された移動の方向に垂直な方向に計画された移動を延長することは、計画された移動の方向に垂直な方向に移動位置または移動を計画された移動に追加することを含むことができる。計画された移動に、計画された移動の方向に垂直な方向に移動が追加される場合、追加された移動は、ステップa)における計画された移動の第2の移動位置である第1の移動位置と、新たな第2の移動位置とを含む。
【0029】
一実施形態では、各キャリアの計画された移動は、第1の移動位置、第2の移動位置、および第1の移動位置と第2の移動位置との間に位置する複数の移動位置を含む。少なくとも1つの第1のキャリアの新たな移動は、少なくとも1つの第1のキャリアの計画された移動と比較して、その第1の移動位置とその新たな第2の移動位置との間に位置する移動位置が少ない場合に短縮される。少なくとも1つの第1のキャリアの新たな移動は、少なくとも1つの第1のキャリアの計画された移動と比較して、より多くの移動位置がその第1の移動位置と新たな第2の移動位置との間に位置する場合に延長される。換言すれば、第1の移動位置と第2の移動位置との間に位置する移動位置を削除することによって移動が短縮され、第1の移動位置と第2の移動位置との間に位置する移動位置を追加することによって移動が延長される。一実施形態では、計画された移動を短縮または延長することは、計画された移動の第1の移動位置と第2の移動位置との間に位置する移動位置の数と、新たな移動の第1の移動位置と新たな第2の移動位置との間に位置する移動位置の数との間の差を最小化することを含む。したがって、ステップa)の計画された移動からの逸脱が最小限に抑えられる。
【0030】
一実施形態では、各キャリアの計画された移動は、第1の移動位置、第2の移動位置、および第1の移動位置と第2の移動位置との間に位置する複数の移動位置を含む。決定された各キャリアの予約移動位置は、各キャリアの計画された移動の第1の移動位置と第2の移動位置との間に位置する複数の移動位置上に位置しない。
【0031】
一実施形態では、第1の移動位置と第2の移動位置との間、または第1の移動位置と新たな第2の移動位置との間に位置する移動位置の数は、0から、第1の移動位置と第2の移動位置との間、または第1の移動位置と新たな第2の移動位置との間の移動位置の最大数までの範囲である。この移動位置の最大数は、移送面のサイズおよび/または移送面上の移動位置の密度などの分配システムのハードウェア制限によって与えられることができる。一実施形態では、移送面は、互いに対向する少なくとも2つの境界または縁部を含む。複数の移動位置は、2つの境界または縁部の間に位置し、第1の移動位置と第2の移動位置との間、または第1の移動位置と新たな第2の移動位置との間の移動位置の最大数は、2つの境界または縁部の間に位置する移動位置の数から2つよりも少ない移動位置の数である。例えば、移送面は、4つの縁部で囲まれた正方形の平面であり、6×6の移動位置の正方グリッドまたはチェス盤のように配置された36個の移動位置を含む。したがって、第1の移動位置と第2の移動位置との間、または第1の移動位置と新たな第2の移動位置との間の可能な移動位置の最大数は4である。
【0032】
一実施形態では、ステップa)において、制御装置は、少なくとも1つの第1のキャリアの、その計画された第2の移動位置から第3の移動位置への後続の移動をさらに計画する。ステップc)において、新たな第2の移動位置への新たな移動の計画は、新たな第2の移動位置と計画された第3の移動位置との間に位置する移動位置の数を最小化することを含む。したがって、キャリアの第3の移動位置への計画された到着時間からのずれが低減または防止されることができる。
【0033】
一実施形態では、ステップc)において、新たな第2の移動位置への新たな移動の計画は、少なくとも1つの第1のキャリアについて、その計画された新たな第2の移動位置に隣接する新たな予約移動位置を決定し、少なくとも1つの第1のキャリアの新たな決定された予約移動位置と少なくとも1つの第2のキャリアの決定された予約移動位置との重複を最大化することをさらに含む。したがって、少なくとも1つの第1のキャリアおよび少なくとも1つの第2のキャリアは、少なくとも1つの第1のキャリアの移動を再計画した後に、共通の決定された予約移動位置を有する。したがって、移送面上の決定された予約移動位置の数は最小にされることができ、同時に、さらなるキャリアの移動の計画に利用可能な移動位置の数は最大にされることができる。一実施形態では、少なくとも1つの第2のキャリアの決定された予約移動位置と重ならない少なくとも1つの第1のキャリアの新たな決定された予約移動位置は、互いに隣接して配置される。
【0034】
一実施形態では、ステップa)において、制御装置は、移動を計画し、少なくとも1つの第1のキャリアおよび少なくとも1つの第2のキャリアの予約移動位置を同時に決定する。したがって、移動を計画する時間が短縮されることができる。
【0035】
一実施形態では、ステップa)において、制御装置は、移動を計画するためにルーティングアルゴリズムを使用する。本明細書で使用される場合、「ルーティングアルゴリズム」という用語は、開始位置から最終目的位置までの移送面上の各キャリアの経路を決定または計算するアルゴリズムである。本明細書で使用される場合、「経路」という用語は、移送面上の開始位置から最終目的位置までキャリアが移動する経路に関する。経路は、1回の移動のみを含むことができ、例えば、キャリアは、開始位置から最終目的位置まで直接移動することができる。この場合、第1の移動位置は開始位置であり、第2の移動位置は最終目的位置である。経路は、2つ以上の移動を含むことができ、例えば、キャリアは、開始位置から最終目的位置まで1つ以上の中間目的位置を介して移動することができる。この場合、第1の移動位置は、開始位置または中間最終位置であり、第2の移動位置は、中間最終位置または最終目的位置である。したがって、移送面上のキャリアの開始位置から最終目的位置までの経路は、1つ以上の中間目的位置を介して1つ以上の移動に分割されることができる。開始位置は、アルゴリズムがその経路を決定または計算し始めるときにキャリアが移送面上に位置する移動位置である。最終目的位置は、キャリアが向かう必要がある移送面上の移動位置である。最終目的位置は、特に特別な機能性を有する移送面上の移動位置であり、例えば、実験室容器、試験試料の一部、または消耗品が、移送面から例えば分析ステーションまたは事前分析もしくは事後分析ステーションに、または分析ステーションまたは事前分析もしくは事後分析ステーションから移送面に渡される。製造現場の場合、最終目的位置は、特に、半製品に対して何らかの製造プロセスを実行する機械ステーションに対応する移動位置である。1つのキャリアの開始位置は、特に別のキャリアの最終目的位置、または特に同じキャリアの複数の最終目的位置とすることもできる。一実施形態では、第1の移動位置は、経路の開始位置または経路の中間目的位置である。第2の移動位置は、経路の中間目的位置または最終目的位置である。一実施形態では、キャリアは、所定時間、中間目的位置または最終目的位置で待機することができる。例えば、キャリアは、移送面上の現在のトラフィック状況またはトラフィック密度に依存することができる後続の移動が実行されることができるまで、中間最終位置で待機する。または、分析ステーションにおける試験試料の分析のために試験試料が試験試料容器から吸引されることができるように、キャリアは、最終目的位置で待機する。一実施形態では、最終目的位置は、キャリアの一時的な配置または留置のための移送面上の専用領域(緩衝領域)に位置することができる。一実施形態では、第3の移動位置は、経路の中間目的位置または経路の最終目的位置である。
【0036】
ルーティングアルゴリズムは、通常、移動位置上のキャリアの現在位置を開始位置として開始して中間目的位置または最終目的位置までの経路ごとに複数の直線移動を決定または計算する。中間目的位置および最終目的位置もまた移動位置である。各移動は、移動位置において開始および停止を有することができる。経路の最終移動の停止は、中間目的位置または最終目的位置のいずれかである。
【0037】
特定の実施形態では、ルーティングアルゴリズムは、A*アルゴリズムまたはウィンドウ化階層協調A*アルゴリズムである。そのようなルーティングアルゴリズムは当該技術分野において周知である。
【0038】
例えば、欧州特許第3537159号明細書は、インフォームドサーチアルゴリズム、特に改良されたA*アルゴリズムであるA*アルゴリズムまたはD*アルゴリズムを使用して経路を計画するための実験室分配システムおよび方法を開示している。
【0039】
「Ma Tao、A.Elssamadisy、N.FlannおよびB.Abbott、「Optimal route re-planning for mobile robots:a massively parallel incremental A* algorithm」、Proceedings of International Conference on Robotics and Automation,Albuquerque,NM,USA,1997,pp.2727-2732 vol.3,doi:10.1109/ROBOT.1997.619372.」は、移動ロボット車両のための経路を事前計算および維持するためのインクリメンタルA*アルゴリズムの主な利点を開示しており、これは、この手法の完全性および最適性である。
【0040】
「Cooperative pathfinding」(Silver,D.,2005,「Cooperative pathfinding」、Young,R.M.、およびLaird,J.E.,eds.,AIIDE,117-122.AAA I Press)は、いわゆるマルチエージェント経路発見問題を解決するアルゴリズムを開示しており、他のエージェントの経路に関する完全な情報が与えられると、エージェントは、別々の目的地への経路を見つける必要がある。アルゴリズムは、リアルタイム戦略ゲームおよび他のリアルタイム環境での使用に適している。提案されたアルゴリズムは、グリッドが空間を表すと仮定し、コスト関数を計算するための基礎としていわゆるマンハッタン距離を使用する。それらは、ウィンドウ化階層協調A*(WHCA*)と呼ばれる限定された固定された協調探索深度を有するウィンドウ化探索を使用する。
【0041】
一実施形態では、ステップa)において、制御装置は、少なくとも1つの第2のキャリアの、その計画された第2の移動位置から第3の移動位置への後続の移動をさらに計画する。ステップa)とステップb)との間で、制御装置は、少なくとも1つの第1のキャリアおよび少なくとも1つの第2のキャリアが、所定時間内にそれらの計画された後続の移動を行うためにそれらの計画された第2の移動位置において互いにブロックするかどうかをチェックする。制御装置は、少なくとも1つの第1のキャリアおよび少なくとも1つの第2のキャリアがそれらの計画された第2の移動位置において互いにブロックせず、所定時間内にそれらの計画された後続の移動を行う場合、ステップb)からd)を実行せず、少なくとも1つの第1のキャリアをその計画された第2の移動位置に移動させ、少なくとも1つの第2のキャリアをその計画された第2の移動位置に移動させるように駆動手段を制御する。したがって、本方法のステップb)からd)は、キャリアが互いにブロックしていると制御装置が判定または識別した場合にのみ実行され、その結果、所定時間内にそれらの計画された後続の移動を実行する可能性はない。これは、移送面上のキャリアのブロックを意味するデッドロックの発生を最小化または回避する。特定の実施形態では、所定時間は、2秒から60秒または2、5、10秒の範囲内である。
【0042】
一実施形態では、ステップb)は、制御ユニットがステップa)の計画された移動にしたがってキャリアを移動させるように駆動手段を制御する前に実行される。そのため、ステップb)において、少なくとも1つの第1のキャリアの第2の移動位置が、少なくとも1つの第2のキャリアの決定された予約移動位置に位置するかどうか、計画された各移動がチェックされる。少なくとも1つの第1のキャリアの第2の移動位置が、少なくとも1つの第2のキャリアの決定された予約移動位置上に位置する場合、ステップc)からd)が実行される。一実施形態では、ステップb)の後、ステップc)からd)は実行されず、制御装置は、少なくとも1つの第1のキャリアの計画された第2の移動位置が少なくとも1つの第2のキャリアの決定された予約移動位置に位置していない場合、ステップa)の計画された移動にしたがって、少なくとも1つの第1のキャリアをその計画された第2の移動位置に移動させ、少なくとも1つの第2のキャリアをその計画された第2の移動位置に移動させるように駆動手段を制御する。
【0043】
一実施形態では、本方法のステップb)からd)は、移送面上の現在のトラフィック状況またはトラフィック密度とは無関係に、移送面上に位置する、または移送面の一部に位置するキャリアに対して実行される。
【0044】
一実施形態では、本方法のステップb)からd)は、移送面上または移送面の一部上のトラフィック密度が特定の閾値を上回る場合に、移送面上または移送面の一部上に位置するキャリアに対してのみ実行される。デッドロック状況のリスク、移送性能の低下のリスク、またはキャリア衝突のリスクが移送面上のトラフィック密度の増加に伴って増加すると、本方法のステップb)からd)は、トラフィック密度が特定の閾値を超える場合にのみ実行される。換言すれば、移送面上のトラフィック密度が使用されて、本方法のステップb)からd)をトリガすることができる。そのようなトラフィック密度は、以下の実施形態で説明するように決定されることができる。
【0045】
一実施形態では、移送面は、複数の移動位置を含む第1の領域を含む。ステップa)において、制御装置は、計画された第2の移動位置である第1の領域の移動位置の割合をさらに計算する。制御装置は、計算された移動位置の割合が所定の閾値を上回る場合、第1の領域内で第2の移動位置が計画されたキャリアについてステップb)からd)を実行する。したがって、ステップb)からd)は、計画された第2の移動位置である移動位置の割合に基づいて、ある閾値を超えるトラフィック密度が検出または決定された場合にのみ実行される。
【0046】
別の実施形態では、移送面は、複数の移動位置を含む第1の領域を含む。ステップa)において、制御装置は、計画された第2の移動位置であるか、または第1の移動位置と第2の移動位置との間に位置する第1の領域の移動位置の割合をさらに計算する。制御装置は、計算された移動位置の割合が所定の閾値を上回る場合、第1の領域内で第2の移動位置が計画されたキャリアについてステップb)からd)を実行する。したがって、ステップb)からd)は、計画された第2の移動位置であるか、または第1の移動位置と第2の移動位置との間に位置する移動位置の割合に基づいて、特定の閾値を超えるトラフィック密度が検出または決定された場合にのみ実行される。
【0047】
別の実施形態では、移送面は、それぞれが複数の移動位置を含む第1の領域および第2の領域を含む。ステップa)において、制御装置は、計画された第2の移動位置である第1の領域の移動位置の割合をさらに計算する。制御装置は、計算された移動位置の割合が所定の閾値を上回る場合、第2の領域内で第2の移動位置が計画されたキャリアについてステップb)からd)を実行する。したがって、第1の領域内の計画された第2の移動位置である移動位置に基づいて決定されたトラフィック密度は、第2の領域内の第2の移動位置が計画されたキャリアに対するステップb)からd)をトリガするために使用される。
【0048】
別の実施形態では、移送面は、それぞれが複数の移動位置を含む第1の領域および第2の領域を含む。ステップa)において、制御装置は、計画された第2の移動位置であるか、または第1の移動位置と第1および/または第2の領域に位置する第2の移動位置との間に位置する第1の領域の移動位置の割合を計算する。制御装置は、計算された移動位置の割合が所定の閾値を上回る場合、第2の領域内で第2の移動位置が計画されたキャリアについてステップb)からd)を実行する。したがって、第1の領域内の計画された第2の移動位置である移動位置、または第1の移動位置と第1および/または第2の領域内に位置する第2の移動位置との間に位置する移動位置に基づいて決定されたトラフィック密度は、第2の領域内で第2の移動位置が計画されたキャリアについてのステップb)からd)をトリガするために使用される。
【0049】
別の実施形態では、移送面は、複数の第1の領域および1つ以上の第2の領域を含む。ステップa)において、制御装置は、複数の第1の領域のそれぞれについて、計画された第2の移動位置であるか、または第1の移動位置と第1の領域の1つ以上および/または第2の領域の1つ以上に位置する第2の移動位置との間に位置する移動位置の割合を計算する。制御装置は、複数の第1の領域の所定数の移動位置の計算された割合が所定の閾値を上回る場合、1つ以上の第2の領域内で第2の移動位置が計画されたキャリアについてステップb)からd)を実行する。
【0050】
一実施形態では、移送面は、複数の移動位置を含む第1の領域を含む。分配システムは、第1の領域内のキャリアを検出し、第1の領域内の検出されたキャリアの数を決定し、第1の領域内の決定された検出されたキャリアの数の値を制御装置に送信するように構成されたキャリア検出システムをさらに備える。ステップb)の前に、制御装置は、第1の領域内の決定された、検出されたキャリアの数の値を受信し、受信した値に基づいて、検出されたキャリアによって占有された第1の領域の移動位置の割合を計算する。制御装置は、検出されたキャリアによって占有された移動位置の計算された割合が所定の閾値を上回る場合、第1の領域内で検出されたキャリアについてステップb)からd)を実行する。したがって、ステップb)からd)は、検出されたキャリアによって占有された移動位置の割合に基づいて、特定の閾値を超えるトラフィック密度が検出または決定された場合にのみ実行される。
【0051】
本明細書で使用される場合、「キャリア検出システム」という用語は、移送面上のキャリアを検出および位置特定するためのシステムに関する。非限定的な例は、移送面に埋め込まれた光学センサ、磁気センサ、容量センサ、または誘導センサなどのセンサである。別の選択肢は、キャリアを検出および位置特定するための画像分析ソフトウェアを備えたカメラシステムとすることができる。
【0052】
別の実施形態では、移送面は、それぞれが複数の移動位置を含む第1の領域および第2の領域を含む。分配システムは、第1の領域または第1の領域および第2の領域内のキャリアを検出し、第1の領域内の検出されたキャリアの数を決定し、第1の領域内の決定された検出されたキャリアの数の値を制御装置に送信するように構成されたキャリア検出システムをさらに備える。ステップb)の前に、制御装置は、第1の領域内の決定された、検出されたキャリアの数の値を受信し、受信した値に基づいて、検出されたキャリアによって占有された第1の領域の移動位置の割合を計算する。制御装置は、第1の領域内で検出されたキャリアによって占有された移動位置の計算された割合が所定の閾値を上回る場合、第2の領域内で第2の移動位置が計画されたキャリア、または第2の領域内で検出されたキャリアについてステップb)からd)を実行する。
【0053】
一実施形態では、移送面は、複数の第1の領域および1つ以上の第2の領域を含む。ステップa)において、制御装置は、複数の第1の領域のそれぞれについて、上述したように検出されたキャリアによって占有された移動位置の割合を計算する。制御装置は、複数の第1の領域の所定数の移動位置の計算された割合が所定の閾値を上回る場合、1つ以上の第2の領域内で検出されたキャリアについてステップb)からd)を実行する。
【0054】
一実施形態では、所定の閾値は、15%超または20%超である。したがって、制御装置は、移送面の1つ以上の第1の領域内の移動位置の15%超または20%超が、計画された第2の移動位置、第1の移動位置と第2の移動位置との間に位置する移動位置、および/または検出されたキャリアによって占有された移動位置である場合、ステップb)からd)を実行する。
【0055】
一実施形態では、第1の領域内の移動位置の数は、移送面の移動位置の数以下である。したがって、第1の領域は、移送面の移動位置の全部または一部を含むことができる。
【0056】
一実施形態では、第1の領域内の移動位置の数は、移送面の移動位置の数よりも少ない。第2の領域の移動位置の数は、移送面の移動位置の数以下である。したがって、第1の領域は、移送面の移動位置の一部を含み、第2の領域は、移送面の移動位置の全部または一部を含むことができる。そのため、第2の領域が移送面の全ての移動位置を含む場合、第1の領域の移動位置は、第2の領域の移動位置と重複する。
【0057】
一実施形態では、第1の領域内の移動位置の数は、移送面の移動位置の数よりも少ない。第2の領域の移動位置の数は、移送面の移動位置の数よりも少ない。したがって、第1の領域は、移送面の移動位置の一部を含み、第2の領域は、移送面の移動位置の一部を含む。第1の領域の移動位置の一部と第2の領域の移動位置の一部とは、互いに隣接していてもよいし、空間的に離れていてもよいし、部分的に重なっていてもよい。
【0058】
本開示はまた、分配システムであって、
-それぞれが物品を運ぶように適合された少なくとも1つの第1のキャリアおよび少なくとも1つの第2のキャリアと、
-各キャリアが移動を開始し、移動し、停止し、待機し、および/またはその移動方向を変更することができる複数の移動位置を含む移送面と、
-各キャリアを移動位置に移動させるように適合された駆動手段と、
-駆動手段を制御するように適合された制御装置と、
を備える、分配システムに関する。
【0059】
また、分配システムは、本明細書に記載の方法のステップを実行するように構成されている。
【0060】
一実施形態では、分配システムは、実験室分配システムである。本明細書で使用される場合、「実験室分配システム」という用語は、診断実験室システムの事前分析ステーション、分析ステーション、または事後分析ステーションなどの接続された実験室ステーションにキャリアを移送または分配するように設計されているシステムに関する。実験室分配システムは、1つ以上の動作可能に接続された実験室ステーションとともに完全に自動化された診断実験室システムを形成することができる。事前分析ステーションは、通常、実験室容器または例えば試験試料などのその内容物の前処理に使用されることができる。分析ステーションは、例えば、これに基づいて分析物が存在するかどうか、必要に応じてどの濃度で存在するかを判定することができる測定可能な信号を生成するために、試験試料または試験試料の一部および試験試薬を使用するように設計されることができる。事後分析ステーションは、実験室容器または例えば試験試料などのその内容物の保管などの試験試料または試験試料容器の後処理に使用される。そのような事前分析ステーション、分析ステーション、事後分析ステーション、および装置は、当該技術分野において周知である。
【0061】
一実施形態では、物品は、実験室容器である。本明細書で使用される場合、「実験室容器」という用語は、試験試薬(例えば、組織学的試験、免疫化学試験、臨床化学試験用の試薬、凝固試験、血液学的試験、または分子生物学的試験など)、試験試料(例えば、組織、血液、尿、血清、血漿、または液化生検試料など)、実験室消耗品(例えば、ピペットチップ、キュベット、ガラススライド、マイクロウェルプレートなど)などの内容物の受け取り、保存、移送、および/または解放に適合した装置に関連する。そのため、実験室容器は、試験試薬容器、試験試料容器、または実験室消耗品容器とすることができる。実験室容器の内容物、試験試料の処理ステップ、製造元に応じて、材料、および直径、側面の長さ、高さ、形状などの実験室容器の寸法が異なる場合がある。
【0062】
キャリアは、実験室分配システムの移送面上の所定の経路に沿って移動することができる。キャリアは、開始位置から最終目的位置に直接移動するか、または開始位置と最終目的位置との間の1つ以上の中間目的位置を介して移動することができる。後者の場合、経路は、キャリアが開始位置から最終目的位置までの経路上を通過する中間目的位置の順序を画定する。典型的には、開始位置および最終目的位置は、所定の実験室ワークフローにしたがった試験試料処理ステップが行われるように、接続された事前分析ステーション、分析ステーション、または事後分析ステーションに配置される。例えば、開始位置は、前処理された試験試料を有する試験試料容器が取り出されることができる事前分析ステーションに配置されてもよい。最終目的位置は、前処理された試験試料が試験試料の分析のために試験試料容器から吸引される接続された分析ステーションに配置されてもよい。あるいは、最終目的位置は、キャリアおよびそれらの対応する実験室容器(緩衝領域)を一時的に配置または留置するための事後分析ステーションまたは移送面上の専用領域に配置されることができる。
【0063】
一実施形態では、実験室分配システムは、移送面の下方に配置され、キャリアを移動させるための磁場を生成するように適合された、静止している複数の電磁アクチュエータまたは電磁コイルを備える。キャリアは、キャリアを移送面上で移動させるために磁力がキャリアに加えられように、磁場と相互作用することができる磁気的に活性な装置を備える。そのような実験室分配システムは、当該技術分野において周知であり、欧州特許第2566787号明細書の
図1の参照符号100および対応する説明に記載されているように設計されることができる。
【0064】
一実施形態では、移送面は、複数の移動位置を含む第1の領域を含む。分配システムは、第1の領域内のキャリアを検出し、第1の領域内の検出されたキャリアの数を決定し、第1の領域内の決定された検出されたキャリアの数の値を制御装置に送信するように構成されたキャリア検出システムをさらに備える。また、分配システムは、本明細書に記載の方法のステップを実行するように構成されている。
【0065】
一実施形態では、移送面は、それぞれが複数の移動位置を含む第1の領域および第2の領域を含む。分配システムは、第1の領域または第1の領域および第2の領域内のキャリアを検出し、第1の領域内の検出されたキャリアの数を決定し、第1の領域内の決定された検出されたキャリアの数の値を制御装置に送信するように構成されたキャリア検出システムをさらに備える。分配システムは、本明細書に記載の方法のステップを実行するように構成されている。
【0066】
本開示は、さらに、本明細書に記載の分配システムに、本明細書に記載の方法のステップを実行させるための命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0067】
本開示は、さらに、本明細書に記載のコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】分配システムの実施形態の概略図を示している。
【
図2】
図2A~2Cは、移送面および移送面上でキャリアを移動させる方法の実施形態の概略図を示している。
【
図3】
図3A~3Cは、移送面の実施形態の概略図を示している。
【
図4】移送面上でキャリアを移動させるための分配システムのための方法の実施形態のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1は、分配システム(10)の実施形態の概略図を示している。図示の分配システム(10)は、それぞれが物品(16、18)を運ぶように適合された第1のキャリア(12)および第2のキャリア(14)と、各キャリア(12、14)が移動を開始し、移動し、停止し、待機し、および/またはその移動方向を変更することができる複数の移動位置(22、A1からF6)を含む移送面(20)とを備える。図示の実施形態では、移送面(20)は、4つの縁部で囲まれた正方形の平面であり、6×6の移動位置(22、A1からF6)の正方グリッドとして配置された36個の移動位置(22、A1からF6)を含む。
【0070】
第1のキャリア(12)は、移動位置D6に位置し、第2のキャリア(14)は、移動位置C1に位置し、両キャリア(12、14)は、物品(16、18)を運ぶ。物品は、試験試薬、試験試料、またはピペットチップもしくはキュベットなどの実験室消耗品を含む実験室容器とすることができる。キャリア(12、14)はまた、例えば、動作可能に接続された事前分析ステーション(62)、分析ステーション(64)、または事後分析ステーション(66)の前に位置する移動位置(22、D1、F1、F5)に移動するときに、例えば試験試料を有する実験室容器を拾い上げるために、物品を運ばずに移動されることができる。
【0071】
分配システム(10)は、各キャリア(12、14)を移動位置(22、A1からF6)に移動させるように適合された駆動手段(図示せず)をさらに備える。図示の実施形態では、駆動手段は、移送面(20)の下方に配置され、キャリア(12、14)を移動させるための磁場を生成するように適合された、静止している複数の電磁アクチュエータまたは電磁コイルを備える。キャリア(12、14)は、キャリア(12、14)を移送面(20)上で移動させるためにキャリア(12、14)に磁力が加えられるように磁場と相互作用することができる磁気装置を備える。
【0072】
分配システム(10)は、破線によって示されるように駆動手段に通信可能に接続され、駆動手段を制御するように適合された制御装置(24)をさらに備える。図示の分配システム(10)は、カメラの形態のキャリア検出システム(46)をさらに備える。キャリア検出システム(46)は、移送面(20)上のキャリア(12、14)を検出し、移送面(20)上の検出されたキャリア(12、14)の数を決定し、決定された検出されたキャリア(12、14)の数の値を、破線によって示されるように、キャリア検出システム(46)に通信可能に接続された制御装置(24)に送信するように構成されている。検出されたキャリアのこの送信値は、特定の時点における移送面(20)上の特定のトラフィック密度を検出または決定するために使用されることができる。
【0073】
図2A~
図2Cは、移送面(20)および移送面(20)上でキャリア(12、14)を移動させる方法(52)の実施形態の概略図を示している。
図2Aは、第1のキャリア(12)が第1の移動位置(30、D6)に配置され、第2のキャリア(14)が第1の移動位置(32、C1)に配置されている、
図1に示すのと同じ移送面を示している。
図2Aに矢印によって示されるように、方法(52)の第1のステップa)(54)において、制御装置(24)は、第1のキャリア(12)の第1の移動位置(30、D6)から第2の移動位置(34、D4)への移動(26)を計画する。制御装置(24)はまた、第2のキャリア(14)の第1の移動位置(32、C1)から第2の移動位置(36、C3)への移動(28)を計画する。制御装置は、第1のキャリア(12)について、点線ボックスによって示されるように、その計画された第2の移動位置(34、D4)に隣接する予約移動位置(38、C3、D3、E3、E4)をさらに決定し、第2のキャリア(14)について、斜線ボックスによって示されるように、その計画された第2の移動位置(36、C3)に隣接する予約移動位置(40、B3、B4、C4、D4)をさらに決定する。図示の実施形態では、第1のキャリア(12)の決定された予約移動位置(38)は、その計画された第2の移動位置(34)の前に位置し、その計画された移動(26)の方向に対してその計画された第2の移動位置(34)の一方側に位置する少なくとも1つの予約移動位置(38、E4)とともに予約移動位置のL字形ラインを形成する3つの予約移動位置(38、C3、D3、E3)を含む。また、第2のキャリア(12)の決定された予約移動位置(40)は、その計画された第2の移動位置(36)の前に位置し、その計画された移動(28)の方向に対してその計画された第2の移動位置(36)の一方側に位置する少なくとも1つの予約移動位置(40、B3)とともに予約移動位置のL字形ラインを形成する3つの予約移動位置(40、B4、C4、D4)を含む。あるいは、決定された予約移動位置は、その計画された第2の移動位置の前に位置する1つの予約移動位置と、その計画された第2の移動位置の少なくとも一方側に位置する少なくとも1つの予約移動位置とを含む。あるいは、決定された予約移動位置は、その計画された第2の移動位置の前に位置し、その計画された移動の方向に対してその計画された第2の移動位置の一方側に位置する少なくとも1つの予約移動位置とともに予約移動位置のL字形ラインを形成する2つの予約移動位置のみを含む。
【0074】
続いて、制御装置(24)は、方法(52)のステップb)(56)において、第1のキャリア(12)の計画された第2の移動位置(34、D4)が、第2のキャリア(14)の決定された予約移動位置(40、B3、B4、C4、D4)上に位置するか否かをチェックする。図示の実施形態では、第1のキャリア(12)の計画された第2の移動位置(34、D4)は、第2のキャリア(14)の決定された予約移動位置(40、B3、B4、C4、D4)上、すなわち移動位置D4上に位置する。したがって、制御装置(24)は、第1のキャリア(12)に対して、
図2Bの矢印によって示されるように、第2のキャリア(14)の決定された予約移動位置(40、B3、B4、C4、D4)上に位置しない新たな第2の移動位置(44、D5)への新たな移動(42)を計画する。図示の実施形態では、新たな第2の移動位置(44、D5)への新たな移動(42)の計画は、計画された移動(26)を短縮することを含む。あるいは、新たな第2の移動位置への新たな移動(42)の計画は、計画された移動(26)を、例えばD3上に位置する新たな第2の移動位置まで延長することを含む。計画された移動(26)が短縮されるかまたは延長されるかは、移送面(20)上のさらなるキャリアのさらなる計画された移動、または第1のキャリア(30)の後続の移動の第3の移動位置に依存することができる。第1のキャリア(12)の計画された移動(26)は、第1の移動位置(30)と、第2の移動位置(34)と、第1の移動位置(30)と第2の移動位置(34)との間に位置する1つの移動位置(22)とを含む。第1のキャリア(12)の新たな移動(42)は、計画された移動(26)と比較して、その第1の移動位置(30)とその新たな第2の移動位置(44)との間に位置する移動位置(22)が少ないため、短縮される。
図2Bにさらに示されるように、新たな第2の移動位置(44、D4)への新たな移動(44)を計画した後、第1のキャリア(12)の新たに決定された予約移動位置(39、C4、D4、E4、E5)の一部は、グリッド付きボックスによって示されるように、第2のキャリア(14)の決定された予約移動位置(40、B3、B4、C4、D4)と重複する。
【0075】
最後に、制御装置(24)は、
図2Cに示すように、第1のキャリア(12)がその新たな第2の移動位置(44、D5)に位置し、第2のキャリア(14)がその計画された第2の移動位置(36、C3)に位置するように、第1のキャリア(12)をその新たな第2の移動位置(44、D5)に移動させ、第2のキャリア(14)をその計画された第2の移動位置(36、C3)に移動させるように、駆動手段を制御する。
【0076】
図3A~
図3Cは、移送面(20)の実施形態の概略図を示している。
図3A~
図3Cに示す3つの移送面(20)は、4つの縁部によって囲まれた長方形の平面であり、6×12の移動位置(22、A1からF12)の矩形グリッドとして配置された72個の移動位置(22、A1からF12)を含む。
図3Aに示す移送面(20)は、全ての移動位置(22、A1からF12)を含む第1の領域(48)を含む。あるいは、第1の領域(48)は、移送面(20)の移動位置(22)の一部のみを含んでもよい。
図3Bおよび
図3Cに示す移送面(20)は、それぞれが特定の数の移動位置(22)を含む第1の領域(48)および第2の領域(50)を含む。第1の領域(48)の移動位置(22)の数は、移送面(20)の移動位置(22)の数よりも少ない。第2の領域(50)の移動位置(22)の数は、移送面(20)の移動位置(22)の数以下であってもよい。
【0077】
例えば、
図3Bに示すように、第1の領域(48)は、6×6の移動位置(22、A1からF6)の正方グリッドとして配置された36個の移動位置(22、A1からF6)を備え、第2の領域(50)は、6×6の移動位置(22、A7からF12)の正方グリッドとして配置された36個の移動位置(22、A7からF12)を備える。したがって、第1の領域(48)および第2の領域(50)は、同数の移動位置(22)を備え、互いに隣接している。
【0078】
図3Cに示す移送面(20)はまた、第1の領域(48)および第2の領域(50)も含む。第1の領域(48)は、3×6の移動位置(22、D4からF9)の矩形グリッドとして配置された18個の移動位置(22、D4からF9)を含み、第2の領域(50)は、6×12の移動位置(22、A1からF12)の矩形グリッドとして配置された移送面(20)の72個の移動位置(22、A1からF12)の全てを含む。したがって、第1の領域(48)の移動位置(22、D4からF9)の一部は、第2の領域(50)の移動位置(22、A1からF12)と重なる。しかしながら、第1の領域(48)および第2の領域(50)の任意の幾何学的形態、ならびに第1の領域(48)および第2の領域(50)内の任意の数の移動位置(22)が可能である。第1の領域(48)および第2の領域(50)は、互いに隣接していてもよいし、空間的に離れていてもよいし、部分的に重なっていてもよい。
【0079】
計画された第2の移動位置(34、26)である、第1の移動位置(30、32)と第2の移動位置(34、36)との間に位置する、または検出されたキャリア(12、14)によって占有された第1の領域(48)の移動位置(22)の割合は、第1の領域(48)および/または第2の領域(50)に位置するキャリアのための方法(52)のステップb)(56)からステップd)(60)を実行するトリガとして使用されることができる。あるいは、換言すれば、第1の領域(48)内のトラフィック密度は、第1の領域(48)および/または第2の領域(50)に位置するキャリアのための方法(52)のステップb)(56)からステップd)(60)を実行するためのトリガとして使用されることができる。
【0080】
一実施形態では、方法(52)のステップb)(56)からステップd)(60)は、移動位置(22)の割合が所定の閾値を上回る場合にのみ実行される。例えば、所定の閾値は20%である。
【0081】
図3Aに示すように、第1の領域(48)の72個の移動位置(22)のうちの18個の移動位置(22)は、灰色ボックスによって示されるように計画された第2の移動位置である。そのため、第1の領域(48)の移動位置(22)の25%は、第1の領域(48)における高いトラフィック密度を示す計画された第2の移動位置である。したがって、方法(52)のステップb)(56)からステップd)(60)は、移送面(20)の第1の領域(48)に位置するキャリアのために制御装置(24)によって実行される。
【0082】
図3Bに示すように、キャリア検出システム(46)は、灰色ボックスによって示されるように、第1の領域(48)の36個の移動位置(22)のうちの6個の移動位置(22)において6個のキャリアを検出した。したがって、第1の領域(28)の移動位置(22)の約16%は、第1の領域(48)の低トラフィック密度を示す検出されたキャリア(12、14)によって占有される。したがって、方法(52)のステップb)(56)からステップd)(60)は、第1の領域(48)および/または第2の領域(50)に位置するキャリアに対して制御装置(24)によって実行されない。しかしながら、制御装置(24)は、ステップa)の計画された移動にしたがって、少なくとも1つの第1のキャリア(12)をその計画された第2の移動位置に移動させ、少なくとも1つの第2のキャリア(14)をその計画された第2の移動位置に移動させるように、駆動手段を制御する。
【0083】
図3Cに示すように、第1の領域(48)の18個の移動位置(22)のうちの9個の移動位置(22)は、灰色ボックスによって示されるように、第1の領域(48)および第2の領域(50)に位置する第1の移動位置と第2の移動位置との間に位置する。したがって、第1の領域(28)の移動位置(22)の50%は、第1の移動位置と第2の移動位置との間に位置する。したがって、方法(52)のステップb)(56)からステップd)(60)は、第1の領域(48)および/または第2の領域(50)に位置するキャリアに対して制御装置(24)によって実行される。この場合、移送面(20)の一部のみが、移送面(20)のトラフィック密度を決定するために考慮される。
【0084】
図4は、移送面(20)上でキャリア(12、14)を移動させるための分配システム(10)のための方法(52)の実施形態のフローチャートを示している。
図1に示すように、分配システム(10)は、それぞれが物品(16、18)を運ぶように適合された少なくとも1つの第1のキャリア(12)および少なくとも1つの第2のキャリア(14)と、各キャリア(12、14)が移動を開始し、移動し、停止し、待機し、および/またはその移動方向を変更することができる複数の移動位置(22)を含む移送面(20)と、各キャリア(12、14)を移動位置(22)に移動させるように適合された駆動手段と、駆動手段を制御するように適合された制御装置(24)とを備える。
【0085】
方法(52)のステップa)(54)において、制御装置(24)は、各キャリア(12、14)について、第1の移動位置(30、32)から第2の移動位置(34、36)への移動(26、28)を計画し、各キャリア(12、14)について、その計画された第2の移動位置(34、36)に隣接する予約移動位置(38、40)を決定する。
【0086】
その後、制御装置(24)は、方法(52)のステップb)(56)において、少なくとも1つの第1のキャリア(12)の計画された第2の移動位置(34)が、少なくとも1つの第2のキャリア(14)の決定された予約移動位置(40)上に位置するかどうかをチェックする。
【0087】
方法(52)のステップc)(58)において、制御装置(24)は、少なくとも1つの第1のキャリア(12)の計画された第2の移動位置(34)が少なくとも1つの第2のキャリア(14)の決定された予約移動位置(40)上に位置する場合、少なくとも1つの第1のキャリア(12)について、少なくとも1つの第2のキャリア(14)の決定された予約移動位置(40)上に位置しない新たな第2の移動位置(44)への新たな移動(42)を計画する。方法(52)のステップc)(58)において、新たな第2の移動位置(44)への新たな移動(42)の計画は、計画された移動(26)を短縮すること、または計画された移動(26)を延長することを含むことができる。計画された移動(26)は、計画された移動(26)を計画された移動(26)と同じ方向にまたは計画された移動(26)の方向に垂直な方向に延長することによって延長されてもよい。
【0088】
少なくとも1つの第1のキャリア(12)に対する新たな第2の移動位置(44)への新たな移動(42)を計画した後、制御装置(24)は、方法(52)のステップd)(60)において、少なくとも1つの第1のキャリア(12)をその計画された新たな第2の移動位置(44)に移動させ、且つ、少なくとも1つの第2のキャリア(14)をその計画された第2の移動位置(36)に移動させるように、駆動手段を制御する。
【0089】
一実施形態では、ステップb)の後、ステップc)からd)は実行されず、制御装置(24)は、少なくとも1つの第1のキャリア(12)の計画された第2の移動位置(34)が少なくとも1つの第2のキャリア(14)の決定された予約移動位置(40)上に位置しない場合、少なくとも1つの第1のキャリア(12)をその計画された第2の移動位置(36)に移動させ、少なくとも1つの第2のキャリア(14)をその計画された第2の移動位置(34)に移動させるように、駆動手段を制御する。
【0090】
前述の説明および図では、本開示の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が示されている。しかしながら、当業者には、本教示を実施するために特定の詳細を使用する必要がないことは明らかであろう。他の例では、本開示を曖昧にすることを回避するために、周知の材料または方法は詳細に説明されていない。
【0091】
特に、開示された実施形態の変更および変形は、上記の説明に照らして確かに可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、上記の例に具体的に記載されている以外の方法で本発明が実施されることができることを理解されたい。
【0092】
また、本明細書全体を通して「一実施形態」、「実施形態」、「一例」または「例」への言及は、実施形態または例に関して説明される特定の特徴、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所での「一実施形態では」、「実施形態では」、「一例」または「例」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態または例を指すとは限らない。
【符号の説明】
【0093】
10 分配システム
12 第1のキャリア
14 第2のキャリア
16 第1の物品
18 第2の物品
20 移送面
22 移動位置
24 制御装置
26 第1のキャリアの移動
28 第2のキャリアの移動
30 第1のキャリアの第1の移動位置
32 第2のキャリアの第1の移動位置
34 第1のキャリアの第2の移動位置
36 第2のキャリアの第2の移動位置
38 第1のキャリアの決定された予約移動位置
39 新たに決定された予約移動位置
40 第2のキャリアの決定された予約移動位置
42 第1のキャリアの新たな移動
44 第1のキャリアの新たな第2の移動位置
46 キャリア検出システム
48 第1の領域
50 第2の領域
52 分配システムが移送面上でキャリアを移動させるための方法
54 方法のステップa)
56 方法のステップb)
58 方法のステップc)
60 方法のステップd)
62 事前分析ステーション
64 分析ステーション
66 事後分析ステーション
【外国語明細書】