(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179428
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】高密度VCSELアレイ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/183 20060101AFI20221125BHJP
H01S 5/42 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01S5/183
H01S5/42
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022082129
(22)【出願日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】21175109
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520344981
【氏名又は名称】トルンプフ フォトニック コンポーネンツ ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヴァイグル
(72)【発明者】
【氏名】アルマンド プレインボーム
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AC03
5F173AC13
5F173AC32
5F173AC42
5F173AC52
5F173AD02
5F173AF96
5F173AH13
5F173AP67
5F173AP91
5F173AR82
5F173AR93
(57)【要約】
【課題】高密度VCSELアレイを提供する。
【解決手段】本開示は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)の分野に関し、特に、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)(10、11、12、13)アレイを含む半導体デバイス(1)に関し、半導体デバイスは、第1の活性領域(20)を有する第1のVCSEL(10)と、第2の活性領域(21)を有する第2のVCSEL(11)と、第1のVCSELと第2のVCSELとを接続するブリッジ(31、31’)であって、第1のVCSELの第1の活性領域及び第2のVCSELの第2の活性領域が第1の結晶軸(2)に沿って配列される、ブリッジ(31、31’)と、第1のVCSEL(10)と第2のVCSEL(11)との間に配列される遮断構造(41)であって、遮断構造が、第1の結晶軸(2)に沿って第1のVCSELと第2のVCSELとの間の欠陥の伝搬を遮断するように適合される、遮断構造(41)と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)(10、11、12、13)アレイを備える半導体デバイス(1)であって、
- 第1の活性領域(20)を有する第1のVCSEL(10)と、
- 第2の活性領域(21)を有する第2のVCSEL(11)と、
- 前記第1のVCSELと前記第2のVCSELとを接続するブリッジ(31、31’)であって、
前記第1のVCSELの前記第1の活性領域及び前記第2のVCSELの前記第2の活性領域が、第1の結晶軸(2)に沿って配列される、前記ブリッジ(31、31’)と、
- 前記第1のVCSEL(10)と前記第2のVCSEL(11)との間に配列される遮断構造(41)であって、前記遮断構造が、前記第1の結晶軸(2)に沿って前記第1のVCSELと前記第2のVCSELとの間の欠陥の伝搬を遮断するように適合される、前記遮断構造(41)と、
を備える、半導体デバイス。
【請求項2】
前記VCSELアレイが、30μm以下の、特に20μm以下の、特に17.5μm以下の、特に15μm以下の、特に10μm以下のピッチ(p)を有する高密度アレイである、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記第1の結晶軸(2)に垂直な方向の前記遮断構造(41)の幅(w2)が、前記第1の結晶軸(2)に垂直な方向の第1の活性領域及び/又は第2の活性領域の幅(w1)より広い、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1の結晶軸に平行な方向の前記遮断構造(41)の幅(d1)が、前記VCSELピッチの30%未満、特に前記VCSELピッチ(p)の20%未満、特に前記VCSELピッチの10%未満、特に前記VCSELピッチの5%未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記遮断構造(41)が、エッチング領域を含み、特に、前記遮断構造が、前記第1のVCSEL(10)及び/又は第2のVCSEL(11)の酸化に使用されるトレンチを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記エッチング領域の深さが、前記第1のVCSEL(10)及び/又は第2のVCSEL(11)の活性層の深さを超える、請求項5に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記エッチング領域が、前記第1のVCSEL及び/又は第2のVCSELの上部コンタクト(71、72)から分離されている、請求項5又は6に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記第1のVCSEL(10)と前記第2のVCSEL(11)とを接続する前記ブリッジ(31)が、前記遮断構造(41)の側部の周囲で屈曲する、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記第1のVCSEL(10)と前記第2のVCSEL(11)とを接続する第2のブリッジ(31’)が、第1の側部とは異なる、前記遮断構造(41)の第2の側部の周囲で屈曲する、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1のVCSEL(10)と前記第2のVCSEL(11)とを接続する前記ブリッジ(31)が、前記第1のVCSEL(10)、前記第2のVCSEL(11)、第3の近隣VCSEL(12)、及び好ましくはさらに第4の近隣VCSEL(13)を接続するブリッジである、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記アレイの前記第1のVCSEL(10)及び前記第2のVCSEL(11)が、共通上部コンタクト及び/又は共通底部コンタクトを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
- 第3の活性領域(22)を有する第3のVCSEL(12)と、
- 前記第1のVCSELと前記第3のVCSELとを接続する第2のブリッジ(32、32’)であって、
前記第1のVCSELの前記第1の活性領域(20)及び前記第3のVCSELの前記第3の活性領域(22)が、第2の結晶軸(3)に沿って配列される、前記第2のブリッジ(32、32’)と、
- 前記第1のVCSEL(10)と前記第3のVCSEL(12)との間に配列される第2の遮断構造(42)であって、前記遮断構造が、前記第2の結晶軸(3)に沿って前記第1のVCSELと前記第3のVCSELとの間の欠陥の伝搬を遮断するように適合される、前記第2の遮断構造(42)と、
をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記第1のVCSEL(10)が、長方形、特に二次活性領域を有し、遮断構造が、前記活性領域の各側部に設けられる、請求項1~12のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記半導体デバイス(1)が、長方形グリッド、特に二次グリッド上の行及び列に配列された複数のVCSEL(10、11、12、13)を含み、別個の遮断構造(41、42)が、前記グリッド上の近隣VCSELの各対の間に設けられる、請求項1~13のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)(10、11、12、13)アレイを備える半導体デバイスを製作する方法(600)であって、
- VCSELの製作に適合される垂直層スタックを含む半導体ダイを提供するステップ(S601)と、
- 前記半導体ダイの表面に平行な、且つ前記垂直層スタックに垂直な方向の前記半導体ダイの結晶軸を判断するステップ(S602)と、
- 前記半導体ダイを半導体デバイスに加工するステップ(S603)であって、前記半導体デバイスが、
- 第1の活性領域を有する第1のVCSEL、
- 第2の活性領域を有する第2のVCSELであって、
前記第1のVCSELの前記第1の活性領域及び前記第2のVCSELの前記第2の活性領域が、第1の結晶軸に沿って配列される、前記第2のVCSEL、並びに
- 前記第1のVCSELと前記第2のVCSELとの間に配列される遮断構造であって、前記遮断構造が、前記第1の結晶軸に沿って前記第1のVCSELと前記第2のVCSELとの間の欠陥の伝搬を遮断するように適合される、前記遮断構造を含む、前記加工するステップ(S603)と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイを含む半導体デバイスに関する。本発明は、さらに、VCSELアレイを含むそのような半導体デバイスを製作する、対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直共振器面発光レーザ、即ちVCSELは、上面からの垂直なレーザビーム放射を伴う半導体レーザダイオードの一種である。VCSELは、高い効率性、柔軟なパッキングオプション、信頼性、及びこれらの半導体光源によって提供される様々な他の利点に起因して、様々な用途の可視及び赤外線照明デバイスとして使用され得る。例示的用途は、コンピュータマウス、光ファイバ通信、レーザプリンタ、及び光センサを含むが、これらに限定されない。
【0003】
ある用途においては、複数のVCSELを含むVCSELアレイを提供することが望ましい場合がある。大量生産のセンサの場合、低コストで製造され得るVCSELアレイを提供することが望ましい。製造コストは、チップ面積と共にスケールするため、高密度VCSELアレイを提供することが望ましい。
【0004】
(特許文献1)には、スモールピッチVCSELアレイが開示されている。小さなサイズ及び小さなピッチを有する垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)及びVCSELアレイが提供される。VCSEL構造によって消費される面積を減少させる手法が記載されており、それによって、より高密度のVCSELデバイスが実現され得る。(特許文献1)に記載の、提案されるVCSELアレイは、複数のVCSEL素子を備え、各VCSEL素子は、酸化アパーチャと、酸化アパーチャを同心円状に取り囲むメサであって、メサが円形のメサ部分及びメサタブを含み、メサタブが円形メサ部分から外側に延び、オーミックメタルがメサタブ上に設けられる、メサと、窒化ビアであって、窒化ビアがメサタブ上に位置する窒化ビアと、を含み、隣接するVCSEL素子が重なり合うメサタブを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0144792A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、さらに改善されたVCSELアレイを提供することである。特に、低コストで高い歩留まりを有し、大量生産で製造されるように適合された、VCSELアレイを提供することが有利である。高い歩留まりを有して低コストで製造可能であり、同時に高いデバイス信頼性を与えるVCSELアレイを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様によれば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイを含む半導体デバイスが提示される。半導体デバイスは、第1の活性領域を有する第1のVCSELと、第2の活性領域を有する第2のVCSELであって、第1のVCSELの第1の活性領域及び第2のVCSELの第2の活性領域が、第1の結晶軸に沿って配列される、第2のVCSELと、第1のVCSELと第2のVCSELとの間に配列される遮断構造であって、遮断構造が、第1の結晶軸に沿って第1のVCSELと第2のVCSELとの間の欠陥の伝搬を遮断するように適合される、遮断構造と、を含む。ブリッジは、第1のVCSELと第2のVCSELとを接続し得る。遮断構造は、特に、第1の結晶軸に沿って第1のVCSELの活性領域と第2のVCSELの活性領域との間の欠陥の伝搬を遮断するように適合され得る。
【0008】
本開示のさらなる態様によれば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイを含む半導体デバイスを製作する方法が提示される。方法は、VCSELの製作に適合される垂直層スタックを含む半導体ダイを提供するステップと、半導体ダイの表面に平行な、且つ垂直層スタックに垂直な方向の半導体ダイの結晶軸を判断するステップと、半導体ダイを半導体デバイスに加工するステップであって、半導体デバイスが、第1の活性領域を有する第1のVCSELと、第2の活性領域を有する第2のVCSELであって、第1のVCSELの第1の活性領域及び第2のVCSELの第2の活性領域が、第1の結晶軸に沿って配列される、第2のVCSELと、第1のVCSELと第2のVCSELとの間に配列される遮断構造であって、遮断構造が、第1の結晶軸に沿って第1のVCSEL(の活性領域)と第2のVCSEL(の活性領域)との間の欠陥の伝搬を遮断するように適合される、遮断構造と、を備える、加工するステップと、を含む。
【0009】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項において定義される。特許請求される方法は、特許請求される半導体デバイス、特に従属請求項において定義され、且つ本明細書において開示されるものと類似の且つ/又は同一の好ましい実施形態を有し得ることを理解されたい。
【0010】
本明細書で提示される解決策は、高い歩留まりを有して低コストで製造可能であり、同時に高いデバイス信頼性を与える、さらに改善されたVCSELアレイを提供する可能性をもたらし得る。
【0011】
高密度VCSELアレイにおいて、特に20~30μm又はそれ未満の超低ピッチを有する高密度VCSELアレイにおいて、いくつかのメサが欠陥を抱え得るリスクが存在することを発明者は認識した。特色として、そのような欠陥が近隣VCSELに影響を及ぼし得るということを、発明者は認識した。個々のVCSELの限定された数の欠陥は、ある用途においては許容される場合があるが、いくつかの近隣VCSELの欠陥は、不均一な輝度パターンに起因するデバイスの不具合と考えられ得る。
【0012】
結晶軸に沿って配列される近隣VCSELがマルチメサの欠陥を抱える可能性は、結晶軸に沿って配列されていない近隣VCSELについてよりも高いということを、発明者は認識した。本発明は、したがって、第1の結晶軸に沿って第1のVCSEL(の活性領域)と第2のVCSEL(の活性領域)との間の欠陥の伝搬を遮断するように適合される、近隣の第1のVCSELと第2のVCSELとの間に配列される遮断構造を具体的に提供するためのアイデアに基づく。遮断構造が、結晶軸に沿ってより高い確率で伝搬し得る第1のVCSELから生じる欠陥から第2のVCSELを遮蔽するように、第1のVCSEL、遮断構造、及び第2のVCSELは、したがって結晶軸に沿ってもう一方の後ろに配列され得る。第1のVCSEL及び第2のVCSELを接続するブリッジは、結晶軸に沿った直線と合致しない経路に沿ってやはり提供され得る。したがって、小さなピッチを有する非常に密集したパッケージングは、部分的にのみエッチングされた領域及び近隣VCSEL間の残ったブリッジで実現され得る。
【0013】
第1のVCSEL及び第2のVCSELがブリッジ(リッジ又はウェブとも呼ばれる)によって接続されるという特徴は、これによって高密度アレイが可能とならないため、エミッタの周囲の材料が完全に除去されていない、即ち、第1のVCSEL及び第2のVCSELが自立メサとして提供されないことを意味する。例えば、エミッタの周囲の材料は、完全に除去されず、単に、例えば、エミッタの周囲の4つの領域は、一方では酸化のために、且つ結晶軸を遮断構造と見なす有利で意図的な整列の観点から、エッチングされ、使用されてもよい。製造における有利なシナジー効果が、それによって達成され得る。第1のVCSEL及び第2のVCSELは、少なくとも部分的に共通の上部コンタクトを共有し得る。第1のVCSEL及び第2のVCSELは、近隣VCSEL、特に第1の結晶軸の方向に、特に互いに最も近い近隣VCSELである。本明細書で用いられる、VCSELの活性領域は、動作中に発光に適合されるVCSELの領域、典型的にはVCSELの中央部分を指す。
【0014】
VCSELアレイのピッチをさらに減少させるための試みにおいて、明白なアイデアは、VCSELアレイのグリッドの行及び列のコーナー上に酸化トレンチを置くことであってもよいと、発明者は認識した。それによって、さらに多くのコンパクトな設計が、提供され得る。小さなチップサイズは、ウェハ毎のチップがより多くなることを可能にし、チップがより小さいほど、より小さなパッケージに置くことが可能であり、それによって、チップ及びパッケージの全体コストが減少する。
【0015】
しかしながら、本明細書で説明されるような遮断構造の特定の配列を用いてマルチメサの欠陥を減少させることの有利な効果は、いくらかの追加されたチップ領域及びしたがってより高い製造コストがより高い製造歩留まりによって過度に補償され得るような方式で、生産歩留まりを増加させ得ることが分かった。さらに、冗長性を提供するための追加の疎なVCSELの数に応じて、個々のVCSELに不具合がある場合に減少されることがある。これは、必要なデバイス面積をさらに減少させ、電力消費を減少させることをさらに助け得る。
【0016】
VCSELアレイは、30μm以下の、特に20μm以下の、特に17.5μm以下の、特に15μm以下の、特に10μm以下のピッチを有するアレイ、特に高密度アレイであってもよい。本明細書で用いられる、ピッチという用語は、近隣VCSELの(最短)中心間距離を指してもよい。小さなピッチでは、メサを完全に分離すること及び別個の電気接続を提供することがもはやできないため、提案される解決策が特に有利である。さらに、マルチメサの欠陥リスクが、VCSEL密度の増加と共に増加する。
【0017】
第1の結晶軸に垂直な方向の遮断構造の幅(又は長さ)が、第1の結晶軸に垂直な方向の第1の活性領域及び/又は第2の活性領域の幅より広くてもよい。例えば、遮断構造が、第1の結晶軸に沿って近隣VCSEL間のトレンチとして提供される場合に、トレンチは、活性領域の寸法よりも広くてもよい。この向きから見て、第1の結晶軸に垂直な方向の遮断構造の幅は、トレンチの長さを指してもよい。本明細書で使用される、結晶軸に垂直とは、結晶軸に垂直であるが、半導体ダイの上面に平行であることを意味する。第1の活性領域よりも広い遮断構造が、第1の活性領域から生じ且つ第1の結晶軸に沿って伝搬する欠陥を、第2の活性領域に到達することから遮蔽するように、第1の活性領域、遮断構造、及び第2の活性領域は、第1の結晶軸に対して中心に置かれ得る。
【0018】
第1の結晶軸に平行な方向の遮断構造の幅(又は厚さ)は、VCSELピッチの30%未満、特にVCSELピッチの20%未満、特にVCSELピッチの10%未満、特にVCSELピッチの5%未満であってもよい。加えて、又は代替として、第1の結晶軸に平行な方向の遮断構造の幅は、10μm未満、特に5μm未満、特に3μm未満、特に2μm未満であってもよい。したがって、少々狭いトレンチ又は遮断構造でも、マルチメサの欠陥を効果的に減少させ得る。この向きから見て、第1の結晶軸に平行な方向の遮断構造の幅は、トレンチの幅を指してもよい。例えば、トレンチ又は他の遮断構造は、3μm幅且つ10μm長であってもよい。本明細書で用いられる、結晶軸に平行とは、結晶軸に平行であり、且つ半導体ダイの上面に平行であることを指す。
【0019】
上記で既に示されたように、遮断構造は、エッチング領域を含み得るか、又はエッチング領域によって形成され得る。特に、遮断構造は、酸化、特に第1のVCSEL及び/又は第2のVCSELのそれぞれの酸化アパーチャの酸化に使用されるトレンチを含み得るか、又はトレンチによって形成され得る。本実施形態の利点は、遮断構造の形成及び酸化アパーチャの形成が同時に起こり得るゆえのシナジー効果である。
【0020】
エッチング領域の深さは、第1のVCSEL及び/又は第2のVCSELの活性層の深さを超えてもよいことを、理解されたい。それによって、伝搬する欠陥を有するリスクは、大幅に減少され得る。
【0021】
エッチング領域は、第1のVCSEL及び/又は第2のVCSELの上部コンタクトから分離され得る。特に、遮断構造は、部分的にエッチングされた領域を含んでもよく、それは、第1のVCSELの活性領域の周囲の上部コンタクトから分離されてもよい。上部コンタクトは、pコンタクト又はnコンタクトであってもよい。
【0022】
第1のVCSEL及び第2のVCSELを接続するブリッジが、遮断構造の側部の周囲で有利に屈曲し得る。したがって、ブリッジは、好ましくは、第1の結晶軸又は任意選択的には任意の結晶軸と合致する、第1のVCSELと第2のVCSELとの間の経路を確立しない。さらなる改良点において、第1の側部とは異なる、遮断構造の第2の側部の周囲で屈曲する、第1のVCSEL及び第2のVCSELを接続する第2のブリッジが、提供されてもよい。本実施形態の利点は、除去される必要がある材料がより少ないこと、及び追加の構造的支持物が提供されることである。
【0023】
第1のVCSEL及び第2のVCSELを接続するブリッジは、任意選択で、第1のVCSEL、第2のVCSEL、及び第3の近隣VCSELを接続するブリッジであってもよい。さらなる改良点において、ブリッジは、また、第4の近隣VCSELを接続してもよい。本明細書で用いられる、VCSELを接続するということは、VCSELを直接接続すること、即ち、中間のさらなるVCSEL又はその一部を通らないことを指す。
【0024】
デバイスジオメトリを再度参照すると、第1のVCSELと第2のVCSELとの間の距離は、第1の活性領域及び/又は第2の活性領域の直径よりも短くてもよい。これは、高密度アレイが提供される態様をさらに強調し、アレイのVCSELは、互いに非常に接近している。近隣VCSEL間の距離は、第1のVCSELと第2のVCSELとの間に配列される遮断構造の幅を指してもよい。
【0025】
アレイの第1のVCSEL及び第2のVCSELは、共通の電気上部コンタクト及び/又は共通の電気底部コンタクトを有し得る。上部コンタクトは、pコンタクトであってもよい。底部コンタクトは、nコンタクトであってもよい。又はその反対であってもよい。任意選択で、第1のVCSELの活性領域を取り囲む第1の上部コンタクト部分及び第2のVCSELの活性領域を取り囲む第2の上部コンタクト部分が、提供され得る。第1の上部コンタクト部分及び第2の上部コンタクト部分が、遮断構造の第1の側部の周囲の第1のバイパスコンタクト及び遮断構造の第2の側部の周囲の第2のバイパスコンタクトを介して接続され得る。近隣VCSEL間の異なる電気経路が、このようにして提供され得る。このようなバイパスコンタクトは、両側の遮断構造に直接隣接し、且つ両側の遮断構造を回避する電気接続を指し得る。
【0026】
半導体デバイスのVCSELアレイは、当然ながら、2つより多くのVCSELを提供し得る。半導体デバイスは、第3の活性領域を有する第3のVCSELをさらに含み得る。第1のVCSELと第3のVCSELとを接続する第2のブリッジが、提供され得る。第1のVCSELの第1の活性領域及び第3のVCSELの第3の活性領域は、第2の結晶軸に沿って配列され得る。第2の遮断構造は、第1のVCSELと第3のVCSELとの間に配列され得る。遮断構造は、第2の結晶軸に沿って第1のVCSEL(の活性領域)と第3のVCSEL(の活性領域)との間の欠陥の伝搬を遮断するように適合され得る。これによって、マルチメサの欠陥がさらに減少する。第1の結晶軸は、45°~135°の間、特に60°~120°の間、特に75°~105°の間、特に85°~95°の間の角度で、第2の結晶軸と交差し得る。
【0027】
第1のVCSELは、長方形、特に二次活性領域を有してもよく、遮断構造は、活性領域の各側部に設けられる。例えば、4つの遮断構造が、活性領域の周囲の、各側部にそれぞれ1つ設けられてもよい。これによって、外側の欠陥からVCSELが効果的に遮蔽され、同時に近隣VCSELが保護される。
【0028】
半導体デバイスは、長方形グリッド上、特に二次グリッド上の行及び列に配列された複数のVCSELを含み得る。別個の遮断構造は、グリッド上の近隣VCSELの各対の間に設けられる。各遮断構造は、近隣VCSELの対応する対の間の欠陥の伝搬を遮断するように適合され得る。グリッドの行は、第1の結晶軸と整列され得る。行に沿った遮断構造は、それぞれの行に沿った近隣VCSEL間の欠陥の伝搬を遮断するように適合され得る。グリッドの列は、第1の結晶軸とは異なる、第2の結晶軸と整列され得る。列に沿った遮断構造は、それぞれの列に沿った近隣VCSEL間の欠陥の伝搬を遮断するように適合され得る。
【0029】
上述した特徴、及び以下のまだ説明されていない特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ指示される組み合わせにおいてだけでなく、他の組み合わせにおいても、又は別々に使用されてもよい。
【0030】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態を参照することから明らかになり且つ明確にされる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本開示の態様による、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイを含む半導体デバイスの実施形態の概略図を示す。
【
図2】本開示の態様による、例示的半導体デバイスの画像を示す。
【
図4】
図4A~
図4Dは、本開示の態様による、例示的半導体デバイスの測定結果を示す。
【
図6】本発明の態様による、方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイを含む半導体デバイスの実施形態の概略図を示す。システムは、その全体が
図1において参照番号1で示されている。半導体デバイスの第1の結晶軸は、参照番号2で示されている。任意選択の第2の結晶軸は、参照番号3で示されている。所与の実施例において、第1の結晶軸及び第2の結晶軸は、90°の角度で交差し得る。半導体デバイス1は、第1の活性領域20を有する第1のVCSEL10、及び第2の活性領域21を有する第2のVCSEL11を含む。第1のVCSEL10及び第2のVCSEL11を接続するブリッジ31、31’が、提供される。ブリッジは、半導体材料の非エッチング部分であってもよい。第1のVCSEL10の第1の活性領域20及び第2のVCSEL11の第2の活性領域21は、第1の結晶軸2に沿って互いの後ろに配列される。遮断構造41は、ここではトレンチの形態で、第1のVCSEL10と第2のVCSEL11との間、特に第1の活性領域20と第2の活性領域21との間に配列される。遮断構造は、第1の結晶軸2に沿った第1のVCSEL10と第2のVCSEL11との間の欠陥101の伝搬を遮断するように適合される。これは、矢印101によって
図1に例示的に示され、遮断構造41としてのトレンチによって遮断される。
【0033】
半導体デバイス1は、任意選択で、
図1に例示的に示されるようなさらなるVCSELを含み得る。上記と同様に、第3の活性領域22を有する第3のVCSEL12が提供され得る。第2のブリッジ32、32’は、第1のVCSEL10及び第3のVCSEL12を接続する。第1のVCSEL10の第1の活性領域20及び第3のVCSEL12の第3の活性領域22は、第2の結晶軸3に沿って配列される。第2の遮断構造42は、第1のVCSEL10と第3のVCSEL12との間に配列され、遮断構造は、第2の結晶軸3に沿って第1のVCSEL10と第3のVCSEL12との間の欠陥102の伝搬を遮断するように適合される。これは、矢印102によって
図1に例示的に示され、遮断構造42としてトレンチによって遮断される。第1のVCSEL10と、第1のVCSEL10に対して対角に配列される第4のVCSEL13との間に遮断構造が提供されないことに留意されたい。しかしながら、矢印103に沿った欠陥伝搬の確率は、この経路が高密度アレイについてさえ許容され得るように制限される。さらに、対角線の経路長はより長いため、第1のVCSEL10から生じる欠陥が第2のVCSEL20に到達できない確率は、より高い。
【0034】
言い換えると、1つのエミッタにおいて欠陥が存在し得る場合、この欠陥は、ほとんどの場合に結晶軸2、3のうちの1つに沿って伝搬する。この方向に配列される遮断構造は、ここではエッチング領域として提供され、欠陥の伝搬を止める。これによって、マルチメサの不具合のリスクを著しく減少させる。それに応じて、デバイス信頼性と、製造歩留まりもまた、さらに改善され得る。
【0035】
有利なこととして、半導体デバイス1は、所望のサイズ及び形状を有するVCSELアレイを提供するために柔軟に結合され得る、複数のユニットセル60を含み得る。VCSELの行及び/又は列の数は、必要に応じて柔軟に調整され得る。
【0036】
例示的なジオメトリ寸法に関して、VCSELアレイは、8~30μmの間、例えば、16μmのピッチを有する高密度アレイであってもよい。幅d
1を有する狭いトレンチは、遮断構造として提供され得る。第1の結晶軸2に平行な方向の遮断構造の幅d
1は、VCSELピッチpの30%未満、特にVCSELピッチの20%未満、特にVCSELピッチの10%未満、特にVCSELピッチの5%未満であってもよい。所与の実施例において、トレンチは、約3μmの狭さであってもよい。一方、第1の結晶軸2に垂直な方向の遮断構造31の幅w
2は、好ましくは、第1の結晶軸2に垂直な方向の第1の活性領域20及び/又は第2の活性領域21の幅w
1よりも広い。それによって、2つの活性領域のうちの1つから生じるいかなる欠陥も、それぞれのもう一方の活性領域に到達することから効果的に防止され得る。例えば、活性領域の幅w
1は、3μm~20μmの間であってもよい。遮断構造の幅w
2は、典型的には、少なくとも約10μmであってもよい。しかしながら、10μmを超える活性領域の幅について、遮断構造の幅は、それに応じて増加し得る。隣接VCSELの上部コンタクトの内側エッジ間の距離d
2は、その間に遮断構造を形成するのに十分な空間があるように、少なくとも5μm、特に少なくとも8μmであってもよい。しかしながら、上限として、距離d
2は、20μm未満、特に15μm未満であってもよい。これによって、コンパクトアレイを提供することが可能となる。
図1に示される実施例において、第1のVCSEL10と第2のVCSEL11との間の中心間距離は、約16μmであってもよい。この短い距離に沿った欠陥の伝搬は、遮断構造によって効果的に遮断される。実施形態において、遮断構造は、第1のVCSEL10の中心及び第2のVCSEL11の中心を接続する直線上の中心に配列され得る。
図1に示される実施例において、第1のVCSEL10と第4のVCSEL13との間の、即ち対角線103に沿った中心間距離は、約22.8μmであってもよい。
【0037】
図1に示されるように、第1のVCSEL10及び第2のVCSEL11を接続するブリッジ31は、遮断構造41の上側の周囲で屈曲し得る。したがって、共通電気接続は、結晶軸2に沿った直接経路を迂回しながら確立される。任意選択で、第1のVCSEL10及び第2のVCSEL11を接続する第2のブリッジ31’は、遮断構造41の下側の周囲で屈曲し得る。ブリッジは、複数の近隣VCSELによって共有され得る。
図1に示されるように、第1のVCSEL10及び第2のVCSEL11を接続するブリッジ31は、また、第3の近隣VCSEL12、及び好ましくはさらに第4の近隣VCSEL13に接続し得る。異なる参照番号31及び32が示されているが、これは、少なくとも3つの近隣VCSEL間で共有される共通ブリッジ構造として理解されるべきである。
【0038】
図2は、本開示の態様による、例示的半導体デバイス1の画像を示す。所与の実施例において、12個のVCSELが、4つのVCSELの2つの行において設けられ、その後に続いて2つのVCSELの2つの行が設けられている。第1のVCSEL10及び第2のVCSEL11は、第1の結晶軸に沿った第1のVCSEL10と第2のVCSEL11との間の欠陥の伝搬を遮断するように適合される遮断構造31によってここでも分離され、第1のVCSEL10及び第2のVCSEL11の活性領域のそれぞれの中心で整列されている。VCSELに第1の電気コンタクトを提供するための接着パッド201は、上面上に見られ得る。示されていない後方電極は、第2の電気コンタクトの役割をし得る。任意選択で、製造マーカ202が、表面上に示され得る。デバイスについての追加の詳細は、
図4を参照して以下でさらに説明される。
【0039】
図3A~Lは、製作プロセスの異なる加工ステップを示す。未完成の半導体デバイスが、参照番号1’で示されている。
図3Aに示されるように、VCSELの製作に適合される垂直層スタックを含む半導体ダイ300が、第1のステップにおいて提供される。半導体ダイは、製造中に半導体ダイの表面に平行且つ垂直層スタックに垂直な方向の結晶軸2のダイが、近隣VCSELの活性領域と整列されるように、配列される。
図3Bは、
図3B’に示されるようなマスク301’を用いたpコンタクトリソグラフィ301のステップを示す。
図3Cは、pコンタクト302の堆積のステップを示す。
図3Dは、SiNx堆積層303のステップを示す。
図3Eは、
図3E’に示されるようなマスク305を用いたメサエッチングのためのリソグラフィ304のステップを示す。
図3Fは、トレンチ306を形成するためのメサドライエッチングのステップを示し、トレンチ306は、一方で
図3Gに示されるような酸化アパーチャ306を提供するように酸化トレンチの役割をし得るが、結晶軸2の方向に沿った近隣VCSELの活性領域間の遮断構造の役割もする。
図3Hは、SiNx堆積層308のステップを示す。
図3Iは、ビアホールエッチングリソグラフィ及びシード層309の堆積の結果を示す。
図3Jは、金メッキのためのリソグラフィ310を示す。
図3Kは、金メッキ311のステップを示す。
図3Lは、最終的に、シード層除去、SiNxにおけるストリートエッチング、たわみ補正層除去及びウェハ薄化、裏側nコンタクト及びたわみ補正金属堆積及びアニーリングなどの追加ステップの後の結果を示す。裏側コンタクトは、参照番号322で示されている。
図3Lの第1のVCSEL11及び第2のVCSEL12は、ここで遮断構造41によって分離されている。このように、
図3L内の第1のVCSEL11の活性領域21における欠陥が第1の結晶軸2の方向に沿って近隣の第2のVCSELに伝搬することを、効果的に防止され得る。
【0040】
図2を再び参照し、
図4A~4Dを参照すると、例示的で、非限定的な実施形態について説明される。高光出力パワーのための12個のエミッタを有する940nm発光VCSELアレイが提示されている。出力特性は、スペクトルシングルモード動作及びガウシアン形状遠方場プロファイルを示すように適合され得る。高密度エミッタ設計は、mm2毎に最大3850個のエミッタを測定してもよく、高出力の適用に容易にスケーリング可能である。例示的な垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)の基本構造は、高光出力パワーのための高密度マルチエミッタアレイを可能にする。上記で示されるように、様々な駆動条件及び温度のために12個の出力ファセット及び安定したガウシアン遠方場ビームプロファイルを有する酸化型の940nmシングルモード発光VCSELアレイが提供され得る。短パルス条件において、最大300mW(エミッタにつき25mWより大きい)のピークシングルモード出力パワーが、実証され得る。有利なことに、優れたデバイス信頼性によって、広範な温度範囲において産業用飛行時間型(ToF)の適用が可能となる。
【0041】
実施形態において、スペクトルシングルモード動作を維持するために酸化狭窄を用いた、紫外線940nm出力特性のためのGaAsP活性ゾーンを含む、GaAsベースのエピタキシャル層構造が提供され得る。チップ設計が、
図2に示されており、そこで、12個の発光窓が、金メッキの電気上部コンタクトにおける開口部として明確に視認でき、187×187μmの例示的なダイシング後チップサイズにおいて図の左下に接着パッド201を含む。チップ裏面は、
図3Lの322を参照すると、ウェハ薄化され且つ金で覆われてもよく、電気底部コンタクトとしての役割をする。
【0042】
例示的VCSELアレイチップの光電流電圧(LIV)測定が、
図4Aに示されている。30mAより高い電流において、出力パワーが熱ロールオーバにまだ到達していないことが分かる。50℃におけるスロープ効率は、周囲温度に応じて3mA又は6mAの間の閾値電流で0.90W/Aである。エピタキシャル再成長を用いた類似の光学アパーチャを有するシングルモードVCSELと比較すると、酸化型の12エミッタVCSELアレイの光出力パワーは、さらに高くなり得る。マルチジャンクションVCSELとしての高出力コンセプトは、より多くの順方向電圧を必要とし、シングルモード発光を提供しない。
【0043】
図4Bに示されるように、nsレンジの短パルス条件を用いて、室温で0.75W/Aのスロープ効率を維持しつつ、ピーク出力が300mWより大きく(エミッタにつき25mWより大きく)増加し得る。出力は、理想的な面積毎のエミッタ密度を有する、より大きなチップにスケールアップすることによって、さらに一層増大し得る。0.97mm2のチップサイズ及び2352個のエミッタの場合、約1W/Aのスロープ効率は、200μsのパルス幅及び10%のデューティサイクルを有するパルス動作を用いることによって到達され得る。これは、5Aの電流において4Wの出力をもたらし得る。
【0044】
図4Cに示されるように、12エミッタVCSELアレイのスペクトル測定は、75℃の温度におけるシングルモード動作を、300GHzのFWHMの帯域幅及び約937nmのピーク波長で示し得る。改善されたスペクトル分解能では、各エミッタの狭帯域幅スペクトルが現れ得ることが予期される。
図4Dの右の図が示すように、全てのエミッタの干渉が、ガウシアン形状の遠方場特性をもたらし得る。所与の実施例において、50℃における発散角は約17°であり、25~105℃の範囲内において-0.015°/℃だけの小さな温度ドリフトを有する。nsレンジの短パルス動作モードにおいてですら、横断モード動作は常にガウシアン形状のままであり得るということに言及すべきである。
【0045】
提案された解決策を実施する例示的デバイスのセットの信頼性測定が、注目すべき結果を示している。CW動作において3300時間のテスト時間後、32.5mA未満の電流及び120℃の条件において、不具合は現れていない。40mA、120℃、及び25mA、150℃というより極端な条件下でテストする間、最初の不具合は、600時間後、それぞれ1200時間後に発生するだけである。25mA且つ105℃のストレスのある使用条件において1%の不具合までの時間についての計算は、16000時間より多くのデバイス寿命を供給し、高出力シングルモードデバイスについてのベンチマークを生成する。特に、マルチメサの欠陥は、徹底的に減少し得る。これは、単一VCSELの不具合が許容され得る適用シナリオにおいて、特に有利である。
【0046】
図2に示され、
図4A~4Dの実験結果を参照して説明される例示的デバイスは、したがって、熱ロールオーバのない、低い順方向電圧で30mAにおいて最大25mWの高シングルモード光出力パワーのための、12個の上部エミッタを有するシングルモードVCSELを提供する。出力は、エミッタ毎に最大25mWをデバイスに短パルス印加すること、又は高密度エミッタ領域をスケールアップすることによってさらに増大されてもよく、したがって、ワットレンジの電力値が達成可能である。12エミッタのデバイスは、短パルス条件でも、より高い横断モードなしの低発散角度で確信する。デバイスの優れた信頼性特性は、長寿命の産業用用途に適している。
【0047】
図5を参照すると、遮断構造の厚さは、任意選択で、欠陥が第1のVCSEL10から第2のVCSEL11の活性領域に伝搬する確率に基づいて変化し得る。いくつかの潜在的な伝搬経路が、矢印501及び502のセットによって示されている。第1のVCSEL10の上縁において生じる欠陥の場合、遮断構造41の上端の細い先端で十分であり得る。遮断構造のこの部分に当たる欠陥の可能性は限定されるからである。しかしながら、より幅広い遮断領域が、遮断構造41の中央部分に向かって実施されてもよく、それは、遮断構造のこの部分に欠陥が到達する確率がより高いからである。
【0048】
図6は、本発明の態様による、方法600のフローチャートを示す。第1のステップS601において、VCSELの製作に適合される垂直層スタックを含む半導体ダイが、提供される。第2のステップS602において、半導体ダイの表面に平行な、且つ垂直層スタックに垂直な方向の半導体ダイの結晶軸が判断される。第3のステップS603において、半導体ダイが、例えば
図3A~3Lを参照して説明されたように半導体デバイスに加工され、半導体デバイスは、第1の活性領域を有する第1のVCSELと、第2の活性領域を有する第2のVCSELであって、第1のVCSELの第1の活性領域及び第2のVCSELの第2の活性領域が、第1の結晶軸に沿って配列される、第2のVCSELと、第1のVCSELと第2のVCSELとの間に配列される遮断構造であって、遮断構造が、第1の結晶軸に沿って第1のVCSELと第2のVCSELとの間の欠陥の伝搬を遮断するように適合される、遮断構造と、を含む。
【0049】
本発明を図面及び上述の説明において詳細に図示及び説明してきたが、このような図示及び説明は、例証的又は例示的なものであり、限定的なものではないと見なされるべきものであり、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形形態は、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲を検討することにより、特許請求される本発明を実施する際に当業者によって理解され、実施され得る。
【0050】
特許請求の範囲において、「含む」という語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数のものを排除するものではない。単一の要素又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載されたいくつかの項目の機能を果たすことがある。ある手段が、相互に異なる従属請求項に記載されているという事実のみでは、これらの手段の組み合わせを有利に使用できないことを示すものではない。
【0051】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な非一時的媒体に格納/配布され得るが、インターネット又は他の有線若しくは無線の電気通信システムを介してなど、他の形態で配布され得る。
【0052】
特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0053】
1 半導体デバイス
2 第1の結晶軸
3 第2の結晶軸
10 第1のVCSEL
11 第2のVCSEL
12 第3のVCSEL
13 第4のVCSEL
20 第1の活性領域
21 第2の活性領域
22 第3の活性領域
31 ブリッジ
31’ ブリッジ
32 第2のブリッジ
32’ 第2のブリッジ
41 遮断構造
【手続補正書】
【提出日】2022-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)(10、11、12、13)アレイを備える半導体デバイス(1)であって、
- 第1の活性領域(20)を有する第1のVCSEL(10)と、
- 第2の活性領域(21)を有する第2のVCSEL(11)と、
- 前記第1のVCSELと前記第2のVCSELとを接続するブリッジ(31、31’)であって、
前記第1のVCSELの前記第1の活性領域及び前記第2のVCSELの前記第2の活性領域が、第1の結晶軸(2)に沿って配列される、前記ブリッジ(31、31’)と、
- 前記第1のVCSEL(10)と前記第2のVCSEL(11)との間に配列される遮断構造(41)であって、前記遮断構造が、前記第1の結晶軸(2)に沿って前記第1のVCSELと前記第2のVCSELとの間の欠陥の伝搬を遮断するように適合される、前記遮断構造(41)と、
を備える、半導体デバイス。
【請求項2】
前記VCSELアレイが、30μm以下の、特に20μm以下の、特に17.5μm以下の、特に15μm以下の、特に10μm以下のピッチ(p)を有する高密度アレイである、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記第1の結晶軸(2)に垂直な方向の前記遮断構造(41)の幅(w2)が、前記第1の結晶軸(2)に垂直な方向の第1の活性領域及び/又は第2の活性領域の幅(w1)より広い、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1の結晶軸に平行な方向の前記遮断構造(41)の幅(d1)が、前記VCSELピッチの30%未満、特に前記VCSELピッチ(p)の20%未満、特に前記VCSELピッチの10%未満、特に前記VCSELピッチの5%未満である、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記遮断構造(41)が、エッチング領域を含み、特に、前記遮断構造が、前記第1のVCSEL(10)及び/又は第2のVCSEL(11)の酸化に使用されるトレンチを含む、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記エッチング領域の深さが、前記第1のVCSEL(10)及び/又は第2のVCSEL(11)の活性層の深さを超える、請求項5に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記エッチング領域が、前記第1のVCSEL及び/又は第2のVCSELの上部コンタクト(71、72)から分離されている、請求項5に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記第1のVCSEL(10)と前記第2のVCSEL(11)とを接続する前記ブリッジ(31)が、前記遮断構造(41)の側部の周囲で屈曲する、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記第1のVCSEL(10)と前記第2のVCSEL(11)とを接続する第2のブリッジ(31’)が、第1の側部とは異なる、前記遮断構造(41)の第2の側部の周囲で屈曲する、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1のVCSEL(10)と前記第2のVCSEL(11)とを接続する前記ブリッジ(31)が、前記第1のVCSEL(10)、前記第2のVCSEL(11)、第3の近隣VCSEL(12)、及び好ましくはさらに第4の近隣VCSEL(13)を接続するブリッジである、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記アレイの前記第1のVCSEL(10)及び前記第2のVCSEL(11)が、共通上部コンタクト及び/又は共通底部コンタクトを有する、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
- 第3の活性領域(22)を有する第3のVCSEL(12)と、
- 前記第1のVCSELと前記第3のVCSELとを接続する第2のブリッジ(32、32’)であって、
前記第1のVCSELの前記第1の活性領域(20)及び前記第3のVCSELの前記第3の活性領域(22)が、第2の結晶軸(3)に沿って配列される、前記第2のブリッジ(32、32’)と、
- 前記第1のVCSEL(10)と前記第3のVCSEL(12)との間に配列される第2の遮断構造(42)であって、前記遮断構造が、前記第2の結晶軸(3)に沿って前記第1のVCSELと前記第3のVCSELとの間の欠陥の伝搬を遮断するように適合される、前記第2の遮断構造(42)と、
をさらに備える、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記第1のVCSEL(10)が、長方形、特に二次活性領域を有し、遮断構造が、前記活性領域の各側部に設けられる、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記半導体デバイス(1)が、長方形グリッド、特に二次グリッド上の行及び列に配列された複数のVCSEL(10、11、12、13)を含み、別個の遮断構造(41、42)が、前記グリッド上の近隣VCSELの各対の間に設けられる、請求項1又は2に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)(10、11、12、13)アレイを備える半導体デバイスを製作する方法(600)であって、
- VCSELの製作に適合される垂直層スタックを含む半導体ダイを提供するステップ(S601)と、
- 前記半導体ダイの表面に平行な、且つ前記垂直層スタックに垂直な方向の前記半導体ダイの結晶軸を判断するステップ(S602)と、
- 前記半導体ダイを半導体デバイスに加工するステップ(S603)であって、前記半導体デバイスが、
- 第1の活性領域を有する第1のVCSEL、
- 第2の活性領域を有する第2のVCSELであって、
前記第1のVCSELの前記第1の活性領域及び前記第2のVCSELの前記第2の活性領域が、第1の結晶軸に沿って配列される、前記第2のVCSEL、並びに
- 前記第1のVCSELと前記第2のVCSELとの間に配列される遮断構造であって、前記遮断構造が、前記第1の結晶軸に沿って前記第1のVCSELと前記第2のVCSELとの間の欠陥の伝搬を遮断するように適合される、前記遮断構造を含む、前記加工するステップ(S603)と、
を含む、方法。
【外国語明細書】