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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179454
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/18 20060101AFI20221125BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20221125BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20221125BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20221125BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20221125BHJP
   F28F 1/12 20060101ALI20221125BHJP
   F28F 13/18 20060101ALI20221125BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
C09K3/18 103
C09K3/18 104
C09D201/00
C09D7/63
B32B15/08 D
F28F21/08 A
F28F1/12 G
F28F13/18 A
F28F1/32 Y
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082841
(22)【出願日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2021085814
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】賀川 みちる
(72)【発明者】
【氏名】森田 正道
(72)【発明者】
【氏名】井上 僚
(72)【発明者】
【氏名】山口 央基
(72)【発明者】
【氏名】長野 友紘
(72)【発明者】
【氏名】能勢 雅聡
【テーマコード(参考)】
4F100
4H020
4J038
【Fターム(参考)】
4F100AB10A
4F100AK17B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100DD01A
4F100EJ15A
4F100EJ64A
4F100GB51
4F100JB06B
4H020AA06
4H020AB01
4H020BA22
4H020BA26
4H020BA36
4J038DL031
4J038DL032
4J038DL051
4J038DL052
4J038JA11
4J038JB39
4J038JC32
4J038NA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】紫外線暴露下でも撥水性の低下が抑制された熱交換器の提供。
【解決手段】アルミニウム基材と、該アルミニウム基材の表面に設けられた撥水性被膜とを有する熱交換器であって、前記アルミニウム基材は、表面に陽極酸化膜を有し、前記撥水性被膜は、フルオロポリエーテル基含有化合物から形成された膜である、熱交換器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム基材と、該アルミニウム基材の表面に設けられた撥水性被膜とを有する熱交換器であって、
前記アルミニウム基材は、表面に陽極酸化膜を有し、
前記撥水性被膜は、フルオロポリエーテル基含有化合物から形成された膜である、
熱交換器。
【請求項2】
前記フルオロポリエーテル基含有化合物は、下記式(1)または(2):
【化1】
[式中:
F1は、各出現においてそれぞれ独立して、Rf-R-O-であり;
F2は、-Rf -R-O-であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子または一価の有機基が結合したSi原子を含む一価の基であり;
少なくとも1つのRSiは、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子を含む一価の基であり;
SFは、各出現においてそれぞれ独立して、RSiまたはRf-R-O-であり;
少なくとも1つのRSFは、RSiであり;
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される化合物である、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記フルオロポリエーテル基含有化合物は、下記式(α1)又は式(α2):
【化2】


[式中:
は、Rf-R-O-を含む一価の有機基であり、
1’は、-Rf -R-O-を含む二価の有機基であり、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
は、それぞれ独立して、RSiを含む一価の基であり、
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子または一価の有機基が結合したSi原子を含む一価の基であり、
は、それぞれ独立して、一価の基を表す。]
で表される化合物である、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
は、各出現においてそれぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
[式中、RFaは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は1以上であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのRFaが水素原子または塩素原子である場合、a、b、c、eおよびfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項5】
は、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)または(f6):
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0または1である。]、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、cおよびdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
eおよびfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、eおよびfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R-R- (f3)
[式中、Rは、OCFまたはOCであり;
は、OC、OC、OC、OC10およびOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2または3つの基の組み合わせであり;
gは、2~100の整数である。]、
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f4)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(R-R-R-(R7’-R6’g’- (f6)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
6’は、OCF又はOCであり、
7’は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
は、
【化3】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。]
で表される基である、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項6】
Siは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、または(S4):
【化4】
[式中:
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または二価の有機基であり;
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数であり;
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または-X11-SiR11 n112 3-n1であり;
15は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり;
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または二価の有機基であり;
21は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
23は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
1’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または二価の有機基であり;
21’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
23’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
p1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または二価の有機基であり;
22”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
23”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
q1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または二価の有機基であり;
31は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または一価の有機基であり;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
2’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または二価の有機基であり;
32’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または一価の有機基であり;
q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または二価の有機基であり;
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
35は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
n2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または一価の有機基であり;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。]
で表される基である、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記陽極酸化膜は、リン酸、ピロリン酸、シュウ酸、マロン酸、及びエチドロン酸からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を含む陽極酸化液を用いて、前記アルミニウム基材の表面を陽極酸化することにより形成される、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記陽極酸化液の濃度は、0.01~1.0mol/Lである、請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記陽極酸化における印加電圧は、40~300Vである、請求項7に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記陽極酸化の処理時間は、10~120分である、請求項7に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記陽極酸化膜は、前記陽極酸化の後、エッチング処理されている、請求項7に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記エッチング処理は、リン酸、ピロリン酸、シュウ酸、マロン酸、及びエチドロン酸からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を含むエッチング液を用いて行われる、請求項11に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記エッチング液の濃度は、10~60質量%である、請求項11に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記エッチング液の温度は、20~60℃である、請求項11に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記エッチング処理の処理時間は、5~30分である、請求項11に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記陽極酸化膜を有するアルミニウム基材の表面は、複数の凸部を含む表面構造を有し、
L:前記複数の凸部の平均ピッチ、
D:前記複数の凸部の平均径、
H:前記複数の凸部の平均高さ、
θ:前記撥水性被膜の平滑平面上での水の接触角、
とした場合に、
D/L<0.36
D/L>0.4×(L/H)
H>700nm
0>1.28×D×10-2+2.77×(L-D)×10-3-1.1×D2×10-5-5.3×(L-D)2×10-7-9.8×D×(L-D)×10-6-2.0
90°<θ<120°
の全ての関係を満たす、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項17】
前記アルミニウム基材は、純度が99.99%以上のアルミニウム製である、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項18】
前記アルミニウム基材は、間隙を設けて並設された複数のフィンを構成する、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項19】
隣接するフィン間の距離は、0.5~3.0mmである、請求項18に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置、冷蔵機、冷凍機、電気自動車などには、熱交換器が用いられている。例えば、空気調和装置などの冷媒サイクル装置においては、熱交換器は、冷媒の蒸発器として用いられている。熱交換器を備える機器の運転中、特定の条件下では、熱交換器の表面に結露が生じ、結露により生じた水滴が凍結して霜が付着する。この霜が成長すると、熱交換器の機能が低下し得る。
【0003】
着霜の抑制方法として、熱交換器の表面に撥水性の層を形成し、結露により生じた水滴の除去を容易にする方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/147125号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の撥水性の層は、紫外線暴露環境下で用いた場合、撥水性が低下し、着霜の防止機能が低下する可能性がある。従って、紫外線暴露下でも撥水性の低下が抑制された熱交換器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の態様を提供する。
[1] アルミニウム基材と、該アルミニウム基材の表面に設けられた撥水性被膜とを有する熱交換器であって、
前記アルミニウム基材は、表面に陽極酸化膜を有し、
前記撥水性被膜は、フルオロポリエーテル基含有化合物から形成された膜である、
熱交換器。
[2] 前記フルオロポリエーテル基含有化合物は、下記式(1)または(2):
【化1】
[式中:
F1は、各出現においてそれぞれ独立して、Rf-R-O-であり;
F2は、-Rf -R-O-であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子または一価の有機基が結合したSi原子を含む一価の基であり;
少なくとも1つのRSiは、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子を含む一価の基であり;
SFは、各出現においてそれぞれ独立して、RSiまたはRf-R-O-であり;
少なくとも1つのRSFは、RSiであり;
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される化合物である、上記[1]に記載の熱交換器。
[3] 前記フルオロポリエーテル基含有化合物は、下記式(α1)又は式(α2):
【化2】


[式中:
は、Rf-R-O-を含む一価の有機基であり、
1’は、-Rf -R-O-を含む二価の有機基であり、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
は、それぞれ独立して、RSiを含む一価の基であり、
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子または一価の有機基が結合したSi原子を含む一価の基であり
は、それぞれ独立して、一価の基を表す。]
で表される化合物である、上記[1]又は[2]に記載の熱交換器。
[4] Rは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
[式中、RFaは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は1以上であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのRFaが水素原子または塩素原子である場合、a、b、c、eおよびfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、上記[2]又は[3]に記載の熱交換器。
[5] Rは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)または(f5):
-(OC- (f1)
[式中、dは1~200の整数である。]、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、cおよびdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
eおよびfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、eおよびfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R-R- (f3)
[式中、Rは、OCFまたはOCであり;
は、OC、OC、OC、OC10およびOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2または3つの基の組み合わせであり;
gは、2~100の整数である。]、
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f4)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、上記[2]~[4]のいずれか1項に記載の熱交換器。
[6] RSiは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、または(S4):
【化3】
[式中:
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または二価の有機基であり;
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数であり;
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または-X11-SiR11 n112 3-n1であり;
15は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり;
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または二価の有機基であり;
21は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
23は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
1’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または二価の有機基であり;
21’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
23’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
p1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または二価の有機基であり;
22”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
23”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
q1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または二価の有機基であり;
31は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または一価の有機基であり;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
2’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または二価の有機基であり;
32’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または一価の有機基であり;
q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または二価の有機基であり;
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
35は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
n2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または一価の有機基であり;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。]
で表される基である、上記[2]~[5]のいずれか1項に記載の熱交換器。
[7] 前記陽極酸化膜は、リン酸、ピロリン酸、シュウ酸、マロン酸、及びエチドロン酸からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を含む陽極酸化液を用いて、前記アルミニウム基材の表面を陽極酸化することにより形成される、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の熱交換器。
[8] 前記陽極酸化液の濃度は、0.01~1.0mol/Lである、上記[7]に記載の熱交換器。
[9] 前記陽極酸化における印加電圧は、40~300Vである、上記[7]又は[8]に記載の熱交換器。
[10] 前記陽極酸化の処理時間は、10~120分である、上記[7]~[9]のいずれか1項に記載の熱交換器。
[11] 前記陽極酸化膜は、前記陽極酸化の後、エッチング処理されている、上記[7]~[10]のいずれか1項に記載の熱交換器。
[12] 前記エッチング処理は、リン酸、ピロリン酸、シュウ酸、マロン酸、及びエチドロン酸からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を含むエッチング液を用いて行われる、上記[11]に記載の熱交換器。
[13] 前記エッチング液の濃度は、10~60質量%である、上記[11]又は[12]に記載の熱交換器。
[14] 前記エッチング液の温度は、20~60℃である、上記[11]~[13]のいずれか1項に記載の熱交換器。
[15] 前記エッチング処理の処理時間は、5~30分である、上記[11]~[14]のいずれか1項に記載の熱交換器。
[16] 前記陽極酸化膜を有するアルミニウム基材の表面は、複数の凸部を含む表面構造を有し、
L:前記複数の凸部の平均ピッチ、
D:前記複数の凸部の平均径、
H:前記複数の凸部の平均高さ、
θ:前記撥水性被膜の平滑平面上での水の接触角、
とした場合に、
D/L<0.36
D/L>0.4×(L/H)
H>700nm
0>1.28×D×10-2+2.77×(L-D)×10-3-1.1×D2×10-5-5.3×(L-D)2×10-7-9.8×D×(L-D)×10-6-2.0
90°<θ<120°
の全ての関係を満たす、上記[1]~[15]のいずれか1項に記載の熱交換器。
[17] 前記アルミニウム基材は、純度が99.99%以上のアルミニウム製である、上記[1]~[16]のいずれか1項に記載の熱交換器。
[18] 前記アルミニウム基材は、間隙を設けて並設された複数のフィンを構成する、上記[1]~[17]のいずれか1項に記載の熱交換器。
[19] 隣接するフィン間の距離は、0.5~3.0mmである、上記[18]に記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、紫外線暴露下においても撥水性が持続する熱交換器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、冷媒サイクル装置の冷媒回路を含む概略構成図である。
図2図2は、冷媒サイクル装置の概略ブロック構成図である。
図3図3は、室外ユニットの外観斜視図である。
図4図4は、室外ユニットの上面視配置構成図である。
図5図5は、室外熱交換器の正面概略図である。
図6図6は、フィンの主面の法線方向視の概略外観図である。
図7図7は、凸部が円錐台の形状である場合のフィンの表面近傍における概略断面図である。
図8図8は、フィンの板厚方向視における概略図である。
図9図9は、数1の関係を示したグラフである。
図10図10は、数2の関係を示したグラフである。
図11図11は、複数の凸部の平均ピッチLおよび平均径Dの測定方法を説明する図である。
図12図12は、複数の凸部の平均高さHの測定方法を説明する図である。
図13図13は、液滴がジャンプする現象のメカニズムを説明する図である。
図14図14は、フィンの製造例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の熱交換器は、アルミニウム基材と、該アルミニウム基材の表面に設けられた撥水性被膜とを有する熱交換器であって、上記アルミニウム基材は、表面に陽極酸化膜を有し、上記撥水性被膜は、フルオロポリエーテル基含有化合物から形成された膜である。
【0010】
以下、本開示の熱交換器の一の実施形態を詳細に説明する。但し、下記する実施形態における各部品およびその配置等は、下記する実施形態に限定されない。
【0011】
(1)冷媒サイクル装置100
図1は、一実施形態に係る冷媒サイクル装置100の概略構成図である。冷媒サイクル装置100は、蒸気圧縮式の冷媒サイクル(冷凍サイクル)を行うことで、対象空間の空気を調和させる装置である。
【0012】
冷媒サイクル装置100は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット50と、室外ユニット2と室内ユニット50を接続する液冷媒連絡管6およびガス冷媒連絡管7と、入力装置および出力装置としての複数のリモコン50aと、冷媒サイクル装置100の動作を制御するコントローラ70と、を有している。
【0013】
冷媒サイクル装置100では、冷媒回路10内に封入された冷媒が、圧縮され、冷却又は凝縮され、減圧され、加熱又は蒸発された後に、再び圧縮される、という冷媒サイクルが行われる。本実施形態では、冷媒回路10には、蒸気圧縮式の冷媒サイクルを行うための冷媒としてR32が充填されている。
【0014】
(1-1)室外ユニット2
室外ユニット2は、液冷媒連絡管6およびガス冷媒連絡管7を介して室内ユニット50と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。室外ユニット2は、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、室外ファン25と、液側閉鎖弁29と、ガス側閉鎖弁30と、室外ケーシング2aと、を有している。
【0015】
また、室外ユニット2は、冷媒回路10を構成する配管である吐出管31、吸入管34、室外ガス側配管33、室外液側配管32を有している。吐出管31は、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22の第1接続ポートとを接続している。吸入管34は、圧縮機21の吸入側と四路切換弁22の第2続ポートとを接続している。室外ガス側配管33は、四路切換弁22の第3ポートとガス側閉鎖弁30とを接続している。室外液側配管32は、四路切換弁22の第4ポートから室外熱交換器23および室外膨張弁24を介して液側閉鎖弁29まで伸びている。
【0016】
圧縮機21は、冷媒サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。ここでは、圧縮機21として、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示省略)が圧縮機モータM21によって回転駆動される密閉式構造の圧縮機が使用されている。圧縮機モータM21は、容量を変化させるためのものであり、インバータにより運転周波数の制御が可能である。
【0017】
四路切換弁22は、接続状態を切り換えることで、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23とを接続しつつ圧縮機21の吸入側とガス側閉鎖弁30とを接続する冷房運転接続状態(およびデフロスト運転状態)と、圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁30とを接続しつつ圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23とを接続する暖房運転接続状態と、を切り換えることができる。
【0018】
室外熱交換器23は、冷房運転時には冷媒サイクルにおける高圧の冷媒の放熱器として機能し、暖房運転時には冷媒サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。
【0019】
室外ファン25は、室外ユニット2内に室外の空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための空気流れを生じさせる送風ファンである。室外ファン25は、室外ファンモータM25によって回転駆動される。
【0020】
室外膨張弁24は、弁開度制御が可能な電動膨張弁であり、室外液側配管32の途中の室外熱交換器23と液側閉鎖弁29との間に設けられている。
【0021】
液側閉鎖弁29は、室外液側配管32と液冷媒連絡管6との接続部分に配置された手動弁である。
【0022】
ガス側閉鎖弁30は、室外ガス側配管33とガス冷媒連絡管7との接続部分に配置された手動弁である。
【0023】
室外ユニット2には、各種センサが配置されている。
【0024】
具体的には、室外ユニット2の圧縮機21周辺には、圧縮機21の吸入側における冷媒の温度である吸入温度を検出する吸入温度センサ35と、圧縮機21の吸入側における冷媒の圧力である吸入圧力を検出する吸入圧力センサ36と、圧縮機21の吐出側における冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧力センサ37と、が配置されている。
【0025】
また、室外熱交換器23には、室外熱交換器23を流れる冷媒の温度を検出する室外熱交温度センサ38が設けられている。
【0026】
さらに、室外熱交換器23又は室外ファン25の周辺には、室外ユニット2内に吸入される室外の空気の温度を検出する外気温度センサ39が配置されている。
【0027】
室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外ユニット制御部20を有している。室外ユニット制御部20は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。室外ユニット制御部20は、各室内ユニット50の室内ユニット制御部57と通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。また、室外ユニット制御部20は、吸入温度センサ35、吸入圧力センサ36、吐出圧力センサ37、室外熱交温度センサ38、外気温度センサ39とそれぞれ電気的に接続されており、各センサからの信号を受信する。
【0028】
なお、以上の室外ユニット2を構成する各要素は、図3に示す外観斜視図、図4に示す上面視配置構成図に示すように、室外ケーシング2a内に収容されている。室外ケーシング2aは、仕切板2cによって送風機室S1と機械室S2に区画されている。室外熱交換器23は、その主面が、送風機室S1において、室外ケーシング2aの背面および機械室S2とは反対側の側面において広がるようにして、鉛直方向に立設された姿勢で設けられている。室外ファン25は、回転軸方向を前後方向とするプロペラファンであり、送風機室S1のうち室外ケーシング2aの背面および機械室S2とは反対側の側面から内部に向けて略水平方向に空気を取りこみ、室外ケーシング2aの送風機室S1における正面に設けられたファングリル2bを介して正面に向けて略水平方向に吹き出す空気流れを形成する(図4の二点鎖線の矢印参照)。以上の構成により、室外ファン25によって形成される空気流れは、室外熱交換器23の主面に対して直交するように通過することになる。
【0029】
(1-2)室内ユニット50
室内ユニット50は、対象空間である室内の壁面や天井等に設置されている。室内ユニット50は、液冷媒連絡管6およびガス冷媒連絡管7を介して室外ユニット2と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0030】
室内ユニット50は、室内膨張弁51と、室内熱交換器52と、室内ファン53と、を有している。
【0031】
また、室内ユニット50は、室内熱交換器52の液側端と液冷媒連絡管6とを接続する室内液冷媒管58と、室内熱交換器52のガス側端とガス冷媒連絡管7とを接続する室内ガス冷媒管59と、を有している。
【0032】
室内膨張弁51は、弁開度制御が可能な電動膨張弁であり、室内液冷媒管58の途中に設けられている。
【0033】
室内熱交換器52は、冷房運転時には冷媒サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷媒サイクルにおける高圧の冷媒の放熱器として機能する熱交換器である。
【0034】
室内ファン53は、室内ユニット50内に室内の空気を吸入して、室内熱交換器52において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための空気流れを生じさせる。室内ファン53は、室内ファンモータM53によって回転駆動される。
【0035】
室内ユニット50には、各種センサが配置されている。
【0036】
具体的には、室内ユニット50の内部には、室内ユニット50が設置されている空間における空気温度を検出する室内空気温度センサ54と、室内熱交換器52を流れる冷媒の温度を検出する室内熱交温度センサ55と、が配置されている。
【0037】
また、室内ユニット50は、室内ユニット50を構成する各部の動作を制御する室内ユニット制御部57を有している。室内ユニット制御部57は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。室内ユニット制御部57は、室外ユニット制御部20と通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。
【0038】
室内ユニット制御部57は、室内空気温度センサ54、室内熱交温度センサ55がそれぞれ電気的に接続されており、各センサからの信号を受信する。
【0039】
(1-3)リモコン50a
リモコン50aは、室内ユニット50のユーザが冷媒サイクル装置100の運転状態を切り換えるための各種指示を入力するための入力装置である。また、リモコン50aは、冷媒サイクル装置100の運転状態や所定の報知を行うための出力装置としても機能する。リモコン50aは、室内ユニット制御部57と通信線を介して接続されており、相互に信号の送受信を行っている。
【0040】
(2)コントローラ70の詳細
冷媒サイクル装置100では、室外ユニット制御部20と室内ユニット制御部57が通信線を介して接続されることで、冷媒サイクル装置100の動作を制御するコントローラ70が構成されている。
【0041】
図2は、コントローラ70の概略構成と、コントローラ70に接続される各部と、を模式的に示したブロック図である。
【0042】
コントローラ70は、複数の制御モードを有し、制御モードに応じて冷媒サイクル装置100の運転を制御する。例えば、コントローラ70は、制御モードとして、冷房運転モードと、暖房運転モードと、デフロスト運転モードと、を有している。
【0043】
コントローラ70は、室外ユニット2に含まれる各アクチュエータ(具体的には、圧縮機21(圧縮機モータM21)、室外膨張弁24、および室外ファン25(室外ファンモータM25))と、各種センサ(吸入温度センサ35、吸入圧力センサ36、吐出圧力センサ37、室外熱交温度センサ38、および外気温度センサ39等)と、電気的に接続されている。また、コントローラ70は、室内ユニット50に含まれるアクチュエータ(具体的には、室内ファン53(室内ファンモータM53)、室内膨張弁51)と電気的に接続されている。また、コントローラ70は、室内空気温度センサ54、室内熱交温度センサ55と、リモコン50aと、電気的に接続されている。
【0044】
コントローラ70は、主として、記憶部71と、通信部72と、モード制御部73と、アクチュエータ制御部74と、出力制御部75と、を有している。なお、コントローラ70内におけるこれらの各部は、室外ユニット制御部20および/又は室内ユニット制御部57に含まれる各部が一体的に機能することによって実現されている。
【0045】
(2-1)記憶部71
記憶部71は、例えば、ROM、RAM、およびフラッシュメモリ等で構成されており、揮発性の記憶領域と不揮発性の記憶領域を含む。記憶部71には、コントローラ70の各部における処理を定義した制御プログラムが格納されている。また、記憶部71は、コントローラ70の各部によって、所定の情報(例えば、各センサの検出値、リモコン50aに入力されたコマンド等)が、所定の記憶領域に適宜格納される。
【0046】
(2-2)通信部72
通信部72は、コントローラ70に接続される各機器と、信号の送受信を行うための通信インターフェースとしての役割を果たす機能部である。通信部72は、アクチュエータ制御部74からの依頼を受けて、指定されたアクチュエータに所定の信号を送信する。また、通信部72は、各種センサ35~39、54、55、リモコン50aから出力された信号を受けて、記憶部71の所定の記憶領域に格納する。
【0047】
(2-3)モード制御部73
モード制御部73は、制御モードの切り換え等を行う機能部である。モード制御部73は、リモコン50aからの入力や運転状況に応じて、冷房運転モードと暖房運転モードとデフロスト運転モードとを切り換えて実行する。
【0048】
(2-4)アクチュエータ制御部74
アクチュエータ制御部74は、制御プログラムに沿って、状況に応じて、冷媒サイクル装置100に含まれる各アクチュエータ(例えば圧縮機21等)の動作を制御する。
【0049】
例えば、アクチュエータ制御部74は、設定温度、各種センサの検出値、制御モード等に応じて、圧縮機21の回転数、四路切換弁22の接続状態、室外ファン25、室内ファン53の回転数、室外膨張弁24の弁開度、室内膨張弁51の弁開度等をリアルタイムに制御する。
【0050】
(2-5)出力制御部75
出力制御部75は、表示装置としてのリモコン50aの動作を制御する機能部である。
【0051】
出力制御部75は、運転状態や状況に係る情報をユーザに対して表示すべく、リモコン50aに所定の情報を出力させる。
【0052】
(3)各種運転モード
以下では、冷房運転モード、暖房運転モード、デフロスト運転モード時の冷媒流れを説明する。
【0053】
(3-1)冷房運転モード
冷凍サイクル装置100では、モード制御部73が制御モードを冷房運転モードに切り換えることにより、アクチュエータ制御部74が四路切換弁22の接続状態を圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23とを接続しつつ圧縮機21の吸入側とガス側閉鎖弁30とを接続する冷房運転接続状態とする。これにより、冷媒回路10に充填されている冷媒は、主として、圧縮機21、室外熱交換器23、室外膨張弁24、室内膨張弁51、室内熱交換器52の順に循環する。
【0054】
より具体的には、冷房運転モードに切り換わると、冷媒回路10内において、冷媒が圧縮機21に吸入されて圧縮された後に吐出される。
【0055】
圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、吐出管31、四路切換弁22を経て、室外熱交換器23のガス側端に流入する。
【0056】
室外熱交換器23のガス側端に流入したガス冷媒は、室外熱交換器23において、室外ファン25によって供給される室外側空気と熱交換を行って放熱して凝縮し、液冷媒となって室外熱交換器23の液側端から流出する。
【0057】
室外熱交換器23の液側端から流出した液冷媒は、室外液側配管32、室外膨張弁24、液側閉鎖弁29、および液冷媒連絡管6を経て、室内ユニット50に流入する。なお、冷房運転モードでは、室外膨張弁24は全開状態となるように制御されている。
【0058】
室内ユニット50に流入した冷媒は、室内液冷媒管58の一部を経て、室内膨張弁51に流入する。室内膨張弁51に流入した冷媒は、室内膨張弁51によって冷媒サイクルにおける低圧になるまで減圧された後、室内熱交換器52の液側端に流入する。なお、室内膨張弁51の弁開度は、冷房運転モードでは、圧縮機21の吸入冷媒の過熱度が所定の過熱度となるように制御される。ここで、圧縮機21の吸入冷媒の過熱度は、吸入温度センサ35による検出温度と吸入圧力センサ36による検出圧力とを用いてコントローラ70により算出される。室内熱交換器52の液側端に流入した冷媒は、室内熱交換器52において、室内ファン53によって供給される室内空気と熱交換を行って蒸発し、ガス冷媒となって室内熱交換器52のガス側端から流出する。室内熱交換器52のガス側端から流出したガス冷媒は、室内ガス冷媒管59を介して、ガス冷媒連絡管7に流れていく。
【0059】
このようにして、ガス冷媒連絡管7を流れる冷媒は、ガス側閉鎖弁30、室外ガス側配管33、四路切換弁22、および吸入管34を経て、再び、圧縮機21に吸入される。
【0060】
(3-2)暖房運転モード
冷凍サイクル装置100では、モード制御部73が制御モードを暖房運転モードに切り換えることにより、アクチュエータ制御部74が四路切換弁22の接続状態を圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁30とを接続しつつ圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23とを接続する暖房運転接続状態とする。これにより、冷媒回路10に充填されている冷媒は、主として、圧縮機21、室内熱交換器52、室内膨張弁51、室外膨張弁24、室外熱交換器23の順に循環する。
【0061】
より具体的には、暖房運転モードに切り換わると、冷媒回路10内において、冷媒が圧縮機21に吸入されて圧縮された後に吐出される。
【0062】
圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、吐出管31、四路切換弁22、室外ガス側配管33、ガス冷媒連絡管7を流れた後、室内ガス冷媒管59を介して室内ユニット50に流入する。
【0063】
室内ユニット50に流入した冷媒は、室内ガス冷媒管59を経て、室内熱交換器52のガス側端に流入する。室内熱交換器52のガス側端に流入した冷媒は、室内熱交換器52において、室内ファン53によって供給される室内空気と熱交換を行って放熱して凝縮し、液冷媒となって室内熱交換器52の液側端から流出する。室内熱交換器52の液側端から流出した冷媒は、室内液冷媒管58、室内膨張弁51を介して、液冷媒連絡管6に流れていく。なお、室内膨張弁51の弁開度は、暖房運転モードでは全開状態となるように制御される。
【0064】
このようにして、液冷媒連絡管6を流れる冷媒は、液側閉鎖弁29、室外液側配管32を介して、室外膨張弁24に流入する。
【0065】
室外膨張弁24に流入した冷媒は、冷媒サイクルにおける低圧になるまで減圧された後、室外熱交換器23の液側端に流入する。なお、室外膨張弁24の弁開度は、暖房運転モードでは、圧縮機21の吸入冷媒の過熱度が所定の過熱度となるように制御される。
【0066】
室外熱交換器23の液側端から流入した冷媒は、室外熱交換器23において、室外ファン25によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発し、ガス冷媒となって室外熱交換器23のガス側端から流出する。
【0067】
室外熱交換器23のガス側端から流出した冷媒は、四路切換弁22、および吸入管34を経て、再び、圧縮機21に吸入される。
【0068】
(3-3)デフロスト運転モード
以上のように暖房運転モードが実行されている場合において、所定の着霜条件を満たした場合には、モード制御部73が暖房運転モードを一時的に中断し、制御モードを室外熱交換器23に付着した霜を融解させるためのデフロスト運転モードに切り換える。
【0069】
なお、所定の着霜条件としては、特に限定されないが、例えば、外気温度センサ39の検出温度と室外熱交温度センサの検出温度とが所定の温度条件を満たしている状態が所定時間以上継続して続いていること、とすることができる。
【0070】
デフロスト運転モードでは、アクチュエータ制御部74が四路切換弁22の接続状態を冷房運転時の接続状態と同様とし、室内ファン53の駆動を停止させた状態で、圧縮機21を駆動させる。デフロスト運転モードを開始した後、所定のデフロスト終了条件を満たした場合(例えば、デフロスト運転モードを開始してから所定時間が経過した場合等)には、アクチュエータ制御部74が四路切換弁22の接続状態を再び暖房運転時の接続状態に戻して、暖房運転モードを再開させる。
【0071】
(4)室外熱交換器23の構造
室外熱交換器23は、図5の室外熱交換器23の正面概略図に示すように、水平方向に伸びる複数の伝熱管41と、伝熱管41の端部同士を接続する複数のU字管42と、上下および空気流れ方向に広がった複数のフィン43(伝熱フィン)と、を有している。
【0072】
伝熱管41は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等により構成されており、図6のフィン43の主面の法線方向視の概略外観図に示すように、フィン43に設けられている挿入口43aに貫通するようにして、フィン43に対して固定されて用いられる。なお、伝熱管41の端部には、内部を流れる冷媒を折り返して流すために、U字管42が接続されている。
【0073】
(5)フィン43の構造
フィン43は、基板62と、該基板62の表面に形成された撥水性被膜とを有している。図7の凸部61が円錐台の形状である場合のフィン43の表面近傍における概略断面図、図8のフィン43の板厚方向視における概略図に示すように、基板62は、その表面に設けられた複数の凸部61を有している。なお、該凸部61は、必須の構成ではない。
【0074】
上記フィン43は、所定の間隔で各フィンの主表面が対向するように並設される。上記対向するフィンの主表面間の間隙の距離は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上である。かかる距離をより大きくすることにより、フィン間が閉塞することをより抑制することができる。上記対向するフィンの主表面間の距離は、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.0mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下である。かかる距離をより小さくすることにより、熱交換器をより小型化することができ、また、フィンの枚数を増やすことが容易になり、熱交換機能が向上する。
【0075】
(5-1)基板62
基板62は、凸部61を有する板状部材であり、70μm以上200μm以下(凸部61を除く)であり、90μm以上110μm以下であることが好ましい。また、基板62は、アルミニウム基材である。アルミニウム基材とは、少なくとも表面部分がアルミニウム層で構成された部材を意味する。該アルミニウム基材は、表面に陽極酸化膜を有している。
【0076】
上記アルミニウム基材は、好ましくは純度が99.99%以上、より好ましくは99.999%以上のアルミニウム製である。
【0077】
(5-2)凸部61
凸部61は、基板62の両表面に形成されている。凸部61は、撥水性被膜によって覆われている。
【0078】
複数の凸部61は、Lを複数の凸部61の平均ピッチ、Dを複数の凸部61の平均径、Hを複数の凸部61の平均高さ、θを撥水性被膜の平滑平面上での水の接触角とした場合に、数1の関係を満たすように形成されている。図9は縦軸に凸部61の平均径D、横軸に凸部61間の隙間(L-D)をとり、数1の関係を満たす領域をハッチングで示したグラフである。
(数1)
D/L<0.36 ・・・(1-1)
D/L>0.4×(L/H) ・・・(1-2)
H>700nm ・・・(1-3)
0>1.28×D×10-2+2.77×(L-D)×10-3-1.1×D×10-5-5.3×(L-D)×10-7-9.8×D×(L-D)×10-6-2.0 ・・・(1-4)
90°<θ<120° ・・・(1-5)
【0079】
複数の凸部61は、さらに、以下の数2の関係を満たすように形成されていることが好ましい。図10は縦軸に凸部61の平均径D、横軸に凸部61巻の隙間(L-D)をとり、数2の関係を満たす領域をハッチングで示したグラフである。
(数2)
0>1.28×D×10-2+2.77×(L-D)×10-3-1.1×D×10-5-5.3×(L-D)×10-7-9.8×D×(L-D)×10-6-1.9 ・・・(2-1)
【0080】
複数の凸部61は、さらに、以下の数3の関係を満たすように形成されていることが好ましい。
(数3)
H>2700nm ・・・(3-1)
【0081】
凸部61の形状は、特に限定されず、例えば、図7に示すような円錐台(円錐を底面に平行な平面で切断して小さい円錐の部分を除いた形状)、角錐台等の錐台(Frustum)、円錐、角錐、四角錐等の錐体(conic solid)、円柱、角柱、四角柱等の柱体(合同な二つの平面を底面および天面として持つ筒状体)、くびれ形状(例えば、円柱の側面の一部が取り除かれた形状、角柱の側面の一部が取り除かれた形状、円錐台の側面の一部が取り除かれた形状等のように、凸部61の突出方向に対して垂直な面での切断面の面積が突出方向において極小値を持つ形状)、が挙げられる。
【0082】
複数の凸部61の平均ピッチLおよび複数の凸部61の平均径Dは、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下、SEMと略する。)を用いた次の方法により測定することができる。本開示では、株式会社日立ハイテク製のS-4800形FE-SEM(TypeII)が測定に用いられた。図11は複数の凸部61の平均ピッチLおよび複数の凸部61の平均径Dの測定方法を説明する図である。
【0083】
初めに、SEMにより、複数の凸部61を有するフィン43の表面を基板62に対して直交する方向から観察したグレースケール画像が得られる。観察条件は、加速電圧が5.0kV、エミッション電流が10μA、ワーキングディスタンス(対物レンズ下面からフォーカス面までの距離)が8.0nm、ステージの傾き角が0°とし、二次電子検出器はUpper検出器とした。
【0084】
観察されたSEM画像に、明るい箇所の階調が失われて白くなった白飛びや、暗い箇所の階調が失われて黒くなった黒つぶれが生じた場合は、適宜、輝度およびコントラストが調整されてもよい。撮影画像の解像度は、特に限定されないが350×500ピクセル以上が好ましい。図11の(a)は観察されたSEM画像の例である。
【0085】
次に、得られたSEM画像に二値化処理を行うことで白黒二値化画像が得られる。二値化処理は、SEM画像を構成する画素のRGB値の上限から30%を閾値として、閾値より明るい画素を白、それ以外の画素を黒として白黒二値化画像を生成する。図11の(b)は図11の(a)のSEM画像から得られた白黒二値化画像である。
【0086】
SEM画像を二値化処理することにより、対物レンズに近いためSEM画像上で明るく表示される凸部61の頂部周辺が白で表され、対物レンズから離れた凸部61の頂部以外が黒色で表されるため、凸部61の頂部とそれ以外の領域との境界が明確になる。
【0087】
なお、上述の閾値は一例であり、閾値は複数の凸部61の形状などに応じて適宜設定できる。
【0088】
次に、得られた白黒二値化画像のラインプロファイルを読み取ることにより、複数の凸部61の平均ピッチL、複数の凸部61の平均径Dが測定される。具体的には、得られた白黒二値化画像に同一方向に伸びる複数のラインプロファイルLP1、LP2、LP3・・・LPnを等間隔に描いて、各ラインプロファイルLPから凸部61のピッチL1、L2、L3・・・Lnおよび径D1、D2、D3・・・Dnを求め、これに基づいて複数の凸部61の平均ピッチL、複数の凸部61の平均径Dが算出される。ラインプロファイルLPの数は特に限定されないが、上述の解像度の画像の場合、350本以上であることが好ましい。図11の(c)は図11の(b)の白黒二値化画像を用いて複数の凸部61の平均ピッチL、複数の凸部61の平均径Dを測定する様子を示す概略図である。
【0089】
二値化処理により白黒二値化画像における凸部61の頂部とそれ以外の領域との境界が明確になっているため、凸部61のピッチL1、L2、L3・・・Lnおよび径D1、D2、D3・・・Dnのラインプロファイルを用いた読み取りは、SEM画像から読み取る場合と比べて容易である。
【0090】
複数の凸部61の平均高さHはSEMによりフィン43の断面を観察した画像を用いて測定される。図12は、フィン43の断面を観察した画像を用いて凸部61の平均高さHの測定方法を説明する図である。
【0091】
複数の凸部61の平均高さHは、図12に示されるように、フィン43の断面を観察した画像から読み取ることができる、凸部61の頂部と凸部61の底部との間の凸部61の延伸方向に沿った距離H1、H2、H3・・・Hnに基づいて算出される。
【0092】
なお、複数の凸部61の平均高さHも、複数の凸部61の平均ピッチLおよび複数の凸部61の平均径Dと同じ条件で観察できる。
【0093】
(5-3)凸部61の製造方法
凸部61の製造方法は、特に限定されないが、例えば、図14に示す方法を例に挙げることができる。
【0094】
まず(1)において示すように、表面が平滑な板状の部材である基板62を用意する。当該基板62は、アルミニウム合金等の金属やシリコーンで構成される。
【0095】
次に(2)において示すように、基板62の表面に特定の膜厚の層を形成させる。当該層は、アルミニウムで構成される。
【0096】
そして、(3)において示すように、(2)で形成した層に対して特定間隔でマスキングを行い、プラズマを照射する。マスキングの間隔により平均ピッチL、マスキングの形状により凸部61の平均径dをはじめとする凸部形状をそれぞれ制御する。なかでも、凸部61の形状を、凸部61の突出方向に垂直な面での切断面の面積が突出方向において少なくともひとつの極小値を含む形状とする場合には、プラズマの照射量と照射時間をそれぞれ調整することにより、凸部61を形成する柱の形状をそれぞれ制御することになる。
【0097】
次に、(4)において示すように、エッチングを行い、特定形状であって特定のパターンの突出形状を形成させる。ここで、エッチング時間により凸部高さを制御する。
【0098】
なお、凹凸形状の形成においては、プラズマエッチング処理に限られず、例えば、陽極酸化処理、ベーマイト処理、アルマイト処理等の公知の方法を用いることができる。
【0099】
最後に、(5)において示すように、凸部61および凸部61の形成されていない基板62表面に対して、撥水性被膜を形成する。なお、撥水性被膜を形成するためのフルオロポリエーテル基含有化合物は、凸部61および基板62とフルオロポリエーテル基含有化合物の分子との結合力が、フルオロポリエーテル基含有化合物の分子間の結合力よりも大きいものを選定し、フルオロポリエーテル基含有化合物を塗布した後に表層以外の余分な塗料を洗い流すことで塗布前の凹凸形状を実質的に維持することができる。
【0100】
(5-4)陽極酸化膜
陽極酸化膜は、基板62の表面に形成されている。
【0101】
上記陽極酸化膜は、特に限定されないが、リン酸、ピロリン酸、シュウ酸、マロン酸、及びエチドロン酸からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を含む陽極酸化液を用いて、アルミニウム基材の表面を陽極酸化することにより形成することができる。
【0102】
上記陽極酸化液の濃度は、好ましくは0.01~1.0mol/L、より好ましくは0.05~0.5mol/Lである。
【0103】
上記陽極酸化液の温度は、好ましくは室温、例えば15~30℃、より好ましくは20~30℃である。
【0104】
上記陽極酸化における印加電圧は、好ましくは40~300V、より好ましくは150~300Vである。
【0105】
上記陽極酸化の処理時間は、好ましくは10~120分、より好ましくは10~60分である。
【0106】
(5-5)エッチング処理
上記陽極酸化膜の形成後、エッチング処理を行い凸部を形成する。
【0107】
上記エッチング処理は、特に限定されないが、リン酸、ピロリン酸、シュウ酸、マロン酸、及びエチドロン酸からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を含むエッチング液を用いて行われる。
【0108】
上記エッチング液の濃度は、好ましくは10~60質量%、より好ましくは30~55質量%である。
【0109】
上記エッチング液の温度は、好ましくは20~60℃、より好ましくは40~55℃である。
【0110】
上記エッチング処理の処理時間は、好ましくは5~30分、より好ましくは10~25分である。
【0111】
(5-6)撥水性被膜
撥水性被膜は、基板62の表面に形成されており、非常に膜厚が薄いため、凸部61によるフィン43の表面構造に影響を与えない。
【0112】
上記撥水性被膜は、フルオロポリエーテル基含有化合物から形成された層である。即ち、撥水性被膜を構成する材料は、フルオロポリエーテル基を有する。本開示はいかなる理論によっても拘束されないが、アルミニウム基材の表面がフルオロポリエーテル基を有する撥水性被膜を有することにより、撥水効果により水滴が付着しにくくなり、また、水滴が付着した場合であっても、より低温まで過冷却状態を保持できるようになり、これにより霜の成長が抑制されると考えられる。
【0113】
具体的には、凸部61および基板62の表層を構成する撥水性被膜の膜厚は、例えば、0.3nm以上20nm以下であり、1nm以上17nm以下であることが好ましい。
【0114】
図7に示されるように、撥水性被膜の平滑平面上での水Wの接触角θは、90°<θ<120°である。これにより、液滴(水滴)とフィン43との接触面積を小さく抑えることが可能になる。なお、液滴とフィン43との接触面積を十分に小さく抑える観点からは、114°<θw<120°であることがより好ましい。
【0115】
撥水性被膜の形成方法としては、例えば、アルミニウム基材を、フルオロポリエーテル基含有化合物を含む表面処理剤で処理する方法が挙げられる。
【0116】
(5-7)フルオロポリエーテル基含有化合物
上記フルオロポリエーテル基含有化合物は、アルミニウム基材表面においてフルオロポリエーテル基含有化合物の層を形成し得るものであれば特に限定されない。
【0117】
好ましい態様において、フルオロポリエーテル基含有化合物は、下記式(1)または(2):
【化4】
[式中:
F1は、各出現においてそれぞれ独立して、Rf-R-O-であり;
F2は、-Rf -R-O-であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子または一価の有機基が結合したSi原子を含む一価の基であり;
少なくとも1つのRSiは、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子を含む一価の基であり;
SFは、各出現においてそれぞれ独立して、RSiまたはRf-R-O-であり;
少なくとも1つのRSFは、RSiであり;
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される化合物である。
【0118】
本明細書において用いられる場合、「一価の有機基」とは、炭素を含有する一価の基を意味する。一価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基又はその誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。尚、単に「有機基」と示す場合、一価の有機基を意味する。また、「2~10価の有機基」とは、炭素を含有する2~10価の基を意味する。かかる2~10価の有機基としては、特に限定されないが、有機基からさらに1~9個の水素原子を脱離させた2~10価の基が挙げられる。例えば、二価の有機基としては、特に限定されるものではないが、有機基からさらに1個の水素原子を脱離させた二価の基が挙げられる。
【0119】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素及び水素を含む基であって、炭化水素から1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい、C1-20炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つ又はそれ以上の環構造を含んでいてもよい。
【0120】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、5~10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基及び5~10員のヘテロアリール基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
【0121】
本明細書において用いられる場合、「加水分解性基」とは、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)などが挙げられる。
【0122】
上記式(1)において、RF1は、各出現においてそれぞれ独立して、Rf-R-O-である。
【0123】
上記式(2)において、RF2は、-Rf -R-O-である。
【0124】
上記式において、Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基である。
【0125】
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基である。
【0126】
上記Rfは、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキル基であり、より好ましくはCFH-C1-15パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-16パーフルオロアルキル基である。
【0127】
上記C1-16パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF、-CFCF、又は-CFCFCFである。
【0128】
上記式において、Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基である。
【0129】
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基における「C1-6アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3アルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキレン基である。
【0130】
上記Rfは、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-6アルキレン基であり、より好ましくはC1-6パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-3パーフルオロアルキレン基である。
【0131】
上記C1-6パーフルオロアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF-、-CFCF-、又は-CFCFCF-である。
【0132】
上記式において、pは、0又は1である。一の態様において、pは0である。別の態様においてpは1である。
【0133】
上記式において、qは、各出現においてそれぞれ独立して、0又は1である。一の態様において、qは0である。別の態様においてqは1である。
【0134】
上記式(1)及び(2)において、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基である。
【0135】
は、好ましくは、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
[式中:
Faは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上である。a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である。
【0136】
Faは、好ましくは、水素原子又はフッ素原子であり、より好ましくは、フッ素原子である。ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。
【0137】
a、b、c、d、e及びfは、好ましくは、それぞれ独立して、0~100の整数であってもよい。
【0138】
a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下であり、例えば50以下又は30以下であってもよい。
【0139】
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、環構造を含んでいてもよい。例えば、-(OC12)-は、-(OCFCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCFCF(CF))-等であってもよい。-(OC10)-は、-(OCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCF(CF))-等であってもよい。-(OC)-は、-(OCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-及び-(OCFCF(C))-のいずれであってもよい。-(OC)-(即ち、上記式中、RFaはフッ素原子である)は、-(OCFCFCF)-、-(OCF(CF)CF)-及び-(OCFCF(CF))-のいずれであってもよい。-(OC)-は、-(OCFCF)-及び-(OCF(CF))-のいずれであってもよい。
【0140】
上記環構造は、下記三員環、四員環、五員環、又は六員環であり得る。
【化5】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0141】
上記環構造は、好ましくは四員環、五員環、又は六員環、より好ましくは四員環、又は六員環であり得る。
【0142】
環構造を有する繰り返し単位は、好ましくは、下記の単位であり得る。
【化6】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0143】
一の態様において、上記繰り返し単位は直鎖状である。上記繰り返し単位を直鎖状とすることにより、撥水性被膜の耐久性等を向上させることができる。
【0144】
一の態様において、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)~(f6)のいずれかで表される基である。
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは0又は1である。];
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、
c、d、e及びfの和は2以上であり、
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。];
-(R-R- (f3)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。];
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f4)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(R-R-R-(R7’-R6’g’- (f6)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
6’は、OCF又はOCであり、
7’は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
は、
【化7】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。]
【0145】
上記式(f1)において、dは、好ましくは5~200、より好ましくは10~100、さらに好ましくは15~50、例えば25~35の整数である。一の態様において、eは、1である。別の態様において、eは0である。上記式(f1)において-(OC-は、好ましくは、-(OCFCFCF-又は-(OCF(CF)CF-で表される基であり、より好ましくは、-(OCFCFCF-で表される基である。上記式(f1)において(OC)は、好ましくは、(OCFCF)、又は(OCF(CF))で表される基であり、より好ましくは、(OCFCF)で表される基である。
【0146】
上記式(f2)において、e及びfは、それぞれ独立して、好ましくは5~200、より好ましくは10~200の整数である。また、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。一の態様において、上記式(f2)は、好ましくは、-(OCFCFCFCF-(OCFCFCF-(OCFCF-(OCF-で表される基である。別の態様において、式(f2)は、-(OC-(OCF-で表される基であってもよい。
【0147】
上記式(f3)において、Rは、好ましくは、OCである。上記(f3)において、Rは、好ましくは、OC、OC及びOCから選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OC及びOCから選択される基である。OC、OC及びOCから独立して選択される2又は3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、及び-OCOCOC-等が挙げられる。上記式(f3)において、gは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の整数である。上記gは、好ましくは50以下の整数である。上記式(f3)において、OC、OC、OC、OC10及びOC12は、直鎖又は分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、上記式(f3)は、好ましくは、-(OC-OC-又は-(OC-OC-である。
【0148】
上記式(f4)において、eは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0149】
上記式(f5)において、fは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0150】
上記式(f6)において、R、R及びgは、上記式(f3)の記載と同意義であり、同様の態様を有する。R6’、R7’及びg’は、それぞれ、上記式(f3)に記載のR、R及びgと同意義であり、同様の態様を有する。Rは、好ましくは、
【化8】
[式中、*は、結合位置を示す。]
であり、より好ましくは
【化9】
[式中、*は、結合位置を示す。]
である。
【0151】
一の態様において、上記Rは、上記式(f1)で表される基である。
【0152】
一の態様において、上記Rは、上記式(f2)で表される基である。
【0153】
一の態様において、上記Rは、上記式(f3)で表される基である。
【0154】
一の態様において、上記Rは、上記式(f4)で表される基である。
【0155】
一の態様において、上記Rは、上記式(f5)で表される基である。
【0156】
一の態様において、上記Rは、上記式(f6)で表される基である。
【0157】
上記Rにおいて、fに対するeの比(以下、「e/f比」という)は、0.1~10であり、好ましくは0.2~5であり、より好ましくは0.2~2であり、さらに好ましくは0.2~1.5であり、さらにより好ましくは0.2~0.85である。e/f比を10以下にすることにより、この化合物から得られる撥水性被膜の耐ケミカル性がより向上し得る。e/f比がより小さいほど、撥水性被膜の耐久性はより向上する。一方、e/f比を0.1以上にすることにより、化合物の安定性をより高めることができる。e/f比がより大きいほど、化合物の安定性はより向上する。
【0158】
上記フルオロポリエーテル基含有化合物において、RF1及びRF2部分の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば500~30,000、好ましくは1,500~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。本明細書において、RF1及びRF2の数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0159】
上記式(1)及び(2)において、RSiは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子又は一価の有機基が結合したSi原子を含む一価の基であり、少なくとも1つのRSiは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む一価の基である。
【0160】
好ましい態様において、RSiは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む一価の基である。
【0161】
好ましい態様において、RSiは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、又は(S4):
【化10】
で表される基である。
【0162】
上記式中、R11は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0163】
11は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解性基である。
【0164】
11は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又はハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
【0165】
上記式中、R12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は一価の有機基である。かかる一価の有機基は、上記加水分解性基を除く一価の有機基である。
【0166】
12において、一価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0167】
上記式中、n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、RSiが式(S1)又は(S2)で表される基である場合、式(1)及び式(2)の末端のRSi部分(以下、単に式(1)及び式(2)の「末端部分」ともいう)において、n1が1~3である(SiR11 n112 3-n1)単位が少なくとも1つ存在する。即ち、かかる末端部分において、すべてのn1が同時に0になることはない。換言すれば、式(1)及び式(2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。
【0168】
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0169】
上記式中、X11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は二価の有機基である。かかる二価の有機基は、好ましくは-R28-O-R29-(式中、R28及びR29は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC1-20アルキレン基であり、xは0又は1である。)である。かかるC1-20アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。かかるC1-20アルキレン基は、好ましくはC1-10アルキレン基、より好ましくはC1-6アルキレン基、さらに好ましくはC1-3アルキレン基である。
【0170】
一の態様において、X11は、各出現においてそれぞれ独立して、-C1-6アルキレン-O-C1-6アルキレン-又は-O-C1-6アルキレン-である。
【0171】
好ましい態様において、X11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は直鎖のC1-6アルキレン基であり、好ましくは単結合又は直鎖のC1-3アルキレン基、より好ましくは単結合又は直鎖のC1-2アルキレン基であり、さらに好ましくは直鎖のC1-2アルキレン基である。
【0172】
上記式中、R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は一価の有機基である。かかる一価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基である。かかるC1-20アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0173】
好ましい態様において、R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は直鎖のC1-6アルキル基であり、好ましくは水素原子又は直鎖のC1-3アルキル基、好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0174】
上記式中、tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数である。
【0175】
好ましい態様において、tは、各出現においてそれぞれ独立して、2~10の整数、好ましくは2~6の整数である。
【0176】
上記式中、R14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X11-SiR11 n112 3-n1である。かかるハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。好ましい態様において、R14は、水素原子である。
【0177】
上記式中、R15は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のアルキレンオキシ基である。
【0178】
一の態様において、R15は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のアルキレンオキシ基である。
【0179】
好ましい態様において、R15は、単結合である。
【0180】
一の態様において、式(S1)は、下記式(S1-a)である。
【化11】
[式中、
11、R12、R13、X11、及びn1は、上記式(S1)の記載と同意義であり;
t1及びt2は、各出現においてそれぞれ独立して、1以上の整数、好ましくは1~10の整数、より好ましくは2~10の整数、例えば1~5の整数又は2~5の整数であり;
t1及びt2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
【0181】
好ましい態様において、式(S1)は、下記式(S1-b)である。
【化12】
[式中、R11、R12、R13、X11、n1及びtは、上記式(S1)の記載と同意義である]
【0182】
上記式中、Ra1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1である。
【0183】
上記Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR21 p122 q123 r1)に結合する。
【0184】
好ましい態様において、Zは、二価の有機基である。
【0185】
好ましい態様において、Zは、Zが結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0186】
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1-O-(CHz2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz3-フェニレン-(CHz4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0187】
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz3-フェニレン-(CHz4-、好ましくは-フェニレン-(CHz4-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0188】
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
【0189】
上記R21は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’である。
【0190】
上記Z1’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Z1’として記載する構造は、右側が(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)に結合する。
【0191】
好ましい態様において、Z1’は、二価の有機基である。
【0192】
好ましい態様において、Z1’は、Z1’が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z1’-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0193】
上記Z1’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1’-O-(CHz2’-(式中、z1’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz3’-フェニレン-(CHz4’-(式中、z3’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0194】
好ましい態様において、Z1’は、C1-6アルキレン基又は-(CHz3’-フェニレン-(CHz4’-、好ましくは-フェニレン-(CHz4’-である。Z1’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0195】
別の好ましい態様において、上記Z1’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1’は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z1’は、-CHCH-であり得る。
【0196】
上記R21’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”である。
【0197】
上記Z1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Z1”として記載する構造は、右側が(SiR22” q1”23” r1”)に結合する。
【0198】
好ましい態様において、Z1”は、二価の有機基である。
【0199】
好ましい態様において、Z1”は、Z1”が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z1”-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0200】
上記Z1”は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1”-O-(CHz2”-(式中、z1”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz3”-フェニレン-(CHz4”-(式中、z3”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0201】
好ましい態様において、Z1”は、C1-6アルキレン基又は-(CHz3”-フェニレン-(CHz4”-、好ましくは-フェニレン-(CHz4”-である。Z1”がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0202】
別の好ましい態様において、上記Z1”は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1”は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z1”は、-CHCH-であり得る。
【0203】
上記R22”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0204】
上記R22”は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解性基である。
【0205】
上記R22”は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又はハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
【0206】
上記R23”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は一価の有機基である。かかる一価の有機基は、上記加水分解性基を除く一価の有機基である。
【0207】
上記R23”において、一価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0208】
上記q1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q1”とr1”の合計は、(SiR22” q1”23” r1”)単位において、3である。
【0209】
上記q1”は、(SiR22” q1”23” r1”)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0210】
上記R22’は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0211】
22’は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解性基である。
【0212】
22’は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又はハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
【0213】
上記R23’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は一価の有機基である。かかる一価の有機基は、上記加水分解性基を除く一価の有機基である。
【0214】
23’において、一価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0215】
上記p1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p’、q1’とr1’の合計は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位において、3である。
【0216】
一の態様において、p1’は、0である。
【0217】
一の態様において、p1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1’は、3である。
【0218】
一の態様において、q1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0219】
一の態様において、p1’は0であり、q1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0220】
上記R22は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0221】
22は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解性基である。
【0222】
22は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又はハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
【0223】
上記R23は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は一価の有機基である。かかる一価の有機基は、上記加水分解性基を除く一価の有機基である。
【0224】
23において、一価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0225】
上記p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p1、q1とr1の合計は、(SiR21 p122 q123 r1)単位において、3である。
【0226】
一の態様において、p1は、0である。
【0227】
一の態様において、p1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1は、3である。
【0228】
一の態様において、q1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0229】
一の態様において、p1は0であり、q1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0230】
上記式中、Rb1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0231】
上記Rb1は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解性基である。
【0232】
上記Rb1は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又はハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
【0233】
上記式中、Rc1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は一価の有機基である。かかる一価の有機基は、上記加水分解性基を除く一価の有機基である。
【0234】
上記Rc1において、一価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0235】
上記k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k1、l1とm1の合計は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位において、3である。
【0236】
一の態様において、k1は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。好ましい態様において、k1は、3である。
【0237】
上記式(1)及び(2)において、RSiが式(S3)で表される基である場合、好ましくは、式(1)及び式(2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0238】
好ましい態様において、式(S3)で表される基は、-Z-SiR22 q123 r1(式中、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1は、0~2の整数である。)、-Z1’-SiR22’ q1’23’ r1’(式中、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1’は、0~2の整数である。)、又は-Z1”-SiR22” q1”23” r1”(式中、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1”は、0~2の整数である。)のいずれか1つを有する。Z、Z1’、Z1”、R22、R23、R22’、R23’、R22”、及びR23”は、上記と同意義である。
【0239】
好ましい態様において、式(S3)において、R21’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21’において、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0240】
好ましい態様において、式(S3)において、R21が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21において、p1’は、0であり、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0241】
好ましい態様において、式(S3)において、Ra1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、p1は、0であり、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0242】
好ましい態様において、式(S3)において、k1は2又は3、好ましくは3であり、p1は0であり、q1は2又は3、好ましくは3である。
【0243】
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2である。
【0244】
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(CR31 p232 q233 r2)に結合する。
【0245】
好ましい態様において、Zは、二価の有機基である。
【0246】
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5-O-(CHz6-(式中、z5は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7-フェニレン-(CHz8-(式中、z7は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0247】
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz7-フェニレン-(CHz8-、好ましくは-フェニレン-(CHz8-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0248】
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
【0249】
31は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’である。
【0250】
2’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Z2’として記載する構造は、右側が(CR32’ q2’33’ r2’)に結合する。
【0251】
上記Z2’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5’-O-(CHz6’-(式中、z5’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7’-フェニレン-(CHz8’-(式中、z7’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0252】
好ましい態様において、Z2’は、C1-6アルキレン基又は-(CHz7’-フェニレン-(CHz8’-、好ましくは-フェニレン-(CHz8’-である。Z2’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0253】
別の好ましい態様において、上記Z2’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2’は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z2’は、-CHCH-であり得る。
【0254】
上記R32’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。
【0255】
上記Zは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR34 n235 3-n2)に結合する。
【0256】
一の態様において、Zは酸素原子である。
【0257】
一の態様において、Zは二価の有機基である。
【0258】
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0259】
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-、好ましくは-フェニレン-(CHz8”-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0260】
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
【0261】
上記R34は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0262】
34は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解性基である。
【0263】
34は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又はハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
【0264】
上記R35は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は一価の有機基である。かかる一価の有機基は、上記加水分解性基を除く一価の有機基である。
【0265】
上記R35において、一価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0266】
上記式中、n2は、(SiR34 n235 3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、RSiが式(S4)で表される基である場合、式(1)及び式(2)の末端部分において、n2が1~3である(SiR34 n235 3-n2)単位が少なくとも1つ存在する。即ち、かかる末端部分において、すべてのn2が同時に0になることはない。換言すれば、式(1)及び式(2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。
【0267】
n2は、(SiR34 n235 3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0268】
上記R33’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は一価の有機基である。かかる一価の有機基は、上記加水分解性基を除く一価の有機基である。
【0269】
上記R33’において、一価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(C2st1-(O-C2st2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0270】
一の態様において、R33’は、水酸基である。
【0271】
別の態様において、R33’は、一価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0272】
上記q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q2’とr2’の合計は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位において、3である。
【0273】
q2’は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0274】
32は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。かかる-Z-SiR34 n235 3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
【0275】
上記R33は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は一価の有機基である。かかる一価の有機基は、上記加水分解性基を除く一価の有機基である。
【0276】
上記R33において、一価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(C2st1-(O-C2st2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0277】
一の態様において、R33は、水酸基である。
【0278】
別の態様において、R33は、一価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0279】
上記p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p2、q2及びr2の合計は、(CR31 p232 q233 r2)単位において、3である。
【0280】
一の態様において、p2は、0である。
【0281】
一の態様において、p2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p2は、3である。
【0282】
一の態様において、q2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0283】
一の態様において、p2は0であり、q2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0284】
上記Re1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。かかる-Z-SiR34 n235 3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
【0285】
上記Rf1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は一価の有機基である。かかる一価の有機基は、上記加水分解性基を除く一価の有機基である。
【0286】
上記Rf1において、一価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(C2st1-(O-C2st2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0287】
一の態様において、Rf1は、水酸基である。
【0288】
別の態様において、Rf1は、一価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0289】
上記k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k2、l2及びm2の合計は、(CRd1 k2e1 l2f1 m2)単位において、3である。
【0290】
上記式(1)及び(2)において、RSiが式(S4)で表される基である場合、好ましくは、式(1)及び式(2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0291】
一の態様において、RSiが式(S4)で表される基である場合、n2が1~3、好ましくは2又は3、より好ましくは3である(SiR34 n235 3-n2)単位は、式(1)及び式(2)の各末端部分において、2個以上、例えば2~27個、好ましくは2~9個、より好ましくは2~6個、さらに好ましくは2~3個、特に好ましくは3個存在する。
【0292】
好ましい態様において、式(S4)において、R32’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32’において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0293】
好ましい態様において、式(S4)において、R32が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0294】
好ましい態様において、式(S4)において、Re1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0295】
好ましい態様において、式(S4)において、k2は0であり、l2は2又は3、好ましくは3であり、n2は、2又は3、好ましくは3である。
【0296】
上記Rg1及びRh1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2である。ここに、R11、R12、Ra1、Rb2、Rc1、Rd1、Re1、Rf1、n1、k1、l1、m1、k2、l2、及びm2は、上記と同意義である。
【0297】
好ましい態様において、Rg1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1である。
【0298】
上記Zは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR11 n112 3-n1)に結合する。
【0299】
一の態様において、Zは酸素原子である。
【0300】
一の態様において、Zは二価の有機基である。
【0301】
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0302】
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-、好ましくは-フェニレン-(CHz8”-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0303】
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
【0304】
一の態様において、RSiは、式(S2)、(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。これらの化合物は、高い表面滑り性を有する撥水性被膜を形成することができる。
【0305】
一の態様において、RSiは、式(S1)、(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。これらの化合物は、一の末端に複数の加水分解性基を有することから、基材に強く密着し、高い耐久性を有する撥水性被膜を形成することができる。
【0306】
一の態様において、RSiは、式(S1)、(S3)又は(S4)で表される基である。これらの化合物は、一の末端に複数の加水分解性基を有することから、基材に強く密着し、高い耐久性を有する撥水性被膜を形成することができる。
【0307】
一の態様において、RSiは、式(S3)又は(S4)で表される基である。これらの化合物は、一の末端に、一のSi原子又はC原子から分岐した複数の加水分解性基を有し得ることから、さらに高い耐久性を有する撥水性被膜を形成することができる。
【0308】
一の態様において、RSiは、式(S1)で表される基である。
【0309】
一の態様において、RSiは、式(S2)で表される基である。
【0310】
一の態様において、RSiは、式(S3)で表される基である。
【0311】
一の態様において、RSiは、式(S4)で表される基である。
【0312】
一の態様において、RSiは、式(S5)で表される基である。
【0313】
上記式(2)において、RSFは、各出現においてそれぞれ独立して、RSiまたはRf-R-O-である。ただし、少なくとも1つのRSFは、RSiであり、好ましくは式(2)の両末端のそれぞれにおいて、少なくとも1つのRSFは、RSiである。
【0314】
好ましい態様において、RSFは、各出現においてそれぞれ独立して、RSiである。
【0315】
上記式(1)及び(2)において、Xは、主に撥水性を提供するフルオロポリエーテル部(RF1及びRF2)と基材との結合能を提供する部(RSi)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(1)及び(2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの基であってもよい。
【0316】
上記式(1)において、αは1~9の整数であり、βは1~9の整数である。これらα及びβは、Xの価数に応じて変化し得る。α及びβの和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、α及びβの和は10であり、例えばαが9かつβが1、αが5かつβが5、又はαが1かつβが9となり得る。また、Xが二価の有機基である場合、α及びβは1である。
【0317】
上記式(2)において、γは1~9の整数である。γは、Xの価数に応じて変化し得る。即ち、γは、Xの価数から1を引いた値である。
【0318】
は、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり;
【0319】
上記Xにおける2~10価の有機基は、好ましくは2~8価の有機基である。一の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは2~4価の有機基であり、より好ましくは二価の有機基である。別の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは3~8価の有機基、より好ましくは3~6価の有機基である。
【0320】
一の態様において、Xは、単結合又は二価の有機基であり、αは1であり、βは1である。
【0321】
一の態様において、Xは、単結合又は二価の有機基であり、γは1である。
【0322】
一の態様において、Xは3~6価の有機基であり、αは1であり、βは2~5である。
【0323】
一の態様において、Xは3~6価の有機基であり、γは2~5である。
【0324】
一の態様において、Xは、3価の有機基であり、αは1であり、βは2である。
【0325】
一の態様において、Xは、3価の有機基であり、γは2である。
【0326】
が、単結合又は二価の有機基である場合、式(1)及び(2)は、下記式(1’)及び(2’)で表される。
【化13】
【0327】
一の態様において、Xは単結合である。
【0328】
別の態様において、Xは二価の有機基である。
【0329】
一の態様において、Xとしては、例えば、単結合又は下記式:
-(R51p5-(X51q5
[式中:
51は、単結合、-(CHs5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CHs5-であり、
s5は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1又は2であり、
51は、-(X52l5-を表し、
52は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-Si(R53-、-(Si(R53O)m5-Si(R53-、-CONR54-、-O-CONR54-、-NR54-及び-(CHn5-からなる群から選択される基を表し、
53は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基を表し、好ましくはフェニル基又はC1-6アルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、
54は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
m5は、各出現において、それぞれ独立して、1~100の整数、好ましくは1~20の整数であり、
n5は、各出現において、それぞれ独立して、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
l5は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である]
で表される二価の有機基が挙げられる。ここに、X(典型的にはXの水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、Xは、これらの基により置換されていない。
【0330】
好ましい態様において、上記Xは、それぞれ独立して、-(R51p5-(X51q5-R52-である。R52は、単結合、-(CHt5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CHt5-である。t5は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。ここに、R52(典型的にはR52の水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、R56は、これらの基により置換されていない。
【0331】
好ましくは、上記Xは、それぞれ独立して、
単結合、
1-20アルキレン基、
-R51-X53-R52-、又は
-X54-R
[式中、R51及びR52は、上記と同意義であり、
53は、
-O-、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR54-、
-O-CONR54-、
-Si(R53-、
-(Si(R53O)m5-Si(R53-、
-O-(CHu5-(Si(R53O)m5-Si(R53-、
-O-(CHu5-Si(R53-O-Si(R53-CHCH-Si(R53-O-Si(R53-、
-O-(CHu5-Si(OCHOSi(OCH-、
-CONR54-(CHu5-(Si(R53O)m5-Si(R53-、
-CONR54-(CHu5-N(R54)-、又は
-CONR54-(o-、m-又はp-フェニレン)-Si(R53
(式中、R53、R54及びm5は、上記と同意義であり、
u5は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。)を表し、
54は、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR54-、
-O-CONR54-、
-CONR54-(CHu5-(Si(R54O)m5-Si(R54-、
-CONR54-(CHu5-N(R54)-、又は
-CONR54-(o-、m-又はp-フェニレン)-Si(R54
(式中、各記号は、上記と同意義である。)
を表す。]
であり得る。
【0332】
より好ましくは、上記Xは、それぞれ独立して、
単結合、
1-20アルキレン基、
-(CHs5-X53-、
-(CHs5-X53-(CHt5
-X54-、又は
-X54-(CHt5
[式中、X53、X54、s5及びt5は、上記と同意義である。]
である。
【0333】
より好ましくは、上記Xは、それぞれ独立して、
単結合、
1-20アルキレン基、
-(CHs5-X53-(CHt5-、又は
-X54-(CHt5
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0334】
好ましい態様において、上記Xは、それぞれ独立して、
単結合
1-20アルキレン基、
-(CHs5-X53-、又は
-(CHs5-X53-(CHt5
[式中、
53は、-O-、-CONR54-、又は-O-CONR54-であり、
54は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基を表し、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数である。]
であり得る。
【0335】
好ましい態様において、上記Xは、それぞれ独立して、
-(CHs5-O-(CHt5
-CONR54-(CHt5
[式中、
54は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基を表し、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数である。]
であり得る。
【0336】
一の態様において、上記Xは、それぞれ独立して、
単結合、
1-20アルキレン基、
-(CHs5-O-(CHt5-、
-(CHs5-(Si(R53O)m5-Si(R53-(CHt5-、
-(CHs5-O-(CHu5-(Si(R53O)m5-Si(R53-(CHt5-、又は
-(CHs5-O-(CHt5-Si(R53-(CHu5-Si(R53-(Cv2v)-
[式中、R53、m5、s5、t5及びu5は、上記と同意義であり、v5は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。]
である。
【0337】
上記式中、-(Cv2v)-は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、例えば、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)-、-CH(CH)CH-であり得る。
【0338】
上記Xは、それぞれ独立して、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。一の態様において、Xは、非置換である。
【0339】
尚、上記Xは、各式の左側がRF1又はRF2に結合し、右側がRSiに結合する。
【0340】
一の態様において、Xは、それぞれ独立して、-O-C1-6アルキレン基以外であり得る。
【0341】
別の態様において、Xとしては、例えば下記の基が挙げられる:
【化14】
【化15】
[式中、R41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、又はC1-6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
Dは、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH4-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、及び
【化16】
(式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1-6のアルキル基又はC1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基又はメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。)
から選択される基であり、
Eは、-(CH-(nは2~6の整数)であり、
Dは、分子主鎖のRF1又はRF2に結合し、Eは、RSiに結合する。]
【0342】
上記Xの具体的な例としては、例えば:
単結合、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CO-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-S-(CH-、
-(CHS(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
【化17】

などが挙げられる。
【0343】
さらに別の態様において、Xは、それぞれ独立して、式:-(R16x1-(CFR17y1-(CHz1-で表される基である。式中、x1、y1及びz1は、それぞれ独立して、0~10の整数であり、x1、y1及びz1の和は1以上であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0344】
上記式中、R16は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、-NR18-(式中、R18は、水素原子又は有機基を表す)又は二価の有機基である。好ましくは、R18は、酸素原子又は二価の極性基である。
【0345】
上記「二価の極性基」としては、特に限定されないが、-C(O)-、-C(=NR19)-、及び-C(O)NR19-(これらの式中、R19は、水素原子又は低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素数1~6のアルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピルであり、これらは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
【0346】
上記式中、R17は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は低級フルオロアルキル基であり、好ましくはフッ素原子である。当該「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1~3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0347】
さらに別の態様において、Xの例として、下記の基が挙げられる:
【化18】
[式中、
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、又はC1-6アルコキシ基好ましくはメチル基であり;
各X基において、Tのうち任意のいくつかは、分子主鎖のRF1又はRF2に結合する以下の基:
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH4-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、又は
【化19】
[式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1-6のアルキル基又はC1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基又はメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。]
であり、別のTのいくつかは、分子主鎖のRSiに結合し、存在する場合、残りのTは、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基、C1-6アルコキシ基又はラジカル捕捉基又は紫外線吸収基である。
【0348】
ラジカル捕捉基は、光照射で生じるラジカルを捕捉できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、又はトリアジン類の残基が挙げられる。
【0349】
紫外線吸収基は、紫外線を吸収できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、置換及び未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル類、アクリレート又はアルコキシシンナメート類、オキサミド類、オキサニリド類、ベンゾキサジノン類、ベンゾキサゾール類の残基が挙げられる。
【0350】
好ましい態様において、好ましいラジカル捕捉基又は紫外線吸収基としては、
【化20】
が挙げられる。
【0351】
この態様において、Xは、それぞれ独立して、3~10価の有機基であり得る。
【0352】
さらに別の態様において、Xの例として、下記の基が挙げられる:
【化21】
[式中、R25、R26及びR27は、それぞれ独立して2~6価の有機基であり、
25は、少なくとも1つのRF1に結合し、R26及びR27は、それぞれ、少なくとも1つのRSiに結合する。]
【0353】
一の態様において、上記R25は、単結合、C1-20アルキレン基、C3-20シクロアルキレン基、C5-20アリーレン基、-R57-X58-R59-、-X58-R59-、又は-R57-X58-である。上記、R57及びR59は、それぞれ独立して、単結合、C1-20アルキレン基、C3-20シクロアルキレン基、又はC5-20アリーレン基である。上記X58は、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-又は-COO-である。
【0354】
一の態様において、上記R26及びR27は、それぞれ独立して、炭化水素、又は炭化水素の端又は主鎖中にN、O及びSから選択される少なくとも1つの原子を有する基であり、好ましくは、C1-6アルキル基、-R36-R37-R36-、-R36-CHR38 -などが挙げられる。ここに、R36は、それぞれ独立して、単結合又は炭素数1~6のアルキル基、好ましくは炭素数1~6のアルキル基である。R37は、N、O又はSであり、好ましくはN又はOである。R38は、-R45-R46-R45-、-R46-R45-又は-R45-R46-である。ここに、R45は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基である。R46は、N、O又はSであり、好ましくはOである。
【0355】
この態様において、Xは、それぞれ独立して、3~10価の有機基であり得る。
【0356】
さらに別の態様において、Xの例として、イソシアヌル環を有する基が挙げられる。
【0357】
この態様において、Xは、それぞれ独立して、2または3価の有機基であり得る。
【0358】
この態様において、フルオロポリエーテル基含有化合物は、下記式(α1)又は式(α2):
【化22】


[式中:
は、Rf-R-O-を含む一価の有機基であり、
1’は、-Rf -R-O-を含む二価の有機基であり、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
は、それぞれ独立して、RSiを含む一価の基であり、
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子または一価の有機基が結合したSi原子を含む一価の基であり
は、それぞれ独立して、一価の基を表す。]
で表される化合物である。
【0359】
上記式中、Rf、Rf、R、p、q、及びRSiは、上記式(1)及び(2)における記載と同意義であり、同様の態様を含む。
【0360】
としては、式:
Rf-R-O-L-
[式中:
Rf、R、及びqは、上記式(1)及び(2)における記載と同意義であり、
Lは単結合又は二価の連結基である。]
で表される一価の有機基であることが好ましい。
【0361】
1’としては、式:
-L’-Rf -R-O-L-
[式中:
Rf、R、p及びqは、上記式(1)及び(2)における記載と同意義であり、
Lは、単結合又は二価の連結基であり、
L’は、単結合又は二価の連結基であり、
Lが式(α2)の右側のイソシアヌル環に結合し、L’が左側のイソシアヌル環に結合する。]
で表される二価の有機基であることが好ましい。
【0362】
Lとしては、
式:-(CX121122-(L-(CX123124
(式中、X121~X124は、独立に、H、F、OH、又は、-OSi(OR125であり(ここに、3つのR125は独立に炭素数1~4のアルキル基である。)、
は、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-O-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、又は、-NHC(=O)NH-(各結合の左側がCX121122に結合)、
oは0~10の整数、
pは0又は1、
qは1~10の整数)
で表される基が更に好ましい。
【0363】
L’としては、
-(CX126127-(CX121122-(L-(CX123124
(式中、X121~X124、L、o、p及びqは、上記Lにおける規定と同意義であり、
126及びX127は、独立に、H、F又はClであり、好ましくはFであり、
rは1~6の整数であり、
-(CX126127-が(ORに結合し、(CX123124がイソシアヌル環に結合する。)
で表される基が更に好ましい。
【0364】
としては、-O-又は-C(=O)O-が好ましい。
【0365】
Lとしては、
式:-(CFm11-(CHm12-O-(CHm13
(式中、m11は1~3の整数、m12は1~3の整数、m13は1~3の整数)
で表される基、
式:-(CFm14-(CHm15-O-CHCH(OH)-(CHm16
(式中、m14は1~3の整数、m15は1~3の整数、m16は1~3の整数)
で表される基、
式:-(CFm17-(CHm18
(式中、m17は1~3の整数、m18は1~3の整数)
で表される基、又は、
式:-(CFm19-(CHm20-O-CHCH(OSi(OCH)-(CHm21
(式中、m19は1~3の整数、m20は1~3の整数、m21は1~3の整数)
で表される基が特に好ましい。
【0366】
Lとして、特に限定されないが、具体的には、-C-、-C-、-C-O-CH-、-CO-O-CH-CH(OH)-CH-、-(CF-(nは0~4の整数)、-CH-、-C-、-(CF-(CH-(n、mは独立していずれも0~4の整数)、-CFCFCHOCHCH(OH)CH-、-CFCFCHOCHCH(OSi(OCH)CH-等が挙げられる。
【0367】
は、それぞれ独立して、RSiを含む一価の基である。
【0368】
好ましい態様において、Xは、式:
-L-RSi
[式中、
は、単結合又は二価の連結基であり、
Siは、上記式(1)及び(2)における記載と同意義である。]
で表される一価の基である。
【0369】
は、式(α1)の環に直接結合する単結合又は二価の連結基である。Lとしては、単結合、アルキレン基、又は、エーテル結合及びエステル結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む二価の基が好ましく、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、又は、エーテル結合及びエステル結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む炭素数1~10の二価の炭化水素基がより好ましい。
【0370】
として、具体的には、-C-、-C-、-C-O-CH-、-CO-O-CH-CH(OH)-CH-、-CH-、-C-等が挙げられる。
【0371】
一の態様において、Xは、それぞれ独立して、上記Rf-R-O-を含む一価の有機基であってよい。かかる有機基の好適な基は、Rと同じである。
【0372】
別の態様において、Xは、それぞれ独立して、上記RSiを含む一価の基であってもよい。
【0373】
別の態様において、Xは、独立に、シリコーン残基、シルセスキオキサン残基及びシラザン基からなる群より選択される少なくとも1種の基であってもよい。
【0374】
上記シリコーン残基としては、次の基が挙げられる。
【0375】
【化23】
【0376】
【化24】
【0377】
【化25】
【0378】
【化26】
【0379】
【化27】
【0380】
各式中、Lは単結合又は二価の連結基、nは1~20の整数、mは0~10の整数、R31は、各々独立して、一価の基であり、各基が有するR31のうち、少なくとも1つは反応性基である。
【0381】
各基に含まれる複数のR31は、各々独立して、一価の基であり、上記反応性基であってもよいし、上記反応性基以外の基であってもよい。但し、各基に含まれる複数のR31のうち、少なくとも1つは、上記反応性基である。
【0382】
上記反応性基としては、H、ハロゲン原子又は-OR32(R32は炭素数1~4のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基)、-L-SiR (Lは単結合又は炭素数1~10のアルキレン基、Rはハロゲン原子)、-L-Si(OR(Lは上記のとおり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基)、-L-Si(NR (L及びRは上記のとおり)、-L-Si(OCOR(L及びRは上記のとおり)及びこれらの基のいずれかを含む基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0383】
上記反応性基以外の基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン化アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ハロゲン化アルキルエーテル基、アルキルアミド基、ハロゲン化アルキルアミド基、ウリル基、ハロゲン化ウリル基、ウレア基、ハロゲン化ウレア基、-CONRCOR(R及びRは独立にH、アルキル基又はハロゲン化アルキル基)、糖鎖を含む基、アルキレンポリエーテル基、アレーン基、ハロゲン化アレーン基、ヘテロ環を含む基、アリール基、及び、ハロゲン化アリール基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0384】
は、式(α1)又は式(α2)の環に直接結合する単結合又は二価の連結基である。Lとして好適なものは、上述したとおりである。
【0385】
上記シリコーン残基としては、また、次の基も挙げられる。
【0386】
【化28】
【0387】
【化29】
【0388】
【化30】
【0389】
【化31】
【0390】
【化32】
【0391】
【化33】
【0392】
【化34】
【0393】
【化35】
【0394】
【化36】
【0395】
各式中、Lは単結合又は二価の連結基、R34は、各々独立して、一価の基であり、各基が有するR34のうち、少なくとも1つは反応性基である。
【0396】
各基に含まれる複数のR34は、各々独立して、一価の基であり、上記反応性基であってもよいし、上記反応性基以外の基であってもよい。但し、各基に含まれる複数のR34のうち、少なくとも1つは、上記反応性基である。
【0397】
上記反応性基としては、-H、-OR35(R35は炭素数1~4のアルキル基)、ハロゲン原子、-OH、-O-CR35=CH(R35は上記のとおり)、-OCOR35(R35は上記のとおり)、-OCOOR(Rはアルキル基又はハロゲン化アルキル基)、-NR35 (R35は上記のとおり)及びこれらの基のいずれかを含む基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0398】
上記反応性基以外の基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン化アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ハロゲン化アルキルエーテル基、アルキルアミド基、ハロゲン化アルキルアミド基、ウリル基、ハロゲン化ウリル基、ウレア基、ハロゲン化ウレア基、-CONRCOR(R及びRは独立にH、アルキル基又はハロゲン化アルキル基)、糖鎖を含む基、アルキレンポリエーテル基、アレーン基、ハロゲン化アレーン基、ヘテロ環を含む基、アリール基、及び、ハロゲン化アリール基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0399】
は、式(α1)又は式(α2)の環に直接結合する単結合又は二価の連結基である。Lとして好適なものは、上述したとおりである。
【0400】
上記シルセスキオキサン残基としては、次の基が挙げられる。
【0401】
【化37】
【0402】
【化38】
【0403】
【化39】
【0404】
【化40】
【0405】
【化41】
【0406】
各式中、Lは単結合又は二価の連結基、R37は、各々独立して、一価の基であり、各基が有するR37のうち、少なくとも1つは反応性基、pは独立して0~5000の整数である。
【0407】
各基に含まれる複数のR37は、各々独立して、一価の基であり、上記反応性基であってもよいし、上記反応性基以外の基であってもよい。但し、各基に含まれる複数のR37のうち、少なくとも1つは、上記反応性基である。
【0408】
上記反応性基としては、-H、-OR35(R35は炭素数1~4のアルキル基)、ハロゲン原子、-OH、-O-CR35=CH(R35は上記のとおり)、-OCOR35(R35は上記のとおり)、-OCOOR(Rはアルキル基又はハロゲン化アルキル基)、-NR35 (R35は上記のとおり)及びこれらの基のいずれかを含む基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0409】
上記反応性基以外の基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン化アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ハロゲン化アルキルエーテル基、アルキルアミド基、ハロゲン化アルキルアミド基、ウリル基、ハロゲン化ウリル基、ウレア基、ハロゲン化ウレア基、-CONRCOR(R及びRは独立にH、アルキル基又はハロゲン化アルキル基)、糖鎖を含む基、アルキレンポリエーテル基、アレーン基、ハロゲン化アレーン基、ヘテロ環を含む基、アリール基、及び、ハロゲン化アリール基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0410】
は、式(α1)又は式(α2)の環に直接結合する単結合又は二価の連結基である。Lとして好適なものは、上述したとおりである。
【0411】
は、上記したRf-R-O-を含む一価の有機基、RSiを含む一価の基、シリコーン残基、シルセスキオキサン残基及びシラザン基とは異なる基であってもよい。
【0412】
すなわち、Xは、独立に、H、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン化アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ハロゲン化アルキルエーテル基、アルキルアミド基、ハロゲン化アルキルアミド基、ウリル基、ハロゲン化ウリル基、ウレア基、ハロゲン化ウレア基、-OCOOR(Rはアルキル基又はハロゲン化アルキル基)、-CONRCOR(R及びRは独立にH、アルキル基又はハロゲン化アルキル基)、糖鎖を含む基、アルキレンポリエーテル基、アレーン基、ハロゲン化アレーン基、ヘテロ環を含む基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シリコーン残基(但し反応性基を有するものを除く)及びシルセスキオキサン残基(但し反応性基を有するものを除く)からなる群より選択される少なくとも1種であってよい。
【0413】
上記シリコーン残基(但し反応性基を有するものを除く)としては、次の基が挙げられる。なお、上記反応性基とは、R37を構成し得る反応性基として例示したものである。
【0414】
【化42】
【0415】
【化43】
【0416】
【化44】
【0417】
【化45】
【0418】
【化46】
【0419】
【化47】
【0420】
【化48】
【0421】
【化49】
【0422】
【化50】
【0423】
各式中、Lは単結合又は二価の連結基、R41は、各々独立して、一価の反応性基以外の基である。
【0424】
上記反応性基以外の基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン化アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ハロゲン化アルキルエーテル基、アルキルアミド基、ハロゲン化アルキルアミド基、ウリル基、ハロゲン化ウリル基、ウレア基、ハロゲン化ウレア基、-CONRCOR(R及びRは独立にH、アルキル基又はハロゲン化アルキル基)、糖鎖を含む基、アルキレンポリエーテル基、アレーン基、ハロゲン化アレーン基、ヘテロ環を含む基、アリール基、及び、ハロゲン化アリール基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0425】
は、式(α1)又は式(α2)の環に直接結合する単結合又は二価の連結基である。Lとしては、単結合、アルキレン基、又は、エーテル結合及びエステル結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む二価の基が好ましく、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、又は、エーテル結合及びエステル結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む炭素数1~10の二価の炭化水素基がより好ましい。
【0426】
として、具体的には、-C-、-C-、-C-O-CH-、-CO-O-CH-CH(OH)-CH-等が挙げられる。
【0427】
上記シルセスキオキサン残基(但し反応性基を有するものを除く)としては、次の基が挙げられる。なお、上記反応性基とは、R37を構成し得る反応性基として例示したものである。
【0428】
【化51】
【0429】
【化52】
【0430】
【化53】
【0431】
【化54】
【0432】
【化55】
【0433】
各式中、Lは単結合又は二価の連結基、R41は、各々独立して、一価の反応性基以外の基、pは独立して0~5000の整数である。
【0434】
上記反応性基以外の基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルエステル基、ハロゲン化アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ハロゲン化アルキルエーテル基、アルキルアミド基、ハロゲン化アルキルアミド基、ウリル基、ハロゲン化ウリル基、ウレア基、ハロゲン化ウレア基、-CONRCOR(R及びRは独立にH、アルキル基又はハロゲン化アルキル基)、糖鎖を含む基、アルキレンポリエーテル基、アレーン基、ハロゲン化アレーン基、ヘテロ環を含む基、アリール基、及び、ハロゲン化アリール基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0435】
は、式(α1)又は式(α2)の環に直接結合する単結合又は二価の連結基である。Lとして好適なものは、上述したとおりである。
【0436】
上記シラザン基としては、次の基が挙げられる。
【0437】
【化56】
【0438】
【化57】
【0439】
各式中、Lは単結合又は二価の連結基、mは2~100の整数、nは100以下の整数、R42は、各々独立して、H、炭素数1~10のアルキル基、アルケニル基、炭素数5~12のシクロアルキル基、炭素数6~10のアリール基、アルキルシリル基、アルキルシアノ基、炭素数1~4のアルコキシ基である。
【0440】
は、式(α1)又は式(α2)の環に直接結合する単結合又は二価の連結基である。Lとしては、単結合、アルキレン基、又は、エーテル結合及びエステル結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む二価の基が好ましく、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、又は、エーテル結合及びエステル結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む炭素数1~10の二価の炭化水素基がより好ましい。
【0441】
として、具体的には、-C-、-C-、-C-O-CH-、-CO-O-CH-CH(OH)-CH-等が挙げられる。
【0442】
上記シラザン基としては、具体的には、次の基が挙げられる。
【0443】
【化58】
【0444】
【化59】
【0445】
【化60】
【0446】
【化61】
【0447】
【化62】
【0448】
【化63】
【0449】
【化64】
【0450】
上記化合物において、Rの平均分子量は、特に限定されるものではないが、500~30,000、好ましくは1,500~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。
【0451】
上記化合物は、特に限定されるものではないが、5×10~1×10の平均分子量を有し得る。なかでも、好ましくは2,000~30,000、より好ましくは2,500~12,000の平均分子量を有することが、耐UV性及び摩擦耐久性の観点から好ましい。なお、本開示において「平均分子量」は数平均分子量を言い、「平均分子量」は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0452】
上記式(1)又は式(2)で表されるフルオロポリエーテル基含有化合物は、特に限定されるものではないが、5×10~1×10の平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、2,000~32,000、より好ましくは2,500~12,000の平均分子量を有することが、耐久性の観点から好ましい。なお、かかる「平均分子量」は、数平均分子量を言い、「平均分子量」は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0453】
一の態様において、上記フルオロポリエーテル基含有化合物は、式(1)で表される化合物である。
【0454】
別の態様において、上記フルオロポリエーテル基含有化合物は、式(2)で表される化合物である。
【0455】
別の態様において、上記フルオロポリエーテル基含有化合物は、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物の両方を含む。上記フルオロポリエーテル基含有化合物は、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物の混合物として用いられてもよい。
【0456】
上記混合物中、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との合計に対して、式(2)で表される化合物が、好ましくは0.1~35モル%である。式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との合計に対する式(2)で表される化合物の含有量の下限は、好ましくは0.1モル%、より好ましくは0.2モル%、さらに好ましくは0.5モル%、さらにより好ましくは1モル%、特に好ましくは2モル%、特別には5モル%であり得る。式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との合計に対する式(2)で表される化合物の含有量の上限は、好ましくは35モル%、より好ましくは30モル%、さらに好ましくは20モル%、さらにより好ましくは15モル%又は10モル%であり得る。式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との合計に対する式(2)で表される化合物は、好ましくは0.1~30モル%、より好ましくは0.1~20モル%、さらに好ましくは0.2~10モル%、さらにより好ましくは0.5~10モル%、特に好ましくは1モル~10モル%、例えば2~10モル%又は5~10モル%である。式(2)で表される化合物をかかる範囲とすることにより、より耐久性を向上させることができる。
【0457】
上記の式(1)または(2)で表される化合物は、例えば、国際公開第97/07155号、特表2008-534696号公報、特開2014-218639号公報、特開2017-082194号公報、国際公開第2018/056410号等に記載の方法により製造することができる。
【0458】
(5-8)撥水性被膜の形成方法
撥水性被膜は、アルミニウム基材の表面に、上記フルオロポリエーテル基含有化合物を含む表面処理剤の層を形成し、この層を必要に応じて後処理し、これにより、表面処理剤から層を形成することにより形成することができる。
【0459】
上記表面処理剤は、式(1)又は(2)で表される少なくとも1種のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含有する。
【0460】
上記の式(1)又は(2)で表される化合物の含有量は、表面処理剤全体に対して、好ましくは0.1~50.0質量%、より好ましくは1.0~30.0質量%、さらに好ましくは5.0~25.0質量%、特に好ましくは10.0~20.0質量%であり得る。上記フルオロポリエーテル基含有化合物の含有量を上記の範囲にすることにより、より高い撥水撥油性を得ることができる。
【0461】
上記表面処理剤は、溶媒、含フッ素オイルとして理解され得る(非反応性の)フルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物(以下、まとめて「含フッ素オイル」と言う)、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、アルコール類、触媒、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤等を含み得る。
【0462】
上記溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、ジメチルスルホキシド、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC225)、ゼオローラH、HFE7100、HFE7200、HFE7300、CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOH等のフッ素含有溶媒等が挙げられる。あるいはこれらの2種以上の混合溶媒等が挙げられる。
【0463】
含フッ素オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(3)で表される化合物(パーフルオロ(ポリ)エーテル化合物)が挙げられる。
Rf-(OCa’-(OCb’-(OCc’-(OCFd’-Rf ・・・(3)
式中、Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基(好ましくは、C1―16のパーフルオロアルキル基)を表し、Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基(好ましくは、C1-16パーフルオロアルキル基)、フッ素原子又は水素原子を表し、Rf及びRfは、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’及びd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロ(ポリ)エーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’及びd’の和は少なくとも1、好ましくは1~300、より好ましくは20~300である。添字a’、b’、c’又はd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、-(OC)-は、-(OCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-及び(OCFCF(C))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCF)-である。-(OC)-は、-(OCFCFCF)-、-(OCF(CF)CF)-及び(OCFCF(CF))-のいずれであってもよく、好ましくは-(OCFCFCF)-である。-(OC)-は、-(OCFCF)-及び(OCF(CF))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCF)-である。
【0464】
上記含フッ素オイルは、500~10000の平均分子量を有していてよい。含フッ素オイルの分子量は、GPCを用いて測定し得る。
【0465】
含フッ素オイルは、本開示の表面処理剤に対して、例えば0~50質量%、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0~5質量%含まれ得る。一の態様において、本開示の表面処理剤は、含フッ素オイルを実質的に含まない。含フッ素オイルを実質的に含まないとは、含フッ素オイルを全く含まない、又は極微量の含フッ素オイルを含んでいてもよいことを意味する。
【0466】
上記シリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2,000以下の直鎖状又は環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイル及び変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
【0467】
本開示の表面処理剤中、かかるシリコーンオイルは、上記本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0~300質量部、好ましくは50~200質量部で含まれ得る。
【0468】
上記アルコール類としては、例えば1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、tert-ブタノール、CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOHが挙げられる。これらのアルコール類を表面処理剤に添加することにより、表面処理剤の安定性を向上させ、また、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物と溶媒の相溶性を改善させる。
【0469】
上記アルコールは、好ましくは2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール又は2,2,2-トリフルオロエタノールである。
【0470】
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn等)等が挙げられる。
【0471】
触媒は、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の加水分解及び脱水縮合を促進し、本開示の表面処理剤により形成される層の形成を促進する。
【0472】
他の成分としては、上記以外に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等も挙げられる。
【0473】
上記表面処理剤は、多孔質物質、例えば多孔質のセラミック材料、金属繊維、例えばスチールウールを綿状に固めたものに含浸させて、ペレットとすることができる。当該ペレットは、例えば、真空蒸着に用いることができる。
【0474】
上記表面処理剤は、上記した成分に加え、不純物として、例えばPt、Rh、Ru、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、トリフェニルホスフィン、NaCl、KCl、シランの縮合物などを微量含み得る。
【0475】
表面処理剤の層形成は、上記表面処理剤を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法及び乾燥被覆法を使用できる。
【0476】
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング及び類似の方法が挙げられる。
【0477】
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVD及び類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビーム及び類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ-CVD、光学CVD、熱CVD及び類似の方法が挙げられる。
【0478】
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
【0479】
表面処理剤の層形成は、層中でフルオロポリエーテル基含有化合物が、加水分解及び脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、表面処理剤に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した表面処理剤をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した表面処理剤を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
【0480】
触媒には、任意の適切な酸又は塩基を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、有機アミン類などを使用できる。
【0481】
(7)効果
本開示の室外熱交換器23においては、フィン43において、アルミニウム基材の表面に陽極酸化膜及び撥水性被膜が設けられている。かかる熱交換器23においては、凝縮水が生じた場合であっても、後述するメカニズムにより、大きくなった液滴が重力によらず余分な表面エネルギの放出によって自発的にフィン43からジャンプ(飛散)することができる。したがって、フィン43を備える室外熱交換器23は、着霜環境下において、凝縮水を飛散させることで着霜をより効果的に抑制することができる。さらに、フィン43の表面構造において、数1~数3の関係を満たす複数の凸部61が存在する場合には、着霜をより効果的に抑制することができる。
【0482】
このため、室外熱交換器23が着霜環境下で用いられる場合であっても、凝縮水を飛散させることで着霜を抑制し、デフロスト運転が開始されるまでの暖房運転時間を長期化させることが可能になる。また、これによりデフロスト運転が頻繁に行われてしまい、空調対象空間の温度が低下してしまうという快適性の悪化を抑制することが可能になる。
【0483】
また、本実施形態の室外熱交換器23は、室外ファン25から水平方向に流れる空気流れを受けているが(液滴の落下を促進させるために鉛直方向に流れる空気流れを受けているわけではないが)、特定の構造を採用したことで、水平方向の空気流れが供給されただけでも十分にフィン43表面から液滴を除去することが可能になる。特に、上記の表面構造を採用したことで、特段、空気流れが生じていない箇所や空気流れが弱い箇所であっても、液滴を自らジャンプさせることが可能になるため、霜の付着を効果的に抑制することが可能になっている。
【0484】
フィン43の表面で液滴が大きくなった際に、重力によらず余分な表面エネルギの放出によって自発的に液滴がジャンプできるメカニズムは、特に限定されないが、例えば、図13に示すように考えられる。
【0485】
まず、(a)に示すように、冷媒の蒸発器として機能している室外熱交換器23のフィン43の表面において、核となる微細な液滴(径が数nm程度)が発生する。次に、(b)に示すように、発生した核が成長し、凝縮液滴の粒径が増大する。その後、(c)に示すように、液滴がさらに成長し、フィン43の凸部61同士の間の凹部を液で満たしつつ隣接する凸部61に付着している状態となる。さらに、(d)に示すように、複数の隣接する凸部61の間にまたがるように液滴が成長し、(e)に示すように、隣接する液滴同士が合体する。この液滴の合体の際に表面自由エネルギが変化することで、フィン43表面への液滴の拘束力を上回り、(f)に示すように、液滴が自発的にジャンプする。
【0486】
なお、液滴が自発的にジャンプするための運動エネルギEkは、mを液滴の質量、Uをジャンプする液滴の移動速度とした場合の力学的関係をモデル化すると、次のように表現できる。
=0.5mU=△E-E-△E-△Evis
【0487】
ここで、△Eは液滴が合体する際の表面自由エネルギの変化量を示しており、Eは液滴が固体表面から受ける拘束エネルギを示しており、△Eは位置エネルギの変化量を示しており(本実施形態のフィン43は水平方向対して直交する面に平行に広がっているため実質的に0となる)、△Evisは液体が流動する際の粘性抵抗を示している。
【0488】
以上の関係式において液滴が小さい場合には、合体時に発生する表面自由エネルギが小さいため、自発的なジャンプには至らないことになる。なお、この段階では、液滴の大きさが小さいため、周囲温度が0℃以下となっても、凍結することなく過冷却状態で維持されやすい。そして、液滴の合体時に生じる表面自由エネルギが表面への拘束力を上回った場合に自発的なジャンプが生じると考えられる。このように、液滴の大きさが大きくなることで液滴が過冷却状態を維持しにくくなり凍結が始まりやすい状況になっても、その場合には、液滴の合体時に生じる表面自由エネルギにより液滴がジャンプして、表面に残りにくく、着霜を抑制できると考えられる。
【0489】
特に、複数の凸部61が数1~数3の関係を満たすように形成されることにより、次に述べる理由から、フィン43の表面の液滴に対する拘束力が抑制され、液滴はフィン43から容易に飛散することができる。
【0490】
換言すると、複数の凸部61が式(1-1)の関係を満たすように形成されている場合、隣り合う凸部61の間隔が狭くなり過ぎない。このため、隣り合う凸部61の間での毛管力の発生が抑制される。
【0491】
複数の凸部61が式(1-2)の関係を満たすように形成されている場合、隣り合う凸部61の間隔が広くなり過ぎない。このため、隣り合う凸部61の間に凝縮水が入り込むことによる基板62との間の付着力の発生が抑制される。
【0492】
複数の凸部61が式(1-3)の関係を満たすように形成されている場合、凸部61の先端と基板62との間の距離が確保されることにより、凸部61の先端に付着した凝縮水が基板62に接することが抑制される。このため、隣り合う凸部61の間に凝縮水が入り込むことによる基板62との間の付着力の発生が抑制される。
【0493】
そして、複数の凸部61が式(1-4)を満たすように形成されている場合、隣接する凸部61間に入る液滴の粒径の増大が抑制される。
【0494】
このように、複数の凸部61が数1の関係を満たすように形成されることにより、フィン43の表面の液滴に対する拘束力である毛管力および付着力の発生と、液滴の粒径の増大とが抑制される。このため、複数の凸部61が数1の関係を満たすように形成されたフィン43においては、表面に生じた液滴は容易に飛散することができる。
【0495】
また、複数の凸部61が式(2-1)の関係を満たすように形成されている場合、隣接する凸部61間に入る凝縮水がより小さくなる。このため、複数の凸部61が数2の関係を満たすように形成されたフィン43においては、液滴の粒径の増大がさらに抑制され、表面に生じた液滴はより容易に飛散することができる。
【0496】
さらに、複数の凸部61が式(3-1)の関係を満たすように形成されている場合、凸部61の先端と基板62との間の距離がより確保されるため、凸部61の先端に付着した凝縮水が基板62に接することがより確実に抑制される。このため、複数の凸部61が数3の関係を満たすように形成されたフィン43においても、フィン43の表面の液滴に対する拘束力の発生がさらに抑制されて、凝縮水はより容易に飛散することができる。
【0497】
(8)変形例
上記実施形態は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。
【0498】
(8-1)変形例A
上記実施形態では、室外熱交換器23のフィン43の表面において、特定構造を備えさせた場合を例に挙げて説明した。
【0499】
しかし、凝縮水が付着しうる他の箇所においても、上記特定の構造を備えさせるようにしてもよい。例えば、室外熱交換器23を構成する伝熱管41の表面や、U字管42の表面においても、上記特定の構造を備えさせるようにしてもよい。この場合には、当該箇所における凝縮水の付着を抑制し、凝縮水が凍結することによる霜の付着を抑制することが可能になる。
【実施例0500】
以下、本開示の熱交換器を実施例を挙げて説明するが、本開示はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0501】
(実施例1)
下記条件下でアルミニウム基材(30mm×30mm)に対して陽極酸化処理を行い、陽極酸化膜を形成した。次いで、下記条件下でエッチング処理を施すことにより凸部を形成した。その後、下記フルオロポリエーテル基含有化合物(化合物(A))を、濃度0.1wt%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE7200)に溶解させた表面処理剤を用いて、アルミニウム基材を浸漬処理し、アルミニウム基材上に撥水性被膜を形成した。UV照射を行わなかったアルミニウム基材を評価プレート1、下記条件にてUV照射を行ったアルミニウム基材を評価プレート2とした。
【0502】
・陽極酸化処理条件
薬液:エチドロン酸(0.1mol%)
温度:20℃
印加電圧:直流240V
処理時間:30分
【0503】
・エッチング条件条件
薬液:リン酸(50質量%)
温度:50℃
処理時間:17分
【0504】
・フルオロポリエーテル基含有化合物
化合物(A)
【化65】
【0505】
・UV照射条件
光源:UV―B-313EL
放射照度:0.63W/m
照射距離:5cm
照射時間:480時間
【0506】
(実施例2)
フルオロポリエーテル基含有化合物として下記化合物(B)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、評価プレート3(UV照射無し)及び評価プレート4(UV照射有り)を作製した。
【0507】
・フルオロポリエーテル基含有化合物
化合物(B)
【化66】
【0508】
(実施例3)
フルオロポリエーテル基含有化合物として下記化合物(C)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、評価プレート5(UV照射無し)及び評価プレート6(UV照射有り)を作製した。
【0509】
化合物(C)
【化67】
(式中、nは20であり、mは3である。)
【0510】
(比較例1)
陽極酸化及び撥水性被膜の形成を行っていない未処理のアルミニウム基材に、実施例1と同様の条件にてUV照射を行ったアルミニウム基材を、評価プレート7とした。
【0511】
(比較例2)
撥水性被膜を形成しないこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、陽極酸化のみを行い、実施例1と同様の条件にてUV照射を行ったアルミニウム基材を評価プレート8とした。
【0512】
(比較例3)
陽極酸化を行わないこと以外は、実施例3と同様の操作を行い、アルミニウム基材上に撥水性被膜を形成し、実施例1と同様の条件にてUV照射を行ったアルミニウム基材を評価プレート9とした。
【0513】
(評価方法)
評価プレート1~12のぞれぞれについて、一方の面を冷却しながら、他方の面に、面に平行な方向へ流れる空気を当てた場合における「霜高さ」を測定した。霜高さは評価の開始から2時間が経過するまでに他方の面に付着した霜の、評価プレートの板厚方向における高さの変化である。結果を表1に示す。
【0514】
評価プレートは以下の条件で冷却した。
熱流束:380W/m2
乾球温度:2℃
湿球温度:1℃
風速:2.5m/sec
評価プレートの冷却面の温度:-8.0℃
【0515】
評価プレートはペルチェ素子を用いて冷却し、評価プレートとペルチェ素子との間に設けた熱流束センサにより熱流束を測定した。
霜高さはレーザー変位計を用いて測定した。
【0516】
【表1】

【0517】
(結果)
表1に示されるように、実施例1~3に係る評価プレートは、UV照射後であっても120分での霜高さが1.0mm未満であり、着霜を十分に抑制できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0518】
本発明の熱交換器は、着霜による熱交換機能の低下が生じにくいことから、空気調和装置、冷蔵機、冷凍機、電気自動車等の様々な機器に用いることができる。
【符号の説明】
【0519】
2:室外ユニット
10:冷媒回路
20:室外ユニット制御部
21:圧縮機
23:室外熱交換器
24:室外膨張弁
25:室外ファン
41:伝熱管
42:U字管
43:フィン
50:室内ユニット
51:室内膨張弁
52:室内熱交換器
53:室内ファン
57:室内ユニット制御部
61:凸部
62:基板
70:コントローラ(制御部)
100:冷媒サイクル装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム基材と、該アルミニウム基材の表面に設けられた撥水性被膜とを有する熱交換器であって、
前記アルミニウム基材は、表面に陽極酸化膜を有し、
前記撥水性被膜は、フルオロポリエーテル基含有化合物から形成された膜であり、
前記フルオロポリエーテル基含有化合物は、下記式(α1)又は式(α2):
【化1】

[式中:
は、Rf -R -O -を含む一価の有機基であり、
1’ は、-Rf -R -O -を含む二価の有機基であり、
Rf は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC 1-16 アルキル基であり;
Rf は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC 1-6 アルキレン基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
は、それぞれ独立して、R Si を含む一価の基であり、
Si は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子または一価の有機基が結合したSi原子を含む一価の基であり、
は、それぞれ独立して、一価の基を表す。]
で表される化合物である、
熱交換器。
【請求項2】
アルミニウム基材と、該アルミニウム基材の表面に設けられた撥水性被膜とを有する熱交換器であって、
前記アルミニウム基材は、表面に陽極酸化膜を有し、
前記陽極酸化膜を有するアルミニウム基材の表面は、複数の凸部を含む表面構造を有し、
L:前記複数の凸部の平均ピッチ、
D:前記複数の凸部の平均径、
H:前記複数の凸部の平均高さ、
θ:前記撥水性被膜の平滑平面上での水の接触角、
とした場合に、
D/L<0.36
D/L>0.4×(L/H)
H>700nm
0>1.28×D×10 -2 +2.77×(L-D)×10 -3 -1.1×D ×10 -5 -5.3×(L-D) ×10 -7 -9.8×D×(L-D)×10 -6 -2.0
90°<θ<120°
の全ての関係を満たし、
前記撥水性被膜は、フルオロポリエーテル基含有化合物から形成された膜である、
熱交換器。
【請求項3】
前記フルオロポリエーテル基含有化合物は、下記式(1)または(2):
【化2】
[式中:
F1は、各出現においてそれぞれ独立して、Rf-R-O-であり;
F2は、-Rf -R-O-であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子または一価の有機基が結合したSi原子を含む一価の基であり;
少なくとも1つのRSiは、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子を含む一価の基であり;
SFは、各出現においてそれぞれ独立して、RSiまたはRf-R-O-であり;
少なくとも1つのRSFは、RSiであり;
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される化合物である、請求項に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記フルオロポリエーテル基含有化合物は、下記式(α1)又は式(α2):
【化3】
[式中:
は、Rf-R-O-を含む一価の有機基であり、
1’は、-Rf -R-O-を含む二価の有機基であり、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、二価のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
は、それぞれ独立して、RSiを含む一価の基であり、
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子または一価の有機基が結合したSi原子を含む一価の基であり、
は、それぞれ独立して、一価の基を表す。]
で表される化合物である、請求項2または3に記載の熱交換器。
【請求項5】
は、各出現においてそれぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
[式中、RFaは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は1以上であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのRFaが水素原子または塩素原子である場合、a、b、c、eおよびfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、請求項1、3および4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
は、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)または(f6):
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0または1である。]、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、cおよびdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
eおよびfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、eおよびfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R-R- (f3)
[式中、Rは、OCFまたはOCであり;
は、OC、OC、OC、OC10およびOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2または3つの基の組み合わせであり;
gは、2~100の整数である。]、
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f4)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(R-R-R-(R7’-R6’g’- (f6)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
6’は、OCF又はOCであり、
7’は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
は、
【化4】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。]
で表される基である、請求項1、3および4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項7】
Siは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、または(S4):
【化5】
[式中:
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または二価の有機基であり;
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数であり;
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または-X11-SiR11 n112 3-n1であり;
15は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり;
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または二価の有機基であり;
21は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
23は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
1’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または二価の有機基であり;
21’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
23’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
p1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または二価の有機基であり;
22”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
23”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
q1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または二価の有機基であり;
31は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または一価の有機基であり;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
2’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または二価の有機基であり;
32’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または一価の有機基であり;
q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または二価の有機基であり;
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり;
35は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または一価の有機基であり;
n2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または一価の有機基であり;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。]
で表される基である、請求項1および3~6のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記アルミニウム基材は、純度が99.99%以上のアルミニウム製である、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記アルミニウム基材は、間隙を設けて並設された複数のフィンを構成する、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項10】
隣接するフィン間の距離は、0.5~3.0mmである、請求項に記載の熱交換器。