(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179455
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造
(51)【国際特許分類】
E01D 21/00 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
E01D21/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022082867
(22)【出願日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】202110552905.X
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518411338
【氏名又は名称】山東科技大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】蘇会鋒
(72)【発明者】
【氏名】李栄▲しょう▼
(72)【発明者】
【氏名】趙碩
(72)【発明者】
【氏名】劉志磊
(72)【発明者】
【氏名】郭▲せい▼
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059CC08
2D059DD08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造を提供する。
【解決手段】両端から引っ張り可能な吊り棒1と橋梁底部のブラケットを有し、上部は、基礎構造の頂部(即ちコンクリート打設作業が完了した橋梁の主体構造)に支持され、下部は、橋梁底部のブラケットの横ビームに接続される。本発明により提案された支保工構造により、既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパンを施工する際に下部の空間が限られている問題を効率的に解決することができるとともに、床上形支保工架設工法と付着形支保工架設工法に比べて、支保工の使用量を減少させ、費用の投入を大幅に低減する。従来の吊り台に必要な吊り足場を減少し、従来の支持ブラケットに対してその安全性を保障すると同時に、支保工の使用量を減少させる。本発明は、構造が簡単で、取り外しが便利で、工期が短く、安全で信頼性を持ち、特に既存路線にまたがる橋の施工に適応する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造であって、
施工区間に一番近い完成した高架橋の橋梁を基礎構造とし、基礎構造の底部に、橋梁底部のブラケットが配置され、前記橋梁底部のブラケットは、前記基礎構造を通り抜けた両端から引っ張り可能な吊り棒に固定され、前記橋梁底部のブラケットは、施工区間の吊り台構造として、施工区間の施工に支持を提供することを特徴とする既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造。
【請求項2】
橋脚の内部に、横向きにした鋼管が事前に埋め込まれ、前記鋼管を介して三角形支持ブラケットと固定するように接続され、前記三角形支持ブラケットにより前記橋梁底部のブラケットに補助的な支持を提供することを特徴とする請求項1に記載の既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造。
【請求項3】
前記橋脚の内部において且つ高さ方向に、二重の前記鋼管が事前に埋め込まれており、それぞれ上部埋め込まれた鋼管(2)と下部埋め込まれた鋼管(3)となり、前記三角形支持ブラケットは、縦柱(4)と、横柱(5)及び斜柱(6)を有し、縦柱は前記橋脚の側面に近接して配置され、前記横柱は、前記縦柱の頂部に配置され、前記斜柱は、前記縦柱と横柱の間に配置されており且つ前記縦柱及び横柱と三角形ブラケット構造を形成し、
前記上部埋め込まれた鋼管と前記縦柱は固定するように接続され、
前記三角形支持ブラケットの下側に、コーベル部(7)が配置され、前記コーベル部と前記下部埋め込まれた鋼管は固定するように接続され、前記下部埋め込まれた鋼管により、前記縦柱に上向きの支持力を提供することを特徴とする請求項2に記載の既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造。
【請求項4】
前記コーベル部と前記縦柱の底端の間に、当て物(8)が配置され、前記コーベル部は前記当て物を介して前記縦柱に垂直上方向の支持力を提供することを特徴とする請求項3に記載の既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造。
【請求項5】
前記両端から引っ張り可能な吊り棒は垂直方向に配置され、前記両端から引っ張り可能な吊り棒の上端は、前記基礎構造の上側面を通り抜けて、前記両端から引っ張り可能な吊り棒の両側に、それぞれ第一ベアリングビーム(9)が配置され、前記第一ベアリングビームに底板(10)が配置され、前記両端から引っ張り可能な吊り棒は前記底板を通り抜けてアンカー(11)に固定され、
前記両端から引っ張り可能な吊り棒は垂直方向に配置され、前記両端から引っ張り可能な吊り棒の下端は基礎構造の下側面を通り抜けて、前記両端から引っ張り可能な吊り棒の両側にそれぞれ、第一ベアリングビームが配置され、前記第一ベアリングビームに底板が配置され、前記両端から引っ張り可能な吊り棒は前記底板を通り抜けてアンカーに固定され、前記第一ベアリングビームと前記基礎構造の下側面の間に、角度調節パッド(12)が配置されることを特徴とする請求項3に記載の既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造。
【請求項6】
前記両端から引っ張り可能な吊り棒は少なくとも二つを一組とし、同じ組のすべての前記両端から引っ張り可能な吊り棒は、縦方向に並んで配置され、前記両端から引っ張り可能な吊り棒は横方向に間隔を開けて複数組が配置されることを特徴とする請求項1に記載の既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造。
【請求項7】
前記コーベル部に、前記橋脚内部に用いられたコーベル部の補強スリーブ(13)が配置され、前記下部埋め込まれた鋼管は前記コーベル部の補強スリーブを通り抜けた後、前記コーベル部に対して外に伸びて且つボルトにロックされていることを特徴とする請求項3に記載の既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造。
【請求項8】
前記橋梁底部のブラケットの底面と前記三角形支持ブラケットの頂面に第二ベアリングビーム(14)が配置されることを特徴とする請求項5に記載の既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造。
【請求項9】
前記橋梁底部のブラケットは多層板構造となり、
高さ方向において、前記橋梁底部のブラケットは、上層にある角材層(15)と、前記角材層の下側にある竹集成材層(16)と、前記竹集成材層の下側にある縦ビーム層(17)及び前記縦ビーム層の下側に配置された横ビーム層(18)を有し、
前記角材層は角材からなり、前記角材について、横方向に等間隔を開けて一列の方木が配置されており、縦方向に等間隔を開けて複数列の方木が配置されており、
前記縦ビーム層及び横ビーム層は、何れも I形鋼構造を採用することを特徴とする請求項1-8のいずれか1項に記載の既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造。
【請求項10】
前記第一ベアリングビームはI形鋼構造となり、第二ベアリングビームはI形鋼構造となることを特徴とする請求項8に記載の既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は橋の支保工の技術分野に関し、具体的には、既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造に関する。
【背景技術】
【0002】
既存線路にまたがる連続T桁高架橋の連続梁施工において、施工場所によって区分され、橋脚頂部のコンクリート打設施工区間、片持ち梁のコンクリート打設施工区間、サイドスパンのコンクリート打設施工区間と連結部施工区間を含む。施工工程は以下の通りである。まず橋脚頂部のコンクリート打設をした後、橋脚頂部のコンクリート打設施工区間に、吊り足場を取り付け、片持ち梁に対称して、片持ち梁のコンクリート打設を行い、片持ち梁のコンクリート打設施工が完了する前に、サイドスパンのコンクリート打設施工を完了し、最後は、連結部施工区間を完了する。
【0003】
既存のサイドスパンのコンクリート打設の施工技術は、床上形支保工架設工法と付着形支保工架設工法などを含む。
【0004】
床上形支保工架設工法は、通常、支保工を使って箱桁の主体を支持し、箱桁の内部にオールラウンド支保工が架設されることと、箱桁の底板及び張り出しスラブの下側に支保工が架設されること、及び支保工の底部に支持ベースが配置されることを含む。床上形支保工架設工法にとって、具体的は、オールラウンド支保工架設工法と鋼管式支保工架設工法に分けられ、この両方は、荷重を、支保工を介して床に直接伝える必要がある。オールラウンド支保工架設工法において、施工現場区域の地形の変化が大きく、橋脚の高さが高いため、オールラウンド支保工の架設が高すぎると、支保工とその支保工の基礎の沈下量が大きくなる現象が現れ、縦柱の基礎に高い要求があるだけでなく、その安定性も保証されにくく、また、現場で架設するのに施工量が大きく、人的施工強度が高く、施工周期が長く、高橋脚の施工を行う場合、オールラウンド支保工架設工法を採用すると、施工の安全と施工品質を保証することができない。鋼管式支保工架設工法を採用する場合、オールラウンド支保工架設工法における沈下量が大きいという不足を解決することができるが、それは縦柱の安定性に対してより高い要求され、その基礎と支持ベースの補強施工量は比較的に大きいとともに、高橋脚の施工を行う場合、長い鋼製柱を立てるには比較的に難しくて、施工コストも高く、施工の進度は保障されておらず、この施工方法も明らかな優位性を持っていない。また、この2つの方法は、橋下の空間に対して一定の要求があり、十分な場所に支保工を架設する必要があり、既存線路にまたがる高架橋の施工では、このような条件を満たすことが難しいため、床上形支保工架設工法はこのような既存線路にまたがる高架橋の施工に適応しないと考えられる。
【0005】
付着形支保工架設工法を採用するときに、橋脚に複数の付着接続部品を配置する必要があり、1本の横桁接続構造及び4本の水平接続棒を介して、支保工構造を橋脚に接続することで、一部のベースが受ける力を分解、減少し、この方法は地表形状の制限を受けないが、どのような方法で付着形支保工を架設しても、初期段階の施工量が大きく、作業者の高所作業リスクが大きく、支保工と橋脚のアンカー品質に対する要求が高く、発生した荷重は鉛直下向きの重力だけでなく、支点に対するトルクもあるため、この方法は橋脚の構造強度に対してより高い要求を提出した。また、橋脚構造を破壊する可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記内容を踏まえた上で、どのように既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造の新型構造を提供するかは、当業者が早急に解決すべき問題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本発明の使用する技術的な解決方案は以下の通りである。本発明は、既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造を提供し、本発明において、当該既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造の具体的は以下の通りである。施工区間に一番近い完成した高架橋の橋梁を基礎構造とし、基礎構造の底部に、橋梁底部のブラケットが配置され、前記橋梁底部のブラケットは、前記基礎構造を通り抜けた両端から引っ張り可能な吊り棒に固定され、前記橋梁底部のブラケットは、施工区間の吊り台構造として、施工区間の施工に支持を提供する。
【0008】
好ましくは、本発明に提案される既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造において、橋脚の内部に、横向きにした鋼管が事前に埋め込まれ、前記鋼管を介して三角形支持ブラケットと固定するように接続され、前記三角形支持ブラケットにより前記橋梁底部のブラケットに補助的な支持を提供する。
【0009】
好ましくは、本発明に提案される既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造において、前記橋脚の内部において且つ高さ方向に、二重の前記鋼管が事前に埋め込まれ、それぞれ上部埋め込まれた鋼管と下部埋め込まれた鋼管となり、前記三角形支持ブラケットは、縦柱と、横柱及び斜柱を有し、縦柱は前記橋脚の側面に近接して配置され、前記横柱は、前記縦柱の頂部に配置され、前記斜柱は、前記縦柱と横柱の間に配置されており且つ前記縦柱及び横柱と三角形ブラケット構造を形成し、前記上部埋め込まれた鋼管と前記縦柱は固定するように接続され、前記三角形支持ブラケットの下側に、コーベル部が配置され、前記コーベル部と前記下部埋め込まれた鋼管は固定するように接続され、前記下部埋め込まれた鋼管により、前記縦柱に上向きの支持力を提供する。
【0010】
好ましくは、本発明に提案される既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造において、前記コーベル部と前記縦柱の底端の間に、当て物が配置され、前記コーベル部は前記当て物を介して前記縦柱に垂直上方向の支持力を提供する。
【0011】
好ましくは、本発明に提案される既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造において、前記両端から引っ張り可能な吊り棒は垂直方向に配置され、前記両端から引っ張り可能な吊り棒の上端は、前記基礎構造の上側面を通り抜けて、前記両端から引っ張り可能な吊り棒の両側に、それぞれ第一ベアリングビームが配置され、前記第一ベアリングビームに底板が配置され、前記両端から引っ張り可能な吊り棒は前記底板を通り抜けてアンカーに固定され、前記両端から引っ張り可能な吊り棒は垂直方向に配置され、前記両端から引っ張り可能な吊り棒の下端は基礎構造の下側面を通り抜けて、前記両端から引っ張り可能な吊り棒の両側にそれぞれ、第一ベアリングビームが配置され、前記第一ベアリングビームに底板が配置され、前記両端から引っ張り可能な吊り棒は前記底板を通り抜けてアンカーに固定され、前記第一ベアリングビームと前記基礎構造の下側面の間に、角度調節パッドが配置される。
【0012】
好ましくは、本発明に提案される既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造において、前記両端から引っ張り可能な吊り棒は少なくとも二つを一組とし、同じ組のすべての前記両端から引っ張り可能な吊り棒は、縦方向に並んで配置され、前記両端から引っ張り可能な吊り棒は横方向に間隔を開けて複数組が配置される。
【0013】
好ましくは、本発明に提案される既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造において、前記コーベル部に、前記橋脚内部に用いられたコーベル部の補強スリーブが配置され、前記下部埋め込まれた鋼管は前記コーベル部の補強スリーブを通り抜けた後、前記コーベル部に対して外に伸びて且つボルトにロックされている。
【0014】
好ましくは、本発明に提案される既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造において、前記橋梁底部のブラケットの底面と前記三角形支持ブラケットの頂面に第二ベアリングビームが配置される。
【0015】
好ましくは、本発明に提案される既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造において、前記橋梁底部のブラケットは多層板構造となり、高さ方向において、前記橋梁底部のブラケットは、上層にある角材層と、前記角材層の下側にある竹集成材層と、前記竹集成材層の下側にある縦ビーム層及び前記縦ビーム層の下側に配置された横ビーム層を有し、前記角材層は角材からなり、前記角材について、横方向に沿って等間隔を開けて一列の方木が配置されており、縦方向に等間隔を開けて複数列の方木が配置されており、前記縦ビーム層及び前記横ビーム層は、何れも I形鋼構造を採用する。
【0016】
好ましくは、本発明に提案される既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造において、前記第一ベアリングビームはI形鋼構造となり、第二ベアリングビームはI形鋼構造となる。
【発明の効果】
【0017】
従来の技術と比べて、本発明の有益な効果は以下の通りである。本発明は、既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造を提供し、橋の支保工の技術分野に関し、既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパンを施工する際の支保工の設計及び施工に適応する。本発明において、当該既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造は、主に仕上げ圧延ねじ節鉄筋の吊り棒(両端から引っ張り可能な吊り棒)と橋梁底部のブラケットからなり、両端から引っ張り可能な吊り棒は、4*2(横方向4本、縦方向2本)のレイアウトを採用し、両端から引っ張り可能な吊り棒の上部は、基礎構造の頂部(即ちコンクリート打設作業が完了した橋梁の主体構造)に支持され、両端から引っ張り可能な吊り棒の下部は、橋梁底部のブラケットの横ビームに接続される。
【0018】
本発明の利点は以下の通りである。
本発明により提案された支保工構造により、既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパンを施工する際に下部の空間が限られている問題を効率的に解決することができるとともに、床上形支保工架設工法と付着形支保工架設工法に比べて、支保工の使用量を減少させ、費用の投入を大幅に低減することと、本発明により提案された支保工構造は、吊り台工法と支持ブラケット工法の利点を集め、従来の吊り台に必要な吊り足場を減少し、従来の支持ブラケットに対してその安全性を保障すると同時に、支保工の使用量を減少させることと、本発明により提案された支保工構造は構造が簡単で、取り外しが便利で、工期が短く、安全で信頼性を持ち、特に既存路線にまたがる橋の施工に適応する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の一部を構成する明細書添付図面は、本発明のさらなる理解を提供するために使用され、本発明の概略的な実施形態及びその説明は本発明を説明するために使用され、本発明に対する不当な限定を構成するものではない。ここで、
【
図1】本発明の一つの実施形態における既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造の部分構造概略図である。
【
図2】本発明のもう一つの実施形態における既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造の部分構造概略図である。
【
図3】本発明の実施形態の三角形支持ブラケット及びコーベル部の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、実施形態に関連して本発明を詳細に説明する。各実施形態は、本発明を製限するのではなく、本発明の解釈によって提供される。実際、当業者であれば、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明において修正および変形が可能であることを明らかにするであろう。例えば、例えば、別の実施形態を生成するために、別の実施形態に対して、1つの実施形態の一部として図示または記述された特徴を使用することができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内に帰属するそのような修正及び変形を含むことが望ましい。
【0021】
本発明の説明において、「縦向き」、「横向き」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」などの用語が示す方位または位置関係は、添付の図面に示す方位または位置関係に基づくものであり、本発明を容易に説明するためだけであって、本発明が特定の方位で構成され、操作されなければならないことを要求するものではない。したがって、本発明に対する制限とは理解できない。本発明で使用される用語「連結」、「接続」は、一般的に理解されるべきであり、例えば、固定接続でもよいし、取り外し可能接続でもよい。直接接続してもよく、中間部材を介して間接的に接続してもよく、当業者にとっては、具体的な状況に応じて上記の用語の具体的な意味を理解することができる。
【0022】
図1-
図3をご参照ください。その中で、
図1は本発明の一つの実施形態における既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造の部分構造概略図である。
図2は本発明のもう一つの実施形態における既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造の部分構造概略図である。
図3は本発明の実施形態の三角形支持ブラケット及びコーベル部の構造概略図である。
【0023】
本発明は、既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造を提供し、本発明で提供する既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造は、連続T桁高架橋のサイドスパンコンクリート打設施工を行い時に、支保工構造を提供する。
【0024】
現在、連続T桁高架橋の施工には、まず連続T桁高架橋の建設方向に沿ってポイントを決めて橋脚を築いて、築いた橋脚を基礎構造として、橋脚に橋梁を築いて、橋梁の施工は、片持ち梁のコンクリート打設を行うとともに、サイドスパンのコンクリート打設施工を行い、最後は、連結部施工を行っている。
【0025】
本発明に提案される既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造は、片持ち梁のコンクリート打設施工を補助し、主にサイドスパンのコンクリート打設を行う。
【0026】
従来技術において、橋梁(橋の主体構造)のコンクリート打設施工は通常オールラウンド支保工架設工法を採用していて、このような工法は、地盤に対する要求が高く、施工の高さが限られているなどの欠陥がある。
【0027】
本発明は、当該既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工新型構造を提供し、当該支保工新型構造において、施工区間に一番近い完成した高架橋の橋梁を基礎構造とし、基礎構造の底部に、橋梁底部のブラケットが配置され、橋梁底部のブラケットは、基礎構造を通り抜けた両端から引っ張り可能な吊り棒1に固定され、橋梁底部のブラケットは、基礎構造に対して固定するように取り付けられた後、橋梁底部のブラケットの両側(橋梁の幅方向に)は基礎構造の側辺に対して外に伸びることで、更にコンクリート打設機器に支持を提供し、橋梁底部のブラケットを、施工区間の吊り台構造として、施工区間の施工に支持を提供する。
【0028】
説明すべきなのは、上述の基礎構造とは、完成した高架橋の橋梁、すなわち工事が完了した片持ち梁のコンクリート打設施工区間を指し、一定の構造強度を有するまで凝固している。
【0029】
上記構造において、本発明に提案される橋梁底部のブラケット全体は、プレート構造となり、橋梁底部のブラケットの上側面と基礎構造の底面の間は面-面接触となり、橋梁底部のブラケット及び基礎構造を通り抜けた両端から引っ張り可能な吊り棒1に固定されることにより、橋梁底部のブラケットと基礎構造との接続の安定度を保証し、橋梁底部のブラケットの使用上の信頼性と施工の安全性を高めることができる。
【0030】
本発明において、特に説明がない限り、橋梁の長手方向は縦方向となり、橋梁の幅方向(縦方向に垂直)は横方向となり、同時に縦方向及び横方向に垂直な垂直方向は高さ方向となる。
【0031】
本発明において、両端から引っ張り可能な吊り棒1により、橋梁底部のブラケットを基礎構造に固定し取り付けて、両端から引っ張り可能な吊り棒1の信頼性を向上させるために、本発明に限定されている通り、両端から引っ張り可能な吊り棒1は少なくとも二つを一組とし、同じ組のすべての両端から引っ張り可能な吊り棒1は、縦方向に並んで配置され、両端から引っ張り可能な吊り棒1は、縦方向に間隔を開けて複数組が配置される。本発明の一つの具体的な実施形態において、両端から引っ張り可能な吊り棒1は二つを一組とし、同じ組の二つの両端から引っ張り可能な吊り棒1は、縦方向に並んで配置され、両端から引っ張り可能な吊り棒1は、縦方向に間隔を開けて二つ配置されることにより、基礎構造に開けた穴が近すぎて広いエリアに目打ち破壊を避けることができ、また、両端から引っ張り可能な吊り棒1は横方向に間隔を開けて4組が配置され、4組の両端から引っ張り可能な吊り棒1は1列の両端から引っ張り可能な吊り棒セットを形成し、縦方向に間隔を開けて複数列の両端から引っ張り可能な吊り棒が配置される。または、本発明の他の実施形態において、両端から引っ張り可能な吊り棒1は具体的な施行要求に応じて配置することができ、橋梁底部のブラケットの安定した取り付けを満たすことができるとともに、基礎構造に大きな構造破壊を与えないことを設置条件としている。
【0032】
橋梁の荷重能力を持つ構造は、橋脚と橋梁本体を有し、本発明には、両端から引っ張り可能な吊り棒1を介して、橋梁底部のブラケットを基礎構造(橋梁主体と見なす)に取り付け、また、本発明は以下の構造を提案することで橋脚に支持を提供する。具体的には、橋脚に、横向きにした鋼管が事前に埋め込まれ、鋼管は全体の重量が軽く、曲げ抵抗性が強いという利点がある。鋼管が事前に埋め込まれた後、鋼管を介して三角形支持ブラケットと固定するように接続され、三角形支持ブラケットにより橋梁底部のブラケットに補助的な支持を提供する。
【0033】
具体的には、橋脚の内部において且つ高さ方向に、二重の前記鋼管が事前に埋め込まれ、それぞれ上部埋め込まれた鋼管2と下部埋め込まれた鋼管3となり、その中で、上部埋め込まれた鋼管2は複数本配置され、全ての上部埋め込まれた鋼管2は水平面に等間隔をあけて配置され、下部埋め込まれた鋼管3は複数本配置され、すべての下部埋め込まれた鋼管3は水平面に等間隔をあけて配置される。上部埋め込まれた鋼管2は、三角形支持ブラケットを固定して取り付けるために用いられ、下部埋め込まれた鋼管3は、コーベル部を固定して取り付けるために用いられる。
【0034】
三角形支持ブラケットの構造は以下の通りである。縦柱4と、横柱5及び斜柱6を有し、縦柱4と、横柱5及び斜柱6は何れもステンレス鋼材であり、縦柱4の外側面は平面となり、縦柱4の外側面は橋脚の側面(縦方向上の両側)に近接して配置され、横柱5は、縦柱4の頂部に配置され、斜柱6は、縦柱4と横柱5の間に配置されており且つ縦柱4及び横柱5と三角形ブラケット構造を形成する。上部埋め込まれた鋼管2は橋脚に事前に部埋め込まれ、上部埋め込まれた鋼管2の端部が橋脚に対して外に伸びた部分は、三角形支持ブラケットの縦柱4を通り抜けた後、アンカーを配置することで三角形支持ブラケットを固定する。
【0035】
本発明において、三角形支持ブラケットの下側にコーベル部7が配置され、コーベル部7と下部埋め込まれた鋼管3は固定するように接続され、コーベル部7は縦柱4に垂直上方向の支持力を提供する。本発明において、橋脚に下部埋め込まれた鋼管3が事前に埋め込まれ、下部埋め込まれた鋼管3の端部が橋脚に対して外に伸びた部分は、コーベル部7を通り抜けた後、アンカーを配置することでコーベル部7を固定する。
【0036】
具体的には、コーベル部7と縦柱4の底端の間に、当て物8が配置され、コーベル部7は当て物8を介して縦柱4に垂直上方向の支持力を提供する。本発明において、当て物8はI形鋼となり、I形鋼は縦方向に沿って配置され、横方向に複数のI形鋼が並列配置され、I形鋼の上下両側に、底板10構造が配置されてもよい。
【0037】
本発明において、両端から引っ張り可能な吊り棒1はソリッドねじ山鋼であり、両端から引っ張り可能な吊り棒1は垂直に配置され、両端から引っ張り可能な吊り棒1の上端は基礎構造の上側面を通り抜けて、両端から引っ張り可能な吊り棒1の両側(縦方向)にそれぞれ第一ベアリングビーム9が配置され、第一ベアリングビームに底板10が配置され、両端から引っ張り可能な吊り棒1は底板10を通り抜けてアンカー11に固定され、両端から引っ張り可能な吊り棒1は垂直方向に配置され、両端から引っ張り可能な吊り棒1の下端は基礎構造の下側面を通り抜け、両端から引っ張り可能な吊り棒1の両側(縦方向)にそれぞれ第一ベアリングビーム9が配置され、第一ベアリングビーム9に底板10が配置され、両端から引っ張り可能な吊り棒1は底板10を通り抜けてアンカー11に固定され、第一ベアリングビーム9と基礎構造の下側面の間に、角度調節パッド12が配置される。両端から引っ張り可能な吊り棒1はアンカー11を介して引張力を底板10に加えた後、底板10は、第一ベアリングビーム9により基礎構造に伝達する。本発明において、両端から引っ張り可能な吊り棒1の両側にそれぞれ一つの第一ベアリングビーム9が配置されることにより、作用力を均一に両端から引っ張り可能な吊り棒1の両側にある基礎構造に分散し、両端から引っ張り可能な吊り棒1の安定性を向上させる一方、基礎構造の一部が受けた力を減少させる。
【0038】
具体的には、コーベル部7に、橋脚内部に用いられたコーベル部の補強スリーブ13が配置され、下部埋め込まれた鋼管3はコーベル部の補強スリーブ13を通り抜けた後、コーベル部7に対して外に伸びて且つボルトにロックされている。
【0039】
本発明において、橋梁底部のブラケットの底面と三角形支持ブラケットの頂面に第二ベアリングビーム14が配置される。具体的には、第一ベアリングビーム9はI形鋼構造となり、ベアリングビーム14はI形鋼構造となる。
【0040】
本発明の一つの具体的な実施形態において、橋梁底部のブラケットは多層板構造となり、橋梁底部のブラケットの具体的な構造は以下の通りである。高さ方向において、橋梁底部のブラケットは、上層にある角材層15と、角材層15の下側にある竹集成材層16と、竹集成材層16の下側にある縦ビーム層17及び縦ビーム層18の下側に配置された横ビーム層を有し、角材層15は角材からなり、角材について、横方向に等間隔を開けて一列の方木が配置されており、縦方向に等間隔を開けて複数列の方木が配置されており、縦ビーム層17及び横ビーム層18は、何れも I形鋼構造を採用する。
【0041】
本発明は、既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造を提供し、橋の支保工の技術分野に属し、既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパンを施工する際の支保工の設計及び施工に適応する。本発明において、当該既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパン支保工構造は、主に仕上げ圧延ねじ節鉄筋の吊り棒(両端から引っ張り可能な吊り棒1)と橋梁底部のブラケットからなり、両端から引っ張り可能な吊り棒1は、4*2(横方向4本、縦方向2本)のレイアウトを採用し、両端から引っ張り可能な吊り棒1の上部は、基礎構造の頂部(即ちコンクリート打設作業が完了した橋梁の主体構造)に支持され、両端から引っ張り可能な吊り棒1の下部は、橋梁底部のブラケットの横ビームに接続される。橋梁底部のブラケットは、上から下への構造は、角材層15と、竹集成材(竹集成材層16)と、縦ビーム層17(縦方向に配置されたI形鋼、一部は二重綴じ設定)及び横ビーム層18(底板の横ビーム)となり、本発明は、その構造により、既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパンを施工する際に下部の空間が限られている問題を効率的に解決することができるとともに、吊り台工法と支持ブラケット工法の利点を集める。本発明はまた、橋脚に三角形支持ブラケット及びコーベル部7は配置されるとともに、橋脚に上部埋め込まれた鋼管2と下部埋め込まれた鋼管3が事前に埋め込まれ、それぞれ三角形支持ブラケット及びコーベル部7の取り付けに用いられる。三角形支持ブラケットはI形鋼を採用し、縦ビームからの荷重を受けるために用いられ、また、その荷重をコーベル部7に伝達する。橋脚に上部埋め込まれた鋼管2と下部埋め込まれた鋼管3が事前に埋め込まれており、仕上げ圧延ねじ節鉄筋を介してそれぞれ三角形支持ブラケットとコーベル部7と固定するように接続され、三角形支持ブラケットとコーベル部7を橋脚本体にしっかり貼り合わせる。下部埋め込まれた鋼管3は横方向に沿って伸び、また水平に橋脚に事前に埋め込まれ、下部埋め込まれた鋼管3の一端はコーベル部の予備溝の位置を空けて、もう一端は橋脚本体の表面に伸びる。上部埋め込まれた鋼管2は下部埋め込まれた鋼管3の上方に位置し、横方向に沿って伸び、また水平に橋脚に事前に埋め込まれ、上部埋め込まれた鋼管2の一端は三角形支持ブラケット5の補強リブと突き当り、もう一端は下部埋め込まれた鋼管3と同じ側にある橋脚本体まで伸びる。仕上げ圧延ねじ節鉄筋はそれぞれ上、下部埋め込まれた鋼管3の内部に配置され、横方向に伸びて、その両端は何れも橋脚の外に伸び出しており、且つ同じ側は上部埋め込まれた鋼管においてブラケットの横ビームの端部と固定するように接続され、下部埋め込まれた鋼管において予備溝に深く伸びたコーベル部7と固定するように接続され、もう片側は橋脚本体の表面にアンカーで固定される。コーベル部7にベアリングビームが配置され、三角形支持ブラケットの縦柱4は、当該ベアリングビームに配置される。三角形支持ブラケットは、横柱5と、縦柱4と、斜柱6から溶接されて構成され、コーベル部7に配置される。底板の横ビームは横方向に縦ビールの下に配置され、縦ビームは三角形支持ブラケットの横柱5に配置され、横向きにしたI形鋼は、縦ビームに配置され、縦向きにした角材は横向きにしたI形鋼に配置され、竹集成材は縦向きにした角材に配置される。架設型枠打設完了後、橋梁の頂部に、縦向きにしたI形鋼のベアリングビームを配置し、底板の横ビームの下側に配置された縦向きのI形鋼のベアリングビームと縦方向に対応し、2本の仕上げ圧延ねじ節鉄筋を吊り棒とし、上と下のI形鋼のベアリングビームを接続してアンカーで固定し、4本の仕上げ圧延ねじ節鉄筋を配置する。
【0042】
本発明の利点は以下の通りである。
第一、本発明により提案された支保工構造により、既存線路にまたがる連続T桁高架橋のサイドスパンを施工する際に下部の空間が限られている問題を効率的に解決することができるとともに、床上形支保工架設工法と付着形支保工架設工法に比べて、支保工の使用量を減少させ、費用の投入を大幅に低減することと、
第二、本発明により提案された支保工構造は、吊り台工法と支持ブラケット工法の利点を集め、従来の吊り台に必要な吊り足場を減少し、従来の支持ブラケットに対してその安全性を保障すると同時に、支保工の使用量を減少させることと、
第三、本発明により提案された支保工構造は、取り外しが便利で、工期が短く、安全で信頼性を持ち、特に既存路線にまたがる橋の施工に適応する。
【0043】
最後に説明すべきなのは、上述は本発明の好適な実施形態にすぎず、本発明を限定するものではないが、前記実施形態を参照して本発明を詳細に説明するが、当業者にとっては、前記各実施形態に記載の技術的態様を修正したり、その一部の技術的特徴を同等に置換したりすることができる。本発明の精神及び原則において行われたいかなる修正、均等置換、改善等は、本発明の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
両端から引っ張り可能な吊り棒;2、上部埋め込まれた鋼管;3、下部埋め込まれた鋼管;4、縦柱;5、横柱;6、斜柱;7、コーベル部;8、当て物;9、第一ベアリングビーム;10、底板;11、アンカー;12、角度調節パッド;13、コーベル部の補強スリーブ;14、第二ベアリングビーム;15、角材層;16、竹集成材層;17、縦ビーム層;18、横ビーム層。
【外国語明細書】