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特開2022-179466クリップユニットおよびクリップアプリケータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179466
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】クリップユニットおよびクリップアプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/122 20060101AFI20221125BHJP
   A61B 17/128 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61B17/122
A61B17/128
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083917
(22)【出願日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】63/191,389
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】田村 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】上阪 健輔
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD13
4C160DD23
4C160MM33
(57)【要約】
【課題】 湾曲した内視鏡のチャンネル内を容易に通過できるクリップユニットおよびクリップアプリケータを提供する。
【解決手段】 クリップユニットは、開閉可能に構成された複数のアームを有するクリップと、長手方向に延びる長手軸を有し、先端連結部と基端連結部を長手方向に接続する棒状部を含む連結部材と、を備え、前記先端連結部は、前記クリップに取り外し可能に接続され、基端連結部はクリップアプリケータの力伝達部材に接続可能に構成され、前記棒状部は、前記長手軸に対して直交する断面において、前記長手軸に直交する第一方向に第一長さを有し、前記長手軸に直交する第二方向に第二長さを有し、前記第一方向および前記第二方向は互いに直交し、前記第一長さは前記第二長さより短い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能に構成された複数のアームを有するクリップと、
長手方向に延びる長手軸を有し、先端連結部と基端連結部を長手方向に接続する棒状部を含む連結部材と、を備え、
前記先端連結部は、前記クリップに取り外し可能に接続され、基端連結部はクリップアプリケータの力伝達部材に接続可能に構成され、
前記棒状部は、前記長手軸に対して直交する断面において、前記長手軸に直交する第一方向に第一長さを有し、前記長手軸に直交する第二方向に第二長さを有し、
前記第一方向および前記第二方向は互いに直交し、
前記第一長さは前記第二長さより短い
クリップユニット。
【請求項2】
前記複数のアームの開閉方向は、前記第一方向と略一致する
請求項1に記載のクリップユニット。
【請求項3】
前記複数のアームは、板材で形成され、
前記複数のアームが閉状態であり、前記連結部材に接続されているときに、前記複数のアームが対向している位置における前記複数のアームの板厚方向は前記第一方向と略一致する
請求項1に記載のクリップユニット。
【請求項4】
前記第一方向における前記先端連結部の長さは第三長さで規定され、前記第一長さは前記第三長さより短い
請求項1に記載のクリップユニット。
【請求項5】
前記先端連結部は、所定の張力で破断する破断部を含み、
前記破断部の破断強度は、前記棒状部の破断強度より低い
請求項1に記載のクリップユニット。
【請求項6】
押さえ管本体および少なくとも一つの突没ウイングを含む押さえ管を備え、
前記押さえ管本体の内部空間に少なくとも前記クリップの基端部が挿入可能であり、
少なくとも前記突没ウイングが突出状態と後退状態との間で移動可能であり、
前記突出状態において、少なくとも一つの前記突没ウイングが前記押さえ管本体の外周面に対して径方向の外側に突出し、前記後退状態において、少なくとも一つの前記突没ウイングが前記押さえ管本体の筒部内に位置する
請求項1に記載のクリップユニット。
【請求項7】
前記後退状態における前記少なくとも一つの突没ウイングと前記棒状部の表面との間の前記第一方向の最小離間距離が第四長さであり、
前記第一長さは前記第四長さ以下である
請求項6に記載のクリップユニット。
【請求項8】
前記少なくとも一つの突没ウイングが前記後退状態にあり、前記連結部材が前記押さえ管本体に対して相対的に基端側に移動して前記押さえ管本体の前記内部空間内に進入しているとき、前記連結部材の前記先端連結部が前記少なくとも一つの突没ウイングに接触する
請求項7に記載のクリップユニット。
【請求項9】
前記少なくとも一つの突没ウイングは第一突没ウイングであり、
前記押さえ管は、第二突没ウイングを備え、
前記第一突没ウイングおよび前記第二突没ウイングは、径方向に対向する位置に配置される
請求項6に記載のクリップユニット。
【請求項10】
前記後退状態において、前記第一方向における前記第一突没ウイングと前記第二突没ウイングとの最小離間距離は第四長さであり、
前記第一長さは前記第四長さ以下である
請求項9に記載のクリップユニット。
【請求項11】
開閉可能に構成された複数のアームを有するクリップと、
前記クリップを操作する力伝達部材と、
前記クリップと取り外し可能に接続される先端連結部、前記力伝達部材に取り外し可能に接続される基端連結部、および長手方向に延びる長手軸を有し、前記先端連結部と前記基端連結部とを長手方向に接続する棒状部を含む連結部材と、
前記クリップ、前記力伝達部材、および前記連結部材が挿入されたシースと、を備え、
前記棒状部は、前記長手軸に直交する断面において、前記長手軸に直交する第一方向に第一長さを有し、前記長手軸に直交する第二方向に第二長さを有し、
前記第一長さおよび前記第二長さは互いに直交し、
前記第一長さは前記第二長さより短い
クリップアプリケータ。
【請求項12】
押さえ管本体および少なくとも一つの突没ウイングを含む押さえ管を備え、
前記クリップの少なくとも基端の部分は、前記押さえ管本体の内部空間に進入可能であり、
前記少なくとも一つの突没ウイングは、突出状態と後退状態との間で移動可能であり、
前記突出状態において、前記少なくとも一つの突没ウイングは前記押さえ管の外周面に対して径方向外側に突出しており、後退状態において、前記少なくとも一つの突没ウイングは、前記押さえ管本体の筒部内に位置する
請求項11に記載のクリップアプリケータ。
【請求項13】
前記後退状態において、前記少なくとも一つの突没ウイングと前記棒状部の表面との前記第一方向における最小離間距離は、第四長さであり、
前記第一長さは前記第四長さ以下である
請求項12に記載のクリップアプリケータ。
【請求項14】
前記少なくとも一つの突没ウイングが前記後退状態であり、かつ、前記連結部材が前記押さえ管本体に対して相対的に基端側に移動して前記押さえ管本体の前記内部空間内に進入しているとき、前記連結部材の前記先端連結部が前記少なくとも一つの突没ウイングに接触する
請求項13に記載のクリップアプリケータ。
【請求項15】
前記少なくとも一つの突没ウイングは第一突没ウイングであり、
前記押さえ管は、第二突没ウイングを備え、
前記第一突没ウイングおよび前記第二突没ウイングは、径方向に対向する位置に配置される
請求項12に記載のクリップアプリケータ。
【請求項16】
前記後退状態において、前記第一方向における前記第一突没ウイングと前記第二突没ウイングとの最小離間距離は第四長さであり、
前記第一長さは前記第四長さ以下である
請求項15に記載のクリップアプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、内視鏡用のクリップユニットおよびクリップアプリケータに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2021年5月21日に米国に出願された仮出願番号63/191,389号に基づく出願であり、その仮出願に基づき優先権を主張する。
【0003】
内視鏡術において、止血等の処置後に、創傷等を結紮可能なクリップユニットが用いられている。クリップユニットは、組織の切開部等を挟むクリップと、クリップを収容しクリップを閉じた状態で係止する押さえ管等を含む。クリップユニットは、特許文献1に開示されているような内視鏡のチャンネルを通じて挿入可能な導入装置によって処置対象部位に導入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特許5750620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、導入装置によって内視鏡のチャンネルを通じてクリップユニットが挿入されるとき、クリップユニットは、内視鏡の湾曲したチャンネルを通過するのが容易でない場合がある。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、クリップを力伝達部材に接続する接続部材の破損も防ぎながら内視鏡の湾曲したチャンネルへの挿通が容易であるクリップユニットおよびクリップアプリケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提案する。
【0008】
本発明の一形態に係るクリップユニットは、開閉可能に構成された複数のアームを有するクリップと、長手方向に延びる長手軸を有し、先端連結部と基端連結部を長手方向に接続する棒状部を含む連結部材と、を備え、前記先端連結部は、前記クリップに取り外し可能に接続され、基端連結部はクリップアプリケータの力伝達部材に接続可能に構成され、前記棒状部は、前記長手軸に対して直交する断面において、前記長手軸に直交する第一方向に第一長さを有し、前記長手軸に直交する第二方向に第二長さを有し、前記第一方向および前記第二方向は互いに直交し、前記第一長さは前記第二長さより短い。
【0009】
本発明の一形態に係るクリップアプリケータは、開閉可能に構成された複数のアームを有するクリップと、前記クリップを操作する力伝達部材と、前記クリップと取り外し可能に接続される先端連結部、前記力伝達部材に取り外し可能に接続される基端連結部、および長手方向に延びる長手軸を有し、前記先端連結部と前記基端連結部とを長手方向に接続する棒状部を含む連結部材と、前記クリップ、前記力伝達部材、および前記連結部材が挿入されたシースと、を備え、前記棒状部は、前記長手軸に直交する断面において、前記長手軸に直交する第一方向に第一長さを有し、前記長手軸に直交する第二方向に第二長さを有し、前記第一長さおよび前記第二長さは互いに直交し、前記第一長さは前記第二長さより短い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、クリップアプリケータの斜視図である。
図2図2は、本発明の第一実施形態に係るクリップユニットの斜視図である。
図3図3は、クリップユニットの斜視図であり、押さえ管の内部の特徴を示している。
図4図4は、クリップユニットの連結部材の斜視図である。
図5図5は、図4に示すX-X線に沿う断面図である。
図6図6は、シースに挿入されたクリップの断面図である。
図7図7は、クリップユニットを収容しているカートリッジの斜視図である。
図8図8は、クリップユニットを収容しているカートリッジの断面図である。
図9図9は、蓋が外された同カートリッジの分解断面図である。
図10図10は、カートリッジの調整部材の斜視図である。
図11図11は、クリップの一対のアームによって調整部材が把持された状態を示す斜視図である。
図12図12は、調整部材の斜視図である。
図13図13は、調整部材が第一領域で把持された状態を示す平面図である。
図14図14は、同カートリッジを用いたクリップユニットの装着方法を示す図である。
図15図15は、同カートリッジを用いたクリップユニットの装着方法を示す図である。
図16図16は、同カートリッジを用いたクリップユニットの装着方法を示す図である。
図17図17は、同カートリッジを用いたクリップユニットの装着方法を示す図である。
図18図18は、同カートリッジを用いたクリップユニットの装着方法を示す図である。
図19図19は、同カートリッジを用いたクリップユニットの装着方法を示す図である。
図20図20は、同カートリッジを用いたクリップユニットの装着方法を示す図である。
図21図21は、同カートリッジを用いたクリップユニットの装着方法を示す図である。
図22図22は、図21に示す保持管の拡大図である。
図23図23は、同カートリッジを用いたクリップユニットの装着方法を示す図である。
図24図24は、同カートリッジを用いたクリップユニットの装着方法を示す図である。
図25図25は、同カートリッジを用いたクリップユニットの装着方法を示す図である。
図26図26は、同カートリッジを用いたクリップユニットの装着方法を示す図である。
図27図27は、体内に導入した後のクリップユニットの状態を示す図である。
図28図28は、クリップユニットに備える一対のアームが閉じた状態を示す図である。
図29図29は、クリップが係止されているクリップユニットを示す図である。
図30図30は、クリップが連結部材から分離されているクリップユニットを示す図である。
図31図31は、シースから外れた後のクリップユニットを示す図である。
図32図32は、他の実施形態の引込翼を示す断面図である。
図33図33は、押さえ管の一部内に図32に示す他の実施形態の引込翼が配置された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
追加的な特徴および優位性は以下の説明に記載され、一部が明らかになり、あるいは、本発明の実施によって理解され得る。その目的および他の優位性は、明細書、請求項、および添付の図面に特に示されている構造によって実現できる。
【0012】
以下、添付の図面に示した例を参照し、本開示の実施形態の詳細を説明する。
【0013】
上述の一般的な説明および以下に示す詳細な説明は、例示的かつ説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている開示の更なる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
【0014】
添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するための内容が含まれ、本出願に組み込まれ、本出願の一部を構成するものであり、本開示の実施形態を例示し、実施形態と共に本開示の本質を説明するために役立てることができる。図示した実施形態は、開示している配置および手段と同一のもののみに限定されない。
【0015】
全ての図において、分かりやすくするために構成要素は適宜寸法を調整している。見やすさのために、言及する機能の一部のみに符号を付している場合がある。
【0016】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について図1から図31を参照して説明する。カートリッジシステム100は、クリップユニット1およびクリップユニット1を収容するカートリッジ5を含む。カートリッジシステム100は、クリップユニット1をクリップアプリケータ200に容易に引き込むための支援システムである。
【0017】
(クリップアプリケータ)
図1は、クリップアプリケータ200の斜視図である。クリップアプリケータ200は、シース220、操作ワイヤ230、および操作ユニット240を含む。クリップアプリケータ200は、内視鏡の処置具挿入チャンネルに挿入され、例えば、内視鏡と協働して使用される。したがって、シース220は、内視鏡の処置具挿入チャンネルの長さより十分に長く形成されている。シース220は、可撓性を有し、内視鏡の処置具挿入部の湾曲に追従して曲がる。
【0018】
シース220は、先端221、先端コイル222、および基端コイル224を含み、一般に長尺なチューブ形状に形成されている。先端コイル222は、シース220の先端に設けられる。先端221は、先端コイル222の先端側に設けられている。
【0019】
図1に示すように、操作ワイヤ230(力伝達部材とも言う)は、矢じりフック部231(連結部とも言う)を有する。矢じりフック部231は、矢じりフック部231を操作するためのワイヤ232とクリップユニット1とを取り外し可能に接続するように構成されている。矢じりフック部231は、クリップユニット1と係合可能な略円錐形状有する係合部231aと、係合部231aの基端に設けられたワイヤ連結部231bとを含む。矢じりフック部231は、例えば、ステンレス鋼等の金属で形成されている。ワイヤ232は、進退自在にシース220のチャンネル内に配置されている。ワイヤ232の先端は、例えば、溶接等によって、ワイヤ連結部231bの基端と固定されている。
【0020】
図1に示すように、操作ユニット240は、操作ユニット本体241、スライダ242、および指掛けリング248を含む。操作ユニット本体241は、例えば、樹脂材料により射出成型されている。操作ユニット本体241は、スリット部241aと、遠位端側の回転グリップ241bとを含む。スリット部241aは、スライダ242がスリット部241aの長さ方向に沿って進退可能にスライダ242を支持している。スライダ242は、操作ユニット本体241の長手軸方向に後退可能に設けられており、ワイヤ232の基端がスライダ242に取り付けられている。スライダ242が操作ユニット本体241に沿って進退すると、ワイヤ232がシース220に対して進退し、矢じりフック部231が進退する。指掛けリング248は操作ユニット本体241の基端に配置されており、操作ユニット本体241の長手軸回りに回転可能に設けられている。
【0021】
(クリップユニット)
図2は、本実施形態に係るクリップユニット1の斜視図である。クリップユニット1は、クリップ2と、締付部材としての押さえ管3と、連結部材4とを含む。図3は、クリップユニット1の斜視図であり、押さえ管3の内部の特徴を示すために押さえ管3を破線で示している。
【0022】
以下の説明において、クリップユニット1の長手方向Aにおけるクリップ2側をクリップユニット1の先端側A1と称し、連結部材4側をクリップユニット1の基端側A2と称する。長手方向Aに直交する方向を「第一方向B」あるいは「左右方向B」と規定する。長手方向Aおよび第一方向Bに直交する方向を「第二方向C」または「縦方向C」と規定する。各方向A,B,Cは、図に付随する軸で示され、各方向A,B,Cが直交して示されている。
【0023】
クリップ2は、例えば、ステンレス鋼等の金属製の板材のような板バネ材が中央部で曲げられて形成されている。クリップ2は、開閉可能に構成された一対のアーム21と、一対のアーム21を接続する連結部22とを有する。一対のアーム21は、第一アーム211と第二アーム212を有する。第一アーム211および第二アーム212クリップユニット1の長手方向Aの中心軸に対して対称に配置されている。一対のアーム21の先端には組織把持部23が形成され、互いに対向している。組織把持部23は、一対のアーム21の先端が曲げられて形成されている。
【0024】
一対のアーム21の基端には、長手方向Aに直交する方向に突出する係合部24を含む。組織把持部23側に位置する係合部24の辺は、中心軸O1に対して90度以下の鋭角な傾斜を有して形成されており、連結部22側に位置する係合部24の辺は中心軸O1の方向に対して鈍角な鈍角傾斜を有する。
【0025】
連結部22は、典型例として、曲げられてU字形状に形成され、連結部材4(詳細は後述する)に接続される。連結部22は、一対のアーム21が開状態となるように付勢されている。したがって、クリップ2の一対のアーム21は、開閉方向Pに対して自己拡張力を有する。連結部22が連結部材4に接続されるとき、一対のアーム21の開閉方向Pは第一方向Bに略一致する。
【0026】
押さえ管3は、筒形状に形成された押さえ管本体30と、突没ウイング31とを有する。押さえ管本体30は、例えば、PPA(ポリフタルアミド)、PA(ポリアミド)等、適度な弾性を有し、クリップ2の材質よりも軟性の高剛性樹脂を射出成型して形成されている。加えて、押さえ管本体30は、高剛性樹脂に代えて金属で形成してもよい。
【0027】
突没ウイング(係合部)31は、押さえ管本体30の外周面30aから突出し、外周面30aの形状に沿って円弧形状に凸状である一対の部位を含む。突没ウイング31は、中心軸O1を通る押さえ管本体30の両側に設けられている。突没ウイング31は、突出状態と後退状態との間で移動可能である。突出状態において、突没ウイング31の本体は押さえ管本体30の外周面30aに対して径方向外側に突出する。後退状態において、突没ウイング31の本体は、押さえ管本体30の筒部内に配置される。突没ウイング31は、弾性変形可能なプラスチックで形成され、突没ウイング31は、径方向内側への力を受けることによって後退位置に移動する。上述の内側への力が解除されると、突没ウイング31は、後退状態から突出状態に移動する。
【0028】
より好ましくは、突没ウイング31が径方向に突出状態であるとき(図27参照)、突没ウイング31の外周面31aは、押さえ管本体30の外周面30aから外方に突出し、突没ウイング31の内周面31bは押さえ管本体30の内周面30bと略等しい位置に位置する。さらに、より好ましくは、突没ウイング31が径方向に後退状態であるとき(図22参照)、突没ウイング31の外周面31aは押さえ管本体30の外周面30aと略等しい、あるいは、シース220の内周面220bと略等しい位置に位置し、かつ、突没ウイング31の内周面31bは押さえ管本体30の内周面30bに対して相対的に内側に突出する。
【0029】
図4は、連結部材4の平面図である。連結部材4は、長手軸に沿って長手方向に延び、一端がクリップ2の連結部22に接続され、他端が、矢じりフック部231との接続などによって、シース220内に挿通された操作ワイヤ230に接続されている。すなわち、連結部材4は、クリップ2と操作ワイヤ230とを接続する。連結部材4は、棒状部43と、押さえ管3の内部空間に挿入された先端連結部41と、基端連結部44とを含む。棒状部43は、長手軸に沿って、先端連結部41の基端を基端連結部44に長手方向に接続する。
【0030】
先端連結部41は、クリップ2の連結部22と係合する係合部である。先端連結部41は、先端側A1に設けられたフック41fと、フック41fの基端側A2に設けられた破断部41bと、破断部41bの基端側A2に設けられた筒状部41cとを有する。フック41fは、長手方向Aに直交する第二方向Cに延びるフックであり、略円筒棒形に形成されている。しかし、フック41fの形状は略円筒棒形に限定されず、他の形状を用いることができる。例えば、直交する第二方向Cの長さが、直交する第一方向Bおよび/または長手方向Aの長さより長いアスペクト比を有する形状であってもよい。このような形状は、第二方向Cに直交する断面形状が、楕円形状、卵型、半月型、三角形、矩形、台形、例えば、5辺以上(5辺から20辺の範囲)の多角形等であってもよい。正多角形および非正多角形を用いることができる。例えば、クリップ2の曲げられた中心部の内部領域にフック41fが挿入されることによって連結部22がフック41fに引っ掛けられることによって、クリップ2の連結部22がフック41fに係止される。
【0031】
破断部41bは、フック41fに対して連結部22が牽引されることによって、破断部の基端側に所定量、最大90N(ニュートン)、例えば20N以上の張力等の破断力が加わったときに破断する。さらに、破断部41bは、物理的な分離の有無に関わらず、破断部41bを連結部22のフック41fとクリップ2の連結部材4との間の接続を解除するための機構を備えていてもよい。例えば、連結部22とフック41fとの間の接続を解除するための機構は、塑性変形や弾性変形によって、連結部22がフック41fと係合しない状態となるように破断部41bが(破断することなく)変形する構成を含んでもよい。
【0032】
筒状部41cは、筒状に形成されている。筒状部41cの基端側A2には、長さ方向の位置が長手軸に沿って基端側に移動するにつれて、径方向の長さが基端側に向かって小さくなるテーパ面41tを有する。
【0033】
棒状部43は、長手方向Aに延びる略棒状部材である。棒状部43は、先端連結部41と基端連結部44との間に設けられており、先端連結部41と基端連結部44とを接続している。典型例として、長手方向Aにおける棒状部43の長さは直交方向である第一方向Bおよび/または第二方向Cにおける棒状部43の長さより大きい。しかし、棒状部43の形状は略円筒棒状に限定されず、棒状部43が所望の方向に曲げられるような(長手方向Aに直交する断面における)アスペクト比を備えた他の好適な形状を使用し得る。例えば、(長手方向Aに直交する断面における)形状が、直交する第一方向Bの長さが直交する第二方向Cの長さよりも大きいアスペクト比を有する形状であり、直交する第二方向Cに棒状部43をより容易に曲げられる形状を使用し得る。同様に、(長手方向Aに直交する断面における)形状が、直交する第二方向Cの長さが直交する第一方向Bの長さよりも大きいアスペクト比を有する形状であり、直交する第一方向Bに棒状部43をより容易に曲げられる形状を使用し得る。そのような形状は、長手方向に直交する断面において、楕円形状、卵型、半月型、三角形、矩形、台形、例えば、5辺以上(5辺から20辺の範囲)の多角形等であってもよい。正多角形および非正多角形を用いることができる。
【0034】
図5は、図4に示すX-X線に沿う断面図である。長手方向Aに直交する断面において、棒状部43は、第二方向Cにおける第二長さD2より短い第一方向Bの第一長さD1を有する(D2>D1)。長手方向Aに直交する断面において、棒状部43は、第一長さD1が第二長さD2よりも短い長方形または楕円形である。以下に示す他の規則的および不規則な幾何学形状を使用し得る。図4にも示しているように、棒状部43の第一長さD1は、先端連結部41の第一方向Bの第三長さD3よりも短い。
【0035】
基端連結部44は、矢じりフック部231のような、クリップアプリケータ200の係合部と係合可能に構成されている。基端連結部44は、棒状部43の基端に設けられている。基端連結部44は、棒状部43に対して弾性変形可能であり、基端連結部44は、棒状部43に対して開閉可能である。矢じりフック部231の係合部231aを保持して収納する爪44mが、一対の基端連結部44の間の領域に形成されている。爪44mは矢じりフック部231の係合部231aの外周面に近接する形状に形成されている。
【0036】
図6は、シース220に引き込まれたクリップユニット1の断面図である。クリップユニット1は、湾曲した内視鏡の処置具挿入チャンネルCHを経てシース220に引き込まれている。連結部材4は、第一方向Bの第一長さD1が第二方向Cの第二長さD2より短い棒状部43を有し、連結部材4は、第二方向Cより第一方向Bに容易に湾曲する。シース220およびシース220内に引き込まれたクリップユニット1もクリップ装置300と称する。
【0037】
連結部材4に接続されたクリップ2の一対のアーム21の開閉方向Pは、第一方向Bと略同一線上である。一対のアーム21は開閉方向Pに対して容易に湾曲するため、クリップ2も第一方向Bに容易に湾曲する。ちなみに、クリップユニット1が図6に示すように湾曲した場合、開閉方向Pと第一方向Bとは完全一致しないが、開閉方向P、第一方向B、および水平中心軸O1を含む平面(以下、「面AB」と称する。)が存在する。この場合、クリップ2は面AB内で曲がりやすい。
【0038】
各アームにおいて、各アーム21が閉状態かつ連結部材4に接続されているときに各アーム21が対向する箇所の板厚方向Tは、第一方向Bと略一致する。各アーム21が対向する位置における各アームの板幅方向Xは、第二方向Cに略一致する。各アーム21の板厚方向Tの長さは、板幅方向Xの長さよりも短いため、一対のアーム21は、板厚方向Tに対して容易に曲がる。したがって、この結果、クリップ2は、第一方向Bに曲がりやすい。
【0039】
クリップ装置300が、内視鏡の湾曲した処置具挿入チャンネルCHに挿入されているとき、面ABが処置具挿入チャンネルCHの湾曲方向に水平になるようにクリップユニット1またはクリップ装置300は中心軸O1回りに回転する。この結果、図6に示すように、面ABが処置具挿入チャンネルCHの湾曲方向に水平になる。
【0040】
上述の通り、クリップ2および連結部材4は共に第一方向Bに曲がりやすく構成されている。この結果、処置具挿入チャンネルCHの湾曲方向および第一方向Bを合わせることによって、クリップユニット1は、処置具挿入チャンネルCH内を容易に通過できる。
【0041】
次に、クリップユニット1の操作について説明する。クリップ2の連結部22を押さえ管3の内部に先端開口3aから挿入し連結部材4に連結する。連結部22が連結部材4に係合することによって、クリップは押さえ管3の基端側に牽引され、一対のアーム21が次第に近付き、押さえ管3内に引き込まれる。一対のアーム21が押さえ管3内に位置し、各アーム21の一部が押さえ管3の外側に残っている状態で連結部22の牽引力が開放され、一対のアーム21の自己拡開力が復元力として作用すると、クリップ2が押さえ管3の遠位側に移動し、一対のアーム21が開状態に戻る。
【0042】
連結部22が押さえ管の基端側に更に牽引されたとき、係合部24は、押さえ管3の基端側に向かって後退し、十分な距離で牽引されると、基端開口3bを通過する。係合部24の連結部22側は緩やかな傾斜が形成されているため、係合部24は、基端側に向かって容易に後退し、基端開口3bを通過する。一方、係合部24の先端側の辺は、クリップ2の組織把持部23に向かって急な傾斜で形成されているため、係合部24が後退して基端開口3bを通過したとき、係合部24はおよび基端開口3bが係合する。この結果、係合部24は、押さえ管3の内部空間に入らず、一対のアーム21が閉状態でロックされる。一対のアーム21が閉状態でロックされたとき、一対のアーム21は、開状態に戻れない。
【0043】
(カートリッジ)
図7は、クリップユニット1が収容されたカートリッジ5の斜視図である。図8は、クリップユニット1が収容されたカートリッジ5の断面図である。カートリッジ5は、ケース6および規制部材7を含む。例示的な実施形態において、カートリッジ5の幅は約10mm~20mm、カートリッジ5の長さは約50mm、カートリッジ5の厚さは約5mmであり、このような寸法であれば、カートリッジ5を手で容易に保持できる。
【0044】
図7に示すように、カートリッジ5の長さ方向Lに直交する2方向の一方を「幅方向W」と規定し、他方を「高さ方向H」と規定する。長さ方向Lおよび幅方向Wに水平な面を「水平面HP」と称する。長さ方向Lおよび高さ方向H上の水平面を“垂直面VP”と称する。だらに、クリップユニット1が収容されたカートリッジ5において、一対のアーム21側がカートリッジ5の先端側であり、連結部材4側がカートリッジ5の基端側である。
【0045】
ケース6は、ケース本体60と、押圧部65と、シース連結部66とを含む。ケース6は、例えば、ABS、PC、PP、PS、アクリル、シクロオレフィンポリマー等、適度な高度を備え、透明な樹脂材料で射出成型により製造されている。ケース6が透明な樹脂材料を用いて形成されているため、ユーザは、クリップユニット1がカートリッジ5内に存在するか否かが容易に分かる。
【0046】
例示的な実施形態において、ケース本体60は、直方体の箱型に形成されている。ケース本体60の幅方向Wの長さは、ケース本体60の高さ方向Hの長さより長い。
【0047】
ケース本体60は、クリップユニット1が長さ方向Lに移動可能に収容される収納領域6Sを含む。収納領域6Sは、第一領域61と、第二領域62と、畳み部63とを含む。図8に示すように、ケース6の長さ方向Lに先端から基端に向かって、第一領域61、第二領域62および畳み部63が配置されている。第一領域61、第二領域62および畳み部63は、収納領域6Sの長さ方向Lにおいて、中心軸O2を含む垂直面VPに対して対称に形成された内部空間である。
【0048】
図9は、蓋60aが外された状態のカートリッジ5の断面図である。ケース本体60は、ケース本体60の遠位端に蓋60aを有する。蓋60aは、ケース本体60の収納領域6Sの遠位端側の開口60bを開閉する。クリップユニット1は、開口60bを通じて収納領域6Sに挿入されることによってケース本体60の収納領域6Sに収納される。図9に示すように、クリップユニット1は、ケース6の長さ方向Lに沿ってクリップユニット1の中心軸O1が位置するように収納領域6S内に収納される。クリップユニット1は、一対のアーム21の開閉方向Pがケース6の幅方向Wに略一致するように収納領域6S内に収納される。
【0049】
第一領域61は、クリップユニット1が長さ方向Lに移動可能に収納される内部空間である。第一領域61は、第二領域62と連通している。第二領域62は、クリップユニット1が長さ方向Lに移動可能に収納される内部空間である。長さ方向Lにおける第二領域62の長さは、長さ方向Lにおける第一領域61の長さより短い。第二領域62は、畳み部63と連通している。
【0050】
図9に示すように、第一領域61の幅方向Wの長さW1は、開状態の一対のアーム21の開口幅W3より短い。第二領域62の幅方向Wの長さW2は、開状態の一対のアーム21の開口幅W3より長い。畳み部63は、拡径部63aと、テーパ部63bと、縮径部63cとを有する。先端から基端に向かって順に、拡径部63a、テーパ部63b、および縮径部63cが配置されている。拡径部63aは、連結部材4の基端連結部44を弾性変形させて拡張(例えば、開閉)させることができる。例えば、矢じりフック部231とクリップアプリケータ200のクリップユニット1の連結部材4とが係合しているとき、拡径部63aは、連結部材4の基端連結部44が中心軸O1に直交する方向に開閉可能となるような寸法を有する。
【0051】
テーパ部63bは、拡径部63aの基端側に設けられ、テーパ形状に形成されている。テーパ部63bは、基端側から先端側に向かって拡がっている。したがって、押さえ管3が先端側から基端側二向かってスライドするとき、押さえ管3の突没ウイング31は、押さえ管本体30の内部に収納される。
【0052】
縮径部63cは、突没ウイング31を後退状態で保持する領域である。縮径部63cは、クリップユニット1がカートリッジ5内に収納されているときに、連結部材4の基端連結部44が拡がることを防いだ状態で、基端連結部44を保持できる。
【0053】
縮径部63cは、テーパ部63bと円滑に連結される。押さえ管3が縮径部63cに向かって先端側から基端側にスライドするとき、押さえ管3の突没ウイング31がテーパ部63bに当接し、突没ウイング31が押さえ管本体30内に収納された状態になる。したがって、押さえ管3の突没ウイング31を収納状態に移行できる。
【0054】
図7に示すように、押圧部65は、ケース本体60の基端に設けられた板状部材である。押圧部65は、第一押圧部651および第二押圧部652を有する。第一押圧部651および第二押圧部652は、ケース6の高さ方向Hに互いに対向するように設けられている。
【0055】
押圧部65は、ケース本体60に連結される連結部65aを有する。連結部65aは、第一押圧部651および第二押圧部652とケース本体60とをそれぞれ個別に接続する。第一押圧部651と第二押圧部652とが互いに離れた状態で、連結部65aが曲がる。したがって、第一押圧部651と第二押圧部652との間に空間65bが形成される。第一押圧部651と第二押圧部652とは、先端側よりも基端側の方がより離間する。
【0056】
第一押圧部651および第二押圧部652は、例えば、約20mm角であり、指で挟むために好適なサイズを有する。第一押圧部651および第二押圧部652を押さえ込むときの滑り止め面として、第一押圧部651および第二押圧部652の各外周面には、例えば、半球状に窪む複数の凹部65cを含む。
【0057】
シース連結部66は、シース220を挿入可能な挿入溝である。シース連結部66は、第一押圧部651および第二押圧部652の内面に形成された円弧形状の溝であり、収納領域6S内の畳み部63の縮径部63cと連通している。シース連結部66は、直径が不変の直線部66aと、基端側の入口67に向かって次第に拡径するテーパ部66bとを有する。シース220は、テーパ部66bを経て直線部66aに入り、縮径部63cの基端側に当接する。入口67の内径は、例えば、3mm以上である。
【0058】
ユーザは、シース220が入口67からシース連結部66内に挿入された状態で、第一押圧部651および第二押圧部652を押さえ込むことによって、シース220をケース6に固定できる。
【0059】
図10は、規制部材7の斜視図である。規制部材7は、クリップユニット1と共に移動可能に第一領域61および第二領域62内に収納されている。規制部材7は、例えば、ケース6と同様の樹脂で形成されている。ケース6内で規制部材7を視認し易くするために、規制部材7は、ケース6に用いられる透明樹脂と同様の樹脂で形成しなくてもよい。
【0060】
図10に示すように、規制部材7は、中心軸O3を含む垂直面VPに対して対称な形状に形成されている。規制部材7は、先端部71と、突出部72と、テーパ部73と、押圧部74とを含む。先端部71、突出部72、テーパ部73、および押圧部74は、規制部材7の中心軸O3に沿って先端から基端に向かって順に配置されている。
【0061】
図11は、一対のアーム21に保持された規制部材7の斜視図である。規制部材7は、クリップユニット1の中心軸O1と略一致するように、中心軸O3上でクリップ2に把持されている。図8に示すように、クリップユニット1は、規制部材7を把持しているクリップ2とともに収納領域6Sに収納される。この配置において、中心軸O1,O2,O3は互いに一致することが望ましい。
【0062】
先端部71は、突出部72から先端側に向かって突出して設けられている。先端部71の先端は、規制部材7を把持するクリップ2の組織把持部23よりも先端側に配置されている。したがって、先端部71は、クリップ2の組織把持部23がケース本体60と接触することを防止できる。さらに、先端部71の先端は中心軸O3と直交する平面で形成されている。
【0063】
突出部72は、中心軸O3(以下、「突出方向P」と称する。)に直交する方向に突出する部材である。突出部72は、中心軸O3の両側に設けられている。突出部72は、クリップ2の第一アーム211および第二アーム212により把持される。突出部72を把持するための一対のアーム21の開閉方向Pは、突出部72の突出方向Pと略一致する。突出部72の外周面の湾曲は、組織把持部23の内周面の湾曲より小さい。したがって、一対のアーム21は突出部72を確実に把持できる。
【0064】
テーパ部73は、テーパ形状に形成されている部材である。テーパ部73は、中心軸O3と挟む両側に設けられている。テーパ部73は、先端側から基端側に向かって、突出方向Pの長さが短くなる。テーパ部73は、先端側から基端側に向かうにしたがって、突出方向Pの長さが短くなる。
【0065】
押圧部74は、クリップ2と押さえ管3の間の最接近距離を規制する突出部材である。押圧部74は、テーパ部73の基端側に設けられている。押圧部74は、先端開口3aに係合するとき、先端開口3aから押さえ管3の内部空間に進入しない。したがって、クリップ2が押さえ管3に近付く方向に牽引されたとしても、押圧部74は先端開口3aの縁部と係合し、押圧部74は、クリップ2と押さえ管3の間の最接近距離を規制する。
【0066】
図10に示すように、規制部材7は、高さ方向Hから補助部材8によって挟まれる。規制部材7が一対のアーム21に把持されたとき、補助部材8は、規制部材7の高さ方向Hの位置を位置決めする。規制部材7の高さ方向Hの位置を位置決めする必要がないときは、補助部材8は不要である。
【0067】
図12は、規制部材7の平面図である。突出部72において、最大突出点72bは、中心軸O3から突出方向Pに最も突出している部位である。一対の最大突出点72b間の長さW4は、第一領域61の幅方向Wの長さW1より僅かに小さい。最大突出点72bから押圧部74の基端までの中心軸O3方向の長さはL2である。
【0068】
図13は、第一領域61内で把持されている規制部材7の平面図である。規制部材7は、一対のアーム21に把持された状態で第一領域61内に収納される。第一領域61の幅方向Wの長さW1は、一対のアーム21が開状態の開口幅W3より小さい。したがって、一対のアーム21は、開状態から閉状態まで規制部材7を把持する。一対のアーム21の開口幅は、第一領域61の幅方向Wの長さW1に略等しい。一対のアーム21は、開閉方向Pにおいて、ケース本体60と当接する。
【0069】
一対のアーム21とケース本体60との接触点72cから押圧部74の基端迄の中心軸O3方向の長さはL1である。接触点72cから押圧部74の基端迄の中心軸O3方向の長さL1は、最大突出点72bから押圧部74の基端迄の中心軸O3方向の長さL2以上である(L1≧L2)。L1≧L2であるため、クリップ2が基端側に牽引されると、クリップ2は、規制部材7と確実に係合する。
【0070】
図12および図13に示すように、最大突出点72b同士の長さW4は、第一領域61の幅方向Wの長さW1より僅かに大きい。したがって、第一領域61内では規制部材7が一対のアーム21に把持された状態が保持される。
【0071】
接触点72cから突没ウイング31の先端までの中心軸O1,O3における長さ(図13参照)はL3である。中心軸O1,O3における接触点72cから突没ウイング31の先端までの長さL3は、より好ましくは、第二領域62の先端からテーパ部63bの基端までの距離L4以上である(L3≧L4)(図9参照)。
【0072】
(クリップユニットの装填方法)
次に、カートリッジシステム100の動作について説明する。図14から図25は、カートリッジ5を用いてクリップユニット1をクリップアプリケータ200に装填する方法を説明するための図である。
【0073】
図14に示すように、ユーザはクリップアプリケータ200のシース220を、シース連結部66からケース6の収納領域6S内に挿入する。ユーザは、押圧部65とともにシース220を掴みシース220をケース6に固定する。
【0074】
図15に示すように、操作ユニット240の操作により操作ワイヤ230をシース220に対して前進させることによって、ユーザは、矢じりフック部231を前進させる。矢じりフック部231は、クリップユニット1の連結部材4に連結される。
【0075】
規制部材7の先端部71の先端は、中心軸O3に対して直交する面で形成されている。したがって、クリップユニット1の先端が矢じりフック部231によって先端側に押され、かつケース本体60に接触したとしても、クリップユニット1の中心軸O1は収納領域6Sの中心軸O2に対してずれ難い。
【0076】
図16に示すように、ユーザは操作ワイヤ230を引く。クリップユニット1のクリップ2は、連結部材4によって基端側に牽引され矢じりフック部231に連結される。連結部材4のフック41fは、クリップ2の連結部22を破断することなく牽引する。規制部材7は、一対のアーム21に接触した状態で収納領域6Sの第一領域61内を移動する。一対のアーム21は自己拡張力を有し、押さえ管3の先端開口3aの縁部に係合しているため、押さえ管3は、クリップ2と共に基端側に牽引される。
【0077】
第一領域61内では、一対のアーム21が開閉方向Pにおいて、ケース本体60に当接している。一対のアーム21とケース本体60との間の接触により摩擦力が生じる。この摩擦力は、クリップ2が押さえ管3の内部空間に引き込まれることを防止できる。換言すると、クリップ2は、閉状態で押さえ管3によって係止されることを防止できる。
【0078】
図17に示すように、クリップ2が基端側に牽引されるとき、規制部材7の押圧部74が押さえ管3の先端開口3aの縁部に係合されているため、クリップ2と押さえ管3の最接近距離が規制される。押圧部74は、操作ワイヤ230の牽引によって、一対のアーム21と接触した状態で押さえ管3に接触しており、押さえ管3に対する規制部材7の相対移動を規制する。これは、連結部材4によって基端側に牽引されているクリップ2が、押さえ管3の内部空間に引き込まれることを防止し、かつ、押さえ管3によって閉状態でロックされることを防ぐ効果もある。
【0079】
ユーザはクリップユニット1を基端側に更に引く。図18に示すように、押さえ管3は畳み部63を通過する。押さえ管3が縮径部63cに向かって先端側から基端側に摺動すると、突没ウイング31は押さえ管本体30内に収納される。突没ウイング31が押さえ管本体30内に収納されている状態の押さえ管3がシース220内に引き込まれる。
【0080】
図18に示すように、中心軸O1,O3において、接触点72cから突没ウイング31の先端までの長さL3は、第二領域62の先端からテーパ部63bの基端迄の長さL4以上である。したがって、突没ウイング31が押さえ管本体30内に収納されているとき、一対のアーム21とケース本体60との接触点72cは、第一領域61内に位置する。つまり、突没ウイング31が押さえ管本体30内に収納され、かつ、一対のアーム21が規制部材7を把持するまで、クリップ2は押さえ管3の内部空間に引き込まれない。
【0081】
図19に示すように、ユーザは、操作ワイヤ230を更に引いて規制部材7を第二領域62へ引く。第二領域62の幅方向Wの長さW2は、一対のアーム21が開状態のときの開口幅W3より大きい。したがって、規制部材7は、第二領域62内では一対のアーム21によって把持されない。
【0082】
図20に示すように、突没ウイング31は、シース220の内周面に押されて後退状態になる。第一方向Bにおける棒状部43の第一長さD1は、後退状態の2つの突没ウイング31(第一突没ウイング313,第二突没ウイング314)間の第四長さD4より短い。突没ウイング31は、径方向内側に十分に窪んでいるため、突没ウイング31とシース220の内周面220bとの間に生じる摩擦力が低減され、ユーザは、クリップユニット1をシース220の内周面220bに沿って容易に移動させることができる。
【0083】
中心軸O1周りに配置されている突没ウイング31が棒状部43の第一方向Bと一致しない場合、突没ウイング31の後退により突没ウイング31が棒状部43に接触し、押さえ管3が中心軸O1周りに回転する。その結果、突没ウイング31は、棒状部43の第一方向B内に配置される。
【0084】
ユーザは、クリップユニット1を更に基端側に引く。図21に示すように、突没ウイング31は、後退状態になり、先端連結部41と係合される。先端連結部41が後退状態で突没ウイング31に係合しているとき、先端連結部41は、押さえ管3の基端側A2に確実に引かれる。
【0085】
図22は、押さえ管3の拡大図であり図21と同様の図である。第一方向Bにおける後退状態の二つの突没ウイング31間の第四長さD4は、先端連結部41の第一方向Bの第三長さD3より短く、棒状部43の第一方向Bの第一長さD1より長い(D3>D4>D1)。後退状態では、突没ウイング31は、先端連結部41の筒状部41cに接触し、棒状部43に接触しない。連結部材4と突没ウイング31の接触領域が小さいため、連結部材4が牽引されたとき、連結部材4が突没ウイング31を径方向外側に押すための力が低減される。
【0086】
図23および図24に示すように、ユーザは、操作ワイヤ230を更に引く。クリップ2は、規制部材7から離れて基端側に牽引される。規制部材7のテーパ部73は、一対のアーム21によって把持される突出部72の基端側に形成されている。したがって、規制部材7が基端側に牽引されると、一対のアーム21が規制部材7に引っ掛かり難い。
【0087】
図25に示すように、ユーザは、操作ワイヤ230を更に引く。一対のアーム21が規制部材7を把持しないため、クリップ2と押さえ管3との最接近距離が規制される。図26に示すように、クリップ2は、押さえ管3の内部空間内に引き込まれながら基端側に牽引されてシース220内に引き込まれる。クリップ2は、押さえ管3の内部空間に引き込まれることなく、シース220内に引き込まれてもよい。これによって、クリップユニット1のクリップアプリケータ200への装填が完了する。ユーザは、押圧部65によるシース220の押圧を解除し、シース220をケース6から引き出す。
【0088】
(クリップユニットの動作および作用)
次に、クリップユニット1の動作および作用について、図27から図31を参照して説明する。
【0089】
図26に示すように、装填されたクリップユニット1の連結部材4はシース220に挿通された矢じりフック部231と連結される。突没ウイング31は、シース220の内周面に押されて後退状態である。
【0090】
装填されたクリップユニット1の一対のアーム21は、シース220の内周面に押されて閉状態である。係合部24は、基端開口3bよりも基端側に位置し、一対のアーム21は閉状態でロックされない。
【0091】
図27は、体内に導入された後のクリップユニット1の状態を示している。ユーザは、シース220内に装填されたクリップユニット1を内視鏡の処置具挿入チャンネルを介して体内に導入する。次に、ユーザは、スライダ242を操作ユニット本体241に沿って前進させることによって、矢じりフック部231を前進させる。ユーザは、突没ウイング31がシース220から出るまでクリップユニット1を前進させる。突没ウイング31をシース220から出すことによって、突没ウイング31は没入状態から基本姿勢である突出状態に戻る。一対のアーム21の先端がシース220から出ると、一対のアーム21の自己拡張力が復元力として作用し、クリップ2は、押さえ管3に対して先端側にさらに移動しながら開状態に戻る。一対のアーム21が押さえ管3から最大量突出して開状態になった場合でも、係合部24が押さえ管3の内部空間S内に配置される。
【0092】
図28は、一対のアーム21が閉じているクリップユニット1を示している。ユーザは、操作ユニット本体241に沿ってスライダ242を後退させることによって、矢じりフック部231を後退させる。矢じりフック部231に連結された連結部材4は、クリップ2を牽引する。一対のアーム21は自己拡張力を有し、基端側に牽引されることによって、押さえ管3の先端開口3aを基端側に押す。突没ウイング31がシース220内に引き込まれないように、突出状態の突没ウイング31がシース220と係合する。したがって、連結部材4に連結されたクリップ2は、押さえ管3内に引き込まれる。
【0093】
クリップ2の連結部22は、連結部材4によって係止され、クリップ2は、押さえ管3の基端側に牽引され、一対のアーム21が次第に閉じるように一対のアーム21が押さえ管3内に引き込まれる。この状態から、連結部22の牽引力が解除されたとき、一対のアーム21の自己拡張力が復元力として作用し、クリップ2は先端側に移動しながら開状態に戻る。このようにして、ユーザは、一対のアーム21を、組織を掴み直すための開状態に戻すことができる。
【0094】
図29は、クリップ2がロックされているクリップユニット1を示している。連結部22が押さえ管3の基端側に向かって更に牽引されることによって、係合部24は、基端開口3bから基端側に引き込まれる。係合部24の連結部22側は緩やかな斜面が形成されているため、係合部24は、基端開口3bから基端側に容易に後退する。一方、係合部24の組織把持部23側は急斜面が形成されているため、係合部24が基端開口3bから基端側に後退すると、係合部24と基端開口3bとが係合する。この結果、クリップ2の押さえ管3に対する先端側への移動が規制され、一対のアーム21は閉状態でロックされる。一対のアーム21が閉状態でロックされると、一対のアーム21は開状態に戻れなくなる。
【0095】
図30は、クリップ2が連結部材4から離れているクリップユニット1を示す図である。ユーザはクリップ2を更に牽引する。所定量(例えば、最大90N(ニュートン)、例えば20N等)を超える力で、フック41fに対して連結部22を牽引することによって、破断力の量、すなわち張力が破断部41bの基端側に負荷されると、破断部41bが破断する。破断部41bの破断力は、棒状部43の破断強度より低い。したがって、棒状部43ではなく、破断部41bが破断する。
【0096】
図31は、破断後のクリップユニット1を示している。ユーザはシース220を後退させて、組織を結紮している状態のクリップ2を体内に留置する。
【0097】
図32は、突没ウイング31の他の実施形態の断面図である。変形例の突没ウイング311は、図22で説明した突没ウイング31に似ているが、変形例の突没ウイング311は、凸部311fを含む。凸部311fは、突没ウイング311の内周面31bの基端から第一方向Bに径方向の(中心軸O1に対する)内側に延びる突没ウイング311の一部である。凸部311fの先端において、凸部311fは、段部311gを有する。段部311gは、内周面31bに対する角度が115度以下、選択的には90度以下で形成されている。
【0098】
図33に示すように、突没ウイング311が後退位置にあるとき、突没ウイング311の本体は、押さえ管本体30の筒体内に配置される。後退位置において、段部311gは、連結部材4と係合可能である。例えば、段部311gは、テーパ面41tの基端面41t1等、テーパ面41tの一部と係合可能である。凸部311fと連結部材4とが係合するため、連結部材4が基端側に牽引されたとき押さえ管3も基端側に移動する。さらに、段部311gと基端面41t1との係合は連結部材4から押さえ管3に向けて伝達力を確実に伝える。
【0099】
本実施形態に係るカートリッジシステム100によれば、第一方向Bにおける棒状部43の第一長さD1は、第二方向Cにおける第二長さD2より短く、かつ、第二方向Cより第一方向Bに曲がりやすい(D2>D1)。処置具挿入チャンネルの湾曲方向を第一方向Bに合わせることによって、クリップユニット1は、湾曲している処置具挿入チャンネル内に容易に挿通できる。
【0100】
本実施形態に係るカートリッジシステム100によれば、棒状部43の第一方向Bの第一長さD1は、2つの突没ウイング31,311間の第四長さD4より短い(D4>D1)。突没ウイング31,311は径方向内側に十分に窪ませることができるため、ユーザは、シース220の内周面に沿ってクリップユニット1を容易に移動させることができる。
【0101】
本実施形態に係るカートリッジシステム100によれば、後退状態における2つの突没ウイング31,311間の第四長さD4は、先端連結部41の第一方向Bの第三長さD3よりも短く、棒状部43の第一方向Bの第一長さD1よりも長い(D3>D4>D1)。そのため、後退状態の突没ウイング31,311を基端側A2に牽引でき、かつ、押さえ管3を先端連結部41に確実に係合できる。
【0102】
本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0103】
(変形例1)
上述の実施形態では、クリップ2は、第一アーム211と第二アーム212とを備えているが、クリップ2の形態はこの例に限定されない。クリップ2は、開閉可能な複数のアーム、例えば、4つのアームを備えていてもよい。
【0104】
(変形例2)
上述の実施形態では、2つの突没ウイング31,311を備えているが、突没ウイング31,311の数は限定されない。押さえ管3は他の数の突没ウイング31,311、例えば、1つ、3つ、あるいは4つの突没ウイング31,311を有してもよい。
【0105】
他の形態に係るクリップ装置は、開閉可能に構成された複数のアームを有するクリップと、前記クリップを操作する力伝達部材と、前記クリップに着脱可能に連結される先端連結部を有する連結部材と、前記力伝達部材に連結される基端連結部と、長手方向に延びる長手軸を有し、前記先端連結部と前記基端連結部とを前記長手方向に連結する棒状部と、前記クリップおよび前記力伝達部材が挿通されるシースとを備え、前記長手軸に直交する断面において、前記棒状部が前記長手軸に対して直交する第一方向に第一長さを有し、前記長手軸に直交する第二方向に第二長さを有し、前記第一方向および前記第二方向も互いに直交し、前記第一長さは、前記第二長さより短い。
【0106】
一実施形態では、前記長手軸に直交する断面において、前記棒状部は、前記第一方向が短軸に対応し、前記第二方向が長軸に対応する楕円形状を有する。他の実施形態では、前記長手軸に直交する断面において、前記棒状部は、卵型、半月型、三角形、矩形、台形、例えば、5辺以上(5辺から20辺の範囲)の多角形等である。正多角形および非正多角形を用いることができる。
【0107】
本発明に係るクリップユニットおよびクリップアプリケータは、湾曲した内視鏡のチャンネル内を容易に通過できる。
【0108】
本開示は例示的な実施形態に関連付けて説明したが、特許請求の範囲で規定された開示の精神および特徴から逸脱することなく当業者によって理解され得る、追加、削除、修正、組み合わせ、および置換を含む。したがって、本発明は、特許請求の範囲に記載された範囲内およびそれらの同等物の範囲内において、追加、削除、修正、組み合わせ、および置換されたものを包含する。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、クリップユニットを収容するカートリッジ等に適用できる。
【符号の説明】
【0110】
1 クリップユニット
2 クリップ
3 押さえ管
4 連結部材
21 アーム
30 押さえ管本体
31,311 突没ウイング
41b 破断部
43 棒状部
41 先端連結部
44 基端連結部
200 クリップアプリケータ
230 操作ワイヤ(力伝達部材)
313 第一突没ウイング
314 第二突没ウイング
図1
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