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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179498
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20221125BHJP
   H04N 5/374 20110101ALI20221125BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20221125BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L27/146 C
H04N5/374
G02F1/1368
G02F1/133 550
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143646
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2022068654の分割
【原出願日】2011-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2010150844
(32)【優先日】2010-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】青木 健
(72)【発明者】
【氏名】田村 輝
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆之
(72)【発明者】
【氏名】黒川 義元
(57)【要約】
【課題】撮像された画像の品質を向上させる固体撮像装置、或いは半導体表示装置を提供
する。
【解決手段】グローバルシャッタ方式で駆動を行うことで、電荷の蓄積動作を制御するた
めの電位を全画素で共有することができる。さらに、出力信号が与えられる一の配線に接
続されている複数のフォトセンサを第1のフォトセンサ群とし、出力信号が与えられる他
の配線に接続されている複数のフォトセンサを第2のフォトセンサ群とすると、電荷の蓄
積動作を制御するための電位または信号を第1のフォトセンサ群に与える配線と、上記電
位または信号を第2のフォトセンサ群に与える配線とを、接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延伸する第1の配線及び第2の配線と、
前記第1の配線と前記第2の配線とを電気的に接続し、前記第1の方向と交差する第2の方向に延伸する第3の配線と、
前記第1の配線と前記第2の配線とを電気的に接続し、前記第2の方向に延伸する第4の配線と、
陽極が前記第1の配線に電気的に接続される第1の光電変換素子と、
陽極が前記第2の配線に電気的に接続される第2の光電変換素子と、
ゲート電極が第5の配線と電気的に接続され、ソースまたはドレインの一方が前記第1の光電変換素子の陰極に電気的に接続される第1のトランジスタと、
ゲート電極が前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、ソースまたはドレインの一方が第6の配線と電気的に接続される第2のトランジスタと、
ゲート電極が第7の配線と電気的に接続され、ソースまたはドレインの一方が前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方が第8の配線と電気的に接続される第3のトランジスタと、
を有する固体撮像装置であって、
前記第1の配線は、前記第3の配線及び前記第4の配線と交差し、
前記第3の配線は、前記第1の配線及び前記第2の配線と交差し、
前記第1の配線と、前記第3の配線とは、前記第1の配線と前記第3の配線との間の層に設けられたコンタクトホールを介して、電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのゲート電極は、前記第1の方向に延伸する領域を有する第1の導電膜を介して、前記第5の配線と電気的に接続され、
前記第5の配線は、前記第2の方向に延伸し、
前記第5の配線は、前記第2のトランジスタのゲート電極、及び前記第3のトランジスタのゲート電極と重なりを有さず、
前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続された第2の導電膜は、前記第2の方向に延伸しており、
前記第2の導電膜は、前記第1の方向に延伸する前記第6の配線と電気的に接続され、
前記第1の配線、前記第6の配線、及び前記第8の配線は、同層に配置され、
前記第3の配線、及び前記第5の配線は、同層に配置され、
前記第1のトランジスタ乃至前記第3のトランジスタは、単結晶のシリコンを用い、
前記コンタクトホールは遮蔽膜と重なりを有し、
前記第1の配線は、前記第1の光電変換素子の光の入射する側とは反対の側の層に配置され、
前記第1の光電変換素子は、単結晶のシリコンを用いる、
固体撮像装置。
【請求項2】
第1の方向に延伸する第1の配線及び第2の配線と、
前記第1の配線と前記第2の配線とを電気的に接続し、前記第1の方向と交差する第2の方向に延伸する第3の配線と、
前記第1の配線と前記第2の配線とを電気的に接続し、前記第2の方向に延伸する第4の配線と、
陽極が前記第1の配線に電気的に接続される第1の光電変換素子と、
陽極が前記第2の配線に電気的に接続される第2の光電変換素子と、
ゲート電極が第5の配線と電気的に接続され、ソースまたはドレインの一方が前記第1の光電変換素子の陰極に電気的に接続される第1のトランジスタと、
ゲート電極が前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、ソースまたはドレインの一方が第6の配線と電気的に接続される第2のトランジスタと、
ゲート電極が第7の配線と電気的に接続され、ソースまたはドレインの一方が前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方が第8の配線と電気的に接続される第3のトランジスタと、
を有する固体撮像装置であって、
前記第1の配線は、前記第3の配線及び前記第4の配線と交差し、
前記第3の配線は、前記第1の配線及び前記第2の配線と交差し、
前記第1の配線は、前記第1のトランジスタのゲート電極、前記第2のトランジスタのゲート電極、及び前記第3のトランジスタのゲート電極と重なりを有さず、
前記第3の配線は、前記第1のトランジスタのゲート電極、前記第2のトランジスタのゲート電極、及び前記第3のトランジスタのゲート電極と重なりを有さず、
前記第1の配線と前記第3の配線とは、前記第1の配線と前記第3の配線との間の層に設けられたコンタクトホールを介して、電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのゲート電極は、前記第1の方向に延伸する領域を有する第1の導電膜を介して、前記第5の配線と電気的に接続され、
前記第5の配線は、前記第2の方向に延伸し、
前記第5の配線は、前記第2のトランジスタのゲート電極、及び前記第3のトランジスタのゲート電極と重なりを有さず、
前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続された第2の導電膜は、前記第2の方向に延伸しており、
前記第2の導電膜は、前記第1の方向に延伸する前記第6の配線と電気的に接続され、
前記第2の導電膜及び前記第6の配線は、前記第1のトランジスタのゲート電極、前記第2のトランジスタのゲート電極、及び前記第3のトランジスタのゲート電極と重なりを有さず、
前記第1の配線、前記第6の配線、及び前記第8の配線は、同層に配置され、
前記第3の配線、及び前記第5の配線は、同層に配置され、
前記第1のトランジスタ乃至前記第3のトランジスタは、単結晶のシリコンを用い、
前記コンタクトホールは遮蔽膜と重なりを有し、
前記第1の配線は、前記第1の光電変換素子の光の入射する側とは反対の側に配置され、
前記第1の光電変換素子は、単結晶のシリコンを用いる、
固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フォトセンサを画素に有する固体撮像装置と、フォトセンサ及び表示素子を画素に有する
半導体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSセンサと呼ばれる、MOSトランジスタの増幅機能を用いたフォトセンサは、汎
用のCMOSプロセスを用いて製造できる。そのため、CMOSセンサを各画素に有する
固体撮像装置の製造コストを低くできる上に、フォトセンサと表示素子を同一基板上に作
り込んだ半導体表示装置を実現することができる。また、CMOSセンサはCCDセンサ
に比べて駆動電圧が低いため、固体撮像装置の消費電力を低く抑えることができる。
【0003】
CMOSセンサを用いた固体撮像装置、或いは半導体表示装置では、フォトダイオードに
おける電荷の蓄積動作と、上記電荷の読み出し動作とを、行ごとに順次行うローリングシ
ャッタ方式が一般的に用いられている。しかし、ローリングシャッタ方式での撮像は、蓄
積動作を行う期間が最初の行と最後の行とで異なっている。そのため、高速で移動する被
写体をローリングシャッタ方式で撮像すると、歪んだ被写体の画像データが形成されてし
まう。
【0004】
下記の特許文献1には、CMOSセンサを用いてローリングシャッタ方式で撮像する場合
に生じる、画像データの歪みを補正する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-141717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、CMOSセンサを用いた固体撮像装置、或いは半導体表示装置では、電源電位
、或いは信号の電位をフォトセンサに供給するための配線が画素部に配置されている。こ
の配線は抵抗を有しているため、電源電位の供給源或いは信号の供給源から遠い画素ほど
電位の降下が大きくなりやすい。また、配線が有する抵抗や、コンタクトの部分などに生
じる寄生抵抗が大きいほど、信号の遅延が起こりやすい。配線における電位の降下や信号
の遅延が生じると、フォトセンサに供給される電源電位、或いは信号の電位が画素部内で
ばらついてしまい、その電位のばらつきがフォトセンサから出力される信号の電位に反映
され、撮像された画像の品質が落ちてしまう。
【0007】
また、ローリングシャッタ方式によってもたらされる画像データの歪みを解消するために
、CMOSセンサを用いた固体撮像装置、或いは半導体表示装置において、CCDセンサ
を用いた固体撮像装置で採用されているグローバルシャッタ方式を用いることが望ましい
。グローバルシャッタ方式は、全画素で蓄積動作を一斉に行う方式であり、グローバルシ
ャッタ方式を採用することで画像データの歪みを解消することができる。しかし、グロー
バルシャッタ方式を用いる場合、全画素において一斉に蓄積動作を行うため、駆動回路が
有する電流または電圧の供給能力によっては、上述したような配線における電位の降下や
信号の遅延が顕著に起こりやすい。
【0008】
また、固体撮像装置、或いは半導体表示装置の性能を評価する上で、低消費電力であるこ
とは重要なポイントの一つである。特に、携帯電話などの携帯型の電子機器だと、固体撮
像装置、或いは半導体表示装置の消費電力の高さは、連続使用時間の短縮化というデメリ
ットに繋がるため、低消費電力であることが求められる。
【0009】
上述の課題に鑑み、本発明は、撮像された画像の品質を向上させる固体撮像装置、或いは
半導体表示装置の提供を、目的の一とする。或いは、本発明は、消費電力を低く抑えるこ
とができる固体撮像装置、或いは半導体表示装置の提供を、目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
グローバルシャッタ方式を用いて撮像を行う場合、電荷の蓄積動作は全画素において一斉
に行われる。そのため、フォトダイオードに供給する電位や、電荷を保持するトランジス
タのスイッチングを制御するための信号の電位などの、電荷の蓄積動作を制御するための
電位を、全画素において共有することができる。そこで、本発明の一態様に係る固体撮像
装置、或いは半導体表示装置では、出力信号が与えられる一の配線に接続されている複数
のフォトセンサを第1のフォトセンサ群とし、出力信号が与えられる他の配線に接続され
ている複数のフォトセンサを第2のフォトセンサ群とすると、電荷の蓄積動作を制御する
ための電位を第1のフォトセンサ群に与える配線と、上記電位を第2のフォトセンサ群に
与える配線とを、接続する。上記構成により、グローバルシャッタ方式において顕著に起
こりやすかった、配線抵抗による電位の降下や信号の遅延を抑制し、電荷の蓄積動作を制
御するための電位や信号が画素部内でばらつくのを防ぐ。
【0011】
また、本発明の一態様に係る固体撮像装置、或いは半導体表示装置では、異なる色の光を
発する複数の光源をバックライトに有し、上記光源を順次点灯させるフィールドシーケン
シャル駆動(FS駆動)を行うようにしても良い。この場合、各色の光源が点灯している
期間に各画素において電荷の蓄積動作を行うことで、各色に対応した画像データを取得で
きる。そして、上記各色に対応した画像データを合成することで、カラーの画像データを
得ることができる。また、半導体表示装置では、撮像時のみならず、画像の表示を行う際
にもFS駆動を行うことができる。具体的には、各色の光源を順次点灯させ、各色の光源
が点灯している期間に、各色に対応する階調を表示素子において表示することで、カラー
の画像を表示することができる。この場合、表示素子には、液晶素子などの、画像信号に
よりその透過率が制御される素子を用いる。
【0012】
FS駆動を用いることで、各画素にカラーフィルタを設ける必要がなくなり、バックライ
トからの光の利用効率を高めることができる。また、1つの画素で各色に対応する画像デ
ータの取得、或いは階調の表示を行うことができるため、高精細な画像データの取得、或
いは高精細な画像の表示を行うことができる。
【0013】
FS駆動でバックライトを動作させる場合、単色の光源とカラーフィルタを組み合わせる
場合とは異なり、各色の光源を順次切り換えて発光させる必要がある。さらに、上記光源
の切り換えが行われる周波数は、単色の光源を用いた場合のフレーム周波数よりも高い値
に設定する必要がある。例えば、単色の光源を用いた場合のフレーム周波数を60Hzと
すると、赤、緑、青の各色に対応する光源を用いてFS駆動を行う場合、光源の切り替え
を行う周波数は、約3倍の180Hz程度となる。よって、各色の光源が発光する期間は
、非常に短い。しかし、本発明の一態様では、グローバルシャッタ方式を用いて撮像を行
うため、電荷の蓄積動作を全画素において一斉に行う。よって、全画素において蓄積動作
を完了させるまでの期間が、ローリングシャッタ方式を用いた場合よりも短くすることが
できる。そのため、FS駆動を採用することで各色の光源が発光する期間が短くなっても
、上記期間内において全画素の蓄積動作を完了させることができる。
【0014】
なお、CMOSセンサを用いた固体撮像装置、或いは半導体表示装置の場合、グローバル
シャッタ方式を用いると、全画素で蓄積動作を一斉に行った後に、読み出し動作を行ごと
に順次行う必要がある。よって、蓄積動作が終了してから読み出し動作に移行するまでの
、電荷を保持している電荷保持期間が、行ごとに異なる。そのため、トランジスタのオフ
電流による電荷のリークが生じると、上記期間の長さに合わせて各行における電荷の量が
変動してしまうため、階調の変化した被写体の画像データが形成されてしまうことがある
【0015】
そこで、本発明の一態様に係る固体撮像装置、或いは半導体表示装置では、フォトセンサ
において蓄積された電荷を保持するためのスイッチング素子に、オフ電流の著しく小さい
絶縁ゲート電界効果型トランジスタ(以下、単にトランジスタとする)を用いても良い。
上記トランジスタは、シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度が
シリコンよりも低い半導体材料を、チャネル形成領域に含むことを特徴とする。上述した
ような特性を有する半導体材料をチャネル形成領域に含むことで、オフ電流が著しく小さ
く、なおかつ高耐圧であるトランジスタを実現することができる。このような半導体材料
としては、例えば、シリコンの約3倍程度の大きなバンドギャップを有する酸化物半導体
が挙げられる。上記構成を有するトランジスタをスイッチング素子として用いることで、
電荷保持期間における電荷のリークを小さく抑えることができ、グローバルシャッタ方式
を用いた場合に、行によって電荷保持期間が異なることに起因する階調の変化を、小さく
抑えることができる。
【0016】
なお、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減され、なおかつ酸
素欠損が低減されることで高純度化された酸化物半導体(purified OS)は、
i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い。そのため、上記酸化物半導体を用いたトラ
ンジスタは、オフ電流が著しく小さいという特性を有する。具体的に、高純度化された酸
化物半導体は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mas
s Spectrometry)による水素濃度の測定値が、5×1019/cm以下
、好ましくは5×1018/cm以下、より好ましくは5×1017/cm以下、さ
らに好ましくは1×1016/cm以下とする。また、ホール効果測定により測定でき
る酸化物半導体膜のキャリア密度は、1×1014/cm未満、好ましくは1×10
/cm未満、さらに好ましくは1×1011/cm未満とする。また、酸化物半導
体のバンドギャップは、2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV
以上である。水分または水素などの不純物濃度が十分に低減され、なおかつ酸素欠損が低
減されることで高純度化された酸化物半導体膜を用いることにより、トランジスタのオフ
電流を小さくすることができる。
【0017】
ここで、酸化物半導体膜中の、水素濃度の分析について触れておく。酸化物半導体膜中の
水素濃度測定は、SIMSで行う。SIMSは、その原理上、試料表面近傍や、材質が異
なる膜との積層界面近傍のデータを正確に得ることが困難であることが知られている。そ
こで、膜中における水素濃度の厚さ方向の分布をSIMSで分析する場合、対象となる膜
が存在する範囲において、値に極端な変動が無く、ほぼ一定の値が得られる領域における
平均値を、水素濃度として採用する。また、測定の対象となる膜の厚さが小さい場合、隣
接する膜内の水素濃度の影響を受けて、ほぼ一定の値が得られる領域を見いだせない場合
がある。この場合、当該膜が存在する領域における、水素濃度の極大値または極小値を、
当該膜中の水素濃度として採用する。さらに、当該膜が存在する領域において、極大値を
有する山型のピーク、極小値を有する谷型のピークが存在しない場合、変曲点の値を水素
濃度として採用する。
【0018】
具体的に、高純度化された酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタのオフ電流
が小さいことは、いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×10μ
mでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレ
イン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流(ゲート電極とソース電極間の電
圧を0V以下としたときのドレイン電流)が、半導体パラメータアナライザの測定限界以
下、すなわち1×10-13A以下という特性を得ることができる。この場合、オフ電流
をトランジスタのチャネル幅で除した数値に相当するオフ電流密度は、100zA/μm
以下であることが分かる。また、容量素子とトランジスタとを接続して、容量素子に流入
または容量素子から流出する電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電流
密度の測定を行った。当該測定では、上記トランジスタに高純度化された酸化物半導体膜
をチャネル形成領域に用い、容量素子の単位時間あたりの電荷の量の推移から当該トラン
ジスタのオフ電流密度を測定した。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極
間の電圧が3Vの場合に、数十yA/μmという、さらに小さいオフ電流密度が得られる
ことが分かった。したがって、本発明の一態様に係る半導体装置では、高純度化された酸
化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタのオフ電流密度を、ソース電極とドレイ
ン電極間の電圧によっては、100yA/μm以下、好ましくは10yA/μm以下、更
に好ましくは1yA/μm以下にすることができる。従って、高純度化された酸化物半導
体膜を活性層として用いたトランジスタは、オフ電流が、結晶性を有するシリコンを用い
たトランジスタに比べて著しく小さい。
【0019】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化
物であるIn-Zn系酸化物、Sn-Zn系酸化物、Al-Zn系酸化物、Zn-Mg系
酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-Mg系酸化物、In-Ga系酸化物、三元系金属の
酸化物であるIn-Ga-Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In-Al-Zn系
酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-Zn系酸化物、Al-Ga-Zn系酸
化物、Sn-Al-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸化
物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化物
、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物、
In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、I
n-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、In
-Lu-Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn系酸化物、I
n-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-
Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用
いることができる。なお、例えば、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを
有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGa
とZn以外の金属元素が入っていてもよい。また、上記酸化物半導体は、珪素を含んでい
てもよい。
【0020】
或いは、酸化物半導体は、InMO(ZnO)(m>0、mは自然数であるとは限ら
ない)で表記することができる。ここで、Mは、Ga、Fe、MnおよびCoから選ばれ
た一または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO
(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様では、各行或いは各列の画素に電位を供給する複数の配線のうち、フォト
ダイオードに電位を供給する複数の配線どうし、或いは上記オフ電流の著しく小さいトラ
ンジスタのスイッチングを制御するための信号の電位を供給する複数の配線どうしの、少
なくとも2つを電気的に接続する。上記構成により、配線抵抗による電位の降下や信号の
遅延を抑制し、上記電位、或いは上記信号の電位が画素部内でばらつくのを防ぐことがで
きる。その結果、フォトセンサから出力される信号の電位がばらつくのを防ぐことができ
、撮像された画像の品質を向上させることができる。
【0022】
或いは、本発明の一態様では、グローバルシャッタ方式を用いることで、上記構成に加え
てFS駆動を組み合わせることができる。FS駆動を用いることで、固体撮像装置、或い
は半導体表示装置の消費電力を低減させることができる。
【0023】
或いは、本発明の一態様では、オフ電流の著しく小さいトランジスタを、フォトセンサに
おいて蓄積された電荷を保持するためのスイッチング素子に用いることで、グローバルシ
ャッタ方式を用いて撮像を行っても、電荷保持期間が異なることに起因する階調の変化を
小さく抑え、撮像された画像の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】複数のフォトセンサの接続構成を示す回路図。
図2】フォトセンサの回路図と、画素部の回路図。
図3】フォトセンサのタイミングチャート。
図4】配線TXと配線SEのタイミングチャート。
図5】光源の点灯期間及び消灯期間と、配線TX、配線PR、配線SEの電位の時間変化とを示す図。
図6】半導体表示装置が有する画素の構成を示す回路図。
図7】画素の上面図の一例を示す図。
図8】表示素子の上面図。
図9】フォトセンサの上面図及び断面図。
図10】光源の点灯期間及び消灯期間と、配線TX、配線PR、配線SEの電位の時間変化とを示す図。
図11】フォトセンサの回路図。
図12】フォトセンサのタイミングチャート。
図13】フォトセンサの回路図。
図14】シリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジスタの作製方法を示す断面図。
図15】シリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジスタの断面図。
図16】パネルの断面図。
図17】半導体表示装置の構造を示す斜視図。
図18】電子機器の図。
図19】トランジスタの構成例について説明する図。
図20】画素の上面図の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び
詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明
は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0026】
(実施の形態1)
図1を用いて、本発明の固体撮像装置、または半導体表示装置が有するフォトセンサの接
続構成について説明する。
【0027】
図1は、画素部における、複数のフォトセンサ101の接続構成を示す回路図の一例であ
る。図1では、各画素の有するフォトセンサ101がマトリクス状に配置されている。そ
して、各フォトセンサ101は、フォトダイオード102と、増幅回路103とを有して
いる。フォトダイオード102は、半導体の接合部に光があたると電流が発生する性質を
有する光電変換素子である。増幅回路103は、フォトダイオード102が受光すること
で得られる電流を増幅する、或いは、上記電流によって蓄積された電荷を保持する回路で
ある。
【0028】
増幅回路103の構成は、フォトダイオード102において生じる電流を増幅できるので
あれば良く、あらゆる形態を採用することができるが、少なくとも増幅回路103は、ス
イッチング素子として機能するトランジスタ104を有する。上記スイッチング素子は、
増幅回路103内への上記電流の供給を制御する。
【0029】
そして、本発明の一態様では、上記スイッチング素子として機能するトランジスタ104
のチャネル形成領域に、シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度
がシリコンよりも低い半導体を含んでいても良い。上記半導体の一例として、炭化珪素(
SiC)、窒化ガリウム(GaN)などの化合物半導体、酸化亜鉛(ZnO)などの金属
酸化物でなる酸化物半導体などを適用することができる。この中でも酸化物半導体は、ス
パッタリング法や湿式法(印刷法など)により作製可能であり、量産性に優れるといった
利点がある。また、炭化シリコンや窒化ガリウムなどの化合物半導体は単結晶であること
が必須で、単結晶材料を得るためには、酸化物半導体のプロセス温度よりも著しく高い温
度による結晶成長、或いは、特殊な基板上のエピタキシャル成長が必要である。一方、酸
化物半導体は、室温でも成膜が可能なため、入手が容易なシリコンウェハや、安価で大型
化に対応できるガラス基板上への成膜が可能であり、量産性が高い。また、通常のシリコ
ンやガリウムなどの半導体材料を用いた集積回路上に、酸化物半導体による半導体素子を
積層させることも可能である。よって、上述したワイドギャップ半導体の中でも、特に酸
化物半導体は量産性が高いというメリットを有する。また、トランジスタの性能(例えば
電界効果移動度)を向上させるために結晶性の酸化物半導体を得ようとする場合でも、2
00℃から800℃の熱処理によって容易に結晶性の酸化物半導体を得ることができる。
【0030】
以下の説明では、バンドギャップが大きい半導体として、上記のような利点を有する酸化
物半導体を用いる場合を例に挙げている。
【0031】
上述したような特性を有する半導体材料をチャネル形成領域に含むことで、オフ電流が極
めて低く、なおかつ高耐圧であるトランジスタ104を実現することができる。そして、
上記構成を有するトランジスタ104をスイッチング素子として用いることで、増幅回路
103内に蓄積された電荷のリークを防ぐことができる。
【0032】
なお、トランジスタ104の活性層に酸化物半導体などのバンドギャップの大きい半導体
を用いる方が、増幅回路103内に蓄積された電荷のリークをより防ぐことができるので
望ましいが、本発明は必ずしもこの構成に限定されない。トランジスタ104の活性層に
酸化物半導体以外の、非晶質、微結晶、多結晶、または単結晶の、シリコン、またはゲル
マニウムなどの半導体が用いられていても、グローバルシャッタ方式で動作させることは
可能である。
【0033】
なお、特に断りがない限り、本明細書でオフ電流とは、nチャネル型トランジスタにおい
ては、ドレイン電極をソース電極とゲート電極よりも高い電位とした状態において、ソー
ス電極の電位を基準としたときのゲート電極の電位が0以下であるときに、ソース電極と
ドレイン電極の間に流れる電流のことを意味する。或いは、本明細書でオフ電流とは、p
チャネル型トランジスタにおいては、ドレイン電極をソース電極とゲート電極よりも低い
電位とした状態において、ソース電極の電位を基準としたときのゲート電極の電位が0以
上であるときに、ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流のことを意味する。
【0034】
また、トランジスタが有するソース電極とドレイン電極は、トランジスタの極性及び各電
極に与えられる電位の高低差によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル
型トランジスタでは、低い電位が与えられる電極がソース電極と呼ばれ、高い電位が与え
られる電極がドレイン電極と呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位
が与えられる電極がドレイン電極と呼ばれ、高い電位が与えられる電極がソース電極と呼
ばれる。以下、ソース電極とドレイン電極のいずれか一方を第1端子、他方を第2端子と
し、フォトセンサ101が有するフォトダイオード102、トランジスタ104の接続関
係を説明する。
【0035】
具体的に、図1では、フォトダイオード102の陽極が、配線PRに接続されている。ま
た、フォトダイオード102の陰極が、トランジスタ104の第1端子に接続されている
。トランジスタ104の第2端子は、増幅回路103内の他の半導体素子に接続されてい
るため、増幅回路103内の構成によって、トランジスタ104の第2端子の接続先は異
なる。また、トランジスタ104のゲート電極は、配線TXに接続されている。配線TX
には、トランジスタ104のスイッチングを制御するための信号の電位が与えられる。ま
た、フォトセンサ101は配線OUTに接続されている。配線OUTには、増幅回路10
3から出力される出力信号の電位が与えられる。
【0036】
なお、本明細書において接続とは電気的な接続を意味しており、電流、電圧または電位が
、供給可能、或いは伝送可能な状態に相当する。従って、接続している状態とは、直接接
続している状態を必ずしも指すわけではなく、電流、電圧または電位が、供給可能、或い
は伝送可能であるように、配線、抵抗、ダイオード、トランジスタなどの回路素子を介し
て間接的に接続している状態も、その範疇に含む。
【0037】
また、回路図上は独立している構成要素どうしが接続されている場合であっても、実際に
は、例えば配線の一部が電極として機能する場合など、一の導電膜が、複数の構成要素の
機能を併せ持っている場合もある。本明細書において接続とは、このような、一の導電膜
が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0038】
なお、図1では、配線PRと、配線TXと、配線OUTとが各フォトセンサ101に接続
されている場合を例示しているが、本発明の一態様では、各フォトセンサ101が有する
配線の数はこれに限定されない。上記配線に加えて、電源電位が与えられる配線、増幅回
路103に保持されている電荷の量をリセットするための信号の電位が与えられる配線な
どが、各フォトセンサ101に接続されていても良い。
【0039】
また、本発明の一態様では、図1に示すように、一の配線OUTが複数のフォトセンサ1
01に接続されており、一の配線OUTに接続されている複数のフォトセンサ101は、
他の配線OUTには接続されておらず、電気的に分離している。そして、一の配線OUT
に接続されている複数のフォトセンサ101を第1のフォトセンサ群とし、他の配線OU
Tに接続されている複数のフォトセンサ101を第2のフォトセンサ群とすると、本発明
の一態様では、第1のフォトセンサ群に接続された配線PRが、第2のフォトセンサ群に
接続された配線PRに接続されている。或いは、本発明の一態様では、第1のフォトセン
サ群に接続された配線TXが、第2のフォトセンサ群に接続された配線TXに接続されて
いる。
【0040】
本発明の一態様では、上記構成により、配線PRや配線TXの抵抗による電位の降下や信
号の遅延を抑制することができる。その結果、フォトダイオード102の陽極に与えられ
る電位、或いは、電荷を保持するためのトランジスタ104のスイッチングを制御する信
号の電位が、画素部内でばらつくのを防ぐことができる。よって、フォトセンサ101か
ら出力される信号の電位がばらつくのを防ぐことができ、撮像された画像の品質を向上さ
せることができる。
【0041】
なお、図1では、増幅回路103がスイッチング素子として機能するトランジスタ104
を一つだけ有するフォトセンサ101の構成を示しているが、本発明はこの構成に限定さ
れない。本発明の一態様では、一のトランジスタが一のスイッチング素子として機能する
構成を示しているが、複数のトランジスタが一のスイッチング素子として機能していても
良い。複数のトランジスタが一のスイッチング素子として機能する場合、上記複数のトラ
ンジスタは並列に接続されていても良いし、直列に接続されていても良いし、直列と並列
が組み合わされて接続されていても良い。
【0042】
本明細書において、トランジスタが直列に接続されている状態とは、例えば、第1のトラ
ンジスタの第1端子と第2端子のいずれか一方のみが、第2のトランジスタの第1端子と
第2端子のいずれか一方のみに接続されている状態を意味する。また、トランジスタが並
列に接続されている状態とは、第1のトランジスタの第1端子が第2のトランジスタの第
1端子に接続され、第1のトランジスタの第2端子が第2のトランジスタの第2端子に接
続されている状態を意味する。
【0043】
また、図1では、トランジスタ104がゲート電極を活性層の片側にのみ有している場合
を示している。トランジスタ104が、活性層を間に挟んで存在する一対のゲート電極を
有している場合、一方のゲート電極にはスイッチングを制御するための信号が与えられ、
他方のゲート電極は、電気的に絶縁しているフローティングの状態であっても良いし、電
位が他から与えられている状態であっても良い。後者の場合、一対の電極に、同じ高さの
電位が与えられていても良いし、他方のゲート電極にのみグラウンドなどの固定電位が与
えられていても良い。他方のゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジ
スタ104の閾値電圧を制御することができる。
【0044】
次いで、フォトセンサ101の、具体的な構成の一例について説明する。図2(A)に、
フォトセンサ101の一例を回路図で示す。
【0045】
図2(A)に示すフォトセンサ101は、増幅回路103が、トランジスタ104に加え
て、トランジスタ105とトランジスタ106とを有している。トランジスタ105は、
トランジスタ104の第2端子に与えられる電位に従って、その第1端子と第2端子間の
電流値或いは抵抗値が定まる。また、トランジスタ106は、上記電流値或いは抵抗値に
よって定まる出力信号の電位を、配線OUTに供給するためのスイッチング素子として機
能する。
【0046】
具体的に、図2(A)では、トランジスタ104の第2端子がトランジスタ105のゲー
ト電極に接続されている。トランジスタ105の第1端子は、ハイレベルの電源電位VD
Dが与えられている配線VRに接続されている。トランジスタ105の第2端子は、トラ
ンジスタ106の第1端子に接続されている。トランジスタ106の第2端子は、配線O
UTに接続されている。トランジスタ106のゲート電極は、配線SEに接続されており
、配線SEにはトランジスタ106のスイッチングを制御する信号の電位が与えられる。
【0047】
図2(A)では、トランジスタ104の第2端子とトランジスタ105のゲート電極が接
続されているノードを、ノードFDとして示している。ノードFDに蓄積される電荷の量
によって、トランジスタ105の第1端子と第2端子間の電流値或いは抵抗値が定まり、
これに加えて、トランジスタ106のスイッチングを制御する信号の電位を与えることで
、トランジスタ106の第2端子から発する出力信号の電位が定まる。ノードFDにおい
て電荷をより確実に保持するために、ノードFDに保持容量を接続するようにしても良い
【0048】
なお、図2(A)において、トランジスタ104以外の、増幅回路103を構成している
トランジスタ105とトランジスタ106は、その活性層に、酸化物半導体膜が用いられ
ていても良い。或いは、トランジスタ104、トランジスタ105、トランジスタ106
の活性層に、酸化物半導体以外の、非晶質、微結晶、多結晶、または単結晶の、シリコン
、またはゲルマニウムなどの半導体が用いられていても良い。フォトセンサ101内の全
てのトランジスタの活性層に、酸化物半導体膜を用いることで、プロセスを簡略化するこ
とができる。また、トランジスタ105とトランジスタ106の活性層に、例えば、多結
晶または単結晶のシリコンなどのように、酸化物半導体よりも高い移動度が得られる半導
体材料を用いることで、フォトセンサ101からの画像データの読み出しを高速で行うこ
とができる。
【0049】
図2(B)に、図2(A)に示したフォトセンサ101を有する画素部の構成を一例とし
て示す。
【0050】
図2(B)では、複数のフォトセンサ101がマトリクス状に配置されている。各列のフ
ォトセンサ101は、複数の配線PR(配線PR1~配線PRxと表記する)のいずれか
1つと、複数の配線TX(配線TX1~配線TXxと表記する)のいずれか1つと、複数
の配線OUT(配線OUT1~配線OUTxと表記する)のいずれか1つ、複数の配線V
R(配線VR1~配線VRxと表記する)のいずれか1つと接続されている。また、各行
のフォトセンサ101は、複数の配線SE(配線SE1~配線SEyと表記する)のいず
れか1つと接続されている。
【0051】
また、図2(B)では、配線OUTi(iは1~xのいずれか1つ)及び配線VRi(i
は1~xのいずれか1つ)に接続されている複数のフォトセンサ101は、配線OUTj
(jはi以外であり1~xのいずれか1つ)及び配線VRj(jはi以外であり1~xの
いずれか1つ)には接続されておらず、電気的に分離している。そして、配線OUTi及
び配線VRiに接続されている複数のフォトセンサ101を第1のフォトセンサ群とし、
配線OUTj及び配線VRjに接続されている複数のフォトセンサ101を第2のフォト
センサ群とすると、図2(B)では、第1のフォトセンサ群に接続された配線PRiが、
第2のフォトセンサ群に接続された配線PRjに接続されている。或いは、第1のフォト
センサ群に接続された配線TXiが、第2のフォトセンサ群に接続された配線TXjに接
続されている。
【0052】
上記構成により、図1の場合と同様に、配線PRや配線TXの抵抗による電位の降下や信
号の遅延を抑制することができる。その結果、フォトダイオード102の陽極に与えられ
る電位、或いは、電荷を保持するためのトランジスタ104のスイッチングを制御する信
号の電位が、画素部内でばらつくのを防ぐことができる。よって、フォトセンサ101か
ら出力される信号の電位がばらつくのを防ぐことができ、撮像された画像の品質を向上さ
せることができる。
【0053】
次いで、図2(A)及び図2(B)に示したフォトセンサ101の動作の一例について説
明する。
【0054】
まず、各フォトセンサ101の動作について説明する。図3に、図2(A)及び図2(B
)に示したフォトセンサ101に与えられる各種電位のタイミングチャートを一例として
示す。
【0055】
なお、図3に示すタイミングチャートでは、フォトセンサ101の動作を分かりやすく説
明するため、配線TX、配線SE、配線PRには、ハイレベルかローレベルの電位が与え
られるものと仮定する。具体的に、配線TXには、ハイレベルの電位HTXと、ローレベ
ルの電位LTXが与えられるものとし、配線SEには、ハイレベルの電位HSEと、ロー
レベルの電位LSEが与えられるものとし、配線PRには、ハイレベルの電位HPRと、
ローレベルの電位LPRが与えられるものとする。
【0056】
まず、時刻T1において、配線TXの電位を、電位LTXから電位HTXに変化させる。
配線TXの電位が電位HTXになると、トランジスタ104はオンになる。なお、時刻T
1において、配線SEには電位LSEが与えられ、配線PRには電位LPRが与えられて
いる。
【0057】
次いで、時刻T2において、配線PRの電位を、電位LPRから電位HPRに変化させる
。また、時刻T2において、配線TXの電位は電位HTXのままであり、配線SEの電位
は電位LSEのままである。よって、ノードFDには配線PRの電位HPRが与えられる
ため、ノードFDに保持されている電荷の量はリセットされる。
【0058】
次いで、時刻T3において、配線PRの電位を、電位HPRから電位LPRに変化させる
。時刻T3の直前まで、ノードFDの電位は電位HPRに保たれているため、配線PRの
電位が電位LPRになると、フォトダイオード102に逆方向バイアスの電圧が印加され
ることになる。そして、フォトダイオード102に逆方向バイアスの電圧が印加された状
態で、フォトダイオード102に光が入射すると、フォトダイオード102の陰極から陽
極に向かって電流が流れる。上記電流の値は光の強度に従って変化する。すなわち、フォ
トダイオード102に入射する光の強度が高いほど上記電流値は高くなり、ノードFDか
らの電荷の流出も大きくなる。逆に、フォトダイオード102に入射する光の強度が低い
ほど上記電流値は低くなり、ノードFDからの電荷の流出も小さくなる。よって、ノード
FDの電位は、光の強度が高いほど変化が大きく、光の強度が低いほど変化が小さい。
【0059】
次いで、時刻T4において、配線TXの電位を電位HTXから電位LTXに変化させると
、トランジスタ104はオフになる。よって、ノードFDからフォトダイオード102へ
の電荷の移動が止まるため、ノードFDの電位が定まる。
【0060】
次いで、時刻T5において、配線SEの電位を電位LSEから電位HSEに変化させると
、トランジスタ106はオンになる。すると、ノードFDの電位に応じて配線VRから配
線OUTへと電荷が移動する。
【0061】
次いで、時刻T6において、配線SEの電位を電位HSEから電位LSEに変化させると
、配線VRから配線OUTへの電荷の移動が停止し、配線OUTの電位が決定する。この
配線OUTの電位が、フォトセンサ101の出力信号の電位に相当する。そして、出力信
号の電位には、撮像された被写体の画像データが含まれている。
【0062】
上記一連の動作は、リセット動作、蓄積動作、読み出し動作に分類することができる。す
なわち、時刻T2から時刻T3までの動作がリセット動作、時刻T3から時刻T4までの
動作が蓄積動作、時刻T5から時刻T6までの動作が読み出し動作に相当する。リセット
動作、蓄積動作、読み出し動作を行うことで、画像データの取得を行うことができる。
【0063】
また、蓄積動作が終了してから読み出し動作が開始されるまでの期間、すなわち、時刻T
4から時刻T5までの期間が、ノードFDにおいて電荷が保持されている電荷保持期間に
相当する。本発明の一態様では、グローバルシャッタ方式を用いて画素部を動作させるた
め、上記電荷保持期間の長さが、各行の画素によって異なる。以下、その理由について説
明する。
【0064】
まず、グローバルシャッタ方式を用いた画素部の駆動について、一例を挙げて説明する。
図4に、図2(B)に示した画素部において、配線TX1から配線TXx、配線SE1か
ら配線SEyに与えられる電位のタイミングチャートを、一例として示す。
【0065】
図4に示すタイミングチャートでは、時刻T2から時刻T4までに行われるリセット動作
及び蓄積動作が、全てのフォトセンサ101において並行して行われる。よって、配線T
X1から配線TXxの電位は、時刻T1において一斉に電位LTXから電位HTXに変化
し、時刻T4において一斉に電位HTXから電位LTXに変化する。図4では、リセット
動作及び蓄積動作が行われる期間を、露光期間300として示す。
【0066】
また、図4に示すタイミングチャートでは、時刻T5から時刻T6までに行われる読み出
し動作が、フォトセンサ101の行ごとに順に行われる。すなわち、時刻T5と時刻T6
のタイミングが、フォトセンサ101の行ごとに異なる。具体的には、配線SE1が電位
LSEから電位HSEに変化し、次いで電位HSEから電位LSEに変化した後、配線S
E2から配線SEyも順にその電位が同様に変化する。図4では、読み出し動作が行われ
る期間を、読み出し期間301として示す。
【0067】
図4から分かるように、グローバルシャッタ方式で画素部を動作させる場合、リセット動
作と蓄積動作を全画素で一斉に行うため、露光期間300が終了するタイミングは全画素
で同じとなる。しかし、読み出し動作はフォトセンサの行ごとに行うため、読み出し期間
301が開始されるタイミングはフォトセンサの行ごとに異なる。よって、露光期間30
0が終了してから、読み出し期間301が開始されるまでの電荷保持期間302は、フォ
トセンサの行ごとに長さが異なっており、最終行のフォトセンサにおける電荷保持期間3
02が最長となる。
【0068】
階調数が画一的な画像を撮像すると、理想的には全てのフォトセンサにおいて同じ高さの
電位を有する出力信号が得られる。しかし、電荷保持期間302の長さがフォトセンサの
行ごとに異なる場合、ノードFDに蓄積されている電荷が時間の経過と共にリークしてし
まうと、フォトセンサの出力信号の電位が行ごとに異なってしまい、行ごとにその階調数
が変化した画像データが得られてしまう。
【0069】
しかし、本発明の一態様では、オフ電流の著しく小さいトランジスタ104を、フォトセ
ンサ101において蓄積された電荷、具体的にはノードFDに蓄積された電荷を保持する
ためのスイッチング素子として用いていても良い。この場合、グローバルシャッタ方式を
用いて撮像を行っても、電荷保持期間が異なることに起因する画像データの階調の変化を
小さく抑え、撮像された画像の品質を向上させることができる。
【0070】
なお、固体撮像装置の場合、外光を利用して撮像を行うこともできるが、例えば密着型の
エリアセンサのように、外光ではなくバックライトの光を利用して撮像を行うこともでき
る。そして、本発明の一態様では、バックライトを用いる場合、FS駆動でバックライト
を動作させてカラーの画像データを取得するようにしても良い。FS駆動では、複数の色
にそれぞれ対応する画像データを取得し、それら複数の画像データを用いた加法混色によ
り、カラーの画像データを取得することができる。
【0071】
図5を用いて、固体撮像装置においてFS駆動でバックライトを動作させた場合の、光源
の動作と、画素部の動作について説明する。図5では、赤(R)、緑(G)、青(B)に
それぞれ対応した3つの光源の点灯期間及び消灯期間と、配線TX、配線PR、配線SE
の電位の時間変化とを示す。
【0072】
なお、図5では、バックライトが赤(R)の光を発する光源と、緑(G)の光を発する光
源と、青(B)の光を発する光源とを有する場合を例に挙げて説明するが、バックライト
の有する光源の種類は上記構成に限定されない。また、図5では、図2(A)及び図2
B)に示した構成を有する固体撮像装置を例に挙げて、その動作について説明する。
【0073】
図5に示すように、FS駆動でバックライトを動作させる場合、各色の光源を順に点灯さ
せる。具体的に、図5では、赤(R)の光源を点灯させる点灯期間Tr、全ての光源を消
灯させる消灯期間Tk、緑(G)の光源を点灯させる点灯期間Tg、全ての光源を消灯さ
せる消灯期間Tk、青(B)の光源を点灯させる点灯期間Tbを、順に出現させる。
【0074】
点灯期間Trでは、赤(R)に対応するリセット動作及び蓄積動作が、全画素のフォトセ
ンサにおいて一斉に行われる。すなわち、リセット動作及び蓄積動作が行われる露光期間
が、点灯期間Tr内に設けられる。そして、上記露光期間において、配線Tx1から配線
TXxに入力される信号の電位はパルスを有しており、なおかつそのパルスの出現する期
間が重なっている。また、上記露光期間において、配線PR1から配線PRxに入力され
る信号の電位はパルスを有しており、なおかつそのパルスの出現する期間が重なっている
【0075】
また、点灯期間Trの次に出現する消灯期間Tkでは、赤(R)に対応する電荷の読み出
し動作がフォトセンサの行ごとに順に行われる。よって、全行の読み出し期間内に、順に
各行の読み出し期間が出現する。そして、各行の読み出し期間では、配線SE1から配線
SEyのうち当該読み出し期間に対応する配線SEにおいて、入力される信号の電位がパ
ルスを有している。すなわち、配線SE1から配線SEyのそれぞれに入力される信号の
パルスは、順次シフトするように出現する。
【0076】
同様に、点灯期間Tgでは、緑(G)に対応するリセット動作及び蓄積動作が、全画素の
フォトセンサにおいて一斉に行われる。すなわち、リセット動作及び蓄積動作が行われる
露光期間が、点灯期間Tg内に設けられる。また、同様に、点灯期間Tgの次に出現する
消灯期間Tkでは、緑(G)に対応する電荷の読み出し動作がフォトセンサの行ごとに順
に行われる。
【0077】
同様に、点灯期間Tbでは、青(B)に対応するリセット動作及び蓄積動作が、全画素の
フォトセンサにおいて一斉に行われる。すなわち、リセット動作及び蓄積動作が行われる
露光期間が、点灯期間Tb内に設けられる。また、点灯期間Tbの次に出現する消灯期間
Tkでは、青(B)に対応する電荷の読み出し動作がフォトセンサの行ごとに順に行われ
る。
【0078】
上記動作を行うことにより、各色に対応した画像データを取得できる。そして、上記各色
に対応した画像データを合成することで、カラーの画像データを得ることができる。
【0079】
なお、さらに消灯期間Tkを追加し、当該消灯期間において画像データを取得してもよい
。各色に対応した画像データから消灯期間における画像データを差し引くことで、外光の
影響を低減した、コントラストの高いカラーの画像データを取得することができる。
【0080】
なお、固体撮像装置の場合は、各点灯期間の間に消灯期間を挿入する必要はないが、消灯
期間を挿入することで、電荷保持期間における電荷のリークをより防ぐことができる。
【0081】
FS駆動でバックライトを動作させる場合、単色の光源とカラーフィルタを組み合わせる
場合とは異なり、各色の光源を順次切り換えて発光させる必要がある。さらに、上記光源
の切り換えが行われる周波数は、単色の光源を用いた場合のフレーム周波数よりも高い値
に設定する必要がある。例えば、単色の光源を用いた場合のフレーム周波数を60Hzと
すると、赤、緑、青の各色に対応する光源を用いてFS駆動を行う場合、光源の切り替え
を行う周波数は、約3倍の180Hz程度となる。よって、各色の光源が発光する点灯期
間は、非常に短い。しかし、本発明の一態様では、グローバルシャッタ方式を用いて撮像
を行うため、電荷のリセット動作と蓄積動作を全画素において一斉に行うことができる。
よって、全画素において蓄積動作を完了させるまでの期間が、ローリングシャッタ方式を
用いた場合よりも短くすることができる。そのため、FS駆動を採用することで各色の光
源が発光する点灯期間が短くなっても、上記期間内において全画素の蓄積動作を完了させ
ることができる。
【0082】
また、FS駆動を用いることで、各画素にカラーフィルタを設ける必要がなくなり、バッ
クライトからの光の利用効率を高めることができる。よって、固体撮像装置の消費電力を
低減することができる。また、1つの画素で各色に対応する画像データの取得、或いは階
調の表示を行うことができるため、高精細な画像データの取得、或いは高精細な画像の表
示を行うことができる。
【0083】
次いで、本発明の一態様に係る半導体表示装置の、画素の一例について説明する。固体撮
像装置の場合、各画素にフォトセンサが設けられているが、半導体表示装置の場合、フォ
トセンサに加えて表示素子が各画素に設けられている。半導体表示装置の場合でも、フォ
トセンサどうしの接続構成は、図1または図2(B)に示した構成を採用することができ
る。また、半導体表示装置の場合でも、図1または図2(A)に示したフォトセンサの構
造を採用することができる。
【0084】
図6に、半導体表示装置が有する画素の構成を、一例として回路図で示す。図6では、画
素120が、4つの表示素子121と、1つのフォトセンサ101を有している。なお、
本発明の一態様に係る半導体表示装置では、各画素の有する表示素子121とフォトセン
サ101の数は、図6に示した形態に限定されない。
【0085】
図6では、図2(A)に示した構成を有するフォトセンサ101を画素120に用いてい
る。
【0086】
表示素子121は、液晶素子122と、上記液晶素子122の動作を制御するトランジス
タなどの回路素子を有する。具体的に、図6では、表示素子121が、液晶素子122と
、スイッチング素子として機能するトランジスタ123と、容量素子124とを有する場
合を例示している。液晶素子122は、画素電極、対向電極、及び前記画素電極と前記対
向電極とにより電圧が印加される液晶を有する。
【0087】
なお、表示素子121は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素
子、インダクタンスなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
【0088】
トランジスタ123のゲート電極は、走査線GLに接続されている。トランジスタ123
は、その第1端子が信号線SLに接続されており、その第2端子が液晶素子122の画素
電極に接続されている。容量素子124が有する一対の電極は、一方が液晶素子122の
画素電極に接続され、他方は固定の電位が与えられている配線COMに接続されている。
【0089】
次いで、図6に示した画素を例に挙げて、本発明の一態様に係る半導体表示装置の、画素
のレイアウトについて説明する。図7に、図6に示した画素120の上面図の一例を示す
図7に示す画素120は、図6と同様に、一のフォトセンサ101と、4つの表示素子
121とを有している。
【0090】
図8に、図7に示した表示素子121の一つを、拡大して示す。表示素子121は、走査
線GLとして機能する導電膜201と、信号線SLとして機能する導電膜202と、配線
COMとして機能する導電膜203とを有している。導電膜201は、トランジスタ12
3のゲート電極としても機能する。また、導電膜202は、トランジスタ123の第1端
子としても機能する。さらに、表示素子121は、画素電極204、導電膜205、導電
膜206を有している。導電膜206は、トランジスタ123の第2端子として機能する
。そして、導電膜206と画素電極204は接続されている。
【0091】
また、導電膜206は、導電膜205に接続されており、配線COMとして機能する導電
膜203と導電膜205とが、ゲート絶縁膜を間に挟んで重なり合っている部分が、容量
素子124として機能する。
【0092】
なお、図7図8では、配線、トランジスタ、容量素子などの構成をより明確にするため
に、ゲート絶縁膜を含む各種絶縁膜を図示していない。
【0093】
導電膜201、導電膜205は、絶縁表面上に形成された一の導電膜を所望の形状に加工
することで形成することができる。導電膜201、導電膜205上にはゲート絶縁膜が形
成されている。さらに、導電膜202、導電膜203、導電膜206は、ゲート絶縁膜上
に形成された一の導電膜を所望の形状に加工することで形成することができる。
【0094】
なお、トランジスタ123がボトムゲート型であり、なおかつその活性層253に酸化物
半導体を用いている場合、図8に示すように、ゲート電極として機能する導電膜201に
活性層253が完全に重なる構成を用いることが望ましい。上記構成を採用することで、
基板側から入射した光により活性層253中の酸化物半導体が劣化するのを防ぎ、よって
、トランジスタ123の閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化が引き起こされるのを防
ぐことができる。
【0095】
また、図9(A)に、図7に示したフォトセンサ101の一つを、拡大して示す。図9
B)には、図9(A)の破線A1―A2における断面図を示す。
【0096】
フォトセンサ101は、配線PRとして機能する導電膜210と、配線TXとして機能す
る導電膜211と、配線SEとして機能する導電膜212と、配線VRとして機能する導
電膜213と、配線OUTとして機能する導電膜214とを有している。
【0097】
フォトセンサ101の有するフォトダイオード102は、順に積層されたp型の半導体膜
215と、i型の半導体膜216と、n型の半導体膜217とを有している。導電膜21
0は、フォトダイオード102の陽極として機能するp型の半導体膜215に接続されて
いる。
【0098】
フォトセンサ101の有する導電膜218は、トランジスタ104のゲート電極として機
能しており、さらに、導電膜211に接続されている。フォトセンサ101の有する導電
膜219は、トランジスタ104の第1端子として機能する。フォトセンサ101の有す
る導電膜220は、トランジスタ104の第2端子として機能する。フォトセンサ101
の有する導電膜221は、n型の半導体膜217と、導電膜219とに接続されている。
フォトセンサ101の有する導電膜222は、トランジスタ105のゲート電極として機
能しており、さらに、導電膜220に接続されている。
【0099】
フォトセンサ101の有する導電膜223は、トランジスタ105の第1端子として機能
する。フォトセンサ101の有する導電膜224は、トランジスタ105の第2端子、及
びトランジスタ106の第1端子として機能する。また、導電膜214は、トランジスタ
106の第2端子としても機能する。導電膜212は、トランジスタ106のゲート電極
としても機能する。フォトセンサ101の有する導電膜225は、導電膜223及び導電
膜213に接続されている。
【0100】
フォトセンサ101の有する導電膜226は、配線PRとして機能する導電膜210に接
続されている。なお、図9では図示していないが、画素部には、配線PRとして機能する
導電膜210が複数設けられている。本発明の一態様では、上記導電膜226が、複数の
導電膜210のうち、少なくとも2つの導電膜210に接続されている。
【0101】
また、フォトセンサ101の有する導電膜227は、配線TXとして機能する導電膜21
1に接続されている。なお、図9では図示していないが、画素部には、配線TXとして機
能する導電膜211が複数設けられている。本発明の一態様では、上記導電膜227が、
複数の導電膜211のうち、少なくとも2つの導電膜211に接続されている。
【0102】
導電膜212、導電膜218、導電膜222、導電膜225、導電膜226、導電膜22
7は、絶縁表面上に形成された一の導電膜を所望の形状に加工することで形成することが
できる。導電膜212、導電膜218、導電膜222、導電膜225、導電膜226、導
電膜227上にはゲート絶縁膜228が形成されている。さらに、導電膜210、導電膜
211、導電膜213、導電膜214、導電膜219、導電膜220、導電膜223、導
電膜224は、ゲート絶縁膜228上に形成された一の導電膜を所望の形状に加工するこ
とで形成することができる。
【0103】
なお、本実施の形態では、配線PRどうしを接続する導電膜226と、配線PRとして機
能する導電膜210とを異なる導電膜で形成しているが、本発明の一態様はこの構成に限
定されない。一の導電膜が、配線PRどうしを接続する機能と、配線PRとしての機能を
と、併せ持っていても良い。すなわち、この場合、上記導電膜は、画素部において網目状
に張り巡らされることになる。
【0104】
或いは、本実施の形態では、配線TXどうしを接続する導電膜227と、配線TXとして
機能する導電膜211とを異なる導電膜で形成しているが、本発明の一態様はこの構成に
限定されない。一の導電膜が、配線TXどうしを接続する機能と、配線TXとしての機能
とを、併せ持っていても良い。すなわち、この場合、上記導電膜は、画素部において網目
状に張り巡らされることになる。
【0105】
上記構成により、配線PRや配線TXの抵抗による電位の降下や信号の遅延を抑制するこ
とができる。その結果、フォトダイオード102の陽極に与えられる電位、或いは、電荷
を保持するためのトランジスタ104のスイッチングを制御する信号の電位が、画素部内
でばらつくのを防ぐことができる。よって、フォトセンサ101から出力される信号の電
位がばらつくのを防ぐことができ、撮像された画像の品質を向上させることができる。
【0106】
なお、図9(B)に示すフォトセンサ101の断面図は、導電膜221まで形成された状
態を示している。半導体表示装置の場合は、フォトセンサ101に加えて表示素子121
が画素120に設けられているので、実際には、導電膜221を形成した後に、液晶素子
の形成を行う。
【0107】
なお、トランジスタ104がボトムゲート型であり、なおかつその活性層250に酸化物
半導体を用いている場合、図9に示すように、ゲート電極として機能する導電膜218に
活性層250が完全に重なる構成を用いることが望ましい。上記構成を採用することで、
基板251側から入射した光により活性層250中の酸化物半導体が劣化するのを防ぎ、
よって、トランジスタ104の閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化が引き起こされる
のを防ぐことができる。なお、トランジスタ105と、トランジスタ106についても、
上記構成を採用することで、同様の効果が得られる。
【0108】
図16に示す画素の断面図では、表示素子121のトランジスタ123と、フォトセンサ
101のフォトダイオード102とが図示されている。トランジスタ123の第2端子と
して機能する導電膜206は、画素電極204に接続されている。フォトダイオード10
2に接続されている導電膜221と、画素電極204とは、トランジスタ123とフォト
ダイオード102を覆っている絶縁膜231上に形成された一の導電膜を、所望の形状に
加工することで形成することができる。
【0109】
また、画素電極204が形成されている基板232と対峙するように、基板236が配置
されている。基板236上には対向電極233が形成されており、画素電極204と対向
電極233の間には液晶を含む液晶層234が設けられている。画素電極204と、対向
電極233と、液晶層234とが重なる部分に液晶素子122が形成される。
【0110】
なお、画素電極204と液晶層234の間、または対向電極233と液晶層234の間に
、配向膜を適宜設けても良い。配向膜は、ポリイミド、ポリビニルアルコールなどの有機
樹脂を用いて形成することができ、その表面には、ラビングなどの、液晶分子を一定方向
に配列させるための配向処理が施されている。ラビングは、配向膜に接するように、ナイ
ロンなどの布を巻いたローラーを回転させて、上記配向膜の表面を一定方向に擦ることで
、行うことができる。なお、酸化珪素などの無機材料を用い、配向処理を施すことなく、
蒸着法で配向特性を有する配向膜を直接形成することも可能である。
【0111】
また、液晶層234を形成するために行われる液晶の注入は、ディスペンサ式(滴下式)
を用いても良いし、ディップ式(汲み上げ式)を用いていても良い。
【0112】
なお、基板236上には、画素間における液晶の配向の乱れに起因するディスクリネーシ
ョンが視認されるのを防ぐため、或いは、拡散した光が隣接する複数の画素に並行して入
射するのを防ぐために、光を遮蔽することができる遮蔽膜235が設けられている。遮蔽
膜235には、カーボンブラック、二酸化チタンよりも酸化数が小さい低次酸化チタンな
どの黒色顔料を含む有機樹脂を用いることができる。または、クロムを用いた膜で、遮蔽
膜を形成することも可能である。
【0113】
活性層253に酸化物半導体を用いている場合、遮蔽膜235をトランジスタ123の活
性層253と重なるように設けることで、基板236側から入射した光により活性層25
3中の酸化物半導体が劣化するのを防ぎ、よって、トランジスタ123の閾値電圧がシフ
トするなどの特性の劣化が引き起こされるのを防ぐことができる。
【0114】
画素電極204と対向電極233は、例えば、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(IT
SO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(I
ZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などの透光性を有する導電材料を用いる
ことができる。
【0115】
また、液晶層234には、TN(Twisted Nematic)型、VA(Vert
ical Alignment)型、OCB(Optically Compensat
ed Birefringence)型、IPS(In-Plane Switchin
g)型、MVA(Multi-domain Vertical Alignment)
型等の公知の液晶を用いることができる。
【0116】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を液晶層234に用いてもよい。ブルー相は
液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方
相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、
カイラル剤や紫外線硬化樹脂を添加して温度範囲を改善する。ブルー相を示す液晶とカイ
ラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が1msec以下と短く、光学的等方性であるた
め配向処理が不要であり、視野角依存性が小さいため好ましい。
【0117】
なお、図16では、画素電極204と対向電極233の間に液晶層234が挟まれている
構造を有する液晶素子を例に挙げて説明したが、本発明の一態様に係る半導体表示装置は
この構成に限定されない。IPS型の液晶素子やブルー相を用いた液晶素子のように、一
対の電極が共に一の基板に形成されていても良い。
【0118】
なお、遮蔽膜235は、表示素子121のみならず、フォトセンサ101にも設けること
が望ましい。図20に、遮蔽膜235を図7に示した画素120に重ねた様子を示す。図
20では、遮蔽膜235が、表示素子121の画素電極204と重なる領域と、フォトセ
ンサ101のフォトダイオード102と重なる領域とに開口部を有している。よって、表
示素子121及びフォトセンサ101を構成しているトランジスタの活性層に酸化物半導
体が用いられていても、遮蔽膜235により活性層が遮光されるので、酸化物半導体の光
劣化を防ぎ、トランジスタの閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化が引き起こされるの
を防ぐことができる。
【0119】
なお、駆動回路をパネルに形成する場合、駆動回路に用いられるトランジスタにも、ゲー
ト電極或いは遮蔽膜による遮光を行うことで、トランジスタの閾値電圧がシフトするなど
の特性の劣化が引き起こされるのを防ぐことができる。
【0120】
なお、本発明の固体撮像装置または半導体表示装置は、一対の基板間に画素部が形成され
たパネルと、上記パネルに駆動回路、コントローラ、CPU、メモリ等を含むICや、バ
ックライトを実装した状態にあるモジュールとをその範疇に含む。駆動回路は、パネル内
に形成されていても良い。
【0121】
次いで、図10を用いて、半導体表示装置をFS駆動で動作させた場合の、光源の動作と
、画素部の動作について説明する。図10では、赤(R)、緑(G)、青(B)にそれぞ
れ対応した3つの光源の点灯期間及び消灯期間と、配線TX、配線PR、配線SEの電位
の時間変化とを示す。
【0122】
なお、図10では、バックライトが赤(R)の光を発する光源と、緑(G)の光を発する
光源と、青(B)の光を発する光源とを有する場合を例に挙げて説明するが、バックライ
トの有する光源の種類は上記構成に限定されない。また、図10では、図6に示した画素
を画素部に複数有し、なおかつ、上記画素部には、配線TX1から配線TXxと、配線P
R1から配線PRxと、配線SE1から配線SEyが設けられているものと仮定し、その
動作について説明する。
【0123】
図10に示すように、FS駆動でバックライトを動作させる場合、各色の光源を順に点灯
させる。具体的に、図10では、1フレーム期間内に、赤(R)の光源を点灯させる点灯
期間Tr、全ての光源を消灯させる消灯期間Tk、緑(G)の光源を点灯させる点灯期間
Tg、全ての光源を消灯させる消灯期間Tk、青(B)の光源を点灯させる点灯期間Tb
、全ての光源を消灯させる消灯期間Tkを、順に出現させる。
【0124】
まず、第1のフレーム期間における点灯期間Trでは、固体撮像装置の場合と同様に、赤
(R)に対応するリセット動作及び蓄積動作が、全画素のフォトセンサにおいて一斉に行
われる。すなわち、リセット動作及び蓄積動作が行われる露光期間が、点灯期間Tr内に
設けられる。そして、上記露光期間において、配線Tx1から配線TXxに入力される信
号の電位はパルスを有しており、なおかつそのパルスの出現する期間が重なっている。ま
た、上記露光期間において、配線PR1から配線PRxに入力される信号の電位はパルス
を有しており、なおかつそのパルスの出現する期間が重なっている。
【0125】
また、点灯期間Trが終了してから、第2のフレーム期間における点灯期間Tgが出現す
る前までに、赤(R)に対応する電荷の読み出し動作がフォトセンサの行ごとに順に行わ
れる。よって、全行の読み出し期間内に、順に各行の読み出し期間が出現する。そして、
各行の読み出し期間では、配線SE1から配線SEyのうち当該読み出し期間に対応する
配線SEにおいて、入力される信号の電位がパルスを有している。すなわち、配線SE1
から配線SEyのそれぞれに入力される信号のパルスは、順次シフトするように出現する
【0126】
同様に、第2のフレーム期間における点灯期間Tgでは、緑(G)に対応するリセット動
作及び蓄積動作が、全画素のフォトセンサにおいて一斉に行われる。すなわち、リセット
動作及び蓄積動作が行われる露光期間が、点灯期間Tg内に設けられる。そして、同様に
、点灯期間Tgが終了してから、第3のフレーム期間における点灯期間Tbが出現する前
までに、緑(G)に対応する電荷の読み出し動作がフォトセンサの行ごとに順に行われる
【0127】
同様に、第3のフレーム期間における点灯期間Tbでは、青(B)に対応するリセット動
作及び蓄積動作が、全画素のフォトセンサにおいて一斉に行われる。すなわち、リセット
動作及び蓄積動作が行われる露光期間が、点灯期間Tb内に設けられる。そして、同様に
、点灯期間Tbが終了してから、第5のフレーム期間における点灯期間Trが出現する前
までに、青(B)に対応する電荷の読み出し動作がフォトセンサの行ごとに順に行われる
【0128】
上記動作を行うことにより、各色に対応した画像データを取得できる。そして、上記各色
に対応した画像データを合成することで、カラーの画像データを得ることができる。
【0129】
なお、さらに消灯期間Tkを追加し、当該消灯期間において画像データを取得してもよい
。各色に対応した画像データから消灯期間における画像データを差し引くことで、外光の
影響を低減した、コントラストの高いカラーの画像データを取得することができる。
【0130】
FS駆動でバックライトを動作させる場合、単色の光源とカラーフィルタを組み合わせる
場合とは異なり、各色の光源を順次切り換えて発光させる必要がある。さらに、上記光源
の切り換えが行われる周波数は、単色の光源を用いた場合のフレーム周波数よりも高い値
に設定する必要がある。例えば、単色の光源を用いた場合のフレーム周波数を60Hzと
すると、赤、緑、青の各色に対応する光源を用いてFS駆動を行う場合、光源の切り替え
を行う周波数は、約3倍の180Hz程度となる。よって、各色の光源が発光する点灯期
間は、非常に短い。しかし、本発明の一態様では、グローバルシャッタ方式を用いて撮像
を行うため、電荷のリセット動作と蓄積動作を全画素において一斉に行うことができる。
よって、全画素において蓄積動作を完了させるまでの期間が、ローリングシャッタ方式を
用いた場合よりも短くすることができる。そのため、FS駆動を採用することで各色の光
源が発光する点灯期間が短くなっても、上記期間内において全画素の蓄積動作を完了させ
ることができる。
【0131】
また、FS駆動を用いることで、各画素にカラーフィルタを設ける必要がなくなり、バッ
クライトからの光の利用効率を高めることができる。よって、半導体表示装置の消費電力
を低減することができる。また、1つの画素で各色に対応する画像データの取得、或いは
階調の表示を行うことができるため、高精細な画像データの取得、或いは高精細な画像の
表示を行うことができる。
【0132】
なお、上述した各期間における上記動作は、撮像時における半導体表示装置の動作である
。半導体表示装置において、画像の表示を行う場合は、各消灯期間Tkにおいて表示素子
121に各色に対応する画像信号を書き込む。そして、各点灯期間において、上記画像信
号に従い各色に対応する階調を表示素子121において表示することで、カラーの画像を
表示することができる。
【0133】
なお、液晶は、電圧が印加されてからその透過率が収束するまでの応答時間が、一般的に
十数msec程度である。よって、点灯期間に占める液晶の応答時間の割合が大きいため
、液晶素子の透過率の変化が動画のぼやけとして視認されやすい。しかし、上述したよう
に、液晶の透過率の変化が著しい期間と消灯期間Tkとを並行するように出現させ、液晶
の透過率の変化が収束している期間と各点灯期間とを並行するように出現させることで、
透過率の変化が視認されるのを防ぐことができ、表示される画像の品質を向上させること
ができる。
【0134】
(実施の形態2)
本実施の形態では、図2(A)とは異なるフォトセンサ101の構成について説明する。
【0135】
図11に、フォトセンサ101の一例を回路図で示す。図11に示すフォトセンサ101
は、増幅回路103が、トランジスタ104、トランジスタ105、トランジスタ106
、トランジスタ107を有している。トランジスタ104は、増幅回路103内への、フ
ォトダイオード102において生じる電流の供給を制御する。トランジスタ105は、ト
ランジスタ104の第2端子に与えられる電位に従って、その第1端子と第2端子間の電
流値或いは抵抗値が定まる。また、トランジスタ106は、上記電流値或いは抵抗値によ
って定まる出力信号の電位を、配線OUTに供給するためのスイッチング素子として機能
する。トランジスタ107は、増幅回路103に蓄積された電荷の量をリセットする機能
を有する。
【0136】
具体的に、図11では、トランジスタ104の第1端子がフォトダイオード102の陰極
に接続され、トランジスタ104の第2端子がトランジスタ105のゲート電極及びトラ
ンジスタ107の第1端子に接続されている。トランジスタ105の第1端子及びトラン
ジスタ107の第2端子は、ハイレベルの電源電位VDDが与えられている配線VRに接
続されている。トランジスタ107のゲート電極は、配線RSに接続されており、配線R
Sにはトランジスタ107のスイッチングを制御する信号の電位が与えられる。トランジ
スタ105の第2端子は、トランジスタ106の第1端子に接続されている。トランジス
タ106の第2端子は、配線OUTに接続されている。トランジスタ106のゲート電極
は、配線SEに接続されており、配線SEにはトランジスタ106のスイッチングを制御
する信号の電位が与えられる。
【0137】
図11では、トランジスタ104の第2端子と、トランジスタ107の第1端子と、トラ
ンジスタ105のゲート電極とが接続されているノードを、ノードFDとして示している
。ノードFDに蓄積される電荷の量によって、出力信号の電位が定まる。ノードFDにお
いて電荷をより確実に保持するために、ノードFDに容量素子を接続するようにしても良
い。
【0138】
次いで、図11に示したフォトセンサ101の動作の一例について説明する。図12に、
図11に示したフォトセンサ101に与えられる各種電位のタイミングチャートを、一例
として示す。
【0139】
なお、図12に示すタイミングチャートでは、フォトセンサ101の動作を分かりやすく
説明するため、配線TX、配線SE、配線RSには、ハイレベルかローレベルの電位が与
えられるものと仮定する。具体的に、配線TXには、ハイレベルの電位HTXと、ローレ
ベルの電位LTXが与えられるものとし、配線SEには、ハイレベルの電位HSEと、ロ
ーレベルの電位LSEが与えられるものとし、配線RSには、ハイレベルの電位HRSと
、ローレベルの電位LRSが与えられるものとする。また、配線PRには、ローレベルの
電源電位VSSが与えられている。
【0140】
まず、時刻T1において、配線TXの電位を、電位LTXから電位HTXに変化させる。
配線TXの電位が電位HTXになると、トランジスタ104はオンになる。なお、時刻T
1において、配線SEには電位LSEが与えられ、配線RSには電位LRSが与えられて
いる。
【0141】
次いで、時刻T2において、配線RSの電位を、電位LRSから電位HRSに変化させる
。配線RSの電位が電位HRSになると、トランジスタ107はオンになる。また、時刻
T2において、配線TXの電位は電位HTXのままであり、配線SEの電位は電位LSE
のままである。よって、ノードFDには電源電位VDDが与えられるため、ノードFDに
保持されている電荷の量はリセットされる。また、フォトダイオード102には、逆方向
バイアスの電圧が印加される。
【0142】
次いで、時刻T3において、配線RSの電位を、電位HRSから電位LRSに変化させる
。時刻T3の直前まで、ノードFDの電位は電源電位VDDに保たれているため、配線R
Sの電位が電位LRSになった後も、フォトダイオード102に逆方向バイアスの電圧が
印加された状態が続く。そして、この状態で、フォトダイオード102に光が入射すると
、フォトダイオード102の陰極から陽極に向かって電流が流れる。上記電流の値は光の
強度に従って変化する。すなわち、フォトダイオード102に入射する光の強度が高いほ
ど上記電流値は高くなり、ノードFDからの電荷の流出も大きくなる。逆に、フォトダイ
オード102に入射する光の強度が低いほど上記電流値は低くなり、ノードFDからの電
荷の流出も小さくなる。よって、ノードFDの電位は、光の強度が高いほど変化が大きく
、光の強度が低いほど変化が小さい。
【0143】
次いで、時刻T4において、配線TXの電位を電位HTXから電位LTXに変化させると
、トランジスタ104はオフになる。よって、ノードFDからフォトダイオード102へ
の電荷の移動が止まるため、ノードFDの電位が定まる。
【0144】
次いで、時刻T5において、配線SEの電位を電位LSEから電位HSEに変化させると
、トランジスタ106はオンになる。すると、ノードFDの電位に応じて配線VRから配
線OUTへと電荷が移動する。
【0145】
次いで、時刻T6において、配線SEの電位を電位HSEから電位LSEに変化させると
、配線VRから配線OUTへの電荷の移動が停止し、配線OUTの電位が決定する。この
配線OUTの電位が、フォトセンサ101の出力信号の電位に相当する。そして、出力信
号の電位には、撮像された被写体の画像データが含まれている。
【0146】
上記一連の動作は、リセット動作、蓄積動作、読み出し動作に分類することができる。す
なわち、時刻T1から時刻T3までの動作がリセット動作、時刻T3から時刻T4までの
動作が蓄積動作、時刻T5から時刻T6までの動作が読み出し動作に相当する。リセット
動作、蓄積動作、読み出し動作を行うことで、画像データの取得を行うことができる。
【0147】
次いで、図2(A)、図11とは異なるフォトセンサ101の構成について説明する。
【0148】
図13に、フォトセンサ101の一例を回路図で示す。図13に示すフォトセンサ101
は、増幅回路103が、トランジスタ104、トランジスタ105、トランジスタ106
、トランジスタ107を有している。トランジスタ104は、増幅回路103内への、フ
ォトダイオード102おいて生じる電流の供給を制御する。トランジスタ105は、トラ
ンジスタ104の第2端子に与えられる電位に従って、その第1端子と第2端子間の電流
値或いは抵抗値が定まる。また、トランジスタ106は、上記電流値或いは抵抗値によっ
て定まる出力信号の電位を、配線OUTに供給するためのスイッチング素子として機能す
る。トランジスタ107は、増幅回路103に蓄積された電荷の量をリセットする機能を
有する。
【0149】
具体的に、図13では、トランジスタ104の第1端子がフォトダイオード102の陰極
に接続され、トランジスタ104の第2端子がトランジスタ105のゲート電極及びトラ
ンジスタ107の第1端子に接続されている。トランジスタ105は、その第1端子がト
ランジスタ106の第2端子に接続され、その第2端子が配線OUTに接続されている。
トランジスタ106の第1端子及びトランジスタ107の第2端子は、ハイレベルの電源
電位VDDが与えられている配線VRに接続されている。トランジスタ107のゲート電
極は、配線RSに接続されており、配線RSにはトランジスタ107のスイッチングを制
御する信号の電位が与えられる。トランジスタ106のゲート電極は、配線SEに接続さ
れており、配線SEにはトランジスタ106のスイッチングを制御する信号の電位が与え
られる。
【0150】
図13では、トランジスタ104の第2端子と、トランジスタ107の第1端子と、トラ
ンジスタ105のゲート電極とが接続されているノードを、ノードFDとして示している
。ノードFDに蓄積される電荷の量によって、出力信号の電位が定まる。ノードFDにお
いて電荷をより確実に保持するために、ノードFDに容量素子を接続するようにしても良
い。
【0151】
図13に示すフォトセンサ101の動作については、図12に示したタイミングチャート
を参照することができる。
【0152】
なお、図11または図13に示したフォトセンサでは、トランジスタ104のチャネル形
成領域に、シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよ
りも低い半導体を含むことを特徴とする。上述したような特性を有する半導体材料をチャ
ネル形成領域に含むことで、オフ電流が極めて低く、なおかつ高耐圧であるトランジスタ
104を実現することができる。そして、上記構成を有するトランジスタ104をスイッ
チング素子として用いることで、増幅回路103内に蓄積された電荷のリークを防ぐこと
ができる。
【0153】
また、図11または図13において、増幅回路103を構成しているトランジスタ104
、トランジスタ105、トランジスタ106、トランジスタ107は、その活性層に、酸
化物半導体膜が用いられていても良い。或いは、トランジスタ104、トランジスタ10
5、トランジスタ106、トランジスタ107の活性層に、酸化物半導体以外の、非晶質
、微結晶、多結晶、または単結晶の、シリコン、またはゲルマニウムなどの半導体が用い
られていても良い。フォトセンサ101内の全てのトランジスタの活性層に、酸化物半導
体膜を用いることで、プロセスを簡略化することができる。また、トランジスタ105、
トランジスタ106、トランジスタ107の活性層に、例えば、多結晶または単結晶のシ
リコンなどのように、酸化物半導体よりも高い移動度が得られる半導体材料を用いること
で、フォトセンサ101からの画像データの読み出しを高速で行うことができる。
【0154】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0155】
(実施の形態3)
本実施の形態では、シリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジス
タとを有する、本発明の一態様に係る固体撮像装置または半導体表示装置の作製方法につ
いて説明する。
【0156】
なお、本発明の一態様では、増幅回路を構成するトランジスタに、酸化物半導体を用いて
いても良いし、ゲルマニウム、シリコン、シリコンゲルマニウムや、単結晶炭化シリコン
などを用いた、通常の半導体を用いていても良い。例えば、シリコンを用いたトランジス
タは、シリコンウェハなどの単結晶半導体基板、SOI法により作製されたシリコン薄膜
、気相成長法により作製されたシリコン薄膜などを用いて形成することができる。
【0157】
まず、図14(A)に示すように、基板700の絶縁表面上に、公知のCMOSの作製方
法を用いて、フォトダイオード704、nチャネル型トランジスタ705を形成する。本
実施の形態では、単結晶の半導体基板から分離された単結晶半導体膜を用いて、フォトダ
イオード704、nチャネル型トランジスタ705を形成する場合を例に挙げている。
【0158】
具体的な単結晶半導体膜の作製方法の一例について、簡単に説明する。まず、単結晶の半
導体基板に、電界で加速されたイオンでなるイオンビームを注入し、半導体基板の表面か
ら一定の深さの領域に、結晶構造が乱されることで局所的に脆弱化された脆化層を形成す
る。脆化層が形成される領域の深さは、イオンビームの加速エネルギーとイオンビームの
入射角によって調節することができる。そして、半導体基板と、絶縁膜701が形成され
た基板700とを、間に当該絶縁膜701が挟まるように貼り合わせる。貼り合わせは、
半導体基板と基板700とを重ね合わせた後、半導体基板と基板700の一部に、1N/
cm以上500N/cm以下、好ましくは11N/cm以上20N/cm以下程
度の圧力を加える。圧力を加えると、その部分から半導体基板と絶縁膜701とが接合を
開始し、最終的には密着した面全体に接合がおよぶ。次いで、加熱処理を行うことで、脆
化層に存在する微小ボイドどうしが結合して、微小ボイドの体積が増大する。その結果、
脆化層において半導体基板の一部である単結晶半導体膜が、半導体基板から分離する。上
記加熱処理の温度は、基板700の歪み点を越えない温度とする。そして、上記単結晶半
導体膜をエッチング等により所望の形状に加工することで、島状の半導体膜702、島状
の半導体膜703を形成することができる。
【0159】
フォトダイオード704は、絶縁膜701上の島状の半導体膜702を用いて形成されて
おり、nチャネル型トランジスタ705は、絶縁膜701上の島状の半導体膜703を用
いて形成されている。また、フォトダイオード704は、島状の半導体膜702内にp型
の導電性を有する領域727と、i型の導電性を有する領域728と、n型の導電性を有
する領域729とが形成された横型接合タイプである。また、nチャネル型トランジスタ
705は、ゲート電極707を有している。そして、nチャネル型トランジスタ705は
、島状の半導体膜703とゲート電極707の間に、絶縁膜708を有する。
【0160】
なお、i型の導電性を有する領域728は、半導体膜のうち、含まれるp型若しくはn型
を付与する不純物が1×1020cm-3以下の濃度であり、暗伝導度に対して光伝導度
が100倍以上である領域を指す。i型の導電性を有する領域728には、周期表第13
族若しくは第15族の不純物元素を有するものも、その範疇に含む。すなわち、i型の半
導体は、価電子制御を目的とした不純物元素を意図的に添加しないときに弱いn型の電気
伝導性を示すので、i型の導電性を有する領域728は、p型を付与する不純物元素を、
成膜時或いは成膜後に、意図的若しくは非意図的に添加されたものをその範疇に含む。
【0161】
基板700として使用することができる基板に大きな制限はないが、少なくとも、後の加
熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、基板700には
、フュージョン法やフロート法で作製されるガラス基板、石英基板、セラミック基板等を
用いることができる。ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点
が730℃以上のものを用いると良い。また、ステンレス基板を含む金属基板またはシリ
コン基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。プラスチック等の可撓性を有す
る合成樹脂からなる基板は、一般的に上記基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、
作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。
【0162】
なお、本実施の形態では、単結晶の半導体膜を用いてフォトダイオード704とnチャネ
ル型トランジスタ705を形成する例について説明しているが、本発明はこの構成に限定
されない。例えば、絶縁膜701上に気相成長法を用いて形成された多結晶、微結晶の半
導体膜を用いても良いし、上記半導体膜を公知の技術により結晶化しても良い。公知の結
晶化方法としては、レーザ光を用いたレーザ結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法がある
。或いは、触媒元素を用いる結晶化法とレーザ結晶化法とを組み合わせて用いることもで
きる。また、石英のような耐熱性に優れている基板を用いる場合、電熱炉を使用した熱結
晶化方法、赤外光を用いたランプアニール結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法、950
℃程度の高温アニール法を組み合わせた結晶化法を用いても良い。
【0163】
また、図14(A)では、絶縁膜708上に導電膜を形成した後、上記導電膜をエッチン
グ等により所望の形状に加工することで、ゲート電極707と共に、配線711を形成す
る。
【0164】
次いで、図14(A)に示すように、フォトダイオード704、nチャネル型トランジス
タ705、配線711を覆うように、絶縁膜712を形成する。なお、本実施の形態では
、単層の絶縁膜712を用いる場合を例示しているが、上記絶縁膜712は単層である必
要はなく、2層以上の絶縁膜を積層させて絶縁膜712として用いても良い。
【0165】
絶縁膜712は、後の作製工程における加熱処理の温度に耐えうる材料を用いる。具体的
に、絶縁膜712として、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化アル
ミニウム、酸化アルミニウムなどを用いるのが望ましい。
【0166】
なお、本明細書において酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多
い物質であり、また、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い
物質を意味する。
【0167】
絶縁膜712は、その表面をCMP法などにより平坦化させても良い。
【0168】
次いで、図14(A)に示すように、絶縁膜712上に、ゲート電極713を形成する。
【0169】
ゲート電極713の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネ
オジム、スカンジウム等の金属材料、これら金属材料を主成分とする合金材料を用いた導
電膜、或いはこれら金属の窒化物を、単層で又は積層で用いることができる。なお、後の
工程において行われる加熱処理の温度に耐えうるのであれば、上記金属材料としてアルミ
ニウム、銅を用いることもできる。アルミニウムまたは銅は、耐熱性や腐食性の問題を回
避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材料としては、
モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム等を用
いることができる。
【0170】
例えば、二層の積層構造を有するゲート電極713として、アルミニウム膜上にモリブデ
ン膜が積層された二層の積層構造、銅膜上にモリブデン膜を積層した二層構造、銅膜上に
窒化チタン膜若しくは窒化タンタル膜を積層した二層構造、または、窒化チタン膜とモリ
ブデン膜とを積層した二層構造とすることが好ましい。3層の積層構造を有するゲート電
極713としては、アルミニウム膜、アルミニウムとシリコンの合金膜、アルミニウムと
チタンの合金膜またはアルミニウムとネオジムの合金膜を中間層とし、タングステン膜、
窒化タングステン膜、窒化チタン膜またはチタン膜を上下層として積層した構造とするこ
とが好ましい。
【0171】
また、ゲート電極713に酸化インジウム、酸化インジウム酸化スズ混合物、酸化インジ
ウム酸化亜鉛混合物、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム、また
は酸化亜鉛ガリウム等の透光性を有する酸化物導電膜を用いることもできる。
【0172】
ゲート電極713の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは100nm~200nm
とする。本実施の形態では、タングステンターゲットを用いたスパッタ法により150n
mのゲート電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッチングにより所望の形状に加工
(パターニング)することで、ゲート電極713を形成する。なお、形成されたゲート電
極の端部がテーパー形状であると、上に積層するゲート絶縁膜の被覆性が向上するため好
ましい。なお、レジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクを
インクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる
【0173】
次いで、図14(B)に示すように、ゲート電極713上に、ゲート絶縁膜714を形成
する。ゲート絶縁膜714は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化
珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アル
ミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜また
は酸化タンタル膜を単層で又は積層させて形成することができる。ゲート絶縁膜714は
、水分や、水素などの不純物を極力含まないことが望ましい。スパッタリング法により酸
化珪素膜を成膜する場合には、ターゲットとしてシリコンターゲット又は石英ターゲット
を用い、スパッタガスとして酸素又は、酸素及びアルゴンの混合ガスを用いる。
【0174】
不純物を除去した酸化物半導体(高純度化された酸化物半導体)は界面準位、界面電荷に
対して極めて敏感であるため、高純度化された酸化物半導体とゲート絶縁膜714との界
面は重要である。そのため高純度化された酸化物半導体に接するゲート絶縁膜(GI)は
、高品質化が要求される。
【0175】
例えば、μ波(周波数2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVDは、緻密で絶縁耐
圧の高い高品質な絶縁膜を形成できるので好ましい。高純度化された酸化物半導体と高品
質ゲート絶縁膜とが密接することにより、界面準位を低減して界面特性を良好なものとす
ることができるからである。
【0176】
もちろん、ゲート絶縁膜714として良質な絶縁膜を形成できるものであれば、スパッタ
リング法やプラズマCVD法など他の成膜方法を適用することができる。また、成膜後の
熱処理によって膜質や、酸化物半導体との界面特性が改善される絶縁膜であっても良い。
いずれにしても、ゲート絶縁膜としての膜質が良好であることは勿論のこと、ゲート絶縁
膜と酸化物半導体との界面準位密度を低減し、良好な界面を形成できるものであれば良い
【0177】
バリア性の高い材料を用いた絶縁膜と、窒素の含有比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素
膜などの絶縁膜とを積層させた構造を有するゲート絶縁膜714を形成しても良い。この
場合、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜は、バリア性の高い絶縁膜と酸化物半導
体膜の間に形成する。バリア性の高い絶縁膜として、例えば窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜
、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などが挙げられる。バリア性の高
い絶縁膜を用いることで、水分または水素などの雰囲気中の不純物、或いは基板内に含ま
れるアルカリ金属、重金属などの不純物が、酸化物半導体膜内、ゲート絶縁膜714内、
或いは、酸化物半導体膜と他の絶縁膜の界面とその近傍に入り込むのを防ぐことができる
。また、酸化物半導体膜に接するように窒素の含有比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素
膜などの絶縁膜を形成することで、バリア性の高い絶縁膜が直接酸化物半導体膜に接する
のを防ぐことができる。
【0178】
例えば、第1のゲート絶縁膜としてスパッタリング法により膜厚50nm以上200nm
以下の窒化珪素膜(SiN(y>0))を形成し、第1のゲート絶縁膜上に第2のゲー
ト絶縁膜として膜厚5nm以上300nm以下の酸化珪素膜(SiO(x>0))を積
層して、膜厚100nmのゲート絶縁膜714としても良い。ゲート絶縁膜714の膜厚
は、トランジスタに要求される特性によって適宜設定すればよく、350nm乃至400
nm程度でもよい。
【0179】
本実施の形態では、スパッタ法で形成された膜厚50nmの窒化珪素膜上に、スパッタ法
で形成された膜厚100nmの酸化珪素膜を積層させた構造を有する、ゲート絶縁膜71
4を形成する。
【0180】
なお、ゲート絶縁膜714は後に形成される酸化物半導体と接する。酸化物半導体は、水
素が含有されると特性に悪影響を及ぼすので、ゲート絶縁膜714は水素、水酸基および
水分が含まれないことが望ましい。ゲート絶縁膜714に水素、水酸基及び水分がなるべ
く含まれないようにするためには、成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱
室でゲート電極713が形成された基板700を予備加熱し、基板700に吸着した水分
または水素などの不純物を脱離し排気することが好ましい。なお、予備加熱の温度は、1
00℃以上400℃以下、好ましくは150℃以上300℃以下である。なお、予備加熱
室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略する
こともできる。
【0181】
次いで、ゲート絶縁膜714上に膜厚2nm以上200nm以下、好ましくは膜厚3nm
以上50nm以下、さらに好ましくは膜厚3nm以上20nm以下の酸化物半導体膜を形
成する。酸化物半導体膜は、酸化物半導体をターゲットとして用い、スパッタ法により成
膜する。また、酸化物半導体膜は、希ガス(例えばアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、
又は希ガス(例えばアルゴン)及び酸素混合雰囲気下においてスパッタ法により形成する
ことができる。
【0182】
なお、酸化物半導体膜をスパッタ法により成膜する前に、アルゴンガスを導入してプラズ
マを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁膜714の表面に付着している塵埃を除去
することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲
気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改
質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。
また、アルゴン雰囲気に酸素、亜酸化窒素などを加えた雰囲気で行ってもよい。また、ア
ルゴン雰囲気に塩素、四フッ化炭素などを加えた雰囲気で行ってもよい。
【0183】
用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含
むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用い
たトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加
えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn
)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有するこ
とが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好まし
い。また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウ
ム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピ
ウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、
ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)
、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。具体的に、酸化物
半導体膜には、上述したように、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸
化物であるIn-Zn系酸化物、Sn-Zn系酸化物、Al-Zn系酸化物、Zn-Mg
系酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-Mg系酸化物、In-Ga系酸化物、三元系金属
の酸化物であるIn-Ga-Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In-Al-Zn
系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-Zn系酸化物、Al-Ga-Zn系
酸化物、Sn-Al-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸
化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化
物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物
、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、
In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、I
n-Lu-Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn系酸化物、
In-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al
-Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を
用いることができる。
【0184】
本実施の形態では、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(亜鉛)を含むタ
ーゲットを用いたスパッタ法により得られる膜厚30nmのIn-Ga-Zn系酸化物半
導体の薄膜を、酸化物半導体膜として用いる。In-Ga-Zn系酸化物半導体膜をスパ
ッタリング法で成膜する場合、好ましくは、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1、
4:2:3、3:1:2、1:1:2、2:1:3、または3:1:4で示されるIn-
Ga-Zn系酸化物のターゲットを用いる。前述の原子数比を有するIn-Ga-Zn系
酸化物のターゲットを用いて酸化物半導体膜を成膜することで、多結晶またはCAACが
形成されやすくなる。また、In、Ga、及びZnを含むターゲットの充填率は90%以
上100%以下、好ましくは95%以上100%未満である。充填率の高いターゲットを
用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は緻密な膜となる。
【0185】
なお、酸化物半導体としてIn-Zn系酸化物の材料を用いる場合、用いるターゲットの
組成比は、原子数比で、In:Zn=50:1~1:2(モル数比に換算するとIn
:ZnO=25:1~1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1~1:1(モル数比
に換算するとIn:ZnO=10:1~1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=
15:1~1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2~3:4)
とする。例えば、In-Zn-O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比
がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。Znの比率を上記範囲
に収めることで、移動度の向上を実現することができる。
【0186】
本実施の形態では、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分
を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて
基板700上に酸化物半導体膜を成膜する。成膜時に、基板温度を100℃以上600℃
以下、好ましくは200℃以上400℃以下としても良い。基板を加熱しながら成膜する
ことにより、成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減することができる。ま
た、スパッタリングによる損傷が軽減される。処理室内の残留水分を除去するためには、
吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、
チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ター
ボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて成膜
室を排気すると、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ま
しくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物半導
体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0187】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa
、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用さ
れる。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生する塵埃が軽減でき、膜
厚分布も均一となるために好ましい。
【0188】
なお、酸化物半導体膜に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするために、
成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室でゲート絶縁膜714までが形成
された基板700を予備加熱し、基板700に吸着した水分または水素などの不純物を脱
離し排気することが好ましい。なお、予備加熱の温度は、100℃以上400℃以下、好
ましくは150℃以上300℃以下である。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライ
オポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。またこの予備
加熱は、後に行われる絶縁膜722の成膜前に、導電膜716~導電膜721まで形成し
た基板700にも同様に行ってもよい。
【0189】
次いで、図14(B)に示すように、酸化物半導体膜をエッチングなどにより所望の形状
に加工(パターニング)し、ゲート絶縁膜714上のゲート電極713と重なる位置に、
島状の酸化物半導体膜715を形成する。
【0190】
島状の酸化物半導体膜715を形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成
してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しない
ため、製造コストを低減できる。
【0191】
なお、島状の酸化物半導体膜715を形成するためのエッチングは、ドライエッチングで
もウェットエッチングでもよく、両方を用いてもよい。ドライエッチングに用いるエッチ
ングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(Cl)、三塩化硼素(
BCl)、四塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CCl)など)が好ましい。ま
た、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF)、六弗化硫黄(SF
)、三弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(HB
r)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガス
を添加したガス、などを用いることができる。
【0192】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etch
ing)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導
結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングでき
るように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加さ
れる電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0193】
ウェットエッチングに用いるエッチング液として、ITO-07N(関東化学社製)を用
いてもよい。
【0194】
なお、次工程の導電膜を形成する前に逆スパッタを行い、島状の酸化物半導体膜715及
びゲート絶縁膜714の表面に付着しているレジスト残渣などを除去することが好ましい
【0195】
なお、スパッタ等で成膜された酸化物半導体膜中には、不純物としての水分または水素が
多量に含まれていることがある。水分または水素はドナー準位を形成しやすいため、酸化
物半導体にとっては不純物である。そこで、本発明の一態様では、酸化物半導体膜中の水
分または水素などの不純物を低減するために、酸化物半導体膜715に対して、窒素、酸
素、超乾燥空気、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の雰囲気下において、酸化物
半導体膜715に加熱処理を施す。上記ガスは、水の含有量が20ppm以下、好ましく
は1ppm以下、より好ましくは10ppb以下であることが望ましい。
【0196】
酸化物半導体膜715に加熱処理を施すことで、酸化物半導体膜715中の水分または水
素を脱離させることができる。具体的には、300℃以上700℃以下、好ましくは30
0℃以上500℃以下で加熱処理を行えば良い。例えば、500℃、3分間以上6分間以
下程度で行えばよい。加熱処理にRTA法を用いれば、短時間に脱水化または脱水素化が
行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができる。
【0197】
本実施の形態では、加熱処理装置の一つである電気炉を用いる。
【0198】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱
輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal An
neal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライ
ドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧
水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置
である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、ア
ルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活
性気体が用いられる。
【0199】
なお、加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水
分または水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、
またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上
、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ま
しくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0200】
以上の工程により、酸化物半導体膜715中の水素の濃度を低減し、高純度化することが
できる。それにより酸化物半導体膜の安定化を図ることができる。また、ガラス転移温度
以下の加熱処理で、水素に起因するキャリア密度が少なく、バンドギャップの広い酸化物
半導体膜を形成することができる。このため、大面積基板を用いてトランジスタを作製す
ることができ、量産性を高めることができる。
【0201】
なお、酸化物半導体膜を加熱する場合、酸化物半導体膜の材料や加熱条件にもよるが、そ
の表面に板状結晶が形成されることがある。板状結晶は、酸化物半導体膜の表面に対して
略垂直にc軸配向した単結晶体であることが好ましい。また、単結晶体でなくとも、各結
晶が、酸化物半導体膜の表面に対して略垂直にc軸配向した多結晶体であることが好まし
い。そして、上記多結晶体は、c軸配向している事に加えて、各結晶のab面が一致する
か、a軸、或いは、b軸が一致していることが好ましい。なお、酸化物半導体膜の下地表
面に凹凸がある場合、板状結晶は多結晶体となる。したがって、下地表面は可能な限り平
坦であることが望まれる。
【0202】
次に、絶縁膜708、絶縁膜712、ゲート絶縁膜714を部分的にエッチングすること
で、島状の半導体膜702、島状の半導体膜703、配線711に達するコンタクトホー
ルを形成する。
【0203】
そして、酸化物半導体膜715を覆うように、スパッタ法や真空蒸着法で導電膜を形成し
たあと、エッチング等により該導電膜をパターニングすることで、図14(C)に示すよ
うに、ソース電極、ドレイン電極、または配線として機能する導電膜716~導電膜72
1を形成する。
【0204】
なお、導電膜716及び導電膜717は、島状の半導体膜702に接している。導電膜7
18及び導電膜719は、島状の半導体膜703に接している。導電膜720は、配線7
11及び酸化物半導体膜715に接している。導電膜721は、酸化物半導体膜715に
接している。
【0205】
導電膜716~導電膜721となる導電膜の材料としては、アルミニウム、クロム、銅、
タンタル、チタン、モリブデン、タングステンからから選ばれた元素、または上述した元
素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、アル
ミニウム、銅などの金属膜の下側もしくは上側にクロム、タンタル、チタン、モリブデン
、タングステンなどの高融点金属膜を積層させた構成としても良い。また、アルミニウム
または銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用
いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タング
ステン、ネオジム、スカンジウム、イットリウム等を用いることができる。
【0206】
また、導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを
含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造、チタ
ン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を成
膜する3層構造などが挙げられる。
【0207】
また、導電膜716~導電膜721となる導電膜としては、導電性の金属酸化物で形成し
ても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化イン
ジウム酸化スズ混合物、酸化インジウム酸化亜鉛混合物または前記金属酸化物材料にシリ
コン若しくは酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0208】
導電膜形成後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせ
ることが好ましい。
【0209】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体膜715がなるべく除去されないように
それぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。エッチング条件によっては、島状の
酸化物半導体膜715の露出した部分が一部エッチングされることで、溝部(凹部)が形
成されることもある。
【0210】
本実施の形態では、導電膜にチタン膜を用いる。そのため、アンモニアと過酸化水素水を
含む溶液(アンモニア過水)を用いて、選択的に導電膜をウェットエッチングすることが
できるが、酸化物半導体膜715も一部エッチングされる場合もある。具体的には、31
重量%の過酸化水素水と、28重量%のアンモニア水と、水とを、体積比5:2:2で混
合したアンモニア過水を用いる。或いは、塩素(Cl)、塩化硼素(BCl)などを
含むガスを用いて、導電膜をドライエッチングしても良い。
【0211】
なお、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、透過
した光に多段階の強度をもたせる多階調マスクによって形成されたレジストマスクを用い
てエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成したレジストマスクは複数
の膜厚を有する形状となり、エッチングを行うことでさらに形状を変形することができる
ため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる。よって、
一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応するレジス
トマスクを形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ、対応する
フォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0212】
次いで、NO、N、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を行う。このプラズ
マ処理によって露出している酸化物半導体膜の表面に付着した水などを除去する。また、
酸素とアルゴンの混合ガスを用いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0213】
なお、プラズマ処理を行った後、図14(C)に示すように、導電膜716~導電膜72
1と、酸化物半導体膜715とを覆うように、絶縁膜722を形成する。絶縁膜722は
、水分や、水素、酸素などの不純物を極力含まないことが望ましく、単層の絶縁膜であっ
ても良いし、積層された複数の絶縁膜で構成されていても良い。絶縁膜722に水素が含
まれると、その水素が酸化物半導体膜へ侵入し、又は水素が酸化物半導体膜中の酸素を引
き抜き、酸化物半導体膜のバックチャネル部が低抵抗化(n型化)してしまい、寄生チャ
ネルが形成されるおそれがある。よって、絶縁膜722はできるだけ水素を含まない膜に
なるように、成膜方法に水素を用いないことが重要である。上記絶縁膜722には、バリ
ア性の高い材料を用いるのが望ましい。例えば、バリア性の高い絶縁膜として、窒化珪素
膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などを用いる
ことができる。複数の積層された絶縁膜を用いる場合、窒素の含有比率が低い酸化珪素膜
、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜を、上記バリア性の高い絶縁膜よりも、酸化物半導体膜7
15に近い側に形成する。そして、窒素の含有比率が低い絶縁膜を間に挟んで、導電膜7
16~導電膜721及び酸化物半導体膜715と重なるように、バリア性の高い絶縁膜を
形成する。バリア性の高い絶縁膜を用いることで、酸化物半導体膜715内、ゲート絶縁
膜714内、或いは、酸化物半導体膜715と他の絶縁膜の界面とその近傍に、水分また
は水素などの不純物が入り込むのを防ぐことができる。また、酸化物半導体膜715に接
するように窒素の比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜を形成することで
、バリア性の高い材料を用いた絶縁膜が直接酸化物半導体膜715に接するのを防ぐこと
ができる。
【0214】
本実施の形態では、スパッタ法で形成された膜厚200nmの酸化珪素膜上に、スパッタ
法で形成された膜厚100nmの窒化珪素膜を積層させた構造を有する、絶縁膜722を
形成する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の形態では
100℃とする。
【0215】
なお、絶縁膜722を形成した後に、加熱処理を施しても良い。加熱処理は、窒素、超乾
燥空気、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の雰囲気下において、好ましくは20
0℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)で行う。上記ガスは、水の含
有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下である
ことが望ましい。本実施の形態では、例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の加熱処
理を行う。或いは、導電膜716~導電膜721を形成する前に、水分または水素を低減
させるための酸化物半導体膜に対して行った先の加熱処理と同様に、高温短時間のRTA
処理を行っても良い。酸素を含む絶縁膜722が設けられた後に、加熱処理が施されるこ
とによって、酸化物半導体膜に対して行った先の加熱処理により、酸化物半導体膜715
に酸素欠損が発生していたとしても、絶縁膜722から酸化物半導体膜715に酸素が供
与される。そして、酸化物半導体膜715に酸素が供与されることで、酸化物半導体膜7
15において、ドナーとなる酸素欠損を低減し、化学量論的組成比を満たすことが可能で
ある。酸化物半導体膜715には、化学量論的組成比を超える量の酸素が含まれているこ
とが好ましい。その結果、酸化物半導体膜715をi型に近づけることができ、酸素欠損
によるトランジスタの電気特性のばらつきを軽減し、電気特性の向上を実現することがで
きる。この加熱処理を行うタイミングは、絶縁膜722の形成後であれば特に限定されず
、他の工程、例えば樹脂膜形成時の加熱処理や、透明導電膜を低抵抗化させるための加熱
処理と兼ねることで、工程数を増やすことなく、酸化物半導体膜715をi型に近づける
ことができる。
【0216】
また、酸素雰囲気下で酸化物半導体膜715に加熱処理を施すことで、酸化物半導体に酸
素を添加し、酸化物半導体膜715中においてドナーとなる酸素欠損を低減させても良い
。加熱処理の温度は、例えば100℃以上350℃未満、好ましくは150℃以上250
℃未満で行う。上記酸素雰囲気下の加熱処理に用いられる酸素ガスには、水、水素などが
含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する酸素ガスの純度を、6N(
99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち酸素中の
不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0217】
或いは、イオン注入法またはイオンドーピング法などを用いて、酸化物半導体膜715に
酸素を添加することで、ドナーとなる酸素欠損を低減させても良い。例えば、2.45G
Hzのマイクロ波でプラズマ化した酸素を酸化物半導体膜715に添加すれば良い。
【0218】
なお、絶縁膜722上に導電膜を形成した後、該導電膜をパターニングすることで、酸化
物半導体膜715と重なる位置にバックゲート電極を形成しても良い。バックゲート電極
を形成した場合は、バックゲート電極を覆うように絶縁膜を形成するのが望ましい。バッ
クゲート電極は、ゲート電極713、或いは導電膜716~導電膜721と同様の材料、
構造を用いて形成することが可能である。
【0219】
バックゲート電極の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは100nm~200nm
とする。例えば、チタン膜、アルミニウム膜、チタン膜が積層された構造を有する導電膜
を形成した後、フォトリソグラフィ法などによりレジストマスクを形成し、エッチングに
より不要な部分を除去して、該導電膜を所望の形状に加工(パターニング)することで、
バックゲート電極を形成すると良い。
【0220】
以上の工程により、トランジスタ724が形成される。
【0221】
トランジスタ724は、ゲート電極713と、ゲート電極713上のゲート絶縁膜714
と、ゲート絶縁膜714上においてゲート電極713と重なっている酸化物半導体膜71
5と、酸化物半導体膜715上に形成された一対の導電膜720または導電膜721とを
有する。さらに、トランジスタ724は、絶縁膜722を、その構成要素に含めても良い
図14(C)に示すトランジスタ724は、導電膜720と導電膜721の間において
、酸化物半導体膜715の一部がエッチングされたチャネルエッチ構造である。
【0222】
なお、トランジスタ724はシングルゲート構造のトランジスタを用いて説明したが、必
要に応じて、電気的に接続された複数のゲート電極713を有することで、チャネル形成
領域を複数有する、マルチゲート構造のトランジスタも形成することができる。
【0223】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0224】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態3とは異なる構造を有する、酸化物半導体膜を用いたトラ
ンジスタについて説明する。
【0225】
図15(A)に示す固体撮像装置または半導体表示装置では、実施の形態3と同様に、フ
ォトダイオード704と、nチャネル型トランジスタ705とを有している。そして、図
15(A)では、フォトダイオード704と、nチャネル型トランジスタ705上に、酸
化物半導体膜を用いたチャネル保護構造の、ボトムゲート型のトランジスタ724が形成
されている。
【0226】
トランジスタ724は、絶縁膜712上に形成されたゲート電極730と、ゲート電極7
30上のゲート絶縁膜731と、ゲート絶縁膜731上においてゲート電極730と重な
っている酸化物半導体膜732と、ゲート電極730と重なる位置において酸化物半導体
膜732上に形成されたチャネル保護膜733と、酸化物半導体膜732上に形成された
導電膜734、導電膜735とを有する。さらに、トランジスタ724は、導電膜734
、導電膜735及びチャネル保護膜733上に形成された絶縁膜736を、その構成要素
に含めても良い。
【0227】
チャネル保護膜733を設けることによって、酸化物半導体膜732のチャネル形成領域
となる部分に対する、後の工程における、エッチング時のプラズマやエッチング剤による
膜減りなどのダメージを防ぐことができる。従ってトランジスタの信頼性を向上させるこ
とができる。
【0228】
チャネル保護膜733には、酸素を含む無機材料(酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪
素、酸化アルミニウム、または酸化窒化アルミニウムなど)を用いることができる。チャ
ネル保護膜733は、プラズマCVD法や熱CVD法などの気相成長法やスパッタリング
法を用いて形成することができる。チャネル保護膜733は成膜後にエッチングにより形
状を加工する。ここでは、スパッタ法により酸化珪素膜を形成し、フォトリソグラフィに
よるマスクを用いてエッチング加工することでチャネル保護膜733を形成する。
【0229】
酸素を含む無機材料をチャネル保護膜733に用いることで、水分または水素を低減させ
るための加熱処理により酸化物半導体膜732中に酸素欠損が発生していたとしても、酸
化物半導体膜732にチャネル保護膜733から酸素を供給し、ドナーとなる酸素欠損を
低減して化学量論的組成比を満たす構成とすることが可能である。酸化物半導体膜732
には、化学量論的組成比を超える量の酸素が含まれていることが好ましい。よって、チャ
ネル形成領域を、i型に近づけることができ、酸素欠損によるトランジスタ724の電気
特性のばらつきを軽減し、電気特性の向上を実現することができる。
【0230】
図15(B)に示す固体撮像装置または半導体表示装置は、実施の形態3と同様に、結晶
性シリコンを用いたフォトダイオード704と、nチャネル型トランジスタ705を有し
ている。そして、図15(B)では、フォトダイオード704と、nチャネル型トランジ
スタ705上に、酸化物半導体膜を用いたボトムコンタクト型のトランジスタ724が形
成されている。
【0231】
トランジスタ724は、絶縁膜712上に形成されたゲート電極741と、ゲート電極7
41上のゲート絶縁膜742と、ゲート絶縁膜742上の導電膜743、導電膜744と
、ゲート絶縁膜742を間に挟んでゲート電極741と重なっている酸化物半導体膜74
5と、を有する。さらに、トランジスタ724は、酸化物半導体膜745上に形成された
絶縁膜746を、その構成要素に含めても良い。
【0232】
なお、本実施の形態に示したトランジスタ724は、バックゲート電極を更に有していて
も良い。
【0233】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0234】
(実施の形態5)
本実施の形態では、トランジスタの構成例について説明する。なお、上記実施の形態と同
一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程は、上記実施の形態と同様に行うことがで
き、本実施の形態での繰り返しの説明は省略する。なお、同じ箇所の詳細な説明も省略す
る。
【0235】
図19(A)に示すトランジスタ2450は、基板2400上にゲート電極2401が形
成され、ゲート電極2401上にゲート絶縁膜2402が形成され、ゲート絶縁膜240
2上に酸化物半導体膜2403が形成され、酸化物半導体膜2403上に、ソース電極2
405a、及びドレイン電極2405bが形成されている。また、酸化物半導体膜240
3、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405b上に絶縁膜2407が形成され
ている。また、絶縁膜2407上に絶縁膜2409を形成してもよい。トランジスタ24
50は、ボトムゲート構造のトランジスタの一つであり、逆スタガ型トランジスタの一つ
でもある。
【0236】
図19(B)に示すトランジスタ2460は、基板2400上にゲート電極2401が形
成され、ゲート電極2401上にゲート絶縁膜2402が形成され、ゲート絶縁膜240
2上に酸化物半導体膜2403が形成され、酸化物半導体膜2403上にチャネル保護膜
2406が形成され、チャネル保護膜2406及び酸化物半導体膜2403上に、ソース
電極2405a、及びドレイン電極2405bが形成されている。また、ソース電極24
05a、及びドレイン電極2405b上に絶縁膜2409を形成してもよい。トランジス
タ2460は、チャネル保護型(チャネルストップ型ともいう)と呼ばれるボトムゲート
構造のトランジスタの一つであり、逆スタガ型トランジスタの一つでもある。チャネル保
護膜2406は、他の絶縁膜と同様の材料及び方法を用いて形成することができる。
【0237】
図19(C)に示すトランジスタ2470は、基板2400上に下地膜2436が形成さ
れ、下地膜2436上に酸化物半導体膜2403が形成され、酸化物半導体膜2403、
及び下地膜2436上に、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405bが形成さ
れ、酸化物半導体膜2403、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405b上に
ゲート絶縁膜2402が形成され、ゲート絶縁膜2402上にゲート電極2401が形成
されている。また、ゲート電極2401上に絶縁膜2409を形成してもよい。トランジ
スタ2470は、トップゲート構造のトランジスタの一つである。
【0238】
図19(D)に示すトランジスタ2480は、基板2400上に、ゲート電極2411が
形成され、ゲート電極2411上に第1のゲート絶縁膜2413が形成され、第1のゲー
ト絶縁膜2413上に酸化物半導体膜2403が形成され、酸化物半導体膜2403、及
び第1のゲート絶縁膜2413上に、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405
bが形成されている。また、酸化物半導体膜2403、ソース電極2405a、及びドレ
イン電極2405b上に第2のゲート絶縁膜2414が形成され、第2のゲート絶縁膜2
414上にバックゲート電極2412が形成されている。また、バックゲート電極241
2上に絶縁膜2409を形成してもよい。
【0239】
トランジスタ2480は、トランジスタ2450とトランジスタ2470を併せた構造を
有している。
【0240】
バックゲート電極の電位を変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変化させる
ことができる。バックゲート電極は、酸化物半導体膜2403のチャネル形成領域と重な
るように形成する。バックゲート電極は、電気的に絶縁しているフローティングの状態で
あっても良いし、電位が与えられる状態であっても良い。後者の場合、バックゲート電極
には、ゲート電極と同じ高さの電位が与えられていても良いし、グラウンドなどの固定電
位が与えられていても良い。バックゲート電極に与える電位の高さを制御することで、ト
ランジスタの閾値電圧を制御することができる。
【0241】
また、バックゲート電極と、ソース電極2405a及びドレイン電極2405bとにより
酸化物半導体膜2403を完全に覆うことで、バックゲート電極側から酸化物半導体膜2
403に光が入射するのを防ぐことができる。よって、酸化物半導体膜2403の光劣化
を防ぎ、トランジスタの閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化が引き起こされるのを防
ぐことができる。
【0242】
酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜(本実施の形態においては、ゲート絶縁膜240
2、絶縁膜2407、チャネル保護膜2406、下地膜2436、第1のゲート絶縁膜2
413、第2のゲート絶縁膜2414が相当する。)は、第13族元素および酸素を含む
絶縁材料を用いることが好ましい。酸化物半導体材料には第13族元素を含むものが多く
、第13族元素を含む絶縁材料は酸化物半導体との相性が良く、これを酸化物半導体に接
する絶縁膜に用いることで、酸化物半導体との界面の状態を良好に保つことができる。
【0243】
第13族元素を含む絶縁材料とは、絶縁材料に一または複数の第13族元素を含むことを
意味する。第13族元素を含む絶縁材料としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニ
ウム、酸化アルミニウムガリウム、酸化ガリウムアルミニウムなどがある。ここで、酸化
アルミニウムガリウムとは、ガリウムの含有量(原子%)よりアルミニウムの含有量(原
子%)が多いものを示し、酸化ガリウムアルミニウムとは、ガリウムの含有量(原子%)
がアルミニウムの含有量(原子%)以上のものを示す。
【0244】
例えば、ガリウムを含有する酸化物半導体膜に接して絶縁膜を形成する場合に、絶縁膜に
酸化ガリウムを含む材料を用いることで酸化物半導体膜と絶縁膜の界面特性を良好に保つ
ことができる。例えば、酸化物半導体膜と酸化ガリウムを含む絶縁膜とを接して設けるこ
とにより、酸化物半導体膜と絶縁膜の界面における水素のパイルアップを低減することが
できる。なお、絶縁膜に酸化物半導体の成分元素と同じ族の元素を用いる場合には、同様
の効果を得ることが可能である。例えば、酸化アルミニウムを含む材料を用いて絶縁膜を
形成することも有効である。なお、酸化アルミニウムは、水を透過させにくいという特性
を有しているため、当該材料を用いることは、酸化物半導体膜への水の侵入防止という点
においても好ましい。
【0245】
また、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜は、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ド
ープなどにより、絶縁材料を化学量論的組成比より酸素が多い状態とすることが好ましい
。酸素ドープとは、酸素をバルクに添加することをいう。なお、当該バルクの用語は、酸
素を薄膜表面のみでなく薄膜内部に添加することを明確にする趣旨で用いている。また、
酸素ドープには、プラズマ化した酸素をバルクに添加する酸素プラズマドープが含まれる
。また、酸素ドープは、イオン注入法またはイオンドーピング法を用いて行ってもよい。
【0246】
例えば、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜として酸化ガリウムを用いた場合、酸素
雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化ガリウムの組成をGa
(X=3+α、0<α<1)とすることができる。
【0247】
また、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜として酸化アルミニウムを用いた場合、酸
素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化アルミニウムの組成をA
(X=3+α、0<α<1)とすることができる。
【0248】
また、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜として酸化ガリウムアルミニウム(酸化ア
ルミニウムガリウム)を用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うこ
とにより、酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)の組成をGaAl
2-X3+α(0<X<2、0<α<1)とすることができる。
【0249】
酸素ドープ処理を行うことにより、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜
を形成することができる。このような領域を備える絶縁膜と酸化物半導体膜が接すること
により、絶縁膜中の過剰な酸素が酸化物半導体膜に供給され、酸化物半導体膜中、または
酸化物半導体膜と絶縁膜の界面における酸素欠損を低減し、酸化物半導体膜をi型化また
はi型に限りなく近い酸化物半導体とすることができる。
【0250】
なお、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜は、酸化物半導体膜2403
に接する絶縁膜のうち、上層に位置する絶縁膜または下層に位置する絶縁膜のうち、どち
らか一方のみに用いても良いが、両方の絶縁膜に用いる方が好ましい。化学量論的組成比
より酸素が多い領域を有する絶縁膜を、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜の、上層
及び下層に位置する絶縁膜に用い、酸化物半導体膜2403を挟む構成とすることで、上
記効果をより高めることができる。
【0251】
また、酸化物半導体膜2403の上層または下層に用いる絶縁膜は、上層と下層で同じ構
成元素を有する絶縁膜としても良いし、異なる構成元素を有する絶縁膜としても良い。例
えば、上層と下層とも、組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムと
しても良いし、上層と下層の一方を組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化
ガリウムとし、他方を組成がAl(X=3+α、0<α<1)の酸化アルミニウム
としても良い。
【0252】
また、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜は、化学量論的組成比より酸素が多い領域
を有する絶縁膜の積層としても良い。例えば、酸化物半導体膜2403の上層に組成がG
(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムを形成し、その上に組成がGa
2-X3+α(0<X<2、0<α<1)の酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミ
ニウムガリウム)を形成してもよい。なお、酸化物半導体膜2403の下層を、化学量論
的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良いし、酸化物半導体膜24
03の上層及び下層の両方を、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積
層としても良い。
【0253】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例0254】
本実施例では、本発明の一態様に係る半導体表示装置における、パネルとバックライトの
配置について説明する。
【0255】
図17は、本発明の一態様に係る半導体表示装置の構造を示す斜視図の一例である。図1
7に示す半導体表示装置は、表示素子とフォトセンサを含む画素が一対の基板間に形成さ
れたパネル1601と、第1の拡散板1602と、プリズムシート1603と、第2の拡
散板1604と、導光板1605と、反射板1606と、複数の光源1607を有するバ
ックライト1608と、回路基板1609とを有している。
【0256】
パネル1601と、第1の拡散板1602と、プリズムシート1603と、第2の拡散板
1604と、導光板1605と、反射板1606とは、順に積層されている。光源160
7は導光板1605の端部に設けられており、導光板1605内部に拡散された光源16
07からの光は、第1の拡散板1602、プリズムシート1603及び第2の拡散板16
04によって、対向基板側から均一にパネル1601に照射される。
【0257】
なお、本実施例では、第1の拡散板1602と第2の拡散板1604とを用いているが、
拡散板の数はこれに限定されず、単数であっても3以上であっても良い。そして、拡散板
は導光板1605とパネル1601の間に設けられていれば良い。よって、プリズムシー
ト1603よりもパネル1601に近い側にのみ拡散板が設けられていても良いし、プリ
ズムシート1603よりも導光板1605に近い側にのみ拡散板が設けられていても良い
【0258】
またプリズムシート1603は、図17に示した断面が鋸歯状の形状に限定されず、導光
板1605からの光をパネル1601側に集光できる形状を有していれば良い。
【0259】
回路基板1609には、パネル1601に入力される各種信号を生成もしくは処理する回
路、パネル1601から出力される各種信号を処理する回路などが設けられている。そし
図17では、回路基板1609とパネル1601とが、FPC(Flexible P
rinted Circuit)1611を介して接続されている。なお、上記回路は、
COG(Chip ON Glass)法を用いてパネル1601に接続されていても良
いし、上記回路の一部がFPC1611にCOF(Chip ON Film)法を用い
て接続されていても良い。
【0260】
図17では、光源1607の駆動を制御する、制御系の回路が回路基板1609に設けら
れており、該制御系の回路と光源1607とがFPC1610を介して接続されている例
を示している。ただし、上記制御系の回路はパネル1601に形成されていても良く、こ
の場合はパネル1601と光源1607とがFPCなどにより接続されるようにする。
【0261】
複数の光源1607は、異なる色の光を発する。光源1607として、例えばLED、O
LEDなどの発光素子を用いることができる。
【0262】
なお、図17は、パネル1601の端に光源1607を配置するエッジライト型の光源を
例示しているが、本発明の一態様に係る半導体表示装置は光源1607がパネル1601
の直下に配置される直下型であっても良い。
【0263】
例えば、被検出物である指1612をパネル1601に近づけると、バックライト160
8からの光が、パネル1601を通過し、その一部が指1612において反射し、再びパ
ネル1601に入射する。各色に対応する光源1607を順に点灯させ、色ごとに撮像デ
ータの取得を行うことで、被検出物である指1612のカラーの撮像データを得ることが
出来る。
【0264】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【実施例0265】
本発明の一態様に係る固体撮像装置或いは半導体表示装置は、FS駆動を用いているため
高分解能である画像データの取得を行うことができ、グローバルシャッタ方式を採用して
いるため、被写体が移動している場合でも高い品質の画像データを得ることができるとい
う特徴を有している。よって、本発明の一態様に係る固体撮像装置或いは半導体表示装置
を用いた電子機器は、固体撮像装置或いは半導体表示装置をその構成要素に追加すること
により、より高機能のアプリケーションを搭載することができるようになる。或いは、本
発明の一態様に係る固体撮像装置或いは半導体表示装置は、FS駆動を用いているため低
消費電力であるという特徴を有している。よって、本発明の一態様に係る固体撮像装置或
いは半導体表示装置を用いた電子機器は、固体撮像装置或いは半導体表示装置をその構成
要素に追加することにより、消費電力を低減させることができる。
【0266】
本発明の一態様に係る固体撮像装置或いは半導体表示装置は、表示装置、ノート型パーソ
ナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital
Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプ
レイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る固体撮像装
置或いは半導体表示装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム
機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディス
プレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カー
オーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、
プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。
これら電子機器の具体例を図18に示す。
【0267】
図18(A)は表示装置であり、筐体5001、表示部5002、支持台5003等を有
する。本発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部5002に用いることができる。
表示部5002に本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、高分解能で高い
品質の画像データの取得を行うことができ、より高機能のアプリケーションが搭載された
表示装置を提供することができる。或いは、表示部5002に本発明の一態様に係る半導
体表示装置を用いることで、表示装置の消費電力を低減させることができる。なお、表示
装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表
示用表示装置が含まれる。
【0268】
図18(B)は携帯情報端末であり、筐体5101、表示部5102、操作キー5103
等を有する。本発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部5102に用いることがで
きる。表示部5102に本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、高分解能
で高い品質の画像データの取得を行うことができ、より高機能のアプリケーションが搭載
された携帯情報端末を提供することができる。或いは、表示部5102に本発明の一態様
に係る半導体表示装置を用いることで、携帯情報端末の消費電力を低減させることができ
る。
【0269】
図18(C)は現金自動預け入れ払い機であり、筐体5201、表示部5202、硬貨投
入口5203、紙幣投入口5204、カード投入口5205、通帳投入口5206等を有
する。本発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部5202に用いることができる。
表示部5202に本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、高分解能で高い
品質の画像データの取得を行うことができ、より高機能のアプリケーションが搭載された
現金自動預け入れ払い機を提供することができる。或いは、表示部5202に本発明の一
態様に係る半導体表示装置を用いることで、現金自動預け入れ払い機の消費電力を低減さ
せることができる。そして、本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いた現金自動預け
入れ払い機は、指紋、顔、手形、掌紋及び手の静脈の形状、虹彩等の、生体認証に用いら
れる生体情報の読み取りを、より高精度で行うことが出来る。よって、生体認証における
、本人であるにもかかわらず本人ではないと誤認識してしまう本人拒否率と、他人である
にもかかわらず本人と誤認識してしまう他人受入率とを、低く抑えることができる。
【0270】
図18(D)は携帯型ゲーム機であり、筐体5301、筐体5302、表示部5303、
表示部5304、マイクロホン5305、スピーカー5306、操作キー5307、スタ
イラス5308等を有する。本発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部5303ま
たは表示部5304に用いることができる。表示部5303または表示部5304に本発
明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、高分解能で高い品質の画像データの取
得を行うことができ、より高機能のアプリケーションが搭載された携帯型ゲーム機を提供
することができる。或いは、表示部5303または表示部5304に本発明の一態様に係
る半導体表示装置を用いることで、携帯型ゲーム機の消費電力を低減させることができる
。なお、図18(D)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5303と表示部530
4とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0271】
図18(E)は携帯電話であり、筐体5401、表示部5402、音声入力部5403、
音声出力部5404、操作キー5405、受光部5406等を有する。受光部5406に
おいて受信した光を電気信号に変換することで、外部の画像を取り込むことができる。本
発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部5402に用いることができる。表示部5
402に本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、高分解能で高い品質の画
像データの取得を行うことができ、より高機能のアプリケーションが搭載された携帯電話
を提供することができる。或いは、表示部5402に本発明の一態様に係る半導体表示装
置を用いることで、携帯電話の消費電力を低減させることができる。また、本発明の一態
様に係る固体撮像装置は、受光部5406において受信した光を電気信号に変換するのに
用いることができる。本発明の一態様に係る固体撮像装置を用いることで、高分解能で高
い品質の画像データの取得を行うことができ、より高機能のアプリケーションが搭載され
た携帯電話を提供することができる。或いは、本発明の一態様に係る固体撮像装置を用い
ることで、携帯電話の消費電力を低減させることができる。
【0272】
本実施例は、上記実施の形態または上記実施例と適宜組み合わせて実施することが可能で
ある。
【符号の説明】
【0273】
101 フォトセンサ
102 フォトダイオード
103 増幅回路
104 トランジスタ
105 トランジスタ
106 トランジスタ
107 トランジスタ
120 画素
121 表示素子
122 液晶素子
123 トランジスタ
124 容量素子
201 導電膜
202 導電膜
203 導電膜
204 画素電極
205 導電膜
206 導電膜
210 導電膜
211 導電膜
212 導電膜
213 導電膜
214 導電膜
215 半導体膜
216 半導体膜
217 半導体膜
218 導電膜
219 導電膜
220 導電膜
221 導電膜
222 導電膜
223 導電膜
224 導電膜
225 導電膜
226 導電膜
227 導電膜
228 ゲート絶縁膜
231 絶縁膜
232 基板
233 対向電極
234 液晶層
235 遮蔽膜
236 基板
250 活性層
251 基板
253 活性層
300 露光期間
301 読み出し期間
302 電荷保持期間
700 基板
701 絶縁膜
702 半導体膜
703 半導体膜
704 フォトダイオード
705 nチャネル型トランジスタ
707 ゲート電極
708 絶縁膜
711 配線
712 絶縁膜
713 ゲート電極
714 ゲート絶縁膜
715 酸化物半導体膜
716 導電膜
717 導電膜
718 導電膜
719 導電膜
720 導電膜
721 導電膜
722 絶縁膜
724 トランジスタ
727 p型の導電性を有する領域
728 i型の導電性を有する領域
729 n型の導電性を有する領域
730 ゲート電極
731 ゲート絶縁膜
732 酸化物半導体膜
733 チャネル保護膜
734 導電膜
735 導電膜
736 絶縁膜
741 ゲート電極
742 ゲート絶縁膜
743 導電膜
744 導電膜
745 酸化物半導体膜
746 絶縁膜
1601 パネル
1602 拡散板
1603 プリズムシート
1604 拡散板
1605 導光板
1606 反射板
1607 光源
1608 バックライト
1609 回路基板
1610 FPC
1611 FPC
1612 指
2400 基板
2401 ゲート電極
2402 ゲート絶縁膜
2403 酸化物半導体膜
2405a ソース電極
2405b ドレイン電極
2406 チャネル保護膜
2407 絶縁膜
2409 絶縁膜
2411 ゲート電極
2412 バックゲート電極
2413 ゲート絶縁膜
2414 ゲート絶縁膜
2436 下地膜
2450 トランジスタ
2460 トランジスタ
2470 トランジスタ
2480 トランジスタ
5001 筐体
5002 表示部
5003 支持台
5101 筐体
5102 表示部
5103 操作キー
5201 筐体
5202 表示部
5203 硬貨投入口
5204 紙幣投入口
5205 カード投入口
5206 通帳投入口
5301 筐体
5302 筐体
5303 表示部
5304 表示部
5305 マイクロホン
5306 スピーカー
5307 操作キー
5308 スタイラス
5401 筐体
5402 表示部
5403 音声入力部
5404 音声出力部
5405 操作キー
5406 受光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20