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特開2022-179500非タンパク質クロストリジウム毒素組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179500
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】非タンパク質クロストリジウム毒素組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/742 20150101AFI20221125BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20221125BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20221125BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221125BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221125BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20221125BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20221125BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20221125BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221125BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221125BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20221125BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20221125BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20221125BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61K35/742
A61K47/34
A61K47/20
A61K47/02
A61K47/26
A61K9/19
A61P9/04
A61P13/00
A61P17/00
A61P21/00
A61P25/04
A61P25/18
A61P25/24
A61P29/00
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022143910
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2019513915の分割
【原出願日】2017-09-13
(31)【優先権主張番号】62/394,009
(32)【優先日】2016-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591018268
【氏名又は名称】アラーガン、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】アビアド モーリス
(72)【発明者】
【氏名】ダニ バス
(72)【発明者】
【氏名】シャラエフ エヴゲニー
(57)【要約】
【課題】クロストリジウム毒素活性成分を安定化させる医薬組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、液体又は固体状組成物であってもよく、界面活性剤及び抗酸化剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ポロキサマー及びポリソルベートから選択される界面活性剤、メチオニン、N-アセチルシステイン、エチレンジアミン四酢酸、及びこれらの組み合わせから選択される抗酸化剤、任意に等張化剤、並びに/又は、例えばトレハロース及びスクロースから選択される凍結乾燥保護薬を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、
(i)ボツリヌス毒素と、
(ii)ポロキサマー188と、
(iii)メチオニン又はN-アセチル-システインと、を含む、医薬組成物。
【請求項2】
トレハロース又はスクロースと、任意にNaClと、任意にEDTAと、を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、メチオニン、及び任意にNaCl、及び任意にEDTAの相対重量(%、w/w)が以下の範囲内である、請求項2に記載の組成物。
【表1】
【請求項4】
トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、メチオニン、及び任意にNaCl、及び任意にEDTAの相対重量(%、w/w)が以下のとおりである、請求項3に記載の組成物。
【表2】
【請求項5】
トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、及びEDTAの相対重量(%、w/w)が以下の範囲内である、請求項2に記載の組成物。
【表3】
【請求項6】
トレハロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、及びEDTAの相対重量(%、w/w)が以下のとおりである、請求項5に記載の組成物。
【表4】
【請求項7】
トレハロースを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が糖又はポリアルコールを含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ポロキサマー188及びメチオニンの相対重量(%、w/w)が以下の範囲内である、請求項8に記載の組成物。
【表5】
【請求項10】
ポロキサマー188及びメチオニンの相対重量(%、w/w)が以下のとおりである、請求項9に記載の組成物。
【表6】
【請求項11】
前記組成物が液体組成物であり、前記組成物が好ましくは緩衝剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記緩衝剤がヒスチジンであり、ヒスチジンの濃度は好ましくは20mMであり、pHは好ましくは5~7の範囲内であり、pHは最も好ましくは5.5~6の範囲内である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が固体組成物であり、前記組成物が好ましくは凍結乾燥される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
緩衝剤を更に含み、前記緩衝剤が好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンが、好ましくは0.1~0.5(%w/w)の相対重量、より好ましくは0.3~0.4%(w/w)の相対重量で含まれる、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、1種以上のボツリヌス毒素、トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、メチオニン、緩衝剤、及び任意にNaCl、及び任意にEDTAからなる液体組成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、1種以上のボツリヌス毒素、トレハロース、ポロキサマー188、メチオニン、緩衝剤、及び任意にNaCl、及び任意にEDTAからなる固体組成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、1種以上のボツリヌス毒素、トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、緩衝剤、及びEDTAからなる液体組成物である、請求項1、2、5及び6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が液体組成物であり、1種以上のボツリヌス毒素、ポロキサマー188、メチオニン、及び緩衝剤からなる、請求項1、及び8~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
動物由来タンパク質を含まない、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA)又はEDTAアナログを含む、請求項1~17及び19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
EDTAの相対重量(%、w/w)が約0.01~0.10の範囲内である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)ポロキサマーと、
(iii)キレート剤と、
(iv)犠牲的抗酸化剤と、を含む、液体医薬組成物。
【請求項23】
前記キレート剤が、EDTA、EGTA又はDTP Aであり、前記犠牲的抗酸化剤がアスコルビン酸である、請求項22に記載の液体医薬組成物。
【請求項24】
液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)ポロキサマーと、
(iii)キレート剤と、
(iv)連鎖停止剤と、を含む、液体医薬組成物。
【請求項25】
前記キレート剤がEDTAであり、前記連鎖停止剤がN-アセチル-システインである、請求項24に記載の液体組成物。
【請求項26】
前記キレート剤がEDTAであり、前記連鎖停止剤がブチル化ヒドロキシトルエンである、請求項24に記載の液体組成物。
【請求項27】
液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)ポロキサマーと、
(iii)メチオニンと、を含む、液体医薬組成物。
【請求項28】
液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、
(iii)ポロキサマーと、
(iv)メチオニンと、を含む、液体医薬組成物。
【請求項29】
液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)キレート剤と、
(v)連鎖停止剤と、を含む、液体医薬組成物。
【請求項30】
凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、又はこれらの組み合わせと、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)キレート剤と、
(v)犠牲的抗酸化剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物。
【請求項31】
凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、又はこれらの組み合わせと、
(iii)ポロキサマーと、
(iv)キレート剤と、
(v)犠牲的抗酸化剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物。
【請求項32】
前記キレート剤が、EDTA、EGTA又はDTP Aであり、前記犠牲的抗酸化剤がアスコルビン酸である、請求項30~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、又はこれらの組み合わせと、
(iii)ポロキサマーと、
(iv)キレート剤と、
(v)連鎖停止剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物。
【請求項34】
凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、又はこれらの組み合わせと、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)キレート剤と、
(v)連鎖停止剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物。
【請求項35】
前記キレート剤がEDTAであり、前記連鎖停止剤がN-アセチル-システインである、請求項33~34のいずれか一項に記載の凍結乾燥医薬組成物。
【請求項36】
凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、又はこれらの組み合わせと、
(iii)ポロキサマーと、
(iv)連鎖停止剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物。
【請求項37】
凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、又はこれらの組み合わせと、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)連鎖停止剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物。
【請求項38】
前記連鎖停止剤がN-アセチル-システインである、請求項36~37のいずれか一項に記載の凍結乾燥医薬組成物。
【請求項39】
凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、又はこれらの組み合わせと、
(iii)ポロキサマーと、
(iv)メチオニンと、を含む、凍結乾燥医薬組成物。
【請求項40】
請求項1~39のいずれかに記載の医薬組成物を、症状の治療、低減、及び/又は疾患、障害、及び病状の予防を必要とする被検体に投与する工程を含む、症状の治療、低減、及び/又は疾患、障害、及び病状の予防方法。
【請求項41】
前記疾患、障害、及び病状が、神経筋疾患、疼痛、精神的疾患、泌尿器系障害、炎症、及び皮膚疾患から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記障害がうつ病である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記病状が心不整脈である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
請求項1~39のいずれか一項に記載の医薬組成物を、美容的処置を必要とする被検体に投与する工程を含む、美容的処置の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロストリジウム毒素活性成分と、1種以上の非タンパク質賦形剤とを含む、固体及び液体医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬組成物は、少なくとも1種の活性成分(クロストリジウム毒素など)、並びに、例えば、1種以上の賦形剤、緩衝剤、担体、安定剤、防腐剤及び/又は増量剤を含有し、所望の診断結果又は治療効果を達成するために患者への投与に好適である製剤である。本明細書に開示される医薬組成物は、診断、治療、及び/又は研究の有用性を有する。
【0003】
保存安定性及び取り扱いの利便性のために、医薬組成物は、患者への投与前に、生理食塩水又は水などの好適な流体で再構成することができる凍結乾燥(すなわち、フリーズドライ)、つまり、真空乾燥粉末として製剤化することができる。あるいは、医薬組成物は、水溶液又は懸濁液として製剤化することができる。医薬組成物は、タンパク質活性成分を含有することができる。残念なことに、タンパク質活性成分は、安定化(すなわち、生物活性の損失が最小限に抑えられる状態で維持される)が非常に困難であるため、医薬組成物の使用前に製剤化、再構成(必要な場合)、及び保存中に、タンパク質の損失及び/又はタンパク質活性の損失をもたらすことがある。安定性の問題は、タンパク質活性成分の表面吸着、物理的不安定性(例えば、変性若しくは凝集など)、又は化学的不安定性(例えば、架橋、脱アミド化、異性化、酸化、酸性又は塩基性種の形成、メイラード反応、及び切断など)のために生じ得る。このような不安定性を予防するために、アルブミン及びゼラチンなどの様々なタンパク質系賦形剤が、医薬組成物中に存在するタンパク質活性成分を安定化させるために使用されてきた。
【0004】
残念ながら、その既知の安定化効果にもかかわらず、医薬組成物においてアルブミン又はゼラチンなどのタンパク質賦形剤の使用に著しい欠点が存在する。例えば、アルブミン及びゼラチンは高価であり、入手がますます困難である。更に、アルブミン及びゼラチンなどの血液製品又は動物由来製品は、患者に投与されると、血液病原体又は感染剤を与える潜在的リスクに患者をさらす場合がある。したがって、医薬組成物中の動物由来タンパク質賦形剤の存在が、医薬組成物中への感染性要素の不注意な組み込みをもたらす可能性があることが知られている。例えば、ヒト血清アルブミンの使用は、医薬組成物にプリオンを伝染させ得ることが報告されている。したがって、医薬組成物中に存在するタンパク質活性成分を安定化させるために使用できる、例えば、安定剤、凍結保護剤、及び凍結乾燥保護剤などの好適な非タンパク質賦形剤を見出すことが望ましい。
【0005】
クロストリジウム毒素に固有の特性により、クロストリジウム毒素活性成分を含む医薬組成物に対する、好適な非タンパク質賦形剤の選択が更に制約され、邪魔をされる。例えば、クロストリジウム毒素は、約150kDaの平均分子量を有する大型タンパク質であり、更に、その大きさを約300~900kDaに増大する非毒素関連タンパク質と複合体化する。クロストリジウム毒素複合体のその大きさが、より小さく、より複合体化されていないタンパク質よりもはるかに壊れやすく不安定にして、それにより、クロストリジウム毒素安定性を維持する場合の製剤化及び取り扱いがより困難になる。したがって、非タンパク質賦形剤、例えば、安定剤、凍結保護剤及び凍結乾燥保護剤などの非タンパク質賦形剤の使用は、毒素を変性、切断、ないしは別の方法で不活性化しない、又は、毒素複合体中に存在する非毒素関連タンパク質の解離を引き起こさないように、クロストリジウム毒素活性成分と相互作用できなければならない。
【0006】
クロストリジウム毒素活性成分に関連する別の問題は、製剤化プロセスの全ての工程で必要とされる通常と異なる安全性、精密性、及び精度である。そのため、非タンパク質賦形剤は、既存の非常に厳しい要件を悪化させないように、それ自体が毒性であったり、又は取り扱いが困難であったりしてはならない。
【0007】
クロストリジウム毒素活性成分と関連する更に別の困難は、医薬組成物中で使用されるクロストリジウム毒素の量が著しく少ないことである。酵素と同様に、一般には、クロストリジウム毒素の生物活性は、少なくとも部分的にその3次元構造に依存する。したがって、クロストリジウム毒素は、熱、様々な化学物質、表面伸張、及び表面乾燥によって解毒される。加えて、既知の培養、発酵、及び精製方法によって得られたクロストリジウム毒素複合体を、医薬組成物に使用されるはるかに低い濃度に希釈すると、毒素の急速な不活性化をもたらすことが知られている。医薬組成物に使用されるクロストリジウム毒素活性成分が非常に少量であることは、この活性成分を、例えば、実験用ガラス製品や容器、医薬組成物が再構成されるバイアル、及び、医薬組成物の注射に使用される注射器の内面に非常に吸着しやすくする。このようなクロストリジウム毒素活性成分の表面への吸着は、活性成分の損失と、残りのクロストリジウム毒素活性成分の変性をもたらす場合があり、その両方が、医薬組成物中に存在する活性成分の総活性を低下させる。したがって、例えば、安定剤、凍結保護剤及び凍結乾燥保護剤などの非タンパク質賦形剤の使用は、クロストリジウム毒素活性成分の表面への吸着を防止するため、表面遮断剤として作用できなければならない。
【0008】
クロストリジウム毒素活性成分に関連する更に別の問題は、複合体形成と関連するpH感受性である。例えば、900kDaのBoNT/A複合体は、pH3.5~6.8の希釈水溶液に可溶性であることが知られている。しかしながら、約7を超えるpHでは、非毒性関連タンパク質は150kDaの神経毒素から解離し、特にpHがpH8.0を超えて上昇するにつれて毒性が失われる。Edward J.Schantz et al,pp.44~45,Preparation and characterization of botulinum toxin type A for human treatment,in Jankovic,J.,et al,Therapy with Botulinum Toxin(Marcel Dekker,Inc.,1994)を参照されたい。非毒性関連タンパク質は、毒性が依存する二次及び三次構造を保存又は安定化を補助すると考えられるため、これらのタンパク質の解離は、より不安定なクロストリジウム毒素活性成分をもたらす。したがって、クロストリジウム毒素活性成分を含む医薬組成物を製剤化するのに有用な非タンパク質賦形剤は、クロストリジウム毒素活性成分の活性を維持するのに必要なpHレベルの範囲内で操作できなければならない。
【0009】
したがって、必要とされるのは、クロストリジウム毒素活性成分(ボツリヌス毒素など)が非タンパク質賦形剤によって安定化されるクロストリジウム毒素医薬組成物である。本発明は、固体又は液体医薬組成物中に存在するクロストリジウム毒素活性成分を安定化するように機能する、1種以上の非タンパク質賦形剤を有する固体及び液体クロストリジウム毒素医薬組成物に関する。
【発明の概要】
【0010】
一態様では、クロストリジウム毒素活性成分と、等張化剤と、界面活性剤と、抗酸化剤と、を含む、医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物はボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物はポロキサマー及び/又はポリソルベートを含む。いくつかの実施形態では、組成物はポロキサマー188及び/又はポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態では、抗酸化剤は、L-メチオニン、N-アセチル-システイン(NAC)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA)、EDTAアナログ、エチレングリコール-ビス(2-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸(EGTA)、EGTAアナログ、ジエチレントリアミン五酢酸(DTP A)、DTPAアナログ、アスコルビン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗酸化剤はメチオニンである。いくつかの実施形態では、抗酸化剤はNACである。いくつかの実施形態では、抗酸化剤はNAC及びEDTAである。いくつかの実施形態では、組成物は緩衝剤を更に含む。一実施形態では、緩衝剤はヒスチジン緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は5~7のpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物は液体製剤である。いくつかの実施形態では、組成物は固体製剤である。
【0011】
一態様では、本開示は、クロストリジウム毒素活性成分と、トレハロースと、ポロキサマー188又はポリソルベート20と、L-メチオニン又はN-アセチル-システイン(NAC)と、を含む、液体医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物はボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物はEDTA又はEDTAアナログを更に含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物はヒスチジン緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物のpHは5~7の範囲内である。いくつかの実施形態では、L-メチオニンの相対重量は、約0.1%~約0.3%の範囲内である。いくつかの実施形態では、NACの相対重量は、約0.1%~約0.5%の範囲内である。いくつかの実施形態では、EDTAの相対重量は、約0.01%~約0.05%の範囲内である。いくつかの実施形態では、トレハロースの相対重量は、約1.0~約10%の範囲内である。いくつかの実施形態では、ポロキサマー188の相対重量は、約2%~約5%の範囲内である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート20の相対重量は、約0.02%~約0.06%の範囲内である。
【0012】
別の態様では、本開示は、ボツリヌス毒素と、トレハロースと、ポロキサマー188又はポリソルベート20と、NACと、EDTA又はEDTAアナログと、を含む、固体医薬組成物を提供する。代替の実施形態では、固体医薬組成物は、ボツリヌス毒素と、トレハロースと、ポロキサマー188と、NACと、を含む。代替の実施形態では、固体医薬組成物は、ボツリヌス毒素と、トレハロースと、ポロキサマー188と、L-メチオニンと、を含む。いくつかの実施形態では、固体医薬組成物はヒスチジン緩衝剤を更に含む。いくつかの実施形態では、L-メチオニンの相対重量は、約0.1%~約0.3%の範囲内である。いくつかの実施形態では、NACの相対重量は、約0.01%~約0.05%の範囲内である。いくつかの実施形態では、EDTAの相対重量は、約0.01%~約0.05%の範囲内である。いくつかの実施形態では、トレハロースの相対重量は、約1.0~約10%の範囲内である。いくつかの実施形態では、ポロキサマー188の相対重量は、約0.5%~約5%の範囲内である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート20の相対重量は、約0.02%~約0.06%の範囲内である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特定の組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、二糖類と、界面活性剤と、抗酸化剤と、を含む、安定な液体又は固体医薬組成物を提供する。本発明の特定の液体組成物では、二糖類は任意である。
【0014】
特定の実施形態はまた、本発明の態様に従って提供される組成物を使用して、例えば、うつ病(例えば、大うつ病性障害)、頭痛(例えば、片頭痛、緊張性頭痛など)、疼痛、心房細動、多汗症、筋痙直、頸部ジストニア、眼瞼けいれん、過活動膀胱(例えば、神経因性排尿筋過活動、及び特発性過活動膀胱)、膀胱痛(例えは、間質性膀胱炎、膀胱痛症候群)、皮膚状態(例えば、しわ、小じわ、過剰な皮脂産生、座瘡、酒さ)、便秘などの様々な疾病、疾患、及び状態を治療する方法も提供する。実施形態には、例えば、筋肉内、皮内、皮下などの注入、点眼、静脈内、経皮、及び局所を含む様々な投与手法を含むことができる。
定義
【0015】
本明細書で使用するとき、以下に記載される単語又は用語は以下の定義を有する。
【0016】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の冠詞の文法上の目的語を指すために使用される。例として、「an element」とは、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「約」又は「およそ」は、当業者によって判断されるとき、特定の値に対する許容可能な誤差範囲内であることを意味し、その値がどのように測定又は判定されたか(すなわち、測定系の限界)、に一部依存する。例えば、「約」は、当該技術における行為に対して、1以内又は1超の標準偏差を意味する場合がある。特定の値が本出願及び特許請求の範囲に記載される場合、特に明記しない限り、用語「約」は、特定の値に対する許容可能な誤差範囲内であることを意味する。
【0018】
「投与」又は「投与する」は、被検体、つまり代替的には医薬組成物を投与される被検体に、医薬組成物を与える(すなわち投与する)工程を意味する。本明細書に開示される医薬組成物は、様々な方法によって局所的に投与することができる。例えば、筋肉内、皮内、皮下投与、髄腔内投与、腹腔内投与、局所(経皮)、点眼、及び移植(例えば、高分子インプラント又はミニ浸透圧ポンプなどの持続放出デバイスの)は全て、適切な投与経路であり得る。
【0019】
「緩和」は、頭痛の痛み若しくは任意の症状、又は、ある状態若しくは障害の原因の発生の低下を意味する。したがって、緩和には、ある程度の低下、大幅な低下、ほぼ完全な低下、及び完全な低下が含まれる。
【0020】
「動物タンパク質を含まない」とは、血液由来、血液プール及び他の動物由来の産物又は化合物が存在しないことを意味する。「動物」は、哺乳類(ヒトなど)、鳥類、爬虫類、魚類、昆虫類、クモ類、又は他の動物種を意味する。「動物」は、細菌などの微生物を除外する。したがって、動物性タンパク質を含まない医薬組成物は、ボツリヌス神経毒素を含むことができる。例えば、「動物性タンパク質を含まない」医薬組成物とは、血清由来アルブミン、ゼラチン、及び免疫グロブリンなどの他の動物由来タンパク質を、実質的に含まない、又は本質的に含まない、又は完全に含まない、医薬組成物を意味する。動物性タンパク質を含まない医薬組成物の例は、(活性成分として)ボツリヌス毒素と、安定剤つまり賦形剤として好適な多糖類とを含むか、又はそれからなる医薬組成物である。
【0021】
「抗酸化剤」は、活性成分を酸素との反応から保護する任意の化合物を指す。抗酸化剤は、大きくは3つのカテゴリー、すなわち、(i)特定の活性成分よりも容易に酸素と反応することにより、酸素を除去することができる犠牲的抗酸化剤、例えばアスコルビン酸及び亜硫酸塩、(ii)酸素の消費によってラジカル鎖の伝播中に攻撃される水素原子への弱い結合に起因して、安定なラジカルを形成する分子である連鎖停止剤、例えば、メチオニン、NAC、グルタチオン、リポ酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、及びシステイン、(iii)金属と錯体を形成することによって遷移金属の触媒活性を低下させるキレート剤、例えば、EDTA、EGTA及びDTPA、並びにこれらのアナログ、に分類できる。
【0022】
「生物活性」は、生体上の薬物の有益な又は有害な効果を説明する。薬物が複合化学混合物である場合、この活性は物質の活性成分によって発揮されるが、他の構成物質によって修飾され得る。生物活性は、効力として又は毒性として、in vivo LD50若しくはED50アッセイにより、又は、例えば、米国特許出願公開第20100203559号及び同第20100233802号に記載される細胞系効力アッセイ(CBPA)などのin vitroアッセイによって評価することができる。本発明の組成物の活性は、任意の好適なアッセイを使用して測定することができ、CBPAによって測定される活性に限定されない。実施例に記載される効力はまた、LD50を使用して測定したときの効力も包含する。
【0023】
「ボツリヌス毒素」は、クロストリジウム-ボツリヌムによって産生される神経毒素、並びに、非クロストリジウム種によって組換え的に製造されたボツリヌス毒素(又はその重鎖若しくは軽鎖)を意味する。本明細書で使用するとき、語句「ボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素血清型A、B、C、D、E、F及びG、並びに、それらのサブタイプ及びそれらのサブタイプのうち任意の型、又は、いずれの場合も上記のうち任意のものの任意の遺伝子再操作したタンパク質、アナログ、誘導体、ホモログ、パーツ、サブパーツ、変異体又はバージョンを包含する。本明細書で使用するとき、「ボツリヌス毒素」は、「修飾ボツリヌス毒素」も包含する。更に、本明細書で使用するとき、「ボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素複合体(例えば、300、600及び900kDaの複合体)、並びに、複合タンパク質が結合していないボツリヌス毒素の神経毒素成分(150kDa)も包含する。
【0024】
「クロストリジウム毒素」は、クロストリジウム毒素が細胞内に入り、クロストリジウム毒素の低及び高親和性クロストリジウム毒素受容体への結合、毒素/受容体複合体の内部移行、クロストリジウム毒素軽鎖の細胞質内への移行、及びクロストリジウム毒素基質の酵素的修飾を起こすことによって、全般的な細胞機構を遂行できるクロストリジウム毒素株によって産生される任意の毒素を指す。クロストリジウム毒素の非限定例として、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/Ci、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、破傷風毒素(TeNT)、Baratii毒素(BaNT)、及びブチリカム毒素(BuNT)などのボツリヌス毒素が挙げられる。神経毒素ではないBoNT/C2細胞毒素及びBoNT/C3細胞毒素は、「クロストリジウム毒素」という用語から除外される。本明細書に開示されるクロストリジウム毒素は、限定するものではないが、天然型クロストリジウム毒素変異体、例えば、クロストリジウム毒素アイソフォーム及びクロストリジウム毒素サブタイプなど、非天然型クロストリジウム毒素変異体、例えば、保存的クロストリジウム毒素変異体、非保存的クロストリジウム毒素変異体、クロストリジウム毒素キメラ変異体、及びその活性クロストリジウム毒素フラグメント、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。本明細書に開示されるクロストリジウム毒素は、クロストリジウム毒素複合体も含む。本明細書で使用するとき、用語「クロストリジウム毒素複合体」は、クロストリジウム毒素及び非毒素関連タンパク質(NAP)、例えば、ボツリヌス毒素複合体、破傷風毒素複合体、Baratii毒素複合体、及びブチリカム毒素複合体を含む複合体を指す。クロストリジウム毒素複合体の非限定例として、クロストリジウム-ボツリナムが産生するもの、例えば、900kDaのBoNT/A複合体、500kDaのBoNT/A複合体、300kDaのBoNT/A複合体、500kDaのBoNT/B複合体、500kDaのB0NT/C1複合体、500kDaのBoNT/D複合体、300kDaのBoNT/D複合体、300kDaのBoNT/E複合体、及び300kDaのBoNT/F複合体が挙げられる。
【0025】
「クロストリジウム毒素活性成分」は、被検体又は患者への投与時又は投与後に効果を発揮するクロストリジウム毒素の任意の部分を含有する分子を指す。本明細書で使用するとき、用語「クロストリジウム毒素活性成分」は、約150kDaのクロストリジウム毒素と、非毒素関連タンパク質(NAP)と総称される他のタンパク質、約150kDaのクロストリジウム毒素単独、又は修飾クロストリジウム毒素(例えば、再標的化クロストリジウム毒素)を含むクロストリジウム毒素複合体を包含する。
【0026】
「変形」は、美容的、物理的又は機能的な不規則性、欠陥、異常、欠点、奇形、陥没、又は歪みを意味する。
【0027】
生物学的有効成分に対して適用される「有効量」は、被験体において所望の変化をもたらすのに一般的に十分である成分の量を意味する。例えば、所望の効果が自己免疫異常症状の減少である場合、成分の有効量は、顕著な毒性をもたらすことなく自己免疫異常症状の少なくとも実質的な減少を引き起こす量である。
【0028】
クロストリジウム毒素組成物に添加される賦形剤、又は特定の組み合わせの賦形剤の量について使用されるとき、「有効量」は、クロストリジウム毒素活性成分の所望の初期回復能を達成するのに必要な各賦形剤の量を指す。この実施形態の態様では、有効量の賦形剤又は賦形剤の組み合わせは、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%の初期回復能をもたらす。この実施形態の他の態様では、治療有効濃度のクロストリジウム毒素活性成分は、例えば、最大で10%、最大で20%、最大で30%、最大で40%、最大で50%、最大で60%、最大で70%、最大で80%、最大で90%、又は最大で100%、治療される食事と関連する症状を低減する。
【0029】
「重鎖」は、ボツリヌス神経毒素の重鎖を意味する。これは、約100kDaの分子量を有し、H鎖又はHと称される場合もある。
【0030】
Heは、H鎖のカルボキシル末端セグメントとほぼ同等のボツリヌス神経毒素のH鎖由来のフラグメント(約50kDa)、又は完全H鎖中のそのフラグメントに対応する部分を意味する。これには免疫原性があり、高い親和性、運動ニューロンへのシナプス前結合に関与する、天然つまり野生型ボツリヌス神経毒素の一部を含有すると考えられる。
【0031】
Nは、H鎖のアミノ末端セグメントとほぼ同等のボツリヌス神経毒素のH鎖由来のフラグメント(約50kDa)、又はH鎖内の完全なそのフラグメントに対応する部分を意味する。これは、細胞内エンドソーム膜を横切るL鎖の移動に関与する、天然つまり野生型ボツリヌス神経毒素の一部を含有すると考えられる。
【0032】
「軽鎖」は、クロストリジウム神経毒素の軽鎖を意味する。これは、約50kDaの分子量を有し、L鎖、L、又はボツリヌス神経毒素のタンパク質分解ドメイン(アミノ酸配列)と称される場合がある。
【0033】
LHN又はL-HNは、L鎖を含有するクロストリジウム神経毒素に由来するフラグメント、又はHNドメインに結合したその機能断片を意味する。これは、Heドメインを除去又は改変するため、タンパク質分解によって完全なクロストリジウム神経毒素から得ることができる。
【0034】
「インプラント」は、制御放出(例えば、パルス放出又は連続放出)組成物又は薬物送達システムを意味する。インプラントは、例えば、人体に注入、挿入又は埋め込むことができる。
【0035】
「液体組成物」、「液体医薬組成物」、又は「液体製剤」は、臨床医によって必要に応じてそのまま使用できるように、緩衝剤などの液体医薬賦形剤中で長期間にわたって保存可能な、薬物又は生物学的活性成分の薬学的に活性な製剤を指す。液体医薬組成物は、凍結乾燥プロセスを行わずに製造される。
【0036】
「局所投与」は、その場所で医薬品の生物学的効果が望まれる動物の体表面若しくは体内、又はその近傍への医薬品の直接投与を意味し、例えば、筋肉内投与、又は皮内若しくは皮下投与、又は経皮投与などによる。局所投与は、静脈内投与又は経口投与などの全身性投与経路を除く。経皮投与は、医薬品が患者の皮膚に適用される局所投与の一種である。
【0037】
「凍結乾燥保護薬」又は「凍結乾燥保護剤」は、凍結乾燥プロセス中にクロストリジウム毒素活性成分を保護するために凍結乾燥製剤に含まれる物質を意味する。凍結乾燥保護薬として、例えば、糖(単糖類、二糖類、及び多糖類)、ポリアルコール、及びこれらの誘導体などのポリヒドロキシ化合物が挙げられる。本明細書に開示される凍結乾燥製剤と共に使用することができる例示的な凍結乾燥保護薬として、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、ラフィノース、マルトース、グリセロール、ラクトース、フルクトース、ガラクトース、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
「凍結乾燥組成物」、「凍結乾燥医薬組成物」、「凍結乾燥製剤」、又は「固体組成物」は、凍結乾燥、フリーズドライ、又は真空乾燥プロセスに供されたクロストリジウム毒素活性成分を含有する製剤を指し、患者への投与前に、例えば生理食塩水又は水などの再構成媒体で再構成することができる。凍結乾燥組成物は、フリーズドライ組成物又は真空乾燥組成物であり得る。
【0039】
「修飾ボツリヌス毒素」は、天然ボツリヌス毒素と比較して、そのアミノ酸の少なくとも1つが欠失、修飾、又は置換されているボツリヌス毒素を意味する。加えて、修飾ボツリヌス毒素は、組換えにより産生された神経毒素、又は組換えにより作製された神経毒素の誘導体若しくはフラグメントであり得る。修飾ボツリヌス毒素は、天然ボツリヌス毒素の少なくとも1つの生物活性、例えば、ボツリヌス毒素受容体への結合能、又はニューロンからの神経伝達物質放出の阻害能を保持する。修飾ボツリヌス毒素の一例は、あるボツリヌス毒素血清型(A型など)由来の軽鎖、及び異なるボツリヌス毒素血清型(B型など)由来の重鎖を有するボツリヌス毒素である。修飾ボツリヌス毒素の別の例は、サブスタンスPなどの神経伝達物質に結合したボツリヌス毒素である。
【0040】
「変異」は、天然に存在するタンパク質又は核酸の配列の構造修飾を意味する。例えば、核酸変異の場合、変異は、DNA配列中の1つ以上のヌクレオチドの欠失、付加又は置換であり得る。タンパク質配列変異の場合、変異は、タンパク質配列中の1つ以上のアミノ酸の欠失、付加又は置換であり得る。例えば、タンパク質配列を含む特定のアミノ酸は、別のアミノ酸、例えば、アミノ酸であるアラニン、アスパラギン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン、又は任意のその他天然若しくは非天然アミノ酸若しくは化学修飾アミノ酸を含む群から選択されるアミノ酸に置換され得る。タンパク質配列への突然変異は、転写され、得られたmRNAが翻訳されると変異タンパク質配列を産生する、DNA配列に対する突然変異の結果であり得る。タンパク質配列への突然変異はまた、所望の変異を含有するペプチド配列を所望のタンパク質配列に融合させることによって作製することもできる。
【0041】
「患者」は、医師又は獣医の治療を受けるヒト又は非ヒト被検体を意味する。したがって、本明細書に開示される組成物は、例えば哺乳類などの任意の動物を治療するのに使用することができる。
【0042】
「末梢に投与する」又は「末梢投与」は、皮下投与、皮内投与、経皮投与、又は皮下投与を意味するが、筋肉内投与を除外する。「末梢」は、皮下位置内を意味し、内臓部を除外する。
【0043】
「医薬組成物」は、例えばボツリヌス毒素などのクロストリジウム毒素活性成分、及び、例えば安定剤又は賦形剤などの少なくとも1種の追加成分を含む、組成物を意味する。したがって、医薬組成物は、ヒト患者などの被験体への診断的又は治療的投与に好適な製剤である。医薬組成物は、例えば、凍結乾燥又は真空乾燥状態、凍結乾燥若しくは真空乾燥された医薬組成物の再構成後に形成された溶液、又は再構成を必要としない溶液若しくは固体であってよい。
【0044】
「薬理学的に許容される賦形剤」は「薬理学的賦形剤」又は「賦形剤」と同義であり、哺乳類への投与時に、実質的に長期的又は永続的有害効果を有さない任意の賦形剤を指し、例えば、安定剤、増量剤、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、添加剤、溶媒、担体、希釈剤、又は補助剤などの化合物を包含する。賦形剤は、一般に活性成分と混合されるか、又は活性成分を希釈又は封入することが可能であり、固体、半固体、又は液体剤であってもよい。クロストリジウム毒素活性成分を含む医薬組成物は、製薬的に許容される組成物への活性成分の加工を促進する1種以上の製薬的に許容される賦形剤を含み得ることも想定される。任意の薬理学的に許容される賦形剤がクロストリジウム毒素活性成分に非相溶性でない限り、製薬的に許容される組成物におけるその使用が想到される。薬理学的に許容される賦形剤の非限定例は、例えば、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(Howard C.Ansel et al.,eds.,Lippincott Williams & Wilkins Publishers,7th ed.1999);Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Alfonso R.Gennaro ed.,Lippincott,Williams & Wilkins,20th ed.2000);Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Joel G.Hardman et al,eds.,McGraw-Hill Professional,10th ed.2001);及び、Handbook of Pharmaceutical Excipients(Raymond C.Rowe et al,APhA Publications,4thedition 2003)に記載されており、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0045】
医薬組成物の構成成分は、単一組成物(すなわち、任意の必要な再構成液を除く全ての構成成分が、最初の医薬組成物配合時に存在する)、又は2成分系として、例えば、医薬組成物の初期配合中に存在しない成分を含有し得る再構成媒体で再構成された、例えば真空乾燥組成物に含まれてよい。2成分系は、2成分系の第1の成分との長期保存への適合性が十分ではない成分の混合を可能にするなど、いくつかの利益を提供できる。例えば、再構成媒体は、使用期間、例えば1週間の冷蔵保管期間中に微生物増殖に対して十分な保護を提供するが、その間毒素を分解し得る2年の冷凍保管期間中には存在しない、防腐剤を含んでもよい。ボツリヌス毒素又は他の成分と長期間の相溶性がない他の成分を、この方法で混合することができ、すなわち、第2の媒体(例えば、再構成媒体)に、使用時間付近で添加する。医薬組成物はまた、ベンジルアルコール、安息香酸、フェノール、パラベン、及びソルビン酸などの防腐剤を含むこともできる。医薬組成物は、例えば、界面活性剤、分散剤、不活性希釈剤、造粒剤及び崩壊剤、結着剤、潤滑剤、防腐剤、ゼラチンなどの生理学的に分解可能な組成物、水性媒体及び溶媒、油性媒体及び溶媒、懸濁化剤、分散剤又は湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、緩衝剤、塩、増粘剤、充填剤、抗酸化剤、安定剤、並びに製薬的に許容される高分子又は疎水性物質、並びに、当該技術分野において既知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれるGenaro,ed.,1985,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.に記載されている他の成分などの、賦形剤を含むことができる。
【0046】
「多糖類」は、3つ以上の糖分子モノマーのポリマーを意味する。モノマーは、同一であっても異なっていてもよい。
【0047】
「安定化剤」、「安定剤」又は「安定化薬」は、医薬組成物の効力が不安定化組成物に対して上昇するように、クロストリジウム毒素活性成分を安定化するように作用する物質を意味する。
【0048】
「安定化薬」は賦形剤を含むことができ、タンパク質及び非タンパク質分子を含むことができる。
【0049】
「界面活性剤」は、天然又は合成両親媒性化合物を指す。界面活性剤は、非イオン性、双性イオン性、又はイオン性であり得る。界面活性剤の非限定例として、ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
「治療用製剤」は、例えば、末梢の筋肉の運動亢進(すなわち、痙縮)を特徴とする傷害又は疾病などの障害又は疾患を、治療及びそれによって緩和するために使用できる製剤を意味する。
【0051】
本明細書で使用するとき、「TEM」は、「標的化されたエキソサイトーシス調節因子」又は「再標的化エンドペプチダーゼ」と同義である。一般に、TEMは、クロストリジウム毒素軽鎖由来の酵素ドメイン、クロストリジウム毒素重鎖由来の転位ドメイン、及び標的化ドメインを含む。TEMの標的化ドメインは、天然のクロストリジウム毒素によって利用される天然クロストリジウム毒素受容体以外の受容体に分子を標的化する、改変された細胞標的化能を提供する。この再標的化能は、クロストリジウム毒素の天然に存在する結合ドメインを、非クロストリジウム毒素受容体への結合活性を有する標的化ドメインと置き換えることによって達成される。非クロストリジウム毒素受容体に結合するものの、TEMは、TEM/受容体複合体の細胞質への内部移行、小胞膜及び二本鎖分子中の細孔の形成、酵素ドメインの細胞質への転位、及び標的細胞のSNARE複合体の構成要素へのタンパク質分解効果の発揮など、中毒プロセスの他の工程の全てを経る。
【0052】
「等張化剤」又は「等張剤」は、等張性をもたらす凍結乾燥又は液体製剤中に含まれる、低分子量賦形剤を意味する。例えば、トレハロース又はスクロースなどの二糖類、ソルビトール又はマンニトールなどのポリアルコール、グルコースなどの単糖類、及び塩化ナトリウムなどの塩は、等張化剤として機能することができる。
【0053】
「経皮投与」は、神経毒素の全身投与を除外する。言い換えれば、従来の治療的経皮法とは異なり、ボツリヌス毒素の経皮投与の結果、神経毒素のうち相当量、例えば大部分が、患者の循環系に入らない。
【0054】
「治療」は、例えば、一時的又は持続的のいずれかの、しわ、痙縮、うつ病、疼痛(例えば頭痛など)、膀胱過活動などの症状又は障害の少なくとも1つの症状を緩和する(又は排除する)ことを意味する。
【0055】
本明細書で使用するとき、用語「単位」又は「U」は、LD50用量、又は細胞系効力アッセイ(CBPA)によって決定される用量を指す。LD50用量は、クロストリジウム毒素、クロストリジウム毒素複合体、又は修飾クロストリジウム毒素を注射したマウスの50%を死亡させた、クロストリジウム毒素活性成分、クロストリジウム毒素複合体、又は修飾クロストリジウム毒素の量として定義される。CBPA用量は、米国特許第8,618,261号に記載されるように決定され、そのアッセイの詳細は参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
「変異体」は、野生型ボツリヌス毒素に対して少なくとも1つのアミノ酸の置換、改変、付加、又は欠失によって修飾されている、野生型ボツリヌス毒素血清型A、B、C、D、E、F又はGなどのクロストリジウム神経毒素を意味し、これらは、標的細胞によって認識され、標的細胞によって内在化され、標的細胞内のSNARE(SNAP(可溶性NSF付着タンパク質)受容体)タンパク質を触媒的に開裂する。
【0057】
変異体神経毒素成分の例は、置換、修飾、欠失及び/又は付加された1つ以上のアミノ酸を有するボツリヌス毒素の変異体軽鎖を含み得る。この変異体軽鎖は、エキソサイトーシス、例えば、神経伝達物質分泌小胞の放出を防止するための同じ又はより良好な能力を有する場合がある。また、変異体の生物学的効果は、親化学物質と比較して減少する場合がある。例えば、除去されたアミノ酸配列を有するボツリヌス毒素A型の変異体軽鎖は、親(つまり天然)ボツリヌス毒素A型軽鎖よりも短い生物学的持続性を有し得る。
【0058】
一態様では、組成物は糖又はポリアルコールを含まない。糖は、次項で定義される。本明細書で使用するとき、用語「ポリアルコール」は、「糖アルコール」、「多価アルコール」、及び「ポリオール」と同義であり、アルデヒド基(CHO)の代わりにアルコール基(CH2OH)を有する糖誘導体、例えば、マンノース由来のマンニトール、キシロース由来のキシリトール、及びラクツロース由来のラクチトールなどを指す。ポリオールの非限定例として、グリコール、グリセロール、アラビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール(グルシトール)、マンニトール、イノシトール、ラクチトール、ガラクチトール(イジトール)、イソマルトが挙げられる。糖賦形剤の他の非限定例は、例えば、上記Ansel(1999)、上記Gennaro(2000)、上記Hardman(2001)、及び上記Rowe(2003)に記載されており、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
医薬組成物
【0059】
本発明の特定の実施形態は、ボツリヌス毒素などのクロストリジウム毒素活性成分、二糖類、界面活性剤、及び抗酸化剤を含む(又はそれらからなる、又はそれらから本質的になる)医薬組成物を含む。
【0060】
本発明の医薬組成物の態様は、一部ではクロストリジウム毒素活性成分を提供する。本明細書で使用するとき、用語「クロストリジウム毒素活性成分」は、治療有効濃度のクロストリジウム毒素活性成分、例えば、クロストリジウム毒素複合体、クロストリジウム毒素、修飾クロストリジウム毒素、又は再標的化クロストリジウム毒素を指す。ボツリヌス毒素は、本発明で使用するのに特に好ましいクロストリジウム毒素活性成分である。本明細書で使用するとき、用語「治療有効濃度」は、「治療有効量」、「有効量」、「有効用量」、及び「治療有効用量」と同義であり、所望の治療効果を達成するために必要なクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素の最小用量を指し、治療される食事と関連する症状を低減するのに十分な用量を含む。この実施形態の態様では、治療有効濃度のクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素は、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%、治療される食事と関連する症状を低減する。この実施形態の他の態様では、治療有効濃度のクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素は、例えば、最大で10%、最大で20%、最大で30%、最大で40%、最大で50%、最大で60%、最大で70%、最大で80%、最大で90%、又は最大で100%、治療される食事と関連する症状を低減する。
【0061】
治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分が回収可能である条件下で、任意の量のクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素を、本明細書に開示されるクロストリジウム毒素医薬組成物を配合する際に添加できると想定される。この実施形態の態様では、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素の量は、少なくとも0.1U/mL、少なくとも1.0U/mL、少なくとも10U/mL、少なくとも50U/mL、少なくとも100U/mL、少なくとも200U/mL、又は少なくとも1000U/mLである。この実施形態の別の態様では、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素の量は、最大で0.1U/mL、最大で1.0U/mL、最大で10U/mL、最大で50U/mL、最大で100U/mL、最大で200U/mL、又は最大で1000U/mLである。この実施形態の更に別の態様では、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素の量は、約0.1U/mL~約1000U/mL、又は約1.0U/mL~約1000U/mLである。この実施形態の更に別の態様では、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素の量は、約0.001U/mL~約100U/mL、約0.01U/mL~約100U/mL、約0.1U/mL~約100U/mL、又は約1.0U/mL~約100U/mLである。
【0062】
この実施形態の別の態様では、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素の量は、少なくとも1.0pg、少なくとも10pg、少なくとも100pg、少なくとも1.0ng、少なくとも10ng、少なくとも100ng、少なくとも1.0μg、少なくとも10μg、少なくとも100μg、又は少なくとも1.0mgである。この実施形態の更に別の態様では、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素の量は、最大で1.0pg、最大で10pg、最大で100pg、最大で1.0ng、最大で10ng、最大で100ng、最大で1.0μg、最大で10μg、最大で100μg、又は最大で1.0mgである。この実施形態の更に別の態様では、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素の量は、約1.0pg~約10μg、約10pg~約10μg、約100pg~約10μg、約1.0ng~約10μg、約10ng~約10μg、又は約100ng~約10μgである。この実施形態の更に別の態様では、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素の量は、約1.0pg~約1.0μg、約10pg~約1.0μg、約100pg~約1.0μg、約1.0ng~約1.0μg、約10ng~約1.0μg、又は約100ng~約1.0μgである。この実施形態の更なる態様では、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素の量は、約1.0pg~約5.0μg、約10pg~約5.0μg、約100pg~約5.0μg、約1.0ng~約5.0μg、約10ng~約5.0μg、又は約100ng~約5.0μgである。この実施形態の更なる態様では、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素の量は、約1.0pg~約10μg、約10pg~約10μg、約100pg~約10μg、約1.0ng~約10μg、約10ng~約10μg、又は約100ng~約10pgである。
【0063】
この実施形態の態様では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/Ci、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、BoNTモザイク(例えば、BoNT/DC、BoNT/CD及びBoNT/FA)、TeNT、BaNT、又はBuNTを含む。別の実施形態では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、クロストリジウム毒素活性成分としてクロストリジウム毒素変異体を含む。この実施形態の態様では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、天然型クロストリジウム毒素変異体又は非天然型クロストリジウム毒素変異体を含む。この実施形態の他の態様では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、BoNT/A変異体、BoNT/B変異体、BoNT/Ci変異体、BoNT/D変異体、BoNT/E変異体、BoNT/F変異体、BoNT/G変異体、TeNT変異体、BaNT変異体、又はBuNT変異体を含み、このとき変異体は、天然に生じる変異体又は天然に生じない変異体のいずれかである。
【0064】
本発明の医薬組成物の態様は、一部ではクロストリジウム毒素活性成分としてクロストリジウム毒素複合体を提供する。本明細書で使用するとき、用語「クロストリジウム毒素複合体」は、クロストリジウム毒素及び関連NAP、例えば、ボツリヌス毒素複合体、破傷風毒素複合体、Baratii毒素複合体、及びブチリカム毒素複合体を含む複合体を指す。クロストリジウム毒素複合体の非限定例として、クロストリジウム-ボツリナムが産生するもの、例えば、900kDaのBoNT/A複合体、500kDaのBoNT/A複合体、300kDaのBoNT/A複合体、500kDaのBoNT/B複合体、500kDaのB0NT/C1複合体、500kDaのBoNT/D複合体、300kDaのBoNT/D複合体、300kDaのBoNT/E複合体、及び300kDaのBoNT/F複合体が挙げられる。クロストリジウム毒素複合体は、上記Schantz(1992)、Hui Xiang et al,Animal Product Free System and Process for Purifying a Botulinum Toxin、米国特許第7,354,740号(全体が参照することによりそれぞれ本明細書に組み込まれる)に記載される方法を使用して精製できる。クロストリジウム毒素複合体は、例えば、List Biological Laboratories,Inc.(Campbell,California)、the Centre for Applied Microbiology and Research(Porton Down,U.K)、Wako(Osaka,Japan)、及びSigma Chemicals(St Louis,Missouri)から入手できる。
【0065】
本発明の医薬組成物の態様は、一部では非タンパク質賦形剤を提供する。本明細書で使用するとき、用語「非タンパク質賦形剤」は、少なくとも15個のアミノ酸を含むポリペプチドではない任意の賦形剤を指す。任意の非タンパク質賦形剤は、本明細書に開示されるクロストリジウム毒素医薬組成物の製剤化に有用であるが、ただし、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素が、この非タンパク質賦形剤を使用して回収されることが想定される。
【0066】
本発明の医薬組成物の態様は、一部では糖を提供する。本明細書で使用するとき、用語「糖」は、1~10個の単糖単位、例えば、単糖類、二糖類、三糖類、及び、4~10個の単糖単位を含むオリゴ糖を含む化合物を指す。任意の糖は、本明細書に開示されるクロストリジウム毒素医薬組成物の製剤化に有用であるが、ただし、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素が、この糖を使用して回収されることが想定される。いくつかの実施形態では、例えば凍結乾燥組成物において、糖は凍結乾燥保護薬として機能し得る。いくつかの他の実施形態では、例えば凍結乾燥製剤又は液体製剤において、糖は等張化剤として機能し得る。単糖類は、アルドース、ジアルドース、アルドケトース、ケトース及びジケトースなどの、3つ以上の炭素原子を有するポリヒドロキシアルデヒド又はポリヒドロキシケトン、並びに、親単糖が(電位)カルボニル基を有する場合、環状型、デオキシ糖及びアミノ糖、並びにそれらの誘導体である。単糖類として、グリセルアルデヒド及びジヒドロキシアセトンなどのトリオース;エリトロース、エリトルロース及びトレオースなどのテトロース;アラビノース、リキソース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロースなどのペントース;アロース、アルトロース、フルクトース、フコース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、プシコース、ラムノース、ソルボース、タガトース、タロース及びトレハロースなどのヘキソース;セドヘプツロース及びマンノヘプツロースなどのヘプトース;オクツロース及び2-ケト-3-デオキシ-マンノオクトネートなどのオクトース;シアロースなどのノノース;並びにデコースが挙げられる。オリゴ糖は、少なくとも2種類の単糖単位がグリコシド結合によって結合した化合物である。単位の数により、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、七糖類、八糖類、九糖類、十糖類などと呼ばれる。オリゴ糖は、非分枝状、分枝状、又は環状であり得る。一般的な二糖類として、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ゲンチオビオース、コージビオース、ラミナリビオース、マンノビオース、メリビオース、ニゲロース、ルチノース、及びキシロビオースが挙げられるが、これらに限定されない。一般的な三糖類として、ラフィノース、アカルボース、マルトトリオース、及びメレチトースが挙げられるが、これらに限定されない。特定用途の糖賦形剤の他の非限定例は、例えば、上記Ansel(1999)、上記Gennaro(2000)、上記Hardman(2001)、及び上記Rowe(2003)に記載されており、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0067】
ある実施形態では、クロストリジウム毒素医薬組成物は糖を含む。この実施形態の態様では、クロストリジウム毒素医薬組成物は単糖類を含む。この実施形態の他の態様では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、七糖類、八糖類、九糖類、又は十糖類を含む。この実施形態の更に他の態様では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、2~10個の単糖単位を含むオリゴ糖を含む。トレハロース及びスクロースは、本発明で使用するのに特に好ましい糖である。
【0068】
任意の量の糖、好ましくはトレハロース又はスクロースは、本明細書に開示されるクロストリジウム毒素医薬組成物の製剤化に有用であるが、ただし、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素が、この糖の量を使用して回収されることが想定される。この実施形態の態様では、製剤に添加される糖、好ましくはトレハロース又はスクロースの量は、約0.1%(w/w)、約0.5%(w/w)、約1.0%(w/w)、約1.5%(w/w)、約2.0%(w/w)、約2.5%(w/w)、約3.0%(w/w)、約3.5%(w/w)、約4.0%(w/w)、約4.5%(w/w)、約5.0%(w/w)、約5.5%(w/w)、約6.0%(w/w)、約6.5%(w/w)、約7.0%(w/w)、約7.5%(w/w)、約8.0%(w/w)、約8.5%(w/w)、約9.0%(w/w)、約9.5%(w/w)、約10%(w/w)、約15%(w/w)、約20%(w/w)、約25%(w/w)、約30%(w/w)、又は約35%(w/w)である。この実施形態の他の態様では、製剤に添加される糖、好ましくはトレハロース又はスクロースの量は、少なくとも0.1%(w/w)、少なくとも0.5%(w/w)、少なくとも1.0%(w/w)、少なくとも1.5%(w/w)、少なくとも2.0%(w/w)、少なくとも2.5%(w/w)、少なくとも3.0%(w/w)、少なくとも3.5%(w/w)、少なくとも4.0%(w/w)、少なくとも4.5%(w/w)、少なくとも5.0%(w/w)、少なくとも5.5%(w/w)、少なくとも6.0%(w/w)、少なくとも6.5%(w/w)、少なくとも7.0%(w/w)、少なくとも7.5%(w/w)、少なくとも8.0%(w/w)、少なくとも8.5%(w/w)、少なくとも9.0%(w/w)、少なくとも9.5%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも15%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、少なくとも25%(w/w)、少なくとも30%(w/w)、又は少なくとも35%(w/w)である。この実施形態の他の態様では、製剤に添加される糖、好ましくはトレハロース又はスクロースの量は、最大で0.1%(w/w)、最大で0.5%(w/w)、最大で1.0%(w/w)、最大で1.5%(w/w)、最大で2.0%(w/w)、最大で2.5%(w/w)、最大で3.0%(w/w)、最大で3.5%(w/w)、最大で4.0%(w/w)、最大で4.5%(w/w)、最大で5.0%(w/w)、最大で5.5%(w/w)、最大で6.0%(w/w)、最大で6.5%(w/w)、最大で7.0%(w/w)、最大で7.5%(w/w)、最大で8.0%(w/w)、最大で8.5%(w/w)、最大で9.0%(w/w)、最大で9.5%(w/w)、最大で10%(w/w)、最大で15%(w/w)、最大で20%(w/w)、最大で25%(w/w)、最大で30%(w/w)、又は最大で35%(w/w)である。
【0069】
ある実施形態では、本発明のクロストリジウム毒素医薬組成物は、好ましくはトレハロース又はスクロースである、二糖類を含む。一般的な二糖類として、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ゲンチオビオース、コージビオース、ラミナリビオース、マンノビオース、メリビオース、ニゲロース、ルチノース、及びキシロビオースが挙げられるが、これらに限定されない。この実施形態の態様では、クロストリジウム毒素医薬組成物はスクロースを含む。特定の一実施形態では、クロストリジウム毒素医薬組成物はトレハロースを含む。この実施形態の態様では、製剤に添加される製剤に添加される二糖類、好ましくはトレハロース又はスクロースの量は、約0.1%(w/w)、約0.5%(w/w)、約1.0%(w/w)、約1.5%(w/w)、約2.0%(w/w)、約2.5%(w/w)、約3.0%(w/w)、約3.5%(w/w)、約4.0%(w/w)、約4.5%(w/w)、約5.0%(w/w)、約5.5%(w/w)、約6.0%(w/w)、約6.5%(w/w)、約7.0%(w/w)、約7.5%(w/w)、約8.0%(w/w)、約8.5%(w/w)、約9.0%(w/w)、約9.5%(w/w)、約10%(w/w)、約15%(w/w)、約20%(w/w)、約25%(w/w)、約30%(w/w)、又は約35%(w/w)である。
【0070】
本発明の医薬組成物の態様は、一部では界面活性剤を提供する。本明細書で使用するとき、用語「界面活性剤」は、天然又は合成両親媒性化合物を指す。界面活性剤は、非イオン性、双性イオン性、又はイオン性であり得る。任意の界面活性剤は、本明細書に開示されるクロストリジウム毒素医薬組成物の製剤化に有用であるが、ただし、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素が、この界面活性剤の量を使用して回収されることが想定される。界面活性剤の非限定例として、ポリソルベート20(TWEEN(登録商標)20)、ポリソルベート40(TWEEN(登録商標)40)、ポリソルベート60(TWEEN(登録商標)60)、ポリソルベート61(TWEEN(登録商標)61)、ポリソルベート65(TWEEN(登録商標)65)、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)、及びポリソルベート81(TWEEN(登録商標)81)などのポリソルベート;ポロキサマー124(PLURONIC(登録商標)L44)、ポロキサマー181(PLURONIC(登録商標)L61)、ポロキサマー182(PLURONIC(登録商標)L62)、ポロキサマー184(PLURONIC(登録商標)L64)、ポロキサマー188(PLURONIC(登録商標)F68)、ポロキサマー237(PLURONIC(登録商標)F87)、ポロキサマー338(PLURONIC(登録商標)L108)、ポロキサマー407(PLURONIC(登録商標)F127)などのポロキサマー(ポリエチレン-ポリプロピレンコポリマー)、BRIJ(登録商標)30、及びBRIJ(登録商標)35などのポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル;2-ドデコキシエタノール(LUBROL(登録商標)-PX);ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(TRITON(登録商標)X-100);ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);solutol HS15;3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-l-プロパンスルホネート(CHAPS);3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-l-プロパンスルホネート(CHAPSO);モノラウリン酸スクロース;及びコール酸ナトリウムが挙げられる。界面活性剤賦形剤の他の非限定例は、例えば、上記Ansel(1999)、上記Gennaro(2000)、上記Hardman(2001)、及び上記Rowe(2003)に記載されており、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ポロキサマー188は、本発明において特に好ましい界面活性剤である。
【0071】
したがって、ある実施形態では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、好ましくはポロキサマー188である、界面活性剤を含む。この実施形態の態様では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル、2-ドデコキシエタノール、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウム、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-l-プロパンスルホネート、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-l-プロパンスルホネート、モノラウリン酸スクロース、又はコール酸ナトリウムを含む。
【0072】
任意の量の界面活性剤、好ましくはポロキサマー188は、本明細書に開示されるクロストリジウム毒素医薬組成物の製剤化に有用であるが、ただし、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分、好ましくはボツリヌス毒素が、この界面活性剤の量を使用して回収されることが想定される。この実施形態の態様では、製剤に添加される界面活性剤、好ましくはポロキサマー188の量は、約0.01%(w/w)、約0.02%(w/w)、約0.03%(w/w)、約0.04%(w/w)、約0.05%(w/w)、約0.06%(w/w)、約0.07%(w/w)、約0.08%(w/w)、約0.09%(w/w)、約0.1%(w/w)、約0.5%(w/w)、約1.0%(w/w)、約1.5%(w/w)、約2.0%(w/w)、約2.5%(w/w)、約3.0%(w/w)、約3.5%(w/w)、約4.0%(w/w)、約4.5%(w/w)、約5.0%(w/w)、約5.5%(w/w)、約6.0%(w/w)、約6.5%(w/w)、約7.0%(w/w)、約7.5%(w/w)、約8.0%(w/w)、約8.5%(w/w)、約9.0%(w/w)、約9.5%(w/w)、約10%(w/w)、約15%(w/w)、約20%(w/w)、約25%(w/w)、約30%(w/w)、又は約35%(w/w)である。この実施形態の他の態様では、製剤に添加される界面活性剤、好ましくはポロキサマー188の量は、少なくとも0.01%(w/w)、少なくとも0.02%(w/w)、少なくとも0.03%(w/w)、少なくとも0.04%(w/w)、少なくとも0.05%(w/w)、少なくとも0.06%(w/w)、少なくとも0.07%(w/w)、少なくとも0.08%(w/w)、少なくとも0.09%(w/w)、少なくとも0.1%(w/w)、少なくとも0.5%(w/w)、少なくとも1.0%(w/w)、少なくとも1.5%(w/w)、少なくとも2.0%(w/w)、少なくとも2.5%(w/w)、少なくとも3.0%(w/w)、少なくとも3.5%(w/w)、少なくとも4.0%(w/w)、少なくとも4.5%(w/w)、少なくとも5.0%(w/w)、少なくとも5.5%(w/w)、少なくとも6.0%(w/w)、少なくとも6.5%(w/w)、少なくとも7.0%(w/w)、少なくとも7.5%(w/w)、少なくとも8.0%(w/w)、少なくとも8.5%(w/w)、少なくとも9.0%(w/w)、少なくとも9.5%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも15%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、少なくとも25%(w/w)、少なくとも30%(w/w)、又は少なくとも35%(w/w)である。この実施形態の更に他の態様では、製剤に添加される界面活性剤、好ましくはポロキサマー188の量は、最大で0.01%(w/w)、最大で0.02%(w/w)、最大で0.03%(w/w)、最大で0.04%(w/w)、最大で0.05%(w/w)、最大で0.06%(w/w)、最大で0.07%(w/w)、最大で0.08%(w/w)、最大で0.09%(w/w)、最大で0.1%(w/w)、最大で0.5%(w/w)、最大で1.0%(w/w)、最大で1.5%(w/w)、最大で2.0%(w/w)、最大で2.5%(w/w)、最大で3.0%(w/w)、最大で3.5%(w/w)、最大で4.0%(w/w)、最大で4.5%(w/w)、最大で5.0%(w/w)、最大で5.5%(w/w)、最大で6.0%(w/w)、最大で6.5%(w/w)、最大で7.0%(w/w)、最大でも7.5%(w/w)、最大で8.0%(w/w)、最大で8.5%(w/w)、最大で9.0%(w/w)、最大で9.5%(w/w)、最大で10%(w/w)、最大で15%(w/w)、最大で20%(w/w)、最大で25%(w/w)、最大で30%(w/w)、又は最大で35%(w/w)である。
【0073】
いくつかの実施形態では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、好ましくはポロキサマー188である、ポロキサマーを含む。本発明の医薬組成物と共に使用できるポロキサマーとして、ポロキサマー124(PLURONIC(登録商標)L44)、ポロキサマー181(PLURONIC(登録商標)L61)、ポロキサマー182(PLURONIC(登録商標)L62)、ポロキサマー184(PLURONIC(登録商標)L64)、ポロキサマー188(PLURONIC(登録商標)F68)、ポロキサマー237(PLURONIC(登録商標)F87)、ポロキサマー338(PLURONIC(登録商標)L108)、ポロキサマー407(PLURONIC(登録商標)F127)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポロキサマー188はより有利であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、ポリソルベートを含む。本発明の医薬組成物と共に使用することができるポリソルベートとして、ポリソルベート20(TWEEN(登録商標)20)、ポリソルベート40(TWEEN(登録商標)40)、ポリソルベート60(TWEEN(登録商標)60)、ポリソルベート61(TWEEN(登録商標)61)、ポリソルベート65(TWEEN(登録商標)65)、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)、及びポリソルベート81(TWEEN(登録商標)81)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリソルベート20は、いくつかの他のポリソルベートよりも有利であり得る。
【0075】
本発明の医薬組成物の態様は、一部では少なくとも抗酸化剤を提供する。抗酸化剤の非限定例として、メチオニン、システイン、N-アセチル-システイン(NAC)、二亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ビタミンE及びTrolox Cなどのアナログ;キレート剤、例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩)、EGTA(エチレングリコール-ビス(2-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、これらのアナログ又は誘導体、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。メチオニン及びNACは、本発明で使用するのに特に好ましい抗酸化剤である。NACは、特に好ましくは、本発明の特定の製剤においてEDTAと共に使用される。本発明の他の特定の凍結乾燥製剤において、NACは使用される唯一の抗酸化剤である。本発明の更に他の特定の製剤では、メチオニンは使用される唯一の抗酸化剤である。これらの実施形態の態様では、製剤に添加される抗酸化剤、好ましくはメチオニン又はNACの量は、約0.01%(w/w)~約0.10%(w/w)の範囲内である。NACと共に使用する場合、EDTAは、好ましくは約0.01%(w/w)~約0.10%(w/w)の量で添加される。
【0076】
本明細書に開示されるクロストリジウム毒素医薬組成物は、他の製薬的に許容される成分(又は医薬成分)を任意に非限定的に含むことができると更に想定され、これらには緩衝剤、防腐剤、等張性調整剤、塩、抗酸化剤、浸透圧調節剤、乳化剤、甘味剤、又は香味剤などが挙げられるが、これらに限定されない。得られた調製物が製薬的に許容されることを条件に、本明細書に開示される医薬組成物を調製するため、pHを調整する様々な緩衝剤及び手段を使用できる。このような緩衝剤として、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、中性緩衝生理食塩水、及びリン酸緩衝生理食塩水が挙げられるが、これらに限定されない。ヒスチジンは、特に好ましい緩衝剤である。酸又は塩基は、必要に応じて医薬組成物のpHを調整するために使用され得ることが理解される。任意の緩衝化pHレベルは、クロストリジウム毒素医薬組成物の製剤化に有用であり得るが、ただし、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分、好ましくはボツリヌス毒素が、この有効pHレベルを用いて回収されることが想定される。この実施形態のある態様では、有効pHレベルは、少なくとも約pH5.0、少なくとも約pH5.5、少なくとも約pH6.0、少なくとも約pH6.5、少なくとも約pH7.0、又は約約pH7.5である。この実施形態の別の態様では、有効pHレベルは、最大で約pH5.0、最大で約pH5.5、最大で約pH6.0、最大で約pH6.5、最も約pH7.0、又は最大で約pH7.5である。この実施形態の更に別の態様では、有効pHレベルは約pH5.0~約pH8.0であり、有効pHレベルは約pH5.0~約pH7.0であり、有効pHレベルは、約pH5.0~約pH6.0であり、pH約5.5~約pH8.0であり、有効pHレベルは約pH5.5~約pH7.0であり、有効pHレベルは約pH5.5~約pH5.0であり、pH約pH約5.5~約pH7.5であり、有効pHレベルは約pH5.5~約pH6.5である。5.5~6.0の有効pHが特に好ましい。
【0077】
本明細書に開示される医薬組成物は、再構成時又は注射時に約5~8のpHを有することができる。特定の実施形態では、組成物は、8未満のpH、例えば、7.9、又は7.8、又は7.7、又は7.6、又は7.5、又は7.4、又は7.3、又は7.2、又は7.1、又は7.0、又は6.9、又は6.8、又は6.7、又は6.6、又は6.5、又は6.4、又は6.3、又は6.2、又は6.1、又は6.0、又は5.9、又は5.8、又は5.7、又は5.6、又は5.5、又は5.4、又は5.3、又は5.2、又は5.1などのpHを有するであろう。いくつかの実施形態では、pHは5~7の範囲内である。5.5~6.5のpHが好ましく、5.5~6.0のpHが特に好ましい。
【0078】
緩衝剤の任意の濃度は、クロストリジウム毒素医薬組成物の製剤化に有用であり得るが、ただし、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分、最も好ましくはボツリヌス毒素が、この有効濃度の緩衝剤、好ましくはヒスチジンを用いて回収されることが想定される。この実施形態の態様では、緩衝剤、好ましくはヒスチジンの有効濃度は、少なくとも0.1mM、少なくとも0.2mM、少なくとも0.3mM、少なくとも0.4mM、少なくとも0.5mM、少なくとも0.6mM、少なくとも0.7mM、少なくとも0.8mM、又は少なくとも0.9mMである。この実施形態の他の態様では、緩衝剤、好ましくはヒスチジンの有効濃度は、少なくとも1.0mM、少なくとも2.0mM、少なくとも3.0mM、少なくとも4.0mM、少なくとも5.0mM、少なくとも6.0mM、少なくとも7.0mM、少なくとも8.0mM、又は少なくとも9.0mMである。この実施形態の更に他の態様では、緩衝剤、好ましくはヒスチジンの有効濃度は、少なくとも10mM、少なくとも20mM、少なくとも30mM、少なくとも40mM、少なくとも50mM、少なくとも60mM、少なくとも70mM、少なくとも80mM、又は少なくとも90mMである。この実施形態の更に他の態様では、緩衝剤、好ましくはヒスチジンの有効濃度は、少なくとも100mM、少なくとも200mM、少なくとも300mM、少なくとも400mM、少なくとも500mM、少なくとも600mM、少なくとも700mM、少なくとも800mM、又は少なくとも900mMである。この実施形態の更なる態様では、緩衝剤、好ましくはヒスチジンの有効濃度は、最大で0.1mM、最大で0.2mM、最大で0.3mM、最大で0.4mM、最大で0.5mM、最大で0.6mM、最大で0.7mM、最大で0.8mM、又は最大0.9mMである。この実施形態の更に他の態様では、緩衝剤、好ましくはヒスチジンの有効濃度は、最大で1.0mM、最大で2.0mM、最大で3.0mM、最大で4.0mM、最大で5.0mM、最大で6.0mM、最大で7.0mM、最大で8.0mM、又は最大9.0mMである。この実施形態の更に他の態様では、緩衝剤、好ましくはヒスチジンの有効濃度は、最大で10mM、最大で20mM、最大で30mM、最大で40mM、最大で50mM、最大で60mM、最大で70mM、最大で80mM、又は最大90mMである。この実施形態の更に他の態様では、緩衝剤、好ましくはヒスチジンの有効濃度は、最大で100mM、最大で200mM、最大で300mM、最大で400mM、最大で500mM、最大で600mM、最大で700mM、最大で800mM、又は最大900mMである。この実施形態のなお更なる態様では、緩衝液、好ましくはヒスチジンの有効濃度は、約0.1mM~約900mM、0.1mM~約500mM、0.1mM~約100mM、0.1mM~約90mM、0.1mM~約50mM、1.0mM~約900mM、1.0mM~約500mM、1.0mM~約100mM、1.0mM~約90mM、又は1.0mM~約50mMである。緩衝液、最も好ましくはヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMである。
【0079】
本発明の実施形態は、ボツリヌス毒素血清型A、B、C1、D、E、F、G及びモザイクからなる群から選択されるボツリヌス毒素血清型などの複数のボツリヌス毒素血清型を含む組成物で実施することができる。特定の実施形態では、精製ボツリヌス毒素を使用できる。他の実施形態では、修飾ボツリヌス毒素を使用してもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、本発明のクロストリジウム毒素医薬組成物は、患者への投与前に、生理食塩水又は水などの好適な流体で再構成することができる凍結乾燥(すなわち、フリーズドライ)つまり、真空乾燥粉末として製剤化することができる。本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、水溶液又は懸濁液として製剤化することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明の固体クロストリジウム毒素医薬組成物は、ボツリヌス毒素、等張化剤、ポロキサマー及び/又はポリソルベート、並びに抗酸化剤を含む。いくつかの実施形態では、クロストリジウム毒素医薬組成物はボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態では、クロストリジウム毒素医薬組成物はトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、ポロキサマー188又はポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、EDTA、EGTA、DTP A、又はこれらのアナログを含む。代替的な実施形態では、組成物は、メチオニン及び/又はNACを含む。これらの代替の実施形態の態様では、組成物は、EDTA、EGTA、DTP A、又はこれらのアナログを更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は緩衝剤を更に含む。一実施形態では、組成物はヒスチジン緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、トレハロース、ポロキサマー及びメチオニンの相対重量は、それぞれ1~10%、0.5~5%、及び0.1~0.3%の範囲内である。いくつかの実施形態では、トレハロース、ポリソルベート及びメチオニンの相対重量は、それぞれ1~10%、0.02%~0.06%、及び0.1~0.3%の範囲内である。いくつかの実施形態では、EDTA又はEDTAアナログの相対重量は、約0.01~0.10%である。いくつかの実施形態では、NACの相対重量は、0.01~0.5%の範囲内である。
【0082】
これらの実施形態の態様では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、固体(すなわち、凍結乾燥又は真空乾燥)組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、固体クロストリジウム医薬組成物は、凍結乾燥保護薬を含む。いくつかの実施形態では、好ましい凍結乾燥保護薬として、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、又はこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、固体医薬組成物は、0.01~0.05%の相対重量でNACを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、EDTA、EGTA、DTP A、又はこれらのアナログを更に含む。代替の実施形態では、固体医薬組成物は、メチオニン及びEDTA又はEDTAアナログを含む。
【0083】
これらの実施形態の代替の態様では、クロストリジウム毒素医薬組成物は、液体として製剤化される。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、0.1~0.5%の相対重量でNACを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は、NAC及びEDTA、EGTA、DTP A、又はこれらのアナログを含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物はヒスチジン緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、液体医薬組成物は5~7のpHを有する。
【0084】
本発明は、
(i)ボツリヌス毒素と、
(ii)ポロキサマー188と、
(iii)メチオニン又はN-アセチル-システインと、を含む、医薬組成物に関する。
【0085】
本発明のメチオニン又はN-アセチルシステインのいずれかとのポロキサマー188の組み合わせは、この特定の界面活性剤とこれらの抗酸化剤のいずれかとの組み合わせによって引き起こされる組成物の安定性に対する相乗効果のために好ましい。
【0086】
組成物は、トレハロース又はスクロースを更に含んでよい。固体組成物には、トレハロースがスクロースよりも好ましい。
【0087】
加えて、組成物は、任意にNaClを含んでもよい。NaClは、特に好ましくは、ボツリヌス毒素、トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、及びメチオニンを含む組成物中に含まれてよく、特に好ましくは、ボツリヌス毒素、トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、及びメチオニンを含む液体組成物中に含まれる。いくつかの凍結乾燥製剤では、NaClは、再構成媒体中の等張化剤として機能し得る。
【0088】
NaClに加えて又はNaClの代わりに、組成物は、任意に、EDTA、EGTA、DTPA、又はこれらのアナログを含んでもよい。EDTAは、ボツリヌス毒素、トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、及びメチオニンを含む組成物中に含まれてよく、好ましくは、ボツリヌス毒素、トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、及びメチオニンを含む液体組成物中に含まれる。
【0089】
EDTA、EGTA、DTP A、又はこれらのアナログはまた、ボツリヌス毒素、トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、及びNACを含む組成物中に含まれてもよく、好ましくは、ボツリヌス毒素、トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、及びNACを含む液体組成物中に含まれる。EDTAとNACとの組み合わせは、本発明の組成物に対して相乗的な安定化効果を有するため、特に好ましい。
【0090】
トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、メチオニン、及びNaCl(存在する場合)、及びEDTA(存在する場合)の相対重量(%、w/w)は、好ましくは以下の範囲内である。
【表1】

このような組成物は、液体製剤及び固体製剤の両方であってもよい。組成物が固体組成物である場合、糖はトレハロースであることが好ましい。
【0091】
加えて、これらの組成物は、好ましくは緩衝剤を含む。本発明の組成物では、組成物が液体組成物である場合、緩衝剤は好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンの濃度は好ましくは20mMである。これらの組成物において、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、最も好ましくは5.5~6の範囲内である。一方、組成物が固体である場合、ヒスチジンは、好ましくは0.1~0.5(%w/w)の相対重量、より好ましくは0.3-0.4%(w/w)の相対重量で含まれる。
【0092】
より好ましくは、トレハロース、ポロキサマー188、及びメチオニンの相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表2】
【0093】
本発明では、上記a)と示された組成物は、好ましくは凍結乾燥された固体組成物であり得る。この組成物はまた、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンは、好ましくは、0.1~0.5(%w/w)の相対重量、より好ましくは0.3~0.4%(w/w)の相対重量で固体組成物中に含まれる。ヒスチジンは、純粋な物質、ヒスチジンの酸塩(例えばヒスチジンHCl)、ヒスチジンの酸塩の水和物、又は前述のいずれかの混合物として存在してもよい。好ましい実施形態では、ヒスチジン塩基は、1.43mg/mL(又は0.14%w/w)の量で、2.26mg/mL(又は0.23%w/w)の量のヒスチジン塩酸塩と共に存在してもよい。そのため、ヒスチジン種の総濃度(合計ヒスチジン濃度)は0.37%w/wである。一実施形態では、固体組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。
【0094】
この固体組成物は、最も好ましくは、以下の組成のいずれかを有する。
【表3】
【0095】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、トレハロース、ポロキサマー188、メチオニン、及び緩衝剤を含む固体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。一実施形態では、固体組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。一実施形態では、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在してもよい。
【0096】
本発明では、上記a)と示された組成物は、液体組成物であってもよい。この場合、組成物は、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンである。ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、更により好ましくは5.5~6の範囲内であり、最も好ましくは6である。
【0097】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、トレハロース、ポロキサマー188、メチオニン、及び緩衝剤を含む液体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0098】
またより好ましくは、トレハロース、ポロキサマー188、及びメチオニンの相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表4】
【0099】
本発明では、上記b)と示された組成物は、好ましくは液体組成物である。この場合、組成物は、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンである。ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、更により好ましくは5.5~6の範囲内であり、最も好ましくは5.5である。
【0100】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、トレハロース、ポロキサマー188、メチオニン、及び緩衝剤を含む液体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0101】
またより好ましくは、トレハロース、ポロキサマー188、メチオニン、及びNaClの相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表5】
【0102】
本発明では、上記c)と示された組成物は、好ましくは液体組成物である。この場合、組成物は、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンである。ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、更により好ましくは5.5~6の範囲内であり、最も好ましくは5.5である。
【0103】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、トレハロース、ポロキサマー188、メチオニン、NaCl及び緩衝剤を含む液体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0104】
またより好ましくは、トレハロース、ポロキサマー188、メチオニン、及びEDTAの相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表6】
【0105】
本発明では、上記d)と示された組成物は、好ましくは液体組成物である。この場合、組成物は、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンである。ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、更により好ましくは5.5~6の範囲内であり、最も好ましくは6である。
【0106】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、トレハロース、ポロキサマー188、メチオニン、EDTA及び緩衝剤を含む液体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0107】
トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、及びEDTA(存在する場合)の相対重量(%、w/w)は、好ましくは以下の範囲内である。
【表7】
【0108】
このような組成物は、液体及び固体製剤の両方であってもよく、好ましくは液体組成物である。組成物が固体組成物である場合、糖はトレハロースであることが好ましい。
【0109】
加えて、これらの組成物は、好ましくは緩衝剤を含む。本発明の組成物では、組成物が液体組成物である場合、緩衝剤は好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンの濃度は好ましくは20mMである。これらの組成物において、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、最も好ましくは5.5~6の範囲内である。一方、組成物が固体である場合、ヒスチジンは、好ましくは0.1~0.5(%w/w)の相対重量、より好ましくは0.3-0.4%(w/w)の相対重量で含まれる。
【0110】
より好ましくは、トレハロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、及びEDTAの相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表8】

本発明では、この組成物は、好ましくは液体組成物である。この場合、組成物は、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンである。ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、更により好ましくは5.5~6の範囲内であり、最も好ましくは6である。
【0111】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、トレハロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、EDTA及び緩衝剤を含む液体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0112】
上記のように、EDTAは、本発明のN-アセチル-システイン含有組成物中の任意成分である。このようなEDTAを含まない組成物では、トレハロース、ポロキサマー188、及びN-アセチル-システインの相対重量(%、w/w)は次のとおりであってよい。
【表9】
【0113】
あるいは、EDTAを含まない組成物中の成分の相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表10】
【0114】
本発明では、このEDTAを含まない組成物は、好ましくは凍結乾燥された、好ましくは固体組成物である。この組成物はまた、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンは、好ましくは、0.1~0.5(%w/w)の相対重量、より好ましくは0.3~0.4%(w/w)の相対重量で固体組成物中に含まれる。ヒスチジンは、純粋な物質、ヒスチジンの酸塩、ヒスチジンの酸塩の水和物、又は前述のいずれかの混合物として存在してもよい。好ましい実施形態では、ヒスチジン塩基は、1.43mg/mL(又は0.14%w/w)の量で、2.26mg/mL(又は0.23%w/w)の量のヒスチジン塩酸塩と共に存在してもよい。そのため、ヒスチジン種の総濃度(合計ヒスチジン濃度)は0.37%w/wである。
【0115】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、トレハロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、及び緩衝剤を含む固体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0116】
場合によっては、本発明の組成物は糖又はポリアルコールを含まない。結果として、組成物は、ボツリヌス毒素、ポロキサマー188、及びメチオニン又はN-アセチル-システインを含むが、糖又はポリアルコールを含まない。組成物がN-アセチル-システインを含む場合、更にEDTAも含有することが好ましい。
【0117】
このような組成物において、ポロキサマー188、及びメチオニンの相対重量(%、w/w)は、好ましくは以下の範囲内である。
【表11】
【0118】
一方、ポロキサマー188、及びN-アセチル-システイン及びEDTAの相対重量(%、w/w)は、好ましくは以下の範囲内である。
【表12】
【0119】
このような組成物は、好ましくは液体製剤である。
【0120】
より好ましくは、ポロキサマー188及びメチオニンの相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表13】
【0121】
上記のように、このような組成物は、好ましくは液体組成物である。この場合、組成物は、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンである。ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、更により好ましくは5.5~6の範囲内であり、最も好ましくは6である。これらの組成物はまた、NaClを含み得る。NaClは、0.5~1.5%(w/w)、より好ましくは0.9%(w/w)の相対重量で含まれてもよい。
【0122】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、ポロキサマー188、メチオニン、及び緩衝剤、及び任意にNaClを含む液体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0123】
更に好ましいのは、以下のポロキサマー188及びN-アセチル-システインの相対重量(%、w/w)である。
【表14】
【0124】
このような組成物は、好ましくは液体組成物である。この場合、組成物は、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンである。ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、更により好ましくは5.5~6の範囲内であり、最も好ましくは6である。これらの組成物はまた、NaClを含み得る。NaClは、0.5~1.5%(w/w)、より好ましくは0.9%(w/w)の相対重量で含まれてもよい。
【0125】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、緩衝剤、及び任意にEDTA、及び任意にNaClを含む液体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0126】
別の実施形態では、上記の糖又はポリアルコールを含まない組成物は、ポロキサマー-188の代わりにTween-20を含んでもよい。かかる組成物は、Tween-20を、0.01~0.1%(w/w)、より好ましくは0.02~0.06%(w/w)、最も好ましくは0.04%(w/w)の量で含んでもよい。
【0127】
本発明の別の好ましい態様では、スクロース、ポロキサマー188、及びメチオニンの相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表15】
【0128】
本発明では、上記a’)と示された組成物は、好ましくは凍結乾燥された固体組成物であり得る。この組成物はまた、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンは、好ましくは、0.1~0.5(%w/w)の相対重量、より好ましくは0.3~0.4%(w/w)の相対重量で固体組成物中に含まれる。ヒスチジンは、純粋な物質、ヒスチジンの酸塩(例えばヒスチジンHCl)、ヒスチジンの酸塩の水和物、又は前述のいずれかの混合物として存在してもよい。好ましい実施形態では、ヒスチジン塩基は、1.43mg/mL(又は0.14%w/w)の量で、2.26mg/mL(又は0.23%w/w)の量のヒスチジン塩酸塩と共に存在してもよい。そのため、ヒスチジン種の総濃度(合計ヒスチジン濃度)は0.37%w/wである。
【0129】
この固体組成物は、最も好ましくは、以下の組成のいずれかを有する。
【表16】
【0130】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、スクロース、ポロキサマー188、メチオニン、及び緩衝剤を含む固体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。一実施形態では、固体組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。一実施形態では、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在してもよい。
【0131】
本発明では、上記a’)と示された組成物は、液体組成物であってもよい。この場合、組成物は、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンである。ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、更により好ましくは5.5~6の範囲内であり、最も好ましくは6である。
【0132】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、スクロース、ポロキサマー188、メチオニン、及び緩衝剤を含む液体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0133】
またより好ましくは、スクロース、ポロキサマー188、及びメチオニンの相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表17】
【0134】
本発明では、上記b’)と示された組成物は、好ましくは液体組成物である。この場合、組成物は、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンである。ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、更により好ましくは5.5~6の範囲内であり、最も好ましくは5.5である。
【0135】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、スクロース、ポロキサマー188、メチオニン、及び緩衝剤を含む液体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0136】
またより好ましくは、スクロース、ポロキサマー188、メチオニン、及びNaClの相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表18】
【0137】
本発明では、上記c’)と示された組成物は、好ましくは液体組成物である。この場合、組成物は、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンである。ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、更により好ましくは5.5~6の範囲内であり、最も好ましくは5.5である。
【0138】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、スクロース、ポロキサマー188、メチオニン、NaCl及び緩衝剤を含む液体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0139】
またより好ましくは、スクロース、ポロキサマー188、メチオニン、及びEDTAの相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表19】
【0140】
本発明では、上記d’)と示された組成物は、好ましくは液体組成物である。この場合、組成物は、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンである。ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6の範囲内であり、最も好ましくは6である。
【0141】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、スクロース、ポロキサマー188、メチオニン、EDTA及び緩衝剤を含む液体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0142】
別の好ましい実施形態では、スクロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、及びEDTAの相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表20】
【0143】
本発明では、この組成物は、好ましくは液体組成物である。この場合、組成物は、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンである。ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、更により好ましくは5.5~6の範囲内であり、最も好ましくは6である。
【0144】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、スクロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、EDTA及び緩衝剤を含む液体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0145】
上記のように、EDTAは、本発明のN-アセチル-システイン含有組成物中の任意成分である。このようなEDTAを含まない組成物では、スクロース、ポロキサマー188、及びN-アセチル-システインの相対重量(%、w/w)は次のとおりであってよい。
【表21】
【0146】
あるいは、EDTAを含まない組成物中の成分の相対重量(%、w/w)は次のとおりである。
【表22】
【0147】
本発明では、このEDTAを含まない組成物は、好ましくは凍結乾燥された、好ましくは固体組成物である。この組成物はまた、好ましくは緩衝剤を含み、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンは、好ましくは、0.1~0.5(%w/w)の相対重量、より好ましくは0.3~0.4%(w/w)の相対重量で固体組成物中に含まれる。ヒスチジンは、純粋な物質、ヒスチジンの酸塩、ヒスチジンの酸塩の水和物、又は前述のいずれかの混合物として存在してもよい。好ましい実施形態では、ヒスチジン塩基は、1.43mg/mL(又は0.14%w/w)の量で、2.26mg/mL(又は0.23%w/w)の量のヒスチジン塩酸塩と共に存在してもよい。そのため、ヒスチジン種の総濃度(合計ヒスチジン濃度)は0.37%w/wである。
【0148】
本発明の一実施形態では、組成物は、1種以上のボツリヌス毒素、スクロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、及び緩衝剤を含む固体組成物であり、これらの成分は、好ましくは上記の量で存在する。
【0149】
本発明の組成物は液体組成物であってもよく、この場合、組成物は好ましくは緩衝剤を含む。この緩衝剤は、好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンの濃度は、好ましくは20mMである。pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、より好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、最も好ましくは5.5~6の範囲内である。
【0150】
本発明の組成物はまた、好ましくは凍結乾燥された固体組成物であってもよい。この組成物は、緩衝剤を更に含んでよく、緩衝剤は、好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンは、好ましくは、0.1~0.5(%w/w)の相対重量、より好ましくは0.3~0.4%(w/w)の相対重量で含まれる。
【0151】
本発明の組成物は、動物由来タンパク質を含まないことが特に好ましい。
【0152】
ボツリヌス毒素、ポロキサマー188、及びメチオニン又はN-アセチル-システインを含む前述の組成物のいずれも、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA)又はEDTAアナログを更に含んでもよい。これらの組成物中のEDTAの相対重量(%、w/w)は、約0.01~0.10の範囲内であってもよい。
【0153】
本発明では、用語「抗酸化剤」は、活性成分を酸素との反応から保護する任意の化合物を指す。抗酸化剤は、3つのカテゴリーに大別することができる:
(i)特定の活性成分よりも容易に酸素と反応することにより、酸素を除去することができる犠牲的抗酸化剤。本発明では、この種の抗酸化剤は好ましくはアスコルビン酸である;
(ii)フリーラジカル及び過酸化物と反応してラジカル鎖の伝播を防止する連鎖停止剤。本発明では、メチオニン、システイン、N-アセチル-システイン及びBHTが、好ましい連鎖停止剤である;
(iii)金属と錯体を形成することによって遷移金属の触媒活性を低下させるキレート剤。本発明では、EDTA、EGTA、及びDTPAが、好ましいキレート剤である。
【0154】
以下の組成物は、上の段落で議論した一般的又は特定の種類の抗酸化剤を参照することによって本発明を定義する。これらの組成物は全て、任意に緩衝剤を含んでもよい。以下の液体組成物において、緩衝液は好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンの濃度は好ましくは20mMであり、pHは、好ましくは5~7の範囲内であり、pHは、更により好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは、最も好ましくは5.5~6の範囲内である。以下の固体組成物において、緩衝剤は好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンは、好ましくは0.1~0.5(%w/w)の相対重量で含まれ、より好ましくは0.3~0.4%(w/w)の相対重量で含まれる。加えて、以下の組成物の全ては、NaClを含み得る。
【0155】
本発明はまた、液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)ポロキサマーと、
(iii)キレート剤と、
(iv)犠牲的抗酸化剤と、を含む、液体医薬組成物にも関する。
【0156】
この液体医薬組成物の好ましい実施形態では、キレート剤はEDTA、EGTA又はDTPAであり、犠牲的抗酸化剤はアスコルビン酸である。このような組成物では、クロストリジウム毒素は好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは好ましくはポロキサマー-188である。
【0157】
本発明はまた、液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素、
(ii)ポロキサマー、
(iii)キレート剤、及び/又は
(iv)連鎖停止剤と、を含む、液体医薬組成物にも関する。
【0158】
この液体医薬組成物の好ましい実施形態では、キレート剤はEDTAであり、連鎖停止剤はN-アセチル-システインである。別の好ましい実施形態では、キレート剤はEDTAであり、連鎖停止剤はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)である。別の好ましい実施形態では、キレート剤はEDTAであり、連鎖停止剤はメチオニンである。この液体医薬組成物の別の好ましい実施形態では、キレート剤はDTPAであり、連鎖停止剤はN-アセチル-システインである。別の好ましい実施形態では、キレート剤はDTPAであり、連鎖停止剤はBHTである。別の好ましい実施形態では、キレート剤はDTPAであり、連鎖停止剤はメチオニンである。この液体医薬組成物の別の好ましい実施形態では、キレート剤はEGTAであり、連鎖停止剤はN-アセチル-システインである。別の好ましい実施形態では、キレート剤はEGTAであり、連鎖停止剤はBHTである。別の好ましい実施形態では、キレート剤はEGTAであり、連鎖停止剤はメチオニンである。別の好ましい実施形態では、液体組成物は、キレート剤ではなく連鎖停止剤を含み、このとき連鎖停止剤は、NACである。これらの液体組成物の全てにおいて、クロストリジウム毒素は好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは好ましくはポロキサマー-188である。
【0159】
本発明はまた、液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)ポロキサマーと、
(iii)メチオニンと、を含む、液体医薬組成物にも関する。
【0160】
この実施形態では、クロストリジウム毒素は好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは好ましくはポロキサマー-188である。このような組成物では、ポロキサマー-188及びメチオニンは、好ましくは、糖又はポリアルコールを含まない組成物に関して上で定義された量で存在する。
【0161】
本発明はまた、液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、
(ii)ポロキサマーと、
(iii)メチオニンと、を含む、液体医薬組成物にも関する。
【0162】
この実施形態では、クロストリジウム毒素は好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは好ましくはポロキサマー-188である。このような組成物では、ポロキサマー-188及びメチオニンは、好ましくは、糖又はポリアルコールを含む組成物に関して上で定義された量で存在する。
【0163】
本発明はまた、好ましくは、液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)キレート剤と、
(v)犠牲的抗酸化剤と、を含む、液体医薬組成物にも関する。
【0164】
この特定の実施形態では、キレート剤は、好ましくはEDTA、EGTA又はDTPAであり、犠牲的抗酸化剤は、好ましくはアスコルビン酸である。クロストリジウム毒素は、好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは、好ましくはポロキサマー-188であり、ポリソルベートは、好ましくはポリソルベート-20又は80である。
【0165】
本発明はまた、好ましくは、液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)キレート剤と、
(v)連鎖停止剤と、を含む、液体医薬組成物にも関する。
【0166】
この特定の実施形態では、キレート剤は、好ましくはEDTA、EGTA又はDTPAであり、連鎖停止剤は、好ましくはNACである。クロストリジウム毒素は、好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは、好ましくはポロキサマー-188であり、ポリソルベートは、好ましくはポリソルベート-20又は80である。
【0167】
本発明はまた、好ましくは、液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、NaCl、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)キレート剤と、
(v)連鎖停止剤と、を含む、液体医薬組成物にも関する。
【0168】
この特定の実施形態では、キレート剤は、好ましくはEDTA、EGTA又はDTPAであり、連鎖停止剤は、好ましくはNACである。クロストリジウム毒素は、好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは、好ましくはポロキサマー-188であり、ポリソルベートは、好ましくはポリソルベート-20又は80である。
【0169】
本発明はまた、凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される凍結乾燥保護剤と、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)キレート剤と、
(v)犠牲的抗酸化剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物にも関する。
【0170】
この特定の実施形態では、キレート剤は、好ましくはEDTA、EGTA又はDTPAであり、犠牲的抗酸化剤は、好ましくはアスコルビン酸である。クロストリジウム毒素は、好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは、好ましくはポロキサマー-188であり、ポリソルベートは、好ましくはポリソルベート-20又は80である。特定の実施形態では、凍結乾燥組成物は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、凍結乾燥組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在する。
【0171】
本発明はまた、凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される凍結乾燥保護剤と、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)キレート剤と、
(v)連鎖停止剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物にも関する。
【0172】
この特定の実施形態では、キレート剤は、好ましくはEDTA、EGTA又はDTPAであり、連鎖停止剤は、好ましくはNACである。クロストリジウム毒素は、好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは、好ましくはポロキサマー-188であり、ポリソルベートは、好ましくはポリソルベート-20又は80である。特定の実施形態では、凍結乾燥組成物は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、凍結乾燥組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在する。
【0173】
本発明はまた、凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される凍結乾燥保護剤と、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)連鎖停止剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物にも関する。
【0174】
この特定の実施形態では、連鎖停止剤は、好ましくはNAC又はメチオニンである。クロストリジウム毒素は、好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは、好ましくはポロキサマー-188であり、ポリソルベートは、好ましくはポリソルベート-20又は80である。特定の実施形態では、凍結乾燥組成物は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、凍結乾燥組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在する。
【0175】
本発明はまた、凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、又はこれらの組み合わせと、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)キレート剤と、
(v)連鎖停止剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物にも関する。
【0176】
この特定の実施形態では、キレート剤は、好ましくはEDTA、EGTA又はDTPAであり、連鎖停止剤は、好ましくはNACである。クロストリジウム毒素は、好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは、好ましくはポロキサマー-188であり、ポリソルベートは、好ましくはポリソルベート-20又は80である。特定の実施形態では、凍結乾燥組成物は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、凍結乾燥組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在する。
【0177】
本発明はまた、凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、又はこれらの組み合わせと、
(iii)ポロキサマーと、
(iv)キレート剤と、
(v)犠牲的抗酸化剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物にも関する。
【0178】
この特定の実施形態では、キレート剤は、好ましくはEDTA、EGTA又はDTPAであり、犠牲的抗酸化剤は、好ましくはアスコルビン酸である。クロストリジウム毒素は好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは好ましくはポロキサマー-188である。特定の実施形態では、凍結乾燥組成物は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、凍結乾燥組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在する。
【0179】
本発明はまた、凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、又はこれらの組み合わせと、
(iii)ポロキサマーと、
(iv)キレート剤と、
(v)連鎖停止剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物にも関する。
【0180】
好ましい実施形態では、キレート剤はEDTAであり、連鎖停止剤はN-アセチル-システインである。クロストリジウム毒素は好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは好ましくはポロキサマー-188である。特定の実施形態では、凍結乾燥組成物は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、凍結乾燥組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在する。
【0181】
本発明はまた、凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、又はこれらの組み合わせと、
(iii)ポロキサマーと、
(iv)連鎖停止剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物にも関する。
【0182】
好ましい実施形態では、連鎖停止剤はN-アセチル-システインである。クロストリジウム毒素は好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは好ましくはポロキサマー-188である。特定の実施形態では、凍結乾燥組成物は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、凍結乾燥組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在する。
【0183】
本発明はまた、凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、又はこれらの組み合わせと、
(iii)ポロキサマーと、
(iv)メチオニンと、を含む、凍結乾燥医薬組成物にも関する。
【0184】
好ましい実施形態では、クロストリジウム毒素は好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは好ましくはポロキサマー-188である。特定の実施形態では、凍結乾燥組成物は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、凍結乾燥組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在する。
【0185】
本発明はまた、凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される凍結乾燥保護薬と、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)キレート剤、連鎖停止剤、及び犠牲的抗酸化剤のリストから選択される少なくとも2種の抗酸化剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物にも関する。
【0186】
本発明のこの態様では、クロストリジウム毒素は、好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは、好ましくはポロキサマー-188であり、ポリソルベートは、好ましくはポリソルベート-20又は80である。キレート剤は、好ましくはEDTA、EGTA又はDTP Aであり、犠牲的抗酸化剤は、好ましくはアスコルビン酸であり、連鎖停止剤は、好ましくはメチオニン、システイン、NAC、又はBHTである。その結果、2種の抗酸化剤として、好ましくは、アスコルビン酸とメチオニン、システイン、NAC、又はBHTとの組み合わせが挙げられる。2種の抗酸化剤としてはまた、好ましくは、アスコルビン酸とEDTA、EGTA又はDTP Aとの組み合わせも挙げられる。2種の抗酸化剤としてはまた、好ましくは、EDTAとメチオニン、システイン、NAC、又はBHTとの組み合わせも挙げられる。2種の抗酸化剤としてはまた、好ましくは、DTPAとメチオニン、システイン、NAC、又はBHTとの組み合わせも挙げられる。2種の抗酸化剤としてはまた、好ましくは、EGTAとメチオニン、システイン、NAC、又はBHTとの組み合わせも挙げられる。特定の実施形態では、凍結乾燥組成物は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、凍結乾燥組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。少なくとも1つの実施形態において、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在する。
【0187】
本発明はまた、凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、又はグルコースと、
(iii)ポロキサマーと、
(iv)キレート剤と、
(v)連鎖停止剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物にも関する。
【0188】
好ましい実施形態では、キレート剤はEDTAであり、連鎖停止剤はN-アセチル-システイン又はメチオニンである。クロストリジウム毒素は好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは好ましくはポロキサマー-188である。
【0189】
本発明はまた、凍結乾燥医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、又はグルコースと、
(iii)ポロキサマーと、
(v)連鎖停止剤と、を含む、凍結乾燥医薬組成物にも関する。
【0190】
好ましい実施形態では、連鎖停止剤はN-アセチル-システイン又はメチオニンである。クロストリジウム毒素は好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは好ましくはポロキサマー-188である。
【0191】
本発明はまた、液体医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素と、
(ii)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)キレート剤、連鎖停止剤、及び犠牲的抗酸化剤のリストから選択される少なくとも2種の抗酸化剤と、を含む、液体医薬組成物にも関する。
【0192】
本発明のこの態様では、クロストリジウム毒素は、好ましくはボツリヌス毒素であり、ポロキサマーは、好ましくはポロキサマー-188であり、ポリソルベートは、好ましくはポリソルベート-20又は80である。キレート剤は、好ましくはEDTA、EGTA又はDTP Aであり、犠牲的抗酸化剤は、好ましくはアスコルビン酸であり、連鎖停止剤は、好ましくはメチオニン、システイン、NAC、又はBHTである。その結果、2種の抗酸化剤として、好ましくは、アスコルビン酸とメチオニン、システイン、NAC、又はBHTとの組み合わせが挙げられる。2種の抗酸化剤としてはまた、好ましくは、アスコルビン酸とEDTA、EGTA又はDTP Aとの組み合わせも挙げられる。2種の抗酸化剤としてはまた、好ましくは、EDTAとメチオニン、システイン、NAC、又はBHTとの組み合わせも挙げられる。2種の抗酸化剤としてはまた、好ましくは、DTPAとメチオニン、システイン、NAC、又はBHTとの組み合わせも挙げられる。2種の抗酸化剤としてはまた、好ましくは、EGTAとメチオニン、システイン、NAC、又はBHTとの組み合わせも挙げられる。
治療方法
【0193】
実施形態において、本発明は、本発明の医薬製剤を、改善された患者機能を生成するのに十分な量で、疾患、障害、病状などの治療を必要とする被検体に投与する工程を含む、その方法を提供する。特定の実施形態では、疾患は、神経筋の性質、例えば、筋肉及びその神経制御に影響を及ぼす疾患、例えば、過活動膀胱などである。好ましい方法では、本発明の組成物は心不整脈の治療に使用される。特定の実施形態は、例えば、頭痛、又は背部痛、又は筋肉痛などの治療などの疼痛の治療に関する。特定の実施形態では、本発明の方法は、例えば、うつ病、不安症などを含む精神的疾患の治療を包含する。好ましい方法では、本発明の組成物はうつ病の治療に使用される。
【0194】
組成物がうつ病の治療に使用される場合、好ましくは、単一のエピソード又は再発性のいずれかの中程度~重度の大うつ病性障害(MDD)の成人の治療に使用され、この診断は、2000年に公開されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders Text Edition(DSM-IV-TR)に基づく。本発明の組成物のいずれかを使用することができるが、投与用溶液として製剤化される、表Aに記載される凍結乾燥ボツリヌス毒素A型製剤が使用されることが好ましい。
【表23】
【0195】
一実施形態では、組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。一実施形態では、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在してもよい。
【0196】
組成物は、好ましくは、単一の治療セッションで投与される。投与量は、好ましくは、30単位又は50単位の合計用量である。これらの用量は、好ましくは、前頭部の眉間領域内、好ましくは鼻根筋及び皺眉筋内の6ヶ所(30単位用量の場合)、又は8ヶ所(50単位用量の場合)の注射部位に分けて注入される。この治療は、3~6ヶ月間隔で繰り返すことができる。この方法の使用の1つの利点は、この組成物で治療された患者が、臨床的Montgomery Asbergうつ病評価尺度における改善を示すことである。加えて、これらの患者はまた、臨床的CGI-Sスコア(臨床全般印象度の変化スコア)、及び臨床的HAM-D17トータルスコア(うつ病のためのハミルトン評価尺度)を改善している。
【0197】
本発明の組成物及び方法は、例えば、アカラシア、裂肛、アニスムス、眼瞼けいれん、脳性麻痺、頸部ジストニア、頸原性頭痛、片側顔面けいれん、異汗性湿疹、嚥下困難、発声障害、食道蠕動低下、食道輪状筋、輻輳性斜視(乳児)、アイリフト、顔面けいれん、歩行障害(特発性つまさき歩行)、全身性ジストニア、片側顔面けいれん、過度の顔面しわ(眉間、額、カラスの足跡、マリオネットライン)、多汗症、失禁(特発性又は神経原性)、薬剤誘発性頭痛、頭痛、片頭痛、ミオクロヌス、例えば咬筋などが関与する筋肉量又は活動低下、筋筋膜性疼痛症候群、閉塞性尿路症状、膵管癒合不全膵炎、パーキンソン病、恥骨直腸筋症候群、手術瘢痕圧の低下、流涎過多、唾液腺粘液腫、第6脳神経麻痺、痙縮、発話/発声障害、斜視、外科手術補助(眼科)、遅発性ジスキネジア、顎関節症、緊張性頭痛、胸郭出口症候群、捻転ジストニア、斜頸、トゥレット症候群、振戦、むち打ち症関連頸部痛、疼痛、掻痒、炎症、アレルギー、癌及び良性腫瘍、発熱、肥満、感染症(ウイルス性及び細菌性)、高血圧、心不整脈、血管攣縮、アテローム性動脈硬化症、内皮過形成、静脈血栓症、静脈瘤、アフタ性口内炎、唾液分泌過多、顎関節症候群、多汗症、臭汗症、座瘡、酒さ、色素増加症、肥厚性瘢痕、ケロイド、皮膚硬結及び魚の目、皮膚のしわ、過剰な皮脂産生、乾癬、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、鼻詰まり、後鼻漏、くしゃみ、耳垢、滲出性及び化膿性中耳炎、扁桃腺及びアデノイド肥大、耳鳴、眩暈、回転性めまい、嗄声、咳、睡眠時無呼吸、いびき、緑内障、結膜炎、ブドウ膜炎、斜視、グレーブス病、多毛症、脱毛、喘息、気管支炎、気腫、粘液産生、胸膜炎、凝固障害、骨髄増殖性疾患、好酸球、好中球、マクロファージ及びリンパ球が関与する障害、免疫寛容及び移植、自己免疫障害、嚥下障害、呑酸、食道裂孔ヘルニア、胃炎及び胃酸過多、下痢及び便秘、痔疾患、尿失禁、前立腺肥大、勃起不全、持続勃起症及びペロニー病、精巣上体炎、避妊、月経けいれん、早産の予防、子宮内膜症及び線維症、関節炎、変形性関節症、リウマチ、滑液包炎、腱炎、腱鞘炎、線維筋痛症、発作性疾患、痙縮、頭痛、及び神経痛の、症状の治療、低減、及び/又は予防に有用であり得る。好ましい方法では、本発明の組成物は心不整脈の治療に使用される。
【0198】
組成物が心不整脈の治療に使用される場合、患者は、典型的には心臓手術を受けている。治療に使用される製剤は、本発明の組成物のいずれかであってもよい。しかしながら、製剤は、好ましくは、投与のために溶液に取り込まれる表Aに記載の凍結乾燥製剤に基づく。
【表24】
【0199】
一実施形態では、組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成媒体で再構成される。一実施形態では、NaClは、再構成媒体中に0.9%(w/w)の量で存在してもよい。
【0200】
組成物の投与方法は、心臓の主要心外膜脂肪パッドへの単回注入によるものである。使用される投与量は、心外膜脂肪パッド当たり25U(全投与量125U)又は心外膜脂肪パッド当たり50U(総投与量250U)である。この方法を使用する1つの利点は、4週目のECGによって測定される心房細動(AF)の発生率を低減することができる点である。他の利点としては、入院期間の短縮、ICU滞在期間の短縮、患者の再入院率の低下、抗凝固薬の使用の減少、及び、アブレーション、ペースメーカー移植、電気的又は薬理学的除細動などの、術後心房細動(POAF)の介入処置の必要性の減少が挙げられる。
【0201】
特定の実施形態では、患者への最大投与量は、任意の90日間において最大360Uのボツリヌス毒素に制限される。
神経/筋肉症状の治療
【0202】
ある実施形態では、神経筋疾患は多汗症である。多汗症を患う被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の治療につき、腋窩当たり約59U、腋窩当たり約58U、又は腋窩当たり約57U、又は腋窩当たり約56U、又は腋窩当たり約55U、又は腋窩当たり約54U、又は腋窩当たり約53U、又は腋窩当たり約52U、又は腋窩当たり約51U、又は腋窩当たり約50U、又は腋窩当たり約49U、又は腋窩当たり約48U、又は腋窩当たり約47U、腋窩当たり約46U、又は腋窩当たり約45U、又は腋窩当たり約44U、又は腋窩当たり約43U、又は腋窩当たり約42U、又は腋窩当たり約41U、又は腋窩当たり約40U、又は腋窩当たり約39U、又は腋窩当たり約38U、又は腋窩当たり約37U、又は腋窩当たり約36U、又はそれ以下を投与する。ある実施形態では、約1~2cm離間した10~15ヶ所の部位に、合計50Uを皮内注入する。
【0203】
ある実施形態では、神経筋疾患は片側顔面けいれんである。片側顔面けいれんを患う被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の治療当たり約1.5~15Uを投与する。更なる例では、被検体に、治療当たり約1.5~3U、1.5~5U、1.5~7U、1.5~10U、1.5~12U、1.5~15U、5~10U、5~15U、又は10~15Uを、片側顔面けいれん患者に投与する。なお更なる例では、被検体に、治療当たり約1.5U、約2U、約2.5U、約3U、約3.5U、約4U、約4.5U、約5U、約5.5U、約6U、約6.5U、約7U、約7.5U、約8U、約8.5U、約9U、約9.5U、約10U、約10.5U、約11U、約11.5U、約12U、約12.5U、約13U、約13.5U、約14U、約14.5U、又は約15Uを、片側顔面けいれん患者に投与する。治療当たり15Uを超える用量もまた、片側顔面けいれん患者に投与され、治療反応を達成できる。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
【0204】
ある実施形態では、神経筋疾患は頸部ジストニアである。頸部ジストニアを患う被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の治療当たり約1.5~300Uを投与する。更なる例では、被検体に、約35~250U、65~200U、85~175U、105~160U、又は125~145Uを、頸部ジストニア患者に投与する。ある実施形態では、胸鎖乳突筋への投与量は、100U以下に制限される。治療当たり300Uを超える用量もまた、頸部ジストニア患者に投与され、治療反応を達成できる。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
【0205】
ある実施形態では、神経筋疾患は眼瞼けいれんである。眼瞼けいれんを患う被検体に、例えば、約1.25~2.5Uの本発明の医薬製剤を投与し、これは、上眼瞼の内側及び外側瞼板前部眼輪筋内に、並びに、下眼瞼の外側瞼板前部眼輪筋内に注入される。更なる例では、被検体に、注射部位当たり約1.5U、約1.6U、約1.7U、約1.8U、約1.9U、約2.0U、約2.1U、約2.2U、約2.3U、約2.4U、約2.5U、又はそれ以上投与する。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
【0206】
ある実施形態では、神経筋疾患は斜視である。斜視を患う被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の注入部位当たり約1.25~2.5Uを投与する。更なる例では、被検体に、注射部位当たり約1.5U、約1.6U、約1.7U、約1.8U、約1.9U、約2.0U、約2.1U、約2.2U、約2.3U、約2.4U、約2.5U、又はそれ以上投与し、治療反応を達成する。実施形態では、より低い用量が、わずかな異常の治療に使用される。実施形態では、20プリズム直径未満の垂直筋及び水平斜視は、注入部位当たり1.25~2.5Uで治療することができる。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
【0207】
ある実施形態では、神経筋疾患は筋痙直である。筋痙直を患う被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の治療当たり約20~200Uを投与する。更なる例では、被検体に、治療当たり約20~30U、20~40U、20~60U、20~80U、20~100U、20~125U、20~150U、又は20~175Uを、筋痙直患者に投与する。なお更なる例では、被検体に、治療当たり約20U、約25U、約30U、約35U、約40U、約45U、約50U、約55U、約60U、約65U、約70U、約75U、約80U、約85U、約90U、約95U、約100U、約105U、約110U、約115U、約120U、約125U、約130U、約135U、約140U、約145U、約150U、約155U、約160U、約165U、約170U、約175U、約180U、約185U、約190U、約195U、又は約200Uを、筋痙直患者に投与する。ある実施形態では、上腕二頭筋に、100U~200Uを4ヶ所の注射部位に分割して注入できる。ある実施形態では、橈側手根屈筋に、12.5U~50Uを1ヶ所の注射部位に注入できる。ある実施形態では、尺側手根屈筋に、12.5U~50Uを1ヶ所の注射部位に注入できる。ある実施形態では、深指屈筋に、30U~50Uを1ヶ所の注射部位に注入できる。ある実施形態では、表面指屈筋に、30U~50Uを1ヶ所の注射部位に注入できる。治療当たり200Uを超える用量もまた、筋痙直患者に投与され、治療反応を達成できる。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
疼痛の治療
【0208】
別の実施形態では、本発明は、本発明の医薬製剤を、疼痛を低減するのに十分な量で、疼痛の治療を必要とする被検体に投与する工程を含む、その方法を提供する。別の実施形態では、患者は、筋筋膜性疼痛、偏頭痛、緊張性頭痛、神経障害性疼痛、顔面痛、腰痛、副鼻腔炎性頭痛、顎関節症に関連する疼痛、痙縮若しくは頸部ジストニアに関連する疼痛、手術後創傷痛、又は神経痛を患っている。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
【0209】
ある実施形態では、患者は顔面痛を患っている。顔面痛を患う被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の治療当たり約4~40Uを投与する。更なる例では、被検体に、治療当たり約4~10U、4~15U、4~20U、4~25U、4~30U、4~35U、7~15U、7~20U、7~25U、7~30U、7~35U、又は7~40Uを、顔面痛を患う患者に投与する。なお更なる例では、被検体に、治療当たり約4U、約5U、約7.5U、約10U、約12.5U、約15U、約17.5U、約20.0U、約22.5U、約25.0U、約27.5U、約30.0U、約32.5U、約35U、約37.5U、又は約40Uを、顔面痛患者に投与する。治療当たり40Uを超える用量もまた、顔面痛患者に投与され、治療反応を達成できる。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
【0210】
ある実施形態では、患者は筋筋膜性疼痛を患っている。筋筋膜性疼痛を患う被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の治療当たり約5~100Uを投与する。更なる例では、被検体に、治療当たり約5~10U、5~20U、5~30U、5~40単位、5~50単位、5~60単位、5~70単位、5~80単位、5~90U、10~20U、10~30U、10~50U、又は10~60U、又は10~70U、又は10~80U、10~90U、又は10~100Uを、筋筋膜性疼痛を患う患者に投与する。更なる例では、被験体に、治療当たり約5U、約10U、約15U、約20U、約25U、約30U、約35U、約40U、約45U、約50U、約55U、約60U、約65U、約70U、約75U、約80U、約85U、約90U、約95U、又は約100Uを、筋筋膜性疼痛患者に投与する。治療当たり100Uを超える用量もまた、筋筋膜性疼痛患者に投与され、治療反応を達成できる。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
【0211】
ある実施形態では、患者は腰痛を患っている。腰痛を患う被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の治療当たり約15~150Uを投与する。更なる例では、被検体に、治療当たり約15~30U、15~50U、15~75U、15~100U、15~125U、15~150U、20~100U、20~150U、又は100~150Uを、腰痛患者に投与する。なお更なる例では、被験体に、治療当たり約15U、約20U、約25U、約30U、約35U、約40U、約45U、約50U、約55U、約60U、約65U、約70U、約75U、約80U、約85U、約90U、約95U、約100U、約105U、約110U、約115U、約120U、約125U、約130U、約135U、約140U、約145U、又は約150Uを、腰痛患者に投与する。治療当たり150Uを超える用量もまた、腰痛患者に投与され、治療反応を達成できる。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
【0212】
ある実施形態では、患者は片頭痛を患っており、1ヶ月当たり4時間以上15日以上の片頭痛を患っている患者を含む。片頭痛を患う被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の治療当たり約0.5~200Uを投与する。更なる例では、被験体に、治療当たり約5~190U、15~180U、25~170U、35~160U、45~150U、55~140U、65~130U、75~120U、85~110U、又は95~105Uを、片頭痛を患う患者に投与する。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
【0213】
例えば、治療当たり約0.5U、約1.0U、約1.5U、約2.0U、約2.5U、約3.0U、約3.5U、約4.0U、約4.5U、約5.0U、約5.5U、約6.0U、約6.5U、約7.0U、約7.5U、約8.0U、約8.5U、約9.0U、約9.5U、約10.0U、約12U、約15U、約17U、約20U、約22U、約25U、約27U、約30U、約32U、約35U、約37U、約40U、約42U、約45U、約47U、又は約50Uを、片頭痛患者に投与する。患者は、例えば、2ヶ所、3ヶ所、4ヶ所、5ヶ所、6ヶ所、7ヶ所、8ヶ所、9ヶ所、10ヶ所、11ヶ所、12ヶ所、13ヶ所、14ヶ所、15ヶ所、16ヶ所、17ヶ所、18ヶ所、19ヶ所、20ヶ所、21ヶ所、22ヶ所、23ヶ所、24ヶ所、25ヶ所、26ヶ所、27ヶ所、28ヶ所、29ヶ所、30ヶ所、31ヶ所、32ヶ所、又はそれ以上などの複数の部位で治療できる。ある実施形態では、片頭痛を患う患者は、0.1mLの注入当たり5Uを用いて、31回(皺眉筋(各5Uを2回注射)、鼻根筋(5Uを1回注射)、前頭筋(各5Uを4回注射)、側頭筋(各5Uを8回注射)、後頭筋(各5Uを6回注射)、頚部傍脊柱筋(各5Uを4回注射)、及び僧帽筋(各5Uを6回の注射))注射される。正中線に注入できる鼻根筋を除いて、特定の実施形態では、全ての筋肉に、注射部位の半分を頭部及び頸部の左側に、半分を右側にして両側的に注入できる。治療当たり200Uを超える用量もまた、片頭痛患者に投与され、治療反応を達成できる。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
【0214】
ある実施形態では、患者は副鼻腔炎性頭痛を患っている。副鼻腔炎性頭痛を患う被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の治療当たり約4~40Uを投与する。更なる例では、被検体に、治療当たり約4~10U、4~15U、4~20U、4~25U、4~30U、4~35U、7~15U、7~20U、7~25U、7~30U、7~35U、又は7~40Uを、副鼻腔炎性頭痛を患う患者に投与する。なお更なる例では、被検体に、治療当たり約4U、約5U、約7.5U、約10U、約12.5U、約15U、約17.5U、約20.0U、約22.5U、約25.0U、約27.5U、約30.0U、約32.5U、約35U、約37.5U、又は約40Uを、副鼻腔炎性頭痛患者に投与する。治療当たり40Uを超える用量もまた、副鼻腔炎性頭痛患者に投与され、治療反応を達成できる。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
【0215】
ある実施形態では、患者は緊張性頭痛を患っている。緊張性頭痛を患う被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の治療当たり約5~50Uを投与する。更なる例では、被検体に、治療当たり約5~10U、5~15U、5~20U、5~25U、5~30U、5~35U、5~40U、5~45U、10~20U、10~25U、10~30U、10~35U、10~40U、又は10~45Uを、緊張性頭痛患者に投与する。なお更なる例では、被検体に、治療当たり約5U、約10U、約20U、約25U、約30U、約35U、約40U、約45U、又は約50Uを、緊張性頭痛患者に投与する。ある実施形態では、緊張性頭痛を患う患者は、0.1mLの注入当たり5Uを用いて、31回(皺眉筋(各5Uを2回注射)、鼻根筋(5Uを1回注射)、前頭筋(各5Uを4回注射)、側頭筋(各5Uを8回注射)、後頭筋(各5Uを6回注射)、頚部傍脊柱筋(各5Uを4回注射)、及び僧帽筋(各5Uを6回の注射))注射される。正中線に注入できる鼻根筋を除いて、特定の実施形態では、全ての筋肉に、注射部位の半分を頭部及び頸部の左側に、半分を右側にして両側的に注入できる。治療当たり200Uを超える用量もまた、緊張性頭痛患者に投与され、治療反応を達成できる。治療セッションは、複数回の治療を含み得る。
【0216】
ある実施形態では、患者は、急性又は再発性慢性副鼻腔炎に関連する副鼻腔炎性頭痛又は顔面痛を患っている。例えば、本発明の医薬製剤を、鼻粘膜又は副鼻腔を覆う皮下構造に投与することができ、製剤の投与により、急性再発性又は慢性副鼻腔炎に関連する頭痛及び/又は顔面痛を低減する。更なる実施形態では、本発明の医薬製剤のいずれかを、鼻粘膜又は副鼻腔、例えば、篩骨洞、上顎洞、乳様蜂巣、前頭洞、及び蝶形骨洞からなる群から選択される、1つ以上の副鼻腔の上部を覆う皮下構造に投与することができる。別の実施形態では、副鼻腔を覆う皮下構造は、前頭部、頬部、側頭部、耳後部、及び口唇部からなる群から選択される、1つ以上の領域内にある。実施形態では、急性又は再発性慢性副鼻腔炎に関連する副鼻腔炎性頭痛又は顔面痛の治療には、各5Uの複数回注入を実施する。
【0217】
別の実施形態では、急性又は再発性慢性副鼻腔炎に関連する副鼻腔炎性頭痛又は顔面痛を患う患者は、本発明の医薬製剤のいずれかを患者の罹患領域に投与することによって治療される。更なる実施形態では、本明細書に開示される医薬製剤は、副鼻腔を神経支配する三叉神経の突起に投与される。
【0218】
急性又は再発性慢性副鼻腔炎に関連する副鼻腔炎性頭痛又は顔面痛を患う患者は、鼻炎、副鼻腔からの過剰分泌、及び/又は化膿性鼻汁を含む症状を呈することが多い。一実施形態では、本発明の医薬製剤で治療された患者は、副鼻腔からの過剰分泌及び化膿性鼻汁の症状を呈する。
【0219】
本発明の実施形態はまた、急性又は再発性慢性副鼻腔炎に関連する副鼻腔炎性頭痛又は顔面痛を患う患者を治療するための方法も提供し、患者は、神経痛を患う。特定の実施形態では、神経痛は三叉神経痛である。別の実施形態では、神経痛は、感覚神経に対する圧縮力に関連し、内因性神経損傷、脱髄疾患、又は遺伝病に関連し、代謝疾患と関連し、中枢神経性血管疾患と関連し、又は外傷に関連している。本発明の別の実施形態では、疼痛は、抜歯又は歯科的再建に関連する。
泌尿器系障害の治療
【0220】
ある実施形態では、本発明はまた、例えば、神経学的状態(NOAB)、又は特発性OAB(IOAB)によるものなどの、過活動膀胱(OAB)に罹患している患者を治療するための方法も提供する。例えば、本発明の医薬製剤は、膀胱又はその付近、例えば排尿筋に投与することができ、製剤の投与により、過活動膀胱に関連する切迫性尿失禁が低減する。特定の実施形態では、用量は、例えば、200U、又はそれ以上、又はそれ以下などであり得る。例えば、投与量は、治療当たり約15U、約20U、約25U、約30U、約35U、約40U、約45U、約50U、約55U、約60U、約65U、約70U、約75U、約80U、約85U、約90U、約95U、約100U、約105U、約110U、約115U、約120U、約125U、約130U、約135U、約140U、約145U、約150U、約160U、約170U、約180U、約190U、約200U、約210U、約220、約230U、約240U、又はそれ以上などであり得る。患者は、例えば、2ヶ所、3ヶ所、4ヶ所、5ヶ所、6ヶ所、7ヶ所、8ヶ所、9ヶ所、10ヶ所、11ヶ所、12ヶ所、13ヶ所、14ヶ所、15ヶ所、16ヶ所、17ヶ所、18ヶ所、19ヶ所、20ヶ所、21ヶ所、22ヶ所、23ヶ所、24ヶ所、25ヶ所、26ヶ所、27ヶ所、28ヶ所、29ヶ所、30ヶ所、31ヶ所、32ヶ所、33ヶ所、34ヶ所、35ヶ所、36ヶ所、37ヶ所、38ヶ所、又はそれ以上などの複数の部位に注入できる。ある実施形態では、OABに罹患している患者は、1回の注入当たり約6.7Uの301mLを排尿筋内に注射することにより治療される。
【0221】
ある実施形態では、本発明はまた、神経学的状態によるものなどの、神経因性排尿筋過活動(NDO)に罹患している患者を治療する方法も提供する。例えば、本発明の医薬製剤は、膀胱又はその付近、例えば排尿筋に投与することができ、製剤の投与により、過活動膀胱に関連する切迫性尿失禁が低減する。特定の実施形態では、用量は、例えば、200U、又はそれ以上、又はそれ以下などであり得る。例えば、投与量は、治療当たり約15U、約20U、約25U、約30U、約35U、約40U、約45U、約50U、約55U、約60U、約65U、約70U、約75U、約80U、約85U、約90U、約95U、約100U、約105U、約110U、約115U、約120U、約125U、約130U、約135U、約140U、約145U、約150U、約160U、約170U、約180U、約190U、約200U、約210U、約220、約230U、約240U、又はそれ以上などであり得る。患者は、例えば、2ヶ所、3ヶ所、4ヶ所、5ヶ所、6ヶ所、7ヶ所、8ヶ所、9ヶ所、10ヶ所、11ヶ所、12ヶ所、13ヶ所、14ヶ所、15ヶ所、16ヶ所、17ヶ所、18ヶ所、19ヶ所、20ヶ所、21ヶ所、22ヶ所、23ヶ所、24ヶ所、25ヶ所、26ヶ所、27ヶ所、28ヶ所、29ヶ所、30ヶ所、31ヶ所、32ヶ所、又はそれ以上などの複数の部位に注入できる。ある実施形態では、NDOに罹患している患者は、1回の注入当たり約6.7Uの301mLを排尿筋内に注射することにより治療される。
美容的特徴の治療
【0222】
別の実施形態では、本発明は、本発明の少なくとも1種の医薬製剤を、美容的に改変されている軟組織特徴部を修復するのに十分な量で、それを必要とする被検体に投与する工程を含む、その方法を提供する。更なる実施形態では、医薬製剤は、単一の部位又は複数の部位のいずれかで経皮又は経粘膜注射によって投与される。
【0223】
実施形態では、本発明の医薬製剤は、被検体の顔又は頸部に投与される。更なる実施形態では、本発明の医薬製剤は、しわを低減するのに十分な量で被検体に投与される。例えば、製剤は、眉間と鼻橋状にある垂直状のしわを低減するのに十分な量で、被検体の眉間に投与することができる。医薬製剤はまた、眼の角部のしわを低減するのに十分な量で、被験体の片目又は両目いずれかの近傍に投与することもできる。ある実施形態では、本発明の組成物は、滑らかな皮膚に局所的に注入することができる。別の実施形態では、本発明の医薬製剤はまた、額の水平状のしわを低減するのに十分な量で被検体の額に投与することもできる。本発明の更に別の実施形態では、医薬製剤は、頸部の筋肉のこりを低減するのに十分な量で被検体の頸部に投与される。ある実施形態では、医薬組成物は、筋肉の弛緩及び/又は咬筋量の減少のために咬筋に適用される。
【0224】
更なる実施形態では、患者は顔のしわに悩んでいる。顔のしわに悩んでいる被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の治療当たり約1~100Uを投与することができる。更なる例では、被験体は、治療当たり約1~10U、1~20U、1~30U、1~40U、1~50U、1~60U、1~70U、1~80U、1~90U、5~20U、5~30U、5~40U、5~50U、5~60U、5~70U、5~80U、5~90U、又は5~100Uを、炎症性障害患者に投与する。なお更なる例では、治療当たり約1U、約10U、約20U、約30U、約40U、約50U、約60U、約70U、約80U、約90U、又は約100Uを、患者に投与する。治療当たり100Uを超える用量を、炎症又は炎症性障害に罹患している患者に投与し、治療反応を達成してもよい。
炎症の治療
【0225】
別の実施形態では、本発明は、本発明の医薬製剤を、炎症を低減するのに十分な量で、炎症の治療を必要とする被検体に投与する工程を含む、その方法を提供する。特定の実施形態では、本発明の医薬製剤は、筋力低下を生じさせることなく患者に投与される。ある実施形態では、本発明の医薬製剤は、炎症性状態を有する患者に投与される。特定の実施形態では、炎症性状態は神経原性炎症である。別の実施形態では、被検体は、関節リウマチ又は消化器系炎症性疾患を患う。
【0226】
更なる実施形態では、患者は炎症性障害を患う。炎症性障害を患う被検体に、例えば、本発明の医薬製剤の治療当たり約1~100Uを投与する。更なる例では、被験体は、治療当たり約1~10U、1~20U、1~30U、1~40U、1~50U、1~60U、1~70U、1~80U、1~90U、5~20U、5~30U、5~40U、5~50U、5~60U、5~70U、5~80U、5~90U、又は5~100Uを、炎症性障害患者に投与する。なお更なる例では、治療当たり約1U、約10U、約20U、約30U、約40U、約50U、約60U、約70U、約80U、約90U、又は約100Uを、患者に投与する。治療当たり100Uを超える用量を、炎症又は炎症性障害に罹患している患者に投与し、治療反応を達成してもよい。
皮膚症状の治療
【0227】
皮膚疾患を治療するための本発明の範囲内の方法は、患者の顔、手、又は足などの患者の皮膚疾患の位置へのボツリヌス神経毒素の局所投与工程を有することができる。神経毒素を、患者の体重で約10-3単位/kg~約35単位/kgの量で局所投与してよい。例えば、神経毒素を、患者の体重で約10-2U/kg~約25U/kgの量で局所投与してよい。更なる例では、神経毒素を、約10-1U/kg~約15U/kgの量で投与する。本発明の範囲内の1つの方法では、神経毒素を、約1U/kg~約10U/kgの量で局所投与する。臨床現場では、皮膚疾患を有効に治療するため、経皮適用又は皮下投与によって皮膚疾患の位置に、1U~3000Uの神経毒素、例えばボツリヌス毒素A型又はB型を投与することが有利であり得る。
【0228】
ボツリヌス毒素の投与を皮膚の複数の部位で行ってよく、隣接する注射部位は、約0.1~10cm、又は約0.5~約5cm、例えば約1.5~約3cm離れている。毒素は、ボツリヌス毒素A型、B型、C型、D型、E型、F型又はG型のいずれかであってもよい。投与される量は、製造業者の規格、毒素の種類及び投与方法によって、0.1~1000U、又は約1~約40、又は約5~約10Uで変動し得る。所望の変化を維持するためのこれらの投与の反復期間範囲は、実質的には注射の部位、調節される症状、及び患者の状態に応じて変化する。したがって、反復期間は、約1週間~約50週間で変動し得るが、一般的な範囲は、約4~約25週間、又は更には約12週間~約16週間である。
【0229】
投与、例えば注射間の距離は、約1mm~約10cm、好適には約5mm~約5cm、より通常は約1cm~約3cmで変動し得る。したがって、例えば、ボツリヌスA型は、約0.1~約10Uで、約0.5~約10cm離して皮内注射によって好適に投与され得る。
【0230】
別の実施形態では、本発明は、本発明の医薬製剤を、皮脂又は粘液の分泌を低減するのに十分な量で、皮膚疾患の治療を必要とする被検体に投与する工程を含む、その方法を提供する。更なる実施形態では、本発明の医薬製剤は、筋力低下を生じさせることなく患者に投与される。特定の実施形態では、本発明の医薬製剤は、眼瞼又は結膜の1つ以上の部位に注入される。別の実施形態では、本発明の製剤は、身体表面に投与される。
【0231】
別の実施形態では、医薬製剤は、ブドウ球菌、連鎖球菌及びモラクセラが挙げられるが、これらに限定されない、皮膚の細菌又は真菌の増殖を低減するのに十分な量で投与される。例えば、本発明の医薬製剤は、皮膚感染を低減するために、眼瞼、頭皮、足、鼠径部、及び腋窩からなる群から選択される領域に投与される。
【実施例0232】
以下の実施例は、本発明の実施形態及び態様を例示するものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
実施例1
代表的な個体クロストリジウム医薬組成物の従来技術の製剤に対する活性及び安定性。
【0233】
適当量のボツリヌス毒素A型と、以下の表1~3に記載されるいくつかの媒体溶液を混合することによって、ボツリヌス毒素のバルク溶液を調製した。溶液をガラスバイアル瓶に充填し、従来の凍結乾燥条件を用いて凍結乾燥した。凍結乾燥物を生理食塩水で再構成した後、凍結乾燥製剤の効力を細胞系効力アッセイ(CBPA)によって検査した。凍結乾燥後及び示した温度での保管後の効力回復結果を表に示し、標的効力で補正する。本発明の態様に従って調製された固体組成物の効力を、表1~3に示される3種類の比較製剤と比較した。
【表25】
Treh=トレハロース、P188=ポロキサマーP188、Met=L-メチオニン、NAC=N-アセチル-L-システイン。
【表26】
Treh=トレハロース、P188=ポロキサマーP188、Met=L-メチオニン、NAC=N-アセチル-L-システイン。
【表27】
Treh=トレハロース、Sucr=スクロース、P188=ポロキサマーP188、Met=L-メチオニン、NAC=N-アセチル-L-システイン。
【表28】
P-188=ポロキサマーP-188、Met=L-メチオニン。
実施例2
抗酸化剤の存在下又は非存在下における、液体クロストリジウム医薬組成物の活性
【0234】
適当量のボツリヌス毒素A型と、表4に示される3種類の異なる媒体溶液を混合することによって、バルク薬物製品溶液を調製した。3種類の製剤は全て、8%w/wトレハロース、4%w/w P188、及び20mM ヒスチジン緩衝液、pH6.0を含有した。標的効力は100単位/mLであった。製剤10は、抗酸化剤を含まない。製剤11及び12は、それぞれNAC及びメチオニンを含有した。バルク溶液を2mLのガラスバイアル瓶(充填量1.25mL)に充填し、ゴム栓及びアルミニウムシェルで封止した。製剤の効力を、充填後(ゼロ時、t0)、4種類の温度(-70、5、25、及び40℃)で1ヶ月間保管した後の細胞系効力アッセイ(CBPA)によって検査した。効力試験結果を表4に示す。簡潔に述べると、メチオニン含有製剤(#12)は、40℃を含む4種類の温度全てで1ヶ月保管した後にその効力を保持したが、抗酸化剤を含まない製剤は、25℃で効力の約17%を損失し、40℃で本質的に全ての活性を喪失した(すなわち、完全な不活性化)。試験した第2の抗酸化剤であるN-アセチル-L-システインは、抗酸化剤を含まない製剤と比較して効力の損失が早く、この製剤において、N-アセチル-L-システインが酸化促進剤として作用したことが示された。NACを含む液体組成物は、25℃で1ヶ月間保管した後に50%の効力を失い、40℃で1ヶ月間保管した後に本質的に全ての活性を失った(すなわち、毒素の完全な不活性化)。対照的に、表1に示すように、NACを含む凍結乾燥組成物は、25℃で3ヶ月間保管した後に、7%の効力を失い((98.6%-91.9%)/98.6%)、40℃で1ヶ月間保管した後に12%の効力を失った((98.6%-86.5%)/98.6%)。これは、NACが凍結乾燥組成物中で安定剤として機能し得ることを示す。
【表29】

*各製剤は、ヒスチジン緩衝液中に、同じ量のボツリヌス毒素、8w/w%トレハロース、及び4w/w%ポロキサマーP188を含有した。
実施例3
代表的な液体製剤の安定性に対する代表的な抗酸化剤が与える影響。
【0235】
適当量のボツリヌス毒素A型と、表5に示される異なる抗酸化剤を混合することによって、バルク薬物製品溶液を調製した。製剤は全て、8%w/wトレハロース、4%w/w P188、及び20mMヒスチジン緩衝液、pH6.0、及び示される1種以上の抗酸化剤を含有した。標的効力は100U/mLであった。バルク溶液を2mLのガラスバイアル瓶(充填量1.25mL)に充填し、ゴム栓及びアルミニウムシェルで封止した。製剤の効力を、充填後(ゼロ時、t0)、並びに、40℃で2週間及び1ヶ月間保管した後の細胞系効力アッセイ(CBPA)によって検査した。効力試験結果を表5に示す。NAC及びEDTAナトリウム塩を含む液体組成物(製剤26)は、NAC、EDTAナトリウム塩及びトリプトファンを含む組成物(製剤27)と同様に、40℃で2週間及び1ヶ月間保管した後、完全に効力を保持していた。対照的に、表5に示すように、NACを含むがEDTAを含まない液体組成物(製剤25)は、40℃で2週間保管した後、本質的に全ての効力を失った。これは、抗酸化剤-キレート剤(例えば、EDTA、EGTA若しくはDTP A)及び/又は連鎖停止抗酸化剤(例えば、メチオニン、システイン、NAC及びBHT)の組み合わせが、ボツリヌス毒素に対する安定化効果をもたらすことを示す。
【表30】
1各製剤は、100U/mLのボツリヌス毒素、8w/w%のトレハロース、及び4w/w%のポロキサマーP188を、20mMヒスチジン緩衝液、pH6.0及び特定の抗酸化剤中に含有した。
2NAC=N-アセチル-L-システイン、Met=L-メチオニン、TRP=L-トリプトファン、GSH=L-グルタチオン、NaSul=亜硫酸ナトリウム、PrpGal=没食子酸プロピル、EDTA=エチレンジアミン四酢酸、ナトリウム塩。
3NT=未試験
実施例4
代表的な液体組成物の安定性に対する界面活性剤の選択が与える影響。
【0236】
適当量のボツリヌス毒素A型と、表6に示されるポロキサマー又はポリソルベートを混合することによって、バルク薬物製品溶液を調製した。製剤は全て、8%w/wトレハロース、20mMのヒスチジン緩衝液、pH6.0中0.2%w/wメチオニン、及び示される4%w/w P188又は0.04%w/w Tween-20を含有した。標的効力は100U/mLであった。バルク溶液を2mLのガラスバイアル瓶(充填量1.25mL)に充填し、ゴム栓及びアルミニウムシェルで封止した。初期効力が得られる要充填した後、製剤の効力を細胞系効力アッセイ(CBPA)によって検査した。40℃で1ヶ月間保管した後、効力を再度測定した。効力試験結果を表6に示す。表6の結果から明らかなように、ポロキサマーを含む液体製剤は、ポリソルベートを含む対応する製剤に対して、40℃で1ヶ月保管後の改善された安定性をもたらした。
【表31】
Tre=トレハロース、P-188=ポロキサマー-188、Tw-20=Tween-20、Met=L-メチオニン;His=L-ヒスチジン。
CBPAは、U/mLで示す残留活性を与える。
実施例5
代表的な液体組成物の安定性に対する等張化剤不含有が与える影響。
【0237】
適当量のボツリヌス毒素A型と、表7及び8に示される異なる成分を混合することによって、バルク薬物製品溶液を調製した。含有される成分の量は、0%又は8%w/wトレハロース、0%又は0.2%w/wメチオニン、0%又は4%w/w P188であり、全て、20mMヒスチジン緩衝液(pH6.0)中で製剤化した。標的効力は、100、150、又は200U/mLであった。バルク溶液を2mLのガラスバイアル瓶(充填量1.25mL)に充填し、ゴム栓及びアルミニウムシェルで封止した。初期効力が得られる要充填した後、製剤の効力を細胞系効力アッセイ(CBPA)によって検査した。-70℃及び40℃で1ヶ月間保管した後、効力を再度測定した。効力試験結果を表7及び8に示す。これらの表の結果から明らかなように、ポロキサマーを含み、等張化剤を含まない液体製剤は、-70℃及び40℃で1ヶ月間保管後の優れた安定性をもたらす。これは、以下の製剤40についての表10の結果によって支持される。一方、ポリソルベートを含み、等張化剤を含まない液体製剤は、-70℃で1ヶ月間保管後にある程度の安定性をもたらす。
【表32】
【表33】
Sucr=スクロース、Tre=トレハロース、P-188=ポロキサマー-188、Tw-20=Tween-20、Met=L-メチオニン、His=L-ヒスチジン。
初期=U/mLで示す初期活性
1ヶ月後の結果は、U/mLで示す残留活性である。
実施例6
様々な液体組成物の安定性
【0238】
適当量のボツリヌス毒素A型と、表9に示される異なる安定化剤及び界面活性剤を含む媒体溶液を混合することによって、バルク薬物製品溶液を調製した。全ての製剤は、8%又は0%w/wのトレハロース又はスクロース、4%w/wのP188又は0.04%w/wのPS-20、任意に20mMヒスチジン緩衝液(pH6.0)、0.2%w/wメチオニン、及び任意に0.9%w/w NaClを含有した。標的効力は100U/mLであった。バルク溶液を2mLのガラスバイアル瓶(充填量1.25mL)に充填し、ゴム栓及びアルミニウムシェルで封止した。製剤の効力を、充填後(ゼロ時、t0)及び5℃で保管後の細胞系効力アッセイ(CBPA)によって検査した。効力試験結果を表10に示す。
【表34】
Suc=スクロース、Tre=トレハロース、P-188=ポロキサマー-188、Ps-20=Tween-20、Met=Lメチオニン、His=L-ヒスチジン。
【表35】

結果は、U/mLで示す残留活性である。
実施例7
代表的な凍結乾燥製剤の安定性に対する糖の選択が与える影響。
【0239】
適当量のボツリヌス毒素A型と、表11に記載されるいくつかの媒体溶液を混合することによって、ボツリヌス毒素のバルク溶液を調製した。含有される成分の量は、0%又は8%w/wのトレハロース又はスクロース、0.2%w/wメチオニン、0%又は4%w/w P188、0%又は0.04%w/w Tween20であり、全て、20mMヒスチジン緩衝液(pH6.0)中で製剤化した。標的効力は200U/mLであった。これらの量を以下の表11に示す。溶液をガラスバイアル瓶に充填し、従来の凍結乾燥条件を用いて凍結乾燥した。-70℃又は40℃で2週間保管後に凍結乾燥組成物を再構成した後、凍結乾燥製剤の効力を細胞系効力アッセイ(CBPA)によって検査した。効力回復結果を表12に示す。製剤番号42を製剤番号44と、製剤番号43を製剤番号45と比較することにより、これらの凍結乾燥製剤に対する糖の種類の影響を導き出すことができる。-20℃及び40℃で2週間保管後の製剤42及び製剤44中のボツリヌス毒素の効力は、スクロースを含む凍結乾燥組成物と比較して、トレハロースを含む凍結乾燥組成物において、より高い効力回復が達成されたことを明らかにする。
【表36】
Tre=トレハロース、Sucr=スクロース、Tw-20=Tween-20、P-188=ポロキサマー-188、Met=L-メチオニン、His=L-ヒスチジン。
【表37】

実施例8
代表的な凍結乾燥組成物の安定性に対する界面活性剤の選択が与える影響。
【0240】
表11及び12の結果はまた、特定の凍結乾燥組成物の安定性に対する界面活性剤の選択の影響も示す。製剤番号42を製剤番号43と、製剤番号44を製剤番号45と比較することにより、これらの凍結乾燥製剤に対する界面活性剤の種類の影響を導き出すことができる。-20℃及び40℃で2週間保管後の製剤43及び製剤45中のボツリヌス毒素の効力は、ポリソルベート界面活性剤を含む凍結乾燥組成物と比較して、ポロキサマー界面活性剤を含む凍結乾燥組成物において、より高い効力回復が達成されたことを明らかにする。
実施例9
代表的な組成物によるうつ病の治療
【0241】
58歳の大学教授、うつ病の症状を呈する。医師は、DSM-IV-TR判定基準に基づいて、中程度~重度の大うつ病性障害(MDD)と診断。医師は、生理食塩水で再構成した表Aに示される組成物を使用して作製されたボツリヌス毒素溶液を、単一の治療セッションにおいて、鼻根筋及び皺眉筋に筋肉注射により投与する。6ヶ所の注射部位に合計30単位を投与する。鼻根筋及び皺眉筋が麻痺する。後に、Montgomery Asbergうつ病評価尺度を用いて、治療がうつ病を緩和したことを確認する。臨床的CGI-Sスコア(臨床全般印象度の変化スコア)、及び臨床的HAM-D17トータルスコア(うつ病のためのハミルトン評価尺度)などの追加の有効性尺度により、更に確認する。3ヶ月後、治療を繰り返す。
実施例10
代表的な組成物によるうつ病の治療
【0242】
21歳の学生、うつ病の症状を呈する。医師は、DSM-IV-TR判定基準に基づいて、1つの症状の中程度~重度の大うつ病性障害(MDD)と診断。医師は、生理食塩水で再構成した表Aに示される組成物を使用して作製されたボツリヌス毒素溶液を、単一の治療セッションにおいて、鼻根筋及び皺眉筋に筋肉注射により投与する。8ヶ所の注射部位に合計50単位を投与する。鼻根筋及び皺眉筋が麻痺する。後に、Montgomery Asbergうつ病評価尺度を用いて、治療がうつ病を緩和したことを確認する。臨床的CGI-Sスコア(臨床全般印象度の変化スコア)、及び臨床的HAM-D17トータルスコア(うつ病のためのハミルトン評価尺度)などの追加の有効性尺度により、更に確認する。6ヶ月後、治療を繰り返す。
実施例11
代表的な組成物による心不整脈の治療
【0243】
心臓手術を受ける41歳の教師、心不整脈の症状を示す。外科医は、生理食塩水で再構成した表Aに示される組成物を使用して作製されたボツリヌス毒素溶液を、患者の主要心外膜脂肪パッドに投与する。心外膜脂肪パッド当たり50U、合計250Uまで投与する。投与後4週間にわたり、患者をECGで追跡する。心房細動の発生率は低下する。加えて、この患者について以下の改善が記載されている:入院期間の短縮、ICU在室期間の短縮、抗凝固薬使用量の減少、及び、アブレーション、ペースメーカー移植、電気的又は薬理学的除細動などの、術後心房細動(POAF)の介入処置の必要性の減少。
【0244】
実施例12:代表的な組成物による心不整脈の治療。
【0245】
心臓手術を受ける66歳の年金受給者、心不整脈の症状を示す。外科医は、生理食塩水で再構成した表Aに示される組成物を使用して作製されたボツリヌス毒素溶液を、患者の主要心外膜脂肪パッドに投与する。心外膜脂肪パッド当たり25U、合計125Uまで投与する。投与後4週間にわたり、患者をECGで追跡する。心房細動の発生率は低下する。加えて、この患者について以下の改善が記載されている:入院期間の短縮、ICU在室期間の短縮、抗凝固薬使用量の減少、及び、アブレーション、ペースメーカー移植、電気的又は薬理学的除細動などの、術後心房細動(POAF)の介入処置の必要性の減少。
【0246】
本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって多くの変更及び改変がなされてもよい。したがって、説明されている実施形態は例示目的でのみ掲載されており、実施形態は、以下の特許請求の範囲を制限するものと見なされるべきではないと理解されなくてはならない。したがって、以下の特許請求の範囲は、文字どおりに示される要素の組み合わせだけではなく、実質的に同じ結果を得るために実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を果たす全ての同等の要素を含むものであると読み取られる。このように、特許請求の範囲は、上で説明されているもの、概念的に同等であるもの、及び本開示の概念を包含するものを含むものと理解される。
【0247】
本開示はまた、以下の一連の項目も含む。
1.医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素活性成分と、
(ii)等張化剤及び/又は凍結乾燥保護薬と、
(iii)ポロキサマー及び/又はポリソルベートと、
(iv)抗酸化剤と、を含む、医薬組成物。
2.ボツリヌス毒素を含む、項目1に記載の組成物。
3.トレハロースを含む、項目1又は項目2に記載の組成物。
4.ポロキサマー188及び/又はポリソルベート20を含む、項目1~3のいずれか1つに記載の組成物。
5.メチオニン及びN-アセチル-システインのうち1種以上を含む、項目1~4のいずれか1つに記載の組成物。
6.ボツリヌス毒素と、トレハロースと、ポロキサマー188又はポリソルベート20のうち1種と、メチオニン又はN-アセチル-システインのうち1種と、を含む、項目1~5のいずれか1つに記載の組成物。
7.ボツリヌス毒素と、トレハロースと、ポロキサマー188と、メチオニンと、を含む、項目1~6のいずれか1つに記載の組成物。
8.トレハロース、ポロキサマー188、及びメチオニンの相対重量(%、w/w)が以下の範囲内である、項目7に記載の組成物。
【表38】

9.ボツリヌス毒素と、トレハロースと、ポリソルベート20と、メチオニンと、を含む、項目1~6のいずれか1つに記載の組成物。
10.トレハロース、ポリソルベート20、及びメチオニンの相対重量(%、w/w)が以下の範囲内である、項目9に記載の組成物。
【表39】

11.ボツリヌス毒素と、トレハロースと、ポロキサマー188と、N-アセチル-システインと、を含む、項目1~6のいずれか1つに記載の組成物。
12.トレハロース、ポロキサマー188、及びN-アセチル-システインの相対重量(%、w/w)が以下の範囲内である、項目11に記載の組成物。
【表40】

13.ボツリヌス毒素と、トレハロースと、ポリソルベート20と、N-アセチル-システインと、を含む、項目1~6のいずれか1つに記載の組成物。
14.トレハロース、ポリソルベート20、及びN-アセチル-システインの相対重量(%、w/w)が以下の範囲内である、13に記載の組成物。
【表41】

15.ヒスチジンを含む、項目1~14のいずれか1つに記載の組成物。
16.動物由来タンパク質を含まない、項目1~15のいずれか1つに記載の組成物。
17.エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA)又はEDTAアナログを含む、項目1~4のいずれか1つに記載の組成物。
18.エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA)又はEDTAアナログを更に含む、項目5及び6のいずれか1つに記載の組成物。
19.エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA)又はEDTAアナログを更に含む、項目11~14のいずれか1つに記載の組成物。
20.EDTAの相対重量(%、w/w)が約0.01~0.10の範囲内である、項目1~19のいずれか1つに記載の組成物。
21.組成物が固体製剤である、項目1~20のいずれか1つに記載の組成物。
22.組成物が固体製剤であり、N-アセチル-システインの相対重量(%、w/w)が0.01~0.05である、項目12、14、19及び20のいずれか1つに記載の組成物。
23.組成物が液体製剤であり、5~7のpHを有する、項目1~20のいずれか1つに記載の組成物。
24.組成物が液体製剤であり、5~7のpHを有し、N-アセチル-システインの相対重量が0.1~0.5である、項目11~14、19及び20のいずれか1つに記載の組成物。
【0248】
本開示はまた、以下の一連の実施形態も含む。
1.医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素活性成分と、
(ii)等張化剤及び/又は凍結乾燥保護薬と、
(iii)ポロキサマー及び/又はポリソルベートと、
(iv)抗酸化剤と、を含む、医薬組成物。
2.ボツリヌス毒素を含む、実施形態1に記載の組成物。
3.トレハロース又はスクロースを含む、実施形態1又は実施形態2に記載の組成物。
4.ポロキサマー188及び/又はポリソルベート20を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物。
5.メチオニン及びN-アセチル-システインのうち1種以上を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
6.ボツリヌス毒素と、トレハロース又はスクロースと、ポロキサマー188又はポリソルベート20のうち1種と、メチオニン又はN-アセチル-システインのうち1種と、を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
7.ボツリヌス毒素と、トレハロース又はスクロースと、ポロキサマー188と、メチオニンと、を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
8.トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、及びメチオニンの相対重量(%、w/w)が以下の範囲内である、実施形態7に記載の組成物。
【表42】

9.トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、及びメチオニンの相対重量(%、w/w)が以下のとおりである、実施形態8に記載の組成物。
【表43】

10.組成物が液体組成物であり、組成物が好ましくは緩衝剤を含む、実施形態7~9のいずれか1つに記載の組成物。
11.緩衝剤がヒスチジンであり、ヒスチジンの濃度は好ましくは20mMであり、pHは好ましくは5~7の範囲内であり、pHはより好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは最も好ましくは5.5~6の範囲内である、実施形態10に記載の組成物。
12.組成物が、トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、メチオニン、緩衝剤、及び任意にNaCl、及び任意にEDTAからなり、緩衝剤が好ましくはヒスチジンであり、pHは好ましくは5~7の範囲内であり、pHはより好ましくは5.5~6.5の範囲内であり、pHは最も好ましくは5.5~6の範囲内である、実施形態10に記載の組成物。
13.組成物が固体組成物であり、組成物が好ましくは凍結乾燥される、実施形態7~9のいずれか1つに記載の組成物。
14.緩衝剤を更に含み、緩衝剤が好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンが、好ましくは、0.1~0.5(%w/w)の相対重量、より好ましくは0.3~0.4%(w/w)の相対重量で含まれる、実施形態13に記載の組成物。
15.組成物が、トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、メチオニン、緩衝剤、及び任意にNaCl、及び任意にEDTAからなる、実施形態13又は14に記載の組成物。
16.ボツリヌス毒素と、トレハロース又はスクロースと、ポリソルベート20と、メチオニンと、を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
17.トレハロース又はスクロース、ポリソルベート20、及びメチオニンの相対重量(%、w/w)が以下の範囲内である、実施形態16に記載の組成物。
【表44】

18.ボツリヌス毒素と、トレハロース又はスクロースと、ポロキサマー188と、N-アセチル-システインと、を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
19.トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、及びN-アセチル-システインの相対重量(%、w/w)が以下の範囲内である、実施形態18に記載の組成物。
【表45】

20.トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、及びEDTAの相対重量(%、w/w)が以下のとおりである、実施形態19に記載の組成物。
【表46】

21.トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、及びN-アセチル-システインの相対重量(%、w/w)が以下のとおりである、実施形態19に記載の組成物。
【表47】

22.組成物が固体組成物であり、組成物が好ましくは凍結乾燥される、実施形態18~21のいずれか1つに記載の組成物。
23.緩衝剤を更に含み、緩衝剤が好ましくはヒスチジンであり、ヒスチジンが、好ましくは、0.1~0.5(%w/w)の相対重量、より好ましくは0.3~0.4%(w/w)の相対重量で含まれる、実施形態22に記載の組成物。
24.組成物が、トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、及び緩衝剤からなる、実施形態22又は23に記載の組成物。
25.組成物が液体組成物であり、組成物が好ましくは緩衝剤を含む、実施形態18~20のいずれか1つに記載の組成物。
26.緩衝剤がヒスチジンであり、ヒスチジンの濃度は好ましくは20mMであり、pHは好ましくは5~7の範囲内であり、pHが最も好ましくは6である、実施形態25に記載の組成物。
27.組成物が、トレハロース又はスクロース、ポロキサマー188、N-アセチル-システイン、緩衝剤、及び任意にEDTAからなり、緩衝剤が好ましくはヒスチジンであり、pHは好ましくは5~7の範囲内であり、pHは最も好ましくは6である、実施形態25に記載の組成物。
28.ボツリヌス毒素と、トレハロース又はスクロースと、ポリソルベート20と、N-アセチル-システインと、を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
29.トレハロース又はスクロース、ポリソルベート20、及びN-アセチル-システインの相対重量(%、w/w)が以下の範囲内である、実施形態28に記載の組成物。
【表48】

30.医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素活性成分と、
(ii)ポロキサマー及び/又はポリソルベートと、
(iii)抗酸化剤と、を含み、
糖又はポリアルコールが組成物中に存在しない、医薬組成物。
31.ボツリヌス毒素を含む、実施形態30に記載の組成物。
32.ポロキサマー188及び/又はポリソルベート20を含む、実施形態30又は31に記載の組成物。
33.メチオニン及びN-アセチル-システインのうち1種以上を含む、実施形態30~32のいずれか1つに記載の組成物。
34.ボツリヌス毒素と、ポロキサマー188又はポリソルベート20のうち1種と、メチオニン又はN-アセチル-システインのうち1種と、を含む、実施形態30~33のいずれか1つに記載の組成物。
35.ボツリヌス毒素と、ポロキサマー188と、メチオニンと、を含む、実施形態30~34のいずれか1つに記載の組成物。
36.ポロキサマー188及びメチオニンの相対重量(%、w/w)が以下の範囲内である、実施形態35に記載の組成物。
【表49】

37.ポロキサマー188及びメチオニンの相対重量(%、w/w)が以下のとおりである、実施形態36に記載の組成物。
【表50】

38.組成物が液体組成物であり、組成物が好ましくは緩衝剤を含む、実施形態35~37のいずれか1つに記載の組成物。
39.緩衝剤がヒスチジンであり、ヒスチジンの濃度は好ましくは20mMであり、pHは好ましくは5~7の範囲内であり、pHが最も好ましくは6である、実施形態38に記載の組成物。
40.組成物が、ポロキサマー188、メチオニン、及び緩衝剤からなり、緩衝剤が好ましくはヒスチジンであり、pHは好ましくは5~7の範囲内であり、pHは最も好ましくは6である、実施形態38に記載の組成物。
41.ヒスチジンを含む、実施形態1~10、12~25、27~38、又は40のいずれか1つに記載の組成物。
42.動物由来タンパク質を含まない、請求項1~41のいずれか一項に記載の組成物。
43.エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA)又はEDTAアナログを含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の組成物。
44.EDTAの相対重量(%、w/w)が約0.01~0.10の範囲内である、実施形態43に記載の組成物。
45.組成物が固体製剤である、実施形態1~9、16~21、28、29及び41~44のいずれか1つに記載の組成物。
46.組成物が固体製剤であり、N-アセチル-システインの相対重量(%、w/w)が0.01~0.05である、実施形態19、29、43又は44のいずれか1つに記載の組成物。
47.組成物が液体製剤であり、5~7のpHを有する、実施形態1~12、16~21、及び25~44のいずれか1つに記載の組成物。
48.組成物が液体製剤であり、5~7のpHを有し、N-アセチル-システインの相対重量が0.1~0.5である、実施形態18、19、28、29、43及び44のいずれか1つに記載の組成物。
49.任意の前述の実施形態の医薬組成物を、症状の治療、低減、及び/又は疾患、障害、及び病状の予防を必要とする被検体に投与する工程を含む、症状の治療、低減、及び/又は疾患、障害、及び病状の予防方法。
50.疾患、障害、及び病状が、神経筋疾患、疼痛、精神的疾患、泌尿器系障害、炎症、及び皮膚疾患から選択される、実施形態49に記載の方法。
51.障害がうつ病である、実施形態49に記載の方法。
52.病状が心不整脈である、実施形態49に記載の方法。
53.実施形態1~48のいずれか1つに記載の医薬組成物を、美容的処置を必要とする被検体に投与する工程を含む、美容的処置の方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)クロストリジウムボツリヌス毒素血清型E(BoNT/E)である、クロストリジウムボツリヌス毒素活性成分と、
(ii)ポロキサマー界面活性剤と、
(iii)約0.1~0.3質量%のメチオニンと、
を含み、タンパク質担体を含まない、固体医薬組成物であって、
前記固体医薬組成物が、水性担体により再構成後に皮下または筋肉内への注入に適しており、及び前記固体医薬組成物が、40℃で少なくとも1ヶ月間安定である、上記固体医薬組成物。
【請求項2】
クロストリジウムボツリヌス毒素活性成分が、複合タンパク質が結合していない約150kDaの神経毒素成分を含む、請求項1記載の固体医薬組成物。
【請求項3】
さらに塩を含む、請求項1記載の固体医薬組成物。
【請求項4】
塩がNaClを含む、請求項3記載の固体医薬組成物。
【請求項5】
ポロキサマー界面活性剤がポロキサマー188を含む、請求項1記載の固体医薬組成物。
【請求項6】
さらに二糖を含む、請求項1記載の固体医薬組成物。
【請求項7】
二糖がスクロース又はトレハロースから選択される、請求項6記載の固体医薬組成物。
【請求項8】
二糖がトレハロースを含む、請求項6記載の固体医薬組成物。
【請求項9】
水性担体が緩衝剤を含む、請求項1記載の固体医薬組成物。
【請求項10】
緩衝剤がヒスチジン緩衝剤を含む、請求項9記載の固体医薬組成物。
【請求項11】
(i)クロストリジウムボツリヌス毒素血清型E(BoNT/E)と、
(ii)約0.5~8質量%のポロキサマー界面活性剤と、
(iii)約0.1~0.3質量%のメチオニンと、
を含む、請求項1記載の固体医薬組成物。
【請求項12】
(i)クロストリジウムボツリヌス毒素血清型E(BoNT/E)と、
(ii)ヒスチジン緩衝剤と、
(iii)約0.5~8質量%のポロキサマー界面活性剤と、
(iv)約0.1~0.3質量%のメチオニンと、
を含む、請求項1記載の固体医薬組成物。
【請求項13】
(i)クロストリジウムボツリヌス毒素血清型E(BoNT/E)と、
(ii)ヒスチジン緩衝剤と、
(iii)約0.5~8質量%のポロキサマー188と、
(iv)約0.1~0.3質量%のメチオニンと、
を含む、請求項1記載の固体医薬組成物。
【請求項14】
(i)クロストリジウムボツリヌス毒素血清型E(BoNT/E)と、
(ii)ヒスチジン緩衝剤と、
(iii)約0.5~8質量%のポロキサマー188と、
(iv)約0.1~0.3質量%のメチオニンと、
(v)NaClと、
を含む、請求項4記載の固体医薬組成物。
【請求項15】
(i)クロストリジウムボツリヌス毒素血清型E(BoNT/E)と、
(ii)ヒスチジン緩衝剤と、
(iii)約0.5~8質量%のポロキサマー188と、
(iv)約0.1~0.3質量%のメチオニンと、
(v)トレハロースと、
を含む、請求項7記載の固体医薬組成物。
【請求項16】
(i)クロストリジウムボツリヌス毒素血清型E(BoNT/E)と、
(ii)20mMのヒスチジン緩衝剤と、
(iii)約4質量%のポロキサマー188と、
(iv)約0.2質量%のメチオニンと、
(v)約8質量%のトレハロースと、
(vi)約0.2質量%のNaClと、
を含む、請求項1記載の固体医薬組成物。
【請求項17】
(i)クロストリジウムボツリヌス毒素血清型E(BoNT/E)と、
(ii)20mMのヒスチジン緩衝剤と、
(iii)約4質量%のポロキサマー188と、
(iv)約0.2質量%のメチオニンと、
(v)約2質量%のトレハロースと、
(vi)約0.2質量%のNaClと、
を含む、請求項1記載の固体医薬組成物。
【請求項18】
(i)クロストリジウムボツリヌス毒素血清型E(BoNT/E)と、
(ii)20mMのヒスチジン緩衝剤と、
(iii)約4質量%のポロキサマー188と、
(iv)約0.2質量%のメチオニンと、
(v)約8質量%のトレハロースと、
(vi)約0.6質量%のNaClと、
を含む、請求項1記載の固体医薬組成物。
【請求項19】
凍結乾燥又は真空乾燥されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の固体医薬組成物。
【外国語明細書】