(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179526
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ダウンフロー型水素化処理反応器のための改良された混合デバイス
(51)【国際特許分類】
B01J 8/00 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B01J8/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022149080
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2019511865の分割
【原出願日】2017-08-30
(31)【優先権主張番号】62/382,728
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、スティーブ シュギ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュニアー、パリミ
(72)【発明者】
【氏名】ブレイグ、ティモシー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】サフォード、ブレット マイケル
(57)【要約】
【課題】ダウンフロー型水素化処理反応器のための改良された渦式混合デバイスを提供すること。
【解決手段】本発明によれば、多床ダウンフロー型触媒反応器のための混合デバイスであって、トッププレート34と、トッププレートと平行に延びるベースプレート32と、混合デバイスの内部領域内に収容された複数の内向きベーン36と、混合領域とを有し、ベースプレートの内面から延びる堰リングも、トッププレートの内面から延びるバブルキャップも有していない混合デバイスが提供される。このデバイスは、先行技術のデバイスと比較して、デバイスにおける圧力損失を減らしつつ、二相系の気相および液相の混合における既存の混合容積の全体としての混合効率の改善を提供する。典型的な水素化処理の用途として、水素化精製、水素化仕上げ、水素化分解、および水素化脱ロウが挙げられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多床ダウンフロー型触媒反応器のための混合デバイスであって、
a)内面と外周部とを有するトッププレートと、
b)前記トッププレートと平行に延びるベースプレートであって、内面と、外周部と、ベースプレート開口部とを有し、前記トッププレートおよび前記ベースプレートは、前記混合デバイスの内部領域を画成するように所定の距離だけ離されている、ベースプレートと、
c)前記混合デバイスの前記内部領域内に収容され、前記トッププレートの前記内面および前記ベースプレートの前記内面に垂直に延び、かつ前記トッププレートの前記内面および前記ベースプレートの前記内面の間に挿入された複数の内向きベーンであって、前記トッププレートおよび前記ベースプレートの前記外周部から前記ベースプレート開口部へと内側に向けられ、かつ前記ベースプレート開口部から前記トッププレートおよび前記ベースプレートの前記外周部まで延びる領域にわたって間隔をあけられている複数の内向きベーンと、
d)混合領域と
を有し、
前記ベースプレートの前記内面から延びる堰リングも、前記トッププレートの前記内面から延びるバブルキャップも有していない、混合デバイス。
【請求項2】
前記ベースプレート開口部が円形である、請求項1に記載の混合デバイス。
【請求項3】
前記ベーンが直線状であり、または湾曲している、請求項1に記載の混合デバイス。
【請求項4】
前記ベーンが内側へと湾曲している、請求項3に記載の混合デバイス。
【請求項5】
各ベーンが、前記トッププレートの前記外周部に隣接する外側端部と、前記混合領域に隣接する内側端部とを有し、前記混合デバイスが、隣り合うベーンと、前記それぞれのベーンの前記対応する内側端部および外側端部とによって画定される領域として定義される複数の入口領域をさらに有する、請求項1に記載の混合デバイス。
【請求項6】
前記混合領域は、前記入口領域を定義する領域を除いた前記トッププレートと前記ベースプレートとの間の領域として定義される、請求項5に記載の混合デバイス。
【請求項7】
各ベーンの前記内側端部が、隣接するベーンの前記外側端部と半径方向において重なっている、請求項5に記載の混合デバイス。
【請求項8】
内面を有する反応器シェル内に収容された上方および下方触媒床と、
前記上方および下方触媒床の間に挿入された床間分散アセンブリと
を有する多床ダウンフロー型触媒反応器であって、
前記床間分散アセンブリは、請求項1に記載の混合デバイスを有し、前記混合デバイスは、収集プレートの上方に取り付けられ、かつ前記収集プレートと流体密封連絡し、前記収集プレートは、収集プレート開口部と、前記収集プレート開口部に隣接して前記収集プレートから延びるライザとを有し、前記ライザは、前記ベースプレート開口部を通って前記混合デバイスの前記混合領域へと延びる、多床ダウンフロー型触媒反応器。
【請求項9】
前記ベースプレート開口部、前記収集プレート開口部、および前記ライザがそれぞれ円形であり、前記ベースプレート開口部の直径が前記ライザの直径よりも大きい、請求項8に記載の反応器。
【請求項10】
前記ベーンが直線状であり、または湾曲している、請求項8に記載の反応器。
【請求項11】
前記ベーンが内側へと湾曲している、請求項10に記載の反応器。
【請求項12】
前記混合デバイスの各ベーンが、前記トッププレートの前記外周部に隣接した外側端部と、前記混合領域に隣接した内側端部とを有し、前記混合デバイスが、隣り合うベーンと、前記それぞれのベーンの前記対応する内側端部および外側端部とによって画定される領域として定義される複数の入口領域をさらに有する、請求項8に記載の反応器。
【請求項13】
前記混合デバイスの混合領域は、前記入口領域を定義する領域を除いた前記トッププレートと前記ベースプレートとの間の領域として定義される、請求項12に記載の反応器。
【請求項14】
各ベーンの前記内側端部が、隣接するベーンの前記外側端部と半径方向において重なっている、請求項12に記載の反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ダウンフロー型水素化処理反応器(down-flow hydroprocessing reactor)のための改良された渦式(ボルテックス)混合デバイスが開示される。このようなダウンフロー型水素化処理反応器は、高い温度および圧力において水素の存在下で炭化水素系原料の触媒反応を実行するために石油および化学処理産業において使用されている。適切な水素化処理の用途として、水素化精製、水素化仕上げ、水素化分解、および水素化脱ロウが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
固定床水素化処理反応器においては、気体および液体反応物(例えば水素および炭化水素系原料)が、固体触媒の1つ以上の床(bed)を通って下方へと流れる(例えばPenickの米国特許第4,597,854号明細書を参照)。
【0003】
反応物が反応器の触媒床を通って下方へと流れるにつれ、反応物が触媒物質と接触して反応し、所望の生成物を生み出す。水素などの気体反応物が消費され、触媒反応によって熱が発生する。反応器を通って下方へと移動するときの原料の温度を制御することは、得られる生成物の質および量が目標の製品に向けて最大化されることを保証するために重要である。
【0004】
温度の上昇を抑え、反応によって消費された水素を補給するために、低温の水素豊富な気体を触媒床間に導入することができる。全体としての反応器の性能を維持するために、反応器内の流体の温度は可能な限り均一であるべきであり、液体および気体は、性能を最大にするために充分に混合されるべきである。床間の流体の混合が不充分であると、反応器の動作がさまざまな様相で制限される可能性がある。半径方向の温度差を床間の混合によって消すことができない場合、これらの差は、プロセス流体が反応器を下方へと移動するときに持続し、あるいは増大する。床にホットスポットが存在すると、その領域の触媒が急速に失活し、反応器の総サイクル長が短くなる可能性がある。生成物の選択性が、典型的には高温において劣る。例えば、高温領域は、色、粘度、および他の製品品質を規格外にする可能性がある。またいずれかの場所において温度が特定の値(典型的には800~850°F)を超えると、発熱反応が自己加速的になり、触媒、容器、または下流の機器を損傷させかねない暴走現象につながる可能性がある。
【0005】
これらの危険性ゆえに、劣悪な反応器内部ハードウェアにて操業する精製業者は、劣悪な床間の流体の混合の有害な影響を回避するために、歩留まりおよび/または処理量を犠牲にしなければならない。反応器の不均一な温度分布およびホットスポットは、触媒床間での反応物の混合および均衡化、温度および流れの不均一な分布の修正、ならびに圧力損失の最小化によって、最小限に抑えることができる。触媒床間の流体の混合は、分散器アセンブリ(ディストリビューターアセンブリ)および混合室を使用することによって達成することができる。設計をはるかに超える供給速度で水素化処理ユニットを運転することを命じる今日の精製所の経済学において、最適な床間の流体の混合は、貴重な低コストでのボトルネックの解消である。
【0006】
分散器アセンブリを、多床の触媒反応器の床(ベッド)間の領域で流体を集め、混合し、分配するために使用することができる。分散器アセンブリは一般に、上方の触媒床から流れる液体および気体を集めて混合するためのトラフと、トラフにおいて中央に配置され、トラフから液体を受け取って液体および気体をさらに混合する混合デバイスまたは混合室とを含む。
【0007】
混合デバイスは、流体/気体の効率的かつ徹底的な混合をもたらし、ホットスポットおよび良好でない温度分布の回避に役立つため、多くの分散器アセンブリの重要な構成要素である。
【0008】
混合デバイスは、トラフから液体を受け取るための少なくとも1つの入口と、下方の触媒床へと流れを向けるための少なくとも1つの出口とを有する。混合デバイスの設計はさまざまであり、例えば流体および気体の方向を変えることによって混合を促進するリボンブレンダ(ribbon blender)およびディスクアンドドーナツ(disk-and-donut)型ミキサなどのバッフルミキサの設計が挙げられる。
【0009】
別の種類のミキサは、遠心式または渦式の設計である。この種のミキサにおいては、反応器を通って下方へと流れる液体および気体の流れが集められ、円形のチャンバへと導入され、チャンバにおける数回の回転の後に、中央に位置する開口部を下方へと通過する。
【0010】
存在する場合、混合デバイスは、一般に、反応器内の触媒床の間の床間空間に位置する。多くの反応器において、床間空間は、支持梁、配管、および床間空間を占める他の障害物の存在ゆえ、制限されている。これらの空間的制約ゆえ、利用可能な空間に適合するように拡大縮小された混合デバイスなど、独自のハードウェアが、限られた容積において効率的な二相混合を実行するために必要とされる。さらに、より背が低い分散器アセンブリであれば、同じ反応器の容積において触媒の装てん量を増やすことができ、したがって反応器容積の利用を改善することができる。
【0011】
さまざまな種類の混合デバイスが、いくつかの特許に記載されている。例えば、米国特許出願公開第2014/0231308号明細書を参照されたい。本発明は、米国特許第9,079,141号明細書および第8,017,095号明細書に記載の混合デバイスなどの先行技術の渦式混合デバイスに対する特定の改良を提供する。
【0012】
良好な触媒寿命、高処理量、長いサイクル長、および全体としての反応器の性能のために、充分な床間の流体の混合が重要であるがゆえに、改良された混合デバイスが必要とされている。上下方向の寸法が小さく、かつデバイスにおける圧力損失が少ないにもかかわらず、床間空間が限られている既存の反応器への後付けでの設置が可能である混合デバイスについて、継続的なニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4,597,854号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0231308号明細書
【特許文献3】米国特許第9,079,141号明細書
【特許文献4】米国特許第8,017,095号明細書
【発明の概要】
【0014】
本発明は、ダウンフロー型水素化処理反応器のための渦式混合デバイスに関する。この混合デバイスは、多床反応器内の触媒床間の空間における流体のより効果的な混合を提供する。この混合デバイスは、他の渦式混合デバイスと比較して、混合デバイスにおける圧力損失を軽減しつつ、二相系の気相および液相の混合における既存の混合容積の効果的な混合を提供する。このデバイスは、サイズが比較的小さいがゆえに後付けの用途によく適し、また多床反応器の床間空間において効率的な流体の混合を達成するように新規の反応器の設計に合わせて拡大縮小することも可能である。例えばフローノズルなどの多床ダウンフロー型反応器のさらなる混合および分配の構成要素と併せて、この混合デバイスは、液相および気相の効果的な混合ならびに気相および液相の互いの混合を提供する。
【0015】
この混合デバイスは、内面を有するトッププレートと、トッププレートと平行に延びるベースプレートとを含む。ベースプレートは、内面およびベースプレート開口部を有する。トッププレートおよびベースプレートの両方が、各々のプレートの外縁部を定める外周部を有する。複数の内向きベーン(羽根)が、トッププレートおよびベースプレートの内面に垂直に延び、かつトッププレートおよびベースプレートの内面の間に介在し、またトッププレートおよびベースプレートは、ベーンおよび反応器流体を受け入れる内部領域がプレート間に存在するように離されている。ベーンは、トッププレートおよびベースプレートの外周部からベースプレート開口部へと内側に向けられ、ベースプレート開口部からトッププレートおよびベースプレートの外周部まで延びる領域にわたって間隔をあけて配置されている。この混合デバイスは、おおむねベースプレート開口部から混合デバイスの入口領域まで延びる混合領域を含み、入口領域は、隣り合うベーンの間にある。例えば米国特許第9,079,141号明細書などの特定の先行技術のデバイスと対照的に、本発明の混合デバイスは、ベースプレートの内面から延びる堰リングまたはトッププレートの内面から延びるバブルキャップを備えない。
【0016】
さらに、本発明は、内面を有する反応器シェル内に収容された上方および下方触媒床と、上方および下方触媒床の間に介在する床間分散アセンブリとを有する多床ダウンフロー型触媒反応器であって、床間分散アセンブリが本発明による混合デバイスを含んでいる多床ダウンフロー型触媒反応器に関する。
【0017】
図1~
図7が、本発明による混合デバイスの代表図を示す。本発明の範囲は、これらの代表図によって限定されず、本出願の特許請求の範囲によって定められると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】多床触媒反応器内に配置された本発明の混合デバイスの実施形態の概略図である。
【
図3】本発明の混合デバイス26の半分の斜視図である。
【
図4A】任意付加的なトッププレートの穴を示す本発明の混合デバイスの別の上面図である。
【
図5】本発明の内側へと湾曲したベーンの配置を示す上面図である。
【
図6】本発明によるスロット付きのライザの配置を示す収集プレートの斜視図である。
【
図7】ライザの詳細を示す収集プレートの一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の渦式混合デバイスは、技術的に公知の渦式混合デバイスを超える利点をもたらす。そのような利点として、反応器内での上下方向の寸法の縮小(床間の分散器アセンブリによって占められる反応器容積の削減)、高処理量、混合の強化、圧力損失の減少、および全体としての反応器の性能の向上が挙げられる。具体的な実施形態および利点は、本明細書に提示される詳細な説明から明らかである。しかしながら、詳細な説明、図面、および特定の例は、いくつかの好ましい実施形態を含む有益な実施形態を示し、あくまでも例示を目的としたものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではないことを、理解すべきである。
【0020】
本発明は、多床(マルチベッド)水素化処理反応器のための渦式混合デバイスに関する。多床ダウンフロー型反応器10の一部分の断面図が、
図1に示されている。反応器10は、容器シェル12と、充填触媒押出成形物を含む上方および下方の触媒床(それぞれ、14および16)とを含む。各々の触媒床14、16は、支持格子と、随意によるスペースクロスおよびスクリーンとで構成された格子スクリーンアセンブリ18(触媒床14についてのみ図示されている)上に支持され、これらはすべて技術的に周知である。格子スクリーンアセンブリは、反応器容器の内壁22へと水平に取り付けられて触媒床14へと上方に延びる平行な支持梁20上に取り付けられる。
【0021】
床間分散アセンブリ24が、上下方向において触媒床14、16の間に配置される。床間分散アセンブリ24は、本発明の渦式混合デバイス26を含む。混合デバイス26は、触媒床14の下方に取り付けられており、かつ上方の触媒床から流れ落ちる液体および気体を受け取って混合するように構成された収集プレート28と流体密封式に連絡する。冷却気体導入管30が、冷却気体(例えば水素)を混合デバイス26の上方の領域に分配する。
【0022】
図2が、混合デバイス26の断面図であり、
図3が、混合デバイス26の半分、すなわち部位26aの斜視図であり、
図4が、混合デバイス26の上面図である。
図4Aは、混合デバイスの別の上面図を示しており、トッププレートに設けられ、トッププレートにわたって分布する穴74を示している。
【0023】
混合デバイスは、内面32aを有しかつ収集プレート28(
図1)に流体密封式に連絡するよう取り付けられたベースプレート32と、ベースプレート32に対して実質的に水平に延びるトッププレート内面34aを有するトッププレート34とを含む。トッププレートは、
図4Aに示されるように、気体の進入を可能にするように混合デバイスの上部にわたって分布するプレートの穴74を含んでもよい。収集プレート28は、上方の触媒床から流れ落ちた流体を収集する。
【0024】
互い違いに(千鳥状に)配置された、内側へ向けられた、またはより具体的には内側に湾曲した複数のベーン36が、ベースプレート内面32aとトッププレート内面34aとの間に固定して取り付けられ、ベースプレート内面32aとトッププレート内面34aとの間に垂直に延びている。ベーン36は、好ましくは、ベースプレート内面32aおよびトッププレート内面34aと流体密封式に連絡する。ベーンの数は、典型的には、3~8であり、好ましくは4~6である。
図4および
図4Aに示されるように、ベーンの数は6つであってよく、ベーンは、ベースプレートの外周部からベースプレート開口部46まで広がる領域にわたって分布している。ベーンは、直線状であっても、あるいは湾曲していてもよく、好ましくは内側へと湾曲している(
図4)。
【0025】
図4に示されるように、各々のベーンは、トッププレート34の外周部に隣接して取り付けられたベーンの外側端部38と、混合デバイス26の混合領域(本明細書において後述される)に隣接して位置する内側端部40とを有する。ベーン36間の開放空間が、一連の混合デバイス入口領域42を定め、各々の入口領域42は、隣り合うベーン36と、それらのそれぞれの内側端部38および外側端部40とによって画定される領域として定義される。
【0026】
収集プレート28は、縁部によって定められた開口部60と、収集プレート開口部60に隣接して位置するライザ(直立部)62とを含み、ライザ62は、収集プレート28から遠ざかるように混合領域へと延びている。ライザ62は上縁部64を有し、混合領域内に位置している。ライザの高さは、典型的には、トッププレートとベースプレートとの間の距離の25~75%である。
図6に示されるように、収集プレート開口部およびライザは、円形であってよく、ライザは、ライザ管と称される。ライザは、典型的には、ライザの上縁部の周囲を巡って間隔をあけて位置する上縁部のスロット58を含む(
図2および
図7)。収集プレート開口部60は、それぞれ直径60aを有する(
図2)。
【0027】
動作時に、炭化水素系の液体供給物が、触媒床14から格子スクリーンアセンブリ18を通って環状の収集プレート28へと落下する。冷却気体導入管30を介して導入された冷却気体(例えば水素ガス)と混合した上方の触媒床14からのガスが、収集プレート28上に集まった液体と触媒床14との間の空隙を満たす。
【0028】
液体および気体は、混合デバイス入口領域42を介して混合デバイス26に進入し、ここでベーン36は、液体および気体が混合デバイス26の混合領域に進入するときに弓状または円形の流れのパターンで流れるように、液体および気体を接線方向に向ける。液体および気体は、ライザ管上端部64を乗り越えてライザ管62内へと流れる。気体および液体は或る程度まで混ざり合って、ライザ管62から下方に、典型的には複数の穿孔、下降管、またはノズルを含むトレイへと流れ、次いで下方の触媒床16へと流れる。ライザ62の内面は、典型的には、ライザ62内を下方へと流れるときの気体/液体の混合をさらに改善するために、穿孔されたらせんプレートを含む。
【0029】
本明細書に記載の混合デバイス26は、1日あたり数千または数万バレル(1バレル=43ガロン;164L)の原料を処理するように設計された大型の水素化処理反応器において使用されるように意図されている。典型的には、混合デバイス26は、直径が数フィートであってよく、デバイス26を製作するために使用される材料(例えば1/4インチ~1/2インチの鋼板)のため、製作されたときに数百ポンド(lbs)の重量となり得る。
【0030】
本発明の混合デバイス26を、最終的なデバイス26の製造を達成するように個々の構成部品を互いに溶接または他の方法で取り付けることによって、現場で製造することができる。この方法を用いた現場でのデバイス26の製造は、数日を要する可能性があり、反応器ユニットの稼働を遅らせる。デバイス26が既存の反応器の設計の更新または改良に使用される場合、(反応器内に残る残余の炭化水素物質の発火の可能性などの安全上の懸念ゆえに)反応器容器内で行われる組み立ての量を減らすことが望ましい。
【0031】
新規の反応器の製造または既存の反応器の改良に必要な時間を減らすために、混合デバイス26の一部分が、好ましくはサブアセンブリを形成するように予め組み立てられ、これらのサブアセンブリが反応器へと挿入されて組み立てられ、最終的な混合デバイス26が形成される。
【0032】
図2、
図3、および
図4に示される一実施形態において、混合デバイス26は、それぞれが混合デバイス26の半分を呈する2つの混合デバイスサブアセンブリ26a、26bから形成されている。各々のサブアセンブリ26a、26bは、それぞれ1つ以上のリフトラグ66および68を備える。リフトラグ66、68は、サブアセンブリを反応器内へと下降させ、サブアセンブリを所定の場所へと移動させることができるホイスト、クレーン、または他のデバイスに、各々のサブアセンブリ26a、26bを取り付けるために設けられる。
【0033】
各々のサブアセンブリ26a、26bは、対をなすフランジ70および72をそれぞれ備え、フランジ70および72は、稼働時にサブアセンブリ26a、26bを動かぬように保持するようにナット/ボルトの組み合わせ(または、そのような他の適切な固定デバイス)を挿入することができる複数の開口を含み、またサブアセンブリ26a、26bは、稼働期の間の保守の際に混合デバイス26の上方および下方の領域へのアクセスを可能にするために分解することができる。混合デバイス26は、ベースプレート32の周囲のスロットを収集プレート上の取り付けポイント76と位置合わせすることによって収集プレートに取り付け可能である。
【0034】
内側へと湾曲したベーン36の配置が、
図5に示される。当業者によって使用されるプロセス流体計算によって規定される混合デバイス26の外径を表す円R1が、やはりプロセス流体計算によって規定される混合デバイス入口領域42の内径を表す円R3とともに図示されている。円R2は、R1とR3との間の半径方向距離の半分に位置している。
【0035】
図5の角度「A」は、1つのベーンの外側端部について、隣接するベーンの内側端部との角度オフセットを表しており、これが、ベーンの内側端部40について、隣接するベーンの外側端部38の大径部分との半径方向の「重なり」をもたらす(
図4を参照)。必ずしも特定の値に限定されないが、適切な角度Aの値は、4ベーン・システムにおいて15°であってよく、6ベーン・システムにおいて10°であってよく、8ベーン・システムにおいて8°であってよい。角度「B」は、ベーン36がR1とR3との間の領域において占める半径方向距離を表す。角度Bの代表的な値は、360°/(ベーンの数)であるが、これに限られるわけではない。角度「A」において、ベーン36の内面がR1と交わる。角度「A」および「B」の和(A+B)である角度において、ベーン36の内面がR3と交わる。A+B/2に等しい角度において、ベーン36の内面はR2と交わる。
【0036】
重なり領域における隣接ベーン間の距離「D」(すなわち
図5における距離R1-R3)を、入口領域42を定義するために変化させることができる(
図4および
図5)。本発明の1つの観点において、距離「D」は、先行技術の渦式混合デバイスよりも大きく、とくには米国特許第9,079,141号明細書に記載の混合デバイスよりも大きい。好ましくは、「D」は、そのような先行技術のデバイスよりも少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約10%大きい。
【0037】
本発明の実施形態の以上の説明は、主に例示を目的としており、本発明の本質を依然として取り入れていると考えられる多数の変種が使用可能であることが理解される。本発明の範囲を決定する際には、添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
【外国語明細書】