(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179570
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像方法、及び撮像プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20221125BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221125BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221125BHJP
G03B 17/38 20210101ALI20221125BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20221125BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20221125BHJP
【FI】
H04N5/232
H04N5/225 100
G03B15/00 R
G03B17/38 B
G03B17/02
G03B17/56 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156281
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2019036439の分割
【原出願日】2019-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】梨本 裕明
(57)【要約】
【課題】周辺環境を迅速に記録できる撮像装置、撮像方法、及び撮像プログラムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る撮像装置1は、周辺環境を撮像して画像データを生成するカメラユニット11と、カメラユニット11を支持する吸着部12であって、吸着部12と被吸着面9との間に減圧された密閉空間91が形成されることで被吸着面9に固定される吸着部12と、カメラユニット11を収容する収容部124と、収容部を回転自在に支持する支持部123と、密閉空間91の圧力を検出する圧力検出部15と、圧力検出部15によって検出された圧力が予め定められた開始条件を満たす場合に、記録部140への画像データの出力を開始する制御ユニット13と、を備え、吸着部12と支持部123は遮光性を有し、吸着部12は、支持部123と接合される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺環境を撮像して画像データを生成するカメラユニットと、
前記カメラユニットを支持する吸着部であって、前記吸着部と被吸着面との間に減圧された密閉空間が形成されることで前記被吸着面に固定される前記吸着部と、
前記カメラユニットを収容する収容部と、
前記収容部を回転自在に支持する支持部と、
前記密閉空間の圧力を検出する圧力検出部と、
前記圧力検出部によって検出された圧力が予め定められた開始条件を満たす場合に、記録部への前記画像データの出力を開始する制御部と、を備え、
前記吸着部と前記支持部は、遮光性を有し、前記吸着部は、前記支持部と接合される、
撮像装置。
【請求項2】
前記収容部は、先端が球状に形成され、
前記支持部は、軸方向に貫通穴を有し、当該貫通穴の一部分に、形成された前記収容部の先端と同じ球状の空間に前記収容部の先端を収めることで、前記収容部を回転自在に支持する、
請求項1に記載の撮像装置
【請求項3】
前記画像データに基づいて生成されるフレーム画像の明るさを判定する明るさ判定部をさらに備え、
前記制御部は、前記圧力検出部によって検出された圧力が前記開始条件を満たす場合であっても、前記フレーム画像の明るさが予め定められた明るさ基準を満たさない場合には、前記記録部への前記画像データの出力を開始しない、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記圧力検出部によって検出された圧力が予め定められた停止条件を満たした場合には、前記記録部への前記画像データの出力を停止する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
警告信号を出力する警告部をさらに備え、
前記制御部は、前記圧力検出部によって検出された圧力が予め定められた警告条件を満たした場合には、前記警告部に前記警告信号を出力させる、
請求項1に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像方法、及び撮像プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウェアラブルカメラやアクションカメラのような、周囲の状況を記録するための
小型の撮像装置が知られている。特許文献1には、自動車や電車などの移動体や建物の窓
ガラスに取り付けることで、ガラス越しに風景を撮像できる電子カメラが開示されている
。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周囲の状況を記録するための撮像装置について、装置の起動や画像の記録を迅速に開始したいという要望がある。しかしながら、特許文献1に記載の電子カメラは、窓ガラスに取り付けられた後にユーザがシャッタ操作を行うことで初めて撮像が開始されるため、電子カメラによる撮像の記録を素早く開始できないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、周辺環境を迅速に記録できる撮像装置、撮像方法、及び撮像プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る撮像装置は、周辺環境を撮像して画像データを生成するカメラユニットと、前記カメラユニットを支持する吸着部であって、前記吸着部と被吸着面との間に減圧された密閉空間が形成されることで前記被吸着面に固定される前記吸着部と、前記カメラユニットを収容する収容部と、前記収容部を回転自在に支持する支持部と、前記密閉空間の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力検出部によって検出された圧力が予め定められた開始条件を満たす場合に、記録部への前記画像データの出力を開始する制御部と、を備え、前記吸着部と前記支持部は、遮光性を有し、前記吸着部は、前記支持部と接合される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、周辺環境を迅速に記録できる撮像装置、撮像方法、及び撮像プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】撮像装置が電車に設置されている様子を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る撮像装置の構成を表す模式断面図である。
【
図3】被吸着面に吸着させた第1の実施形態に係る撮像装置を表す模式断面図であ る。
【
図4】
図3の状態から傾けた第1の実施形態に係る撮像装置を表す模式断面図であ る。
【
図5】第1の実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】第1の実施形態に係る撮像装置の制御フローを示すフロー図である。
【
図7】第2の実施形態に係る撮像装置の構成を表す模式断面図である。
【
図8】被吸着面に吸着させた第2の実施形態に係る撮像装置を表す模式断面図であ る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る撮像装置1が電車Tに設置されている様子を示す概略図、
図2は、撮像装置1の詳細な構成を表す模式断面図である。本実施形態に係る撮像装置1は、車窓や家屋の窓などに吸着させ、吸着させた窓などを介して周辺環境を撮像する装置である。
図1の例では、撮像装置1は、電車Tの窓ガラスを被吸着面9として、被吸着面9に吸着されている。
【0011】
図1及び
図2に示すように、撮像装置1は、カメラユニット11と、吸着部12と、制御ユニット13と、を含む。カメラユニット11は、被吸着面9を介して電車Tの外側における周辺環境を撮像して画像データを生成する。なお、その視野は、例えば一点鎖線で示すように対角130ー程度の拡がりを有する。吸着部12は、カメラユニット11を支持し、撮像装置1と被吸着面9との間に減圧された密閉空間を形成することで被吸着面9に固定される。制御ユニット13は、密閉空間の圧力が予め定められた開始条件を満たした場合に、記録部への画像データの出力を開始する。このような構成によれば、撮像装置1を被吸着面9に吸着させた時点から、撮像装置1による撮像及び記録を開始することができる。したがって、周辺環境を迅速に撮像して記録することができる。
【0012】
図2に示すように、撮像装置1は、圧力検出部15を備える。また、カメラユニット11はレンズ111を有し、制御ユニット13に連結されている。吸着部12は、吸盤121と、透明板122と、支持部123と、収容部124と、を有する。なお、一点鎖線は、カメラユニット11が撮像可能な撮像方向を示している。
【0013】
収容部124は、内部に空間を有する容器状の部材である。収容部124の先端は球状に形成されている。使用時において、カメラユニット11は収容部124の内部に収容される。カメラユニット11のレンズ111は、収容部124の先端側に配置される。
【0014】
支持部123は、軸方向に貫通穴を有する筒状部材であって、当該貫通穴の一部分には、収容部124の先端と同じ球状の空間が形成されている。支持部123に形成された球状の空間内に収容部124が収容されることで、支持部123と収容部124は回転自在に嵌合される。
【0015】
吸盤121は、可撓性の樹脂材料等で一体的に、ドーム状あるいはスカート状に形成された吸盤である。吸盤121の外周縁部は、被吸着面9に押圧されることで被吸着面9に吸着する。また、吸盤121の凸側の部分には開口部が形成されており、当該開口部には透明板122が嵌め込まれている。吸盤121の凸側の部分及び透明板122は、支持部123と接合されている。
【0016】
吸着部12のうち、透明板122と収容部124のうち少なくとも撮影方向側は、アクリルやガラスなどの透明な材料で形成されている。また、支持部123のうち少なくとも撮像方向側は開口されている。したがって、吸着部12は、カメラユニット11の光路を遮ることなく、カメラユニット11を支持する。なお、吸盤121及び支持部123は、周りからの光を遮断する遮光性を有することが好ましい。吸盤121及び支持部123が遮光性を有することによって、撮像方向以外からの光の差し込みを抑制し、カメラユニット11の画質を向上させることができる。
【0017】
圧力検出部15は、周囲の気圧を検出する素子である。圧力検出部15は、例えばピエゾ抵抗式の気圧センサであって、吸盤121の内側に配置されている。圧力検出部15は、吸盤121の内側の気圧を検出し、その気圧に対応した電圧信号を有線または無線通信を介して制御ユニット13へと出力する。
【0018】
図3は、被吸着面9に固定された撮像装置1を表す模式断面図である。
図3に示すように、吸着部12は、外部から吸着方向に押圧されることで、被吸着面9との間に減圧された密閉空間91が形成され、被吸着面9に固定される。このとき、圧力検出部15は密閉空間91の圧力を検出する。密閉空間91は、吸盤121、透明板122、及び被吸着面9に囲まれて密閉された空間である。また、吸着方向とは、
図3の左矢印の通り、吸着部12から被吸着面9に向かう方向である。
【0019】
吸着部12は、外部から脱離方向に引っ張られることで、吸盤121と被吸着面9とが引きはがされ、被吸着面9から脱離される。脱離方向とは、
図3の右矢印の通り、被吸着面9から吸着部12に向かう方向である。
【0020】
図4は、被吸着面9に固定されたカメラユニット11を傾けたときの撮像装置1を表す模式断面図である。
図4に示すように、収容部124を支持部123の内壁に沿って回転させることで、カメラユニット11の撮像方向を回転させることができる。支持部123の内壁及び収容部124の先端が球形に形成されている場合、カメラユニット11は鉛直方向及び水平方向に回転できる。
【0021】
なお、
図2~
図4の例では、吸着部12は透明板122を備えるものとして説明したが、吸着部12は透明板122を有さなくてもよい。この場合、吸盤121と支持部123と収容部124と被吸着面9とで囲まれて密閉された空間が減圧されることで、吸着部12が被吸着面9に吸着する。また、この場合は、支持部123と収容部124の間にグリスのような潤滑剤を塗布することで、密閉空間の気密性を損なわずに収容部124を回転させることができる。
【0022】
次に、撮像装置1の制御システムについて説明する。
図5は、撮像装置1のシステム構成を表すブロック図である。
図5に示すように、撮像装置1の制御システムは、主にカメラユニット11と制御ユニット13と圧力検出部15とで構成される。また、本実施形態に係る撮像装置1は、カメラユニット11及び制御ユニット13の他に、記録部140及び警告部141を更に備える。
【0023】
カメラユニット11は、主にレンズ111、撮像素子112、及びAFE(アナログフロントエンド)113を備える。制御ユニット13は、制御部131、画像入力IF(インターフェイス)132、ワークメモリ133、システムメモリ134、画像処理部135、画像出力部136、明るさ判定部137、バスライン138、及び検出信号IF139を主に備える。
【0024】
検出信号IF139は、圧力検出部15が出力した電圧信号を逐次取得する電圧信号取得部としての機能を担い、制御ユニット13と接続されている圧力検出部15から電圧信号を取得して、制御部131へと引き渡す。制御部131は、圧力検出部15からの電圧信号を電圧値に変換し、圧力値に換算することで、吸盤121の内側の圧力を把握することができる。すなわち吸着時には、制御部131は密閉空間91の圧力を把握することができる。
【0025】
制御部131は、例えばCPUであり、カメラユニット11及び制御ユニット13を構成する各要素を直接的または間接的に制御する。例えば制御部131は、吸盤121の内側の圧力が、予め定められた開始条件を満たすか否かを判定する。開始条件が満たされたと判断した場合、制御部131は、画像データの生成を開始するようにカメラユニット11を制御する。
【0026】
カメラユニット11のレンズ111は、入射する被写体光束を撮像素子112へ導く光学素子である。レンズ111は、複数の光学レンズ群から構成されていても良い。撮像素子112は、例えばCMOSイメージセンサである。撮像素子112は、制御部131から指定される1フレームあたりの露光時間に従って電子シャッタにより電荷蓄積時間を調整し、光電変換を行って画素信号を出力する。撮像素子112は、画素信号をAFE113へ引き渡す。AFE113は、画素信号を制御部131から指示される増幅ゲインに応じてレベル調整してデジタルデータへA/D(アナログ/デジタル)変換し、画像データ
として制御ユニット13へ送信する。なお、カメラユニット11は、メカニカルシャッタや虹彩絞りを備えても良い。メカニカルシャッタや虹彩絞りを備える場合には、制御部131は、これらも利用して、撮像素子112へ入射する光量を調整することができる。
【0027】
画像入力IF132は、カメラユニット11が撮像した画像データを逐次取得する画像データ取得部としての機能を担い、制御ユニット13と接続されているカメラユニット11から画像データを取得して、バスライン138へ引き渡す。
【0028】
ワークメモリ133は、例えば揮発性の高速メモリによって構成される。ワークメモリ133は、AFE113から画像入力IF132を介して画像データを受け取り、1フレームの画像データとして記憶する。ワークメモリ133は、フレーム単位で画像処理部135へ画像データを引き渡す。また、ワークメモリ133は、画像処理部135が画像処理する途中段階においても一時的な記憶領域として適宜利用される。
【0029】
画像処理部135は、ワークメモリ133から受け取った画像データに対して各種の画像処理を施し、予め定められたフォーマットに即したフレーム画像を生成する。例えば、MPEGファイル形式の動画像データを生成する場合は、各フレームの画像データに対するホワイトバランス処理、ガンマ処理等を施した後に、各フレームの画像データ内および隣接フレームの画像データ間の圧縮処理を実行する。画像処理部135は、各処理を施したフレーム画像を逐次生成して、バスライン138へ引き渡す。
【0030】
画像出力部136は、制御部131からの指示があった場合に、ワークメモリ133から受け取った画像データを記録部140に出力する。あるいは、画像出力部136は、画像処理部135から受け取ったフレーム画像を再び画像データに変換して記録部140に出力してもよい。
【0031】
記録部140は、出力された画像データを記録可能な装置であって、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリとすることができる。なお、
図5には、記録部140が撮像装置1に備えられた例を示しているが、記録部140は撮像装置1の外部の端末に備えられていてもよい。この場合、画像出力部136は、例えば制御ユニット13に備えられた通信IF(不図示)を介して、無線又は有線通信によって画像データを外部の記録部140に出力する。
【0032】
警告部141は、制御部131からの指示があった場合に、警告信号を外部に出力する装置である。警告信号は、例えば音や光であって、ユーザに対して警告を報知するための信号である。
【0033】
明るさ判定部137は、画像処理部135から受け取ったフレーム画像の明るさを判定する。例えば、明るさ判定部137は、フレーム画像に含まれる各画素のYCbCr情報から輝度信号Yの値を抽出し、各画素の輝度の平均値をフレーム画像の明るさとする。明るさ判定部137は、求めたフレーム画像の明るさを制御部131に出力する。なお、明るさ判定部137は、フレーム画像に含まれる一部の画素を任意に抽出し、その画素における輝度の平均値をフレーム画像の明るさとして求めてもよい。また、明るさ判定部137は、各画素のYCbCr情報の代わりにRGB情報を取得し、一般に知られる変換式を
用いて、RGB情報を輝度情報に変換してもよい。このとき、明るさ判定部137は、RGB情報のうちGの値のみを変換することで画素の輝度値を近似的に求めてもよい。また、明るさ判定部137は、フレーム画像に含まれる各画素のYCbCr情報を明度情報に変換し、各画素の明度の平均値をフレーム画像の明るさとしてもよい。また、明るさ判定部137は、ワークメモリ133から受け取った画像データの各画素のYCbCr情報から輝度信号Yの値を抽出してフレーム画像の明るさを求めてもよい。
【0034】
システムメモリ134は、例えばSSD(ソリッドステートドライブ)などの不揮発性記録媒体により構成される。システムメモリ134は、撮像装置1の動作時に必要な定数、変数、設定値、制御プログラム等を記録、保持する。制御部131による制御は、システムメモリ134から読み出された制御プログラム等によって実現される。
【0035】
次に、撮像装置1の制御フローについて説明する。
図6は、撮像装置1の制御フローを示すフロー図である。このフローは、制御ユニット13が動作可能となった時点で開始する。制御ユニット13が動作可能となった時点とは、例えば、ユーザが撮像装置1の電源をオンにした時である。
【0036】
まず、ステップS10において、圧力検出部15は、吸盤121の内側の圧力を検出する。吸盤121が被吸着面9に吸着されている場合は、圧力検出部15は、密閉空間91の圧力を検出する。圧力検出部15は、吸盤121の内側の圧力に対応する電圧信号を、検出信号IF139を介して制御部131に出力する。制御部131は、受け取った電圧信号を電圧値の情報に変換することで、吸盤121の内側の圧力に関する情報を取得する。その後、ステップS20に進む。
【0037】
なお、ステップS10においては、圧力検出部15は、吸盤121の内側の圧力が予め設定された出力圧力閾値以上である場合には、電圧信号を制御部131に出力しなくてもよい。出力圧力閾値は、大気圧に近い圧力として設定することができ、例えば9ラ104Paとすることができる。このような構成においては、撮像装置1が被吸着面9に吸着されていないときに圧力検出部15が電圧信号を制御部131に出力しないため、撮像装置1の消費電力を抑えることができる。
【0038】
ステップS20に進んだ場合、制御部131は、圧力検出部15によって検出された圧力が予め定められた開始条件を満たすか否かを判定する。開始条件とは、吸盤121の内側の圧力が、吸着部12が被吸着面9に吸着する際に必要な圧力になったときに成立する条件である。
【0039】
例えば、圧力検出部15によって検出された圧力が、予め設定された吸着圧力値(例えば5ラ104Pa)以下であった場合に、開始条件が満たされるとすることができる。この例において、吸着圧力値の具体的な数値については、吸着部12の構造や物性等に依存して定められる。例えば、物理シミュレーションや予備実験によって決定することができる。
【0040】
圧力検出部15によって検出された圧力が上記の開始条件を満たす場合(ステップS20のYes)は、ステップS30に進み、制御部131は、画像データの生成等を開始する。一方、圧力検出部15によって検出された圧力が上記の開始条件を満たさない場合(ステップS20のNo)は、ステップS10に戻り、操作を繰り返す。このような構成においては、撮像装置1が被吸着面9に吸着するとともに画像データの生成等が開始されるため、迅速に画像データの出力を開始することができる。
【0041】
ステップS30に進んだ場合、制御部131はカメラユニット11を動作させ、周辺環境を撮像して画像データを生成させる。また、画像処理部135に対し、生成された画像データに各種画像処理を施させてフレーム画像を生成させる。その後、ステップS40に進む。
【0042】
ステップS40に進んだ場合、制御部131は、明るさ判定部137が判定したフレーム画像の明るさが予め定められた明るさ基準を満たすか否かを判定する。明るさ基準とは、カメラユニット11が周辺環境から光を受光したときに満たされる基準である。換言すると、明るさ基準は、カメラユニット11が周辺環境から光を受光せず、正常な画像データを生成できなかった場合には満たされない。
【0043】
例えば、フレーム画像に含まれる画素の輝度値の平均が予め設定された輝度基準値(例えば10)以上である場合には、予め定められた明るさ基準が満たされると判定する。この例において、輝度基準値の具体的な数値については、カメラユニット11の撮像精度等に依存して定められる。例えば、暗闇を撮像した場合のフレーム画像の輝度値を輝度基準値として決定することができる。
【0044】
フレーム画像の明るさが上記の明るさ基準を満たす場合(ステップS40のYes)は、ステップS50に進む。一方、フレーム画像の明るさが上記の明るさ基準を満たさない場合(ステップS40のNo)は、記録部140に画像データを出力せず、ステップS60に進む。このような構成においては、例えば撮像装置1を誤って不透明な物に吸着させた場合など、カメラユニット11の光路が遮断されて正常な画像データを生成できなかった場合に、画像データの出力が開始しないよう抑制することができる。
【0045】
ステップS50に進んだ場合、制御部131は、画像出力部136を制御して、記録部140への画像データの出力を開始する。画像データの出力を開始するとは、通信IF(不図示)を介して、無線又は有線通信によって画像データを撮像装置1の外部に出力することを含む。その後、ステップS60に進む。
【0046】
ステップS60に進んだ場合、圧力検出部15は、吸盤121の内側の圧力を検出する。吸盤121が被吸着面9に吸着されている場合は、圧力検出部15は、密閉空間91の圧力を検出する。圧力検出部15は、吸盤121の内側の圧力に対応する電圧信号を、検出信号IF139を介して制御部131に出力する。制御部131は、受け取った電圧信号を電圧値の情報に変換することで、吸盤121の内側の圧力に関する情報を取得する。その後、ステップS70に進む。
【0047】
ステップS70に進んだ場合、制御部131は、圧力検出部15によって検出された圧力が予め定められた停止条件を満たすか否かを判定する。停止条件とは、吸盤121の内側の圧力が、予め設定された脱離圧力値以上になったときに成立する条件である。例えば脱離圧力値は、大気圧と同程度の圧力(例えば9ラ104Pa)に設定することができる。このように脱離圧力値を設定した場合、停止条件は、吸着部12が被吸着面9から脱離する場合に成立する。脱離圧力値の具体的な数値については、吸着部12の構造や物性等に依存して定めてもよい。例えば、物理シミュレーションや予備実験によって決定してもよい。
【0048】
圧力検出部15によって検出された圧力が上記の停止条件を満たす場合(ステップS70のYes)は、記録部140への画像データの出力を停止して、フローを終了する。一方、圧力検出部15によって検出された圧力が上記の停止条件を満たさない場合(ステップS70のNo)は、ステップS80に進む。このような構成においては、撮像装置1が被吸着面9から脱離するとともに画像データの生成等が停止されるため、迅速に画像データの出力を停止することができる。
【0049】
ステップS80に進んだ場合、制御部131は、圧力検出部15によって検出された圧力が予め定められた警告条件を満たすか否かを判定する。警告条件とは、吸盤121の内側の圧力が、予め設定された警告圧力値以上になったときに成立する条件である。例えば警告圧力値は、吸着部12が被吸着面9から脱離するおそれのある圧力(例えば7ラ104Pa)に設定することができる。このように警告圧力値を設定した場合、警告条件は、吸着部12が被吸着面9から脱離するおそれがある場合に成立する。警告圧力値の具体的な数値については、吸着部12の構造や物性等に依存して定めてもよい。例えば、物理シミュレーションや予備実験によって決定してもよい。なお、警告圧力値は吸着圧力値以上であってもよいし、吸着圧力値以下であってもよい。また、警告圧力値は、脱離圧力値よりも大きい値に設定することが好ましい。
【0050】
圧力検出部15によって検出された圧力が上記の警告条件を満たす場合(ステップS80のYes)は、ステップS81に進む。ステップS81に進んだ場合は、制御部131は、警告部141に警告信号を出力させた後、ステップS10に戻り、操作を繰り返す。一方、圧力検出部15によって検出された圧力が上記の警告条件を満たさない場合(ステップS80のNo)は、制御部131は、警告部141に警告信号を出力させずにステップS30に戻り、操作を繰り返す。このような構成においては、撮像装置1が被吸着面9から脱離するおそれがある場合に外部に向けて警告信号が出力されるため、撮像装置1が被吸着面9から脱離する前にユーザがその状況を検知することができる。
【0051】
以上で説明したステップS10~S81を繰り返すことにより、撮像装置1は周辺環境を迅速に記録することができる。
【0052】
[第2の実施形態]
図7は、第2の実施形態に係る撮像装置2の詳細な構成を表す模式断面図である。第2の実施形態の説明において、第1の実施形態における要素と同一又は直接対応する要素については、新たに下1桁が同じ20番台の符号又は下3桁が同じ200番台の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0053】
図7に示すように、撮像装置2の吸着部22は、被吸着面に吸着可能な外側吸盤221aと内側吸盤221bとで形成された二重構造の吸盤を有する点で第1の実施形態に係る撮像装置1と異なる。また、第2の実施形態において、圧力検出部25は、外側吸盤221aと内側吸盤221bとの間に配置されている。圧力検出部25は、外側吸盤221aと内側吸盤221bとの間の気圧を検出し、その気圧に対応した電圧信号を有線または無線通信を介して制御ユニット23へと出力する。
【0054】
図8は、被吸着面9に固定された撮像装置2を表す模式断面図である。
図8に示すように、吸着部22は、外部から吸着方向に押圧されることで、被吸着面9との間に減圧された密閉空間91が形成され、被吸着面9に固定される。このとき、密閉空間91は、内側吸盤221bの内部である内側密閉空間91bと内側吸盤221bの外部である外側密閉空間91aとを有する。
【0055】
外側密閉空間91a内の圧力は、内側密閉空間91b内の圧力よりも大きく、大気圧よりも小さい。このため、外側吸盤221aは大気圧と外側密閉空間91aとの気圧差によって被吸着面9に吸着される。また、外側吸盤221aは外側密閉空間91aと内側密閉空間91bとの気圧差によって被吸着面9に吸着される。このような構造においては、外側吸盤221aが被吸着面9から脱離した後に、内側吸盤221bが被吸着面9から脱離することによって、吸着部22が被吸着面9から完全に脱離する。
【0056】
撮像装置2における制御フローは、第1の実施形態に係る制御フローと同じくステップS10~S81を有する(
図6参照)。一方、圧力検出部25は、ステップS10及びS60において外側吸盤221aと内側吸盤221bとの間の気圧を検出する点で第1の実施形態と異なる。このような構成においては、例えばステップS70において、外側密閉空間91aの圧力が予め設定された脱離圧力値以上であった場合に、停止条件が満たされると判定し、出力を停止する。
【0057】
このような構成においては、外側吸盤221aが被吸着面9から脱離した場合に、画像データの出力を停止することができる。したがって、吸着部22が被吸着面9から完全に脱離する前の状態であっても、吸着部22が被吸着面9から脱離するおそれのある段階で画像データの出力を停止することができる。このため、被吸着面9から脱離する瞬間などの、乱れた画像データの出力を抑制することができる。
【0058】
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、上記の実施形態において、本発明に係る撮像装置を説明するために、被吸着面を介して外部の周辺環境を撮像する装置を例に説明したが、本発明に係る撮像装置は上述の例に限られない。すなわち、本発明に係る撮像装置は、吸着方向と逆方向や垂直方向の周辺環境を撮像するような装置であってもよい。そのような装置においても、上述したカメラユニット11及び制御ユニット13に相当する構成を有し、ステップS10~S81の操作を繰り返すことによって、周辺環境を迅速に記録することができる。
【0059】
また、上記の実施形態において、本発明の効果を損なわない範囲で、ステップS10~S81の一部を適宜省略したり、順番を入れ替えたりしてもよい。例えば、一度ステップS40でフレーム画像の明るさが明るさ基準を満たした(ステップS40のYes)と判断された後、再びステップS30以降の操作を繰り返す場合は、二度目以降のステップS40の操作を適宜省略してもよい。二度目以降のステップS40の操作を省略することによって、制御フローを簡易にすることができる。
【0060】
また、上記の実施形態のステップS70において、圧力検出部によって検出された圧力が上記の停止条件を満たす場合(ステップS70のYes)には、一時的に画像データの生成及び出力を停止し、再びステップS10に戻って動作を繰り返すようにしてもよい。このような構成においては、吸盤の取り付け・取り外しのみで画像データの生成及び出力の開始・一時停止を操作できるため、ユーザの操作の利便性を向上することができる。特に、第2の実施形態においては、外側吸盤221aの被吸着面9への吸着・脱離操作を行うだけで、画像データの生成及び出力の開始・一時停止を操作できる。このとき、撮像装置2は内側吸盤221bによって被吸着面9に固定されたままであるため、撮像装置2の撮像領域を固定しつつ、開始・一時停止の操作を行うことができる。したがって、ユーザの操作の利便性を、より向上することができる。
【0061】
また、上記の実施形態のステップS70において、脱離圧力値を大気圧付近の圧力と設定した場合について説明したが、脱離圧力値は大気圧以下の圧力でもよい。例えば、吸着部が被吸着面から脱離するおそれのある圧力(例えば7ラ104Pa)を脱離圧力値としてもよい。このような構成においては、撮像装置が被吸着面から脱離するおそれがある場合に、画像データの生成及び出力を停止することができる。
なお、この場合、停止条件が満たされないとき(ステップS70のNo)は必ず警告条件も満たさない(ステップS80のNo)。したがって、停止条件が満たされない場合(ステップS70のNo)はステップS80に進まず、ステップS30に戻るような制御フローにしてもよい。
【0062】
また、上記の実施形態において、吸着圧力値、警告圧力値、及び脱離圧力値は、ユーザが撮像装置の操作ボタン(不図示)を操作することによって、任意に設定できるようにしてもよい。さらに、警告条件を満たした場合に警告信号を出力するか否かについても、ユーザが撮像装置の操作ボタン(不図示)を操作することによって、任意に設定できるようにしてもよい。
【0063】
また、上記の実施形態において、撮像装置の制御部は、開始条件が満たされたと判断した場合にカメラユニットを動作させた例を説明したが、カメラユニットは、常時動作するようにしてもよい。あるいは、カメラユニットは、ユーザの起動操作によって動作を開始してもよい。
【0064】
上述した実施形態及び変形例は、独立に実施されることもできるし、適宜組み合わせて実施されることもできる。これら複数の実施形態及び変形例は、互いに異なる新規な特徴を有している。したがって、これら複数の実施形態及び変形例は、互いに異なる目的又は課題を解決することに寄与し、互いに異なる効果を奏することに寄与する。
【0065】
また、上記実施の形態において、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラム等によって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又はそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0066】
また、上記のプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、CD-R(CD-Recordable)、CD-R/W(CD-ReWritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されても良い。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0067】
1、2 撮像装置
9 被吸着面
11、21 カメラユニット
12、22 吸着部
13、23 制御ユニット
15、25 圧力検出部
91 密閉空間
91a 外側密閉空間
91b 内側密閉空間
111、211 レンズ
112、212 撮像素子
113 AFE
121 吸盤
122、222 透明板
123、223 支持部
124、224 収容部
131 制御部
132 画像入力IF
133 ワークメモリ
134 システムメモリ
135 画像処理部
136 画像出力部
137 判定部
138 バスライン
139 検出信号IF
140 記録部
141 警告部
221a 外側吸盤
221b 内側吸盤