(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179581
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】高温発泡用途におけるZ-HFO-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの使用
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20221125BHJP
C08J 9/14 20060101ALI20221125BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
C08G18/00 H
C08J9/14 CFF
C08G101:00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157847
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2018538620の分割
【原出願日】2017-01-18
(31)【優先権主張番号】62/281,948
(32)【優先日】2016-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーネスト バイロン ワイソン
(57)【要約】
【課題】本発明は、発泡剤の存在下、ポリイソシアネートとポリオールの等の活性水素含有化合物を反応させて、高温で発泡反応生成物を製造する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、少なくとも57.2℃(少なくとも135°F)の温度で、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの存在下、ポリイソシアネートを活性水素含有化合物と反応させて混合物を得る工程、及び、前記混合物を基板上にスプレーして、その結果として発泡反応生成物を得る工程を含み、
前記活性水素含有化合物が、ポリオールである、発泡反応生成物を製造するプロセスを提供するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも57.2℃(少なくとも135°F)の温度で、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの存在下、ポリイソシアネートを活性水素含有化合物と反応させて混合物を得る工程、及び、前記混合物を基板上にスプレーして、その結果として発泡反応生成物を得る工程を含み、
前記活性水素含有化合物が、ポリオールである、発泡反応生成物を製造するプロセス。
【請求項2】
前記温度が、57.2℃(135°F)~65.6℃(150°F)である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記温度が、60.0℃(140°F)~65.6℃(150°F)である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記反応生成物が、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、又はこれらのポリマーの混合物である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記活性水素含有化合物及び前記Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンが、前記ポリイソシアネートとの前記反応の前に混合されて組成物になる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記組成物がまた、触媒、界面活性剤、難燃剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記組成物が、触媒、界面活性剤、及び難燃剤のそれぞれを含有する、請求項6に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Z-HFO-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン発泡剤等の存在下、ポリイソシアネートとポリオールの等の活性水素含有化合物との反応生成物を高温で発泡させることに関する。
【背景技術】
【0002】
第EP 2 447 310号は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロブテンである、かつポリウレタン及びポリイソシアヌレート発泡体を生成するための発泡剤として適用可能である、1336mzzmの使用を開示するが、この化合物の上記の大気圧沸点に起因する高い熱伝導率を有する発泡体の不利点を有する[0007-0008]。1336mzzと同じである1336mzzmと正確に一致するものは、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンである。Z異性体は、0.56℃(33°F)の沸点を有する。第EP’310号は、1336mzzを、発泡剤としての1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロパン(1233zd)と混合して、ポリウレタン及びポリイソシアヌレート発泡体を生成することによって、この問題を克服する。発泡温度である、発泡プロセスにおいて使用される原料の最高温度は、21℃(70°F)であると開示されている[0051]。原料は、ポリオールマスターバッチ及びポリイソシアネートであり、これらは、それぞれ、一般的に、B側及びA側組成物(反応物)と称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ポリイソシアネート/ポリオール反応における発泡剤として、Z-HFO-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを使用した高温における発泡を実施することが、優れた(低い)熱伝導率の発泡体を生成することを発見されている。これは、これらの発泡体に対して最も顕著な発泡剤、すなわち、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)の性能と対照的である。発泡剤としてHFC-245faを使用した発泡温度が37.7℃(100°F)から上昇するので、その結果は、発泡体に対するより乏しい熱的性能であり、すなわち、熱伝導率が上昇する。
【0005】
本発明は、少なくとも57.2℃(少なくとも135°F)の温度で、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(Z-1336mzz)の存在下、ポリイソシアネートを活性水素含有化合物と反応させて、その結果として発泡反応生成物を得る工程を含む、プロセスである。Z-1336mzzは、反応生成物を発泡させる発泡剤である。反応温度は、発泡温度でもある。
【0006】
発泡温度は、ポリイソシアネート及び活性水素含有反応物、並びにこれらの反応物を含有する組成物、すなわち、ポリイソシアネートを含有するA側組成物、及び活性水素含有化合物を含有するB側組成物の温度である。これは、反応物並びにそれらのそれぞれの組成物(A側及びB側)を一緒に混合する装置への供給時における、それらの温度であり、発泡反応生成物の生成をもたらす。
【0007】
最高発泡温度は、発泡温度の上昇が、反応速度の上昇を伴うという意味で用途依存的である。発泡温度は、発泡反応生成物に有害であるほど高くあるべきではない。最も一般的な害は、熱伝導率の上昇であろう。好ましい最高発泡温度は、65.6℃(150°F)である。本発明は、57.2℃(135°F)~65.6℃(150°F)、57.2℃(135°F)~62.8℃(145°F)、及び60.0℃(140°F)~62.8℃(145°F)、及び60.0℃(140°F)~65.6℃(150°F)の発泡温度を考慮する。
【0008】
驚くべきことに、HFC-245faが37.7℃(100°F)から65.6℃(150°F)まで上昇する発泡温度の発泡剤として使用される場合の熱伝導率の上昇と比較すると、発泡剤としてのZ-1336mzzの使用は、37.7℃(100°F)から上昇する発泡温度で発泡反応生成物の熱伝導率を減少させる効果を有する。高温における発泡は、特に低温基板上での改善された発泡の追加の利点を有する。
【0009】
発泡される反応生成物は、好ましくはポリウレタン若しくはポリイソシアヌレート、又はこれらのポリマーの混合物である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のプロセスにおける活性水素含有化合物反応物は、米国特許第4,394,491号及び国際公開第2014/-113379号(イソシアネート反応性基)に記載のものを含む。「活性水素」は、活性水素含有化合物の水素がポリイソシアネート反応物のイソシアネートと反応性であることを意味する。活性水素含有組成物は、活性水素(原子)を含有する少なくとも2つの基を含有する。そのような化合物の例は、分子1個当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、より具体的には、ポリエーテル又はポリエステルポリオール等のポリオールを含む。ヒドロキシル基のうちのいくつかは、アミン基によって置換され得、それによって、活性水素含有組成物は、ヒドロキシル基及びアミン基の両方を含有する。好ましくは、化合物は、少なくとも2つのヒドロキシル基を含有し、それによって、化合物はポリオールである。そのようなポリオールの例は、約50~約700、通常は約70~約300、より典型的には約90~約270の等価重量を有し、少なくとも2つのヒドロキシル基、通常は3~8つのそのような基を有するものである。
【0011】
好適なポリオールの例には、芳香族ポリエステルポリオール等のポリエステルポリオール、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)スクラップとジエチレングリコール等のグリコールとのエステル交換によって作製されるもの、又はフタル酸無水物とグリコールとを反応させることによって作製されるものが含まれる。結果として得られるポリエステルポリオールを、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと更に反応させて、追加の内部アルキレンオキシ基を含有する伸長ポリエステルポリオールを形成してもよい。
【0012】
好適なポリオールの例にはまた、とりわけ、末端ヒドロキシル基を有する、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、混合ポリエチレン-プロピレンオキシド等のポリエーテルポリオールが含まれる。他の好適なポリオールは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを、例えば、グリセロール、ペンタエリスリトール、及び炭水化物、例えばソルビトール、グルコース、スクロース等、ポリヒドロキシ化合物中に存在する2~16個、一般的には3~8個のヒドロキシル基を有する開始剤と反応させることによって、調製することができる。好適なポリエーテルポリオールはまた、脂肪族又は芳香族アミン系ポリオールを含み得る。
【0013】
アミンも含有するポリオールの例は、マンニッヒポリオールである。
【0014】
ポリイソシアネート成分(反応物)に関して、それは、通常、イソシアネート基の当量と活性水素基の当量との比率、すなわち、発泡インデックスが、約0.9~約10となり、ほとんどの場合では約1~約4となるような、活性水素含有化合物に対する比率で選択される。
【0015】
任意のポリイソシアネートを本プロセスで用いることができるが、ポリイソシアネート系発泡体を作製するのに有用であるポリイソシアネートの例には、とりわけ、芳香族、脂肪族、及び環状脂肪族のポリイソシアネートのうちの少なくとも1つが含まれる。これらの化合物の代表的なメンバーは、とりわけ、ジイソシアネート、例えば、メタ若しくはパラフェニレンジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート(及び異性体)、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、1-メチルフェニル-2,4-フェニルジイソシアネート、ジフェニルメチレン-4,4-ジイソシアネート、ジフェニルメチレン-2,4-ジイソシアネート、4,4-ビフェニレンジイソシアネート、及び3,3-ジメチオキシ-4,4-ビフェニレンジイソシアネート、並びに3,3-ジメチルジフェニルプロパン-4,4-ジイソシアネート;トリイソシアネート、例えばトルエン-2,4,6-トリイソシアネート、並びにポリイソシアネート、例えば4,4-ジメチルジフェニルメタン-2,2,5,5-テトライソシアネート、並びに多様なポリメチレンポリ-フェニロポリイソシアネート、それらの混合物を含む。
【0016】
トルエンジアミンを含む混合物をホスゲン化することにより得られた粗製トルエンジイソシアネート、又は粗製ジフェニルメタンジアミンをホスゲン化することにより得られた粗製ジフェニルメタンジイソシアネートといった粗製ポリイソシアネートもまた、本発明の実施で使用され得る。そのような化合物の具体的な例には、ポリウレタンと架橋する能力に起因して、メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートが含まれる。
【0017】
ポリイソシアネート反応物は、異なるポリイソシアネートの混合物であってもよく、活性水素含有化合物は、異なる活性水素含有化合物の混合物であってもよい。
【0018】
典型的には、好適なポリイソシアネートと反応させる前に、活性水素含有化合物及び場合によっては他の添加剤が、発泡剤と混合されて、組成物が形成される。そのような組成物は、典型的には、イソシアネート反応性プリブレンド、又はB側組成物として、当該技術分野で周知である。B側組成物は、活性水素含有組成物を含有して、好ましくはZ-1336mzz発泡剤も含有する。A側組成物は、好ましくはポリイソシアネートを含む。A側組成物及びB側組成物を含む発泡体形成組成物は、当業者にとって好都合な任意の方式で調製することができ、これには、各成分(成分)の所望される量を単純に計量し、その後で所望の温度及び圧力でそれらを適切な容器内で混合することが含まれる。
【0019】
B側組成物において、少量の添加剤を用いることがしばしば望ましい。これらの添加剤の中でも、当該技術分野で周知のものの中でもとりわけ、触媒、界面活性剤、TCPP等の難燃剤、保存剤、着色剤、酸化防止剤、補強剤、充填剤、及び帯電防止剤からなる群から、1つ以上のメンバーを含む。
【0020】
組成に応じて、硬化中の起泡反応混合物を安定化させるために、界面活性剤を用いてもよい。そのような界面活性剤は、通常、液体又は固体の有機シリコーン化合物を含む。界面活性剤は、発泡反応混合物を崩壊に対して安定化させ、大きく不均一な気泡の形成を防止するのに充分な量で用いられる。本発明の一実施形態において、発泡性組成物の合計重量、すなわち、全ての発泡成分(すなわち、発泡剤+活性水素含有化合物+ポリイソシアネート+添加剤)の合計重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%の界面活性剤が使用される。本発明の別の実施形態では、全ての起泡成分の合計重量に基づいて、約1.5重量%~約3重量%の界面活性剤が使用される。
【0021】
更に、活性水素含有化合物、例えば、ポリオールと、ポリイソシアネートとの反応のために、1つ以上の触媒が用いられてもよい。反応物と共の触媒の選択は、本発明のプロセスの実行において、発泡ポリイソシアヌレートの代わりに、又は発泡ポリイソシアヌレートと混合した、発泡ポリイソシアネートの形成を好み得る。任意の好適なウレタン触媒を用いることができるが、特定の触媒は、第三級アミン化合物及び有機金属化合物を含む。例示的なそのような触媒は、例えば、米国特許第5,164,419号に開示されており、その開示は、参照により本明細書に援用される。例えば、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属カルボキシレート、又は第四級アミン化合物といったポリイソシアネートの三量体形成のための触媒もまた、任意に、本明細書で用いられ得る。そのような触媒は、ポリイソシアネートの反応速度をある程度増大させる量で用いられる。触媒の典型的な量は、全ての起泡成分の合計重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%である。
【0022】
本発明の一実施形態では、活性水素含有組成物及び当該Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンは、活性水素含有化合物をポリイソシアネートと反応させる前に、B側組成物である組成物に混合される。別の実施形態において、この組成物はまた、触媒、界面活性剤、難燃剤のうちの少なくとも1つを含む。更に別の実施形態では、この組成物は、触媒、界面活性剤、及び難燃剤のそれぞれを含有する。
【0023】
本発明のプロセスは、ポリイソシアネート及び活性水素含有化合物反応物、並びにA側又はB側組成物中に存在する添加剤に関して、上に開示される詳細に限定されない。ポリイソシアネート及び活性水素含有化合物反応物の相対量は、所望の発泡体、好ましくは剛性発泡体を得るために変動させることができる。超過ポリイソシアネート反応物は、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートの両方の発泡反応生成物を提供し得る。この反応の生成物は、発泡ポリウレタン又は発泡ポリイソシアヌレートであり、また、ポリイソシアネートと活性水素含有組成物反応物との同一性、並びにそれらの相対量に依存している。本発明のプロセスに起因するポリウレタン及びポリイソシアヌレート反応生成物(発泡体)は、ポリマーである。これらのポリマーが両方とも、ポリオールとポリイソシアネートとの間の反応によって生成されるとき、それらは、その混合物であると考えられ得る。
【0024】
これらは、本発明の従来の態様であり、本発明は、反応生成物の発泡を生成するために使用される上述のような高い発泡温度における発泡剤としてのZ-1336mzzの使用にある。これにより、本発明は、ポリイソシアネートと活性水素含有化合物との反応から生じる任意の発泡性組成物に適用可能である。
【0025】
ポリウレタン系若しくはポリイソシアヌレート系発泡体又はポリウレタン/ポリイソシアヌレート系発泡体を作製するプロセスにおいて、活性水素含有組成物、ポリイソシアネート、及び他の成分は、接触され、十分に混合され、気泡ポリマーに膨張及び硬化させられる。混合装置は重要ではなく、様々な従来のタイプのミキシングヘッド及びスプレー装置が使用される。従来の装置とは、フルオロトリクロロメタン(CCl3F、CFC-11)等の従来的なイソシアネート系発泡体発泡剤が用いられる、イソシアネート系発泡体の調製に従来的に用いられる装置、機器、及び手順を意味する。そのような従来の装置は、以下によって考察される:H.Bodenら、the Polyurethane Handbookの4章、G.Oertel編、Hanser Publishers、New York、1985;H.Grunbauerらによる論文、題名:「Fine Celled CFC-Free Rigid Foam-New Machinery with Low Boiling Blowing Agents」、the Proceedings of the SPI 34th Annual Technical/Marketing ConferenceからPolyurethanes 92において公開、10月21日~10月24日、1992、New Orleans、Louisiana;及びM.Tavernaらによる論文、題名「Soluble or Insoluble Alternative Blowing Agents?Processing Technologies for Both Alternatives,Presented by the Equipment Manufacturer」、the Proceedings of the SPI/ISOPAからPolyurethanes World Congress 1991において公開、9月24日~26日、1991、Acropolis、Nice、France。
【0026】
混合装置に供給されるポリイソシアネート及び活性水素含有化合物反応物の温度は、同一であることが好ましく、共に混合することを完全にするための補助として反応物の粘度整合を補助する。この温度は、本発明の実行に関して上述した発泡温度のうちのいずれかである。これらの高発泡温度では、混合が迅速に起こり、これらの高温に伴う反応速度の増大に対応することが重要である。反応物が異なる温度である場合、これらの異なる温度の平均が、本発明の実行に関して上述した発泡温度のうちの少なくとも1つであることが好ましい。粘度整合は、異なる温度の反応物によって達成され得る。
【0027】
発泡反応生成物のスプレーを生成するための装置の圧力は、低圧から高圧にまで及び得る。低圧は、0.69MPa(100psi)以下、一般的に少なくとも0.3MPa(少なくとも50psi)であると考えられる。高圧は、6.9MPa(1000psi)~13.8MPa(2000psi)の範囲にあると考えられる。これらの圧力は、ゲージ圧力である。
【0028】
本発明の一実施形態において、ポリイソシアネートと活性水素含有成分とを反応させる前に、ある特定の原材料のプリブレンドが作製される。例えば、ポリイソシアネートを除いて、活性水素含有組成物、発泡剤、界面活性剤(複数可)、触媒(複数可)、及び他の発泡成分をブレンドし、次いで、このブレンド(B側組成物)をポリイソシアネートと接触させることが、しばしば有用である。代替的に、全ての発泡成分を、個別に混合ゾーンに導入し、ここで、ポリイソシアネートと活性水素含有組成物を接触させてもよい。全て又は一部の活性水素含有組成物をポリイソシアネートと事前反応させて、前駆ポリマーを形成することも可能である。
【0029】
本発明の組成物及びプロセスは、例えば、インテグラルスキン、RIM、及び軟質発泡体を含む、全ての種類のポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレート発泡体の生成、また具体的にはスプレー断熱、現場注入型家電製品用発泡体として、又は剛性断熱ボードストック及びラミネートとして有用な剛性の独立気泡ポリマー発泡体の生成に適用可能である。
【0030】
本発明のこのプロセスはまた、独立気泡ポリウレタン又はポリイソシアヌレートポリマーを含む発泡反応生成物の作製を含む。良好な熱的性能のために、好ましくは、発泡反応生成物内の発泡セルは、ASTM D 6226に従って測定される際、少なくとも90%の独立気泡の平均である。
【0031】
本発明のプロセスは、上述のような低密度及び高率の独立気泡によって特徴付けられるだけでなく、発泡構造物の厚さにわたる密度均一性によって、高品質の発泡構造を生成する。
【0032】
本発明で使用するとき、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、又はこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、これらの要素に必ずしも限定されるものではなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置に対して明示的に記載されていない、又はこれらに固有のものではない、他の要素も含む場合がある。更に、明示的に逆の記載がない限り、「又は」は、包括的な又はを指し、排他的な又はを指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる。すなわち、Aが真であり(又は存在する)かつBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)、及びA及びBの両方が真である(又は存在する)。
【0033】
「~からなる」という移行句は、特定されない任意の要素、工程、又は成分を除外する。特許請求の範囲における場合には、材料に通常付随する不純物を除き、このような句は、列挙された材料以外の材料を包むことに対して特許請求の範囲を限る。「からなる」という句が序文の直後ではなく請求項の本文の節内で現れるとき、この句はその請求項内に示される要素のみを制限するものであり、他の要素が特許請求の範囲全体から除外されるわけではない。「から本質的になる」という移行句は、文字通り開示されているものに加えて、材料、工程、特徴、成分、又は要素を含む、組成物、方法を定義するために使用されるが、ただし、これらの追加的に含まれる材料、工程、特徴、成分、又は要素は、請求される発明の基本的及び新規の特徴(複数可)、特に本発明のプロセスのうちのいずれかの所望の結果を達成するための作用機序に実質的に影響を及ぼさないことを条件とする。「本質的に~からなる」という用語は、「含む」と「からなる」との間の中間の立場を占める。
【0034】
出願人らが、発明又はその一部分を、「含む」等の非限定的な用語で定義していた場合、(特に明記しない限り)その記載は、用語「から本質的になる」又は「からなる」を用いる発明も含むと解釈すべきであることは容易に理解されるはずである。
【実施例0035】
比較例-HFC-245fa発泡剤を含有するポリイソシアネート/ポリオール反応生成物のスプレー発泡
発泡剤は、B側(ポリオール)組成物中にある。発泡は、43.3℃(110°F)、54.4℃(130°F)、及び65.6℃(150°F)の温度で実施される。これらの温度における発泡結果は、表1に報告される。
【0036】
【0037】
熱伝導率は、以下の単位である:cal/cm・s・℃(Btu in/hr・ft2°F)。熱伝導率は、23.9℃(75°F)で測定される。
【0038】
表1に示すように、発泡温度が上昇するにつれて、発泡体密度も上昇し、かつ予想されるように、熱伝導率も9%超上昇し、断熱材としての発泡体の有効性の低下を示す。
【0039】
本発明の実施例1-Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを用いた、かつ発泡剤としての発泡
比較例の場合のように、発泡剤はB側(ポリオール)組成物中にあり、発泡は、43.3℃(110°F)、54.4℃(130°F)、及び65.6℃(150°F)の温度で実施される。これらの温度における発泡結果は、表2に報告される。
【0040】
【0041】
熱伝導率は、23.9℃(75°F)で測定される。熱伝導率の単位は、表1と同じである。
【0042】
HFC-245faが発泡剤として使用される場合とは対照的に、B側組成物におけるZ-HFO-1336mzzの同じ量の置換は、発泡温度が上昇するにつれて、発泡体がより低い熱伝導率を示すことをもたらす。この熱伝導率の減少には、発泡反応生成物の密度の増加が伴うことも驚くべきことである。
【0043】
比較例及び実施例1の両方で使用されるB側組成物は、次の表3に与えられる。
【0044】
【0045】
ポリエステルポリオールは、ヒドロキシル価が307mg KOH/gであり、公称官能価が2.2であり、25℃における動的粘度が5,500cpsである。
【0046】
マンニッヒポリオールは、ヒドロキシル価が470mg KOH/gであり、公称官能価が4であり、25℃における動的粘度が10,000cpsである。
【0047】
12.25重量%は、Z-1336mzz発泡剤に適用し、10重量%は、HFC-245fa発泡剤に適用する。これらの異なる重量%は、これらの発泡剤の等モル濃度に対応する。HFC-245fa B側組成物に関して、組成中の他の成分の量は、全ての重量%の合計に対して100重量%に達するように調整され得る。