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特開2022-179586ニコチンをオーラル製品中に組み込むための方法およびシステム
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  • 特開-ニコチンをオーラル製品中に組み込むための方法およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179586
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ニコチンをオーラル製品中に組み込むための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A24B 13/00 20060101AFI20221125BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20221125BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/16
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158223
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2021018694の分割
【原出願日】2014-07-17
(31)【優先権主張番号】61/856,409
(32)【優先日】2013-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517453405
【氏名又は名称】アルトリア クライアント サーヴィシーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ガオ フェン
(72)【発明者】
【氏名】チュアン シュツホン
(72)【発明者】
【氏名】ギー ダイアン エル.
(57)【要約】
【課題】ニコチンを安定化するため、およびニコチンを一つまたは複数のオーラル製品中に組み込むための方法およびシステムを提供する。またオーラル製品も提供する。
【解決手段】液体ニコチンがセルロース系繊維の孔に吸収されてセルロース系繊維-ニコチン混合物を形成するように、該液体ニコチンを該セルロース系繊維と混合することによって、ニコチンを安定化することができる。いくつかの場合、セルロース系繊維-ニコチン混合物を一種または複数種の結合物質と組み合わせてオーラル製品に成形することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ニコチンがセルロース系繊維の孔に吸収されてセルロース系繊維-ニコチン混合物を形成するように、該液体ニコチンを該セルロース系繊維と混合する工程を含む、ニコチンを安定化するための方法。
【請求項2】
前記液体ニコチンが、少なくとも1重量パーセントのニコチンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体ニコチンが、2重量パーセント~75重量パーセントのニコチン、および少なくとも一種の希釈剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記希釈剤が、可塑剤、湿潤剤、香味料、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
液体ニコチンをセルロース系繊維と混合する工程の前に、希釈剤で該液体ニコチンを希釈する工程をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記セルロース系繊維-ニコチン混合物を密封容器内で少なくとも1時間平衡化させる工程をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記セルロース系繊維が、約3ナノメートル~約300ナノメートルの平均孔サイズを有する孔を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(a)液体ニコチンをセルロース系繊維と混合して、セルロース系繊維-ニコチン混合物を製造する工程;
(b)該セルロース系繊維-ニコチン混合物を一種または複数種の結合物質と混合して、オーラル製品成形前混合物(oral product pre-molding mixture)を形成する工程;および
(c)該オーラル製品成形前混合物をオーラル製品に成形する工程
を含む、液体ニコチンをオーラル製品中に組み込むための方法。
【請求項9】
前記液体ニコチンを前記セルロース系繊維と混合して前記セルロース系繊維-ニコチン混合物を形成する前に、一種または複数種の希釈剤で該液体ニコチンを希釈する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記一種または複数種の希釈剤が、可塑剤、香味料、湿潤剤、またはこれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記一種または複数種の希釈剤がプロピレングリコールを含み、かつ、前記液体ニコチンを前記セルロース系繊維と混合して前記セルロース系繊維-ニコチン混合物を形成する前に該液体ニコチンが5%~25%のニコチンの濃度に希釈される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
液体ニコチンとセルロース系繊維の重量比が1/1000~50/50である、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記セルロース系繊維-ニコチン混合物が平衡化するように、該セルロース系繊維-ニコチン混合物を前記結合物質と混合する前に該セルロース系繊維-ニコチン混合物を密封容器において少なくとも1時間保持する工程をさらに含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記結合物質がチューインガムベースである、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記結合物質が、デキストリンもしくはデキストリン誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、デンプン、コンニャク、コラーゲン、イヌリン、大豆タンパク質、乳清タンパク質、カゼイン、小麦グルテン、カラギーナン、アルギナート、アルギン酸プロピレングリコール、キサンタン、デキストリン、プルラン、カードラン、ジェラン(gellan)、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム(tara gum)、トラガカントガム、ペクチン、寒天、ゼイン、カラヤ、ゼラチン、オオバコ種子、キチン、キトサン、アカシアガム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、グアーガム、キサンタン、セルロース、マルトデキストリンもしくは他の化工デンプン、ポリウレタン、シリコンポリマー、ポリエステル、ポリアクリラート、ポリエチレン、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(「SEBS」)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)(「SBS」)、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(「SIS」)、コウマ・マクロカルパ(couma macrocarpa)、ビワ、アメリカゴムノキ(tunu)、クワガタノキ、チクル、スチレン-ブタジエンゴム、ブチルゴム、およびポリイソブチレン、ガムのグリセロールエステル、テルペン樹脂、ポリ酢酸ビニル、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、硬化植物油、レシチン、グリセロールモノステアラート、天然ラテックス、チクル、トウヒガム、マスチックガム、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記オーラル製品成形前混合物を前記オーラル製品に成形する工程が、所定の形状への該オーラル製品成形前混合物の圧縮成形を含む、請求項8~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記オーラル製品成形前混合物が、成分の乾燥混合物を含む、請求項8~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記オーラル製品成形前混合物がイオン交換樹脂を実質的に含まない、請求項8~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記オーラル製品成形前混合物が緩衝剤を実質的に含まない、請求項8~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
セルロース系繊維と液体ニコチンとの混合物を含み、該液体ニコチンが該セルロース系繊維の孔に吸収されている、オーラル製品。
【請求項21】
セルロース系繊維と液体ニコチンとの混合物を結合させて固体ピースにする結合物質をさらに含む、請求項20に記載のオーラル製品。
【請求項22】
一種もしくは複数種の可塑剤、一種もしくは複数種の湿潤剤、一種もしくは複数種の香味料、一種もしくは複数種の甘味料、またはこれらの組み合わせを含む、請求項20または請求項21に記載のオーラル製品。
【請求項23】
容器を含み、かつ、前記セルロース系繊維と液体ニコチンとの混合物が該容器内に緩く沈着している、請求項20に記載のオーラル製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、ニコチンをオーラル製品中に組み込むための方法およびシステムに関する。例えば、本明細書において提供される方法およびシステムは、取り扱いのためおよび/またはオーラル製品中への組み込みのために、ニコチンを安定化することができる。
【背景技術】
【0002】
背景
ニコチンは、種々のタバコ製品の構成成分である。しかしながら、長年にわたって、タバコ植物組織の存在なしでニコチンを成人対象に提供するための種々の方法およびシステムが、開発されている。タバコを含まないニコチンが提供されるいくつかの方法は、経皮貼付剤、ロゼンジ、およびニコチンチューインガムを含む。
【0003】
ニコチン、すなわち3-(1-メチル-2-ピロリジニル)ピリジンは、以下の構造:
を有する三級アミンである。
【0004】
周囲条件下で、ニコチンは、光および空気に感受性である油性、揮発性、吸湿性の液体である。ニコチンの化学的性質および物理的性質は、多数の加工処理および安定性の問題を提起する。例えば、ニコチンは揮発性であるため、ガムまたはロゼンジなどのオーラル製品中への組み込みの間に蒸発する可能性がある。ニコチン化合物と関連する潜在的な加工処理および安定性の問題を減らそうとして、多数のニコチン複合体が開発されている。例えば、一つの方法は、ニコチンとイオン交換樹脂との複合体の調製を含む。市販されているニコチンチューインガムにおいて現在使用されている周知の複合体は、ニコチンと陽イオン交換樹脂AMBERLITE 164との複合体であるニコチンポラクリレックスである。
【発明の概要】
【0005】
概要
本文書は、ニコチンを安定化するため、および液体ニコチンをオーラル製品中に組み込むための方法およびシステムを提供する。本文書は、液体ニコチンを組み込むオーラル製品を提供する。いくつかの場合、本明細書において提供されるオーラル製品は、セルロース系繊維および該セルロース系繊維の孔に吸収されたニコチンを含むことができる。いくつかの場合、本明細書において提供されるオーラル製品は、結合物質マトリクス、該結合物質マトリクス内のセルロース系繊維、および該セルロース系繊維の孔に吸収されたニコチンを含むことができる。本明細書において提供される方法およびシステムは、液体ニコチンをセルロース系繊維と混合して、セルロース系繊維-ニコチン混合物を製造する工程を含む。いくつかの場合、セルロース系繊維-ニコチン混合物を、一種または複数種の結合物質と組み合わせて、該混合物を、結合物質マトリクスを有するオーラル製品に成形することができる。
【0006】
オーラル製品中へのニコチンの直接組み込みは、多数の困難を呈し得る。いくつかの場合、液体ニコチンを乾燥成分の混合物と混合する工程は、圧縮成形などのある特定の成形過程を妨害し得る。いくつかの場合、液体ニコチンの直接組み込みは、結果として生じたオーラル製品からの過剰に速い放出速度をもたらし得る。しかしながら、ニコチンポラクリレックスなどのニコチン複合体は、ニコチンをオーラル製品中に組み込むことに伴う問題を呈し得る。例えば、ある特定の成形過程は、ある特定のニコチン複合体を分解させる温度を使用し得る。いくつかの場合、ニコチン複合体は、結果として生じたオーラル製品からのニコチンの過剰に遅い放出速度をもたらし得る。さらに、放出速度は、ニコチンを放出させる化学反応によって速度制限され得、従って、成人消費者(例えば、成人タバコ消費者)は、ニコチンの放出を調整する、制限された能力を有し得る。ニコチン複合体は、時々、ニコチンの放出中に酸副産物を生じ、これがさらにニコチンの放出を妨げ、かつ/または不快な香味を生じ得る。ニコチン複合体を組み込むいくつかのオーラル製品は、放出速度を制御するため、および/またはニコチン複合体による酸の放出を打ち消すために緩衝剤を組み込むことができるが、これらの緩衝剤は、不快な香味を提供し得る。例えば、炭酸ナトリウムおよび/または炭酸水素ナトリウムは、ニコチン複合体と共に緩衝剤として使用することができるが、炭酸ナトリウムおよび/または炭酸水素ナトリウムはまた、望ましくない味または異味を提供し得る。
【0007】
本明細書において提供されるように液体ニコチンをセルロース系繊維と組み合わせることは、オーラル製品単独として使用され得るか、またはオーラル製品中に組み入れられ得る安定化されたニコチンを提供することができる。いくつかの場合、本明細書において提供されるオーラル製品は、結合物質マトリクス、該結合物質マトリクス中に分散されたセルロース系繊維、および該セルロース系繊維の孔におけるニコチンを含む。本明細書において提供されるセルロース系繊維-ニコチンの組み合わせは、乾燥成分を必要とする圧縮成形技術を含む、多種多様の成形操作において使用することができる。
【0008】
本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、植物組織に由来することができる。いくつかの場合、本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、セルロースを含むことができる。本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、リグニンおよび/または脂質を含むことができる。本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、非タバコセルロース系繊維であることができる。例えば、セルロール系繊維は、テンサイ繊維、ウッドパルプ繊維、綿繊維、ふすま繊維、柑橘類パルプ繊維、草繊維、ヤナギ繊維、ポプラ繊維、およびこれらの組み合わせから選択することができる。本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、使用前に化学的に処理されてもよい。例えば、本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、CMC、HPMC、HPC、MCC、または他の処理されたセルロース系物質であることができる。
【0009】
本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、多孔性であることができる。液体ニコチンをセルロース系繊維と混合すると、ニコチンは、セルロース系繊維中の孔に吸収されて、そこに物理的吸収(ファンデルワールス力)によって保持されるようになり得る。孔の数、サイズ、サイズ分布、化学的および物理的性質が、セルロース系繊維中およびオーラル製品中に組み込まれたニコチンの放出速度に影響を及ぼし得る。放出速度はまた、セルロース系繊維の圧縮により(例えば、オーラル製品を咀嚼することによって)操作することもできる。
【0010】
本明細書において提供されるニコチンを安定化するための方法は、液体ニコチンがセルロース系繊維の孔に吸収されてセルロース系繊維-ニコチン混合物を形成するように、液体ニコチンをセルロース系繊維と混合する工程を含むことができる。いくつかの場合、液体ニコチンは、少なくとも1重量パーセントのニコチンを含むことができる。いくつかの場合、液体ニコチンは、2重量パーセント~75重量パーセントのニコチン、および少なくとも一種の希釈剤を含むことができる。いくつかの場合、希釈剤は、可塑剤、湿潤剤、香味料、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される。本明細書において提供される方法は、液体ニコチンをセルロース系繊維と混合する前に、液体ニコチンを希釈剤で希釈する工程を含むことができる。本明細書において提供される方法は、セルロース系繊維-ニコチン混合物を密封容器内で少なくとも1時間平衡化させる工程を含むことができる。いくつかの場合、本明細書中で提供される方法において使用されるセルロース系繊維は、約3ナノメートル~約300ナノメートルの平均孔サイズを有する孔を含むことができる。いくつかの場合、セルロース系繊維-ニコチン混合物における液体ニコチンとセルロース系繊維の重量比は、1/1000~50/50である。
【0011】
本明細書において提供されるオーラル製品を作製するための方法は、液体ニコチンをセルロース系繊維と混合して、セルロース系繊維-ニコチン混合物を製造する工程、該セルロース系繊維-ニコチン混合物を一種または複数種の結合物質と混合してオーラル製品成形前混合物(oral product pre-molding mixture)を形成する工程、ならびに、該オーラル製品成形前混合物を、結合物質マトリクス、該マトリクス内のセルロース系繊維、および該セルロース系繊維の孔内のニコチンを有するオーラル製品に成形する工程を含むことができる。セルロース系繊維-ニコチン混合物は、本明細書において提供される過程および構成要素を用いて作製することができる。例えば、液体ニコチンをセルロース系繊維と混合してセルロース系繊維-ニコチン混合物を形成する前に、プロピレングリコールで液体ニコチンを5%~25%のニコチンの濃度に希釈することができる。いくつかの場合、セルロース系繊維-ニコチン混合物における液体ニコチンとセルロース系繊維の重量比は、1/1000~50/50である。いくつかの場合、結合物質は、ポリマーを含む。いくつかの場合、結合物質は、水溶性ポリマーを含む。いくつかの場合、結合物質は、口内で安定なポリマーを含む。いくつかの場合、結合物質は、チューインガムベースを含む。いくつかの場合、結合物質は、デキストリンもしくはデキストリン誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、デンプン、コンニャク、コラーゲン、イヌリン、大豆タンパク質、乳清タンパク質、カゼイン、小麦グルテン、カラギーナン、アルギナート、アルギン酸プロピレングリコール、キサンタン、デキストリン、プルラン、カードラン、ジェラン(gellan)、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム(tara gum)、トラガカントガム、ペクチン、寒天、ゼイン、カラヤ、ゼラチン、オオバコ種子、キチン、キトサン、アカシアガム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、グアーガム、キサンタン、セルロース、マルトデキストリンもしくは他の化工デンプン、ポリウレタン、シリコンポリマー、ポリエステル、ポリアクリラート、ポリエチレン、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(「SEBS」)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)(「SBS」)、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(「SIS」)、コウマ・マクロカルパ(couma macrocarpa)、ビワ、アメリカゴムノキ(tunu)、クワガタノキ、チクル、スチレン-ブタジエンゴム、ブチルゴム、およびポリイソブチレン、ガムのグリセロールエステル、テルペン樹脂、ポリ酢酸ビニル、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、硬化植物油、レシチン、グリセロールモノステアラート、天然ラテックス、チクル、トウヒガム、マスチックガム、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの場合、オーラル製品成形前混合物をオーラル製品に成形する工程は、所定の形状へのオーラル製品成形前混合物の圧縮成形を含む。いくつかの場合、オーラル製品成形前混合物をオーラル製品に成形する工程は、所定の形状へのオーラル製品成形前混合物の押出し成形および切断を含む。いくつかの場合、オーラル製品成形前混合物をオーラル製品に成形する工程は、所定の形状へのオーラル製品成形前混合物の射出成形を含む。いくつかの場合、オーラル製品成形前混合物は、成分の乾燥混合物を含む。いくつかの場合、オーラル製品成形前混合物は、イオン交換樹脂を実質的に含まない。いくつかの場合、オーラル製品成形前混合物は、緩衝剤を実質的に含まない。
【0012】
本明細書において提供されるオーラル製品は、セルロース系繊維と液体ニコチンとの混合物を含むことができ、該液体ニコチンは、該セルロース系繊維の孔に吸収されている。いくつかの場合、オーラル製品は、セルロース系繊維と液体ニコチンとの混合物を結合させて固体ピースにする結合物質を含む。本明細書において提供されるオーラル製品は、所定の形状を有することができる。いくつかの場合、所定の形状は、本明細書において提供される過程の一つまたは複数によって形成される。本明細書において提供されるオーラル製品中の結合物質は、本明細書において提供される結合物質であることができる。セルロース系繊維と液体ニコチンとの混合物は、本明細書において提供されるセルロース系繊維-ニコチン混合物であることができる。いくつかの場合、本明細書において提供されるオーラル製品は、容器を含むことができる。いくつかの場合、本明細書において提供されるオーラル製品は、容器内に沈着したセルロース系繊維と液体ニコチンとの緩い混合物を含むことができる。
【0013】
以下に、本発明の基本的な諸特徴および種々の態様を列挙する。
[1]
液体ニコチンがセルロース系繊維の孔に吸収されてセルロース系繊維-ニコチン混合物を形成するように、該液体ニコチンを該セルロース系繊維と混合する工程を含む、ニコチンを安定化するための方法。
[2]
前記液体ニコチンが、少なくとも1重量パーセントのニコチンを含む、[1]の方法。
[3]
前記液体ニコチンが、2重量パーセント~75重量パーセントのニコチン、および少なくとも一種の希釈剤を含む、[2]の方法。
[4]
前記希釈剤が、可塑剤、湿潤剤、香味料、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、前記[1]~[3]のいずれかの方法。
[5]
液体ニコチンをセルロース系繊維と混合する工程の前に、希釈剤で該液体ニコチンを希釈する工程をさらに含む、前記[1]~[4]のいずれかの方法。
[6]
前記セルロース系繊維-ニコチン混合物を密封容器内で少なくとも1時間平衡化させる工程をさらに含む、前記[1]~[5]のいずれかの方法。
[7]
前記セルロース系繊維が、約3ナノメートル~約300ナノメートルの平均孔サイズを有する孔を含む、前記[1]~[6]のいずれかの方法。
[8]
(a)液体ニコチンをセルロース系繊維と混合して、セルロース系繊維-ニコチン混合物を製造する工程;
(b)該セルロース系繊維-ニコチン混合物を一種または複数種の結合物質と混合して、オーラル製品成形前混合物(oral product pre-molding mixture)を形成する工程;および
(c)該オーラル製品成形前混合物をオーラル製品に成形する工程
を含む、液体ニコチンをオーラル製品中に組み込むための方法。
[9]
前記液体ニコチンを前記セルロース系繊維と混合して前記セルロース系繊維-ニコチン混合物を形成する前に、一種または複数種の希釈剤で該液体ニコチンを希釈する工程をさらに含む、[8]の方法。
[10]
前記一種または複数種の希釈剤が、可塑剤、香味料、湿潤剤、またはこれらの組み合わせを含む、[9]の方法。
[11]
前記一種または複数種の希釈剤がプロピレングリコールを含み、かつ、前記液体ニコチンを前記セルロース系繊維と混合して前記セルロース系繊維-ニコチン混合物を形成する前に該液体ニコチンが5%~25%のニコチンの濃度に希釈される、[9]の方法。
[12]
液体ニコチンとセルロース系繊維の重量比が1/1000~50/50である、[8]~[11]のいずれかの方法。
[13]
前記セルロース系繊維-ニコチン混合物が平衡化するように、該セルロース系繊維-ニコチン混合物を前記結合物質と混合する前に該セルロース系繊維-ニコチン混合物を密封容器において少なくとも1時間保持する工程をさらに含む、[8]~[12]のいずれかの方法。
[14]
前記結合物質がチューインガムベースである、[8]~[13]のいずれかの方法。
[15]
前記結合物質が、デキストリンもしくはデキストリン誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、デンプン、コンニャク、コラーゲン、イヌリン、大豆タンパク質、乳清タンパク質、カゼイン、小麦グルテン、カラギーナン、アルギナート、アルギン酸プロピレングリコール、キサンタン、デキストリン、プルラン、カードラン、ジェラン(gellan)、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム(tara gum)、トラガカントガム、ペクチン、寒天、ゼイン、カラヤ、ゼラチン、オオバコ種子、キチン、キトサン、アカシアガム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、グアーガム、キサンタン、セルロース、マルトデキストリンもしくは他の化工デンプン、ポリウレタン、シリコンポリマー、ポリエステル、ポリアクリラート、ポリエチレン、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(「SEBS」)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)(「SBS」)、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(「SIS」)、コウマ・マクロカルパ(couma macrocarpa)、ビワ、アメリカゴムノキ(tunu)、クワガタノキ、チクル、スチレン-ブタジエンゴム、ブチルゴム、およびポリイソブチレン、ガムのグリセロールエステル、テルペン樹脂、ポリ酢酸ビニル、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、硬化植物油、レシチン、グリセロールモノステアラート、天然ラテックス、チクル、トウヒガム、マスチックガム、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、[8]~[14]のいずれかの方法。
[16]
前記オーラル製品成形前混合物を前記オーラル製品に成形する工程が、所定の形状への該オーラル製品成形前混合物の圧縮成形を含む、[8]~[15]のいずれかの方法。
[17]
前記オーラル製品成形前混合物が、成分の乾燥混合物を含む、[8]~[16]のいずれかの方法。
[18]
前記オーラル製品成形前混合物がイオン交換樹脂を実質的に含まない、[8]~[17]のいずれかの方法。
[19]
前記オーラル製品成形前混合物が緩衝剤を実質的に含まない、[8]~[18]のいずれかの方法。
[20]
セルロース系繊維と液体ニコチンとの混合物を含み、該液体ニコチンが該セルロース系繊維の孔に吸収されている、オーラル製品。
[21]
セルロース系繊維と液体ニコチンとの混合物を結合させて固体ピースにする結合物質をさらに含む、[20]のオーラル製品。
[22]
一種もしくは複数種の可塑剤、一種もしくは複数種の湿潤剤、一種もしくは複数種の香味料、一種もしくは複数種の甘味料、またはこれらの組み合わせを含む、[20]または[21]のオーラル製品。
[23]
容器を含み、かつ、前記セルロース系繊維と液体ニコチンとの混合物が該容器内に緩く沈着している、[20]のオーラル製品。
一つまたは複数の態様の詳細を添付の図面および下記の説明において示す。他の特徴および利点は、説明および図面からならびに添付の特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】どのようにして液体ニコチンをセルロース系繊維と組み合わせてオーラル製品に成形することができるかについての例を示す、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本文書は、液体ニコチンを安定化すること、液体ニコチンをオーラル製品中に組み込むこと、および望ましいニコチン放出特性を有するオーラル製品を提供することに関する。液体ニコチンは、液体ニコチンがセルロース系繊維の孔に吸収されてセルロース系繊維-ニコチン混合物を形成するように、液体ニコチンをセルロース系繊維と混合することによって、安定化させることができる。オーラル製品は、本明細書において提供されるセルロース系繊維-ニコチン混合物を一種または複数種の結合物質と混合してオーラル製品成形前混合物を形成すること、および該オーラル製品成形前混合物をオーラル製品に成形することによって、製造することができる。本明細書において提供されるように液体ニコチンをセルロース系繊維と組み合わせることは、乾燥成分を必要とする圧縮成形技術を含む、多種多様の成形操作において使用することができる安定化されたニコチンを提供することができる。本明細書において提供されるオーラル製品は、望ましいニコチン放出特性を有することができる。
【0016】
ニコチン
本明細書中で提供されるセルロース系繊維-ニコチン混合物において使用される液体ニコチンは、タバコ由来のニコチン、合成ニコチン、またはこれらの組み合わせであることができる。液体ニコチンは、タバコ由来であろうとまたは合成であろうと、販売元から購入することができる。タバコ由来のニコチンは、ニコチン以外の一つまたは複数の他のタバコ感覚刺激性構成成分を含むことができる。タバコ由来のニコチンは、生(例えば、緑色の葉)のタバコおよび/または加工処理されたタバコから抽出することができる。加工処理されたタバコは、発酵(fermented)および非発酵タバコ、暗色空気乾燥、暗色火乾燥、バーリー、熱風乾燥、およびシガーフィラーまたはラッパー、ならびに全葉除茎操作由来の製品を含むことができる。タバコはまた、米国特許出願公開公報第2004/0118422号または同第2005/0178398号に記載されているように、加熱、乾燥中の発酵(sweating)、および/または低温殺菌の工程によってコンディショニングすることもできる。発酵は、典型的に、高い初期水分含量、発熱、および10~20%の乾燥重量損失を特徴とする。例えば、米国特許第4,528,993号;同第4,660,577号;同第4,848,373号;および同第5,372,149号を参照されたい。ニコチンおよび他の感覚刺激性構成成分を抽出する前にタバコを加工処理することによって、タバコ由来のニコチンは、好ましい経験を与える成分を含み得る。タバコ由来のニコチンは、乾燥および発酵タバコを水または別の溶剤(例えば、エタノール)と混合し、その後不溶性タバコ物質を除去することによって得ることができる。タバコ抽出物を、さらに濃縮または精製してもよい。いくつかの場合、選択したタバコ構成要素を除去することができる。ニコチンはまた、米国特許第2,162,738号;同第3,139,436号;同第3,396,735号;同第4,153,063号;同第4,448,208号;および同第5,487,792号に記載されている方法でタバコから抽出することもできる。
【0017】
液体ニコチンは、セルロース系繊維との組み合わせ前に、純粋であること、実質的に純粋であること、または希釈されていることができる。図1に示される希釈工程は、任意である。いくつかの場合、液体ニコチンをセルロース系繊維と混合する前に、液体ニコチンを、1重量パーセント~75重量パーセントの濃度に希釈する。いくつかの場合、液体ニコチンをセルロース系繊維と混合する前に、液体ニコチンを、2重量パーセント~50重量パーセントの濃度に希釈する。いくつかの場合、液体ニコチンをセルロース系繊維と混合する前に、液体ニコチンを、5重量パーセント~25重量パーセントの濃度に希釈する。例えば、液体ニコチンをセルロース系繊維と混合する前に、液体ニコチンを、約10重量パーセントの濃度に希釈することができる。
【0018】
いくつかの場合、本明細書において提供されるセルロース系繊維-ニコチン混合物を含むオーラル製品は、0.1 mg~6.0 mgの液体ニコチンを含むことができる。いくつかの場合、本明細書において提供されるセルロース系繊維-ニコチン混合物を含むオーラル製品は、1.0 mg~3.0 mgの液体ニコチンを含む。
【0019】
希釈剤
図1に示されるように、液体ニコチンをセルロース系繊維と混合する前に、液体ニコチンを希釈することができる。液体ニコチンは、任意の適した希釈剤で希釈することができる。液体ニコチンを希釈することは、液体ニコチンについてより大きい液体容積を提供し、正確な量のニコチンを計量するのに役立つことができる。希釈剤はまた、セルロース系繊維中へのニコチンの吸収を促進することもできる。いくつかの場合、希釈剤は、一種もしくは複数種の可塑剤、一種もしくは複数種の湿潤剤、一種もしくは複数種の香味料、またはこれらの組み合わせであることができる。いくつかの場合、単一の物質が、可塑剤と湿潤剤の両方、湿潤剤と香味料の両方、可塑剤と香味料の両方として、または3つすべてとして働くことができる。例えば、プロピレングリコールは、可塑剤と湿潤剤の両方として働くことができる。例えば、蜂蜜は、湿潤剤と香味料の両方として働くことができる。いくつかの場合、希釈剤は、溶剤(例えば、エタノール、水など)を含むことができる。いくつかの場合、エタノールを、希釈剤として使用することができる。エタノールは、溶剤として作用することができるが、本明細書中で提供される方法、システム、および製品においていくらかの可塑化特性も提供する。いくつかの場合、希釈剤は、甘味料を含むことができる。いくつかの場合、セルロース系繊維-ニコチン混合物がある特定のタバコ製品の香味プロファイルおよび触感を模倣するように、希釈剤は、可塑剤、湿潤剤、溶剤、甘味料、および/または香味料の組み合わせを含むことができる。
【0020】
適した可塑剤は、プロピレングリコール、グリセリン、植物油、部分的に硬化された植物油、および中鎖トリグリセリド類を含む。いくつかの場合、可塑剤はフタラートを含むことができる。ポリカルボン酸と中鎖長の直鎖状または分岐状脂肪族アルコール類とのエステルもまた、可塑剤として使用することができる。希釈剤として働くことに加えて、可塑剤は、以下に記載される成形過程を容易にすることができる。可塑剤は、いくつかの場合、オーラル製品を軟化させることができる。いくつかの場合、オーラル製品は、最大20重量パーセントの可塑剤を含むことができる。いくつかの場合、オーラル製品は、0.5~10重量パーセントの可塑剤、1~8重量パーセントの可塑剤、または2~4重量パーセントの可塑剤を含む。例えば、オーラル製品は、約3~6.5重量パーセントのプロピレングリコールを含むことができる。
【0021】
湿潤剤とは、物体を湿性に保つために使用される物質である。湿潤剤は、吸湿性であることができる。適した湿潤剤は、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、三酢酸グリセリン、ビニルアルコール、ネオアガロビオース、糖ポリオール(グリセロール、ソルビトール(E420)、キシリトール、マルチトール、マンニトール、およびイソマルトなど)、ポリマーポリオール(例えば、ポリデキストロース)、キラヤ、αヒドロキシ酸(例えば、乳酸)、グリセリン、アロエベラゲル、および蜂蜜を含む。
【0022】
香味料は、天然または人工であることができる。香味料は、甘草、ウィンターグリーン、チェリーおよびベリータイプ香味料、Drambuie、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、シナモン、カルダモン、セロリ(apium graveolents)、クローブ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ニホンハッカ、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カモミール、メントール、イランイラン、セージ、フェンネル、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ(Mentha)属の種由来のハッカ油、ココア、およびこれらの組み合わせから選択することができる。合成香味料を、使用することもできる。ある特定の態様において、香味料の組み合わせを、タバコ香味に似せるために組み合わせることができる。香味料の特定の組み合わせは、一般に安全と認められる(「GRAS」)香味料から選択することができる。
【0023】
様々な合成および/または天然の甘味料を、希釈剤として使用するか、またはオーラル製品に別々に添加することができる。適した天然甘味料は、糖、例えば、単糖類、二糖類、および/もしくは多糖類の糖、ならびに/または二つもしくはそれ以上の糖の混合物を含む。いくつかの場合、希釈剤は、以下の一つまたは複数を含むことができる:スクロースもしくはテーブルシュガー;蜂蜜もしくはスクロースを含まない低分子量糖の混合物;グルコースもしくはブドウ糖もしくはトウモロコシ糖もしくはデキストロース;糖蜜;トウモロコシ甘味料;コーンシロップもしくはグルコースシロップ;フルクトースもしくは果糖;ラクトースもしくは乳糖;マルトースもしくは麦芽糖もしくはマルトビオース;モロコシシロップ;マンニトールもしくはマンナ糖;ソルビトールもしくはd-ソルビットもしくはd-ソビトール;果汁濃縮物;および/またはこれらの成分の一つもしくは複数の混合物もしくはブレンド。希釈剤は、いくつかの場合、非栄養性甘味料を含むことができる。適した非栄養性甘味料は、ステビア、サッカリン;アスパルテーム;スクラロース;またはアセスルファムカリウムを含む。
【0024】
セルロース系繊維
本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、植物組織に由来することができる。いくつかの場合、本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、セルロースを含むことができる。本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、リグニンおよび/または脂質をさらに含むことができる。セルロース系繊維の適した供給源は、ウッドパルプ、綿、テンサイ、ふすま、柑橘類パルプ繊維、スイッチグラスおよび他の草、ヤナギ属(Salix)(ヤナギ)、茶、およびポプラ属(Populus)(ポプラ)、タケを含む。いくつかの場合、本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、種々の天然の香味、甘味料、または有効成分を含む、刻んだまたは細断した植物組織であることができる。本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、様々な寸法を有する複数の繊維を含むことができる。いくつかの場合、本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、ヒトの消費について一般に安全と認められる(「GRAS」)一種または複数種のセルロース系繊維を含むことができる。
【0025】
セルロース系繊維の寸法(量に加えて)は、混合物からおよび本明細書において提供されるオーラル製品からの液体ニコチンの放出特性に影響を及ぼし得る。オーラル製品からのニコチンの放出プロファイルは、セルロース系繊維の繊維サイズ、タイプ、および量の両方によって影響を受け得る。いくつかの場合、セルロース系繊維を、200マイクロメートル未満の平均繊維サイズを有するように加工処理することができる。いくつかの場合、繊維は、75~125マイクロメートルであることができる。他の態様において、繊維は、75マイクロメートルまたはそれ未満のサイズを有するように加工処理される。セルロース系繊維は、親水性であることができ、従って、水溶性添加物(例えば、ニコチン)は、セルロース系繊維の孔に優先的に吸収され得る。
【0026】
本明細書中で提供される方法、システム、およびオーラル製品において使用されるセルロース系繊維は、孔を有することができる。いくつかの場合、本明細書において提供されるセルロース系繊維は、3ナノメートル~300ナノメートルの範囲にわたる孔サイズを有する。いくつかの場合、本明細書において提供されるセルロース系繊維は、10ナノメートル~200ナノメートルの範囲にわたる孔サイズを有する。いくつかの場合、本明細書において提供されるセルロース系繊維は、20ナノメートル~100ナノメートルの範囲にわたる孔サイズを有する。液体ニコチンをセルロース系繊維と混合すると、ニコチンは、セルロース系繊維中の孔に吸収されて、そこにファンデルワールス力によって保持されるようになり得る。孔の数、サイズ、およびサイズ分布、化学的および物理的表面性質が、セルロース系繊維中およびオーラル製品中に組み込まれたニコチンの放出速度に影響を及ぼし得る。放出速度はまた、セルロース系繊維の圧縮により(例えば、オーラル製品を咀嚼することによって)操作することもできる。オーラル製品に含まれる際に所望の感覚的経験を提供するように、セルロース系繊維の親水性を選択することができる。例えば、セルロース系繊維は、親水性であることができ、従って、水溶性添加物(例えば、ニコチン)は、セルロース系繊維に優先的に吸収され得る。
【0027】
混合および平衡化
図1に示されるように、セルロース系繊維と液体ニコチンとを混合して平衡化する。セルロース系繊維と液体ニコチンとを、任意の適した時間にわたって、適した混合装置において混合することができる。いくつかの場合、セルロース系繊維と液体ニコチンとを、500 rpm未満、250 rpm未満、150 rpm未満、100 rpm未満、60 rpm未満、30 rpm未満、または10 rpm未満の速度で回転する混合器具によって混合することができる。例えば、混合器は、Kitchenaid、Hobart Mixe、リボンブレンダー、または所望のバッチサイズに応じた他の混合機器であることができる。いくつかの場合、セルロース系繊維と液体ニコチンとを、回転ドラムおよび/または振動ドラムを用いて混合することができる。いくつかの場合、セルロース系繊維と液体ニコチンとを、結果として生じたセルロース系繊維-ニコチン混合物をオーラル製品中に組み込む前に、少なくとも1分間、少なくとも3分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、または少なくとも30分間混合することができる。
【0028】
セルロース系繊維と液体ニコチンとを混合した後、セルロース系繊維-ニコチン混合物を密封容器において平衡化することができる。いくつかの場合、密封容器は、袋(例えば、ポリ袋)であることができる。いくつかの場合、セルロース系繊維-ニコチン混合物を、使用またはオーラル製品中への組み込みの前に、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、または少なくとも10時間平衡化することができる。いくつかの場合、セルロース系繊維-ニコチン混合物を、平衡化過程中にさらに混合または撹拌することができる。例えば、ポリ袋において平衡化するセルロース系繊維-ニコチン混合物を、選択した時間で(例えば、平衡化過程中に2時間)平衡化過程中に撹拌することができる。
【0029】
オーラル製品
本明細書において提供されるセルロース系繊維-ニコチン混合物を、他の成分と組み合わせること、および/またはオーラル製品を作製するようにパッケージングすることができる。いくつかの場合、本明細書において提供されるオーラル製品は、パッケージングされた量の緩いセルロース系繊維-ニコチン混合物を含むことができる。いくつかの場合、本明細書において提供されるオーラル製品は、多孔性小袋内にある量のセルロース系繊維-ニコチン混合物を含むことができる。いくつかの場合、本明細書において提供されるオーラル製品は、少なくとも一種の結合物質、およびセルロース系繊維-ニコチン混合物を含む、成形されたボディを含むことができる。
【0030】
本明細書において提供されるセルロース系繊維-ニコチン混合物は、オーラル製品中への組み込みのために液体ニコチンを安定化するのに使用することができる。いくつかの場合、本明細書において提供されるオーラル製品は、少なくとも一種または複数種の結合物質と、本明細書において提供されるセルロース系繊維-ニコチン混合物とを混合することによって形成されるオーラル製品成形前混合物の圧縮成形により、製造することができる。オーラル製品成形前混合物は、乾燥混合物の圧縮成形により、製造することができる。乾燥混合物とは、この用語が本明細書において使用される際、構成成分を、液体または融解形態とは対照的に固体形態において成形機器に導入することを意味する。乾燥成分は、例えば、吸収されたニコチンを有するセルロース系繊維、糖アルコール、ガム、マルトデキストリン、多糖類、甘味料、香味、および/または抗酸化剤を含むことができる。いくつかの場合、オーラル製品成形前混合物を焼結して、オーラル製品を形成することができる。いくつかの場合、オーラル製品成形前混合物を射出成形して、オーラル製品を形成することができる。いくつかの場合、オーラル製品成形前混合物を押出し成形および切断して、一つまたは複数のオーラル製品を形成することができる。
【0031】
本明細書において提供されるオーラル製品は、上記で議論された香味料、甘味料、湿潤剤、および可塑剤などの、一種または複数種の香味料、甘味料、湿潤剤、および/または可塑剤をさらに含むことができる。上述したように、香味料、甘味料、湿潤剤、および/または可塑剤を液体ニコチンに添加して、液体ニコチンを希釈することができる。いくつかの場合、香味料、甘味料、湿潤剤、および/または可塑剤を、ニコチンが吸収された後に、本明細書において提供されるセルロース系繊維-ニコチン混合物に添加することができる。いくつかの場合、香味料、甘味料、湿潤剤、および/または可塑剤を、結合物質および本明細書において提供されるセルロース系繊維-ニコチン混合物と混合して、オーラル製品成形前混合物を形成することができる。本明細書において提供されるオーラル製品はまた、抗酸化剤および/または着色剤も含むことができる。
【0032】
オーラル製品のボディは、様々な異なる形状を有することができ、そのいくつかは、円板形、盾形、長方形、および正方形を含む。ある特定の態様に従って、ボディは、5 mm~100 mmの長さまたは幅、および1 mm~30 mmの厚さを有することができる。
【0033】
結合物質
結合物質は、ある量の本明細書において提供されるセルロース系繊維-ニコチン混合物を単一ピースとして結合させる、任意の適した物質であることができる。
【0034】
いくつかの場合、結合物質は、結果として生じたオーラル製品が、成人消費者の口の中で溶解できるような水溶性ポリマーであることができる。例えば、結合物質は、炭水化物であることができる。いくつかの場合、結合物質は、ヒドロキシル基含有化合物、デキストリンもしくはデキストリン誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、デンプン、コンニャク、コラーゲン、イヌリン、大豆タンパク質、乳清タンパク質、カゼイン、小麦グルテン、カラギーナン、アルギナート、アルギン酸プロピレングリコール、キサンタン、デキストリン、プルラン、カードラン、ジェラン、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム、トラガカントガム、ペクチン、寒天、ゼイン、カラヤ、ゼラチン、オオバコ種子、キチン、キトサン、アカシアガム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの場合、結合物質は、グアーガム、キサンタン、セルロース、およびこれらの組み合わせの群から選択される。いくつかの場合、結合物質は、マルトデキストリンまたは他の化工デンプンを含むことができる。
【0035】
いくつかの場合、結合物質は、口内で安定なポリマーであることができる。口内で安定な適したポリマーマトリクスは、ポリウレタン、シリコンポリマー、ポリエステル、ポリアクリラート、ポリエチレン、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(「SEBS」)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)(「SBS」)、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(「SIS」)、および他の類似した熱可塑性エラストマー、または、これらの任意のコポリマー、混合物、もしくは組み合わせを含むことができる。
【0036】
いくつかの場合、結合物質は、チューインガムベースであることができる。チューインガムベースは、以下の種類に由来する成分を含むことができる:エラストマー(コウマ・マクロカルパ、ビワ、アメリカゴムノキ、クワガタノキ、チクル、スチレン-ブタジエンゴム、ブチルゴム、およびポリイソブチレンなど);樹脂(ガムのグリセロールエステル、テルペン樹脂、および/またはポリ酢酸ビニル);ワックス(パラフィンまたはマイクロクリスタリンワックスなど);脂肪(硬化植物油など);乳化剤(レシチンまたはグリセロールモノステアラートなど);充填剤(炭酸カルシウムまたはタルクなど);抗酸化剤(例えば、BHT、BHA、トコフェロール、アスコルビン酸パルミテート)。いくつかの場合、チューインガムベースは、天然ラテックス、植物ガム(例えば、チクル)、トウヒガム、および/またはマスチックガムを含むことができる。
【0037】
本発明の多数の態様を説明してきた。しかしながら、種々の変形が本発明の精神および範囲から逸脱することなく作製され得ることが理解されよう。従って、他の態様は添付の特許請求の範囲の範囲内である。
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む混合物を含む、オーラル製品:
セルロース系物質であって、ウッドパルプ、綿、テンサイ、ふすま、柑橘類パルプ繊維、スイッチグラス、草、ヤナギ属(Salix)、茶、ポプラ属(Populus)、タケ繊維、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、前記セルロース系物質、および
該セルロース系物質の孔に吸収された、希釈されたニコチンであって、ニコチン及び中鎖トリグリセリド類を含む希釈剤を含む、前記希釈されたニコチン。
【請求項2】
ニコチンが、タバコ由来のニコチンを含む、請求項1記載のオーラル製品。
【請求項3】
ニコチンが、合成ニコチンを含む、請求項1記載のオーラル製品。
【請求項4】
希釈されたニコチンとセルロース系物質の重量比が1/1000~50/50の範囲にわたる、請求項1記載のオーラル製品。
【請求項5】
ニコチンが、オーラル製品中に0.1 mg~6.0 mgの範囲にわたる量で存在する、請求項1記載のオーラル製品。
【請求項6】
ニコチンが、1重量パーセント以上の量で希釈されたニコチンに存在する、請求項1記載のオーラル製品。
【請求項7】
ニコチンが、2重量パーセント~75重量パーセントの範囲にわたる量で希釈されたニコチンに存在する、請求項6記載のオーラル製品。
【請求項8】
中鎖トリグリセリド類が、オーラル製品中に20重量パーセント以下の量で存在する、請求項1記載のオーラル製品。
【請求項9】
中鎖トリグリセリド類が、オーラル製品中に2重量パーセント~4重量パーセントの範囲にわたる量で存在する、請求項8記載のオーラル製品。
【請求項10】
中鎖トリグリセリド類が、オーラル製品中に3重量パーセント~6.5重量パーセントの範囲にわたる量で存在する、請求項8記載のオーラル製品。
【請求項11】
孔が、3ナノメートル~300ナノメートルの範囲にわたる平均孔サイズを有する、請求項1記載のオーラル製品。
【請求項12】
甘味料をさらに含む、請求項1記載のオーラル製品。
【請求項13】
甘味料が、単糖類、二糖類、多糖類、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む天然の甘味料を含む、請求項12記載のオーラル製品。
【請求項14】
甘味料が、スクロース、蜂蜜、グルコース、糖蜜、トウモロコシ甘味料、コーンシロップ、フルクトース、ラクトース、マルトース、モロコシシロップ、マンニトール、ソルビトール、果汁濃縮物、ステビア、サッカリン、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項12記載のオーラル製品。
【請求項15】
湿潤剤をさらに含む、請求項1記載のオーラル製品。
【請求項16】
湿潤剤が、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、三酢酸グリセリン、ビニルアルコール、ネオアガロビオース、糖ポリオール、ポリマーポリオール、キラヤ、αヒドロキシ酸、グリセリン、アロエベラゲル、蜂蜜、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項15記載のオーラル製品。
【請求項17】
香味料をさらに含む、請求項1記載のオーラル製品。
【請求項18】
香味料が、甘草、ウィンターグリーン、チェリー、ベリータイプ香味料、Drambuie、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、シナモン、カルダモン、セロリ(apium graveolents)、クローブ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ニホンハッカ、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カモミール、メントール、イランイラン、セージ、フェンネル、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ(Mentha)属の種由来のハッカ油、ココア、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項17に記載のオーラル製品。
【請求項19】
セルロース系物質が、75マイクロメートル~125マイクロメートルの範囲にわたるサイズを有するセルロース系繊維を含む、請求項1記載のオーラル製品。
【請求項20】
セルロース系物質が、マイクロクリスタリンセルロース(MCC)を含む、請求項1記載のオーラル製品。