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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179587
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ケース
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20221125BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20221125BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20221125BHJP
【FI】
A61B1/00 735
G02B23/24 B
G02B7/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158231
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2017174388の分割
【原出願日】2017-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】320008672
【氏名又は名称】i-PRO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】東山 誠司
(72)【発明者】
【氏名】竹永 祐一
(72)【発明者】
【氏名】片平 晴康
(57)【要約】
【課題】内視鏡診断において、不要な光の撮像に基づく撮像画像の画質劣化を抑制する。
【解決手段】内視鏡は、観察対象部位からの光を入射する開口部と、複数のフィルタを有し、いずれかのフィルタを用いて開口部を通過した光を選択的に透過するフィルタ部と、フィルタ部を通過した光をそれぞれ異なる色成分の光に分解する複数の分解プリズムからなる色分解プリズムと、それぞれの分解プリズムに対応して設けられ、それぞれの分解プリズムにより分解された異なる色成分の光に基づいて撮像する複数のイメージセンサと、それぞれのイメージセンサによる撮像により得られた画像信号を出力する信号出力部と、複数のフィルタのうちいずれかを、開口部を通過した光を入射可能に配置させるフィルタ配置部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象部位からの光を入射する開口部と、
複数のフィルタを有し、いずれかの前記フィルタを用いて前記開口部を通過した光を選択的に透過するフィルタ部と、
前記フィルタ部を通過した光をそれぞれ異なる色成分の光に分解する複数の分解プリズムを有する色分解プリズムと、
それぞれの前記分解プリズムに対応して設けられ、それぞれの前記分解プリズムにより分解された異なる色成分の光に基づいて撮像する複数のイメージセンサと、
それぞれの前記イメージセンサによる撮像により得られた画像信号を出力する信号出力部と、
前記複数のフィルタのうちいずれかを、前記開口部を通過した光を入射可能に配置させるフィルタ配置部と、を備える、
内視鏡。
【請求項2】
前記フィルタ部は、前記複数のフィルタが略直線状に並んで構成され、
前記フィルタ配置部は、所定のユーザ操作に応じて、前記複数のフィルタを前記略直線状にスライドし、前記複数のフィルタのうちいずれかを配置する、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記複数のフィルタは、IRカットフィルタを含む、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記複数のフィルタは、5ALA励起光カットフィルタを含む、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記複数のフィルタは、ICG励起光カットフィルタを含む、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記複数の分解プリズムは、それぞれ同一平面に沿って出射光の光束中心が位置するように配置され、
それぞれの前記フィルタは、前記複数の分解プリズムのうち最も対物側に配置された分解プリズムへの入射光の光束中心に直交し、かつ、前記同一平面と平行に直線移動する、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項7】
観察対象部位からの光を入射する開口部と、
複数のフィルタを有し、いずれかの前記フィルタを用いて前記開口部を通過した光を選択的に透過するフィルタ部と、
前記フィルタ部を通過した光をそれぞれ異なる色成分の光に分解する複数の分解プリズムからなる色分解プリズムと、
それぞれの前記分解プリズムに対応して設けられ、それぞれの前記分解プリズムにより分解された異なる色成分の光に基づいて撮像する複数のイメージセンサと、
それぞれの前記イメージセンサによる撮像により得られた画像信号を出力する信号出力部と、
前記複数のフィルタのうちいずれかを、前記開口部を通過した光を入射可能に配置させるフィルタ配置部と、
前記信号出力部から出力されたそれぞれの前記画像信号に基づいてRGB画像及びIR画像を生成し、前記RGB画像及びIR画像を表示部に表示するコントローラと、を備える、
内視鏡システム。
【請求項8】
前記複数のフィルタのうちいずれかを、前記開口部を通過した光を入射可能に配置させるためのフィルタ切替信号もしくはユーザ操作に伴う動力を前記フィルタ配置部へ伝えるスイッチ、を更に備える、
請求項7に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内視鏡及び内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
微細病変を特殊光観察で捉える内視鏡診断が知られている。特殊光観察としては、例えば表層血管の強調表示を行う狭帯域光観察、体内に注入された蛍光物質(例えば試薬、色素)に励起光を照射することで生体の自家蛍光を観察する蛍光観察、2つの異なる波長の赤外光の照射により深層の血管情報を抽出する赤外光観察などがある。医師による通常観察では白色光照明を用いるのに対し、狭帯域光観察、蛍光観察では例えば波長405nmの励起光、赤外光観察では例えば波長760nmの赤外光が用いられる。これら波長の異なる撮像光を、一度の観察で取得し、病変を特徴付ける複数の情報を診断に有用な画像に加工する4板方式のプリズムを用いた内視鏡が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-178995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、内視鏡診断(例えば上述した蛍光観察)では、蛍光物質に照射される励起光など、患部を被写体とした所望の撮像画像中に不要な光が撮像される場合がある。従来技術では、このような不要な光が撮像された撮像画像は、内視鏡の後段に設けられるCCU(Camera Control Unit)内の画像処理装置において、光強度の小さい目的波長の信号出力がゲイン調整されることで画質調整が施された。そのため、ゲイン調整による増幅度が高くなると、撮像画像のS/N比が低下し、撮像画像の画質が劣化して十分な患部把握ができなくなる場合があった。上述した特許文献1においても、蛍光観察に関する言及はあるものの、撮像画像中に励起光などの不要な光が撮像されてしまうことの技術的対策については考慮されていない。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、内視鏡診断において、不要な光の撮像に基づく撮像画像の画質劣化を抑制する内視鏡及び内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、観察対象部位からの光を入射する開口部と、複数のフィルタを有し、いずれかの前記フィルタを用いて前記開口部を通過した光を選択的に透過するフィルタ部と、前記フィルタ部を通過した光をそれぞれ異なる色成分の光に分解する複数の分解プリズムからなる色分解プリズムと、それぞれの前記分解プリズムに対応して設けられ、それぞれの前記分解プリズムにより分解された異なる色成分の光に基づいて撮像する複数のイメージセンサと、それぞれの前記イメージセンサによる撮像により得られた画像信号を出力する信号出力部と、前記複数のフィルタのうちいずれかを、前記開口部を通過した光を入射可能に配置させるフィルタ配置部と、を備える、内視鏡を提供する。
【0007】
また、本開示は、観察対象部位からの光を入射する開口部と、複数のフィルタを有し、いずれかの前記フィルタを用いて前記開口部を通過した光を選択的に透過するフィルタ部と、前記フィルタ部を通過した光をそれぞれ異なる色成分の光に分解する複数の分解プリズムからなる色分解プリズムと、それぞれの前記分解プリズムに対応して設けられ、それぞれの前記分解プリズムにより分解された異なる色成分の光に基づいて撮像する複数のイメージセンサと、それぞれの前記イメージセンサによる撮像により得られた画像信号を出力する信号出力部と、前記複数のフィルタのうちいずれかを、前記開口部を通過した光を入射可能に配置させるフィルタ配置部と、前記信号出力部から出力されたそれぞれの前記画像信号に基づいてRGB画像及びIR画像を生成し、前記RGB画像及びIR画像を表示部に表示するコントローラと、を備える、内視鏡システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、内視鏡診断において、不要な光の撮像に基づく撮像画像の画質劣化を効率的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る内視鏡の一例を示す外観図
図2】本実施の形態に係る内視鏡の概略構成例を示す模式図
図3】カメラヘッドの正面図
図4】4色分解プリズム及びフィルタユニットが設けられたカメラヘッド内部の側面図
図5】4色分解プリズムの構造例を示す模式図
図6】4色分解プリズムの分光特性の一例を示すグラフ
図7】カメラヘッドの要部分解斜視図
図8】フィルタユニットの正面図
図9】4色分解プリズムの対物側に設けられたフィルタユニットの斜視図
図10】開口部にICG励起光カットフィルタが配置された時のフィルタユニットの斜視図
図11】開口部にIRカットフィルタが配置される途中の時点のフィルタユニットの斜視図
図12】3色分解プリズムにフィルタユニットを設けた構成例の側面図
図13】本実施の形態に係る内視鏡システムの構成例を示すブロック図
図14】同時出力モード時の画像例を示す模式図
図15】重畳出力モード時の画像例を示す模式図
図16】IRカットフィルタの分光特性の一例を示すグラフ
図17】5ALA励起光カットフィルタの分光特性の一例を示すグラフ
図18】ICG励起光カットフィルタの分光特性の一例を示すグラフ
図19】フィルタを使用しない4色分解プリズムの総合分光特性の一例を示すグラフ
図20】IRカットフィルタを用いた可視光モードの一例を示すグラフ
図21】5ALA励起光カットフィルタを用いた5ALAモードの一例を示すグラフ
図22】ICG励起光カットフィルタを用いた可視光及びICGモードの一例を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本実施の形態の内容に至る経緯)
内視鏡を用いた手術では、蛍光物質(例えば試薬、色素)であるインドシアニングリーン(ICG:Indocyanine Green)を体内に投与し、ICGが投与された腫瘍などの部位(つまり、患部)に近赤外光を当てて患部を蛍光発光させ、患部を含む部位を撮像することがある。ICGは、近赤外光(例えばピーク波長805nm、750~810nm)で励起すると、より長波長の近赤外光(例えばピーク波長835nm)で蛍光発光する色素である。
【0011】
イメージセンサが1個で構成される単板式カメラが、IR成分を含む光を受光して患部の画像を取得する場合、例えばイメージセンサの入射面(撮像面)に4分割されたR(赤色)成分,G(緑色)成分,B(青色)成分、及びIR成分用のフィルタを設ける。そのため、所望の色再現性及び解像度を得ようとすると、イメージセンサのサイズが大きくなる。このため、内視鏡に単板式カメラを適用することは困難である。
【0012】
また、4個の色分解プリズムからなる4色分解プリズムとそれぞれの色分解プリズムに対応して設けられた4個のイメージセンサとを用いた4板式カメラが、IR成分を含む光を受光して患部の画像を取得する場合、図19に示すように、IR成分(例えば800nm以上の波長を有する光)の信号強度が小さい。
【0013】
図19は、フィルタを使用しない4色分解プリズムの総合分光特性の一例を示すグラフである。図19では、縦軸は各色の透過率を表し、横軸は波長を表す。この透過率は、R成分,G成分,B成分用の各プリズムへの入射光の光量と、各プリズムに対応するイメージセンサへの入射光の光量と、の比率に相当する。h11は、R成分の光の透過率を示す。h12は、G成分の光の透過率を示す。h13は、B成分の光の透過率を示す。なお、h11は、IR成分の光の透過率も含んでいる。
【0014】
内視鏡診断(例えば蛍光観察)では、蛍光物質に照射される励起光など、患部を被写体とした所望の撮像画像中に不要な光が撮像される場合がある。従来技術では、このような不要な光が撮像された撮像画像は、内視鏡の後段に設けられるCCU内の画像処理装置において、光強度の小さい目的波長の信号出力がゲイン調整されることで画質調整が施された。そのため、ゲイン調整による増幅度が高くなると、撮像画像のS/N比が低下し、撮像画像の画質が劣化して十分な患部把握ができなくなる場合があった。上述した特許文献1においても、蛍光観察に関する言及はあるものの、撮像画像中に励起光などの不要な光が撮像されてしまうことの技術的対策については考慮されていない。また、図19に示すように、上述したICGの励起光(例えば750~810nm)の透過率も一定量存在するため、イメージセンサに入射された励起光に基づく撮像が行われると、撮像画像中に励起光などの不要な光が映り込み、肝心の患部など本来の観察対象部位の詳細な画像情報が得られないことがあった。
【0015】
そこで、以下の実施の形態では、内視鏡診断において、不要な光の撮像に基づく撮像画像の画質劣化を抑制する内視鏡及び内視鏡システムの例について説明する。
【0016】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る内視鏡及び内視鏡システムを具体的に開示した実施の形態(以下、「本実施の形態」という)を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。以下の本実施の形態に係る内視鏡は、例えば腹腔内などの体内の観察対象部位(言い換えると、人の体内の患部)を観察するために用いられる。
【0017】
[内視鏡の構成]
図1は、本実施の形態に係る内視鏡10の一例を示す外観図である。図2は、本実施の形態に係る内視鏡10の概略構成例を示す模式図である。内視鏡10は、例えば使用者が片手で取扱い可能な医療器具である。内視鏡10は、スコープ11、マウントアダプタ12、リレーレンズ13、カメラヘッド14、操作スイッチ19,44及び光源コネクタ18を含んで構成される。
【0018】
スコープ11は、人(被観察者)の体内に挿入され、例えば硬性内視鏡の主要部であり、末端から先端まで光を導くことが可能な細長い導光部材である。スコープ11は、先端に撮像窓11zを有し、撮像窓11zから入射した観察対象部位(例えば患部)の光を伝送する光ファイバと、光源コネクタ18から導入された光Lを先端まで導く光ファイバと、を有する。撮像窓11zには、例えば光学ガラスや光学プラスチックなどの光学材料が用いられる。
【0019】
マウントアダプタ12は、スコープ11をカメラヘッド14に取り付けるための部材である。マウントアダプタ12には、種々のスコープが着脱自在に装着可能である。また、マウントアダプタ12には、光源コネクタ18が装着される。
【0020】
光源コネクタ18は、光源装置(図示略)から、人の体内の部位(例えば患部)を照明するための照明光を導入する。この照明光は、可視光及びIR光を含む。光源コネクタ18に導入された光は、スコープ11を通ってスコープ11の先端まで導かれ、撮像窓11zから人の体内の部位(例えば患部)に照射される。光源は、例えばLED光源である。なお、光源は、LED光源の代わりに、キセノンランプやハロゲンランプなどの光源でもよい。
【0021】
リレーレンズ13は、スコープ11を通して伝達される光をカメラヘッド14内の撮像面に結像(収束)させる。リレーレンズ13は、複数のレンズを有し、操作スイッチ19の操作量に応じて、レンズを移動させて焦点の調整及びズーム倍率の調整を行う。
【0022】
カメラヘッド14は、例えば使用者が手で把持可能な筐体を有し、色分解プリズムである4色分解プリズム20(図5参照)、4個のイメージセンサ230,231,232,233(図5参照)、及び電子基板250を有する(図13参照)。
【0023】
4色分解プリズム20は、リレーレンズ13で収束された光を、R光(R成分)、G光(G成分)、B光(B成分)、の3原色光及びIR光(IR成分)に分解する4板方式のプリズムである。イメージセンサ230~233は、4色分解プリズム20で分解され、各々の撮像面に結像した光学像を画像信号(電気信号)に変換する。
【0024】
イメージセンサ230~233には、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサが用いられる。
【0025】
4個のイメージセンサ230~233は、IR成分、B成分、R成分、及びG成分の光をそれぞれ受光する専用のセンサである。そのため、1個のイメージセンサでIR成分、R成分、G成分、及びB成分の光を受光する単板式カメラと異なり、個々のイメージセンサとしてサイズの小さいイメージセンサを採用できる。例えば、1/3type(4.8mm×3.6mm)のサイズのイメージセンサが用いられる。なお、単板式のカメラの場合、少なくとも2/3type(8.8mm×6.6mm)のサイズのイメージセンサが必要であった。
【0026】
電子基板250(図13参照)には、例えば、LVDS(Low Volt Digital Signal)方式で信号を出力する信号出力回路と、タイミングジェネレータ(TG:Timing Generator)の回路(TG回路)と、を含む回路が搭載される。
【0027】
電子基板250に搭載される信号出力回路は、各イメージセンサ230~233で撮像された画像のRGB信号及びIR信号を、LVDS(Low Volt Digital Signal)方式でパルス信号として出力する。電子基板250に搭載されるTG回路は、カメラヘッド14内の各部にタイミング信号(同期信号)などを供給する。なお、RGB信号は、R成分、G成分、及びB成分の少なくとも1つを含む信号である。
【0028】
カメラヘッド14には、後述するCCU(Camera Control Unit)30に対して画像信号を伝送するための信号ケーブル14zが装着される。
【0029】
図3は、カメラヘッド14の正面図である。カメラヘッド14の対物側にはリレーレンズ13の接続開口部に、絞り部材31が取り付けられる。絞り部材31の中央部には、矩形状の開口部32が形成される。開口部32は、観察対象部位(例えば患部)からの光を4色分解プリズム20の最も対物側に設けられたIR分解プリズム(後述参照)に入射させる。開口部32は、いわゆる開口絞り(aperture stop)として作用する。開口絞りは、リレーレンズ13で収束された光線束を制限する。この開口部32を挟んで対物側の反対側には、フィルタユニット33(図4参照)の各フィルタが選択的に配置される。
【0030】
図4は、4色分解プリズム及びフィルタユニットが設けられたカメラヘッド内部の側面図である。カメラヘッド14には、絞り部材31の対物側の反対側に4色分解プリズム20が配置される。この4色分解プリズム20と絞り部材31との間には、フィルタユニット33が配置される。
【0031】
図5は、4色分解プリズム20の構造例を示す模式図である。4色分解プリズム20(色分解プリズムの一例)は、リレーレンズ13により導かれる観察対象部位(例えば患部)からの光(つまり、入射光を)、R成分、G成分、B成分の3原色の光及びIR成分の光に分解する。4色分解プリズム20では、4つの分解プリズムであるIR分解プリズム220、青色分解プリズム221、赤色分解プリズム222、及び緑色分解プリズム223が、光軸方向に順に組み付けられる。
【0032】
IR用のイメージセンサ230は、IR分解プリズム220の出射面220cと対向して配置される。
青色用のイメージセンサ231は、青色分解プリズム221の出射面221cと対向して配置される。
赤色用のイメージセンサ232は、赤色分解プリズム222の出射面222cと対向して配置される。
緑色用のイメージセンサ233は、緑色分解プリズム223の出射面223cと対向して配置される。
【0033】
イメージセンサ230~233は、例えば水平(H)方向及び垂直(V)方向に配列した各画素を含むCCD又はCMOSイメージセンサである。イメージセンサ230~233は、IR及びR,G,Bの各色に分解された光が自己の各撮像面に結像した光学像を電気信号に変換する。言い換えると、イメージセンサ230~233は、それぞれの分解プリズムに対応して設けられ、それぞれの分解プリズムにより分解された異なる色成分の光に基づいて撮像する。
【0034】
IR分解プリズム220では、入射光は、IR分解プリズム220の入射面220aに入射される。入射面220aと対向する反射面220bで反射された光は、IR分解プリズム220の入射面220aの境界で全反射され、入射面220aと対向する出射面220cから出射され、IR用のイメージセンサ230に入射される。反射面220bには、IR反射膜240が例えば蒸着によって形成される。IR分解プリズム220は、入射光のうち、IR成分の光を反射させ、その他の光(B成分、R成分及びG成分の光)を透過させる。IR用のイメージセンサ230は、反射面220b及び入射面220aで合計2回反射された光を入射し、受光する。このようにIR分解プリズム220において光が進行するよう、IR分解プリズム220が成形される。
【0035】
青色分解プリズム221では、IR分解プリズム220を透過した光(入射光)は、青色分解プリズム221の入射面221aに入射される。入射面221aと対向する反射面221bで反射された光は、青色分解プリズム221の入射面221aの境界で全反射され、入射面221aと対向する出射面221cから出射され、青色用のイメージセンサ231に入射される。反射面221bには、青色反射膜241が例えば蒸着によって形成される。青色分解プリズム221は、入射光のうち、B成分の光を反射させ、その他の光(R成分及びG成分の光)を透過させる。青色用のイメージセンサ231は、反射面221b及び入射面221aで合計2回反射された光を入射し、受光する。このように青色分解プリズム221において光が進行するよう、青色分解プリズム221が成形される。
【0036】
赤色分解プリズム222では、青色分解プリズム221を透過した光(入射光)は、赤色分解プリズム222の入射面222aに入射される。入射面222aと対向する反射面222bで反射された光は、赤色分解プリズム222の入射面222aの境界で全反射され、入射面222aと対向する出射面222cから出射され、赤色用のイメージセンサ232に入射される。反射面222bには、赤色反射膜242が例えば蒸着によって形成される。赤色分解プリズム222は、入射光のうち、R成分の光を反射させ、その他の光(G成分の光)を透過させる。赤色用のイメージセンサ232は、反射面222b及び入射面222aで合計2回反射された光を入射し、受光する。このように赤色分解プリズム222において光が進行するよう、赤色分解プリズム222が成形される。
【0037】
緑色分解プリズム223では、赤色分解プリズム222を透過した光(入射光)は、緑色分解プリズム223の入射面223aに入射し、入射面223aと対向する出射面223cから出射され、緑色用のイメージセンサ233に入射される。このように緑色分解プリズム223において光が進行するよう、緑色分解プリズム223が成形される。
【0038】
ここで、IR用のイメージセンサ230は、そのまま各画素値(信号レベル)の電気信号を出力してもよいが、水平(H)及び垂直(V)方向に隣接する画素の画素値を加算するH/V画素値の加算処理を行い、H/V画素値の加算処理後の画素値の電気信号を出力してもよい。
【0039】
H/V画素値が加算処理が行われると、例えば、IR用のイメージセンサ230の画素値が「30」程度である場合、画素加算を行うことで、IR成分の画素値が「120」(=30×4)となる。
【0040】
従来のIR成分の画素値が「10」程度であるとすると、本実施の形態に係る内視鏡10によれば、IR用のイメージセンサ230を独立に設けたことで、従来と比較すると、およそ3倍~12倍のIR成分の画素値が得られる。
【0041】
また、本実施の形態のRGB用の各イメージセンサ231~233の画素値が「100」程度であるとする。この場合、H/V画素値の加算処理を加味すると、R成分、G成分、B成分の各信号レベルとIR成分の信号レベルとが同程度となり、RGB画像及びIR画像を見易くなる。RGB画像は、R成分、G成分、B成分の少なくとも1つの信号により得られる画像である。IR画像は、IR成分の信号により得られる画像である。
【0042】
図6は、4色分解プリズム20の分光特性の一例を示すグラフである。図6の縦軸は、各透過率(%)を示し、各プリズムへの入射光の光量に対する、各プリズムに対するイメージセンサ230~233への入射光の光量の比率に相当する。図6の横軸は、各イメージセンサ230~233に入射する光の波長(nm)を表す。
【0043】
図6では、波形h1(実線)は、IR用のイメージセンサ230に入射するIR成分の光の分光特性を示す。4色分解プリズム20に入射した光のうち、IR用のイメージセンサ230に入射するIR成分の光の透過率は、波長800~1000nmにかけて、波長900nm付近で透過率が70%程度となるピーク波形を有する。
【0044】
波形h2(一点鎖線)は、赤色用のイメージセンサ232に入射するR成分の光の分光特性を示す。赤色用のイメージセンサ232に入射するR成分の光の透過率は、波長600nm付近で透過率が80%程度となるピーク波形を有する。
【0045】
波形h3(点線)は、青色用のイメージセンサ231に入射するB成分の光の分光特性を示す。青色用のイメージセンサ231に入射するB成分の光の透過率は、波長450nm近辺で透過率が60%を超えるピーク波形を有する。
【0046】
波形h4(二点鎖線)は、緑色用のイメージセンサ233に入射するG成分の光の分光特性を示す。緑色用のイメージセンサ233に入射するG成分の光の透過率は、波長530nm近辺で透過率が90%程度となるピーク波形を有する。
【0047】
このように、4色分解プリズム20で分散されたIR成分、R成分、B成分、及びG成分の光の透過率は、いずれも60%を超える。従って、IR成分、R成分、B成分、及びG成分の各画素値を好適に得られ、IR成分の信号を大きく増幅しなくても済む。これにより、患部を撮像した場合に、IR成分を含めて撮像画像の色再現性が向上する。
【0048】
ところで、内視鏡診断(例えば蛍光観察)では、蛍光物質(例えばICGなどの色素)に照射される励起光などの不要な光が所望の撮像画像に撮像されると、患部の詳細を把握する上で、目的波長成分の信号出力を増幅する必要が生じ、増幅度が高くなると、S/N比が悪化し、撮像画像の画質が劣化する。
【0049】
そこで、本実施の形態に係る内視鏡10には、4色分解プリズム20に入射する不要な光をカットする図4に示したフィルタユニット33が、絞り部材31と4色分解プリズム20との間に設けられている。
【0050】
図7は、カメラヘッド14の要部分解斜視図である。4色分解プリズム20は、支持部材34によりカメラヘッド14のケースに固定される。この支持部材34には、フィルタユニット33がともに支持される。即ち、フィルタユニット33は、カメラヘッド14内において4色分解プリズム20との相対位置が高精度に位置決めされる。
【0051】
フィルタユニット33(フィルタ部の一例)は、支持部材34に支持されるリニアガイド35と、後述する複数の光波長フィルタが固定されたフィルタ保持枠36と、駆動モータ37(フィルタ配置部の一例)とを有する。リニアガイド35は、平行な一対のロッドにより構成される。リニアガイド35は、フィルタ保持枠36を一対のロッドの長手方向に沿って移動自在に支持する。フィルタ保持枠36には、移動方向に複数のフィルタ保持部が形成される。本実施の形態では3つのフィルタ保持部が形成される。それぞれのフィルタ保持部には、開口部32を通過した光を選択的に透過又は反射させる光波長フィルタ(フィルタの一例)が固定される。即ち、フィルタユニット33は、例えば所定のユーザ操作に応じて、複数の光波長フィルタのそれぞれを、開口部32に対して略直線的にスライドし、複数の光波長フィルタのうちいずれかを選択的に配置可能とする。
【0052】
図4に示すように、4色分解プリズム20は、IR分解プリズム220、青色分解プリズム221、赤色分解プリズム222及び緑色分解プリズム223が、同一平面(図4の紙面)に沿って出射光の光束中心Osが位置するように配置される。より好ましくは、IR分解プリズム220、青色分解プリズム221、赤色分解プリズム222及び緑色分解プリズム223は、同一平面上に出射光の光束中心Osが位置するように配置される。また、フィルタユニット33に支持されたIRカットフィルタ38、5ALA励起光カットフィルタ39及びICG励起光カットフィルタ41は、IR分解プリズム220への入射光の光束中心Onに直交し、且つ上記した同一平面と平行に略直線移動される。
【0053】
本実施の形態において、フィルタユニット33を構成する光波長フィルタ(フィルタの一例)は、IRカットフィルタ38と、5ALA励起光カットフィルタ39と、ICG励起光カットフィルタ41とを有する。IRカットフィルタ38は、通常光(例えば可視光)を通過させるとともに通常光よりも高波長側のIR光をカットするためのIRカットフィルタとしての分光特性を有する。5ALA励起光カットフィルタ39は、蛍光物質である5ALA(アミノレブリン酸)の励起光をカットするための5ALA励起光カットフィルタとしての分光特性を有する。ICG励起光カットフィルタ41は、蛍光物質であるICGの励起光をカットするためのICG励起光カットフィルタとしての分光特性を有する。また、ICG励起光カットフィルタ41は、ICG励起光カットフィルタとして分光特性ばかりでなく、例えば上述したIRカットフィルタとしての分光特性を併せ持ってもよい。
【0054】
IRカットフィルタ38は、可視光モード(例えば、可視光を撮像可能なモード)に用いられ、IR成分の光を反射(カット)する。5ALA励起光カットフィルタ39は、5ALAモード(例えば、5ALAの励起光をカットして撮像可能なモード)に用いられ、400nmの波長を含む狭帯域の5ALA励起光をカットする。ICG励起光カットフィルタ41は、ICG及び可視光モード(例えば、ICGの励起光及びIR光をともにカットして撮像可能なモード)に用いられ、780nmの波長を含む狭帯域のICG励起光及びIR光をカットする。
【0055】
図8は、フィルタユニット33の正面図である。フィルタユニット33は、フィルタ保持枠36の側部に、移動方向に複数の歯を設けたラック42が固定される。このラック42には、駆動モータ37の駆動軸に固定されたピニオン43が噛合している。駆動モータ37は、カメラヘッド14に設けられる操作スイッチ44の操作(所定のユーザ操作の一例)により駆動が指示される。駆動モータ37(フィルタ配置部の一例)は、ピニオン43を介してラック42を略直線移動(直線移動を含む)することにより、IRカットフィルタ38、5ALA励起光カットフィルタ39又はICG励起光カットフィルタ41のうちいずれか1つを開口部32に選択的に配置する。
【0056】
図9は、4色分解プリズム20の対物側に設けられたフィルタユニット33の斜視図である。任意の光波長フィルタ(図例では5ALA励起光カットフィルタ39)は、駆動モータ37により移動されると、開口部32に対向するように配置される。4色分解プリズム20は、選択された5ALA励起光カットフィルタ39を挟んで開口部32の反対側が、IR分解プリズム220の入射面220aとなる。例えば5ALAモードの場合、開口部32には5ALA励起光カットフィルタ39が配置される。5ALAモードでは、開口部32を通過した患部からの光は、5ALA励起光カットフィルタ39を透過してIR分解プリズム220の入射面220aへ入射する。
【0057】
図10は、開口部32にICG励起光カットフィルタ41が配置されたフィルタユニット33の斜視図である。操作スイッチ44の操作(所定のユーザ操作の一例)によってICG及び可視光モードに指定されると、駆動モータ37が駆動され、ピニオン43の回転方向と回転角が制御されて、開口部32に対向するようにICG励起光カットフィルタ41が配置される。ICG及び可視光モードでは、開口部32を通過した患部からの光は、ICG励起光カットフィルタ41を透過してIR分解プリズム220の入射面220aへ入射する。
【0058】
図11は、開口部32にIRカットフィルタ38が配置される途中のフィルタユニット33の斜視図である。操作スイッチ44の操作(所定のユーザ操作の一例)によって可視光モードに指定されると、駆動モータ37が駆動され、ピニオン43の回転方向と回転角が制御されて、開口部32にIRカットフィルタ38が対向するように配置される。ICG及び可視光モードでは、開口部32を通過した患部からの光は、IRカットフィルタ38を透過してIR分解プリズム220の入射面220aへ入射する。
【0059】
図12は、3色分解プリズム20Aにフィルタユニット33を設けた構成例の斜視図である。なお、本実施の形態に係る内視鏡10に用いられる色分解プリズムは、4色分解プリズム20に限定されない。内視鏡10には、例えば3板式のB、G、Rで構成した3色分解プリズム20Aが設けられてもよい。図12には、例えば赤色分解プリズム222にイメージセンサ232、青色分解プリズム221にイメージセンサ231、緑色分解プリズム223にイメージセンサ233を設けた構成を例示するが、3色分解プリズム20Aはこれに限定されない。例えば対物側から順に赤色分解プリズム、青色分解プリズム及び緑色分解プリズムとしているが、これらの配置順序に限定されないことは言うまでもない。この場合においても、上記の構成と同様に、絞り部材31と3色分解プリズム20Aとの間には、フィルタユニット33を設けることができる。
【0060】
また、本実施の形態では、複数の光波長フィルタをラック42及びピニオン43を駆動モータ37により移動する構成を説明したが、光波長フィルタの移動機構は、これに限定されない。この他、光波長フィルタの移動は、例えば永久磁石と電磁石とを用いたリニアモータとすることによっても直線的にスライドする機構を構成することができる。更に光波長フィルタの移動は、例えば、ユーザ(例えば医者もしくは手術、検査の補助者。以下同様。)の手動によるスイッチ操作に伴って発生する動力を伝達して直線的にスライドする機構とすることもできる。
【0061】
図13は、本実施の形態に係る内視鏡システム5の構成例を示すブロック図である。内視鏡システム5は、内視鏡10、CCU30、及び表示部40を含んで構成される。内視鏡10のカメラヘッド14は、前述した4色分解プリズム20及びイメージセンサ230,231,232,233を有する。図13では、カメラヘッド14は、更に、各素子駆動部141i,141r,141b,141g,駆動信号発生部142、同期信号発生部143、及び信号出力部145を有する。
【0062】
素子駆動部141iは、イメージセンサ230を駆動信号に従って駆動する。素子駆動部141rは、イメージセンサ231を駆動信号に従って駆動する。素子駆動部141bは、イメージセンサ232を駆動信号に従って駆動する。素子駆動部141gは、イメージセンサ233を駆動信号に従って駆動する。
【0063】
駆動信号発生部142は、各素子駆動部141i,141r,141b,141gに対し、駆動信号を発生する。同期信号発生部143は、タイミングジェネレータ(TG)開路の機能に相当し、駆動信号発生部142などに同期信号(タイミング信号)を供給する。
【0064】
信号出力部145は、信号ケーブル14zを介してイメージセンサ230,231,232,233からの電気信号を、例えばLVDS方式でCCU30に伝送する。信号出力部145は、信号ケーブル14zを介して、同期信号発生部143からの同期信号をCCU30に伝送してもよい。信号出力部145は、信号ケーブル14zを介して、操作スイッチ19の操作信号をCCU30に伝送してもよい。信号出力部145は、信号出力回路の機能に相当する。
【0065】
操作スイッチ44は、例えばユーザ操作に基づいて入力された操作信号を駆動モータ37及び信号出力部145にそれぞれ出力する。信号出力部145は、信号ケーブル14zを介して、操作スイッチ44の操作信号をCCU30に伝送してもよい。これにより、CCU30は、現時点がどのモード(例えば可視光モード、5ALAモード及びICGモードのうちいずれか)であるかを具体的に認識できる。
【0066】
CCU30は、CCU30の内部又は外部のメモリ(不図示)が保持するプログラムを実行することで、各種機能を実現する。各種機能は、RGB信号処理部22、IR信号処理部23及び出力部28の機能を含む。
【0067】
RGB信号処理部22は、イメージセンサ231,232,233からのB成分、R成分、G成分の電気信号を、表示部40に表示可能な映像信号に変換し、出力部28に出力する。
【0068】
IR信号処理部23は、イメージセンサ230からのIR成分の電気信号を映像信号に変換し、出力部28に出力する。また、IR信号処理部23は、ゲイン調整部23zを有してもよい。ゲイン調整部23zは、IR用のイメージセンサ230からのIR成分の電気信号を映像信号に変換する際、増幅度(ゲイン)を調整する。ゲイン調整部23zは、例えば、RGB成分の映像信号の信号強度とIR成分の映像信号の信号強度とを略同一に調整してもよい。
【0069】
ゲイン調整部23zにより、使用者がRGB画像に対するIR画像を任意の強度で再現可能である。なお、IR成分の電気信号の増幅度が調整される代わりに、又はこの調整とともに、RGB信号処理部22は、RGB成分の電気信号の増幅度を調整してもよい。
【0070】
RGB信号処理部22及びIR信号処理部23は、信号処理を行う際、同期信号発生部143からの同期信号を受け取り、この同期信号に従って動作する。これにより、RGB各色成分の画像(映像)及びIR成分の画像は、時間的なずれが生じないように調整される。
【0071】
出力部28は、同期信号発生部143からの同期信号に従い、RGB各色成分の映像信号及びIR成分の映像信号の少なくとも一方を表示部40に出力する。表示部40は、同時出力モード及び重畳出力モードのうちいずれかが設定され、例えばいずれの設定であるかを示す情報(例えばフラグ)がCCU30に保持されることで認識されている。例えば、出力部28は、表示部40の現時点が同時出力モード及び重畳出力モードのいずれかであるかを認識しており、同時出力モード及び重畳出力モードのいずれであるかに基づいて、映像信号を出力する。
【0072】
同時出力モードでは、出力部28は、RGB画像G1とIR画像G2(図14参照)とを別画面により同時に出力する。図14は、同時出力モード時の画像例を示す模式図である。同時出力モードにより、RGB画像とIR画像とを別画面にて比較して、患部tgを観察できる。
【0073】
重畳出力モードでは、出力部28は、RGB画像とIR画像とが重畳された合成画像GZ(図15参照)を出力する。図15は、重畳出力モード時の画像例を示す模式図である。重畳出力モードにより、例えば、RGB画像内で、ICG及び照明光としてのIR光により蛍光発光した患部tgを明瞭に観察できる。
【0074】
なお、RGB信号処理部22、IR信号処理部23及び出力部28は、CCU30内のプロセッサがメモリと協働してソフトウェアにより処理することを例示したが、それぞれ専用のハードウェアで構成されてもよい。
【0075】
表示部40は、CCU30からの映像信号に基づいて、内視鏡10で撮像され、CCU30から出力される患部tgなどの対象物の画像を画面に表示する。同時出力モードの場合、表示部40は、画面を複数に分割(例えば2分割)し、各画面にRGB画像G1及びIR画像G2を並べて表示する(図14参照)。重畳出力モードの場合、表示部40は、RGB画像G1とIR画像G2とが重ねられた合成画像GZを1画面で表示する(図15参照)。
【0076】
このように、内視鏡システム5では、内視鏡10を使用して体内の部位を撮像する場合、蛍光物質であるインドシアニングリーン(ICG)を体内に投与し、過剰に集積した腫瘍などの部位(患部)に近赤外光を当てて患部を光らせて患部を撮像してもよい。
【0077】
使用者が操作スイッチ19を操作して光源コネクタ18に導入された光Lは、スコープ11の先端側に導かれ、撮像窓11zから投射されることで、患部を含む患部周囲の部位を照明する。患部などで反射された光は、撮像窓11zを通してスコープ11の後端側に導かれ、リレーレンズ13で収束し、カメラヘッド14の4色分解プリズム20に入射する。
【0078】
4色分解プリズム20では、入射した光のうち、IR分解プリズム220によって分解したIR成分の光は、IR用のイメージセンサ230で赤外光成分の光学像として撮像される。青色分解プリズム221によって分解したB成分の光は、青色用のイメージセンサ231で青色成分の光学像として撮像される。赤色分解プリズム222によって分解したR成分の光は、赤色用のイメージセンサ232で赤色成分の光学像として撮像される。緑色分解プリズム223によって分解したG成分の光は、緑色用のイメージセンサ233で緑色成分の光学像として撮像される。
【0079】
IR用のイメージセンサ230で変換されたIR成分の電気信号は、CCU30内のIR信号処理部23で映像信号に変換され、出力部28に出力される。可視光用のイメージセンサ231,232,233でそれぞれ変換されたB成分、R成分、G成分の各電気信号は、CCU30内のRGB信号処理部22で各映像信号に変換され、出力部28に出力される。IR成分の映像信号及びB成分、R成分、G成分の各映像信号は、同期して、表示部40に出力される。
【0080】
表示部40には、出力部28で同時出力モードが設定されている場合、RGB画像G1とIR画像G2とが同時に2画面で表示される。RGB画像G1は、患部tgを含む部位を可視光を照射して撮像したカラー画像である。IR画像G2は、患部tgを含む部位をIR光を照射して撮像した白黒画像(任意な色設定可能)である。
【0081】
表示部40には、出力部28で重畳出力モードが設定されている場合、RGB画像G1とIR画像G2とが重畳(合成)された合成画像GZが表示される。
【0082】
本実施の形態に係る内視鏡10によれば、内視鏡10に4色分解プリズム20を用い、IR光に対し大きな透過率を有するIR分解プリズム220から出射されるIR光を、IR用のイメージセンサ230が受光する。そのため、内視鏡10は、IR光の受光量を増大できる。従って、IR成分の信号を過大に増幅させる必要が無くなり、IR成分を加味した内視鏡10による撮像画像の画質の低下を抑制できる。
【0083】
4色分解プリズム20を用いることで、単板式カメラのイメージセンサと比べ、イメージセンサのサイズを小さくでき、内視鏡10を小型化できる。例えば、単板式カメラのイメージセンサのサイズは、1インチ又は38mmであり、本実施形態のイメージセンサ230~233のサイズは、1/3インチ以下である。
【0084】
また、4色分解プリズム20がIRカットフィルタ38を用いていないモードでは、内視鏡システム5は、RGB画像とIR画像とを同時に出力可能である。そのため、ユーザは、例えば、患者の患部を含む全体の部位をRGB画像で確認できるとともに、蛍光発光した患部をIR画像で確認でき、患部周辺における患部の位置を視認し易くなる。ここでのRGB画像は、RGB成分の画像であり、IR画像は、IR成分の画像である。
【0085】
また、IR成分の光を電気信号に変換するIR用のイメージセンサ230は、H/V画素値の加算処理を行い、加算された画素値の電気信号を出力してもよい。これにより、内視鏡10は、IR成分の信号強度を更に増大でき、表示部40により表示されるIR成分の画像をより強調でき、患部を視認し易くなる。
【0086】
また、内視鏡システム5は、RGB各成分の信号強度とIR成分の信号強度とが略同等になるように、ゲイン調整してもよい。この場合、RGB各成分の画素値とIR成分の画素値とを均一化でき、画像を見え易くできる。
【0087】
また、内視鏡システム5は、RGB各成分の信号強度とIR成分による信号強度との間で差を持たせるように、ゲイン調整してもよい。この場合、内視鏡システム5は、ユーザ所望の画質でRGB画像及びIR画像を表示できる。
【0088】
また、4色分解プリズム20を使用する場合、3色分解プリズムを使用する場合と比較すると、IR用のイメージセンサに入射されるIR成分の信号強度が大きくなる。そのため、RGB成分の画素値とIR成分の画素値との差が小さくなり、CCU30によりIR用のイメージセンサ230から出力される電気信号を過度に増幅しなくても、RGB成分とIR成分との間でバランス良く色を再現できる。従って、内視鏡システム5は、ノイズの増幅を抑制しながら、鮮明なRGB成分及びIR成分を含む画像が得られる。
【0089】
また、RGB画像とIR画像とが同時に2画面で表示されることで、ユーザは両画像を見比べて確認でき、ユーザの利便性が向上する。
【0090】
また、RGB画像とIR画像とが重畳して1画面で表示されること、ユーザは1つの画像でRGB成分及びIR成分の画像を確認でき、ユーザの利便性が向上する。
【0091】
図16は、IRカットフィルタ38の分光特性の一例を示すグラフである。フィルタユニット33は、IRカットフィルタとしてのIRカットフィルタ38を備えることにより、4色分解プリズム20に入射するIR成分の光をカットすることができる。
【0092】
図17は、5ALA励起光カットフィルタ39の分光特性の一例を示すグラフである。フィルタユニット33は、5ALA励起光カットフィルタ39を備えることにより、4色分解プリズム20に入射する400nmの波長を含む狭帯域の励起光(つまり、蛍光物質である5ALAの励起光)を不要な光としてカットすることができる。
【0093】
図18は、ICG励起光カットフィルタ41の分光特性の一例を示すグラフである。フィルタユニット33は、ICG励起光カットフィルタ41を備えることにより、4色分解プリズム20に入射する780nmの波長を含む狭帯域の励起光(つまり、蛍光物質であるICGの励起光)を不要な光としてカットすることができる。
【0094】
図19は、フィルタを使用しない総合分光特性の一例を示すグラフである。4色分解プリズム20は、本実施の形態に係る内視鏡10が有する各種の光波長フィルタ(IRカットフィルタ38、5ALA励起光カットフィルタ39、ICG励起光カットフィルタ41)を使用しない場合、図19に示す総合分光特性を有する。上記したように、図19では、縦軸は各色の透過率を表し、横軸は波長を表す。以下、図20図21図22も同様である。図19において、h11は、R成分の光の透過率を示す。h12は、G成分の光の透過率を示す。h13は、B成分の光の透過率を示す。なお、h11は、IR成分の光の透過率も含んでいる。
【0095】
なお、図19図20図21中の「Deep-PD」とは、Deep-Photo Diodeのことである。Deep-PDは、イメージセンサの各有効画素にある光電変換部分である。Deep-PDは、そのPhoto Diodeが深いものを意味する。Photo Diodeでは、光入射領域が浅いと、波長の長い近赤外光においては光電変換できずに基板に吸収される。Deep-PDは、Photo Diodeの光入射領域を深く作ることで、近赤外感度を向上させたものである。Deep-PDは、ICG及び可視光モードには関係するが、可視光モード、5ALAモードには直接大きな影響度はない。
【0096】
例えば上記した3板式のB、G、Rの3色分解プリズム20Aの場合、RをDeep-PDとすることで、1CHで赤色光(R光)だけでなくR光に波長の近いIR光も同時に撮像できる。4板式の場合にはそれぞれの光に対応してセンサが配置されるので、特にDeep-PDが使用されなくてもよい。
【0097】
図20は、IRカットフィルタ38を用いた可視光モードの一例を示すグラフである。可視光モードでは、IRカットフィルタ38を用いることにより、IR成分の光をカットすることができる。総合分光特性では、図19に示したフィルタを使用しない場合に比べ、R成分の光の透過率h21を低くすることができる。G成分の光の透過率h22、B成分の光の透過率h23は、フィルタを使用しない場合とほぼ同等にできる。その結果、IR成分の励起光などをカットすることにより、不要光(IR成分の励起光など)が混合することにより低下していた画質の視認性を向上させることができる。
【0098】
図21は、5ALA励起光カットフィルタ39を用いた5ALAモードの一例を示すグラフである。5ALAモードでは、5ALA励起光カットフィルタ39を用いることにより、400nmの波長を含む狭帯域の5ALA励起光をカットすることができる。総合分光特性では、図19に示したフィルタを使用しない場合に比べ、B成分の光(波長400nm近傍の狭帯域光)の透過率h33を低くすることができる。G成分の光の透過率h32、R成分の光の透過率h31は、フィルタを使用しない場合とほぼ同等にできる。その結果、5ALA励起光をカットすることにより、不要光(特に5ALA励起光)が混合することにより低下していた画質の視認性を向上させることができる。
【0099】
図22は、ICG励起光カットフィルタ41を用いた可視光及びICGモードの一例を示すグラフである。ICG及び可視光モードでは、ICG励起光カットフィルタ41を用いることにより、780nmの波長を含む狭帯域のICG励起光をカットすることができる。総合分光特性では、図19に示したフィルタを使用しない場合に比べ、R成分の一部の光(波長780nm近傍の狭帯域光)の透過率h41を低くすることができる。G成分の光の透過率h42、B成分の光の透過率h43は、フィルタを使用しない場合とほぼ同等にできる。その結果、ICG励起光をカットすることにより、不要光(特にICG励起光)が混合することにより低下していた画質の視認性を向上させることができる。
【0100】
以上により、本実施の形態に係る内視鏡10は、開口部32において観察対象部位(例えば患部)からの光を入射し、フィルタユニット33を構成するいずれかの光波長フィルタを用いて開口部32を通過した光を選択的に透過する。内視鏡10は、複数の分解プリズムを有する4色分解プリズム20において、フィルタユニット33を通過した光をそれぞれ異なる色成分の光に分解し、それぞれの分解プリズムに対応して設けられた個々のイメージセンサにおいて、それぞれの分解プリズムにより分解された異なる色成分の光に基づいて撮像する。内視鏡10は、それぞれのイメージセンサによる撮像により得られた画像信号を信号出力部145において出力する。また、内視鏡10は、複数のフィルタのうちいずれかを、開口部32を通過した光を入射可能に配置させる駆動モータ37(フィルタ配置部の一例)を有する。
【0101】
これにより、内視鏡10は、内視鏡診断(例えば蛍光観察)において、観察対象部位(例えば人の体内の患部)に投与された蛍光物質を蛍光発光させるための励起光などの不要な光を、撮像画像に映り込むことを抑制できるので、目的波長の信号出力をゲイン調整することなく良好な画質の撮像画像を取得できる。その結果、従来技術のように光強度の小さい目的波長の信号出力を増幅したことでS/N比が低下して撮像画像の画質が劣化したことが解消され、使用者(例えば、医者などの観察者)にとって、内視鏡診断(例えば蛍光観察)において観察対象部位(例えば患部)の撮像画像の詳細な確認が可能となる。
【0102】
また、フィルタユニット33は、複数のフィルタ(具体的には、IRカットフィルタ38、5ALA励起光カットフィルタ39、ICG励起光カットフィルタ41)が略直線状に並んで構成される。駆動モータ37は、所定のユーザ操作に応じて、複数のフィルタを略直線状にスライドし、複数のフィルタのうちいずれかを、開口部32を通過した光を入射可能に配置させる。これにより、内視鏡10は、所定のユーザ操作(例えば操作スイッチ44を押下するなどの簡易な操作)により、複数のフィルタのうちいずれかを切り替え可能となり、それぞれ専用のカメラヘッドを用意せず、1台で複数の手法の手術を実施することができる。更に、フィルタの切り替えの際にフィルタユニット33は略直線状に移動するだけであるため、複数のフィルタは一次元方向に並べて配置されるだけでよく、カメラヘッド14の大型化を抑制できる。
【0103】
また、フィルタユニット33を構成する複数のフィルタは、IRカットフィルタ38を含む。これにより、IR成分の光をカットすることができる。その結果、IR成分の励起光などをカットすることにより、不要光(IR成分の励起光など)が混合することにより低下していた画質の視認性を向上させることができる。
【0104】
また、フィルタユニット33を構成する複数のフィルタは、5ALA励起光カットフィルタ39を含む。これにより、内視鏡10は、400nmの波長を含む、蛍光物質である5ALAを蛍光発光させるための励起光を撮像時にカットできる。その結果、5ALA励起光をカットすることにより、不要光(特に5ALA励起光)が混合することにより低下していた画質の視認性を向上させることができる。
【0105】
また、フィルタユニット33を構成する複数のフィルタは、ICG励起光カットフィルタ41を含む。これにより、内視鏡10は、780nmの波長を含む、蛍光物質であるICGを蛍光発光させるための励起光を撮像時にカットできる。その結果、ICG励起光をカットすることにより、不要光(特にICG励起光)が混合することにより低下していた画質の視認性を向上させることができる。
【0106】
また、複数の分解プリズムは、それぞれ同一平面に沿って出射光の光束中心Osが位置するよう配置される。それぞれのフィルタは、複数の分解プリズムのうち最も対物側に配置されたIR分解プリズム220への入射光の光束中心Onに直交し、かつ、同一平面と平行に直線移動する。これにより、内視鏡10は、複数のフィルタを、4色分解プリズム20の各分解プリズムに配列された平面に沿って移動させることができる。そのため、内視鏡10は、カメラヘッド14の幅方向(配設平面に垂直な方向)の大きさを変えずに済む。即ち、内視鏡10は、タレット式に比べれば、カメラヘッド14を小型化することができる。
【0107】
更に、内視鏡システム5は、上述した内視鏡10と、信号出力部145から出力されたそれぞれの画像信号に基づいてRGB信号及びIR信号を生成し、RGB画像及びIR画像を表示部40に表示させるCCU30(コントローラの一例)、を備える。これにより、内視鏡システム5は、内視鏡診断(例えば蛍光観察)において、観察対象部位(例えば人の体内の患部)に投与された蛍光物質を蛍光発光させるための励起光などの不要な光を、撮像画像に映り込むことを抑制できるので、目的波長の信号出力をゲイン調整することなく良好な画質のRGB及びIRの撮像画像を取得できて表示部40に映し出すことができる。その結果、従来技術のように光強度の小さい目的波長の信号出力を増幅したことでS/N比が低下して撮像画像の画質が劣化したことが解消され、使用者(例えば、医者などの観察者)にとって、内視鏡診断(例えば蛍光観察)において観察対象部位(例えば患部)の撮像画像の詳細な確認が可能となる。
【0108】
また、内視鏡システム5は、複数のフィルタのうちいずれかを、開口部32を通過した光を入射可能に配置させるためのフィルタ切替信号もしくはユーザ操作(つまり、手動操作)に伴って発生する動力を駆動モータ37(フィルタ配置部の一例)へ送る操作スイッチ44(スイッチの一例)、を更に備える。これにより、内視鏡10は、操作スイッチ44の操作により、複数の光波長フィルタの中から所望のものを自動で開口部32に配置して用いることができる。その結果、内視鏡10は、特に特殊光観察で高い操作性を実現することができる。
【0109】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0110】
本実施の形態では、内視鏡10として硬性内視鏡を例示したが、4色分解プリズム20をも用いれば他の構成を有する硬性内視鏡でもよく、軟性内視鏡でもよい。
【0111】
本実施の形態では、4色分解プリズム20において、光の入射側から、IR分解プリズム220、青色分解プリズム221、赤色分解プリズム222、及び緑色分解プリズム223の順に配置されることを例示したが、この配置順序は一例であり、他の配置順序でもよい。
【0112】
本実施の形態では、プロセッサの一例としてCCU30を説明した。プロセッサは、内視鏡システム5を制御すれば、物理的にどのように構成してもよい。従って、プロセッサは、CCU30に限定されない。ただし、プログラム可能なCCU30を用いれば、プログラムの変更により処理内容を変更できるので、プロセッサの設計の自由度を高めることができる。また、プロセッサは、1つの半導体チップで構成してもよいし、物理的に複数の半導体チップで構成してもよい。複数の半導体チップで構成する場合、上述した本実施の形態に係る各制御をそれぞれ別の半導体チップで実現してもよい。この場合、それらの複数の半導体チップで1つのプロセッサを構成すると考えることができる。また、プロセッサは、半導体チップと別の機能を有する部材(コンデンサなど)で構成してもよい。また、プロセッサが有する機能とそれ以外の機能とを実現するように、1つの半導体チップを構成してもよい。また、電子基板250に搭載される回路についても、プログラム可能な回路を用いれば、プログラムの変更により処理内容を変更できる。また、回路の数は1つでも複数でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本開示は、内視鏡診断において、不要な光の撮像に基づく撮像画像の画質劣化を抑制する内視鏡及び内視鏡システムとして有用である。
【符号の説明】
【0114】
5 内視鏡システム
10 内視鏡
11 スコープ
11z 撮像窓
12 マウントアダプタ
13 リレーレンズ
14 カメラヘッド
14z 信号ケーブル
18 光源コネクタ
19、44 操作スイッチ
20 4色分解プリズム(色分解プリズム)
22 RGB信号処理部
23 IR信号処理部
23z ゲイン調整部
28 出力部
30 CCU(コントローラ)
31 絞り部材
32 開口部
33 フィルタユニット
37 駆動モータ
38 IRカットフィルタ
39 5ALA励起光カットフィルタ
40 表示部
41 ICG励起光カットフィルタ
141i,141b,141r,141g 素子駆動部
142 駆動信号発生部
143 同期信号発生部
145 信号出力部
220 IR分解プリズム
221 青色分解プリズム
222 赤色分解プリズム
223 緑色分解プリズム
230,231,232,233 イメージセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14
図15
図16
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図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2022-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象部位からの光に基づく電気信号を出力するイメージセンサを有するカメラヘッドを収容するためのケースであって
前記ケースの外部に向けて開口する第1開口部と、
前記観察対象部位からの光が入射する第2開口部を有し、前記第1開口部に配置されている絞り部材と、
第1励起光カットフィルタと、第2励起光カットフィルタと、IRカットフィルタとを含み、前記絞り部材よりも前記ケースの内部において前記絞り部材と対向して配置されているフィルタ部と、
前記第2開口部に入射する入射光の光束中心上にある第1位置に、前記第1励起光カットフィルタ、前記第2励起光カットフィルタ、及び前記IRカットフィルタのうちいずれかを配置するフィルタ配置部と、を備える、
ケース
【請求項2】
前記フィルタ配置部は、
前記第2開口部に入射する入射光の光束中心に直交する方向に前記フィルタ部を直線移動させることにより、前記第1励起光カットフィルタ、前記第2励起光カットフィルタ、及び前記IRカットフィルタのうちいずれかを前記第1位置に配置する、
請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記フィルタ部は、
前記ケースの内部において前記第2開口部に入射する入射光の光束中心に直交し、かつ前記絞り部材と平行な方向にかけ渡されており、かつ前記第1励起光カットフィルタと、前記第2励起光カットフィルタと、前記IRカットフィルタとを保持する一対のロッドを有し、
前記フィルタ配置部は、
前記一対のロッドに沿って前記第1励起光カットフィルタと、前記第2励起光カットフィルタと、前記IRカットフィルタとを移動させるモータを有する、
請求項2に記載のケース
【請求項4】
前記フィルタ配置部は、所定のユーザ操作に応じて、前記フィルタ部を移動させることにより、前記第1励起光カットフィルタ、前記第2励起光カットフィルタ、及び前記IRカットフィルタのうちいずれかを前記第1位置に配置する
請求項1から3のいずれか1項に記載のケース
【請求項5】
前記第1励起光カットフィルタは、5ALA励起光カットフィルタである
請求項1から3のいずれか1項に記載のケース
【請求項6】
前記第2励起光カットフィルタは、ICG励起光カットフィルタである
請求項1から3のいずれか1項に記載のケース
【請求項7】
前記第2開口部は、矩形である、
請求項1から3のいずれか1項に記載のケース。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、カメラを収容するためのケースに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、カメラにおいて不要な光の撮像に基づく撮像画像の画質劣化を抑制することが可能なケースを提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示は、観察対象部位からの光に基づく電気信号を出力するイメージセンサを有するカメラヘッドを収容するためのケースであって前記ケースの外部に向けて開口する第1開口部と、前記観察対象部位からの光が入射する第2開口部を有し、前記第1開口部に配置されている絞り部材と、第1励起光カットフィルタと、第2励起光カットフィルタと、IRカットフィルタとを含み、前記絞り部材よりも前記ケースの内部において前記絞り部材と対向して配置されているフィルタ部と、前記第2開口部に入射する入射光の光束中心上にある第1位置に、前記第1励起光カットフィルタ、前記第2励起光カットフィルタ、及び前記IRカットフィルタのうちいずれかを配置するフィルタ配置部と、を備える、ケースを提供する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本開示によれば、カメラにおいて不要な光の撮像に基づく撮像画像の画質劣化を抑制することが可能なケースを提供することができる。