(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017962
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】救命機能を有する作業服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/012 20060101AFI20220119BHJP
B63C 9/105 20060101ALI20220119BHJP
B63C 9/125 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A41D13/012 105
B63C9/105 100
B63C9/125 100
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120836
(22)【出願日】2020-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】520259319
【氏名又は名称】ユ,ウォン キ
(71)【出願人】
【識別番号】520261116
【氏名又は名称】イ,ヘ リョン
(71)【出願人】
【識別番号】520259320
【氏名又は名称】ユ,サ ラン
(71)【出願人】
【識別番号】520259331
【氏名又は名称】ユ,ヒョン ジョン
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ウォン キ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヘ リョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ゴン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,サ ラン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ヒョン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】カン,シ ウォン
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA02
3B011AB01
3B011AB03
3B011AB12
3B011AC10
3B011AC13
(57)【要約】
【課題】平常時は着用者の活動性を低下させず、溺水事故時は着用者の身体を水面上に浮上させ、体温を保護できる、救命機能を有する作業服を提供する。
【解決手段】
2重以上の生地で製作される救命機能を有する作業服において、作業服の一側に形成されて、内部に最大収容量より少ない量の空気が収容される少なくとも1つの可変密着チューブを含み、、可変密着チューブは水中では、水圧により下段部に満たされた空気が上部に浮上し上段部の厚さが内部に空気が最大で収容された状態の厚さに可変されることを特徴とする。本発明によれば、溺水事故が発生した時、着用者の身体を水面上に浮上させる機能だけではなく体温保護機能を備えるので、着用者の低体温症を防止できる。また、平常時には着用者の活動性を妨げず、作業服により作業の効率が低下することがない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2重以上の生地で製作される作業服において、
着用者の身体の周りと対応される前記作業服の一側のうち最上部に最大収容量より少ない量の空気が収容される少なくとも1つの可変密着チューブが形成され、
前記可変密着チューブは水中に流入する場合、水圧により下段部に満たされた空気が上部に浮上し、上段部の厚さが内部に空気が最大で収容された状態の厚さに可変されて着用者の身体の周りに密着されることを特徴とする救命機能を有する作業服。
【請求項2】
前記可変密着チューブは、内部に空気が最大で収容される場合、着用者の身体に密着できる厚さに形成されることを特徴とする請求項1に記載の救命機能を有する作業服。
【請求項3】
前記可変密着チューブは、下段部に満たされた空気が上段部に移動して上段部に最大収容量に該当する空気が満たされるのに十分な高さに形成されることを特徴とする請求項1に記載の救命機能を有する作業服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、救命機能を有する作業服に関し、より詳細には、平常時には着用者の活動性を大きく低下させず、溺水事故が発生した時には、着用者の身体を水面上に浮上させる機能と、体温保護機能を有する作業服に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、救命服は、船舶に乗船した者が航海時に必ず着用し、生命を助ける用品である。川、湖、海などのような水上で水遊びや各種水上レジャースポーツまたは釣りを楽しむ場合にも着用される。救命服は、水に溺れた人が溺死することを防止できる。
【0003】
このような救命服は、救命服を着用した状態で水に溺れた場合、着用者を水上に浮上させる浮力を有するように形成される。一般的な救命服は、着用できる胴衣ボディーに首挿入部、腕挿入部が形成され、前面部が開放される胴衣形態に構成され、胴衣ボディーは織物に形成された内皮及び外皮間に浮力体が内蔵された構造に形成されて、開放された前面部を開閉するための止め手段としてジッパーやバックルが備えられる。救命服の一例として、大韓民国公開特許第10-2015-0117044号及び大韓民国登録実用新案第20-0432410号には、胴衣形態の救命服が開示されている。
【0004】
従来救命服は、全ての船舶における義務的な備品として、水上レジャースポーツを楽しむ時には溺死などの人命事故を防止するために着用しなければならず、最近では救命服の重要性に対する認識が広がり、利用率が増加している。しかし、従来の救命服は厚くて体積が大きく、これを着用した状態で活動をすることが不便である。特に風が吹く場合や雨が降る場合は、防風服や雨着を救命服とは別に着用しなければならないが、この場合、既存の救命服を着て防風服や雨着をその上に着るか、反対に救命服を外側に着用することになるが、非常に不便であるだけではなく、雨着や防風服と救命服を同時に着用した状態では船上などで活動するか作業することが困難である。そのため、着用者は防風服や雨着は着用するが、救命服を着用することを避ける場合が多い。
【0005】
また、上記のような救命服は、溺水事故が発生した時、着用者の上半身の一部を水面上に浮上させる機能を提供できるが、救命服が着用者の身体に密着していないので、救命服と身体の間に水の流れ込みが発生する。そのため、着用者は救命服と身体の間に流れ込んだ水により短時間内に体温を奪われ、低体温症により命を落とすという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2015-0117044号
【特許文献2】韓国登録実用第20-0432410号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、平常時には着用者の活動性を大きく低下させず、溺水事故が発生した時には、着用者の身体を水面上に浮上させ、体温を保護できる救命機能を有する作業服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による救命機能を有する作業服は、2重以上の生地で製作される作業服において、前記作業服の一側に形成されて、内部に最大収容量より少ない量の空気が収容される少なくとも1つの可変密着チューブを含み、前記可変密着チューブは水中に流入する場合、水圧により下段部に満たされた空気が上部に浮上し、上段部の厚さが内部に空気が最大で収容された状態の厚さに可変されることを特徴とする。
【0009】
ここで、上記可変密着チューブは内部に空気が最大で収容される場合、着用者の身体に密着できる厚さで形成されることが好ましい。
【0010】
そして、上記可変密着チューブは下段部に満たされた空気が上段部に移動して上段部に最大収容量に該当する空気が満たされるのに十分な高さに形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、溺水事故が発生した時、着用者の身体を水面上に浮上させる機能と体温保護機能を備えたので、着用者が低体温症で死亡することを防ぐことができる。また、平常時には着用者の活動性を大きく低下させないので、作業服により作業の効率が低下する問題が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による救命機能を有する作業服を概略的に示す図である。
【
図2】本発明による救命機能を有する作業服の下衣の側断面図である。
【
図3】本発明による可変密着チューブの状態変化を示す図である。
【
図4】本発明による可変密着チューブの状態変化による着用者との密着状態の変化を示す図である。
【
図5】本発明による可変密着チューブの状態変化による着用者との密着状態の変化を示す図である。
【
図6】本発明の他の実施例による救命機能を有する作業服を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
以下では、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図面のうち同一な構成要素は同一な符号で表している。
【0014】
図1は、本発明による救命機能を有する作業服を概略的に示す図であり、
図2は本発明による救命機能を有する作業服の下衣の側断面図であり、
図3は本発明による可変密着チューブの状態変化を図示するものである。
図1及び
図2に示すように、本発明による救命機能を有する作業服1は、2重以上の生地で製作されるが、フード10、上衣20及び下衣30を含んで構成される。
【0015】
ここで、作業服に用いられる生地は浮力を有し、防水性、断熱性及び伸縮性に優れ、修繕が容易である長所を有するネオプレン(Neoprene)材質を使用できる。このネオプレンに限定されず、上記のような機能を満たす代替材質があれば他のものを使用してもよい。フード10は、着用者の目及び口と対応される一側に開口Mが形成されて、着用者の頭全体を覆う構造である。
【0016】
このようなフード10は、平常時、作業服一側に形成された別途のポケットに保管し、溺水事故が発生した時、着用者の頭に着用することによって、着用者の頭で発生する熱が水により損失することを防止する役割をする。上衣20は長い袖と開放された全面をジッパーなどの開閉手段で開閉できる構造の一般的なジャケット形態である。下衣30は着用者の胴を包むように形成される胴部31と、胴部31の下方に延長形成されて着用者の両足を包むように形成される一対の下肢部32及び両端部が胴部31の全面及び後面上段に結合されて着用者の肩に締結される肩紐部33を含む。
【0017】
特に本発明の下衣30は、
図2に示すように、着用者の胴上段部の周りに対応される胴部31上段部一側と、着用者の脚下段部の周りに対応される各下肢部32下段部一側の内部に最大収容量より少ない量の空気が収容される可変密着チューブ40が形成される。このような可変密着チューブ40は、内部に空気が最大で収容される場合、着用者の身体に密着できる厚さで形成されることが好ましい。また、可変密着チューブ40は水中に流入して水圧が作用する場合、下段部に満たされた空気が上段部に浮上して上段部に最大収容量に該当する空気が満たされるのに十分な高さに形成されることが好ましい。
【0018】
図面を参照して、可変密着チューブ40の状態変化をさらに詳細に説明する。
図3は、本発明による可変密着チューブの状態変化を示す図である。
図3の(a)に示すように、可変密着チューブ40は内部に最大収容量より少ない量の空気が収容されることによって、平常時には内部に空気が最大で収容された状態の厚さより相対的に薄い厚さを有する。しかし、溺水事故の発生により着用者が入水するような場合、
図3の(b)に示すように、水深が増加するにつれ圧力が増加する水圧の影響により、下段部に満たされた空気が上段部に浮上する。そのため、上段部の厚さが内部に空気が最大で収容された状態の厚さと同一な厚さを有するようになる。
【0019】
本実施例では、フード、上衣及び下衣が別途に構成されると説明したが、本発明はこれに限定されず、フード、上衣及び下衣を一体に形成できるだけではなく、下衣に履き物が一体に形成される構造で形成することもできる。また、本実施例では、可変密着チューブ40が、下衣30のうち着用者の胴上段部の周りと対応される胴部31上段部一側と、着用者の両足の周りと、対応される各下肢部32の下段部一側に形成されることを一例として図示するが、これに限定されず、本発明の可変密着チューブ40は胴部31一側または各下肢部32一側のうち少なくとも1つに形成されるか、全体の周りまたは一部の周りに沿って形成されることができ、胴部31または各下肢部32の上下方向で複数個が離隔されるように形成することもできる。そして、本発明の可変密着チューブ40は、下衣30だけではなく着用者の胴または両腕と対応される上衣20一側に1つ以上が形成される。
【0020】
以下では、図面を参照して、本発明による救命機能を有する作業服の作用を説明する。
図4及び
図5は、本発明の一実施例による可変密着チューブの状態変化に伴う着用者との密着状態の変化を示す図である。本発明による救命機能を有する作業服1は、可変密着チューブ40内部に最大収容量より少ない量の空気が収容されることによって、平常時は
図5に示すように、可変密着チューブ40と着用者の身体簡易離隔状態を維持する。それで、平常時は、可変密着チューブ40により着用者の活動性が低下する問題が発生せず、作業服により作業の効率性が低下するという問題は発生しない。
【0021】
しかし、本発明による救命機能を有する作業服1は、溺水事故の発生により着用者が入水するようになる場合、
図3の(b)に示すように、水圧により可変密着チューブ40の下段部に満たされた空気が上段部に浮上し、上段部の厚さが内部に空気が最大で収容された状態の厚さと同一な厚さを有するようになる。それで、可変密着チューブ40の上段部が、着用者の身体に密着されることによって、可変密着チューブ40により作業服の内外部に水が流れ込むことを最小化できる。本発明は、作業服の内外部に相互交流される水により着用者の体温が外部に放出されることを抑止し、着用者の体温を保護する機能を提供することにより、着用者が低体温症で死亡することを小さくできる。
【0022】
一方、可変密着チューブ40は、着用者の身体を水面上に浮上させる浮力手段の機能を有するが、特に着用者の胴上段部の周りに沿って形成される可変密着チューブ40は、着用者の上半身一部を水面上に浮上させる機能を有することによって、溺水発生時に着用者に心理的な安定感を与える。
【0023】
図6は、本発明の他の実施例による救命機能を有する作業服を概略的に示す図である。この救命機能を有する作業服1は、可変密着チューブ40の一側に着用者が空気を注入できる空気注入手段50がさらに形成されることを特徴とする。ここで、空気注入手段50は、水遊び時に用いられる一般的なチューブに適用される空気注入口の形態が適用される。特に、下衣30の胴部31上段部一側に形成される可変密着チューブ40には、一端が下衣の胴部31下段部一側を通じて2重の生地間に挿入されて可変密着チューブ40の下部一側に結合されて、他端が外部に延長形成されるホース部51とホース部51の他端を開閉する開閉部52を含む構造の空気注入手段50が形成される。そして、開閉部52は、ホース部51の他端部外周一側に固定設置される支持リング52aと、支持リング52aの一側から外側に延長形成される連結線52b及び連結線52bの端部一側に回転可能に結合されるキャップ52cを含む構造に形成することができる。
【0024】
このような構造の空気注入手段50は、ホース部51が外部に延長形成されることによって、着用者が空気をさらに容易に注入できる構造を有する。また、ホース部51が可変密着チューブ40の下部に結合される構造によって入水時に上部に移動する可変密着チューブ40内の空気がホース部51を通じて外部に排出する問題が発生しないだけではなく、空気注入時にも可変密着チューブ40内の空気の圧力に影響されず容易に注入できる。
【0025】
本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、多様な修正や変形が可能である。
前記可変密着チューブは、内部に空気が最大で収容される場合、着用者の身体に密着できる厚さに形成されることを特徴とする請求項1に記載の救命機能を有する作業服。
前記可変密着チューブは、下段部に満たされた空気が上段部に移動して上段部に最大収容量に該当する空気が満たされるのに十分な高さに形成されることを特徴とする請求項1に記載の救命機能を有する作業服。
前記可変密着チューブは、内部に空気が最大で収容される場合、着用者の身体に密着できる厚さに形成されることを特徴とする請求項1に記載の救命機能を有する作業服。
前記可変密着チューブは、下段部に満たされた空気が上段部に移動して上段部に最大収容量に該当する空気が満たされるのに十分な高さに形成されることを特徴とする請求項1に記載の救命機能を有する作業服。