(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179693
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20221125BHJP
D06F 39/00 20200101ALI20221125BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
D06F39/02 A
D06F39/00 Z
D06F39/08 301Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163982
(22)【出願日】2022-10-12
(62)【分割の表示】P 2019000619の分割
【原出願日】2019-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 貞人
(57)【要約】
【課題】衣類処理剤を水に十分に混合させた上で洗浄槽内に供給することができる衣類処理装置を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る衣類処理装置は、衣類を洗浄するための洗浄槽と、前記洗浄槽内に水を供給するための給水経路と、前記洗浄槽内に衣類処理剤を供給するための経路であって、前記給水経路の途中に接続される衣類処理剤供給経路と、前記給水経路に前記衣類処理剤供給経路が接続する部分に設けられ、前記給水経路を通して供給される水と、前記衣類処理剤供給経路を通して供給される衣類処理剤とを混合する混合部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を洗浄するための洗浄槽と、
前記洗浄槽内に水を供給するための給水経路と、
前記洗浄槽内に衣類処理剤を供給するための経路であって、前記給水経路の途中に接続される衣類処理剤供給経路と、
前記給水経路に前記衣類処理剤供給経路が接続する部分に設けられ、前記給水経路を通して供給される水と、前記衣類処理剤供給経路を通して供給される衣類処理剤とを混合する混合部と、
前記洗浄槽に接続されている注水ケースと、
を備え、
前記給水経路は、前記混合部の下流側に、前記注水ケースに接続されている洗浄槽側経路を備える衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗濯機の技術分野においては、衣類を洗浄するための洗浄槽内に、例えば洗剤などの衣類処理剤を投入するための構成の開発が進められている。例えば特許文献1には、洗浄槽内に2種類の洗浄剤を切り替えながら供給する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば洗剤などの衣類処理剤を洗浄槽内に投入する場合には、衣類処理剤を水に十分に混合させた上で洗浄槽内に供給することが好ましい。衣類処理剤が十分に混合した水が洗浄槽内に供給されることにより、衣類処理剤が水とともに衣類に浸透しやすくなり、衣類処理剤の効果を発揮しやすくできるからである。
【0005】
そこで、本実施形態は、衣類処理剤を水に十分に混合させた上で洗浄槽内に供給することができる衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る衣類処理装置は、洗浄槽、給水経路、衣類処理剤供給経路、混合部、注水ケースを備えている。洗浄槽は、衣類を洗浄するための槽である。給水経路は、前記洗浄槽内に水を供給するための経路である。衣類処理剤供給経路は、前記洗浄槽内に衣類処理剤を供給するための経路であって、前記給水経路の途中に接続されている。混合部は、前記給水経路に前記衣類処理剤供給経路が接続する部分に設けられ、前記給水経路を通して供給される水と、前記衣類処理剤供給経路を通して供給される衣類処理剤とを混合する。注水ケースは、前記洗浄槽に接続されている。前記給水経路は、前記混合部の下流側に、前記注水ケースに接続されている洗浄槽側経路を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図2】第1実施形態に係る給水部の構成例を概略的に示す図
【
図3】第1実施形態に係る洗濯機の制御系の構成例を概略的に示すブロック図
【
図4】第2実施形態に係る洗濯機の給水動作の一例を概略的に示すフローチャート
【
図5】第3実施形態に係る洗濯機の給水動作の一例を概略的に示すフローチャート
【
図6】第4実施形態に係る混合部の構成例を概略的に示す横断平面図
【
図7】第4実施形態に係る混合部の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図8】第5実施形態に係る混合部の構成例を概略的に示す横断平面図
【
図9】第5実施形態に係る混合部の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図10】第6実施形態に係る混合部の構成例を概略的に示す横断平面図
【
図11】第6実施形態に係る混合部の構成例を概略的に示す縦断側面図
【
図12】第7実施形態に係る給水部の構成例を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、衣類処理装置に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1に例示する洗濯機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、洗い処理、すすぎ処理、脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。また、洗濯機1は、回転槽の回転中心軸が水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びる、いわゆるドラム式の洗濯機である。
【0010】
洗濯機1は、その外郭を構成する矩形箱状の筐体2の内部に、衣類を洗浄するための洗浄槽3を備えている。洗浄槽3は、有底円筒状の水槽の内部に、同じく有底円筒状のドラムを回転可能に備えた構成である。ドラムの周壁には多数の小孔が設けられており、また、ドラムの内周面には、衣類をかき上げるためのバッフルが設けられている。
【0011】
また、洗濯機1は、洗浄槽3内に水を供給するための給水部4、および、洗浄槽3内の水を機外に排水するための図示しない排水部を備えている。給水部4は、例えば水道などの図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路10の途中に給水弁11などを備えた構成となっている。また、排水部は、洗浄槽3の底部から機外に延びる排水経路の途中に排水弁などを備えた構成となっている。
【0012】
次に、上述した給水部4の構成例について、さらに詳細に説明する。
図2に例示するように、給水部4は、図示しない水源から洗浄槽3に延びる給水経路10の途中に、給水弁11、混合部12、注水ケース13、注水ホース14などを備えている。給水弁11は、例えば、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁により構成されている。なお、排水部に備えられる排水弁も、例えば、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁により構成されている。混合部12は、ほぼ矩形のケース状に設けられている。
【0013】
給水経路10は、外部の水源から洗浄槽3内に水を供給するための経路であり、この場合、主として、水源側経路10Aと、混合部12と、洗浄槽側経路10Bと、注水ケース13と、注水ホース14とを、上流側からこの順に接続した構成となっている。
【0014】
水源側経路10Aは、上流側の端部が外部の水源に接続されており、下流側の端部が混合部12に接続されている。つまり、水源側経路10Aは、外部の水源から延びて混合部12に接続されている。洗浄槽側経路10Bは、上流側の端部が混合部12に接続されており、下流側の端部が注水ケース13に接続されている。つまり、洗浄槽側経路10Bは、混合部12から延びて注水ケース13に接続されている。注水ケース13は、注水ホース14を介して洗浄槽3に接続されている。
【0015】
この場合、給水弁11は、給水経路10において、水源側経路10Aの途中部分に設けられている。従って、給水弁11は、給水経路10において混合部12よりも上流側に位置した構成となっている。
【0016】
また、給水部4は、さらに、洗剤自動投入部15を備えている。洗剤自動投入部15は、洗剤タンク16と混合部12とを接続する洗剤供給経路17、および、この洗剤供給経路17の途中に設けられる計量ポンプ18を備えている。洗剤供給経路17は、衣類処理剤供給経路の一例である。洗剤供給経路17は、洗剤タンク16内に収容されている洗剤を洗浄槽3内に供給するための経路であって、その下流側の端部が、給水経路10の途中、この場合、給水経路10の途中に設けられている混合部12に接続されている。即ち、洗濯機1は、給水経路10に洗剤供給経路17が接続する部分に混合部12を設けた構成となっている。
【0017】
計量ポンプ18は、例えば、モータやソレノイドなどのアクチュエータによってピストンを駆動することにより液体を吸引して送出する構成となっている。計量ポンプ18は、洗剤タンク16内から所定量、この場合、1回の運転に使用する量の洗剤を吸引し、その吸引した洗剤を、洗剤供給経路17を介して混合部12内に送出する。これにより、混合部12内に所定量の洗剤が自動的に投入されるようになっている。
【0018】
また、洗濯機1は、給水経路10の一部を構成する水源側経路10Aが、混合部12において洗剤供給経路17が接続されている部分よりも上流側に接続された構成となっている。また、洗濯機1は、給水経路10の一部を構成する洗浄槽側経路10Bが、混合部12において水源側経路10Aが接続されている部分よりも下側に接続された構成となっている。また、混合部12は、単に水が流れる水路として構成される水源側経路10Aや洗浄槽側経路10Bとは異なり、ある程度の容積を有する空間を備えた構成要素となっている。具体的には、混合部12は、水源側経路10Aが接続される上流側と洗浄槽側経路10Bが接続される下流側とを結ぶ方向に直交する断面積が、水源側経路10Aの延伸方向に直交する断面積および洗浄槽側経路10Bの延伸方向に直交する断面積よりも大きくなっている。また、混合部12は、当該混合部12内において水が直線状に流れるのではなく、ある程度の広がりを持って流れるように、水源側経路10Aや洗浄槽側経路10Bよりも幅を有した構成要素となっている。
【0019】
次に、洗濯機1の制御系の構成例について説明する。
図3に例示する制御装置30は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムに基づいて洗濯機1の動作全般を制御する。制御装置30には、上述した給水弁11や計量ポンプ18の他、洗浄槽3内のドラムを回転させるモータ、排水部の排水弁などが接続されている。制御装置30は、これらの駆動系の構成要素の動作を制御することにより、洗浄槽3内の衣類を洗う周知の洗い行程、洗浄槽3内の衣類をすすぐ周知のすすぎ行程、洗浄槽3内の衣類を脱水する周知の脱水行程などを含む各種の運転を実行可能に構成されている。
【0020】
次に、上述のように構成される洗濯機1による給水動作の一例について説明する。ここでは、洗い行程において、洗浄槽3内に洗剤とともに水を供給する動作の一例について説明する。洗濯機1の制御装置30は、給水動作を開始すると、給水弁11を開いて、外部の水源から給水経路10を介して洗浄槽3内に水を供給する。また、制御装置30は、計量ポンプ18を駆動することにより、洗剤タンク16内から所定量の洗剤を混合部12内に投入する。
【0021】
これにより、混合部12内には、外部の水源から供給された水と洗剤タンク16内から供給された洗剤とが共存した状態となる。そして、混合部12内においては、外部の水源からの水の供給が継続されることで、水の流れが発生した状態となる。これにより、混合部12内において、水と洗剤が混合される。そして、混合部12内において洗剤が混合された水は、洗浄槽側経路10Bから注水ケース13内に流れ、さらに、注水ケース13内から注水ホース14を介して洗浄槽3内に流れる。これにより、混合部12内で十分に混合された洗剤を含む水が洗浄槽3内に供給されるようになる。
【0022】
洗濯機1によれば、給水経路10に洗剤供給経路17が接続する部分に混合部12が設けられており、この混合部12は、給水経路10を通して供給される水と、洗剤供給経路17を通して供給される洗剤とを、洗浄槽3内に供給する前に十分に混合する。よって、洗剤を水に十分に混合させた上で洗浄槽3内に供給することができ、洗剤による衣類の洗浄効果を十分に発揮させることができる。また、洗濯機1によれば、混合部12は、単に水が流れる水路としてではなく、ある程度の容積を有する空間を備えた構成要素として備えられている。そのため、この混合部12内に供給された水は、当該混合部12内をある程度の幅を持って流れるようになり、これにより、水と洗剤との混合を一層促進することができる。なお、混合部12は、少なくとも水源側経路10Aや洗浄槽側経路10Bよりも大きな断面積を有する構成であれば、矩形状に限られず、例えば、円筒状など種々の形状で構成することができる。
【0023】
また、洗濯機1によれば、給水経路10は、混合部12に水源側経路10Aと洗浄槽側経路10Bとが接続された構成となっている。つまり、給水経路10の途中部分に混合部12を設けた構成となっているので、給水経路10を介して水が流れる過程において、混合部12において水と洗剤とを混合することができ、給水経路10を流れる水の流れを利用して水と洗剤との混合効率を高めることができる。
【0024】
また、洗濯機1によれば、水源側経路10Aは、混合部12において洗剤供給経路17が接続されている部分よりも上流側に接続されている。つまり、混合部12内に水を供給する水源側経路10Aが、混合部12内に洗剤を供給する洗剤供給経路17よりも上流側に接続されている。そのため、混合部12内に供給された洗剤を、混合部12内に供給される水によって効率良く混合部12内から洗浄槽3側に流し出すことができる。
【0025】
また、洗濯機1によれば、洗浄槽側経路10Bは、混合部12において水源側経路10Aが接続されている部分よりも下側に接続されている。つまり、混合部12内からの水の出口が、混合部12内への水の入口よりも低い位置に設けられている。そのため、混合部12内に流入した水が当該混合部12の外部に流出しやすくなり、いったん混合部12内に流入した水が上流側に逆流してしまうことを抑制することができる。また、混合部12内への水の入口が比較的高い位置に設けられていることで、混合部12内に流入した水が当該混合部12内において落下するように流れるようになり、このような落下するような水の流れも利用して洗剤と水との混合を一層促進することができる。
【0026】
また、洗濯機1によれば、洗剤供給経路17は、洗剤を自動で投入する洗剤自動投入部15を備えている。この構成によれば、洗剤を自動で投入することができ、使用者が手動で洗剤を投入する洗濯機に比べ、使用者の負担を軽減することができる。また、洗剤自動投入部15は、計量ポンプ18により所定量の洗剤を計量して投入するように構成されている。そのため、使用者が手動で洗剤を投入する洗濯機に比べ、一回の運転に投入される洗剤の量を正確な量にすることができる。
【0027】
(第2実施形態)
この実施形態は、洗浄槽3内への水および洗剤の供給制御の一例に係る実施形態である。
図4に例示するように、洗濯機1の制御装置30は、洗い行程を開始すると、まず、洗浄槽3内に収容されている衣類の重量を検知する(A1)。なお、衣類の重量を検知する重量検知処理は、例えば、洗浄槽3内のドラムを所定の重量検知用の回転速度で回転させた場合におけるモータの電流値の変動に基づき衣類の重量を判定する手法、回転槽を含む洗浄槽3全体の重量の変動を測定する物理的な重量測定器により判定する手法など、周知の手法を適宜採用することができる。
【0028】
制御装置30は、重量検知処理を終了すると、検知された衣類の重量に応じて洗剤の投入量を決定する(A2)。これにより、計量ポンプ18の一回の洗剤投入動作により投入される洗剤の量が設定される。
【0029】
次に、制御装置30は、計量ポンプ18を駆動することにより、洗剤供給経路17を介した洗剤の自動供給動作を実行する(A3)。これにより、給水経路10の一部を構成する混合部12内に所定量の洗剤が投入される。そして、制御装置30は、給水弁11を開くことにより、給水経路10を介した水の供給動作を開始する(A4)。これにより、給水経路10の一部を構成する混合部12内に水が供給されるようになる。そして、混合部12内において水と洗剤とが混合されて、洗浄槽3内に供給される。
【0030】
そして、制御装置30は、給水弁11の開状態、つまり、洗浄槽3内への水および洗剤の供給動作を所定時間継続すると、給水弁11を閉じる(A5)。これにより、洗浄槽3内への水および洗剤の供給動作が停止される。なお、給水弁11を開状態に維持する所定時間は、適宜変更して設定することができる。
【0031】
制御装置30は、給水弁11の閉状態、つまり、洗浄槽3内への水および洗剤の供給動作が停止した状態が所定時間継続すると、再び、上述したステップA3~A5の処理を繰り返す。なお、給水弁11を閉状態に維持する所定時間は、適宜変更して設定することができる。また、ステップA3~A5の処理を繰り返す回数は、適宜変更して設定することができる。
【0032】
第2実施形態によれば、洗濯機1は、給水経路10を介した水の供給動作と計量ポンプ18による洗剤供給経路17を介した洗剤の自動供給動作とを交互に行うように構成した。この構成によれば、混合部12内に水と洗剤とが交互に供給されるようになり、混合部12内における水と洗剤との混合を一層促進することができる。
【0033】
(第3実施形態)
この実施形態も、洗浄槽3内への水および洗剤の供給制御の一例に係る実施形態である。
図5に例示するように、洗濯機1の制御装置30は、洗浄槽3内の衣類の重量検知処理(A1)、検知重量に基づく洗剤投入量の決定処理(A2)、計量ポンプ18による洗剤供給経路17を介した洗剤の自動供給処理(A3)を実行すると、給水弁11を開く処理(A4)および給水弁11を閉じる処理(A5)を交互に繰り返す。これにより、混合部12内には、所定量の洗剤が投入された後に水が断続的に供給されるようになる。なお、給水弁11を開く処理(A4)および給水弁11を閉じる処理(A5)を繰り返す回数は、適宜変更して設定することができる。
【0034】
第3実施形態によれば、洗濯機1は、計量ポンプ18による洗剤供給経路17を介した洗剤の自動供給動作の後に、給水経路10を介した水の供給動作を断続して行うように構成した。この構成によれば、混合部12内に供給された洗剤を、その後に供給される水の流れを利用して効率良く水に混合して洗浄槽3内に供給することができる。また、混合部12内に洗剤が供給された状態で、その後に、水を断続的に供給することによって、混合部12内に供給される水の流れに変化を生じさせることができ、水と洗剤との混合効率を一層高めることができる。また、混合部12内に供給された洗剤を、その後に供給される水によって効率良く洗浄槽3側に流し出すことができる。
【0035】
(第4実施形態)
この実施形態は、混合部12内の構成例に係る実施形態である。
図6および
図7に例示するように、混合部12は、複数の突起部40aにより構成される混合促進部40を備えている。複数の突起部40aは、混合部12の底面において、複数列に整列して配置されている。また、複数の突起部40aは、混合部12の底面において洗剤供給経路17に対向しない部分に設けられている。よって、混合部12の底面において洗剤供給経路17に対向する部分には突起部40aが設けられていない。また、複数の突起部40aは、この場合、全て同じ高さで設けられている。なお、水源側経路10Aおよび洗浄槽側経路10Bは、混合部12に対し当該混合部12の横方向にずれた位置に接続されている。
【0036】
第4実施形態によれば、水源側経路10Aから混合部12内に供給された水は、複数の突起部40aに当たりながら洗浄槽側経路10B側に流れる。そのため、混合部12内を流れる水に乱流が生じやすくなり、水と洗剤との混合を一層促進することができる。
【0037】
なお、混合促進部40は、混合部12の底面において洗剤供給経路17に対向する部分にも突起部40aを備える構成としてもよい。この構成によれば、洗剤供給経路17から供給される洗剤を突起部40aによって分断することができ、混合部12内における洗剤と水との混合を一層促進することができる。また、混合促進部40は、混合部12の底面において複数の突起部40aをランダムな位置に配置した構成としてもよい。
【0038】
また、混合促進部40は、複数の突起部40aの高さを異ならせた構成としてもよい。この場合、混合部12内において、上流側つまり水源側経路10A側の突起部40aの高さを低くすることにより、水源側経路10Aから混合部12内に供給された水が突起部40aに跳ね返って水源側経路10A側に逆流してしまうことを抑制することができ、混合部12内における水の流れを上流側である水源側経路10A側から下流側である洗浄槽側経路10B側に向けて安定させることができる。
【0039】
また、水源側経路10Aおよび洗浄槽側経路10Bは、混合部12に対し当該混合部12の横方向にずれた位置に接続されている。この構成によれば、混合部12内に供給された水が、当該混合部12内を上流側から下流側に向かって対角線に沿うようにして流れるような態様になり、従って、混合部12内における流路を長くして、水と洗剤との混合を一層促進することができる。
【0040】
(第5実施形態)
この実施形態も、混合部12内の構成例に係る実施形態である。
図8および
図9に例示するように、混合部12は、回転翼50aにより構成される混合促進部50を備えている。回転翼50aは、この場合、混合部12の底面の中央部に設けられている。また、少なくとも回転翼50aの中心部分は、混合部12の底面において洗剤供給経路17に対向しない部分に設けられている。よって、混合部12の底面において洗剤供給経路17に対向する部分には、少なくとも回転翼50aの中心部分が設けられていない。なお、回転翼50aは、例えばモータなどの駆動源により回転させる構成としてもよいし、混合部12内における水の流れを利用して回転させる構成としてもよい。
【0041】
第5実施形態によれば、混合部12内を上流側である水源側経路10A側から下流側である洗浄槽側経路10B側に流れる水を回転翼50aによってかき混ぜることができ、その流れを乱すことができる。これにより、水と洗剤との混合を一層促進することができる。
【0042】
なお、混合促進部50は、混合部12の底面の中央部以外の部分に設けてもよい。また、混合促進部50は、例えば、混合部12内に複数の回転翼50aを備える構成としてもよい。この場合、複数の回転翼50aの配置位置を適宜調整することにより、水と洗剤との混合効率を一層高めることができる。
【0043】
(第6実施形態)
この実施形態も、混合部12内の構成例に係る実施形態である。
図10および
図11に例示するように、混合部12は、複数の壁部60aにより構成される混合促進部60を備えている。複数の壁部60aは、混合部12の底面において、上流側である水源側経路10A側から下流側である洗浄槽側経路10B側に向かって交互に入り込むように配置されている。これにより、混合部12の底面には、複数の壁部60aにより、上流側から下流側に連なる蛇行した流路、いわゆるラビリンス状の流路が形成されている。また、複数の壁部60aのうち最も上流側の壁部60aは、混合部12の底面において洗剤供給経路17に対向する部分に設けられている。また、複数の壁部60aは、それぞれ異なる高さで設けられている。この場合、複数の壁部60aのうち最も上流側の壁部60aの高さが低く、下流側に位置する壁部60aほど、その高さが高くなっている。
【0044】
第6実施形態によれば、水源側経路10Aから混合部12内に供給された水は、複数の壁部60aが形成する蛇行した流路に沿って洗浄槽側経路10B側に流れる。そのため、混合部12内における流路を長くすることができ、このような流路を流れる過程において水と洗剤との混合を一層促進することができる。また、混合部12内において、複数の壁部60aは、上流側のものほど、その高さが低くなっている。そのため、水源側経路10Aから混合部12内に供給された水が壁部60aに跳ね返って水源側経路10A側に逆流してしまうことを抑制することができ、混合部12内における水の流れを上流側である水源側経路10A側から下流側である洗浄槽側経路10B側に向けて安定させることができる。
【0045】
また、第6実施形態によれば、混合部12の底面において洗剤供給経路17に対向する部分に壁部60aが設けられている。この構成によれば、洗剤供給経路17から供給される洗剤を壁部60aによって分断することができ、混合部12内における洗剤と水との混合を一層促進することができる。なお、混合促進部60は、混合部12の底面において洗剤供給経路17に対向する部分には壁部60aを設けない構成としてもよい。また、混合促進部60は、複数の壁部60aの高さを同じとした構成としてもよい。
【0046】
(第7実施形態)
この実施形態は、混合部12内ひいては洗浄槽3内に供給する水に所定の機能を付与するようにした実施形態である。
図12に例示するように、給水部4は、さらに、給水経路10に微細気泡発生装置70を備えている。この場合、微細気泡発生装置70は、給水経路10の一部を構成する水源側経路10Aにおいて給水弁11よりも下流の部分に設けられている。
【0047】
微細気泡水生成器70は、内部を通過する水に微細気泡を含ませて微細気泡水を生成する装置である。詳しい図示は省略するが、微細気泡水生成器70は、絞り部および突起部を有する流路を備えている。この流路を流れる水は、絞り部を通過する際に絞られて徐々に流速および圧力が増加し、高流速かつ高圧力となった状態で突起部に衝突する。そして、高流速かつ高圧力となった水が突起部に衝突して当該突起部を通過すると、その水の圧力が急激に低下する。この急激な圧力低下により生じるキャビテーション効果により、水の中に、直径が数十nm~数μmサイズ、例えば直径50μm以下の微細な気泡が、多数、例えば106個以上/ml、発生する。
【0048】
このように発生する微細な気泡は、マイクロバブル、ナノバブル、ウルトラファインバブルなどと称されている。ここで、一般に微細気泡は、その気泡の粒子径によって次のように分類されている。例えば、粒子径が数μmから50μm程度つまりマイクロオーダーの気泡は、マイクロバブルまたはファインバブルなどと称されている。これに対し、粒子径が数百nm~数十nm以下つまりナノオーダーの気泡は、ナノバブルまたはウルトラファインバブルなどと称されている。
【0049】
気泡の粒子径が数百nm~数十nm以下になると、光の波長よりも小さくなるため視認することができなくなり、液体は透明になる。そして、ナノオーダーの微細気泡は、マイクロオーダー以上の気泡に比べて、総界面面積が大きいこと、浮上速度が遅いこと、内部圧力が大きいことなどの特性を有している。例えば、粒子径がマイクロオーダーの気泡は、その浮力によって液体中を急速に上昇し、液体表面で破裂して消滅するため、液体中の滞在時間が比較的短い。一方、粒子径がナノオーダーの微細気泡は、浮力が小さいため液体中での滞在時間が長い。
【0050】
そして、このような微細な気泡を含む水は、界面活性作用に優れており、洗濯物の洗浄性能、特に、皮脂汚れをはじめとする油脂汚れに対する洗浄性能の向上に寄与する。即ち、微細気泡水生成器70により生成される微細気泡水は、微細な気泡による洗浄性能の向上機能を有する。
【0051】
また、洗剤の主成分である陰イオン(アニオン)界面活性剤および微細気泡水中の微細気泡は、それぞれ個別でも汚れを落とす洗浄能力を有している。しかし、例えば、微細気泡水に洗剤を溶解させるなどして濃縮洗剤水に微細気泡水を付与すると、疎水相互作用と称される分子間に働く引力的相互作用によって洗剤中の界面活性剤と微細気泡が吸着し、これにより、界面活性剤の凝集つまりミセルがほぐれて水中に分散し易くなる。その結果、界面活性剤が汚れと短時間で反応し易い状態となって洗浄能力が向上する。
【0052】
即ち、微細気泡水に洗剤を溶解させて洗濯液を生成することで、洗剤中の界面活性剤と微細気泡水中の微細気泡との相互作用が働き、その結果、水道水に洗剤を溶かしただけの単なる洗濯液または単なる微細気泡水と比べて、洗浄能力を格段に高めることができる。また、汚れが乳化されて水中に分散し易くなるため、衣類に汚れが再付着することを防ぐ効果も期待できる。
【0053】
第7実施形態によれば、上述のような効果を奏する微細気泡水を混合部12内に供給して、微細気泡水と洗剤とを混合することができる。そのため、洗剤の分散性を高めつつ水との混合を行うことができ、より洗浄性能の高くなった水および洗剤の混合液を洗浄槽3内に供給することができる。
【0054】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や拡張を行うことができる。例えば、上述した複数の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。また、混合部12内に供給する衣類処理剤は、洗剤に限られるものではなく、例えば、柔軟剤、消臭剤、除菌剤など、衣類に何らかの処理を施す種々の処理剤であれば適宜採用することができる。また、洗濯機1は、給水経路10に複数の混合部12を備える構成としてもよい。
【0055】
また、本実施形態は、回転槽の回転中心軸が鉛直方向に延びる、いわゆる縦型の洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有する洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有しない洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、例えば、衣類の消臭、脱臭、除菌など、衣類に対して何らかの処理を施す装置であれば、種々の衣類処理装置に適用することができる。
【0056】
なお、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
図面中、1は洗濯機(衣類処理装置)、3は洗浄槽、10は給水経路、10Aは水源側経路、10Bは洗浄槽側経路、12は混合部、15は洗剤自動投入部(自動投入部)、17は洗剤供給経路(衣類処理剤供給経路)、40,50,60は混合促進部、70は微細気泡発生装置を示す。