(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179726
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】物品取得ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164491
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2020049275の分割
【原出願日】2020-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガ
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】特許業務法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 格広
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲也
(72)【発明者】
【氏名】若生 晃
(72)【発明者】
【氏名】冨永 麻子
(72)【発明者】
【氏名】三原 正裕
(72)【発明者】
【氏名】深澤 光晴
(72)【発明者】
【氏名】小野 晋弥
(72)【発明者】
【氏名】犬山 敬悟
(57)【要約】
【課題】クレーンゲーム装置において落下口への景品の落下を簡易な構成にて検出する。
【解決手段】クレーンゲーム装置100は、景品が載置される載置領域112と落下口114を有する。プレイヤは、操作部118を操作してクレーン108を移動させる。落下口114には、複数のプライズセンサ176が配置される。プライズセンサ176は、落下口114への物体の通過を検出する。移動判定部156は、物体の通過を検出したプライズセンサ176の数に基づいて、落下口114を通過した物体がカラーボール174と景品172のいずれであるかを判定する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイ空間に設けられ、獲得対象となる物品が載置される物品載置部と、
前記物品を取得する物品取得部と、
プレイヤからの操作を受け付ける操作部と、
前記操作にしたがって、前記物品取得部を駆動する制御部と、
前記取得された物品を落下させる落下口と、
前記落下口への物品の落下を判定する判定部と、を備え、
前記落下口には、物体の通過を検出する複数のセンサが配列され、
前記判定部は、物体の通過を検出したセンサの数が所定数以上であるとき、前記落下口を通過した物体が前記獲得対象となる物品であると判定する、物品取得ゲーム装置。
【請求項2】
前記物品載置部には、獲得対象となる第1の物品と、獲得対象とはならない第2の物品が載置され、
前記判定部は、物体の通過を検出したセンサの数に基づいて、前記落下口を通過した物体が前記第1の物品または前記第2の物品のいずれであるかを判定する、請求項1に記載の物品取得ゲーム装置。
【請求項3】
前記物品載置部には、獲得対象となる複数種類の物品が載置され、
前記判定部は、物体の通過を検出したセンサの数に基づいて、前記落下口を通過した物体が前記複数種類の物品のいずれであるかを判定する、請求項1または2に記載の物品取得ゲーム装置。
【請求項4】
前記落下口には、複数のセンサが第1列として水平方向に配列され、更に、複数のセンサが前記第1列の下に第2列として水平方向に配列される、請求項1に記載の物品取得ゲーム装置。
【請求項5】
前記第1列における複数のセンサの設置位置と前記第2列における複数のセンサの設置位置は水平方向にずらして配置される、請求項4に記載の物品取得ゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、景品等の物品を移動させて獲得する物品取得ゲームに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのゲームセンターには、クレーンゲーム装置(物品取得ゲーム装置)が設置されている。クレーンゲーム装置の筐体内にはステージ(ゲームフィールド)が設けられ、ぬいぐるみやお菓子などの景品(物品)が載置される。プレイヤは、操作桿あるいは各種ボタンを駆使してクレーンを操作する。クレーンで景品を掴み、落下口に景品を移動できれば、プレイヤは景品を獲得できる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クレーンゲーム装置においては、落下口に景品以外の物体が落下することもある。オペレータは、経営上、クレーンゲーム装置のペイアウト率を認識しておく必要があるため、落下口に景品または景品以外の物体のどちらが落下したのかを簡易かつ正確に認識できることが望ましい。
【0005】
本発明は、本発明者らによる上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、クレーンゲーム装置において落下口に落下した物体が景品であるか否かを簡易に検出するための技術、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様における物品取得ゲーム装置は、プレイ空間に設けられ、獲得対象となる物品が載置される物品載置部と、物品を取得する物品取得部と、プレイヤからの操作を受け付ける操作部と、操作にしたがって、物品取得部を駆動する制御部と、取得された物品を落下させる落下口と、落下口への物品の落下を判定する判定部と、を備える。
落下口には、物体の通過を検出する複数のセンサが配列される。
判定部は、物体の通過を検出したセンサの数が所定数以上であるとき、落下口を通過した物体が獲得対象となる物品であると判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、物品取得ゲーム装置において、景品の落下を簡易な構成にて検出しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】クレーンゲーム装置の機能ブロック図である。
【
図5】
図5(a)は、移動量m=0におけるXプレートと位置検出センサの関係を示す模式図である。
図5(b)は、移動量m=X1におけるXプレートと位置検出センサの関係を示す模式図である。
図5(c)は、移動量m=X2におけるXプレートと位置検出センサの関係を示す模式図であり、
【
図6】アームの把持力調整過程を示すフローチャートである。
【
図7】載置領域における景品の載置状態を示す模式図である。
【
図10】景品およびカラーボールの検出方法を説明するための模式図である。
【
図11】ディスプレイバーを設置するときの様子を示すクレーンゲーム装置の第1の分解斜視図である。
【
図12】ディスプレイバーを設置するときの様子を示すクレーンゲーム装置の第2の分解斜視図である。
【
図13】ディスプレイバーと第1支柱の嵌合部分の拡大図である。
【
図14】
図14(a)は、初期設定時におけるクレーンの上面図である。
図14(b)は、初期設定時におけるクレーンの正面図である。
【
図15】
図15(a)は、30度回転させたときのクレーンの上面図である。
図15(b)は、30度回転させたときのクレーンの正面図である。
【
図16】
図16(a)は、デザインカバーを調整したときのクレーンの上面図である。
図16(b)は、デザインカバーを調整したときのクレーンの正面図である。
【
図17】クレーンのデザインカバー周辺の分解斜視図である。
【
図18】クレーンのデザインカバー周辺の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、クレーンゲーム装置100の斜視図である。
クレーンゲーム装置100は、一般的には、遊園地やゲームセンターなどの遊戯施設に設置される。
図1に示すように、プレイヤから見たときのクレーンゲーム装置100の左右方向をX方向、前後方向をY方向、上下方向をZ方向として説明する。
【0010】
クレーンゲーム装置100は、直方体形状の基台102と、基台102上に設けられた箱型の景品収容部104を備える。景品収容部104の内方にプレイ空間Sが形成され、景品載置台106(ゲームフィールド)が設けられる。景品載置台106上には、ぬいぐるみや雑貨等の景品のほか、景品載置台106を装飾するためのカラーボールが配置される(後述)。景品載置台106の上方にはクレーン108が設けられる。クレーン108は、プレイ空間Sの前後左右および上下に移動でき、景品を把持/解放する。
【0011】
景品収容部104は、その前面および左右側面が透明なガラス張りとされている。外部からの景品の視認性が考慮されたものである。景品収容部104の天井面には、景品載置台106を上方から撮像するカメラが設置されてもよい。景品収容部104の前面にはガラス製の扉110が設けられ、オペレータ(店員)は扉110を開いて景品を景品収容部104内に配置できる。
【0012】
景品載置台106は、載置領域112(第1領域)と落下口114(第2領域)に区画される。載置領域112に景品が載置され、プレイヤは景品を載置領域112から落下口114に運ぶことができれば、景品を取得できる。載置領域112と落下口114の間は遮蔽板128が設置される。遮蔽板128は、載置領域112にある景品あるいはカラーボールが落下口114に転げ落ちるのを防ぐ。
【0013】
基台102の前面には、落下口114から落下した景品を取り出すための景品取出口116が形成される。
【0014】
基台102の前面側には操作部118および設定表示部120が設けられる。ゲーム開始に際し、プレイヤは、コイン投入口にコインを投入するか、ICカードリーダに電子マネーがチャージされたICカードをタッチする。以下、クレーンゲーム装置100において、操作部118等が設置される面、いいかえれば、プレイヤが位置する側の面を「前面」とよび、プレイヤから見て奥側(Y軸正方向側)にある面を「背面」とよぶ。
【0015】
操作部118は、プレイヤがクレーン108を前後左右に移動させてその降下地点を決めるための操作桿122と、クレーン108を降下させて景品を把持させるための把持ボタン124を含む。
【0016】
設定表示部120にはタッチパネルが設置される。設定表示部120は、オペレータ(店員)がゲームの設定情報を入力する「設定入力部」として機能するとともに、操作部118の操作方法やゲーム結果など、ゲームに関する情報を表示させる「情報表示部」としても機能する。クレーンゲーム装置100は、そのほかにもスピーカ(不図示)や外部接続端子等を備える。
【0017】
クレーン108は、景品を把持および解放可能な3本のアーム126を有する。クレーン108はアーム126を開閉駆動するモータを含む。クレーン108は、アーム126を開閉させることによって、景品を把持および解放する。
【0018】
クレーン108は、景品収容部104の上部に設置された図示略のガイドレールに沿って移動可能であり、クレーン駆動部130(後述)により駆動される。クレーン駆動部130は、クレーン108を横方向(X方向)および縦方向(Y方向)に駆動する移動機構と、上下方向(Z方向)に駆動する昇降機構を含む。移動機構は、X方向モータおよびY方向モータを含む。昇降機構は、Z方向モータを含む。クレーン駆動部130により、クレーン108をプレイ空間Sの任意の位置に移動させることができる。
【0019】
本実施形態におけるクレーン108は、3つのアーム126を有するいわゆる「トリプルキャッチャー型」である。プレイヤは、制限時間以内であれば操作桿122によりクレーン108を前後左右に自由に動かすことができる。プレイヤは、景品の上方にクレーン108を移動させたあと、把持ボタン124を押下する。把持ボタン124が押下されると、クレーン108は下降する。クレーン108は所定距離を下降すると自動的にアーム126を閉鎖方向に移動させる(以下、「把持」あるいは「把持動作」とよぶ)。このとき、クレーン108は降下地点にある比較的大きな景品をアーム126により掴むことができる。なお、クレーン108の下降中に再度把持ボタン124を押下すれば、押下時点においてアーム126に把持動作させることもできる。
【0020】
把持動作を維持したまま、クレーン108は上昇し、その後、落下口114に向けて自動的に移動する。クレーン108は、落下口114の上でアーム126を解放方向に移動させる(以下、「解放」あるいは「解放動作」とよぶ)。景品をしっかりと把持できていれば、景品は落下口114までクレーン108によって運ばれ、落下口114の上から落とされる(クレーンゲームの成功)。一方、アーム126が景品をしっかり把持できていなかったときには、クレーン108が落下口114の直上に到達する前に、クレーン108から景品が落下してしまう(クレーンゲームの失敗)。
【0021】
なお、オペレータは、クレーン108を水平回転(Z軸を中心とした回転)させることもできる。
図1に示すように、3つのアーム126のうちの1つがプレイヤ側にくる状態がホームポジションであるが、オペレータは景品の配置状況に鑑みて、クレーン108の水平回転角を調整できる。クレーン108の前面には、デザインカバー132が設置される。本実施形態におけるデザインカバー132には、製品名を示すロゴ(広告情報)が記載される。クレーン108の水平回転に対応してデザインカバー132の方向も調整可能であるが、詳細は
図14等に関連して後述する。
【0022】
落下口114の内部には複数の光センサが設置される。この光センサにより景品の落下口114への落下(以下、単に「景品取得」ともよぶ)を検出する。また、これらの光センサは、カラーボールおよび景品のいずれが落下したかを区別できるように構成されているが詳細は
図8等に関連して後述する。
【0023】
景品収容部104の背面には、1以上のディスプレイバー134が設置される。ディスプレイバー134は、X方向に延伸する金属棒材であり、ここに展示用の景品を挟むことができる。オペレータは、扉110を開けて落下口114に入り、ディスプレイバー134を背面に設置する。ディスプレイバー134の数および高さは任意である。ディスプレイバー134の設置方法については、
図11以降に関連して後述する。
【0024】
落下口114の奥にはカラーボールなどの備品を収納するための収納ボックスが設けられる。この収納ボックスについては
図19に関連して後に詳述する。
【0025】
図2は、クレーンゲーム装置100の機能ブロック図である。
クレーンゲーム装置100の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0026】
クレーンゲーム装置100は、ユーザインタフェース処理部140、機構部142、データ処理部144およびデータ格納部146を含む。
ユーザインタフェース処理部140は、各種の入力デバイスを介してプレイヤからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。機構部142は、クレーン108等の各種機構を駆動する。データ格納部146は各種データを格納する。データ処理部144は、ユーザインタフェース処理部140からの入力およびデータ格納部146に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部144は、機構部142、ユーザインタフェース処理部140およびデータ格納部146のインタフェースとしても機能する。
【0027】
ユーザインタフェース処理部140は、入力部148と、画像や音声等の各種情報を出力する出力部150を含む。
【0028】
入力部148は、設定表示部120を介してオペレータからの設定入力を受け付ける。また、入力部148は、操作部118を介してプレイヤからの操作入力を受け付ける。クレーンゲーム装置100には設定モードとプレイモードがある。設定モードにおいては、オペレータは後述の各種設定を行う。景品の搬入あるいはディスプレイバー134の取り付けも設定モード中に行われる。プレイモードにおいては、プレイヤは操作部118を操作し、クレーンゲームをプレイする。
【0029】
機構部142は、クレーン駆動部130およびセンサ群152を含む。クレーン駆動部130により、クレーン108の移動、アーム126の把持・解放が実行されることは上述の通りである。センサ群152は、落下口114における光センサ(後述)、載置領域112におけるプレート(後述)の位置を検出する光センサ等に対応する。
【0030】
データ処理部144は、クレーン制御部154、移動判定部156および境界検出部158を含む。
クレーン制御部154は、操作部118による操作指示にしたがって、クレーン108に移動・把持・解放を指示する。移動判定部156は、景品が落下口114に落下したか、いいかえれば、クレーンゲームの成否を判定する。境界検出部158は、落下口114と載置領域112の境界位置を検出する。境界位置の検出方法の詳細については後述する。
【0031】
データ格納部146は、クレーンゲームのゲームプログラム、クレーンゲームの設定およびゲームのプレイ結果(ペイアウト率)などの情報を格納する。
以下においては、本実施形態におけるクレーンゲーム装置100の複数の特徴について順番に説明する。
【0032】
[アーム126の把持力制御]
図3は、景品載置台106の上面図である。
景品載置台106は、上述したように、載置領域112および落下口114を含む。載置領域112は、更に、落下口114のY軸正方向側(奥側)に位置する第1載置領域112a、X軸正方向側(右側)に位置する第2載置領域112bおよび落下口114の斜め奥に位置する第3載置領域112cにより構成される。
【0033】
第1載置領域112aの上部はYプレート160(第1プレート)により覆われる。第2載置領域112bの上部はXプレート162(第2プレート)により覆われる。第1載置領域112aにおけるYプレート160の上面、第2載置領域112bにおけるXプレート162の上面および第3載置領域112cの上面は面一となるように形成される。いいかえれば、(第1載置領域112aを覆う)Yプレート160、(第2載置領域112bを覆う)Xプレート162および(露出する)第3載置領域112cは、それぞれの上面に段差が生じないように構成される。
【0034】
Xプレート162は、X軸負方向に水平移動可能である。Xプレート162を水平移動させることにより、オペレータは落下口114のサイズ(横幅)を小さくできる。Xプレート162の端部には遮蔽板128が固定される。Xプレート162の移動ともに遮蔽板128も落下口114を狭める方向に移動する。第2載置領域112bには、Xプレート162の移動量、いいかえれば、Xプレート162の位置を検出するための位置検出センサ164(光センサ)が設けられる。検出方法の詳細は
図4以降に関連して後述する。
【0035】
同様にして、Yプレート160は、Y軸負方向に水平移動可能である。Yプレート160を水平移動させることにより、オペレータは落下口114のサイズ(縦幅)を小さくできる。Yプレート160の端部にも遮蔽板128が固定されるので、Yプレート160の移動とともに遮蔽板128も落下口114を狭める方向に移動する。図示していないが、Yプレート160の移動量も、Xプレート162と同様の方式により検出可能である。
【0036】
本実施形態においては、Yプレート160およびXプレート162を同時に移動させることはできない。Yプレート160をY軸負方向に移動させて落下口114をY方向に狭めるときには、Xプレート162を動かすことはできない。また、Xプレート162をX軸負方向に移動させて落下口114をX方向に狭めるときには、Yプレート160を動かすことはできない。これは、Yプレート160およびXプレート162に段差をつけて交差させるのではなく、Yプレート160とXプレート162それぞれの上面が同一の高さにしているためである。Yプレート160、Xプレート162および第3載置領域112cの間で段差があると、景品あるいはアーム126がこの段差に引っかかることでプレイが阻害される可能性がある。本実施形態においては、このような不具合を防止するため、Yプレート160、Xプレート162および第3載置領域112cを面一となるように形成している。
【0037】
図4は、位置検出センサ164の構成図である。
Xプレート162の下面にはZ軸負方向に突出する検出板170が固定される。位置検出センサ164は、発信板164aおよび受信板164bを含む。発信板164aおよび受信板164bは第2載置領域112bの上面においてZ軸正方向に突出する。検出板170は、Xプレート162のX方向への移動にともなって発信板164aおよび受信板164bの間を移動する。
【0038】
位置検出センサ164は、第1光センサ166および第2光センサ168を含む。第1光センサ166は、発信板164aにおいて赤外線、レーザー光などの光信号を発信する第1発信器166aと、受信板164bにおいて第1発信器166aからの光信号を受信する第1受信器166bを含む。同様にして、第2光センサ168は、発信板164aにおいて光信号を発信する第2発振器168aと、受信板164bにおいて第2発振器168aからの光信号を受信する第2受信器168bを含む。
【0039】
図5(a)は、移動量m=0におけるXプレート162と位置検出センサ164の関係を示す模式図である。
本実施形態においては、Xプレート162はX軸負方向への移動量mは3段階に設定される。データ格納部146においては、あらかじめ、移動量m=0(第1段階)、m=X1(第2段階)、m=X2(X2>X1)(第3段階)のそれぞれにについて、落下口114とXプレート162先端の境界位置のX座標(以下、「X境界座標」とよぶ)が登録されている。いいかえれば、位置検出センサ164により、移動量mを測定することにより、境界検出部158はX境界座標を検出する。
【0040】
移動量m=0のとき(第1段階)、第1光センサ166および第2光センサ168の双方が検出板170により遮蔽されるため、第1受信器166bおよび第2受信器168bはどちらも光信号を検出しない。境界検出部158は、第1受信器166bおよび第2受信器168bの双方から光検出信号を受信しなかったとき、Xプレート162の移動量mはゼロであると判定する。
【0041】
図5(b)は、移動量m=X1におけるXプレート162と位置検出センサ164の関係を示す模式図である。
移動量m=X1のとき(第2段階)、第1光センサ166のみが検出板170により遮蔽されるため、第1受信器166bは光信号を検出せず、第2受信器168bは光信号を検出する。境界検出部158は、第2受信器168bのみから光検出信号を受信したとき、Xプレート162の移動量mは中間値X1であると判定する。
【0042】
図5(c)は、移動量m=X2におけるXプレート162と位置検出センサ164の関係を示す模式図である。
移動量m=X2のとき(第3段階)、第1光センサ166および第2光センサ168のいずれも検出板170により遮蔽されないため、第1受信器166bおよび第2受信器168bはどちらも光信号を検出する。境界検出部158は、第1受信器166bおよび第2受信器168bの双方から光検出信号を受信したとき、Xプレート162の移動量mは最大値X2であると判定する。
【0043】
Yプレート160のY軸負方向への移動量nも同様にして検出可能である。データ格納部146においては、あらかじめ、移動量n=0(第1段階)、n=Y1(第2段階)、n=Y2(Y2>Y1)(第3段階)のそれぞれにについて、落下口114とYプレート160先端の境界位置のY座標(以下、「Y境界座標」とよぶ)が登録されている。位置検出センサ164を第1載置領域112aに設けることにより、移動量nを測定し、境界検出部158はY境界座標を検出する。
【0044】
図6は、アーム126の把持力調整過程を示すフローチャートである。
本実施形態においては、クレーン制御部154は、クレーン108が落下口114に近づくとき、アーム126の把持力を大きくする。クレーン108が景品を掴んだとき、プレイヤは景品が途中で落ちることなく落下口114まで運ばれることを期待する。そこで、本実施形態においては、クレーン108のX座標(以下、「Xクレーン座標」とよぶ)とX境界座標の距離dxが所定の閾値Tx以下となったとき(S10のY)、クレーン制御部154はアーム126の把持力を大きくする(S12)。距離dxが閾値Txよりも大きいときには(S10のN)、把持力は変更されない。
【0045】
より具体的には、境界検出部158は位置検出センサ164により、あらかじめ、Xプレート162の移動量mを特定しておく。3段階の移動量mのいずれであるかによって、境界検出部158はX境界座標を特定する。クレーン制御部154は、X境界座標およびXクレーン座標に基づいて、距離dxを算出する。
【0046】
移動判定部156は、クレーン108に搭載されるロータリーエンコーダ(図示せず)によりXクレーン座標を検出してもよい。これに限らず、レーザー計測あるいはカメラによる画像認識等の既知技術により、移動判定部156はXクレーン座標を算出してもよい。
【0047】
Y座標についても同様に判定してもよい。クレーン制御部154は、Y境界座標とクレーン108のY座標(以下、「Yクレーン座標」とよぶ)の距離dyが所定の閾値Ty以下であるときにも、アーム126の把持力を強くしてもよい。
【0048】
[景品検出方法]
図7は、載置領域112における景品172の載置状態を示す模式図である。
載置領域112には、複数のカラーボール174が敷き詰められる。ぬいぐるみなどの各種の景品172は、カラーボール174の層上に載置される。ここでは、景品172の縦・横・奥行のいずれの寸法もカラーボール174のそれらよりも大きいものとする。カラーボール174は、弾力性を有するビニール製のボールである。カラーボール174を敷き詰める目的の一つはプレイ空間Sの装飾性を高めることである。また、アーム126が載置領域112に直接触れてしまうと、アーム126あるいは載置領域112に傷がつく可能性もあるため、カラーボール174の層を形成することにより載置領域112とアーム126の接触を防ぐ。
【0049】
また、カラーボール174の層は景品172の下に隙間をつくるため、アーム126を景品172の下部に差し込みやすくなる。このため、カラーボール174の層をつくることで、アーム126は景品172をしっかりと掴みやすくなる。
【0050】
プレイヤにより取得対象となるのは景品172であり、本来、カラーボール174は取得対象とはならない。しかし、稀に、カラーボール174がアーム126により掴み上げられ、落下口114に転落することがある。オペレータは、経営上、クレーンゲーム装置100のペイアウト率、すなわち、景品取得の難易度を認識しておく必要がある。このような理由から、クレーンゲーム装置100には景品172の落下を検出する機能が求められる。カラーボール174が落下口114に落下したときにこれが景品172の取得と誤認識されてしまう可能性がある。以下においては、カラーボール174または景品172のいずれかが落下口114に落下したとき、これらを簡易に判別する構成について説明する。
【0051】
図8は、基台102の斜視図である。
図9は、プライズセンサ176の斜視図である。
落下口114の内壁面には、プライズセンサ176が配置される。プライズセンサ176は、互いに対向する第1検出板176aおよび第2検出板176bを含む。第1検出板176aおよび第2検出板176bには15個ずつ、合計30個の光センサ178が配置される。
【0052】
第1検出板176aの上段に8個、下段には7個の光センサ178が配置され、第2検出板176bについても同様である。第1検出板176aおよび第2検出板176bそれぞれに15個ずつ配置される光センサ178は向かい合うように配置され、合計15ペアを形成する。位置検出センサ164と同様、一方の光センサ178は光発信器として機能し、これに対向する他方の光センサ178は光受信器として機能する。ペアとなる2つの光センサ178の一方から他方には常時光信号が送信される。移動判定部156は、各ペアの光センサ178から光検出信号を受信する。
【0053】
図10は、景品172およびカラーボール174の検出方法を説明するための模式図である。
第2検出版176bにおいては、光センサ178-1から光センサ178-8の8個の光センサ178が上段に配置され、光センサ178-9から光センサ178-15の7個の光センサ178が下段に配置される。上段および下段の光センサは178それぞれの設置位置のY座標はずらされている。
【0054】
上段の光センサ178(たとえば、光センサ178-3)とその隣りにある下段の光センサ178(たとえば、光センサ178-11)のY方向の距離は、100ミリメートルであるとする。また、下段の光センサ178(たとえば、光センサ178-10)とその隣りにある下段の光センサ178(たとえば、光センサ178-11)のY方向の距離は、200ミリメートルであるとする。本実施形態におけるカラーボール174の直径は120ミリメートルであるとする。また、景品172の横幅は最低でも400ミリメートル以上であるとする。
【0055】
図10においては、カラーボール174が落下口114に落下したとき、下段の光センサ178-11の光信号が一時的に遮断される(以下、「通過反応」とよぶ)。移動判定部156は、光センサ178-11の通過反応を検出したとき、景品172またはカラーボール174が光センサ178-11の前を通過したと認識する。
【0056】
カラーボール174の直径は120ミリメートルであり、光センサ178-11からその隣りにある光センサ178-12までの距離は200ミリメートルである。このため、カラーボール174の落下時においては、下段においては、光センサ178-11以外の光センサからは通過反応が検出されない。上段においても同様である。したがって、移動判定部156は、いずれかの光センサ178において通過反応が検出され、かつ、上段における通過反応数が1以下、下段の通過反応数が1以下であるときには、カラーボール174が落下したと判定する。
【0057】
景品172が落下したときにも1以上の光センサ178において通過反応が検出される。
図10においては上段の光センサ178-6および下段の光センサ178-13,光センサ178-14において通過反応が検出される。景品172はカラーボール174よりも大きいので同段において隣り合う2つ以上の光センサ178において通過反応が検出される。したがって、移動判定部156は、上段および下段の光センサ178により通過反応が発生し、かつ、上段または下段のいずれかにおける通過反応数が2以上であるとき、景品172が落下したと判定する。
【0058】
このような制御方法によれば、複数の光センサ178についての通過反応の位置および数に基づいて、「景品172およびカラーボール174のどちらが落下したか」を簡易な構成にて認識できる。
【0059】
[ディスプレイバー134の設置方法]
図11は、ディスプレイバー134を設置するときの様子を示すクレーンゲーム装置100の第1の分解斜視図である。
図11においては、説明の都合上、扉110等の一部の部材を削除して描いている。ディスプレイバー134は、その一端が直角に曲げられた金属製の棒状部材である。ディスプレイバー134の設置に際しては、オペレータは扉110および景品取出口116を開けて落下口114の中に入る必要がある。
【0060】
オペレータは、まず、クレーンゲーム装置100の背面奥(X軸正方向側)にある第1支柱180にディスプレイバー134を設置する。第1支柱180には複数の横溝182が形成されている。オペレータは、ディスプレイバー134の先端にある挿入部184を水平方向から第1支柱180の横溝182に挿し込む。挿入部184と横溝182の嵌合構造の詳細は
図13に関連して後述する。
【0061】
図12は、ディスプレイバー134を設置するときの様子を示すクレーンゲーム装置100の第2の分解斜視図である。
図12においても、扉110等の一部の部材を削除して描いている。クレーンゲーム装置100の背面手前側(X軸負方向側)にある第2支柱186には、あらかじめ複数の挿入孔188が形成されている。挿入孔188の位置は、第1支柱180の横溝182の位置と同一の高さである。
【0062】
オペレータは、任意の挿入孔188に支持棒190を差し込んでおく。オペレータは、ディスプレイバー134の一端(奥側)を第1支柱180の横溝182に挿し込んだあと、ディスプレイバー134の他端(手前側)にあるフック192を支持棒190に引っ掛けてロックする。このように、オペレータはディスプレイバー134の一端を第1支柱180に挿し込んだあと、ディスプレイバー134の他端を支持棒190に引っ掛けることでディスプレイバー134を第2支柱186および第1支柱180に固定する。
【0063】
従来、オペレータから遠い第1支柱180にディスプレイバー134を設置する作業は、負担が大きかった。オペレータは、景品取出口116の手前にある扉と景品収容部104のガラス製の扉110を開けて景品落下空間(落下口114が形成される空間)に入る。景品落下空間にオペレータが入り込んで設置作業を行う場合であっても、景品落下空間は筐体に向かって左側(X軸負方向)に位置するため、筐体の右奥(X軸正方向かつY軸正方向)に位置する第1支柱180まで手が届かないオペレータも多い。本実施形態においては、ディスプレイバー134の一端(挿入部184)を横溝182に横から挿し込む方式のため、第1支柱180まで手が届かないオペレータでも設置作業が可能となる。ディスプレイバー134を第1支柱180に挿し込んだあと、手前側においてはフック192を支持棒190に引っ掛けロックする方式であるため、簡単にディスプレイバー134を設置できる。
【0064】
図13は、ディスプレイバー134と第1支柱180の嵌合部分の拡大図である。
上述したように、第1支柱180には複数の横溝182が形成される。オペレータは、ディスプレイバー134の先端にある比較的小径の挿入部184を水平方向から横溝182に挿し込む。横溝182の内部には、手前側(Y軸負方向側)に板状の第1支持部材208が形成され、奥側(Y軸正方向側)にも板状の第2支持部材210が形成される。横溝182の下側においては、第1支持部材208は第2支持部材210よりもZ軸方向において高くなるように(比較的突出するように)形成されている。また、横溝182の上側においては、第2支持部材210は第1支持部材208よりもZ軸方向において低くなるように(比較的突出するように)形成されている。
【0065】
断面
図A1に示すように、第1支持部材208および第2支持部材210の高さが異なっているので、オペレータは、ディスプレイバー134を少し上方向に傾けた状態のまま横溝182に挿し込むことができる。また、挿入後は、断面
図A2に示すように、挿入部184の奥側は比較的突出している第2支持部材210により規制され、手前側は比較的突出している第1支持部材208により規制される。ディスプレイバー134は横溝182に挿し込んだあとも、上側に傾くことはできるものの、下側には傾くことができないので、第1支持部材208および第2支持部材210との間の遊びを考慮したとしても、ディスプレイバー134がより水平に保たれるとともに、横溝182から滑り落ちにくくなっている。
【0066】
更に、挿入部184の奥側には比較的大径の規制部材212を設けているため、ディスプレイバー134を手前方向(Y軸負方向)に引っ張ったとしても、第2支持部材210により規制部材212が規制される。このような構造により、ディスプレイバー134はいっそう抜け落ちにくくなっている。
【0067】
[デザインカバー132の調整]
図14(a)は、初期設定時におけるクレーン108の上面図である。
図14(b)は、初期設定時におけるクレーン108の正面図である。
上述したように、クレーン108は3本のアーム126(第1アーム126a、第2アーム126bおよび第3アーム126c)を有する。第1アーム126a、第2アーム126bおよび第3アーム126cは、それぞれ120度ずつずれている。このうち、通常、第1アーム126aはプレイヤに正対する位置に設けられる(
図1も参照)。
【0068】
第1アーム126aの上には、デザインカバー132が設置される。デザインカバー132にはロゴプレート194が固定される。ロゴプレート194は、プレイヤをクレーンゲーム装置100に誘引するための広告または装飾として機能する。ロゴプレート194には、たとえば、クレーンゲーム装置100の商品名やキャラクター画像などが記載される。
【0069】
図15(a)は、30度回転させたときのクレーン108の上面図である。
図15(b)は、30度回転させたときのクレーン108の正面図である。
複数のプレイヤが順次クレーンゲームを実行すると、複数の景品172のレイアウトも変化していく。たとえば、1つの景品172が落下口114の近くにあれば、プレイヤはこの景品172をターゲット(取得目標物)としてクレーン108を操作すると考えられる。
【0070】
落下口114は遮蔽板128により囲まれているため(
図1参照)、落下口114の境界付近では、アーム126が遮蔽板128に当たってしまい、景品172を掴みにくくなる可能性がある。そこで、通常、オペレータは、景品172の配置状態を見ながら、アーム126が遮蔽板128に当たらないように、クレーン108の水平回転角を調整しておくことがある。また、景品172の向きによっては、アーム126の位置を変えることで景品172を取得しやすくなることもある。オペレータは、顧客のプレイ意欲を喚起するために、クレーン108を水平回転させて景品172を取得しやすいように調整することもある。
【0071】
図15(a)、
図15(b)においては、クレーン108は上から見て30度右回転さしている。これにともなって、デザインカバー132およびロゴプレート194もプレイヤから見て左方向に向くことになる。遊戯施設に複数のクレーンゲーム装置100が設置されている場合、各クレーン108の水平回転角が不一致となることも多い。この結果、多数のロゴプレート194が別々の方向を向いてしまい、遊戯施設の美観を損なうことがある。また、クレーンゲームを開始するとき本来は広告として機能すべきロゴプレート194が正面(プレイヤ側)に向いていない場合、違和感をもつプレイヤもいる。
【0072】
図16(a)は、デザインカバー132を調整したときのクレーン108の上面図である。
図16(b)は、デザインカバー132を調整したときのクレーン108の正面図である。
本実施形態においては、後述する構造により、クレーン108とは独立してデザインカバー132を水平回転可能に構成している。オペレータは、クレーン108本体を右回転させたあと、デザインカバー132だけを左回転させることにより、ロゴプレート194が正面(プレイヤ側)を向くように調整できる。
【0073】
図17は、クレーン108のデザインカバー132周辺の分解斜視図である。
図18は、クレーン108におけるデザインカバー132周辺の側断面図である。
クレーン108の外壁であるカバー部材200にはガイド溝204が形成され、デザインカバーホルダ196はガイド溝204およびロックプレート198に挟まれる。ロックプレート198は、ねじによってカバー部材200に固定される。デザインカバーホルダ196は、水平面(XY面)において、ロックプレート198にガイドされながらガイド溝204に沿って水平回転可能である。この回動可能なデザインカバーホルダ196に、デザインカバー132(ロゴプレート194)がねじによって固定される。
【0074】
オペレータは、クレーン108を一方の手で抑えた状態で、他方の手でデザインカバー132を掴んで回転させることにより、
図16(a)、
図16(b)に示したようにデザインカバー132の向きを手動で調整できる。
【0075】
[収納ボックス206]
図19は、収納ボックス206の側断面図である。
図19は、
図1のA-A線に沿ってクレーンゲーム装置100を切断し、視線方向をX軸正方向としたときの断面を示す。本実施形態のクレーンゲーム装置100においては、第1載置領域112aの下部に収納ボックス206が形成される。収納ボックス206は、支持棒190(
図12参照)、カラーボール174、各種ネジや工具などの備品を収納するための空間を形成する。本実施形態においては、収納ボックス206の下面を傾斜させている。傾斜角は、10~30度、より好ましくは12~20度である。
【0076】
オペレータは、景品収容部104の扉110と景品取出口116の前扉を開けて落下口114(景品落下空間)に入り込んで収納ボックス206を利用する。収納ボックス206の下面を傾斜させているため、オペレータは過度にしゃがみこまなくても収納ボックス206を奥まで見通しやすい。いいかえれば、作業中のオペレータの視線方向(見下ろす方向)に近づけるように収納ボックス206の下面を傾斜させることで、オペレータは収納ボックス206の奥まで比較的容易に確認できる。また、傾斜角を設けることで収納ボックス206の収納サイズを大きくできる。
【0077】
以上、実施形態に基づいてクレーンゲーム装置100を説明した。
本実施形態によれば、クレーン108が落下口114に近づいたとき、アーム126の把持力が強化される。このため、クレーン108が落下口114に近づいたとき、クレーン108が景品172を取り落とす可能性が低くなる。プレイヤは、クレーン108が景品172を落下口114の近くまで運んだとき、アーム126の把持力が強くなるため、景品取得に対する期待感をいっそう高められる。特に、複数回のプレイによって景品172が落下口114のそばに近づけられたときには、景品取得可能性が高まるので、プレイヤのゲーム継続意欲を高めやすくなる。
【0078】
オペレータは、Yプレート160またはXプレート162を水平移動させることにより、落下口114の形状を自由に変更できる。ここでいう「形状」とは、落下口114の開口サイズ(面積)、X境界座標およびY境界座標のうちの1以上のいずれかであればよい。落下口114の形状を変更することにより、クレーンゲームの難易度を調整できる。
【0079】
Xプレート162等を水平移動させたときのX境界座標およびY境界座標は、位置検出センサ164および境界検出部158により自動的に検出される。クレーン制御部154は検出結果に基づいてアーム126の把持力の強化タイミングを適切に変更できる。このように、オペレータはXプレート162等を動かすだけで、他の設定をしなくても、アーム126の把持力を自動的かつ適切に調整できる。
【0080】
本実施形態においては、載置領域112には色とりどりのカラーボール174が敷き詰められ、カラーボール174の層に景品172が載置される。このため、景品172ではなくカラーボール174が落下口114に落下することも考えられる。落下口114の内壁に形成されるプライズセンサ176は、複数の光センサ178を備える。この光センサ178の通過反応数に応じて、移動判定部156は、景品172またはカラーボール174のいずれが落下したかを簡易構成にて判定できる。
【0081】
本実施形態におけるクレーンゲーム装置100は、ディスプレイバー134の取り付けに際して、取り付けが特にしづらい奥側の第1支柱180にディスプレイバー134を嵌め込みやすい構造となっている。オペレータは、第1支柱180に形成される横溝182に横からディスプレイバー134を差し込むことでディスプレイバー134を第1支柱180に安定させることができる。オペレータは、ディスプレイバー134を第1支柱180に挿し込んだあとは、ディスプレイバー134のフック192を支持棒190に引っ掛けることでディスプレイバー134を簡単に固定できる。このため、第1支柱180まで手が届かないときであっても、ディスプレイバー134を設置しやすい。
【0082】
本実施形態におけるクレーン108は、クレーンゲームの状況に応じて水平回転可能である。クレーン108に対してデザインカバー132を相対的に水平回転させることができるので、クレーン108の向きにかかわらず、デザインカバー132(ロゴプレート194)がプレイヤに正対するように調整できる。特に、複数のクレーンゲーム装置100を並べる場合には、すべてのクレーンゲーム装置100のロゴプレート194を同一方向に向ければ、ロゴプレート194の視認性がよくなるだけでなく、遊戯施設内における統一感をつくる上でも有効である。
【0083】
本実施形態においては、更に、基台102の一部に収納ボックス206を形成している。収納ボックス206の下面を水平面に対して傾斜させることにより、オペレータの作業性を向上させることができる。また、これにより収納ボックス206の収納スペースを効果的に拡大できる。
【0084】
本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0085】
[変形例]
本実施形態においては、X境界座標とXクレーン座標に基づいて距離dxを算出し、距離dxが閾値Tx以下となるとき、クレーン制御部154はアーム126の把持力を強化するとして説明した。変形例として、落下口114の開口サイズに応じて、クレーン制御部154はアーム126の把持力を強化してもよい。たとえば、落下口114の開口サイズが「最大」のときには(例:移動量m=0)、Xクレーン座標に関わらず、クレーン制御部154はアーム126の把持力を「弱(たとえば、通常時の70%)」に設定にしてもよい。落下口114の開口サイズが「中」のときには(例:移動量m=X1)、Xクレーン座標に関わらず、クレーン制御部154はアーム126の把持力を「通常」に設定してもよい。落下口114の開口サイズが最小ときには(例:移動量m=X2)、Xクレーン座標に関わらず、クレーン制御部154はアーム126の把持力を「強(たとえば、通常時の130%)」に設定してもよい。落下口114の開口サイズが大きいときには把持力が弱くなり、落下口114の開口サイズが小さいときには把持力が大きく設定されるので、落下口114の開口サイズを変更したときでもクレーンゲームの難易度を安定させることができる。Yプレート160により落下口114の開口サイズを調整するときも同様である。
【0086】
あるいは、落下口114の開口サイズが小さいときには把持力も弱くし、落下口114の開口サイズが大きいときには把持力を強くすることで、開口サイズに連動して難易度を大きく変化させてもよい。このように、落下口114とクレーン108の距離に限らず、落下口114の開口サイズに応じて把持力を調整してもよい。
【0087】
本実施形態においては、X境界座標およびY境界座標は、Xプレート162およびYプレート160の移動量に基づいて、境界検出部158により検出されるとして説明した。変形例として、オペレータはXプレート162等を水平移動させたあと、設定表示部120を介してX境界座標等を設定情報として入力してもよい。境界検出部158は、この設定情報に基づいて、落下口114のX境界座標を特定してもよい。
【0088】
本実施形態においては、クレーン108がX境界座標に近づくとき、把持力を強めてプレイヤの景品取得に対する期待感を高めるとして説明した。変形例として、クレーン108がX境界座標に近づいたとき、把持力を弱めてもよい。たとえば、アーム126の把持力を初期段階では「強」に設定しておき、X境界座標とXクレーン座標の距離dxが閾値Tx以下となったとき、クレーン制御部154はアーム126の把持力を「中」または「弱」に設定してもよい。このような制御方法によれば、アーム126は当初の把持力が強いので、景品172の持ち上げに失敗しにくくなる。また、クレーン108が落下口114に近づいたときにアーム126の把持力を弱めることにより、クレーンゲームの難易度が過度に低下してしまうことや、景品取得の期待度が過度に上昇してしまうのを防ぐことができる。このような「掴みやすく、落としやすい」ゲーム性を実現することにより、アーム126が景品172を掴めなかったことによる失望感が早々に生じにくくなり、かつ、クレーン108が景品172を運ぶときの緊迫感をより多くのプレイヤに体験させやすくなる。なお、Y境界座標とYクレーン座標の距離dyについても同様である。
【0089】
本実施形態においては、距離dxが所定の閾値Tx以下となるとき、クレーン制御部154はアーム126の把持力を弱めるとして説明した。変形例として、距離dxが小さくなるにつれて、クレーン制御部154はアーム126の把持力を徐々(連続的)に弱めてもよい。逆に、距離dxが小さくなるほどアーム126の把持力を徐々に強めてもよい。距離dyについても同様である。
【0090】
変形例として、距離dxに応じて、アーム126の把持力を不連続的に変化させてもよい。たとえば、距離dxが閾値T1より大きいときには(遠距離)、アーム126の把持力を「通常」に設定し、距離dxが閾値T1以下で、閾値T2(<T1)よりも大きいときには(中距離)、アーム126の把持力を「弱」に設定し、距離dxが閾値T2以下のときには(近距離)、アーム126の把持力を「強」に設定してもよい。このような制御方法によれば、クレーン108が景品172を運んでいる途中においてアーム126の把持力が一時的に弱くなる「景品172を落としてしまうかもしれない危険な距離」を演出できる。距離dyについても同様である。
【0091】
クレーン制御部154は、落下口114の形状、距離dx、距離dyのほか、クレーン108の操作時間に応じてアーム126の把持力を制御してもよい。たとえば、クレーンゲームの開始時にタイマーをスタートさせ、時間が経過するにしたがって、クレーン制御部154はアーム126の把持力を弱めてもよいし、あるいは、強化してもよい。
【0092】
落下口114の形状、落下口114とクレーン108の距離等に基づいて、アーム126の把持力以外のゲーム構成要素を制御してもよい。たとえば、距離dxが所定閾値以下となったとき、出力部150はBGM(背景音楽)を変更してもよいし、BGMの音量を変化させてもよい。また、クレーンゲーム装置100にモニタを設置するときには、出力部150は距離dxに応じてモニタに表示させる画像を変化させてもよい。
【0093】
クレーン制御部154は、距離dxが所定閾値以下となったとき、クレーン108の移動速度を変化させてもよい。たとえば、クレーン制御部154は、クレーン108が景品172を掴む前にはクレーン108の移動速度を小さくして景品172を掴みやすくし、景品172を掴んだあとはクレーン108の移動速度を大きくして景品172を落ちやすくすることでゲームの緊張感を高めてもよい。デザインカバー132は、ロゴプレート194の代わりにモニタを搭載してもよい。出力部150は、距離dxに応じて、デザインカバー132のモニタに表示させる画像を変化させてもよい。
【0094】
本実施形態においては、景品172およびカラーボール174をプライズセンサ176において判別するとして説明した。変形例として、サイズの異なる複数種類の景品172を載置領域112に載置してもよい。プライズセンサ176における光センサ178の通過反応数に応じて、移動判定部156は、複数種類の景品172のうちどの景品172が落下口114に落下したのかを判定してもよい。
【0095】
プライズセンサ176には、複数の光センサ178を上段、下段の2列に配置するとして説明したが、複数の光センサ178を1列に配置してもよいし、3列以上配置してもよい。落下物のサイズに応じて、光センサ178の通過反応数が異なるように光センサ178の間隔を調整すればよい。
【0096】
クレーンゲーム装置100は、いわゆるネットキャッチャーにも応用可能である。ネットキャッチャーは、プレイヤがPCにおいて景品取得の様子をカメラ映像によりリアルタイムで確認しつつ操作情報を送信することで遠隔地にあるクレーンゲーム装置100のクレーン108を操作するクレーンゲームである。プレイヤが取得した景品はプレイヤに郵送される。ネットキャッチャーの場合、景品載置台106には景品172を載置するための第1領域と景品172を移動させるための第2領域を設ける。第2領域は、落下口114として形成されてもよいし、単なるパネルであってもよい。
【符号の説明】
【0097】
100 クレーンゲーム装置、102 基台、104 景品収容部、106 景品載置台、108 クレーン、110 扉、112 載置領域、112a 第1載置領域、112b 第2載置領域、112c 第3載置領域、114 落下口、116 景品取出口、118 操作部、120 設定表示部、122 操作桿、124 把持ボタン、126 アーム、126a 第1アーム、126b 第2アーム、126c 第3アーム、128 遮蔽板、130 クレーン駆動部、132 デザインカバー、134 ディスプレイバー、140 ユーザインタフェース処理部、142 機構部、144 データ処理部、146 データ格納部、148 入力部、150 出力部、152 センサ群、154 クレーン制御部、156 移動判定部、158 境界検出部、160 Yプレート、162 Xプレート、164 位置検出センサ、164a 発信板、164b 受信板、166 第1光センサ、166a 第1発信器、166b 第1受信器、168 第2光センサ、168a 第2発振器、168b 第2受信器、170 検出板、172 景品、174 カラーボール、176 プライズセンサ、176a 第1検出板、176b 第2検出板、178 光センサ、180 第1支柱、182 横溝、184 挿入部、186 第2支柱、188 挿入孔、190 支持棒、192 フック、194 ロゴプレート、196 デザインカバーホルダ、198 ロックプレート、200 カバー部材、204 ガイド溝、206 収納ボックス、208 第1支持部材、210 第2支持部材、212 規制部材