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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179758
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】錠剤印刷装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/07 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
A61J3/07 Q
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165345
(22)【出願日】2022-10-14
(62)【分割の表示】P 2020121334の分割
【原出願日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2019180555
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平野 梓
(72)【発明者】
【氏名】▲配▼島 裕了
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳平
(57)【要約】
【課題】良品の錠剤を回収するボックスに良品以外の錠剤が混入しないようにすることができる錠剤印刷装置を提供する。
【解決手段】錠剤を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトにより搬送される錠剤に印刷を行う第1の印刷ヘッド装置と、第1の印刷ヘッド装置よりも錠剤の搬送方向の上流側に位置し、錠剤の有無を検出する第1の錠剤検出センサと、第1の印刷ヘッド装置よりも下流側に位置し、錠剤の有無を検出する第2の錠剤検出センサと、を有し、第1の錠剤検出センサによる検出結果と第2の錠剤検出センサによる検出結果とが一致しない場合に、第1の錠剤検出センサ又は第2の錠剤検出センサのいずれかにより検出された錠剤を不明品として回収することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトにより搬送される前記錠剤に印刷を行う第1の印刷ヘッド装置と、
前記第1の印刷ヘッド装置よりも前記錠剤の搬送方向の上流側に位置し、前記錠剤の有無を検出する第1の錠剤検出センサと、
前記第1の印刷ヘッド装置よりも下流側に位置し、前記錠剤の有無を検出する第2の錠剤検出センサと、
を有し、
前記第1の錠剤検出センサによる検出結果と前記第2の錠剤検出センサによる検出結果とが一致しない場合に、前記第1の錠剤検出センサ又は前記第2の錠剤検出センサのいずれかにより検出された前記錠剤を不明品として回収することを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項2】
前記第2の錠剤検出センサよりも前記錠剤の搬送方向の下流側において、前記錠剤に印刷を行う、前記第1の印刷ヘッド装置とは別の、第2の印刷ヘッド装置をさらに有し、
前記第1の錠剤検出センサにより前記錠剤が検出されなかったにもかかわらず前記第2の錠剤検出センサにより前記錠剤が検出された場合には、前記不明品に対する前記第2の印刷ヘッド装置による印刷を実行しないことを特徴とする請求項1記載の錠剤印刷装置。
【請求項3】
前記搬送ベルトにより搬送される前記錠剤が良品であるか否かを判断する検査部と、
前記検査部により前記錠剤が良品でないと判断された場合、前記搬送ベルトにより搬送される良品以外の前記錠剤を回収する不良品回収装置と、を有し、
前記第1の錠剤検出センサは前記不良回収装置よりも上流側、前記第2の錠剤検出センサは前記不良回収装置よりも下流側に位置することを特徴とする請求項1に記載の錠剤印刷装置。
【請求項4】
前記不良品回収装置よりも、前記錠剤の搬送方向において上流側に、当該方向に並ぶように前記第1の錠剤検出センサおよび第3の錠剤検出センサとが設けられ、
前記不良品回収装置は前記錠剤を前記搬送ベルトから排除するためのブローを行う噴射ノズルを有し、
前記第1の錠剤検出センサにより前記錠剤が検出されていないにもかかわらず前記第3の検出センサによって前記錠剤が存在すると検出されたときに、前記不明品に対して前記噴射ノズルによりブローを行うことを特徴とする請求項3に記載の錠剤印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、錠剤印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤に文字やマークなどの識別情報(情報の一例)を印刷するため、インクジェットヘッドを用いて印刷を行う技術が知られている。この技術を用いる錠剤印刷装置は、コンベアなどの搬送装置により錠剤を搬送し、搬送装置の上方に配置されたインクジェットヘッドの各ノズルから、インクジェットヘッド下方を通過する錠剤に向けてインクを吐出し、錠剤に識別情報を印刷する。
【0003】
この錠剤印刷装置は、錠剤に対する検査を実施する。検査では、搬送装置のベルト上の錠剤をカメラにより撮像し、取得した画像に基づき、欠けや割れ、汚れがあるか否か、あるいは錠剤が搬送されてくる姿勢や、位置が印刷可能なものか否かを判断して、合否を判断する。この検査で合格となった錠剤に対して、識別情報を印刷する。また、印刷済の錠剤に対する検査(印刷品質の良否)を実施する。識別情報を示す印刷パターンが錠剤の所定位置に所定のパターンで印刷されているか否かを判断し、印刷パターンが所定位置に所定のパターンで印刷されていると判断した錠剤を検査に合格した良品の錠剤とする。
【0004】
前述の検査結果に応じ、錠剤印刷装置は、ベルト上の良品以外の錠剤にエアを吹き付け、ベルトから良品以外の錠剤を排除する。ところが、エアの吹き付けにより良品以外の錠剤が排除しきれず、そのままベルトに残ることがある。この場合、良品の錠剤に加え、良品以外の錠剤も良品回収ボックスに回収されるため、良品回収ボックスに良品以外の錠剤が混入してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-081050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、良品の錠剤を回収するボックスに良品以外の錠剤が混入しないようにすることができる錠剤印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る錠剤印刷装置は、錠剤を搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトにより搬送される前記錠剤に印刷を行う第1の印刷ヘッド装置と、前記第1の印刷ヘッド装置よりも前記錠剤の搬送方向の上流側に位置し、前記錠剤の有無を検出する第1の錠剤検出センサと、前記第1の印刷ヘッド装置よりも下流側に位置し、前記錠剤の有無を検出する第2の錠剤検出センサと、を有し、前記第1の錠剤検出センサによる検出結果と前記第2の錠剤検出センサによる検出結果とが一致しない場合に、前記第1の錠剤検出センサ又は前記第2の錠剤検出センサのいずれかにより検出された前記錠剤を不明品として回収することを特徴とする。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、良品の錠剤を回収するボックスに良品以外の錠剤が混入しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係る錠剤印刷装置を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る第1の印刷装置を示す平面図である。
図3】第2の実施形態に係る再検査品回収装置のシャッタ及び良品回収装置の排出 搬送部を示す平面図である。
図4】第3の実施形態に係る良品回収装置の排出搬送部及び収容ボックスを示す図 である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
【0015】
(基本構成)
図1に示すように、実施の一形態に係る錠剤印刷装置1は、供給装置10と、第1の印刷装置20と、第2の印刷装置30と、回収装置40と、制御装置(制御部)50とを備えている。
【0016】
第1の印刷装置20及び第2の印刷装置30は基本的に同じ構造である。錠剤印刷装置1の各構成要素である供給装置10、第1の印刷装置20、第2の印刷装置30、回収装置40はこの順で配置され、錠剤Tの搬送路Pが形成されており、搬送路Pに沿って錠剤Tの供給、印刷、回収の一連の処理が行われる。つまり、搬送路Pとは、錠剤印刷装置1において錠剤Tが搬送される経路であり、搬送路Pの上流は供給装置10側であり、下流は回収装置40側である。なお、本実施形態では、平行な二列の搬送路Pが形成される。
【0017】
供給装置10は、ホッパ11、整列フィーダ12及び受渡フィーダ13を有している。この供給装置10は、印刷対象となる錠剤Tを第1の印刷装置20に供給することが可能に構成されており、第1の印刷装置20の一端側に位置付けられている。ホッパ11は、多数の錠剤Tを収容し、整列フィーダ12に錠剤Tを順次供給する。整列フィーダ12は、供給された錠剤Tを二列に整列し、受渡フィーダ13に向けて搬送する。受渡フィーダ13は、整列フィーダ12上に二列に並ぶ各錠剤Tを錠剤Tの上側から順次吸引して保持し、保持した各錠剤Tを第1の印刷装置20まで二列で搬送して第1の印刷装置20に渡す。この供給装置10は制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。整列フィーダ12及び受渡フィーダ13としては、例えば、ベルト搬送機構を用いることが可能である。
【0018】
第1の印刷装置20は、搬送装置(搬送部)21と、検出装置22と、第1の撮像装置(印刷用の撮像装置)23と、印刷ヘッド装置(印刷部)24と、第2の撮像装置(検査用の撮像装置)25と、乾燥装置26とを備えている。
【0019】
搬送装置21は、搬送ベルト21a、駆動プーリ21b、複数(図1の例では三つ)の従動プーリ21c、モータ21d、位置検出器21e及び吸引チャンバ21fを有している。搬送ベルト21aは、無端状のベルトであり、駆動プーリ21b及び各従動プーリ21cに架け渡されている。駆動プーリ21b及び各従動プーリ21cは装置本体に回転可能に設けられており、駆動プーリ21bはモータ21dに連結されている。モータ21dは制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。位置検出器21eは、エンコーダなどの機器であり、モータ21dに取り付けられている。この位置検出器21eは電気的に制御装置50に接続されており、検出信号を制御装置50に送信する。制御装置50は、その検出信号に基づいて搬送ベルト21aの位置や速度、移動量などの情報を得ることができる。この搬送装置21は、モータ21dによる駆動プーリ21bの回転によって各従動プーリ21cと共に搬送ベルト21aを回転させ、その搬送ベルト21a上の錠剤Tを図1中の矢印A1の方向(搬送方向A1)に搬送する。
【0020】
搬送ベルト21aの表面には、図2に示すように、円形状の吸引孔21gが複数形成されている。これらの吸引孔21gは、それぞれ錠剤Tを搬送ベルト21a表面に吸着する貫通孔であり、二本の搬送路Pを形成するように搬送方向A1に沿って平行に二列に並べられている。各吸引孔21gは、吸引チャンバ21fに形成された吸引路を介して吸引チャンバ21f内に接続されており、その吸引チャンバ21fにより吸引力を得ることが可能になっている。吸引チャンバ21fには、ポンプなどの吸気装置が吸気管(いずれも図示せず)を介して接続されており、吸気装置の作動によって吸引チャンバ21fの内部は減圧される。なお、吸気管は、吸引チャンバ21fの側面(搬送方向A1と平行な面)の略中央に接続されている。また、吸気装置は制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。
【0021】
検出装置22は、複数の検出部22a(図2の例では二つ)を有している。検出部22aは、供給装置10によって搬送ベルト21aにおける錠剤Tが供給される位置よりも、搬送方向A1の下流側であって搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に搬送路Pごとに一つずつ並べられ、搬送ベルト21aの上方に設けられている。検出部22aは、レーザ光の投受光によって搬送ベルト21a上の錠剤Tの位置(錠剤Tの搬送方向A1の位置)を検出し、下流に位置する各装置のトリガーセンサとして機能する。検出部22aとしては、反射型レーザセンサなど各種のレーザセンサを用いることが可能である。各検出部22aは制御装置50に電気的に接続されており、制御装置50に検出信号を送信する。
【0022】
第1の撮像装置23は、複数の撮像部23a(図2の例では二つ)を有している。撮像部23aは、検出装置22が設けられた位置よりも搬送方向A1の下流側であって搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に搬送路Pごとに一つずつ並べられ、搬送ベルト21aの上方に設けられている。この撮像部23aは、前述の錠剤Tの位置情報に基づき、錠剤Tが撮像部23aの直下に到達したタイミングで撮像を行い、錠剤Tの上面を含む画像(印刷用の画像)を取得し、取得した画像を制御装置50に送信する。撮像部23aとしては、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの撮像素子を有する各種のカメラを用いることが可能である。各撮像部23aは制御装置50に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置50により制御される。なお、必要に応じて撮像用の照明も設けられる。
【0023】
印刷ヘッド装置24は、インクジェット方式の複数の印刷ヘッド24a(図2の例では二つ)を有している。印刷ヘッド24aは、第1の撮像装置23が設けられた位置よりも搬送方向A1の下流側であって搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に搬送路Pごとに一つずつ並べられ、搬送ベルト21aの上方に設けられている。印刷ヘッド24aは、複数のノズル24b(図2の例では八つであるが、実際は数百から数千個程度)を具備し、それらのノズル24bから個別にインクを吐出する。この印刷ヘッド24aは、ノズル24bが並ぶ整列方向が水平面内で搬送方向A1と交差するように(例えば直交するように)設けられている。印刷ヘッド24aとしては、圧電素子、発熱素子または磁歪素子などの駆動素子を有する各種のインクジェット方式の印刷ヘッドを用いることが可能である。各印刷ヘッド24aは制御装置50に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置50により制御される。
【0024】
第2の撮像装置25は、複数の撮像部25a(図2の例では二つ)を有している。撮像部25aは、印刷ヘッド装置24が設けられた位置よりも搬送方向A1の下流側であって搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に搬送路Pごとに一つずつ並べられ、搬送ベルト21aの上方に設けられている。この撮像部25aは、前述の錠剤Tの位置情報に基づき、錠剤Tが撮像部25aの直下に到達したタイミングで撮像を行い、錠剤Tの上面を含む画像(検査用の画像)を取得し、取得した画像を制御装置50に送信する。撮像部25aとしては、前述の撮像部23aと同様、CCDやCMOSなどの撮像素子を有する各種のカメラを用いることが可能である。各撮像部25aは制御装置50に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置50により制御される。なお、必要に応じて撮像用の照明も設けられる。
【0025】
図1に戻り、乾燥装置26は、印刷ヘッド装置24が設けられた位置よりも搬送方向A1の下流側に位置付けられ、例えば、搬送装置21の下方に設けられている。この乾燥装置26は、二列の搬送路Pに共通の乾燥装置であり、搬送ベルト21a上の各錠剤Tに塗布されたインクを乾燥させる。乾燥装置26としては、エアなどの気体により乾燥を行う送風機、放射熱により乾燥を行うヒータ、あるいは、気体及びヒータを併用して温風や熱風により乾燥を行う送風機など各種の乾燥部を用いることが可能である。乾燥装置26は制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。
【0026】
乾燥装置26の上方を通過した錠剤Tは、搬送ベルト21aの移動に伴って搬送され、搬送ベルト21aにおける各従動プーリ21c側の端部付近の位置に到達する。この位置で吸引作用が錠剤Tに働かなくなり、錠剤Tは搬送ベルト21aに保持された状態から解放され、第1の印刷装置20から第2の印刷装置30に受け渡される。
【0027】
第2の印刷装置30は、搬送装置31と、検出装置32と、第1の撮像装置(印刷用の撮像装置)33と、印刷ヘッド装置34と、第2の撮像装置(検査用の撮像装置)35と、乾燥装置36とを備えている。搬送装置31は、搬送ベルト31a、駆動プーリ31b、複数(図1の例では、三つ)の従動プーリ31c、モータ31d、位置検出器31e及び吸引チャンバ31fを有している。なお、第2の印刷装置30を構成する各要素は、前述の第1の印刷装置20に対応する構成要素と基本的に同じ構造であるため、その説明を省略する。第2の印刷装置30の搬送方向は図1中の矢印A2の方向(搬送方向A2)である。
【0028】
回収装置40は、不良品回収装置41と、再検査品回収装置42と、良品回収装置43とを備えている。この回収装置40は、第2の印刷装置30の乾燥装置36が設けられた位置よりも搬送方向A2の下流側に設けられている。回収装置40は、基本的に、不良品回収装置41により不良品の錠剤Tを回収し、再検査品回収装置42により再検査品(後述する)の錠剤Tを回収し、良品回収装置43により良品の錠剤Tを回収する。
【0029】
不良品回収装置41は、複数の噴射ノズル41aと、複数の排出センサ41bと、複数の排出確認センサ(検出部)41cと、収容ボックス(回収ボックス)41dとを有している。排出センサ41b、噴射ノズル41a及び排出確認センサ41cは搬送路Pごとに設けられており、収容ボックス41dは各搬送路Pに共通に設けられている。
【0030】
噴射ノズル41aは、搬送方向A1に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に搬送路Pごとに一つずつ並べられ、第2の印刷装置30の吸引チャンバ31f内に設けられている。噴射ノズル41aは、例えば、搬送ベルト31aに向けて気体(例えばエア)を噴射し、搬送ベルト31aから錠剤Tを落下させる。このとき、噴射ノズル41aから噴射された気体は、搬送ベルト31aの吸引孔(図2に示す吸引孔21gと同様である)を通過して錠剤Tに当たる。噴射ノズル41aは制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。
【0031】
なお、噴射ノズル41aの設置位置は、第2の印刷装置30の吸引チャンバ31f内以外でもよく、例えば、噴射ノズル41aを搬送装置31の下方に設け、搬送ベルト31aにより搬送される錠剤Tの側面に向けて気体を噴射するようにしてもよい。このとき、噴射ノズル41aを鉛直方向に対して傾けて設けることが可能である。この場合には、噴射ノズル41aの気体噴射方向を考慮して収容ボックス41dを設けるようにする。
【0032】
排出センサ41bは、噴射ノズル41aが設けられた位置よりも搬送方向A2の上流側であって搬送方向A2に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に搬送路Pごとに一つずつ並べられ、搬送装置31の下方に設けられている。排出センサ41bは、不良品回収装置41の入口側に存在し、レーザ光の投受光によって搬送ベルト31aでの錠剤Tの有無を検出する。排出センサ41bとしては、反射型レーザセンサなど各種のレーザセンサを用いることが可能である。各排出センサ41bはそれぞれ制御装置50に電気的に接続されており、制御装置50に検出信号を送信する。
【0033】
排出確認センサ41cは、噴射ノズル41aが設けられた位置よりも搬送方向A2の下流側であって搬送方向A2に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に搬送路Pごとに一つずつ並べられ、搬送装置31の下方に設けられている。排出確認センサ41cは、不良品回収装置41の出口側に存在し、レーザ光の投受光によって搬送ベルト31aでの錠剤Tの有無を検出する。排出確認センサ41cとしては、反射型レーザセンサなど各種のレーザセンサを用いることが可能である。各排出確認センサ41cはそれぞれ制御装置50に電気的に接続されており、制御装置50に検出信号を送信する。
【0034】
収容ボックス41dは、各噴射ノズル41aの直下であって搬送装置31の下方に設けられている。この収容ボックス41dは、噴射ノズル41aから噴射された気体により搬送ベルト31aから落下した錠剤Tを受け取って収容する。
【0035】
再検査品回収装置42は、シャッタ42aと、モータ42bと、シャッタ検出部42cと、収容ボックス(回収ボックス)42dとを有している。この再検査品回収装置42は不良品回収装置41が設けられた位置よりも搬送方向A2の下流側に設けられており、シャッタ42a及び収容ボックス42dは各搬送路Pに共通に設けられている。
【0036】
シャッタ42aは、搬送ベルト31aにおける各従動プーリ31c側の端部、すなわち搬送ベルト31aから錠剤Tが落下する位置の直下に設けられている。シャッタ42aは例えば矩形状に形成されている。シャッタ42aの幅方向(搬送方向A1に水平面内で直交する方向)が長手方向であり、その幅方向の長さは搬送ベルト31aの幅方向の長さとほぼ同じである。シャッタ42aはモータ42bにより回転可能に設けられており、モータ42bの回転軸はシャッタ42aの短手方向の中央に取り付けられている。モータ42bは正回転及び逆回転が可能なモータである。モータ42bは制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。
【0037】
このシャッタ42aは、モータ42bによる回転動作により、搬送路Pの一部を形成している状態である開状態(シャッタ42aが良品回収装置43に向かって徐々に近づくように傾斜した状態:図1中の実線のシャッタ42aの状態)で、搬送ベルト31aから落下した錠剤Tを良品回収装置43に渡し、搬送路Pを遮断する状態である閉状態(シャッタ42aが収容ボックス42dに向かって徐々に近づくように傾斜した状態:図1中の破線のシャッタ42aの状態)で、搬送ベルト31aから落下した錠剤Tを収容ボックス42dに渡すことが可能になっている。つまり、シャッタ42aは、錠剤Tを良品回収装置43に渡す開状態と、錠剤Tを収容ボックス42dに渡す閉状態になるよう、開閉可能に設けられている。
【0038】
シャッタ検出部42cは、シャッタ42aの停止位置を検知し、シャッタ42aが閉状態であるか否かを検出する。通常、シャッタ42aは開状態に維持されている。このため、シャッタ検出部42cは、シャッタ42aの停止位置が、シャッタ42aが閉状態になる所定の停止位置であることを検知し、シャッタ42aが閉状態であることを検出する。シャッタ検出部42cとしては、例えば、ロータリーエンコーダが用いられる。シャッタ検出部42cは制御装置50に電気的に接続されており、制御装置50に検出信号を送信する。
【0039】
収容ボックス42dは、不良品回収装置41の収容ボックス41dと良品回収装置43との間に位置付けられ、搬送装置31の下方に設けられている。この収容ボックス42dは、シャッタ42aから渡される錠剤Tを受け取って収容する。
【0040】
良品回収装置43は、気体吹出部43aと、排出搬送部43bと、乾燥装置43cと、収容ボックス(回収ボックス)43dとを有している。この良品回収装置43は、再検査品回収装置42が設けられた位置よりも搬送方向A2の下流側に設けられており、気体吹出部43a、乾燥装置43c及び収容ボックス43dは各搬送路Pに共通に設けられている。
【0041】
気体吹出部43aは、第2の印刷装置30の吸引チャンバ31f内であってその搬送装置31の端部、すなわち搬送ベルト31aにおける各従動プーリ31c側の端部に設けられている。気体吹出部43aは、例えば、印刷処理中、常に搬送ベルト31aに向けて気体(例えばエア)を吹き出し、搬送ベルト31aから錠剤Tを落下させる。このとき、気体吹出部43aから吹き出された気体は、搬送ベルト31aの吸引孔(図2に示す吸引孔21gと同様である)を通過して錠剤Tに当たる。気体吹出部43aとしては、例えば、搬送方向A2に水平面内で交差する方向(例えば直交する方向)に延びるスリット状の開口を有するエアブローを用いることが可能である。気体吹出部43aは制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。
【0042】
ここで、不良品回収装置41を通過した錠剤Tは、搬送ベルト31aの移動に伴って搬送され、搬送ベルト31aにおける各従動プーリ31c側の端部付近の位置に到達する。この位置で吸引作用が錠剤Tに働かなくなるが、気体吹出部43aによって錠剤Tの上方から錠剤Tに気体が吹き付けられ、錠剤Tは搬送ベルト31aから落下する。したがって、気体吹出部43aを設けることで、搬送ベルト31aから錠剤Tを確実に落下させることができる。搬送ベルト31aから落下した錠剤Tは、再検査品回収装置42のシャッタ42aが開状態であると、シャッタ42aの上面に到達し、その上面の傾斜により上面に沿って移動し、排出搬送部43bに流れ込む。一方、シャッタ42aが閉状態であると、搬送ベルト31aから落下した錠剤Tは、シャッタ42aの上面に到達し、その上面の傾斜により上面に沿って移動し、収容ボックス42dに流れ込む。
【0043】
排出搬送部43bは、シャッタ42aから流れ込む錠剤Tを受け取り、受け取った錠剤Tを二列又は二列以上で収容ボックス43dまで搬送する。なお、排出搬送部43bとしては、例えば、ベルト搬送機構を用いることが可能である。この排出搬送部43bのベルト(良品搬送ベルト)は、気体通過性を有する無端状のベルトである。気体通過性を有するベルトとしては、網状のベルトや複数の丸孔を有するベルトなど、複数の貫通孔を有する各種材質のベルトを用いることが可能である。排出搬送部43bは制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。
【0044】
なお、第2の印刷装置30の搬送速度と、良品回収装置43の搬送速度とには差がある。具体的には良品回収装置43の搬送速度の方が第2の印刷装置30の搬送速度より遅い。これによって良品回収装置43上で錠剤Tに印刷されたインクを完全に乾燥させる時間を稼ぐことができる。
【0045】
また、排出搬送部43bのベルトと第2の印刷装置30の搬送ベルト31aとの速度差に応じて、シャッタ42aの傾斜角度やシャッタ42aの長さが調整され、シャッタ42aの上面である傾斜面を移動する錠剤Tの移動速度及び搬送距離が適切に、すなわち、錠剤Tの転がりや落下などを抑えてスムーズな搬送が可能になるよう、また、落下による衝撃や錠剤Tどうしの衝突により錠剤Tのインク被膜が剥がれたり、錠剤Tどうしのインクが互いに転写したり、あるいは、落下による衝撃により錠剤Tのインクがベルトに転写したりすることを抑えるように設定されている。
【0046】
また、前述したように第2の印刷装置30における錠剤Tの搬送速度よりも良品回収装置43における錠剤Tの搬送速度の方が遅い場合には、良品回収装置43のベルト上に錠剤Tが次々に供給されていき、良品回収装置43に存在する錠剤Tに次に供給される錠剤Tが衝突しやすくなる。このような場合には、シャッタ42aの勾配を緩くするとともにシャッタ42aの搬送方向A1に沿った長さを長くすることで、落下した錠剤Tがベルトに衝突するときの衝撃を弱くすることができる。
【0047】
乾燥装置43cは、上乾燥部43c1及び下乾燥部43c2を有している。この乾燥装置43cは、乾燥気体(例えば乾燥エア)を用いて上乾燥部43c1及び下乾燥部43c2によって、排出搬送部43bにより搬送される錠剤Tを乾燥させる。上乾燥部43c1は、排出搬送部43bの上方に設けられており、排出搬送部43bの上方位置から下方に向けて乾燥気体を吹き出す。下乾燥部43c2は、排出搬送部43bの内部に設けられており、排出搬送部43bの内部位置から上方に向けて乾燥気体を吹き出す。これらの上乾燥部43c1及び下乾燥部43c2は制御装置50に電気的に接続されており、その駆動が制御装置50により制御される。上乾燥部43c1及び下乾燥部43c2としては、乾燥気体により乾燥を行う装置以外にも、エアなどの気体により乾燥を行う送風機、放射熱により乾燥を行うヒータ、あるいは、気体及びヒータを併用して温風や熱風により乾燥を行う送風機など各種の乾燥部を用いることが可能である。
【0048】
収容ボックス43dは、排出搬送部43bの下流端、すなわち排出搬送部43bにおける第2の搬送装置31側と反対側の端に位置付けられ、錠剤印刷装置1の筐体の外に設けられている。この収容ボックス43dは、乾燥装置43cによりインクが乾燥した錠剤Tを排出搬送部43bから受け取って収容する。
【0049】
制御装置50は、画像処理部51と、印刷処理部52と、検査処理部(検査部)53と、記憶部54とを備えている。画像処理部51は画像を処理する。印刷処理部52は印刷に係る処理を行う。検査処理部53は検査に係る処理を行う(詳しくは後述する)。記憶部54は処理情報や各種プログラムなどの各種情報を記憶する。このような制御装置50は、供給装置10や第1の印刷装置20、第2の印刷装置30、回収装置40を制御し、また、第1の印刷装置20や第2の印刷装置30の個々の検出装置22、32から送信される錠剤Tの位置情報、第1の印刷装置20や第2の印刷装置30の個々の撮像装置23、25、33、35から送信される画像、回収装置40の不良品回収装置41の各センサ41b、41cから送信される検出信号などを受信する。なお、動作条件は予め設定され、記憶部54に記憶されている。制御装置50は、記憶部54に記憶された動作条件に基づき、回収装置40の不良品回収装置41及び再検査品回収装置42を制御する。
【0050】
(不良品及び再検査品の回収動作)
次に、不良品回収装置41の回収動作及び再検査品回収装置42の回収動作について説明する。例えば、動作条件に基づき、不良品回収装置41は各噴射ノズル41aによるブロー(気体噴射)を行う回収動作を実行し、再検査品回収装置42はシャッタ42aの開閉を行う回収動作を実行する。各センサ(検出装置22の検出部22a、検出装置32の検出部、排出センサ41b、排出確認センサ41c)は、通常OFF状態であり、錠剤Tを検出するとON状態となる(パルス波形)。各センサの個々のON/OFF情報は、ブローやシャッタ42aによる回収動作の制御のために保存される。
【0051】
検査結果として対象の錠剤Tが不良品である場合には、ブローが行われる。なお、ブローは、検出装置32の検出部(検出装置22の検出部22aと同様のものであり、「錠剤検出センサ」ともいう。)による検出結果に基づき対象の錠剤Tが噴射ノズル41aの直下に到達した時点で実行される。このブローの実行は、対象の錠剤Tを搬送ベルト31aから排除するためである。搬送ベルト31a上のブローが実行された位置が、排出確認センサ41cによる排出確認位置に移動したときに、排出確認センサ41cがONであった場合、良品以外の錠剤Tが良品回収装置43に回収されることを防ぐためにシャッタ42aが閉じられて閉状態となる。対象の錠剤Tがシャッタ42aにより再検査品回収装置42の収容ボックス42dに渡されると、シャッタ42aは開けられて開状態となる。つまり、シャッタ42aは基本的に開状態に維持される。また、ブローの実行後、搬送ベルト31a上のブローが実行された位置が、排出確認センサ41cによる排出確認位置に移動したときに、排出確認センサ41cがOFFであった場合、錠剤Tの排除に成功したことになり、シャッタ42aはそのまま開状態である。なお、シャッタ42aは閉状態となってから所定時間(予め実験で求められた、錠剤Tが収容ボックス42dに受け渡されるのに要する時間)が経過すると対象の錠剤Tが収容ボックス42dに受け渡されたとみなして開状態となるよう設定されている。
【0052】
錠剤検出センサがOFFであり、錠剤Tの存在が検出されなかったにもかかわらず、錠剤Tの存在が検出されなかった搬送ベルト31a上の位置が排出確認センサ41cによる排出確認位置に移動したときに、排出確認センサ41cがONになった場合には、不良品と同様、シャッタ42aが閉じられて閉状態となる。対象錠剤Tがシャッタ42aにより再検査品回収装置42の収容ボックス42dに渡されると、シャッタ42aは開けられて開状態となる。このように、錠剤検出センサでは検出されずに排出確認センサ41cで検出された物体は、不明品として扱われる。不明品は、搬送ベルト31aに錠剤Tの破片や粉などの物体であると考えられる。このような錠剤Tの破片や粉などの不明品は、良品の錠剤Tとともに回収されることを防ぐために搬送ベルト31aから排除する必要がある。
【0053】
また、排出センサ41bの結果によって、不明品を検出し、ブローを行うようにしてもよい。つまり、錠剤検出センサがOFFであり、錠剤Tの存在が検出されなかったにもかかわらず、錠剤Tの存在が検出されなかった搬送ベルト31a上の位置が排出センサ41bによる検出位置に移動したときに、排出センサ41bがONとなった場合には、ブローを行う。このブローの実行は、搬送ベルト31aに先に述べた錠剤Tの破片や粉などの物体が存在している可能性があり、存在している可能性がある物体を搬送ベルト31aから排除するためである。物体は不明品として扱われる。ブローの実行後、搬送ベルト31a上のブローが実行された位置が、排出確認センサ41cによる排出確認位置に移動したときに、排出確認センサ41cがONであった場合、不明品の排除に失敗したことになり、シャッタ42aが閉じられて閉状態となる。対象の錠剤Tがシャッタ42aにより再検査品回収装置42の収容ボックス42dに渡されると、シャッタ42aは開けられて開状態となる。また、ブローの実行後、搬送ベルト31a上のブローが実行された位置が、排出確認センサ41cによる排出確認位置に移動したときに、排出確認センサ41cがOFFであった場合、不明品の排除に成功したことになり、シャッタ42aはそのまま開状態である。このように排出センサ41bにより不明品を検出することにより、ブローを行うことができ、不明品を不良品回収装置41の収容ボックス41dに渡すことができる。つまり、再検査品回収装置42の収容ボックス42dでの回収に加え、不良品回収装置41の収容ボックス41dでの回収動作も行うことができるので、より確実に不明品を回収することができ、良品回収装置43への良品以外の錠剤Tの混入を防ぐことができる。
【0054】
前述のように、対象の錠剤Tに対してブローが行われた後、搬送ベルト31a上のブローが実行された位置が、排出確認センサ41cによる排出確認位置に移動したときに、排出確認センサ41cがONであった場合、すなわち、対象の錠剤Tが搬送ベルト31aから排除されなかった場合、シャッタ42aが閉じられる。また、錠剤検出センサがOFFであったにもかかわらず、その搬送ベルト31a上の位置が排出確認センサ41cによる排出確認位置に移動したときに、排出確認センサがONとなった場合にはブローを実行していないときであってもシャッタ42aが閉じられる。ブローにより搬送ベルト31aから排除されるべきであったが、排除されなかった錠剤Tや、先に述べた不明品は、搬送ベルト31aにおける各従動プーリ31c側の端部から落下する。この落下した錠剤Tは、閉状態のシャッタ42aにより受け止められ、そのシャッタ42aに沿って移動して収容ボックス42dに渡され、収容ボックス42dによって収容される。つまり、再検査品回収装置42においては、排出確認センサ41cにおいて検知された不良品や不明品を「再検査品」として回収する。なお、ブローが行われる錠剤Tは、不良品又は不明品であり、良品以外の錠剤Tである。
【0055】
なお、シャッタ42aが回動するとき、シャッタ検出部42cはシャッタ42aの停止位置を検知し、シャッタ42aが閉じられるべきときに、シャッタ42aが故障して閉状態にならないことを検出することがある。例えば、シャッタ検出部42cは、シャッタ42aを閉める指示が出されてから数秒の所定時間内に、シャッタ42aが閉状態になる所定の停止位置に存在しないことを検知し、シャッタ42aが閉状態にならないことを検出する。この検出に応じて、制御装置50は、供給装置10の駆動を停止し、第1の印刷装置20の搬送ベルト21aに対する錠剤Tの供給を止める。また、制御装置50は、第1の印刷装置20の搬送ベルト21a及び第2の印刷装置30の搬送ベルト31aの駆動を停止し、良品回収装置43の排出搬送部43b(後述する)のベルトに対する錠剤Tの供給を止める。ただし、制御装置50は、第1の印刷装置20の吸引チャンバ21f及び第2の印刷装置30の吸引チャンバ31fに係る吸気装置の駆動を停止せず、錠剤Tの吸引保持を継続する。
【0056】
(印刷工程)
次に、前述の錠剤印刷装置1が行う印刷処理及び検査処理について説明する。以下の印刷処理では、片面に割線が形成されている錠剤Tの両面に対して、割線に揃うように(例えば、割線の延伸方向に平行に)識別情報を印刷する両面印刷について説明する。
【0057】
まず、印刷に要する印刷データなどの各種情報が制御装置50の記憶部54に記憶される。そして、供給装置10のホッパ11に印刷対象の錠剤Tが多数投入されると、錠剤Tはホッパ11から整列フィーダ12に順次供給され始め、整列フィーダ12により二列に並べられて移動する。この二列で移動する錠剤Tは受渡フィーダ13により第1の印刷装置20の搬送ベルト21aに順次供給される。搬送ベルト21aは、モータ21dによる駆動プーリ21b及び各従動プーリ21cの回転によって搬送方向A1に回転している。このため、搬送ベルト21a上に供給された錠剤Tは搬送ベルト21a上で二列に並んで所定の移動速度で搬送されていく。なお、搬送ベルト31aもモータ31dによる駆動プーリ31b及び各従動プーリ31cの回転によって搬送方向A2に回転している。
【0058】
第1の印刷装置20では、錠剤Tが搬送ベルト21a上に吸引保持され、搬送ベルト21a上の錠剤Tが検出装置22によって検出される。これにより、錠剤Tの位置情報(搬送方向A1の位置)が取得され、制御装置50に入力される。この錠剤Tの位置情報は、記憶部54に保存されて後処理で用いられる。次に、搬送ベルト21a上の錠剤Tが前述の錠剤Tの位置情報に基づくタイミングで第1の撮像装置23によって撮像され、撮像された画像が制御装置50に送信される。第1の撮像装置23から送信された個々の画像に基づき、錠剤Tの位置ずれ情報(例えば、図2におけるX方向、Y方向及びθ方向での錠剤Tの位置ずれ)が画像処理部51により生成され、記憶部54に保存される。この錠剤Tの位置ずれ情報に基づき、錠剤Tに対する印刷条件(インクの吐出位置や吐出速度など)が印刷処理部52により設定され、記憶部54に保存される。
【0059】
次いで、搬送ベルト21a上の個々の錠剤Tは、前述の錠剤Tの位置情報に基づくタイミング、すなわち錠剤Tが印刷ヘッド装置24の下方に到達したタイミングで、前述の印刷データや印刷条件に基づいて印刷ヘッド装置24により印刷が実行される。印刷ヘッド装置24の各印刷ヘッド24aにおいて、各ノズル24bからインクが適宜吐出され、その錠剤Tの上面に文字(例えばアルファベット、片仮名、番号)やマーク(例えば記号、図形)などの識別情報が割線に揃えられて(例えば、割線の延伸方向に平行に)印刷される。
【0060】
識別情報が印刷された錠剤Tは、前述の錠剤Tの位置情報に基づくタイミングで第2の撮像装置25によって撮像され、撮像された画像が制御装置50に送信される。第2の撮像装置25から送信された個々の画像に基づき、錠剤Tごとの印刷パターンの印刷位置を示す印刷位置情報が画像処理部51により生成され、記憶部54に保存される。その印刷位置情報に基づき、錠剤Tに対する印刷品質の良否(錠剤Tが良品であるか否か)が検査処理部53により判断され、錠剤Tごとの印刷品質の良否の結果を示す印刷良否結果情報(検査結果情報)が記憶部54に保存される。例えば、印刷パターンが錠剤Tの所定位置に所定のパターンで印刷されているか否かが検査処理部53により判断される。印刷パターンが錠剤Tの所定位置に所定のパターンで印刷されていると判断された錠剤Tは、検査に合格した良品の錠剤Tとされる。
【0061】
検査後の錠剤Tは、搬送ベルト21aの移動に伴って搬送され、乾燥動作中の乾燥装置26の上方を通過する。このとき、錠剤Tに到達(着弾)したインクは、錠剤Tが乾燥装置26の上方を通過する間に乾燥装置26によって乾燥し、インクが乾燥した錠剤Tは搬送ベルト21aの移動に伴って搬送されていき、搬送ベルト21aにおける各従動プーリ21c側の端部付近に位置する。この位置で吸引作用が錠剤Tに働かなくなり、錠剤Tは搬送ベルト21aの下面に保持された状態から解放され、第1の印刷装置20から第2の印刷装置30に渡される。
【0062】
第2の印刷装置30でも、錠剤Tが搬送ベルト31a上に吸引保持され、前述と同じように印刷処理及び検査処理が行われる。検査後の錠剤Tは、搬送ベルト31aの移動に伴って搬送され、乾燥動作中の乾燥装置36の上方を通過する。そして、インクが乾燥した錠剤Tは不良品回収装置41に到達する。この位置で良品以外(不良品や不明品)の錠剤Tは、噴射ノズル41aによる気体の噴射(ブロー)によって搬送ベルト31aの下面から落下し、収容ボックス41dによって回収される。また、良品の錠剤T、あるいは、ブローにより搬送ベルト31aから落下しなかった良品以外の錠剤Tは、不良品回収装置41を通過し、搬送ベルト31aにおける各従動プーリ31c側の端部付近の位置に到達する。この位置で吸引作用が錠剤Tに働かなくなり落下する。さらに、気体吹出部43aによって錠剤Tの上方から錠剤Tに気体が吹き付けられるので、錠剤Tは搬送ベルト31aから確実に落下する。搬送ベルト31aから落下した錠剤Tが良品以外の錠剤Tであるとき、シャッタ42aが閉状態であり、落下した良品以外の錠剤Tは、シャッタ42aの上面に到達してその上面の傾斜に沿って移動し、収容ボックス42dに流れ込み、収容ボックス42dにより回収される。この収容ボックス42dに回収された錠剤Tが再検査品として扱われる。一方、搬送ベルト31aから落下した錠剤Tが良品の錠剤Tであると、再検査品回収装置42のシャッタ42aが開状態であり、落下した錠剤Tは、シャッタ42aの上面に到達してその上面に沿って移動し、排出搬送部43bに流れ込む。
【0063】
排出搬送部43bに流れ込んだ錠剤Tは排出搬送部43bによって搬送され、その搬送途中に錠剤Tが乾燥動作中の乾燥装置43cの上乾燥部43c1及び下乾燥部43c2の間(乾燥空間)を通過する。排出搬送部43bのベルト上の錠剤Tには、上乾燥部43c1及び下乾燥部43c2から乾燥気体が吹き付けられるため、錠剤T上のインクが乾燥し、錠剤Tの乾燥状態が維持される。また、錠剤Tが排出搬送部43bより上流の搬送路Pで湿気により水分を含んでも、その錠剤Tを排出搬送部43bによる搬送中に上乾燥部43c1及び下乾燥部43c2によって確実に錠剤T上のインクを乾燥させることができる。このとき、排出搬送部43bの搬送速度は、印刷時の搬送速度に比べて非常に遅くなっているため、ベルト上の錠剤Tは十数分程度ゆっくりと乾燥気体の空間内を通過するので、錠剤Tのインクが確実に乾燥することになる。乾燥装置43cにより乾燥した錠剤Tは、排出搬送部43bにより収容ボックス43dの上方まで搬送され、排出搬送部43bの下流端から落下し、収容ボックス43dに回収される。
【0064】
このような印刷工程では、良品以外(不良品や不明品)の錠剤Tは、噴射ノズル41aによる気体の噴射によって搬送ベルト31aの下面から落下し、不良品回収装置41の収容ボックス41dに回収される。また、良品以外の錠剤Tが、噴射ノズル41aによる気体の噴射により搬送ベルト31aの下面から落下しなかった場合でも、良品以外の錠剤Tは、再検査品回収装置42の収容ボックス42dに回収される。すなわち、排出確認センサ41cが対象の錠剤Tを検知し、その対象の錠剤Tが収容ボックス41dに回収されなかったことを検出すると、シャッタ42aは開状態から閉状態にされる。搬送ベルト31aにおける各従動プーリ31c側の端部付近の位置に到達した対象の錠剤Tは、吸引作用の消失及び気体吹出部43aの気体の吹き付けによって搬送ベルト31aから落下する。このとき、シャッタ42aが閉状態であるため、搬送ベルト31aから落下した錠剤Tは、シャッタ42aの上面に到達してその上面の傾斜に沿って移動し、収容ボックス42dに流れ込み、収容ボックス42dに回収される。このようにして、良品以外の錠剤Tが不良品回収装置41及び再検査品回収装置42により確実に回収されるので、良品以外の錠剤Tが良品回収装置43に渡り、良品回収装置43の収容ボックス43dに回収されないようにすることが可能である。したがって、良品の錠剤Tを回収する収容ボックス43dに良品以外の錠剤Tが混入しないようにすることができる。
【0065】
また、シャッタ42aが閉じられるとき、閉状態にならないことがシャッタ検出部42cにより検出されると、シャッタ42aが故障していることが制御装置50によって把握される。シャッタ42aが故障していることが把握されると、供給装置10の駆動が停止され、供給装置10から第1の印刷装置20の搬送ベルト21aへの錠剤Tの供給が止められる。また、第1の印刷装置20の搬送ベルト21a及び第2の印刷装置30の搬送ベルト31aの駆動が停止され、第2の印刷装置30の搬送ベルト31aから良品回収装置43の排出搬送部43bのベルトへの錠剤Tの供給が止められる。これにより、シャッタ42aの故障によりシャッタ42aが開状態のままであっても、良品以外の錠剤Tが排出搬送部43bに供給されることを抑制することが可能になるので、シャッタ42aが故障した場合でも、良品以外の錠剤Tが良品回収装置43の収容ボックス43dに回収されないようにすることができる。したがって、シャッタ42aが故障した場合でも、良品の錠剤Tを回収する収容ボックス43dに良品以外の錠剤Tが混入しないようにすることができる。
【0066】
ここで、錠剤Tの供給を停止し、各搬送ベルト21a、31aの駆動を停止しているが(吸引は継続)、良品回収装置43の排出搬送部43bのベルトは駆動しているため、排出搬送部43b上に存在する良品の錠剤Tは自動的に収容ボックス42dに回収される。これにより、搬送ベルト21a、31aの駆動の停止に影響されることなく良品の錠剤Tの回収を行うことができる。なお、排出搬送部43bのベルトの駆動も停止し、排出搬送部43bのベルト上に存在する良品の錠剤Tを人により回収することも可能である。また、他の制御としては、錠剤Tの供給を停止し、その時点で搬送ベルト21a、31a上に存在する錠剤Tに印刷を行うことも可能である。搬送ベルト31aや排出搬送部43bのベルト上に存在する錠剤Tは、前述のように自動的に装置によって、あるいは、人によって回収される。
【0067】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、不良品回収装置41による良品以外の錠剤Tの回収が実行され、排出確認センサ41cにより良品以外の錠剤Tが回収されていないことが検出された場合、搬送ベルト31aにより搬送される良品以外の錠剤Tが再検査品回収装置42により回収される。これにより、良品以外の錠剤Tが不良品回収装置41によって回収されず、そのまま搬送ベルト31aに残ったとしても、その錠剤Tは再検査品回収装置42により回収される。したがって、良品以外の錠剤Tが良品回収装置43の収容ボックス43dにより回収されないようにすることが可能になるので、良品の錠剤Tを回収する収容ボックス43dに良品以外の錠剤Tが混入しないようにすることができる。
【0068】
さらに、シャッタ42aが故障によって閉状態とならない場合であっても、各搬送ベルト21a、31aの駆動を停止するので、排出搬送部43bのベルトに存在する良品の錠剤Tに良品以外の錠剤Tが混入することを抑制することができる。各搬送ベルト21a、31aの駆動停止よりも先に排出搬送部43bに良品以外の錠剤Tが供給されてしまった場合には排出搬送部43bのベルト上に存在する良品の錠剤Tに良品以外の錠剤Tが混入することになるが、排出搬送部43bのベルトの駆動を停止すれば、良品回収装置43の収容ボックス43d内に良品以外の錠剤Tが混入しないようにすることができる。また、排出搬送部43bのベルトの駆動を停止した場合には、排出搬送部43bのベルト上に存在する錠剤Tだけを回収し、人または自動的に装置によって再度検査を行うことにより良品以外の錠剤Tを取り除くことができる。つまり、各搬送ベルト21a、31a、排出搬送部43bのベルトの駆動すべてを停止させない場合と比較すると、再度検査すべき錠剤Tの数が少ないため、良品以外の錠剤Tを取り除く作業を効率的に行うことができる。
【0069】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について図3を参照して説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(シャッタ数、排出搬送部のベルト数及びベルト配置)について説明し、その他の説明は基本的に省略する。
【0070】
図3に示すように、第2の実施形態に係る排出搬送部43bは、複数のベルト43b1を有している。図3では、二本のベルト43b1が設けられているが、その数は特に限定されるものではない。これらのベルト43b1はそれぞれ個別に回転して錠剤Tを搬送することが可能になっており、モータ42b及びシャッタ42aはベルト43b1ごとに設けられている。シャッタ42aの幅方向の長さは、搬送ベルト31aの幅方向の長さの半分とほぼ同じである。これらのシャッタ42aはそれぞれモータ42bにより回転可能に設けられており、各モータ42bの回転軸はそれぞれ各シャッタ42aの短手方向の中央に取り付けられている。各モータ42bは正回転及び逆回転が可能なモータである。これらのモータ42bは制御装置50に電気的に接続されており、それらの駆動が制御装置50により制御される。シャッタ検出部42cは、各シャッタ42aの個々の停止位置を検知し、各シャッタ42aがそれぞれ閉状態であるか否かを検出する。
【0071】
ここで、シャッタ42aが回動するとき、シャッタ検出部42cはシャッタ42aの停止位置を検知し、シャッタ42aが閉じられるとき、シャッタ42aが故障して閉状態にならないことを検出することがある。シャッタ検出部42cが、シャッタ42aが閉状態にならないことを検出すると、制御装置50は、供給装置10の駆動を停止し、第1の印刷装置20の搬送ベルト21a及び第2の印刷装置30の搬送ベルト31aの駆動を続け、シャッタ検出部42cにより閉状態でないと検知されたシャッタ42aが設けられたベルト43b1のみの駆動を停止する。これにより、故障したシャッタ42aが設けられたベルト43b1の駆動が止まるので、そのベルト43b1から良品以外の錠剤Tが収容ボックス43dに回収されないようにすることが可能になる。したがって、良品以外の錠剤Tが良品の錠剤Tに混入しないようにすることができる。また、故障していないシャッタ42aが設けられたベルト43b1はそのまま駆動しているので、そのベルト43b1上の良品の錠剤Tを収容ボックス43dに回収することが可能になるので、シャッタ42aが故障した側のベルト43b1の駆動の停止に影響されることなく良品の錠剤Tの回収を行うことができる。また、搬送ベルト31a上の良品の錠剤T、各搬送ベルト21a、31a上のこれから印刷されて検査に合格した良品の錠剤Tも収容ボックス43dに回収することが可能になるので、すべての搬送系の駆動を停止させた場合と比較すると、良品の錠剤Tの回収量を増やすことができる。
【0072】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、良品の錠剤Tを回収する収容ボックス43dに良品以外の錠剤Tが混入させないようにしつつ、収容ボックス43dに良品の錠剤Tを回収することが可能になるので、良品の錠剤Tの回収率を増やすことができる。
【0073】
また、シャッタ42aが複数設けられていることにより、一方のシャッタ42aが閉状態であったとしても他方のシャッタ42aが開状態で回収が可能となるので、開状態のシャッタ42a側の錠剤Tは回収動作を続行でき、良品の錠剤Tの回収率を増やすことができる。
【0074】
また、シャッタ42aの故障によって一方のベルト43b1に存在する良品の錠剤Tに良品以外の錠剤Tが混入してしまったとしても、シャッタ42a故障側のベルト43b1上に存在する錠剤Tだけを回収し、人または自動的に装置によって再度検査を行うことにより良品以外の錠剤Tを取り除くことができる。他方のベルト43b1(シャッタ42aが故障していない側)上に存在する錠剤Tについては再度検査する必要がない。つまり、シャッタ42aやベルト43b1が一つしかない場合と比較すると、再度検査すべき錠剤Tの数が少ないため、良品以外の錠剤Tを取り除く作業を効率的に行うことができる。
【0075】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について図4を参照して説明する。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態との相違点(排出搬送部数)について説明し、その他の説明は基本的に省略する。
【0076】
図4に示すように、第3の実施形態に係る排出搬送部43bは、二つ上下方向において重なる部分を有して設けられている。図4では、二つの排出搬送部43bが設けられているが、その数は特に限定されるものではない。これらの排出搬送部43bは、搬送方向A1の上流側から下流側に錠剤Tの受け渡しが可能になるよう、搬送方向A1に並べて設けられている。
【0077】
ここで、シャッタ42aが回動するとき、シャッタ検出部42cはシャッタ42aの停止位置を検知し、シャッタ42aが閉じられるとき、シャッタ42aが故障して閉状態にならないことを検出することがある。シャッタ検出部42cが、シャッタ42aが閉状態にならないことを検出すると、制御装置50は、供給装置10の駆動を停止し、第1の印刷装置20の搬送ベルト21a及び第2の印刷装置30の搬送ベルト31aの駆動を停止し、各排出搬送部43bのうち、搬送方向A1において最上流の排出搬送部43bのベルトのみの駆動を停止する。これにより、駆動が停止していない排出搬送部43bのベルト上の良品の錠剤Tを収容ボックス43dに回収することが可能になるので、排出搬送部43bのすべてのベルトの駆動を停止させる場合と比較して、良品の錠剤Tの回収量を増やすことができる。
【0078】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、良品の錠剤Tを回収する収容ボックス43dに良品以外の錠剤Tが混入させないようにしつつ、収容ボックス43dに良品の錠剤Tを回収することが可能になるので、良品の錠剤Tの回収率を増やすことができる。
【0079】
また、シャッタ42aの故障によって上流側の排出搬送部43bのベルト上に存在する良品の錠剤Tに良品以外の錠剤Tが混入してしまったとしても、上流側の排出搬送部43bのベルト上に存在する錠剤Tだけを回収し、人または自動的に装置によって再度検査を行うことにより良品以外の錠剤Tを取り除くことができる。下流側の排出搬送部43bのベルト上に存在する錠剤Tについては再度検査する必要がない。つまり、排出搬送部43bが一つしかない場合と比較すると、再度検査すべき錠剤Tの数が少ないため、良品以外の錠剤Tを取り除く作業を効率的に行うことができる。
【0080】
<他の実施形態>
前述の説明においては、前述の各実施形態のいずれかの錠剤印刷装置1を用いて錠剤Tに印刷を行っている。これは、前述の各実施形態のいずれかの錠剤印刷装置1を用いて錠剤Tに印刷を行って、印刷済の錠剤Tを製造すると言い換えることも可能である。
【0081】
また、前述の説明においては、印刷ヘッド装置24、34としてインクジェット方式の印刷ヘッド装置を例示したが、これに限るものではなく、例えば、転写ロールや転写パッドを用いた転写方式の印刷ヘッド装置も用いることが可能である。
【0082】
また、前述の説明においては、シャッタ42aの勾配を緩くし、落下した錠剤Tがベルトに衝突するときの衝撃を弱くすることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、錠剤Tの落下方向と逆方向に気体(例えばエア)を吹かせて、落下した錠剤Tがベルトに衝突するときの衝撃を弱くするようにしてもよい。
【0083】
また、前述の説明においては、錠剤Tに対する印刷品質の良否によって検査結果情報が生成されることを例示したが、これに限るものではなく、錠剤Tの欠けや割れ、汚れ、姿勢不良などの良否を含めるようにしてもよい。
【0084】
また、シャッタ42aは、すべての搬送路Pに共通して一つのシャッタ42aを設けるようにしてもよく、複数の搬送路Pごとにシャッタ42aを設けるようにしてもよい。錠剤Tは、落下することによって欠けや割れなどの損傷が生じることもあるため、再検査を行うことによって錠剤Tに損傷が生じる機会が増えてしまう。したがって、搬送路Pごとにそれぞれシャッタ42aを設けることがより好ましく、搬送路Pごとにそれぞれシャッタ42aを設けることで、再検査の必要が無い良品であるにも関わらず、再検査品と同じタイミングでシャッタ42aに到達したために、再検査品回収装置42の収容ボックス42dに収容される錠剤Tの数を減らすことができ、損傷を有する錠剤Tの数を減らすことができる。
【0085】
また、前述の説明においては、検出装置32の検出部(検出装置22の検出部22aと同様)である検出センサによる「錠剤検出センサON/OFF」(錠剤Tの有無)の検出結果に基づいて、錠剤Tのブローの実行を判断することを例示したが、これに限るものではなく、検出装置22の検出部22aによる「錠剤検出センサON/OFF」の検出結果を含めるようにしてもよい。
【0086】
また、検出装置22の検出部22aにおいて錠剤Tが検出されなかったにもかかわらず、検出部22aが錠剤Tの存在が検出されなかった位置に対応する搬送ベルト31a上の位置が、検出装置32の検出部の下方に移動したときに、錠剤Tが検出された場合には、当該錠剤Tへの印刷を実行せず、「不明品」として回収動作を行うようにしてもよい。
【0087】
また、前述の説明においては(第2の実施形態参照)、複数のベルト43b1を設けることと、ベルト43b1ごとにシャッタ42aを設けることを例示したが、これに限るものではなく、シャッタ42aとベルト43b1のいずれか一方のみを複数設けるようにしてもよい。
【0088】
また、前述の説明においては、錠剤Tを二列で搬送することを例示したが、これに限るものではなく、その列数は一列、又は、三列や四列以上であっても良く、搬送路Pの数や搬送ベルト21a、31aの数は特に限定されるものではない。また、搬送ベルト21a、31aの吸引孔21gの形状も特に限定されるものではない。
【0089】
また、前述の説明においては、搬送路Pごとに印刷ヘッド24aを設けることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、一つの印刷ヘッド24aによって二列以上の錠剤Tに印刷を行うようにしても良い。
【0090】
また、前述の説明においては、インクジェット方式の印刷ヘッド24aとして、ノズル24bが一列に並ぶ印刷ヘッドを例示したが、これに限るものではなく、例えば、ノズル24bが複数列に並ぶ印刷ヘッドを用いるようにしても良い。また、搬送方向A1に沿って印刷ヘッド24aを複数並べて用いるようにしても良い。
【0091】
また、前述の説明においては、乾燥装置26、36、43cを設けることを例示したが、その数は限定されるものではない。例えば、一つの乾燥装置26がなく二つの乾燥装置36、43cがあれば良く、また、二つの乾燥装置26、36がなく一つの乾燥装置43cがあれば良く、乾燥装置43cが無く乾燥装置26、36があれば良い。また、インク、錠剤Tの種類によっては乾燥装置を必要としないこともあるため、三つの乾燥装置26、36、43c全てが無くても良い。
【0092】
また、前述の説明においては、第1の印刷装置20及び第2の印刷装置30を上下に重ねて配置して、錠剤Tの両面または片面を印刷することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、第1の印刷装置20だけを設け、錠剤Tの片面だけを印刷するようにしても良い。
【0093】
ここで、前述の錠剤Tとしては、医薬用、飲食用、洗浄用、工業用あるいは芳香用として使用される錠剤を含めることができる。また、錠剤としては、裸錠(素錠)や糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠、多層錠、有核錠などがあり、硬カプセルや軟カプセルなど各種のカプセル錠も錠剤に含めることができる。さらに、錠剤の形状としては、円盤形やレンズ形、三角形、楕円形など各種の形状がある。また、印刷対象の錠剤が医薬用や飲食用である場合には、使用するインクとして可食性インクが好適である。この可食性インクとしては、合成色素インク、天然色素インク、染料インク、顔料インクのいずれを使用しても良い。
【0094】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1 錠剤印刷装置
31a 搬送ベルト
34 印刷ヘッド装置
41 不良品回収装置
41c 排出確認センサ(検出部)
42 再検査品回収装置
42a シャッタ
42c シャッタ検出部
42d 収容ボックス
43 良品回収装置
43b1 ベルト
50 制御装置(制御部)
53 検査処理部(検査部)
T 錠剤
図1
図2
図3
図4