(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179800
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】建物用付設物の取付構造
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20221125BHJP
E06B 9/17 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
E06B1/56 Z
E06B9/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166353
(22)【出願日】2022-10-17
(62)【分割の表示】P 2020148174の分割
【原出願日】2020-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 義貴
(57)【要約】
【課題】防水層に孔を形成することなく止水性を維持できる建物用付設物の取付構造を提供すること。
【解決手段】シャッター1の取付構造では、シャッター1には上枠下地材34、下枠下地材32および左右の縦枠下地材が取り付けられ、これらが枠組みされて下地枠が構成される。上枠下地材34および左右の縦枠下地材は、外壁材25に対して室外側に対向して建物躯体2に固定される。下枠下地材32は、FRP防水層26に対して室外側に間隔を隔てて対向して配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体に形成された開口に設けられた窓の外側の外壁面に固定される下地枠が取り付けられる建物用付設物を備え、
前記下地枠は、上枠下地材、下枠下地材および左右の縦枠下地材を有し、
前記下枠下地材は、前記開口の下方に配置され、
前記外壁面に、外壁材が設けられるとともに、前記外壁材は、前記開口の下方に設けられておらず、前記外壁材の下端部と前記外壁材が設けられていない前記外壁面との間に段差が形成され、
前記下地枠の下端部の室内側に、前記段差による隙間を埋める隙間隠し部材が取り付けられる
ことを特徴とする建物用付設物の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建物用付設物の取付構造において、
前記隙間隠し部材は、断面コの字状に形成される
ことを特徴とする建物用付設物の取付構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建物用付設物の取付構造において、
前記建物用付設物は、シャッター装置である
ことを特徴とする建物用付設物の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター、ルーバー、格子などの建物用付設物を、建物躯体に取り付ける建物用付設物の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テラス窓等の建具に対して室外側に配置される建物用付設物としてのルーバーが戸建住宅等の建物躯体に取り付けられる取付構造が知られている(特許文献1参照)。建物躯体は、建物壁部と、建物壁部に沿って設置された外壁材および防水層とを備え、防水層は外壁材よりも室内側に位置している。ルーバーの上枠は外壁材を貫通したネジで建物壁部に固定されており、ルーバーの下枠は防水層を貫通したネジで建物壁部に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の取付構造では、ルーバーの下枠を建物躯体に固定するネジが防水層を貫通するので、防水層には室外空間から建物壁部につながる孔が形成されてしまい、この孔から漏水するおそれがある。このため、この孔部分に止水処理を施す必要がある。
【0005】
本発明の目的は、防水層に孔を形成することなく止水性を維持できる建物用付設物の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建物用付設物の取付構造は、建具が設置される開口が形成された建物躯体に建物用付設物を取り付ける取付構造であって、前記建物躯体の外壁面は、外壁材と、前記外壁材よりも下方であって見込み位置が室内側にある防水層とによって構成され、前記建物用付設物には、上枠下地材、下枠下地材および左右の縦枠下地材が取り付けられ、前記上枠下地材、前記下枠下地材および前記左右の縦枠下地材は枠組みされて下地枠を構成し、前記上枠下地材および前記左右の縦枠下地材は、前記外壁材に対して室外側に対向して前記建物躯体に固定され、前記下枠下地材は、前記防水層に対して室外側に間隔を隔てて対向して配置されることを特徴とする。
本発明の下地ユニットは、建具または防水層との隙間を塞ぐ隙間隠し部材と、前記隙間隠し部材が取り付けられた下枠下地材または縦枠下地材とによって構成されることを特徴とする。
本発明の建物用付設物の取付方法は、建具が設置される開口が形成された建物躯体に建物用付設物を取り付ける建物用付設物の取付方法であって、前述した下地枠を構成する上枠下地材、下枠下地材および左右の縦枠下地材を前記建物躯体の外壁面を構成する外壁材に沿って当接した状態で当該建物躯体に固定し、前記下枠下地材は、前記建物躯体の外壁面を構成し且つ前記外壁材よりも見込み位置が室内側にある防水層に対して、室外側に対向して配置し、前記建物用付設物は、前記上枠下地材、前記下枠下地材および前記左右の縦枠下地材に取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、防水層に孔を形成することなく止水性を維持できる建物用付設物の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る取付構造が適用されて建物躯体に取り付けられたルーバーを示す外観姿図。
【
図2】前記実施形態に係る取付構造を示す縦断面図。
【
図3】前記実施形態に係る取付構造の下部を示す縦断面図。
【
図6】前記実施形態に係る取付構造の角部を示す斜視図。
【
図7】前記実施形態に係る取付構造の組立てに関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から
図5において、建物用付設物としてのシャッター1は、戸建住宅等の建物躯体2のバルコニー3において建具である引き違い窓4(テラス窓)に対して室外側に配置される外装建具である。
以下の説明において、シャッター1の左右方向をX軸方向とし、シャッター1の上下方向をY軸方向とし、シャッター1の見込み方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
建物躯体2は、上壁部21、下壁部22および左右の側壁部23によって開口5を形成する建物壁部を有している。上壁部21および左右の側壁部23の室外側には、建物壁部に沿った下地板24を介して外壁材25(サイディングが設けられている)。下壁部22および左右の側壁部23下部の室外側には、下地板24を介してFRP防水層26が設けられている。FRP防水層26は、ガラス繊維(補強材)に樹脂を含侵、硬化させることによって構成したものであり、下壁部22およびバルコニー3の床下地を連続して覆って設けられ、室外側に露出している。なお、外壁材25は、開口5の下方に設けられておらず、FRP防水層26に対して上方に設置されている(
図1等参照)。
上壁部21、下壁部22および左右の側壁部23のそれぞれに取り付けられた下地板24の室外面は互いに面一である。当該下地板24に取り付けられるFRP防水層26(防水層、シート)は外壁材25よりも厚み寸法が小さいので、FRP防水層26の室外面261(下壁部22の外壁面)は、外壁材25の室外面251(上壁部21および左右の側壁部23の外壁面)よりも室内側に段落ちした見込み位置に配置されており、外壁材25の下端部と外壁材25が設けられていない前記外壁面との間に段差が形成されている(
図2参照)。
【0011】
引き違い窓4は、一般的に知られたものによって構成され、開口5に設けられている。
シャッター1は、枠体10と、枠体10に取り付けられたシャッター装置15とを備えている。枠体10は、
図1および
図2に示すように、アルミ押出形材によって形成された上枠11、下枠12および左右の縦枠13を備えており、左右の縦枠13には、後述するシャッターカーテン16がY軸方向に上下移動可能に嵌合している。シャッター装置15は、
図2に示すように、複数のスラット161を互いに回動自在に連結して構成されたシャッターカーテン16と、シャッターカーテン16を巻取りおよび繰出し可能なシャッター巻取軸17と、シャッター巻取軸17を駆動するモーター(図示省略)と、シャッター巻取軸17およびモーターを収容して左右の縦枠13に取り付けられたシャッターケース18とを備えている。
【0012】
シャッターケース18には、
図2に示すように、上枠下地材34がX軸方向に沿って取り付けられている。上枠下地材34は、室内外の見付け面部341,342および上下の見込み面部343,344と、見込み面部343,344間で見付け面部341,342に連続した連続片部345とを有したアルミ押出形材によって中空に形成されている。室内側の見付け面部342および下側の見込み面部344の連続部分には、上枠下地材34の内側に凹んだ段部347が形成されている。この上枠下地材34は、室外側の見付け面部341がネジ6によってシャッターケース18にネジ止めされており、室内側の見付け面部342が外壁材25に対して室外側に対向して配置され且つ固定ネジ7によって外壁材25、下地板24を介して上壁部21にネジ止めされている。段部347には、外壁材25との間にシール材348が設けられている。
【0013】
上枠11には、
図2に示すように、上枠下地材31がX軸方向に沿って取り付けられている。上枠下地材31は、室内外の見付け面部311,312および上下の見込み面部313,314を有したアルミ押出形材によって中空に形成されている。室外側の見付け面部311には、室内側に折曲した折曲部315が形成されることで、その折曲部315よりも上部が下部よりも室内側に配置されている。この上枠下地材31は、室外側の見付け面部311が外壁材25に対して室外側に対向して配置され且つネジ6によって上枠11にネジ止めされており、室内側の見付け面部312が固定ネジ7によって外壁材25、下地板24を介して上壁部21にネジ止めされている。
【0014】
下枠12は、
図3に示すように、下枠下地材32がX軸方向に沿って取り付けられている。下枠下地材32は、室内外の見付け面部321,322および上下の見込み面部323,324と、見込み面部323,324間で見付け面部321,322に連続した連続片部325とを有したアルミ押出形材によって中空に形成されている。室外側の見付け面部321には、下枠12の室内側下部に係止された凹溝に配置される突片部326が形成されている。突片部326は、見付け面部321から室外側に突出し且つ斜め上に立ち上げられている。室内側の見付け面部322および下側の見込み面部324の連続部分には、下枠下地材32の内側に凹んだ段部327が形成されている。この下枠下地材32は、下枠12よりも下方側においてFRP防水層26に対して室外側に間隔を隔てて対向して配置され、室外側の見付け面部321がネジ6によって下枠12にネジ止めされている。一方、室内側の見付け面部322には、アルミ押出形材製の隙間隠し部材35がネジ8によってネジ止めされている。
隙間隠し部材35は、下枠下地材32に沿ってX軸方向に延びて配置されており、
図3に示すようにY軸方向に沿った取付片部351と、Z軸方向に沿った隙間隠し片部352とを有して断面L字状に形成されており、外壁材25の下端部と外壁材25が設けられていない前記外壁面との間の段差による隙間を埋めている。取付片部351の室外面は、見付け面部322の室内面に当接する。取付片部351の室内面には、隙間隠し部材35の長手方向に沿った条溝353が上下に複数並んで形成されている。複数の条溝353は、取付片部351を下枠下地材32にネジ止めする際におけるネジ止め位置決めの目印として利用可能である。隙間隠し片部352は、取付片部351を下枠下地材32にネジ止めした状態で当該取付片部351から室内側に延出する向きに配置され且つ引き違い窓4の窓下枠42にY軸方向に対向している。隙間隠し片部352には、スポンジ、ガスケット等の弾性当接体354が当該隙間隠し片部352の長手方向に沿って設けられている。弾性当接体354は、窓下枠42に圧接しており、これにより、隙間隠し部材35および窓下枠42の間を塞いで光漏れを抑制している。
【0015】
左右の縦枠13は、
図4に示すように、左右の縦枠下地材33がY軸方向に沿って取り付けられている。左右の縦枠下地材33は、室内外の見付け面部331,332および内外周側の見込み面部333,334を有したアルミ押出形材によって中空に形成されている。室内側の見付け面部332および外周側の見込み面部334の連続部分には、縦枠下地材33の内側に凹んだ段部337が形成されている。この左右の縦枠下地材33は、左右の縦枠13よりも左右外周側に配置され、室外側の見付け面部331(縦枠下地材33の後述する下部を除く)が外壁材25に対して室外側に対向して配置され且つネジ6によって左右の縦枠13にネジ止めされており、室内側の見付け面部332が固定ネジ7によって外壁材25、下地板24を介して左右の側壁部23にネジ止めされている。段部337には、外壁材25との間にシール材338が設けられている。
図5に示すように、左右の縦枠下地材33のうちFRP防水層26に対してZ軸方向に隙間を隔てて対向する下部においては、室内側の見付け面部332は側壁部23にネジ止めされず、隙間隠し部材35が取り付けられている。隙間隠し部材35は下枠12に取り付けられるものと同様に構成されており、縦枠下地材33の前述した下部に沿ってY軸方向に沿って配置され、取付片部351はネジ8によって見付け面部332にネジ止めされており、隙間隠し片部352は取付片部351から室内側に延出する向きに配置され且つ引き違い窓4の窓縦枠43にX軸方向に対向している。隙間隠し片部352に設けられた弾性当接体354は、窓縦枠43に圧接しており、これにより、隙間隠し部材35および窓縦枠43の間を塞いで光漏れを抑制している。
【0016】
X軸方向に沿った上枠下地材31,34、および下枠下地材32には、ビスホール36が形成されており、ビスホール36で左右の縦枠下地材33に縦勝ちにネジ止めされている。本実施形態では、上枠下地材31,34、下枠下地材32および左右の縦枠下地材33によって下地枠が構成されている。また、隙間隠し部材35を下枠下地材32に取り付けることで
図7(A)に示す下地ユニット37が構成され、隙間隠し部材35を縦枠下地材33に取り付けることで
図7(B)に示す下地ユニット38が構成される。下枠下地材32および縦枠下地材33が連結される角部においては、
図6に示すように、下枠下地材32に設置された弾性当接体354が、縦枠下地材33に設置された弾性当接体354に圧接しており、これにより角部周辺における光漏れを抑制している。
【0017】
以下、シャッター1の取付構造の組立てについて説明する。
まず、上枠下地材31,34、下枠下地材32および左右の縦枠下地材33を縦勝ちに枠組みして下地枠を構成する。
次に、下枠下地材32に隙間隠し部材35を取り付ける。その後、左右の縦枠下地材33の下部に隙間隠し部材35を取り付ける。このとき、縦枠下地材33側の隙間隠し部材35の弾性当接体354を、下枠下地材32側の隙間隠し部材35の弾性当接体354に押し付ける。これにより、下枠下地材32および縦枠下地材33の隙間隠し部材35の弾性当接体354同士が圧接し、光漏れが生じない程度に互いに密着する。
次に、この下地枠を建物躯体2に固定する。具体的には、建物躯体2に仮置きネジを打ち、仮置きネジに下地枠を引っ掛けて仮位置決めする。このとき、下枠下地材32に取り付けられた隙間隠し部材35の弾性当接体354を引き違い窓4の窓下枠42に圧接させ、且つ、左右の縦枠下地材33に取り付けられた隙間隠し部材35の弾性当接体354を引き違い窓4の窓縦枠43に圧接させる。これにより、引き違い窓4と下枠下地材32および縦枠下地材33の下部との隙間を塞ぐ。前記仮位置決め後、上枠下地材31,34、縦枠下地材33(下部を除く)を外壁材25に当接した状態のまま、固定ネジ7によって外壁材25および下地板24を貫通して建物壁部にネジ止め(本固定)する。
最後に、シャッター1を取り付ける。具体的には、シャッターケース18を上枠下地材34にネジ6によってネジ止めし、上枠11を上枠下地材31にネジ6によってネジ止めし、下枠12を下枠下地材32にネジ6によってネジ止めし、且つ、左右の縦枠13を左右の縦枠下地材33にネジ6によってネジ止めする。
このようにして、引き違い窓4が設置された建物躯体2に対するシャッター1の取付構造を構成する。
【0018】
[変形例]
前記実施形態では、隙間隠し部材35は断面L字状に形成されているが、このほか、断面T字状、断面Z字状、断面I字状、断面コの字状、断面口の字状などの各種形状であってもよい。
前記実施形態では、隙間隠し部材35は下枠下地材32および縦枠下地材33の下部の双方に取り付けられているが、シャッター1と引き違い窓4との間の光漏れを抑制する必要がない若しくは低い場合には、前記一方だけに取り付けられていてもよく、また双方に取り付けられていなくてもよい。
前記実施形態では、下枠下地材32および縦枠下地材33の下部の双方に取り付けられた隙間隠し部材35の弾性当接体354同士が圧接することで、これらの間からの光漏れを抑制しているが、この光漏れを抑制する必要がない若しくは低い場合には、弾性当接体354同士が離間して配置されてもよい。
前記実施形態では、上枠下地材31,34および左右の縦枠下地材33(下部を除く)は、外壁材25に沿って当接状態で建物躯体2に固定されているが、外壁材25との間にスペーサー等が介在されてもよい。
前記実施形態では、二つの上枠下地材31,34があるが、シャッター1を十分に取付可能であれば一つにしてもよい。一つの上枠下地材とする場合、前記実施形態における上枠下地材31,34の間に配置されてもよい。
前記実施形態では、隙間隠し部材35は、下枠下地材32の見付け面部322に取り付けられているが、下枠下地材32がFRP防水層26に当接しないことによって発生する隙間を閉塞可能であれば他の箇所に取り付けられてもよい。また、縦枠下地材33の見付け面部332の下部に取り付けられる隙間隠し部材35についても前述同様に他の箇所に取り付けられてもよい。
前実施形態では、隙間隠し部材35は引き違い窓4との隙間を隠す構成および配置とされているが、これに限らず、引き違い窓4の外周側において弾性当接体354等がFRP防水層26に当接する構成および配置とされていてもよく、この場合でも下枠下地材32や縦枠下地材33と引き違い窓4との間からの光漏れを抑制できる。
前記実施形態では、シャッター1は、上枠11、下枠12および左右の縦枠13を枠組みした枠体(四方枠)を備えているが、これに限らず、下枠12を除いた枠体(三方枠)を備えることも可能である。また、上枠下地材34、下枠下地材32および左右の縦枠下地材33を枠組みすることで下地枠(四方下地枠)が構成されているが、下枠下地材32を除いた下地枠(三方下地枠)を構成することも可能である。
前記実施形態では、シャッターケース18、上枠11、下枠12および左右の縦枠13に対して、これらとは別体の上枠下地材31,34、下枠下地材32および左右の縦枠下地材33を取り付けているが、これに限らず、シャッターケース18、上枠11、下枠12および左右の縦枠13と一体に、上枠下地材31,34、下枠下地材32および左右の縦枠下地材33を形成することも可能である。
前記実施形態では、下地枠を建物躯体2に固定した後に当該下地枠にシャッター1を取り付けているが、これに限らず、下地枠をシャッター1に取り付けた後に当該下地枠を建物躯体2に固定してもよい。
前記実施形態では、引き違い窓4を建具としたが、これに限らず他の各種窓や他の建具であってもよい。また、シャッター1(外装建具)を建物用付設物としたが、これに限らず他の各種の建物用付設物であってもよい。
【0019】
[本発明のまとめ]
本発明の建物用付設物の取付構造は、建具が設置される開口が形成された建物躯体に建物用付設物を取り付ける取付構造であって、前記建物躯体の外壁面は、外壁材と、前記外壁材よりも下方であって見込み位置が室内側にある防水層とによって構成され、前記建物用付設物には、上枠下地材、下枠下地材および左右の縦枠下地材が取り付けられ、前記上枠下地材、前記下枠下地材および前記左右の縦枠下地材は枠組みされて下地枠を構成し、前記上枠下地材および前記左右の縦枠下地材は、前記外壁材に対して室外側に対向して前記建物躯体に固定され、前記下枠下地材は、前記防水層に対して室外側に間隔を隔てて対向して配置されることを特徴とする。
本発明の建物用付設物の取付構造によれば、下地枠の三方、すなわち、上枠下地材および左右の縦枠下地材が建物躯体に固定されるので、これらと枠組みされた下枠下地材を建物躯体にネジ等によって固定しなくても、建物用付設物の取付強度を十分に得ることができる。このため、下枠下地材を建物躯体にネジ等によって固定することで防水層にネジ孔等が形成されることがなくなり、止水処理を別途しなくても防水層の止水を維持できる。
【0020】
本発明の建物用付設物の取付構造では、前記下枠下地材は前記建具の下方側に配置され、前記下枠下地材には、前記建具または前記防水層との隙間を塞ぐ隙間隠し部材が取り付けられてもよい。
このような構成によれば、前述した隙間隠し部材を設置することで、前記下枠下地材および前記建具の間からの光漏れを抑制できる。
【0021】
本発明の建物用付設物の取付構造では、前記縦枠下地材は前記建具の左右外周側に配置され、前記縦枠下地材の下部は前記防水層に対して室外側に対向して配置され、前記縦枠下地材の下部には、前記建具または前記防水層との隙間を塞ぐ隙間隠し部材が取り付けられてもよい。
このような構成によれば、前述した隙間隠し部材を設置することで、前記縦枠下地材の下部および前記建具の間からの光漏れを抑制できる。
【0022】
本発明の建物用付設物の取付構造では、前記隙間隠し部材は、前記下地枠に取り付けられる取付片部と、前記取付片部に連続した隙間隠し片部とを有し、前記隙間隠し片部には、前記建具または前記防水層に圧接する弾性当接体が設置されてもよい。
このような構成によれば、取付片部を下枠下地材や縦枠下地材に予め取り付け、これらを建物躯体に固定する際に弾性当接体を建具に圧接させることで、下枠下地材や縦枠下地材と建具または前記防水層との隙間を密に塞ぐことができて光漏れを抑制できる。
【0023】
本発明の建物用付設物の取付構造では、前記下枠下地材は前記建具の下方側に配置され、前記下枠下地材の前記防水層に対向する見付け面部には、前記建具との隙間を塞ぐ隙間隠し部材が取り付けられ、前記縦枠下地材は前記建具の左右外周側に配置され、前記縦枠下地材の下部は前記防水層に対して室外側に対向して配置され、前記縦枠下地材の下部の前記防水層に対向する見付け面部には、前記建具との隙間を塞ぐ隙間隠し部材が取り付けられ、前記隙間隠し部材は、前記下地枠に取り付けられる取付片部と、前記取付片部に連続した隙間隠し片部とを有し、前記隙間隠し片部には、前記建具に圧接する弾性当接体が設置され、前記下枠下地材および前記縦枠下地材の一方に取り付けられた前記隙間隠し部材の前記弾性当接体は、前記下枠下地材および前記縦枠下地材の他方に取り付けられた前記隙間隠し部材の前記弾性当接体に圧接することを特徴とする。
このような構成によれば、下枠下地材および縦枠下地材によって構成される角部において互いの隙間隠し部材の弾性当接体同士を圧接できて当該角部周辺からの光漏れを抑制できる。
【0024】
本発明の下地ユニットは、前述した隙間隠し部材と、前記隙間隠し部材が取り付けられた下枠下地材とによって構成されることを特徴とする。
このような構成によれば、前述した本発明の建物用付設物の取付構造と同様の効果を発揮可能な下地ユニットを構成できる。
【0025】
本発明の下地ユニットは、前述した隙間隠し部材と、前記隙間隠し部材が取り付けられた縦枠下地材とによって構成されることを特徴とする。
このような構成によれば、前述した本発明の建物用付設物の取付構造と同様の効果を発揮可能な下地ユニットを構成できる。
【0026】
本発明の建物用付設物の取付方法は、建具が設置される開口が形成された建物躯体に建物用付設物を取り付ける建物用付設物の取付方法であって、前述した下地枠を構成する上枠下地材、下枠下地材および左右の縦枠下地材を前記建物躯体の外壁面を構成する外壁材に沿って当接した状態で当該建物躯体に固定し、前記下枠下地材は、前記建物躯体の外壁面を構成し且つ前記外壁材よりも見込み位置が室内側にある防水層に対して、室外側に対向して配置し、前記建物用付設物は、前記上枠下地材、前記下枠下地材および前記左右の縦枠下地材に取り付けることを特徴とする。
本発明の建物用付設物の取付方法によれば、前述した本発明の建物用付設物の取付構造と同様の効果を発揮可能な建物用付設物の取付方法を構成できる。
【0027】
本発明の建物用付設物の取付方法では、前記下枠下地材および前記縦枠下地材の少なくとも一方の下地材には、前述した隙間隠し部材の取付片部が取り付けられ、前記少なくとも一方の下地材は、前記隙間隠し部材の弾性当接体が前記建具に圧接された状態で前記建物躯体に固定されてもよい。
このような構成によれば、下枠下地材や縦枠下地材と建具との隙間を密に塞ぐことができて光漏れを抑制できる。
【符号の説明】
【0028】
1…シャッター(建物用付設物)、10…枠体、11…上枠、12…下枠、13…縦枠、18…シャッターケース、2…建物躯体、25…外壁材、26…FRP防水層(防水層)、3…バルコニー、31,34…上枠下地材、32…下枠下地材、33…縦枠下地材、35…隙間隠し部材、351…取付片部、352…隙間隠し片部、353…条溝、354…弾性当接体、37,38…下地ユニット、4…引き違い窓(建具)、42…窓下枠、43…窓縦枠、5…開口、6,8…ネジ、7…固定ネジ。