IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信越ポリマー株式会社の特許一覧

特開2022-179860光拡散シート、シート付き被着体及びその製造方法
<>
  • 特開-光拡散シート、シート付き被着体及びその製造方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179860
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】光拡散シート、シート付き被着体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20221129BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20221129BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20221129BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G02B7/00 F
C09J7/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086640
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】岩間 進
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 直也
【テーマコード(参考)】
2H042
2H043
4J004
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA04
2H042BA13
2H042BA20
2H043AE02
4J004AA11
4J004AA18
4J004AB05
4J004BA02
4J004FA01
(57)【要約】
【課題】光センサ等の被着体に貼り付けて容易に光拡散層を形成でき、歩留まりを高くできる光拡散シート、前記光拡散シートを用いたシート付き被着体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】シリコーンゴムに光拡散材が配合されている光拡散シートにおいて、厚さ方向の一方の面を表面粗さRaが0.70μm以下のグレア面とし、他方の面を表面粗さRaが0.80~3.0μmのアンチグレア面とする。また、光拡散シートのグレア面をガラス製の被着体に接触させて加熱し、前記光拡散シートを前記被着体に貼り付ける。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴムに光拡散材が配合されている光拡散シートであって、
厚さ方向の一方の面が、表面粗さRaが0.70μm以下のグレア面であり、
他方の面が、表面粗さRaが0.80~3.0μmのアンチグレア面である、光拡散シート。
【請求項2】
前記アンチグレア面から入射する光の全光線透過率が40~70%である、請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項3】
ヘイズが90%以上である、請求項1又は2に記載の光拡散シート。
【請求項4】
ガラス製の被着体と、請求項1~3のいずれか一項に記載の光拡散シートと、を備え、
前記グレア面が前記被着体と接するように、前記光拡散シートが前記被着体に貼り付けられている、シート付き被着体。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光拡散シートのグレア面をガラス製の被着体に接触させた状態で、前記光拡散シートを加熱して、前記光拡散シートを前記被着体に貼り付ける、シート付き被着体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散シート、シート付き被着体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスマートフォンなどの携帯通信端末には、消費電力を抑えるため、照度センサ、環境光センサ等の光センサを搭載し、周囲の明るさに応じて画面の明るさを変える機構が採用される。このように光センサによって周囲の明るさを感知する場合、光センサの向きに関係なく、周囲全体の明るさを感知できる無指向性が重要となる。そのため、光センサの無指向性を高める目的で、光センサに光拡散材を含有する層が設けられることがある。例えば特許文献1には、受光部を有する半導体素子上に、印刷によって光拡散材を含有する接着層を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-29525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、印刷によって光拡散層を形成する従来の方法では、印刷ムラによって拡散性能が不十分になることがあり、歩留まりが悪い問題がある。
【0005】
本発明は、光センサ等の被着体に貼り付けて容易に光拡散層を形成でき、歩留まりを高くできる光拡散シート、前記光拡散シートを用いたシート付き被着体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]シリコーンゴムに光拡散材が配合されている光拡散シートであって、
厚さ方向の一方の面が、表面粗さRaが0.70μm以下のグレア面であり、
他方の面が、表面粗さRaが0.80~3.0μmのアンチグレア面である、光拡散シート。
[2]前記アンチグレア面から入射する光の全光線透過率が40~70%である、[1]に記載の光拡散シート。
[3]ヘイズが90%以上である、[1]又は[2]に記載の光拡散シート。
[4]ガラス製の被着体と、[1]~[3]のいずれかに記載の光拡散シートと、を備え、
前記グレア面が前記被着体と接するように、前記光拡散シートが前記被着体に貼り付けられている、シート付き被着体。
[5][1]~[3]のいずれかに記載の光拡散シートのグレア面をガラス製の被着体に接触させた状態で、前記光拡散シートを加熱して、前記光拡散シートを前記被着体に貼り付ける、シート付き被着体の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光センサ等の被着体に貼り付けて容易に光拡散層を形成でき、歩留まりを高くできる光拡散シート、前記光拡散シートを用いたシート付き被着体及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の光拡散シートに対して-80°~80の角度の光線透過率を測定した結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、「表面粗さRa」は、JIS B 0601-2013によって規定された中心線平均粗さであり、同規格に準拠した測定機によって測定される値である。
「全光線透過率」は、JIS K7136に従って測定される値である。
「ヘイズ」は、JIS K 7361に準拠して測定される値である。
「ゴム硬度」は、JIS K 6253-3:「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ」に準拠して、タイプAデュロメータによって測定される値である。
【0010】
[光拡散シート]
本発明の光拡散シートは、シリコーンゴムに光拡散材が配合されている光拡散シートである。本発明の光拡散シートは、シリコーンゴムを用いたシートであるため、耐熱性に優れ、またガラス製の被着体との密着性に優れる。また、本発明の光拡散シートは、光拡散材が配合されているため、光拡散性に優れる。
【0011】
シリコーンゴムとしては、特に限定されず、例えば、分子鎖末端がヒドロキシシリル基又はビニルシリル基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンと有機過酸化物とからなる、一般にミラブルゴムと呼ばれるシリコーンゴムを例示できる。また、分子中にケイ素原子に結合したビニル基を少なくとも2個有するジオルガノポリシロキサンに、分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金系触媒を配合した、いわゆる付加反応型のオルガノシリコーンゴムを使用してもよい。
【0012】
シリコーンゴムのゴム硬度は、光拡散シートの厚さに応じて設定することができる。例えば、光拡散シートの厚さを30~50μmとする場合、シリコーンゴムのゴム硬度は、50~80°が好ましい。シリコーンゴムのゴム硬度が前記範囲の下限値以上であれば、光拡散シートの柔軟性及び伸縮性が適度となり、ハンドリングが容易になる。シリコーンゴムのゴム硬度が前記範囲の上限値以下であれば、光拡散シートの加工性に優れる。
光拡散シートに含まれるシリコーンゴムとしては、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0013】
光拡散材としては、入射光の少なくとも一部を散乱する材料であればよく、例えば、樹脂材料を着色する公知の着色剤、無機微粒子、有機微粒子を例示できる。なかでも、光拡散性に優れ、充分なヘイズを確保しやすい点から、酸化チタン等の白色顔料が好ましい。光拡散シートに含まれる光拡散材としては、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0014】
光拡散材の配合量は、光拡散材の種類、要求されるヘイズ、全光線透過率、光拡散シートの厚さ等によって適宜調節すればよい。光拡散シートが薄い場合には光拡散材の配合量が多くし、厚い場合には光拡散材の配合量を少なくすることで、得られる光拡散効果を調節することができる。例えば、厚さ30~50μmの光拡散シートに酸化チタン等の白色顔料を配合する場合、白色顔料の配合量は、シリコーンゴム100質量部に対して、1.0~3.0質量部とすることができる。
【0015】
本発明の光拡散シートは、厚さ方向の一方の面が、表面粗さRaが0.7μm以下のグレア面であり、他方の面が、表面粗さRaが0.8~1.5μmのアンチグレア面である。本発明の光拡散シートは、グレア面が被着体に向くように被着体に貼り付けて使用する。
【0016】
光拡散シートのグレア面の表面粗さRaは、0.70μm以下である。グレア面の表面粗さRaが0.70μm以下であれば、光拡散シートのグレア面と被着体との密着性に優れる。また、光拡散シートのハンドリングの観点から、例えばグレア面の表面粗さRaは0.01~0.70μmの範囲で設定することができる。
【0017】
光拡散シートのアンチグレア面の表面粗さRaは、0.80~3.0μmであり、0.90~2.0μmが好ましく、0.95~1.5μmがより好ましい。アンチグレア面の表面粗さRaが前記範囲の下限値以上であれば、十分な光散乱効果が得られやすく、またハンドリング性に優れる。また、アンチグレア面に異物が付着しにくくなる。アンチグレア面の表面粗さRaが前記範囲の上限値以下であれば、光拡散シートの製造が容易である。
【0018】
本発明の光拡散シートにおけるアンチグレア面から入射する光の全光線透過率は、40~70%が好ましく、45~65%がより好ましく、50~60%がさらに好ましい。光拡散シートの全光線透過率が前記範囲内であれば、光拡散シートを光センサに適用した場合に無指向性が向上し、光センサが向いている方向からの外光だけでなく、周囲全体の明るさを感知することが容易になる。
【0019】
本発明の光拡散シートのヘイズは、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、97%以上がさらに好ましい。光拡散シートのヘイズが前記下限値以上であれば、十分な光拡散効果が得られやすく、光拡散シートを光センサに適用した場合に無指向性が向上する。光拡散シートのヘイズは高いほどよく、理論的な上限は100%である。
【0020】
本発明の光拡散シートに対し、アンチグレア面側からシートの厚さ方向と平行に光を照射したとき、厚さ方向(0°方向)の光線透過率に対する、厚さ方向に対して30°方向の光線透過率の比率Tは、10~100%が好ましく、20~80%がより好ましく、30~70%がさらに好ましい。比率Tが前記下限値以上であれば、光拡散シートを光センサに適用した場合に無指向性が向上する。比率Tが前記範囲内で小さくなると、光拡散材の配合量が少なくなって全光線透過率が高くなるため、センサ感度に悪影響を与えにくくなる。
【0021】
本発明の光拡散シートに対し、アンチグレア面側からシートの厚さ方向と平行に光を照射したとき、厚さ方向(0°方向)の光線透過率に対する、厚さ方向に対して60°方向の光線透過率の比率Tは、10~100%が好ましく、10~60%がより好ましく、15~50%がさらに好ましい。比率Tが前記範囲内であれば、光拡散シートを光センサに適用した場合に無指向性が向上する。比率Tが前記範囲内で小さくなると、光拡散材の配合量が少なくなって全光線透過率が高くなるため、センサ感度に悪影響を与えにくくなる。
なお、0°方向、30°方向及び60°方向の光線透過率は、変角光度計(例えば日本電色工業社製のGC5000L)によって測定できる。
【0022】
本発明の光拡散シートの厚さは、15~70μmが好ましく、20~60μmがより好ましく、30~50μmがさらに好ましい。光拡散シートの厚さが前記範囲の下限値以上であれば、十分な加工性を確保しやすく、また柔軟性及び伸縮性が適度となり、ハンドリングが容易になる。また、十分な光拡散効果を発現させるために大量の光拡散材を配合する必要がなくなるため、シリコーンゴム物性の低下を抑制できる。光拡散シートの厚さが前記範囲の上限値以下であれば、光拡散シートを備える製品の薄型化が容易になる。
【0023】
本発明の光拡散シートの用途は、特に限定されない。例えば、環境光センサ、露光センサ等の光センサの光学フィルタ、カバーガラスに本発明の光拡散シートを貼り付けると、受光部の反対側から光拡散シートに入射した光が拡散され、光センサの受光部に届く光の量が増加する。これにより、光センサの感度が向上する。
【0024】
本発明の光拡散シートの製造方法は、特に限定されない。例えば、液状シリコーンゴムに光拡散材を配合した液状組成物を離型フィルム上に塗工し、前記液状組成物からなる塗膜上にさらに離型フィルムを重ねて挟み、その状態で加熱した後に離型フィルムを剥離して枚葉の光拡散シートを得る方法を例示できる。光拡散シートのグレア面とアンチグレア面の表面粗さRaは、それらと接する離型フィルムの表面状態によって調節できる。例えば、光拡散シートのアンチグレア面は、アンチグレア面と接する面に凹凸を有する離型フィルムを用いることで形成できる。また、光拡散シートのアンチグレア面は、サンドブラスト等の公知の粗面化処理によって形成してもよい。
【0025】
[シート付き被着体]
本発明のシート付き被着体は、ガラス製の被着体と、本発明の光拡散シートと、を備えている。本発明のシート付き被着体では、グレア面が被着体と接するように、本発明の光拡散シートが被着体に貼り付けられている。
【0026】
被着体としては、環境光センサ、露光センサ等の光センサにおける光学フィルタ(赤外線フィルタ、紫外線フィルタ等)、カバーガラスが好ましい。これらの被着体に本発明の光拡散シートを貼り付けることで、光センサの受光部に届く光の量が増加するため、光センサの感度が高くなる。
【0027】
本発明のシート付き被着体の製造方法としては、例えば、本発明の光拡散シートのグレア面をガラス製の被着体に接触させた状態で、光拡散シートを加熱して、光拡散シートを被着体に貼り付ける方法を例示できる。シリコーンゴムが加熱分解して生じる水酸基とガラスの水酸基との間で水素結合が形成されるため、光拡散シートを高い密着強度で被着体に貼り付けることができる。
【0028】
光拡散シートを被着体に貼り付ける際の加熱温度は、150~250℃が好ましく、160~230℃がより好ましく、180~220℃がさらに好ましい。加熱温度が前記範囲の下限値以上であれば、光拡散シートと被着体とを密着させるのに必要な時間が短くなる。加熱温度が前記範囲の上限値以下であれば、シリコーンゴムが熱劣化して黄変することを抑制しやすい。
【0029】
以上説明したように、本発明の光拡散シートは、シリコーンゴムに光拡散材が配合され、かつ表面粗さRaが特定の範囲に制御されたグレア面とアンチグレア面とを有している。シリコーンゴムを用い、かつグレア面を有していることで、本発明の光拡散シートはガラス製の被着体との密着性に優れる。本発明の光拡散シートを用いることで、光センサ等の被着体に貼り付けて容易に光拡散層を形成できるため、シート付き被着体の製造の歩留まりが高くなり、生産性が向上する。
【0030】
また、本発明の光拡散シートが貼り付けられたシート付き被着体では、グレア面が被着体に接触し、アンチグレア面が露出する。このアンチグレア面は空気とシリコーンゴムの屈折率差が大きい界面であり、かつ凹凸が形成されていることから光拡散性に優れている。また、光拡散シートは光拡散材が配合されているため内部の光拡散性にも優れている。そのため、本発明の光拡散シートが貼り付けられたシート付き被着体を光センサに適用した場合には、アンチグレア面から入射する光がアンチグレア面と光拡散シートの内部の両方で拡散されるため、光センサが向いている方向の外光だけでなく、周囲全体の外光を感知することができ、無指向性に優れている。
【実施例0031】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
【0032】
[実施例1]
液状シリコーンゴム(製品名「KE1950-70-A/B」、ゴム硬度:68°、信越化学工業社製)100質量部に、光拡散材として酸化チタン1.2質量部を配合して液状組成物を調製した。前記液状組成物を離型フィルム上に塗工した後、表面に凹凸を有する離型フィルムを前記液状組成物からなる塗膜上に重ねて挟み、その状態で140℃で2分間加熱し、離型フィルムを剥離して厚さ50μmの光拡散シートを得た。得られた光拡散シートのグレア面の表面粗さRaは0.6μmであり、アンチグレア面の表面粗さRaは1.0μmであった。
【0033】
[比較例1]
実施例1において、グレア面側に配置した離型フィルムを表面に凹凸を有する離型フィルムに変更した以外は、実施例1と同様に光拡散シートを得た。得られた光拡散シートの両方の面の表面粗さRaは、それぞれ1.0μm、1.0μmであった。
【0034】
[表面粗さRa]
グレア面とアンチグレア面の表面粗さRaは、JIS B 0601-2001に準拠した測定機(製品名「LEXT OLS4100」、オリンパス社製)によって測定した。
【0035】
[全光線透過率]
光拡散シートの全光線透過率は、JIS K7136に準拠したヘイズメータ(NDH4000、日本電色工業社製)によって測定した。
【0036】
[ヘイズ]
光拡散シートのヘイズは、JIS K 7361に準拠したヘイズメータ(NDH4000、日本電色工業社製)によって測定した。
【0037】
[比率T、比率T
日本電色工業社製の変角光度計(製品名「GC5000L」)を用い、光拡散シートに対してアンチグレア面側からシートの厚さ方向と平行に光照射し、厚さ方向(0°方向)に対して-80°~80の角度の光線透過率を測定した。前記変角光度計の光源は、ハロゲンランプに550nmをピークとしたカラーフィルターを備えていた。そして、厚さ方向(0°方向)の光線透過率に対する、厚さ方向に対して30°方向の光線透過率の比率Tと、厚さ方向(0°方向)の光線透過率に対する、厚さ方向に対して60°方向の光線透過率の比率Tとを算出した。
実施例1の光拡散シートに対して-80°~80の角度の光線透過率を測定した結果を図1に示す。
【0038】
[密着強度]
各例で得た光拡散シートのグレア面(比較例1の場合は表面粗さRaが小さい側の面)をガラス板に接触させた状態で、210℃で1時間加熱し、光拡散シートをガラス板に貼り付けた。次いで、株式会社エー・アンド・デイテンシロン製万能材料試験機RTF-1250を用い、クロスヘッド速度を100mm/分として90°剥離試験を行い、光拡散シートとガラス板との密着強度を測定した。
【0039】
各例の測定結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示すように、表面粗さRaが特定の範囲に制御されたグレア面とアンチグレア面とを有する実施例1の光拡散シートは、ヘイズ、比率T、比率Tが高く、光拡散性に優れていた。また、ガラス板との密着性にも優れており、容易にガラス板に貼り付けて光拡散層を形成できた。
一方、グレア面を有していない比較例1の光拡散シートは、実施例1に比べてガラス板との密着性が劣っていた。
図1