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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179898
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】混焼システム
(51)【国際特許分類】
   F23N 1/00 20060101AFI20221129BHJP
   B09B 3/65 20220101ALI20221129BHJP
   C10L 3/08 20060101ALI20221129BHJP
   C10L 3/00 20060101ALI20221129BHJP
   F23G 5/02 20060101ALI20221129BHJP
   F23G 5/033 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
F23N1/00 115B
B09B3/00 C
C10L3/08
C10L3/00 D
F23G5/02 D ZAB
F23G5/033 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086703
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】久保田 謙三
(72)【発明者】
【氏名】西野 優希
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
【テーマコード(参考)】
3K065
3K068
4D004
【Fターム(参考)】
3K065AA23
3K065AA24
3K065AB01
3K065AC17
3K065AC19
3K065AC20
3K065CA02
3K065CA04
3K065CA20
3K068HA05
4D004AA03
4D004BA03
4D004CA04
4D004CA18
4D004CB13
4D004CC07
(57)【要約】
【課題】容易に導入することができる混焼システムを提供する。
【解決手段】有機性廃棄物を破砕するディスポーザと、ディスポーザで破砕した有機性廃棄物からバイオガスG1を生成するバイオガス化装置32と、所定の希釈ガス及び都市ガスG2を混合して都市ガスG2よりも熱量が低い第一の混合ガスG4を生成する混合弁37と、バイオガス化装置32により生成されたバイオガスG1及び第一の混合ガスG4を混合し、第二の混合ガスG5を生成する開閉弁40と、を具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を破砕する破砕機と、
前記破砕機で破砕した有機性廃棄物からバイオガスを生成するバイオガス化装置と、
所定の希釈ガス及び都市ガスを混合して前記都市ガスよりも熱量が低い第一の混合ガスを生成する第一の混合部と、
前記バイオガス化装置により生成された前記バイオガス及び前記第一の混合ガスを混合し、第二の混合ガスを生成する第二の混合部と、
を具備する、
混焼システム。
【請求項2】
前記第一の混合部は、
前記バイオガスと熱量が同等となるように前記第一の混合ガスを生成する、
請求項1に記載の混焼システム。
【請求項3】
前記第二の混合部は、
前記バイオガス化装置により生成されたバイオガスの生成量又は貯留量の少なくともいずれかに応じて、前記第一の混合ガスの混合量を調整可能である、
請求項1又は請求項2に記載の混焼システム。
【請求項4】
前記第二の混合ガスを消費することにより発電可能なガス消費機器をさらに具備する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の混焼システム。
【請求項5】
前記第一の混合部は、
前記ガス消費機器から発生する排気ガスを前記希釈ガスとして用いる、
請求項4に記載の混焼システム。
【請求項6】
前記バイオガス化装置は、
前記ガス消費機器から発生する排熱を用いて前記有機性廃棄物をメタン発酵させることにより、前記バイオガスを生成する、
請求項4又は請求項5に記載の混焼システム。
【請求項7】
前記ガス消費機器により発電した電力が、集合住宅の共用部に供給される、
請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載の混焼システム。
【請求項8】
前記破砕機は、
集合住宅の各住戸にそれぞれ設置される、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の混焼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物から生成したバイオガスを利用する混焼システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機性廃棄物から生成したバイオガスを利用する混焼システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のバイオガス利用システム(混焼システム)は、有機性廃棄物から生成したバイオガスを都市ガス導管へ注入するものである。このようにバイオガスを都市ガス導管へ注入する場合、バイオガスを精製したりバイオガスに臭いを付ける等、ガス会社から要求される種々の条件を満たす必要がある。したがって前記バイオガス利用システムには、前記条件を満たすための多くの設備(バイオガス精製装置や付臭装置等)が設けられている。
【0004】
このように、多くの設備が設けられる特許文献1に記載のバイオガス利用システムでは、コストが増大すると共に、オペレーションやメンテナンスが煩雑となる。このため、前記バイオガス利用システムを導入することは、困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-249404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、容易に導入することができる混焼システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、有機性廃棄物を破砕する破砕機と、前記破砕機で破砕した有機性廃棄物からバイオガスを生成するバイオガス化装置と、所定の希釈ガス及び都市ガスを混合して前記都市ガスよりも熱量が低い第一の混合ガスを生成する第一の混合部と、前記バイオガス化装置により生成された前記バイオガス及び前記第一の混合ガスを混合し、第二の混合ガスを生成する第二の混合部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記第一の混合部は、前記バイオガスと熱量が同等となるように前記第一の混合ガスを生成するものである。
【0010】
請求項3においては、前記第二の混合部は、前記バイオガス化装置により生成されたバイオガスの生成量又は貯留量の少なくともいずれかに応じて、前記第一の混合ガスの混合量を調整可能である。
【0011】
請求項4においては、前記第二の混合ガスを消費することにより発電可能なガス消費機器をさらに具備するものである。
【0012】
請求項5においては、前記第一の混合部は、前記ガス消費機器から発生する排気ガスを前記希釈ガスとして用いるものである。
【0013】
請求項6においては、前記バイオガス化装置は、前記ガス消費機器から発生する排熱を用いて前記有機性廃棄物をメタン発酵させることにより、前記バイオガスを生成するものである。
【0014】
請求項7においては、前記ガス消費機器により発電した電力が、集合住宅の共用部に供給されるものである。
【0015】
請求項8においては、前記破砕機は、集合住宅の各住戸にそれぞれ設置されるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、混焼システムを容易に導入することができる。
【0018】
請求項2においては、ガスを消費する機器の動作の安定化を図ることができる。
【0019】
請求項3においては、バイオガスに第一の混合ガスを適切に混合することができる。
【0020】
請求項4においては、利便性を向上させることができる。
【0021】
請求項5においては、排気ガスを有効に活用することができる。
【0022】
請求項6においては、ガス消費機器で生じた排熱を有効に活用することができる。
【0023】
請求項7においては、共用部の電気代を低減することができる。
【0024】
請求項8においては、各住戸で発生した有機性廃棄物(生ごみ等)を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る混焼システムが導入された建物を示した説明図。
図2】第二の混合ガスを燃焼させる際のガスの流れを示した模式図。
図3】混焼処理を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の一実施形態に係る混焼システム30が導入された集合住宅1について説明する。
【0027】
図1に示す集合住宅1は、複数の住人が居住する建物である。集合住宅1は、共用部10、専有部20及び混焼システム30を具備する。
【0028】
共用部10は、集合住宅1の住人が共通して使用する部分である。共用部10には、エントランス、廊下、階段及びエレベータ等が含まれる。
【0029】
専有部20は、集合住宅1の住人が専有して使用する住戸である。専有部20は、集合住宅1に複数設けられる。
【0030】
混焼システム30は、複数のガスを混合させたガス(後述する第二の混合ガスG5)や有機性廃棄物から生成されるバイオガスを燃焼させるものである。
【0031】
以下では、混焼システム30の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、混焼システム30は、ディスポーザ31、バイオガス化装置32、除湿器33、脱硫器34、第一ブロア35、ガスコジェネレーション装置36、混合弁37、第二ブロア38、逆止弁39、開閉弁40及び制御部41を具備する。なお、図1では、混焼システム30を構成する機器のうち、主としてディスポーザ31、バイオガス化装置32及びガスコジェネレーション装置36を記載し、その他の機器(除湿器33等)の記載を省略している。また、図2は、後述する混焼処理(ステップS130)におけるガスの流れを模式的に示したものである。
【0032】
ディスポーザ31は、有機性廃棄物(生ごみ等)を破砕するものである。ディスポーザ31は、各専有部20にそれぞれ設置される(不図示)。ディスポーザ31は、配管31aを介してバイオガス化装置32と接続される。ディスポーザ31で破砕された有機性廃棄物を含む排水は、当該配管31aを介してバイオガス化装置32へ流される。
【0033】
バイオガス化装置32は、ディスポーザ31で破砕した有機性廃棄物からバイオガスG1を生成するものである。バイオガス化装置32は、地中に設置(埋設)される。バイオガス化装置32は、ディスポーザ31からの排水を固液分離可能に構成される。バイオガス化装置32は、発酵槽32a及びガスホルダー32bを具備する。
【0034】
発酵槽32aは、有機性廃棄物をメタン発酵させるためのものである。発酵槽32aは、固液分離された排水の固形分(有機性廃棄物)を貯留可能に構成される。発酵槽32aは、嫌気状態(無酸素の状態)で加温部(不図示)によって加温され、所定の温度が維持される。これによって発酵槽32aは、有機性廃棄物を嫌気性細菌で分解することができる。こうして発酵槽32aは、有機性廃棄物をメタン発酵させてバイオガスG1を生成する。当該発酵槽32aには、メタン発酵後に処理水(消化液)が残ることとなる。
【0035】
ガスホルダー32bは、発酵槽32aで生成されたバイオガスG1を貯留するためのものである。ガスホルダー32b内のバイオガスG1の貯留量は、所定のセンサ(不図示)により測定される。
【0036】
バイオガス化装置32には、上記処理水及びバイオガスG1を処理するための排水管P及び供給管P1が接続される。排水管Pは、処理水を排出するためのものである。排水管Pは、下水管(不図示)と接続される。処理水は、バイオガス化装置32で適宜処理され、排水管Pを介して下水へ流される。供給管P1は、後述するガスコジェネレーション装置36へバイオガスG1を案内するためのものである。供給管P1は、一端部がバイオガス化装置32に接続されると共に、他端部がガスコジェネレーション装置36に接続される。ガスホルダー32b内のバイオガスG1は、当該供給管P1へ供給される。このようなバイオガス化装置32におけるバイオガスG1の生成量は、所定のセンサ(不図示)により測定される。なお、専有部20からの有機性廃棄物(生ごみ)によりバイオガス化装置32で生成されたバイオガスG1の成分は、一般的に、メタン濃度が60%程度、二酸化炭素濃度が40%程度となる。以下では説明の便宜上、バイオガスG1の成分は、メタン濃度が60%、二酸化炭素濃度が40%であるものとする。但し、本発明においてバイオガスG1の成分は例示したものに限るものではなく、有機性廃棄物の種類に応じて適宜変動するものである。
【0037】
図2に示す除湿器33は、発酵槽32aで生成されたバイオガスG1を除湿するためのものである。除湿器33は、供給管P1に設けられる。
【0038】
脱硫器34は、除湿器33で除湿されたバイオガスG1から硫化水素を取り除くためのものである。脱硫器34は、供給管P1に設けられ、除湿器33よりも下流側(ガスコジェネレーション装置36側)に配置される。なお、脱硫器34で処理されたバイオガスG1は、脱硫器34の下流側に配置された所定のガスホルダー(不図示)に一旦貯留されてもよい。
【0039】
第一ブロア35は、供給管P1内のガスをガスコジェネレーション装置36へ供給するためのものである。第一ブロア35は、供給管P1に設けられ、脱硫器34よりも下流側に配置される。第一ブロア35は、上流側のガスを吸引し、下流側へ送風することができる。
【0040】
図1及び図2に示すガスコジェネレーション装置36は、ガスを消費する機器である。ガスコジェネレーション装置36は、ガスを燃焼させる発電機(不図示)を具備し、当該発電機を動作させることによって発電可能に構成される。また、ガスコジェネレーション装置36は、バイオガスを燃焼させて発電することを想定した、バイオガス対応のガスコジェネレーション装置となっている。ガスコジェネレーション装置36は、共用部10及びバイオガス化装置32と接続される。当該ガスコジェネレーション装置36は、発電した電力を共用部10へ供給することができる(図1に示す「給電」参照)。また、ガスコジェネレーション装置36は、ガスの燃焼によって発生した排熱をバイオガス化装置32へ供給することができる(図1に示す「熱供給」参照)。また、ガスコジェネレーション装置36は、ガスの燃焼によって発生した排気ガスG3を、所定の配管により外部へ排出可能に構成される。
【0041】
図2に示す混合弁37は、都市ガスG2及び希釈ガスを混合するためのものである。混合弁37には、ガス導管P2、排気管P3及び混合管P4が接続される。ガス導管P2は、都市ガスG2が流通する管である。ガス導管P2は、都市ガスG2の消費量を測定するメータMが中途部に設けられると共に、一端部が混合弁37と接続される。排気管P3は、ガスコジェネレーション装置36で発生した排気ガスG3が流通する管である。排気管P3は、排気ガスG3を外部へ排出する配管と、混合弁37とを接続する。混合管P4は、混合弁37で混合したガスが流通する管である。混合管P4は、供給管P1の中途部(脱硫器34及び第一ブロア35の間)と混合弁37とを接続する。
【0042】
混合弁37は、ガス導管P2からの都市ガスG2と、排気管P3からの排気ガスG3とを混合する。当該混合弁37は、例えば、排気ガスG3の圧力により適宜排気ガスG3の流量を調整するバルブにより構成される。ここで、都市ガスG2は、主としてメタンガスにより構成される。また、都市ガスG2の熱量は、バイオガスG1の熱量よりも高い。一方、排気ガスG3は、主として二酸化炭素ガスにより構成される。また、排気ガスG3の熱量は、都市ガスG2の熱量よりも低い。以下では説明の便宜上、都市ガスG2の成分は、メタン濃度が100%であるものとする。また、排気ガスG3の成分は、二酸化炭素濃度が100%であるものとする。また以下では、混合弁37で混合したガスを「第一の混合ガスG4」と称する。なお、都市ガスG2及び排気ガスG3の成分は、特に限定されるものではない。
【0043】
混合弁37では、都市ガスG2及び排気ガスG3を混合させる割合が予め設定されており、上述のような成分の都市ガスG2及び排気ガスG3を混合することで、第一の混合ガスG4のメタン濃度をバイオガスG1のメタン濃度(60%)と略同一の濃度とする。また、第一の混合ガスG4の二酸化炭素濃度をバイオガスG1の二酸化炭素濃度(40%)と略同一の濃度とする。こうして混合弁37は、都市ガスG2を排気ガスG3で希釈し(メタン濃度を下げ)、都市ガスG2よりも熱量が低い第一の混合ガスG4を生成する。当該第一の混合ガスG4の熱量は、バイオガスG1と同等の熱量となっている。このように、本実施形態の混合弁37は、排気ガスG3を希釈ガスとして利用する構成となっている。なお、バイオガスG1と同等の熱量とは、バイオガスG1と同一の熱量であるか、同一と考えられる程度に近い熱量を指す。具体的には、バイオガスG1と同等の熱量には、バイオガスG1と同一の熱量だけではなく、同一でなくともガスコジェネレーション装置36が安定して動作可能となるガスの熱量が含まれる。第一の混合ガスG4は、混合管P4を介して供給管P1側へ流通される。
【0044】
第二ブロア38は、排気管P3内のガスを混合弁37へ供給するためのものである。第二ブロア38は、排気管P3の中途部に設けられる。第二ブロア38は、上流側の排気ガスG3を吸引し、下流側(混合弁37側)へ送風することができる。
【0045】
逆止弁39は、混合管P4におけるガスの逆流(混合弁37側へのガスの流通)を防止するためのものである。逆止弁39は、混合管P4の中途部に設けられる。
【0046】
開閉弁40は、バイオガスG1及び第一の混合ガスG4を混合するためのものである。開閉弁40は、供給管P1と混合管P4との接続部分に設けられ、供給管P1を流通するバイオガスG1及び混合管P4を流通する第一の混合ガスG4を混合する。以下では、開閉弁40で混合されたガスを「第二の混合ガスG5」と称する。開閉弁40は、バイオガスG1及び第一の混合ガスG4の流量を調整することで、バイオガスG1に対する第一の混合ガスG4の混合量を調整することができる。こうして混合量が調整されて生成された第二の混合ガスG5には、バイオガスG1及び第一の混合ガスG4の割合が100:0のガス(第一の混合ガスG4の混合量が0である場合のガス)と、前記割合が0:100である場合のガスと、が含まれる。
【0047】
制御部41は、開閉弁40を制御するためのものである。制御部41は、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置等により構成される。制御部41は、プログラムや種々の情報を前記記憶装置に格納しており、当該プログラムや種々の情報を演算処理装置で読み込んで処理することで、混焼システム30の動作等を実行することができる。制御部41は、開閉弁40と電気的に接続される。制御部41は、開閉弁40に信号を送信することで開閉弁40を制御して、第一の混合ガスG4の混合量を調整することができる。また、制御部41は、バイオガスG1の生成量を測定するセンサと接続され、当該センサからの信号を受信してバイオガスG1の生成量を取得することができる(不図示)。また、制御部41は、ガスホルダー32b内のバイオガスG1の貯留量を測定するセンサと接続され、当該センサからの信号を受信してバイオガスG1の貯留量を取得することができる(不図示)。
【0048】
上述の如く構成される集合住宅1では、各専有部20で生じた有機性廃棄物(生ごみ等)がディスポーザ31へ投入される。当該有機性廃棄物は、ディスポーザ31で破砕されてバイオガス化装置32へ供給され、当該バイオガス化装置32でメタン発酵される。こうして生成されたバイオガスG1が供給管P1を介してガスコジェネレーション装置36へ導入されることで、有機性廃棄物を利用して発電することができる。
【0049】
ここで、各専有部20で生じた有機性廃棄物を利用して発電する場合、有機性廃棄物の量が日によってばらついてバイオガスG1の生成量が変動し、ひいてはガスコジェネレーション装置36での発電量が安定しなくなる可能性がある。そこで、本実施形態では、図3に示す混焼処理を行うことで、バイオガスG1の不足分を希釈した都市ガスG2で補って発電量の安定化を図っている。
【0050】
以下では、図2及び図3を参照し、混焼処理について説明する。
【0051】
混焼処理は、上述した発電量の安定化を図るための処理である。混焼処理は、制御部41によって常時実行される。混焼処理が実行されると、制御部41はまずステップS110の処理へ移行する。なお、以下では、第一の混合ガスG4の混合量が0(バイオガスG1及び第一の混合ガスG4を混合する割合が100:0)の状態でステップS110の処理へ移行したものとして、ステップS110以降の処理の内容を説明する。
【0052】
ステップS110において制御部41は、センサから取得したバイオガスG1の貯留量が閾値Q(m)よりも大きいか否かを判定する。閾値Qは、ガスコジェネレーション装置36が安定して動作可能なバイオガスG1の生成量に基づいて予め設定される。制御部41は、貯留量が閾値Qよりも大きい場合にステップS120の処理へ移行する。一方制御部41は、貯留量が閾値Q以下である場合にステップS130の処理へ移行する。
【0053】
ステップS120において制御部41は、第一の混合ガスG4の混合量を0にする。制御部41は、第一の混合ガスG4の混合量が0の状態でステップS120へ移行した場合、当該状態を維持する。こうして制御部41は、供給管P1にバイオガスG1(第二の混合ガスG5)を流通させ、第一ブロア35の動作により当該バイオガスG1をガスコジェネレーション装置36へ供給する。こうしてガスコジェネレーション装置36は、バイオガスG1が不足していない(バイオガスG1の貯留量が閾値Qよりも大きい)場合に、バイオガスG1を燃焼させて発電を行う。上述の如く、ガスコジェネレーション装置36で発電された電力は、共用部10へ供給される(図1参照)。また、燃焼によって発生した排熱は、バイオガス化装置32へ供給される。バイオガス化装置32では、当該排熱を発酵槽32aの加温に利用する。こうしてバイオガス化装置32は、排熱を用いてメタン発酵を行うことができる。制御部41は、ステップS120の処理が終了すると、ステップS140の処理へ移行する。
【0054】
一方、ステップS130において制御部41は、第一の混合ガスG4の混合量を0とは異なる値に調整する。制御部41は、第一の混合ガスG4の混合量が0の状態でステップS120へ移行した場合、開閉弁40に信号を送信し、前記混合量を0よりも大きくする。こうして制御部41は、図2に示すように、バイオガスG1が不足している(バイオガスG1の貯留量が閾値Q以下である)場合に供給管P1を介してバイオガスG1及び第一の混合ガスG4(第二の混合ガスG5)をガスコジェネレーション装置36へ供給し、当該バイオガスG1及び第一の混合ガスG4をガスコジェネレーション装置36で燃焼させる。これによって制御部41は、バイオガスG1が不足している場合にバイオガスG1のみでは不足するガスを、希釈した都市ガスG2で補って発電量の安定化を図ることができる。
【0055】
また、ステップS130において制御部41は、バイオガスG1の生成量からガスの不足量を算出し、当該不足量に相当する量の第一の混合ガスG4をバイオガスG1に混合させる。こうしてバイオガスG1の生成量に応じて第一の混合ガスG4の混合量を調整することで、バイオガスG1が不足していない場合(ステップS120)と同程度の電力をガスコジェネレーション装置36で発電することができる。これによって、発電量をより安定させることができる。また、燃焼によって発生した排熱は、バイオガス化装置32へ供給される。また、燃焼によって発生した排気ガスG3の一部は、排気管P3を介して混合弁37へ供給されて第一の混合ガスG4の生成に利用される。なお、制御部41は、バイオガスG1の生成量によっては、バイオガスG1及び第一の混合ガスG4を開閉弁40で混合する割合を0:100に変更する。この場合、バイオガスG1及び第一の混合ガスG4のうち、第一の混合ガスG4だけがガスコジェネレーション装置36へ供給されることとなる。図3に示すように、制御部41は、ステップS130の処理が終了すると、ステップS140の処理へ移行する。
【0056】
ステップS140において制御部41は、一定時間待機する。制御部41は、ステップS140の処理が終了すると、ステップS110の処理へ移行する。制御部41は、このようにして混焼処理を繰り返し実行し、バイオガスG1の貯留量及び生成量に応じて(ステップS110~S130)、第一の混合ガスG4の混合量を適宜変更する。
【0057】
制御部41は、第一の混合ガスG4でバイオガスG1の不足分を補う構成とすることで(ステップS130)、混焼システム30の設備を簡素化できる。これにより、混焼システム30を導入し易くすることができる。以下、その理由について説明する。
【0058】
一般的に、バイオガス化装置で生成されたバイオガスを利用する場合、原料負荷の条件によってバイオガスの生成量が変動するという問題がある。そこで、バイオガスを利用する場合、バイオガス単体ではなく、都市ガスに混合させて使用することが行われている。しかし、一般的にバイオガス及び都市ガスは成分や熱量が互いに異なるため、混合させる前にバイオガスに種々の処理を行って熱量等を都市ガスに近づける必要がある。以下では、例えば本実施形態におけるバイオガスG1の熱量等を都市ガスG2に近づけることを「バイオガスG1をアップグレードする」と称する。
【0059】
このようにバイオガスG1をアップグレードする場合、アップグレードしたバイオガスG1をガス導管P2に注入することとなる。この場合、ガス会社から要求される種々の条件を満たす必要がある。当該条件としては、バイオガスG1のメタン濃度及び熱量を所定の範囲の値とする、バイオガスG1に臭いを付ける、バイオガスG1を昇圧させる等がある。したがってバイオガスG1をアップグレードする場合、上記基準を満たすための種々の設備が必要となる。このように、バイオガスG1をアップグレードする場合、種々の設備に要するコストが増大すると共に、オペレーション及びメンテナンスが煩雑となる。このため、集合住宅1のような比較的小規模な建物に混焼システム30を導入し難くなる可能性がある。
【0060】
本実施形態では、バイオガスG1をアップグレードするのではなく、都市ガスG2の熱量等をバイオガスG1に近づける(以下、「ダウングレードする」と称する)手法を採用している。この場合、ガス導管P2にガスを注入しないため、バイオガスG1をアップグレードする場合にあるような基準が存在しない。したがってこの場合、上記基準を満たすための種々の設備が不要となる。これにより、バイオガスG1をアップグレードする場合と比較して、必要となる設備の数を減らしてコストを低減することができる。また、オペレーション及びメンテナンスを簡素化することもできる。また、設備の小型化を図ることもできる。これによって、集合住宅1のような比較的小規模の建物に混焼システム30を導入可能となる。
【0061】
また、混合弁37では、バイオガスG1と同等の熱量の第一の混合ガスG4を生成している。これにより、第一の混合ガスG4の混合量に関わらず、第二の混合ガスG5の熱量をバイオガスG1と同等にすることができる。したがって、バイオガスG1が不足していない場合と(ステップS120)、バイオガスG1が不足している場合と(ステップS130)で燃焼させるガスの熱量が同等となり、ガスコジェネレーション装置36の発電量のばらつきを抑制することができる。これにより、空燃比を調整することなく、ガスコジェネレーション装置36の動作の安定化を図ることができる。
【0062】
ここで、本実施形態におけるガスコジェネレーション装置36で発生した排気ガスG3の量は、混合弁37で都市ガスG2と混合するのに必要な希釈ガスの量よりも多くなる。したがって混合弁37は、ガスコジェネレーション装置36が動作して排気ガスG3が発生すれば、当該排気ガスG3を希釈ガスとして第一の混合ガスG4を生成できる。これにより、排気ガスG3の不足分を補う設備(希釈ガスが貯留されたタンク等)が設置不要となり、構成の簡素化を図ることができる。また、排気ガスG3の不足分を補う設備を設置することなく混合弁37で常時第一の混合ガスG4を生成可能となり、当該第一の混合ガスG4を用いて第二の混合ガスG5も常時生成可能となる。こうして構成の簡素化を図ると共に、ガスコジェネレーション装置36を常時動作させて共用部10へ常時電力を供給することができる。
【0063】
また、バイオガス化装置32は、地中に設置されている。これにより、外気の影響で発酵槽32aが冷えるのを抑制でき、ひいては発酵槽32aを加熱するのに要するエネルギーを抑制することができる。
【0064】
以上の如く、本実施形態に係る混焼システム30は、有機性廃棄物を破砕するディスポーザ31(破砕機)と、前記ディスポーザ31で破砕した有機性廃棄物からバイオガスG1を生成するバイオガス化装置32と、所定の希釈ガス及び都市ガスG2を混合して前記都市ガスG2よりも熱量が低い第一の混合ガスG4を生成する混合弁37(第一の混合部)と、前記バイオガス化装置32により生成された前記バイオガスG1及び前記第一の混合ガスG4を混合し、第二の混合ガスG5を生成する開閉弁40(第二の混合部)と、を具備するものである。
【0065】
このように、バイオガスG1をアップグレードするのではなく、混合弁37で都市ガスG2を希釈ガスと混合してダウングレードすることで、バイオガスG1の不足分を補う設備の簡素化を図ることができる。これにより、混焼システム30を容易に導入することができる。
【0066】
また、前記混合弁37は、前記バイオガスG1と熱量が同等となるように前記第一の混合ガスG4を生成するものである。
【0067】
このように構成することにより、ガスを消費する機器(ガスコジェネレーション装置36)の動作の安定化を図ることができる。
【0068】
また、前記開閉弁40は、前記バイオガス化装置32により生成されたバイオガスG1の生成量又は貯留量の少なくともいずれか(本実施形態では生成量及び貯留量のそれぞれ)に応じて、前記第一の混合ガスG4の混合量を調整可能である(ステップS110~S130)。
【0069】
このように構成することにより、バイオガスG1に第一の混合ガスG4を適切に混合することができる。
【0070】
また、前記混焼システム30は、前記第二の混合ガスG5を消費することにより発電可能なガスコジェネレーション装置36(ガス消費機器)をさらに具備するものである。
【0071】
このように構成することにより、バイオガスG1で電力を消費する機器を動作可能となり、利便性を向上させることができる。
【0072】
また、前記混合弁37は、前記ガスコジェネレーション装置36から発生する排気ガスG3を前記希釈ガスとして用いるものである。
【0073】
このように構成することにより、排気ガスG3を有効に活用することができる。
【0074】
また、前記バイオガス化装置32は、前記ガスコジェネレーション装置36から発生する排熱を用いて前記有機性廃棄物をメタン発酵させることにより、前記バイオガスG1を生成するものである。
【0075】
このように構成することにより、ガスコジェネレーション装置36で生じた排熱を有効に活用することができる。
【0076】
また、前記ガスコジェネレーション装置36により発電した電力が、集合住宅1の共用部10に供給されるものである。
【0077】
このように構成することにより、共用部10の電気代を低減することができる。
【0078】
また、前記ディスポーザ31は、集合住宅1の各専有部20(各住戸)にそれぞれ設置されるものである。
【0079】
このように構成することにより、各専有部20で発生した有機性廃棄物(生ごみ等)を有効に活用することができる。
【0080】
なお、本実施形態に係るディスポーザ31は、本発明に係る破砕機の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る混合弁37は、本発明に係る第一の混合部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る開閉弁40は、本発明に係る第二の混合部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るガスコジェネレーション装置36は、本発明に係るガス消費機器の実施の一形態である。
【0081】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0082】
例えば、混焼システム30は、集合住宅1に導入されるものとしたが、混焼システム30の導入対象は特に限定されるものではなく、有機性廃棄物が発生する種々の建物に導入可能である。具体的には、混焼システム30は、宿泊施設、商業施設、教育施設、医療施設、介護施設、食品加工工場、セントラルキッチン及び農業施設等に導入可能である。また、ディスポーザ31の設置場所は、各専有部20に限るものではなく、混焼システム30が導入される建物に応じて適宜変更可能である。
【0083】
また、混焼システム30は、導入される建物(施設)で生じる有機性廃棄物の種類に応じて、混合弁37での混合量(都市ガスG2及び排気ガスG3を混合する割合)を変更してもよい。具体的には、建物に応じて有機性廃棄物の種類は異なるものとなる。例えば、本実施形態のような集合住宅1や宿泊施設等では、主に生ごみが有機性廃棄物となるのに対し、農業施設等では、主に家畜糞尿等が有機性廃棄物となる。バイオガス化装置32で生成されるバイオガスG1の成分は、このような有機性廃棄物の違いにより変動する。具体的には、生ごみから生成されたバイオガスG1の成分は、一般的にメタン濃度が60%程度であると共に、二酸化炭素濃度が40%程度となる。これに対し、家畜糞尿から生成されたバイオガスG1の成分は、一般的に生ごみの場合よりもメタン濃度が低くなる。
【0084】
そこで、予め有機性廃棄物の種類を調査し、当該調査結果に応じて混合弁37での混合量を予め調整してもよい。これにより、有機性廃棄物(混焼システム30を導入する建物)に応じて適切な熱量の第一の混合ガスG4を生成することができる。
【0085】
また、例えば、供給管P1にバイオガスG1の濃度を測定するセンサを設け、当該センサの検出結果に応じて混合弁37での混合量をリアルタイムに調整してもよい。これにより、バイオガス化装置32でトラブル等が発生してバイオガスG1の成分(メタン濃度)が想定していた成分とは異なるものとなった場合でも、混合弁37での混合量を調整してガスコジェネレーション装置36へ供給する第二の混合ガスG5の成分を適切なものとすることができる。
【0086】
また、バイオガス化装置32は、地中に設置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、地上に設置されていてもよい。
【0087】
また、ガスコジェネレーション装置36から共用部10へ電力が供給されるものとしたが、電力の供給先は特に限定されるものではない。例えば、ガスコジェネレーション装置36から専有部20へ電力が供給されてもよい。
【0088】
また、ガスコジェネレーション装置36は、1台だけ設置されるものとしたが、必要となる電力量等によっては、複数台設置されるものであってもよい。
【0089】
また、ガスコジェネレーション装置36からバイオガス化装置32へ排熱が供給されるものとしたが、排熱の供給先は特に限定されるものではない。
【0090】
また、混焼システム30では、第二の混合ガスG5等で発電が行われるものとしたが、第二の混合ガスG5等をどのように消費するのかは特に限定されるものではない。したがって、混焼システム30では、例えば、第二の混合ガスG5をガスボイラーやガスコンロの燃料として消費してもよい。
【0091】
また、混焼システム30では、排気管P3に第二ブロア38が設けられるものとしたが、混合弁37で都市ガスG2及び排気ガスG3を適切に混合可能であれば、必ずしも第二ブロア38が設けられる必要はない。
【0092】
また、混焼システム30では、混合管P4に逆止弁39が設けられるものとしたが、バイオガスG1及び第一の混合ガスG4の圧力の関係上、混合管P4をガスが逆流しないのであれば、必ずしも逆止弁39が設けられる必要はない。
【0093】
また、混合弁37では、ガスコジェネレーション装置36の排気ガスG3が都市ガスG2と混合されるものとしたが、都市ガスG2と混合される希釈ガスは、都市ガスG2よりも熱量が低ければ、特に限定されるものではない。また、混合弁37では、バイオガスG1の成分と一致するように都市ガスG2及び排気ガスG3が混合されたが、第一の混合ガスG4の熱量をバイオガスG1の熱量と同等に調整する手法は、特に限定されるものではない。例えば、第一の混合ガスG4は、ガスコジェネレーション装置36が安定して動作可能な熱量に調整されていれば、都市ガスG2及び排気ガスG3の割合(成分)がバイオガスG1と一致しなくてもよい。また、第一の混合ガスG4は、都市ガスG2及び希釈ガス(排気ガスG3)に加えて、別のガスが混合されることで、熱量が同等に調整されてもよい。
【0094】
また、第一の混合ガスG4の熱量は、バイオガスG1と同等の熱量であったが、これに限定されるものではなく、任意に設定することができる。
【0095】
また、第一の混合ガスG4の混合量は、バイオガスG1の生成量及び貯留量に応じて調整されるものとしたが、混合量を調整する基準は、これに限るのではなく、例えば、バイオガスG1の生成量又は貯留量のいずれか一方であってもよい。また、混合量を調整する基準は、バイオガスG1の生成量及び貯留量とは異なる情報であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
30 混焼システム
31 ディスポーザ(破砕機)
32 バイオガス化装置
37 混合弁(第一の混合部)
39 開閉弁(第二の混合部)
G1 バイオガス
G2 都市ガス
G3 排気ガス(希釈ガス)
G4 第一の混合ガス
G5 第二の混合ガス
図1
図2
図3