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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179933
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】河川改修方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/02 20060101AFI20221129BHJP
   E02B 9/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
E02B3/02 Z
E02B9/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086755
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】591165355
【氏名又は名称】常田 幸
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】常田 幸
(57)【要約】
【課題】河川及びその支流の氾濫をより効果的に抑制することができる河川改修方法を提案する。
【解決手段】河川改修方法は、低水敷1と高水敷2と堤防3とを備えた河川4を改修する方法である。この河川改修方法では、低水敷1の幅方向の一部の底面を掘削して、前記一部に低水敷1の幅方向の他部よりも深い水路部5を形成し、掘削により生じた掘削物を堤防3の外側へ搬送する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低水敷と高水敷と堤防とを備えた河川を改修する河川改修方法であって、
前記低水敷の幅方向の一部の底面を掘削して、前記一部に前記低水敷の幅方向の他部よりも深い水路部を形成し、
掘削により生じた掘削物を前記堤防の外側へ搬送する、
ことを特徴とする河川改修方法。
【請求項2】
前記低水敷の底面の掘削は、
前記低水敷の長さ方向に移動しながら前記低水敷の底面の掘削を自動的に行う掘削装置で行い、
前記掘削物の搬送は、
前記掘削物を前記低水敷から前記堤防上まで自動的に搬送する搬送装置で行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の河川改修方法。
【請求項3】
前記河川に合流する支流への逆流を抑える逆流抑制装置を、前記河川に設置する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の河川改修方法。
【請求項4】
前記水路部に、前記水路部の水面よりも下方に位置するように、水力発電装置を設置する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の河川改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、河川改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、市街地を流れる河川の改修工法が記載されている。この改修工法では、クレーンに取り付けた掘削用のバケットで河床の幅方向の全体を掘削して、河川の流量増を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-31935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、市街地を流れる河川(つまり支流)の数は1本に限らない。そのため、上述した特許文献1に記載の改修工法で、複数の支流のそれぞれに対して改修工事を行うのは、非常に時間がかかる。
【0005】
上記事情に鑑みて、本開示は、河川及びその支流の氾濫をより効果的に抑制することができる河川改修方法を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る一態様の河川改修方法は、低水敷と高水敷と堤防とを備えた河川を改修する方法である。この河川改修方法では、前記低水敷の幅方向の一部の底面を掘削して、前記一部に前記低水敷の幅方向の他部よりも深い水路部を形成し、掘削により生じた掘削物を前記堤防の外側へ搬送する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る一態様の河川改修方法によれば、河川及びその支流の氾濫をより効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1A図1Bは、本開示に係る実施形態1の河川改修方法を施工順に概略的に示す図である。
図2図2A図2Bは、同上の河川改修方法であって、図1Bの後の工程を施工順に概略的に示す図である。
図3図3は、同上の河川改修方法によって改修された河川を概略的に示す図である。
図4図4Aは、同上の河川改修方法で用いられる掘削装置及び搬送装置の一例を概略的に示す側面図であり、図4Bは、同上の掘削装置及び搬送装置の一例を概略的に示す平面図である。
図5図5Aは、本開示に係る実施形態2の河川改修方法によって改修された河川を概略的に示す図であり、図5Bは、同上の河川の変形例を概略的に示す図である。
図6図6は、本開示に係る実施形態3の河川改修方法によって改修された河川を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
1.概要
図1から図3に示す実施形態1の河川改修方法は、低水敷1と高水敷2と堤防3とを備えた河川4を改修する河川改修方法である。この河川改修方法は、低水敷1の幅方向の一部の底面を掘削して、前記一部に低水敷1の幅方向の他部よりも深い水路部5を形成し、掘削により生じた掘削物を堤防3の外側へ搬送する。
【0010】
上記構成を備える実施形態1の河川改修方法では、低水敷1、高水敷2、及び堤防3を備える河川4、つまり、比較的幅の広い河川4において、低水敷1の幅方向の一部の底面を掘削し、掘削物を堤防3の外側へ搬送することで、河川4の最大流量(つまり堤防3を越える直前の流量)を増加させることができる。これにより、実施形態1の河川改修方法では、河川4に合流する各支流に河川4の水が逆流することを抑制できて、各支流の氾濫を抑えることができ、支流毎に改修工事を行う必要が無くて、河川4及びその支流の氾濫をより効果的に抑制することができる。
【0011】
2.詳細
続いて、図1から図3に示す実施形態1の河川改修方法について更に詳しく説明する。以下では、河川4の幅方向(つまり水平方向のうち河川の水が流れる方向に対して直交する方向)を左右方向とし、河川4の深さ方向を上下方向として、各構成について詳しく説明する。図1Aは、改修前の河川4の構造を概略的に示している。
【0012】
河川4は、少なくとも1つの支流10が合流した比較的幅の広い河川である。河川4は、低水敷1と高水敷2と堤防3とを備える。低水敷1(言い換えると低水路)は、平常時、水が流れる部分であり、高水敷2は、洪水時にのみ水が流れる部分である。
【0013】
本実施形態の河川改修方法は、過去に氾濫した又は氾濫するおそれのあった河川4に対して行われる。河川4は、例えば、水源から河口まで延びる本川や、本川に直接合流する一次支川である。
【0014】
本実施形態の河川改修方法は、準備工程、掘削工程、及び護岸工程を備える。
【0015】
準備工程では、まず、図1Bに示すように、河川4の低水敷1の幅方向の一部を、鋼矢板等の堰11で堰き止めて、掘削予定の箇所への水の流入を抑制する。
【0016】
掘削工程では、図2Aに示すように、低水敷1の底面の掘削と、掘削により生じた掘削物の搬送を行う。低水敷1の底面の掘削は、低水敷1の長さ方向に移動しながら低水敷1の底面の掘削を自動的に行う掘削装置7で行う。掘削物の搬送は、掘削物を低水敷1から堤防3上まで自動的に搬送する搬送装置8で行う。
【0017】
低水敷1の幅方向の一部の底面を掘削することで、低水敷1の幅方向の一部には、図2Bに示すように、低水敷1の幅方向の他部よりも深い水路部5が形成される。これにより、低水敷1の幅方向の前記一部を除いた残りの部分には、水路部5よりも浅い第二水路部6が形成される。低水敷1のうち、掘削された部分が、水路部5であり、掘削されていない部分が、第二水路部6である。水路部5の底面50は、第二水路部6の底面60よりも下方に位置する。
【0018】
水路部5の幅と深さは、過去の河川4の水位変化のデータと、ドローンによる河川4の撮影データ等を基にして、コンピュータシミュレーションにより算出する。
【0019】
護岸工程では、水路部5の底面50と両岸に、コンクリートブロック張り等を行って、水路部5の底面50と両岸の護岸を行う。護岸工程が終了したら、低水敷1から堰11を取り除く。
【0020】
図3には、本実施形態の河川改修方法によって改修された改修後の河川4が示されている。改修後の河川4では、低水敷1を流れる最大流量が増加しており、これにより、河川4の最大流量が増加している。
【0021】
図4A及び図4Bには、本実施形態の河川改修方法で用いられる掘削装置7と搬送装置8の一例が示されている。
【0022】
掘削装置7は、自動で移動しながら低水敷1の底面を自動で掘削する装置である。本実施形態では、掘削装置7は、低水敷1の底面上を走行可能な走行部70と、低水敷1の底面を掘り上げる掘削部71と、掘削部71で掘り上げた掘削物(詳しくは土砂)を搬送する搬送部72と、を有する。
【0023】
走行部70は、例えば、無限軌道(キャタピラー(登録商標))で構成されている。掘削部71は、先端に掘削用の刃710が設けられたバケットで構成されている。搬送部72は、ベルトコンベアで構成されている。搬送部72は、掘削部71から遠い部分ほど上方に位置するように傾斜している。
【0024】
掘削装置7は更に、走行部70と搬送部72の駆動を制御する制御部(図示せず)と、外部との間で無線通信を行う無線通信機と、掘削装置7の位置データを測定するGPS(Global Positioning System)装置と、を有する。掘削装置7は、外部から送信された制御信号を無線通信機が受信し、この制御信号が制御部に送られることで、制御部が走行部70及び搬送部72を制御する。これにより、掘削装置7は、人が乗らなくても、走行、掘削、及び搬送を自動的に行うことが可能である。
【0025】
搬送装置8は、自動で移動しながら掘削物を自動で搬送する装置である。本実施形態では、搬送装置8は、図2A図4A及び図4Bに示すように、高水敷2上を走行可能な走行部80と、掘削装置7の搬送部72で搬送された掘削物を受けて搬送する搬送部81と、を有する。
【0026】
走行部80は、例えば、無限軌道(キャタピラー(登録商標))で構成されている。搬送部81は、ベルトコンベアで構成されている。搬送部81は、低水敷1から堤防3上まで掘削物を搬送できるように、搬送方向における下流側の部分ほど上方に位置している。
【0027】
搬送装置8は更に、走行部80と搬送部81の駆動を制御する制御部(図示せず)と、外部との間で無線通信を行う無線通信機と、搬送装置8の位置データを測定するGPS(Global Positioning System)装置と、を有する。搬送装置8は、外部から送信された制御信号を無線通信機が受信し、この制御信号が制御部に送られることで、制御部が走行部80及び搬送部81を自動的に制御する。これにより、搬送装置8は、人が乗らなくても、走行及び搬送を自動的に行うことが可能である。
【0028】
制御部は、掘削装置7の搬送部72と搬送部81との位置関係が所定の関係を維持するように、走行部80を制御する。本実施形態では、掘削装置7の搬送部72の搬送方向における下流側の端部の下方に、搬送装置8の搬送部81の搬送方向における上流側の端部が位置するように、制御部が走行部80の速度及び方向を制御する。
【0029】
本実施形態の河川改修方法では、搬送装置8の搬送部81によって搬送された掘削物を受けて搬送する第二搬送装置9が更に用いられる。第二搬送装置9は、搬送装置8と同様の装置であり、走行部90、搬送部91、制御部、無線通信機、及びGPS装置を備える。
【0030】
第二搬送装置9は、搬送装置8の搬送部81の搬送方向における下流側の端部が、第二搬送装置9の搬送部91の上方に位置するように、堤防3上に設置される。第二搬送装置9は、搬送装置8の移動に合わせて、堤防3上を自動で走行可能である。
【0031】
本実施形態の河川改修方法では、第二搬送装置9の搬送部91によって搬送された搬送物は、トラック12の荷台で受けられて、トラック12によって搬送される。
【0032】
以上説明した本実施形態の掘削装置7、搬送装置8及び第二搬送装置9によれば、掘削装置7で掘削した搬送物を、搬送装置8,9によってトラック12の荷台まで自動的に搬送することができる。
【0033】
3.作用効果
以上説明した本実施形態の河川改修方法によれば、過去の水位変化データに基づいて幅及び深さが設定された深い水路部5が、低水敷1に形成されるため、河川4の最大流量を増大させることができる。
【0034】
ここで、本実施形態の河川改修方法によって改修される河川4は、複数の支流が合流する比較的幅広の河川であるため、河川4の最大流量を増加させることで、河川4から各支流への逆流を抑制することができ、その結果、各支流での氾濫も抑制することができる。そのため、各支流のそれぞれにおいて、改修工事を行わなくても良くて、河川4及び各支流の氾濫をより効果的に抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態の河川改修方法によれば、低水敷1には、低水敷1の幅方向の一部にのみ深い水路部5が形成されるため、水路部5よりも浅い第二水路部6では、魚等が従来どおり生息しやすい。
【0036】
また、本実施形態の河川改修方法によれば、掘削装置7と搬送装置8,9によって、低水敷1の底面を自動的に掘削し、掘削により生じた掘削物を堤防3上に自動的に搬送することができる。そのため、本実施形態の河川改修方法によれば、例えば、1日中、つまり、1日のうち24時間の間ずっと、掘削工事及び掘削物の搬送を行うことができて、改修工事にかかる日数を抑えやすい。
【0037】
4.変形例
続いて、上述した実施形態1の河川改修方法の変形例について説明する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0038】
掘削装置7及び搬送装置8は、図4A及び図4Bに示す装置に限らず、その他の装置であってもよい。例えば、掘削装置7は、使用者が搭乗して運転する油圧ショベルであってもよい。また、搬送装置8は、使用者が搭乗して運転するトラックであってもよい。
【0039】
また、掘削装置7と搬送装置8とは、一体に設けられた1つの装置であってもよい。また、本実施形態の河川改修方法は、第二搬送装置9を用いなくてもよく、搬送装置8で搬送された掘削物をトラック12で受けてもよい。
【0040】
また、低水敷1は、図1に示すような、幅方向の全体に水が流れる水路に限らず、幅方向の一部に水が流れる水路であってもよい。この場合、水路部5は、低水敷1における、平常時に水が流れる水路(いわゆる低低水路)に形成してもよいし、低水敷1における、増水時にのみ水が流れる部分に形成してもよい。水路部5を、低水敷1における増水時にのみ水が流れる部分に形成する場合、準備工程(つまり堰11の設置)を省略できる。
【0041】
(実施形態2)
続いて、図5Aに示す実施形態2の河川改修方法について説明する。以下では、実施形態2の河川改修方法について、実施形態1の河川改修方法とは異なる部分のみ詳しく説明する。
【0042】
実施形態2の河川改修方法は、実施形態1の河川改修方法の、準備工程、掘削工程、及び護岸工程に加えて、逆流抑制装置13の設置工程を備える。
【0043】
設置工程では、河川4に、河川4から支流10への逆流を抑制する逆流抑制装置13が設置される。
【0044】
逆流抑制装置13は、河川4と支流10とが合流する箇所に設置される。
【0045】
図5Aに示す逆流抑制装置13は、中空の箱体130と、箱体130の内部に配置された弁体131と、弁体131の上端部を箱体130に対して回転可能に取り付ける回転軸132と、を備える。箱体130は、支流10からの水が流れ込む流入口133と、箱体130内の水が流れ出る流出口134とを有する。流入口133は、支流10に向けて開口しており、流出口134は、河川4の下流側(河川4の水の流れる方向)に向けて開口している。
【0046】
この逆流抑制装置13では、平常時(非増水時)には、支流10からの水が流入口133を通じて箱体130内に流れ込み、この流れ込んだ水によって弁体131が押されることで、弁体131が回転軸132を中心に回転して、箱体130内の弁体131の下方の流路が広がり、支流10の水が箱体130の内部を通じて河川4へと流れる。なお、平常時には、河川4の水は、流出口134を通じて箱体130内へ流入しにくい。
【0047】
またこの逆流抑制装置13では、河川4の増水時には、河川4の水が流出口134を通じて箱体130内に流れ込み、弁体131が押し下げられ、箱体130内の弁体131の下方の流路が狭まる。なおこのとき、箱体130内の弁体131の下方の流路は、完全には閉塞されない。これにより、河川4の水が箱体130内を通じて支流10へと逆流することを抑制できるうえ、支流10の水は箱体130内を通じて河川4へと流れることができる。
【0048】
また、逆流抑制装置13は、図5Aに示す構造に限定されない。逆流抑制装置13は、図5Bに示すように、中空の箱体130と、箱体130の内部に設置された内部水車135と、箱体130の外部に設置された外部水車136と、内部水車135と外部水車136をつなぐ回転軸137と、を備えてもよい。回転軸137は、箱体130によって回転可能に支持されており、内部水車135と外部水車136とは一体に回転する。
【0049】
この逆流抑制装置13では、平常時には、河川4の水の流れによって外部水車136が回転し、箱体130内の内部水車135が外部水車136と同方向に回転する。これにより、箱体130の流入口133に流入した支流10の水が、箱体130内を通過して、河川4へと流れる。またこの逆流抑制装置13では、増水時にも、河川4の水の流れによって外部水車136が回転し、箱体130内の内部水車135が外部水車136と同方向に回転する。流出口134から箱体130内へと流入した河川4の水は、内部水車135の回転によって内部水車135よりも上流側へと流れることが抑制され、これにより、支流10への逆流を抑制することができる。なおこのとき、流入口133に流入した支流10の水は、内部水車135によって流出口134側へと流されて、河川4に流れ込むことができる。
【0050】
以上説明した実施形態2の河川改修方法では、河川4の増水時に、河川4から支流10への逆流を逆流抑制装置13によって抑制することができて、支流10の氾濫をより抑えやすい。
【0051】
また、実施形態2の河川改修方法は、上述した実施形態1の河川改修方法の変形例を適宜採用可能である。
【0052】
また、実施形態2の河川改修方法で用いる逆流抑制装置13は、図5A及び図5Bに示す構造に限らず、河川4から支流10への逆流を抑制できる装置であれば、その他の構造であってもよい。
【0053】
(実施形態3)
続いて、図6に示す実施形態3の河川改修方法について説明する。以下では、実施形態3の河川改修方法について、実施形態1の河川改修方法とは異なる部分のみ詳しく説明する。
【0054】
実施形態3の河川改修方法は、実施形態1の河川改修方法の、準備工程、掘削工程、及び護岸工程に加えて、水力発電装置14の設置工程を備える。
【0055】
設置工程では、河川4のうち、水路部5に水力発電装置14が設置される。水力発電装置14は、水路部5の水面よりも低く位置する。水力発電装置14は、水路部5を流れる水によって水力発電を行う装置である。水力発電装置14としては、周知の装置が利用可能である。水路部5には、水路部5の長さ方向(水が流れる方向)に沿って、複数の水力発電装置14が設置される。
【0056】
以上説明した実施形態3の河川改修方法では、水路部5を水力発電用の流路として利用することができるうえ、水力発電装置14は水路部5の水面よりも下方に位置して露出しにくいため、水力発電装置14の設置による河川4の外観の悪化を抑制することができる。
【0057】
また、実施形態3の河川改修方法は、上述した実施形態1の河川改修方法の変形例を適宜採用可能である。
【0058】
また、実施形態3の河川改修方法は、実施形態2の河川改修方法のように、逆流抑制装置13を設置する設置工程を更に備えてもよい。
【0059】
(まとめ)
以上説明した実施形態1から3及びその変形例のように、第一態様の河川改修方法は、下記の構成を備える。
【0060】
すなわち、第一態様の河川改修方法は、低水敷1と高水敷2と堤防3とを備えた河川4を改修する河川改修方法である。この河川改修方法は、低水敷1の幅方向の一部の底面を掘削して、前記一部に低水敷1の幅方向の他部よりも深い水路部5を形成し、掘削により生じた掘削物を堤防3の外側へ搬送する。
【0061】
上記構成を備える第一態様の河川改修方法では、低水敷1、高水敷2、及び堤防3を備える河川4、つまり、比較的幅の広い河川4において、低水敷1の幅方向の一部の底面を掘削し、掘削物を堤防3の外側へ搬送することで、河川4の最大流量(つまり堤防3を越える直前の流量)を増加させることができる。これにより、第一態様の河川改修方法では、河川4に合流する各支流に河川4の水が逆流することを抑制できて、各支流の氾濫を抑えることができ、支流毎に改修工事を行う必要が無くて、河川4及び各支流の氾濫をより効果的に抑制することができる。
【0062】
また、上述した実施形態1から3及びその変形例のように、第二態様の河川改修方法は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0063】
すなわち、第二態様の河川改修方法では、低水敷1の底面の掘削は、低水敷1の長さ方向に移動しながら低水敷1の底面の掘削を自動的に行う掘削装置7で行い、掘削物の搬送は、掘削物を低水敷1から堤防3上まで自動的に搬送する搬送装置8で行う。
【0064】
上記構成を備える第二態様の河川改修方法では、掘削装置7と搬送装置8によって、低水敷1の底面の掘削と、掘削物の搬送を自動的に行うことができる。そのため、第二態様の河川改修方法では、河川4の改修にかかる日数を抑えることができて、より迅速に、河川4及び各支流の氾濫を抑制することができる。
【0065】
また、上述した実施形態2及びその変形例のように、第三態様の河川改修方法は、第一又は第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0066】
すなわち、第三態様の河川改修方法では、河川4に合流する支流への逆流を抑える逆流抑制装置13を、河川4に設置する。
【0067】
上記構成を備える第三態様の河川改修方法では、逆流抑制装置13によって河川4から支流への逆流を抑えることができるため、支流における氾濫をより防ぎやすい。
【0068】
また、上述した実施形態3及びその変形例のように、第四態様の河川改修方法は、第一から第三のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0069】
すなわち、第四態様の河川改修方法では、水路部5に、水路部5の水面よりも下方に位置するように、水力発電装置14を設置する。
【0070】
上記構成を備える第四態様の河川改修方法では、低水敷1に形成した水路部5を、水力発電用の流路をして有効に利用できるうえ、水力発電装置14は水路部5の水面よりも下方に位置して露出しにくいため、河川4の外観の悪化を抑制することができる。
【0071】
以上、本開示を添付図面に示す形態に基づいて説明したが、本開示は上記の形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 低水敷
2 高水敷
3 堤防
4 河川
5 水路部
7 掘削装置
8 搬送装置
10 支流
13 逆流抑制装置
14 水力発電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6