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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179967
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ロボットハンド
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086813
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若山 達大
(72)【発明者】
【氏名】内田 雄之
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707ES03
3C707ET03
3C707ET08
3C707EV02
3C707EV18
3C707EW01
3C707KS28
3C707KS34
3C707KT01
3C707KT06
3C707MT08
(57)【要約】
【課題】様々な種類の作業を行わせることができるロボットハンドを提供する。
【解決手段】ロボットハンドは、先端に第1突出部を有する第1基端側指と、前記第1基端側指に対して相対回転可能に接続され、かつ、前記第1突出部が通過可能な第1切り欠きを有する第1先端側指と、先端に第2突出部を有する第2基端側指と、前記第2基端側指に対して相対回転可能に接続され、かつ、前記第2突出部が通過可能な第2切り欠きを有する第2先端側指と、前記第1基端側指に対して前記第2基端側指を相対移動させる開閉駆動部と、前記第1基端側指に対して前記第1先端側指を相対回転させる第1回転駆動部と、前記第2基端側指に対して前記第2先端側指を相対回転させる第2回転駆動部と、前記開閉駆動部、前記第1回転駆動部および前記第2回転駆動部を作動させる制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に第1突出部を有する第1基端側指と、
前記第1基端側指に対して相対回転可能に接続され、かつ、前記第1突出部が通過可能な第1切り欠きを有する第1先端側指と、
先端に第2突出部を有する第2基端側指と、
前記第2基端側指に対して相対回転可能に接続され、かつ、前記第2突出部が通過可能な第2切り欠きを有する第2先端側指と、
前記第1基端側指に対して前記第2基端側指を相対移動させる開閉駆動部と、
前記第1基端側指に対して前記第1先端側指を相対回転させる第1回転駆動部と、
前記第2基端側指に対して前記第2先端側指を相対回転させる第2回転駆動部と、
前記開閉駆動部、前記第1回転駆動部および前記第2回転駆動部を作動させる制御部と、
を備えるロボットハンド。
【請求項2】
前記第1基端側指は、前記第2基端側指に対向する平面である第1基端側指腹面を有し、
前記第2基端側指は、前記第1基端側指に対向し、かつ、前記第1基端側指腹面に平行な平面である第2基端側指腹面を有し、
前記開閉駆動部は、前記第1基端側指腹面と前記第2基端側指腹面とを平行に保ったまま、前記第2基端側指に対して前記第1基端側指を、前記第1基端側指腹面に直交する方向に相対移動させる、
請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記第1先端側指は、前記第1突出部が前記第1切り欠きの中に位置するときに、前記第1基端側指腹面と同一平面を構成する平面である第1先端側指腹面を有し、
前記第2先端側指は、前記第2突出部が前記第2切り欠きの中に位置するときに、前記第2基端側指腹面と同一平面を構成する平面である第2先端側指腹面を有する、
請求項2に記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記制御部は、前記開閉駆動部を作動させることにより、前記第1突出部と前記第2突出部との間に前記対象物を挟んだ状態で、前記第1回転駆動部を作動させることにより、前記第1先端側指腹面を前記対象物に接触させると共に、前記第1先端側指によって前記対象物を他の対象物に向けて押しつける、
請求項3に記載のロボットハンド。
【請求項5】
前記制御部は、前記開閉駆動部を作動させることにより、前記第1突出部と前記第2突出部との間に前記対象物を挟んだ状態で、前記第1回転駆動部を作動させることにより、前記第1先端側指腹面を前記対象物に接触させると共に、前記第1先端側指によって前記対象物を押圧する、
請求項3に記載のロボットハンド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のロボット技術の進歩により、工業製品の製造現場におけるロボットシステムを用いた自動化が進んでいる。ロボットシステムを構成するロボットハンドの例が特許文献1に開示されている。このロボットハンドは、対象物の形状や大きさ、重さに応じて複数種類の指を使い分ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-240422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つのロボットハンドに様々な種類の作業を行わせることが求められている。本開示は、様々な種類の作業を行わせることができるロボットハンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係るロボットハンドは、先端に第1突出部を有する第1基端側指と、前記第1基端側指に対して相対回転可能に接続され、かつ、前記第1突出部が通過可能な第1切り欠きを有する第1先端側指と、先端に第2突出部を有する第2基端側指と、前記第2基端側指に対して相対回転可能に接続され、かつ、前記第2突出部が通過可能な第2切り欠きを有する第2先端側指と、前記第1基端側指に対して前記第2基端側指を相対移動させる開閉駆動部と、前記第1基端側指に対して前記第1先端側指を相対回転させる第1回転駆動部と、前記第2基端側指に対して前記第2先端側指を相対回転させる第2回転駆動部と、前記開閉駆動部、前記第1回転駆動部および前記第2回転駆動部を作動させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、様々な種類の作業を行わせることができるロボットハンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の状態におけるロボットハンドの斜視図及び正面図
図2】第2の状態におけるロボットハンドの斜視図及び正面図
図3】第3の状態におけるロボットハンドの斜視図及び正面図
図4】対象物を把持している状態のロボットハンドの斜視図及び正面図
図5】対象物を把持している状態のロボットハンドの斜視図及び正面図
図6】対象物を把持している状態のロボットハンドの斜視図及び正面図
図7】シール貼りの際の動作を説明するためのロボットハンドの周囲の側面図及び斜視図
図8】シール貼りの際の動作を説明するためのロボットハンドの周囲の側面図及び斜視図
図9】シール貼りの際の動作を説明するためのロボットハンドの周囲の側面図及び斜視図
図10】シール貼りの際の動作を説明するためのロボットハンドの周囲の側面図及び斜視図
図11】シール貼りの際の動作を説明するためのロボットハンドの周囲の側面図及び斜視図
図12】シール貼りの際の動作を説明するためのロボットハンドの周囲の側面図及び斜視図
図13】シール貼りの際の動作を説明するためのロボットハンドの周囲の側面図及び斜視図
図14】シール貼りの際の際のロボットハンドおよびロボットアームの動作を説明するフロー図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、本開示の実施の形態に係るロボットハンド100の斜視図および正面図である。図1の左側の図は、第1の状態のロボットハンド100の斜視図であり、図1の右側の図は、第1の状態のロボットハンド100の正面図である。
【0010】
ロボットハンド100は、第1基端側指11、第1先端側指12、第1回転駆動部13、第2基端側指21、第2先端側指22、第2回転駆動部23、手部30、開閉駆動部31および制御部40を備えている。
【0011】
第1基端側指11は、モータおよびシャフト等から構成される開閉駆動部31を介して手部30に取り付けられている。
【0012】
第1先端側指12は、第1基端側指11の先端側に、第1基端側指11に対して回転可能に取り付けられている。第1基端側指11と第1先端側指12によって、1本の指が構成されており、この指の中にモータ等から構成される第1回転駆動部13が配置されている。第1回転駆動部13が作動することにより、第1先端側指12が、第1基端側指11に対して相対回転する。第1回転駆動部13による第1先端側指12の回転動作の回転中心軸は、後に説明する第1基端側指腹面11Sと平行である。
【0013】
第1基端側指11は、第1基端側指11の先端側に第1突出部11Aを有している。第1先端側指12は、第1基端側指11に接続される側の端部に第1切り欠き12Aを有している。第1切り欠き12Aの大きさは、第1先端側指12が第1基端側指11に対して相対回転するときに、第1突出部11Aが通過することが可能な大きさである。すなわち、第1突出部11Aの幅は、第1先端側指12の幅(つまり、後に説明する第1先端側指腹面12Sの幅)よりも小さい。
【0014】
第2基端側指21は、手部30に固定されている。
【0015】
第2先端側指22は、第2基端側指21の先端側に、第2基端側指21に対して回転可能に取り付けられている。第2基端側指21と第2先端側指22によって、1本の指が構成されており、この指の中にモータ等から構成される第2回転駆動部23が配置されている。第2回転駆動部23が作動することにより、第2先端側指22が、第2基端側指21に対して相対回転する。第2回転駆動部23による第2先端側指22の回転動作の回転中心軸は、第1回転駆動部13による第1先端側指12の回転動作の回転中心軸と平行である。
【0016】
第2基端側指21は、第2基端側指21の先端側に第2突出部21Aを有している。第2先端側指22は、第2基端側指21に接続される側の端部に第2切り欠き22Aを有している。第2切り欠き22Aの大きさは、第2先端側指22が第2基端側指21に対して相対回転するときに、第2突出部21Aが通過することが可能な大きさである。すなわち、第2突出部21Aの幅は、第2先端側指22の幅(つまり、後に説明する第2先端側指腹面22Sの幅)よりも小さい。
【0017】
第1基端側指11および第1先端側指12によって構成される指は、開閉駆動部31が作動することにより、手部30に対して、ひいては、第2基端側指21および第2先端側指22によって構成される指に対して、相対移動する。
【0018】
第1基端側指11は、第2基端側指21に対向する側に、第1基端側指腹面11Sを有している。第1基端側指腹面11Sは、本実施形態においては平面である。第2基端側指21は、第1基端側指11に対向する側に、第2基端側指腹面21Sを有している。第2基端側指腹面21Sは、本実施形態においては第1基端側指腹面11Sに平行な平面である。開閉駆動部31は、第1基端側指腹面11Sと第2基端側指腹面21Sが互いに平行な状態を保ったまま、第2基端側指21に対して第1基端側指11を、第1基端側指腹面11Sに直交する方向に相対移動させる。なお、第1基端側指腹面11Sおよび第2基端側指腹面21Sの形状は、把持対象物に応じて適宜変更することが可能であり、必ずしも平面でなくても良い。
【0019】
第1先端側指12は、平面である第1先端側指腹面12Sを有している。第2先端側指22は、平面である第2先端側指腹面22Sを有している。図1に示される状態においては、第1先端側指腹面12Sおよび第2先端側指腹面22Sは、ロボットハンド100の外側を向いている。この状態において、第1基端側指11の先端側に配置されている第1突出部11Aは、第1基端側指11と第1先端側指12によって構成される1本の指の先端に位置している。また、第2基端側指21の先端側に配置されている第2突出部21Aは、第2基端側指21と第2先端側指22によって構成される1本の指の先端に位置している。なお、第1先端側指腹面12Sおよび第2先端側指腹面22Sの形状は、把持対象物に応じて適宜変更することが可能であり、必ずしも平面でなくても良い。
【0020】
制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、第1回転駆動部13、第2回転駆動部23および開閉駆動部31を制御することにより、ロボットハンド100の動作を制御する。
【0021】
図2は、本開示の実施の形態に係るおけるロボットハンド100の図1に示される状態とは異なる状態における斜視図および正面図である。図2の左側の図は、第2の状態のロボットハンド100の斜視図であり、図2の右側の図は、第2の状態のロボットハンド100の正面図である。
【0022】
図2に示される状態は、第1先端側指12および第2先端側指22が、第1回転駆動部13および第2回転駆動部23が作動することにより、第1基端側指11および第2基端側指21の先端側に直線状に延在するように配置された状態である。この状態において、第1先端側指腹面12Sは、第1基端側指腹面11Sと同一平面を構成している。第2先端側指腹面22Sは、第2基端側指腹面21Sと同一平面を構成している。また、この状態において、第1突出部11Aは第1切り欠き12Aの中に位置しており、第2突出部21Aは第2切り欠き22Aの中に位置している。
【0023】
図3は、本開示の実施の形態に係るおけるロボットハンド100の図1および図2に示される状態とは異なる状態における斜視図および正面図である。図3の左側の図は、第3の状態のロボットハンド100の斜視図であり、図3の右側の図は、第3の状態のロボットハンド100の正面図である。
【0024】
図3に示される状態は、第1先端側指12および第2先端側指22が、第1回転駆動部13および第2回転駆動部23が作動することにより、第1基端側指11および第2基端側指21の先端側に屈曲して延在するように配置された状態である。この状態において、第1先端側指腹面12Sは、第1基端側指腹面11Sと交差している。第2先端側指腹面22Sは、第2基端側指腹面21Sと交差している。また、この状態において、第1先端側指12および第2先端側指22は、第1基端側指腹面11Sと第2基端側指腹面21Sとの間に位置している。
【0025】
以上のように構成されたロボットハンド100は、以下に説明されるように動作することができる。
【0026】
図4は、ロボットハンド100が図1に示される状態にあるときに、対象物201を把持している状態のロボットハンド100の斜視図及び正面図である。図4の左側の図は、ロボットハンド100の斜視図であり、図4の右側の図は、ロボットハンド100の正面図である。
【0027】
ロボットハンド100を図4に示される状態とすることにより、ロボットハンド100が比較的小さい対象物201を精密に把持したり、対象物201を把持した状態で狭小空間内で移動または作業したりすることができる。このとき、ロボットハンド100の状態は次のようになっている。すなわち、第1基端側指11の裏面と第1先端側指12の裏面が接触し、第2基端側指21の裏面と第2先端側指22の裏面が接触していることにより、第1突出部11Aおよび第2突出部21Aが突出している。よって、開閉駆動部31を作動させることにより、第1突出部11A(つまり第1基端側指腹面11S)と第2突出部21A(つまり第2基端側指腹面21S)との間で、対象物201を把持することができる。
【0028】
図5は、ロボットハンド100が図2に示される状態にあるときに、対象物202を把持している状態のロボットハンド100の斜視図及び正面図である。図5の左側の図は、ロボットハンド100の斜視図であり、図5の右側の図は、ロボットハンド100の正面図である。
【0029】
ロボットハンド100を図5に示される状態とすることにより、比較的大きい対象物202を安定的に把持することができる。このとき、ロボットハンド100の状態は次のようになっている。すなわち、第1突出部11Aよりも幅広である第1先端側指12が第1突出部11Aよりも第1基端側指11の先端側に位置し、第2突出部21Aよりも幅広である第2先端側指22が第2突出部21Aよりも第2基端側指21の先端側に位置している。よって、開閉駆動部31を作動させることにより、第1先端側指12(つまり第1先端側指腹面12S)と第2先端側指22(つまり第2先端側指腹面22S)との間で、対象物202を広い面積で安定的に把持することができる。また、対象物の大きさ及び形状によっては、第1先端側指12および第1基端側指11(つまり第1先端側指腹面12Sおよび第1基端側指腹面11S)と、第2先端側指22および第2基端側指21(つまり第2先端側指腹面22Sおよび第2基端側指腹面21S)との間で、対象物をより広い面積でより安定的に把持することができる。
【0030】
図6は、ロボットハンド100が図3に示される状態にあるときに、対象物203を把持している状態のロボットハンド100の斜視図及び正面図である。図6の左側の図は、ロボットハンド100の斜視図であり、図6の右側の図は、ロボットハンド100の正面図である。
【0031】
ロボットハンド100を図6に示される状態とすることにより、複雑な形状を有していたり重かったりすることにより、2つの平面で挟むことで把持することが比較的困難である対象物203を安定的に把持することができる。このとき、ロボットハンド100の状態は次のようになっている。すなわち、第1先端側指12および第2先端側指22は、第1基端側指腹面11Sと第2基端側指腹面21Sとの間に位置している。よって、開閉駆動部31を作動させることにより、第1基端側指11と第2基端側指21との間に対象物203を挟み込むことで、第1先端側指12および第2先端側指22を対象物203の下方に位置させることができる。つまり、第1先端側指12および第2先端側指22によって、対象物203を下方から支承することができる。よって、2つの平面で挟むことで把持することが比較的困難である対象物203を安定的に把持することができる。また、図6に示されるように、対象物203が比較的大きい場合には、第1基端側指腹面11S、第1先端側指腹面12S、第2基端側指腹面21S、第2先端側指腹面22Sおよび掌面30Sに対象物203を接触させる(掌面30Sに向けて押しつけて対象物203を握り込む)ことで、さらに安定的に対象物203を把持することができる。
【0032】
以上に説明したとおり、本実施形態に係るロボットハンド100は、第1突出部11Aと第2突出部21Aの組み合わせと、第1先端側指12と第2先端側指22の組み合わせを切り替えることができる。よって、把持対象物および作業環境に応じてこれらの組み合わせを切り替えることにより、様々な対象物を把持することができる。
【0033】
さらに、第1先端側指12および第2先端側指22は、物体を把持する動作だけでなく、第1突出部11Aおよび第2突出部21Aで把持した対象物を、他の対象物に向けて押し付けるような動作を行うことも可能である。この動作を行うことによって、例えばシールの貼り付け作業のような動作を行うことができる。以下、対象物であるシールを他の対象物である貼り付け面に貼り付ける動作を例に挙げて、対象物を他の対象物に押しつけながら行う動作を、図7から図14を参照しながら説明する。
【0034】
図7から図13は、それぞれ、シール貼りの際の動作を説明するためのロボットハンド100の周囲の側面図および斜視図である。各図において、左側の図は、ロボットハンド100の周囲の側面図であり、右側の図は、ロボットハンド100の周囲の斜視図である。図7から図13に示されるように、シール貼りを行う際、ロボットハンド100は、ロボットアーム101の先端に取り付けられている。図14は、ロボットハンド100およびロボットアーム101の動作フローであり、制御部40による制御アルゴリズムを示している。すなわち、制御部40は、ロボットハンド100に加えてロボットアーム101を制御する。
【0035】
まず、第1先端側指12の裏面(第1先端側指腹面12Sの逆側の面)と第1基端側指11の裏面(第1基端側指腹面11Sの逆側の面)が接触するように、第1回転駆動部13を作動させる。また、第2先端側指22の裏面(第2先端側指腹面22Sの逆側の面)と第2基端側指21の裏面(第2基端側指腹面21Sの逆側の面)が接触するように、第2回転駆動部23を作動させる。つまり、第1先端側指12および第2先端側指22をそれぞれ外側に回転させ、第1突出部11Aおよび第2突出部21Aを先端側に突出させる(図14のS31)。
【0036】
次に、ロボットアーム101を移動させることにより、把持および貼り付けの対象物であるシール204を供給するラベラー205の近くにロボットハンド100先端が位置するように、ロボットハンド100を移動させる(S32)。
【0037】
次に、例えば、ラベラー205の近くに配置されているカメラ206でシール204とロボットハンド100を撮像し、画像解析することにより、ラベラー205に対するロボットハンド100の相対位置を検出する(S33)。
【0038】
次に、ロボットアーム101を移動させることにより、シール204を把持できる位置にロボットハンド100を移動させる(S34)。
【0039】
次に、開閉駆動部31を作動させ、第1突出部11Aおよび第2突出部21Aでシール204を把持する(S35)。シール204を把持した状態が図7に示されている。この時、シール204の非粘着面204Aが第1突出部11Aに接触し、粘着面204Bが第2突出部21Aに接触するように、ロボットハンド100はシール204を把持する。
【0040】
そして、ロボットアーム101を移動させることにより、シール204が貼り付けられる面である貼り付け面208にシール204が対向するようにロボットハンド100を移動させ、かつ、貼り付け面208に対してシール204が斜めになるように、ロボットハンド100の姿勢を調整する(S36)。このとき、図8に示されるように、粘着面204Bは、貼り付け面208と対向し、ロボットハンド100は貼り付け面208に対して斜めになるような姿勢になる。
【0041】
その状態から、ロボットアーム101を移動させることにより、貼り付け面208に近づくようにロボットハンド100を移動させる(S37)。このとき、図9に示されるように、シール204の先端と貼り付け面208が接触するまで、ロボットアーム101を貼り付け面208に対して垂直方向に移動させる。図9中の矢印301は、ロボットハンド100の動きを示している。
【0042】
この時、例えば、貼り付け面208の近くに配置されているカメラ207でシール204と貼り付け面208を撮像し、画像解析することにより、シール204の貼り付け面208への接触を検知する(S38)。接触が検知されない場合(S38でNo)、ロボットハンド100を貼り付け面208に近づくように移動させる(S37)ことが継続される。
【0043】
接触が検知されると(S38でYes)、第1回転駆動部13を作動させることにより、第1先端側指12を第1基端側指11の先端側に移動させることで、第1先端側指12をシール204に接触させるとともに、シール204を貼り付け面208に押しつける(S39)。このときの状態が図10に示されている。図10中の矢印302は、第1先端側指12の動きを示している。
【0044】
シール204を貼り付け面208に押しつけるときの押しつけ量(押しつけ力)が、第1回転駆動部13が有するモータの電流値から負荷を算出することにより、取得される(S40)。なお、負荷は、圧力センサの検出値等、モータの電流値以外のパラメータから取得されても良いことは勿論である。
【0045】
予め定められた所定の負荷が検知されない場合(S40でNo)、第1回転駆動部13の作動および第1先端側指12によるシール204の押しつけ(S39)が継続される。
【0046】
予め定められた所定の負荷が検知された場合(S40でYes)、適切な押しつけ量(押しつけ力)で第1先端側指12がシール204を貼り付け面208に押しつけている状態となる。このとき、開閉駆動部31を作動させることにより、第1基端側指11が第2基端側指21から離れるように微少量(シール204の厚み以上の距離)移動し、ロボットハンド100によるシール204の把持が解除される(S41)。このときの状態が図11に示されている。図11中の矢印303は、第1基端側指11および第2基端側指21の互いに対する相対的な動きを示している。
【0047】
第1基端側指11を第2基端側指21から離れるように移動させることにより、第1先端側指12がシール204から離れたり、シール204を貼り付け面208に押しつける力が弱くなったりする可能性がある。そこで、第1基端側指11を移動させた後、第1回転駆動部13を再度作動させることにより、第1先端側指12をシール204に接触させるとともに、シール204を貼り付け面208に押しつける(S42)。このときの状態が図12に示されている。図12中の矢印304は、第1先端側指12の動きを示している。
【0048】
シール204を貼り付け面208に押しつけるときの押しつけ量(押しつけ力)が、第1回転駆動部13が有するモータの電流値から負荷を算出することにより、取得される(S43)。
【0049】
予め定められた所定の負荷が検知されない場合(S43でNo)、第1回転駆動部13の作動および第1先端側指12によるシール204の押しつけ(S42)が継続される。
【0050】
予め定められた所定の負荷が検知された場合(S43でYes)、適切な押しつけ量(押しつけ力)で第1先端側指12がシール204を貼り付け面208に押しつけている状態となる。
【0051】
その状態から、ロボットアーム101を移動させることにより、ロボットハンド100を貼り付け面208に対して平行に移動させる(S44)。このときの状態が図13に示されている。図13中の矢印305は、ロボットハンド100の動きを示している。
【0052】
以上のフローにより、第1先端側指12をシール204に押し付けながら、シール204を貼り付け面208に貼り付ける作業を完了させることができる。
【0053】
なお、本開示の技術的範囲が上述の実施形態に限られないことは言うまでもなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が行われた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0054】
例えば、制御部40は、開閉駆動部31を作動させることにより、第1突出部11Aと第2突出部21Aとの間に対象物を挟んだ状態で、第1回転駆動部13を作動させることにより、第1先端側指腹面12Sを対象物に接触させると共に、第1先端側指12によって対象物を押圧してもよい。このような動作により、対象物が例えばワイヤー状または薄板状の部材である場合に、対象物を折り曲げることができる。また、対象部が可塑性を有する部材である場合に、対象物を変形させて成型することができる。また、第2回転駆動部23を更に作動させることにより、第2先端側指腹面22Sを対象物に接触させてもよい。つまり、第1突出部11Aと第2突出部21Aとの間に挟まれている対象物に対して、第1先端側指12および第2先端側指22を接触させることで、両側から挟み込むように圧力を加えて、対象物を変形させて成形しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示のロボットハンドは様々な大きさの対象物を把持し、シール貼り動作等の様々な動作も実施できることから、工場での製品組み立て工程の自動化を行うロボットシステムにおける汎用ロボットハンドとして有用である。
【符号の説明】
【0056】
11 第1基端側指
11A 第1突出部
11S 第1基端側指腹面
12 第1先端側指
12A 第1切り欠き
12S 第1先端側指腹面
13 第1回転駆動部
21 第2基端側指
21A 第2突出部
21S 第2基端側指腹面
22 第2先端側指
22A 第2切り欠き
22S 第2先端側指腹面
23 第2回転駆動部
30 手部
30S 掌面
31 開閉駆動部
40 制御部
100 ロボットハンド
101 ロボットアーム
201、202、203 対象物
204 シール
204A 非粘着面
204B 粘着面
205 ラベラー
206、207 カメラ
208 貼り付け面
301、302、303、304、305 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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図14