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  • 特開-液化ガス設備及び浮体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179977
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】液化ガス設備及び浮体
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/16 20060101AFI20221129BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B63B25/16 D
F17C13/00 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086827
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡 勝
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172BA06
3E172BB06
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD02
3E172HA04
3E172HA12
(57)【要約】
【課題】コストの増加や設備の大型化を抑えることができると共に、消費エネルギーを低減することができる液化ガス設備及び浮体を提供する。
【解決手段】液化ガス設備は、液化ガスを貯蔵する液化ガスタンクと、前記液化ガスタンク内の液化ガスを外部に導く液化ガスラインと、前記液化ガスラインから分岐して前記液化ガスが流通する分岐ラインと、前記分岐ラインを流通する液化ガスをさらに冷却して過冷却液化ガスとする過冷却ユニットと、前記過冷却ユニットにより冷却された前記過冷却液化ガスが導入されるとともに、前記液化ガスタンクからのボイルオフガスが導入され、前記過冷却液化ガスを冷熱源として前記ボイルオフガスを凝縮する再液化装置と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯蔵する液化ガスタンクと、
前記液化ガスタンク内の前記液化ガスを外部に導く液化ガスラインと、
前記液化ガスラインから分岐して前記液化ガスが流通する分岐ラインと、
前記分岐ラインを流通する前記液化ガスをさらに冷却して過冷却液化ガスとする過冷却ユニットと、
前記過冷却ユニットにより冷却された前記過冷却液化ガスが導入されるとともに、前記液化ガスタンクからのボイルオフガスが導入され、前記過冷却液化ガスを冷熱源として前記ボイルオフガスを凝縮する再液化装置と、
を備える液化ガス設備。
【請求項2】
前記再液化装置は、
前記ボイルオフガスを再凝縮するための再凝縮空間を内部に形成する再凝縮タンク部と、
前記再凝縮空間内の気相に設けられて、前記過冷却液化ガスを噴射する噴射部と、を備える
請求項1に記載の液化ガス設備。
【請求項3】
前記再凝縮タンク部の下部に貯留された凝縮ガスを前記液化ガスラインに供給する凝縮ガス供給ラインを備え、
前記凝縮ガス供給ラインは、前記凝縮ガスを昇圧する昇圧ポンプを備える
請求項2に記載の液化ガス設備。
【請求項4】
前記過冷却ユニットは、
冷媒を圧縮するするコンプレッサと、
前記冷媒を膨張させるエキスパンダと、
前記コンプレッサに回転エネルギーを付与する駆動源と、
前記エキスパンダにより膨張された前記冷媒と前記分岐ラインを流通する前記液化ガスとを熱交換して前記液化ガスを前記過冷却液化ガスとする過冷却部を少なくとも有した熱交換器と、
を備える
請求項1から3の何れか一項に記載の液化ガス設備。
【請求項5】
前記コンプレッサと前記エキスパンダとは、同軸に接続されている
請求項4に記載の液化ガス設備。
【請求項6】
前記熱交換器は、
前記コンプレッサから前記エキスパンダへ供給される前記冷媒を、前記分岐ラインを流通する前記液化ガスの一部と熱交換させて予冷する予冷部を更に備える
請求項5に記載の液化ガス設備。
【請求項7】
前記再液化装置で再液化されなかったボイルオフガスを導く導入ラインを備え、
前記熱交換器は、
前記コンプレッサにより圧縮された前記冷媒と前記導入ラインにより導かれた前記ボイルオフガスとを熱交換して前記ボイルオフガスを加温する加温部を更に備える
請求項6に記載の液化ガス設備。
【請求項8】
前記液化ガスラインは、前記液化ガスの温度を上昇させて再ガス化する再ガス化設備に接続されている
請求項1から7の何れか一項に記載の液化ガス設備。
【請求項9】
浮体本体と、
請求項1から8の何れか一項に記載の液化ガス設備と、
を備える浮体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、液化ガス設備及び浮体に関する。
【背景技術】
【0002】
LNG(Liquefied Natural Gas)等の液化ガスを貯蔵する貯蔵タンクにおいては、外部からの入熱によりBOG(boil off gas)が発生する。BOGの増加は、貯蔵タンク内の圧力を上昇させてしまうため、安全弁によりBOGを外部へ逃がしたり、非特許文献1に記載のように、再ガス化プラントへ送られる液化ガスに多段レシプロ方式の高圧コンプレッサで昇圧したBOGを混ぜて凝縮させたりすることで、貯蔵タンク内の圧力が上昇し過ぎないようにしている。
さらに、特許文献1には、冷凍サイクルを用いて圧縮されたBOGを再液化して貯蔵タンクに戻す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-204026号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】JFE Engineering Company Profile“In-line BOG Recondenser”、[online]、November,2017、p8、JFE Engineering Corporation、[2021年4月28日検索]、インターネット〈https://www.jfe-eng.co.jp/en/products/energy/pdf/In-line_BOGrecondenser.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1や特許文献1のような液化ガス設備においては、BOGを圧縮するために圧縮比の大きな圧縮機が必要になる。そのため、コストが増加すると共に設備が大型化するという課題がある。また、上記のようにBOGを圧縮してから熱交換して再液化する構成では、圧縮機を動作させるための消費エネルギーが大きくなるという課題もある。
【0006】
この開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コストの増加や設備の大型化を抑えることができると共に、消費エネルギーを低減することができる液化ガス設備及び浮体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
この開示の第一態様によれば、液化ガス設備は、液化ガスを貯蔵する液化ガスタンクと、前記液化ガスタンク内の液化ガスを外部に導く液化ガスラインと、前記液化ガスラインから分岐して前記液化ガスが流通する分岐ラインと、前記分岐ラインを流通する液化ガスをさらに冷却して過冷却液化ガスとする過冷却ユニットと、前記過冷却ユニットにより冷却された前記過冷却液化ガスが導入されるとともに、前記液化ガスタンクからのボイルオフガスが導入され、前記過冷却液化ガスを冷熱源として前記ボイルオフガスを凝縮する再液化装置と、を備える。
【0008】
この開示の第二態様によれば、浮体は、浮体本体と、上記液化ガス設備と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記液化ガス設備及び浮体によれば、コストの増加や設備の大型化を抑えることができると共に、消費エネルギーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この開示の実施形態における浮体の概略構成を示す構成図である。
図2】この開示の実施形態における液化ガス設備の概略構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この開示の実施形態における浮体を図面に基づき説明する。本実施形態の浮体としては、LNG船に再ガス化設備を搭載して停泊させたFSRU(Floating Storage and Regasification Unit)を一例にして説明する。
図1は、この開示の実施形態における浮体の概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、浮体1は、浮体本体2と、液化ガス設備3と、を備えている。船体である浮体本体2は、その幅方向両側に設けられた一対の舷側2sと、船底2bと、を有している。浮体本体2は、船底2bの上方に間隔をあけて設けられた上甲板2tを備えている。浮体本体2は、船首尾方向Daの船尾2r側に、居室等を形成する上部構造2hを有している。浮体本体2は、上部構造2hよりも船首尾方向Daの船首2a側に複数の液化ガスタンク4を備えている。この実施形態における浮体本体2内には、船首尾方向Daの船尾2r側に、浮体1を推進させるための主機を含む機関室2mが設けられている。
【0012】
図2は、この開示の実施形態における液化ガス設備の概略構成を示す構成図である。
図1図2に示すように、液化ガス設備3は、液化ガスタンク4と、リコンデンサ部5と、再ガス化設備6と、を備えている。
液化ガスタンク4は、それぞれ独立タンクであって、その内部に、積載物であるLNG等の液化ガスを低温常圧の状態で収容する。液化ガスタンク4は、低温雰囲気における靭性や、耐腐食性を担保するべく、例えばアルミニウム合金等で形成されている。この実施形態における液化ガスタンク4は、モス型の独立球形タンクであり、複数(五つ)設けられている場合を例示している。これら液化ガスタンク4の上部4aは、例えば、上甲板2tよりも上方に配置されている。なお、モス型タンクを例示したが、モス型タンクに限られず、例えば、メンブレン型タンク等であってもよい。
【0013】
図2に示すように、リコンデンサ部5は、液化ガスライン11と、分岐ライン12と、過冷却ユニット21と、再液化装置31と、を少なくとも備えている。このリコンデンサ部5は、主に液化ガスタンク4内で発生したボイルオフガスBOGを再液化することで、液化ガスタンク4内の圧力上昇を抑制している。なお、この実施形態では、リコンデンサ部5が、船首尾方向Daで隣り合う二つの液化ガスタンク4の間の上甲板2t上のスペースに設置されている場合を例示している(図1参照)。
【0014】
液化ガスライン11は、液化ガスタンク4内の液化ガスを外部に導いている。この実施形態における液化ガスライン11の第一端部11aは、液化ガスタンク4内の下部にパイプタワーを通じて配置され、液化ガスライン11の第二端部11bは、再ガス化設備6に接続されている。液化ガスライン11の第一端部11aには、ポンプP1が接続されている。ポンプP1は、液化ガスタンク4内に貯留されている液状の液化ガス(以下、単に液化ガスGLと称する)の液面L1よりも下方に配置され、その動作時には、液化ガスGLを液化ガスライン11へ送り込むことが可能となっている。例えば、液化ガスタンク4内の液化ガスGLが-150℃程度である場合、液化ガスライン11に流れる液化ガスGLは、外部からの入熱により僅かに温度上昇するものの、-150℃程度となっている。
【0015】
再ガス化設備6は、液化ガスライン11を介して供給された液化ガスGLの温度を、例えば、海水や大気等の熱を用いて上昇させて気化させる。この再ガス化設備6によって気化された気化ガスは、例えば、外部のパイプライン等を介して地上の外部設備等へ供給(言い換えれば、荷揚げ)される。なお、この実施形態では、再ガス化設備6が、船首尾方向Daで隣り合う二つの液化ガスタンク4の間の上甲板2t上のスペースに設置され、且つ、船首尾方向Daでリコンデンサ部5に隣接して設置されてリコンデンサ部5よりも船尾側に配置される場合を例示している(図1参照)。
【0016】
分岐ライン12は、液化ガスライン11から分岐している。この分岐ライン12には、液化ガスライン11を流れる液化ガスGLの一部が分流して流通する。この分岐ライン12は、液化ガスGLの一部を過冷却ユニット21へ導いている。液化ガスライン11の分岐点Bpよりも液化ガスGLの流れる方向の下流側で、且つ合流配管14(後述する)の合流点Cpよりも液化ガスGLの流れる方向の上流側には、流量調整弁13が設けられており、分岐ライン12に分流する液化ガスGLの流量(例えば、体積流量)を調整することが可能となっている。
【0017】
過冷却ユニット21は、少なくとも分岐ライン12を流通する液化ガスGLをさらに冷却する機能を有している。液化ガスGLは、この過冷却ユニット21により過冷却(サブクール)状態まで冷却される。例えば、分岐ライン12を流通する液化ガスGLの温度が、-150℃程度であった場合、過冷却状態となった液化ガスGLは、-160℃程度まで過冷却される。この実施形態における過冷却ユニット21は、窒素を冷媒とした冷凍サイクルを構成している。
【0018】
この実施形態における過冷却ユニット21は、コンプレッサ22と、エキスパンダ23と、電動機(駆動源)24と、熱交換器25と、冷媒配管26と、を備えている。
コンプレッサ22は、径方向内側に供給された冷媒ガスを径方向外側に向かって排出するいわゆる遠心圧縮機である。コンプレッサ22により圧縮された冷媒ガスは、高温・高圧となる。エキスパンダ23は、コンプレッサ22により圧縮された冷媒ガスを、膨張させて低温・低圧の冷媒ガスとする。これらコンプレッサ22とエキスパンダ23との各回転軸Rは連結され、電動機24によって駆動可能とされている。コンプレッサ22から排出された高温・高圧の冷媒ガスは、冷媒配管26を介して熱交換器25に導入される。この高温・高圧の冷媒ガスは、熱交換器25内で予冷された後に、冷媒配管26を介してエキスパンダ23に導入される。エキスパンダ23では、冷媒ガスが膨張される際、その熱エネルギーが回転エネルギーに変換される。そして、この回転エネルギーが、コンプレッサ22を動作させるための回転エネルギーとして利用される。電動機24は、エキスパンダ23により得られる回転エネルギーの不足分を補うように駆動される。
【0019】
この実施形態における熱交換器25は、過冷却部27と、予冷部28と、加温部29と、をそれぞれ備えている。熱交換器25としては、プレートフィン型の熱交換器25を用いることができる。なお、この実施形態では、過冷却部27と、予冷部28と、加温部29と、を一つの熱交換器25内に設ける場合を例示しているが、それぞれ個別の熱交換器として設けてもよい。
【0020】
過冷却部27は、分岐ライン12を流通する液化ガスGLのうちの一部を、エキスパンダ23により膨張させた低温・低圧の冷媒ガスと熱交換することで過冷却して過冷却液化ガスGSCとする。上述したように、この実施形態の過冷却部27によって過冷却された過冷却液化ガスGSCは、例えば、-160℃程度となっている。この過冷却液化ガスGSCは、過冷却液化ガス供給ライン30を介して再液化装置31へ供給される。
【0021】
予冷部28は、分岐ライン12を流通する液化ガスGLのうち、過冷却部27に供給された液化ガスGLを除く残部により、エキスパンダ23に流入する前の冷媒ガスを予冷する。さらに、予冷部28は、分岐ライン12を流通する液化ガスGLのうち、上記液化ガスGLの残部により、過冷却部27によって熱交換されて温度上昇した冷媒ガスを予冷する。この予冷部28において予冷に用いられて僅かに温度上昇した液化ガスGLは、液化ガスライン11に合流接続された合流配管14を介して、液化ガスライン11の液化ガスGLと合流する。なお、分岐ライン12を流通する液化ガスGLのうち、過冷却部27へ流通させる液化ガスGLの流量(例えば、体積流量)は、過冷却液化ガス供給ライン30に設けられた流量調整弁15を用いて、再液化装置31で必要となる過冷却液化ガスGSCの流量(例えば、体積流量)に基づき設定することができる。
【0022】
加温部29は、再液化装置31で再液化されなかったボイルオフガスBOGを温度上昇させる。加温部29には、再液化装置31のボイルオフガスBOGを導く導入ライン32と、温度上昇したボイルオフガスBOGを導く導出ライン33とが接続されている。この加温部29により温度上昇されたボイルオフガスBOGは、導出ライン33を介して、例えば、ボイラや内燃機関等の燃焼装置(図示せず)へ供給される。このボイラや内燃機関等の燃焼装置は、温度上昇されたボイルオフガスBOGを燃料として駆動する。加温部29は、ボイルオフガスBOGと、コンプレッサ22から排出された高温・高圧の冷媒ガスとを熱交換する。そして、この加温部29により熱交換して温度低下した冷媒ガスは、上述した予冷部28に供給される。つまり、加温部29によって温度低下した冷媒ガスは、予冷部28によってさらに冷却された後、エキスパンダ23に流入することとなる。
【0023】
再液化装置31は、過冷却液化ガス供給ライン30を介して流入する過冷却液化ガスGSCを用いて、液化ガスタンク4から供給されたボイルオフガスBOGを凝縮させる。つまり、ボイルオフガスBOGを再液化させる。この実施形態における再液化装置31は、再凝縮タンク部34と、噴射部35と、を少なくとも備えている。
【0024】
再凝縮タンク部34は、その内部にボイルオフガスBOGを再凝縮するための再凝縮空間36を形成している。再凝縮空間36の下部には、再凝縮したボイルオフガス(以下、液化ボイルオフガスLBと称する)とボイルオフガスBOGの凝縮に用いられた後の過冷却液化ガスGSCとが混合された凝縮ガスLC(詳細は後述する)が貯留されている。再凝縮空間36の上部には、再凝縮されずに残ったボイルオフガスBOGが貯留される。再凝縮タンク部34の上部(この実施形態では、最も上方に位置する頂部)には、上述した導入ライン32が接続されている。また、再凝縮タンク部34の上下方向の中間部には、液化ガスタンク4の上部のタンクドーム部4b等からボイルオフガスBOGが供給される。この実施形態における液化ガス設備3は、液化ガスタンク4と再液化装置31とを接続するボイルオフガス供給ライン16を備えており、このボイルオフガス供給ライン16を介して、液化ガスタンク4の気相と、再凝縮タンク部34の再凝縮空間36とが連通されている。なお、この実施形態におけるボイルオフガス供給ライン16は、再凝縮空間36のうち下部に貯留された凝縮ガスLCの液面L2よりも上方に接続されている場合を例示しているが、上下方向におけるボイルオフガス供給ライン16の接続位置は、上記位置に限られるものでは無い。
【0025】
噴射部35は、再凝縮空間36内の気相に設けられて、過冷却液化ガスGSCを噴射する。ここで、再凝縮タンク部34の気相は、大気圧に近い圧力であるため、噴射部35は、ポンプP1により圧送される液化ガスライン11の液化ガスGLの圧力との差圧を利用して過冷却液化ガスGSCを噴射している。この噴射部35から噴射される過冷却液化ガスGSCは、例えば、霧状としてもよい。噴射部35から噴射された過冷却液化ガスGSCは、再凝縮空間36に供給されたボイルオフガスBOGと接触しながら重力により再凝縮空間36を下降して液面L2に至る。再凝縮空間36に供給されたボイルオフガスBOGは、この過冷却液化ガスGSCと接触することで凝縮し、この凝縮した液化ボイルオフガスLBが、重力により過冷却液化ガスGSCと共に下降して液面L2に至る。
【0026】
一方で、ボイルオフガスBOGが凝縮することで、再凝縮空間36内の圧力は低下する。そして、この圧力低下により、再凝縮タンク部34の気相と、液化ガスタンク4の気相との間に差圧が生じる。言い換えれば、液面L2よりも上方における再凝縮空間36の圧力が、液化ガスタンク4の気相の圧力よりも低下する。この実施形態においては、この差圧を用いて液化ガスタンク4のボイルオフガスBOGを再液化装置31へと供給している。なお、例えば、上記差圧が十分に得られない場合、再液化装置31へのボイルオフガスBOGの供給は、送風機等を用いて行ってもよい。
【0027】
この実施形態における再液化装置31の再凝縮タンク部34には、噴射部35の直上に吹き上げ防止板37が設けられている。この吹き上げ防止板37は、噴射部35によって噴射された過冷却液化ガスGSCの液滴が再凝縮タンク部34に接続された導入ライン32に流入することを防止している。この吹き上げ防止板37は、例えば、上方から見て導入ライン32の開口と重なる位置、すなわち導入ライン32の開口の鉛直下方に間隔をあけて配置されている。そして、吹き上げ防止板37の縁部(図示せず)と再凝縮タンク部34の内周面(図示せず)とには、ボイルオフガスBOGが上下に流通する間隙(図示せず)が形成され、この間隙を介して、吹き上げ防止板37よりも下方のボイルオフガスBOGが、吹き上げ防止板37よりも上方へ移動することが可能となっている。
【0028】
再液化装置31の再凝縮タンク部34には、更に、凝縮ガス供給ライン41が接続されている。この凝縮ガス供給ライン41は、再液化装置31によって再液化された液化ボイルオフガスLBと、噴射部35から噴射された過冷却液化ガスGSCとの混合した液化ガス(以下、単に凝縮ガスLCと称する)を、再凝縮タンク部34の下部から、再凝縮タンク部34の外部へ導いている。この実施形態における凝縮ガス供給ライン41は、液化ガスライン11に合流接続されている。つまり、再凝縮タンク部34の下部に貯留されている凝縮ガスLCは、凝縮ガス供給ライン41を介して液化ガスライン11に流通する液化ガスGLに合流し、再ガス化設備6へ供給されてガス化される。
【0029】
また、上述したように、液化ガスライン11に流通する液化ガスGLは、ポンプP1により送り込まれている。そのため、凝縮ガス供給ライン41内の凝縮ガスLCの圧力は、再凝縮タンク部34の下部に貯留された凝縮ガスLCの圧力よりも高い。そのため、この実施形態における凝縮ガス供給ライン41には、凝縮ガスLCを昇圧するポンプP2が設けられている。凝縮ガス供給ライン41に流通する凝縮ガスLCは、このポンプP2によって液化ガスライン11に流通する液化ガスGLの圧力よりも高い圧力まで昇圧される。このようにすることで、凝縮ガスLCが液化ガスライン11の液化ガスGLに合流することが可能となっている。
【0030】
《作用効果》
上述した実施形態の液化ガス設備3は、液化ガスGLを貯蔵する液化ガスタンク4と、液化ガスタンク4内の液化ガスGLを外部に導く液化ガスライン11と、液化ガスライン11から分岐して液化ガスGLが流通する分岐ライン12と、分岐ライン12を流通する液化ガスGLをさらに冷却して過冷却液化ガスGSCとする過冷却ユニット21と、過冷却ユニット21により冷却された過冷却液化ガスGSCが導入されるとともに、液化ガスタンク4からのボイルオフガスBOGが導入され、過冷却液化ガスGSCを冷熱源としてボイルオフガスBOGを凝縮する再液化装置31と、を備えている。
このように構成することで、液化ガスライン11に流れる低温の液化ガスGLの一部を、ボイルオフガスBOGを凝縮させるための冷媒として利用することができる。さらに、液化ガスGLを過冷却した過冷却液化ガスGSCによりボイルオフガスBOGを凝縮させるため、過冷却液化ガスGSCがボイルオフガスBOGと熱交換して温度上昇した後も、液化ガスGL(液体)の状態を維持できるため、凝縮したボイルオフガスBOGと共に液化ガスGLを有効利用することができる。
また、例えば、気体状態のボイルオフガスBOGを液化ガスライン11の液化ガスGLに混入させるような場合には、ボイルオフガスBOGを圧縮する大型のコンプレッサや、圧縮したボイルオフガスBOGを液化ガスGLに押し込むための大型のシリンダー等が必要となるが、ボイルオフガスBOGを圧縮せずに再液化装置31によって凝縮させることができるため、大型のコンプレッサやシリンダーを用いる必要が無くなる。また、大型のコンプレッサを動作させる必要が無くなるため、エネルギー消費を抑えることができる。
したがって、液化ガスタンク4内の圧力上昇を抑制しつつ、コストの増加や設備の大型化を抑えることができると共に、消費エネルギーを低減することができる。
【0031】
上述した実施形態の液化ガス設備3における再液化装置31は、ボイルオフガスBOGを再凝縮するための再凝縮空間36を内部に形成する再凝縮タンク部34と、再凝縮空間36内の気相に設けられて、過冷却液化ガスGSCを噴射する噴射部35と、を備えている。
このように構成することで、噴射部35から噴射された過冷却液化ガスGSCが、再凝縮空間36に供給されたボイルオフガスBOGと接触するので、再凝縮空間36内のボイルオフガスBOGの温度を低下させて凝縮させることができる。そして、凝縮したボイルオフガスBOGと、ボイルオフガスBOGと熱交換後の液化ガスとは、重力により再凝縮空間36を下降して、凝縮ガスLCとして再凝縮タンク部34の下部に貯留される。したがって、過冷却液化ガスGSCとボイルオフガスBOGとの接触面積を増加させて、効率よくボイルオフガスBOGを凝縮させることができる。
【0032】
上述した実施形態の液化ガス設備3は、再凝縮タンク部34の下部に貯留された凝縮ガスLCを液化ガスライン11に供給する凝縮ガス供給ライン41を更に備え、凝縮ガス供給ライン41は、凝縮ガスLCを昇圧するポンプP2を備えている。
このように構成することで、再凝縮タンク部34の下部に貯留された凝縮ガスLCを、液化ガスライン11の液化ガスGLに合流させることができる。ここで、凝縮ガスLCが液体であることから、ポンプを用いて昇圧することができるので、気体であるボイルオフガスBOGを圧縮する大型のコンプレッサのような消費エネルギーは必要ない。
したがって、消費エネルギーを低減しつつ、凝縮させたボイルオフガスBOGを液化ガスGLに混入させて利用することが可能となる。
【0033】
上述した実施形態の液化ガス設備3における過冷却ユニット21は、冷媒を圧縮するコンプレッサ22と、冷媒を膨張させるエキスパンダ23と、コンプレッサ22に回転エネルギーを付与する電動機24と、エキスパンダ23により膨張された冷媒と分岐ライン12を流通する液化ガスGLとを熱交換して液化ガスGLを過冷却液化ガスGSCとする過冷却部27を少なくとも有した熱交換器25と、を備えている。
このように構成することで、コンプレッサ22と、エキスパンダ23と、熱交換器25の過冷却部27とによって構成される冷凍サイクルを用いて、液化ガスGLを過冷却液化ガスGSCにすることが可能となる。
したがって、構成が複雑化したり大型化したりすることなく、過冷却液化ガスGSCを得ることができる。
【0034】
上述した実施形態の液化ガス設備3において、コンプレッサ22とエキスパンダ23とは、同軸に接続されている。
このように構成することで、エキスパンダ23において冷媒が膨張する際に生じる回転エネルギーを、コンプレッサ22を駆動するためのエネルギーとして利用することが可能となる。したがって、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0035】
上述した実施形態の液化ガス設備3における熱交換器25は、コンプレッサ22からエキスパンダ23へ供給される冷媒を、分岐ライン12を流通する液化ガスGLの一部と熱交換させて予冷する予冷部28を更に備えている。
このように構成することで、分岐ライン12を流通する液化ガスGLのうち、過冷却されない液化ガスGLを用いて冷媒を予冷することができるため、更なる省エネルギー化を図ることが可能となる。また、例えば、予冷に使用した液化ガスGLを液化ガスライン11に戻すことで、液化ガスライン11を流通する液化ガスGLを、再ガス化設備6で温度上昇させるために必要な熱エネルギーを低減することができる。
【0036】
上述した実施形態の液化ガス設備3は、再液化装置31で再液化されなかったボイルオフガスBOGを導く導入ライン32を更に備え、熱交換器25は、コンプレッサ22により圧縮された冷媒と導入ライン32により導かれたボイルオフガスBOGとを熱交換してボイルオフガスBOGを加温する加温部29を更に備えている。
このように構成することで、気体状態のボイルオフガスBOGを加温することができるため、例えば、ボイラや内燃機関等の燃焼機器の燃料として利用しやすくなる。また、ボイルオフガスBOGの冷熱を利用してコンプレッサ22で圧縮された高温・高圧の冷媒を冷やすことができるため、液化ガスGLを過冷却する際に必要になるエネルギーを低減して、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0037】
上述した実施形態の液化ガスライン11は、液化ガスGLの温度を上昇させて再ガス化する再ガス化設備6に接続されている。
このように構成することで、液化ガスライン11を流通して再ガス化される液化ガスGLの冷熱を有効利用することができると共に、再ガス化の際に必要な熱エネルギーを低減できる。したがって、迅速に液化ガスGLを再ガス化することができる。
【0038】
上述した実施形態の浮体1は、浮体本体2と、上記液化ガス設備3と、を備えている。
このように構成することで、ボイルオフガスBOGを再液化しつつ、浮体1における液化ガス設備3の配置自由度を向上すると共に省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0039】
《他の実施形態》
この開示は上述した実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、凝縮ガス供給ライン41を液化ガスライン11に合流接続させる場合について説明した。しかし、凝縮ガス供給ライン41の接続先は、液化ガスライン11に限られない。言い換えれば、再液化装置31でボイルオフガスBOGを再凝縮させることで生じた凝縮ガスLCは、液化ガスライン11を流通する液化ガスGLに合流させずに、ボイラや内燃機関等の他の燃焼機器の燃料として用いるようにしてもよい。また、凝縮ガスLCは、液化ガスタンク4に戻すようにしてもよい。この場合、再液化装置31の液面L2が、液化ガスタンク4の液面L1よりも上方に位置するようにして、凝縮ガス供給ライン41に設けられたポンプP2を省略してもよい。ポンプP2を省略した場合、更なる省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0040】
また、上述した実施形態では、液化ガス設備3が、海上に停泊する浮体1としてのFSRUに設けられる場合について説明した。しかし、液化ガス設備3が設けられる場所は、浮体1に限られるものでは無く、例えば、地上に設けられるようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態では、液化ガスタンク4に貯蔵される液化ガスGLがLNGである場合について説明したが、液化ガスGLはLNGに限られない。LNGに代えて、例えば、エタンやエチレンを用いてもよい。
また、リコンデンサ部5や再ガス化設備6の配置は、上記実施形態の配置に限られない。
【0041】
<付記>
実施形態に記載の液化ガス設備3及び浮体1は、例えば以下のように把握される。
【0042】
(1)第1の態様に係る液化ガス設備3は、液化ガスGLを貯蔵する液化ガスタンク4と、前記液化ガスタンク4内の液化ガスGLを外部に導く液化ガスライン11と、前記液化ガスライン11から分岐して前記液化ガスGLが流通する分岐ライン12と、前記分岐ライン12を流通する液化ガスGLをさらに冷却して過冷却液化ガスGSCとする過冷却ユニット21と、前記過冷却ユニット21により冷却された前記過冷却液化ガスGSCが導入されるとともに、前記液化ガスタンク4からのボイルオフガスBOGが導入され、前記過冷却液化ガスGSCを冷熱源として前記ボイルオフガスBOGを凝縮する再液化装置31と、を備える。
液化ガスGLの例としては、LNG、エタン、エチレン、が挙げられる。
【0043】
このような液化ガス設備3によれば、液化ガスライン11に流れる低温の液化ガスGLの一部を、ボイルオフガスBOGを凝縮させるための冷媒として利用することができる。さらに、液化ガスGLを過冷却した過冷却液化ガスGSCによりボイルオフガスBOGを凝縮させるため、過冷却液化ガスGSCがボイルオフガスBOGと熱交換して温度上昇した後も、液化ガスGL(液体)の状態を維持できるため、凝縮したボイルオフガスBOGと共に液化ガスGLを有効利用することができる。また、例えば、気体状態のボイルオフガスBOGを液化ガスライン11の液化ガスGLに混入させるような場合には、ボイルオフガスBOGを圧縮する大型のコンプレッサや、圧縮したボイルオフガスBOGを液化ガスGLに押し込むための大型のシリンダー等が必要となるが、ボイルオフガスBOGを圧縮せずに再液化装置31によって凝縮させることができるため、大型のコンプレッサやシリンダーを用いる必要が無くなる。また、大型のコンプレッサを動作させる必要が無くなるため、エネルギー消費を抑えることができる。
したがって、液化ガスタンク4内の圧力上昇を抑制しつつ、コストの増加や設備の大型化を抑えることができると共に、消費エネルギーを低減することができる。
【0044】
(2)第2の態様に係る液化ガス設備3は、(1)の液化ガス設備3であって、前記再液化装置31は、前記ボイルオフガスBOGを再凝縮するための再凝縮空間36を内部に形成する再凝縮タンク部34と、前記再凝縮空間36内の気相に設けられて、前記過冷却液化ガスGSCを噴射する噴射部35と、を備える。
【0045】
このような液化ガス設備3によれば、噴射部35から噴射された過冷却液化ガスGSCが、再凝縮空間36に供給されたボイルオフガスBOGと接触するので、再凝縮空間36内のボイルオフガスBOGの温度を低下させて凝縮させることができる。そして、凝縮したボイルオフガスBOGと、ボイルオフガスBOGと熱交換後の液化ガスとは、重力により再凝縮空間36を下降して、凝縮ガスLCとして再凝縮タンク部34の下部に貯留される。したがって、過冷却液化ガスGSCとボイルオフガスBOGとの接触面積を増加させて、効率よくボイルオフガスBOGを凝縮させることができる。
【0046】
(3)第3の態様に係る液化ガス設備3は、(2)の液化ガス設備3であって、前記再凝縮タンク部34の下部に貯留された凝縮ガスLCを前記液化ガスライン11に供給する凝縮ガス供給ライン41を備え、前記凝縮ガス供給ライン41は、前記凝縮ガスLCを昇圧する昇圧ポンプを備える。
【0047】
このような液化ガス設備3によれば、再凝縮タンク部34の下部に貯留された凝縮ガスLCを、液化ガスライン11の液化ガスGLに合流させることができる。ここで、凝縮ガスLCは、液体であるためポンプを用いればよいので、気体であるボイルオフガスBOGを圧縮する大型のコンプレッサのような消費エネルギーは必要ない。
したがって、消費エネルギーを低減しつつ、凝縮させたボイルオフガスBOGを液化ガスGLに混入させて利用することが可能となる。
【0048】
(4)第4の態様に係る液化ガス設備3は、(1)から(3)の何れか一つの液化ガス設備3であって、前記過冷却ユニット21は、冷媒を圧縮するするコンプレッサ22と、前記冷媒を膨張させるエキスパンダ23と、前記コンプレッサ22に回転エネルギーを付与する駆動源24と、前記エキスパンダ23により膨張された前記冷媒と前記分岐ライン12を流通する前記液化ガスGLとを熱交換して前記液化ガスGLを前記過冷却液化ガスGSCとする過冷却部27を少なくとも有した熱交換器25と、を備える。
駆動源24の例としては、電動機が挙げられる。
【0049】
このような液化ガス設備3によれば、コンプレッサ22と、エキスパンダ23と、熱交換器25の過冷却部27とによって構成される冷凍サイクルを用いて、液化ガスGLを過冷却液化ガスGSCにすることが可能となる。
したがって、構成が複雑化したり大型化したりすることなく、過冷却液化ガスGSCを得ることができる。
【0050】
(5)第5の態様に係る液化ガス設備3は、(4)の液化ガス設備3であって、前記コンプレッサ22と前記エキスパンダ23とは、同軸に接続されている。
【0051】
このような液化ガス設備3によれば、エキスパンダ23において冷媒が膨張する際に生じる回転エネルギーを、コンプレッサ22を駆動するためのエネルギーとして利用することが可能となる。
したがって、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0052】
(6)第6の態様に係る液化ガス設備3は、(5)の液化ガス設備3であって、前記熱交換器25は、前記コンプレッサ22から前記エキスパンダ23へ供給される前記冷媒を、前記分岐ライン12を流通する前記液化ガスGLの一部と熱交換させて予冷する予冷部28を更に備える。
【0053】
このような液化ガス設備3によれば、分岐ライン12を流通する液化ガスGLのうち、過冷却されない液化ガスGLを用いて冷媒を予冷することができるため、更なる省エネルギー化を図ることが可能となる。また、例えば、予冷に使用した液化ガスGLを液化ガスライン11に戻すことで、液化ガスライン11を流通する液化ガスGLを、再ガス化設備6で温度上昇させるために必要な熱エネルギーを低減することができる。
【0054】
(7)第7の態様に係る液化ガス設備3は、(6)の液化ガス設備3であって、前記再液化装置31で再液化されなかったボイルオフガスBOGを導く導入ライン32を備え、前記熱交換器25は、前記コンプレッサ22により圧縮された冷媒と前記導入ライン32により導かれた前記ボイルオフガスBOGとを熱交換して前記ボイルオフガスBOGを加温する加温部29を更に備える。
【0055】
このような液化ガス設備3によれば、気体状態のボイルオフガスBOGを加温することができるため、例えば、ボイラや内燃機関等の燃焼機器により燃料として利用しやすくなる。また、ボイルオフガスBOGの冷熱を利用してコンプレッサ22で圧縮された高温・高圧の冷媒を冷やすことができるため、液化ガスGLを過冷却する際に必要になるエネルギーを低減して、更なる省エネルギー化を図ることができる。
【0056】
(8)第8の態様に係る液化ガス設備3は、(1)から(7)の何れか一つの液化ガス設備3であって、前記液化ガスライン11は、液化ガスGLの温度を上昇させて再ガス化する再ガス化設備6に接続されている。
【0057】
このような液化ガス設備3によれば、液化ガスライン11を流通して再ガス化される液化ガスGLの冷熱を有効利用することができると共に、再ガス化の際に必要な熱エネルギーを低減できる。したがって、迅速に液化ガスGLを再ガス化することができる。
【0058】
(9)第9の態様に係る浮体1は、浮体本体2と、(1)から(8)の何れか一つの液化ガス設備3とを備えている。
浮体1の例としては、FSRU、船舶が挙げられる。
【0059】
このような浮体1によれば、ボイルオフガスBOGを再液化しつつ、浮体1における液化ガス設備3の配置自由度を向上すると共に省エネルギー化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1…浮体 2…浮体本体 3…液化ガス設備 4…液化ガスタンク 4a…上部 4b…タンクドーム部 5…リコンデンサ部 6…再ガス化設備 11…液化ガスライン 12…分岐ライン 13…流量調整弁 14…合流配管 15…流量調整弁 16…ボイルオフガス供給ライン 21…過冷却ユニット 22…コンプレッサ 23…エキスパンダ 24…電動機 25…熱交換器 26…冷媒配管 27…過冷却部 28…予冷部 29…加温部 30…過冷却液化ガス供給ライン 31…再液化装置 32…導入ライン 33…導出ライン 34…再凝縮タンク部 35…噴射部 36…再凝縮空間 37…吹き上げ防止板 41…凝縮ガス供給ライン GL…液化ガス BOG…ボイルオフガス GSC…過冷却液化ガス P1,P2…ポンプ LC…凝縮ガス
図1
図2