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特開2022-179981半導体装置及び半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179981
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20221129BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H01L29/80 U
H01L29/80 H
H01L29/44 S
H01L29/44 Y
H01L29/50 J
H01L21/28 301B
H01L23/48 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086833
(22)【出願日】2021-05-24
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、防衛装備庁、安全保障技術研究推進制度、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直哉
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB04
4M104BB08
4M104CC01
4M104DD08
4M104DD15
4M104DD28
4M104DD52
4M104DD53
4M104DD75
4M104EE02
4M104EE14
4M104FF02
4M104FF06
4M104FF11
4M104FF22
4M104FF27
4M104GG12
4M104HH20
5F102FA04
5F102GB01
5F102GB02
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR06
5F102GS09
5F102GV03
5F102HC01
5F102HC16
(57)【要約】
【課題】ダイヤモンド層を厚く形成せずとも優れた放熱効率を得ることができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第1面から前記第2面に向けて開口部が形成された基板と、前記第2面に対向する第3面を有する半導体デバイス層と、前記開口部内に設けられ、前記半導体デバイス層で発生した熱を前記第1面側に伝達する伝熱部材と、を有し、前記伝熱部材は、前記開口部の底面及び内壁面を覆うダイヤモンド層と、前記ダイヤモンド層の上に設けられた金属層と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第1面から前記第2面に向けて開口部が形成された基板と、
前記第2面に対向する第3面を有する半導体デバイス層と、
前記開口部内に設けられ、前記半導体デバイス層で発生した熱を前記第1面側に伝達する伝熱部材と、
を有し、
前記伝熱部材は、
前記開口部の底面及び内壁面を覆うダイヤモンド層と、
前記ダイヤモンド層の上に設けられた金属層と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記開口部は、前記第2面まで達し、
前記ダイヤモンド層は、前記第3面に直接接触することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ダイヤモンド層は、更に前記第1面を覆うことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
ヒートシンクと、
前記ヒートシンクと前記伝熱部材とを熱的に接続する接続部材と、
を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記開口部の前記ダイヤモンド層の内側の部分が前記金属層により埋められていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体デバイス層は、前記第3面とは反対側の第4面を有し、
前記第4面に設けられたソース電極と、
前記半導体デバイス層及び前記ダイヤモンド層を貫通し、前記ソース電極と前記金属層とを電気的に接続する導電ビアと、
を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ダイヤモンド層の厚さは、5μm~10μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有する基板の上に、前記第2面に対向する第3面を有する半導体デバイス層を形成する工程と、
前記基板に、前記第1面から前記第2面に向けて開口部を形成する工程と、
前記開口部内に、前記半導体デバイス層で発生した熱を前記第1面側に伝達する伝熱部材を形成する工程と、
を有し、
前記伝熱部材を形成する工程は、
前記開口部の底面及び内壁面を覆うダイヤモンド層を形成する工程と、
前記ダイヤモンド層の上に金属層を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GaN及びAlN等の窒化物半導体は、高い飽和電子速度及びワイドバンドギャップ等の特徴を有している。このため、これらの特性を利用して窒化物半導体を高耐圧及び高出力の半導体装置に適用することについて種々の検討が行われている。窒化物半導体を用いた半導体装置としては、電界効果トランジスタ、特に高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)についての報告が数多くなされている。窒化物半導体を用いた半導体装置は、例えば、ミリ波帯レーダーシステム、無線通信基地局システム、サーバーシステム等への応用が期待されている。
【0003】
一般に、半導体装置の出力が高くなるほど、半導体装置からの発熱量が増加する。そこで、放熱効率の向上のために、ダイヤモンド層を含む放熱構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-027912号公報
【特許文献2】特開2008-135532号公報
【特許文献3】特表2016-528744号公報
【特許文献4】特開2018-041785号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】B. Poust et al., "Selective Growth of Diamond in Thermal Vias for GaN HEMTs", 2013 IEEE Compound Semiconductor Integrated Circuit Symposium (CSICS)
【非特許文献2】J.D. Blevins et al., "Prospects for Gallium Nitride-on-Diamond Transistors", 2016 IEEE Compound Semiconductor Integrated Circuit Symposium (CSICS)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダイヤモンド層を用いることで放熱効率を向上することは可能であるが、十分な放熱効率が得られる厚さのダイヤモンド層を形成するためには多大な時間がかかる。このため、半導体装置の製造に要する時間が大幅に増加する。例えば、ダイヤモンド層を化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)法で形成する場合の成膜速度は、基板温度が700℃であると、1時間あたり0.5μm程度である。このため、20μmの厚さのダイヤモンド層を形成する場合には、40時間程度の時間がかかる。
【0007】
本開示の目的は、ダイヤモンド層を厚く形成せずとも優れた放熱効率を得ることができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一形態によれば、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第1面から前記第2面に向けて開口部が形成された基板と、前記第2面に対向する第3面を有する半導体デバイス層と、前記開口部内に設けられ、前記半導体デバイス層で発生した熱を前記第1面側に伝達する伝熱部材と、を有し、前記伝熱部材は、前記開口部の底面及び内壁面を覆うダイヤモンド層と、前記ダイヤモンド層の上に設けられた金属層と、を有する半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ダイヤモンド層を厚く形成せずとも優れた放熱効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置を示す下面図である。
図3】第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の使用態様の一例を示す断面図である。
図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図9】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
図10】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
図11】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
図12】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
図13】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その9)である。
図14】第2実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図15】第2実施形態に係る半導体装置を示す下面図である。
図16】第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図17】第2実施形態に係る半導体装置の使用態様の一例を示す断面図である。
図18】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図19】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図20】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図21】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図22】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
図23】放熱効率に関するシミュレーションの結果を示す図である。
図24】第3実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図25】第3実施形態に係る半導体装置を示す下面図である。
図26】第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図27】第3実施形態に係る半導体装置の使用態様の一例を示す断面図である。
図28】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図29】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図30】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図31】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図32】第4実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
図33】第4実施形態に係る半導体装置を示す下面図である。
図34】第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図35】第4実施形態に係る半導体装置の使用態様の一例を示す断面図である。
図36】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図37】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図38】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図39】第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図40】第5実施形態に係るディスクリートパッケージを示す図である。
図41】第6実施形態に係るPFC回路を示す結線図である。
図42】第7実施形態に係る電源装置を示す結線図である。
図43】第8実施形態に係る増幅器を示す結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0012】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、第1実施形態は高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)を含む半導体装置に関する。図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。図2は、第1実施形態に係る半導体装置を示す下面図である。図3は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。図3は、図1及び図2中のIII-III線に沿った断面図に相当する。
【0013】
第1実施形態に係る半導体装置100は、図1図3に示すように、基板10と、半導体デバイス層20と、複数のゲート電極31と、複数のソース電極32と、複数のドレイン電極33とを有する。
【0014】
基板10は、下面10Aと、上面10Bとを有する。基板10は、例えばAlN基板、SiC基板、GaN基板又はSi基板である。基板10の厚さは、例えば20μm~100μmである。下面10Aは第1面の一例であり、上面10Bは第2面の一例である。
【0015】
半導体デバイス層20は、下面20Aと、上面20Bとを有する。半導体デバイス層20は、例えばエピタキシャル層である。半導体デバイス層20の下面20Aは、基板10の上面10Bに対向する。下面20Aが上面10Bに直接接触してもよい。半導体デバイス層20は、HEMTを構成する複数の化合物半導体層を含む。半導体デバイス層20は、例えば、GaN等のチャネル層(電子走行層)及びAlGaN等のバリア層(電子供給層)を含む。半導体デバイス層20がバッファ層、スペーサ層及びキャップ層等を更に含んでいてもよい。下面20Aは第3面の一例であり、上面20Bは第4面の一例である。
【0016】
ゲート電極31、ソース電極32及びドレイン電極33は、半導体デバイス層20の上面20Bに設けられている。上面20Bには、更に、ゲート配線41と、ゲートパッド51と、ソース配線42と、ソースパッド52と、ドレイン配線43と、ドレインパッド53とが設けられている。ゲート配線41は複数のゲート電極31とゲートパッド51とを電気的に接続する。ソース配線42は複数のソース電極32とソースパッド52とを電気的に接続する。ドレイン配線43は複数のドレイン電極33とドレインパッド53とを電気的に接続する。平面視で、複数のゲート電極31及びゲート配線41は櫛歯状に配置されてもよく、複数のソース電極32及びソース配線42は櫛歯状に配置されてもよく、複数のドレイン電極33及びドレイン配線43は櫛歯状に配置されてもよい。
【0017】
基板10に、下面10Aから上面10Bに向けて開口部11が形成されている。開口部11は、上面10Bまで達していてもよい。つまり、開口部11が基板10を貫通していてもよい。開口部11は、例えば、平面視で矩形状に形成されている。半導体デバイス層20においては、特に、平面視で、隣り合うゲート電極31とドレイン電極33との間に位置する部分において熱が発生しやすい。開口部11は、平面視で、隣り合うゲート電極31とドレイン電極33との間に位置する部分を包囲するように形成されていることが好ましい。
【0018】
半導体装置100は、開口部11内に設けられ、半導体デバイス層20で発生した熱を基板10の下面10A側に伝達するサーマルビア60を有する。サーマルビア60は、ダイヤモンド層61と、金属層62とを有する。ダイヤモンド層61は、開口部11の底面及び内壁面を覆う。ダイヤモンド層61が半導体デバイス層20の下面20Aに直接接触してもよい。ダイヤモンド層61の厚さは、例えば5μm~10μmである。金属層62は、例えばCuを含む。金属層62がAg等を含んでいてもよい。開口部11のダイヤモンド層61の内側の部分が金属層62により埋められていてもよい。サーマルビア60は伝熱部材の一例である。
【0019】
半導体装置100は、例えば、ヒートシンクに実装して用いられる。図4は、第1実施形態に係る半導体装置100の使用態様の一例を示す断面図である。半導体装置100は、図4に示すように、はんだ72を用いてヒートシンク71に実装される。ヒートシンク71の材料は、例えばCuMo合金又はCuW合金等である。はんだ72の材料は、例えばAuSn合金等である。はんだ72は金属層62に直接接触する。はんだ72がダイヤモンド層61にも直接接触してもよい。はんだ72によりヒートシンク71とサーマルビア60とが熱的に接続される。はんだ72は接続部材の一例である。
【0020】
次に、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。図5図13は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す断面図である。
【0021】
まず、図5に示すように、基板10を準備し、基板10の上面10Bの上に半導体デバイス層20を形成する。半導体デバイス層20は、例えば有機金属化学気相成長(metal organic chemical vapor deposition:MOCVD)法等の結晶成長法により形成することができる。つまり、半導体デバイス層20はエピタキシャル成長により形成することができる。次いで、半導体デバイス層20の上面20Bの上にゲート電極31、ソース電極32及びドレイン電極33を形成する。図5では図示を省略するが、ゲート配線41、ゲートパッド51、ソース配線42、ソースパッド52、ドレイン配線43及びドレインパッド53も形成する。
【0022】
その後、図6に示すように、半導体デバイス層20の上面20Bに接着剤91を設け、支持基板92に貼り付ける。接着剤91は、例えば塗布により設けることができる。続いて、基板10を下面10Aから研削する。研削後の基板10の厚さは、例えば20μm~100μmとする。
【0023】
次いで、図7に示すように、下面10Aの上にメタルマスク93を形成する。メタルマスク93は、開口部11を形成する予定の領域を露出する開口部94を有する。メタルマスク93は、例えばNi層を有する。
【0024】
その後、図8に示すように、基板10の開口部94から露出する部分のドライエッチングを行うことにより、基板10に開口部11を形成する。開口部11は、例えば半導体デバイス層20の下面20Aが露出するように形成する。開口部11を半導体デバイス層20に入り込むように形成してもよい。また、基板10の一部が厚さ方向で残存するように開口部11を形成してもよい。
【0025】
続いて、図9に示すように、接着剤91を除去し、基板10及び半導体デバイス層20を支持基板92から剥離する。次いで、開口部11の内壁面の上と、半導体デバイス層20の下面20Aの上と、メタルマスク93の下面の上とにナノダイヤモンド粒95を付着させる。
【0026】
その後、図10に示すように、メタルマスク93を除去する。メタルマスク93は、例えば希硝酸を用いて除去できる。メタルマスク93の除去に伴って、メタルマスク93の下面の上に形成されていたナノダイヤモンド粒95も除去される。
【0027】
続いて、図11に示すように、ナノダイヤモンド粒95を成長核して用いて、開口部11の内壁面の上と、半導体デバイス層20の下面20Aの上とにダイヤモンド層61を形成する。ナノダイヤモンド粒95はダイヤモンド層61に取り込まれる。ダイヤモンド層61は、例えばCVD法により形成することができる。ダイヤモンド層61の厚さは、例えば5μm~10μmとする。ダイヤモンド層61の成長速度は、基板10の温度が700℃のとき、1時間あたり0.5μm程度である。
【0028】
次いで、図12に示すように、半導体デバイス層20の上面20Bに接着剤96を設け、支持基板97に貼り付ける。接着剤96は、例えば塗布により設けることができる。その後、ダイヤモンド層61の下面の上と、基板10の下面10Aの上とに金属層62を形成する。金属層62の形成では、例えば、シード層(図示せず)をスパッタ法により形成し、シード層の上に電解めっき法によりCuめっき層を形成する。金属層62は、例えば、開口部11のダイヤモンド層61の内側の部分を埋めるように形成する。
【0029】
続いて、図13に示すように、化学機械研磨(chemical mechanical polishing:CMP)法により、金属層62を研磨する。金属層62の研磨は、基板10の下面10Aが露出するまで行ってもよく、金属層62の一部が厚さ方向で残存するように、下面10Aが露出する前に停止してもよい。次いで、接着剤96を除去し、基板10及び半導体デバイス層20を支持基板97から剥離する(図3参照)。
【0030】
このようにして、第1実施形態に係る半導体装置100を製造することができる。
【0031】
第1実施形態に係る半導体装置100では、チャネル層(電子走行層)及びバリア層(電子供給層)を含むHEMTの動作に伴って半導体デバイス層20が発熱する。上述のように、半導体デバイス層20においては、特に、平面視で、隣り合うゲート電極31とドレイン電極33との間に位置する部分において熱が発生しやすい。
【0032】
半導体装置100では、サーマルビア60がダイヤモンド層61及び金属層62を含んでおり、半導体デバイス層20で発生した熱は、ダイヤモンド層61だけでなく、金属層62をも通じて下面10A側のヒートシンク71に伝達される。そして、ヒートシンク71まで伝達された熱は、ヒートシンク71から外方に放出される。このため、本実施形態によれば、ダイヤモンド層61が厚くなくても優れた放熱効率を得られる。例えば、後述のシミュレーションの結果にも示されるように(図23参照)、金属層62が形成されていない参考例と比較すると、参考例におけるダイヤモンド層の厚さが20μmの場合よりも高い放熱効率を、厚さが5μmのダイヤモンド層61を用いて得ることができる。このことは、ダイヤモンド層の成膜時間を1/4に低減しながら、参考例よりも良好な放熱効率が得られることを意味する。ダイヤモンド層の成膜速度が1時間あたり0.5μm程度であれば、30時間もの短縮を実現できる。従って、金属層62の形成に関する時間の増加を考慮しても、プロセス全体に要する時間を大幅に低減することができる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として、サーマルビア60の構成の点で第1実施形態と相違する。図14は、第2実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。図15は、第2実施形態に係る半導体装置を示す下面図である。図16は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。図16は、図14及び図15中のXVI-XVI線に沿った断面図に相当する。
【0034】
第2実施形態に係る半導体装置200では、図14図16に示すように、サーマルビア60に含まれるダイヤモンド層61が、開口部11の底面及び内壁面を覆うとともに、更に基板10の下面10Aを覆う。金属層62の下面は、ダイヤモンド層61の基板10の下面10Aを覆う部分の下面と面一になっている。
【0035】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0036】
半導体装置200も、例えば、ヒートシンクに実装して用いられる。図17は、第2実施形態に係る半導体装置200の使用態様の一例を示す断面図である。半導体装置200は、図17に示すように、はんだ72を用いてヒートシンク71に実装される。はんだ72はダイヤモンド層61及び金属層62に直接接触する。はんだ72によりヒートシンク71とサーマルビア60とが熱的に接続される。
【0037】
次に、第2実施形態に係る半導体装置200の製造方法について説明する。図18図22は、第2実施形態に係る半導体装置200の製造方法を示す断面図である。
【0038】
まず、第1実施形態と同様にして、開口部11の形成までの処理を行う(図8参照)。次いで、図18に示すように、メタルマスク93を除去する。メタルマスク93は、例えば希硝酸を用いて除去できる。
【0039】
その後、図19に示すように、開口部11の内壁面の上と、半導体デバイス層20の下面20Aの上と、基板10の下面10Aの上とにナノダイヤモンド粒95を付着させる。
【0040】
続いて、図20に示すように、ナノダイヤモンド粒95を成長核して用いて、開口部11の内壁面の上と、半導体デバイス層20の下面20Aの上と、基板10の下面10Aの上とにダイヤモンド層61を形成する。ナノダイヤモンド粒95はダイヤモンド層61に取り込まれる。
【0041】
次いで、図21に示すように、半導体デバイス層20の上面20Bに接着剤96を設け、支持基板97に貼り付ける。その後、ダイヤモンド層61の下面の上に金属層62を形成する。
【0042】
続いて、図22に示すように、CMP法により、金属層62を研磨する。金属層62の研磨は、ダイヤモンド層61の下面が露出するまで行ってもよく、金属層62の一部が厚さ方向で残存するように、ダイヤモンド層61の下面が露出する前に停止してもよい。次いで、接着剤96を除去し、基板10及び半導体デバイス層20を支持基板97から剥離する(図16参照)。
【0043】
このようにして、第2実施形態に係る半導体装置200を製造することができる。
【0044】
第2実施形態によれば、ダイヤモンド層61が基板10の下面10Aを覆うため、より優れた放熱効率を得ることができる。例えば、後述のシミュレーションの結果にも示されるように(図23参照)、金属層62が形成されていない参考例と比較すると、参考例におけるダイヤモンド層の厚さが50μmの場合よりも高い放熱効率を、厚さが10μmのダイヤモンド層61を用いて得ることができる。このことは、ダイヤモンド層の成膜時間を1/5に低減しながら、参考例よりも良好な放熱効率が得られることを意味する。ダイヤモンド層の成膜速度が1時間あたり0.5μm程度であれば、80時間もの短縮を実現できる。従って、金属層62の形成に関する時間の増加を考慮しても、プロセス全体に要する時間を大幅に低減することができる。
【0045】
ここで、本願発明者が行った第1実施形態及び第2実施形態の放熱効率に関するシミュレーションについて説明する。このシミュレーションでは、第1実施形態及び第2実施形態におけるHEMTの動作時のチャネルの温度の、基板10に開口部11が形成されず、サーマルビア60が設けられていない第1参考例におけるHEMTの動作時のチャネルの温度との差を計算した。また、ダイヤモンド層61が設けられているものの金属層62が設けられていない第2参考例におけるHEMTの動作時のチャネルの温度の、第1参考例におけるHEMTの動作時のチャネルの温度との差も計算した。
【0046】
第1参考例、第2参考例、第1実施形態及び第2実施形態のいずれにおいても、基板10は、厚さが50μmのAlN基板とした。第2参考例については、ダイヤモンド層61の厚さを10μm(条件A)、15μm(条件B)、20μm(条件C)、30μm(条件D)、50μm(条件E)とした。条件Eは、開口部がダイヤモンド層61で埋まる条件である。第1実施形態については、ダイヤモンド層61の厚さを5μm(条件F)、10μm(条件G)とした。第2実施形態については、ダイヤモンド層61の厚さを5μm(条件H)、10μm(条件I)とした。他の条件は、第1参考例、第2参考例、第1実施形態及び第2実施形態の間で共通である。
【0047】
シミュレーションの結果を図23に示す。図23中のグラフの縦軸は、第1参考例におけるチャネルの温度を基準とした、第2参考例、第1実施形態及び第2実施形態におけるチャネルの温度の差分である。差分が正であることは、第1参考例よりもチャネルの温度が高くなることを示し、差分が負であることは、第1参考例よりもチャネルの温度が低くなることを示す。
【0048】
図23に示すように、第1実施形態の条件Fでは、ダイヤモンド層61の厚さが5μmであっても、ダイヤモンド層61の厚さが20μmの第2参考例の条件Cよりもチャネルの温度が低くなる。第1実施形態の条件Gでは、チャネルの温度が更に低くなる。また、第2実施形態の条件Hでは、ダイヤモンド層61の厚さが5μmであっても、ダイヤモンド層61の厚さが10μmの第1実施形態の条件Gよりもチャネルの温度が低くなる。第2実施形態の条件Iでは、チャネルの温度が更に低くなり、ダイヤモンド層61の厚さが50μmの第2参考例の条件Eよりもチャネルの温度が低くなる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、主として、ソース電極と金属層とが電気的に接続されている点で第1実施形態と相違する。図24は、第3実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。図25は、第3実施形態に係る半導体装置を示す下面図である。図26は、第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。図26は、図24及び図25中のXXVI-XXVI線に沿った断面図に相当する。
【0050】
第3実施形態に係る半導体装置300では、図24図26に示すように、半導体デバイス層20及びダイヤモンド層61に貫通孔81が形成されている。貫通孔81は、ソース電極32と金属層62との間に形成されている。半導体装置300は、貫通孔81内に設けられ、ソース電極32と金属層62とを電気的に接続する導電ビア82を有する。導電ビア82は、半導体デバイス層20及びダイヤモンド層61を貫通する。導電ビア82は、例えばCuを含有する。導電ビア82がAgを含有してもよい。半導体装置300は、ソース配線42及びソースパッド52を含まなくてよい。
【0051】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0052】
半導体装置300も、例えば、ヒートシンクに実装して用いられる。図27は、第3実施形態に係る半導体装置300の使用態様の一例を示す断面図である。半導体装置300は、図27に示すように、はんだ72を用いてヒートシンク71に実装される。はんだ72は金属層62に直接接触する。はんだ72がダイヤモンド層61にも直接接触してもよい。はんだ72によりヒートシンク71とサーマルビア60とが熱的に接続される。
【0053】
次に、第3実施形態に係る半導体装置300の製造方法について説明する。図28図31は、第3実施形態に係る半導体装置300の製造方法を示す断面図である。
【0054】
まず、第1実施形態と同様にして、ダイヤモンド層61の形成までの処理を行う(図11参照)。次いで、図28に示すように、半導体デバイス層20の上面20Bに接着剤96を設け、支持基板97に貼り付ける。その後、基板10の下面10Aの上と、ダイヤモンド層61の下面の上とにメタルマスク98を形成する。メタルマスク98は、貫通孔81を形成する予定の領域を露出する開口部99を有する。メタルマスク98は、例えばNi層を有する。メタルマスク98の形成では、例えば、シード層(図示せず)をスパッタ法により形成し、フォトレジスト等によりシード層の貫通孔81を形成する予定の領域を覆い、シード層の上に電解めっき法によりNiめっき層を形成する。Niめっき層の形成の後、フォトレジストを除去し、シード層のNiめっき層から露出している部分を除去する。
【0055】
メタルマスク98の形成の後、図29に示すように、ダイヤモンド層61の開口部99から露出する部分のドライエッチングを行い、半導体デバイス層20の開口部99から露出する部分のドライエッチングを行うことにより、ダイヤモンド層61及び半導体デバイス層20に貫通孔81を形成する。例えば、ダイヤモンド層61は、酸素を用いてドライエッチングすることができ、半導体デバイス層20は塩素を用いてドライエッチングすることができる。次いで、メタルマスク98を除去する。メタルマスク98は、例えば希硝酸を用いて除去できる。
【0056】
その後、図30に示すように、ダイヤモンド層61の下面の上と、基板10の下面10Aの上とに金属層62を形成するとともに、貫通孔81の内部に導電ビア82を形成する。金属層62及び導電ビア82の形成では、例えば、シード層(図示せず)をスパッタ法により形成し、シード層の上に電解めっき法によりCuめっき層を形成する。
【0057】
続いて、図31に示すように、CMP法により、金属層62を研磨する。次いで、接着剤96を除去し、基板10及び半導体デバイス層20を支持基板97から剥離する(図26参照)。
【0058】
このようにして、第3実施形態に係る半導体装置300を製造することができる。
【0059】
第3実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、ソース電極32が導電ビア82を介して金属層62に電気的に接続される。このため、金属層62を接地することで、ソースインダクタンスを低減することができる。
【0060】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、主として、サーマルビア60の構成の点で第3実施形態と相違する。図32は、第4実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。図33は、第4実施形態に係る半導体装置を示す下面図である。図34は、第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。図34は、図32及び図33中のXXXIV-XXXIV線に沿った断面図に相当する。
【0061】
第4実施形態に係る半導体装置200では、図32図34に示すように、第2実施形態と同様に、サーマルビア60に含まれるダイヤモンド層61が、開口部11の底面及び内壁面を覆うとともに、更に基板10の下面10Aを覆う。金属層62の下面は、ダイヤモンド層61の基板10の下面10Aを覆う部分の下面と面一になっている。
【0062】
他の構成は第3実施形態と同様である。
【0063】
半導体装置400も、例えば、ヒートシンクに実装して用いられる。図35は、第4実施形態に係る半導体装置400の使用態様の一例を示す断面図である。半導体装置400は、図35に示すように、はんだ72を用いてヒートシンク71に実装される。はんだ72はダイヤモンド層61及び金属層62に直接接触する。はんだ72によりヒートシンク71とサーマルビア60とが熱的に接続される。
【0064】
次に、第4実施形態に係る半導体装置400の製造方法について説明する。図36図39は、第4実施形態に係る半導体装置400の製造方法を示す断面図である。
【0065】
まず、第2実施形態と同様にして、ダイヤモンド層61の形成までの処理を行う(図20参照)。次いで、図36に示すように、半導体デバイス層20の上面20Bに接着剤96を設け、支持基板97に貼り付ける。その後、基板10の下面10Aの上と、ダイヤモンド層61の下面の上とにメタルマスク98を形成する。メタルマスク98は、貫通孔81を形成する予定の領域を露出する開口部99を有する。
【0066】
メタルマスク98の形成の後、図37に示すように、ダイヤモンド層61の開口部99から露出する部分のドライエッチングを行い、半導体デバイス層20の開口部99から露出する部分のドライエッチングを行うことにより、ダイヤモンド層61及び半導体デバイス層20に貫通孔81を形成する。次いで、メタルマスク98を除去する。
【0067】
その後、図38に示すように、ダイヤモンド層61の下面の上に金属層62を形成するとともに、貫通孔81の内部に導電ビア82を形成する。
【0068】
続いて、図39に示すように、CMP法により、金属層62を研磨する。次いで、接着剤96を除去し、基板10及び半導体デバイス層20を支持基板97から剥離する。
【0069】
このようにして、第4実施形態に係る半導体装置400を製造することができる。
【0070】
第4実施形態によっても第2実施形態と同様の効果が得られる。また、ソース電極32が導電ビア82を介して金属層62に電気的に接続される。このため、金属層62を接地することで、ソースインダクタンスを低減することができる。
【0071】
なお、第3実施形態及び第4実施形態において、ソース配線42及びソースパッド52が設けられて、ソースパッド52と金属層62とを接続するように導電ビアが設けられていてもよい。この場合にも、金属層62を接地することで、ソースインダクタンスを低減することができる。
【0072】
基板10の厚さは特に限定されないが、例えば20μm~100μmである。基板10が過剰に薄い場合、半導体デバイス層20に形成された半導体素子とヒートシンク71等との間の寄生容量が大きくなり得る。基板10が過剰に厚い場合、放熱効率が低下したり、開口部11の形成に時間がかかったりし得る。例えば、第1実施形態及び第3実施形態では、基板10の厚さが30μm~100μmであってもよく、第2実施形態及び第4実施形態では、基板10の厚さが20μm~70μmであってもよい。
【0073】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は、HEMTのディスクリートパッケージに関する。図40は、第5実施形態に係るディスクリートパッケージを示す図である。
【0074】
第5実施形態では、図40に示すように、第1~第4実施形態のいずれかと同様の構造を備えた半導体装置1210の裏面がはんだ等のダイアタッチ剤1234を用いてランド(ダイパッド)1233に固定されている。また、ドレイン電極33が接続されたドレインパッド1226d(ドレインパッド53)に、Alワイヤ等のワイヤ1235dが接続され、ワイヤ1235dの他端が、ランド1233と一体化しているドレインリード1232dに接続されている。ソース電極32に接続されたソースパッド1226s(ソースパッド52)にAlワイヤ等のワイヤ1235sが接続され、ワイヤ1235sの他端がランド1233から独立したソースリード1232sに接続されている。半導体装置1210が第3又は第4実施形態と同様の構造を備える場合、金属層62を接地してもよい。ゲート電極31に接続されたゲートパッド1226g(ゲートパッド51)にAlワイヤ等のワイヤ1235gが接続され、ワイヤ1235gの他端がランド1233から独立したゲートリード1232gに接続されている。そして、ゲートリード1232gの一部、ドレインリード1232dの一部及びソースリード1232sの一部が突出するようにして、ランド1233及び半導体装置1210等がモールド樹脂1231によりパッケージングされている。
【0075】
このようなディスクリートパッケージは、例えば、次のようにして製造することができる。まず、半導体装置1210をはんだ等のダイアタッチ剤1234を用いてリードフレームのランド1233に固定する。次いで、ワイヤ1235g、1235d及び1235sを用いたボンディングにより、ゲートパッド1226gをリードフレームのゲートリード1232gに接続し、ドレインパッド1226dをリードフレームのドレインリード1232dに接続し、ソースパッド1226sをリードフレームのソースリード1232sに接続する。その後、トランスファーモールド法にてモールド樹脂1231を用いた封止を行う。続いて、リードフレームを切り離す。
【0076】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。第6実施形態は、HEMTを備えたPFC(Power Factor Correction)回路に関する。図41は、第6実施形態に係るPFC回路を示す結線図である。
【0077】
PFC回路1250には、スイッチ素子(トランジスタ)1251、ダイオード1252、チョークコイル1253、コンデンサ1254及び1255、ダイオードブリッジ1256、並びに交流電源(AC)1257が設けられている。そして、スイッチ素子1251のドレイン電極と、ダイオード1252のアノード端子及びチョークコイル1253の一端子とが接続されている。スイッチ素子1251のソース電極と、コンデンサ1254の一端子及びコンデンサ1255の一端子とが接続されている。コンデンサ1254の他端子とチョークコイル1253の他端子とが接続されている。コンデンサ1255の他端子とダイオード1252のカソード端子とが接続されている。また、スイッチ素子1251のゲート電極にはゲートドライバが接続されている。コンデンサ1254の両端子間には、ダイオードブリッジ1256を介してAC1257が接続される。コンデンサ1255の両端子間には、直流電源(DC)が接続される。そして、本実施形態では、スイッチ素子1251に、第1~第4実施形態のいずれかと同様の構造を備えた半導体装置が用いられている。
【0078】
PFC回路1250の製造に際しては、例えば、はんだ等を用いて、スイッチ素子1251をダイオード1252及びチョークコイル1253等に接続する。
【0079】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。第7実施形態は、サーバ電源に好適な、HEMTを備えた電源装置に関する。図42は、第7実施形態に係る電源装置を示す結線図である。
【0080】
電源装置には、高圧の一次側回路1261及び低圧の二次側回路1262、並びに一次側回路1261と二次側回路1262との間に配設されるトランス1263が設けられている。
【0081】
一次側回路1261には、第6実施形態に係るPFC回路1250、及びPFC回路1250のコンデンサ1255の両端子間に接続されたインバータ回路、例えばフルブリッジインバータ回路1260が設けられている。フルブリッジインバータ回路1260には、複数(ここでは4つ)のスイッチ素子1264a、1264b、1264c及び1264dが設けられている。
【0082】
二次側回路1262には、複数(ここでは3つ)のスイッチ素子1265a、1265b及び1265cが設けられている。
【0083】
本実施形態では、一次側回路1261を構成するPFC回路1250のスイッチ素子1251、並びにフルブリッジインバータ回路1260のスイッチ素子1264a、1264b、1264c及び1264dに、第1~第4実施形態のいずれかと同様の構造を備えた半導体装置が用いられている。一方、二次側回路1262のスイッチ素子1265a、1265b及び1265cには、シリコンを用いた通常のMIS型FET(電界効果トランジスタ)が用いられている。
【0084】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。第8実施形態は、HEMTを備えた増幅器に関する。図43は、第8実施形態に係る増幅器を示す結線図である。
【0085】
増幅器には、ディジタル・プレディストーション回路1271、ミキサー1272a及び1272b、並びにパワーアンプ1273が設けられている。
【0086】
ディジタル・プレディストーション回路1271は、入力信号の非線形歪みを補償する。ミキサー1272aは、非線形歪みが補償された入力信号と交流信号とをミキシングする。パワーアンプ1273は、第1~第4実施形態のいずれかと同様の構造を備えた半導体装置を備えており、交流信号とミキシングされた入力信号を増幅する。なお、本実施形態では、例えば、スイッチの切り替えにより、出力側の信号をミキサー1272bで交流信号とミキシングしてディジタル・プレディストーション回路1271に送出できる。この増幅器は、高周波増幅器、高出力増幅器として使用することができる。高周波増幅器は、例えば、携帯電話基地局用送受信装置、レーダー装置及びマイクロ波発生装置に用いることができる。
【0087】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0088】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0089】
(付記1)
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第1面から前記第2面に向けて開口部が形成された基板と、
前記第2面に対向する第3面を有する半導体デバイス層と、
前記開口部内に設けられ、前記半導体デバイス層で発生した熱を前記第1面側に伝達する伝熱部材と、
を有し、
前記伝熱部材は、
前記開口部の底面及び内壁面を覆うダイヤモンド層と、
前記ダイヤモンド層の上に設けられた金属層と、
を有することを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記開口部は、前記第2面まで達し、
前記ダイヤモンド層は、前記第3面に直接接触することを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記ダイヤモンド層は、更に前記第1面を覆うことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
(付記4)
ヒートシンクと、
前記ヒートシンクと前記伝熱部材とを熱的に接続する接続部材と、
を有することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記5)
前記開口部の前記ダイヤモンド層の内側の部分が前記金属層により埋められていることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記6)
前記半導体デバイス層は、前記第3面とは反対側の第4面を有し、
前記第4面に設けられたソース電極と、
前記半導体デバイス層及び前記ダイヤモンド層を貫通し、前記ソース電極と前記金属層とを電気的に接続する導電ビアと、
を有することを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記7)
前記ダイヤモンド層の厚さは、5μm~10μmであることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記8)
前記基板の厚さは、20μm~100μmであることを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記9)
前記基板は、AlN基板、SiC基板、GaN基板又はSi基板であることを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記10)
前記金属層は、Cu又はAgを含むことを特徴とする付記1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記11)
付記1乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置を有することを特徴とする増幅器。
(付記12)
付記1乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置を有することを特徴とする電源装置。
(付記13)
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有する基板の上に、前記第2面に対向する第3面を有する半導体デバイス層を形成する工程と、
前記基板に、前記第1面から前記第2面に向けて開口部を形成する工程と、
前記開口部内に、前記半導体デバイス層で発生した熱を前記第1面側に伝達する伝熱部材を形成する工程と、
を有し、
前記伝熱部材を形成する工程は、
前記開口部の底面及び内壁面を覆うダイヤモンド層を形成する工程と、
前記ダイヤモンド層の上に金属層を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0090】
100、200、300、400:半導体装置
10:基板
10A:下面
10B:上面
11:開口部
20:半導体デバイス層
20A:下面
20B:上面
31:ゲート電極
32:ソース電極
33:ドレイン電極
60:サーマルビア
61:ダイヤモンド層
62:金属層
71:ヒートシンク
72:はんだ
81:貫通孔
82:導電ビア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43