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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179985
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】覆工コンクリート打込方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
E21D11/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086844
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000158725
【氏名又は名称】岐阜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】谷村 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 将
(72)【発明者】
【氏名】木村 厚之
(72)【発明者】
【氏名】八木田 茂生
(72)【発明者】
【氏名】楠本 太
(72)【発明者】
【氏名】大久保 常秀
(72)【発明者】
【氏名】本田 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】伊勢 善英
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA05
2D155BB02
2D155DA08
(57)【要約】
【課題】坑内仮設備に干渉せずに配置することができ、かつ周長の長いトンネルにも適用可能となる。
【解決手段】トンネル周方向に延在するコンクリート圧送管における複数の打込箇所毎に打込管4を介して配管切替部5を設け、配管切替部5で所定の打込管4に切り替えながら順次、コンクリートを打ち込む配管切替打込システム1Aと、トンネル周方向に延在するガイドレール92に打込ノズル91を複数の打込箇所に対して順次、案内させて移動させながらコンクリートを打ち込むマニピュレータ式打込システム1Bと、複数の打込口のそれぞれに打込ノズルを固定し、順次、コンクリートを打ち込む固定式打込システム1Cと、のうち少なくとも2つのシステムをトンネル条件に合わせて任意に選定して組み合わせ、選定したシステムを覆工型枠8のトンネル周方向の所定範囲に配置して施工するようにした覆工コンクリート打込方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル壁面の周方向に延在する覆工型枠を使用し、前記トンネル壁面と前記覆工型枠との間のコンクリート打込領域にコンクリートを打ち込んでトンネルの覆工を構築するための覆工コンクリート打込方法であって、
トンネル周方向に延在するコンクリート圧送管における複数の打込箇所毎に打込管を介して配管切替部を設け、該配管切替部で所定の前記打込管に切り替えながら順次、前記コンクリート打込領域にコンクリートを打ち込む配管切替打込システムと、
トンネル周方向に延在するガイドレールに打込ノズルを複数の打込箇所に対して順次、案内させて移動させながら前記コンクリート打込領域にコンクリートを打ち込むマニピュレータ式打込システムと、
複数の打込口のそれぞれに打込ノズルを固定し、順次、前記コンクリート打込領域にコンクリートを打ち込む固定式打込システムと、
のうち少なくとも2つのシステムをトンネル条件に合わせて任意に選定して組み合わせ、選定したシステムを前記覆工型枠のトンネル周方向の所定範囲に配置して施工するようにしたことを特徴とする覆工コンクリート打込方法。
【請求項2】
トンネル天端部には、前記固定式打込システムが設けられ、
トンネル側部には、前記配管切替打込システム及び前記マニピュレータ式打込システムのうち少なくとも一方が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の覆工コンクリート打込方法。
【請求項3】
前記トンネルは、上半3心円扁平大断面トンネルであって、
トンネル天端部には、前記固定式打込システムが設けられ、
トンネル側部のうち一方の第1側部には、前記配管切替打込システムが設けられ、
トンネル側部のうち他方の第2側部には、前記マニピュレータ式打込システムが設けられ、
前記第1側部及び前記トンネル天端部の少なくとも一方に、前記覆工型枠を通過する風管や連続ベルトコンベヤ等の延長設備を設けるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の覆工コンクリート打込方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、覆工コンクリート打込方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、NATM工法により掘削されたトンネル壁面と覆工型枠との間の空隙にコンクリートを打ち込んでトンネルの覆工を構築するためのコンクリート打込装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、このようなコンクリート打込装置として、切羽側に設置される妻型枠においてトンネル周方向に複数の打込口を設け、これら複数の打込口に対して打込ノズルの切替えを自動で行いながら打ち込むマニピュレータ方式打込装置が採用されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-105029号公報
【特許文献2】特開2020-56196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に示されるような従来のコンクリート打込装置では、以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1のようなマニピュレータ方式の打込装置は、上半断面の左右方向にマニピュレータ可動配管の構造部の中心を設け、トンネル周方向に移動させる構成となっている。そのため、マニピュレータ可動配管の可動領域が掘削ずりを坑外に搬出する連続ベルトコンベヤや風管のスペースを侵してしまい、可動するマニピュレータ可動配管と連続ベルトコンベヤや風管等の坑内仮設備に干渉することから、構造上、マニピュレータ方式打込装置を設けることができないという問題があった。
【0005】
また、従来のマニピュレータ方式の打込装置のみを使用する覆工コンクリート打込方法では、例えば上半3心円扁平大断面トンネルに適用される場合において、型枠の周長が長くなることから、天端部のコンクリート打込みが構造上、困難となっていた。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、坑内仮設備に干渉せずに配置することができ、かつ周長の長いトンネルにも適用可能となる覆工コンクリート打込方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る覆工コンクリート打込方法は、トンネル壁面の周方向に延在する覆工型枠を使用し、前記トンネル壁面と前記覆工型枠との間のコンクリート打込領域にコンクリートを打ち込んでトンネルの覆工を構築するための覆工コンクリート打込方法であって、トンネル周方向に延在するコンクリート圧送管における複数の打込箇所毎に打込管を介して配管切替部を設け、該配管切替部で所定の前記打込管に切り替えながら順次、前記コンクリート打込領域にコンクリートを打ち込む配管切替打込システムと、トンネル周方向に延在するガイドレールに打込ノズルを複数の打込箇所に対して順次、案内させて移動させながら前記コンクリート打込領域にコンクリートを打ち込むマニピュレータ式打込システムと、複数の打込口のそれぞれに打込ノズルを固定し、順次、前記コンクリート打込領域にコンクリートを打ち込む固定式打込システムと、のうち少なくとも2つのシステムをトンネル条件に合わせて任意に選定して組み合わせ、選定したシステムを前記覆工型枠のトンネル周方向の所定範囲に配置して施工するようにしたことを特徴としている。
【0008】
本発明では、覆工型枠内を通過する連続ベルトコンベヤや風管等の坑内仮設備の配置や、覆工型枠の形状などのトンネル条件に合わせて、配管切替打込システムと、マニピュレータ式打込システムと、固定式打込システムとのうち少なくとも2つを任意に選定して組み合わせることが可能であるので、トンネル周方向の所定位置に好適に配置してコンクリートを打ち込むことができる。そのため、坑内仮設備に干渉せずに配置することができ、かつ周長の長いトンネルにも適用可能となる。
【0009】
また、本発明に係る覆工コンクリート打込方法は、トンネル天端部には、前記固定式打込システムが設けられ、トンネル側部には、前記配管切替打込システム及び前記マニピュレータ式打込システムのうち少なくとも一方が設けられていることを特徴としてもよい。
【0010】
また、本発明に係る覆工コンクリート打込方法は、前記トンネルは、上半3心円扁平大断面トンネルであって、トンネル天端部には、前記固定式打込システムが設けられ、トンネル側部のうち一方の第1側部には、前記配管切替打込システムが設けられ、トンネル側部のうち他方の第2側部には、前記マニピュレータ式打込システムが設けられ、前記第1側部及び前記トンネル天端部の少なくとも一方に、前記覆工型枠を通過する風管や連続ベルトコンベヤ等の延長設備を設けるようにしたことを特徴としてもよい。
【0011】
この場合、型枠の周長が長くなる上半3心円扁平大断面トンネルであっても、トンネル天端部に固定式打込システムを設け、一方の第1側部に配管切替打込システムを設け、他方の第2側部にマニピュレータ式打込システムを設けることで、従来、コンクリート打ち込みが困難となっていたトンネル天端部におけるコンクリート打ち込みを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の覆工コンクリート打込方法によれば、坑内仮設備に干渉せずに配置することができ、かつ周長の長いトンネルにも適用可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態による覆工コンクリート打込方法を切羽側から見た正面図である。
図2】配管切替打込システムを使用してコンクリートを打ち込む状態を示した側面図である。
図3】配管切替打込システムの側面図である。
図4図3に示すA-A線矢視図であって、配管切替打込システムを坑口側から見た正面図である。
図5】配管切替打込システムの切替え状態を模式的に示した図であって、コンクリート打込時の状態を示す図である。
図6】配管切替打込システムの切替え状態を模式的に示した図であって、打込み、排水管などの洗浄時の状態コンクリート打ち込み時の状態を示す図である。
図7】配管切替打込システムの切替え状態を模式的に示した図であって、コンクリート打込時の状態を示す図である。
図8】マニピュレータ式打込装置を使用してコンクリートを打ち込む状態を示した側面図である。
図9】第2実施形態による覆工コンクリート打込方法を切羽側から見た正面図であって、図1に対応する図である。
図10】第3実施形態による覆工コンクリート打込方法を切羽側から見た正面図であって、図1に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による覆工コンクリート打込方法について、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の覆工コンクリート打込方法は、トンネル壁面10の周方向に延在する覆工型枠8を使用し、NATM工法により掘削されたトンネル壁面10と覆工型枠8との間のコンクリート打込領域10Aに自動でコンクリートを打ち込んでトンネルの覆工コンクリート11を構築するための施工装置である。
【0016】
覆工コンクリート打込方法としては、配管切替打込システム1Aと、マニピュレータ式打込システム1Bと、固定式打込システム1Cと、のうち少なくとも2つ(本第1実施形態では3つ)をトンネル条件に合わせて任意に選定して組み合わせ、選定したシステム1A、1B、1Cを覆工型枠8のトンネル周方向X2に配置して施工するようにしている。
【0017】
本実施形態によるトンネルは、上半3心円扁平大断面トンネルであって、トンネル天端部100Aには固定式打込システム1Cが設けられ、トンネル側部のうち一方(図1の紙面左側)の第1側部100Bには配管切替打込システム1Aが設けられ、トンネル側部のうち他方(図1の紙面右側)の第2側部100Cにはマニピュレータ式打込システム1Bが設けられている。そして、覆工型枠8を通過する風管や連続ベルトコンベヤ等の延長設備(図示省略)は、第1側部100B及びトンネル天端部100Aの少なくとも一方に設けられている。
【0018】
配管切替打込システム1Aは、トンネル周方向X2に延在するコンクリート圧送管2に接続された複数の打込箇所に設けられる配管切替部5で打込管4に切り替えながら順次、コンクリート打込領域10Aにコンクリートを打ち込む構成となっている。
【0019】
マニピュレータ式打込システム1Bは、トンネル周方向X2に延在するガイドレール92に打込ノズル91を案内させて複数の打込箇所に対して順次、移動させながらコンクリート打込領域10Aにコンクリートを打ち込む構成となっている。
【0020】
固定式打込システム1Cは、複数の打込口81のそれぞれに打込ノズル(図示省略)を固定し、順次、コンクリート打込領域10Aにコンクリートを打ち込む構成となっている。
【0021】
ここで、本実施形態で対象とするトンネル断面はアーチ型であり、底盤12上のアーチ内周面に覆工が構築される。そして、コンクリートが打ち込まれるトンネル壁面10には、必要に応じて吹付けコンクリート、ロックボルト、鋼製支保工等の支保が施されるとともに、防水シート(図示省略)が全面にわたって設けられている。
【0022】
打ち込まれるコンクリートとしては、例えば、流動性に優れ、材料分離がない中流動覆工コンクリートを用いることができる。
【0023】
ここで、コンクリートの打ち込みに使用される覆工型枠8において、トンネル長手方向に沿ったトンネル軸方向X1で切羽側(妻側ともいう)を切羽部とし、坑口側(既設覆工側、ラップ側ともいう)を坑口部とする。
【0024】
覆工型枠8は、トンネル軸方向X1から見てアーチ形状となっている。覆工型枠8は、トンネル軸方向X1に沿った所定長さに設けられ、切羽より後方位置(例えば100m後方の位置)で掘進と並行して覆工型枠8を切羽側に移動させながら、覆工型枠8とトンネル壁面10との間のコンクリート打込領域10Aにコンクリートを打込することによって覆工コンクリートが構築される。このとき、覆工型枠8は直近で打ち込んだ既設覆工コンクリートの内周面の切羽側端部に対してオーバーラップさせて次に打込する箇所にセットされ、コンクリートの打ち込みが行われる。つまり、覆工型枠8を順次、切羽側に移動させて盛替えながら覆工コンクリート11が構築される。
覆工型枠8は、トンネル壁面10に対して一定の間隔をあけて対向するようにセットされる。そして、覆工型枠8における切羽側端部には、この切羽側端部に形成された開口を塞ぐ着脱可能な妻型枠83が設けられている。
【0025】
妻型枠83は、覆工型枠8と同様にアーチ型にトンネル周方向X2に沿って延び、覆工型枠8をセットした後に、覆工型枠8の切羽側端部に対して固定される。妻型枠83を覆工型枠8に固定した状態で、コンクリート打込領域10Aの切羽側端部が妻型枠83によって保持される。
【0026】
覆工型枠8は、トンネルの底盤12上を自走可能な走行装置を備えた架台86により内周側から支持され、架台86に対して打込セット姿勢と脱型姿勢とを選択的に取り得るように設けられている。覆工型枠8の切羽部の内周面には、後述する打込管4が接続可能な複数(図1において13箇所)の打込口81(図1では符号4の箇所)がトンネル周方向X2に間隔をあけて設けられている。図2に示すように、打込口81は、トンネル内空側に向けて開口し、トンネル内空側と前記コンクリート打込領域10Aとが連通する。打込口81は、トンネル周方向X2にコンクリートの打ち込み単位である例えば50cm~2mの間隔で設けられる。
【0027】
覆工型枠8の内周面には、所定の位置に複数の型枠バイブレータ(図示省略)が設けられている。型枠バイブレータは、稼働することにより覆工型枠8を介して打込領域10Aに打ち込まれたコンクリートに振動を与える。型枠バイブレータは、覆工型枠8のトンネル周方向X2及びトンネル軸方向X1に沿ってそれぞれ間隔をあけた適宜な位置に設けられる。
【0028】
覆工型枠8の内周面には、トンネル軸方向X1とトンネル周方向X2に沿って所定の間隔をあけて打込口81が設けられている。打込口81は、コンクリート打込時に打込ノズル82が装着可能に設けられている。
【0029】
次に、配管切替打込システム1Aの構成について図面を用いて詳細に説明する。
図2乃至図4に示すように、配管切替打込システム1Aは、覆工型枠8のトンネル周方向X2に沿って配設されるコンクリート圧送管2と、コンクリート圧送管2に沿って覆工型枠8のトンネル周方向X2に沿って配設される排水管3と、覆工型枠8におけるトンネル周方向X2の打込口81毎に設けられ、コンクリート圧送管2の所定位置で接続可能に接続され、打込口81に打込ノズル82を介して接続される打込管4と、打込管4及びコンクリート圧送管2が接続されるコンクリート打込位置P1(図5参照)と、打込管4及び排水管3が接続される排水位置P2(図6参照)とのいずれか一方に切替えて接続する配管切替装置5と、を備えている。
【0030】
図2に示すように、打込口81には、この打込口81を開閉する開閉シャッター84が設けられている。開閉シャッター84は、トンネル内空側に回動することで開閉される。打込口81には、開閉シャッター84が開いた状態で、曲り配管85の一端が固定されている。曲り配管85の他端には、打込管4の先端に設けられた打込ノズル82が着脱可能に接続される。開閉シャッター84は、コンクリートの打ち込み後に打込管4及び打込ノズル82とともに曲り配管85が取り外されたときに打込口81を閉じる。
【0031】
打込口81には、打込管4を洗浄するための洗浄水を噴射可能な図示しない洗浄装置が設けられていてもよい。このような洗浄装置を設けることで、コンクリート打ち込み後に打込ノズル82を切り離した後、洗浄装置によって打込口81、打込管4、及び打込ノズル82を洗浄することができる。打込管4内を洗浄した洗浄水は、詳しくは後述するが、配管切替装置5を排水位置P2として打込管4を通過して排水管3から排水される。
【0032】
開閉シャッター84が開いた状態で曲り配管85に対して打込管4に設けられた打込ノズル82を接続した後、打込管4が接続されている打込口81からコンクリート打込領域10Aにコンクリートを打ち込む。所定の打込口81における所定量のコンクリートの打ち込みが完了し、打込ノズル82を曲り配管85から離脱させた後、開閉シャッター84が閉じられる。
【0033】
コンクリート圧送管2は、図2に示すように、覆工型枠8の妻型枠83に沿ってトンネル周方向X2に略アーチ状に延在している。コンクリート圧送管2は、不図示のコンクリートポンプよりコンクリートが圧送され、妻型枠83のトンネル周方向X2における一方の端部83a(図1で左側下端)から他方の端部83b(図1で右側下端)まで配管されている。コンクリート圧送管2におけるトンネル周方向X2の複数の打込箇所D1、D2、…D10には、それぞれ配管切替装置5が接続されている。
【0034】
コンクリート圧送管2は、図2乃至図4に示すように、配管切替装置5を挟んで上流側と下流側に分割されている。なお、以下の説明では、所定の配管切替装置5において、上流側に位置するコンクリート圧送管2を上流側圧送管2Aとし、下流側に位置するコンクリート圧送管2を下流側圧送管2Bとする。上流側圧送管2Aと下流側圧送管2Bとは、後述する配管切替装置5に設けられる連結管52A、54Aに接続可能に設けられている。連結管52A、54Aが接続した状態では、コンクリートが上流側圧送管2Aから連結管52A、54Aを通じて下流側圧送管2Bに圧送される。
【0035】
排水管3は、図1に示すように、覆工型枠8の妻型枠83に沿ってトンネル周方向X2に配設されているコンクリート圧送管2に並行して略アーチ状に延在している。排水管3は、末端部が妻型枠83の上述した他方の端部83b近傍に位置している。排水管3は、主にコンクリート打ち込み後の打込ノズル82や打込管4の洗浄水を排水する際に使用される。排水管3の末端部側を上流側としたときに、排水管3の下流側はトンネル内の排水設備に排水されるように配管されるか、あるいはトンネル内に配管されている排水管路(図示省略)に対して合流させて坑外に排水されるようになっている。
【0036】
排水管3は、図2及び図3に示すように、トンネル周方向X2の複数の打込箇所D1、D2、…D10においてそれぞれ分岐した分岐排水管31が設けられている。分岐排水管31は、打込管4内を洗浄する際の排水位置P2(図6参照)において、配管切替装置5の後述する排水連結管52B及び切替連結管54Bに接続可能に設けられ、この排水連結管52B及び切替連結管54Bを介して打込管4に接続される。排水位置P2において分岐排水管31が連結管52B、54Bを介して打込管4に接続した状態では、打込管4内の残留コンクリートや洗浄水が打込管4から連結管52B、54Bを通じて分岐排水管31、そして排水管3を通じて坑外に排出される。
【0037】
打込管4は、一端の基端4bが配管切替装置5の後述する第2案内ガイド板53に固定され、他端の先端4aが打込ノズル82を介して打込口81に接続された状態で、妻型枠83よりも切羽側に突出した状態で配管される。打込管4の先端4aには、継手部41によって打込ノズル82が着脱可能に接続される。
【0038】
配管切替装置5は、図5に示すコンクリート打込位置P1と、図6に示す排水位置P2と、及びコンクリート打込位置P1と排水位置P2とは別の位置となる図7に示す退避位置P3と、に切替可能に設けられている。
コンクリート打込位置P1では、コンクリート圧送管2で圧送されるコンクリートが打込管4側に切り替わる。
退避位置P3において、コンクリート圧送管2が打込管4が設けられる位置より下流側に連続した状態となる。
【0039】
図2乃至図4に示すように、配管切替装置5は、第1案内ガイド板51、第1スライド切替板52、第2スライド切替板54、および第2案内ガイド板53をコンクリート圧送管2における上流側から下流側に向かう順に備えた構成となっている。
【0040】
第1案内ガイド板51は、上流側圧送管2Aの第1分割端2a、及び排水管3(分岐排水管31)の一端を固定している。
【0041】
第2案内ガイド板53は、下流側圧送管2Bの第2分割端2b、及び打込管4の基端4bを固定している。
【0042】
第1スライド切替板52は、第1案内ガイド板51に案内されて板面方向でトンネル軸方向X1にスライドする。第1スライド切替板52は、図5に示すコンクリート打込位置P1である非スライド位置S10(図3参照)において第1案内ガイド板51の上流側圧送管2Aの第1分割端2aに接続可能な第1コンクリート圧送連結管52Aと、図6に示す排水位置P2において第1案内ガイド板51の排水管3(分岐排水管31)の一端3aに接続可能な排水連結管52Bと、を備えている。
【0043】
第2スライド切替板54は、第2案内ガイド板53に案内されて板面方向でトンネル軸方向X1にスライドする。第2スライド切替板54は、図5に示すように、コンクリート打込位置P1となるスライド位置S21において、打込管4の基端4b及び第1コンクリート圧送連結管52Aに接続可能で、かつ図6に示すように排水位置P2において打込管4の基端4b及び排水連結管52Bに接続可能な切替連結管54Bと、図7に示すように退避位置P3において第1コンクリート圧送連結管52A及び下流側圧送管2Bの第2分割端2bに接続可能な第2コンクリート圧送連結管54Aと、を備えている。
【0044】
配管切替装置5には、第1スライド切替板52と第2スライド切替板54とをそれぞれ移動させる油圧ジャッキ等のスライド機構(図示省略)が設けられている。第1スライド切替板52と第2スライド切替板54とがコンクリート打込位置P1、排水位置P2、および退避位置P3となるように、かつ非スライド位置S10、S20およびスライド位置S11、S21となるように、スライド機構を制御する制御部(図示省略)が設けられている。
【0045】
次に、マニピュレータ式打込システム1Bについて図面を用いて詳細に説明する。
図1及び図8に示すように、マニピュレータ式打込システム1Bは、打込口81に打込管90を介して着脱可能な打込ノズル91と、覆工型枠8の架台86より切羽側に配置されトンネル周方向X2に沿って延在するガイドレール92と、打込ノズル91を備えてガイドレール92に案内されるノズル移動装置93と、コンクリートの打ち込み状態を検出するとともに、複数の打込口81に対する打込ノズル91の接続位置を切り替える制御部(図示省略)と、を備えている。
【0046】
図8に示すように、打込ノズル91は、ノズル移動装置93に搭載され、打込ノズル91の基端部91bがコンクリートの圧送ポンプ(図示省略)に繋がれている可動配管94に接続されている。打込ノズル91の先端部91aは、打込管90の挿入口に着脱可能に挿入される。
【0047】
可動配管94は、複数の関節部によって連結された多関節配管であって、配管切替え装置95を備えている。可動配管94は、覆工型枠8をトンネル軸方向X1におけるコンクリートの打込み対象の位置に設置した後、覆工型枠8に対して固定するようにして設置される。具体的に可動配管94は、一端がノズル移動装置93に搭載される打込ノズル91の基端部91bに接続され、他端が配管切替え装置95と接続されている。可動配管94は、切羽側から見て左右それぞれ1本ずつ設けられる。
【0048】
配管切り替え装置95は、前記制御部からの制御信号に基づいて、複数の関節部によって配置される可動配管の一方に切り替えてコンクリートを排出する。
可動配管94の関節部は、制御部から出力される制御指示に基づいて油圧制御されることで、各関節の姿勢が制御される。可動配管94が駆動することで、各ノズル移動装置93が、ガイドレール92の外周面上をトンネル周方向X2に沿って移動する。これにより、打込ノズル91は、複数の打込口81のうち、いずれの打込口81の近傍まで移動することができ、コンクリートを打ち込む位置を切り替えることができる。
【0049】
ガイドレール92は、覆工型枠8の切羽側において、トンネル周方向X2に沿って設けられている。ガイドレール92は、覆工型枠8を支持する架台86の切羽側に固定されて支持されている。ガイドレール92は、ノズル移動装置93をトンネル周方向X2に移動させる。
【0050】
ノズル移動装置93は、打込ノズル91をガイドレール92に沿って移動させることができ、コンクリート打込領域におけるコンクリート打込みを行うことができる。また、ノズル移動装置93には、打込ノズル91の打込管90の挿入口への脱着させる前後スライド部が設けられている。この前後スライド部は、ノズル移動装置93のトンネル軸方向X1(前後方向)に打込ノズル91を延伸するように移動させる。
【0051】
次に、配管切替打込システム1A及びマニピュレータ式打込システム1Bを使用してコンクリート打込領域10Aにコンクリートを打ち込む覆工コンクリート打込方法について、図面に基づいて具体的に説明する。
図2に示すように、配管切替打込システム1Aにおいて、上述したように覆工型枠8のトンネル周方向X2に沿ってコンクリート圧送管2および排水管3を配設するとともに、コンクリート圧送管2の途中において、覆工型枠8のトンネル周方向X2に配置される複数の打込口81のそれぞれの近傍に配管切替装置5を配置する。さらに、覆工型枠8の内周面に設けられている複数の打込口81に打込ノズル82を装着するとともに、それら打込ノズル82に打込管4を接続しておく。
【0052】
先ず、コンクリート打込み方法に関して説明する。
図1に示すように、覆工型枠8をトンネル軸方向X1のうちコンクリートを打ち込む対象の位置まで移動させて配置する。次に、覆工型枠8の切羽側の端部に妻型枠83を固定する。そして、コンクリートを打ち込む箇所の所定の覆工型枠8に設けられている各打込口81を開閉シャッター84により開放する。
【0053】
続いて、図5に示すように、前述した所定の打込口81の近傍の配管切替装置5を前記制御部により操作してコンクリート打込位置P1とする。
具体的には、先ず第1案内ガイド板51に設けられる第1スライド切替板52はスライドさせずに非スライド位置S10の状態のままとする。すなわち、第1スライド切替板52において、第1コンクリート圧送連結管52Aが上流側圧送管2Aに接続され、排水連結管52Bが排水管3の分岐排水管31に対して接続されていない状態となる。
【0054】
その後、第2スライド切替板54を横スライドさせて切替連結管54Bを打込管4の基端4bの継手部に接続するとともに、第2コンクリート圧送連結管54Aを第1コンクリート圧送連結管52Aから切り離された状態にする。このとき、配管切替装置5より下流側に位置する下流側圧送管2Bが第2コンクリート圧送連結管54Aから切り離された状態となり、上流側圧送管2Aから下流側圧送管2Bにコンクリートが圧送されない状態となる。さらに、切替連結管54Bの上流端は、第1コンクリート圧送連結管52Aに接続される。このようなコンクリート打込位置P1となったときに打ち込み準備が完了となり、不図示のコンクリート圧送ポンプを駆動してコンクリート圧送管2から打込管4を通じて打込口81にコンクリートの打ち込みが行われる。
【0055】
ここで、上述した配管切替装置5をコンクリート打込位置P1にする配管切替動作、およびコンクリート打込み動作は、作業員が打ち込み開始の指示を操作部から入力する。そして、不図示の制御部では、操作部において打込み開始指示が入力されたことを検出すると、打込み処理を開始する。すなわち、制御部では、配管切替装置5でコンクリート打込位置P1となるように制御し、コンクリート打込み位置P1に切り替わったことが確認された後、自動的にコンクリート圧送管2からコンクリートが圧送され、打込管4を通じて打込ノズル82から覆工型枠8の裏側のコンクリート打込領域10Aにコンクリートが打ち込まれるように制御する。そして、制御部では、所定量のコンクリートが打ち込まれたときにコンクリートの打ち込み(圧送)が停止するように制御される。
【0056】
なお、覆工型枠8の打込口81に固定する打込管4は、覆工型枠8のセット時と脱型枠時に動くことになるため、覆工型枠8のフレームに固定する配管切替装置5との接続は、左右上下に数センチメートルだけ移動可能な図5図7に示す打込み接続管41を用いて接続する。
また、コンクリート打込み中は、コンクリートの打込み状況に応じて型枠バイブレータを使用してコンクリートに振動を与えて締め固める。
【0057】
次に、所定の打込口81によるコンクリートの打ち込みが終了した後の打込管4の洗浄について具体的に説明する。先ず、コンクリートの打ち込みが完了したタイミングで、開閉シャッター84により打込口81を閉塞する。
【0058】
図6に示すように、コンクリートの打ち込みが完了した打込口81の近傍の配管切替装置5をコンクリート打込位置P1から排水位置P2に切り替える。
具体的には、第1スライド切替板52を第1案内ガイド板51に案内させて横スライドさせて非スライド位置S10からスライド位置S11に移動する。すなわち、第1スライド切替板52において、排水連結管52Bが排水管3の分岐排水管31に接続され、第1コンクリート圧送連結管52Aが上流側圧送管2Aに対して接続されていない状態となる。さらに、第2スライド切替板54においては、スライド位置S21のままとする。このとき、第1コンクリート圧送連結管52Aと第2コンクリート圧送連結管54Aとは接続されているが、いずれも上流側圧送管2Aおよび下流側圧送管2Bには接続されずに切り離された状態となる。また、切替連結管54Bは、下流端が打込管4に接続されるとともに、上流端が排水連結管52Bに接続された状態となる。これにより排水位置P2となったときに打込管4の洗浄の準備が完了となり、打込管4の先端4a(打込口81側)から水を送り込んで排水管3を介して排水することで打込管4内を洗浄する。
【0059】
ここで、上述した配管切替装置5による排水位置P2とする配管切替動作、および水の送水動作は、作業員が洗浄開始の指示を操作部から入力する。そして、不図示の制御部では、操作部において洗浄開始指示が入力されたことを検出すると、洗浄処理を開始する。すなわち、制御部では、配管切替装置5で排水位置P2となるように制御し、排水位置P2に切り替わったことが確認された後、自動的に不図示の送水管から打込管4内に送水され、打込管4を通じて切替連結管54Bおよび排水連結管52Bを通じて排水管3に排水されるように制御する。そして、打込管4内の洗浄が完了となるときに前記送水管からの送水が停止するように制御される。
【0060】
次に、所定の打込口81によるコンクリート打込みが終了した後の打込管4の洗浄が完了した後に、次の打込口81でコンクリートの打込みをする際の打込み口切り替え動作について具体的に説明する。
【0061】
図7に示すように、洗浄が完了した打込口81の近傍の配管切替装置5を排水位置P2から退避位置P3に切り替える。
具体的には、第1スライド切替板52を第1案内ガイド板51に案内させて横スライドさせてスライド位置S11から非スライド位置S10に戻す。そして、第2スライド切替板54を第2案内ガイド板53に案内させて横スライドさせてスライド位置S21から非スライド位置S20に戻す。すなわち、第1スライド切替板52において、第1コンクリート圧送連結管52Aが上流側圧送管2Aに対して接続された状態となり、排水連結管52Bが排水管3の分岐排水管31に対して切り離されて分離した状態となる。
【0062】
また、第2スライド切替板54において、第2コンクリート圧送連結管54Aが第1コンクリート圧送連結管52Aおよび下流側圧送管2Bに接続され、切替連結管52Bが排水連結管53Bに連結され、打込管4は接続されずに切り離された状態となる。これにより退避位置P3となったときに上流側圧送管2Aと下流側圧送管2Bとが一対のコンクリート圧送連結管52A、54Aによって連結された状態となって、当該配管切替装置5の下流側へコンクリートを圧送可能な状態となる。
【0063】
上述したように、覆工コンクリート打込方法では、複数の打込口81毎にコンクリート圧送管2に沿ってトンネル周方向X2に間隔をあけて配置される配管切替装置5を順次、切り替えて、それぞれの配管切替装置5で上述したコンクリート打込位置P1、排水位置P2、退避位置P3を適宜切り替えて打ち込む方法となる。
【0064】
上述したように、本実施形態では、コンクリート圧送管2の途中において、覆工型枠8のトンネル周方向X2の複数の打込口81のそれぞれの近傍に配管切替装置5が配置されているので、複数の打込口81に打込ノズル82を装着するとともに、打込ノズル82に打込管4を接続し、打込管4の基端が打込口81の近傍に配置される配管切替装置5の近傍に設け、打込する打込口81に対応する配管切替装置5をコンクリート打込位置P1としてコンクリート圧送管2と打込管4とを接続してコンクリートを打込口81側へ送り、打込ノズル82よりコンクリート打込領域にコンクリートを打ち込むことができる。
【0065】
このように本実施形態では、コンクリート圧送管2の途中の位置に配管の切替移動量が小さな配管切替装置5を設ける構成であり、従来のような可動領域が大きなマニピュレータ方式の打込装置をトンネル周方向X2の全領域に使用する必要がなくなる。そのため、覆工型枠8内を通過する連続ベルトコンベヤや風管等の坑内仮設備に干渉させることなくコンクリート圧送管2や配管切替装置5を配置することができ、これら坑内仮設備を通過させる空間を十分に確保でき、かつ周長の長いトンネルにも適用可能となる。
【0066】
また、本実施形態では、コンクリートの打ち込みが終了した後、配管切替装置5を排水位置P2として排水管3と打込管4とを接続して打込管4の打込口81側から水を送り込んで排水管3を介して排水することで打込管4内を清掃することができ、打込管4の洗浄にかかる作業効率を向上させることができる。
このように、本実施形態では、配管切替装置5を設けて、配管切替装置5をコンクリート打込時と洗浄時で制御することにより適宜切り替えることで、覆工コンクリートの自動施工が可能となる。
【0067】
また、本実施形態では、配管切替装置5を退避位置P3とすることで、この退避位置P3とした配管切替装置5の上流側と下流側に位置するコンクリート圧送管2が連通し、下流側にコンクリートを圧送することができる。このように配管切替装置5を退避位置P3とする作業のみで、この配管切替装置5よりも下流側の配管切替装置5を使用してコンクリート打込位置P1に切り替える作業を容易に行うことができる。
【0068】
さらに、本実施形態では、配管切替装置5において、コンクリート打込位置P1における第2スライド切替板54を、打込管4の基端及び第1連結管に接続することで、コンクリート圧送管2から打込管4を通じて打込口81にコンクリートの打ち込みを行うことができる。
そして、排水位置P2において、打込管4の基端及び第2連結管と第3連結管とを接続することで、打込管4が排水管3に繋がり、コンクリートの打ち込みに使用した打込管4内に流水する清掃した水を排水管3から排水することができる。
また、退避位置P3において、第1コンクリート圧送連結管52A及び下流側圧送管2Bの第2分割端に第4連結管を接続することにより、この退避位置P3となった配管切替装置5の上流側と下流側に位置するコンクリート圧送管2が連通し、コンクリート圧送管2を通じて下流側にコンクリートを圧送することができる。
【0069】
また、本実施形態では、制御部によってスライド機構を制御し、第1スライド切替板52と第2スライド切替板54を移動させることで、コンクリート打込位置P1と排水位置P2との切替え動作を容易に行うことができる。
【0070】
次に、上述した覆工コンクリート打込方法の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、図2及び図4に示すように、覆工型枠8内を通過する連続ベルトコンベヤや風管等の坑内仮設備の配置や、覆工型枠8の形状などのトンネル条件に合わせて、配管切替打込システム1Aと、マニピュレータ式打込システム1Bと、固定式打込システム1Cとのうち少なくとも2つを任意に選定して組み合わせることが可能であるので、トンネル周方向X2の所定位置に好適に配置してコンクリートを打ち込むことができる。そのため、坑内仮設備に干渉せずに配置することができ、かつ周長の長いトンネルにも適用可能となる。
【0071】
上述のように本実施形態による覆工コンクリート打込方法では、連続ベルトコンベヤや風管等の坑内仮設備に干渉せずに配置することができ、かつ周長の長いトンネルにも適用可能となる利点がある。
【0072】
以上、本発明による覆工コンクリート打込方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、図9に示す第2実施形態のように、トンネル天端部に固定式打込システム1Cを設け、トンネル側部の両側部にマニピュレータ式打込システム1B、1Bを設けた組み合わせによる覆工コンクリート打込方法としてもよい。
また、図10に示す第3実施形態のように、トンネル天端部に固定式打込システム1Cを設け、トンネル側部の両側部に配管切替装置5を備えた配管切替打込システム1A、1Aを設けた組み合わせによる覆工コンクリート打込方法としてもよい。
【0073】
さらに、上述した実施形態では、配管切替装置5の構成としてスライド方式の第1スライド切替板52と第2スライド切替板54を設けた構成としているが、このような構成に限定されることはない。要は、打込管4及びコンクリート圧送管2が接続されるコンクリート打込位置P1と、打込管4及び排水管3が接続される排水位置P2とのいずれか一方に切替えて接続する配管切替装置であればよいのであって、上述した実施形態のようにスライド方式であることに制限されることはない。例えば、コンクリート圧送管2の管軸を回転中心として回転する回転式の切替板を設けた配管切替装置を採用することも可能である。
【0074】
また、上述した実施形態では、覆工コンクリート打込装置1が切羽側(妻側)に設ける構成を一例として説明したが、例えばトンネルの勾配に応じてオーバーラップ側(坑口側)に覆工コンクリート打込装置1を設けるようにしてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、第1スライド切替板52と第2スライド切替板54とがコンクリート打込位置P1と排水位置P2となるようにスライド機構を制御する制御部を設けた構成としているが、このような制御部を設けて制御することに限定されることはなく、手動操作によりコンクリート打込位置P1と排水位置P2を切り替えるようにしてもかまわない。
【0076】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0077】
1A 配管切替打込システム
1B マニピュレータ式打込システム
1C 固定式打込システム
2 コンクリート圧送管
2A 上流側圧送管
2B 下流側圧送管
3 排水管
4 打込管
5 配管切替装置
8 覆工型枠
9 マニピュレータ式打込装置
10 トンネル壁面
10A コンクリート打込領域
31 分岐排水管
51 第1案内ガイド板
52 第1スライド切替板
52A 第1コンクリート圧送連結管
53B 排水連結管
53 第2案内ガイド板
54 第2スライド切替板
54A 第2コンクリート圧送連結管
54B 切替連結管
81 打込口
82 打込ノズル
P1 コンクリート打込位置
P2 排水位置
P3 退避位置
S10、S20 非スライド位置
S11、S21 スライド位置
X1 トンネル軸方向
X2 トンネル周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10