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  • 特開-ロータリーキルン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179995
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ロータリーキルン
(51)【国際特許分類】
   F27B 7/22 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
F27B7/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086858
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】縄田 知也
(72)【発明者】
【氏名】折出 拓
【テーマコード(参考)】
4K061
【Fターム(参考)】
4K061AA08
4K061BA01
4K061BA05
4K061BA12
4K061CA16
4K061GA09
(57)【要約】
【課題】タイヤの軸方向への移動を規制するためにキルン胴体の外周面に備えられたタイヤ下敷板の上へ、簡単に取り換え可能なタイヤ止めを設けたロータリーキルンを提供することにある。
【解決手段】円筒状のキルン胴体14へ周方向に所定の間隔を開けて複数設けられたタイヤ下敷板13の上面から隙間をもって外嵌したタイヤ11をローラ16によって回転可能に支持したロータリーキルン10において、
前記タイヤ下敷板13は前記キルン胴体14の軸方向を長手方向とする長尺状の部材であり、前記タイヤ11の幅よりも長く延設され、
前記タイヤ11の両端面から挟むように前記タイヤ下敷板13の上に備えられた一対のタイヤ止め12が、前記タイヤ11に接触する接触部12aと、前記タイヤ下敷板13の上に固着された固定部12bと、
から構成されており、前記接触部12aは前記固定部12bから着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のキルン胴体へ周方向に所定の間隔を開けて複数設けられたタイヤ下敷板の上面から隙間をもって外嵌したタイヤをローラによって回転可能に支持したロータリーキルンにおいて、
前記タイヤ下敷板は前記キルン胴体の軸方向を長手方向とする長尺状の部材であり、前記タイヤの幅よりも長く延設され、
前記タイヤの両端面から挟むように前記タイヤ下敷板の上に備えられた一対のタイヤ止めが、前記タイヤに接触する接触部と、前記タイヤ下敷板の上に固着された固定部と、
から構成されており、前記接触部は前記固定部から着脱可能に設けられていることを特徴とするロータリーキルン。
【請求項2】
前記接触部は前記固定部から着脱可能にボルトによって繋止されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリーキルン。
【請求項3】
タイヤ止めの接触部には潤滑剤が埋め込んであり、
タイヤの両端面と接触する前記タイヤ止めの前記接触部の表面は前記潤滑剤によって潤滑されることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリーキルン。
【請求項4】
タイヤ止めとタイヤの両端面の間に生じた隙間を、
前記タイヤ止めの接触部と前記タイヤ止めの固定部との間に設けたスペーサーによって調整されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のロータリーキルン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントや石灰、鉱石などの製造や廃棄物処理において、原料の焼成や廃棄物の焼却などに用いられるロータリーキルンに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーキルンは、横型回転炉のひとつであり、円筒状のキルン胴体の外周に軸方向へ沿って所定の間隔を開けて円環状のタイヤが外嵌され、各タイヤの下に設けられた一対のローラによって回転自在に支持されている。また、キルン胴体とタイヤの隙間において、キルン胴体を保護するためにタイヤ下敷板がキルン胴体の外周上に固定されている。
【0003】
キルン胴体は、供給側である入口が高所で排出側である出口が低所になるように軸心を傾斜して配置され、入口から供給された未処理物は回転によって撹拌流動しながら下方へ移動し、出口より処理物が排出される構造である。
このようにキルン胴体は傾斜しているため、各タイヤの両端面を挟むように一対のタイヤ止めをタイヤ下敷板上に溶接にて設けることで、タイヤが軸方向へ移動することを規制している。
【0004】
タイヤ止めは常にキルン胴体の軸方向からの力を受けており、タイヤとタイヤ止めの摺動面では摩擦が生じ、摩耗が進むため、タイヤ止めは定期的に交換しなければならない。しかしながら、交換作業には、タイヤ下敷板上に溶接されているタイヤ止めの溶接部を切断して取り外す必要があり、大掛かりな重機や足場を必要とし、手間がかかっている。
【0005】
そこで、特許文献1はタイヤとタイヤ下ライナの滑りによる摩耗を防止するため、タイヤの内周部に凹状の溝を形成して、タイヤ下ライナ上に固定されたキーおよびこのキーとの溝の側面間に嵌挿されたウエッジによって一体構造とすることで、周方向に規制している。また、タイヤの軸方向は、タイヤ下ライナの位置を保つ役割のライナガイド上にネジ止めして固定されたガイドピースによってタイヤの両側周面にそれぞれ当接し規制している。
このように、ロータリーキルンにおいて、タイヤとタイヤ下ライナおよびライナガイド上に固定されるガイドピースなどとの間に滑り摩擦が生じないような構造をとることで、それらの部材の寿命を延長する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-327985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1において、ライナガイド上にガイドピース(本発明のタイヤ止めに該当)はボルトを上方向から締め込むことで、固定されているため、ロータリーキルン運転時に生じるキルン胴体の軸方向からの力は、ボルトが上方向からガイドピースを押さえつける力に対して直交する方向に働き、ボルトを破損させてしまう恐れがある。なお、ここではボルトの軸方向を上下方向として、ボルトの頭部がある側を上方向と称する。
さらに、長期運転によって、ガイドピースが摩耗してタイヤが軸方向へ動いてしまう可能性がある。こうした場合、ガイドピースを交換することで補修できるが、新しいガイドピースの費用を含め交換費用がかかる。また交換回数が増えるほど、その費用は嵩む。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑み、タイヤの軸方向への移動を規制するためにキルン胴体の外周面に備えられたタイヤ下敷板の上へ、簡単に取り換え可能で、かつ摩耗により生じたタイヤとの隙間を調整可能なタイヤ止めを設けたロータリーキルンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、円筒状のキルン胴体へ周方向に所定の間隔を開けて複数設けられたタイヤ下敷板の上面から隙間をもって外嵌したタイヤをローラによって回転可能に支持したロータリーキルンにおいて、
前記タイヤ下敷板は前記キルン胴体の軸方向を長手方向とする長尺状の部材であり、前記タイヤの幅よりも長く延設され、
前記タイヤの両端面から挟むように前記タイヤ下敷板の上に備えられた一対のタイヤ止めが、前記タイヤに接触する接触部と、前記タイヤ下敷板の上に固着された固定部と、
から構成されており、前記接触部は前記固定部から着脱可能に設けられていることを特徴とするロータリーキルンを提供することにある。
上記第1の手段によれば、タイヤ止めは接触部と固定部に分割することができるため、タイヤの回転によって摩耗した接触部は取り外して、交換することができる。また、その際に、新たに取り付ける接触部の高さや幅を変更することで、タイヤとタイヤ止めの接触面積を調整することができる。たとえば、接触部の高さを以前のものより高くすることで、タイヤ端面との接触面積を増やせるため、タイヤ止めにかかる力を分散して負荷を低減させることができる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、前記接触部は前記固定部から着脱可能にボルトによって繋止されていることを特徴とする第1の手段に記載のロータリーキルンを提供することになる。
上記第2の手段によれば、タイヤの回転によって摩耗したタイヤ止めから接触部はボルトを取り外して、簡単に交換することができる。また、その際に、新たに取り付ける接触部の高さや幅を変更することで、タイヤとタイヤ止めの接触面積を調整することができる。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、タイヤ止めの接触部には潤滑剤が埋め込んであり、
タイヤの両端面と接触する前記タイヤ止めの前記接触部の表面は前記潤滑剤によって潤滑されることを特徴とする第1又は2の手段に記載のロータリーキルンを提供することになる。
上記第3の手段によれば、タイヤの両端面と接触して摺動するタイヤ止めの接触部の表面が潤滑されることで、摩擦によるタイヤ止めの接触部の摩耗抵抗を減少させ、寿命を延長させることができる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、タイヤ止めとタイヤの両端面の間に生じた隙間を、
前記タイヤ止めの接触部と前記タイヤ止めの固定部との間に設けたスペーサーによって調整されることを特徴とする第1~3のいずれかの手段に記載のロータリーキルンを提供することになる。
上記第4の手段によれば、タイヤの回転によってタイヤ止めが摩耗することで生じたタイヤ止めとタイヤの両端面の隙間は、タイヤ止めの接触部とタイヤ止めの固定部との間に設けたスペーサーによって、タイヤ止めの接触部がタイヤの両端面へ押し付けられて調整される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タイヤの両端面と摺動し摩耗してしまうタイヤ止めの接触部を簡単に交換することでき、かつタイヤ止めの接触部の潤滑剤によって摩耗を低減させることができる。さらに、摩耗したタイヤ止めとタイヤの隙間を簡単に調整することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のロータリーキルンの説明図を示し、(a)は概略側面図、(b)はX方向からの概略矢視図である。
図2】本発明のロータリーキルンの説明図を示し、(a)は部分構造図、(b)はタイヤ装着部分を円周方向に展開して示した平面図、(c)は(a)のA-A線矢視断面図、(d)は(a)のB-B線矢視断面図である。
図3】従来のロータリーキルンの説明図を示し、(a)は部分構造図、(b)はタイヤ装着部分を円周方向に展開して示した平面図、(c)は(a)のA-A線矢視断面図、(d)は(a)のB-B線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
以下、添付する図3を参照して従来のロータリーキルンの構成について説明した後に、図1、2を参照して本発明のロータリーキルンの構成について説明する。
【0016】
[従来のロータリーキルン]
図3は従来のロータリーキルンを説明する図であり、(a)は部分構造図、(b)はタイヤ装着部分を円周方向に展開して示した平面図、(c)は(a)のA-A線矢視断面図、(d)は(a)のB-B線矢視断面図を示す。
図3に示すように、従来のロータリーキルンは、円筒状のキルン胴体4の軸方向に所定の間隔を開けて設けられたタイヤ1の両端面をタイヤ止め2で挟み込み、軸方向へのキルン胴体4の移動を規制し定位置に保持している。また、(a)、(b)に示すように、タイヤ下敷板3の長手方向の長さはタイヤ1の幅よりも長く、キルン胴体4の軸方向へと張り出し露出しており、(c)、(d)に示すように、タイヤ止め2は周方向に所定の間隔を開けてキルン胴体4の外周に設けられたタイヤ下敷板3上に固定されている。
タイヤ下敷板3の固定方法は溶接して固定する方法と、キルン胴体4の周方向へ各タイヤ下敷板3の間にガイドを設けて固定する方法がある。図3において、キルン胴体4にタイヤ下敷板3は溶接にて設けられており、タイヤ下敷板3の上にタイヤ止め2が溶接によって固着されている。さらに、タイヤ止め2とタイヤ下敷板3を上から押さえ金物(不図示)によって押さえ、キルン胴体4に溶接し固定している場合もある。
【0017】
タイヤ1が回転することによって、タイヤ止め2は常にキルン胴体4の軸方向からの力を受けて、タイヤ1とタイヤ止め2の摺動面では摩擦が生じ、摩耗が進むため、タイヤ止め2は定期的に交換しなければならない。
しかしながら、前述したように多くの溶接部が設けてあるため、タイヤ止め2を交換する場合には一式更新する必要があり、交換作業には大掛かりな重機や足場を用意した上で溶接部を切断して取り外さなければならず、かなりの手間がかかっている。
【0018】
[本発明のロータリーキルン]
図1(a)は本発明のロータリーキルン10の概略側面図を示しており、キルン胴体14に軸方向へ所定の間隔を開けてタイヤ11が外嵌している。ロータリーキルン10は、供給側である入口が高所で排出側である出口が低所になるように軸心を傾斜してキルン胴体14が配置されるため、図1(a)においてキルン胴体14は左肩下がりになっている。また、キルン胴体14は駆動装置19により回転され、ローラ軸受17に回転自在に支えられたローラ16によって、支持される。このとき、1個のタイヤ11は、一対のローラ16によって支持されている。
図1、2に示すように、円筒状のキルン胴体14の軸方向に所定の間隔を開けて設けられたタイヤ11の両端面をタイヤ止め12で挟み込み、軸方向へのキルン胴体14の移動を規制し定位置に保持している。
図2の(a)は部分構造図、(b)はタイヤ装着部分を円周方向に展開して示した平面図、(c)は(a)のA-A線矢視断面図、(d)は(a)のB-B線矢視断面図を示している。また、(a)、(b)に示すように、タイヤ下敷板13の長手方向の長さはタイヤ11の幅よりも長く、キルン胴体14の軸方向へと張り出し露出しており、(c)、(d)に示すように、タイヤ止め12は周方向に所定の間隔を開けてキルン胴体14の外周に設けられたタイヤ下敷板13に固定されている。
本発明においても、タイヤ下敷板13の固定方法は溶接して固定する方法と、キルン胴体14の周方向へ各タイヤ下敷板13の間にガイドを設けて固定する方法のどちらをとっても良いが、図1、2に示す実施形態において、タイヤ下敷板13はキルン胴体14の外周に溶接にて固定されている。また、図1(a)と(b)のタイヤ止め12はそれぞれ異なる設置数で表示されているが、正確に表示するとすれば同じ設置数になる。
このとき好ましくは、タイヤ止め12とタイヤ下敷板13は周方向に等間隔を開けてキルン胴体14に設けられており、タイヤ止め12とタイヤ下敷板13の設置数はキルンの直径のサイズに合わせて最適な数に調整可能である。
【0019】
タイヤ止め12は接触部12aと固定部12bに分割することができ、接触部12aは固定部12bから着脱可能にボルト15で繋止されている。つまり、接触部12aはタイヤ下敷板13上に溶接によって固着されておらず、タイヤ下敷板13上に溶接によって固着された固定部12bから脱着できる構造である。
そのため、タイヤ11とタイヤ止め12の摺動面では摩擦が生じ、摩耗が進んだタイヤ止め12は、ボルト15を外して接触部12aを自由に交換することができる。
このように、本発明におけるタイヤ止め12の交換作業においては、大掛かりな重機や足場を用意する必要はなく、手間がかからない。
また、図2(b)に示すように、接触部12aはタイヤ11と接触しない側(反タイヤ11側)に接触部12aの凹部分が向く、コの字型の構造をとっており、固定部12bを凹部分で支えることでボルト15への負荷を低減させて、ボルト15は破損しにくくしている。
【0020】
さらに、タイヤ止め12の接触部12aを交換する際に、タイヤ11の摩耗度合も確認して、新たに取り付ける接触部12aの形状を調整することも可能である。つまり、新たに取り付ける接触部12aの高さや幅を変更することで、タイヤ11とタイヤ止め12の接触面積を調整することができる。ここでいう、接触部12aの高さは図2(a)においてタイヤ下敷板13の上面から鉛直方向への長さを示し、接触部12aの幅は図2(b)において円周方向に展開したタイヤ11の長手方向への長さを示している。
たとえば、接触部12aの高さを以前のものより高くすると、タイヤ11端面との接触面積を増やせるため、タイヤ止め12にかかる力を分散して負荷を低減させることができる。
【0021】
図2(d)は、タイヤ11側からタイヤ止め12を見た図であり、タイヤ11の端面に接触するタイヤ止め12の接触部12aの表面を表している。図2(d)のタイヤ止め12の接触部12aにある複数の丸形は潤滑剤18を表しており、潤滑剤18が接触部12aの一面に埋め込んであるため、タイヤ止め12と接触部12aの摺動面は潤滑されている。
そのため、潤滑剤18によって摩擦を低減することができ、タイヤ止め12の摩耗が抑えられ、接触部12aの交換頻度を低くすることが可能になる。この潤滑剤18は、接触部12aの交換のタイミングにあわせて、更新することができる。
このとき、潤滑剤18は、液体、半液体(半固体)、固体の状態のものがあるが、ロータリーキルンのように屋外に設置されている条件下では、雨やロータリーキルンにかかる熱によって潤滑剤18が流れ出てしまう問題が生じるため、最も流出しにくい固体潤滑剤が好ましい。さらに、高温条件下においては、固体潤滑剤のなかでも、比較的高温での使用にも耐えられるグラファイトが適している。
【0022】
[効果]
次に、本発明のロータリーキルン10が奏する効果を説明する。この効果は、タイヤ止め12が分割でき接触部12aが脱着可能であることと、接触部12aに潤滑剤18が埋め込まれていることに因るものに区別できる。
【0023】
[接触部12aが脱着可能であることの効果]
接触部12aは溶接にて固定されておらず、タイヤ下敷板13の上に溶接された固定部12bとボルト15で繋止されていることから、接触部12aは自由に脱着できる。これにより以下の効果を奏することができる。
図1、2を用いて説明したように、本発明のロータリーキルン10によれば、タイヤ止め12の摩耗が進行して交換が必要になった場合でも、簡単に接触部12aを取り外して交換することができる。
また、タイヤ11の摩耗度合をみて、新たに取り付ける接触部12aの高さや幅を変更したり、タイヤ11と接触部12aの隙間を自在に調整したりすることもできる。
【0024】
タイヤ11と接触部12aの隙間は、図2(b)に示すように、接触部12aと固定部12bの間にスペーサー(不図示)を設けることで、タイヤ止め12の接触部12aがタイヤ11へ押し付けられて調整される。つまり、この隙間はスペーサーの厚みや枚数を変更することで、簡単に調整可能である。
【0025】
このように本発明によって、簡単に交換作業を行なえ、接触部12aの形状も自由に調整できることから、タイヤ止め12の更新を行ない易く、作業効率が向上するため、これらの交換作業によるロータリーキルンの運転停止時間も短縮することができる。よって、ロータリーキルンによって処理される総処理量に及ぼす交換作業時間(運転停止時間)の影響を最小限に抑えることができる。
【0026】
さらに、大掛かりな重機や足場などを必要とすることなく交換作業を行なえるため、従来に比べて、重機や足場などの設置費用がほとんど掛からず、摩耗により交換が必要になったタイヤ止め12に対しては、スペーサーを設けることで調整が可能なため、交換することなく調整できるため交換部材費用も削減できる。また、交換することになったとしても、タイヤ止め12のうち接触部12aのみの交換が可能なため、従来の交換に比べて、交換部材費用を削減できる。
【0027】
[潤滑剤18の効果]
本発明のロータリーキルン10において、図2(d)に示すように、潤滑剤18はタイヤ11の端面に接触するタイヤ止め12の接触部12aに埋め込まれている。これによって、接触部12aの表面を潤滑させ、タイヤ止め12と接触部12aの摺動面を潤滑されている。
そのため、潤滑剤18によってタイヤ止め12と接触部12aの摺動面の摩擦を低減することができ、タイヤ止め12の摩耗が抑えられるため、接触部12aの寿命を延ばし交換頻度を低くすることが可能になる。
【0028】
このようにして、交換作業の回数を減らせるため、交換作業によるロータリーキルンの運転停止時間も短縮することができる。よって、ロータリーキルンによって処理される総処理量に及ぼす交換作業時間(運転停止時間)の影響を最小限に抑えることができる。また、潤滑剤18を用いない場合と比べて、接触部12aの交換部材費用を削減できる。
【0029】
本発明はロータリーキルンに限らず、ロータリーキルン以外のキルンやドライヤ、クーラーを含む横型回転炉の全てにおいて利用可能である。
【0030】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
たとえば、潤滑剤18はタイヤ止め12から分割可能な接触部12aに埋め込んでいるが、従来の分割できないタイヤ止め2に対しても、タイヤ1端面に接触する表面が潤滑されるように埋め込んで構成しても良い。
【符号の説明】
【0031】
1、11 タイヤ
2、12 タイヤ止め
3、13 タイヤ下敷板
4、14 キルン胴体
10 本発明のロータリーキルン
12a 接触部
12b 固定部
15 ボルト
16 ローラ
17 ローラ軸受
18 潤滑剤
19 駆動装置
図1
図2
図3