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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180026
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ミスト排出装置及び吸収液吸収塔
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20221129BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20221129BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B01D53/14 200
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086907
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】由井 裕一
(72)【発明者】
【氏名】米田 次郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝樹
(72)【発明者】
【氏名】平田 琢也
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002BA02
4D002BA16
4D002CA01
4D002DA31
4D002EA01
4D002EA05
4D002EA08
4D002HA08
4D020AA03
4D020BA16
4D020BB03
4D020BC01
4D020CB25
4D020CC09
4D020CC16
4D020CD01
(57)【要約】
【課題】ミストの再飛散を抑制するミスト排出装置及び吸収液吸収塔を提供する。
【解決手段】デミスタにより捕集したミストを排出するミスト排出装置であって、前記デミスタは、鉛直方向の下方側から上方側に向かってガスが流通するガス流路に設けられ、下方側が、前記ガスの流入側となり、上方側が、前記ガスの流出側となり、前記ガスに含まれる前記ミストを捕集しており、前記デミスタの流入側から下方側へ向かって突出して設けられる突出部を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デミスタにより捕集したミストを排出するミスト排出装置であって、
前記デミスタは、鉛直方向の下方側から上方側に向かってガスが流通するガス流路に設けられ、下方側が、前記ガスの流入側となり、上方側が、前記ガスの流出側となり、前記ガスに含まれる前記ミストを捕集しており、
前記デミスタの流入側から下方側へ向かって突出して設けられる突出部を備えるミスト排出装置。
【請求項2】
前記突出部は、下方側へ向かって延在する板状部材であり、
前記板状部材は、水平方向において、所定間隔を空けて複数並べて設けられる請求項1に記載のミスト排出装置。
【請求項3】
前記突出部は、親水性の表面処理が施されることで形成される表面層を有する請求項1または2に記載のミスト排出装置。
【請求項4】
前記突出部は、親水性を有する材料を含んで形成される請求項1から3のいずれか1項に記載のミスト排出装置。
【請求項5】
前記突出部は、前記突出部を伝って流れる前記ミストの流れ方向が、鉛直方向に対して傾斜するように形成される請求項1から4のいずれか1項に記載のミスト排出装置。
【請求項6】
前記突出部は、上方側から下方側に向かって先細りとなるテーパ形状となっている請求項5に記載のミスト排出装置。
【請求項7】
前記突出部は、一方の端から他方の端へ向かって片流れとなるように、水平方向に対して傾斜して設けられている請求項5に記載のミスト排出装置。
【請求項8】
COを含有するガスが供給される吸収塔本体と、
前記吸収塔本体に、吸収液を供給する吸収液供給部と、
前記吸収塔本体の前記吸収液供給部の吸収液供給位置よりも前記ガスの流れ方向下流側に配置され、COを含有する吸収液を含有するミストを捕集するデミスタと、
前記デミスタにより捕集したミストを排出する請求項1から7のいずれか1項に記載のミスト排出装置と、を備える吸収液吸収塔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ミスト排出装置及び吸収液吸収塔に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤメッシュ層を有する湿分分離器が知られている(例えば、特許文献1参照)。ワイヤメッシュ層は、貫流する湿り蒸気に含まれる液滴がワイヤメッシュに付着することにより、湿り蒸気から液滴を分離している。湿分分離器には、ワイヤメッシュ層において分離した液滴であるドレン水を受けるドレン受けが設けられている。ドレン受けは、ワイヤメッシュ層に沿って水平方向に対して傾斜した方向に延びており、ワイヤメッシュ層からのドレン水を受けて、ドレン水をワイヤメッシュ層の水平方向の外側へ導いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-150297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の湿分分離器のワイヤメッシュ層を貫流する湿り蒸気の貫流方向は水平方向となっており、ドレン水は、ワイヤメッシュ層に沿って鉛直方向の下方側へ向かって流れている。一方で、ミストを捕集するデミスタを貫流するガスは、鉛直方向の下方側から上方側へ向かって流れている。ガスが下方側から上方側に向かって流れる場合、デミスタで捕集されたミストは、ドレン水となってデミスタの内部に溜まる。このとき、ドレン水の排出が適切でないと、デミスタの上部にドレン水が溜まり、この場合、溜まったドレン水からミストが再飛散する可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、ミストの再飛散を抑制することができるミスト排出装置及び吸収液吸収塔を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のミスト排出装置は、デミスタにより捕集したミストを排出するミスト排出装置であって、前記デミスタは、鉛直方向の下方側から上方側に向かってガスが流通するガス流路に設けられ、下方側が、前記ガスの流入側となり、上方側が、前記ガスの流出側となり、前記ガスに含まれる前記ミストを捕集しており、前記デミスタの流入側から下方側へ向かって突出して設けられる突出部を備える。
【0007】
本開示の吸収液吸収塔は、COを含有するガスが供給される吸収塔本体と、前記吸収塔本体に、吸収液を供給する吸収液供給部と、前記吸収塔本体の前記吸収液供給部の吸収液供給位置よりも前記ガスの流れ方向下流側に配置され、COを含有する吸収液を含有するミストを捕集するデミスタと、前記デミスタにより捕集したミストを排出する上記のミスト排出装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ミストの再飛散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係るCO回収装置の概略図である。
図2図2は、実施形態1に係るデミスタ及びミスト排出装置を模式的に示す図である。
図3図3は、ミスト排出装置を示す斜視図である。
図4図4は、ミスト排出装置を模式的に示す断面図である。
図5図5は、図4における各種寸法を示す図である。
図6図6は、ミスト排出装置のタイプ別の性能を示すグラフである。
図7図7は、実施形態2に係るミスト排出装置を模式的に示す断面図である。
図8図8は、実施形態3に係るミスト排出装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0011】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るCO回収装置の概略図である。図2は、実施形態1に係るデミスタ及びミスト排出装置を模式的に示す図である。図3は、ミスト排出装置を示す斜視図である。図4は、ミスト排出装置を模式的に示す断面図である。図5は、図4における各種寸法を示す図である。図6は、ミスト排出装置のタイプ別の性能を示すグラフである。先ず、図1を参照して、CO回収装置について説明する。
【0012】
(CO2回収装置)
実施形態1のCO2回収装置は、二酸化炭素(CO2)を吸収する吸収剤としてCO2吸収剤を用いて、CO2吸収塔(吸収液吸収塔)において、ガスからCO2を除去し、CO2吸収液を吸収液再生塔で再生する。
【0013】
図1に示すように、実施形態1に係るCO回収装置10は、CO2を含有する導入ガス(以下「ガス」という)11が導入され、ガス中のCO2とCO2吸収液12とを接触させてCO2を除去するCO2吸収部(以下「吸収部」という)13Aを備えたCO2吸収塔(以下「吸収塔」という)13と、CO2を吸収したCO2吸収液12であるリッチ溶液12Aをリボイラ61の蒸気によりCO2吸収液を再生する吸収液再生塔(以下「再生塔」という)14と、吸収塔13からリッチ溶液12Aを抜出すと共に、再生塔14側に導入するリッチ溶液供給ライン50と、再生塔14で再生されたCO2が放散されたCO2吸収液であるリーン溶液12Bを再生塔14から抜出すると共に、吸収塔13に導入し、CO2吸収液として再利用するリーン溶液供給ライン(吸収液供給部)53と、を具備する。CO2吸収液12は、CO2を吸収したリッチ溶液12AとCO2を放散したリーン溶液12Bとを、CO回収装置内で循環再利用している。なお、この実施形態のCO回収装置の説明では、あくまでその概要を説明するものであり、付属する機器を一部省略して説明している。
【0014】
吸収塔13は、CO2を含んだガス11は、冷却部において、冷却水により冷却された後、供給される。吸収塔13は、ガス導入ライン13cにより導入されたガス11とアミン系のCO2吸収成分を含むCO2吸収液12とを向流接触させ、ガス11中のCO2は、化学反応によりCO2吸収液12に吸収させる。吸収塔13は、CO2が除去された後のCO2除去排ガス11Aを、デミスタ110にてミスト捕集させた後、頂部13aから系外に放出する。デミスタ110については、後述する。
【0015】
吸収塔13内のCO2吸収部13Aとデミスタ110との間に、水洗部20を設けている。水洗部20は、気液接触部21と、洗浄液循環手段22と、を含む。気液接触部21は、CO2吸収部13Aを通過して、COを吸収したCO2吸収液12が同伴するガス11と、洗浄水とを気液接触させ、ガス11に含まれるCO2吸収液12を洗浄水で捕集する。洗浄液循環手段22は、洗浄水受け皿23と、循環ライン24と、ポンプ25と、洗浄水供給部26と、冷却部27と、を含む。洗浄水受け皿23は、気液接触部21のガス流れ上流側、つまり、気液接触部21の鉛直方向下側に配置される。洗浄水受け皿23は、気液接触部21を通過して、落下した洗浄水を捕集する。循環ライン24は、吸収塔13の外で、洗浄水受け皿23と洗浄水供給部26とを接続する。ポンプ25は、循環ライン24に設置され、洗浄水を所定方向に搬送する。洗浄水供給部26と、気液接触部21のガス流れ下流側、つまり、気液接触部21の鉛直方向上側に配置される。洗浄水供給部26は、循環ライン24で供給される洗浄液を吸収塔13内に供給する。供給された洗浄液は、気液接触部21に落下する。洗浄水供給部26は、例えば、スプレー上に洗浄液を噴射して供給する。冷却部27は、循環ライン24に設置され、洗浄水を冷却する。水洗部20は、以上のように、洗浄液を気液接触部の上から供給し、下から回収して循環させることで、ガス11に含まれている吸収液を捕集する。なお、水洗部20を通過したガスは、吸収液を含む洗浄液の一部がガス11と同伴する。つまり、水洗部20を通過したガスには、CO吸収液を含むミストが同伴する。デミスタ110は、CO吸収液を含むミストを捕集する。
【0016】
また、CO回収装置10は、吸収塔13の底部13bからリッチ溶液供給ライン50により、CO2を吸収したリッチ溶液12Aを抜き出す。CO回収装置10は、リッチ溶液12Aをリッチ溶液ポンプ51により昇圧し、リッチ溶液供給ライン50とリーン溶液供給ライン53との交差部に設けたリッチ・リーン溶液熱交換器52において、再生塔14で再生されたリーン溶液12Bにより加熱した後、再生塔14に供給する。
【0017】
再生塔14は、上部近傍のリッチ溶液導入部14aから内部にリッチ溶液12Aが放出される。再生塔14は、リッチ溶液12Aと、底部から供給されるリボイラ61による水蒸気との間の吸熱反応で、再生塔14内で大部分のCO2を放出させる。再生塔14内で一部または大部分のCO2を放出したCO2吸収液は、セミリーン溶液となる。このセミリーン溶液は、再生塔14の底部14bに至る頃には、ほぼ全てのCO2が除去されたCO2吸収液(リーン溶液)12Bとなる。リッチ溶液12Aは、リーン溶液12Bの一部が、飽和水蒸気62が供給されるリボイラ61により加熱され、再生塔14内部に水蒸気を供給している。
【0018】
また、再生塔14は、塔内においてリッチ溶液12Aおよびセミリーン溶液から放出された水蒸気とCO2を主成分とする同伴ガス(以下「同伴ガス」という)41がデミスタ110でミストが捕集された後、塔頂部14cから排出される。
【0019】
再生塔凝縮部40は、同伴ガス41が供給される。再生塔凝縮部40は、冷却器42で同伴ガスを冷却することで水蒸気を凝縮し、気液分離器43で再生塔凝縮水(以下「凝縮水」という)44とCO2ガス45とに分離する。再生塔凝縮部40は、分離したCO2ガス45を例えば石油増進回収法(EOR:Enhanced Oil Recovery)を用いて油田中に圧入するか、帯水層へ貯留する。
【0020】
また、再生されたCO2吸収液(リーン溶液)12Bは、再生塔14の底部14bからリーン溶液供給ライン53により抜き出され、リッチ・リーン溶液熱交換器52にて、リッチ溶液12Aにより冷却され、つづいてリーン溶液ポンプ54にて昇圧され、さらにリーン溶液クーラ55にて冷却された後、吸収塔13内に供給される。
【0021】
実施形態1では、再生塔14の塔頂部14cから排出された同伴ガス41から、水分を凝縮する再生塔凝縮部40が再生塔の外部に設けられている。この再生塔凝縮部40は、同伴ガス41を再生塔14の塔頂部14cから排出する排出ライン40aと、排出ライン40aに介装された冷却器42と、冷却器42により水蒸気が凝縮された凝縮水44とCO2ガス45とを分離する気液分離器43と、凝縮水44を再生塔の頭部側に還流する還流ライン40bと、還流ライン40bに介装された還流水循環ポンプ46とを備えている。同伴ガス41から気液分離器43にて分離・還流された凝縮水44は、還流水循環ポンプ46にて再生塔14のリッチ溶液導入部14aよりも塔頂部14c側の凝縮水導入部14dから導入される。
【0022】
CO2回収装置10は、CO2を含有するガス11を吸収塔13に導入し、ガス11中のCO2とCO2吸収液12とを接触させてCO2を除去する。吸収塔13に供給されCO2吸収液12と接触したガスは、デミスタ110を通過し系外に排出される。また、CO2回収装置10は、CO2を吸収したリッチ溶液12Aを再生塔14に導入し、リボイラ蒸気によりCO2を再生する。再生塔14の同伴ガス41は、デミスタ110を通過し、再生塔凝縮部40に供給される。CO2回収装置10は、CO2吸収液12を吸収塔13と再生塔14とを循環ラインにより循環再利用する。CO2回収装置10は、再生塔凝縮部40で、分離されたCO2を同伴する同伴ガス41から、水分を凝縮する。CO2回収装置10は、同伴ガス41を冷却して水蒸気が凝縮された凝縮水44とCO2ガス45とを分離する。CO2回収装置10は、凝縮水44を、再生塔14のリッチ溶液12Aが導入されるリッチ溶液導入部14aよりも塔頂部14c側で還流して供給する。
【0023】
次に、デミスタ110について、吸収塔13に設置した場合として説明する。図2に示すように、デミスタ110は、円形の吸収塔本体112に配置される。吸収塔本体112は、排ガス11Aが流れる吸収塔のガス流路である。実施形態1の吸収塔本体112は、断面が円形の円筒形状である。なお、吸収塔本体112の形状はこれに限定されず、例えば断面が矩形でもよい。吸収塔本体112は、鉛直方向に延在して設けられ、排ガス11Aは、鉛直方向の下方側から上方側に向かって流通する。
【0024】
デミスタ110は、CO吸収液を含むミストを捕集するための積層ユニット120を含む。積層ユニット120は、複数の層からなり、各層は、複数の線状の構造体となっている。排ガス11Aは、積層ユニット120の各層を通過することで、排ガス11Aに含まれるミストが捕集され、捕集されたミストがドレン水Wとなって、デミスタ110の内部に含水する。デミスタ110の内部に含水したドレン水Wは、デミスタ110の下方側に設けられるミスト排出装置130によって排出される。
【0025】
(ミスト排出装置)
次に、ミスト排出装置130について説明する。ミスト排出装置130は、図2から図4に示すように、デミスタ110の下方側に、すなわち、排ガス11Aが流入するデミスタ110の流入側に、接して設けられている。ミスト排出装置130は、デミスタ110の内部に溜まるドレン水Wを、鉛直方向の下方側に案内することで、ドレン水Wを自重落下させている。
【0026】
ミスト排出装置130は、デミスタ110の流入側から下方側へ向かって突出して設けられる突出部135を複数備えている。突出部135は、下方側へ向かって延在する板状部材であり、鉛直方向と水平方向とを含む板面を有している。また、複数の突出部135は、水平方向において、所定間隔を空けて複数並べて設けられている。つまり、板状部材となる複数の突出部135は、板面が平行となるように設けられている。このため、ミスト排出装置130は、図3に示すようにスリット形状となる排水口を有している。また、突出部135は、図4に示すように、板面に直交する面で切った断面形状が矩形状となっている。
【0027】
また、突出部135は、デミスタ110に接して設けられている。突出部135は、デミスタ110の内部のドレン水Wを、鉛直方向の下方側へ向けて案内している。突出部135は、ドレン水Wの案内を促進するために、親水性を有する構成としてもよい。例えば、突出部135は、親水性を有する材料を含んで形成してもよい。具体的に、突出部135は、デミスタ110に比して接触角が小さい材料を用いて形成され、接触角が小さい材料としては、例えば、成形し易い熱可塑性樹脂となるナイロン等である。また、例えば、突出部135は、親水性の表面処理が施されることで形成される表面層を有していてもよい。表層面は、例えば、接触角が小さいガラス質塗料を塗布して形成される塗布膜である。
【0028】
次に、図4から図6を参照して、ミスト排出装置130の各種寸法を異ならせたタイプ別の性能について比較する。比較する性能のパラメータとしては、吸収塔本体112における圧力損失であり、ミスト排出装置130を設けない場合を1としたときの各タイプの圧力損失の比率を用いている。
【0029】
図4に示すように、ミスト排出装置130の各種寸法としては、突出部135の突出高さ(a)、突出部135の厚さ(b)、隣接する突出部135同士の間隔(c)がある。図5に示すように、ミスト排出装置130のタイプとしては、「ID5」、「ID7」、「ID8」がある。「ID5」は、突出高さ(a)が6mm、厚さ(b)が2mm、間隔(c)が2mmとなっている。「ID7」は、突出高さ(a)が1mm、厚さ(b)が2mm、間隔(c)が4mmとなっている。「ID8」は、突出高さ(a)が1mm、厚さ(b)が4mm、間隔(c)が4mmとなっている。なお、ミスト排出装置130における突出部135同士の間隔(c)は、デミスタ110におけるメッシュの網目よりも隙間が広いものとなっている。
【0030】
図6は、その横軸がタイプの種別となっており、その縦軸が、圧力損失の比率(圧力損失比)となっている。なお、ID4は、ミスト排出装置130を設けない場合であり、圧力損失比は、1となっている。「ID5」は、圧力損失比が、0.5を下回っている。また、「ID7」も、圧力損失比が、0.5を下回っている。さらに、「ID8」も、圧力損失比が、0.5を下回っている。なお、「ID8」では、デミスタ110の種別(メッシュの網目)を異ならせているが、いずれの種別においても、圧力損失比が、0.5を下回っている。このため、ミスト排出装置130を設けることで、吸収塔本体112の圧力損失を低下させることができることが確認された。つまり、デミスタ110の内部のドレン水Wをミスト排出装置130により排出することで、ドレン水Wによる吸収塔本体112の閉塞を抑制し、圧力損失の増大を抑制していることが確認された。
【0031】
[実施形態2]
次に、図7を参照して、実施形態2について説明する。なお、実施形態2では、重複した記載を避けるべく、実施形態1と異なる部分について説明し、実施形態1と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。図7は、実施形態2に係るミスト排出装置を模式的に示す断面図である。
【0032】
(ミスト排出装置)
実施形態2のミスト排出装置150は、突出部151の形状が、実施形態1と異なる形状となっている。突出部151は、突出部151を伝って流れるドレン水W(となったミスト)の流れ方向が、鉛直方向に対して傾斜するように形成されている。具体的に、突出部151は、板面に直交する面で切った断面形状が、上方側から下方側に向かって先細りとなるテーパ形状となっている。テーパ形状としては、例えば、三角形状であってもよいし、台形形状であってもよく、特に限定されない。
【0033】
[実施形態3]
次に、図8を参照して、実施形態3について説明する。なお、実施形態3では、重複した記載を避けるべく、実施形態1及び2と異なる部分について説明し、実施形態1及び2と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。図8は、実施形態3に係るミスト排出装置を模式的に示す図である。
【0034】
(ミスト排出装置)
実施形態3のミスト排出装置160は、実施形態2と同様に、突出部161が、突出部161を伝って流れるドレン水W(となったミスト)の流れ方向が、鉛直方向に対して傾斜するように形成されている。具体的に、突出部161は、一方の端から他方の端へ向かって片流れとなるように、水平方向に対して傾斜して設けられている。つまり、ミスト排出装置160は、水平方向に対して傾斜して設けられている。具体的に、板状部材となる突出部161は、水平方向の一端を上方側に、水平方向の他端を下方側に位置させることで、傾斜する方向に延在するように配置されている。そして、突出部161を伝って流れるドレン水Wは、突出部161傾斜する方向へ向かって流れる。
【0035】
なお、実施形態1から3では、突出部135,151,161は、板状部材となっていたが、下方側へ向かって延在する棒状部材であってもよく、下方側に突出する形状であれば、吸収塔本体112を閉塞しない限り、何れの形状であってもよい。
【0036】
以上のように、実施形態に記載のミスト排出装置130,150,160及び吸収液吸収塔13は、例えば、以下のように把握される。
【0037】
第1の態様に係るミスト排出装置130,150,160は、デミスタ110により捕集したミストを排出するミスト排出装置であって、前記デミスタ110は、鉛直方向の下方側から上方側に向かってガスが流通するガス流路(吸収塔本体112)に設けられ、下方側が、前記ガスの流入側となり、上方側が、前記ガスの流出側となり、前記ガスに含まれる前記ミストを捕集しており、前記デミスタ110の流入側から下方側へ向かって突出して設けられる突出部135,151,161を備える。
【0038】
この構成によれば、デミスタ110で捕集されたミストが、突出部135を伝ってデミスタ110の外部に排出される。このため、ミストを好適にデミスタ110の外部に排出することができるため、デミスタ110にミストが溜まることを抑制でき、溜まったドレン水からミストが再飛散することを抑制することができる。
【0039】
第2の態様として、前記突出部135,151,161は、下方側へ向かって延在する板状部材であり、前記板状部材は、水平方向において、所定間隔を空けて複数並べて設けられる。
【0040】
この構成によれば、簡易な構成で、ミストを好適に排出することができる構造とすることができる。
【0041】
第3の態様として、前記突出部135,151,161は、親水性の表面処理が施されることで形成される表面層を有する。
【0042】
この構成によれば、ミストの排出を好適に促すことができる。
【0043】
第4の態様として、前記突出部135,151,161は、親水性を有する材料を含んで形成される。
【0044】
この構成によれば、ミストの排出を好適に促すことができる。
【0045】
第5の態様として、前記突出部151,161は、前記突出部135,151,161を伝って流れる前記ミストの流れ方向が、鉛直方向に対して傾斜するように形成される。
【0046】
この構成によれば、突出部151,161を伝って流れるミストを傾斜させることで、ミストの排出をより好適に促すことができる。
【0047】
第6の態様として、前記突出部151は、上方側から下方側に向かって先細りとなるテーパ形状となっている。
【0048】
この構成によれば、簡易な形状で、ミストを傾斜する方向に流すことができる。
【0049】
第7の態様として、前記突出部161は、一方の端から他方の端へ向かって片流れとなるように、水平方向に対して傾斜して設けられている。
【0050】
この構成によれば、突出部161を傾斜させることで、ミストを容易に片流れにすることができる。
【0051】
第8の態様に係る吸収液吸収塔13は、COを含有するガスが供給される吸収塔本体112と、前記吸収塔本体112に、吸収液を供給する吸収液供給部(リーン溶液供給ライン53)と、前記吸収塔本体112の前記吸収液供給部の吸収液供給位置よりも前記ガスの流れ方向下流側に配置され、COを含有する吸収液を含有するミストを捕集するデミスタ110と、前記デミスタ110により捕集したミストを排出する上記のミスト排出装置130,150,160と、を備える。
【0052】
この構成によれば、ミストの再飛散を抑制できる吸収液吸収塔13とすることができる。
【符号の説明】
【0053】
10 CO回収装置
11 導入ガス(ガス)
12 CO2吸収液
12A リッチ溶液
12B リーン溶液
13A CO2吸収部
13 CO2吸収塔
14 吸収液再生塔
41 同伴ガス
42 冷却器
43 気液分離器
44 再生塔凝縮水
45 CO2ガス
46 還流水循環ポンプ
50 リッチ溶液供給ライン
51 リッチ溶液ポンプ
52 リッチ・リーン溶液熱交換器
53 リーン溶液供給ライン
110 デミスタ
112 吸収塔本体
130,150,160 ミスト排出装置
135,151,161 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8