(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180033
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】光学式間隙測定装置及び光学式間隙測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/14 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
G01B11/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086921
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 静一郎
(72)【発明者】
【氏名】古谷 雅
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA22
2F065BB06
2F065BB16
2F065FF42
2F065GG06
2F065GG12
2F065HH04
2F065HH12
2F065JJ01
2F065JJ08
2F065JJ18
2F065JJ23
2F065QQ26
(57)【要約】
【課題】測定対象物の隙間の幅を正確かつ簡易に測定可能な光学式間隙測定装置を提供する。
【解決手段】計測対象物である二つのローラ101、102の間に形成される隙間dの幅を測定する光学式間隙測定装置100であって、隙間dを含む計測対象物に向けて、矩形状ビームを投光する投光部10と、隙間に対して投光部10と同じ側に配置され、計測対象物からの反射光を受光する受光部20と、受光部20から出力される受光データに基づいて隙間の幅を算出する隙間算出部と、を備え、隙間算出部は、比較的小さい光量に対応する受光データである第一受光データと比較的大きい光量に対応する受光データである第二受光データとの比に基づいて、隙間dの幅を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物である二つの物体の間に形成される隙間の幅を測定する光学式間隙測定装置であって、
前記隙間を含む前記計測対象物に向けて、矩形状ビームを投光する投光部と、
前記隙間に対して前記投光部と同じ側に配置され、前記計測対象物からの反射光を受光する受光部と、
前記受光部から出力される受光データに基づいて前記隙間の幅を算出する隙間算出部と、
を備え、
前記隙間算出部は、比較的小さい光量に対応する前記受光データである第一受光データと比較的大きい光量に対応する前記受光データである第二受光データとの比に基づいて、前記隙間の幅を算出する、
光学式間隙測定装置。
【請求項2】
前記投光部が、断面における光強度分布が均一である前記矩形状ビームを投光する、
請求項1記載の光学式間隙測定装置。
【請求項3】
前記矩形状ビームにより照射される領域に、少なくとも前記二つの物体それぞれの一部及び前記隙間の中心部が含まれるように、前記投光部が配置される、
請求項1又は2記載の光学式間隙測定装置。
【請求項4】
前記受光部が、二つのフォトダイオードを含み、
一方の前記フォトダイオードが、前記計測対象物からの反射光が比較的少ない領域に配置され、他方の前記フォトダイオードが、前記計測対象物からの反射光が比較的多い領域に配置され、
前記第一受光データ及び前記第二受光データが、それぞれ異なる前記フォトダイオードで検知された光量に対応する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学式間隙測定装置。
【請求項5】
前記受光部が、イメージセンサを含み、
前記第一受光データが、前記イメージセンサで検知された光量のうち、前記反射光の暗さを判別する閾値よりも小さい光量に対応する前記受光データであり、
前記第二受光データが、前記イメージセンサで検知された光量のうち、前記反射光の明るさを判別する閾値よりも大きい光量に対応する前記受光データである、
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学式間隙測定装置。
【請求項6】
前記隙間算出部が、予め記憶されている、前記隙間の幅及び前記比の対応関係に基づいて、前記隙間の幅を算出する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の光学式間隙測定装置。
【請求項7】
前記隙間算出部が、予め記憶されている、前記二つの物体の大きさ、前記隙間の幅及び前記比の対応関係に基づいて、前記隙間の幅を算出する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の光学式間隙測定装置。
【請求項8】
前記物体が、ローラである、
請求項1から7のいずれか一項に記載の光学式間隙測定装置。
【請求項9】
計測対象物である二つの物体の間に形成される隙間の幅を測定する光学式間隙測定方法であって、
投光部から前記隙間を含む前記計測対象物に向けて、矩形状ビームを投光することと、
前記隙間に対して前記投光部と同じ側に配置された受光部で、前記計測対象物からの反射光を受光することと、
前記受光部から出力される受光データに基づいて前記隙間の幅を算出することと、
を含み、
前記算出することにおいて、比較的小さい光量に対応する前記受光データである第一受光データと比較的大きい光量に対応する前記受光データである第二受光データとの比に基づいて、前記隙間の幅を算出する、
光学式間隙測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式間隙測定装置及び光学式間隙測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の一方の側から光を照射し、測定対象物の他方の側から光を受光して、測定対象物のエッジを検出するエッジセンサが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、測定対象物の隙間の一方の側から光を照射し、隙間を通過した光を、測定対象物の他方の側から受光して、測定対象物の隙間の幅を検出する隙間センサが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-177335号公報
【特許文献2】特開2018-44771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエッジセンサは、エッジが直角でないと、正確にエッジを検出できない。また、従来の隙間センサは、例えば隙間の幅が狭い場合に、その狭い隙間に光が通るように発光素子と受光素子の光軸を調整することは難しい。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、測定対象物の隙間の幅を正確かつ簡易に測定可能な光学式間隙測定装置及び光学式間隙測定方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る光学式間隙測定装置は、計測対象物である二つの物体の間に形成される隙間の幅を測定する光学式間隙測定装置であって、隙間を含む計測対象物に向けて、矩形状ビームを投光する投光部と、隙間に対して投光部と同じ側に配置され、計測対象物からの反射光を受光する受光部と、受光部から出力される受光データに基づいて隙間の幅を算出する隙間算出部と、を備え、隙間算出部は、比較的小さい光量に対応する受光データである第一受光データと比較的大きい光量に対応する受光データである第二受光データとの比に基づいて、隙間の幅を算出する。
【0007】
上記一態様において、投光部が、断面における光強度分布が均一である矩形状ビームを投光してもよい。
【0008】
上記一態様において、矩形状ビームにより照射される領域に、少なくとも二つの物体それぞれの一部及び隙間の中心部が含まれるように、投光部が配置されてもよい。
【0009】
上記一態様において、受光部が、二つのフォトダイオードを含み、一方のフォトダイオードが、計測対象物からの反射光が比較的少ない領域に配置され、他方のフォトダイオードが、計測対象物からの反射光が比較的多い領域に配置され、第一受光データ及び第二受光データが、それぞれ異なるフォトダイオードで検知された光量に対応してもよい。
【0010】
上記一態様において、受光部が、イメージセンサを含み、第一受光データが、イメージセンサで検知された光量のうち、反射光の暗さを判別する閾値よりも小さい光量に対応する受光データであり、第二受光データが、イメージセンサで検知された光量のうち、反射光の明るさを判別する閾値よりも大きい光量に対応する受光データであってもよい。
【0011】
上記一態様において、隙間算出部が、予め記憶されている、隙間の幅及び比の対応関係に基づいて、隙間の幅を算出してもよい。
【0012】
上記一態様において、隙間算出部が、予め記憶されている、二つの物体の大きさ、隙間の幅及び比の対応関係に基づいて、隙間の幅を算出してもよい。
【0013】
上記一態様において、物体が、ローラであってもよい。
【0014】
本発明の他の態様に係る光学式間隙測定方法は、計測対象物である二つの物体の間に形成される隙間の幅を測定する光学式間隙測定方法であって、投光部から隙間を含む計測対象物に向けて、矩形状ビームを投光することと、隙間に対して投光部と同じ側に配置された受光部で、計測対象物からの反射光を受光することと、受光部から出力される受光データに基づいて隙間の幅を算出することと、を含み、上記算出することにおいて、比較的小さい光量に対応する受光データである第一受光データと比較的大きい光量に対応する受光データである第二受光データとの比に基づいて、隙間の幅を算出する。
【0015】
上記他の態様において、投光部が、断面における光強度分布が均一である矩形状ビームを投光してもよい。
【0016】
上記他の態様において、矩形状ビームにより照射される領域に、少なくとも二つの物体それぞれの一部及び隙間の中心部が含まれるように、投光部が配置されてもよい。
【0017】
上記他の態様において、受光部が、二つのフォトダイオードを含み、第一受光データ及び第二受光データが、それぞれ異なるフォトダイオードから出力されてもよい。
【0018】
上記他の態様において、受光部が、イメージセンサを含み、第一受光データが、イメージセンサで検知された光量のうち、反射光の暗さを判別する閾値よりも小さい光量に対応する受光データであり、第二受光データが、イメージセンサで検知された光量のうち、反射光の明るさを判別する閾値よりも大きい光量に対応する受光データであってもよい。
【0019】
上記他の態様において、隙間算出部が、予め記憶されている、隙間の幅及び比の対応関係に基づいて、隙間の幅を算出してもよい。
【0020】
上記他の態様において、隙間算出部が、予め記憶されている、二つの物体の大きさ、隙間の幅及び比の対応関係に基づいて、隙間の幅を算出してもよい。
【0021】
上記他の態様において、物体が、ローラであってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、測定対象物の隙間の幅を正確かつ簡易に測定可能な光学式間隙測定装置及び光学式間隙測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係る光学式間隙測定装置の概略構成を例示する模式図である。
【
図2】矩形状ビームを投光する投光部の構成を例示する模式図である。
【
図3】実施形態に係る光学式間隙測定装置の機能構成を例示する模式図である。
【
図4】実施形態に係る光学式間隙測定方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】変形例に係る光学式間隙測定装置の概略構成を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。ただし、図面は模式的なものであるため、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることは言うまでもない。
【0025】
実施形態に係る光学式間隙測定装置は、計測対象物である二つの物体の間に形成される隙間の幅を測定する装置である。ここで、二つの物体の間に形成される隙間の幅とは、二つの物体の間に空いている所のうち、最小の距離となる箇所の長さである。
図1には、計測対象物である二本のローラ101、102間に形成される隙間dの幅を測定する光学式間隙測定装置100が例示されている。
【0026】
二本のローラ101、102は、例えばリチウムイオン電池やハイバリアフィルムのような高機能フィルム(不図示)を搬送する搬送機構の一部である。搬送機構は、上下二本のローラ101、102でフィルムを挟持し、ローラ101、102の回転によりフィルムを送り出す機構である。
図1では、紙面上の左方向から右方向へフィルムを搬送する。搬送機構でフィルムを製造する工程には、例えば数μmから数十μm程度の二種類以上のフィルムを、二本のローラ101、102間で挟持し、貼り合わせる工程が含まれる。このようなフィルムを貼り合わせる工程では、ローラ101、102間の隙間dの幅がフィルム同士の密着性に影響を与え得る。したがって、ローラ101、102間の隙間dの幅を正確かつ簡易に測定することは、フィルムを製造する際に重要な要素になり得る。
【0027】
図1に示すように、光学式間隙測定装置100は、例えば、投光部10と、受光部20と、制御部30とを備える。投光部10は、光源11及び光学素子12を含む。受光部20は、二つの受光器21a、21b及び二つの受光レンズ22a、22bを含む。なお、受光部20に含まれる二つの受光器21a、21b及び二つの受光レンズ22a、22bを、区別して説明する必要がない場合には、以下において受光器21及び受光レンズ22と記載する。
【0028】
図1において、フィルムの流れ方向(紙面の左から右方向)は、受光部20の受光軸の方向(紙面の右から左方向)と反対向きになる。また、ローラ101、102の隙間dの幅方向(紙面の上下方向)は、受光部20の光軸方向(紙面の左右方向)と直交する。さらに、各ローラ101、102の回転軸方向(紙面の前後方向)及びフィルムの幅方向(紙面の前後方向)は、フィルムの流れ方向(紙面の左右方向)及びローラ101、102の隙間dの幅方向(紙面の上下方向)とそれぞれ直交する。
【0029】
なお、
図1は、光学式間隙測定装置100が、ローラ101、102の左側に配置されている場合の例であるが、光学式間隙測定装置100が、ローラ101、102の右側に配置されてもよい。この場合、上記紙面における左右関係は逆向きの関係になる。また、貼り合わせる複数のフィルムをローラ101、102間に通す前に、ローラ101、102間の隙間dの幅を光学式間隙測定装置100で測定して調整することになる。
【0030】
投光部10は、ローラ101、102間の隙間dに対する一方の側(
図1では左側)から、隙間dを含むローラ101、102に向けて矩形状ビームを投光する。
【0031】
投光部10の光源11は、光を発する発光素子であり、例えば、半導体レーザである。投光部10の光学素子12は、光源11からの光を断面における光強度分布が均一な矩形状ビームに変換する素子である。光学素子12は、例えば、
図2に示すように、回折光学素子121及び集光レンズ122を含んでよい。
【0032】
回折光学素子121は、例えば、光源11である半導体レーザから出射された楕円状のガウンシアンビームBaを例えば複数のビームに分割する光学素子である。集光レンズ122は、例えば、回折光学素子121により分割された複数のビームを矩形状ビームBbに成形する光学素子である。
【0033】
なお、投光部10の光学素子12は、
図2に示す構成に限定されず、例えば、パウエルレンズ(レーザーラインジェネレータレンズ)や、フライアイレンズを含んでいてもよい。
【0034】
図1の投光部10から投光される矩形状ビームによって照射される領域に、少なくとも、一方のローラ101の一部、隙間dの中心部及び他方のローラ102の一部が含まれるように、投光部10が配置されることが好ましい。ローラ101、102に対する投光部10の入射角は、任意に設定することができる。
【0035】
受光部20は、ローラ101、102間の隙間dに対し、投光部10と同じ側に配置され、ローラ101、102からの反射光(散乱光を含む)を受光する。
【0036】
受光部20の受光レンズ22は、ローラ101、102からの反射光を受光器21に投影するレンズである。
【0037】
受光部20の受光器21は、例えば、フォトダイオードである。受光器21は、受光レンズ22により投影される光を電気信号に変換し、変換した電気信号を受光データとして制御部30に出力する。
【0038】
受光器21a,21b及び受光レンズ22a、22bは、二つのローラ101、102の大きさ及びローラ101、102間の隙間dの幅に対して、以下のように配置されることが好ましい。
【0039】
受光器21a及び受光レンズ22aは、例えば、ローラ101及びローラ102からの反射光が比較的少ない領域(以下、「暗領域」ともいう。)に配置される。他方、受光器21b及び受光レンズ22bは、例えば、ローラ101及びローラ102からの反射光が比較的多い領域(以下、「明領域」ともいう。)に配置される。なお、受光器21a及び受光レンズ22aが、明領域に配置され、受光器21b及び受光レンズ22bが、暗領域に配置されてもよい。
【0040】
反射光が比較的多いか少ないかは、予め配置対象となる領域ごとに反射光の光量を測定し、それぞれを比較することで判定することができる。暗領域と明領域のうち、暗領域が、ローラ101、102間の隙間dに対応する領域となるように、暗領域と明領域を定めることが好ましい。
【0041】
ここで、予め、受光器21a,21b及び受光レンズ22a、22bの配置を決める際に測定した光量に基づいて、暗領域で測定された光量に対する明領域で測定された光量の比を算出し、その算出した光量の比を、二つのローラ101、102の大きさ及びローラ101、102間の隙間dの幅に対応付けて、二つのローラ101、102の大きさ、ローラ101、102間の隙間dの幅及び光量の比の対応関係として記憶させる。そして、このような対応付け作業を、フィルムを貼り合わせる工程で設定され得る隙間dの幅ごとに、予め実施しておくことが好ましい。
【0042】
二つのローラ101、102の大きさ、ローラ101、102間の隙間dの幅及び光量の比の対応関係を予め取得する際の投光部10及び受光部20の相対位置と、ローラ101、102間の隙間dの幅を測定する際の投光部10及び受光部20の相対位置とは、同じであることが好ましい。
【0043】
なお、二つのローラ101、102の大きさ、ローラ101、102間の隙間dの幅及び光量の比の対応関係を表す関数を予め求めて記憶させてもよい。また、二つのローラ101、102の大きさを用いる替わりに、二つのローラ101、102における直径の比を用いてもよい。
【0044】
制御部30について、
図3を参照して説明する。制御部30は、例えば、CPU等のプロセッサ及びROMやRAM、HDD等のメモリを備えるコンピュータシステムにより実現される。制御部30は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、例えば、投光部10、受光部20及び出力部40等を制御するとともに、各種の機能を実現する。各種の機能には、例えば、隙間算出部31としての機能が含まれる。
【0045】
隙間算出部31は、受光部20から出力される受光データに基づいて、ローラ101、102間の隙間dの幅を算出する。受光データには、例えば暗領域に配置される受光器21aで検知された比較的小さい光量に対応する受光データ(以下、「第一受光データ」ともいう。)と、例えば明領域に配置される受光器21bで検知された比較的大きい光量に対応する受光データ(以下、「第二受光データ」ともいう。)とが含まれる。
【0046】
隙間算出部31は、第一受光データに対する第二受光データの比を算出する。隙間算出部31は、予め記憶されている、二つのローラ101、102の大きさ、ローラ101、102間の隙間dの幅及び光量の比の対応関係に基づいて、ローラ101、102間の隙間dの幅を算出する。
【0047】
したがって、隙間算出部31は、例えば、予め記憶されている上記対応関係に基づいて、既知である二つのローラ101、102の大きさ及び算出した受光データの比に対応するローラ101、102間の隙間dの幅を算出する。
【0048】
隙間算出部31は、算出したローラ101、102間の隙間dの幅を、出力部40に出力させる。出力部40として、例えば、表示装置、プリンタ、及びインターフェース等を用いることができる。
【0049】
次に、
図4を参照して、実施形態に係る光学式間隙測定方法の一例について説明する。
【0050】
最初に、光学式間隙測定装置100の制御部30は、投光部10及び受光部20の状態を判定する(ステップS101)。例えば、投光部10及び受光部20の電源が入っていない場合、制御部30は、投光部10及び受光部20の電源を投入する。
【0051】
続いて、光学式間隙測定装置100の隙間算出部31は、投光部10により投光された矩形状ビームに基づく第一受光データ及び第二受光データを受光器21から取得してメモリに記憶する(ステップS102)。
【0052】
続いて、隙間算出部31は、上記ステップS102でメモリに記憶した第一受光データ及び第二受光データをメモリから読み出し、第一受光データに対する第二受光データの比を算出する(ステップS103)。
【0053】
続いて、隙間算出部31は、上記ステップS103で算出した受光データの比と、予めメモリに記憶されている、二つのローラ101、102の大きさ、ローラ101、102間の隙間dの幅及び光量の比の対応関係と、に基づいて、ローラ101、102間の隙間dの幅を算出する(ステップS104)。
【0054】
続いて、隙間算出部31は、上記ステップS104で算出した隙間dの幅を、出力部40である表示装置に出力し(ステップS105)、所定時間表示させる。
【0055】
実施形態に係る光学式間隙測定装置100によれば、測定対象物であるローラ101、102の一方の側から矩形状ビームを照射し、同じ側で反射光を受光して、ローラ101、102間の隙間の幅を算出することができる。また、矩形状ビームを用いることにより、照射領域における光の強度分布が安定するため、隙間に対して光軸調整を厳密に行う必要がない。したがって、測定対象物の隙間が狭くても隙間の幅を正確かつ簡易に測定することが可能となる。
【0056】
[変形例]
上記のように本発明を実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
【0057】
例えば、上記実施形態では、受光器としてフォトダイオードを用いる場合について説明したが、受光器はこれに限定されない。例えば、受光器としてイメージセンサを用いてもよい。この変形例に係る光学式間隙測定装置100の構成の一例を
図5に示す。以下においては、主に、上記実施形態に係る光学式間隙測定装置100と異なる点について説明する。それ以外については、上記実施形態に係る光学式間隙測定装置100と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0058】
図5に示す受光器21cは、受光レンズ22cにより投影される光を電気信号に変換し、変換した電気信号を受光データとして制御部30に出力する。
【0059】
制御部30の隙間算出部31は、反射光の暗さを判別するための第一閾値と、反射光の明るさを判別するための第二閾値とを予めメモリに記憶させておく。第一閾値と第二閾値は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0060】
隙間算出部31は、受光器21cで検知された光量のうち、第一閾値よりも小さい光量に基づいて、暗領域の光量を積算し、その積算光量に対応する第一受光データを生成する。他方、隙間算出部31は、受光器21cで検知された光量のうち、第二閾値よりも大きい光量に基づいて、明領域の光量を積算し、その積算光量に対応する第二受光データを生成する。
【0061】
隙間算出部31は、第一受光データに対する第二受光データの比を算出する。そして、隙間算出部31は、上記実施形態と同様に、予め記憶されている対応関係に基づいて、ローラ101、102間の隙間dの幅を算出する。
【符号の説明】
【0062】
10…投光部、11…光源、12…光学素子、20…受光部、21a、21b、21c…受光器、22a、22b、22c…受光レンズ、30…制御部、31…隙間算出部、40…出力部、100…光学式間隙測定装置、101、102…ローラ、121…回折光学素子、122…集光レンズ、Ba…ガウンシアンビーム、Bb…矩形状ビーム、d…隙間