IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シンフォニアテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-熱音響機関 図1
  • 特開-熱音響機関 図2
  • 特開-熱音響機関 図3
  • 特開-熱音響機関 図4
  • 特開-熱音響機関 図5
  • 特開-熱音響機関 図6
  • 特開-熱音響機関 図7
  • 特開-熱音響機関 図8
  • 特開-熱音響機関 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180057
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】熱音響機関
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
F25B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086961
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆良
(72)【発明者】
【氏名】小川 優司
(72)【発明者】
【氏名】加納 秀紀
(57)【要約】
【課題】複数のエネルギー変換部が直列に接続された熱音響機関において生じうる問題の発生を回避する。
【解決手段】熱音響機関1が備える原動機12は、第1エネルギー変換部21と、第2エネルギー変換部22と、接続管部23とを有する。第1エネルギー変換部21は、管路26(第1管路)と、第1蓄熱器27と、第1加熱器28と、第1冷却器29とを有する。第2エネルギー変換部22は、管路30、34(第2管路)と、第2蓄熱器31と、第2加熱器32と、第2冷却器33とを有する。接続管部23は、所定方向において、第1エネルギー変換部21及び第2エネルギー変換部22と少なくとも部分的に重なる位置に配置されている。第1加熱器28と第2加熱器32は、所定方向において少なくとも部分的に重なる位置に配置されている。第1冷却器29と第2冷却器33は、所定方向において少なくとも部分的に重なる位置に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギーを音響エネルギーに変換可能に構成された原動機、を備える熱音響機関であって、
前記原動機は、第1エネルギー変換部と、前記第1エネルギー変換部とは別の第2エネルギー変換部と、前記第1エネルギー変換部と前記第2エネルギー変換部とを直列に接続する接続管部と、を有し、
前記第1エネルギー変換部は、
作動流体が通る第1通路を形成する第1管路と、
前記第1通路に収容され、前記作動流体の加熱及び冷却を行うように構成された第1蓄熱器と、
前記第1蓄熱器の所定方向における一方側に並べて配置された第1加熱器と、
前記第1蓄熱器の前記所定方向における他方側に並べて配置された第1冷却器と、を有し、
前記第2エネルギー変換部は、
前記作動流体が通る第2通路を形成する第2管路と、
前記第2通路に収容され、前記作動流体の加熱及び冷却を行うように構成された第2蓄熱器と、
前記第2蓄熱器の前記所定方向における前記一方側に並べて配置された第2加熱器と、
前記第2蓄熱器の前記所定方向における前記他方側に並べて配置された第2冷却器と、を有し、
前記接続管部は、前記所定方向において、前記第1エネルギー変換部及び前記第2エネルギー変換部と少なくとも部分的に重なる位置に配置され、
前記第1加熱器と前記第2加熱器とは、前記所定方向において少なくとも部分的に重なる位置に配置され、
前記第1冷却器と前記第2冷却器とは、前記所定方向において少なくとも部分的に重なる位置に配置されていることを特徴とする熱音響機関。
【請求項2】
前記接続管部の少なくとも一部は、前記第1管路を構成する部材の少なくとも一部と、前記第2管路を構成する部材の少なくとも一部と、によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱音響機関。
【請求項3】
前記第1管路は、円管状であり、
前記第2管路は、前記第1管路の径方向において、前記第1管路の外側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱音響機関。
【請求項4】
前記第1加熱器と前記第2加熱器とを加熱する加熱媒体が流れる加熱媒体流路、を備え、
前記加熱媒体流路は、
前記第2管路の前記径方向における外側に配置され、且つ、前記所定方向に延びた第1加熱流路部分と、
前記加熱媒体の流動方向において前記第1加熱流路部分よりも上流側に形成され、且つ、前記第2管路の周方向に延びた第2加熱流路部分と、を有し、
前記第2加熱流路部分の流路抵抗は、前記第1加熱流路部分の流路抵抗よりも低いことを特徴とする請求項3に記載の熱音響機関。
【請求項5】
前記第1冷却器と前記第2冷却器とを冷却する冷却媒体が流れる冷却媒体流路、を備え、
前記冷却媒体流路は、
前記第2管路の前記径方向における外側に配置され、且つ、前記所定方向に延びた第1冷却流路部分と、
前記冷却媒体の流動方向において前記第1冷却流路部分よりも上流側に形成され、且つ、前記第2管路の周方向に延びた第2冷却流路部分と、を有し、
前記第2冷却流路部分の流路抵抗は、前記第1冷却流路部分の流路抵抗よりも低いことを特徴とする請求項3又は4に記載の熱音響機関。
【請求項6】
前記第1エネルギー変換部と、前記接続管部と、前記第2エネルギー変換部とが、S字状に配置されるように接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱音響機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギーを音響エネルギーに変換可能な熱音響機関に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱エネルギーを音響エネルギーに変換可能な原動機を備える熱音響機関が開示されている。原動機は、所定方向に延びた配管に収納された蓄熱器と、蓄熱器の所定方向における一方側に並べて配置された加熱器と、蓄熱器の所定方向における他方側に並べて配置された冷却器とを有する。配管の内部空間には、作動流体として気体が充填されている。加熱器は、例えば工場で発生した排熱(排ガス、排水など)を利用して加熱される。冷却器は、例えば冷却水等を利用して冷却される。これにより、所定方向において蓄熱器に温度勾配が生じる。すると、熱音響現象により熱エネルギーが音響エネルギーに変換され、配管内の作動流体が自励振動を起こして音波を発生させる。このような音響エネルギーは、例えば、発電システム、冷却システム等に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6233835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的には、複数の原動機(言い換えれば、複数のエネルギー変換部)を直列に接続することにより、音響エネルギーの更なる増幅を図ることができる。しかしながら、例えば、特許文献1のように、単に所定方向に複数の原動機(複数のエネルギー変換部)が並べて配置された構成では、熱音響機関が所定方向に大型化してしまうおそれがある。また、このような構成では、例えば、加熱器に加熱媒体を供給する供給路及び/又は冷却器に冷却媒体を供給する供給路をコンパクト化するために、各媒体の供給路を1つの供給源から分岐させることが考えられる。このような構成では、加熱媒体や冷却媒体の供給時に供給路間で温度ばらつき等が生じうる。このため、複数の原動機間で加熱器と冷却器の温度差を均一にできず、音響エネルギーの増幅率に影響が出るおそれもある。
【0005】
本発明の目的は、複数のエネルギー変換部が直列に接続された熱音響機関において生じうる問題の発生を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の熱音響機関は、熱エネルギーを音響エネルギーに変換可能に構成された原動機、を備える熱音響機関であって、前記原動機は、第1エネルギー変換部と、前記第1エネルギー変換部とは別の第2エネルギー変換部と、前記第1エネルギー変換部と前記第2エネルギー変換部とを直列に接続する接続管部と、を有し、前記第1エネルギー変換部は、作動流体が通る第1通路を形成する第1管路と、前記第1通路に収容され、前記作動流体の加熱及び冷却を行うように構成された第1蓄熱器と、前記第1蓄熱器の所定方向における一方側に並べて配置された第1加熱器と、前記第1蓄熱器の前記所定方向における他方側に並べて配置された第1冷却器と、を有し、前記第2エネルギー変換部は、前記作動流体が通る第2通路を形成する第2管路と、前記第2通路に収容され、前記作動流体の加熱及び冷却を行うように構成された第2蓄熱器と、前記第2蓄熱器の前記所定方向における前記一方側に並べて配置された第2加熱器と、前記第2蓄熱器の前記所定方向における前記他方側に並べて配置された第2冷却器と、を有し、前記接続管部は、前記所定方向において、前記第1エネルギー変換部及び前記第2エネルギー変換部と少なくとも部分的に重なる位置に配置され、前記第1加熱器と前記第2加熱器とは、前記所定方向において少なくとも部分的に重なる位置に配置され、前記第1冷却器と前記第2冷却器とは、前記所定方向において少なくとも部分的に重なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、第1エネルギー変換部及び第2エネルギー変換部は、直列に接続されていても、所定方向に直線的に配置されていない。これにより、原動機及び熱音響機関が所定方向に大型化することを抑制できる。また、第1加熱器と第2加熱器とが所定方向において少なくとも部分的に重なるように配置されているため、所定方向と交差する方向に延びる1つの加熱媒体流路により、第1加熱器と第2加熱器を同時に加熱できる。さらに、第1冷却器と第2冷却器とが所定方向において少なくとも部分的に重なるように配置されているため、所定方向と交差する方向に延びる1つの冷却媒体流路により、第1冷却器と第2冷却器を同時に冷却できる。よって、加熱媒体流路及び冷却媒体流路をコンパクトにできる。このため、加熱媒体や冷却媒体の供給時における温度ばらつき等を抑えられ、加熱器と冷却器の温度差を安定して均一化できる。このため、音響エネルギーを安定して増幅することができる。以上のようにして、複数のエネルギー変換部が直列に接続された熱音響機関において生じうる問題の発生を回避できる。
【0008】
第2の発明の熱音響機関は、前記第1の発明において、前記接続管部の少なくとも一部は、前記第1管路を構成する部材の少なくとも一部と、前記第2管路を構成する部材の少なくとも一部と、によって構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、原動機をコンパクト化できる。また、接続管部を介して、第1エネルギー変換部と第2エネルギー変換部との間で熱を効率的に伝えることができる。
【0010】
第3の発明の熱音響機関は、前記第1又は第2の発明において、前記第1管路は、円管状であり、前記第2管路は、前記第1管路の径方向において、前記第1管路の外側に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、径方向において、第2エネルギー変換部の内側に第1エネルギー変換部を配置できる。したがって、原動機をさらにコンパクト化できる。
【0012】
第4の発明の熱音響機関は、前記第3の発明において、前記第1加熱器と前記第2加熱器とを加熱する加熱媒体が流れる加熱媒体流路、を備え、前記加熱媒体流路は、前記第2管路の前記径方向における外側に配置され、且つ、前記所定方向に延びた第1加熱流路部分と、前記加熱媒体の流動方向において前記第1加熱流路部分よりも上流側に形成され、且つ、前記第2管路の周方向に延びた第2加熱流路部分と、を有し、前記第2加熱流路部分の流路抵抗は、前記第1加熱流路部分の流路抵抗よりも低いことを特徴とする。
【0013】
本発明では、第2加熱流路部分における加熱媒体の圧力損失を、第1加熱流路部分における加熱媒体の圧力損失よりも小さくすることができる。このため、加熱媒体が第2加熱流路部分から第1加熱流路部分に流入する前に、加熱媒体が第2加熱流路部分に一時的に貯留されやすくなる。したがって、第2加熱流路部分の加熱媒体の流量及び温度が、周方向において均一となりやすい。これにより、第1加熱流路部分に略等温の加熱媒体を均一に流すことができ、第1加熱器及び第2加熱器を周方向において均等に加熱できる。したがって、第1加熱器及び第2加熱器の周方向における温度分布を一様にすることができる。
【0014】
第5の発明の熱音響機関は、前記第3又は第4の発明において、前記第1冷却器と前記第2冷却器とを冷却する冷却媒体が流れる冷却媒体流路、を備え、前記冷却媒体流路は、前記第2管路の前記径方向における外側に配置され、且つ、前記所定方向に延びた第1冷却流路部分と、前記冷却媒体の流動方向において前記第1冷却流路部分よりも上流側に形成され、且つ、前記第2管路の周方向に延びた第2冷却流路部分と、を有し、前記第2冷却流路部分の流路抵抗は、前記第1冷却流路部分の流路抵抗よりも低いことを特徴とする。
【0015】
本発明では、第2冷却流路部分における冷却媒体の圧力損失を、第1冷却流路部分における冷却媒体の圧力損失よりも小さくすることができる。このため、冷却媒体が第2冷却流路部分から第1冷却流路部分に流入する前に、冷却媒体が第2冷却流路部分に一時的に貯留されやすくなる。したがって、第2冷却流路部分の冷却媒体の流量及び温度が、周方向において均一となりやすい。これにより、第1冷却流路部分に略等温の冷却媒体を均一に流すことができ、第1冷却器及び第2冷却器を周方向において均等に冷却できる。したがって、第1冷却器及び第2冷却器の周方向における温度分布を一様にすることができる。
【0016】
第6の発明の熱音響機関は、前記第1又は第2の発明において、前記第1エネルギー変換部と、前記接続管部と、前記第2エネルギー変換部とが、S字状に配置されるように接続されていることを特徴とする。
【0017】
本発明では、単純な構造によって、熱音響機関を所定方向においてコンパクト化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る熱音響機関の概略的な平面図である。
図2】従来の原動機の概念図である。
図3】本実施形態に係る原動機の概念図である。
図4】(a)は、原動機の斜視図であり、(b)は、所定方向から原動機を見た図である。
図5】原動機の分解斜視図である。
図6図4(b)のVI-VI線断面図である。
図7】(a)~(d)の各々は、原動機に含まれる各部材の断面図である。
図8】変形例に係る原動機の概念図である。
図9】別の変形例に係る原動機の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(熱音響機関の概要)
次に、本発明の実施の形態について説明する。まず、本実施形態の熱音響機関1の概要について、図1の平面図を参照しつつ説明する。熱音響機関1は、公知の熱音響現象を利用して熱エネルギーを音響エネルギー(音波エネルギー)に変換するように構成されている。熱音響機関1は、例えば、原動機ループ11と、増幅部3と、出力部4とを備える。大まかには、原動機ループ11によって熱エネルギーが音響エネルギーに変換される(言い換えると、音響エネルギーが生成される)。生成された音響エネルギーは、増幅部3によって増幅されて、出力部4によって別の種類のエネルギーに変換される。
【0020】
原動機ループ11は、原動機12(詳細については後述する)と、ループ管13とを有する。原動機12及びループ管13の中には、作動流体(空気或いはヘリウム等の作動気体)が充填されている。
【0021】
原動機12は、図1に示すように、所定方向に延在しており、熱エネルギーを音響エネルギーに変換する。具体的には、原動機12において所定方向に温度勾配を生じさせることで、熱音響現象により熱エネルギーが音響エネルギーに変換され、作動流体が自励振動を起こす。これにより、音波が発生する。
【0022】
ループ管13は、原動機12で発生した音波を伝播させて、音響エネルギーをループ管13内で循環させ、且つ、増幅部3へ送るように構成されている。ループ管13は、管部13aと、管部13bと、管部13cと、管部13dと、管部13eとを有する。管部13aは、原動機12の所定方向における一方側の端部と接続されている。管部13aは、所定方向における一方側に延びて、所定方向と略直交する方向に分岐している。管部13bは、管部13aの分岐部分に接続され、増幅部3とは逆側に延びている。管部13bには、さらに管部13c、13d、13eが接続されている。管部13eの端部は、原動機12の所定方向における他方側の端部と接続されている。
【0023】
増幅部3は、原動機ループ11から循環した音響エネルギーを増幅して、出力部4へ送るように構成されている。増幅部3は、管部14と、原動機15と、管部16とを有する。管部14の一端部は、原動機ループ11の管部13aの分岐部分と接続されている。管部14の他端部は、原動機15の一端部と接続されている。原動機15は、例えば原動機12(詳細については後述する)と同様の構成を有する。管部16の一端部は、原動機15と接続されている。管部16の他端部は、出力部4と接続されている。
【0024】
出力部4は、音響エネルギーを別の種類のエネルギーに変換可能に構成されている。出力部4は、例えば、公知のリニア発電機を有する。或いは、出力部4は、公知の熱音響冷却機を有していても良い。詳細については、例えば特許第6233835号公報を参照されたい。
【0025】
(従来の原動機の概略構成)
本実施形態の原動機12の構成について説明する前に、従来の原動機101の概略構成について、図2の概念図を参照しつつ説明する。図2は、原動機101を所定方向と平行な平面によって切断した断面の概念図である。原動機101は、例えば略円管状の管路102と、蓄熱器103と、加熱器104と、冷却器105とを有する。図2においては、管路102の径方向を単に径方向と称する。原動機101は、加熱器104及び冷却器105により、蓄熱器103の所定方向において温度勾配を生じさせるように構成されている。これによって、蓄熱器103内の作動流体が、蓄熱器103との間で熱エネルギーを交換することで、作動流体が自励し、音波を発生させることが可能である。
【0026】
管路102は、例えば、金属等で形成されている。管路102の径方向における内側には、蓄熱器103、加熱器104及び冷却器105が収容されている。蓄熱器103は、例えば、所定方向に貫通する多数の細管状の通路が形成された、セラミックス製のハニカム構造体を有する。加熱器104は、蓄熱器103の所定方向における一方側に配置されている。加熱器104は、例えば、所定方向に微小ピッチで積層された多数のメッシュ板(不図示)を有する。或いは、加熱器104は、蓄熱器103と同様の構造を有するハニカム構造体(不図示)を有していても良い。加熱器104の径方向外側(例えば、管路102の径方向外側)には、加熱媒体を流すための加熱媒体流路(不図示)が設けられている。冷却器105は、蓄熱器103の所定方向における他方側に配置されている。冷却器105も、加熱器104と同様に、多数のメッシュ板(不図示)を有する。或いは、冷却器105も、蓄熱器103と同様の構造を有するハニカム構造体(不図示)を有していても良い。冷却器105の径方向外側(例えば、管路102の径方向外側)には、冷却媒体を流すための冷却媒体流路(不図示)が設けられている。
【0027】
ここで、一般的には、複数の原動機101を直列に接続することにより、音響エネルギーのさらなる増幅を図ることができる。しかしながら、単に所定方向に複数の原動機101が並べて配置された構成では、熱音響機関1が所定方向に大型化してしまうおそれがある。また、このような構成では、例えば、加熱媒体や冷却媒体を1つの供給源から分岐した複数の供給路を介して供給する際、加熱媒体や冷却媒体の供給時に供給路間で温度ばらつき等が生じうる。このため、複数の原動機101間で加熱器104の加熱や冷却器105の冷却を均一にできず、音響エネルギーの増幅率に影響が出るおそれもある。そこで、このような問題の発生を回避するために、本実施形態の原動機12は以下の構成を有する。
【0028】
(原動機の構成)
原動機12の構成について、まず、図3を参照しつつ説明する。図3は、原動機12を所定方向と平行な平面によって切断した断面の概念図である。図面を見やすくするため、図3において、後述の第1蓄熱器27、第1加熱器28、第1冷却器29、第2蓄熱器31、第2加熱器32、第2冷却器33、第3加熱器38及び第3冷却器39はハッチングされている。
【0029】
原動機12は、第1エネルギー変換部21と、第2エネルギー変換部22と、接続管部23とを有する。第1エネルギー変換部21、第2エネルギー変換部22及び接続管部23は、いずれも所定方向に沿って延びている。第1エネルギー変換部21及び第2エネルギー変換部22は、接続管部23によって接続されている。本実施形態では、第1エネルギー変換部21と第2エネルギー変換部22と接続管部23とが、略同軸に配置されている(すなわち、略同じ中心軸を有する)。
【0030】
第1エネルギー変換部21は、略円管状の管路26(本発明の第1管路)と、第1蓄熱器27と、第1加熱器28と、第1冷却器29とを有する。図3においては、管路26の径方向を単に径方向と称する。管路26内には作動流体の通路である第1通路A1が形成されている。第1通路A1には、第1蓄熱器27、第1加熱器28及び第1冷却器29が収容されている(つまり、第1通路A1は、第1収容空間と言い換えることもできる)。第1蓄熱器27は、上述した従来の蓄熱器103と同様に、例えばセラミックス製のハニカム構造体で形成されている。第1加熱器28及び第1冷却器29は、上述した従来の加熱器104及び冷却器105と同様に、多数のメッシュ板で形成されている。第1エネルギー変換部21は、原動機101と同様に、第1加熱器28及び第1冷却器29により、第1蓄熱器27の所定方向において温度勾配を生じさせることで、第1蓄熱器27内の作動流体の加熱及び冷却を行うように構成されている。
【0031】
第2エネルギー変換部22は、上述した管路26の外径よりも内径が大きい管路30と、管路30の外径よりも内径が大きい管路34と、第2蓄熱器31と、第2加熱器32と、第2冷却器33とを有する。管路30及び管路34が、本発明の第2管路に相当する。管路30及び管路34は、管路26と略同軸に配置されている。管路30と管路34の間には作動流体の通路である第2通路A2が形成されている。第2通路A2内には、第2蓄熱器31、第2加熱器32及び第2冷却器33が収容されている(つまり、第2通路A2は、第2収容空間と言い換えることもできる)。第2蓄熱器31は、上述した従来の蓄熱器103と同様に、例えばセラミックス製のハニカム構造体で形成されている。第2加熱器32及び第2冷却器33は、上述した従来の加熱器104及び冷却器105と同様に、多数のメッシュ板で形成されている。第2エネルギー変換部22は、原動機101と同様に、第2加熱器32及び第2冷却器33により、第2蓄熱器31の所定方向において温度勾配を生じさせることで、第2蓄熱器31内の作動流体の加熱及び冷却を行うように構成されている。
【0032】
接続管部23は、上述した管路26の外径よりも内径が大きい管路36と、管路36の外径よりも内径が大きく管路30の内径よりも外径が小さい管路37と、第3加熱器38と、第3冷却器39とを有する。管路36及び管路37は、管路26、30、34と略同軸に配置されている。管路36と管路37の間には作動流体の通路である第3通路A3が形成されている。第3通路A3内には、第3加熱器38及び第3冷却器39が収容されている(つまり、第3通路A3は、第3収容空間と言い換えることもできる)。第3加熱器38及び第3冷却器39は、上述した従来の加熱器104及び冷却器105と同様に、多数のメッシュ板で形成されている。接続管部23は、径方向において、第1エネルギー変換部21と第2エネルギー変換部22の間に配置される。また、管路36と管路37は、第1エネルギー変換部21の所定方向における他方側の端部と第2エネルギー変換部22所定方向の一方側の端部とが連通するように構成されている。これにより、第1通路A1、第2通路A2及び第3通路A3は、1つの通路として直列に繋がる。より具体的には、第1通路A1と第2通路A2とが、第3通路A3を介して接続されている。管路36を構成する部材は、管路26を構成する部材とは別の部材であっても良い。或いは、管路36と管路26とが同一の部材で構成されていても良い。管路37を構成する部材は、管路30を構成する部材とは別の部材であっても良い。或いは、管路37と管路30とが同一の部材で構成されていても良い。
【0033】
原動機12において、第1加熱器28、第2加熱器32、第3加熱器38は、所定方向において互いに重なる位置に配置される。より具体的には、第1加熱器28の径方向外側に第3加熱器38が配置されている。第3加熱器38よりもさらに径方向外側に第2加熱器32が配置されている。第1冷却器29、第2冷却器33、第3冷却器39は、所定方向において互いに重なる位置に配置されている。より具体的には、第1冷却器29の径方向外側に第3冷却器39が配置されている。第3冷却器39よりもさらに径方向外側に第2冷却器33が配置されている。第1蓄熱器27と第2蓄熱器31は、第3通路A3を挟んで、所定方向において互いに重なる位置に配置される。
【0034】
また、管路34の径方向外側には、加熱媒体を流すための加熱媒体流路(図3においては不図示)及び冷却媒体を流すための冷却媒体流路(図3においては不図示)が設けられている。加熱媒体流路は、所定方向において第2加熱器32と重なる位置に配置されている。冷却媒体流路は、所定方向において第2冷却器33と重なる位置に配置されている。
【0035】
加熱媒体流路に加熱媒体が流れると、加熱媒体の熱が管路34を介して第2加熱器32に伝わる。これにより、第2加熱器32が加熱される。さらに、第2加熱器32の熱が管路30及び管路37を介して第3加熱器38に伝わり、第3加熱器38が加熱される。さらに、第3加熱器38の熱が管路26及び管路36を介して第1加熱器28に伝わり、第1加熱器28が加熱される。このように熱が伝わることにより、第2加熱器32の径方向内側に配置された第1加熱器28及び第3加熱器38も効果的に加熱される。また、冷却媒体流路に冷却媒体が流れると、第2冷却器33の熱が管路34を介して冷却媒体に逃がされる。第3冷却器39の熱が、管路30及び管路37を介して第2冷却器33に逃がされる。第1冷却器29の熱が、管路26及び管路36を介して第3冷却器39に逃がされる。このように熱が逃がされることにより、第2冷却器33の径方向内側に配置された第1冷却器29及び第3冷却器39も効果的に冷却される。
【0036】
以上のような構成を有する原動機12においては、第1エネルギー変換部21が第2エネルギー変換部22の径方向内側に収容されている。また、これにより、第1エネルギー変換部21及び第2エネルギー変換部22が、所定方向において略同じ位置に配置されている。しかも、第1エネルギー変換部21の他方側の端部と第2エネルギー変換部22の一方側の端部とが接続管部23により連通している。これにより、第1エネルギー変換部21の第1通路A1と、第2エネルギー変換部22の第2通路A2と、接続管部23の第3通路A3とが、1つの通路として直列に繋がる。これによって、原動機12の所定方向における大型化を抑制しつつ、音響エネルギーを増幅できる。
【0037】
(原動機12の詳細構造)
次に、上述した原動機12を実現するための詳細構造の例について、図4(a)~図7(d)を参照しつつ説明する。図4(a)は、原動機12の斜視図である。図4(b)は、所定方向における一方側から原動機12を見た図である。図5は、原動機12の分解斜視図である。図6は、図4(b)のVI-VI線断面図である。図6においては、図面の見やすさのため、複数の部材における一部の図示をそれぞれ省略している(詳細については後述)。図7(a)は、後述する第1蓄熱器43の断面図である。図7(b)は、後述する第2蓄熱器44の断面図である。図7(c)は、後述する高温側熱交換器45の断面図である。図7(d)は、後述する低温側熱交換器46の断面図である。図7(c)及び図7(d)においては、図面の見やすさのために、後述する貫通孔45d、46d等の径を大きめに示している。但し、このような図示は、貫通孔45d、46d等が、第1蓄熱器43の貫通孔43b(後述)及び第2蓄熱器44の貫通孔44c(後述)よりも大きいことを必ずしも意味しないことに留意されたい。
【0038】
図4(a)~図6に示すように、原動機12の外側部分は、略円筒状のケース40と、蓋41と、蓋42とを有する。図4(a)~図6においては、ケース40の径方向を単に径方向と称する。図5図6に示すように、原動機12の内部には、第1蓄熱器43と、第2蓄熱器44と、高温側熱交換器45と、低温側熱交換器46と、第1通路部材47と、第2通路部材48と、第3通路部材49とが収容されている。ケース40~第3通路部材49によって、第1エネルギー変換部21a、第2エネルギー変換部22a、接続管部23a、加熱媒体流路CH及び冷却媒体流路CCが構成される(図6参照)。第1エネルギー変換部21a、第2エネルギー変換部22a及び接続管部23a(図6参照)は、上述した第1エネルギー変換部21、第2エネルギー変換部22及び接続管部23(図3参照)にそれぞれ対応する。第1エネルギー変換部21a、第2エネルギー変換部22a及び接続管部23aは、略同軸に配置されている。加熱媒体流路CHは、加熱媒体が原動機12に入ってから出ていくまでの流路である。冷却媒体流路CCは、冷却媒体が原動機12に入ってから出ていくまでの流路である。
【0039】
図4(a)に示すように、ケース40が所定方向に延びている。ケース40の所定方向における一方側に蓋41が配置されている。ケース40の所定方向における他方側に蓋42が配置されている。また、図6に示すように、ケース40の径方向内側に第1蓄熱器43、第2蓄熱器44、高温側熱交換器45及び低温側熱交換器46が収容されている。蓋41の径方向内側に第2通路部材48が収容されている。蓋42の径方向内側に第1通路部材47及び第3通路部材49が収容されている。
【0040】
ケース40は、例えば金属製の略円筒状の部材である。図6に示すように、ケース40の所定方向における中央部の内径は、ケース40の所定方向における両側部分の内径よりも小さい。つまり、ケース40の所定方向における中央部には、小径部40aが形成されている。小径部40aの径方向内側には、第1蓄熱器43及び第2蓄熱器44が収容されている。小径部40aの径方向外側且つ所定方向一方側の端部には、原動機12の周方向(所定方向及び径方向と直交する方向。以下、単に周方向)における概ね全域に亘って形成された加熱媒体流路CH1が設けられている。加熱媒体流路CH1は、加熱媒体流路CHの一部である。小径部40aの径方向における外側の端部には、加熱媒体流路CH1の出口CHbが形成されている。小径部40aの径方向外側且つ所定方向他方側の端部には、周方向における概ね全域に亘って形成された冷却媒体流路CC1が設けられている。冷却媒体流路CC1は、冷却媒体流路CCの一部である。小径部40aには、冷却媒体流路CC1の出口CCbが形成されている。
【0041】
ケース40において、小径部40aの所定方向における一方側には第1大径部40bが配置されている。第1大径部40bの径方向内側には、高温側熱交換器45が収容されている。小径部40aの所定方向における他方側には第2大径部40cが配置されている。第2大径部40cの径方向内側には、低温側熱交換器46が収容されている。
【0042】
蓋41は、例えば金属製の概ね円板状の部材である。図6に示すように、蓋41は、ケース40の所定方向における一方側の端部に取り付けられる。蓋41は、開口部41aと、作動流体通路部41bと、加熱媒体流路CH2(本発明の第2加熱流路部分)とを有する。開口部41a、作動流体通路部41b及び加熱媒体流路CH2のいずれも、周方向における全域に亘って延びている。開口部41aは、径方向における蓋41の略中央に設けられている。開口部41aは、所定方向において蓋41を貫通している。作動流体通路部41bは、原動機12の内部で気体が移動できるようにするために形成されている。作動流体通路部41bは、所定方向における他方側が開口している。作動流体通路部41bには、第2通路部材48が収容される。作動流体通路部41bの径方向内側の端の直径は、高温側熱交換器45の内周壁45a(後述)の直径と略同じである(図6参照)。作動流体通路部41bの径方向外側の端の内径は、高温側熱交換器45の内周壁45c(後述)の内径と略同じである(図6参照)。加熱媒体流路CH2は、加熱媒体流路CHの一部である。加熱媒体流路CH2は、加熱媒体を周方向に流すために形成されている。加熱媒体流路CH2は、所定方向における他方側が開口している。蓋41の径方向における外側の端部には、加熱媒体流路CH2の入口CHaが形成されている。
【0043】
蓋42は、例えば金属製の概ね円板状の部材である。図6に示すように、蓋42は、ケース40の所定方向における他方側の端部に取り付けられる。蓋42は、開口部42aと、気体通路部42bと、冷却媒体流路CC2(本発明の第2冷却流路部分)とを有する。開口部42a、気体通路部42b及び冷却媒体流路CC2のいずれも、周方向における全域に亘って延びている。開口部42aは、原動機12の内部と外部との間で気体が移動できるようにするために形成されている。開口部42aは、蓋42の所定方向における他方側の端部且つ蓋42の径方向における略中央に設けられている。開口部42aは、軸方向において気体通路部42bと接続されている。気体通路部42bは、原動機12の内部で気体が移動できるようにするために形成されている。気体通路部42bは、開口部42aの軸方向一方側に配置され、且つ、所定方向における一方側が開口している。気体通路部42bには、第1通路部材47及び第3通路部材49が収容される。気体通路部42bの径方向外側の端の内径は、低温側熱交換器46の内周壁46c(後述)の内径と略同じである(図6参照)。冷却媒体流路CC2は、冷却媒体流路CCの一部である。冷却媒体流路CC2は、冷却媒体を周方向に流すために形成されている。冷却媒体流路CC2は、所定方向における他方側が開口している。蓋42の径方向における外側の端部には、冷却媒体流路CC2の入口CCaが形成されている。
【0044】
第1蓄熱器43は、上述した第1蓄熱器27に対応する。第1蓄熱器43は、所定方向に延びた略円柱状の部材であり、セラミックス材で形成されている。第1蓄熱器43の径方向外側には、外周壁43aが形成されている。外周壁43aよりも径方向内側の部分には、所定方向に貫通する多数の細長い貫通孔43bが形成されている。なお、第1蓄熱器43に関し、図6においては、作動流体の通り道を見やすくするため、外周壁43aのみ図示し、第1蓄熱器43は、図3と同様のハッチングで示している。
【0045】
第2蓄熱器44は、上述した第2蓄熱器31に対応する。第2蓄熱器44は、所定方向に延びた略円筒状の部材であり、第1蓄熱器43と同様にセラミックス材で形成されている。第2蓄熱器44には、外周面を形成する外周壁44aと、内周面を形成する内周壁44bが形成されている。第2蓄熱器44の内径は、第1蓄熱器43の外径よりも大きく、所定方向において第1蓄熱器43と略同じ位置に平行して配置される。外周壁44aの径方向内側且つ内周壁44bの径方向内側の部分には、所定方向に貫通する多数の細長い貫通孔44cが形成されている。なお、第2蓄熱器44に関し、図6においては、作動流体の通り道を見やすくするため、外周壁44a、内周壁44bのみ図示し、第2蓄熱器44は、図3と同様のハッチングで示している。
【0046】
高温側熱交換器45は、主に、第1加熱器28aと、第2加熱器32aと、第3加熱器38aとを形成するための部材である(図6参照)。第1加熱器28a、第2加熱器32a及び第3加熱器38aは、上述した第1加熱器28、第2加熱器32及び第3加熱器38(図3参照)にそれぞれ対応する。高温側熱交換器45は、所定方向に延びた略円柱状の部材である。高温側熱交換器45は、熱伝導性の良い金属(銅、アルミなど)で形成されている。高温側熱交換器45には、それぞれ周方向における全域に亘り、径方向外側から順に内周壁45aと、内周壁45bと、内周壁45cが形成されている。内周壁45aの内径は、内周壁45bの外径よりも大きい。内周壁45bの内径は、内周壁45cの外径よりも大きい。内周壁45aは、管路34(図3参照)の所定方向における一部として機能する。内周壁45bは、管路30、37(図3参照)の所定方向における一部として機能する。内周壁45cは、管路26、36(図3参照)の所定方向における一部として機能する。
【0047】
図7(c)に示すように、高温側熱交換器45の、内周壁45cよりも径方向内側の部分には、所定方向に貫通する多数の細長い貫通孔45dが形成されている。当該部分は、第1加熱器28(図3参照)に相当する第1加熱器28aとして機能する。同様に、高温側熱交換器45の、内周壁45cよりも径方向外側且つ内周壁45bよりも径方向内側の部分には、貫通孔45eが形成されている。当該部分は、第3加熱器38(図3参照)に相当する第3加熱器38aとして機能する。同様に、高温側熱交換器45の、内周壁45bよりも径方向外側且つ内周壁45aよりも径方向内側の部分には、貫通孔45fが形成されている。当該部分は、第2加熱器32(図3参照)に相当する第2加熱器32aとして機能する。
【0048】
また、内周壁45a(図6参照)の径方向外側には、加熱媒体が所定方向に流れる複数の加熱媒体流路CH3(本発明の第1加熱流路部分)が設けられている。加熱媒体流路CH3は、加熱媒体流路CHの一部である。加熱媒体流路CH3は、加熱媒体の流動方向において、加熱媒体流路CH2の下流側に配置されている。言い換えれば、加熱媒体流路CH2は、加熱媒体の流動方向において、加熱媒体流路CH3の上流側に配置されている。加熱媒体流路CH3は、内周壁45aと、内周壁45aよりも径方向外側に形成される外周壁45gと、複数の仕切り壁部45hとを有する(図7(c)参照)。外周壁45gは、高温側熱交換器45の最も径方向外側に配置されている。仕切り壁部45hは、所定方向に延びた板状の部分であり、周方向に所定間隔を空けて並べて配置されている。仕切り壁部45hによって、加熱媒体が所定方向に案内される。なお、高温側熱交換器45に関し、図6においては、作動流体及び加熱媒体の通り道を見やすくするため、内周壁45a、45b、45c及び外周壁45gのみ図示している。図6において、第1加熱器28a、第2加熱器32a及び第3加熱器38aは、図3と同様のハッチングで示している。
【0049】
複数の仕切り壁部45hによって形成される加熱媒体流路CH3の各々は、例えば、加熱媒体流路CH2よりも狭くなるように形成されていると良い。逆に言えば、加熱媒体流路CH2が各加熱媒体流路CH3よりも広いと良い。具体的には、加熱媒体流路CH2の周方向に直交する断面積が、各加熱媒体流路CH3の所定方向(高温側熱交換器45の軸方向)に直交する断面積よりも広いと良い。これにより、加熱媒体流路CH2の流路抵抗を各加熱媒体流路CH3の流路抵抗よりも小さくすることができる(これによる効果については後述する)。
【0050】
低温側熱交換器46は、主に、第1冷却器29aと、第2冷却器33aと、第3冷却器39aとを形成するための部材である(図6参照)。第1冷却器29a、第2冷却器33a及び第3冷却器39aは、上述した第1冷却器29、第2冷却器33及び第3冷却器39にそれぞれ対応する。低温側熱交換器46は、高温側熱交換器45と同様に、所定方向に延びた略円柱状の部材であり、熱伝導性の良い金属(銅、アルミなど)で形成されている。低温側熱交換器46には、それぞれ周方向における全域に亘り、径方向外側から順に内周壁46aと、内周壁46bと、内周壁46cが形成されている。内周壁46aの内径は、内周壁46bの外径よりも大きい。内周壁46bの内径は、内周壁46cの外径よりも大きい。内周壁46aは、管路34(図3参照)の所定方向における一部として機能する。内周壁46bは、管路30、37(図3参照)の所定方向における一部として機能する。内周壁46cは、管路26、36(図3参照)の所定方向における一部として機能する。
【0051】
図7(d)に示すように、低温側熱交換器46の、内周壁46cよりも径方向内側の部分には、高温側熱交換器45と同様に、所定方向に貫通する多数の細長い貫通孔46dが形成されている。当該部分は、第1冷却器29(図3参照)に相当する第1冷却器29aとして機能する。同様に、低温側熱交換器46の、内周壁46cよりも径方向外側且つ内周壁46bよりも径方向内側の部分には、貫通孔46eが形成されている。当該部分は、第3冷却器39(図3参照)に相当する第3冷却器39aとして機能する。同様に、低温側熱交換器46の、内周壁46bよりも径方向外側且つ内周壁46aよりも径方向内側の部分には、貫通孔46fが形成されている。当該部分は、第2冷却器33(図3参照)に相当する第2冷却器33aとして機能する。
【0052】
また、内周壁46a(図6参照)の径方向外側には、冷却媒体が所定方向に流れる複数の冷却媒体流路CC3(本発明の第1冷却流路部分)が設けられている。冷却媒体流路CC3は、冷却媒体流路CCの一部である。冷却媒体流路CC3は、冷却媒体の流動方向において、冷却媒体流路CC2の下流側に配置されている。言い換えれば、冷却媒体流路CC2は、冷却媒体の流動方向において、冷却媒体流路CC3の上流側に配置されている。冷却媒体流路CC3は、内周壁46aと、内周壁46aよりも径方向外側に形成される外周壁46gと、複数の仕切り壁部46hとを有する(図7(d)参照)。外周壁46gは、低温側熱交換器46の最も径方向外側に配置されている。仕切り壁部46hは、所定方向に延びた板状の部分であり、周方向に所定間隔を空けて並べて配置されている。仕切り壁部46hによって、冷却媒体が所定方向に案内される。なお、低温側熱交換器46に関し、図6においては、作動流体及び冷却媒体の通り道を見やすくするため、内周壁46a、46b、46c及び外周壁46gのみ図示している。図6において、第1冷却器29a、第2冷却器33a及び第3冷却器39aは、図3と同様のハッチングで示している。
【0053】
複数の仕切り壁部46hによって形成される冷却媒体流路CC3の各々は、例えば、冷却媒体流路CC2よりも狭くなるように形成されていると良い。逆に言えば、冷却媒体流路CC2が各冷却媒体流路CC3よりも広いと良い。具体的には、冷却媒体流路CC2の周方向に直交する断面積が、各冷却媒体流路CC3の所定方向(低温側熱交換器46の軸方向)に直交する断面積よりも広いと良い。これにより、冷却媒体流路CC2の流路抵抗を各冷却媒体流路CC3の流路抵抗よりも小さくすることができる(これによる効果については後述する)。
【0054】
第1エネルギー変換部21aは、第1蓄熱器43と、第1加熱器28aと、第1冷却器29aとを有する。また、第1蓄熱器43の外周壁43aと、高温側熱交換器45の内周壁45cと、低温側熱交換器46の内周壁46cが、上述した管路26(図3参照)に相当する管路26aとして機能する。管路26a内には作動流体の通路である第1通路A1が形成されている。第1通路A1には、第1蓄熱器43、第1加熱器28a及び第1冷却器29aが収容されている。第1エネルギー変換部21aは、原動機101と同様に、第1加熱器28a及び第1冷却器29aにより、第1蓄熱器43の所定方向において温度勾配を生じさせることで、第1蓄熱器43内の作動流体の加熱及び冷却を行うように構成されている。
【0055】
第2エネルギー変換部22aは、第2蓄熱器44と、第2加熱器32aと、第2冷却器33aとを有する。また、第2蓄熱器44の外周壁44a、高温側熱交換器45の内周壁45a、低温側熱交換器46の内周壁46aが、管路34(図3参照)に相当する管路34aとして機能する。更に、第2蓄熱器44の内周壁44b、高温側熱交換器45の内周壁45b、低温側熱交換器46の内周壁46bが、管路30(図3参照)に相当する管路30aとして機能する。管路34aと管路30aで囲まれた空間内には作動流体の通路である第2通路A2が形成されている。第2通路A2には、第2蓄熱器44、第2加熱器32a及び第2冷却器33aが収容されている。第2エネルギー変換部22aは、原動機101と同様に、第2加熱器32a及び第2冷却器33aにより、第2蓄熱器44の所定方向において温度勾配を生じさせることで、第2蓄熱器44内の作動流体の加熱及び冷却を行うように構成されている。
【0056】
接続管部23aは、第3加熱器38aと、第3冷却器39aとを有する。また、第2蓄熱器44の内周壁44b、高温側熱交換器45の内周壁45b、低温側熱交換器46の内周壁46bが、管路37(図3参照)に相当する管路37aとして機能する。更に、第1蓄熱器43の外周壁43a、高温側熱交換器45の内周壁45c、低温側熱交換器46の内周壁46cが、管路36(図3参照)に相当する管路36aとして機能する。管路37aと管路36aで囲まれた空間内には、作動流体の通路である第3通路A3が形成されている。第3通路A3には、第3加熱器38a及び第3冷却器39aが収容されている。ここで、管路37aを構成する部材の少なくとも一部は管路30aとしても機能し、管路36aを構成する部材の少なくとも一部は管路26aとしても機能する(図6参照)。言い換えると、接続管部23aの少なくとも一部は、管路26aを構成する部材の少なくとも一部と、管路30aを構成する部材の少なくとも一部と、によって構成されている。
【0057】
第1通路部材47は、第1エネルギー変換部21aと接続管部23aとの間で作動流体が移動できるようにするための部材である。第1通路部材47は、例えば、周方向における全域に亘って形成されたリング部47aと、リング部47aから径方向外側に延びた複数の突起47bとを有する(図6参照)。リング部47aの内径及び外径は、低温側熱交換器46の内周壁46cの内径及び外径と略同じである。第1通路部材47は、第3通路部材49の径方向内側に収容されている(図6参照)。
【0058】
第2通路部材48は、接続管部23aと第2エネルギー変換部22a との間で作動流体が移動できるようにするための部材である。第2通路部材48は、例えば、周方向における全域に亘って形成されたリング部48aと、リング部48aから径方向内側に延びた複数の突起48bとを有する(図6参照)。リング部48aの内径及び外径は、高温側熱交換器45の内周壁45bの内径及び外径と略同じである。第2通路部材48は、蓋41の作動流体通路部41b内に収容されている(図6参照)。
【0059】
第3通路部材49は、第2エネルギー変換部22aと原動機12の外部との間で作動流体が移動できるようにするための部材である。第3通路部材49は、例えば、周方向における全域に亘って形成されたリング部49aと、リング部49aから径方向外側に延びた複数の突起49bと、リング部49aの所定方向における他方側の端部と接続された円板部49cとを有する(図6参照)。リング部49aの内径及び外径は、低温側熱交換器46の内周壁46bの内径及び外径と略同じである。第3通路部材49は、蓋42の気体通路部42b内に収容されている(図6参照)。
【0060】
(加熱媒体及び冷却媒体の流れ)
加熱媒体流路CHにおける加熱媒体の流れについて説明する。加熱媒体は、所定方向(高温側熱交換器45の軸方向)において、第1蓄熱器43及び第2蓄熱器44から遠い側に配置される入口CHaから流入する。その後、加熱媒体は、加熱媒体流路CH2、CH3、CH1の順に通って、第1蓄熱器43及び第2蓄熱器44から近い側に配置される出口CHbから流出する。これにより、高温側熱交換器45の径方向における温度分布が一様になり、第1加熱器28a、第2加熱器32a及び第3加熱器38aを径方向において均等に加熱できる。このため、音波を安定して発生させることができる。また、入口CHaが第1蓄熱器43及び第2蓄熱器44から遠い側に配置されている。これにより、近い側に配置した場合に生じるケース40の小径部40a等に伝熱する熱損失を抑えることができる。このため、より音波を安定して発生させることができる。
【0061】
さらに、上述したように、加熱媒体流路CH2の流路抵抗を各加熱媒体流路CH3の流路抵抗よりも小さくすることにより、以下のような効果が得られる。すなわち、加熱媒体流路CH2における加熱媒体の圧力損失が、各加熱媒体流路CH3における加熱媒体の圧力損失よりも小さくなる。このため、加熱媒体が加熱媒体流路CH2から加熱媒体流路CH3に流入する前に、加熱媒体が加熱媒体流路CH2に一時的に貯留されやすくなる。したがって、加熱媒体流路CH2内の加熱媒体の流量及び温度が均一となりやすい。これにより、複数の加熱媒体流路CH3に略等温の加熱媒体を均一に流すことができ、第1加熱器28a、第2加熱器32a及び第3加熱器38aを周方向において均等に加熱できる。したがって、高温側熱交換器45の周方向における温度分布を一様にすることができる。
【0062】
冷却媒体流路CCにおける冷却媒体の流れについて説明する。冷却媒体は、所定方向(低温側熱交換器46の軸方向)において、第1蓄熱器43及び第2蓄熱器44から遠い側に配置される入口CCaから流入する。その後、冷却媒体は、冷却媒体流路CC2、CC3、CC1の順に通って、第1蓄熱器43及び第2蓄熱器44から近い側に配置される出口CCbから流出する。これにより、低温側熱交換器46の径方向における温度分布が一様になり、第1冷却器29a、第2冷却器33a及び第3冷却器39aを径方向において均等に冷却できる。このため、音波を安定して発生させることができる。また、入口CCaを第1蓄熱器43及び第2蓄熱器44側から遠い側に配置することにより、近い側に配置した場合に生じるケース40の小径部40a等から伝熱を抑えることができるため、より音波を安定して発生させることができる。
【0063】
さらに、上述したように、冷却媒体流路CC2の流路抵抗を各冷却媒体流路CC3の流路抵抗よりも小さくすることにより、以下のような効果が得られる。すなわち、冷却媒体流路CC2における冷却媒体の圧力損失が、各冷却媒体流路CC3における冷却媒体の圧力損失よりも小さくなる。このため、冷却媒体が冷却媒体流路CC2から冷却媒体流路CC3に流入する前に、冷却媒体が冷却媒体流路CC2に一時的に貯留されやすくなる。したがって、冷却媒体流路CC2内の冷却媒体の流量及び温度が均一となりやすい。これにより、複数の冷却媒体流路CC3に略等温の冷却媒体を均一に流すことができ、第1冷却器29a、第2冷却器33a及び第3冷却器39aを周方向において均等に冷却できる。したがって、低温側熱交換器46の周方向における温度分布を一様にすることができる。
【0064】
以上のように、第1エネルギー変換部21aと第2エネルギー変換部22aとが、所定方向において少なくとも部分的に重なるように配置されている。また、接続管部23aの少なくとも一部が、所定方向において第1エネルギー変換部21a及び第2エネルギー変換部22aと重なる位置に配置されている。このように、第1エネルギー変換部21a及び第2エネルギー変換部22aは、直列に接続されていても、所定方向に直線的に配置されていない。これにより、原動機12及び熱音響機関1が所定方向に大型化することを抑制できる。また、第1エネルギー変換部21a及び第2エネルギー変換部22aが所定方向において少なくとも部分的に重なるように配置されているため、1つの加熱媒体流路CHにより、第1加熱器28aと第2加熱器32aを同時に加熱できる。さらに、このような構成では、所定方向と交差する方向に延びる1つの冷却媒体流路CCにより第1冷却器29aと第2冷却器33aを同時に冷却できる。よって、加熱媒体流路CH及び冷却媒体流路CCをコンパクトにできる。このため、加熱媒体や冷却媒体の供給時における温度ばらつき等を抑えられ、加熱器と冷却器の温度差を安定して均一化できる。このため、音響エネルギーを安定して増幅することができる。以上のように、複数の原動機12を所定方向に直列に接続された熱音響機関1において生じる問題点の発生を回避できる。
【0065】
また、接続管部23aの管路37a及び管路36aを原動機12の高温側熱交換器45、低温側熱交換器46、第1蓄熱器43及び第2蓄熱器44の一部によって構成している。これにより、原動機12を径方向においてコンパクト化できる。さらに、接続管部23を介して第1エネルギー変換部21aと第2エネルギー変換部22aとの間で熱を効率的に伝えることができる。
【0066】
また、径方向において、第2エネルギー変換部22aの内側に第1エネルギー変換部21aを配置できる。したがって、原動機12を径方向において更にコンパクト化できる。
【0067】
また、加熱媒体流路CH2の流路抵抗が各加熱媒体流路CH3の流路抵抗よりも小さい。これにより、加熱媒体流路CH2における加熱媒体の圧力損失を、各加熱媒体流路CH3における加熱媒体の圧力損失よりも小さくすることができる。このため、加熱媒体が加熱媒体流路CH2から加熱媒体流路CH3に流入する前に、加熱媒体が加熱媒体流路CH2に一時的に貯留されやすくなる。したがって、加熱媒体流路CH2内の加熱媒体の流量及び温度が均一となりやすい。これにより、複数の加熱媒体流路CH3に略等温の加熱媒体を均一に流すことができ、第1加熱器28a、第2加熱器32a及び第3加熱器38aを周方向において均等に加熱できる。したがって、高温側熱交換器45の周方向における温度分布を一様にすることができる。
【0068】
また、冷却媒体流路CC2の流路抵抗が各冷却媒体流路CC3の流路抵抗よりも小さい。これにより、冷却媒体流路CC2における冷却媒体の圧力損失を、各冷却媒体流路CC3における冷却媒体の圧力損失よりも小さくすることができる。このため、冷却媒体が冷却媒体流路CC2から冷却媒体流路CC3に流入する前に、冷却媒体が冷却媒体流路CC2に一時的に貯留されやすくなる。したがって、冷却媒体流路CC2内の冷却媒体の流量及び温度が均一となりやすい。これにより、複数の冷却媒体流路CC3に略等温の冷却媒体を均一に流すことができ、第1冷却器29a、第2冷却器33a及び第3冷却器39aを周方向において均等に冷却できる。したがって、低温側熱交換器46の周方向における温度分布を一様にすることができる。
【0069】
また、高温側熱交換器45において、第1エネルギー変換部21aの第1加熱器28a及び第2エネルギー変換部22aの第2加熱器32aが高温側熱交換器45の一部として形成されている。これにより、第1加熱器28aと第2加熱器32aが別々の部材によって構成されている場合と比べて、原動機12の組立てを容易に行うことができる。
【0070】
また、低温側熱交換器46において、第1エネルギー変換部21aの第1冷却器29a及び第2エネルギー変換部22aの第2冷却器33aが低温側熱交換器46の一部として形成されている。これにより、第1冷却器29aと第2冷却器33aが別々の部材によって構成されている場合と比べて、原動機12の組立てを容易に行うことができる。
【0071】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0072】
(1)前記実施形態において、高温側熱交換器45が第1蓄熱器43及び第2蓄熱器44の所定方向一方側に配置され、低温側熱交換器46が第1蓄熱器43及び第2蓄熱器44の所定方向他方側に配置されているものとした。しかしながら、これには限られない。すなわち、高温側熱交換器45の位置と低温側熱交換器46の位置が入れ替えられても良い。
【0073】
(2)入口CHa、出口CHb、入口CCa及び出口CCb(図6参照)が形成される位置は、上述したものに限られない。例えば、入口CHa及び入口CCaがケース40(小径部40a)に形成されていても良い。その代わりに、出口CHbが蓋41に形成され、出口CCbが蓋42に形成されていても良い。或いは、例えば、入口CHa、出口CHb、入口CCa及び出口CCbの全てがケース40に形成されていても良い。
【0074】
(3)前記までの実施形態において、第1エネルギー変換部21、第2エネルギー変換部22及び接続管部23が略同軸に配置されているものとした。しかしながら、これには限られない。つまり、第1エネルギー変換部21、第2エネルギー変換部22及び接続管部23は、必ずしも同軸に配置されていなくても良い。また、前記までの実施形態において、管路26が管路30、34の径方向内側に配置されているものとした。つまり、第2エネルギー変換部22の径方向内側に第1エネルギー変換部21が配置されているものとした。しかしながら、これには限られない。例えば図8に示すように、原動機50において、第1エネルギー変換部51と、第2エネルギー変換部52と、接続管部53とがS字状に配置されるように接続されていても良い。このような構成においても、所定方向における熱音響機関1の大型化を抑制できる。第1エネルギー変換部51は、管状の管路56(本発明の第1管路)と、第1蓄熱器57と、第1加熱器58と、第1冷却器59とを有していても良い。第2エネルギー変換部52は、管状の管路61(本発明の第2管路)と、第2蓄熱器62と、第2加熱器63と、第2冷却器64とを有していても良い。接続管部53は、管状の管路65と、第3加熱器66と、第3冷却器67とを有していても良い。管路65は、管路56及び管路61と接触するように配置されていても良い。或いは、管路65は、例えば溶接によって管路56及び管路61と一体的に形成されていても良い。図8に示すように、管路56、61及び65は、略S字状に配置されるように接続されていても良い。この変形例においては、第1加熱器58と第2加熱器63と第3加熱器66とが、所定方向において少なくとも部分的に重なる位置に配置されている。また、第1冷却器59と第2冷却器64と第3冷却器67とが、所定方向において少なくとも部分的に重なる位置に配置されている。これにより、所定方向における熱音響機関1の大型化を抑制できる。また、この変形例においては、単純な構造によって、所定方向における熱音響機関1の大型化を抑制できる。
【0075】
管路56、61及び65は、横断面が略円形状であっても良い。或いは、管路56、61及び65は、横断面が略矩形状であっても良い。横断面が略矩形状である場合、管路65の外周面と管路56の外周面との接触面積、及び管路65の外周面と管路61の外周面との接触面積が大きくなる。したがって、管路65を介して、第1エネルギー変換部51と第2エネルギー変換部52との間で熱を効率的に伝えることができる。
【0076】
(4)上述した(3)の変形例のさらなる変形例として、図9に示すように、原動機70が以下のように構成されていても良い。上述した管路56、61及び65の代わりに、1つの略S字状に湾曲した管路68が設けられていても良い。このような構成においても、所定方向における熱音響機関1の大型化を抑制できる。
【0077】
(5)前記までの実施形態において、例えば、接続管部23が第3加熱器38と第3冷却器39とを有するものとしたが、これには限られない。例えば、第3加熱器38の代わりに、第1加熱器28と第2加熱器32との間で熱を伝える部材が設けられていても良い。第3冷却器39の代わりに、第1冷却器29と第2冷却器33との間で熱を伝える部材が設けられていても良い。
【0078】
(6)前記までの実施形態において、原動機12等は、2つのエネルギー変換部(例えば第1エネルギー変換部21及び第2エネルギー変換部22)を有するものとした。しかしながら、これには限られない。すなわち、エネルギー変換部の数は2つよりも多くても良い。例えば、第2エネルギー変換部22のさらに径方向外側に、接続管部23と同様の接続管部(不図示)が設けられていても良い。さらに、当該接続管部の径方向外側に、第3エネルギー変換部(不図示)が設けられていても良い。
【0079】
(7)前記までの実施形態において、原動機12、50又は70は、原動機ループ11に設けられているものとしたが、これには限られない。原動機12、50又は70は、増幅部3に設けられても良い。出力部4が熱音響冷却器(不図示)を有する場合、原動機12、50又は70は、出力部4に設けられていても良い。
【0080】
(8)前記までの実施形態において、熱音響機関1は、原動機ループ11と増幅部3と出力部4とを備えるものとしたが、これには限られない。熱音響機関1は、原動機12、50又は70が搭載された原動機ループ11のみを備えていても良い。或いは、熱音響機関1は、原動機12、50又は70が搭載された増幅部3のみを備えていても良い。
【符号の説明】
【0081】
1 熱音響機関
12 原動機
21 第1エネルギー変換部
22 第2エネルギー変換部
23 接続管部
26 管路(第1管路)
27 第1蓄熱器
28 第1加熱器
29 第1冷却器
30 管路(第2管路)
31 第2蓄熱器
32 第2加熱器
33 第2冷却器
34 管路(第2管路)
51 第1エネルギー変換部
52 第2エネルギー変換部
53 接続管部
A1 第1通路
A2 第2通路
CC 冷却媒体流路
CC2 冷却媒体流路(第2冷却流路部分)
CC3 冷却媒体流路(第1冷却流路部分)
CH 加熱媒体流路
CH2 加熱媒体流路(第2加熱流路部分)
CH3 加熱媒体流路(第1加熱流路部分)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9