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特開2022-180063攪拌システム、コンピュータプログラム、及び攪拌方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180063
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】攪拌システム、コンピュータプログラム、及び攪拌方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
A47J27/14 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086967
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】星野 昭
(72)【発明者】
【氏名】佐原 義章
(72)【発明者】
【氏名】北山 聖治
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054AB01
4B054AC02
4B054CD03
4B054CD06
4B054CD10
(57)【要約】
【課題】液体と液体に浸された粒状の食材とを含む対象物を容器内で攪拌するための攪拌システムにおいて、対象物の攪拌能力を向上可能な技術を提供する。
【解決手段】液体と液体に浸された粒状の食材とを含む対象物を容器10内で攪拌するための攪拌システム1が提供される。攪拌システムは、ロボットアーム30と、コントローラ60とを備える。コントローラは、ロボットアームを制御して、対象物を攪拌するように構成される。コントローラは、ロボットアームに取り付けられた攪拌用の器具を液体に浸した状態で、器具を容器内において液面方向に移動させるように、且つ、移動中における器具の並進運動が容器内において交差する軌道を描くように、ロボットアームを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と前記液体に浸された粒状の食材とを含む対象物を容器内で攪拌するための攪拌システムであって、
ロボットアームと、
前記ロボットアームを制御して、前記対象物を攪拌するように構成されるコントローラと、
を備え、前記コントローラは、前記ロボットアームに取り付けられた攪拌用の器具を前記液体に浸した状態で、前記器具を前記容器内において液面方向に移動させるように、且つ、移動中における前記器具の並進運動が前記容器内において交差する軌道を描くように、前記ロボットアームを制御する攪拌システム。
【請求項2】
前記器具は、へらとして機能する面であって前記液体に浸されるへら面を有し、
前記コントローラは、前記軌道上の少なくとも一部の経路で、前記へら面が進行方向を向き且つ前記進行方向に対して逆方向に傾いた状態で、前記器具が前記液面方向に移動するように、前記ロボットアームを制御する請求項1記載の攪拌システム。
【請求項3】
前記軌道は、前記容器内の第一の端部から第二の端部に向けて前記器具が移動する第一の経路、及び、前記容器内の前記第二の端部から前記第一の端部に向けて前記器具が移動する第二の経路を含み、
前記コントローラは、前記第一の経路及び前記第二の経路のそれぞれにおいて、前記へら面が前記進行方向を向き且つ前記進行方向に対して前記逆方向に傾いた状態で、前記器具が前記液面方向に移動するように、前記ロボットアームを制御する請求項2記載の攪拌システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記軌道上の少なくとも一部の領域で前記ロボットアームが前記器具をひねり、それにより前記へら面の法線方向への回転運動が生じるように、前記ロボットアームを制御する請求項2又は請求項3記載の攪拌システム。
【請求項5】
前記軌道は、前記器具が旋回又は方向転換する領域を含み、
前記コントローラは、前記器具が旋回又は方向転換する領域で、前記旋回又は方向転換に合わせて前記ロボットアームが前記器具をひねるように、前記ロボットアームを制御する請求項4記載の攪拌システム。
【請求項6】
前記軌道は、前記器具が旋回又は方向転換する領域を含み、
前記コントローラは、前記器具が旋回又は方向転換する領域に隣接する前記器具の進路上流領域では、前記器具が旋回又は方向転換する領域よりも高速移動するように、前記ロボットアームを制御する請求項1~請求項5のいずれか一項記載の攪拌システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記器具の並進運動が前記交差する軌道を繰返し描くように、且つ、前記交差する軌道が繰返し描かれる過程で前記交差する軌道が前記容器内において前記液面方向にシフトするように、前記ロボットアームを制御する請求項1~請求項6のいずれか一項記載の攪拌システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記器具の並進運動が前記容器内において前記交差する軌道として8の字形状の軌道を描くように、前記ロボットアームを制御する請求項1~請求項7のいずれか一項記載の攪拌システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記器具が前記軌道を描いて移動する際の前記器具の前記容器の底に対する高さを制御するように、前記ロボットアームを制御することにより、前記器具を、前記容器の底に対し非接触の状態で前記容器の底に沿って前記液面方向に移動させる請求項1~請求項8のいずれか一項記載の攪拌システム。
【請求項10】
前記ロボットアームには、前記器具として、複数種類のへらの一つが選択的に取り付けられ、
前記コントローラは、前記ロボットアームに取り付けられた前記へらの種類に応じた方式で前記へらが移動するように、前記ロボットアームを制御する請求項1~請求項9のいずれか一項記載の攪拌システム。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか一項記載の攪拌システムにおける前記コントローラとしての機能を、コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
ロボットアームを用いて、液体と前記液体に浸された粒状の食材とを含む対象物を容器内で攪拌する攪拌方法であって、
前記ロボットアームに取り付けられた攪拌用の器具を前記液体に浸した状態で、前記器具を前記容器内において液面方向に移動させるように、且つ、移動中における前記器具の並進運動が前記容器内において交差する軌道を描くように、前記ロボットアームを制御することを含む攪拌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、攪拌システム及び攪拌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用の炊飯システムとして、水や調味液が投入された米を炊飯前に攪拌するシステムが知られている。更には、多関節ロボットアームを用いて洗米洗浄を行うシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。これらの従来システムにおいて、攪拌や洗米洗浄は、羽根付き器具を回転させることにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-148471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、羽根付き器具の回転によって食材を攪拌する従来の攪拌方法では、容器内で回転軸から離れたエリアの食材を効率的に攪拌することができない。更に言えば、この方法では、器具の回転によって形成されたおよそ一定の水流に従って食材が流れることから、食材の多くが同方向に流れるだけで、食材の混ぜ合わせが効率的に進まない。
【0005】
そこで、本開示の一側面によれば、液体と液体に浸された粒状の食材とを含む対象物を容器内で攪拌するシステムにおいて、攪拌能力を向上可能な技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面によれば、液体と液体に浸された粒状の食材とを含む対象物を容器内で攪拌するための攪拌システムが提供される。攪拌システムは、ロボットアームと、コントローラとを備える。
【0007】
コントローラは、ロボットアームを制御して、対象物を攪拌するように構成される。コントローラは、ロボットアームに取り付けられた攪拌用の器具を液体に浸した状態で、器具を容器内において液面方向に移動させるように、且つ、移動中における器具の並進運動が容器内において交差する軌道を描くように、ロボットアームを制御する。
【0008】
この攪拌システムによれば、器具が移動することで、液体の流れが発生する。器具が交差する軌道を描くことで、交差地点で液体の流れが乱される。すなわち、交差地点を、器具が第一の方向に移動するときに形成された液体の流れが、同じ交差地点を、器具が第一の方向とは別の第二の方向に通過する時点で崩れ、乱流が発生する。この乱流が、対象物の攪拌を促す。従って、本開示の一側面によれば、攪拌能力の高い攪拌システムを提供可能である。
【0009】
本開示の一側面によれば、器具は、へらとして機能する面であって液体に浸されるへら面を有していてもよい。コントローラは、軌道上の少なくとも一部の経路で、へら面が進行方向を向き且つ進行方向に対して逆方向に傾いた状態で、器具が液面方向に移動するように、ロボットアームを制御し得る。
【0010】
本開示の一側面によれば、コントローラは、第一の経路及び第二の経路のそれぞれにおいて、へら面が進行方向を向き且つ進行方向に対して逆方向に傾いた状態で、器具が液面方向に移動するように、ロボットアームを制御してもよい。第一の経路は、容器内の第一の端部から第二の端部に向けて器具が移動する経路であり得る。第二の経路は、容器内の第二の端部から第一の端部に向けて器具が移動する経路であり得る。
【0011】
へら面が進行方向に対して逆方向に傾いて移動する場合、へら面による対象物の掬い上げが期待される。この掬い上げは、容器の下側に滞留する食材が浮き上がる効果をもたらし、対象物の上下方向の攪拌能力が向上し得る。
【0012】
本開示の一側面によれば、コントローラは、軌道上の少なくとも一部の領域でロボットアームが器具をひねり、それによりへら面の法線方向への回転運動が生じるように、ロボットアームを制御してもよい。ひねり動作が加われば、攪拌能力が一層向上し得る。
【0013】
本開示の一側面によれば、コントローラは、器具が旋回又は方向転換する領域で、旋回又は方向転換に合わせてロボットアームが器具をひねるように、ロボットアームを制御してもよい。
【0014】
本開示の一側面によれば、コントローラは、器具が旋回又は方向転換する領域に隣接する器具の進路上流領域では、器具が旋回又は方向転換する領域よりも高速移動するように、ロボットアームを制御してもよい。高速移動により、速い液体の流れを形成した後、器具を旋回又は方向転換させることによれば、複雑な液体の流れを形成することができて、攪拌能力が一層向上し得る。
【0015】
本開示の一側面によれば、コントローラは、器具の並進運動が交差する軌道を繰返し描くように、且つ、交差する軌道が繰返し描かれる過程で交差する軌道が容器内において液面方向にシフトするように、ロボットアームを制御してもよい。交差する軌道をシフトすることによれば、大きな容器が使用される場合でも、容器内の広い面積において対象物を一様に攪拌することができる。
【0016】
本開示の一側面によれば、コントローラは、器具の並進運動が容器内において交差する軌道として8の字形状の軌道を描くように、ロボットアームを制御してもよい。
【0017】
本開示の一側面によれば、コントローラは、器具が軌道を描いて移動する際の器具の容器の底に対する高さを制御するように、ロボットアームを制御してもよい。これにより、コントローラは、器具を、容器の底に対し非接触の状態で容器の底に沿って液面方向に移動させてもよい。こうしたロボットアームの制御によれば、容器の底に近い対象物をも良好に攪拌可能である。
【0018】
本開示の一側面によれば、ロボットアームに、複数種類のへらの一つが選択的に取り付けられてもよい。コントローラは、ロボットアームに取り付けられたへらの種類に応じた方式でへらが移動するように、ロボットアームを制御してもよい。へらの種類に応じた制御方式の切替によれば、へらの特徴又は用途に合わせた適切な攪拌動作を実現できる。
【0019】
本開示の一側面によれば、上述した攪拌システムが有する機能の一部は、コンピュータによって実現されてもよい。例えば、本開示の一側面によれば、上述した攪拌システムにおけるコントローラとしての機能を、コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。
【0020】
本開示の一側面によれば、ロボットアームを用いて、液体と液体に浸された粒状の食材とを含む対象物を容器内で攪拌する攪拌方法が提供されてもよい。攪拌方法は、ロボットアームに取り付けられた攪拌用の器具を液体に浸した状態で、器具を容器内において液面方向に移動させるように、且つ、移動中における器具の並進運動が容器内において交差する軌道を描くように、ロボットアームを制御することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の例示的実施形態に係る攪拌システムの構成を表すブロック図である。
図2】ロボットアームの周辺構成を概略的に表す斜視図である。
図3】引掛け金具を示し、更にはロボットアームに対するへらの着脱を説明する図である。
図4】コントローラが実行する攪拌処理を表すフローチャートである。
図5】攪拌前及び攪拌後のへらの搬送動作を説明する図である。
図6図6A及び図6Bは、攪拌時のへらの軌道を説明する図である。
図7図7A及び図7Bは、攪拌時のへらの傾き及び高さを説明する図である。
図8図8Aは、ひねり動作を概略的に説明する斜視図であり、図8Bは、ひねり動作時のへら面の法線方向の変化を説明する図である。
図9図9Aは、攪拌時のへらの軌道に関する第一の変形例を説明する図であり、図9Bは、攪拌時のへらの軌道に関する第二の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示す本実施形態の攪拌システム1は、業務用の炊飯システムに適用される。炊飯システムの調理工程には、容器10への米及び水の投入工程と、容器10内の対象物を攪拌する攪拌工程と、炊飯工程とが含まれる。容器10は、例えば炊飯釜である。
【0023】
投入工程は、水以外の液体の投入工程、及び、米以外の粒状食材の投入工程を含み得る。水以外の液体の例には、調味液が含まれる。米以外の粒状食材の例には、麦などの穀物の他、炊き込み御飯に投入される小片化された野菜類等が含まれる。ここでいう粒状食材は、カットされた食材の小片を含む。
【0024】
攪拌システム1は、投入工程後、炊飯工程前の攪拌工程において使用される。投入工程により、容器10内では液体に粒状食材が浸された状態にある。攪拌対象物は、容器10内に投入された液体及び粒状食材であり、水及び米を少なくとも含む。
【0025】
調味液及び/又は米以外の食材が容器10内に投入される場合、これらが攪拌によって水及び米と均一に混ぜ合わされるのが好ましい。米及び水のみが容器10内に投入される場合でも、混ぜ合わせは、米の塊を崩し、米の各粒を水に対して均一に浸された状態にすることに役立つ。従って、攪拌は、米をムラなく美味しく調理するために重要である。
【0026】
本実施形態の攪拌システム1は、図1に示すように、ロボットアーム30と、管理装置50とを備える。ロボットアーム30は、対象物の良好な攪拌のために使用される。図2に例示されるロボットアーム30は、六軸垂直多関節ロボットとして構成され、炊飯システムの搬送路5を通じて搬送されてくる容器10内の対象物を攪拌可能に配置される。
【0027】
ロボットアーム30は、ロボットアーム30の先端に取り付けられた攪拌用の器具であるへら40を、容器10内で、液面方向(換言すれば水平方向であり、図2に示すXY方向)及び高さ方向(換言すれば鉛直方向であり、図2に示すZ方向)に三次元移動可能である。ロボットアーム30は更に、へら40の軸Lを傾けたり、軸Lの周りにへら40を回転させたりすることが可能である。
【0028】
管理装置50は、図1に示すようにコントローラ60と、表示機器類70と、操作機器類80とを備える。コントローラ60は、ロボットアーム30を制御することにより、へら40を液面方向に移動させて、容器10内の対象物の攪拌動作を実現する。
【0029】
コントローラ60は、プロセッサ61と、メモリ63と、通信インタフェース65とを備える。メモリ63は、RAM、ROM、及びNVRAMを備える。RAMは、プロセッサ61による処理の実行時にワークメモリとして使用される。ROMは、プロセッサ61により実行される基本的なコンピュータプログラムを記憶する。
【0030】
NVRAMは、フラッシュメモリ等の電気的にデータ書換可能な不揮発性メモリである。NVRAMは、攪拌制御プログラムとして、容器10内の対象物の攪拌動作をロボットアーム30に実行させるためのコンピュータプログラムを記憶する。攪拌制御プログラムは、例えば、通信インタフェース65を介して接続された外部コンピュータを通じてコントローラ60にインストールされる。
【0031】
表示機器類70は、コントローラ60により制御されて、ユーザ向けの各種情報を表示する。表示機器類70は、例えば攪拌システム1の稼働状況及びエラー情報等を表示するために使用される。表示機器類70の例には、ランプ及び液晶ディスプレイが含まれる。
【0032】
操作機器類80は、ユーザが操作可能なスイッチ類やタッチパネル等を含み、ユーザからの操作信号を、コントローラ60に入力する。コントローラ60は、ユーザからの操作信号に従って、攪拌制御プログラムに従うロボットアーム30の制御を行う。以下では、説明を簡単にするため、コンピュータプログラムに基づきプロセッサ61が実行する処理を、コントローラ60が実行する処理として説明する。
【0033】
攪拌システム1は、図1及び図2に示すように洗浄ボックス90及び蓋ホルダ95を更に備える。洗浄ボックス90は、ロボットアーム30に択一的に装着される複数種類のへら40を保持可能、且つ、これらのへら40を、洗浄液に浸して洗浄可能に構成される。洗浄ボックス90に保持されるへら40の図示は、図2において省略されている。
【0034】
蓋ホルダ95は、ロボットアーム30により容器10から取り外された蓋20を、一時的に保持するように構成される。本実施形態によれば、容器10は、鉛直方向上側が開口部11として構成される。容器10は、図1に示すように上側開口部11が蓋20により覆われた状態で、攪拌システム1に供給される。
【0035】
図3に示すように、ロボットアーム30は、その先端に、へら40を把持するための把持部31を備える。把持部31の詳細構成は、図3において省略されている。把持部31は、可動部を有することができ、可動部の動作によりへら40の基部41を把持するように構成される。可動部は、例えばコントローラ60により制御される。把持部31で把持されるへら40は、可動部の動作により、ロボットアーム30から取り外され、洗浄ボックス90に戻される。
【0036】
ロボットアーム30は、把持部31より少し離れた位置に引掛け金具35を備える。引掛け金具35は、ロボットアーム30を用いて、蓋20を、容器10と蓋ホルダ95との間で移動させるために使用される。
【0037】
ロボットアーム30は、対象物の攪拌前に、コントローラ60により制御されて、蓋20に設けられた取っ手25に引掛け金具35を引掛けるように動作して容器10から蓋20を取外し、攪拌後、蓋ホルダ95に保持される蓋20を引掛け金具35を用いて引掛けて、容器10に戻すように動作する。
【0038】
続いて、コントローラ60が実行するロボットアーム30の制御を含む攪拌処理の詳細を、図4を用いて説明する。図4に示される攪拌処理は、具体的には、コンピュータプログラムに従うプロセッサ61の処理により実現される。
【0039】
コントローラ60は、操作機器類80を介してユーザから入力される実行指令に基づき、図4に示す攪拌処理を開始する。攪拌処理を開始すると、コントローラ60は、ロボットアーム30が第一の指定位置に置かれた容器10から蓋20を取り外し、取り外した蓋20を蓋ホルダ95が設置された第二の指定位置に置くように、ロボットアーム30を制御する(S110)。
【0040】
その後、コントローラ60は、洗浄ボックス90に配置された複数種類のへら40のうち、動作モードに対応する一つのへら40を、把持部31に装着するように、ロボットアーム30を制御する(S120)。動作モードは、実行指令の入力時に操作機器類80を介してユーザにより指定される。
【0041】
例えば、攪拌システム1は、第一の動作モードとして、複数種類のへら40のうち、洗浄ボックス90の第一の位置に設置された硬いへら40である樹脂製のしゃもじを使用する動作モードを有することができる。攪拌システム1は、第二の動作モードとして、洗浄ボックス90の第二の位置に設置された柔軟なへら40であるゴムへらを使用する動作モードを有することができる。動作モードは、容器10及び/又は食材の種類や炊飯レシピなどに応じてユーザにより選択され得る。
【0042】
へら40の装着後、コントローラ60は、ロボットアーム30が、装着したへら40を、洗浄ボックス90から容器10内まで移動させるように、ロボットアーム30を制御する(S130)。この際、へら40は、図5に示すように、先端が上を向き、基部41が下を向いた姿勢で、洗浄ボックス90の上部から容器10の上部まで移動させられる。
【0043】
図2図3、及び図5に示すように、へら40は、その基部41に、鍔部43を有する。鍔部43は、へら40の軸Lの中心から径方向に延びた円盤形状に構成されている。特には、鍔部43は、へら40の先端側に位置する本体部45より大径の円盤形状に構成されている。
【0044】
本体部45は、へら40の基部41より先端側に位置する薄い板状の部位である。本体部45は、容器10内の液体に浸される。本体部45の表面は、対象物に作用して、対象物を攪拌するためのへら面47として機能する。鍔部43は、本体部45に付着した液体が攪拌システム1の設置面に滴り落ちるのを抑制するように機能する。
【0045】
S130におけるロボットアーム30の制御により、へら40は、図5に示すように、先端が上を向いた状態で、洗浄ボックス90の上部から容器10の上部まで移動した後、先端が下を向くように向きを変え、容器10内に配置される。このとき、へら40の本体部45は、容器10内の液体に浸される。
【0046】
その後、コントローラ60は、容器10内の対象物の攪拌動作がへら40により実現されるように、ロボットアーム30を制御する(S140)。ここでは、へら40の剛体運動を、並進運動と回転運動とに分けて説明するときに、へら40の並進運動が容器10内において液面方向に沿って8の字形状の交差する軌道を描くように、ロボットアーム30を制御する。すなわち、S140では、へら40を、質点としてみたときに、質点の運動が交差地点を有する軌道を描くように、ロボットアーム30を制御する。
【0047】
本実施形態によれば、容器10は、矩形の箱形状である。図6A及び図6Bにおける矩形枠は、容器10の水平方向断面の輪郭を表している。コントローラ60は、S140において、図6Aに示すように、容器10の長尺方向の第一の端部13Aと第二の端部13Bとの間で描かれる8の字形状の軌道を、容器10の短尺方向にシフトさせながら、複数回繰返し描くように、ロボットアーム30を制御する。
【0048】
図6Aの左図は、容器10の短尺方向における第三の端部13C付近において描かれる8の字形状の軌道の一つを表し、図6Aの右図は、8の字形状の軌道が、容器10の短尺方向における第三の端部13Cから第四の端部13Dにシフトするように繰返し描かれることを説明している。
【0049】
コントローラ60は、図6Aに示すように、8の字形状の軌道の繰返しにより、へら40が容器10の短尺方向における第四の端部13Dに移動すると、図6Bに示すように、へら40が第四の端部13Dから第三の端部13Cに向けてシフトしながら、8の字形状の軌道を複数回繰返し描くように、ロボットアーム30を制御する。これにより、コントローラ60は、矩形状の容器10全体に亘る広い面積のエリアにおいて一様な攪拌動作が実現されるように、へら40を移動させる。
【0050】
へら40の移動に際して、鉛直方向におけるへら40の高さは、図7A及び図7Bに示すように、容器10の底面15に合わせて調整される。炊飯釜として機能する容器10は、炊飯時における対流の促進や加熱による変形防止のために、底面15の一部(例えば中央部)が、周辺部に対して盛り上がるように形成され得る。硬いへら40(例えば上述のしゃもじ)を、容器10の底面15に接触させた状態で移動させると、容器10の底面15にフッ素樹脂加工がなされている場合、フッ素樹脂が傷付く可能性がある。
【0051】
このため、硬いへら40による攪拌動作では、へら40が容器10の底面15に接触せず底面15から所定の高さ離れた状態で底面15に沿って移動するように、ロボットアーム30は制御される。この際、容器10の底面15近くに位置する対象物の適切な攪拌のために、へら40と底面15との間隔は、粒状食材の大きさを加味しつつ、小さい間隔に抑えられる。例えば、へら40と底面15との間隔は、粒状食材を押しつぶさないように、粒状食材のサイズよりも大きい間隔に定められ得る。
【0052】
一方、ゴムへら等の柔軟なへら40による攪拌動作が行われる場合には、へら40が容器10の底面15に僅かに接触する高さで底面15に沿って移動するように、換言すれば、へら40が底面15に摺動するように、ロボットアーム30は制御される。
【0053】
動作モードに応じてロボットアーム30に装着されるへら40の種類は、上述したように異なる。このことから理解できるように、攪拌動作のためのロボットアーム30の制御は、へら40が、その種類に応じた三次元軌道で容器10の底面15に沿って移動するように、動作モードに応じた方式で実行される。
【0054】
この他、ロボットアーム30は、へら40の部位のうち、対象物に主に作用して対象物の攪拌に寄与する、へら40の進行方向を向く本体部45の表面としてのへら面47が、へら40の進行方向に対して逆方向に傾いた姿勢で、へら40が8の字状の軌道の大部分を移動するように制御される。ここでいう「進行方向に対して逆方向に傾いた姿勢」は、容器10の底面15側に位置するへら面47の下部が、へら面47の上部よりも進行方向側に位置し、へら面47の上部がへら面47の下部よりも進行方向とは逆方向に位置するようにへら面47が傾いた姿勢に対応する。
【0055】
図7Aは、図面右側から左側に移動するへら40が右側に傾いた姿勢で移動することを説明し、図7Bは、図面左側から右側に移動するへら40が、左側に傾いた姿勢で移動することを説明する。図7A及び図7Bにおける一点鎖線は、へら40の先端の動きを例示している。図7A及び図7Bにおける図面左側は、例えば、容器10の第一の端部13A側に対応し、右側は、容器10の第二の端部13B側に対応する。
【0056】
S140におけるロボットアーム30の制御により、へら面47の傾きは、進行方向の切り替わりに応じて、進行方向の逆方向に傾くように、切り替えられる。へら面47は、例えば、液面に対して約45度傾くように調整される。
【0057】
へら面47が、へら40の進行方向に対して逆方向に傾いていることにより、へら40は、対象物を容器10の底面15から上方に掬い上げるように攪拌する。これにより、対象物の上下方向の攪拌が促進される。
【0058】
8の字形状の軌道には、交差地点周辺においてへら40がおよそ直進する直進領域R1と、へら40が転回する転回領域R2と、が含まれる(図6A及び図6B参照)。転回領域R2は、へら40が旋回する領域に対応する。へら40は、直進領域R1において、へら面47が進行方向に逆方向に傾いた状態で移動するように制御される。
【0059】
へら40は、図8Aに示すように、容器10の端に近い転回領域R2において、一時的に傾きを解消し、鉛直方向に対しておよそ平行となるように制御される。この姿勢制御は、へら40を進行方向とは逆方向に傾けた状態のままでは、転回領域R2の後半で、へら40が容器10の側壁にぶつかり干渉する可能性があるためである。
【0060】
図8Aに示すように、コントローラ60は、転回領域R2で、へら40の転回に合わせて、へら40のひねり動作が実現されるように、ロボットアーム30を制御する。ひねり動作は、へら面47の法線方向への回転運動が生じるように、へら40を軸L周りにひねる動作に対応する。ひねり動作によれば、へら面47の向きが、転回領域R2において、急峻に変化する。
【0061】
図8Bでは、転回領域R2における各位置でのへら面47が、太い実線で示される。太い実線に付随する矢印は、へら面47の向き(換言すれば法線方向)を示す。転回領域R2でのひねり動作によっては、へら40の急角度の転回が実現され、更には、対象物の攪拌に寄与する乱流が生成される。
【0062】
ひねり動作に際しては、へら40の側縁が容器10の側壁に沿って動くように、へら面47が回転してもよい。容器10の側壁の近くでへら面47を回転させることによって、へら面47と容器10の側壁との間で、粒状食材を挟み、粒状食材の逃げ道を制限しながら、粒状食材を持ち上げるようにへら40をひねることができる。従って、この場合には、粒状食材の攪拌が一層促進される。
【0063】
本実施形態によれば、コントローラ60は更に、8の字形状の軌道のうち、転回領域R2に隣接する直進領域R1において、へら40が転回領域R2よりも高速移動するように、ロボットアーム30を制御する。これにより、へら40の運動によって生じる容器10内の液流に変化をもたらし、攪拌に好適な複雑な液流を形成する。高速移動によれば、掬い上げによる上下方向の攪拌も促進され、高い攪拌効果が得られる。
【0064】
このようにS140において、コントローラ60は、8の字形状の軌道における直進領域R1において、へら40の高さ調整を伴いながらへら40を高速移動させるようにロボットアーム30を制御し(S141)、直進領域R1に続く転回領域R2において、へら40をひねりながら減速及び転回させるようにロボットアーム30を制御する(S142)。
【0065】
コントローラ60は、このロボットアーム30の制御(S141,S142)を、軌道をシフトさせながら、終了条件が満足されるまで繰返し実行する。終了条件は、例えば、8の字形状の軌道の繰返し回数又はS140の処理の実行時間によって定義され得る。終了条件は、動作モード毎に定義され得る。コントローラ60は、例えば繰返し回数が所定回数を超える又は実行時間が所定時間を超えるなどして、終了条件が満足されると(S143でYes)、S140の処理を終了する。
【0066】
その後、コントローラ60は、ロボットアーム30の制御により、へら40を容器10の上方に持ち上げ、へら40からの液滴の落下を、鍔部43を用いて抑制するために、図5に示すように、容器10の上方で、へら40の先端を上に向ける。更に、へら40の先端を上に向けた状態で、へら40を洗浄ボックス90の上方まで搬送する(S150)。
【0067】
続いて、コントローラ60は、ロボットアーム30の制御により、へら40の先端を下に向けて、へら40を洗浄ボックス90の元の位置に戻し、へら40をロボットアーム30から取り外す(S150)。
【0068】
その後、コントローラ60は、蓋ホルダ95に置かれた蓋20を容器10に戻して容器10の上側開口部11を蓋20で覆うように、ロボットアーム30を制御し(S170)、図4に示す攪拌処理を終了する。攪拌処理後の容器10は、搬送路5を通じて、炊飯工程の実行位置まで搬送される。
【0069】
S150の処理実行後、S170の処理実行前に、コントローラ60は、別のへら40を用いた追加の制御を実行してもよい(S160)。例えば、コントローラ60は、S160において、ロボットアーム30が、洗浄ボックス90に設けられた、均し用のへら40を装着し、均し用のへら40で容器10内の粒状食材の表面を均し、粒状食材の底面15からの厚みを一様に揃えるように、ロボットアーム30を制御する処理を実行してもよい。あるいは、S160では、別のへら40を用いて容器10内の対象物を再度攪拌する処理が実行されてもよい。
【0070】
以上に説明した本実施形態の攪拌システム1によれば、コントローラ60が、容器10内の対象物を攪拌するために、ロボットアーム30に取り付けられたへら40の本体部45を液体に浸した状態で、へら40を容器10内において液面方向に移動させるように、且つ、移動中におけるへら40の並進運動が容器10内において交差する軌道を描くように、ロボットアーム30を制御する。
【0071】
この攪拌システム1によれば、へら40が交差する軌道を描くことで、液体の流れが乱される。すなわち、交差地点を、へら40が第一の方向に移動するときに形成された液体の流れが、同じ交差地点を、へら40が第一の方向とは別の第二の方向に通過する時点で崩れ、乱流が発生する。この乱流が、対象物の攪拌を促す。従って、本実施形態によれば、攪拌能力の高い攪拌システム1を提供可能である。
【0072】
この攪拌システム1によれば、へら40の直進領域R1で、へら面47が進行方向に対して逆方向に傾いた状態で液面方向に移動するように、ロボットアーム30が制御される。これにより、容器10の下側に滞留する米を含む粒状食材が掬い上げられ、対象物の上下方向の攪拌が促進される。例えば粒状食材の塊が崩れ、炊き上げられる米飯の仕上がりが向上する。粒状食材が米以外を含む場合には、米とそれ以外の粒状食材がよく攪拌される。
【0073】
更に言えば、本実施形態では、直進領域R1のうちの容器10内の第一の端部13Aから第二の端部13Bに向けてへら40が移動する第一の経路、第二の端部13Bから第一の端部13Aに向けてへら40が移動する第二の経路のそれぞれで、へら面47が進行方向に対して逆方向に傾けられる。従って、掬い上げがよく行われ、対象物が良く攪拌される。
【0074】
仮に人がへらを持って容器10内の対象物を攪拌する場合には、人が容器10に対し一定の場所に立って攪拌作業を行うことになる。へらを手前に動かすときに、仮にへらを進行方向とは逆方向に倒す場合、人は、不自然に腕を伸ばして無理な姿勢でへらを動かさなければならない。
【0075】
本実施形態によれば、ロボットアーム30を用いることで、人が自然に行うことが難しいへら40の動きを実現することができる。すなわち、本実施形態では、ロボットアーム30を用いて、人とは異なる動作で良好な攪拌を実現可能である。
【0076】
本実施形態によれば更に、コントローラ60が、動作モードに応じた種類のへら40を選択的にロボットアーム30に装着し、へら40の種類に応じた方式でロボットアーム30を制御する。
【0077】
具体的には、硬いへら40の場合には、へら40を容器10の底面15に対して非接触の状態で液面方向に移動させ、柔軟なへら40の場合には、へら40を容器10の底面15に接触させた状態で液面方向に移動させる。従って、本実施形態によれば、へら40の特徴又は用途に合わせた適切な攪拌動作を実現可能である。
【0078】
この他、本実施形態によれば、へら40は、ロボットアーム30に装着されないとき洗浄ボックス90にて洗浄される。使用されたへら40は、ロボットアーム30が容器10に蓋20を戻す前に、洗浄ボックス90に戻され、容器10に対する蓋20の着脱動作の間に効率的に洗浄される。従って、本実施形態によれば、複数の容器10に対して連続的に攪拌作業を行う場合、へら40を効率的に洗浄して、各容器10に対する攪拌作業を迅速に開始することができる。
【0079】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施形態では、交差する軌道として8の字形状の軌道を描くことにより、攪拌に有効な乱流を形成したが、Z字形状の軌道や星型形状の軌道を描くことにより、交差する軌道を描いてもよい。
【0080】
図9Aは、へら40をZ字形状の軌道で、矩形状の容器10内において液面方向に移動させる例を説明する。図9Aにおける矩形は、容器10の水平方向断面の輪郭を示している。図9Bは、矩形状の容器10に代えて中空の半球形又は円柱形容器が用いられるケースにおいて、へら40を星型形状の軌道で液面方向に移動させる例を説明する。図9Bにおける円形は、半球形又は円柱形容器の水平方向断面の輪郭を示している。
【0081】
図9A及び図9Bの例によれば、一点鎖線の円で示すへら40の方向転換領域において、へら40のひねり動作が実行され得る。図9Bにおいて破線で示すように、星型形状の軌道は、半球形又は円柱形容器の軸周りに回転するように繰返し描かれ得る。これらの軌道上においても、進行方向に対して逆方向にへら面47を傾けながら、底面に沿ってへら40を移動させることにより、良好に対象物を攪拌することができる。
【0082】
付言すれば、ひねり動作は、転回時又は方向転換時だけでなく、へら40の直進移動時に行われてもよい。へら40の抵抗に応じて、ひねり動作が実行されてもよい。攪拌に用いるへら40として、孔付きしゃもじが採用されてもよい。食材の抵抗が大きいときに、孔付きしゃもじは、使用され得る。
【0083】
攪拌システム1は、複数の炊飯レシピの一つを、ユーザが操作機器類80を介して選択可能であるように構成されてもよい。この場合、コントローラ60は、選択された炊飯レシピに対応する動作モードでロボットアーム30を制御することにより、選択された炊飯レシピに適切なへら40を用いて、適切な攪拌方法で、容器10内の対象物を攪拌することができる。
【0084】
へら40の軌道が、炊飯レシピ毎に定義されていてもよい。すなわち、コントローラ60は、対象物の攪拌に際し、予め用意された攪拌制御プログラムに従って、炊飯レシピ毎に異なる軌道でへら40を動かすように、ロボットアーム30を制御してもよい。
【0085】
へら40が8の字、Z字、及び星型等の異なる複数の形状の軌道を、予め定められた順で又はランダムな順序で描いて、対象物を攪拌するように、ロボットアーム30は制御されてもよい。
【0086】
複数の形状の軌道には、へら40の並進運動が容器10内で交差する形状の軌道、及び、へら40の並進運動が容器10内で交差しない形状の軌道が含まれ得る。交差しない形状の軌道には、容器10の側壁に沿ってへら40が周回する軌道が含まれる。
【0087】
へら40は、直進領域R1において一定速度で移動せず、加減速を繰り返すように動作してもよい。こうしたへら40の運動によれば、複雑な液流を形成することができ、攪拌が促進され得る。
【0088】
上記実施形態では、攪拌用の器具としてしゃもじを含むへら40が用いられたが、へら40に代えて、比較的大きな面積の平らな表面を有するその他の器具が用いられてもよい。攪拌用の器具として、皿状又はスコップ形状の器具が、へら40に代えて用いられてもよい。
【0089】
攪拌用の器具として、回転軸の周りに一つ又は複数の羽根を備える攪拌羽根が用いられてもよい。攪拌羽根が自転しながら、交差する軌道上を公転運動する攪拌システムが構築されてもよい。
【0090】
この他、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0091】
1…攪拌システム、10…容器、11…開口部、13A,13B,13C,13D…端部、15…底面、20…蓋、25…取っ手、30…ロボットアーム、31…把持部、35…引掛け金具、40…へら、41…基部、43…鍔部、45…本体部、47…へら面、50…管理装置、60…コントローラ、61…プロセッサ、63…メモリ、65…通信インタフェース、70…表示機器類、80…操作機器類、90…洗浄ボックス、95…蓋ホルダ。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9