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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180076
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】コンクリートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 15/00 20060101AFI20221129BHJP
   B60P 3/16 20060101ALI20221129BHJP
   F04C 5/00 20060101ALI20221129BHJP
   F04C 13/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
F04C15/00 K
B60P3/16 Z
F04C5/00 341Z
F04C13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086985
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角南 大輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 晃一
【テーマコード(参考)】
3H044
【Fターム(参考)】
3H044AA03
3H044BB00
3H044CC14
3H044DD01
3H044DD24
3H044DD28
(57)【要約】
【課題】ポンプケース及びホッパを車体に搭載したコンクリートポンプ車において、ポンプケース上部の吐出口を通して延出するチューブの吐出端部を接続させる移送管の後方延出管部が後下がりの傾斜姿勢となる場合でも、移送管の上流側配管部分、又は後方延出管部を支持する配管支持体と、ホッパ用付属機器との相互干渉を抑制可能とし、その干渉抑制のためにポンプケースやホッパを特別に設計変更する必要もなくなるようにする。
【解決手段】ホッパHには、移送管20の上流側配管部分20U又は配管支持体30の周辺に配備されたホッパ用付属機器S,40,Gが取付けられ、付属機器S,40,G又は配管支持体30は、移送管20の後方延出管部21aが後下がりの傾斜姿勢にある場合でも上流側配管部分20B又は配管支持体30と、付属機器S,40,Gとの相互干渉を抑制可能な逃げ部31c,41c,Gc,Gaeを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のポンプケース(C)、そのポンプケース(C)の内周面に沿設されたチューブ(T)、及びそのチューブ(T)をしごきつつ回転して該チューブ(T)にポンプ作用を発揮させるローラ(R)を有して車体(F)に搭載されるコンクリートポンプ(CP)と、前記車体(F)に固定される生コン貯溜用ホッパ(H)とを備え、前記ホッパ(H)に設けられて該ホッパ(H)から生コンを排出可能な出口管(Ho)と、前記ポンプケース(C)下部に設けた吸入口(Ci)を通して後方に延出するチューブ(T)の吸込端部(Ti)との間が接続され、前記ポンプケース(C)上部に設けた吐出口(Co)を通して後方に延出するチューブ(T)の吐出端部(To)には、打設場所までの生コン移送に用いる移送管(20)の上流端が接続され、前記移送管(20)の上流側配管部分(20U)は、側面視で前記吐出端部(To)より後方に延びる後方延出管部(21a)を有し、前記ポンプケース(C)には、前記後方延出管部(21a)を支持する配管支持体(30)が設けられるコンクリートポンプ装置において、
前記ホッパ(H)には、前記上流側配管部分(20U)又は前記配管支持体(30)の周辺に配備されたホッパ用付属機器(S,40,G)が取付けられ、
前記付属機器(S,40,G)又は前記配管支持体(30)は、前記後方延出管部(21a)が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも前記上流側配管部分(20U)又は前記配管支持体(30)と、前記付属機器(S,40,G)との相互干渉を抑制可能な逃げ部(31c,41c,Gc,Gae)を有することを特徴とするコンクリートポンプ装置。
【請求項2】
前記付属機器は、前記ホッパ(H)の前壁上部に軸支されて該ホッパ(H)の開放上面を覆う閉じ位置と、該閉じ位置より起立する開き位置との間を回動可能な、該ホッパ(H)内への落下防止用のスクリーン(S)であり、
前記ポンプケース(C)の後面には、前記配管支持体(30)が後方に張出すように突設され、前記配管支持体(30)には、前記後方延出管部(21a)及び該配管支持体(30)が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、該配管支持体(30)と前記開き位置の前記スクリーン(S)との相互干渉を抑制可能とする面取り部(31c)が設けられていて、この面取り部(31c)が前記逃げ部を構成することを特徴とする、請求項1に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項3】
前記ホッパ(H)の前壁上部には、該ホッパ(H)内への落下防止用のスクリーン(S)が、該ホッパ(H)の開放上面を覆う閉じ位置と、該閉じ位置より起立する開き位置との間を回動できるように軸支され、
前記付属機器は、前記スクリーン(S)の開閉状態を検出可能な検出部(42)と、前記上流側配管部分(20U)の下方側で前記ホッパ(H)に固定されて前記検出部(42)を被覆するセンサカバー(41)とを有する開閉センサ(40)であり、
前記センサカバー(41)の、前記上流側配管部分(20U)との対向面には、前記後方延出管部(21a)が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、該センサカバー(41)と前記上流側配管部分(20U)との相互干渉を抑制可能な面取り部(41c)が設けられていて、この面取り部(41c)が前記逃げ部を構成することを特徴とする、請求項1に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項4】
前記ホッパ(H)の前壁上部には、該ホッパ(H)内より前記ポンプケース(C)側への生コンの飛散抑制用のスプラッシュガード(G)の基端が、前記飛散を抑制可能な起立位置と該ホッパ(H)の開放上面側に伏倒した伏倒位置との間を起伏回動できるように軸支されていて、該スプラッシュガード(G)が前記付属機器を構成しており、
前記スプラッシュガード(G)は、これが前記起立位置にあるときに前記後方延出管部(21a)及び前記配管支持体(30)を前後方向に通すべく上方を開放した切欠き部(Gc)を有しており、
前記切欠き部(Gc)は、前記後方延出管部(21a)及び前記配管支持体(30)が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、それら後方延出管部(21a)及び配管支持体(30)と前記スプラッシュガード(G)との相互干渉を抑制可能な深さに形成されていて、該切欠き部(Gc)が前記逃げ部を構成することを特徴とする、請求項1に記載のコンクリートポンプ装置。
【請求項5】
前記移送管(20)の上流側配管部分(20U)は、前記後方延出管部(21a)を含んで平面視U字状をなす反転管部(21)を前記ポンプケース(C)の後方側に有しており、
前記スプラッシュガード(G)は、前記反転管部(21)で囲まれ且つ前記切欠き部(Gc)の左右一方側に存する特定先部(Ga)を有すると共に、その特定先部(Ga)の先端(Gae)の回動軌跡(dx)が前記反転管部(21)に掛からないように、該特定先部(Ga)の先端(Gae)の形状が形成されていて、該先端(Gae)が前記逃げ部を構成することを特徴とする、請求項4に記載のコンクリートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートポンプ装置、特に円筒状のポンプケース、ポンプケースの内周面に沿設されたチューブ、及びチューブをしごきつつ回転してチューブにポンプ作用を発揮可能なローラを有して車体に搭載されるコンクリートポンプと、車体に固定される生コン貯溜用ホッパとを備え、ホッパに設けられてホッパから生コンを排出可能な出口管と、ポンプケース下部に設けた吸入口を通して後方に延出するチューブの吸込端部との間が接続され、ポンプケース上部に設けた吐出口を通して後方に延出するチューブの吐出端部には、打設場所までの生コン移送に用いる移送管の上流端が接続され、移送管の上流側配管部分は、側面視でチューブの吐出端部より後方に延びる後方延出管部を有し、ポンプケースには、後方延出管部を支持する配管支持体が設けられるコンクリートポンプ装置に関するものである。
【0002】
本発明および本明細書において、前後方向は、コンクリートポンプ装置が搭載される車両の前後方向とそれぞれ一致し、また上下方向は、同車両の上下方向とそれぞれ一致している。
【背景技術】
【0003】
上記したコンクリートポンプ装置は、例えば特許文献1に開示されるように従来公知であって、生コンを例えば高所の建設現場等に圧送するのに使用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-74751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで上記した従来公知のコンクリートポンプ装置では、吐出行程終了時の生コンの逆流を抑制してチューブの耐久性を高めるべくポンプケース内周面の、チューブを沿わせる円弧状範囲を中心角180度以上に延長したり、或いはまた、車体上のポンプケースから延出するチューブの吸込端部とホッパの出口管とを、その相互位置が機種により異なる場合でも的確に接続すべく、ポンプケースの車体に対する相対取付位置をポンプケースの中心回りに角変位させたりすることがある。これらの場合、ポンプケースから延びるチューブの吐出端部に連なる移送管の後方延出管部が後下がりに傾斜することがあり、その傾斜に因り次のような不都合が生じる虞れがある。
【0006】
即ち、ホッパには、移送管の上流側配管部分又は配管支持体の周辺において、ホッパ用付属機器(例えばスクリーン、スクリーンの開度センサ、スプラッシュガード等)が取付けられるが、その付属機器と、上流側配管部分又は配管支持体とが、特に移送管の後方延出管部が前記傾斜姿勢にある場合に相互干渉する懸念がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来構造の問題を簡単な構造で解決可能としたコンクリートポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、円筒状のポンプケース、該ポンプケースの内周面に沿設されたチューブ、及び該チューブをしごきつつ回転して該チューブにポンプ作用を発揮可能なローラを有して車体に搭載されるコンクリートポンプと、前記車体に固定される生コン貯溜用ホッパとを備え、前記ホッパに設けられて該ホッパから生コンを排出可能な出口管と、前記ポンプケース下部に設けた吸入口を通して後方に延出するチューブの吸込端部との間が接続され、前記ポンプケース上部に設けた吐出口を通して後方に延出するチューブの吐出端部には、打設場所までの生コン移送に用いる移送管の上流端が接続され、前記移送管の上流側配管部分は、側面視で前記吐出端部より後方に延びる後方延出管部を有し、前記ポンプケースには、前記後方延出管部を支持する配管支持体が設けられるコンクリートポンプ装置において、前記ホッパには、前記上流側配管部分又は前記配管支持体の周辺に配備されたホッパ用付属機器が取付けられ、前記付属機器又は前記配管支持体は、前記後方延出管部が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも前記移送管又は前記配管支持体と、前記付属機器との相互干渉を抑制可能な逃げ部を有することを第1の特徴としている。
【0009】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記付属機器は、前記ホッパの前壁上部に軸支されて該ホッパの開放上面を覆う閉じ位置と、該閉じ位置より起立する開き位置との間を回動可能な、該ホッパ内への落下防止用のスクリーンであり、前記ポンプケースの後面には、前記配管支持体が後方に張出すように突設され、前記配管支持体には、前記後方延出管部及び該配管支持体が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、該配管支持体と前記開き位置の前記スクリーンとの相互干渉を抑制可能とする面取り部が設けられていて、この面取り部が前記逃げ部を構成することを第2の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記ホッパの前壁上部には、該ホッパ内への落下防止用のスクリーンが、該ホッパの開放上面を覆う閉じ位置と、該閉じ位置より起立する開き位置との間を回動できるように軸支され、前記付属機器は、前記スクリーンの開閉状態を検出可能な検出部と、前記上流側配管部分の下方側で前記ホッパに固定されて前記検出部を被覆するセンサカバーとを有する開閉センサであり、前記センサカバーの、前記上流側配管部分との対向面には、前記後方延出管部が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、該センサカバーと前記上流側配管部分との相互干渉を抑制可能な面取り部が設けられていて、この面取り部が前記逃げ部を構成することを第3の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記ホッパの前壁上部には、該ホッパ内より前記ポンプケース側への生コンの飛散抑制用のスプラッシュガードの基端が、前記飛散を抑制可能な起立位置と該ホッパの開放上面側に伏倒した伏倒位置との間を起伏回動できるように軸支されていて、該スプラッシュガードが前記付属機器を構成しており、前記スプラッシュガードは、これが前記起立位置にあるときに前記後方延出管部及び前記配管支持体を前後方向に通すべく上方を開放した切欠き部を有しており、前記切欠き部は、前記後方延出管部及び前記配管支持体が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、それら後方延出管部及び配管支持体と前記スプラッシュガードとの相互干渉を抑制可能な深さに形成されていて、該切欠き部が前記逃げ部を構成することを第4の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第4の特徴に加えて、前記移送管の上流側配管部分は、前記後方延出管部を含んで平面視U字状をなす反転管部を前記ポンプケースの後方側に有しており、前記スプラッシュガードは、前記反転管部で囲まれ且つ前記切欠き部の左右一方側に存する特定先部を有すると共に、その特定先部の先端の回動軌跡が前記反転管部に掛からないように、該特定先部の先端の形状が形成されていて、該先端が前記逃げ部を構成することを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移送管の上流側配管部分又は配管支持体の周辺に配備されたホッパ用付属機器が、ホッパに取付けられるコンクリートポンプ装置において、付属機器又は配管支持体は、移送管の後方延出管部が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも移送管の上流側配管部分又は配管支持体と、付属機器との相互干渉を抑制可能な逃げ部を有する。これにより、ポンプケース及びホッパの車体への搭載状態で、移送管の後方延出管部が後下がりの傾斜姿勢となる場合でも、上記した逃げ部により、移送管の上流側配管部分又は配管支持体と、付属機器との相互干渉を無理なく抑制可能となるので、その干渉抑制のために大物部品(ポンプケース、ホッパ等)を特別に設計変更する必要もなく、コスト節減に寄与することができる。
【0014】
また第2の特徴によれば、付属機器は、ホッパの前壁上部に開閉回動可能に軸支されるスクリーンであり、ポンプケースの後面には、配管支持体が後方に張出すように突設され、配管支持体には、移送管の後方延出管部及び配管支持体が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、配管支持体と開き位置のスクリーンとの相互干渉を抑制可能とする面取り部が設けられる。これにより、その面取り部が逃げ部となることで、移送管の後方延出管部及び配管支持体が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも配管支持体と開き位置のスクリーンとの相互干渉を無理なく抑制できるので、その干渉に因るスクリーンや配管支持体の損傷を効果的に防止可能となり、またスクリーンを、配管支持体に邪魔されずに開き位置まで十分に開くことができる。
【0015】
また第3の特徴によれば、付属機器は、スクリーンの開閉状態を検出可能な開閉センサであり、そのセンサカバーの、移送管(特に上流側配管部分)との対向面には、後方延出管部が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、センサカバーと上流側配管部分との相互干渉を抑制可能な面取り部が設けられる。これにより、その面取り部が逃げ部となることで、後方延出管部が後下がりの傾斜姿勢にある場合でもセンサカバーと上流側配管部分との相互干渉を無理なく抑制できるので、その干渉に因るセンサカバーや移送管の損傷を効果的に防止可能となる。
【0016】
また第4の特徴によれば、付属機器は、ホッパの前壁上部に起伏回動可能に軸支したスプラッシュガードであり、このスプラッシュガードは、これが起立位置にあるときに移送管の後方延出管部及び配管支持体を前後方向に通すべく上方を開放した切欠き部を有し、その切欠き部は、後方延出管部及び配管支持体が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、その後方延出管部及び配管支持体とスプラッシュガードとの相互干渉を抑制可能な深さに形成される。これにより、その切欠き部が逃げ部となることで、後方延出管部及び配管支持体が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、後方延出管部及び配管支持体とスプラッシュガードとの相互干渉を無理なく抑制できるので、その干渉によるスプラッシュガードや後方延出管部等の損傷を効果的に防止可能となる。
【0017】
また第5の特徴によれば、移送管の上流側配管部分は、前記後方延出管部を含んで平面視U字状をなす反転管部をポンプケースの後方側に有しており、スプラッシュガードは、反転管部で囲まれ且つ切欠き部の左右一方側に存する特定先部を有すると共に、その特定先部の先端の回動軌跡が反転管部に掛からないように、特定先部の先端の形状が形成される。これにより、その特定先部の先端形状が逃げ部となることで、後方延出管部及び配管支持体が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、スプラッシュガードの回動時に、後方延出管部を含む反転管部とスプラッシュガードとの相互干渉を無理なく抑制できるので、その干渉によるスプラッシュガード等の損傷を効果的に防止可能となり、またスプラッシュガードの起伏回動も、反転管部に邪魔されずに支障なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るコンクリートポンプ車の全体左側面図
図2】コンクリートポンプ車の全体右側面図
図3】コンクリートポンプ車の要部、特にコンクリートポンプ及びホッパを示す、一部破断拡大左側面図
図4】コンクリートポンプ及びホッパとその周辺機器を示す後面図(図1の4矢視図)
図5】コンクリートポンプ後部と移送管とホッパとの相互の関係構造を示す拡大右側面図
図6】ホッパとスクリーン・スプラッシュガードとの関係構造を、スクリーンを取り外し且つスプラッシュガードをホッパ上に伏倒させた状態で示す左側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。先ず、図1,2において、コンクリートポンプ車Vは、車体F上に搭載されるコンクリートポンプCPと、このコンクリートポンプCPに供給すべき生コンを一時的に貯溜可能なホッパHと、このホッパHを前後位置調節可能に固定、支持すべく車体Fの後端部に固定されて後方に延びるホッパフレーム50と、コンクリートポンプCPから吐出される生コンを打設場所まで移送するための移送管20と、生コンを高所の打設場所でも届けるべく移送管20の下流側配管部分20Dを昇降駆動できるよう連結、支持するブーム組立体Bとを備える。
【0020】
ブーム組立体Bは、互いに屈折可能に枢支連結されて一連に配列される複数のブーム部と、その枢支連結点回りに各ブーム部を起伏回動させる複数の油圧シリンダとを主要部としており、そのブーム組立体Bの基端ブーム部Bbが車載の旋回台11に支持され、この旋回台11を介して車体Fに起伏可能且つ鉛直軸線回りに旋回可能に支持される。一方、先端ブーム部Baには、移送管20の下流端部20eが支持されており、この下流端部20eの先端部には、生コンを先端より吹出可能な生コン吹出管(図示せず)の基端が着脱可能に取付けられる。
【0021】
移送管20の下流側配管部分20Dは、ブーム組立体Bの複数のブーム部に沿うように配置されていて、その途中には、相隣なるブーム部の屈折動作に追従して屈折可能な複数の関節部を有している。またブーム組立体Bが伸長動作した際にコンクリートポンプ車Vの安定確保のための上下伸縮可能な複数のジャッキJが、車体Fの少なくとも前後左右の四隅に配設されている。
【0022】
一方、移送管20の上流側配管部分20Uは、これの上流端が次に説明するコンクリートポンプCPのチューブTの吐出側に接続される。その上流側配管部分20Uは、平面視でU字状に形成されてコンクリートポンプCPの後方側に配設される第1管部21と、第1管部21の下流端に連なり且つコンクリートポンプCPのポンプケースC側面に沿うようにして車体Fの前方側に延びる第2管部22とを備える。第1管部21は、反転管部の一例である。
【0023】
第1管部21は、ポンプケースCに固定の後述する配管支持体30に固定、支持され、また第2管部22は、車体Fに間隔をおいて固定した複数の支持枠12に固定、支持される。そして、第2管部22の下流端は、前記旋回台11の内部を経由して、移送管20の前記下流側配管部分20Dに接続される。
【0024】
コンクリートポンプCPは、中心軸線が左右方向に延びる円筒状に形成されて車体Fに固定されるポンプケースCと、そのポンプケースCの外周壁Caのうち少なくとも前半側外周壁Caの内周面に沿設された側面視U字状のチューブTと、そのチューブTをしごきつつ転動することでチューブTにポンプ作用を発揮させる一対のローラRと、それらローラRを自転可能に且つポンプケースCの中心軸線回りに公転可能に支持するローラ支持体RSとを有している。一対のローラRは、ローラ支持体RSの回転方向に180度の位相差で配置される。
【0025】
チューブTは、可撓性及び弾性を有しており、しかもローラRによりしごかれてポンピング機能を長期間発揮しても破断しないような丈夫な材料で構成される。またポンプケースCの外周壁Caの少なくとも前側半周側の内周面には、自転しつつ公転するローラRとの間でチューブTを挟圧すべく周方向に延びる弾性パッドPが被着される。弾性パッドPは、実施形態では上部パッドPtと、下部パッドPbと、上,下部パッドPt,Pb間を接続する中間パッドPf1,Pf2とに分割構成されるが、一体物のパッドで構成してもよい。
【0026】
実施形態の弾性パッドPは、ポンプケースCの外周壁Caの内周面に、その内周面に沿って彎曲した帯板状の内装板37を介して接合される。この場合、例えば、内装板37に弾性パッドP(即ち上部パッドPt,中間パッドPf1,Pf2,下部パッドPb)を接合(例えば接着、焼付等)して成るパッド組立体を予め組立て、これを纏めてポンプケースC内に装入、結合(例えばボルト結合)される。尚、弾性パッドPは、ポンプケースCの外周壁Caの内周面に直接(即ち内装板37を介さずに)接合してもよい。
【0027】
チューブTの吐出端部Toは、ポンプケースCの上部に後向きに設けた吐出口Coを通して外周壁Caの略接線方向(後方)に延出していて、移送管20の上流側配管部分20Uに従来周知の結合手段JTを以て着脱可能に接続される。結合手段JTは、例えば、チューブTの吐出端部Toを外周に嵌合させる円筒状ソケット23と、そのソケット23外端のフランジ部23fと上流側配管部分20Uの上流端のフランジ部24との間を着脱可能に結合する結合具(図示例はボルト・ナット25)と、ソケット23外周に嵌合させたチューブTの吐出端部Toの外周を縮径方向に緊締する緊締具とを有する。その緊締具は、例えば吐出端部Toの外周を相互間に挟む一対の半円弧状クランプ部材26と、両クランプ部材26を互いに接近する方向に緊締して吐出端部Toをソケット23外周に圧接させるボルト・ナット27とを有する。
【0028】
一方、チューブTの吸込端部Tiは、ポンプケースCの下部に後向きに設けた吸入口Ciを通して外周壁Caの略接線方向(後方)に延出していて、後述するホッパHの出口管Hoの下流端に接続されている。
【0029】
ローラ支持体RSは、ポンプケースCの左右両側壁に回転自在に軸支され且つポンプケースCとローラ支持体RS間に設けた不図示の回転駆動装置により回転駆動される。またローラ支持体RSには、これの正転方向(図3で時計方向)で各ローラRより前方側に配置されてチューブTを左右より挟む一対のガイドローラ35が回転自在に支持され、その両ガイドローラ35によりチューブTの蛇行や横ずれが抑制される。
【0030】
ところで実施形態のポンプケースCは、これの外周壁Caの内周面が、図3で明らかなように、中心角を180度よりも所定角度αだけ大きい角度の円弧面に形成されている。これにより、ローラRのチューブTへの押圧解除時期(吐出終了時期)を遅らせることができて、その押圧解除時の生コン逆流を効果的に防止できる。また、このように外周壁Caの内周面の中心角を多少大きくしたことで、ポンプケースCの吐出口Coの開口方向が後方下向きとなり、これに伴い、チューブTの吐出端部Toも後下がりに傾斜して後方に延びる。
【0031】
ホッパHは、上面を開放され且つ左右方向に延びる槽状に形成されており、ホッパHの下面には、ホッパH内の生コンを排出可能な出口管Hoが接続、固定される。またホッパH内には、そこに投入された生コンを攪拌して固まりにくくするために攪拌装置28が配設され、攪拌装置28は、例えばホッパH内で回転可能な複数の攪拌羽根28bと、これを回転駆動する回転駆動装置28aとを備える。
【0032】
ホッパHの下部には、前後方向に延びる左右一対の支持脚部Haが下向きに突設されており、その両支持脚部Haは、矩形枠状のホッパフレーム50の上面の左右両側部に前後方向のみ摺動可能に載置、支持される。また少なくとも一方の支持脚部Haとホッパフレーム50との間には、支持脚部Ha(従ってホッパH)を前後駆動可能な位置調節機構52(実施形態では油圧シリンダ)と、ホッパHが図3に示す前進位置(即ち正規使用位置)にあるときに支持脚部Haをホッパフレーム50に係脱可能に係止させるロック機構L1とが介装される。
【0033】
ホッパHの前記出口管Hoは、ホッパHの下面から下方に延出した後、前方側に湾曲して延出しており、その延出端すなわち下流端と、チューブTの吸込端部Tiとの間が、従来周知の結合手段JT′を以て着脱可能に接続される。尚、この結合手段JT′は、前記したチューブTの吐出端部Toと移送管20間の結合に用いた結合手段JTと同様の構造であるので、詳細な説明は省略し、結合手段JTの各構成要素と同様の参照符号を付すにとどめる。
【0034】
ポンプケースCは、これの内部空間を負圧状態とするための不図示の真空引き装置を具備しており、この負圧は、吐出過程にあるローラR(以下、単に吐出側ローラという)の公転方向後側のチューブTが自己の弾性復元力で自動復元(従ってホッパH内の生コンをチューブT内に吸入)するのを助勢する働きをする。そして、ポンプケースCの、吸込口Ci・吐出口Coとの各隣接部位には、吸込口Ci・吐出口Coから前記負圧が漏れるのを阻止するための従来周知のブーツ状シール筒29の基端がそれぞれ気密に固定され、各シール筒29は、これの内周面がチューブTの吸込端部Ti・吐出端部To外周にそれぞれ気密に嵌合、圧接できるように構成される。
【0035】
ポンプケースCの左右一側には、コンクリートポンプ車Vに搭載したコンクリートポンプCPやブーム組立体B、その他の作動機器への操作指令を車外の作業員が任意で行うための操作盤55が配設される。尚、同様の操作盤は運転席にも配備される。
【0036】
ところで移送管20の上流側配管部分20U、特にポンプケースCの後方側に位置する平面視U字状の第1管部21は、これの車幅方向内方側の半部が側面視でチューブTの吐出端部Toより後方に(より具体的には吐出端部Toの延長線上で後下がりに傾斜して)延びる後方延出管部21aを構成する一方、車幅方向外方側の半部が、側面視で後方延出管部21aの後端より前方に(より具体的には前下がりに傾斜して)延びる前方延出管部21bを構成する。特に後方延出管部21aは、吐出口Ciの直下でポンプケースCの後部外周に固定される配管支持体30に支持される。
【0037】
この配管支持体30は、ポンプケースCの後部に基部が固定(例えばボルト結合)されて後方延出管部21aに沿うよう後方に延びる後方張出枠31と、後方張出枠31の先部上面に間隔をおいて固定(例えばボルト結合)されて起立する複数の支柱部32~34とを有する。そして、その各支柱部32~34の上部には、後方延出管部21aの外周に固着(例えば溶接)された複数の取付ブラケット21abが固着(例えばボルト結合)され、これにより、第1管部21の後方延出管部21a、即ち移送管20の上流側配管部分20Uが固定、支持される。
【0038】
また第1管部21に連なる第2管部22は、前方延出管部21bの下流端に接続されてその延長線状に前下りに傾斜して延びる傾斜管部22aと、傾斜管部22aに連なり且つ前方に略水平に延びる水平管部22bとを備える。
【0039】
ところでホッパHには、移送管20の上流側配管部分20Bおよび配管支持体30の周辺に配備された幾つかのホッパ用付属機器が取付けられ、その付属機器又は配管支持体30は、後方延出管部21a及び配管支持体30が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも上流側配管部分20U又は配管支持体30と、付属機器との相互干渉を抑制可能な逃げ部を有する。次に上記付属機器及び逃げ部の実施例を説明する。
【0040】
例えば、第1の付属機器は、ホッパHの前壁上部に軸支されてホッパHの開放上面を覆う閉じ位置と、閉じ位置より起立する開き位置との間を回動可能なスクリーンSである。このスクリーンSは、格子枠状に構成されてホッパH内への人及び大きな異物の落下を防止するスクリーン本体Smと、スクリーン本体Smの基部に固定された回動支軸Sjとを有している。その回動支軸Sjの両端部は、ホッパHの左右側壁上部に設けたクランプ兼用支持機構51に着脱可能且つ回動可能に嵌合、支持される。
【0041】
一方、ポンプケースCの後部に基部が固定された配管支持体30の後方張出枠31は、後下がりに傾斜して延びていて、その先端部が、開き位置にあるときのスクリーンSに対向近接する。そのため、後方張出枠31の先端面が仮に従来例のように略鉛直な平面であれば、開き位置のスクリーンSと干渉し易くなり、その干渉を避けようとすれば、スクリーンSの開き角度を十分に開き得ない不都合があり、この不都合は、後方張出枠31が後下がりに傾斜すればするほど顕著となる。
【0042】
そこで実施形態では、後方延出管部21a及び配管支持体30が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、配管支持体30と開き位置のスクリーンSとの相互干渉を抑制可能とする面取り部31cが後方張出枠31の先端面に形成される。この面取り部31cは、図3で明らかなように、後上がりに傾斜した斜面として形成されていて、本発明の逃げ部を構成する
また第2の付属機器は、スクリーンSの開閉状態を検出可能な検出部42と、移送管20の下方でホッパHに固定されて検出部42を被覆するボックス状のセンサカバー41とを有する開閉センサ40である。センサカバー41は、ホッパHの一側壁上部に固着した支持台43上に固定、支持され、ホッパH内から飛散した生コンが検出部42に掛からないようにしている。また検出部42は、スクリーンSの回動支軸Sjの一端部に固設されて回動支軸Sjと一体に回動するドグ42dと、そのドグ42d(従ってスクリーンS)の回動変位角を非接触で検出可能な検出素子42sとを備える。
【0043】
そして、センサカバー41の、上流側配管部分20U(より具体的には第2管部22の前下りの傾斜管部22a)との対向面には、後方延出管部21aが後下がりの傾斜姿勢にあって傾斜管部22aの高さ位置が下がる場合でも、センサカバー41と上流側配管部分20B(傾斜管部22a)との相互干渉を抑制可能な面取り部41cが設けられる。この面取り部41cは、図5で明らかなように前下がりの斜面として形成されていて、本発明の逃げ部を構成する
また第3の付属機器は、例えば、ホッパHの前壁上部に基端が軸支されてホッパH内からポンプケースC側への生コンの飛散を抑制するためのスプラッシュガードGである。このスプラッシュガードGは、ホッパHの開口部の横幅と略同じ横幅の板状に構成されていて、生コンの前記飛散を抑制可能な起立位置とホッパHの開放上面側に伏倒した伏倒位置との間を起伏回動できるように構成される。またホッパHの前壁には、スプラッシュガードGを起立位置に固定すべくスプラッシュガードGの基部を係脱可能に係止させるロック機構54が設けられる。
【0044】
またスプラッシュガードGは、メンテナンス作業、例えばチューブTの交換等のためにホッパHをホッパフレーム50上で後方移動させる際に、予めスプラッシュガードGを閉じ位置に伏倒、保持しておくことで、移送管20の上流側配管部分20U(特にU字状の第1管部21)との干渉を抑制可能となっている。尚、スプラッシュガードGを閉じ位置に伏倒回動させる際には、図6で明らかなように、予めスクリーンSをホッパHから取り外してスプラッシュガードGと干渉しないようにする。
【0045】
また図4で明らかなように、スプラッシュガードGは、これが起立位置にあるときに後方延出管部21a及び配管支持体30を前後方向に通すべく上方を開放した切欠き部Gcを有している。この切欠き部Gcは、後方延出管部21aが後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、その後方延出管部21aとスプラッシュガードGとの相互干渉を抑制可能な十分な深さに形成されていて、本発明の逃げ部を構成する。
【0046】
また図4図5で明らかなように、スプラッシュガードGは、反転管部としての第1管部21で囲まれ且つ切欠き部Gcの左右一方側(図示例では右方側)に存する特定先部Gaを有しているが、この特定先部Gaは、これの先端Gaeの回動軌跡dx(図5で二点鎖線を参照)が第1管部21に掛からないように、先端Gaeの形状が形成されていて、その先端Gaeが本発明の逃げ部を構成する。より具体的に言えば、スプラッシュガードGの回動時に特定先部Gaの先端Gaeと第1管部21との相互干渉を抑制し得るように、先端Gaeの高さ(即ち先端GaeとスプラッシュガードGの回動軸線との距離d1)が、同回動軸線と第1管部21の外周面との距離よりも短く設定される。
【0047】
次に実施形態の作用を説明する。
【0048】
ホッパH内には、ミキサー車等により生コンが投入され、そこで攪拌装置28で攪拌されつつ一時的に貯溜される。この状態で、ローラ支持体RSを正転(図3で時計方向に回転)させると、これに連動して一対のローラRが自転しつつポンプケースCの中心軸線回りに公転する。これにより、各ローラRは、ポンプケースCの外周壁Caの前半側内周面(より具体的には弾性パッドP)との間でチューブTをしごきつつ周方向に転動するが、その際に一方のローラRがチューブTへの押圧を解除するのと略同時に、他方のローラRがチューブTへの押圧を開始するような押圧タイミングでポンプ作用(即ちチューブTからの生コン押出し作用)が連続的に繰り返される。
【0049】
そして、チューブTから吐出された生コンは移送管20内を圧送され、その下流端部20eに取付けた生コン吹出管(図示せず)より吹き出し可能である。従って、ブーム組立体Bの各ブーム部を適宜、屈折、伸長動作させて、移送管20の下流側配管部分20Dと共に生コン吹出管をビル等の建設現場の生コン打設箇所まで移動させるようにすれば、コンクリートポンプCPは、その打設箇所が高所である場合でも生コンを圧送、供給することができる。
【0050】
ところで実施形態のホッパHの前壁上部には、ホッパHの開放上面を覆う閉じ位置と、閉じ位置より起立する開き位置との間を回動可能なスクリーンSが軸支されており、一方、ポンプケースCの後部に基部が固定された配管支持体30の後方張出枠31は、側面視で移送管20の後方延出管部21aと共に後下がりに傾斜して延びていて、その先端部が開き位置のスクリーンSに対向近接する。そのため、後方張出枠31の先端面が仮に略鉛直な平面であればスクリーンSと干渉し易くなり、その干渉を避けようとすれば、スクリーンSの開き角度を十分に開き得ない不都合がある。
【0051】
そこで実施形態では、後方延出管部21a及び配管支持体30が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、配管支持体30と開き位置のスクリーンSとの相互干渉を抑制可能とする面取り部31cが後方張出枠31の先端面に形成される。この面取り部31cは、図3で明らかなように後上がりに傾斜した斜面として形成されるため、移送管20の後方延出管部21a及び配管支持体30が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも配管支持体30と開き位置のスクリーンSとの相互干渉を無理なく抑制でき、スクリーンSを配管支持体30に邪魔されずに開き位置まで十分に開放することができる。更に面取り部31cを後上がりの平坦な斜面としたことで、スクリーンSが配管支持体30のエッジ状の角部ではなく平面部で接触するため、その接触部の損傷防止に有効である。
【0052】
また実施形態では、スクリーンSの開閉状態を検出する開閉センサ40のセンサカバー41の上部前端が、移送管20の上流側配管部分20B(より具体的には第2管部22の前下り傾斜した傾斜管部22a)と対向近接しているため、そのセンサカバー41の傾斜管部22aとの対向面には、後方延出管部21aが後下がりの傾斜姿勢にあって傾斜管部22aの高さ位置が下がった場合でも、センサカバー41と上流側配管部分20B(傾斜管部22a)との相互干渉を抑制可能な面取り部41cが設けられる。そして、この面取り部41cは、図5で明らかなように前下がりの斜面として形成されるため、後方延出管部21aが後下がりの傾斜姿勢にある場合でもセンサカバー41と上流側配管部分20Uとの相互干渉を無理なく抑制できて、その干渉に因るセンサカバー41や上流側配管部分20Uの損傷を効果的に防止可能となる。
【0053】
さらに実施形態では、ホッパHの前壁上部にスプラッシュガードGが、ホッパH内からポンプケースC側への生コンの飛散を抑制する起立位置と、ホッパHの開放上面側に伏倒した伏倒位置との間を起伏回動できるように軸支される。またスプラッシュガードGは、これが起立位置にあるときに移送管20の後方延出管部21a及び配管支持体30を前後方向に通すべく上方を開放した切欠き部Gcを有しており、この切欠き部Gcは、後方延出管部21aが後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、その後方延出管部21aとスプラッシュガードGとの相互干渉を抑制可能な十分な深さに形成されている。そして、この切欠き部Gcが逃げ部となることで、後方延出管部21a及び配管支持体30が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、後方延出管部21a及び配管支持体30とスプラッシュガードGとの相互干渉を無理なく抑制できるので、その干渉によるスプラッシュガードGや後方延出管部21a等の損傷を効果的に防止可能となり、またスプラッシュガードGの起伏回動も、後方延出管部21aや配管支持体30に邪魔されずに支障なく行うことができる。
【0054】
またスプラッシュガードGは、反転管部としての第1管部21で囲まれ且つ切欠き部Gcの左右一方側に存する特定先部Gaを有しており、この特定先部Gaの先端Gaeの回動軌跡dxが第1管部21に掛からないように、特定先部Gaの先端Gaeの形状が形成されている。これにより、その特定先部Gaの先端Gaeの形状が逃げ部となることで、後方延出管部21a及び配管支持体30が後下がりの傾斜姿勢にある場合でも、スプラッシュガードGの回動時に、後方延出管部21aを含む第1管部21とスプラッシュガードGとの相互干渉を無理なく抑制できるので、その干渉によるスプラッシュガードG等の損傷を防止可能となり、またスプラッシュガードGの起伏回動も、第1管部21に邪魔されずに支障なく行うことができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態を実施可能である。
【0056】
例えば、実施形態では、移送管20の後方延出管部20aが後下がりに傾斜する構成が、ローラRによる吐出行程終了時の生コンの逆流を抑制してチューブTの耐久性を高めるべくポンプケースCの内周面の、チューブTを沿わせる円弧状範囲を中心角180度以上に延長した点に起因するものを例示した。しかし後方延出管部20aが後下がりの傾斜姿勢となる要因は、実施形態に限定されず、別の要因でも後方延出管部20aが後下がりの傾斜姿勢となる場合がある。例えば、車体F上においてポンプケースCから延出するチューブTの吸込端部TiとホッパHの出口管Hoとの相互位置が機種により異なる場合があり、この場合に、両者Ti,Hoを的確に接続すべく、ポンプケースCの車体Fに対する相対取付位置をポンプケースCの中心軸線回りに角変位させることがある。
【0057】
そして、このように別の要因で後方延出管部20aが後下がりの傾斜姿勢となる場合でも、本発明を適用することで傾斜姿勢に因る前記不具合を解決可能である。
【0058】
また前記実施形態では、ホッパHをホッパフレーム50上で後方移動させる際に、移送管20との干渉を抑制する目的でスプラッシュガードGを起伏回動可能(即ち伏倒可能)に構成するものを示したが、スプラッシュガードGは、単にホッパHの開放上面を閉じるホッパカバーに兼用する目的で起伏回動可能(即ち伏倒可能)に構成してもよく、この場合は、ホッパHをホッパフレーム50上で前後位置調節可能とする位置調節機構52を省略してもよい。
【符号の説明】
【0059】
CP・・・・・コンクリートポンプ
C・・・・・・ポンプケース
Ci・・・・・吸入口
Co・・・・・吐出口
G・・・・・・付属機器としてのスプラッシュガード
Ga・・・・・特定先部
Gae・・・・逃げ部としての、特定先部の先端
Gc・・・・・逃げ部としての切欠き部
F・・・・・・車体
H・・・・・・ホッパ
Ho・・・・・出口管
R・・・・・・ローラ
S・・・・・・付属機器としてのスクリーン
T・・・・・・チューブ
Ti・・・・・チューブの吸込端部
To・・・・・チューブの吐出端部
20・・・・・移送管
20U・・・・移送管の上流側配管部分
21・・・・・反転管部としての第1管部
21a・・・・後方延出管部
30・・・・・配管支持体
31c・・・・逃げ部としての面取り部
40・・・・・付属機器としての開閉センサ
41・・・・・センサカバー
41c・・・・逃げ部としての面取り部
42・・・・・検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6