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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180082
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】物品保管設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086995
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮本 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】恩田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】右近 孝
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522CC01
3F522CC03
3F522GG03
3F522GG17
3F522GG18
3F522GG23
3F522JJ02
3F522LL37
3F522LL38
(57)【要約】
【課題】物品保管設備の大型化やピッキング作業エリアに対する物品の供給効率の低下を抑制することが可能な技術を実現する。
【解決手段】制御システムは、出庫処理と補充処理と移動処理と戻し処理とを実行する。補充処理は、第1保管庫1Aにある第1種物品の数が数量しきい値以下となった場合に、第2保管庫1Bにある第1種物品を、容器に収容された状態で第1保管庫1Aに入庫されるように、第2保管庫1Bから第1保管庫1Aへ搬送する処理である。移動処理は、第2保管庫1Bにあるピッキング対象物品となった第2種物品を、容器に収容された状態で第1保管庫1Aに入庫されるように、第2保管庫1Bから第1保管庫1Aへ搬送する処理である。戻し処理は、出庫処理の完了に伴い第1保管庫1Aへ戻された第2種物品が収容された容器を、第1保管庫1Aから第2保管庫1Bへ搬送する処理である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から当該容器に収容された物品を取り出すピッキング作業が行われるピッキング作業エリアに対する前記物品の供給、及び、前記ピッキング作業の対象となり得る前記物品の保管を行う物品保管設備であって、
前記ピッキング作業エリアに供給する対象となる前記容器を保管する第1保管庫と、
前記第1保管庫よりも保管容量が大きく、前記第1保管庫に供給する対象となる前記容器を保管する第2保管庫と、
前記ピッキング作業エリアと前記第1保管庫との間で前記容器を搬送する第1搬送装置と、
前記第1保管庫と前記第2保管庫との間で前記容器を搬送する第2搬送装置と、
前記第1保管庫、前記第2保管庫、前記第1搬送装置、及び、前記第2搬送装置を制御する制御システムと、を備え、
前記物品の種類に応じて、前記ピッキング作業の対象となる頻度であるピッキング頻度が異なり、
前記ピッキング作業の対象となることが決定した種類の前記物品をピッキング対象物品とし、前記ピッキング頻度が規定の第1頻度しきい値以上である種類の前記物品を第1種物品とし、前記ピッキング頻度が前記第1頻度しきい値未満である種類の前記物品を第2種物品として、
前記制御システムは、出庫処理と、補充処理と、移動処理と、戻し処理と、を実行し、
前記出庫処理は、前記ピッキング対象物品が収容された前記容器を前記第1保管庫から前記ピッキング作業エリアへ前記第1搬送装置を用いて搬送し、前記ピッキング作業が完了した前記容器を前記ピッキング作業エリアから前記第1保管庫へ前記第1搬送装置を用いて搬送する処理であり、
前記補充処理は、前記第1保管庫にある前記第1種物品の数が規定の数量しきい値以下となった場合に、前記第2保管庫にある前記第1種物品を、前記容器に収容された状態で前記第1保管庫に入庫されるように、前記第2保管庫から前記第1保管庫へ前記第2搬送装置を用いて搬送する処理であり、
前記移動処理は、前記第2種物品が前記ピッキング対象物品となった場合に、前記出庫処理のために、前記第2保管庫にある前記ピッキング対象物品となった前記第2種物品を、前記容器に収容された状態で前記第1保管庫に入庫されるように、前記第2保管庫から前記第1保管庫へ前記第2搬送装置を用いて搬送する処理であり、
前記戻し処理は、前記出庫処理の完了に伴い前記第1保管庫へ戻された、前記第2種物品が収容された前記容器を、前記第1保管庫から前記第2保管庫へ前記第2搬送装置を用いて搬送する処理である、物品保管設備。
【請求項2】
前記制御システムは、前記出庫処理における、前記ピッキング対象物品が収容された前記容器の前記第1保管庫から前記ピッキング作業エリアへの搬送を開始する前に、前記ピッキング作業の対象となることが予定されている前記物品の種類の情報を取得する事前情報取得処理を更に実行し、
前記制御システムは、前記事前情報取得処理により取得した情報に基づいて、前記移動処理を実行する、請求項1に記載の物品保管設備。
【請求項3】
前記制御システムは、前記第2種物品が収容された前記容器についての前記出庫処理が完了した場合であっても、前記事前情報取得処理により取得した情報に基づいて、規定の時間内に同じ前記第2種物品が前記ピッキング対象物品となることが予定されている場合には、次の前記出庫処理が完了するまで前記戻し処理を実行しない、請求項2に記載の物品保管設備。
【請求項4】
前記第2種物品は、前記ピッキング頻度が前記第1頻度しきい値未満であり且つ前記第1頻度しきい値よりも低い規定の第2頻度しきい値以上である種類の前記物品であり、
前記ピッキング頻度が前記第2頻度しきい値未満である種類の前記物品、及び、前記第2保管庫に保管するのに適していない形状の前記物品を、第3種物品として、
前記制御システムは、前記第3種物品が前記ピッキング対象物品となった場合に、前記出庫処理のために、前記ピッキング対象物品となった前記第3種物品が収容された前記容器を前記第1保管庫へ入庫する入庫処理を実行する、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品保管設備。
【請求項5】
前記ピッキング作業では、前記容器から取り出された前記物品が仕分け容器に収容され、
前記ピッキング作業エリアと前記第2保管庫との間で前記仕分け容器を搬送する第3搬送装置を更に備え、
前記制御システムは、前記ピッキング作業が完了した後の前記仕分け容器を、前記ピッキング作業エリアから前記第2保管庫へ前記第3搬送装置を用いて搬送する作業後処理を実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品保管設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング作業が行われるピッキング作業エリアに対する物品の供給、及び、ピッキング作業の対象となり得る物品の保管を行う物品保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品保管設備の一例が、特開2018-12586号公報(特許文献1)に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の物品保管設備は、ピッキング作業の対象となり得る物品としての荷を、段ボール箱やパレット等の物品(B)に支持した状態で保管する保管庫(1)と、保管庫(1)に保管されている物品(B)をピッキング作業エリアに供給するコンベヤ(C10,C30)と、を備えている。ピッキング作業エリアでは、物品(B)から必要数の荷を取り出して、当該荷を集品ケース(D)に投入するピッキング作業が、ピッキングロボット(R)により行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-12586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような物品保管設備では、通常、ピッキング作業の対象となり得る全ての種類の物品(特許文献1では、荷)を保管庫に保管できるように、保管庫の保管容量が設計される。そのため、保管庫の規模が大きくなりやすく、保管庫の大規模化によって、物品保管設備が大型化したり、保管庫からピッキング作業エリアに対する物品の供給効率が低下したりするおそれがある。
【0006】
そこで、物品保管設備の大型化やピッキング作業エリアに対する物品の供給効率の低下を抑制することが可能な技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る物品保管設備は、容器から当該容器に収容された物品を取り出すピッキング作業が行われるピッキング作業エリアに対する前記物品の供給、及び、前記ピッキング作業の対象となり得る前記物品の保管を行う物品保管設備であって、前記ピッキング作業エリアに供給する対象となる前記容器を保管する第1保管庫と、前記第1保管庫よりも保管容量が大きく、前記第1保管庫に供給する対象となる前記容器を保管する第2保管庫と、前記ピッキング作業エリアと前記第1保管庫との間で前記容器を搬送する第1搬送装置と、前記第1保管庫と前記第2保管庫との間で前記容器を搬送する第2搬送装置と、前記第1保管庫、前記第2保管庫、前記第1搬送装置、及び、前記第2搬送装置を制御する制御システムと、を備え、前記物品の種類に応じて、前記ピッキング作業の対象となる頻度であるピッキング頻度が異なり、前記ピッキング作業の対象となることが決定した種類の前記物品をピッキング対象物品とし、前記ピッキング頻度が規定の第1頻度しきい値以上である種類の前記物品を第1種物品とし、前記ピッキング頻度が前記第1頻度しきい値未満である種類の前記物品を第2種物品として、前記制御システムは、出庫処理と、補充処理と、移動処理と、戻し処理と、を実行し、前記出庫処理は、前記ピッキング対象物品が収容された前記容器を前記第1保管庫から前記ピッキング作業エリアへ前記第1搬送装置を用いて搬送し、前記ピッキング作業が完了した前記容器を前記ピッキング作業エリアから前記第1保管庫へ前記第1搬送装置を用いて搬送する処理であり、前記補充処理は、前記第1保管庫にある前記第1種物品の数が規定の数量しきい値以下となった場合に、前記第2保管庫にある前記第1種物品を、前記容器に収容された状態で前記第1保管庫に入庫されるように、前記第2保管庫から前記第1保管庫へ前記第2搬送装置を用いて搬送する処理であり、前記移動処理は、前記第2種物品が前記ピッキング対象物品となった場合に、前記出庫処理のために、前記第2保管庫にある前記ピッキング対象物品となった前記第2種物品を、前記容器に収容された状態で前記第1保管庫に入庫されるように、前記第2保管庫から前記第1保管庫へ前記第2搬送装置を用いて搬送する処理であり、前記戻し処理は、前記出庫処理の完了に伴い前記第1保管庫へ戻された、前記第2種物品が収容された前記容器を、前記第1保管庫から前記第2保管庫へ前記第2搬送装置を用いて搬送する処理である。
【0008】
本構成によれば、ピッキング作業の対象となり得る物品が収容された容器を、第1保管庫に加えて、第1保管庫よりも保管容量が大きい第2保管庫にも保管することができるため、第1保管庫及び第2保管庫を含む保管庫全体の保管容量を大きく確保しやすい。ここで、第1保管庫は、第1搬送装置によってピッキング作業エリアとの間で容器を搬送可能な形態で設置する必要があるのに対して、第2保管庫にはそのような制約がなく、例えば物品保管設備の空きスペースを利用して配置することが容易となる等、第2保管庫は第1保管庫に比べて設置形態の自由度を高く確保しやすい。そのため、第2保管庫が設けられずに第1保管庫のみで必要とされる保管容量を確保する場合に比べて、物品保管設備の大型化を抑制しやすい。
【0009】
更に、本構成によれば、ピッキング頻度が第1頻度しきい値以上である種類の物品を第1種物品として、第1種物品に対して補充処理が実行されるため、第1保管庫には、基本的に常に、数量しきい値よりも多い個数の第1種物品が存在する。そのため、第1種物品がピッキング対象物品となった場合に、出庫処理の実行により、第1保管庫からピッキング作業エリアに第1種物品を比較的迅速に供給することができる。一方、本構成によれば、ピッキング頻度が第1頻度しきい値未満である種類の物品を第2種物品として、第2種物品に対して戻し処理が実行されるため、第2種物品は、基本的に、第1保管庫ではなく第2保管庫に保管される。そのため、第1保管庫の大規模化を抑制して、第1保管庫からピッキング作業エリアへの物品の供給効率の低下を抑制することができる。なお、第2種物品がピッキング対象物品となった場合には、第2保管庫からピッキング作業エリアに第2種物品を供給するために、出庫処理の前に移動処理を実行する必要があるが、第2種物品のピッキング頻度は第1種物品のピッキング頻度に比べて低い。そのため、第2種物品が第2保管庫に保管されるようにしても、ピッキング作業エリアへのピッキング対象物品の供給効率に与える影響は限定的である。
【0010】
以上のように、本構成によれば、物品保管設備の大型化やピッキング作業エリアに対する物品の供給効率の低下を抑制することが可能となっている。
【0011】
物品保管設備の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】物品保管設備の概念図
図2】制御ブロック図
図3】保管装置の一部の斜視図
図4】出庫処理の説明図
図5】補充処理の説明図
図6】移動処理及び戻し処理の説明図
図7】入庫処理の説明図
図8】その他の実施形態に係る物品保管設備の概念図
【発明を実施するための形態】
【0013】
物品保管設備の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
物品保管設備100は、ピッキング作業エリア2に対する物品Wの供給、及び、ピッキング作業の対象となり得る物品Wの保管を行う設備である。ピッキング作業エリア2では、容器5から当該容器5に収容された物品Wを取り出すピッキング作業が行われる。本実施形態では、ピッキング作業では、容器5から取り出された物品Wが仕分け容器6に収容される(図4等参照)。ピッキング作業を行う作業主体は、例えば、作業者及び作業装置の一方又は双方とされる。
【0015】
図1に示すように、物品保管設備100は、ピッキング作業エリア2に供給する対象となる容器5を保管する第1保管庫1Aと、第1保管庫1Aに供給する対象となる容器5を保管する第2保管庫1Bと、を備えている。第1保管庫1A及び第2保管庫1Bは自動倉庫であり、制御システム4(図2参照)の制御を受けて、出庫対象の容器5を自動で出庫し、入庫対象の容器5を自動で入庫する。
【0016】
第1保管庫1A及び第2保管庫1Bは、保管装置10を備えている。保管装置10の一例を図3に示す。図3において、第1方向D1及び第2方向D2は、互いに直交する水平方向であり、第3方向D3は、鉛直方向である。図3に示す保管装置10は、容器5を保管する保管棚11と、容器5を搬送する搬送装置12と、を備えている。保管棚11は、複数の容器5を第1方向D1(棚横幅方向)に並べて保管可能な保管部110を備えている。また、保管棚11は、第3方向D3の複数箇所に保管部110を備えており、保管装置10は、保管棚11における複数の段(棚段)のそれぞれに(具体的には、第3方向D3に並ぶ保管部110のそれぞれに)容器5を保管可能に構成されている。図3に示す例では、後述する搬送車Vの走行経路を挟んで第2方向D2(棚奥行方向)に対向するように一対の保管棚11が設置されている。
【0017】
保管装置10に入庫する容器5(言い換えれば、当該保管装置10が設けられた保管庫に入庫される容器5)は、保管装置10の外部から入庫部121に搬入され、保管装置10から出庫する容器5(言い換えれば、当該保管装置10が設けられた保管庫から出庫される容器5)は、出庫部123から保管装置10の外部に搬出される。搬送装置12は、保管装置10に入庫する容器5を入庫部121から保管部110に搬送し、保管装置10から出庫する容器5を保管部110から出庫部123に搬送する。図3に示す例では、搬送装置12は、入庫部121から中継コンベヤ125に容器5を搬送する搬入リフタ122と、中継コンベヤ125から出庫部123に容器5を搬送する搬出リフタ124と、中継コンベヤ125と保管部110との間で容器5を搬送する搬送車Vと、を備えている。
【0018】
中継コンベヤ125は、保管部110が配置された高さ(第3方向D3の位置)のそれぞれに設けられている。搬入リフタ122及び搬出リフタ124は、昇降可能に(すなわち、第3方向D3に移動可能に)構成されている。搬入リフタ122は、入庫部121に対応する高さに昇降した状態で入庫部121から容器5を受け取り、いずれかの中継コンベヤ125に対応する高さに昇降した状態で当該中継コンベヤ125に容器5を渡すことで、保管装置10に入庫する容器5を入庫部121から中継コンベヤ125に搬送する。搬出リフタ124は、いずれかの中継コンベヤ125に対応する高さに昇降した状態で当該中継コンベヤ125から容器5を受け取り、出庫部123に対応する高さに昇降した状態で出庫部123に容器5を渡すことで、保管装置10から出庫する容器5を中継コンベヤ125から出庫部123に搬送する。
【0019】
搬送車Vは、保管棚11の前面側(保管棚11に対して容器5が出し入れされる側)を第1方向D1に走行して、中継コンベヤ125と保管部110との間で容器5を搬送する。搬送車Vは、保管部110が配置された高さのそれぞれに設けられており、互いに同じ段の中継コンベヤ125と保管部110との間で(言い換えれば、互いに同じ高さに配置された中継コンベヤ125と保管部110との間で)容器5を搬送する。搬送車Vは、保管装置10に入庫する容器5を、中継コンベヤ125から保管部110に搬送し、保管装置10から出庫する容器5を、保管部110から中継コンベヤ125に搬送する。搬送車Vは移載装置120を備えており、搬送車Vと保管部110との間での容器5の移載は移載装置120を用いて行われる。図3に示す例では、搬送車Vと中継コンベヤ125との間での容器5の移載も移載装置120を用いて行われる。
【0020】
このように、図3に例示する保管装置10では、搬送車Vが、保管部110が配置された高さのそれぞれに設けられているが、保管装置10の構成はこれに限られず、例えば、搬送車Vを、入庫部121及び出庫部123のそれぞれと保管部110との間で容器5を搬送するスタッカークレーンとすることもできる。
【0021】
第2保管庫1Bは、第1保管庫1Aよりも保管容量が大きい。ここで、比較対象となる保管容量は、例えば、各保管庫における保管対象物(容器5等)の保管可能空間の容積とし、或いは、各保管庫における保管対象物の最大保管可能数とすることができる。例えば第1保管庫1A及び第2保管庫1Bが図3に示す保管装置10を備える場合、1つの保管装置10の保管容量は、保管棚11の第1方向D1の長さと、保管棚11の段数(言い換えれば、第3方向D3に並ぶ保管部110の数)と、に応じて定まる。具体的には、1つの保管装置10の保管容量は、保管棚11の第1方向D1の長さが大きくなるに従って大きくなると共に、保管棚11の段数が多くなるに従って大きくなる。また、第1保管庫1A及び第2保管庫1Bの保管容量は、各保管庫が備える保管装置10の数に応じて定まる。具体的には、1つの保管庫の保管容量は、当該保管庫が備える保管装置10の数が多くなるに従って大きくなる。
【0022】
図1に模式的に示すように、例えば、第2保管庫1Bが備える保管装置10の数が、第1保管庫1Aが備える保管装置10の数よりも多く、且つ、第2保管庫1Bが備える各保管装置10の保管棚11の第1方向D1の長さが、第1保管庫1Aが備える各保管装置10の保管棚11の第1方向D1の長さよりも大きくなるように、第1保管庫1A及び第2保管庫1Bを設けることで、第2保管庫1Bの保管容量が第1保管庫1Aの保管容量よりも大きい構成が実現される。
【0023】
図3に示すように、本実施形態では、容器5は、上面が開口する箱状(バケット状)に形成されている。容器5として、例えば、折り畳み可能な折り畳みコンテナを用いることができる。第1保管庫1A及び第2保管庫1Bの一方又は双方に、容器5以外の保管対象物が保管されてもよい。本実施形態では、第2保管庫1Bに、容器5に加えて、段ボール箱等のカートンケース7(図5参照)も保管される。また、本実施形態では、第2保管庫1Bに、容器5に加えて、ピッキング作業が完了した後の仕分け容器6(図6参照)も保管される。すなわち、第2保管庫1Bは、少なくとも容器5を保管し、本実施形態では、更に、カートンケース7及び仕分け容器6を保管する。仕分け容器6は、上面が開口する箱状(バケット状)に形成されている。仕分け容器6として、例えば、折り畳み可能な折り畳みコンテナを用いることができる。仕分け容器6を、容器5と同じ規格の容器としてもよい。
【0024】
図1に示すように、物品保管設備100は、ピッキング作業エリア2と第1保管庫1Aとの間で容器5を搬送する第1搬送装置3Aと、第1保管庫1Aと第2保管庫1Bとの間で容器5を搬送する第2搬送装置3Bと、を備えている。第1保管庫1Aが図3に例示する入庫部121及び出庫部123を備える場合、第1搬送装置3Aは、第1保管庫1Aの出庫部123からピッキング作業エリア2へ容器5を搬送し、ピッキング作業エリア2から第1保管庫1Aの入庫部121へ容器5を搬送する。また、第1保管庫1A及び第2保管庫1Bが図3に例示する入庫部121及び出庫部123を備える場合、第2搬送装置3Bは、第2保管庫1Bの出庫部123から第1保管庫1Aの入庫部121へ容器5を搬送し、第1保管庫1Aの出庫部123から第2保管庫1Bの入庫部121へ容器5を搬送する。
【0025】
図1に示す例では、第1搬送装置3A及び第2搬送装置3Bは、搬送対象物を一方向に搬送する。そのため、第1搬送装置3Aは、第1保管庫1Aからピッキング作業エリア2へ搬送対象物を搬送する搬送部分と、ピッキング作業エリア2から第1保管庫1Aへ搬送対象物を搬送する搬送部分とを、備えている。第2搬送装置3Bは、第2保管庫1Bから第1保管庫1Aへ搬送対象物を搬送する搬送部分と、第1保管庫1Aから第2保管庫1Bへ搬送対象物を搬送する搬送部分と、を備えている。
【0026】
本実施形態では、物品保管設備100は、更に、ピッキング作業エリア2と第2保管庫1Bとの間で仕分け容器6を搬送する第3搬送装置3Cと、ピッキング作業エリア2に仕分け容器6を搬入する第4搬送装置3Dと、第2保管庫1Bから仕分け容器6を搬出する第5搬送装置3Eと、第1保管庫1Aへ容器5を搬入する第6搬送装置3Fと、を備えている。
【0027】
第3搬送装置3Cは、ピッキング作業エリア2から第2保管庫1Bへ仕分け容器6を搬送する。第2保管庫1Bが図3に例示する入庫部121を備える場合、第3搬送装置3Cは、ピッキング作業エリア2から第2保管庫1Bの入庫部121へ仕分け容器6を搬送する。第4搬送装置3Dは、仕分け容器6の保管場所(搬送元の一例、図示せず)からピッキング作業エリア2へ仕分け容器6を搬送する。第5搬送装置3Eは、第2保管庫1Bから出荷作業が行われる出荷エリア(搬送先の一例、図示せず)へ仕分け容器6を搬送する。第5搬送装置3Eは、例えば、仕分け容器6を出荷順に第2保管庫1Bから出荷エリアへ搬送する。第2保管庫1Bが図3に例示する出庫部123を備える場合、第5搬送装置3Eは、第2保管庫1Bの出庫部123から出荷エリアへ仕分け容器6を搬送する。第6搬送装置3Fは、容器5が平置きされた平置きエリア(搬送元の一例、図示せず)から第1保管庫1Aへ容器5を搬送する。第1保管庫1Aが図3に例示する入庫部121を備える場合、第6搬送装置3Fは、平置きエリアから第1保管庫1Aの入庫部121へ容器5を搬送する。
【0028】
物品保管設備100が備えるこれら6つの搬送装置(具体的には、第1搬送装置3A、第2搬送装置3B、第3搬送装置3C、第4搬送装置3D、第5搬送装置3E、及び、第6搬送装置3F)は、制御システム4(図2参照)の制御を受けて、搬送対象物(容器5や仕分け容器6等)を搬送する。これら6つの搬送装置のそれぞれは、例えば、ベルトコンベヤやローラコンベヤ等のコンベヤとされ、或いは、無人搬送車等の搬送車とされる。なお、これら6つの搬送装置は、少なくとも概念的に区別されるものであり、2つ以上の搬送装置が共通の搬送部分を備えていてもよい。
【0029】
図2に示すように、物品保管設備100は、制御システム4を備えている。制御システム4は、CPU等の演算処理装置を備えると共にメモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により、制御システム4の各機能が実現される。なお、制御システム4は、1つのハードウェアではなく、互いに通信可能な複数のハードウェア(複数の分離したハードウェア)の集合によって構成されてもよい。また、制御システム4の少なくとも一部が、制御システム4の制御対象物と一体的に設けられてもよい。本明細書で開示する制御システム4の技術的特徴は、物品保管設備100の制御方法にも適用可能であり、物品保管設備100の制御方法も本明細書に開示されている。この制御方法には、制御システム4が後述する各処理(具体的には、出庫処理P1、補充処理P2、移動処理P3、戻し処理P4、事前情報取得処理、入庫処理P5、及び、作業後処理P6)を実行する工程が含まれる。
【0030】
制御システム4は、第1保管庫1A及び第2保管庫1Bを制御する。制御システム4は、第1保管庫1Aにおける保管対象物の入出庫動作と、第2保管庫1Bにおける保管対象物の入出庫動作と、を制御する。具体的には、第1保管庫1Aに設けられた機器コントローラ(例えば、搬送装置12に設けられた機器コントローラ)が、制御システム4からの指令に応じて第1保管庫1Aに設けられた駆動力源(例えば、搬送装置12に設けられた電動モータ)の駆動を制御することで、第1保管庫1Aにおける保管対象物の入出庫動作が制御される。第2保管庫1Bにおける保管対象物の入出庫動作も同様に制御される。
【0031】
また、制御システム4は、第1搬送装置3A及び第2搬送装置3Bを制御する。本実施形態では、制御システム4は、更に、第3搬送装置3C、第4搬送装置3D、第5搬送装置3E、及び、第6搬送装置3Fを制御する。制御システム4は、これらの搬送装置における搬送対象物の搬送動作を制御する。具体的には、第1搬送装置3Aに設けられた機器コントローラが、制御システム4からの指令に応じて第1搬送装置3Aに設けられた駆動力源(例えば、電動モータ)の駆動を制御することで、第1搬送装置3Aにおける搬送対象物の搬送動作が制御される。第1搬送装置3A以外の搬送装置における搬送対象物の搬送動作も同様に制御される。
【0032】
ここで、ピッキング作業の対象となることが決定した種類の物品Wを、ピッキング対象物品WPとする。ピッキング作業の対象となる物品Wの種類は、オーダーに基づいて決定される。本実施形態では、管理装置8(図2参照)が、物品Wの出荷先からの注文に基づいてオーダーを生成し、生成したオーダーの情報を出荷先に対応付けて管理している。オーダーには、物品Wの種類の情報と、種類毎の物品Wの数の情報と、が含まれている。すなわち、オーダーでは、物品Wの種類と、種類毎の物品Wの数と、が指定されている。制御システム4は、管理装置8からオーダーの情報を取得し、当該オーダーに含まれる物品Wの種類を、ピッキング作業の対象となる物品Wの種類として決定する。そして、ピッキング作業によって、オーダーに従って定まる種類及び数の物品Wが仕分け容器6に収容される。
【0033】
ピッキング作業の対象となる頻度であるピッキング頻度は、通常、物品Wの種類に応じて異なる。例えば、売れ筋の物品Wは他の物品Wに比べてピッキング頻度が高くなる傾向がある。また、同じ物品Wであっても、当該物品Wが季節商品である場合には、繁忙期のピッキング頻度が閑散期のピッキング頻度よりも高くなりやすい。このように、物品Wの種類に応じて、ピッキング作業の対象となる頻度であるピッキング頻度は異なる。本実施形態では、物品Wを、ピッキング頻度に応じて、第1種物品W1、第2種物品W2、及び第3種物品W3の3つの物品区分に分類している。各物品Wのピッキング頻度は、例えば、実績値に基づき設定し、又は予測値に基づき設定し、或いは実績値と予測値との双方に基づき設定することができる。
【0034】
ここで、第1種物品W1は、ピッキング頻度が規定の第1頻度しきい値以上である種類の物品Wである。第2種物品W2は、ピッキング頻度が第1頻度しきい値未満である種類の物品Wであり、本実施形態では、ピッキング頻度が第1頻度しきい値未満であり且つ第1頻度しきい値よりも低い規定の第2頻度しきい値以上である種類の物品Wである。第3種物品W3は、ピッキング頻度が第2頻度しきい値未満である種類の物品Wである。本実施形態では、第2保管庫1Bに保管するのに適していない形状の物品Wも、第3種物品W3としている。例えば、長尺物等の特殊な形状(荷姿)の物品Wが、第2保管庫1Bに保管するのに適していない形状の物品Wとなる。このように、本実施形態では、第2保管庫1Bに保管するのに適していない形状の物品Wは、ピッキング頻度にかかわらず、第3種物品W3に分類され、それ以外の物品Wは、ピッキング頻度に応じて、第1種物品W1、第2種物品W2、又は第3種物品W3に分類される。
【0035】
1つの容器5には、同じ種類の物品Wが収容される。すなわち、物品Wは種類別に容器5に収容される。本実施形態では、1つの容器5には、1種類の物品Wが収容されている。なお、同じ物品区分に分類される複数種類の物品W(例えば、第1種物品W1に分類される2種類の物品W)が、1つの容器5に仕切り板等で仕切られた状態で収容される構成とすることもできる。
【0036】
制御システム4は、出庫処理P1と、補充処理P2と、移動処理P3と、戻し処理P4と、を実行する。本実施形態では、制御システム4は、更に、入庫処理P5と、作業後処理P6と、を実行する。制御システム4は、第1保管庫1Aや第2保管庫1Bに保管されている保管対象物のそれぞれについて、保管対象物の保管位置の情報と、当該保管対象物に収容されている物品Wの種類の情報と、を関連付けたデータを生成して管理している。制御システム4は、管理装置8から取得したオーダーの情報に基づき、当該オーダーで指定された種類の物品Wがピッキング作業エリア2に供給されるように上記の各処理を実行する。
【0037】
出庫処理P1は、ピッキング対象物品WPが収容された容器5を第1保管庫1Aからピッキング作業エリア2へ第1搬送装置3Aを用いて搬送し、ピッキング作業が完了した容器5をピッキング作業エリア2から第1保管庫1Aへ第1搬送装置3Aを用いて搬送する処理である(図4図6図7参照)。ピッキング作業エリア2では、オーダーで指定された数のピッキング対象物品WPを、ピッキング作業エリア2に搬入された容器5から取り出して仕分け容器6に収容するピッキング作業(仕分け作業)が行われる。
【0038】
図4に示す出庫処理P1は、第1種物品W1がピッキング対象物品WPとなった場合の出庫処理P1である。出庫処理P1の完了に伴い第1保管庫1Aへ戻された、第1種物品W1が収容された容器5は、第1保管庫1Aに保管される。図6に示す出庫処理P1は、第2種物品W2がピッキング対象物品WPとなった場合の出庫処理P1である。出庫処理P1の完了に伴い第1保管庫1Aへ戻された、第2種物品W2が収容された容器5は、後述する戻し処理P4の実行により第2保管庫1Bへ戻されて第2保管庫1Bに保管される。
【0039】
図7に示す出庫処理P1は、第3種物品W3がピッキング対象物品WPとなった場合の出庫処理P1である。図7では、ピッキング作業によって全ての物品Wが容器5から取り出される場合(すなわち、ピッキング作業によって容器5が空になる場合)を想定している。このような場合、制御システム4が、出庫処理P1において、ピッキング作業が完了した容器5をピッキング作業エリア2から第1保管庫1Aへ第1搬送装置3Aを用いて搬送する処理は行わずに、当該容器5を第1保管庫1Aとは別の場所(例えば、空になった容器5を集める場所)に搬送する処理を行う構成とすることもできる。
【0040】
補充処理P2は、第1保管庫1Aにある第1種物品W1の数が規定の数量しきい値以下となった場合に、第2保管庫1Bにある第1種物品W1を、容器5に収容された状態で第1保管庫1Aに入庫されるように、第2保管庫1Bから第1保管庫1Aへ第2搬送装置3Bを用いて搬送する処理である(図5参照)。制御システム4は、第1種物品W1のそれぞれについて、補充処理P2を実行する。例えば、互いに異なる種類の2つの物品Wである第1対象物品及び第2対象物品が第1種物品W1である場合、以下のように第1対象物品及び第2対象物品のそれぞれについての補充処理P2が実行される。すなわち、第1種物品W1である第1対象物品の数(第1保管庫1Aにある数)が数量しきい値以下となった場合、第1対象物品についての補充処理P2が実行され、第1対象物品が容器5に収容された状態で第1保管庫1Aに入庫される。また、別の第1種物品W1である第2対象物品の数(第1保管庫1Aにある数)が数量しきい値以下となった場合、第2対象物品についての補充処理P2が実行され、第2対象物品が容器5に収容された状態で第1保管庫1Aに入庫される。
【0041】
本実施形態では、第1種物品W1は、カートンケース7(図5参照)に収容された状態で第2保管庫1Bに保管されている。そのため、補充処理P2では、第1種物品W1はカートンケース7に収容された状態で第2保管庫1Bから出庫される。そして、当該第1種物品W1が第2搬送装置3Bによって第1保管庫1Aへ搬送されるまでの間に、当該第1種物品W1をカートンケース7から取り出して容器5に収容する作業が行われる(図5参照)。これにより、第2保管庫1Bから出庫された第1種物品W1は、容器5に収容された状態で第1保管庫1Aに入庫される。第2搬送装置3B(具体的には、第2保管庫1Bから第1保管庫1Aへ搬送対象物を搬送する搬送部分)は、上記のように物品Wをカートンケース7から容器5に移す作業が行われる箇所を経由するように設けられている。この作業は、作業者によって行われても作業装置によって行われてもよい。
【0042】
なお、第1種物品W1が容器5に収容された状態で第2保管庫1Bに保管される構成とすることもできる。この場合、補充処理P2では、第1種物品W1は、容器5に収容された状態で第2保管庫1Bから出庫された後、当該容器5に収容された状態のまま第1保管庫1Aに入庫される。
【0043】
移動処理P3は、第2種物品W2がピッキング対象物品WPとなった場合に、出庫処理P1のために、第2保管庫1Bにあるピッキング対象物品WPとなった第2種物品W2を、容器5に収容された状態で第1保管庫1Aに入庫されるように、第2保管庫1Bから第1保管庫1Aへ第2搬送装置3Bを用いて搬送する処理である(図6参照)。移動処理P3によって容器5に収容された状態で第1保管庫1Aに入庫された第2種物品W2は、その後実行される出庫処理P1によってピッキング作業エリア2へ搬送される。
【0044】
制御システム4が後述する戻し処理P4を実行するため、ピッキング対象物品WPとなった第2種物品W2が、容器5に収容された状態で第2保管庫1Bに保管されている場合がある。図6では、このような場合を想定しており、移動処理P3では、ピッキング対象物品WPとなった第2種物品W2は、容器5に収容された状態で第2保管庫1Bから出庫された後、当該容器5に収容された状態のまま第1保管庫1Aに入庫される。
【0045】
ピッキング対象物品WPとなった第2種物品W2が収容された容器5と、ピッキング対象物品WPとなった第2種物品W2が収容されたカートンケース7との双方が、第2保管庫1Bに存在する場合、移動処理P3では、第2種物品W2が収容された容器5を第2保管庫1Bから第1保管庫1Aへ搬送する。一方、ピッキング対象物品WPとなった第2種物品W2が収容された容器5が第2保管庫1Bに存在しない場合には、移動処理P3では、ピッキング対象物品WPとなった第2種物品W2が収容されたカートンケース7を第2保管庫1Bから出庫する。そして、当該第2種物品W2が第2搬送装置3Bによって第1保管庫1Aへ搬送されるまでの間に、当該第2種物品W2をカートンケース7から取り出して容器5に収容する作業が行われる。これにより、第2保管庫1Bから出庫された第2種物品W2は、容器5に収容された状態で第1保管庫1Aに入庫される。
【0046】
本実施形態では、制御システム4は、出庫処理P1における、ピッキング対象物品WPが収容された容器5の第1保管庫1Aからピッキング作業エリア2への搬送を開始する前に、ピッキング作業の対象となることが予定されている物品Wの種類の情報を取得する事前情報取得処理を実行するように構成されている。そして、制御システム4は、事前情報取得処理により取得した情報に基づいて、移動処理P3を実行するように構成されている。これにより、ピッキング作業の対象となることが予定されている物品Wの中に第2種物品W2が含まれている場合に、出庫処理P1が開始されるよりも前に移動処理P3を開始して、当該第2種物品W2を第2保管庫1Bから第1保管庫1Aに移動させることが可能となっている。
【0047】
具体的には、制御システム4は、管理装置8から一定の期間分(例えば、1日分)のオーダーの情報をまとめて取得することで、ピッキング作業の対象となることが予定されている物品Wの種類の情報を、出庫処理P1における上記の搬送を開始する前に取得する。そして、制御システム4は、ピッキング作業の対象となることが予定されている物品Wの中に含まれる第2種物品W2のそれぞれについて、移動処理P3を実行する。
【0048】
戻し処理P4は、出庫処理P1の完了に伴い第1保管庫1Aへ戻された、第2種物品W2が収容された容器5を、第1保管庫1Aから第2保管庫1Bへ第2搬送装置3Bを用いて搬送する処理である(図6参照)。戻し処理P4により第2保管庫1Bへ戻された容器5は、第2保管庫1Bに保管される。
【0049】
本実施形態では、制御システム4は、第2種物品W2が収容された容器5についての出庫処理P1が完了した場合であっても、事前情報取得処理により取得した情報に基づいて、規定の時間内に同じ第2種物品W2がピッキング対象物品WPとなることが予定されている場合には、次の出庫処理P1(当該第2種物品W2が収容された容器5についての出庫処理P1)が完了するまで戻し処理P4を実行しないように構成されている。そのため、この第2種物品W2がその後ピッキング対象物品WPとなった際に、移動処理P3を実行することなく当該第2種物品W2が収容された容器5をピッキング作業エリア2に供給することが可能となっている。なお、上記の規定の時間は、例えば30分や1時間とされる。
【0050】
入庫処理P5は、ピッキング対象物品WPとなった第3種物品W3が収容された容器5を、第1保管庫1Aへ入庫する処理である(図7参照)。制御システム4は、第3種物品W3がピッキング対象物品WPとなった場合に、出庫処理P1のために入庫処理P5を実行する。本実施形態では、入庫処理P5では、ピッキング対象物品WPとなった第3種物品W3が収容された容器5を、第6搬送装置3Fを用いて第1保管庫1Aへ搬送する。入庫処理P5によって第1保管庫1Aへ入庫された第3種物品W3は、その後実行される出庫処理P1によってピッキング作業エリア2へ搬送される。
【0051】
本実施形態では、入庫処理P5では、オーダーで指定された数と同じ数の第3種物品W3が収容された容器5(図7に示す例では、2つの第3種物品W3が収容された容器5)を、第1保管庫1Aへ入庫する。そのため、ピッキング作業によって当該容器5は空となる。
【0052】
作業後処理P6は、ピッキング作業が完了した後の仕分け容器6を、ピッキング作業エリア2から第2保管庫1Bへ第3搬送装置3Cを用いて搬送する処理である(図4図6図7参照)。ピッキング作業が完了した仕分け容器6には、オーダーに従って定まる種類及び数の物品Wが収容されている。第2保管庫1Bへ搬送された仕分け容器6は、出荷エリアへ搬送されるまでの間、第2保管庫1Bに保管される。
【0053】
〔その他の実施形態〕
次に、物品保管設備のその他の実施形態について説明する。
【0054】
(1)上記の実施形態では、第3搬送装置3Cが、ピッキング作業エリア2と第2保管庫1Bとの間で仕分け容器6を搬送する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、図8に示すように、物品保管設備100が、第1保管庫1A及び第2保管庫1Bとは別に第3保管庫1Cを備え、第3搬送装置3Cが、ピッキング作業エリア2と第3保管庫1Cとの間で仕分け容器6を搬送する構成とすることもできる。この場合、制御システム4は、上記実施形態での作業後処理P6に代えて、ピッキング作業が完了した後の仕分け容器6を、ピッキング作業エリア2から第3保管庫1Cへ第3搬送装置3Cを用いて搬送する処理を実行する。よって、ピッキング作業が完了した後の仕分け容器6は、第3保管庫1Cから出荷エリアへ第5搬送装置3Eを用いて搬送されるまでの間、第3保管庫1Cに保管される。
【0055】
(2)上記の実施形態では、第2種物品W2を、ピッキング頻度が第1頻度しきい値未満であり且つ第1頻度しきい値よりも低い規定の第2頻度しきい値以上である種類の物品Wとする構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第2種物品W2を、ピッキング頻度が第1頻度しきい値未満である種類の物品Wとすることもできる。すなわち、物品Wを、ピッキング頻度に応じて、第1種物品W1、第2種物品W2、及び第3種物品W3の3つの物品区分に分類することに代えて、物品Wを、ピッキング頻度に応じて、第1種物品W1及び第2種物品W2の2つの物品区分に分類することもできる。この場合、第2保管庫1Bに保管するのに適していない形状の物品Wは、上記の実施形態と同様に第3種物品W3に分類されるものの、それ以外の物品Wは、基本的に、ピッキング頻度に応じて第1種物品W1又は第2種物品W2に分類される。
【0056】
(3)上記の実施形態では、制御システム4が、第2種物品W2が収容された容器5についての出庫処理P1が完了した場合であっても、事前情報取得処理により取得した情報に基づいて、規定の時間内に同じ第2種物品W2がピッキング対象物品WPとなることが予定されている場合には、次の出庫処理P1が完了するまで戻し処理P4を実行しない構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、規定の時間内に同じ第2種物品W2がピッキング対象物品WPとなることが予定されている場合であっても、当該第2種物品W2が収容された容器5についての戻し処理P4を実行する構成とすることもできる。
【0057】
(4)上記の実施形態では、制御システム4が、出庫処理P1における容器5の第1保管庫1Aからピッキング作業エリア2への搬送を開始する前に事前情報取得処理を実行し、事前情報取得処理により取得した情報に基づいて移動処理P3を実行する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、制御システム4が事前情報取得処理により取得した情報に基づく移動処理P3を実行しない構成とすることや、制御システム4が事前情報取得処理を実行しない構成とすることもできる。
【0058】
(5)上記の実施形態では、制御システム4が、入庫処理P5を実行する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、ピッキング対象物品WPとなった第3種物品W3が、ピッキング作業エリア2へ直接搬送される構成とすることもできる。
【0059】
(6)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0060】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品保管設備の概要について説明する。
【0061】
容器から当該容器に収容された物品を取り出すピッキング作業が行われるピッキング作業エリアに対する前記物品の供給、及び、前記ピッキング作業の対象となり得る前記物品の保管を行う物品保管設備であって、前記ピッキング作業エリアに供給する対象となる前記容器を保管する第1保管庫と、前記第1保管庫よりも保管容量が大きく、前記第1保管庫に供給する対象となる前記容器を保管する第2保管庫と、前記ピッキング作業エリアと前記第1保管庫との間で前記容器を搬送する第1搬送装置と、前記第1保管庫と前記第2保管庫との間で前記容器を搬送する第2搬送装置と、前記第1保管庫、前記第2保管庫、前記第1搬送装置、及び、前記第2搬送装置を制御する制御システムと、を備え、前記物品の種類に応じて、前記ピッキング作業の対象となる頻度であるピッキング頻度が異なり、前記ピッキング作業の対象となることが決定した種類の前記物品をピッキング対象物品とし、前記ピッキング頻度が規定の第1頻度しきい値以上である種類の前記物品を第1種物品とし、前記ピッキング頻度が前記第1頻度しきい値未満である種類の前記物品を第2種物品として、前記制御システムは、出庫処理と、補充処理と、移動処理と、戻し処理と、を実行し、前記出庫処理は、前記ピッキング対象物品が収容された前記容器を前記第1保管庫から前記ピッキング作業エリアへ前記第1搬送装置を用いて搬送し、前記ピッキング作業が完了した前記容器を前記ピッキング作業エリアから前記第1保管庫へ前記第1搬送装置を用いて搬送する処理であり、前記補充処理は、前記第1保管庫にある前記第1種物品の数が規定の数量しきい値以下となった場合に、前記第2保管庫にある前記第1種物品を、前記容器に収容された状態で前記第1保管庫に入庫されるように、前記第2保管庫から前記第1保管庫へ前記第2搬送装置を用いて搬送する処理であり、前記移動処理は、前記第2種物品が前記ピッキング対象物品となった場合に、前記出庫処理のために、前記第2保管庫にある前記ピッキング対象物品となった前記第2種物品を、前記容器に収容された状態で前記第1保管庫に入庫されるように、前記第2保管庫から前記第1保管庫へ前記第2搬送装置を用いて搬送する処理であり、前記戻し処理は、前記出庫処理の完了に伴い前記第1保管庫へ戻された、前記第2種物品が収容された前記容器を、前記第1保管庫から前記第2保管庫へ前記第2搬送装置を用いて搬送する処理である。
【0062】
本構成によれば、ピッキング作業の対象となり得る物品が収容された容器を、第1保管庫に加えて、第1保管庫よりも保管容量が大きい第2保管庫にも保管することができるため、第1保管庫及び第2保管庫を含む保管庫全体の保管容量を大きく確保しやすい。ここで、第1保管庫は、第1搬送装置によってピッキング作業エリアとの間で容器を搬送可能な形態で設置する必要があるのに対して、第2保管庫にはそのような制約がなく、例えば物品保管設備の空きスペースを利用して配置することが容易となる等、第2保管庫は第1保管庫に比べて設置形態の自由度を高く確保しやすい。そのため、第2保管庫が設けられずに第1保管庫のみで必要とされる保管容量を確保する場合に比べて、物品保管設備の大型化を抑制しやすい。
【0063】
更に、本構成によれば、ピッキング頻度が第1頻度しきい値以上である種類の物品を第1種物品として、第1種物品に対して補充処理が実行されるため、第1保管庫には、基本的に常に、数量しきい値よりも多い個数の第1種物品が存在する。そのため、第1種物品がピッキング対象物品となった場合に、出庫処理の実行により、第1保管庫からピッキング作業エリアに第1種物品を比較的迅速に供給することができる。一方、本構成によれば、ピッキング頻度が第1頻度しきい値未満である種類の物品を第2種物品として、第2種物品に対して戻し処理が実行されるため、第2種物品は、基本的に、第1保管庫ではなく第2保管庫に保管される。そのため、第1保管庫の大規模化を抑制して、第1保管庫からピッキング作業エリアへの物品の供給効率の低下を抑制することができる。なお、第2種物品がピッキング対象物品となった場合には、第2保管庫からピッキング作業エリアに第2種物品を供給するために、出庫処理の前に移動処理を実行する必要があるが、第2種物品のピッキング頻度は第1種物品のピッキング頻度に比べて低い。そのため、第2種物品が第2保管庫に保管されるようにしても、ピッキング作業エリアへのピッキング対象物品の供給効率に与える影響は限定的である。
【0064】
以上のように、本構成によれば、物品保管設備の大型化やピッキング作業エリアに対する物品の供給効率の低下を抑制することが可能となっている。
【0065】
ここで、前記制御システムは、前記出庫処理における、前記ピッキング対象物品が収容された前記容器の前記第1保管庫から前記ピッキング作業エリアへの搬送を開始する前に、前記ピッキング作業の対象となることが予定されている前記物品の種類の情報を取得する事前情報取得処理を更に実行し、前記制御システムは、前記事前情報取得処理により取得した情報に基づいて、前記移動処理を実行すると好適である。
【0066】
本構成によれば、ピッキング作業の対象となることが予定されている物品の中に第2種物品が含まれている場合に、出庫処理が開始されるよりも前に移動処理を開始して、当該第2種物品を第2保管庫から第1保管庫に移動させることができる。よって、当該第2種物品がその後ピッキング対象物品となった際に、当該第2種物品をピッキング作業エリアに迅速に供給することができ、ピッキング作業エリアに対する物品の供給効率の向上を図ることができる。
【0067】
上記のように、前記制御システムが、前記事前情報取得処理により取得した情報に基づいて、前記移動処理を実行する構成において、前記制御システムは、前記第2種物品が収容された前記容器についての前記出庫処理が完了した場合であっても、前記事前情報取得処理により取得した情報に基づいて、規定の時間内に同じ前記第2種物品が前記ピッキング対象物品となることが予定されている場合には、次の前記出庫処理が完了するまで前記戻し処理を実行しないと好適である。
【0068】
本構成によれば、出庫処理により第1保管庫に戻された第2種物品が、規定の時間内にピッキング対象物品となることが予定されている場合に、当該第2種物品を第2保管庫に戻さずに第1保管庫に保管しておくことができる。よって、戻し処理及び移動処理の回数を少なく抑えて第1保管庫と第2保管庫との間での容器の搬送を効率的に行うことができると共に、当該第2種物品がその後ピッキング対象物品となった際に、当該第2種物品をピッキング作業エリアに迅速に供給することができる。
【0069】
上記の各構成の物品保管設備において、前記第2種物品は、前記ピッキング頻度が前記第1頻度しきい値未満であり且つ前記第1頻度しきい値よりも低い規定の第2頻度しきい値以上である種類の前記物品であり、前記ピッキング頻度が前記第2頻度しきい値未満である種類の前記物品、及び、前記第2保管庫に保管するのに適していない形状の前記物品を、第3種物品として、前記制御システムは、前記第3種物品が前記ピッキング対象物品となった場合に、前記出庫処理のために、前記ピッキング対象物品となった前記第3種物品が収容された前記容器を前記第1保管庫へ入庫する入庫処理を実行すると好適である。
【0070】
本構成によれば、第3種物品がピッキング対象物品となった場合に、入庫処理及び出庫処理を実行することで、第3種物品をピッキング作業エリアに適切に供給することができる。なお、本構成では、ピッキング頻度が第2頻度しきい値未満である種類の物品を第2保管庫に保管しないようにすることで、ピッキング頻度が低い物品のために第2保管庫が大規模化することを抑制して、物品保管設備の大型化を抑制することができる。また、本構成では、第2保管庫に保管するのに適していない形状の物品を第2保管庫に保管しないようにすることで、第2保管庫における容器の搬送を適切に行うことができる。
【0071】
また、前記ピッキング作業では、前記容器から取り出された前記物品が仕分け容器に収容され、前記ピッキング作業エリアと前記第2保管庫との間で前記仕分け容器を搬送する第3搬送装置を更に備え、前記制御システムは、前記ピッキング作業が完了した後の前記仕分け容器を、前記ピッキング作業エリアから前記第2保管庫へ前記第3搬送装置を用いて搬送する作業後処理を実行すると好適である。
【0072】
本構成によれば、ピッキング作業が完了した後の仕分け容器を保管するための保管庫を別に設ける必要がないため、物品搬送設備の小型化を図りやすい。
【0073】
本開示に係る物品保管設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0074】
1A:第1保管庫
1B:第2保管庫
2:ピッキング作業エリア
3A:第1搬送装置
3B:第2搬送装置
3C:第3搬送装置
4:制御システム
5:容器
6:仕分け容器
100:物品保管設備
P1:出庫処理
P2:補充処理
P3:移動処理
P4:戻し処理
P5:入庫処理
P6:作業後処理
W:物品
WP:ピッキング対象物品
W1:第1種物品
W2:第2種物品
W3:第3種物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8