(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180085
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】硬貨入金装置
(51)【国際特許分類】
G07D 3/00 20060101AFI20221129BHJP
G07D 3/14 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G07D3/00 C
G07D3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086999
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】増田 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】池本 保則
(72)【発明者】
【氏名】小島 哲
(72)【発明者】
【氏名】林 誠
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141GA02
3E141GA06
3E141JA10
3E141KA06
3E141LA67
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、硬貨の大量入金に際して、多量の余剰硬貨が存在した場合であっても、余剰硬貨を速やかに回収することができる硬貨入金装置を提供する。
【解決手段】投入硬貨を計数する硬貨計数部4と、硬貨計数部4による計数結果に基づいて、硬貨計数部4により計数された硬貨を一時貯留部または返却部に振り分けて収納させる振分部7であって、硬貨計数部4による計数結果に基づき余剰硬貨とされた硬貨を返却部に振り分ける振分部7と、一時貯留部に収納された硬貨を金庫に収納し、余剰硬貨を返却部に収納するとともに、返却可能にする制御部141とを有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入硬貨を計数する計数部と、
前記計数部による計数結果に基づいて、前記計数部により計数された前記硬貨を一時貯留部または返却部に振り分けて収納させる振分部であって、前記計数部による計数結果に基づき余剰硬貨とされた硬貨を前記返却部に振り分ける振分部と、
前記一時貯留部に収納された硬貨を金庫に収納するとともに、前記余剰硬貨を前記返却部に収納し、返却可能にする入金制御部と
を有することを特徴とする硬貨入金装置。
【請求項2】
前記計数部は、投入硬貨を計数するとともに真の硬貨であるか否かを識別し、
前記計数部により真の硬貨ではないと識別された硬貨を返却するリジェクト部
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の硬貨入金装置。
【請求項3】
前記入金制御部は、前記返却部に収納された余剰硬貨についての情報を提示する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の硬貨入金装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨入金装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的なATM(Automatic Teller Machine)においては、小口(小数枚数)の硬貨の入出金が可能である。他方で、利用者によっては、大量の硬貨を入金する場合があり、ATMとは別に、硬貨入金装置を横付けして、大量の硬貨の入金を可能とする運用がなされている。
【0003】
特許文献1には、大量の硬貨を入金可能な硬貨入金装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような運用においても、一般的に、一度の取引で受け入れ可能な硬貨の量(枚数)は制限されており、この制限量を大きく超えて硬貨を投入した場合、受け入れ不可能な多量の余剰硬貨が存在することになる。
【0006】
そこで、本発明は、硬貨の大量入金に際して、多量の余剰硬貨が存在した場合であっても、余剰硬貨を速やかに回収することができる硬貨入金装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点は、投入硬貨を計数する計数部と、前記計数部による計数結果に基づいて、前記計数部により計数された前記硬貨を一時貯留部または返却部に振り分けて収納させる振分部であって、前記計数部による計数結果に基づき余剰硬貨とされた硬貨を前記返却部に振り分ける振分部と、前記一時貯留部に収納された硬貨を金庫に収納するとともに、前記余剰硬貨を前記返却部に収納し、返却可能にする入金制御部とを有する硬貨入金装置である。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明によれば、硬貨の大量入金に際して、多量の余剰硬貨が存在した場合であっても、余剰硬貨を速やかに回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態の硬貨入金装置の外観斜視図である。
【
図2】本実施の形態の硬貨入金装置の内部を真上から見た図である。
【
図3】本実施の形態の硬貨入金装置を右方向から見た構成図である。
【
図4】本実施の形態の
図1の硬貨入金装置の断面A-Aである。
【
図5】本実施の形態の硬貨入金装置の硬貨を収納する構成を説明するための説明図である。
【
図6】本実施の形態の装置本体の制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【
図7】本実施の形態の硬貨入金装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図8】本実施の形態の硬貨入金装置の一時貯留部、一時庫底板、シュート空間枠の動作の説明図で(b)は前後方向から見た図で(a)は(b)の上方から見た図である。
【
図9】本実施の形態の硬貨入金装置の硬貨を収納する構成を説明するための説明図である。
【
図10】本実施の形態の硬貨入金装置の一時貯留部、一時庫底板、シュート空間枠の動作の説明図で(b)は前後方向から見た図で(a)は(b)の上方から見た図である。
【
図11】本実施の形態の硬貨入金装置の一時貯留部、一時庫底板、シュート空間枠の動作の説明図で(b)は前後方向から見た図で(a)は(b)の上方から見た図である。
【
図12】本実施の形態の硬貨入金装置の一時貯留部、一時庫底板、シュート空間枠の動作の説明図で(b)は前後方向から見た図で(a)は(b)の上方から見た図である。
【
図13】本実施の形態の硬貨入金装置の硬貨を収納する構成を説明するための説明図である。
【
図14】本実施の形態の硬貨入金装置のシャッタの変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する本実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想(構造、配置)は、下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。図面は模式的なものであり、装置やシステムの構成等は現実のものとは異なる。また、既に公知な技術は説明を省略する。前後左右は、硬貨入金装置1の前(操作者が操作する場所から見て手前側)、硬貨入金装置1の後(操作者から見て奥側)および硬貨入金装置1の左右(操作者から見て左右)である。また、上下は前後、左右方向に垂直な方向をいうもので各図面に方向を座標で示す。
【0011】
<硬貨入金装置1の概略構成>
図1は本実施の形態の硬貨入金装置1の外観斜視図である。
図2は硬貨入金装置1の内部を真上から見た図である。
図3は硬貨入金装置1の内部を右方向から見た構成図である。
図4は本実施の形態の
図1の硬貨入金装置の断面A-Aである。
図5は硬貨入金装置1の硬貨を収納する構成を説明するための図である。硬貨入金装置1は、装置本体2と、装置本体2に対し着脱可能な台車3とを有している(
図1)。
【0012】
ATMを含む金融機関のシステムでは、硬貨の大量入金を可能とする運用がなされているが、金融機関において、入金できる硬貨の上限枚数(以下、入金限度枚数と称する)が設けられている。なお入金限度枚数は、金融機関ごとに決められている場合もあれば、硬貨入金装置ごとに決められている場合もある。さらには、金融機関と利用者の契約により、利用者ごとに決められている場合がある。
【0013】
硬貨入金装置1は、入金限度枚数を超える硬貨(以下、余剰硬貨と称する)の入金があっても、余剰硬貨を速やかに回収することができる。硬貨入金装置1(
図1)において、シャッタ2aを介して投入された硬貨のうち、真の硬貨の枚数が、入金限度枚数を超えた場合、入金限度枚数までの硬貨は、台車3に積載された金庫12b、12cに収納される。金庫12b、12cに収納された硬貨は金融機関によって回収される。また入金限度枚数を超える真の硬貨は、返却部10に収納される。返却部10は引き出し可能となっており、返却部10に収納された硬貨は利用者に返却される。また真の硬貨ではない硬貨はリジェクトボックス6に収納される。リジェクトボックス6は引き出し可能となっており、リジェクトボックス6に収納された真の硬貨ではない硬貨は利用者に返却される。
【0014】
台車3(
図1)は、下部に設けられたキャスタ31を転動させることで、装置本体2に対し前面側に引き出される。さらに装置本体2から取り外されて運搬される一方、前面側から装填されることで装置本体2に装着されるようになっている。台車3には、前後方向に並設して金庫12b、12cが設けられている。
【0015】
装置本体2の構成について説明する。硬貨計数部4(
図2,3)は、ホッパ41、回転円盤42、硬貨分離部43、硬貨通路44および識別計数部45を有する。ホッパ41は、シャッタ2aの直下に設けられ投入された硬貨を貯留する。回転円盤42は、ホッパ41の下側にその底部を形成するように設けられた水平旋回可能な円盤である。
【0016】
硬貨分離部43は、硬貨が一枚のみ通過可能な開口を有し回転円盤42の回転時の遠心力で硬貨を一枚ずつ硬貨通路44に繰り出す。硬貨通路44は、硬貨分離部43で一枚ずつ繰り出された硬貨を水平に搬送する通路で、周知のように、図示せぬ搬送ベルトが硬貨通路44に沿って吊架され、上方から硬貨を硬貨通路44に押し付けるように搬送ベルトが配設されている。識別計数部45(
図3,5)は、硬貨通路44の上流側に設けられ、硬貨通路44で搬送中の硬貨の真偽及び金種を識別するとともに、それらの枚数を計数する。
【0017】
リジェクト部5は、識別計数部45の計数結果に基づいて真貨以外のもの(以下、リジェクト硬貨と称する)をリジェクトボックス6に収納する。リジェクト部5は、リジェクト孔51と、リジェクト孔51に硬貨を落下させるためのリジェクト部材52と、上流側の硬貨センサ53を有している。硬貨センサ53は、リジェクト部材52の開閉タイミングを制御するために用いられる。リジェクトボックス6は、リジェクト部5で硬貨通路44から排除されたリジェクト硬貨を収納する着脱自在なボックスである。
【0018】
振分部7a、7b及び7c(
図3~5)は、硬貨通路44におけるリジェクト部5の下流側に配置される。振分部7a、7b及び7c(以下、個々に区別する必要がない場合、単に、振分部7と称する。他の場合も同様である)は、識別計数部45の計数結果に基づいて真の硬貨であって受け入れ可能と識別及び計数された硬貨を、一時貯留部8b、一時貯留部8c、またはシュート空間枠9振り分ける機構を有している。
【0019】
振分部7a、7b及び7cのそれぞれは、取り扱う最大径の硬貨(日本国内では500円硬貨)を落下可能な選別孔71a、71b及び71cを有している。振分部7a、7bには、選別孔71a、71bを個別に開閉可能なシャッタ72a、72bが設けられている。振分部7cは、シャッタは設けられていない。振分部7a、7b及び7cのそれぞれの直近の上流側には、硬貨の通過を検出する硬貨センサ73a、73b及び73cが設けられている。
【0020】
一時貯留部8bは、平面視で四角状の枠体であり、振分部7bの下方に設けられている。振分部7bのシャッタ72bが開かれることで振分部7bに到達した硬貨は選別孔71bから一時貯留部8bに落下する。振分部7aのシャッタ72aが閉じられることで振分部7bに到達した硬貨は、選別孔71bから一時貯留部8bに落下する。一時貯留部8cは、平面視で四角状の枠体であり、振分部7cの下方に設けられている。振分部7cは、シャッタが設けられていないので、振分部7aのシャッタ72aおよび振分部7bのシャッタ72bが閉じられることで振分部7cに到達した硬貨は、振分部7cの選別孔71cから一時貯留部8cに落下する。
【0021】
一時貯留部8b、8cの底は、1枚の板状の一時庫底板81で構成されている(
図3,4)。
【0022】
シュート空間枠9は、振分部7aの下方に設けられている枠体(底が設けられてない)である。振分部7aのシャッタ72aが開かれることで振分部7aに到達した硬貨が選別孔71aからシュート空間枠9を通り返却部10に落下する(
図3,4)。
【0023】
一時貯留部8b、8cおよびシュート空間枠9は、一体的に装置筐体の左右方向に水平移動可能に支持されている。一時庫底板81も、一時貯留部8b、8cとは独立して左右方向に水平移動可能に支持されている。一時貯留部8b、8c、一時庫底板81が水平移動することにより硬貨を所定の場所に収納することができるが、この動作については後述する。
【0024】
返却部10は、その上部が開口を有する箱体であり前方向に引き引き出しすることが可能に構成されている。返却部10は、図示せぬロック機構により引き出しがロックされるようになっている。返却部10は、一時貯留部8b、8cおよびシュート空間枠9が装置筐体の右側部に沿って設けられた状態において、その下方に位置する場所に配置されている。
【0025】
ガイド11(
図5)は、後述するようにして一時貯留部8b、8cと一時庫底板81が左側に水平移動した際に、そこに格納されている硬貨を、金庫12b、12cに受け渡すために案内するガイドである。なお、ガイド11を設けずに、金庫12b、12cの高さをガイド11分高くして一時貯留部8b、8cに格納されている硬貨が金庫12b、12cに受け渡されるようにすることもできる。
【0026】
金庫12b、12cは、一時貯留部8b、8cが装置筐体の左側部に沿って設けられた状態において、その下方に位置する場所に配置されている。
【0027】
金庫12b、12cは、装置筐体に対して着脱可能な台車3に置かれている。なお、装置筐体に対して出し入れ可能なスライドレールに支持された金庫キャリアによって支持されるようにもできる。
【0028】
金庫12b、12cは、その上部が開口を有する箱体であり、且つその上部開口には、開口を開閉するシャッタ部材(図示せず)が設けられる。シャッタ部材は、金庫12b、12cが装置本体2内に位置しているときには、上部開口を開放して、上方からの硬貨の受け入れを可能とされている。
【0029】
さらに、金庫12b、12cのシャッタ部材は、金庫12b、12cが装置本体2内にある時に、回収指示を受けることで、それらの上部開口を閉じてロックされる。その後、装置筐体内から引き出すことができて、台車3ごと、または、スライドレールに支持された金庫キャリア上より、上部開口がシャッタ部材で閉じられた状態の金庫12b、12cを装置筐体外に引き出すことができるようになっている。
【0030】
金庫12b、12cは、装置本体2外にあるときには、専用のカギによって、シャッタまたは開放蓋(図示せず)を開いて、収納している硬貨を取り出すことができるようになっている。
【0031】
表示操作部13(
図3)は、利用者への表示を行うとともに利用者による操作入力を受け付ける。制御部14は、各部を制御して、硬貨入金装置1における入金処理を実行する。
【0032】
台車3は、下部に設けられたキャスタ31を転動させることで、装置本体2に対し前面側に引き出される。さらに装置本体2から取り外されて運搬される一方、前面側から装填されることで装置本体2に装着されるようになっている。台車3には、前後方向に並設して金庫12b、12cが置かれている。
【0033】
<制御部の構成と機能>
図6は、装置本体2の制御部14の機能的構成を示すブロック図である。入金制御部141は、入出力制御部142~駆動制御部147の各部を制御し、硬貨入金処理を実行する。入出力制御部142は、入金制御部141から供給された情報を表示操作部13に表示させる。また入出力制御部142は、表示操作部13に対する操作結果に基づく情報を入金制御部141に供給する。記憶部143は、入金制御部141から記憶読み出しに応じて情報を記憶したり読み出す。
【0034】
識別計数制御部144は、硬貨計数部4を介して、識別計数処理を実行する。リジェクト制御部145は、リジェクト部5を介してリジェクト処理を実行する。振分制御部146は、振分部7を介して振分処理を実行する。駆動制御部147は、一時貯留部8b、8c、一時庫底板81およびシュート空間枠9の水平移動を制御する収納処理を実行し、硬貨を所定の場所に収納させる。各部の処理の詳細は後述する。
【0035】
<硬貨入金装置1の動作説明>
図7~
図13を参照して硬貨入金装置1の硬貨入金処理を説明する。利用者は、ATM(上位機)から大量硬貨の入金を行いたい場合、ATMに対して「大量硬貨入金」のための操作を行う。
【0036】
「大量硬貨入金」の操作がなされたATMは、ATMに横付けされている硬貨入金装置1に対して、大量硬貨入金があることを指示する。
【0037】
硬貨入金処理が開始される状態において、シュート空間枠9、一時貯留部8b、8c、一時庫底板81は、
図4、
図8に示すように、装置筐体の右側部側に位置(以下、この位置を待機位置と称する)に配置されている。
図8の(b)は、シュート空間枠9、一時貯留部8b、8c、一時庫底板81を前方向から見た状態を示し、
図8の(a)は、真上から見た場合のシュート空間枠9、一時貯留部8b、8c、一時庫底板81の位置を、
図8の(b)の左右方向に対応させて示した図である。
【0038】
ステップS1において、入出力制御部142から、ATMに対して大量硬貨を入金することを示す操作がなされると、入金制御部141は、駆動制御部147を制御して、硬貨入金装置1のシャッタ2aを開かせ、硬貨を受け付ける。
【0039】
利用者が、硬貨計数部4のホッパ41に硬貨を一括投入し、ATMに対して計数を開始することを示す操作を行うと、ステップS2において、入金制御部141は、駆動制御部147を制御して、硬貨入金装置1のシャッタ2aを閉じさせる。そして入金制御部141は、識別計数制御部144を制御して、識別計数処理を実行させる。具体的には、識別計数制御部144は、硬貨計数部4およびリジェクト部5の各部を起動させる。その結果、回転する回転円盤42上の硬貨が1枚ずつに分離されて硬貨通路44の上方に配置された搬送ベルト(図示せず)に送られ、搬送ベルトによって、硬貨が硬貨通路44面に押し付けられながら、硬貨通路44を下流に向けて搬送される。識別計数部45は、シャッタ2aから投入された硬貨の識別および計数を開始する。
【0040】
識別計数部45で真の硬貨と識別できなかった硬貨(リジェクト硬貨)がリジェクト部5の硬貨センサ53で検出されると、リジェクト部材52が開く。その結果、硬貨センサ53で検出されたリジェクト硬貨は、リジェクト孔51を通って、リジェクトボックス6に収納される。なお、取り扱い対象となっていない記念硬貨や外国の真貨であっても、偽貨としてリジェクトボックス6に収納される。リジェクトボックス6への偽貨等排除がなされた場合には、ATMにおいてその旨が表示され、硬貨入金装置1の装置本体2前面のLED(図示せず)での点灯・点滅がなされるので、利用者は偽貨等の排除物を確実に回収できる。
【0041】
ステップS3において、入金制御部141は、真の硬貨であると識別された硬貨の一時貯留部8b、8cへの収納動作処理を開始する(
図9)。ここでは始めに一時貯留部8cへの収納が開始される。具体的には、振分部7aのシャッタ72aおよび振分部7bのシャッタ72bが閉じられる。その結果、硬貨通路44を介して硬貨が振分部7cに送られ、選別孔71cから一時貯留部8cに落下し、そこに収納される。一時貯留部8cの収納数が一定以上になったとき、一時貯留部8bへの収納に切り替わるものとする。具体的には、振分部7aのシャッタ72aは閉じられたまま、振分部7bのシャッタ72bが開状態となる。その結果、硬貨通路44を介して振分部7bに送られた硬貨は、選別孔71bから一時貯留部8bに落下し、そこに収納される。
【0042】
ステップS4において、識別計数制御部144は、真の硬貨と認識された硬貨の数(一時貯留部8に収納された硬貨の枚数)が入金限度枚数に達したか否かを判定し、真の硬貨と認識された硬貨の数が入金限度枚数に達していない判定した場合、ステップS5に進む。入金限度枚数を示す情報は、記憶部143に記憶されており、識別計数制御部144は、所定のタイミングで入金制御部141を介してその情報を取得しているものとする。
【0043】
ステップS5において、識別計数制御部144は、投入された硬貨の計数が完了したか否かを判定する。硬貨計数部4の回転円盤42上に硬貨が無くなり、硬貨通路44に導かれて搬送される硬貨がなくなった後、識別計数部45での硬貨計数が一定時間継続して行われないことを条件として、投入硬貨の計数が終了したと判断される。ステップS5で、投入された硬貨の計数が完了していないと判定した場合、識別計数制御部144は、ステップ4の処理に戻る。
【0044】
ステップS5で、投入された硬貨の計数が完了した判定した場合、ステップS6において、識別計数制御部144は、識別計数処理を停止する。また識別計数制御部144は、は、一時貯留部8b、8cに収納された硬貨の額または金種別枚数情報を、入金制御部141に供給する。入金制御部141は、識別計数制御部144から供給された情報を、入出力制御部142を制御してATMの表示部に表示させ、表示された入金額等に対する承認がされたか否かを判定する。
【0045】
ステップS6で、ATMの表示部に表示された入金額等に対する承認がされたと判定した場合、ステップS7において、入金制御部141は、駆動制御部147を制御して、一時貯留部8b、8cに収納された硬貨を金庫12b、12cに収納する処理を実行させる。具体的には、まず、駆動制御部147は、一時貯留部8b、8cと一時庫底板81を、一体に保った状態で、装置本体2の右側部側から(
図8)、左側部側へ移動させ(
図10)、その後、一時庫底板81のみを装置本体2の右側部側へ移動させる(
図11)。その結果、一時貯留部8b、8cの底が抜けるので、一時貯留部8b、8cに収納された硬貨が、ガイド11に案内されて、直下の金庫12b、12c内に、その開放された状態の上部開口を介して収納される。
【0046】
なお入金が承認された場合、入金結果をレシート印字などの出力が行われるようにすることもできる。一時貯留部8b、8cに収納された硬貨を金庫12b、12cに収納するための処理の手順はこれに限るものではなく、一時貯留部8b、8cと一時庫底板81が装置本体2の右側部側にある状態で、一時貯留部8b、8cのみを装置本体2の左側部側に移動させることで、装置本体2の左側部側にある金庫12b、12c内に、硬貨を収納させることもできる。
【0047】
また、一時貯留部8b、8cと一時庫底板81とを、一体に保った状態で、装置本体2の右側部側から、左側部側へ向けて移動させ、右側部側と左側部側の中間位置で停止後、一時庫底板81のみを装置本体2の右側部側へ戻し移動させつつ、一時貯留部8b、8cを装置本体2の左側部側まで移動させることで、一時貯留部8b、8cに収納された硬貨を、直下の金庫12b、12c内に、収納させるようにすることもできる。
【0048】
次に、ステップS8において、入金制御部141は、駆動制御部147を制御して、一時貯留部8b、8cと一時庫底板81を、装置本体2の右側部側の待機位置に戻し(
図8)、硬貨入金処理を終了する。
【0049】
ステップS6で、ATMの表示部に表示された入金額等に対する承認がされなかったと判定した場合、ステップS9において、入金制御部141は、駆動制御部147を制御して、一時貯留部8b、8cに収納された硬貨を返却部10に収納する処理を実行させる。具体的には、駆動制御部147は、一時庫底板81のみを、装置筐体の左側部側に移動させる(
図12)。その結果、一時貯留部8b、8cに収納されていた硬貨が、返却部10に落下し、そこに収納される。
【0050】
ステップS10において、入金制御部141は、駆動制御部147を制御して、返却部10のロックを解除し、入出力制御部142を制御して、返却部10の引き出しを促す表示させる。その際、返却部10の引き出し近くに、LEDなどのランプを設けて、引き出しを促す点灯、点滅を行うようにしてもよい。利用者は、入金をキャンセルし、投入した硬貨を回収することができる。
【0051】
次に、ステップS11において、入金制御部141は、駆動制御部147を制御して、一時貯留部8b、8cと一時庫底板81を、装置本体2の右側部側の待機位置に戻し(
図8)、返却部10をロックする。その後硬貨入金処理は終了する。
【0052】
ステップS4で、真の硬貨と認識された硬貨の枚数(一時貯留部8に収納された硬貨の枚数)が入金限度枚数に達したと判定した場合、ステップS12において、入金制御部141は、余剰硬貨を返却部10に収納する処理を実行する。具体的には、入金制御部141は、識別計数制御部144を制御して、識別計数処理を停止させる。この例の場合、はじめに一時貯留部8cへの収納が開始され、一時貯留部8cの収納数が一定以上になったとき、一時貯留部8bへの収納に切り替わるので、真の硬貨と認識された硬貨の枚数が入金限度枚数に達する直前の硬貨は一時貯留部8bに収納されている。識別計数処理が停止された後、搬送途中の真の硬貨は一旦すべて一時貯留部8bに収納される。次に、入金制御部141は、駆動制御部147を制御して、振分部7aのシャッタ72aを開状態にさせる。その後、入金制御部141は、識別計数制御部144を制御して、識別計数処理を再開させる。その結果、硬貨通路44を通過してきた硬貨(余剰硬貨)がシュート空間枠9に送られる(
図13)。待機状態においてシュート空間枠9の真下に返却部10が存在し、シュート空間枠9の底は開いているので、シュート空間枠9に送られた余剰硬貨は返却部10に落下し、収納される。
【0053】
ステップS13において、識別計数制御部144は、ステップS5の場合と同様に、投入された硬貨の計数が完了したか否かを判定し、投入された硬貨の計数が完了したと判定するまでこの処理を繰り返す。
【0054】
ステップS13で、投入された硬貨の計数が完了した判定した場合、ステップS14において、識別計数制御部144は、識別計数処理を停止する。また識別計数制御部144は、一時貯留部8b、8cに収納された硬貨の額または金種別枚数情報、および返却部10に収納された硬貨の額または金種別枚数情報を、入金制御部141に供給する。入金制御部141は、識別計数制御部144から供給された情報を、入出力制御部142を制御してATMの表示部に表示させ、表示された入金額等に対する承認がされたか否かを判定する。
【0055】
ステップS14で、ATMの表示部に表示された入金額等に対する承認がされたと判定した場合、ステップS15において、入金制御部141は、ステップS7の場合と同様に、駆動制御部147を制御して、一時貯留部8b、8cに収納された硬貨を金庫12b、12cに収納する処理を実行させる。
【0056】
ステップS16において、入金制御部141は、駆動制御部147を制御して、返却部10のロックを解除し、入出力制御部142を制御して、余剰硬貨があることの表示と、返却部10の引き出しを促す表示させる。
【0057】
次に、ステップS17において、入金制御部141は、ステップ11の場合と同様に、駆動制御部147を制御して、一時貯留部8b、8cと一時庫底板81を、装置本体2の右側部側の待機位置に戻し(
図8)、返却部10をロックする。その後硬貨入金処理は終了する。
【0058】
ステップS14で、ATMの表示部に表示された入金額等に対する承認がされなかった場合、ステップS9に進み、それ以降の処理が実行される。すなわち入金がキャンセルされた場合、一時貯留部8b、8cに収納された硬貨も返却部10に収納されて、余剰硬貨と一緒に返却される。なおここではこのように入金限度枚数を超えた硬貨が投入された場合において返却が要求された場合、一時貯留部8に収納されている硬貨も返却部10に収納されて返却される。すなわち投入された硬貨すべてが返却部10に収納されて返却される。これに対して、余剰硬貨だけが収納された返却部10で、まずは余剰硬貨を返却できるようにし、利用者が返却部10に収納されている余剰硬貨を回収し、返却部10を戻したタイミングで一時貯留部8に収納されている硬貨を返却部10に収納させて返却するようにもできる。投入した硬貨が多い場合はこのように2回に分けて返却するようにすることで、利用者の取り扱いが容易になる。
【0059】
以上のようにして硬貨入金処理が実行される。
【0060】
ATMを含む金融機関のシステムにおいて、硬貨入金装置1によって入金限度枚数に決められている場合もある旨言及したが、硬貨入金装置1における入金限度枚数は、一時貯留部8の大きさによる収納限度枚数で決められることがある。一時貯留部8b、8cのそれぞれの収納限度枚数が、例えば、それぞれ700枚であった場合には、合計1400枚が硬貨入金装置1における入金限度枚数となる。
【0061】
また余裕を持たせるために、一時貯留部8それぞれの収納制限値を600枚とし、入金限度枚数を1200枚としたり、一時貯留部8それぞれの収納制限値を500枚とし、入金限度枚数を1000枚とすることもできる。また一時貯留部8cの収納制限値を700枚とし、一時貯留部8bの収納制限値を300枚とし、入金限度枚数を1000枚とすることもでき、一時貯留部8の収納制限値を処理ごとに入れ替えることもできる。すなわちステップS3で実行された一時貯留部8への収納処理における収納先の一時貯留部8cから一時貯留部8bへの切り替えは、収納制限値に基づいて行われる。一時貯留部8の収納制限値は記憶部143に記憶されており、入金制御部141は、ステップS3の処理に先立ち、一時貯留部8の収納制限値を記憶部143から読み出している。
【0062】
さらには、一時貯留部8それぞれの収納制限値を、金庫12b、12cに収納済みの収納枚数値に基づいて、都度変更させることもできる。すなわち、金庫12b、12cの収納限度量は、金庫自体の大きさで決定されるので、おのずと、その枚数値が決定されて記憶部143に記憶されている。これにより、金庫12b、12cへ硬貨が収納されるごとに、金庫12b、12cへの収納可能な残容量(=収納限度量-収納枚数値)が、都度減少していくことになる。この残容量は、当初は、一時貯留部8それぞれの収納制限値を超えるものであるが、収納処理を繰り返すことで、残容量が一時貯留部8それぞれの収納制限値以下になるときがある。このような場合には、金庫12b、12cへの収納可能な残容量を超えない範囲で、一時貯留部8それぞれの収納制限値を適宜変更すればよい。
【0063】
上述した実施の形態では、投入硬貨を計数する硬貨計数部4と、硬貨計数部4による計数結果に基づいて、硬貨計数部4により計数された硬貨を一時貯留部8または返却部10に振り分けて収納させる振分部7であって、硬貨計数部4による計数結果に基づき余剰硬貨とされた硬貨を返却部10に振り分ける振分部7と、一時貯留部8に収納された硬貨を金庫12に収納し(ステップS3またはステップS15)、余剰硬貨を返却部10に収納するとともに(ステップS12)、返却可能にする(ステップS16)制御部141とを有する構成とした。この構成により、入金限度枚数を超える硬貨が投入されても、入金限度枚数を超えない分の硬貨を金庫12に収納しながら(取引を完了させながら)、それとは分けて余剰硬貨を返却部10に収納し、使用者に返却することができる。
【0064】
硬貨計数部4は、投入硬貨を計数するとともに真の硬貨であるか否かを識別し、硬貨計数部4により真の硬貨ではないと識別された硬貨を返却するリジェクト部5をさらに有する構成した。この構成により、真の硬貨ではないと識別された硬貨を偽硬貨として、余剰硬貨とは分けて使用者に返却することができる。
【0065】
制御部14が返却部10に収納された余剰硬貨についての情報を提示するようにしたので(ステップS14)、例えば余剰硬貨の金種別枚数及び金額ないしは総枚数及び総金額を提示することで、利用者はその情報を参考に、再度の入金を行うか、また持ち帰るかのなどを判断することができる。
【0066】
また以上のように余剰硬貨についても計数し、その枚数ないしは金種金額情報を表示部に表示およびまたはレシート印字等に出力するようにしたので(ステップS14)、利用者は、いずれの金額分の硬貨入金ができたのか、また、余剰硬貨についての金種別枚数及び金額も把握でき、持ち帰った余剰硬貨の精査が可能となる。
【0067】
<変形例:メカ系>
実施形態においては(
図2)、硬貨入金装置1の装置本体2前面より見て、硬貨入金装置1の後方の中央付近にホッパ41、回転円盤42が設けられる。回転円盤42から硬貨入金装置1の前面側の硬貨通路44に向かった後、硬貨入金装置1の前面に沿った硬貨通路44の途中に識別計数部45が、さらにその下流にリジェクト部5が設けられる。その後、装置本体2の前面右方において装置本体2後方に硬貨通路44が向かい、装置本体2後方に向かう方向の硬貨通路44に、順次、振分部7a、7b及び7cが設けられる。従って、受け入れるべき硬貨を振分部7b、7cによって、装置本体2の後方で選別、一時貯留する一方、振分部7aにより、装置本体2の手前で余剰硬貨を選別、返却部10に収納できるようにしたが、このような配置に留まる必要はない。
【0068】
振分部7a、7bにおいて受け入れるべき硬貨をそれぞれの直下の一時貯留部8a(及び一時貯留部8aとするための一時庫底板(図示せず))、8bに一時貯留させ、振分部7cにおいて余剰硬貨を返却部10に収納できる(一時貯留部8cを構成しうる一時庫底板81は存在しない)ようにしても良い。なお、この場合には、一時貯留された硬貨を収納する金庫12は、一時貯留部8a、8bに対応した金庫12a、12bが設けられる。また同様にして、振分部7a、7cにおいて受け入れるべき硬貨をそれぞれの直下の一時貯留部8a、8cに一時貯留させ、振分部7bにおいて余剰硬貨を返却部10に収納できるようにしても良い。なお、この場合には、一時貯留された硬貨を収納する金庫12は、一時貯留部8a、8cに対応した金庫12a、12cが設けられる。
【0069】
すなわち、受け入れるべき硬貨を一時貯留可能に一時収納するとともに、余剰硬貨、これはリジェクト硬貨ではないが、これを返却部10に収納できるものであれば、その構造はいずれであっても良い。受け入れるべき硬貨を一時貯留でき、その後、承認がなされた場合には金庫12a、12b及び12cのいずれか二つに収納でき、余剰硬貨については、返却部10を引き出すことで、利用者に返却可能であれば良い。
【0070】
また、硬貨計数部4の硬貨通路44が、装置本体2の前面側を迂回する形で配置されているが、これを、装置本体2の後面側を迂回する形で配置されるものであっても良い。
【0071】
またシュート空間枠9を設けることなく、
図14に示すように、すべての振分部7a、7b及び7cの選別孔71a、71b、71cの直下には、一時貯留部8a、8b及び8cと、それぞれの一時貯留部8a、8b及び8c底を個別に開閉できる一時庫底板81a、81b及び81cを設けることもできる。なお且つ、一時貯留部8a、8b及び8cが左側部側に移動したときに、一時貯留部8a、8b及び8cに一時貯留する硬貨を収納する金庫12についても、金庫12a、12b及び12cとして同数設けるようにしても良い。
【0072】
このように構成することで、一回の取引では、一時貯留部8aの一時庫底板81aを左側部側に移動した開放状態として余剰硬貨を返却部10に収納させることができる。別の取引では、一時貯留部8bの一時庫底板81bを左側部側に移動した開放状態として余剰硬貨を返却部10に収納させることができる。さらに別の取引では、一時貯留部8cの一時庫底板81cを左側部側に移動した開放状態として余剰硬貨を返却部10に収納させるようにするができる。すなわち、金庫12を増やして、全体の取引量の増大を図ることができる。
【0073】
実施形態においても記載したが、偽貨等排除部以降の硬貨通路44に設けられる選別機構は、少なくとも二つ以上あれば良い。
【0074】
実施形態によれば、余剰硬貨を収納する返却部10は、一時貯留部8の硬貨を返却する可能性もあって、シュート空間枠9、一時貯留部8b、8cの配置長さに対応した長さ形状を有している。シュート空間枠9、一時貯留部8b、8cからの硬貨を一度にすべて受け入れることが必要ではあるが、余剰硬貨のみを収納する場面においては、シュート空間枠9の下方位置に硬貨の収納状態が集中する可能性がある。
【0075】
これを抑えるため、シュート空間枠9内の、返却部10に接近する位置に、あるいは、シュート空間枠9直下の返却部10内の上部に、シュート空間枠9内を落下する硬貨が衝突し、返却部10の長さ方向、装置筐体の前後方向に、硬貨を跳ね返す跳ね返し部材を一つ以上設けるようにしても良い。すなわち、シュート空間枠9内の、返却部10に接近する位置に、あるいは、シュート空間枠9直下の返却部10内の上部に、返却部10の幅、装置筐体の左右方向に亘って硬貨を跳ね返す跳ね返し部材が設けられる。落下する硬貨が上方より衝突し、返却部10内の前後方向に弾き飛ばすような、斜め45度程度に傾斜した板材を横断配置することもできる。これで、落下する硬貨この板材に当たった場合には、返却部10の前後方向いずれかに弾き飛ばされて、シュート空間枠9直下の領域に留まらずに、広がって収納されることが期待できる。
【0076】
<変形例:制御系>
上記の実施形態においては、硬貨入金装置1に投入された硬貨にあっては、受け入れ可能な限度枚数以内の硬貨についてのみ、一取引内で受け入れて取引を終了させるものとした。これに限るのではなく、連続取引が可能として、返却された余剰硬貨について、当該一取引の中で、あるいは、当該一取引を関連する取引として、硬貨入金装置1による大量の硬貨入金処理を進めることができるものであっても良い。
【0077】
この場合、当初の硬貨入金装置1による硬貨入金処理において、余剰硬貨の金種別枚数、総枚数及びその金額及び総金額が出力可能に構成されているので、それに基づいて、連続取引を選択、あるいは、別取引として連続的に処理を選択できて有効である。
【0078】
上記の実施形態においては、入金限度枚数は、当該ATMと硬貨入金装置1が設置される金融機関が設置される店舗ごと、あるいは、大量硬貨の入金が予定される利用者ごとに、予め定めた量が記憶されるものであっても良い。
【0079】
上記の実施形態においては、余剰硬貨の計数においても、取引当初の入金計数時と同様に、搬送される硬貨の真偽及び金種を計数するとしたが、余剰硬貨は、必ずしも直ちに入金収納されるものではないとして、その計数機能の一部を実行せずに、金種及びその枚数を算出できるものとしても良い。
【0080】
なお、余剰硬貨について、その計数機能の一部を実行せずに計数した場合には、その計数結果の表示ないし印字において、計数機能の一部を実行せずに計数したことを示すことができる。例えば、簡易計数結果の文字であり、必ずしも正式(簡易に対する意味)な計数結果ではないことができる。なお例えば、参考計数情報である旨の文言を、追加することが望ましい。
【0081】
図14に示した、シュート空間枠9を設けることなく、すべての振分部7a、7b及び7cの選別孔の直下に、一時貯留部8a、8b及び8cと、それぞれの一時貯留部8a、8b及び8cの底を個別に開閉できる一時庫底板81a、81及び81cを設ける例を示した。この場合、一時貯留部8a、8b及び8cが左側部側に移動したときに、一時貯留部8a、8b及び8cに一時貯留する硬貨を収納する金庫12についても、金庫12a、12b及び12cとして同数設けるようする。これにより、余剰硬貨の返却可能性を残しての取引のみならず、一時貯留部8a、8b及び8cのすべてを使った一時貯留収納限度量以下の投入が厳守されることを前提として、すべての一時貯留部8a、8b及び8cを一時貯留しての収納または返却を可能とする制御またはモード、あるいは利用者に応じた制御を採用するようにしても良い。
【0082】
すなわち、上記構成において、それぞれ独立して駆動可能な一時貯留部8a、8b及び8cと一時庫底板81a、81b及び81cを有する場合、当初より、余剰硬貨選別案内先としての一時貯留部8a、8b及び8cを決定しない。投入された硬貨をすべて一時貯留部8a、8b及び8cに案内収納させ、投入された硬貨をすべて一時貯留部8a、8b及び8cのいずれかに収納できた場合には、これらの金庫12a、12b及び12cへの収納が許諾される。他方、投入された硬貨をすべて一時貯留部8a、8b及び8cに案内収納させきれずに、投入硬貨の計数動作中にすべての一時貯留部8a、8b及び8cが一旦満杯となった場合には、投入硬貨の計数動作が一旦停止する。いずれかの一時貯留部8a、8b及び8cの一時貯留硬貨を余剰硬貨と決定し、余剰硬貨と決定した一時庫については、その一時庫底板81a、81b及び81cを筐体装置の左側部側に移動する。当該一時庫に一時貯留していた硬貨を返却部に落下収納させ、その後、一時庫底板81a、81b及び81cを開放した一時庫をシュート空間扱いとして、投入硬貨の計数を再開させるとともに、残りの投入硬貨をすべて一時庫底板81a、81b及び81cを開放した一時庫経由で返却部に落下収納させるように制御構成することも可能である。
【0083】
そして、この場合の余剰硬貨を、いずれの一時貯留部8a、8b及び8cの硬貨とするかについては、予め定められた条件で自動的に選択され、あるいは、それぞれの一時貯留部8a、8b及び8cに一時貯留される硬貨の計数情報、すなわち、金種別の枚数及び金額ないしはその合計金額情報を、表示部等に表示して、利用者に選択させることも可能である。
【0084】
また、これまでのすべての実施形態においては、余剰硬貨が案内されるシュート空間枠9ないしは一時貯留部8について、これを一か所のみとして説明していたが、これに限るものではなく、シュート空間枠9ないしは一時貯留部8の個数、すなわち振分部7の個数に等しい数Mに対して、複数Nを余剰硬貨案内先とし、M-Nを金庫収納可能としても良い。そして、これまでの説明から明らかなように、この場合の金庫数はM個設けることが可能である。
【0085】
これによれば、例えば、一時貯留部8を、1個を使って、700枚までの硬貨を入金のための一時貯留を可能とし、一時貯留部8を、2個を使って、700枚×2個=1400枚までの余剰硬貨の貯留を可能とさせることができる。加えて、余剰硬貨を返却部10に先に送り込むことで、一時貯留部8を、2個をシュート空間枠9とすることで、さらなる硬貨の余剰硬貨回収が可能となるなど、種々の制御が可能となる。
【0086】
そしてさらには、硬貨の投入部、一般的にはホッパ的な構造となるが、この投入部に、硬貨量によって働くセンサを設けて、おおよその硬貨量であるかを予め検出できるようにすることで、一時貯留部8の個数の設定、余剰硬貨用のシュート空間枠9の個数の設定を自動的に制御させるものであっても良い。
【0087】
例えば、ホッパ41のセンサによって、投入硬貨枚数が、例えば、1000枚以上1500枚未満程度あると推測される場合(例えば、1300枚)であって、収納限度枚数が500枚であった場合、一時貯留部8の収納限度枚数が700枚である条件では、一時貯留部8a、8b及び8cのいずれか一つが一時貯留部8として設定(例えば、一時貯留部c)される。他の二つが余剰硬貨の一時貯留部8ないしはシュート空間枠9に設定されると、一時貯留部8cには、硬貨500枚収納された時点で、一時貯留部8a、8bに、残りの硬貨800枚がいずれかに分けて一時貯留ないしはシュート空間枠9として直下の返却部10内に振分収納される。
【0088】
一時貯留部8a、8bに一時貯留される場合であっても、例えば、500枚と300枚、あるいは、700枚と100枚などのように振り分けることになるので、余剰硬貨の振り分け場所が一か所の固定方式よりも回収時間、回収作業が短時間に簡単に実施できることになる。
【符号の説明】
【0089】
1 硬貨入金装置
2 装置本体
3 台車
4 硬貨計数部
5 リジェクト部
6 リジェクトボックス
7 振分部
8 一時貯留部
9 シュート空間枠
10 返却部
11 ガイド
12 金庫
14 制御部