(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180131
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 9/097 20060101AFI20221129BHJP
G03G 9/08 20060101ALI20221129BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G03G9/097 374
G03G9/08
G03G9/097 375
G03G9/087 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087063
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安野 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 祥雅
(72)【発明者】
【氏名】菅原 淳
(72)【発明者】
【氏名】野口 大介
(72)【発明者】
【氏名】三浦 諭
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA09
2H500BA32
2H500CA06
2H500CB07
2H500CB10
2H500CB12
2H500EA39B
2H500EA42D
2H500EA43A
2H500EA44B
2H500EA44D
2H500EA52D
(57)【要約】
【課題】耐摩耗性が高い電子写真感光体の提供。
【解決手段】結着樹脂を含むトナー粒子と、体積平均粒径が5nm超え80nm以下であるアルミナ粒子及び体積平均粒径が10nm以上90nm以下であるシリカ粒子を含む外添剤と、を有し、前記トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計のNet強度NAが0.10kcps以上1.20kcps以下であり、前記アルミナ粒子の含有量Waに対する、前記シリカ粒子の含有量Wsの比(Ws/Wa)が0.5超え35未満である静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂を含むトナー粒子と、
体積平均粒径が5nm超え80nm以下であるアルミナ粒子及び体積平均粒径が10nm以上90nm以下であるシリカ粒子を含む外添剤と、を有し、
前記トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計のNet強度NAが0.10kcps以上1.30kcps以下であり、
前記アルミナ粒子の含有量Waに対する、前記シリカ粒子の含有量Wsの比(Ws/Wa)が0.5超え35未満である静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記Net強度NAが0.20kcps以上1.00kcps以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素が、Na、Mg、及びCaよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素が、Na、及びMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるS元素のNet強度NSが3.0kcps以上6.0kcps以下である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
前記Net強度NAに対する、前記Net強度NSの比(NS/NA)が3超え40未満である請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含有する請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
前記結晶性ポリエステル樹脂がα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸とα,ω-直鎖脂肪族ジオールとの重合体である請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】
前記アルミナ粒子の体積平均粒径に対する、前記シリカ粒子の体積平均粒径の比が0.2以上2.0以下である請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】
超音波処理前のX線光電子分光分析(XPS)において、Al検出量に対する、Si検出量が3.0以上10.5以下であり、
超音波処理後のX線光電子分光分析(XPS)において、Al検出量に対する、Si検出量が2.5以上8.5以下である請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
【請求項12】
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項13】
請求項11に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項14】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項11に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「少なくとも結着樹脂,着色剤,離型剤及び硫黄原子を有する樹脂を含有するトナー粒子と、該トナー粒子に混合されている無機微粉体を有するトナーであって、(i)該トナー粒子が、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム及びリンからなるグループより選ばれる少なくとも一種の元素を含有し、且つ、下記式を満足し、4≦(上記元素の含有量の合計(T):ppm)/(硫黄元素の含有量(S):ppm)≦30(ii)該トナーの重量平均粒径(D4)が3μm~10μmであり、(iii)該トナーの平均円形度が0.950~0.995である、ことを特徴とするトナー」が提案されている。
特許文献2には、「トナー母体粒子と、前記トナー母体粒子の表面に配置された外添剤とを含むトナー粒子を有する静電荷像現像用トナーであって、前記トナー母体粒子は、結着樹脂として結晶性樹脂を含み、前記外添剤は、アルミナ粒子を含み、前記トナー粒子の表面におけるアルミニウム原子の存在比率は、0.8atom%以上5.0atom%以下である、静電荷像現像用トナー」が提案されている。
特許文献3には、「少なくとも、トナー母体粒子表面に外添剤を有するトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーと、キャリア粒子より構成される静電荷像現像剤であって、前記トナー粒子を構成する外添剤が、主にアルミナ及びシリカからなる複合酸化物粒子を少なくとも含有し、前記複合酸化物粒子が、アルミナを5~50質量%の範囲内で、シリカを50~95質量%の範囲内で含有し、前記複合酸化物粒子の一次粒子の個数平均粒径が7~80nmの範囲内であり、かつ、前記複合酸化物粒子の疎水化度が40以上であることを特徴とする静電荷像現像剤」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-062807号公報
【特許文献2】特開2019-200345号公報
【特許文献3】特開2020-038308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、結着樹脂を含むトナー粒子と、体積平均粒径が5nm超え80nm以下であるアルミナ粒子及び体積平均粒径が10nm以上90nm以下であるシリカ粒子を含む外添剤と、を有する静電荷像現像用トナーにおいて、前記トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計のNet強度NAが0.10kcps未満若しくは1.30kcps超えである場合、又は前記アルミナ粒子の含有量Waに対する、前記シリカ粒子の含有量Wsの比(Ws/Wa)が0.5以下若しくは35以上である場合と比較して、高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制できる静電荷像現像用トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち
<1> 結着樹脂を含むトナー粒子と、
体積平均粒径が5nm超え80nm以下であるアルミナ粒子及び体積平均粒径が10nm以上90nm以下であるシリカ粒子を含む外添剤と、を有し、
前記トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計のNet強度NAが0.10kcps以上1.30kcps以下であり、
前記アルミナ粒子の含有量Waに対する、前記シリカ粒子の含有量Wsの比(Ws/Wa)が0.5超え35未満である静電荷像現像用トナー。
<2> 前記Net強度NAが0.20kcps以上1.00kcps以下である前記<1>に記載の静電荷像現像用トナー。
<3> 前記アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素が、Na、Mg、及びCaよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む前記<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4> 前記アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素が、Na、及びMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む前記<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<5> 前記トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるS元素のNet強度NSが3.0kcps以上6.0kcps以下である前記<1>~<4>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<6> 前記Net強度NAに対する、前記Net強度NSの比(NS/NA)が3超え40未満である前記<5>に記載の静電荷像現像用トナー。
<7> 前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含有する前記<1>~<6>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<8> 前記結晶性ポリエステル樹脂がα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸とα,ω-直鎖脂肪族ジオールとの重合体である前記<7>に記載の静電荷像現像用トナー。
<9> 前記アルミナ粒子の体積平均粒径に対する、前記シリカ粒子の体積平均粒径の比が0.2以上2.0以下である前記<1>~<8>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<10> 超音波処理前のX線光電子分光分析(XPS)において、Al検出量に対する、Si検出量が3.0以上10.5以下であり、
超音波処理後のX線光電子分光分析(XPS)において、Al検出量に対する、Si検出量が2.5以上8.5以下である前記<1>~<9>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<11> 前記<1>~<10>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
<12> 前記<1>~<10>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
<13> 前記<11>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<14> 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
前記<11>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0006】
<1>、<3>又は<4>に係る発明によれば、結着樹脂を含むトナー粒子と、体積平均粒径が5nm超え80nm以下であるアルミナ粒子及び体積平均粒径が10nm以上90nm以下であるシリカ粒子を含む外添剤と、を有する静電荷像現像用トナーにおいて、前記トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計のNet強度NAが0.10kcps未満若しくは1.30kcps超えである場合、又は前記アルミナ粒子の含有量Waに対する、前記シリカ粒子の含有量Wsの比(Ws/Wa)が0.5以下若しくは35以上である場合、と比較して高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制できる静電荷像現像用トナーが提供される。
<2>に係る発明によれば、前記Net強度NAが0.20kcps未満又は1.00kcps超えである場合、と比較して高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制できる静電荷像現像用トナーが提供される。
<5>に係る発明によれば、前記トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるS元素のNet強度NSが3.0kcps未満又は6.0kcps超えである場合、と比較して高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制できる静電荷像現像用トナーが提供される。
<6>に係る発明によれば、前記Net強度NAに対する、前記Net強度NSの比(NS/NA)が3以下又は40以上である場合、と比較して高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制できる静電荷像現像用トナーが提供される。
<7>に係る発明によれば、前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂のみを含有する場合、と比較して高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制できる静電荷像現像用トナーが提供される。
<8>に係る発明によれば、前記結着樹脂に含有される前記結晶性樹脂がα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸とα,ω-直鎖脂肪族ジオールとの重合体以外の芳香族ジカルボン酸と二重結合を有するジオールとの重合体である場合と比較して高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制できる静電荷像現像用トナーが提供される。
<9>に係る発明によれば、前記アルミナ粒子の体積平均粒径に対する、前記シリカ粒子の体積平均粒径の比が0.2未満又は2.0超えである場合、と比較して高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制できる静電荷像現像用トナーが提供される。
<10>に係る発明によれば、結着樹脂を含むトナー粒子と、体積平均粒径が5nm超え80nm以下であるアルミナ粒子及び体積平均粒径が10nm以上90nm以下であるシリカ粒子を含む外添剤と、を有する静電荷像現像用トナーにおいて、超音波処理前のX線光電子分光分析(XPS)において、Al検出量に対する、Si検出量が3.0未満若しくは10.5を超える場合、又は超音波処理後のX線光電子分光分析(XPS)において、Al検出量に対する、Si検出量が2.5未満若しくは8.5を超える場合、と比較して高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制できる静電荷像現像用トナーが提供される。
<11>~<14>に係る発明によれば、結着樹脂を含むトナー粒子と、体積平均粒径が5nm超え80nm以下であるアルミナ粒子及び体積平均粒径が10nm以上90nm以下であるシリカ粒子を含む外添剤と、を有する静電荷像現像用トナーにおいて、前記トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計のNet強度NAが0.10kcps未満若しくは1.20kcps超えである静電荷像現像用トナー、又は前記アルミナ粒子の含有量Waに対する、前記シリカ粒子の含有量Wsの比(Ws/Wa)が0.5以下若しくは35以上である静電荷像現像用トナーを備えた場合と比較して、高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制できる静電荷像現像用トナーを備えた静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
なお、段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
また、数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0009】
「アルカリ金属元素」とは、Li、Na、K、Rb、Cs、及びFrを指す。
「アルカリ土類金属元素」とは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びRaを指す。
【0010】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、「静電荷像現像用トナー」のことを単に「トナー」ともいう)は、結着樹脂を含むトナー粒子と、体積平均粒径が5nm超え80nm以下であるアルミナ粒子及び体積平均粒径が10nm以上90nm以下であるシリカ粒子を含む外添剤と、を有する。
また、前記トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計のNet強度NAが0.10kcps以上1.30kcps以下であり、前記アルミナ粒子の含有量Waに対する、前記シリカ粒子の含有量Wsの比(Ws/Wa)が0.5超え35未満である。
【0011】
本実施形態に係るトナーは、上記構成により、高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制する。その理由は、次の通り推測される。
【0012】
トナー帯電の環境安定性を高める観点から、外添剤としてアルミナ粒子が用いられる。アルミナ粒子は、他の外添剤と比較して電気抵抗が低いことから、アルミナ粒子を外添したトナーを用いて高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した場合、トナーが過剰に帯電しやすくなることがある。すると、続いて高画像密度の画像を形成した場合、画像濃度ムラが生じやすいということがあった。
【0013】
本実施形態に係るトナーは次のようなメカニズムにより達成できるものと推測する。体積平均粒径が5nm超え80nm以下であるアルミナ粒子及び体積平均粒径が10nm以上90nm以下であるシリカ粒子を含む外添剤を有する。アルミナ粒子及びシリカ粒子の体積平均粒径を上記範囲内とすることで、両粒子間で比重の差が生じやすくなる。そして、前記アルミナ粒子は、前記シリカ粒子より比重が大きいため、トナー粒子表面に対して前記アルミナ粒子が付着し、さらにその上にシリカ粒子が付着しやすくなる。つまり、トナー粒子表面に対して、前記アルミナ粒子からなる層、及びその上に前記シリカ粒子からなる層の、外添剤の二層構造を形成しやすい。
そして、前記アルミナ粒子の含有量Waに対する、前記シリカ粒子の含有量Wsの比(Ws/Wa)を0.5超え35未満とすることで、アルミナ粒子及びシリカ粒子の含有量の偏りが抑制されるため、前記外添剤の二層構造をより形成しやすい。さらに、前記トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計のNet強度NAが0.10kcps以上1.30kcps以下である。トナー中におけるNet強度NAを上記範囲内とすることで、トナー粒子表面側に存在するアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素に吸着水分が付着しやすくなる。つまり、トナー粒子表面に吸着水分が多く含まれる状態となることから、外添剤がトナー表面により付着しやすくなり、前記外添剤の二層構造が維持されやすくなる。
以上のことから、本実施形態に係るトナーは、最表面に前記シリカ粒子を多く含む構造を有する。シリカ粒子は比較的電気抵抗が高いため高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した場合でも、トナーが過剰に帯電しにくくなる。
【0014】
そのため、本実施形態に係るトナーは高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制すると推測される。
【0015】
(トナー粒子)
トナー粒子は結着樹脂を含む。なお、トナー粒子は、着色剤、離型剤、アルカリ金属元素供給源、アルカリ土類金属元素供給源、S元素供給源、及びその他の添加剤を含んでもよい。
-結着樹脂-
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
結着樹脂としては、非晶性(「非結晶性」ともいう。)樹脂、及び、結晶性樹脂が挙げられる。
なお、樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が15℃以内であることを指す。
一方、樹脂の「非晶性」とは、半値幅が15℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
【0017】
非晶性樹脂について説明する。
非晶性樹脂としては、例えば、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(例えばスチレンアクリル樹脂等)、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等の公知の非晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、トナー粒子中におけるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の分散性を向上し、トナー表面側に当該金属元素がより存在しやすくなる観点から、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(特にスチレンアクリル樹脂)が好ましく、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
なお、非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂と、スチレンアクリル樹脂とを併用することも好ましい態様である。
非晶性樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂セグメント及びスチレンアクリル樹脂セグメントを有する非晶性樹脂(以下「ハイブリッド非晶性樹脂」とも称する)を用いることも好ましい態様である。
【0018】
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0019】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
非晶性ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0022】
ここで、非晶性ポリエステル樹脂は、上述した未変性の非晶性ポリエステル樹脂以外に、変性の非晶性ポリエステル樹脂も挙げられる。変性の非晶性ポリエステル樹脂とは、エステル結合以外の結合基が存在する非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂成分とは異なる樹脂成分が共有結合又はイオン結合等で結合された非晶性ポリエステル樹脂である。変性の非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、末端に酸基又は水酸基と反応するイソシアネート基等の官能基を導入した非晶性ポリエステル樹脂と、活性水素化合物と反応させて、末端を変性した樹脂が挙げられる。
【0023】
スチレンアクリル樹脂は、スチレン系単量体(スチレン骨格を有する単量体)と(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル基を有する単量体、好ましくは(メタ)アクリロキシ基を有する単量体)とを少なくとも共重合した共重合体である。スチレンアクリル樹脂は、例えば、スチレン類の単量体と(メタ)アクリル酸エステル類の単量体との共重合体を含む。
なお、スチレンアクリル樹脂におけるアクリル樹脂部分は、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体のいずれか、又は、その両方を重合してなる部分構造である。また、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。
【0024】
スチレン系単量体としては、例えば、具体的には、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン等)、ハロゲン置換スチレン(例えば、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン等)、ビニルナフタレン等が挙げられる。スチレン系単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中で、スチレン系単量体としては、反応し易さ、反応の制御の容易さ、さらに入手性の点で、スチレンが好ましい。
【0025】
(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル等)、(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ジフェニルエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ターフェニル等)、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。(メタ)アクリル酸系単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、(メタ)アクリル系単量体のうち、これらの(メタ)アクリルエステルの中でも、定着性の点から、炭素数2以上14以下(好ましくは炭素数2以上10以下、より好ましくは3以上8以下)のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
中でも、(メタ)アクリル酸n-ブチルが好ましく、アクリル酸n-ブチルが特に好ましい。
【0026】
スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体との共重合比(質量基準、スチレン系単量体/(メタ)アクリル系単量体)は、特に制限はないが、85/15乃至70/30であることが好ましい。
【0027】
スチレンアクリル樹脂は、架橋構造を有していてもよい。架橋構造を有するスチレンアクリル樹脂は、例えば、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体と架橋性単量体とを少なくとも共重合したものが好ましく挙げられる。
【0028】
架橋性単量体としては、例えば、2官能以上の架橋剤が挙げられる。
2官能の架橋剤としては、例えば,ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジ(メタ)アクリレート化合物(例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、デカンジオールジアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等)、ポリエステル型ジ(メタ)アクリレート、メタクリル酸2-([1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、トリ(メタ)アクリレート化合物(例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等)、テトラ(メタ)アクリレート化合物(例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート等)、2,2-ビス(4-メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
中でも、架橋性単量体としては、画像濃度低下の発生が抑制されるとともに、画像濃度ムラの発生が抑制される、及び、定着性の観点から、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物が好ましく、2官能(メタ)アクリレート化合物がより好ましく、炭素数6~20のアルキレン基を有する2官能(メタ)アクリレート化合物が更に好ましく、炭素数6~20の直鎖アルキレン基を有する2官能(メタ)アクリレート化合物が特に好ましい。
【0029】
全単量体に対する架橋性単量体の共重合比(質量基準、架橋性単量体/全単量体)は、特に制限はないが、2/1,000乃至20/1,000であることが好ましい。
【0030】
スチレンアクリル樹脂の作製方法は、特に制限はなく、種々の重合方法(例えば、溶液重合、沈殿重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等)が適用される。また、重合反応は、公知の操作(例えば、回分式、半連続式、連続式等)が適用される。
【0031】
・ハイブリッド非晶性樹脂
ハイブリッド非晶性樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂セグメントとスチレンアクリル樹脂セグメントとが化学結合している非晶性樹脂である。
ハイブリッド非晶性樹脂は、ポリエステル樹脂からなる主鎖と、該主鎖に化学結合したスチレンアクリル樹脂からなる側鎖とを有する樹脂;スチレンアクリル樹脂からなる主鎖と、該主鎖に化学結合したポリエステル樹脂からなる側鎖とを有する樹脂;ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とが化学結合してなる主鎖を有する樹脂;ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂とが化学結合してなる主鎖と、該主鎖に化学結合したポリエステル樹脂からなる側鎖及び該主鎖に化学結合したスチレンアクリル樹脂からなる側鎖の少なくとも一方の側鎖とを有する樹脂;等が挙げられる。
【0032】
各セグメントの非晶性ポリエステル樹脂及びスチレンアクリル樹脂については、上述下通りであり、説明を省略する。
【0033】
ハイブリッド非晶性樹脂全体に占めるポリエステル樹脂セグメントとスチレンアクリル樹脂セグメントとの総量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが更に好ましい。
【0034】
ハイブリッド非晶性樹脂において、ポリエステル樹脂セグメントとスチレンアクリル樹脂セグメントとの合計量に占めるスチレンアクリル樹脂セグメントの割合は、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、25質量%以上55質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上50質量%以下であることが更に好ましい。
【0035】
ハイブリッド非晶性樹脂は、以下の(i)~(iii)のいずれかの方法により製造することが好ましい。
(i)多価アルコールと多価カルボン酸との縮重合によってポリエステル樹脂セグメントを作製した後、スチレンアクリル樹脂セグメントを構成する単量体を付加重合させる。
(ii)付加重合性単量体の付加重合によってスチレンアクリル樹脂セグメントを作製した後、多価アルコールと多価カルボン酸とを縮重合させる。
(iii)多価アルコールと多価カルボン酸との縮重合と、付加重合性単量体の付加重合とを並行して行う。
【0036】
ハイブリッド非晶性樹脂は、全結着樹脂に占める割合が60質量%以上98質量%以下であることが好ましく、65質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。
【0037】
非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0038】
非晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
非晶性樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0039】
結晶性樹脂について説明する。
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル樹脂(例えば、ポリアルキレン樹脂、長鎖アルキル(メタ)アクリレート樹脂等)等の公知の結晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、トナー粒子中におけるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の分散性を向上し、トナー表面側に当該金属元素がより存在しやすくなる観点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0040】
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。なお、結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香族を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族を有する重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
【0041】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
ここで、多価アルコールは、脂肪族ジオールの含有量を80モル%以上とすることがよく、好ましくは90モル%以上である。
【0044】
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、非晶性ポリエステルと同様に、周知の製造方法により得られる。
【0045】
結晶性樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下がさらに好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0046】
結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下が好ましい。
【0047】
結晶性ポリエステル樹脂に由来するカルボキシル基とトナー粒子中におけるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素が相互作用することで、当該金属元素の分散性をより向上し、トナー表面側に当該金属元素がより存在しやすくする観点から、結晶性ポリエステル樹脂はα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸とα,ω-直鎖脂肪族ジオールとの重合体であることが好ましい。
【0048】
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、2個のカルボキシ基をつなぐアルキレン基の炭素数が3以上14以下であるα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸が好ましく、前記アルキレン基の炭素数は4以上12以下がより好ましく、前記アルキレン基の炭素数は6以上10以下が更に好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,6-ヘキサンジカルボン酸(慣用名スベリン酸)、1,7-ヘプタンジカルボン酸(慣用名アゼライン酸)、1,8-オクタンジカルボン酸(慣用名セバシン酸)、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、1,6-ヘキサンジカルボン酸、1,7-ヘプタンジカルボン酸、1,8-オクタンジカルボン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸が好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
α,ω-直鎖脂肪族ジオールとしては、2個のヒドロキシ基をつなぐアルキレン基の炭素数が3以上14以下であるα,ω-直鎖脂肪族ジオールが好ましく、前記アルキレン基の炭素数は4以上12以下がより好ましく、前記アルキレン基の炭素数は6以上10以下が更に好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール等が挙げられ、中でも、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
α,ω-直鎖脂肪族ジオールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
α,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸とα,ω-直鎖脂肪族ジオールとの重合体としては、トナー粒子中におけるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の分散性を向上し、トナー表面側に当該金属元素がより存在しやすくなる観点から、1,6-ヘキサンジカルボン酸、1,7-ヘプタンジカルボン酸、1,8-オクタンジカルボン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、及び1,10-デカンジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種と、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種との重合体が好ましく、中でも、1,10-デカンジカルボン酸と1,6-ヘキサンジオールとの重合体がより好ましい。
【0051】
トナー粒子中におけるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素が相互作用することで、当該金属元素の分散性をより向上し、トナー表面側に当該金属元素がより存在しやすくする観点から、結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
【0052】
-着色剤-
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系等の染料;が挙げられる。
着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0054】
着色剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0055】
-離型剤-
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0056】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0057】
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0058】
-アルカリ金属元素供給源-
トナー粒子は、Net強度NAを0.10kcps以上1.20kcps以下とする観点から、アルカリ金属元素供給源を含むことが好ましい。
【0059】
アルカリ金属元素供給源としては、アルカリ金属元素を含有する添加剤(界面活性剤、凝集剤等)が挙げられる。具体的には、アルカリ金属元素を含有する添加剤としては、例えば、アルカリ金属元素を含む塩が挙げられる。
アルカリ金属元素を含む塩としては、塩化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム等のリチウム元素を含む塩;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等のナトリウム元素を含む塩;塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム等のカリウム元素を含む塩;塩化ルビジウム、硫酸ルビジウム、硝酸ルビジウム等のルビジウム元素を含む塩;塩化セシウム、硫酸セシウム、硝酸セシウム等のセシウム元素を含む塩;塩化フランシウム、硫酸フランシウム、硝酸フランシウム等のフランシウム元素を含む塩等が挙げられる。
アルカリ金属元素を含む塩としては、スルホン酸アルカリ金属元素を含む塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)も挙げられる。
【0060】
-アルカリ土類金属元素供給源-
アルカリ土類金属元素供給源としては、アルカリ土類金属元素を含有する添加剤(界面活性剤、凝集剤等)が挙げられる。具体的には、アルカリ土類金属元素を含有する添加剤としては、例えば、アルカリ土類金属元素を含む塩が挙げられる。
アルカリ土類金属元素を含む塩は、具体的には、塩化ベリリウム、硫酸ベリリウム、硝酸ベリリウム等のベリリウム元素を含む塩;塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等のマグネシウム元素を含む塩;塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム等のカルシウム元素を含む塩;塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム等のストロンチウム元素を含む;塩化バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム等のバリウム元素を含む塩;塩化ラジウム、硫酸ラジウム、硝酸ラジウム等のラジウム元素を含む塩等が挙げられる。
アルカリ土類金属元素を含む塩としては、スルホン酸アルカリ土類金属元素を含む塩(ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム等のアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム等)、硫化金属塩(多硫化カルシウム等)も挙げられる。
【0061】
アルカリ金属元素を含む塩としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等のナトリウム元素を含む塩であることが好ましい。
アルカリ土類金属元素を含む塩としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等のマグネシウム元素を含む塩;及び塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム等のカルシウム元素を含む塩;であることが好ましく、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等のマグネシウム元素を含む塩であることがより好ましい。
【0062】
トナー粒子中における、アルカリ金属元素供給源及びアルカリ土類金属元素供給源の合計の含有量は、前記Net強度NAが0.10kcps以上1.20kcps以下となる様に添加すればよい。
【0063】
-S元素供給源-
S元素供給源としては、硫黄を含有する添加剤(界面活性剤、凝集剤、連鎖移動剤、開始剤等)が挙げられる。具体的には、硫黄の供給源としては、例えば、硫酸金属塩、スルホン酸金属塩、硫化金属塩等が挙げられる。
硫酸金属塩としては、硫酸アルカリ金属塩(硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、硫酸フランシウム等)、硫酸アルカリ土類金属塩(硫酸ベリリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、硫酸ラジウム等)、硫酸アルミニウム、ポリ硫酸鉄(II)等が挙げられる。
スルホン酸金属塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム等)が挙げられる。
硫化物としては、多硫化カルシウム等が挙げられる。
【0064】
トナー粒子中における、S元素供給源の含有量は、前記Net強度NSが3.0kcps以上6.0kcps以下となる様に添加することが好ましい。
【0065】
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0066】
-Net強度-
トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計のNet強度NAは0.10kcps以上1.30kcps以下であるが、0.2kcps以上1.00kcps以下であることが好ましい。
【0067】
外添剤がトナー表面に更に付着しやすくなり、外添剤の二層構造を更に維持する観点から、Net強度NAは、0.20kcps以上1.00kcps以下であることが好ましく、0.20kcps以上0.50kcps以下であることがより好ましい。
【0068】
アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素のNet強度NAは、下記方法によりアルカリ金属元素のNet強度及びアルカリ土類金属元素のNet強度を測定し、これらの測定値を合計することで算出する。
【0069】
アルカリ金属元素のNet強度及びアルカリ土類金属元素のNet強度の測定方法は次のとおりである。
トナー粒子(又はトナー粒子と、外添剤と、を有するトナー)約0.12gを、圧縮成形機を用いて荷重6t且つ60秒の加圧で圧縮し、直径50mm且つ厚さ2mmのディスクを作製する。このディスクを試料にして、走査型蛍光X線分析装置(リガク社製ZSX PrimusII)を用いて、下記の条件で定性定量元素分析を行い、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素それぞれのNet強度(単位:kilo counts per second,kcps)を求める。そして、アルカリ金属元素のNet強度及びアルカリ土類金属元素のNet強度を合計することで、Net強度NAを算出する。
・管電圧:40kV
・管電流:70mA
・対陰極:ロジウム
・測定時間:15分
・分析径:直径10mm
【0070】
吸着水分をより付着しやすくし、外添剤の二層構造を更に維持する観点から、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素が、Na、Mg、及びCaよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0071】
吸着水分を更に付着しやすくし、外添剤の二層構造を更に維持する観点から、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素が、Na、及びMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0072】
蛍光X線分析により測定される、Na元素のNet強度NNは、0.01kcps以上0.20kcps以下であることが好ましく、0.02kcps以上0.15kcps以下であることが好ましく、0.03kcps以上0.10kcps以下であることが好ましい。
また、得られる画像における濃度ムラ抑制及び白抜け抑制の観点から、蛍光X線分析により測定されるMg元素のNet強度NMは、0.15kcps以上1.10kcps以下であることがより好ましく、0.20kcps以上1.00kcps以下であることが更に好ましい。
【0073】
ここで、Na元素のNet強度NN、Mg元素のNet強度NM、及びCa元素のNet強度NCの測定は、定性定量元素分析の際、Na元素のNet強度NN、Mg元素のNet強度NM、及びCa元素のNet強度NCを求めることとする以外は、アルカリ金属元素のNet強度及びアルカリ土類金属元素のNet強度の測定方法と同様の手順にて測定される。
【0074】
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子における、蛍光X線分析により測定されるS元素のNet強度NSが3.0kcps以上6.0kcps以下であることが好ましく、3.5kcps以上5.5kcps以下であることがより好ましく、4.0kcps以上5.0kcps以下であることが更に好ましい。
【0075】
S元素のNet強度NSを上記範囲内とすることで、高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラがより抑制する。その理由は、次の通り推測される。
【0076】
S元素のNet強度NSを上記範囲内とするためには、S元素供給源を添加することが好ましい。
S元素は、トナー粒子中におけるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の分散性を高める働きを有することから、S元素のNet強度NSが上記範囲内となる様にS元素供給源を添加することで、トナー粒子中におけるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の分散性が向上する。それにより、トナー粒子表面側にアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素がより存在しやすくなり、これらの元素に吸着水分が付着しやすくなる。そのため、外添剤がトナー表面に、より付着しやすくなり、外添剤の二層構造がより維持されやすくなる。
以上のことから、S元素のNet強度NSを上記範囲内とすることで、高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラがより抑制すると推測される。
【0077】
ここで、S元素のNet強度NSの測定は、定性定量元素分析の際、S元素のNet強度NSを求めることとする以外は、アルカリ金属元素のNet強度及びアルカリ土類金属元素のNet強度の測定方法と同様の手順にて測定される。
【0078】
Net強度NAに対する、Net強度NSの比(NS/NA)が3超え40未満であることが好ましく、5以上35以下であることが好ましく、10以上30以下であることがより好ましく、15以上25以下であることが更に好ましい。
前記比(NS/NA)を上記範囲内とすることで、トナー粒子中におけるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の分散性が向上しつつ、S元素を含有することによる発生する帯電リークが抑制されるため、高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラが更に抑制すると推測される。
【0079】
-トナー粒子の特性等-
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0080】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
【0081】
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
【0082】
トナー粒子の平均円形度としては、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
【0083】
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA-3000)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理をおこなって外添剤を除去したトナー粒子を得る。
【0084】
(外添剤)
本実施形態に係るトナーは、外添剤として、体積平均粒径が5nm超え80nm以下であるアルミナ粒子及び体積平均粒径が10nm以上90nm以下であるシリカ粒子を含む。
【0085】
-アルミナ粒子-
アルミナ粒子とは、Al2O3で表される酸化アルミニウム粒子である。
アルミナ粒子の体積平均粒径は、5nm超え80nm以下である。
アルミナ粒子の体積平均粒径を、5nm超えとすることで、アルミナ粒子同士の凝集が発生することが抑制され、外添剤の二層構造が崩れにくくなる。
アルミナ粒子の体積平均粒径を、80nm以下とすることで、トナー粒子表面における分散性が向上することで、アルミナ粒子がトナー粒子表面に均一に近い状態で付着しやすくなる。それにより、外添剤の二層構造を形成しやすくなる。
【0086】
外添剤の二層構造をより形成しやすくなる観点から、アルミナ粒子の体積平均粒径は、10nm以上60nm以下であることが好ましく、15nm以上50nm以下であることがより好ましく、18nm以上40nm以下であることがさらに好ましい。
【0087】
ここで、アルミナ粒子の体積平均粒径は、次の方法により測定される。
EDX装置(堀場製作所製、EMAX Evolution X-Max80mm2)を取り付けた走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ製、S-4800)を用いて、倍率4万倍で画像を撮影する。EDX分析によって、Alの存在に基づき、アルミナ粒子の一次粒子を100個以上特定する。特定したアルミナ粒子の一次粒子の画像を画像解析装置(LUZEXIII、(株)ニレコ製)に取り込み、一次粒子の画像解析によって粒子ごとの面積を測定し、この面積値から円相当径を算出する。この円相当径の算出を、アルミナ粒子100個について実施する。そして、得られた円相当径の体積基準の累積頻度における50%径(D50v)をアルミナ粒子の体積平均粒径とする。
なお、電子顕微鏡は1視野中にアルミナ粒子が10個以上50個以下程度写るように倍率を調整し、複数視野の観察を合わせて一次粒子の円相当径を求める。
【0088】
アルミナ粒子の平均円形度は、0.75以上1.0以下が好ましく、0.9以上1.0以下がより好ましく、0.92以上0.98以下がさらに好ましい。
アルミナ粒子の平均円形度を上記範囲にすると、より球状に近いアルミナ粒子となり、トナー粒子に対する付着力が制御され易く、外添剤の二層構造をより形成しやすくなる。
【0089】
ここで、アルミナ粒子の平均円形度は、次の方法により測定される。
まず、アルミナ粒子の円形度は、アルミナ粒子の一次粒子を、SEM装置により観察し、得られた一次粒子の平面画像解析から、下記式により算出される「100/SF2」として得られる。
・式:円形度(100/SF2)=4π×(A/I2)
〔式中、Iは画像上における一次粒子の周囲長を、Aは一次粒子の投影面積を表す。〕
そして、アルミナ粒子の平均円形度は、上記平面画像解析によって得られた一次粒子100個の円形度の累積頻度における50%円形度として得られる。
【0090】
アルミナ粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。
疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、アルミナ粒子100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、8質量部以上20質量部以下であることが更に好ましい。
【0091】
疎水化処理剤としては、シラン系カップリング剤及びシリコーンオイルの少なくとも1種を用いることが好ましい。
シラン系カップリング剤としては、例えば、下記式(A)で示される化合物、下記式(B)で示される化合物が挙げられる。
(R1、R2、R3)-Si-NH-Si-(R1、R2、R3) 式(A)
(R4)4-n-Si-(OR5)n 式(B)
R1からR5は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アリール基、又はアルコキシ基である。なお、アルキル基、アリール基、及びアルコキシ基は置換基を有していてもよい。R1からR5は、それぞれ同一でもそれぞれ異なっていてもよい。
【0092】
式(A)で示される化合物としては、具体的には、ヘキサメチルジシラザン(上記式(A)において、R1、R2およびR3がそれぞれメチル基である。)またはヘキサエチルジシラザン(上記式(A)において、R1、R2およびR3がそれぞれエチル基である。)が好ましく、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。
【0093】
式(B)で示される化合物としては、具体的には、式(B)におけるR1からR5の少なくとも1つが、炭素数が1以上12以下の直鎖アルキル基であることがより好ましい。なお、直鎖アルキル基は、置換基を有してもよい。
上記式(B)で示される化合物としては、式(B)におけるR4が、炭素数が1以上12以下の直鎖アルキル基であることが更に好ましい。
上記式(B)で示される化合物としては、式(B)におけるR5が、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
【0094】
シリコーンオイルとしては、例えば、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状化合物;直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサン;変性基を有するシリコーンオイル等が挙げられる。
また、変性基を有するシリコーンオイルは、変性基の種類としては、例えば、アルコキシ、カルボキシ、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、メタクリル、アミノ等が挙げられる。
【0095】
アルミナ粒子の表面を疎水化処理する方法は、公知の方法を採用できる。疎水化処理する方法としては、例えば、乾式法、湿式法等が挙げられる。
【0096】
乾式法は、流動層等の反応器内でアルミナ粒子および疎水化処理剤を撹拌することで、アルミナ粒子の表面を疎水化処理する方法である。湿式法は、まず、アルミナ粒子を溶剤中に分散させてアルミナ粒子のスラリーを形成する。そして、前記スラリーに疎水化処理剤を添加することで、アルミナ粒子の表面を疎水化処理する方法である。
【0097】
疎水化処理する方法としては、乾式法が好ましい。乾式法でアルミナ粒子の表面を疎水化処理する場合、アルミナ粒子及び疎水化処理剤の撹拌は、100℃以上200℃以下で、0.5時間以上5時間以下加熱することが好ましい。
【0098】
アルミナ粒子の体積抵抗率は、1.0×108Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下が好ましく、1.0×109Ω・cm以上1.0×1011Ω・cm以下がより好ましい。
アルミナ粒子の体積抵抗率は次の通り測定される。アルミナ粒子を面圧20tで、加圧成型を行ない、直径20mm、厚さ5.0mmのペレットを得る。前記ペレットを測定対象とし、20℃、50%RHの条件で電気抵抗をディジタル超高抵抗/微少電流計R8340A(株式会社アドバンテスト製)を用いて測定する。
【0099】
アルミナ粒子の含有量は、トナー粒子に対して0.05質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.2質量%以上2.0質量%以下がより好ましく、0.4質量%以上1.0質量%以下が更に好ましい。
【0100】
-シリカ粒子-
外添剤は、シリカ粒子を含む。
シリカ粒子の体積平均粒径は、10nm以上90nm以下である。
シリカ粒子の体積平均粒径を10nm以上とすることで、外添剤の二層構造における、シリカ粒子からなる層の厚みが増し、トナーが過剰に帯電しにくくなる。
シリカ粒子の体積平均粒径を90nm以下とすることで、シリカ粒子が遊離しにくくなる。
【0101】
外添剤の二層構造をより形成しやすくなる観点から、シリカ粒子の体積平均粒径は、20nm以上80nm以下であることが好ましく、25nm以上70nm以下であることがより好ましく、30nm以上60nm以下であることがさらに好ましい。
【0102】
ここで、シリカ粒子の体積平均粒径は、次の方法により測定される。
EDX装置(堀場製作所製、EMAX Evolution X-Max80mm2)を取り付けた走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ製、S-4800)を用いて、倍率4万倍で画像を撮影する。EDX分析によって、Siの存在に基づき、シリカ粒子の一次粒子を100個以上特定する。特定したシリカ粒子の一次粒子の画像を画像解析装置(LUZEXIII、(株)ニレコ製)に取り込み、一次粒子の画像解析によって粒子ごとの面積を測定し、この面積値から円相当径を算出する。この円相当径の算出を、シリカ粒子100個について実施する。そして、得られた円相当径の体積基準の累積頻度における50%径(D50v)をシリカ粒子の体積平均粒径とする。
なお、電子顕微鏡は1視野中にシリカ粒子が10個以上50個以下程度写るように倍率を調整し、複数視野の観察を合わせて一次粒子の円相当径を求める。
【0103】
シリカ粒子の平均円形度は、0.75以上1.0以下が好ましく、0.9以上1.0以下がより好ましく、0.92以上0.98以下がさらに好ましい。
シリカ粒子の平均円形度を上記範囲にすると、より球状に近いシリカ粒子となり、トナー粒子に対する付着力が制御され易く、外添剤の二層構造をより形成しやすくなる。
【0104】
ここで、シリカ粒子の平均円形度は、次の方法により測定される。
まず、シリカ粒子の円形度は、シリカ粒子の一次粒子を、SEM装置により観察し、得られた一次粒子の平面画像解析から、下記式により算出される「100/SF2」として得られる。
・式:円形度(100/SF2)=4π×(A/I2)
〔式中、Iは画像上における一次粒子の周囲長を、Aは一次粒子の投影面積を表す。〕
そして、シリカ粒子の平均円形度は、上記平面画像解析によって得られた一次粒子100個の円形度の累積頻度における50%円形度として得られる。
【0105】
シリカ粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。
疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、シリカ粒子100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下である。
【0106】
疎水化処理剤としては、シラン系カップリング剤及びシリコーンオイルの少なくとも1種を用いることが好ましい。
シラン系カップリング剤及びシリコーンオイルの具体例としては、上記アルミナ粒子に用いられる疎水化処理剤が挙げられる。
【0107】
シリカ粒子の含有量は、トナー粒子に対して0.5質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.8質量%以上4.6質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上4.2質量%以下が更に好ましい。
【0108】
-その他の外添剤-
外添剤としては、アルミナ粒子及びシリカ粒子以外の外添剤を併用してもよい。
他の外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、TiO2、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等が挙げられる。
【0109】
他の外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
【0110】
他の外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0111】
他の外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
【0112】
-外添剤の含有量比(Ws/Wa)-
本実施形態に係るトナーは、前記アルミナ粒子の含有量Waに対する、前記シリカ粒子の含有量Wsの比(Ws/Wa)が0.5超え35未満である。
【0113】
外添剤の二層構造をより形成しやすくする観点から、前記比(Ws/Wa)は1.5以上25以下であることが好ましく、2.0以上15以下であることがより好ましく、2.5以上5以下であることが更に好ましい。
【0114】
-外添剤の体積平均粒径の比-
本実施形態に係るトナーは、アルミナ粒子の体積平均粒径に対する、シリカ粒子の体積平均粒径の比が0.2以上2.0以下であることが好ましく、0.4以上1.8以下であることがより好ましく、0.6以上1.6以下であることが更に好ましい。
アルミナ粒子の体積平均粒径に対する、シリカ粒子の体積平均粒径の比を上記範囲内とすることで、アルミナ粒子及びシリカ粒子の比重の差がより大きくなるため、トナー粒子表面に対してアルミナ粒子が付着し、さらにその上にシリカ粒子が付着する構造をより取りやすくなる。
【0115】
(トナーの特性)
-超音波処理前後のX線光電子分光分析測定結果-
本実施形態に係るトナーは、超音波処理前のX線光電子分光分析(XPS)において、Al検出量に対する、Si検出量が3.0以上10.5以下であり、超音波処理後のX線光電子分光分析(XPS)において、Al検出量に対する、Si検出量が2.5以上8.5以下であることが好ましい。
【0116】
本実施形態に係るトナーは、上記構成とすることにより、高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラをより抑制する。その理由は、次の通り推測される。
【0117】
超音波処理前のX線光電子分光分析(XPS)において、Al検出量に対する、Si検出量を3.0以上10.5以下とすることで、トナーの最表面にシリカ粒子が多く含まれやすくなる。つまり、トナーの最表面にシリカ粒子からなる層を形成しやすくなる。
そして、超音波処理後のX線光電子分光分析(XPS)において、Al検出量に対する、Si検出量を2.5以上8.5以下とすることで、超音波処理によって取り除かれるシリカ粒子の層の内側、かつ、トナー粒子の表面にアルミナ粒子が多く含まれやすくなる。つまり、シリカ粒子の層の内側、かつ、トナー粒子の表面にアルミナ粒子からなる層を形成しやすくなる。そして、当該構成とすることで、トナーに対して超音波処理等を行ってもアルミナ粒子はトナー粒子の表面から脱離しにくい状態となる。つまり、トナーに対して衝撃等が加わっても、アルミナ粒子は安定してトナー粒子表面に吸着しやすくなる。
以上のことから、上記構成とすることで、前記アルミナ粒子からなる層、及びその上に前記シリカ粒子からなる層の、外添剤の二層構造を形成し、かつ維持しやすくなる。つまり、最表面に前記シリカ粒子を多く含む構造を有する。シリカ粒子は比較的電気抵抗が高いため高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した場合でも、トナーが過剰に帯電しにくくなる。
【0118】
そのため、本実施形態に係るトナーは上記構成とすることで、高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラをより抑制すると推測される。
【0119】
ここで、外添剤の二層構造をより形成しやすくする観点から、超音波処理前のX線光電子分光分析(XPS)において、Al検出量に対する、Si検出量は3.2以上5.0以下であることがより好ましい。
【0120】
外添剤の二層構造をより形成しやすくする観点から、超音波処理後のX線光電子分光分析(XPS)において、Al検出量に対する、Si検出量は2.6以上3.0以下であることがより好ましい。
【0121】
超音波処理前後のX線光電子分光分析測定の手順は下記のとおりである。
試験方法としては、まず、下記手順にてトナーに対して超音波処理を行う。超音波処理装置(Ultrasonic Generator modelUS-300TCVP(日本精機社製))に水系分散媒である 0.2質量%の界面活性剤水溶液 コンタミノンN(富士フイルム 和光純薬工業社製)を0.1L入れた後、そこにトナー粒子を5g添加し、出力20W、周波数20kHzの超音波振動を1分間与えた。その後、浮遊した外添剤を除去して回収し、またトナー粒子を取りだし、メッシュで篩分することで遊離した外添剤とトナー粒子とを分離する。そして篩分後のトナー粒子を超音波処理後のトナーとする。
その後、超音波処理前のトナー及び超音波処理後のトナーそれぞれに対して、X線光電子分光分析測定して、それぞれのトナーにおけるSi検出量とAl検出量とを算出する。Si検出量の算出は、測定領域における全原子量に対するSi原子量を算出することで行う。Al検出量の算出は、測定領域における全原子量に対するAl原子量を算出することで行う。
なお、XPS測定条件は下記の通りである。
・X線光電子分光装置:日本電子社製JPS-9000MX
・X線源:MgKα線
・加速電圧:10.0kV
・Emission電流:20mA
・光電子エネルギーアナライザーのパスエネルギー:30V
測定領域における各原子量の計算は日本分光社提供の相対感光因子を用い、バックグラウンド補正及び面積は、日本電子社製分析アプリケーションソフトに従い算出する。
【0122】
-その他のトナーの特性-
本実施形態に係るトナーにおける、示差走査熱量計(DSC)による1回目の昇温時の最大吸熱ピーク温度は、58℃以上75℃以下が好ましい。トナーの最大吸熱ピーク温度を58℃以上75℃以下とすることで、トナーの低温定着性が良好となる。
【0123】
トナーにおける、示差走査熱量計(DSC)による1回目の昇温時の最大吸熱ピーク温度は、次の通り測定する。
パーキンエルマー社製の示差熱走査熱量計DSC-7を用い、装置の検出部の温度補正にインジウム及び亜鉛の融点を利用し、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプル用としてはアルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、室温から150℃まで昇温速度10℃/minで昇温する。そして、得られる吸熱曲線において、最大吸熱ピークを与える温度を求める。
【0124】
(トナーの製造方法)
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
【0125】
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、公知の製法が採用される。これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
【0126】
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
【0127】
ここで、トナー粒子における、上記各元素のNet強度を上記範囲とするために、トナー粒子の製造過程で、上記各元素の供給源を添加する。
【0128】
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0129】
-樹脂粒子分散液準備工程-
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
【0130】
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0131】
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0132】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0133】
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0134】
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
【0135】
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0136】
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
【0137】
-凝集粒子形成工程-
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
【0138】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上ガラス転移温度-10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
【0139】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0140】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
【0141】
-融合・合一工程-
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
【0142】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
【0143】
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0144】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0145】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
【0146】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
【0147】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
【0148】
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0149】
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0150】
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0151】
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
【0152】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0153】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0154】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0155】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0156】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
【0157】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
【0158】
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0159】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
【0160】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率:1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0161】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として可視像(現像像)化される。
【0162】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0163】
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0164】
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0165】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。なお、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0166】
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0167】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体は記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑が好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0168】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0169】
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0170】
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0171】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0172】
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、
図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0173】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
【0174】
なお、
図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例0175】
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0176】
<非晶性ポリエステル樹脂(A)の合成>
・テレフタル酸 :68部
・フマル酸 :32部
・エチレングリコール :42部
・1,5-ペンタンジオール:47部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えたフラスコに上記の材料を入れ、窒素ガス気流下、1時間を要して温度を220℃まで上げ、上記の材料の合計100部に対してチタンテトラエトキシド1部を投入した。生成する水を留去しながら0.5時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃で1時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。こうして、重量平均分子量97000、ガラス転移温度60℃の非晶性ポリエステル樹脂(A)を得た。
【0177】
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A1)の作製>
温度調節手段及び窒素置換手段を備えた容器に、酢酸エチル40部及び2-ブタノール25部を入れ混合溶剤とした後、非晶性ポリエステル樹脂(A)100部を徐々に投入し溶解させ、ここに、10%アンモニア水溶液(樹脂の酸価に対してモル比で3倍量相当量)を入れて30分間攪拌した。次いで、容器内を乾燥窒素で置換し、温度を40℃に保持して、混合液を攪拌しながらイオン交換水400部を滴下し、乳化を行った。滴下終了後、乳化液を25℃に戻し、体積平均粒径195nmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。この樹脂粒子分散液にイオン交換水を加えて固形分量を20%に調整して、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A1)を得た。
【0178】
<シアン着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)の作製>
非晶性ポリエステル樹脂(A)250部と、C.I.Pigment Blue 15:3(フタロシアニン系顔料、大日精化製、シアニンブルー4937) 50部とをヘンシェルミキサーに入れ、スクリュー回転数600rpmにて120秒間混合し、原料(A)を得た。原料(A)200部と、50%水酸化ナトリウム水溶液0.2部とを、二軸押出機(TEM-58SS、東芝機械(株)製)の原料投入口に投入し、二軸押出機の4バレル目からアニオン性界面活性剤(TaycaPower、テイカ(株)製、固形分12%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム) 40部を投入し、各バレル設定温度95℃、スクリュー回転数240rpmで混練した。二軸押出機の5バレル目から温度95℃のイオン交換水を150部、7バレル目から温度95℃のイオン交換水を150質量部、9バレル目から温度95℃のイオン交換水を15部投入し、原料(A)の平均供給量は200kg/hで混練して、体積平均粒径180nmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。この樹脂粒子分散液にイオン交換水を加えて固形分量を20%に調整して、シアン着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)を得た。
【0179】
<マゼンタ着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(M1)の作製>
着色剤をC.I.Pigment Blue 15:3からC.I.Pigment Red 269(キナクリドン系顔料、日本インキ化学製、SYMULER FAST RED1022)に変更した以外は、シアン着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)と同様の方法で、マゼンタ着色剤(C.I.Pigment Red 269)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(M1)を得た。
【0180】
<イエロー着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(Y1)の作製>
着色剤をC.I.Pigment Blue 15:3からC.I.Pigment Yellow74(モノアゾ系顔料、大日精化製、セイカファストイエロー2054)に変更した以外は、シアン着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)と同様の方法で、イエロー着色剤(C.I.Pigment Yellow74)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(Y1)を得た。
【0181】
<ブラック着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(K1)の作製>
着色剤をC.I.Pigment Blue 15:3からカーボンブラック(キャボット社製、Regal330) に変更した以外は、シアン着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)と同様の方法で、ブラック着色剤(カーボンブラック)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(K1)を得た。
【0182】
<各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C2/M2/Y2/K2)の作製>
二軸押出機の4バレル目から投入するアニオン性界面活性剤(TaycaPower、テイカ(株)製、固形分12%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の部数を40部から60部に変更する以外は、シアン着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)と同様の方法で、次の各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。
・シアン着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)を含む非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C2)
・マゼンタ着色剤(C.I.Pigment Red 269)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(M2)
・イエロー着色剤(C.I.Pigment Yellow74)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(Y2)
・ブラック着色剤(カーボンブラック)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(K2)を得た。
【0183】
<各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C3/M3/Y3/K3)の作製>
二軸押出機の4バレル目から投入するアニオン性界面活性剤(TaycaPower、テイカ(株)製、固形分12%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の部数を40部から20部に変更する以外は、シアン着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)と同様の方法で、次の各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。
・シアン着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C3)
・マゼンタ着色剤(C.I.Pigment Red 269)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(M3)
・イエロー着色剤(C.I.Pigment Yellow74)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(Y3)
・ブラック着色剤(カーボンブラック)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(K3)
【0184】
<各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C4/M4/Y4/K4)の作製>
二軸押出機の4バレル目から投入するアニオン性界面活性剤(TaycaPower、テイカ(株)製、固形分12%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の部数を40部から5部に変更する以外は、シアン着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)と同様の方法で、次の各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。
・シアン着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C4)
・マゼンタ着色剤(C.I.Pigment Red 269)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(M4)
・イエロー着色剤(C.I.Pigment Yellow74)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(Y4)
・ブラック着色剤(カーボンブラック)含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(K4)
【0185】
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)の作製>
・1,10-デカンジカルボン酸:260部
・1,6-ヘキサンジオール :167部
・ジブチル錫オキサイド(触媒):0.3部
加熱乾燥した三口フラスコに上記の材料を入れ、三口フラスコ内の空気を窒素ガスで置換して不活性雰囲気とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌還流を行った。次いで、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させた。こうして、重量平均分子量12500、融解温度73℃の結晶性ポリエステル樹脂を得た。結晶性ポリエステル樹脂90部とアニオン性界面活性剤(TaycaPower、テイカ(株)製、固形分12%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)1.8部とイオン交換水210部とを混合し、120℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理を1時間行い、体積平均粒径195nmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。この樹脂粒子分散液にイオン交換水を加えて固形分量を20%に調整して、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)を得た。
【0186】
(結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B2)の作製)
・テレフタル酸:235部
・1,4-ブテンジオール:123部
・ジブチル錫オキサイド(触媒):0.3部
加熱乾燥した三口フラスコに、上記の成分を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて175℃で4時間攪拌及び還流を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い2時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させた。分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた「結晶性ポリエステル樹脂(B2)」の重量平均分子量(Mw)は12700であり、融解温度は69℃であった。得られた樹脂90部と、アニオン性界面活性剤(TaycaPower、テイカ(株)製、固形分12%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)1.5部と、イオン交換水200部と、を混合し、120℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理を1時間行い、体積平均粒径が195nmであり、固形分量が20質量部である結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B2)とした。
【0187】
<スチレンアクリル樹脂粒子分散液(S1)の作製>
・スチレン :375部
・n-ブチルアクリレート: 25部
・アクリル酸 : 2部
・ドデカンチオール : 24部
・四臭化炭素 : 4部
上記の材料を混合して溶解した混合物を、非イオン性界面活性剤(三洋化成工業製、ノニポール400)6部及びアニオン性界面活性剤(TaycaPower、テイカ(株)製、固形分12%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)10部をイオン交換水550部に溶解した界面活性剤溶液に、フラスコ中で分散及び乳化した。次いで、フラスコ内を攪拌しながら20分間かけて、過硫酸アンモニウム4部をイオン交換水50部に溶解した水溶液を投入した。次いで、窒素置換を行った後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、70℃に5時間維持して乳化重合を継続した。こうして、体積平均粒径150nmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。この樹脂粒子分散液にイオン交換水を加えて固形分量を20%に調整して、スチレンアクリル樹脂粒子分散液(S1)を得た。
【0188】
<離型剤粒子分散液(W1)の作製>
・エステルワックス(日本油脂(株)製、WEP-8、融解温度79℃):100部
・アニオン性界面活性剤 : 1部
(TaycaPower、テイカ(株)製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
・イオン交換水 :350部
上記の材料を混合して100℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径220nmの離型剤粒子が分散した離型剤粒子分散液を得た。この離型剤粒子分散液にイオン交換水を加えて固形分量を20%に調整して、離型剤粒子分散液(W1)とした。
【0189】
[トナー粒子の作製]
<各色トナー粒子(C1/M1/Y1/K1)の作製>
・イオン交換水 :200部
・シアン着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1) :145部
・スチレンアクリル樹脂粒子分散液(S1) : 30部
・離型剤粒子分散液(W1) : 10部
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコに入れ、0.1N(0.1mol/L)の硝酸を添加してpHを3.5に調整した後、塩化マグネシウム6部をイオン交換水30部に溶解させた塩化マグネシウム水溶液を添加した。ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて30℃において分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで加熱し、体積平均粒径が4.5μmとなるまで保持した。
【0190】
次いで、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A1)30部と結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)15部とを添加し、30分間保持した。30分おきに、これら2つの分散液添加を合計4回行った。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A1)40部を添加し、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0に調整した。
次いで、攪拌を継続しながら、昇温速度0.05℃/分で85℃まで昇温し、85℃で3時間保持した後、15℃/分で30℃まで冷却(1回目冷却)した。次いで、昇温速度0.2℃/分で85℃まで加熱(再昇温)し、30分間保持した後、0.5℃/分で30℃まで冷却(2回目冷却)した。
次いで、固形分を濾別し、イオン交換水で洗浄し、乾燥させ、体積平均粒径5.8μmのシアントナー粒子(C1)を得た。
【0191】
シアントナー粒子(C1)の作製において、シアン着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)を、マゼンタ着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(M1)、イエロー着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(Y1)、ブラック着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(K1)に変更した以外は、マゼンタトナー粒子(M1)、イエロートナー粒子(Y1)、ブラックトナー粒子(K1)を得た。
【0192】
<各色トナー粒子(C2/M2/Y2/K2)の作製>
シアントナー粒子(C1)の作製において、下記点について変更した以外はシアントナー粒子(C1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C2/M2/Y2/K2)を得た。
・シアン着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)を、各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C2/M2/Y2/K2)に変更。
・トナー粒子の作製における塩化マグネシウムの添加量を、6部から4部に変更。
【0193】
<各色トナー粒子(C3/M3/Y3/K3)の作製>
シアントナー粒子(C1)の作製において、下記点について変更した以外はシアントナー粒子(C1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C3/M3/Y3/K3)を得た。
・トナー粒子の作製における塩化マグネシウムの添加量を、6部から20部に変更。
【0194】
<各色トナー粒子(C4/M4/Y4/K4)の作製>
シアントナー粒子(C1)の作製において、下記点について変更した以外はシアントナー粒子(C1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C4/M4/Y4/K4)を得た。
・シアン着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)を、各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C3/M3/Y3/K3)に変更。
・ノニオン性界面活性剤(TaycaPower、テイカ(株)製、固形分12%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の部数を0.5部へ変更した
【0195】
<各色トナー粒子(C5/M5/Y5/K5)の作製>
シアントナー粒子(C1)の作製において、下記点について変更した以外はシアントナー粒子(C1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C5/M5/Y5/K5)を得た。
・シアン着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)を、各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C4/M4/Y4/K4)に変更。
・ノニオン性界面活性剤(TaycaPower、テイカ(株)製、固形分12%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の部数を3部に変更した
【0196】
<各色トナー粒子(C6/M6/Y6/K6)の作製>
シアントナー粒子(C1)の作製において、下記点について変更した以外はシアントナー粒子(C1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C6/M6/Y6/K6)を得た。
・シアン着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)を、各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C2/M2/Y2/K2)に変更。
・トナー粒子の作製における塩化マグネシウムの添加量を、6部から2部に変更。
【0197】
<各色トナー粒子(C7/M7/Y7/K7)の作製>
シアントナー粒子(C1)の作製において、下記点について変更した以外はシアントナー粒子(C1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C7/M7/Y7/K7)を得た。
・シアン着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)を、各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C2/M2/Y2/K2)に変更。
・トナー粒子の作製における塩化マグネシウムの添加量を、6部から30部に変更。
【0198】
<各色トナー粒子(C8/M8/Y8/K8)の作製>
各色トナー粒子(C1/M1/Y1/K1)の作製において、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)を添加しないこと以外は各色トナー粒子(C1/M1/Y1/K1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C8/M8/Y8/K8)を得た。
【0199】
<各色トナー粒子(C9/M9/Y9/K9)の作製>
各色トナー粒子(C1/M1/Y1/K1)の作製において、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B1)を結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(B2)に変えたこと以外は各色トナー粒子(C1/M1/Y1/K1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C9/M9/Y9/K9)を得た。
【0200】
<各色トナー粒子(C10/M10/Y10/K10)の作製>
シアントナー粒子(C1)の作製において、下記点について変更した以外はシアントナー粒子(C1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C10/M10/Y10/K10)を得た。
・ノニオン性界面活性剤(TaycaPower、テイカ(株)製、固形分12%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の部数を6部に変更した
【0201】
<各色トナー粒子(C11/M11/Y11/K11)の作製>
シアントナー粒子(C1)の作製において、下記点について変更した以外はシアントナー粒子(C1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C11/M11/Y11/K11)を得た。
・ノニオン性界面活性剤(TaycaPower、テイカ(株)製、固形分12%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の部数を7部に変更した
【0202】
<各色トナー粒子(C12/M12/Y12/K12)の作製>
シアントナー粒子(C1)の作製において、下記点について変更した以外はシアントナー粒子(C1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C12/M12/Y12/K12)を得た。
・ノニオン性界面活性剤(TaycaPower、テイカ(株)製、固形分12%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の部数を0.2部に変更した
【0203】
<各色トナー粒子(C13/M13/Y13/K13)の作製>
シアントナー粒子(C1)の作製において、下記点について変更した以外はシアントナー粒子(C1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C13/M13/Y13/K13)を得た。
・シアン着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)を、各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C2/M2/Y2/K2)に変更。
・トナー粒子の作製における塩化マグネシウムの添加量を、6部から23部に変更。
【0204】
<各色トナー粒子(C14/M14/Y14/K14)の作製>
シアントナー粒子(C1)の作製において、下記点について変更した以外はシアントナー粒子(C1)と同様の方法にて、各色トナー粒子(C14/M14/Y14/K14)を得た。
・シアン着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)を、各種着色剤含有非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C2/M2/Y2/K2)に変更。
・トナー粒子の作製における塩化マグネシウムの添加量を、6部から2.5部に変更。
【0205】
[シリカ粒子の準備]
市販品のシリカ粒子を外添剤として用いた。
・シリカ粒子(1):日本アエロジル株式会社製、RY50、体積平均粒径40nm
・シリカ粒子(2):トクヤマ社製、PM20、体積平均粒径12nm
・シリカ粒子(3):TGC243、キャバット社製、体積平均粒径85nm
・シリカ粒子(4):H30TD、Wacker-Chemie社製、体積平均粒径7nm
・シリカ粒子(5):UFP-80HH、デンカ社製、体積平均粒径100nm
【0206】
[アルミナ粒子の作製]
(アルミナ粒子(1))
三塩化アルミニウム(AlCl3)を200℃条件下で蒸発装置中にて蒸発させた。塩化物の蒸気を、アルゴンガスによりバーナーの混合チャンバー中に供給量200kg/hで通過させた。ここで、塩化物の蒸気を含むアルゴンガスを水素100Nm3/hおよび空気450Nm3/hと混合し、中央チューブ(直径7mm)を介して火炎へ供給した。この時のバーナー温度は230℃であり、チューブの排出速度は約30m/sであった。水素0.05Nm3/hをジャケットタイプの気体として外側チューブを介して供給した。気体は反応チャンバー中で燃焼し、下流の凝集ゾーンで約110℃まで冷却し、アルミナの一次粒子の凝集を行った。同時に生成される塩酸含有ガスから、得られた酸化アルミニウム粒子をフィルター又はサイクロン中で分離し、湿り空気を有する粉末を約600℃で処理することにより、接着性の塩化物を除去し、アルミナ粉末を得た。
得られたアルミナ粉末を反応容器に入れて、窒素雰囲気下、粉末を回転羽根で撹拌しながら、アルミナ粉末100gに対して、デシルシラン20gをヘキサン60gで希釈させたものを添加し、200℃120分加熱撹拌後、冷却水で冷却し、減圧下で乾燥し、体積平均粒径8nmのアルミナ粒子(1)を得た。
【0207】
(アルミナ粒子(2))
アルミナ粒子(1)の製造において、三塩化アルミニウム蒸気を100kg/hで通過させ、アルゴンガスによりバーナーの混合チャンバー中に供給量100kg/hで通過させたこと以外は、アルミナ粒子(1)と同様の方法で体積平均粒径20nmのアルミナ粒子(2)を得た。
【0208】
(アルミナ粒子(3))
アルミナ粒子(1)の製造において、三塩化アルミニウム蒸気を50kg/hで通過させ、アルゴンガスによりバーナーの混合チャンバー中に供給量75kg/hで通過させたこと以外は、アルミナ粒子(1)と同様の方法で体積平均粒径80nmのアルミナ粒子(3)を得た。
【0209】
(アルミナ粒子(4))
アルミナ粒子(1)の製造において、三塩化アルミニウム蒸気を300kg/hで通過させ、アルゴンガスによりバーナーの混合チャンバー中に供給量300kg/hで通過させたこと以外は、アルミナ粒子(1)と同様の方法で体積平均粒径5nmのアルミナ粒子(4)を得た。
【0210】
(アルミナ粒子(5))
アルミナ粒子(1)の製造において、三塩化アルミニウム蒸気を50kg/hで通過させ、アルゴンガスによりバーナーの混合チャンバー中に供給量20kg/hで通過させたこと以外は、アルミナ粒子(1)と同様の方法で体積平均粒径100nmのアルミナ粒子(5)を得た。
【0211】
[キャリアの作製]
球状マグネタイト粉末粒子(体積平均粒子径0.55μm)500部をヘンシェルミキサーで攪拌した後、チタネート系カップリング剤5部を添加し100℃まで昇温して30分間攪拌した。次いで、四つ口フラスコに、フェノール6.25部と、35%ホルマリン9.25部と、チタネート系カップリング剤で処理したマグネタイト粒子500部と、25%アンモニア水6.25部と、水425部とを入れて攪拌し、攪拌しながら85℃で120分間反応させた。次いで、25℃まで冷却し、水500部を添加後、上澄み液を除去して沈殿物を水洗した。水洗した沈殿物を減圧下で加熱して乾燥し、平均粒径35μmのキャリア(CA)を得た。
【0212】
<実施例1>
[外添剤の外添]
シアントナー粒子(C1)100部と、アルミナ粒子(1)0.5部を混合し、サンプルミルを用いて回転速度10000rpmで30秒間混合した後、30秒間の休止を経た後にさらにシリカ粒子(1)1.7部を加えた後に、回転速度10000rpmで30秒間混合した。目開き45μmの振動篩で篩分して、トナー(C1)を得た。トナー(C1)の体積平均粒子径は5.8μmであった。
【0213】
[トナーとキャリアとの混合]
シアントナー(C1)とキャリア(CA)とをトナー(C1):キャリア(CA)=5:95(質量比)の割合でVブレンダーに入れ20分間攪拌し、シアン現像剤(C1)を得た。
【0214】
[各種現像剤の作製]
シアントナー粒子(C1)に代えて、マゼンタトナー粒子(M1)を用いた以外は、シアン現像剤(C1)と同様の方法にて、マゼンタ現像剤(M1)を得た。
シアントナー粒子(C1)に代えて、イエロートナー粒子(Y1)を用いた以外は、シアン現像剤(C1)と同様の方法にて、イエロー現像剤(Y1)を得た。
シアントナー粒子(C1)に代えて、ブラックトナー粒子(K1)を用いた以外は、シアン現像剤(C1)と同様の方法にて、ブラック現像剤(K1)を得た。
得られた、各色の現像剤のセットを、実施例1の現像剤セットとした。
【0215】
<実施例2~16、比較例1~8>
使用したトナー粒子の種類、並びに外添剤の種類及び添加量を表1に記載の通りに変えたこと以外は実施例1と同様の方法で各例の現像剤セットを得た。
【0216】
[トナー粒子の体積平均粒径の測定]
各例の現像剤セットのうち、シアン現像剤におけるトナー粒子について、体積平均粒径の測定を既述の方法に従って測定した。その結果を表1に示す。なお、他の色の現像剤におけるトナー粒子の「体積平均粒径」は、シアン現像剤におけるトナー粒子の「体積平均粒径」とほぼ同じであった。
【0217】
[各元素のNet強度の測定]
各例の現像剤セットのうち、シアン現像剤におけるトナー粒子について、次の元素のNet強度を既述の方法に従って測定した。その結果を表2に示す。なお、他の色の現像剤におけるトナー粒子の「各元素のNet強度」は、シアン現像剤におけるトナー粒子の「各元素のNet強度」とほぼ同じであった。
・S元素のNet強度NS(表中、「S(NS)」と表記)
・アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計のNet強度NA(表中、「ALKALI(NA)」と表記)
・Na元素のNet強度NN(表中、「Na(NN)」と表記)
・Mg元素のNet強度NM(表中、「Mg(NM)」と表記)
・Ca元素のNet強度NC(表中、「Ca(NC)」と表記)
・Na元素、Mg元素、及びCa元素以外のアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の合計のNet強度NA-NMC((表中、「ALKALI-(Na+Mg+Ca)(NA-NMC)」と表記))
【0218】
<画像濃度ムラ評価>
各例の現像剤セットをDocuCentreColor400(富士ゼロックス(株)製)改造機の現像装置に収容した。この改造機を用いて、28.5℃、85%RHの環境下で、A4サイズのJ紙(富士ゼロックス(株)製)に対して、画像密度20%の4色帯チャート画像を1日当たり10,000枚出力した。合計20,000枚出力した後に、転写ベルト部材を取り出し、取り出した前記転写ベルト部材の代わりに、劣化した転写ベルト部材をDocuCenterColor400(富士ゼロックス(株)製)改造機にセットした。環境を10℃、10%RHに変更し24時間以上静置した。その後A4サイズの45紙((株)リコー製 坪量52gsm)に対し、1×290mmの帯チャート、20×20mmの二次色(赤、緑、青)のパッチ画像、及び20×20mmの3次色(プロセスブラック)のパッチ画像を、1日で7,000枚印刷した。前記印刷された用紙の画像を、1,000枚ごとに目視にて確認し、下記評価基準にて評価した。なお、A~Cまでを許容範囲とした。
-評価基準-
A:画質に問題はない。
B:3次色のパッチ周辺にわずかに画像濃度ムラが観察されるが、画質に問題はない。
C:3次色に加え、2次色のパッチ周辺にわずかに画像濃度ムラが観察されるが、画質に問題はない。
D:3次色に画像濃度ムラが観察される。
E:3次色に加え、2次色のパッチ周辺にも画像濃度ムラが観察される。
【0219】
表中の記載における「粒径比(Si/Al)」は、アルミナ粒子の体積平均粒径に対する、シリカ粒子の体積平均粒径の比を示す。
【0220】
【0221】
【0222】
【0223】
【0224】
上記結果から、本実施例のトナーは、高温高湿環境下で連続して低画像密度の画像を形成した後、高画像密度の画像を形成した場合の画像濃度ムラを抑制できることがわかる。