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特開2022-180148アウトリガ用敷板設置装置、アウトリガ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180148
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】アウトリガ用敷板設置装置、アウトリガ
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/78 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
B66C23/78 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087084
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】506002823
【氏名又は名称】古河ユニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦典
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA08
3F205AC01
3F205CB03
3F205DA04
3F205FA01
3F205FA09
(57)【要約】
【課題】クレーン搭載車両の走行中に縦アウトリガボックスが伸長した場合であっても、敷板部に姿勢の変化や脱落が発生することを抑制することが可能なアウトリガ用敷板設置装置と、アウトリガ用敷板設置装置を備えるアウトリガを提供する。
【解決手段】縦アウトリガボックスの伸縮に応じて姿勢が変化する敷板部31は、敷板部31のうち地面と接地する面である接地面31Gと反対側の面に固定されて突出する受け金具部35を備え、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに敷板部31をアウタボックス83に固定可能な敷板ロック機構6は、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに受け金具部35をアウタボックス83に固定可能であり、敷板ロック機構6によって敷板部31を固定している状態では、縦アウトリガボックスが伸長する動作をしても敷板部31が敷板格納姿勢を維持する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のアウタボックスと、
一端から前記アウタボックスの内部に挿入されて前記アウタボックスと共に縦アウトリガボックスを形成し、且つ前記アウタボックスに対して変位するインナボックスと、
前記縦アウトリガボックスの伸縮に応じて姿勢が変化する敷板部と、
前記縦アウトリガボックスが伸長する動作に連動して、前記敷板部の姿勢が、前記敷板部の地面と接地する面である接地面と反対側の面が前記アウタボックスの側面と対向する敷板格納姿勢から前記インナボックスと地面との間に前記敷板部が配置された敷板設置姿勢へと変化するように、前記敷板部を変位させる敷板設置機構部と、
前記縦アウトリガボックスが縮小する動作に連動して、前記敷板部の姿勢を前記敷板設置姿勢から前記敷板格納姿勢へ向けて変化させ、且つ前記縦アウトリガボックスが最も縮小した状態で、前記敷板部の姿勢を前記敷板格納姿勢に達する前の予め設定した姿勢とする敷板格納機構部と、
前記敷板部の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに前記敷板部を前記アウタボックスに固定可能な敷板ロック機構と、を備えるアウトリガに適用可能なアウトリガ用敷板設置装置であって、
前記敷板部は、前記敷板部の前記反対側の面に固定され、且つ前記反対側の面から突出する受け金具部を備え、
前記敷板ロック機構は、前記敷板部の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに前記受け金具部を前記アウタボックスに固定可能であり、
前記敷板ロック機構によって前記敷板部を固定している状態では、前記縦アウトリガボックスが伸長する動作をしても前記敷板部が前記敷板格納姿勢を維持するアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項2】
前記敷板ロック機構は、前記受け金具部の一部を前記アウタボックスに固定可能な第一ロック機構と、前記受け金具部の他の一部をアウタボックスに固定可能な第二ロック機構と、を備え、
前記第一ロック機構によって前記受け金具部の一部が前記アウタボックスに固定されている状態では、前記敷板部が前記アウタボックスから離れる方向への全ての力を第一ロック機構が受け、
前記第二ロック機構によって前記他の一部が前記アウタボックスに固定され且つ前記第一ロック機構によって前記受け金具部の一部が前記アウタボックスに固定されていない状態では、前記敷板部が前記アウタボックスから離れる方向への全ての力を前記第二ロック機構が受ける請求項1に記載したアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項3】
前記予め設定した姿勢の前記敷板部を前記アウタボックスへ向けて変位させることで、前記第一ロック機構が前記受け金具部の一部を前記アウタボックスに固定する請求項2に記載したアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項4】
前記第一ロック機構は、
前記アウタボックスの各面のうち前記アウトリガを搭載する車両の前後方向を向く面に配置され、且つ予め設定した一の方向へ操作することで前記アウタボックスに固定されている前記受け金具部を解放するレバーと、
前記第一ロック機構により前記受け金具部を前記アウタボックスに固定した状態で前記レバーに対して前記一の方向とは逆の方向へ変位させる力を常に加えるメインロックスプリングと、を備える請求項2又は請求項3に記載したアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項5】
前記レバーは、前記アウタボックスの各面のうち前記車両の前後方向を向く二つの面にそれぞれ配置された一対のレバーであり、
前記第一ロック機構は、前記一対のレバーを連結するガイドフレームをさらに備え、
前記ガイドフレームは、前記一対のレバーのうち一方を前記一の方向へ操作すると、前記一対のレバーのうち他方を前記一の方向へ変位させる請求項4に記載したアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項6】
前記第二ロック機構は、前記アウタボックスの側面に沿って上下方向へ変位可能な解除グリップと、前記敷板格納姿勢において前記解除グリップよりも下方に配置され、且つ前記解除グリップに連結されて解除グリップと共に上下方向へ変位可能なロック部材と、を備え、
前記ロック部材を前記アウタボックスと前記受け金具部との間へ配置することで、前記敷板部の姿勢が前記敷板格納姿勢のときに前記受け金具部を前記アウタボックスに固定可能であり、
前記解除グリップを上方へ移動させることで前記アウタボックスと前記受け金具部との間へ配置した前記ロック部材を上方へ移動させて、前記受け金具部を前記アウタボックスから離脱させることが可能である請求項2から請求項5のうちいずれか1項に記載したアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項7】
前記アウタボックスと前記受け金具部との間へ前記ロック部材を配置した状態から前記解除グリップを上方へ移動させ、さらに、前記解除グリップを予め設定した一の方向へ操作することで、前記受け金具部を前記アウタボックスから離脱させることが可能な状態を維持する請求項6に記載したアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項8】
前記第二ロック機構は、前記解除グリップに対して下方へ変位させる力を常に加えるサブロックスプリングをさらに備える請求項6又は請求項7に記載したアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項9】
前記第一ロック機構は、
前記アウタボックスの各面のうち前記アウトリガを搭載する車両の前後方向を向く面に配置され、且つ予め設定した一の方向へ操作することで前記アウタボックスに固定されている前記受け金具部を解放するレバーと、
前記レバーと共に変位し、且つ前記レバーを前記一の方向へ操作する際に前記第二ロック機構によって前記他の一部が前記アウタボックスに固定されている状態で前記第二ロック機構と接触する支持板部をさらに備える請求項6から請求項8のうちいずれか1項に記載したアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項10】
前記アウトリガを搭載する車両は、サイドガードを備え、
前記接地面は、前記敷板格納姿勢において、前記サイドガードと共に前記車両の側面に配置される請求項1から請求項9のうちいずれか1項に記載したアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項11】
前記インナボックスの他端に取り付けられたフロートをさらに備え、
前記敷板ロック機構により前記受け金具部を前記アウタボックスに固定した状態で前記縦アウトリガボックスを伸長させて、前記フロートを前記地面と接地させることが可能である請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載したアウトリガ用敷板設置装置。
【請求項12】
車両に搭載されるアウトリガであって、
筒状のアウタボックスと、一端から前記アウタボックスの内部に挿入されて前記アウタボックスと共に縦アウトリガボックスを形成し、且つ前記アウタボックスに対して変位するインナボックスと、を有し、前記アウタボックスに対して前記インナボックスを変位させることで伸縮する縦アウトリガボックスと、
請求項1から請求項11のうちいずれか1項に記載したアウトリガ用敷板設置装置と、を備えるアウトリガ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック等のクレーン搭載車両が備えるアウトリガに適用可能なアウトリガ用敷板設置装置と、アウトリガに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラック等のクレーン搭載車両には、クレーンを用いる作業等において、クレーン搭載車両の転倒を防止するため、アウトリガが備えられている。
アウトリガは、筒状のアウタボックスと、アウタボックスに対して変位するインナボックスとにより伸縮可能に形成された縦アウトリガボックスを備えており、アウトリガの使用時には、縦アウトリガボックスを伸長させる。また、アウトリガの使用時には、荷重を受けるために、例えば、特許文献1に開示されているように、アウトリガを支持する敷板部が用いられる。
特許文献1に開示されている構成では、クレーン搭載車両に敷板部が格納されており、アウトリガの使用時には、人力により敷板部を設置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-122959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている構成では、アウトリガを使用する度に、人力により敷板部の設置や格納を行う必要があるため、作業効率が低下するという問題がある。
この問題に対応するため、縦アウトリガボックスを伸縮させる動作に連動させて、敷板部を自動で設置及び格納することが可能な構成を採用する対策が考えられる。
【0005】
敷板部を自動で設置及び格納することが可能な構成では、敷板部を格納した敷板格納姿勢において、縦アウトリガボックスを最も縮小させた状態として、クレーン搭載車両から突出した部分を、極力少なくすることで、走行時や駐車時に適した状態とする。
しかしながら、クレーン搭載車両の走行時に発生する振動等によって、縦アウトリガボックスが意図せずに伸長した場合等には、クレーン搭載車両の走行中に、敷板部の姿勢が変化する可能性や、敷板部が脱落する可能性がある。
本発明は、上述した問題点を鑑み、クレーン搭載車両の走行中に縦アウトリガボックスが伸長した場合であっても、敷板部に姿勢の変化や脱落が発生することを抑制することが可能な、アウトリガ用敷板設置装置とアウトリガを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るアウトリガ用敷板設置装置は、アウタボックスと、インナボックスと、敷板部と、敷板設置機構部と、敷板格納機構部と、敷板ロック機構とを備えるアウトリガに適用可能なアウトリガ用敷板設置装置である。アウタボックスは、筒状に形成されている。インナボックスは、一端からアウタボックスの内部に挿入されてアウタボックスと共に縦アウトリガボックスを形成し、且つアウタボックスに対して変位する。敷板部は、縦アウトリガボックスの伸縮に応じて姿勢が変化する。敷板設置機構部は、縦アウトリガボックスが伸長する動作に連動して、敷板部の姿勢が、敷板部の地面と接地する面である接地面と反対側の面がアウタボックスの側面と対向する敷板格納姿勢からインナボックスと地面との間に敷板部が配置された敷板設置姿勢へと変化するように、敷板部を変位させる。敷板格納機構部は、縦アウトリガボックスが縮小する動作に連動して、敷板部の姿勢を敷板設置姿勢から敷板格納姿勢へ向けて変化させ、且つ縦アウトリガボックスが最も縮小した状態で、敷板部の姿勢を敷板格納姿勢に達する前の予め設定した姿勢とする。敷板ロック機構は、敷板部の姿勢が敷板格納姿勢のときに敷板部をアウタボックスに固定可能な機構である。また、敷板部は、敷板部の反対側の面に固定され、且つ反対側の面から突出する受け金具部を備える。これに加え、敷板ロック機構は、敷板部の姿勢が敷板格納姿勢のときに受け金具部をアウタボックスに固定可能である。そして、敷板ロック機構によって敷板部を固定している状態では、縦アウトリガボックスが伸長する動作をしても敷板部が敷板格納姿勢を維持する。
【0007】
また、本発明の一態様に係るアウトリガは、車両に搭載されるアウトリガであって、アウタボックスと、インナボックスとを有する縦アウトリガボックスと、アウトリガ用敷板設置装置とを備える。アウタボックスは、筒状に形成されている。インナボックスは、一端からアウタボックスの内部に挿入されてアウタボックスと共に縦アウトリガボックスを形成し、且つアウタボックスに対して変位する。縦アウトリガボックスは、アウタボックスに対してインナボックスを変位させることで伸縮する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るアウトリガ用敷板設置装置とアウトリガによれば、クレーン搭載車両の走行中に縦アウトリガボックスが伸長した場合であっても、敷板部に姿勢の変化や脱落が発生することを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態のアウトリガ用敷板設置装置を備えた車両搭載型クレーンの側面図である。
図2】車両から取り外した状態のクレーンの正面図である。
図3】車両から取り外した状態のクレーンの斜視図である。
図4】アウトリガ用敷板設置装置を前方から見た図である。
図5】アウトリガ用敷板設置装置を外側から見た図である。
図6】敷板部及びアームの側面図である。
図7】敷板格納姿勢の状態における、アームプレートとボス及びカムとの接触状態を示す図である。
図8-1】敷板設置動作において敷板ユニットが変位する流れを説明するための図である。
図8-2】敷板設置動作において敷板ユニットが変位する流れを説明するための図である。
図9】カムの固定位置を変更する構造を説明するための図である。
図10】敷板部をアウタボックスに固定した状態にしたときの、縦アウトリガボックスを張り出す動作を説明するための図である。
図11】敷板ロック機構の構成を示す斜視図である。
図12】第一ロック機構の構成を示す正面図である。
図13図12のXIII線矢視図である。
図14】第一ロック機構の構成を示す斜視図である。
図15】第一ロック機構の構成を示す斜視図である。
図16】第二ロック機構の構成を示す斜視図である。
図17図16のXVII線矢視図である。
図18】第二ロック機構の構成を示す断面図である。
図19-1】敷板ロック機構により敷板部をロックする流れを説明するための図である。
図19-2】敷板ロック機構により敷板部をロックする流れを説明するための図である。
図20-1】敷板ロック機構により敷板部をロックする流れを説明するための拡大図である。
図20-2】敷板ロック機構により敷板部をロックする流れを説明するための拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るアウトリガ用敷板設置装置と、アウトリガを備える作業車両の一実施形態であるクレーン搭載車両について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚さと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0011】
(実施形態)
(構成)
アウトリガ用敷板設置装置1(以降の説明では、「敷板設置装置1」と記載する場合がある)を備えたクレーン搭載車両100は、図1に示すように、車両本体101と、クレーン105を備える。
【0012】
実施形態では、図1に示すように、車両本体101を、トラックとした場合について説明する。なお、以降の説明及び図面では、クレーン搭載車両100が前進する方向(シフトがDレンジ等に選択されている状態で走行する方向)を、「前方」と記載する場合がある。同様に、以降の説明及び図面では、クレーン搭載車両100が後退する方向(シフトがRレンジに選択されている状態で走行する方向)を、「後方」と記載する場合がある。また、以降の説明及び図面では、「左側」を、クレーン搭載車両100を運転する運転者における左側とし、「右側」を、クレーン搭載車両100を運転する運転者における右側とする。したがって、以降の説明及び図面では、「左側面視」を、クレーン搭載車両100を運転する運転者を左側から見た視点とし、「右側面視」を、クレーン搭載車両100を運転する運転者を右側から見た視点とする。また、以降の説明では、「左側面視」と「右側面視」とをまとめて、「側面視」と記載する場合がある。
【0013】
車両本体101は、荷台102と、運転室103と、シャーシフレーム104と、サイドガードSG(サイドバンパ)を備える。したがって、クレーン搭載車両100は、サイドガードSGを備える車両に対応する。
荷台102には、例えば、クレーン105によって吊り下げる荷物(建材等)を載せる。
【0014】
運転室103には、クレーン搭載車両100の操縦手等が座る。
シャーシフレーム104は、車両本体101の骨格を構成する。
【0015】
サイドガードSGは、車両本体101の右側及び左側において、車両本体101が備える前輪FWと後輪RWの間に配置されており、パイプを用いて形成されている。なお、サイドガードSGの構成は、パイプを用いて形成されている構成に限定するものではなく、例えば、板状に形成されている構成としてもよい。また、図1では、サイドガードSGの形状を簡略化して図示している。
また、実施形態では、一例として、サイドガードSGの構成を、フロントサイドガードFSGと、リアサイドガードRSGを含む構成とした場合について説明する。
【0016】
フロントサイドガードFSGは、側面視で、前輪FWとクレーン105との間に配置されている。
リアサイドガードRSGは、クレーン105と後輪RWとの間に配置されている。
フロントサイドガードFSGとリアサイドガードRSGの地上高は、例えば、上縁が650[mm]以上であり、下縁が450[mm]以下である。
【0017】
クレーン105は、シャーシフレーム104の上に搭載されている。
また、クレーン105は、ベース91と、コラム92と、ブーム93と、フック94と、各種のアクチュエータ(図示略)を備える。
【0018】
ベース91は、角筒状に形成されており、アウトリガ80を備える。
コラム92は、ベース91の上へ旋回自在に設けられている。
【0019】
ブーム93は、伸縮式のブームであり、コラム92の上端部へ起伏自在に取り付けられている。
フック94には、ワイヤロープ106の先端側が固定されている。ワイヤロープ106は、基端側からコラム92に設けられたウインチ(図示略)に巻かれている。また、ワイヤロープ106の先端側は、ウインチから繰り出されてブーム93の先端部へ配置され、さらに、フック94に固定されている。これにより、フック94は、ブーム93の先端部から吊り下げられている。
【0020】
各種のアクチュエータは、コラム92(ブーム93)の旋回、ブーム93の起伏と伸縮、ウインチによるフック94の巻上げ、巻下げ、アウトリガ80の伸縮を行うためのアクチュエータを含む。また、各種のアクチュエータは、車両本体101が備える油圧供給源(図示略)から、切換制御弁装置を介して個別に圧油が供給されることにより作動する。
【0021】
(アウトリガ)
アウトリガ80は、サイドガードSGを備えるクレーン搭載車両100に搭載され、図2及び図3に示すように、左右一対の横アウトリガボックス81と、左右一対の縦アウトリガボックス82と、敷板設置装置1とを備える。なお、図2では、アウトリガ80の構成を省略して図示している。また、図中及び以降の説明では、左右一対の縦アウトリガボックス82のうち、左側に配置した縦アウトリガボックス82を、「左縦アウトリガボックス82L」と記載する場合がある。同様に、図中及び以降の説明では、左右一対の縦アウトリガボックス82のうち、右側に配置した縦アウトリガボックス82を、「右縦アウトリガボックス82R」と記載する場合がある。
【0022】
横アウトリガボックス81は、角筒状に形成されている。
横アウトリガボックス81の基端側は、ベース91の内部へ挿入されている。これにより、横アウトリガボックス81は、ベース91に対して、左右方向へのスライド移動が可能である。
また、横アウトリガボックス81は、張出位置H又は格納位置Kにスライド移動が可能である。
【0023】
張出位置Hは、横アウトリガボックス81が、ベース91から車両本体101よりも右側及び左側に張り出した位置である。格納位置Kは、横アウトリガボックス81が、ベース91の内部に格納された位置である。
なお、実施形態では、オペレータが、アウトリガ80に設けられた把持部(図示略)を手で掴んで引く動作や押す動作を行うことで、横アウトリガボックス81をスライド移動させる場合について説明する。
【0024】
縦アウトリガボックス82は、横アウトリガボックス81の先端側に配置されている。
また、縦アウトリガボックス82は、アウタボックス83と、インナボックス84と、油圧シリンダ(図示略)と、フロート85とを備える。
【0025】
アウタボックス83は、角筒状に形成されており、横アウトリガボックス81の先端部に固定されている。アウタボックス83の長さ方向は、前方又は後方から見て、横アウトリガボックス81の長さ方向と直交している。アウタボックス83が有する四つの外周面は、車両本体101の走行方向及び左右方向と平行である。したがって、アウタボックス83の長さ方向は、クレーン搭載車両100の高さ方向と平行に向けられている。
【0026】
インナボックス84は、アウタボックス83よりも外径が小さい角筒状に形成されており、アウタボックス83と共に縦アウトリガボックス82を形成する。
インナボックス84の一端は、アウタボックス83の内部に挿入されている。これにより、インナボックス84は、アウタボックス83に対して、上下方向へのスライド移動が可能である。
【0027】
油圧シリンダは、インナボックス84をアウタボックス83の内部に挿入した状態で、アウタボックス83及びインナボックス84の内部に配置されている。
油圧シリンダの一端は、アウタボックス83の内部において、アウタボックス83の上部に固定されている。油圧シリンダの他端は、インナボックス84の内部において、インナボックス84の下部に固定されている。したがって、油圧シリンダを伸縮させると、インナボックス84が上下方向にスライド移動する。すなわち、アウタボックス83に対してインナボックス84を変位させることで、縦アウトリガボックス82が伸縮する。
すなわち、縦アウトリガボックス82が備える油圧シリンダは、クレーン105が備える各種のアクチュエータのうち、アウタボックス83に対してインナボックス84を変位させることで、縦アウトリガボックス82を伸縮させるアクチェーターを形成する。
【0028】
フロート85は、例えば、四辺形に形成された板状の部材である。また、フロート85は、厚さ方向をインナボックス84の長さ方向と平行に向けた状態で、インナボックス84の他端に取り付けられている。
【0029】
(敷板設置装置)
敷板設置装置1は、左右一対の縦アウトリガボックス82に、それぞれ設けられている。すなわち、クレーン搭載車両100は、左右一対の敷板設置装置1を備える。
また、敷板設置装置1は、図4及び図5に示すように、敷板ユニット2と、アウタ側案内機構4と、接地側案内機構5と、敷板ロック機構6と、第一クッション7と、一対の第二クッション8とを備える。
【0030】
(敷板ユニット)
敷板ユニット2は、図4及び図5に示すように、アーム20と、敷板30とを備える。
【0031】
<アーム>
アーム20は、例えば、「HT590」等の高張力鋼材を用いて形成されている。これは、アーム20が、他の構成部材と比較してサイズが大きく、また、アウトリガ80を作動させる際に発生する推力や、アウトリガ80の使用時においてクレーン搭載車両100の重量を受けるため、軽量であり、高い強度を有することが望ましいためである。
【0032】
また、アーム20は、一対のアームプレート21を備える。
一対のアームプレート21は、円柱状に形成された接続ロッド28によって接続されており、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに、アウタボックス83に対して、前方又は後方に沿って対向する。
【0033】
なお、敷板格納姿勢は、図2において格納位置Kにある敷板設置装置1の状態で示される、敷板30を格納した姿勢である。具体的に、敷板格納姿勢は、敷板部31の姿勢が、敷板部31の地面と接地する面である接地面31Gと反対側の面がアウタボックス83の側面と対向する姿勢である。また、敷板格納姿勢では、接地面31Gと反対側の面が、アウタボックス83の側面と、クレーン搭載車両100の幅方向で対向する。
また、一対のアームプレート21は、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに、車両本体101の内側から外側へ向かうにつれて、上方に延びる形状に形成されている。
【0034】
各アームプレート21は、図4及び図6に示すように、先端部21Dと、基端部21Pと、突起部22と、折曲部23と、切り込み部24と、フック部25と、カム接触面26と、軸孔27を有する。
先端部21Dは、アームプレート21のうち、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに、下方に位置する端部を形成している。
基端部21Pは、アームプレート21のうち、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに、上側に位置する端部を形成している。
【0035】
突起部22は、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに、アームプレート21の中央部から車両本体101の外側(車両本体101から離れる側)に突出する位置に配置されている。また、突起部22は、前方又は後方から見て、台形状に形成されている。
折曲部23は、突起部22から基端部21Pに向かう側の部分を構成しており、車両本体101の内側に向かって折れ曲がった部分によって形成されている。
【0036】
切り込み部24は、折曲部23と突起部22との境界に配置されており、V字形に切り込まれた形状に形成されている。
なお、切り込み部24の位置は、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢から敷板設置姿勢へと変化する際に、切り込み部24の内周面によってパイプ54の外周面を挟み込む位置に設定されている。
敷板設置姿勢は、図2において張出位置Hにある敷板設置装置1の状態で示される、敷板30を設置した姿勢である。具体的に、敷板設置姿勢は、インナボックス84と地面との間に敷板部31が配置された姿勢である。
【0037】
フック部25は、折曲部23から先端部21Dに向かう側の部分を構成しており、切り込み部24とは反対側に開口する鉤フック形状に形成されている。
また、フック部25は、懐部25aを有する。
懐部25aは、フック部25の開口部を形成するV字形に切り欠かれて形成されている。
【0038】
カム接触面26は、図4に示すように、アームプレート21のうち、カム52と接触する面を形成している。なお、カム52に関する説明は、後述する。
また、カム接触面26は、突起部22のうち先端部21Dに近い側の位置(図6において上側に示す破線位置)と、先端部21Dへ到達するまでの途中の位置(図6において下側に示す破線位置)とを連続する面によって形成されている。
【0039】
カム接触面26の形状は、図6に示すように、凸部26aと凹部26bを設けた形状とする。
凸部26aは、図6に示すように、敷板格納姿勢において、敷板部31へ向けて突出する形状に形成されている。また、凸部26aは、カム接触面26のうち、アームプレート21の厚さ方向から見て、先端部21Dを含むと共に、カム接触面26の中間点付近まで連続する部分に設けられている。
凸部26aを形成する具体的な位置は、敷板部31の姿勢が予め設定した中間姿勢と敷板格納姿勢との間で変化する際に、カム接触面26がカム52と接触する位置に設定する。すなわち、カム52は、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢から敷板設置姿勢へと変化する際に、アーム20と接触する。
【0040】
中間姿勢は、例えば、敷板格納姿勢と敷板設置姿勢との間において、前方又は後方から見て、敷板部31の角度が45[°]となる姿勢に設定する。
また、凸部26aの傾斜角度は、例えば、敷板部31の姿勢を敷板設置姿勢から敷板格納姿勢へと変化させるときに、カム52とアーム20の接触点においてカム52から作用する力の方向が、死点とならない角度に設定する。この場合、凸部26aの傾斜角度は、縦アウトリガボックス82が最も縮小した状態において設定する。
【0041】
カム52とアーム20の接触点においてカム52から作用する力の方向が死点とならない角度とは、例えば、図7(b)に示すように、モーメントの中心であるボス42の中心BCを通らない角度である。なお、図7(b)には、カム52とアーム20の接触点においてカム52から作用する力の方向を、符号「FC」で示す。
さらに、凸部26aの傾斜角度は、例えば、敷板部31の姿勢を敷板設置姿勢から敷板格納姿勢へと変化させるときに、縦アウトリガボックス82が最も縮小した状態において敷板30の自重を支えるために必要な作用力に応じた角度に設定する。具体的に、凸部26aの傾斜角度は、上述した作用力が、縦アウトリガボックス82の格納時に発生する最大縮推力のベクトルを、例えば、図7(b)に示すように、カム接触面26の垂直方向に分解した力以下となる角度に設定する。なお、図7(b)には、縦アウトリガボックス82の格納時に発生する最大縮推力のベクトルを、カム接触面26の接線方向に分解した力の方向を、符号「B1」と「B2」で示す。
【0042】
凹部26bは、図6に示すように、敷板格納姿勢において、敷板部31と対向する面が窪んだ形状に形成されている。また、凹部26bは、アームプレート21の厚さ方向から見て、凸部26aよりも先端部21Dから遠い部分に設けられている。
凹部26bを形成する具体的な位置は、敷板部31の姿勢が中間姿勢と敷板設置姿勢との間で変化する際に、カム接触面26がカム52と接触する位置に設定する。
【0043】
軸孔27は、先端部21Dに形成されており、円状に形成されている。また、軸孔27には、接続ロッド28の両端部が固定されている。
接続ロッド28は、敷板格納姿勢において、縦アウトリガボックス82よりも内側に配置される。
【0044】
<敷板>
敷板30は、敷板部31と、ブラケット部32と、受け金具部35を備える。
【0045】
(敷板部)
敷板部31は、アーム20と同様、例えば、「HT590」等の高張力鋼材を用いて形成されている。これは、敷板部31が、他の構成部材と比較してサイズが大きく、また、アウトリガ80を作動させる際に発生する推力や、アウトリガ80の使用時においてクレーン搭載車両100の重量を受けるため、軽量であり、高い強度を有することが望ましいためである。
また、敷板部31は、例えば、高張力鋼材等の金属材料を用いて形成されている。なお、金属材料に限らず、木材、廃プラスチック材等、他の材料から敷板部31を形成してもよい。
【0046】
敷板部31の形状は、図5に示すように、敷板格納姿勢における側面視で、台形の板状である。
具体的に、敷板部31の形状は、敷板部31の上側を形成する敷板上部31uと、敷板部31の下側を形成する敷板下部31dとを組み合わせた形状である。
敷板上部31uの形状は、敷板格納姿勢のときに敷板部31の厚さ方向から見て、上辺の長さよりも底辺の長さが長い台形である。
【0047】
敷板下部31dの形状は、敷板格納姿勢のときに敷板部31の厚さ方向から見て、四辺形(長方形)の形状である。
敷板上部31uの下端(敷板下部31d側の端部)と、敷板下部31dの上端(敷板上部31u側の端部)とは、同じ長さであり連続している。
したがって、敷板部31の形状は、敷板格納姿勢のときに敷板部31の厚さ方向から見て、上側が上辺の長さよりも底辺の長さが長い台形であるとともに下側が四辺形の形状である。
【0048】
また、敷板部31のうち、敷板設置姿勢で地面と対向する面である接地面31Gには、接着等の手段を用いて、接地クッション37が取り付けられている。
また、接地面31Gは、図1に示すように、敷板格納姿勢において、サイドガードSGと共に、クレーン搭載車両100の側面に配置される。
接地クッション37は、例えば、ゴム等の弾性材料を用いて形成されており、板状に形成されている。
敷板部31の面積は、フロート85の面積よりも大きい。なお、敷板部31は、敷板設置姿勢において、フロート85と重なる。
【0049】
(ブラケット部)
ブラケット部32は、敷板格納姿勢における平面視で、一辺の長辺と、長辺の両端部から突出する二辺の短辺とを有する、コの字形に形成されている。ブラケット部32の長辺は、溶接等を用いて、敷板部31のうち、敷板設置姿勢においてフロート85と接触する面(敷板部31の内面)に固定されている。また、ブラケット部32は、敷板部31の内面のうち、敷板部31の中心に近い位置に配置されている。
【0050】
また、ブラケット部32には、一対のアーム取付用ベース部33が設けられている。
一対のアーム取付用ベース部33は、板状に形成されており、それぞれ、ブラケット部32の短辺と対向するとともに、一対のアームプレート21を挟む位置に形成されている。
【0051】
また、ブラケット部32の短辺と、一対のアーム取付用ベース部33には、それぞれ、アーム取り付けピン34を挿通するための貫通孔(図示略)が形成されている。
なお、アーム取付用ベース部33は、ブラケット部32と一体に形成されている構成としてもよい。
【0052】
一対のアーム取り付けピン34は、それぞれ、一対のアーム取付用ベース部33に形成されている貫通孔と、折曲部23に形成された貫通孔(図示略)に挿入されている。アーム取り付けピン34の両端部には、一対のアーム取付用ベース部33に形成されている貫通孔と、軸孔27の外側において、抜け止め加工が施されている。
以上により、ブラケット部32には、アーム取り付けピン34によって、アーム20が回転自在に取り付けられている。
【0053】
また、一対のアーム取り付けピン34には、図5に示すように、ブラケット部32の短辺とアーム取付用ベース部33との間において、それぞれ、ねじりバネ36が取り付けられている。
ねじりバネ36は、ダブルトーション型のバネである。ねじりバネ36の中心軸は、アーム取り付けピン34の中心軸と重なっている。
【0054】
また、ねじりバネ36は、二つのコイル部36aを有する。
コイル部36aは、螺旋状に形成されている。コイル部36aの両端部には、それぞれ、接線方向に延びる腕部36bが形成されている。二つの腕部は、敷板部31を押す状態で配置されている。
また、二つのコイル部36aは、コイル部36aの接線方向に延びる連結部36cによって連結されている。
【0055】
ねじりバネ36が敷板部31を押す力は、アーム取り付けピン34を軸に、敷板部31を、常に、敷板下部31dがアウタボックス83へ近づくように回転させる方向に作用する。すなわち、敷板部31は、二つのねじりバネ36が敷板部31を押す力を超えるトルクが付加されない限り、敷板下部31dがアウタボックス83から離れるように回転することはない。
このため、敷板部31の下端は、敷板格納姿勢において、内側へ回転することで、縦アウトリガボックス82へ常に近づく。また、敷板設置姿勢では、敷板部31の先端が、上向きに跳ね上がった方向へと押されるため、敷板30の自重とバランスを取ることで、敷板部31の姿勢が水平になる。
【0056】
以上により、ねじりバネ36は、クレーン搭載車両100の前後方向から見て、敷板部31のうち敷板格納姿勢において下方に配置される端部(下端)がアーム20の他端へ近づく方向へ回転させるトルクを、常に敷板部31へ付与するトルク付与部材を形成する。
また、トルク付与部材は、敷板部31に対し、敷板部31のうち敷板格納姿勢において下方に配置される端部(下端)が、クレーン搭載車両100の前後方向から見て、アーム20の他端(先端部21D)へ近づく方向へ回転させるトルクを加える。
さらに、トルク付与部材が敷板部31に対して加えるトルクの値は、敷板設置姿勢において敷板部31の自重によって発生するトルクと均衡する値である。
【0057】
(受け金具部)
受け金具部35は、二つの補強板部35aと、一つのロッド部35bを備える。
補強板部35aは、敷板部31の厚さ方向から見て、U字形の板状に形成されている。
【0058】
また、二つの補強板部35aは、それぞれ、敷板部31の厚さ方向から見て、敷板側切り欠き部31cの周囲に配置されるとともに、溶接等を用いて、敷板部31の内面に固定されている。
以上により、補強板部35aは、敷板部31のうち、敷板側切り欠き部31cを形成した部分を補強する部材として機能する。
【0059】
ロッド部35bは、例えば、直径が8[mm]程度の円柱状に形成されている。
また、ロッド部35bは、二つの補強板部35aに対し、溶接等を用いて固定されている。具体的に、一つのロッド部35bは、U字形に形成された二つの補強板部35aに対し、合計四つの平行な辺を連続する位置に固定されている。
【0060】
二つの補強板部35aに対してロッド部35bを固定する位置は、敷板側切り欠き部31cの空隙部を確保する位置である。
以上により、受け金具部35は、敷板部31のうち、接地面31Gと反対側の面に固定され、且つ接地面31Gと反対側の面から突出している。
【0061】
(アウタ側案内機構)
アウタ側案内機構4は、図4図5及び図8-2(e)に示すように、アウタ側ブラケット41と、一対のボス42と、一対の摺動板43とを備える。なお、図8では、敷板設置装置1を前方側から見た状態を示す。
【0062】
アウタ側ブラケット41は、一対の摺動板取り付け部41aと、接続板部41bを備える。
摺動板取り付け部41aは、前方又は後方から見て、台形の板状に形成されている。また、一対の摺動板取り付け部41aは、アウタボックス83の前方から見た面と、アウタボックス83の後方から見た面に対し、それぞれ、アウタボックス83の下端側において、内側に配置されている。さらに、摺動板取り付け部41aは、例えば、溶接によって、アウタボックス83に固定されている。
接続板部41bは、板状に形成されており、アウタボックス83のうち外側の面と対向して配置されている。また、接続板部41bは、一対の摺動板取り付け部41aを接続する。さらに、接続板部41bは、例えば、溶接によって、アウタボックス83に固定されている。
【0063】
一対のボス42は、円柱状に形成されている。
また、一対のボス42は、それぞれ、一対の摺動板取り付け部41aに対し、接続板部41bによって接続されている部分よりも下側の位置で、前方及び後方に突出している。
【0064】
摺動板43は、例えば、「CN-NB」等、合成樹脂素材を用いて形成されている。
一対の摺動板43は、それぞれ、一対の摺動板取り付け部41aに対し、ボス42よりも上側に配置されている。
また、一対の摺動板43は、前方又は後方から見て長方形の板状に形成されており、前方又は後方から見て、長手方向が外側から内側へ向けて下方へ向く姿勢で、例えば、ネジ止め等によって、摺動板取り付け部41aに固定されている。
【0065】
さらに、一対の摺動板43は、それぞれ、図7及び図9(b)に示すように、アーム接触面43aと、傾斜面43sを有する。
アーム接触面43aは、一対のアームプレート21が互いに対向する面と接触している。
傾斜面43sは、アーム接触面43aよりも下方に形成されており、アームプレート21から離れるにつれて下方へ向けて傾斜している。
【0066】
(接地側案内機構)
接地側案内機構5は、図4図5及び図10(a)に示すように、接地側ブラケット51と、一対のカム52と、一対のボルト53と、パイプ54とを備える。なお、図10(a)は、敷板設置姿勢の状態における縦アウトリガボックス82の一部と、敷板設置装置1の全体を前方側から見た状態を示す。
接地側ブラケット51は、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに、アウタボックス83と対向する位置に配置されている。
また、接地側ブラケット51は、取付用板部51aと、一対の凸板51bとを備える。
【0067】
取付用板部51aは、平面視でC字状に形成されている。
取付用板部51aは、開口部を外側へ向けると共に、開口側にインナボックス84の一部を挟んだ状態で、フロート85の上に、溶接等によって固定されている。したがって、接地側ブラケット51は、フロート85のうち、敷板部31の姿勢が記敷板格納姿勢のときに、アウタボックス83と対向する位置に配置されている。
【0068】
一対の凸板51bは、それぞれ、取付用板部51aの前方及び後方の端部から上方へ突出する形状に形成されている。凸板51bは、例えば、折り曲げ加工や溶接によって形成されている。また、凸板51bには、ボルト53を挿入するための貫通孔(図示略)が形成されている。
また、凸板51bのうち、アーム20と対向する部分には、アーム20が一対の凸板51bから外れることを抑制するために、アーム20へ向けて突出する突起(図示略)が形成されている。
【0069】
一対のカム52は、図9(a)及び図9(b)に示すように、それぞれ、円柱状に形成されている。なお、図9(a)は、敷板格納姿勢の状態における縦アウトリガボックス82と、敷板設置装置1の一部を前方側から見た状態を示す。また、図9(b)は、図9(a)の一部に対する側面視である。
また、一対のカム52には、それぞれ、ボルト孔(図示略)が形成されている。
【0070】
ボルト孔は、カム52を接地側ブラケット51に固定するために、ボルト53を挿入するための孔である。
また、一対のカム52は、それぞれ、凸板51bの内側において、ボルト孔を凸板51bの貫通孔と重ねた状態で、凸板51bの外側から、貫通孔とボルト孔にボルト53を挿入することで、凸板51bに固定されている。
【0071】
ボルト53は、例えば、頭部に六角穴が形成され、外径面に雄ねじが形成されたボルトである。
ボルト53の雄ねじとしては、敷板格納姿勢で、クレーン搭載車両100の前後方向から見て、カム52とアーム20とが接触する面が、カム52の中心軸よりも左側に位置する場合は、右ねじの雄ねじを形成する。この場合、右ねじの雄ねじを形成したボルト53を挿入するボルト孔の内径面には、右ねじの雌ねじを形成する。
一方、敷板格納姿勢で、クレーン搭載車両100の前後方向から見て、カム52とアーム20とが接触する面が、カム52の中心軸よりも右側に位置する場合は、ボルト53の雄ねじとして、左ねじの雄ねじを形成する。この場合、左ねじの雄ねじを形成したボルト53を挿入するボルト孔の内径面には、左ねじの雌ねじを形成する。
【0072】
パイプ54は、長手方向を前後方向に向けた姿勢で、一対の凸板51bへ溶接等によって固定されている。
ここで、敷板ユニット2を、安定した状態で、フロート85に保持することが可能な構成とするため、アーム取り付けピン34は、敷板部31がアーム20に対して回転可能な可動範囲が、例えば、図10(b)に「α」で示す角度となるように形成されている。なお、図10(b)は、敷板ユニット2が、カム52及び第二クッション8の上に載せられた状態において、敷板部31がフロート85に対して水平となっている状態を示す図である。
したがって、角度αは、クレーン搭載車両100の前後方向から見て、敷板部31がアーム20に対して回転可能な可動範囲である。
【0073】
角度αは、側面視で、図10(b)に示す状態、すなわち、フロート85に対して水平となっている状態の敷板部31と、図10(c)に示す状態、すなわち、敷板部31がフロート85に対して傾斜している状態における敷板部31との角度の差である。
なお、図10(c)は、敷板ユニット2が、カム52及び第二クッション8の上に載せられた状態において、敷板部31が回転してフロート85に対して傾斜している状態を示す図である。
【0074】
実施形態では、一例として、角度αを、11[°]程度に設定した場合について説明する。これは、敷板部31がアーム20に対して回転可能な可動範囲は、敷板部31がアーム20を介してフロート85の上に配置されている状態で、アーム20が回転する際の支点となるカム52とパイプ54との間に、敷板部31の重心CGが配置される角度であることに起因する。
具体的に、角度αは、クレーン搭載車両100の前後方向から見て、カム52の中心を通過する垂直な線とパイプ54の中心を通過する垂直な線との間に、敷板部31の重心CGが配置される角度である。
【0075】
なお、カム52は、接地側ブラケット51に固定されている。そして、カム52の外周面には、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢から敷板設置姿勢へと変化する際にアーム20と接触する、第一の支点が存在する。
また、パイプ54は、カム52とは異なる位置で接地側ブラケット51に固定されている。そして、パイプ54の外周面には、敷板部31の姿勢が敷板設置準備姿勢になるとアーム20と接触する第二の支点が存在する。
【0076】
ここで、「敷板設置準備姿勢」とは、クレーン搭載車両100の前後方向から見て、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢から敷板設置姿勢へ変化するまでにインナボックス84が伸長する途中の姿勢である。これに加え、「敷板設置準備姿勢」とは、敷板部31が、地面に接地する前にフロート85の下側に位置する姿勢である。
さらに、第一の支点と第二の支点は、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢から敷板設置姿勢へ変化する際に、敷板部31がアーム20を介してフロート85の上に配置されている状態で、アーム20及び敷板部31の質量を支持する二つの支点である。
【0077】
したがって、第一の支点であるカム52と第二の支点であるパイプ54は、クレーン搭載車両100の前後方向から見て、敷板格納姿勢における敷板部31の厚さ方向に沿って間隔を開けて配置されている。
また、クレーン搭載車両100の前後方向から見て、敷板部31の姿勢が敷板設置準備姿勢であるときにおける敷板部31の重心CGは、第一の支点であるカム52と第二の支点であるパイプ54との間に配置される。
【0078】
(敷板ロック機構)
敷板ロック機構6は、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに、受け金具部35をアウタボックス83に固定することで、敷板部31をアウタボックス83に固定するための機構である。すなわち、敷板ロック機構6は、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに、受け金具部35をアウタボックス83に固定可能な機構である。
また、敷板ロック機構6は、メインの機構である第一ロック機構と、サブの機構である第二ロック機構を有する。これにより、敷板ロック機構6は、二重のロック機構(第一ロック機構、第二ロック機構)によって冗長性を備えることで、クレーン搭載車両100の走行中において、敷板30の落下を防止する構成となっている。
【0079】
第一ロック機構は、受け金具部35の一部であるロッド部35bを、アウタボックス83に固定可能な機構である。
第二ロック機構は、受け金具部35の他の一部であるロッド部35bをアウタボックス83に固定可能な機構である。
【0080】
なお、ロッド部35bのうち第一ロック機構がアウタボックス83に固定する部分と、ロッド部35bのうち第二ロック機構がアウタボックス83に固定する部分は、異なる部分である。
具体的には、ロッド部35bのうち第一ロック機構がアウタボックス83に固定する部分は、ロッド部35bのうち中心よりも両端部に近い二箇所の部分である。また、ロッド部35bのうち第二ロック機構がアウタボックス83に固定する部分は、ロッド部35bの中心を含む部分である。
【0081】
<第一ロック機構>
第一ロック機構は、図3から図5図11から図15図17に示すように、二つのスナッチロック60と、二つのレバー61と、ガイドフレーム62と、固定ブラケット66を備える。
二つのスナッチロック60は、それぞれ、爪部60aと、爪部固定板60bと、二つのスナッチロック固定ボルト60cを備える。
爪部60aは、ロッド部35bの外径面を掴むことが可能な形状(例えば、図に示すような鉤型の形状)に形成されている。
また、爪部60aには、スナッチロック固定ボルト60cを挿入するためのボルト孔(図示略)が形成されている。
爪部固定板60bは、板状に形成されており、爪部60aを間に挟んだ状態で、固定ブラケット66のうち、車両本体101の前後方向を向く面に取り付けられている。
また、爪部固定板60bには、スナッチロック固定ボルト60cを挿入するためのボルト孔(図示略)が形成されている。
スナッチロック固定ボルト60cは、先端側から、爪部固定板60bに形成されたボルト孔と、爪部60aに形成されたボルト孔とを通過して、固定ブラケット66のうち、車両本体101の前後方向を向く面に固定されている。
また、二つのスナッチロック固定ボルト60cは、それぞれ、車両本体101の走行方向から見て、爪部60aのうちロッド部35bの外径面を掴む部分を挟む位置に配置されている。
【0082】
二つのレバー61は、それぞれ、アウタボックス83の各面のうち、クレーン搭載車両100の前後方向を向く二つの面に配置されている。
また、二つのレバー61は、それぞれ、メインロックスプリング61aによって、常時、スナッチロック60が閉じる方向への力を受けている。
【0083】
メインロックスプリング61aは、例えば、コイルスプリングを用いて形成されている。メインロックスプリング61aの一端は、ガイドフレーム62を介してレバー61に取り付けられている。メインロックスプリング61aの他端は、スプリング固定ボルト61bの頭部に取り付けられている。スプリング固定ボルト61bは、先端側が、固定ブラケット66のうち、車両本体101の前後方向を向く面に固定されている。
メインロックスプリング61aがレバー61に加える力は、例えば、2[kgf]程度に設定する。これは、メインロックスプリング61aによって、レバー61にスナッチロック60が閉じる方向への力を加えることで、作業者等の意図に反して、スナッチロック60が解除されない構成とするためである。
したがって、メインロックスプリング61aは、第一ロック機構により受け金具部35をアウタボックス83に固定した状態で、レバー61に対して、アウタボックス83に近づく方向へ変位させる力を常に加える。
【0084】
メインロックスプリング61aの側板部62aへの取り付け位置は、ガイドフレーム固定ボルト68を中心として、レバー61にモーメント力が発生しない構成とするための位置に設定されている。
具体的に、メインロックスプリング61aを取り付けるスプリング取付孔62eの位置は、メインロックスプリング61aが発生させる力のベクトルが、ガイドフレーム固定ボルト68の中心付近を通る位置に設定されている。
【0085】
また、二つのレバー61は、同時に操作、又は片側のみ操作する。
【0086】
図3図11から図15図17に示すように、敷板格納姿勢においてレバー61を閉じた状態では、爪部60aがロッド部35bに接触してロッド部35bを固定し、敷板部31の姿勢が敷板設置姿勢へと変化する方向への変位を規制する。
【0087】
スナッチロック60による敷板部31の固定を解除(ロック解除)する際には、レバー61を開くことで、図19-2や図20-2に示すように、爪部60aがロッド部35bから離れてロッド部35bを解放し、敷板部31の姿勢が敷板設置姿勢へと変化する方向への変位を許容する。
すなわち、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに、第一ロック機構を形成するスナッチロック60を操作して、爪部60aによりロッド部35bを固定することで、敷板部31をアウタボックス83に固定することが可能となっている。以降の説明では、敷板部31をアウタボックス83に固定した状態を、「ロック状態」と記載する場合がある。
したがって、レバー61は、アウタボックス83の側面から離れる方向へ操作することで、アウタボックス83に固定されている受け金具部35を解放する。
【0088】
以上により、ロッド部35bを備える受け金具部35は、敷板格納姿勢において、アウトリガ80の側面に敷板部31をロックするための構成として機能する。
なお、スナッチロック60の構成を、二つのレバー61を備える構成とすることで、爪部60aの損傷等が発生して一方のスナッチロック60が故障した場合であっても、他方のレバー61によって敷板部31を固定することが可能な構成となる。これにより、第一ロック機構を形成するスナッチロック60は、冗長性を備えることとなる。
【0089】
ガイドフレーム62は、板材を用いて、一対の側板部62aと、一対の側板部62aを連結する連結板部62bを有するコの字形に形成されている。
一対の側板部62aは、それぞれ、ガイドフレーム固定ボルト68を用いて、アウタボックス83が有する各面(四つの外周面)のうち、クレーン搭載車両100の前後方向を向く二つの面に取り付けられている。
また、一対の側板部62aには、それぞれ、アウタボックス83と対向する面に、レバー61が取り付けられている。
さらに、一対の側板部62aは、それぞれ、レバー61を、スナッチロック60を解除する操作に用いるアーム(図示略)に接続している。
また、一対の側板部62aには、それぞれ、スプリング取付孔62eが形成されている。
スプリング取付孔62eは、ガイドフレーム固定ボルト68よりも下方に配置されており、メインロックスプリング61aの一端が取り付けられている。
メインロックスプリング61aの一端が取り付けられるスプリング取付孔62eが、ガイドフレーム固定ボルト68よりも下方に配置されることで、レバー61の操作により発生するモーメント力の回転中心が、ガイドフレーム固定ボルト68となる。このため、スナッチロック60の使用時に、レバー61を操作した場合であっても、ガイドフレーム固定ボルト68が緩むようなモーメント力を発生させないことが可能となる。
連結板部62bとアウタボックス83との間には、隙間が形成されている。
【0090】
また、ガイドフレーム62は、図15図18に示すように、連結板部62bと連続して形成された支持板部62cを備える。
支持板部62cは、連結板部62bのうち上側の端部と連続して形成されており、連結板部62bからアウタボックス83へ近づく形状に形成されている。
また、支持板部62cのうち、連結板部62bと連続する側と反対側の端部は、連結板部62bとアウタボックス83との間に形成された隙間の内部において、上側へ突出する突出部62dを形成する。
【0091】
以上により、ガイドフレーム62は、二つのレバー61を連結している。
また、ガイドフレーム62は、一対のレバー61のうち一方を予め設定した一の方向へ操作すると、一対のレバー61のうち他方を一の方向へ変位させる。
実施形態では、「一の方向」を、アウタボックス83の側面から離れる方向として、予め設定した場合について説明する。したがって、実施形態では、メインロックスプリング61aがレバー61に対して加える力の方向を、「一の方向とは逆の方向」と設定した場合について説明する。また、「一の方向とは逆の方向」は、アウタボックス83に近づく方向である。
【0092】
固定ブラケット66は、アウタボックス83に固定されており、スナッチロック60と共に敷板部31の重量を支える。
【0093】
<第二ロック機構>
第二ロック機構は、例えば、図4図5図16から図18に示すように、ストライカブラケット67と、サブロックスプリング63と、解除グリップ64と、ロック部材65を備える。
ストライカブラケット67は、箱型に形成されており、開口部をアウタボックス83に向けた状態で、アウタボックス83に固定されている。
【0094】
サブロックスプリング63は、例えば、コイルスプリングを用いて形成されている。サブロックスプリング63の一端は、ストライカブラケット67に取り付けられている。
解除グリップ64は、板材を用いて形成されており、スプリング支持部64aと、グリップ部64bを備える。
【0095】
スプリング支持部64aは、厚さ方向を車両本体101の走行方向と平行に向けて、ガイドフレーム62よりも上方に配置されており、サブロックスプリング63の他端が取り付けられている。
グリップ部64bは、車両本体101の走行方向から見て、スプリング支持部64a及び支持板部62cよりも上方に配置されている。また、グリップ部64bは、板材のうち一箇所を直角未満の角度で曲げて形成されており、グリップ部64bのうちガイドフレーム62から離れた位置に、スプリング支持部64aが固定されている。
【0096】
したがって、解除グリップ64は、アウタボックス83の側面に沿って、上下方向へ変位可能である。
また、解除グリップ64には、サブロックスプリング63により、ストライカブラケット67へ近づく力が常に加わる。
すなわち、第二ロック機構は、解除グリップ64に対して下方へ変位させる力を常に加えるサブロックスプリング63を備える。
【0097】
ロック部材65は、敷板格納姿勢において、解除グリップ64よりも下方に配置されており、解除グリップ64に連結されて解除グリップ64と共に上下方向へ変位可能である。
また、ロック部材65は、第一キー部65aと、接続部65bと、第二キー部65cと、第三クッション65dを備える。
【0098】
第一キー部65aは、板状に形成されている。また、第一キー部65aは、板材のうち二箇所を直角未満の角度で曲げて形成されている。
第一キー部65aのうち、図18(a)に示す状態で上方に配置されている部分の厚さ方向と、図18(a)に示す状態で下方に配置されている部分の厚さ方向は、図18(a)に示す状態で車両本体101の左右方向と平行に向いている。
【0099】
また、第一キー部65aは、敷板格納姿勢において、図18(a)に示すように、敷板部31と、ロッド部35bのうち爪部60aが固定可能な部分とは異なる部分との間へ差し込まれる。これにより、第一キー部65aは、敷板格納姿勢において、敷板部31に対し、アウタボックス83から離れる方向への変位を抑制して、アウタボックス83に敷板部31を固定する。
【0100】
接続部65bは、板状に形成されており、グリップ部64bと、第二キー部65cのうち、図18(a)に示す状態で上側となる面とに固定されている。接続部65bの厚さ方向は、図18(a)に示す状態で車両本体101の左右方向と平行に向いている。
【0101】
第二キー部65cは、下側に切欠きを持った一対の板である。
また、第二キー部65cは、厚さ方向を車両本体101の走行方向と平行に向けた状態で、第一キー部65aのうち、図18(a)に示す状態で上方に配置された端部に対し、側面視で第一キー部65aの左側の端面と右側の端面にそれぞれ配置された状態で固定されている。
さらに、第二キー部65cは、敷板格納姿勢において、図18(a)に示すように、ストライカブラケット67とアウタボックス83との間に形成される隙間に差し込まれることで、ロック部材65の姿勢を、アウタボックス83の側面と平行な姿勢に保持する。
【0102】
第三クッション65dは、ゴム等の弾性材料を用いて形成されており、接続部65bのうち、図18(a)に示す状態でアウタボックス83と対向する面に取り付けられている。
また、第三クッション65dのうち、図18(a)に示す状態でアウタボックス83と対向する面は、第二キー部65cのうち、図18(a)に示す状態でアウタボックス83と対向する面よりも、アウタボックス83に近い。
【0103】
上述した構成により、ロック部材65は、解除グリップ64の操作と、サブロックスプリング63の伸縮に伴って、上方及び下方へスライドさせることが可能である。また、ロック部材65をスライドさせることが可能な距離は、例えば、ロッド部35bの直径(8[mm])に余裕分(5[mm])を加えた距離(13[mm])に設定する。
また、上述した構成により、第二ロック機構は、例えば、図18(a)に示すように、敷板部31とロッド部35bとの間へ第一キー部65aを差し込むことで、敷板部31をアウタボックス83に固定することが可能である。
すなわち、ロック部材65をアウタボックス83と受け金具部35との間へ配置することで、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに、受け金具部35をアウタボックス83に固定可能である。
【0104】
また、第二ロック機構は、例えば、図18(b)に示すように、図18(a)に示す状態からロック部材65を上方へスライドさせて、敷板部31とロッド部35bとの間から第一キー部65aを抜き出すことで、ロック状態を解除することが可能である。
すなわち、解除グリップ64を上方へ移動させることで、アウタボックス83と受け金具部35との間へ配置したロック部材65を上方へ移動させて、受け金具部35をアウタボックス83から離脱させることが可能である。
【0105】
さらに、例えば、図18(c)に示すように、上方へ移動させた解除グリップ64を、アウタボックス83の側面から離れる方向へ操作する。そして、第一キー部65aの下端部を、ストライカブラケット67の底面を形成する板部67aの上側に乗せる。これにより、サブロックスプリング63から作用する力が第一キー部65aの下端部を回転中心とした、アウタボックス83から解除グリップ64が離れる方向のモーメント力が付与される。
以上説明した動作により、受け金具部35をアウタボックス83から離脱させることが可能な姿勢、すなわち、解除姿勢を維持する。
また、アウタボックス83と受け金具部35との間へロック部材65を配置した状態の解除グリップ64は、レバー61をアウタボックス83の側面から離れる方向へ操作する際に、突出部62dと接触する。
【0106】
なお、第一キー部65aが敷板部31とロッド部35bとの間へ差し込まれた状態において、第一ロック機構によってロッド部35bがアウタボックス83に固定されていない状態では、敷板部31がアウタボックス83から離れる方向への全ての力を、第二ロック機構が受ける。
すなわち、第二ロック機構によってロッド部35bがアウタボックス83に固定されており、且つ第一ロック機構によってロッド部35bがアウタボックス83に固定されていない状態では、敷板部31がアウタボックス83から離れる方向への全ての力を、第二ロック機構が受ける。
【0107】
具体的に、第一ロック機構によってロッド部35bがアウタボックス83に固定されていない、又は、第一ロック機構が故障等によって正常に機能していない場合、敷板部31がスナッチロック60から離脱しようとする力は、全て、第一キー部65aに作用する。
このとき、第一キー部65aに作用する力によって、第二キー部65cのうち、ストライカブラケット67とアウタボックス83との間に形成される隙間に差し込まれる部分を中心としたモーメントが発生する。これにより、第三クッション65dが、アウタボックス83に押し付けられることになる。
【0108】
このため、第三クッション65dとアウタボックス83との間に強い摩擦力が発生し、第一キー部65aとロッド部35bとの間にも摩擦力が発生することで、ロック部材65の移動が困難となる。
したがって、第二ロック機構は、第一ロック機構が機能していない場合において、クレーン搭載車両100の走行時に発生する振動等によって解錠されにくい機能を有する。
【0109】
また、第一ロック機構によって受け金具部35の一部であるロッド部35bがアウタボックス83に固定されている状態では、敷板部31がアウタボックス83から離れる方向への全ての力を、第一ロック機構が受ける。
具体的に、第一ロック機構が正常に機能している場合、敷板部31がスナッチロック60から離脱しようとする力、すなわち、受け金具部35がアウタボックス83から離れる方向の力は、全て、ロッド部35bからスナッチロック60の爪部60aに作用する。
【0110】
このため、第一キー部65aには、ロッド部35bから受ける力は作用しない。
したがって、第一ロック機構が正常に機能している場合、第一キー部65aとロッド部35bとの間には摩擦力がほとんど発生しないため、ロック部材65を容易に移動させることが可能となり、第二ロック機構を開錠する操作が可能である。
【0111】
したがって、敷板ロック機構6は、第一ロック機構に加えて第二ロック機構を備える構成とすることで、第一ロック機構(スナッチロック60)が故障した場合であっても、第二ロック機構によって、敷板部31をアウタボックス83に固定することが可能となる。
なお、第一ロック機構が正常に機能していない場合であっても、作業者等が受け金具部35をアウタボックス83へ向けて押し込むことで、第二ロック機構によって受け金具部35をアウタボックス83に固定することは可能である。
【0112】
以上説明したように、敷板ロック機構6によって敷板部31を固定している状態では、縦アウトリガボックス82が伸長する動作をしても、敷板部31が敷板格納姿勢を維持する。
【0113】
(第一クッション)
第一クッション7は、ゴム等の弾性材料を用いて、立方体に形成されている。
また、第一クッション7は、アウタボックス83のうち、敷板格納姿勢のときに敷板下部31dと接触する位置に取り付けられている。
したがって、第一クッション7は、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに、アウタボックス83のうち敷板部31と対向する面において、敷板部31と接触する位置に配置された緩衝部材を形成する。
【0114】
また、第一クッション7は、敷板30を格納する際に、敷板部31がアウタボックス83と接触することで発生する衝突音を低減する機能を有する。
【0115】
(第二クッション)
一対の第二クッション8は、ゴム等の弾性材料を用いて、立方体に形成されている。また、第二クッション8の高さは、カム52とパイプ54よりも低い。
一対の第二クッション8の一方である前方第二クッション8fは、取付用板部51aのうち、前方に位置する凸板51bに近い位置において、カム52とパイプ54との間に取り付けられている。
一対の第二クッション8の他方である後方第二クッション8rは、取付用板部51aのうち、後方に位置する凸板51bに近い位置において、カム52とパイプ54との間に取り付けられている。
【0116】
また、一対の第二クッション8は、敷板30を設置する際に、敷板部31がアーム20と接触することで発生する衝突音を低減する機能を有する。具体的に、一対の第二クッション8は、敷板30を設置する際に、切り込み部24がパイプ54と接触する前に敷板部31と接触する位置に配置する。これに加え、一対の第二クッション8は、敷板30を設置する際に、切り込み部24がパイプ54と接触する前に敷板部31と接触する形状に形成する。
【0117】
以上説明したように、敷板設置装置1は、サイドガードSGを備えるクレーン搭載車両100に搭載されるアウトリガ80に適用可能な装置である。
【0118】
<敷板ユニットの動作>
A:敷板格納状態
敷板設置装置1の敷板設置動作を説明する前に、まず、敷板格納状態について説明する。
敷板格納状態では、図3図4及び図8-1(a)に示すように、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢であるとともに、敷板部31が敷板ロック機構6によりロック状態となっている。さらに、インナボックス84が最も縮小した状態になっている。すなわち、敷板格納状態では、敷板部31が、アウタボックス83の外側に配置された姿勢で、敷板部31が敷板ロック機構6によってアウタボックス83へと固定された状態となっている。
【0119】
敷板格納状態において、敷板ユニット2は、懐部25aにボス42が接触した状態となる。これに加え、敷板ユニット2は、一対のアームプレート21のうち一方が摺動板43と接触することで、前後方向に正しく位置決めされて格納されている。さらに、敷板ユニット2は、カム接触面26にカム52が非接触の状態となる。
また、敷板格納姿勢において、接続ロッド28は、縦アウトリガボックス82よりも内側に配置されている。これに加え、敷板格納姿勢において、敷板部31は、縦アウトリガボックス82よりも外側に配置されている。このため、敷板格納姿勢においては、縦アウトリガボックス82が、接続ロッド28と敷板部31により挟まれた状態となっており、フロート85をインナボックス84から取り外した状態でのみ、敷板ユニット2を取り外すことが可能である。
したがって、部品の損傷等により、走行中等に敷板ユニット2が落下する状況が発生した場合であっても、アーム20がフロート85や接地側ブラケット51と接触するため、敷板ユニット2が脱落する可能性を低減させることが可能である。
【0120】
B:敷板設置前の準備
次に、敷板設置前の準備(以降の説明では、「設置前準備」と記載する場合がある)について説明する。
まず、敷板部31をフロート85と地面との間に配置する動作を行うスペースを確保するために、アウトリガ80を外側に張り出す。
【0121】
ここで、ロック状態では、敷板部31がアウタボックス83に固定されているため、インナボックス84を伸長させても、敷板部31が設置されない状態となる。そのため、設置前準備として、ロック状態を解除する必要がある。
したがって、解除グリップ64を上方へスライドさせ、さらに、レバー61をアウタボックス83の側面から離れる方向へ操作することで、図8-1(b)に示すように、ロッド部35bを解放して、敷板ロック機構6によるロック状態を解除する。ロック状態を解除することで、敷板ユニット2がアウタボックス83から分離可能な状態となる。これにより、設置前準備が完了する。
【0122】
なお、敷板部31は、カム52の調整によって、敷板格納姿勢に達する前の予め設定した姿勢が設定されている。
このため、敷板部31の姿勢を敷板格納姿勢から敷板設置姿勢へと変化させるときは、図7(b)や図8-1(b)に示すように、縦アウトリガボックス82が最も縮小した状態における敷板部31の姿勢は、敷板格納姿勢に達する前の、予め設定した姿勢となる。
【0123】
また、設置前準備において、アウトリガ80を外側に張り出す動作は必須ではない。すなわち、例えば、クレーン搭載車両100を用いた作業を行う場所が狭い場合には、アウトリガ80を外側に張り出す動作を行わずに、敷板30を設置する。したがって、敷板設置装置1は、アウトリガ80を外側に張り出すことが困難な状況においても、使用することが可能である。
【0124】
C:敷板設置動作
次に、敷板設置動作について説明する。なお、図7及び図8は、前方から見た動作を示しているが、後方から見た動作も同様である。
【0125】
設置前準備を完了させた後に、インナボックス84を少し伸長させると、図7(c)及び図8-1(c)に示すように、一対のカム52が下方に移動する。これにより、一対のボス42と一対のカム52で狭まれて固定されていた一対のアームプレート21は、先端部21Dが解放される。このとき、敷板部31は、自重によって、アーム20が一対のカム52に載せられた状態で、縦アウトリガボックス82の伸長と共に降下する。ただし、懐部25aの内周面には、ボス42が接触した状態となっており、アーム20は、一対のカム52の降下に応じて、一対のボス42を回転軸として回転する。すなわち、質量の大きい敷板部31が降下する一方、一対のアームプレート21は、先端部21Dから、カム52が支点となって上方に持ち上げられるように、ボス42に押された状態となる。
すなわち、一対のカム52が降下するにつれて、一対のボス42が回転の中心となり、一対のカム52が一対のアームプレート21を下側から支えつつ、敷板部31の自重で一対のアームプレート21が回転する。そして、敷板部31が徐々にフロート85の下側へ移動を始める。このとき、一対のアームプレート21は、先端部21Dから、カム接触面26をカム52に接触させた状態で降下する。
【0126】
引き続き、インナボックス84が伸長して、図7(d)及び図8-2(d)に示すように、一対のアームプレート21が、基端部21Pがフロート85よりも下側に来るまで回転すると、突起部22が、一対のカム52とパイプ54との間に入り込んだ状態となる。このとき、懐部25aが上方を向くと共に、一対のボス42から分離した状態となり、敷板ユニット2の姿勢が敷板設置準備姿勢となる。
敷板ユニット2の姿勢が敷板設置準備姿勢になると、一対のアームプレート21がそれぞれ有する切り込み部24の内周面が、パイプ54の外周面に上側から接触した状態となる。すなわち、一対のアームプレート21が、基端部21Pから、パイプ54に載せられた状態となる。実施形態では、一対のアームプレート21が、基端部21Pから、パイプ54に載せられた状態となるときに、切り込み部24の内周面がパイプ54の外周面と接触するよりも先に、突起部22の底面が第二クッション8の上面と接触する。すなわち、第二クッション8によって、切り込み部24の内周面がパイプ54の外周面と接触する際の衝撃が緩和される。これにより、切り込み部24の内周面にパイプ54が接触する際に発生する金属音を、低減させることが可能である。また、切り込み部24の位置が、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢から敷板設置姿勢へと変化する際に、切り込み部24の内周面によってパイプ54の外周面を挟み込む位置に設定されている。このため、アーム20と敷板部31が、接地側ブラケット51に載った状態で移動する際に、接地側ブラケット51から落下することを抑制することが可能となる。
【0127】
また、敷板ユニット2の質量は、最終的に一対のカム52とパイプ54との2箇所で支えられる。これに加え、敷板ユニット2の姿勢が敷板設置準備姿勢のときは、敷板部31の重心が、カム52とパイプ54との間において、真下に位置するように設計してある。このため、敷板ユニット2は、敷板部31の自重によって、フロート85の真下に安定した状態で載せられる。なお、敷板ユニット2は、第二クッション8の上面と接触するため、第二クッション8の材料を充分に硬い材料として、第二クッション8のアームプレート21への反力を加えた3箇所で、敷板ユニット2の質量を支える構成としてもよい。
また、敷板部31は、二つのねじりバネ36が敷板部31を押す力によって、敷板設置準備姿勢において、地面と、地面に対して水平なフロート85と同様に水平となる。
【0128】
引き続き、インナボックス84が伸長すると、図8-2(e)に示すように、敷板ユニット2は、カム52及び第二クッション8の上に載せられた状態(敷板設置準備姿勢の状態)を維持しながら降下していく。このとき、突起部22が一対のカム52とパイプ54との間に入り込んだ状態となっているため、設置動作の途中で敷板ユニット2が左右にずれて落下することを、防止することが可能である。
上述したように、カム接触面26のうち、敷板部31の姿勢が中間姿勢と敷板格納姿勢との間で変化する際にカム52と接触する位置には、凸部26aが設けられている。これに加え、カム接触面26のうち、敷板部31の姿勢が中間姿勢と敷板設置姿勢との間で変化する際にカム52と接触する位置には、凹部26bが設けられている。
【0129】
引き続き、敷板設置準備姿勢の状態で敷板ユニット2が降下していくことで、敷板部31が地面と水平な姿勢で接地する。その後、図8-2(f)に示すように、インナボックス84が伸長する動作に連動して、フロート85が敷板部31の上に配置される。すなわち、敷板部31の姿勢が、敷板設置姿勢となる。敷板設置姿勢では、突起部22が、一対の第二クッション8から分離すると共に、一対のカム52とパイプ54との間から上方へと離脱した状態となる。また、敷板部31は、敷板設置姿勢において、地面に接地する。
なお、図8-2(f)に示すように、敷板設置姿勢では、切り込み部24がパイプ54の真上に配置されている。
敷板ユニット2が降下していく際、アームプレート21は、パイプ54で支えられており、さらに、敷板部31の重心CGが、パイプ54よりも車幅方向で内側にある。このため、アームプレート21は、例えば、敷板ユニット2の自重によって、内側へと倒れて落下するようなことはない。
【0130】
上述したように、突起部22と一対の凸板51bとが、前後方向に沿って重なった状態となる。すなわち、突起部22は、一対の凸板51bに外側から挟まれた状態となるため、アーム20がインナボックス84に接触する程、前後方向へ大きくずれることはない。
また、上述したように、敷板部31を接地させた後は、左右一対の縦アウトリガボックス82がそれぞれ備えるインナボックス84を同時に伸長させて、車両本体101をジャッキアップさせることが可能である。これにより、クレーン105の作業時における安定性を確保する。
【0131】
以上説明したように、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5は、縦アウトリガボックス82が伸長する動作に連動して、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢から敷板設置姿勢へと変化するように、敷板部31を変位させる敷板設置機構部に対応する。
また、アーム20は、一端(基端部21P側の端部)が、敷板部31のうち敷板設置姿勢においてフロート85と対向する面へ、回転可能に取り付けられている。
【0132】
D:敷板格納動作
次に、敷板格納動作について説明する。
敷板格納動作は、基本的に、図8に示す敷板設置動作とは逆の動作となる。
【0133】
すなわち、図8-2(f)に示す敷板設置姿勢からインナボックス84を縮小させると、フロート85が接地側ブラケット51と共に上昇する。フロート85が上昇していくと、パイプ54が、切り込み部24の内周面に対して下方から接触する。その後、パイプ54を軸として、敷板部31は地面と水平な姿勢で浮き上がり始めつつ、アームプレート21は先端部21Dから降下するため、突起部22の底面が第二クッション8の上面に接触する。次に、一対のカム52にアームプレート21が載せられる。その後、敷板ユニット2は、パイプ54及び一対のカム52、又はそれらに一対の第二クッション8を加えたものを載せた状態で上方へと移動し、図8-2(e)に示すように、敷板部31が地面から浮き上がった状態となる。すなわち、敷板ユニット2の姿勢が、敷板設置準備姿勢の状態となる。
引き続き、図7(d)及び図8-2(d)に示すように、インナボックス84を縮小させる動作に連動して、フロート85の位置が、縦アウトリガボックス82が最も縮小した位置へ近づくと、懐部25aの内周面が、一対のボス42に対して外周面に接触する。ここで、切り込み部24の開口幅は、ボス42の直径よりも十分に広いため、左右方向にずれが生じていても、余裕を持って懐部25aの内側へとボス42を収容することが可能である。
【0134】
さらに、インナボックス84を縮小させる動作に連動して、フロート85の位置が、縦アウトリガボックス82が最も縮小した位置になると、インナボックス84を縮小させる時の推力が、一対のカム52から一対のアームプレート21に伝達される。これにより、一対のボス42を回転の支点として、一対のアームプレート21が基端部21Pから持ち上げられ、図7(c)及び図8-1(c)に示すように、敷板部31が格納位置に向かって移動する。このとき、一対のアームプレート21は、フック部25と突起部22との間の面を、摺動板43に接触させながら回転する。
【0135】
そして、図8-1(b)に示すように、敷板部31の姿勢が予め設定した姿勢となった状態で、作業者等が人力で行う動作により、敷板部31をアウタボックス83へ向けて変位させることで、ロッド部35bを爪部60aにより掴ませる。
これにより、敷板部31の姿勢を、敷板部31の厚さ方向がクレーン搭載車両100の左右方向と平行になる姿勢とすることで、敷板部31をアウタボックス83の外側に配置する。
【0136】
すなわち、作業者等の人力により、予め設定した姿勢の敷板部31をアウタボックス83へ向けて変位させることで、第一ロック機構が、受け金具部35の一部であるロッド部35bをアウタボックス83に固定する。
このとき、敷板部31のうち、アウタボックス83と対向する面が第一クッション7と接触し、ロッド部35bがスナッチロック60の爪部60aへ押し込まれることで、スナッチロック60は自動でロック状態となる。これにより、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢となる。
【0137】
さらに、図8-1(a)に示すように、解除グリップ64を下方へスライドさせて、敷板部31とロッド部35bとの間へロック部材65の一部である第一キー部65aを差し込むことで、敷板ユニット2はロック状態となる。
ここで、第一クッション7のアウタボックス83から突出する突出量は、敷板格納姿勢のときに、敷板部31がパイプ54と接触しない突出量に設定されている。このため、共に金属を用いて形成されている敷板部31とパイプ54とが接触して発生する騒音を、抑制することが可能となっている。
【0138】
また、実施形態では、フック部25の一部が、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに、一対の凸板51bの間に収まった状態となるように構成されている。加えて、一対の凸板51bとフック部25との間には、一対の凸板51bの間へ、フック部25の一部を確実に収容するために、前後方向に設けたクリアランスが設定されている。そのため、敷板ユニット2は、前後方向に動くことが可能である。すなわち、前後方向に設けたクリアランスによって、敷板格納動作を実施する度に、一対のアームプレート21には、前後方向へのずれが発生してしまうため、例えば、敷板ロック機構6による固定が困難となる等、不具合が発生する恐れがある。
このため、実施形態においては、傾斜面43sによって、一対のアームプレート21が前後方向にずれていた場合に、フック部25と突起部22との間に形成された面は、アウタボックス83よりも先に、傾斜面43sと接触する。なお、フック部25と突起部22との間に形成された面が、傾斜面43sによって、アウタボックス83よりも先に傾斜面43sと接触する状態は、例えば、図7(d)に示す状態のときに発生する。これにより、一対のアームプレート21は、傾斜面43sに沿って自動的に位置決めされるため、敷板格納動作時において、一対のアームプレート21に発生する前後方向のずれが修正される。
また、一対の摺動板43は、一対のアームプレート21がアウタボックス83と直接接触することを防ぐため、敷板格納動作時において、アームプレート21の接触による塗装の剥がれを防止することが可能である。
【0139】
ここで、敷板設置準備姿勢の状態から敷板格納姿勢の状態に変化する際に、敷板部31の下端は、二つのねじりバネ36が敷板部31を押す力によって、外側へ傾くことなく、一定の姿勢が保持されている。
本来、敷板部31の下部は、敷板格納姿勢へ移行する途中で、自重と遠心力により外側へ振られる。その後、振り子の復元力が作用した速度と、アーム20の回転に伴い、敷板部31に作用する回転速度とを合成した速度で、敷板部31がフロート85に接触するという現象が生じてしまうおそれがある。
しかしながら、敷板部31に発生する振り子の復元力は、二つのねじりバネ36が敷板部31を押す力によって発生しない。したがって、敷板部31は、敷板部31に作用する回転速度のみにより、フロート85に接触することとなる。
【0140】
以上説明したように、敷板部31は、縦アウトリガボックス82の伸縮に応じて姿勢が変化する。
また、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5は、縦アウトリガボックス82が縮小する動作に連動して、敷板部31の姿勢を敷板設置姿勢から敷板格納姿勢へと変化させる敷板格納機構部に対応する。また、アウタ側案内機構4及び接地側案内機構5が対応する敷板格納機構部は、縦アウトリガボックス82が最も縮小した状態で、敷板部31の姿勢を敷板格納姿勢に達する前の予め設定した姿勢とする。
【0141】
E:敷板部31を接地させない場合の張り出し動作
次に、敷板部31を接地させない場合における、縦アウトリガボックス82の張り出し動作を説明する。
敷板部31を接地させずに、縦アウトリガボックス82を張り出す場合には、敷板ユニット2をロック状態として、インナボックス84を伸長させる。このとき、図10(a)に示すように、ロック状態のままインナボックス84を伸長させても、敷板ロック機構6によって敷板部31がアウタボックス83に固定されているため、敷板部31は移動せずに、インナボックス84のみが下方にスライド移動する。
【0142】
すなわち、一対のカム52が下方に移動して、一対のボス42及び一対のカム52によりフック部25が狭まれている状態が解除されても、敷板部31がアウタボックス83にぶら下がった状態で、敷板ユニット2が保持される。そのため、図10(b)に示すように、一対のアームプレート21が一対のボス42に沿って回転しない。その結果、敷板設置動作が行われず、通常通りに、縦アウトリガボックス82の張り出し動作が行われる。
このため、敷板ロック機構6により受け金具部35をアウタボックス83に固定した状態では、縦アウトリガボックス82を伸長させて、フロート85を地面と接地させることが可能である。
これにより、例えば、クレーン搭載車両100を用いた作業を行う場所が狭く、敷板部31を接地させるためのスペースを確保することが困難である場合に、敷板部31の代わりにフロート85を地面と接地させて、作業を行うことが可能である。
【0143】
F:敷板格納姿勢に達する前の、予め設定した姿勢の調整
敷板格納姿勢に達する前の、予め設定した姿勢の調整は、敷板格納姿勢(ロック状態)におけるカム接触面26とカム52との距離(隙間)を、適正な値とすることで行う。
ここで、「適正な値」とは、例えば、敷板格納姿勢に達する前の予め設定した姿勢を、作業者が敷板30の傾斜を容易に認識することが可能な角度に設定した場合に、設定した敷板30の角度を実現する値である。また、敷板格納姿勢におけるカム接触面26とカム52との隙間は、適切な厚さを持つシム(図示略)を隙間に挟み、カム52をシムに接触させた状態で固定して調整することが可能である。
【0144】
以上説明したように、敷板設置装置1は、インナボックス84を、格納位置から下方向に伸長させることによって、アウタボックス83の側面と対向する位置に格納された敷板部31を、フロート85の下へ自動で配置する装置である。加えて、敷板部31がフロート85の下に配置された状態で、インナボックス84を縮小させることによって、敷板部31を格納位置に達する前の予め設定した位置へと自動で格納する装置である。
【0145】
<敷板ロック機構の動作>
以下、図1から図18を参照しつつ、図19及び図20を用いて、敷板ロック機構6の動作について説明する。なお、図19-1(a)及び図20-1(a)は、図8-1(a)に対応する状態を示す。同様に、図19-2(d)及び図20-2(d)と図19-2(e)及び図20-2(e)は、図8-1(b)に対応する状態を示す。
クレーン搭載車両100の走行時等、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢である場合には、図19-1(a)及び図20-1(a)に示すように、敷板ロック機構6(第一ロック機構及び第二ロック機構)により、敷板部31がアウタボックス83に固定されている。
【0146】
そして、アウトリガ80の使用時には、まず、図19-1(b)及び図20-1(b)に示すように、解除グリップ64を上方へ移動させて、アウタボックス83と受け金具部35との間へ配置したロック部材65を上方へ移動させる。これにより、第二ロック機構によって敷板部31がアウタボックス83に固定されている状態を解除する。
次に、図19-1(c)及び図20-1(c)に示すように、上方へ移動させた解除グリップ64を、一の方向(アウタボックス83の側面から離れる方向)へ操作する。そして、第一キー部65aの下端部を板部67aの上側に乗せ、解除姿勢を維持する。
【0147】
解除グリップ64を解除姿勢に維持した後、図19-2(d)及び図20-2(d)に示すように、レバー61を、一の方向とは逆の方向(アウタボックス83の側面から離れる方向)へ操作して、ロッド部35bを解放する。これにより、第一ロック機構によって敷板部31がアウタボックス83に固定されている状態を解除して、敷板ロック機構6によるロック状態を解除する。
敷板ロック機構6によるロック状態を解除した後、図19-2(e)及び図20-2(e)に示すように、アウタボックス83の側面から離れる方向へ操作していたレバー61を、メインロックスプリング61aの収縮力によって、元の位置に戻す。
そして、油圧シリンダによって縦アウトリガボックス82を伸長させて、図19-2(f)に示すように、敷板部31の姿勢を、敷板格納姿勢から敷板設置姿勢へと変化させる。
【0148】
<実施形態の作用及び効果>
実施形態の敷板設置装置1であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(1)敷板ロック機構6が、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに受け金具部35をアウタボックス83に固定可能である。これに加え、敷板ロック機構6によって敷板部31を固定している状態では、縦アウトリガボックス82が伸長する動作をしても敷板部31が敷板格納姿勢を維持する。
その結果、敷板ロック機構6をロック状態とした状態で、縦アウトリガボックス82が伸長する動作をした場合であっても、敷板ユニット2を離脱させることなく、縦アウトリガボックス82を張り出すために行う、通常の動作を行うことが可能となる。
【0149】
また、クレーン搭載車両100の走行時に発生する振動等によって、敷板ユニット2が脱落することを防止することが可能である。
さらに、敷板ロック機構6をロック状態とした状態で、縦アウトリガボックス82が伸長する動作をした場合であっても、敷板部31の姿勢が変化することを抑制することが可能となる。
【0150】
また、敷板ロック機構6が、敷板30の全ての自重を支持する構成となるため、インナボックス84には、敷板30の自重によって縦アウトリガボックス82が伸長する方向への負荷が作用しない。
これにより、クレーン搭載車両100の走行中において、インナボックス84が伸長することを抑制することが可能である。
以上により、クレーン搭載車両100の走行中に縦アウトリガボックス82が伸長した場合であっても、敷板部31に姿勢の変化や脱落が発生することを抑制することが可能な、敷板設置装置1を提供することが可能となる。
【0151】
(2)敷板ロック機構6は、受け金具部35の一部をアウタボックス83に固定可能な第一ロック機構と、受け金具部35の他の一部をアウタボックス83に固定可能な第二ロック機構を備える。また、第一ロック機構によって受け金具部35の一部がアウタボックス83に固定されている状態では、敷板部31がアウタボックス83から離れる方向への全ての力を、第一ロック機構が受ける。一方、第二ロック機構によって受け金具部35の他の一部がアウタボックス83に固定されており、第一ロック機構によって受け金具部35の一部がアウタボックス83に固定されていない状態では、敷板部31がアウタボックス83から離れる方向への全ての力を、第二ロック機構が受ける。
その結果、敷板ロック機構6が、二重のロック機構(第一ロック機構、第二ロック機構)によって冗長性を備えることで、クレーン搭載車両100の走行中において、敷板30の落下を防止する機能を向上させることが可能となる。
【0152】
また、第二ロック機構が、第一ロック機構が正常に施錠されている場合は、敷板格納姿勢において、敷板部31が敷板ロック機構6から離脱しようとする力を受けず、容易に解錠することが可能となる。一方、第一ロック機構が故障等の理由で機能していない場合には、第二ロック機構が、敷板部31が敷板ロック機構6から離脱しようとする力を受け、解錠が困難となる機能を有する。
その結果、第一ロック機構が機能していない場合は、第二ロック機構が解錠困難となることで、クレーン搭載車両100の走行時に発生する振動等によって、第二ロック機構が解錠されることを抑制することが可能となる。これに加え、作業者等が第二ロック機構を解錠しようとしたときに、第一ロック機構が機能していないことを認識することが可能となる。
【0153】
(3)予め設定した姿勢の敷板部31をアウタボックス83へ向けて変位させることで、第一ロック機構が、受け金具部35の一部をアウタボックス83に固定する。
その結果、敷板部31の状態がロック状態ではないことを認識した作業者等が、敷板部31をアウタボックス83へ向けて変位させることで、受け金具部35をアウタボックス83に固定することが可能となり、高い利便性を有する。
【0154】
(4)第一ロック機構は、アウタボックス83の各面のうちクレーン搭載車両100の前後方向を向く面に配置され、且つ予め設定した一の方向へ操作することでアウタボックス83に固定されている受け金具部35を解放するレバー61を備える。これに加え、第一ロック機構は、第一ロック機構により受け金具部35をアウタボックス83に固定した状態でレバー61に対して一の方向とは逆の方向へ変位させる力を常に加えるメインロックスプリング61aを備える。
【0155】
その結果、レバー61を引く容易な動作により、アウタボックス83に固定されている受け金具部35を解放することが可能となる。
また、メインロックスプリング61aにより、クレーン搭載車両100の走行時に発生する振動等によってレバー61が振動しないように、レバー61へ負荷を与えることが可能となる。これにより、レバー61と連結されたスナッチロック60が解錠される可能性を低減させることが可能となる。
【0156】
(5)レバー61は、アウタボックス83の各面のうちクレーン搭載車両100の前後方向を向く二つの面にそれぞれ配置された一対のレバー61であり、第一ロック機構は、一対のレバー61を連結するガイドフレームを備える。また、ガイドフレーム62は、一対のレバー61のうち一方を一の方向へ操作すると、一対のレバー61のうち他方を一の方向へ変位させる。
その結果、第一ロック機構の構成を、コンパクトな構成とすることが可能となる。
【0157】
これに加え、一対のレバー61をガイドフレーム62で連結することにより、一対のレバー61のうち一方のみを操作する容易な動作により、アウタボックス83に固定されている受け金具部35を解放することが可能となる。
これにより、第一ロック機構の構成を、コンパクト性に加え、高い利便性を有する構成とすることが可能となる。
【0158】
(6)第二ロック機構は、アウタボックス83の側面に沿って上下方向へ変位可能な解除グリップ64を備える。さらに、第二ロック機構は、敷板格納姿勢において解除グリップ64よりも下方に配置され、且つ解除グリップ64に連結されて解除グリップ64と共に上下方向へ変位可能なロック部材65を備える。また、ロック部材65をアウタボックス83と受け金具部35との間へ配置することで、敷板部31の姿勢が敷板格納姿勢のときに受け金具部35をアウタボックス83に固定可能である。さらに、解除グリップ64を上方へ移動させることでアウタボックス83と受け金具部35との間へ配置したロック部材65を上方へ移動させて、受け金具部35をアウタボックス83から離脱させることが可能である。
その結果、第二ロック機構の構成を、閂のようなスライド構造とすることで、敷板格納姿勢において、敷板部31とアウタボックス83との間に形成される隙間に、第二ロック機構をコンパクトに配置することが可能となる。
【0159】
また、受け金具部35をアウタボックス83に固定している状態では解除グリップ64が垂直となり、アウタボックス83と平行な姿勢となるが、受け金具部35をアウタボックス83から離脱させた状態では、解除グリップ64が傾斜した姿勢となる。
これにより、解除グリップ64が傾斜した姿勢では、受け金具部35をアウタボックス83に固定されていない状態であることを、作業者等に目視で認識させることが可能となる。
【0160】
(7)アウタボックス83と受け金具部35との間へロック部材65を配置した状態から、解除グリップ64を上方へ移動させ、さらに、解除グリップ64を予め設定した一の方向へ操作することで、受け金具部35をアウタボックス83から離脱させることが可能な状態を維持する。
【0161】
このため、第二ロック機構が、解錠のために、解除グリップ64を上に引きあげる動作(閂を抜くような動作)と、解除グリップ64を手前に引く動作(解錠状態の維持)の2ステップを要する構造となる。また、施錠状態において、2ステップの動作がクレーン搭載車両100の走行時に発生する振動によって自然に発生し、解錠に至る状況は発生しにくい。
その結果、第二ロック機構の構成を、クレーン搭載車両100の走行時に発生する振動によって解錠されにくい構造を有する構成とすることが可能となる。
【0162】
(8)第二ロック機構は、解除グリップ64に対して下方へ変位させる力を常に加えるサブロックスプリング63をさらに備える。
【0163】
このため、第二ロック機構が施錠されている状態では、サブロックスプリング63が、常に、第二ロック機構を施錠する方向に力を加えることとなる。
その結果、第二ロック機構の構成を、クレーン搭載車両100の走行時に発生する振動によって解錠されにくい構造を有する構成とすることが可能となる。
【0164】
(9)第一ロック機構は、アウタボックス83の各面のうちクレーン搭載車両100の前後方向を向く面に配置され、且つ予め設定した一の方向へ操作することでアウタボックス83に固定されている受け金具部35を解放するレバー61を備える。さらに、レバー61と共に変位し、且つレバー61を一の方向へ操作する際に、第二ロック機構によってロッド部35bがアウタボックス83に固定されている状態で、第二ロック機構(解除グリップ64)と接触する支持板部62cを備える。
【0165】
このため、第二ロック機構が施錠されている状態では、レバー61の操作によってガイドフレーム62が移動する経路に、障害物として解除グリップ64が位置するため、レバー61の可動域が制限されて、第一ロック機構の操作が不可能となる。
また、第二ロック機構が解錠されている状態では、解除グリップ64が上方へ移動し、ガイドフレーム62が移動する経路に障害物が無くなるため、レバー61の操作が可能となる。
【0166】
その結果、敷板ロック機構6の解錠は、第二ロック機構を解錠した後に第一ロック機構を解錠するという手順に限定される。このため、第一ロック機構を第二ロック機構よりも先に解除した場合、第二ロック機構は解錠が困難となり、第一ロック機構を解錠した後に第二ロック機構を解錠する操作が行われることを防止することが可能となる。
また、第一ロック機構は、クレーン搭載車両100の走行時に発生する振動等によってレバー61が振動し、スナッチロック60が解錠される可能性があるが、第二ロック機構を施錠している状態では、レバー61の可動域が制限される。このため、スナッチロック60が解錠されることを防止することが可能となる。
【0167】
(10)クレーン搭載車両100は、サイドガードSGを備え、接地面31Gは、敷板格納姿勢において、サイドガードSGと共にクレーン搭載車両100の側面に配置される。
その結果、敷板設置装置1の構成を、コンパクトな構成とすることが可能となる。
【0168】
(11)敷板ロック機構6により受け金具部35をアウタボックス83に固定した状態で縦アウトリガボックス82を伸長させて、フロート85を地面と接地させることが可能である。
その結果、敷板ロック機構6を施錠した状態で、縦アウトリガボックス82の張り出し動作を行った場合、敷板部31をアウタボックス83に固定することで、敷板設置動作を行わず、通常と同様の、縦アウトリガボックス82の張り出し動作を行うことが可能となる。
【0169】
実施形態のアウトリガ80であれば、以下の作用及び効果を奏することが可能である。
(12)縦アウトリガボックス82と、敷板設置装置1とを備える。
その結果、クレーン搭載車両100の走行中に縦アウトリガボックス82が伸長した場合であっても、敷板部31に姿勢の変化や脱落が発生することを抑制することが可能な、アウトリガ80を提供することが可能となる。
【0170】
<変形例>
(1)実施形態では、クレーン搭載車両100の構成を、サイドガードSGを備える構成としたが、これに限定するものではなく、クレーン搭載車両100の構成を、サイドガードSGを備えていない構成としてもよい。
【0171】
(2)実施形態では、敷板部31の構成を、敷板格納状態ではアウタボックス83の外側に配置される構成としたが、これに限定するものではなく、敷板部31の構成を、敷板格納姿勢においてアウタボックス83の内側に配置される構成としてもよい。
【0172】
(3)実施形態では、敷板設置装置1を車両搭載型クレーンに適用したが、これに限定するものではなく、同様の構成を有するアウトリガを備えたものであれば、敷板設置装置1を例えば、他のクレーンや、高所作業車等の他の作業車両に適用してもよい。
【0173】
(4)実施形態では、第一ロック機構の構成を、二つのレバー61を備える構成としたが、これに限定するものではない、すなわち、アウタボックス83のうち、クレーン搭載車両100の前後方向を向く面のうち一方のみに、一つのレバー61が配置されている構成としてもよい。
【符号の説明】
【0174】
1 アウトリガ用敷板設置装置
2 敷板ユニット
4 アウタ側案内機構
5 接地側案内機構
6 ロック機構
7 第一クッション
8 第二クッション
20 アーム
21 アームプレート
22 突起部
23 折曲部
24 切り込み部
25 フック部
25a 懐部
26 カム接触面
26a 凸部
26b 凹部
27 軸孔
28 接続ロッド
30 敷板
31 敷板部
31u 敷板上部
31d 敷板下部
31c 敷板側切り欠き部
31G 接地面
32 ブラケット部
33 アーム取付用ベース部
34 アーム取り付けピン
35 受け金具部
35a 補強板部
35b ロッド部
36 ねじりバネ
37 接地クッション
41 アウタ側ブラケット
42 ボス
43 摺動板
43a アーム接触面
43s 傾斜面
51 接地側ブラケット
51a 取付用板部
51b 凸板
52 カム
53 ボルト
54 パイプ
60 スナッチロック
60a 爪部
60b 爪部固定板
60c スナッチロック固定ボルト
61 レバー
61a メインロックスプリング
61b スプリング固定ボルト
62 ガイドフレーム
62a 側板部
62b 連結板部
62c 支持板部
62d 突出部
62e スプリング取付孔
63 サブロックスプリング
64 解除グリップ
65 ロック部材
65a 第一キー部
65b 接続部
65c 第二キー部
65d 第三クッション
66 固定ブラケット
67 ストライカブラケット
67a 板部
68 ガイドフレーム固定ボルト
80 アウトリガ
81 横アウトリガボックス
82 縦アウトリガボックス
83 アウタボックス
84 インナボックス
85 フロート
91 ベース
92 コラム
93 ブーム
94 フック
100 クレーン搭載車両
101 車両本体
102 荷台
103 運転室
104 シャーシフレーム
105 クレーン
106 ワイヤロープ
SG サイドガード
FSG フロントサイドガード
RSG リアサイドガード
FW 前輪
RW 後輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19-1】
図19-2】
図20-1】
図20-2】