(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180181
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20221129BHJP
H01L 23/04 20060101ALI20221129BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/04 E
H01L23/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087136
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大長 規浩
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 文彦
【テーマコード(参考)】
4M109
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109DA07
4M109EA12
(57)【要約】
【課題】外部から接続端子の締結時に損傷の発生を防止できる。
【解決手段】バスバー60は、収納部に対向して配置され、ナットのネジ孔に対向する開口部63aを有する締結領域63と、締結領域63より外側の一部に複数の外部接続端子24と接続された接合領域61a,61bとを備える。さらに、封止本体部は、バスバー60の側壁と隣接する突起部20a,20bを備える。これにより、ボルトをナット70に対して時計回りに回転させて、バスバー60も時計回りに回転しようとしても、突起部20b,20aにより、バスバー60の回転が抑制される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面と前記主面に対して外側を向いて開口した収納部とを備え、内包された半導体チップと前記半導体チップと電気的に接続されたピン状の複数の外部接続端子と、を含む封止本体部と、
ネジ孔を有し前記収納部に収納されたナットと、
前記収納部に対向して配置され、前記ナットのネジ孔に対向する開口部を有する締結領域と、前記締結領域より外側の一部に前記複数の外部接続端子と接続された接合領域とを備えた板状の金属板と、
を備え、
前記封止本体部は、前記金属板の側壁と隣接する突起部を備える、
半導体装置。
【請求項2】
前記金属板の前記締結領域の前記収納部に対向する面の反対側の第1上面は、前記接合領域の前記主面に対向する面の反対側の第2上面より前記主面から離間している、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属板は、前記締結領域と前記接合領域とを連結する連結領域をさらに有する、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記突起部は、前記封止本体部のおもて面に対して、前記金属板の各辺における開口部を中心とした回転方向に面する当接領域の側部に設けられる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記突起部は、前記当接領域の側部に複数、形成されている、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記突起部は、前記当接領域を含んで前記金属板の外周部を囲んで形成されている、
請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記収納部は、前記締結領域の裏面の手前まで、外側に突出して前記主面に形成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
主面と前記主面に対して外側を向いて開口した収納部とを備え、内包された半導体チップと前記半導体チップと電気的に接続されたピン状の複数の外部接続端子と、を含む封止本体部と、
ネジ孔を有し前記収納部に収納されたナットと、
前記収納部に対向して配置され、前記ナットのネジ孔に対向する開口部を有する締結領域と、前記締結領域より外側の一部に前記複数の外部接続端子と接続された接合領域とを備え、前記主面に対して前記締結領域が前記接合領域よりも外側に突出している板状の金属板と、
を備え、
前記封止本体部において、前記収納部が形成された対向面が前記主面から外側に突出しており、前記接合領域との間の前記締結領域に嵌合されている、
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、パワーデバイス及びパワーデバイスに電気的に接続されている複数の外部接続端子を樹脂で封止している。パワーデバイスは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。複数の外部接続端子は半導体装置のおもて面から垂直に延伸しており、バスバーが取り付けられる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
バスバーは、例えば、以下のように取り付けられる。半導体装置のおもて面から垂直に延伸する、平板状であって貫通孔が形成された主端子をおもて面側に折り曲げて、当該貫通孔にバスバーをボルトにより締結することが行われている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
また、ボルトの締結方法の一例として、ボルトの締結時にボルトが回転しないように、端子ナットを覆って支持可能な凹部を備えた端子ナットカバーが用いられている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-112250号公報
【特許文献2】特許第6516024号公報
【特許文献3】特開平09-69603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の半導体装置では外部接続端子に、中央部に貫通孔が形成されたバスバーが接合されて、当該バスバーに外部装置の接続端子(別のバスバー)をボルトで締結する際、ボルトの回転に伴って、バスバーも回転することがある。しかし、バスバーが外部接続端子に接合されているため、バスバーの回転に伴って、外部接続端子のバスバーとの接合箇所が曲がってしまって変形してしまうことがある。また、外部接続端子の変形に伴い、外部接続端子を支持する箇所の樹脂にひび割れ等の損傷が発生してしまうと、絶縁性の低下を招くおそれがある。このため、半導体装置の信頼性が低下してしまう。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、外部から接続端子の締結時に損傷の発生を防止できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、主面と前記主面に対して外側を向いて開口した収納部とを備え、内包された半導体チップと前記半導体チップと電気的に接続されたピン状の複数の外部接続端子と、を含む封止本体部と、ネジ孔を有し前記収納部に収納されたナットと、前記収納部に対向して配置され、前記ナットのネジ孔に対向する開口部を有する締結領域と、前記締結領域より外側の一部に前記複数の外部接続端子と接続された接合領域とを備えた板状の金属板と、を備え、前記封止本体部は、前記金属板の側壁と隣接する突起部を備える、半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、外部から接続端子の締結時に損傷の発生を防止して、半導体装置の信頼性の低下を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態の半導体装置の平面図である。
【
図2】第1の実施の形態の半導体装置の側面図である。
【
図3】第1の実施の形態の半導体装置の断面図である。
【
図4】第1の実施の形態のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。
【
図5】第1の実施の形態のバスバーが取り付けられた半導体装置の断面図である。
【
図6】第1の実施の形態の変形例1-1のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。
【
図7】第1の実施の形態の変形例1-2のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。
【
図8】第1の実施の形態の変形例1-3のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。
【
図9】第1の実施の形態の変形例1-4のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。
【
図10】第1の実施の形態の変形例1-5のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。
【
図11】第1の実施の形態の変形例1-6のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。
【
図12】第1の実施の形態の別のバスバーが取り付けられた半導体装置の断面図である。
【
図13】第2の実施の形態のバスバーが取り付けられた半導体装置の断面図である。
【
図14】第2の実施の形態のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、「おもて面」及び「上面」とは、図の半導体装置1において、上側(+Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「上」とは、図の半導体装置1において、上側(+Z方向)の方向を表す。「裏面」及び「下面」とは、図の半導体装置1において、下側(-Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「下」とは、図の半導体装置1において、下側(-Z方向)の方向を表す。必要に応じて他の図面でも同様の方向性を意味する。「おもて面」、「上面」、「上」、「裏面」、「下面」、「下」、「側面」は、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。また、以下の説明において「主成分」とは、80vol%以上含む場合を表す。
【0012】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態で用いられる半導体装置の一例について、
図1~
図3を用いて説明する。
図1は、第1の実施の形態の半導体装置の平面図であり、
図2は、第1の実施の形態の半導体装置の側面図であり、
図3は、第1の実施の形態の半導体装置の断面図である。なお、
図2は、
図1の一点鎖線X-Xにおける断面図を示している。なお、一点鎖線X-Xは、半導体装置1の中心を通る長手方向に沿った中心線でもある。
図3は、
図1の一点鎖線Y-Yにおける断面図を示している。但し、
図3は、半導体装置1の内部の図示は省略している。
【0013】
半導体装置1は、直方体状の封止本体部10を備え、封止本体部10のおもて面11から外部接続端子21a,21b,22a,22b,23~25がおもて面11に対して鉛直上方(+Z方向)に延伸している。
【0014】
封止本体部10は、平面視で、略矩形状のおもて面11の四方が側壁10a~10dで囲まれている。また、側壁10a,10cは、封止本体部10の短手方向、側壁10b,10dは、封止本体部10の長手方向にそれぞれ対応している。なお、側壁10a~10dの四隅の接続箇所は、必ずしも、直角でなくてもよく、R形状を成しても、面取りされていてもよい。おもて面11と側壁10a~10dとの繋ぎ目も、必ずしも、直角でなくてもよく、R形状を成しても、面取りされていてもよい。
【0015】
おもて面11には、一点鎖線X-X(中心線)に沿って、締結孔10e,10f及びナット収納台13~15が形成されている。締結孔10e,10fは、封止本体部10のおもて面11に対して、側壁10a,10c側にそれぞれ封止本体部10を貫通して形成されている。半導体装置1を所定の領域に取り付ける際に、締結孔10e,10fを通してネジにより当該所定の領域に取り付けられる。
【0016】
ナット収納台13~15は、直方体状であって、おもて面11に一体的に形成されている。ナット収納台13~15のおもて面である対向面13b~15bは、平面視で、例えば、八角形を成している。対向面13b~15bは、八角形に限らず、後述する収納部13a~15aの形成が許容できる領域があればよく、多角形、円形でもよい。対向面13b~15bが平面視で多角形の場合には、角部がR形状を成しても、面取りされていてもよい。また、対向面13b~15bは、おもて面11よりもおもて面11に対して上方(+Z方向)に位置している。ナット収納台13~15の対向面13b~15bに収納部13a~15aが形成されている。収納部13a~15aは、ナットが完全に収納可能に外側(+Z方向)に開口された領域である。収納部13a~15aは、内部に貫通しておらず、窪んだ形状を成している。収納部13a~15aの平面視の形状は、ボルトの形状に対応している。収納部13a~15aの平面視の形状は、
図1の場合は、六角形を成している。
【0017】
また、おもて面11には、平面視で、ナット収納台13~15を挟み、一点鎖線X-Xに線対称を成すように、外部接続端子23~25がそれぞれ3本ずつ、おもて面11に対して鉛直上方に延伸している。また、外部接続端子23~25は、おもて面11に一体的に形成された端子台12b~12dのおもて面から延伸している。端子台12b~12dは、ナット収納台13~15を挟んでそれぞれ形成され、直方体状を成している。具体的には、平面視で、側壁10b,10dに沿って、ナット収納台13~15のY方向の長さ程度の長辺を備える直方体状を成している。例えば、ナット収納台14に対して、その両側(側壁10b,10d側)に端子台12cから3本の外部接続端子24がそれぞれ延伸している。
【0018】
また、おもて面11には、外部接続端子21a,21b,22a,22bが側壁10c側に、おもて面11に対して鉛直上方に延伸している。また、外部接続端子21a,22aは、おもて面11の側壁10d側に一体的に形成された端子台12aのおもて面から延伸している。外部接続端子21b,22bは、おもて面11の側壁10b側に一体的に形成された端子台12aのおもて面から延伸している。
【0019】
このようにナット収納台13~15及び端子台12a~12dがおもて面11に一体的に形成された封止本体部10は、所定の金型内に後述する半導体チップ等を含んで樹脂で封止することで構成されている。このような樹脂は、熱可塑性樹脂を主成分として構成されている。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリアミド樹脂、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂である。
【0020】
さらに、おもて面11には、ナット収納台13~15に対して、突起部20a,20bが一体的にそれぞれ形成されている。例えば、ナット収納台14に対して、側壁10dの側壁10a側に突起部20bが、側壁10bの側壁10c側に突起部20aがそれぞれ形成されている。すなわち、突起部20a,20bは、ナット収納台14の収納部14aに対して点対称の位置に形成されている。なお、突起部20a,20bは、図ではハッチングが付されているものの、封止本体部10と同じ材質により構成されていてもよい。突起部20a,20bの詳細については後述する。
【0021】
半導体装置1は、封止本体部10により、絶縁回路基板30a,30bと第1半導体チップ41a,41b及び第2半導体チップ42a,42bとプリント回路基板55とが封止されている。絶縁回路基板30a,30bは、絶縁板31と絶縁板31の裏面に設けられた金属板32と絶縁板31のおもて面に設けられた回路板33とを含んでいる。絶縁板31及び金属板32は、平面視で矩形状である。また、絶縁板31及び金属板32は、角部がR形状や、C形状に面取りされていてもよい。金属板32のサイズは、平面視で、絶縁板31のサイズより小さく、絶縁板31の内側に形成されている。絶縁板31は、絶縁性を備え、熱伝導性に優れた材質により構成されている。このような絶縁板31は、セラミックスまたは絶縁樹脂により構成されている。セラミックスは、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素である。絶縁樹脂は、例えば、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板である。絶縁板31の厚さは、0.2mm以上、2.5mm以下である。
【0022】
金属板32は、絶縁板31よりも面積が小さく、回路板33が形成されている領域の面積よりも広く、絶縁板31と同様に矩形状を成している。また、角部がR形状や、C形状に面取りされていてもよい。金属板32は、絶縁板31のサイズより小さく、絶縁板31の縁部を除いた全面に形成されている。金属板32は、熱伝導性に優れた金属を主成分として構成されている。金属は、例えば、銅、アルミニウムまたは、少なくともこれらの一種を含む合金である。また、金属板32の厚さは、0.1mm以上、2.5mm以下である。金属板32の耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0023】
回路板33は、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。また、回路板33の厚さは、0.1mm以上、2.0mm以下である。回路板33の表面に対して、耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。なお、
図2に示す回路板33は一例である。必要に応じて、回路板33の個数、形状、大きさ等を適宜選択してもよい。
【0024】
このような構成を有する絶縁回路基板30a,30bとして、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal Brazed)基板、樹脂絶縁基板を用いることができる。
【0025】
半導体装置1では、絶縁回路基板30a,30bの金属板32の裏面が表出されている。このような半導体装置1の裏面に接合部材を介して冷却ユニットを取り付けてもよい。ここで用いられる接合部材は、はんだ、ろう材、または、金属焼結体である。はんだは、鉛フリーはんだが用いられる。鉛フリーはんだは、例えば、錫、銀、銅、亜鉛、アンチモン、インジウム、ビスマスの少なくとも2つを含む合金を主成分とする。さらに、はんだには、添加物が含まれてもよい。添加物は、例えば、ニッケル、ゲルマニウム、コバルトまたはシリコンである。はんだは、添加物が含まれることで、濡れ性、光沢、結合強度が向上し、信頼性の向上を図ることができる。ろう材は、例えば、アルミニウム合金、チタン合金、マグネシウム合金、ジルコニウム合金、シリコン合金の少なくともいずれかを主成分とする。絶縁回路基板30a,30bは、このような接合部材を用いたろう付け加工で接合することができる。金属焼結体は、例えば、銀及び銀合金を主成分とする。または、接合部材は、サーマルインターフェースマテリアルであってよい。サーマルインターフェースマテリアルは、例えば、エラストマーシート、RTV(Room Temperature Vulcanization)ゴム、ゲル、フェイズチェンジ材などを含む接着材である。このようなろう材またはサーマルインターフェースマテリアルを介して冷却ユニットに取り付けることで、半導体装置1の放熱性を向上させることができる。なお、冷却ユニットは、例えば、複数のフィンから構成されるヒートシンク並びに水冷による冷却装置を適用することができる。ヒートシンクは、熱伝導性に優れたアルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種を含む合金により構成される。そして、耐食性を向上させるために、例えば、ニッケル等の材料をめっき処理等によりヒートシンクの表面に形成してもよい。具体的には、ニッケルの他に、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金等がある。
【0026】
第1半導体チップ41a,41b及び第2半導体チップ42a,42bは、シリコンまたは炭化シリコンから構成されるパワーデバイス素子を含んでいる。また、第1半導体チップ41a,41b及び第2半導体チップ42a,42bの厚さは、例えば、40μm以上、250μm以下である。パワーデバイス素子は、スイッチング素子またはダイオード素子である。
【0027】
第1半導体チップ41a,41bは、スイッチング素子を含む。スイッチング素子は、例えば、IGBT、パワーMOSFETである。このような第1半導体チップ41a,41bは、例えば、裏面に主電極としてドレイン電極(または、コレクタ電極)を、おもて面に、制御電極及び主電極としてゲート電極及びソース電極(または、エミッタ電極)をそれぞれ備えている。
【0028】
第2半導体チップ42a,42bは、ダイオード素子を含む。ダイオード素子は、例えば、SBD(Schottky Barrier Diode)、PiN(P-intrinsic-N)ダイオード等のFWD(Free Wheeling Diode)である。このような第2半導体チップ42a,42bは、裏面に主電極としてカソード電極を、おもて面に主電極としてアノード電極をそれぞれ備えている。
【0029】
第1半導体チップ41a,41b及び第2半導体チップ42a,42bは、必要に応じて、スイッチング素子及びダイオード素子の少なくともいずれかが選択されて、その裏面側が所定の回路板33上に接合部材により機械的、かつ、電気的に接合される。ここで用いられる接合部材は、はんだ、または、金属焼結体である。はんだは、鉛フリーはんだが用いられる。鉛フリーはんだは、例えば、錫、銀、銅、亜鉛、アンチモン、インジウム、ビスマスの少なくとも2つを含む合金を主成分とする。さらに、はんだには、添加物が含まれてもよい。添加物は、例えば、ニッケル、ゲルマニウム、コバルトまたはシリコンである。はんだは、添加物が含まれることで、濡れ性、光沢、結合強度が向上し、信頼性の向上を図ることができる。金属焼結体で用いられる金属は、例えば、銀及び銀合金である。
【0030】
また、第1,第2半導体チップ41a,42a及び第1,第2半導体チップ41b,42bに代えて、IGBT及びFWDの機能を合わせ持つRC(Reverse-Conducting)-IGBTを用いてもよい。
【0031】
プリント回路基板55は、絶縁層と当該絶縁層のおもて面及び裏面の少なくとも一方に配線パターンが構成されている金属層とを含んでいる。絶縁層は、基材と当該基材に含浸させた樹脂とを含んでいる。基材は、例えば、紙またはガラス布、または、これらを含んでいるものである。樹脂は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂である。具体例としては、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、複合基材エポキシ基板、ガラスポリイミド基板である。金属層は、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。このようなプリント回路基板55が絶縁回路基板30a,30bのおもて面に所定の間隔を空けて対向配置されている。
【0032】
また、導電ポスト51a,51bが、プリント回路基板55と第1半導体チップ41a,41b及び第2半導体チップ42a,42bとの間を電気的に接続している。導電ポスト52a,52bは、プリント回路基板55と絶縁回路基板30a,30bとの間を電気的に接続している。導電ポスト51a,51b,52a,52bは、円柱状または角柱状を成している。導電ポスト51a,51b,52a,52bは、導電性に優れた材質により構成されている。このような材質として、例えば、銀、銅、ニッケル、または、少なくともこれらの一種を含む合金等により構成されている。
【0033】
また、外部接続端子21a,21b,22a,22b,23~25は、円柱状または角柱状を成している。いわゆる、ピン状を成している。外部接続端子21a,21b,22a,22b,23~25の下端部は、絶縁回路基板30a,30bに電気的かつ機械的に接合されている。外部接続端子21a,21b,22a,22b,23~25の上端部は既述の通り、封止本体部10のおもて面11から鉛直上方に延伸している。このような外部接続端子21a,21b,22a,22b,23~25は、以下のように接続されている。外部接続端子21a,21b,22a,22bは、半導体装置1のスイッチングを制御するための制御端子である。外部接続端子21a,21bは、第1半導体チップ41a,41bの制御電極と電気的に接続された制御端子(G1,G2端子)である。外部接続端子22a,22bは、第1半導体素子41a,41bのエミッタ電極と電気的に接続された電流センス端子(E1s,E2s端子)である。また、外部接続端子23,24,25は、主電流が入出力する主端子である。外部接続端子23は、第1半導体素子41aのコレクタ電極と電気的に接続され、プラス側の入力電流が流れる入力端子(P端子)である。外部接続端子24は、後述する第1半導体チップ41bのエミッタ電極と電気的に接続され、マイナス側の入力電流が流れる入力端子(N端子)である。外部接続端子25は、第1半導体チップ41aのエミッタ電極及び第1半導体素子41bのコレクタ電極と電気的に接続され、出力電流が流れる出力端子(O端子)である。外部接続端子21a,21b,22a,22b,23~25もまた、導電性に優れた材質により構成されている。このような材質として、例えば、銀、銅、ニッケル、または、少なくともこれらの一種を含む合金等により構成されている。
【0034】
次に、ナット収納台13~15ごとにバスバーが取り付けられた半導体装置1について
図4及び
図5を用いて説明する。なお、ここでは、ナット収納台14に対してバスバーが取り付けられた場合について説明する。ナット収納台13,15に対しても同様にバスバーを取り付けることができる。
【0035】
図4は、第1の実施の形態のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図であり、
図5は、第1の実施の形態のバスバーが取り付けられた半導体装置の断面図である。なお、
図4は、半導体装置1のナット収納台14に対して取り付けられたバスバー60の周囲を拡大して表示している。また、
図5は、バスバー60が取り付けられた際の
図1の一点鎖線Y-Yにおける断面図である。なお、
図4では、収納部14aに、ネジ孔71が中心部に形成され、平面視で六角形のナット70が収納されている場合を示している。
【0036】
バスバー60は、ナット収納台14に対向して配置されている。バスバー60は、接合領域61a,61bと連結領域62a,62bと締結領域63とを含み、それぞれ平面視で矩形状を成し、また、全体としても矩形状を成している。バスバー60は、平面視で、短辺60a,60c及び長辺60b,60dにより四方が囲まれている。したがって、バスバー60は、短辺60a,60cが封止本体部10の側壁10d,10bに平行であって、長辺60b,60dが側壁10a,10cに平行となるように、ナット収納台14に設けられている。
【0037】
接合領域61a,61bは、バスバー60の両側部に設けられている。接合領域61a,61bは、外部接続端子24の上端部が突出されて、はんだにより接合されている。締結領域63は、ナット収納台14に対向配置して、接合領域61a,61bよりも鉛直上方(+Z方向)に突出している。締結領域63は、接合領域61a,61bから延伸する外部接続端子24の上端部よりも鉛直上方(+Z方向)に位置する。また、締結領域63は、平面視で、ナット収納台14の収納部14aに対向する開口部63aが開口されている。開口部63aは、平面視で、例えば、
図4に示されるように、ナット収納台14の収納部14aを取り囲むことができる程度の面積である。また、この際、開口部63aは、ナット70に対向している。連結領域62a,62bは、接合領域61a,61bのそれぞれに対向する側部と連結領域62a,62bの側壁10b,10d側の側部とを一体的に連結する。
【0038】
このようなバスバー60は、導電性に優れた金属を主成分として構成されている。金属は、例えば、銅、アルミニウムまたは、少なくともこれらの一種を含む合金である。また、バスバー60の耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。バスバー60は、例えば、平板から打ち抜きにより平板状の部材を形成して、プレス加工により、接合領域61a,61bと連結領域62a,62bと締結領域63との各部が構成される。
【0039】
さらに、バスバー60の長辺60b,60dに対して、突起部20b,20aが当接しておもて面11に形成されている。特に、突起部20b,20aは、開口部63aを中心として点対称の位置に形成されている。また、突起部20b,20aは、長辺60b,60dの当接領域Sb,Sdにそれぞれ当接している。なお、突起部20b,20aは、必ずしも、バスバー60に当接する必要はない。突起部20b,20aは、バスバー60に対して多少の隙間が空くように設けられていてもよい。また、突起部20b,20aの高さは、側面視で、おもて面11からバスバー60のおもて面の高さよりも高い必要がある。第1の実施の形態であれば、突起部20b,20aの上端部は、少なくとも、外部接続端子24に接合されたバスバー60の接合領域61a,61bよりも上位に位置する。また、突起部20b,20aは、平面視で正方形状である柱状を成している。これは一例であって、平面視で多角形状、円形、楕円形である柱状でもよい。また、突起部20b,20aのサイズは、後述するように、バスバー60の回転を抑制できる強度が維持できればよい。
【0040】
このようにして半導体装置1のナット収納台14に対して取り付けられたバスバー60に対して、外部から、別のバスバー(接続端子)が取り付けられる。そして、ボルト(図示を省略)が接続端子及びバスバー60の開口部63aを貫通して、収納部14a内のナットに締結される。この際、締結されるボルトは、
図4に示される破線の矢印の方向である時計回りに回転して、収納部14a内のナットに締結される。
【0041】
ここで、仮に、突起部20b,20aが形成されていない場合について説明する。ボルトを時計回りに回転して締結すると、ボルトの回転に伴って、バスバー60も時計回りに回転することがある。この場合、バスバー60に接合された外部接続端子24が、回転するバスバー60から力を受ける。このため、外部接続端子24が変形してしまう場合がある。または、変形する外部接続端子24を支持する端子台12cにも応力が掛かり、亀裂が生じ、亀裂から割れてしまい、絶縁性が保てなくなる。
【0042】
他方、半導体装置1では、封止本体部10のおもて面11において、バスバー60がナット収納台14に対向し、外部接続端子24に接合されて、バスバー60の長辺60b,60dの短辺60a,60c側に当接するように突起部20b,20aが形成されている。このため、ボルトを時計回りに回転させて、バスバー60も時計回りに回転しようとしても、突起部20b,20aにより、バスバー60の回転が抑制される。したがって、外部接続端子24に対してバスバー60から力が掛からず、変形することが防止される。さらには、外部接続端子24を維持する端子台12cに対する応力が抑制され、封止本体部10が割れることもなく、絶縁性が維持される。
【0043】
また、突起部20b,20aは、バスバー60を取り付ける際の位置合わせの役割も果たすことができる。このため、バスバー60を外部接続端子24に対して容易に位置合わせでき、バスバー60と外部接続端子24とを容易に接合することが可能となる。
【0044】
上記半導体装置は、おもて面11と当該おもて面11に対して外側を向いて開口した収納部13a~15aとを備え、第1,第2半導体チップ41a,41b,42a,42bと、第1,第2半導体チップ41a,41b,42a,42bと電気的に接続された複数の外部接続端子23~25と、を有する封止本体部10と、ネジ孔71を有し、収納部13a~15aに収納されたナット70と、収納部13a~15aに対向して配置され、ナットのネジ穴に対向する開口部63aを有する締結領域63と、締結領域63より外側の一部に複数の外部接続端子23~25と接続された接合領域61a,61bとを備えたバスバー60と、を備える。さらに、封止本体部10は、バスバー60の側壁と隣接する突起部20a,20bを備える。これにより、ボルトをナット70に対して時計回りに回転させて、バスバー60も時計回りに回転しようとしても、突起部20b,20aにより、バスバー60の回転が抑制される。したがって、外部接続端子23~25に対してバスバー60から力が掛からず、変形することが防止される。さらには、外部接続端子23~25を維持する端子台12b~12dに対する応力が抑制され、封止本体部10が割れることもなく、絶縁性が維持される。この結果、半導体装置1の信頼性の低下を抑制することができる。
【0045】
すなわち、突起部20a,20bは、バスバー60の回転を抑制することができる箇所に形成される必要がある。このためには、突起部20a,20bは
図4に示される位置並びに個数に限らず、また、ブロック状に限らない。バスバー60はボルト(ナット70)を中心にして時計回りに回転する。このため、突起部は、おもて面11に対して、バスバー60の長辺60b,60d及び短辺60a,60cの開口部63aを中心とした時計回り方向(締結方向)に面する当接領域Sa~Sdの側部に設けられる必要がある。すなわち、例えば、当接領域Saとは、バスバー60の短辺60aの中心から、時計回り方向に回転する短辺60aの左側の端部までの範囲である。同様に、当接領域Sb~Sdとは、バスバー60の長辺60b、短辺60c、長辺60dの中心から、時計回り方向に回転する長辺60b、短辺60c、長辺60dの左側の端部までの範囲である。当接領域Sa~Sdにおいて、特に、回転モーメントを考慮して、外側の側部に設けられることが好ましい。そこで、以下では突起部の様々な形状並びに形成位置について説明する。なお、以下の変形例でも、ナット収納台14に対してバスバー60を取り付ける場合を例に挙げている。ナット収納台13,15でも同様に突起部の形成を適用することができる。
【0046】
(変形例1-1)
変形例1-1の半導体装置1について、
図6を用いて説明する。
図6は、第1の実施の形態の変形例1-1のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。変形例1-1の半導体装置では、突起部20bが平面視でU字状を成して、バスバー60の短辺60a及び長辺60b,60dの短辺60a側を囲んで、おもて面11に形成されている。また、突起部20aが平面視でU字状を成して、バスバー60の短辺60c及び長辺60b,60dの短辺60c側を囲んで、おもて面11に形成されている。したがって、突起部20bは、バスバー60の当接領域Saと当接領域Sbの一部との側部に形成されている。突起部20aは、バスバー60の当接領域Scと当接領域Sdの一部との側部に形成されている。また、変形例1-1の突起部20b,20aの上端部は、外部接続端子24に接合されたバスバー60の接合領域61a,61bよりも上位に位置する。
【0047】
変形例1-1でも、ボルトをナット70に対して時計回りに回転させて、バスバー60も時計回りに回転しようとしても、突起部20b,20aにより、バスバー60の回転が抑制される。さらに、変形例1-1の場合、例えば、半導体装置1の搬送時や取り扱い時に、バスバー60が外部からの衝撃を受けても、位置ずれが防止される。したがって、外部接続端子24に対してバスバー60から力が掛からず、変形することが防止される。さらには、外部接続端子24を維持する端子台12cに対する応力が抑制され、封止本体部10が割れることもなく、絶縁性が維持される。この結果、半導体装置1の信頼性の低下を抑制することができる。
【0048】
また、突起部20b,20aは、
図4の場合よりも、バスバー60を外部接続端子24に対して容易に位置合わせでき、バスバー60と外部接続端子24とを容易に接合することが可能となる。
【0049】
(変形例1-2)
変形例1-2の半導体装置1について、
図7を用いて説明する。
図7は、第1の実施の形態の変形例1-2のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。変形例1-2の半導体装置では、突起部20bが平面視でL字状を成して、バスバー60の短辺60aの長辺60b側及び長辺60bの短辺60a側に当接するように、おもて面11に形成されている。また、突起部20aが平面視でL字状を成して、バスバー60の短辺60cの長辺60d側及び長辺60dの短辺60c側に当接するように、おもて面11に形成されている。したがって、突起部20bは、バスバー60の当接領域Sbに形成されている。突起部20aは、バスバー60の当接領域Sdに形成されている。また、変形例1-2の突起部20b,20aの上端部は、外部接続端子24に接合されたバスバー60の接合領域61a,61bよりも上位に位置する。
【0050】
変形例1-2でも、ボルトをナット70に対して時計回りに回転させて、バスバー60も時計回りに回転しようとしても、突起部20b,20aにより、バスバー60の回転が抑制される。特に、突起部20b,20aは、当接領域Sb,Sdの外側に当接されている。このため、
図4の場合よりも確実にバスバー60の回転を抑制する。さらに、変形例1-2の場合、バスバー60が外部からの衝撃を受けても、位置ずれが防止される。したがって、外部接続端子24に対してバスバー60から力が掛からず、変形することが防止される。さらには、外部接続端子24を維持する端子台12cに対する応力が抑制され、封止本体部10が割れることもなく、絶縁性が維持される。この結果、半導体装置1の信頼性の低下を抑制することができる。
【0051】
また、突起部20b,20aは、
図4の場合よりも、バスバー60を外部接続端子24に対して容易に位置合わせでき、バスバー60と外部接続端子24とを容易に接合することが可能となる。
【0052】
(変形例1-3)
変形例1-3の半導体装置1について、
図8を用いて説明する。
図8は、第1の実施の形態の変形例1-3のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。変形例1-3の半導体装置では、突起部20bが平面視でI字状を成して、バスバー60の長辺60bの中心を跨いで当接するように、おもて面11に形成されている。また、突起部20aが平面視でI字状を成して、バスバー60の長辺60dの中心を跨いで当接するように、おもて面11に形成されている。したがって、突起部20bは、バスバー60の当接領域Sbに形成されている。突起部20aは、バスバー60の当接領域Sdに形成されている。また、変形例1-3の突起部20b,20aの上端部は、外部接続端子24に接合されたバスバー60の接合領域61a,61bよりも上位に位置する。
【0053】
変形例1-3でも、ボルトをナット70に対して時計回りに回転させて、バスバー60も時計回りに回転しようとしても、突起部20b,20aにより、バスバー60の回転が抑制される。さらに、変形例1-3の場合、バスバー60が外部から、特に、Y方向に対する衝撃を受けても、位置ずれが防止される。したがって、外部接続端子24に対してバスバー60から力が掛からず、変形することが防止される。さらには、外部接続端子24を維持する端子台12cに対する応力が抑制され、封止本体部10が割れることもなく、絶縁性が維持される。この結果、半導体装置1の信頼性の低下を抑制することができる。
【0054】
また、突起部20b,20aは、バスバー60を取り付ける際の位置合わせの役割も果たすことができる。このため、バスバー60を外部接続端子24に対して容易に位置合わせでき、バスバー60と外部接続端子24とを容易に接合することが可能となる。
【0055】
(変形例1-4)
変形例1-4の半導体装置1について、
図9を用いて説明する。
図9は、第1の実施の形態の変形例1-4のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。変形例1-4の半導体装置では、突起部20bが平面視でI字状を成して、バスバー60の短辺60aの中心を跨いで当接するように、おもて面11に形成されている。また、突起部20aが平面視でI字状を成して、バスバー60の短辺60cの中心を跨いで当接するように、おもて面11に形成されている。したがって、突起部20bは、バスバー60の当接領域Saに形成されている。突起部20aは、バスバー60の当接領域Scに形成されている。また、変形例1-4の突起部20b,20aの上端部は、外部接続端子24に接合されたバスバー60の接合領域61a,61bよりも上位に位置する。
【0056】
変形例1-4でも、ボルトをナット70に対して時計回りに回転させて、バスバー60も時計回りに回転しようとしても、突起部20b,20aにより、バスバー60の回転が抑制される。さらに、変形例1-4の場合、バスバー60が外部から、特に、X方向に対する衝撃、影響を受けても、位置ずれが防止される。したがって、外部接続端子24に対してバスバー60から力が掛からず、変形することが防止される。さらには、外部接続端子24を維持する端子台12cに対する応力が抑制され、封止本体部10が割れることもなく、絶縁性が維持される。この結果、半導体装置1の信頼性の低下を抑制することができる。
【0057】
また、突起部20b,20aは、バスバー60を取り付ける際の位置合わせの役割も果たすことができる。このため、バスバー60を外部接続端子24に対して容易に位置合わせでき、バスバー60と外部接続端子24とを容易に接合することが可能となる。
【0058】
(変形例1-5)
変形例1-5の半導体装置1について、
図10を用いて説明する。
図10は、第1の実施の形態の変形例1-5のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。変形例1-5の半導体装置では、突起部20bが平面視でI字状を成して、バスバー60の短辺60aの中心付近に当接するように、おもて面11に形成されている。また、突起部20aが平面視でI字状を成して、バスバー60の短辺60cの中心付近に当接するように、おもて面11に形成されている。したがって、突起部20bは、バスバー60の当接領域Saに形成されている。突起部20aは、バスバー60の当接領域Scに形成されている。また、変形例1-5の突起部20b,20aの上端部は、外部接続端子24に接合されたバスバー60の接合領域61a,61bよりも上位に位置する。
【0059】
変形例1-5でも、ボルトをナット70に対して時計回りに回転させて、バスバー60も時計回りに回転しようとしても、突起部20b,20aにより、バスバー60の回転が抑制される。さらに、変形例1-5の場合、バスバー60が外部から、特に、X方向に対する衝撃、影響を受けても、位置ずれが防止される。したがって、外部接続端子24に対してバスバー60から力が掛からず、変形することが防止される。さらには、外部接続端子24を維持する端子台12cに対する応力が抑制され、封止本体部10が割れることもなく、絶縁性が維持される。この結果、半導体装置1の信頼性の低下を抑制することができる。
【0060】
また、突起部20b,20aは、バスバー60を取り付ける際の位置合わせの役割も果たすことができる。このため、バスバー60を外部接続端子24に対して容易に位置合わせでき、バスバー60と外部接続端子24とを容易に接合することが可能となる。
【0061】
(変形例1-6)
変形例1-6の半導体装置1について、
図11を用いて説明する。
図11は、第1の実施の形態の変形例1-6のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。変形例1-6の半導体装置では、突起部20が平面視でバスバー60の短辺60a,60c及び長辺60b,60dに沿って当接するように、おもて面11に形成されている。したがって、突起部20は、バスバー60の当接領域Sa~Sdの側部に形成されている。また、変形例1-6の突起部20の上端部は、少なくとも、外部接続端子24に接合されたバスバー60の接合領域61a,61bよりも上位に位置する。
【0062】
変形例1-6でも、ボルトをナット70に対して時計回りに回転させて、バスバー60も時計回りに回転しようとしても、突起部20により、バスバー60の回転が抑制される。さらに、変形例1-6の場合、バスバー60の全周に形成されているため、バスバー60が外部から衝撃を受けても、位置ずれがより確実に防止される。したがって、外部接続端子24に対してバスバー60から力が掛からず、変形することが防止される。さらには、外部接続端子24を維持する端子台12cに対する応力が抑制され、封止本体部10が割れることもなく、絶縁性が維持される。この結果、半導体装置1の信頼性の低下を抑制することができる。
【0063】
また、突起部20は、バスバー60を取り付ける際の位置合わせの役割も果たすことができる。このため、バスバー60を外部接続端子24に対して容易に位置合わせでき、バスバー60と外部接続端子24とを容易に接合することが可能となる。
【0064】
なお、第1の実施の形態の半導体装置1に含まれるバスバー60は、
図5に示されるように、全体に渡って厚さが一定である。また、締結領域63のおもて面が、封止本体部10のおもて面11に対して接合領域61a,61bのおもて面よりも鉛直上方に突出している。バスバー60は、この場合に限らず、例えば、
図12に示されるような形態でもよい。
図12は、第1の実施の形態の別のバスバーが取り付けられた半導体装置の断面図である。
図12に示す半導体装置1は、バスバー60以外は、
図5に示した半導体装置1と同様の構成を成している。
図12に示すバスバー60は、接合領域61a,61bと締結領域63とを含んでいる。締結領域63の裏面と接合領域61a,61bの裏面とは同一平面を成して、締結領域63に接合領域61a,61bが一体的に接続されている。また、締結領域63の厚さが接合領域61a,61bよりも厚く構成されている。このため、締結領域63のおもて面は、接合領域61a,61bのおもて面よりも鉛直上方に位置している。このような
図12に示されるバスバー60でも外部の接続端子をボルトにより締結することができる。また、この場合でも、
図4並びに変形例1-1~1-6の突起部20a,20b,20を形成することができ、同様の効果が得られる。
【0065】
また、
図4並びに変形例1-1~1-6の突起部20a,20b,20は、適宜、組み合わせて形成してもよい。例えば、変形例1-2の突起部20a,20b(
図7)と変形例1-5の突起部20a,20b(
図10)とを形成してもよい。
【0066】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態の半導体装置について、
図13及び
図14を用いて説明する。
図13は、第2の実施の形態のバスバーが取り付けられた半導体装置の断面図であり、
図14は、第2の実施の形態のバスバーが取り付けられた半導体装置の要部平面図である。なお、
図13及び
図14は、第2の実施の形態の半導体装置1において第1の実施の形態の
図3及び
図4に対応している。また、
図14では、ナット収納台14の対向面14bを締結領域63に破線で示している。
【0067】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態の半導体装置1(
図1~
図5)において、突起部20a,20bが形成されておらず、ナット収納台13~15が、バスバー60の裏面に当接するまでおもて面11に対して鉛直上方(+Z方向)に突出している。すなわち、
図13及び
図14に示されるように、ナット収納台14の対向面14bの側壁10b,10d側の辺14b1,14b2がバスバー60の裏面側の連結領域62a,62bの間で挟持されている。すなわち、ナット収納台14の対向面14bの辺14b1,14b2は、締結領域63及び連結領域62a,62bの境界領域から連結領域62a,62b及び接合領域61a,61bの境界領域の間で挟持されることになる。
【0068】
また、この際、ナット収納台14の対向面14bの辺14b1,14b2は、
図13に示されるように、締結領域63及び連結領域62a,62bの境界領域に当接して、当該境界領域で挟持されることが好ましい。この場合には、ナット収納台14の対向面14bは、連結領域62a,62bにより、確実に挟持される。このため、バスバー60の開口部63aと収納部14aとの位置ずれも防止される。
【0069】
なお、ナット収納台14の対向面14bの辺14b1,14b2は、バスバー60の連結領域62a,62bに必ずしも当接される必要はない。後述するように、バスバー60の回転を略抑制できれば、ナット収納台14の対向面14bの辺14b1,14b2と、バスバー60の連結領域62a,62bとの間に多少の隙間があってもよい。
【0070】
このようなバスバー60に対して、第1の実施の形態で説明したように、外部から、接続端子を取り付けて、ボルトで接続端子及びバスバー60の開口部63aを貫通して、ボルトを時計回りに回転させて、ボルトを収納部14a内のナットに締結される。この際、ボルトを時計回りに回転させるに伴って、バスバー60も時計回りに回転しようとしても、バスバー60の連結領域62a,62bがナット収納台14の対向面14bの辺14b1,14b2により、バスバー60の回転が抑制される。したがって、外部接続端子24に対してバスバー60から力が掛からず、変形することが防止される。さらには、外部接続端子24を維持する端子台12cに対する応力が抑制され、封止本体部10が割れることもなく、絶縁性が維持される。
【0071】
なお、第2の実施の形態の半導体装置1に対して、第1の実施の形態並びに変形例1-1~1-6の突起部20a,20b,20を必要に応じて形成してもよい。これにより、バスバー60の回転をより確実に抑制することができるようになる。
【符号の説明】
【0072】
1 半導体装置
10 封止本体部
10a~10d 側壁
10e,10f 締結孔
11 おもて面
12a~12d 端子台
13~15 ナット収納台
13a~15a 収納部
13b~15b 対向面
14b1,14b2 辺
20,20a,20b 突起部
21a,21b,22a,22b,23~25 外部接続端子
30a,30b 絶縁回路基板
31 絶縁板
32 金属板
33 回路板
41a,41b 第1半導体素子
42a,42b 第2半導体素子
51a,51b,52a,52b 導電ポスト
55 プリント回路基板
60 バスバー
60a,60c 短辺
60b,60d 長辺
61a,61b 接合領域
62a,62b 連結領域
63 締結領域
63a 開口部
70 ナット
71 ネジ孔