(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180195
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】充電ステーションおよび充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20221129BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221129BHJP
H02J 15/00 20060101ALI20221129BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221129BHJP
H02J 11/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H02J7/35 A
H02J7/00 303B
H02J15/00 D
H02J15/00 C
H02J13/00 301A
H02J11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087155
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆志
【テーマコード(参考)】
5G015
5G064
5G503
【Fターム(参考)】
5G015JA53
5G015JA55
5G015JA59
5G015KA08
5G015KA12
5G064AA01
5G064CB02
5G064CB08
5G064DA02
5G503AA06
5G503AA07
5G503BB01
5G503DA04
5G503DA07
5G503DA18
5G503FA06
5G503GD02
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】系統電源が無い場所においても電動車両の充電池に対し充電可能とすると共に容易に設置することができ、また防犯性に優れた充電ステーションおよび充電システムを提供する。
【解決手段】充電ステーション1は、電動車両2の充電池3に対し充電可能な充電装置4を備える。充電ステーション1は、風力発電装置5、太陽光発電装置6および水力発電装置19の少なくとも1つの発電装置と、発電装置で発電した電力を蓄電する蓄電地7と、発電装置によって発電された電力を充電装置3により蓄電地7に入力させ、この蓄電池7に入力された電力を充電装置3により充電池2に出力させる制御を行う制御装置8と、充電装置4、蓄電地7および制御装置8を収容する構造体9とを備える。構造体9は、搬送可能であり、電動車両2を搬入・搬出可能な開閉扉を有する箱状で且つ堅牢性を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両の充電池に対し充電可能な充電装置を備えた充電ステーションであって、
風力発電装置、太陽光発電装置および水力発電装置の少なくとも1つの発電装置と、
前記発電装置で発電した電力を蓄電する蓄電地と、
前記発電装置によって発電された電力を前記充電装置により前記蓄電地に入力させ、この蓄電地に入力された電力を前記充電装置により前記充電池に出力させる制御を行う制御装置と、
前記充電装置、前記蓄電地および前記制御装置を収容する構造体と、を備え、
前記構造体は、搬送可能であり、前記電動車両を搬入・搬出可能な開閉扉を有する箱状で且つ堅牢性を備えている充電ステーション。
【請求項2】
請求項1に記載の充電ステーションにおいて、前記構造体が輸送用コンテナである充電ステーション。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の充電ステーションを複数備えた充電システムであって、前記複数の充電ステーションの稼働状況を前記電動車両を利用する顧客に提供する通信システムを有する充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電動バイクまたは電動アシスト自転車等の充電池に対し充電可能な充電ステーションおよび充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動アシスト自転車等に充電を行う充電ステーションが提案されている(特許文献1)。この充電ステーションは、屋外に設置され、系統電源から供給される電力で、電動補助自転車に充電装置から充電ケーブルを接続して充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、屋外に設置された充電ステーションで、屋外に停車した電動補助自転車を充電するシステムである。また、充電の電源は系統電源から供給している。
電動補助自転車のレンタルサービス等で系統電源を利用した充電ステーションは、都市部であれば設置可能である。しかし、例えば、山間部における高原の観光地、自然環境保護地区等で新たに電柱、送電線を設置する工事を行うことができない地域、または系統電力を利用できない地域では、充電ステーションを設置することが困難である。
また、充電ステーションを設置する工事は数日の日程を要するため、工事費用のコストが掛かることになる。さらに、屋外に電動補助自転車を停車させて長時間充電するため、電動補助自転車または充電装置を盗難、悪戯されるリスクがある。
【0005】
本発明の目的は、系統電源が無い場所においても電動車両の充電池に対し充電可能とすると共に容易に設置することができ、また防犯性に優れた充電ステーションおよび充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の充電ステーションは、電動車両の充電池に対し充電可能な充電装置を備えた充電ステーションであって、
風力発電装置、太陽光発電装置および水力発電装置の少なくとも1つの発電装置と、
前記発電装置で発電した電力を蓄電する蓄電地と、
前記発電装置によって発電された電力を前記充電装置により前記蓄電地に入力させ、この蓄電地に入力された電力を前記充電装置により前記充電池に出力させる制御を行う制御装置と、
前記充電装置、前記蓄電地および前記制御装置を収容する構造体と、を備え、
前記構造体は、搬送可能であり、前記電動車両を搬入・搬出可能な開閉扉を有する箱状で且つ堅牢性を備えている。
前記電動車両は、電動二輪車、電動三輪車または電動アシスト自転車である。
【0007】
この構成によると、風力発電装置、太陽光発電装置および水力発電装置の少なくとも1つの発電装置、いわゆる自然エネルギー発電装置によって発電された電力を用いて電動車両の充電池を充電することができる。よって、系統電源が無い場所においても電動車両の充電池に対し充電可能とすることができる。また、電源を確保することが困難な未電化地域において前記自然エネルギー発電装置を用いる場合、新たに電柱、送電線を設置する工事を行う必要がなく、さらに構造体が搬送可能であることから、工事費用のコスト低減を図ることができる。したがって、系統電源を用いる従来の充電ステーションに比べて、この構成の充電ステーションを容易に設置することができる。構造体は、電動車両を搬入・搬出可能な開閉扉を有する箱状で且つ堅牢性を備えている。このため、構造体に、電動車両、充電装置等を格納しておけば、電動車両、充電装置等のいたずら、盗難を抑制することができ防犯性に優れる。
【0008】
前記構造体が輸送用コンテナであってもよい。この場合、構造体を、自動車、鉄道、船舶、航空機等様々な輸送手段を用いて移動させることができる。輸送用コンテナは堅牢性に優れるので、輸送中の振動および衝撃によって内部の装置等に異常が生じることを防止し得る。
【0009】
本発明の充電システムは、本発明の上記いずれかの構成の充電ステーションを複数備えた充電システムであって、前記複数の充電ステーションの稼働状況を前記電動車両を利用する顧客に提供する通信システムを有する。
前記稼働状況は、複数の充電ステーションの混み具合、営業時間等の情報、各充電ステーションに設けられた充電池が満充電状態であるか否かの充電状況等の情報を含む。
この構成によると、電動車両を利用する顧客の利便性が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の充電ステーションおよび充電システムは、自然エネルギー発電装置を用いるうえ構造体が搬送可能なため、系統電源が無い場所においても電動車両の充電池に対し充電可能とすると共に容易に設置することができる。また充電ステーションの構造体は、電動車両を搬入・搬出可能な開閉扉を有する箱状で且つ堅牢性を備えているため、防犯性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る充電ステーションを複数備えた充電システムの制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図3】同充電ステーションの開閉扉を開いた状態の正面図である。
【
図4A】同充電ステーションの設置方法の一例を示す斜視図である。
【
図4B】充電ステーションの開閉扉を閉じた状態を示す水平断面図である。
【
図5】充電ステーションにおいて電動車両を充電する利用態様の一例を概略示す水平断面図である。
【
図6】充電ステーションにおいて電動車両を充電する利用態様の他の例を概略示す水平断面図である。
【
図7】充電ステーションにおいて電動車両を充電する利用態様のさらに他の例を概略示す水平断面図である。
【
図8】充電ステーションにおいて電動車両を充電する利用態様のさらに他の例を概略示す水平断面図である。
【
図9A】本発明の他の実施形態に係る充電ステーションの開閉扉を閉じた状態を示す水平断面図である。
【
図9B】同充電ステーションの開閉扉を開いた状態を示す平面図である。
【
図9C】同充電ステーションの開閉扉を開いた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の実施形態を
図1ないし
図8と共に説明する。
図1に示すように、一実施形態に係る充電ステーション1は、電動車両2の充電池3に対し充電可能な充電装置4を備えている。前記電動車両2は、電動二輪車、電動三輪車または電動アシスト自転車等の車両であり、各電動車両2は、それぞれ充電池3と、この充電池3から供給される電力により走行駆動する図示外のモータとを備える。この例の各電動車両2は、電動車両2を利用することを契約した顧客に対して、所定時間または所定期間貸し出し可能なものである。
【0013】
充電ステーション1は、風力発電装置5と、太陽光発電装置6と、充電装置4と、蓄電池7と、制御装置8と、
図2に示す構造体9とを備える。
<構造体9>
構造体9は、
図5に示すように、充電装置4、蓄電地7、制御装置8および複数の電動車両2を収容する。また構造体9は、搬送可能であり、電動車両2を搬入・搬出可能な観音開き式の開閉扉10,11を有する箱状で且つ堅牢性を備えている。開閉扉10,11は、権限を有する者により施錠可能に構成されている。前記権限を有する者は、例えば、顧客を含む。
図2に示すように、構造体9は、略矩形の天壁9aおよび底壁9bと、これら天壁9aおよび底壁9bの間に設けられた4つの周壁9cとを有し、全体が略直方体形状に形成されている。具体的には、この構造体9は輸送用コンテナである。
【0014】
本明細書における「輸送用コンテナ」としては、貨物輸送用の規格寸法のコンテナ、例えばコンテナを輸送する国内の標準規格の寸法のコンテナであることが好ましい。ここでの「標準規格」は、例えば、当該国内の行政機関、または国際標準化機構(ISO)等の国際機関で定められた規格であってもよいし、日本国内における鉄道貨物輸送用コンテナの事実上の標準規格といえるJRコンテナであってもよい。
【0015】
構造体9を輸送用コンテナで構成したことによって、自動車、鉄道、船舶、航空機等様々な輸送手段を用いて移動させることが可能となる。また、輸送用コンテナは堅牢性に優れるので、輸送中の振動および衝撃によって内部の装置等に異常が生じることを防止し得る。
【0016】
<風力発電装置5>
図3に示すように、風力発電装置5は、風車12と、風車12によって駆動されて発電する発電機13とを備えている。風車12は垂直軸式風車として構成されている。具体的には、風車12は、複数(この例では2枚)の翼12aと、これら翼12aを支持する翼支持体12bとを有する。各翼12aは上下方向に延び、翼支持体12bは、図示しない軸受を介して支柱14の上端に垂直軸心回りに回転自在に支持されている。前記2枚の翼12aは、支柱14の軸心を中心として180度位相の異なる位置に設けられている。また支柱14は、構造体9の1つの周壁9c(
図2)の上部中央に固定されている。
【0017】
風力発電装置5の発電機13は、支柱14の上部に取り付けられた発電機ケーシング13aの内部に設けられている。発電機ケーシング13aに前記軸受の固定輪が取り付けられ、翼支持体12bに前記軸受の回転輪が連結されている。風車12の回転に伴って、前記回転輪と共に発電機ケーシング13aの内部において発電機13の回転子が回転することにより、発電機13が発電する。発電機13としては、例えば誘導発電機または同期発電機を用いることができる。
【0018】
垂直軸式の風車は、比較的小型であっても風を受けて発電可能であるため、搬送可能な構造体9に設ける風力発電装置5用の風車12として適している。もっとも、風車は水平軸式風車であってもよい。
【0019】
<太陽光発電装置6>
太陽光発電装置6は、日照を受けて光電変換する太陽光パネル6aと、太陽光パネル6aを構造体9に取り付けるパネル架台6bとを有する。この例では、太陽光パネル6aは、パネル架台6bを介して構造体9の天壁9a上に取り付けられている。太陽光パネル6aは、日射方向または設置環境に応じて、構造体9の周壁9c(
図2)に設置してもよく、あるいは構造体9の周囲に展開配置してもよい。なお、図示の例では、パネル架台6bは太陽の向きに合わせて太陽光パネル6aを傾斜させることが可能な機構を備えていてもよい。
【0020】
<制御系統等>
図1に示すように、蓄電池7は、風力発電装置5および太陽光発電装置6で発電された電力を蓄え、この蓄えられた電力を必要に応じて充電池3へ供給する。制御装置8は、これら発電装置5,6によって発電された電力を充電装置4により蓄電池7に入力させ、蓄電池7に入力された電力を充電装置4により充電池3に出力させる制御を行う。制御装置8は、例えば、発電装置5,6で発電された交流電力を蓄電池7において蓄電可能な電圧に変換するAC/DCコンバータ等を備えている。
【0021】
風力発電装置5、太陽光発電装置6等の自然エネルギー発電装置で発電される電力と蓄電池7に充電できる電力量は、前記自然エネルギー発電機の発電性能と法規により運用上で制限されることで、蓄電池7の容量が制限される。このため、制御装置8は、蓄電池7の容量および寿命を低下させることなく、複数台の電動車両2の充電池3を充電制御することができる。
【0022】
<充電ステーション1の設置方法について>
図4Aに示すように、風力発電装置5、太陽光発電装置6、充電装置4(
図1)、蓄電地7および制御装置8(
図3)等が収容された構造体9を、例えば、積載形トラッククレーン(クレーン付きトラック)で所望の設置場所まで輸送した後、クレーン付きトラックのクレーン15によって構造体9を積み下ろす。構造体9を各種輸送手段から積み下ろす作業は、図示外のフォークリフトまたはガントリクレーン等によって行ってもよい。なお構造体9に、発電装置等と共に電動車両を格納して構造体9を輸送してもよい。風力発電装置5、太陽光発電装置6、充電装置4(
図1)および蓄電地7のうちの少なくともいずれか1つを、前記構造体9とは別個に輸送してもよい。
【0023】
その後、構造体9に収容された風力発電装置5、太陽光発電装置6をコンテナ外に展開し、これら発電装置5,6を構造体9の所定位置に取り付ける。この例では、
図4Bに示すように、風力発電装置5を構造体9への収納状態で構造体9の正面の開閉扉16の内側に沿って保持する風車保持手段17を開閉扉16に備えている。
風車保持手段17を開閉扉16に備えている場合、
図4Aに示すように、開閉扉16を開きこの開閉扉16の内側に沿って保持された風力発電装置5をコンテナ外に出した状態で、スロープ等を使用することなく風力発電装置5を所定位置に容易に取り付けることができる。その後、各発電装置5,6により発電を開始することができる。
【0024】
<利用態様1>
図5は、10フィートコンテナを構造体9に適用した充電ステーション1において、電動車両2を充電する例を示す。この構造体9では、電動車両2を搬入可能な開閉扉10が構造体9の一側面に設けられ、電動車両2を搬出可能な開閉扉11が構造体9の他側面に設けられている。電動車両2を構造体9に搬入した状態において、例えば、顧客またはこの充電ステーション1の管理者が、電動車両2の充電池と充電装置4とを充電ケーブル18等により電気的に接続することで、前記充電池の充電が行われる。
【0025】
このとき制御装置8は、蓄電池7に入力された電力を充電装置4により充電池に出力させる制御を行う。制御装置8は、蓄電池7に入力された電力を充電装置4により、電動車両2から取り外された充電池3を個別に充電することも可能である。顧客である利用者は、充電完了後の充電池を備えた電動車両2を開閉扉11から搬出し利用することができる。
【0026】
<利用態様2>
図6に示すように、コンテナ内部の電動車両2の充電池に充電可能とし、コンテナ外部に停車している電動車両2の充電池にも充電可能としてもよい。この場合、例えば、コンテナ内部に電動車両2を搬入するスペースに余裕がない場合等においても、コンテナ外部の電動車両2の充電池を充電することができ、顧客の利便性が向上する。
【0027】
<利用態様3>
図7および
図8は20フィートコンテナを構造体9に適用した充電ステーション1において、電動車両2を充電する例を示す。
図7に示すように、コンテナ内部の電動車両2の充電池に充電可能としてもよいし、
図8に示すように、コンテナ内外の電動車両2の充電池に充電可能としてもよい。
【0028】
<作用効果>
以上説明した充電ステーション1によれば、
図1の風力発電装置5および太陽光発電装置6である自然エネルギー発電装置によって発電された電力を用いて電動車両2の充電池3を充電することができる。よって、系統電源が無い場所においても電動車両2の充電池3に対し充電可能とすることができる。また、電源を確保することが困難な未電化地域において前記自然エネルギー発電装置を用いる場合、新たに電柱、送電線を設置する工事を行う必要がなく、さらに構造体9が搬送可能であることから、工事費用のコスト低減を図ることができる。輸送用コンテナに発電装置5,6、充電装置4、蓄電地7および制御装置8を1つにパッケージしたものを設置するため、設置工事が簡単で建築物を設置することよりも低コストで充電ステーション1を提供できる。
【0029】
したがって、系統電源を用いる従来の充電ステーションに比べて、この構成の充電ステーション1を容易に設置することができる。
構造体9は、
図5の電動車両2を搬入・搬出可能な開閉扉10,11を有する箱状で且つ堅牢性を備えている。このため、構造体9に、電動車両2、充電装置等を格納しておけば、電動車両2、充電装置等のいたずら、盗難を抑制することができ防犯性に優れる。
【0030】
この充電ステーション1は、
図1の風力発電装置5および太陽光発電装置6を含む複数の自然エネルギー発電装置を備えているため、発電量が気象状況または地形といった自然環境、および昼夜の時間帯による制限を受けにくくなり蓄電池7に効率良く電力を蓄電することができる。したがって、この充電ステーション1を設置、運用することができる地域の選択肢が広がる。
【0031】
<他の実施形態について>
以下の説明においては、各実施形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成は同一の作用効果を奏する。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0032】
[第2の実施形態:
図9A~
図9C]
<水力発電装置19>
図9Aに示すように、充電ステーション1は、水路に設置可能で且つ構造体9に収納および
図9Bに示すように取り出し可能な水力発電装置19を備えてもよい。
図9Cに示す水力発電装置19は、例えば、水路に設置される基台20と、水車21と、この水車21を保持するフレーム22と、このフレーム22に支持され水車21の回転によって発電する発電機23とを備える。
【0033】
この例では、水力発電装置19を、構造体9への収納状態で構造体9の正面の開閉扉16の内側に沿って保持する水車保持手段24を開閉扉16に備えている。水車保持手段24を開閉扉16に備えている場合、開閉扉16を開きこの開閉扉16の内側に沿って保持された水力発電装置19を、コンテナ外に出した状態で、スロープ等を使用することなく台車等で受け取り所望の設置場所に移動し得る。
この充電ステーションは、風力発電装置5、太陽光発電装置6(
図1)および水力発電装置19を備えているため、充電ステーション1の設置地域の周囲環境に合わせた自然エネルギーを効率良く利用することができる。また複数の自然エネルギー発電の組み合わせにより、天候の変化に対応した蓄電が可能となる。その他前述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0034】
<充電システムについて>
図1に示すように、充電システムは、いずれかの実施形態に係る充電ステーション1を複数備え、これら充電ステーション1の稼働状況を、電動車両2を利用する顧客に提供する通信システムを有する。通信システムは、例えば、サーバー25と、各充電ステーション1およびサーバー25にそれぞれ設けられた通信装置26とを備える。
【0035】
各充電ステーション1の制御装置8は、現在使用可能な充電装置4の有無、台数、各充電ステーション1に設けられた充電池3が満充電状態であるか否かの情報等である稼働状況を、通信装置26を介してサーバー25に送信する。サーバー25のコンピュータ25aは、受信した稼働状況を書き換え可能に記録する。受信した稼働状況は、ネットワークで顧客に提供される。例えば、顧客は、スマートフォン等の携帯端末を用いてネットワークを介してサーバー25にアクセスし利用しようとする充電ステーション1の稼働状況を閲覧することができる。よって電動車両2を利用する顧客の利便性が向上する。
【0036】
充電ステーション1は、自然エネルギー発電装置として水素発電装置27を備えてもよい。この水素発電装置27は、例えば、導入した空気を圧縮機で圧縮して燃焼装置に導き、水素を前記燃焼装置内に噴射して燃焼させ、得られた高温高圧の燃焼ガスによりタービンを駆動する。このタービンの出力により発電機を駆動する。
前述した複数の発電装置を必要に応じて組み合わせてよく、複数の発電装置の少なくとも1つの発電装置を用いてもよい。
【0037】
充電ステーションを、顧客の所有する電動車両等を収容する貸しガレージとして使用することも可能である。
充電ステーションを、災害救助の中継拠点として使用してもよい。災害救助者または被災者は、自然エネルギー発電装置によって発電された電力を用いて必要な電気機器、携帯端末等を使用することができる。
充電ステーションに設けられる複数の電動車両を過疎化地域における移動手段としてもよい。
構造体は、輸送用コンテナに代えて、搬送可能な簡易な建築物であってもよい。
【0038】
制御装置は、蓄電池で蓄電した電力を交流商用電源と同様の正弦波の交流に、または矩形波の交流に変換するインバータ等を備えていてもよい。
充電ステーションは、系統電源から電源供給を受ける系統電源接続部を備えてもよい。系統電源接続部を備えた充電ステーションを、系統電源と接続可能な場所に設置した場合、例えば、系統電源を主な電源として使用しつつ、この充電ステーションを停電時のバックアップ電源として活用することができる。
【0039】
<参考提案例>
充電ステーションにおいて、前記電動車両だけでなくガソリンエンジンの二輪車,三輪車(以下、「エンジン車両」という)の充電池を充電するようにしてもよい。この場合、充電ステーションまたは充電ステーション付近において、充電池が消耗または劣化したエンジン車両を容易に救助することができる。
この参考提案例に係る充電ステーションは、以下のように記載される。
電動車両およびエンジン車両のいずれか一方または両方の充電池に対し充電可能な充電装置を備えた充電ステーションであって、
風力発電装置、太陽光発電装置および水力発電装置の少なくとも1つの発電装置と、
前記発電装置で発電した電力を蓄電する蓄電地と、
前記発電装置によって発電された電力を前記充電装置により前記蓄電地に入力させ、この蓄電地に入力された電力を前記充電装置により前記充電池に出力させる制御を行う制御装置と、
前記充電装置、前記蓄電地および前記制御装置を収容する構造体と、を備え、
前記構造体は、搬送可能であり、前記電動車両または前記エンジン車両を搬入・搬出可能な開閉扉を有する箱状で且つ堅牢性を備えている充電ステーション。
【0040】
以上、実施形態に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0041】
1…充電ステーション、2…電動車両、3…充電池、4…充電装置、5…風力発電装置、6…太陽光発電装置、7…蓄電池、8…制御装置、9…構造体、10,11…開閉扉