(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180221
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】車載装置、及び、車載装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20221129BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H04R3/00 310
G10K15/04 303E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087205
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 卓哉
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA01
5D220AA12
5D220AA31
5D220AB06
5D220BC08
(57)【要約】
【課題】車外音を車両室内に出力するか否かを適切に制御する。
【解決手段】車両の車外音を入力するマイクと車両の室内に音を出力するスピーカとに通信可能に接続された車載装置が、一つ又は複数の位置の各々について当該位置を表す情報と当該位置のメタ情報とを含んだ情報である位置管理情報から、GPS(Global Positioning System)信号に基づき特定された車両現在位置から所定範囲内に属する位置を特定する。車載装置が、当該位置のメタ情報が車外音出力又は車外音非出力の条件に適合しているか否かを基に、マイクを介して入力された車外音をスピーカを介して出力するか否かを制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車外音を入力するマイクと、前記車両の室内に音を出力するスピーカと、GPS(Global Positioning System)信号に基づき前記車両の現在位置を特定するGPSセンサとに通信可能に接続されたインターフェース装置と、
一つ又は複数の位置の各々について当該位置を表す情報と当該位置のメタ情報とを含んだ情報である位置管理情報が格納される記憶装置と、
前記インターフェース装置と前記記憶装置とに通信可能に接続されており、前記位置管理情報が表す一つ又は複数の位置のうち前記特定された現在位置から所定範囲内に属する位置を特定し、当該位置のメタ情報が車外音出力又は車外音の非出力の条件に適合しているか否かを基に、前記マイクを介して入力された車外音を前記スピーカを介して出力するか否かを制御する制御装置と
を備える車載装置。
【請求項2】
前記制御装置は、下記の(X)乃至(Z)の少なくとも一つを行う、
(X)前記特定された現在位置から所定範囲内に属する位置のメタ情報が車外音出力の所定の条件に適合しており、且つ、前記車両が当該位置に近づいている場合、前記スピーカからの車外音のフェードインを開始する、
(Y)前記特定された現在位置から所定範囲内に属する位置のメタ情報が車外音非出力の所定の条件に適合しており、且つ、前記車両が当該位置に近づいている場合、前記スピーカからの車外音のフェードアウトを開始する、
(Z)前記特定された現在位置から所定範囲内に属する位置のメタ情報が車外音出力の前記所定の条件に適合しており、且つ、前記車両が当該位置から遠ざかっている場合、前記スピーカからの車外音のフェードアウトを開始する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記車両の前側及び後側の各々にスピーカが備えられており、
前記制御装置は、
(X)又は(Y)での車外音出力を、前記車両の前側のスピーカから行い、
(Z)での車外音出力を、前記車両の後側のスピーカから行う、
請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
各位置について、当該位置のメタ情報は、下記(A)乃至(C)のうちの少なくとも一つを含む、
(A)当該位置が属する地形、交差点、道路、施設又は土地の種類及び状況のうちの少なくとも一つを表す情報、及び、
(B)当該位置の重要度を表す情報、
(C)当該位置に関連付けられた情報であり当該位置での車外音に関する評価を表す情報、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記インターフェース装置が、前記車両の室内におけるユーザの情報処理端末であるユーザ端末と通信可能に接続され、
前記ユーザ端末が、それぞれ位置を表す情報が関連付けられている一つ又は複数の評価の各々について当該評価を表す情報と当該評価に関連付けられている位置を表す情報とを認識するアプリを有し、
(C)の情報は、前記インターフェース装置を介して前記制御装置が前記ユーザ端末から受信した情報である、
請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記特定された現在位置から所定範囲内に属する位置のメタ情報が車外音出力の条件に適合しており、且つ、当該メタ情報に、音像定位のための音出力モードと音場再現のための音出力モードとを含んだ複数の音出力モードのうちのいずれかの音出力モードが関連付けられている場合、当該関連付けられている音出力モードで、前記マイクを介して入力された車外音を前記スピーカを介して出力する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項7】
表示装置及び警告灯のうちの少なくとも表示装置を備え、
前記制御装置が前記マイクを介して入力された車外音を前記スピーカを介して出力しない状態であるが、当該車外音が所定の条件に適合している場合、前記制御装置が、前記表示装置及び前記警告灯の少なくとも一つを介して警告を出力する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項8】
車両の車外音を入力するマイクと前記車両の室内に音を出力するスピーカとに通信可能に接続された車載装置が行う制御方法において、
一つ又は複数の位置の各々について当該位置を表す情報と当該位置のメタ情報とを含んだ情報である位置管理情報から、GPS(Global Positioning System)信号に基づき特定された車両現在位置から所定範囲内に属する位置を特定し、
当該位置のメタ情報が車外音出力の条件又は車外音の非出力に適合しているか否かを基に、前記マイクを介して入力された車外音を前記スピーカを介して出力するか否かを制御する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、車外音を車両の室内に出力することの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
車両(例えば、乗用車)の遮音性能が向上したことに伴い、車外音が車両室内で聞こえにくくなっている。車外音には、子供の声や暴走車両の接近等、運転に注意が必要な状況に関わる音がある。
【0003】
そこで、車両に設けられたマイクにより収集された車外音を車両室内に出力する技術が知られている。この種の技術として、例えば特許文献1に開示の技術が知られている。特許文献1に開示の技術によれば、車内で音楽を聴いているときでも車外音としての危険音を最適に聞くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車外音が常に車両室内に出力されるようになっていれば、危険音が収集された場合に直ちにその危険音が車両室内に出力される。しかし、車外音が常に車両室内に出力されるという状態は、車両に遮音性能が無いことに等しくなってしまう。
【0006】
一方、車外音が車両室内に出力されるか否かが適宜に制御されるようになっている場合、車外音を室内に出力することが望ましい状況であるにも関わらず車外音が室内に出力されないこと、又は、車外音を室内に出力することが望ましくない状況であるにも関わらず車外音が室内に出力されること、が起こり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
車両の車外音を入力するマイクと車両の室内に音を出力するスピーカとに通信可能に接続された車載装置が、一つ又は複数の位置の各々について当該位置を表す情報と当該位置のメタ情報とを含んだ情報である位置管理情報から、GPS(Global Positioning System)信号に基づき特定された車両現在位置から所定範囲内に属する位置を特定する。車載装置が、当該位置のメタ情報が車外音出力又は車外音非出力の条件に適合しているか否かを基に、マイクを介して入力された車外音をスピーカを介して出力するか否かを制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車外音が車両室内に出力されるか否かが適切に制御される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステム全体の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイス(典型的には通信インターフェースデバイス)でよい。
【0011】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上のメモリデバイスであり、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0012】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の不揮発性の記憶デバイス(例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive))でよい。
【0013】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0014】
また、以下の説明では、「制御装置」は、一つ以上のプロセッサデバイスを含んでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。また、制御装置は、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))を含んでよい。
【0015】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGAまたはASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0016】
また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号のうちの共通符号を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、参照符号を使用することがある。例えば、スピーカを特に区別しないで説明する場合には、「スピーカ103」と記載し、個々のスピーカを区別して説明する場合には、「スピーカ103FR」、「スピーカ103RR」のように記載することがある。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム全体の構成例を示す。
【0018】
車両150に、複数(又は一つ)のマイク101と、複数(又は一つ)のカメラ102と、複数(又は一つ)のスピーカ103とが備えられており、且つ、それらのマイク101、カメラ102及びスピーカ103に通信可能に接続された(例えば有線又は無線で接続された)車載装置100が備えられている。
【0019】
複数のマイク101の各々は、車両150の車外音を入力可能に備えられている。複数のマイク101として、例えば、左前方マイク101FL、右前方マイク101FR、左中央マイク101CL、右中央マイク101CR、左後方マイク101RL及び右後方マイク101RRがある。これらのマイク101は、車外音を収集し、外音信号としてアナログ信号を出力する。各マイク101が出力するアナログ信号はA/Dコンバータ(図示せず)を介してデジタル信号として車載装置100に入力される。車載装置100は、当該デジタル信号に基づくデジタル信号は出力する。出力されたデジタル信号は、D/Aコンバータ(図示せず)を介してアナログ信号として出力され、少なくとも一つのスピーカ103から車外音として出力される。上述のA/Dコンバータ及びD/Aコンバータは車載装置100の中又は外に備えられてよい。
【0020】
複数のカメラ102の各々は、車両室内又は車外を撮影するために備えられている。複数のカメラ102として、例えば、前方カメラ102F、左中央カメラ102CL、右中央カメラ102CR及び後方カメラ102Rがある。これらのカメラ102により撮影された画像(動画像又は静止画像)が車載装置100に入力される。車載装置100は、入力された画像を解析し、当該解析の結果を基に、車外音を出力するか否かと、車外音を出力するスピーカ103の選択とのうちの少なくとも一つを行う。
【0021】
複数のスピーカ103の各々は、車両150の室内に音を出力するために備えられている。複数のスピーカ103として、例えば、左前方スピーカ103FL、右前方スピーカ103FR、左後方スピーカ103RL及び右後方スピーカ103RRがある。これらのスピーカ103は、車載装置100から出力されたアナログ信号に従う音を出力する。
【0022】
【0023】
車載装置100は、I/F装置(インターフェース装置)201と、UI(User Interface)装置202と、記憶装置203と、制御装置204とを備える。
【0024】
I/F装置201に、マイク101、カメラ102、スピーカ103、UI装置202、GPS(Global Positioning System)センサ250及びユーザ端末180が通信可能に(例えば有線又は無線で)接続される。I/F装置201を介して、インターネットやWAN(Wide Area Network)といった広域ネットワークを介した通信が可能な装置でも不可能な装置でもよい。後者の場合、I/F装置201は、ユーザ端末180のような、広域ネットワークを介した通信が可能な装置と通信可能でよい。
【0025】
GPSセンサ250は、車載装置100の中又は外に備えられてよい。GPSセンサ250は、GPS信号に基づき、GPSセンサ250が備えられている車両150の現在位置を特定する。特定された現地位置を表す情報が、I/F装置201を通じて車載装置100に入力され、記憶装置203に格納される。
【0026】
ユーザ端末180は、車両150の室内におけるユーザの情報処理端末であり、例えば、スマートフォン(又は、タブレット型或いはラップトップ型のコンピュータ)である。ユーザ端末180が、それぞれ位置を表す情報が関連付けられている一つ又は複数の評価の各々について当該評価を表す情報と当該評価に関連付けられている位置を表す情報とを認識するアプリである対象アプリを有してよい。当該対象アプリは、例えば、地図アプリ又はSNS(Social Networking Service)アプリでよい。評価を表す情報は、当該評価が関連付いている位置についての評価(例えば、特に、当該位置での車外音に関わる評価)を表す情報でよい。なお、例えばユーザ端末180は無くてもよい。
【0027】
UI装置202は、入出力装置であり、例えば、タッチパネル型の表示装置でよい。UI装置202は、警告灯を含んでもよい。また、UI装置202は、電源ボタン等のボタンを含んでもよい。また、UI装置202は、音声入力のためのマイクや音出力のためのスピーカを含んでもよい。UI装置202が有するスピーカが、車外音が出力される全部又は一部のスピーカとされてもよい。
【0028】
記憶装置203に、位置管理情報270、制御ポリシー280及び車外音フラグ290といった情報が格納される。制御装置204が、例えばコンピュータプログラムを実行することで、監視部241及び出力制御部242といった機能を実現する。
【0029】
位置管理情報270は、一つ又は複数の位置の各々について当該位置を表す情報と当該位置のメタ情報とを含んだ情報である。各位置について、当該位置のメタ情報は、下記(A)乃至(C)のうちの少なくとも一つを含んでよい。
(A)当該位置が属する地形、交差点、道路、施設又は土地の種類及び状況のうちの少なくとも一つを表す情報(例えば、自宅位置を表す情報、犯罪多発位置を表す情報、又は、道路標識を表す情報を含んでよい)。
(B)当該位置の重要度を表す情報。
(C)当該位置に関連付けられた情報であり当該位置での車外音に関する評価を表す情報。
【0030】
例えば、(A)の情報は、地図を表す地図情報(例えば、交差点をノードとし交差点間の道路をリンクとした道路ネットワーク情報を含んだ情報)に含まれていてもよいし、手動により入力された情報でもよいし、IVI(In-Vehicle Infotainment)の技術に従い入力されたPOI(Point of Interest)情報でもよい。
【0031】
また、例えば、(B)の情報は、手動により入力された情報でもよいし、IVI(In-Vehicle Infotainment)の技術に従い入力されたPOI(Point of Interest)情報でもよいし、緊急速報情報(例えば、緊急地震速報、津波警報、又は、噴火警報等を表す情報)でよい。このような情報がメタ情報に含まれていることが車外音の出力条件として指定されていれば、地鳴りや津波の音、消防隊の誘導音声、避難する人の声等が車両室内に取り込まれ、現場で刻々と変化するリアルタイム状況の把握を促すことができる。
【0032】
また、例えば、(C)の情報は、手動により入力された情報でもよいし、IVIの技術に従い入力された情報(例えばPOI情報)でもよいが、本実施形態では、ユーザ端末180の対象アプリから受信した情報でよい。(C)の情報は、例えば、車外音に関する評価を表すスコア(例えば、SNSアプリにおいてコメントに対して称賛を意味するボタン“いいね”が押された数)やテキストといった情報を含んでよい。(C)の情報は、例えば、「川のせせらぎが素敵」や「小鳥のさえずりに癒される」等、音に関連する肯定的な言葉を表すテキストを含んだ情報でよい。このような情報がメタ情報に含まれていることが車外音の出力条件として指定されていれば、自動で音を車両室内に取り込むこと(又は、車外音フラグを“ON”にすることを表示装置を介して又は音声で提案すること)ができる。
【0033】
各位置のメタ情報が、例えば(A)~(C)の少なくとも一つを含むことにより、車両150の現在位置に応じて車外音を車両150の室内に出力するか否かを適切に制御することができる。
【0034】
また、(C)の情報として、ユーザ端末180の対象アプリから受信した情報(位置を表す情報と当該位置での車外音に関する評価を表す情報とを含んだ情報)は、当該位置について最新の状況を表す情報を含んでいる可能性がある。そのような情報が、後述するように車外音を出力するか否かの判定に利用されることで、車両150の現在位置に応じて車外音を車両150の室内に出力するか否かをより適切に制御することが期待される。また、位置管理情報270に含まれるメタ情報(位置のメタ情報)として車両室内のユーザ端末180から受信した情報が利用可能なため、車載装置100がインターネットのような広域ネットワークを介した通信が不可能な装置でも、位置について最新のメタ情報の取得が期待できる。
【0035】
制御ポリシー280は、車外音の出力制御のポリシー(例えば、車外音出力の条件を含むポリシー)を表す情報である。車外音フラグ290は、車外音を車両室内に出力するか否かを表すフラグである。
【0036】
制御装置204は、I/F装置201及び記憶装置203に通信可能に接続されている。制御装置204は、位置管理情報270が表す一つ又は複数の位置のうちGPSセンサ250により特定された現在位置(車両150の現在位置)から所定範囲内に属する位置を特定する。制御装置204は、当該位置のメタ情報が車外音出力又は車外音非出力の条件(例えば、制御ポリシー280の少なくとも一部として定義されている条件)に適合しているか否かを基に、複数(又は一つ)のマイク101のうちの一つ以上のマイク101を介して入力された車外音を複数(又は一つ)のスピーカ103のうちの一つ以上のスピーカ103を介して出力するか否かを制御する。具体的には、例えば、監視部241が、車両150の現在位置から所定範囲内の位置のメタ情報と制御ポリシー280との関係を監視し、車外音フラグ290の値(“ON”又は“OFF”)を更新する。“ON”は、車外音出力を意味する。“OFF”は、車外音非出力を意味する。監視部241は、カメラ102による撮影画像を解析することで、車両150の周辺の状況を特定し、位置のメタ情報に加えて、特定された周辺状況が車外音出力又は車外音非出力の条件に適合しているか否かを基に、車外音フラグ290の値を更新してよい。ここで言う「周辺状況」は、車両150の前方、左方、右方及び後方の少なくとも一つの状況でよい。出力制御部242は、車外音フラグ290の値に従い車外音をスピーカ103を介して出力するか否かを制御する。
【0037】
【0038】
監視部241は、車外音フラグ290が“ON”か否かを判定する(S301)。
【0039】
S301の判定結果が偽の場合(S301:NO)、監視部241は、現在の車外音フラグ290を変更するイベントが発生したか否かを判定する(S302)。当該イベントは、例えば、下記のうちのいずれかでよい。
(a1)UI装置202経由で手動による変更操作(車外音フラグの変更操作)。
(a2)車両150の現在位置から所定範囲内にある位置である対象位置のメタ情報を位置管理情報270から特定し、特定したメタ情報が車外音出力の条件(制御ポリシー280が表す条件)を満たすか否かを判定し、その判定結果が真。
【0040】
「対象位置」は、現在位置が属する位置でもよいし、現在位置から車両150の経路(例えば、制御装置204が地図情報を基に決定した経路)に沿って所定距離先の位置(又は、所定距離先までの一つ以上の位置の各々)でもよいし、現在位置から車両150の経路(例えば、制御装置204が地図情報を基に決定した経路)に沿って所定距離後の位置(又は、所定距離後までの一つ以上の位置の各々)でもよい。また、「現在位置」は、緯度経度で表現される位置でよく、「対象位置」は、緯度経度で表現される位置でもよいし、緯度経度に代えて又は加えて別の方法で表現される範囲(地理的領域)としての位置でもよい。
【0041】
「車外音出力の条件」を満たすことの例としては、対象位置のメタ情報(及び、カメラ102の撮影画像の解析結果を基に特定された周辺状況)が、下記のうちの少なくとも一つを満たすことでよい。
・対象位置が、幼稚園、保育園又は小学校といった多くの子供が存在する類の建物が属する位置であること。
・対象位置が、見通しの悪い交差点の定義に該当する交差点であること。
・対象位置が、鳥や虫が生息するエリアや木や植物が多いエリアのように自然界の音が楽しめると定義されたエリアに属すること。
【0042】
S302の判定結果が真の場合(S302:YES)、監視部241が、車外音フラグ290の値を“OFF”から“ON”に変更する(S304)。監視が終了の場合(例えば車載装置100の電源がオフとされた場合)(S305:YES)、処理が終了する。監視が続く場合(S305:NO)、処理がS301に戻る。
【0043】
S302の判定結果が偽の場合(S302:NO)、処理がS305に進む。
【0044】
S301の判定結果が真の場合(S301:YES)、監視部241は、現在の車外音フラグ290を変更するイベントが発生したか否かを判定する(S303)。当該イベントは、例えば、下記のうちのいずれかでよい。
(b1)UI装置202経由で手動による変更操作(車外音フラグの変更操作)。
(b2)車両150の現在位置から所定範囲内にある位置である対象位置のメタ情報を位置管理情報270から特定し、特定したメタ情報が車外音非出力の条件(制御ポリシー280が表す条件)を満たすか否かを判定し、その判定結果が真。
【0045】
「車外音非出力の条件」を満たすことの例としては、対象位置のメタ情報(及び、カメラ102の撮影画像の解析結果を基に特定された周辺状況)が、下記のうちの少なくとも一つを満たすことでよい。これにより、プライバシーに配慮することや大きな騒音が室内に流れることを防ぐといったことが期待できる。
・対象位置が、プライバシーが重視されると定義された位置に属すること。
・対象位置が、騒音が大きいとの評価がされた位置に属すること。
【0046】
S303の判定結果が真の場合(S303:YES)、監視部241が、車外音フラグ290の値を“ON”から“OFF”に変更する(S304)。その後、処理がS305に進む。一方、S303の判定結果が偽の場合(S303:NO)、処理がS305に進む。
【0047】
なお、
図3が示す流れによれば、車外音フラグ290の値が自動で変更されるが、それに代えて、S302又はS303:YESの場合、監視部241が、表示装置を介して、車外音フラグ290の値の変更(つまり、車外音の室内取込みのON又はOFF)を表す情報を表示し、当該表示に対して車外音フラグ290の値の変更操作がされた場合、S304を行ってもよい。つまり、車外音フラグ290が手動で変更されてもよい。
【0048】
【0049】
出力制御部242は、車外音フラグ290が“ON”か否を判定する(S401)。
【0050】
S401の判定結果が真の場合(S401:YES)、出力制御部242は、マイク101から車外音が入力されている場合(S402:YES)、車外音をスピーカ103から出力する車外音出力制御を行う(S403)。制御が終了の場合(例えば車載装置100の電源がオフとされた場合)(S406:YES)、処理が終了する。制御が続く場合(S406:NO)、処理がS401に戻る。
【0051】
S401の判定結果が偽の場合(S401:NO)、出力制御部242は、マイク101から車外音が入力されており、且つ、当該車外音が所定の条件に適合している場合(S404:YES)、出力制御部242が、UI装置202の表示装置及び警告灯の少なくとも一つを介して警告を出力する(S405)。その後、処理がS406に進む。なお、この段落で言う「所定の条件」は、危険因子と思われる音(音声を含む)としての条件でよい。これにより、車外音フラグ290が“OFF”であっても、危険因子と思われる音がマイク101から入力された場合には、そのような音が検知されたことを車両室内のユーザに知らしめる(警告する)ことができる。また、表示装置は、そのような音が最も強く入力されたマイクの位置から音の発生源がある方向(つまり当該マイクの方向)を表す情報を表示してもよい。
【0052】
本実施形態によれば、監視部241が、GPS信号に基づき特定された車両現在位置から所定範囲内に属する位置である対象位置を特定する。監視部241が、対象位置のメタ情報が車外音出力又は車外音非出力の条件に適合しているか否かを基に、車外音フラグ290の値を更新する。出力制御部242が、車外音フラグ290の値を基に、マイク101を介して入力された車外音をスピーカ103を介して出力するか否かを制御する。これにより、車外音を車両室内に出力するか否かを適切に制御することができる。例えば、車外音出力の条件が、対象位置のメタ情報が浜辺、山道又は都会を表していることである場合、花粉や流行り病等でなかなか窓を開けにくいケースが発生していても(言い換えれば、窓を閉め切った車室内でも)、波の音や鳥のさえずりや都会の雑踏の音といった車外音を室内に取り込むことができる。また、対象位置が、車両現在位置から車両経路(例えば、ナビゲーション機能により決定された案内経路)に沿って所定距離先にある位置とした場合、前もって車外音を室内に取込むことが開始されるので、以って、危険因子のポテンシャルを事前に把握するための予防的な音としての車外音が期待される。
【0053】
なお、本実施形態では、例えば
図4のS403において、下記(X)乃至(Z)のうちの少なくとも一つが行われてもよい。急な車外音入力によるユーザ(搭乗者)の吃驚を回避することがフェードインにより期待でき、車外音取込みが必要な位置から遠ざかっていることをユーザに知らしめることがフェードアウトにより期待できる。
(X)対象位置のメタ情報が車外音出力の所定の条件(例えば重要度が高いことを意味する条件)に適合しており、且つ、車両150が対象位置に近づいている場合、監視部241が、車外音フラグ290“ON”と共にフェードイン実行の設定を行ってよい。出力制御部242が、車外音フラグ290“ON”と共にフェードイン実行の設定を検出した場合、スピーカ103からの車外音のフェードインを開始してよい。
(Y)対象位置のメタ情報が車外音非出力の所定の条件に適合しており、且つ、車両150が対象位置に近づいている場合、監視部241が、車外音フラグ290“OFF”と共にフェードアウト実行の設定を行ってよい。出力制御部242が、車外音フラグ290“OFF”と共にフェードアウト実行の設定を検出した場合、スピーカ103からの車外音のフェードアウトを開始してよい。
(Z)対象位置のメタ情報が車外音出力の上記所定の条件に適合しており、且つ、車両150が対象位置から遠ざかっている場合、監視部241が、車外音フラグ290“ON”と共にフェードアウト実行の設定を行ってよい。出力制御部242が、車外音フラグ290“ON”と共にフェードアウト実行の設定を検出した場合、スピーカ103からの車外音のフェードアウトを開始してよい。
【0054】
出力制御部242が、上記(X)又は(Y)での車外音出力を、スピーカ103FL及び103FRの少なくとも一つから行い、(Z)での車外音出力を、スピーカ103RL及び103FRの少なくとも一つから行ってよい。これにより、対象位置への近づき又は遠ざかりをより正確にユーザに知らしめることができる。
【0055】
また、出力制御部242は、複数の音出力モードからいずれかの音出力モードを選択し、選択した音出力モードに応じた音出力をスピーカ103から行ってよい。そして、制御ポリシー280が、位置のメタ情報と音出力モードとの関係を表す情報を含んでいてもよい。具体的には、例えば、出力制御部242は、車外音フラグ290が“ON”であり、且つ、対象位置のメタ情報に、複数の音出力モードのうちのいずれかの音出力モードが関連付けられている場合、例えば
図4のS403において、当該関連付けられている音出力モードで、マイク101を介して入力された車外音をスピーカ103を介して出力してよい。これにより、位置に応じて出力される車外音をより適切に車両室内に出力することができる。なお、複数の音出力モードは、音像定位のための音出力モードと音場再現のための音出力モードとを含んでよい。具体的には、例えば、下記の通りである。
・音像定位のための音出力モードは、例えば、危険回避が適していると定義された位置(例えば、保育園、見通しの悪い交差点、自宅駐車場等)に関連付けられてよい。当該音出力モードによれば、出力制御部242は、主に前後左右の2次元軸の音像定位把握をメインとし、必要に応じて危険と判断された音声を強調(例えば、音量や音質等を強調)してよい。
・音場再現のための音出力モードは、例えば、車外環境疑似再現に関しては主にエンターテイメント性を持たせることが必要であると定義された位置に関連付けられていてよい。当該音出力モードによれば、出力制御部242は、HRTF(Head Related Transfer Function)等を用いた疑似360°音場生成アルゴリズムを用いて(更に、例えば、残響のようなエフェクトも用いて)、音の広がりに重きを置いた音場再現を行ってよい。
【0056】
また、上述したように、車外音非出力の条件として、対象位置が、プライバシーが重視されると定義された位置に属すること、が採用されてよい。例えば、そのような位置として住宅街が採用されてよく、住宅街ではデフォルトで車外音フラグ290が“OFF”とされてよい。例えば、住宅街のようなプライバシー重視の位置において車外音の車両室内出力が望ましいケースでは(例えば、監視部241が、マイク101から入力された車外音を解析するようになっており、その解析の結果、危険因子を特定した場合には)、車載装置100の表示装置が有する画面上に「プライバシーには十分配慮願います」等のダイアログを監視部241が表示し、その後、監視部241が、車外音フラグ290を“ON”に変更してもよい。また、対象位置のメタ情報が、対象アプリから受信したPOI情報又は車載装置100が広域ネットワークを介して取得したPOI情報であり、当該POI情報が「プライバシー保護エリア」を表す情報を含んでいる場合、監視部241が、車外音フラグ290を自動で“OFF”にしてもよい。
【0057】
また、監視部241が、対象位置のメタ情報に加えて、POI情報又はその他情報として車載装置100に入力される天候情報(例えば、時間別及びエリア別の天候を表す情報、又は、マイク101及び/又はカメラ102から入力された情報を基に監視部241により特定された天候を表す情報)を基に、車外音フラグ290の値を変更しておよい。例えば、監視部241が、対象位置について特定された天候が落雷や降雹といった比較的危険度の高い天候の場合には、自動で車外音フラグ290を“ON”としてよい。これにより、例えば、雷鳴が車両室内で聞こえて閃光から雷鳴の間隔及びその規模感をつかむことで避難をユーザに促すことが期待される。また、天候が降雹であれば、雹が地面や車体に当たる車外音が車両室内で聞こえて、避難をユーザに促すことが期待される。また、天候が降雨の場合、降雨による車外音がエンターテイメント寄りの環境音として車内室内に聞こえ、雨音をユーザが楽しむといったことが考えられる。
【0058】
以上、一実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
100…車載装置