(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180231
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】無線システム、照明制御システム及びコントローラ
(51)【国際特許分類】
H05B 47/19 20200101AFI20221129BHJP
【FI】
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087218
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160967
【弁理士】
【氏名又は名称】▲濱▼口 岳久
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 聡志
(72)【発明者】
【氏名】大澤 徳高
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA39
3K273RA16
3K273SA04
3K273SA11
3K273SA31
3K273SA37
3K273SA46
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA41
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA64
3K273UA15
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA25
3K273UA27
(57)【要約】
【課題】コントローラから制御端末に対する電波測定をユーザが円滑に行うことを可能とする無線システムを提供する。
【解決手段】無線システム1は、操作通信部21、制御通信部22及びサーバ25を含むコントローラ2と、無線送受信部31、負荷制御部32及び測定信号に対する受信電波強度の測定結果を生成する電波測定部33を含む制御端末3とを備える。サーバ25は、操作通信部21に接続されたユーザ端末4に電波測定ユーザインターフェース(UI)を表示させ、電波測定UI上で受信電波強度の測定条件に関するユーザ入力を誘導するUI処理部250と、ユーザ入力に応じた測定条件に基づく測定信号を生成し、測定信号を制御通信部22から制御端末3に対して送信させる電波測定命令部255と、制御通信部22を介して取得された測定結果に基づく判定結果をUI処理部250によって電波測定UIに表示させる測定結果処理部257とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線システムであって、
操作通信部、制御通信部、主制御部及びサーバを含むコントローラと、
前記制御通信部に無線接続される無線送受信部、前記主制御部によって生成される制御信号に応じて負荷を制御する負荷制御部、及び前記サーバによって生成される測定信号に対する受信電波強度の測定結果を生成する電波測定部を含む制御端末と
を備え、
前記サーバが、
前記操作通信部に接続されたユーザ端末に電波測定ユーザインターフェースを表示させ、該電波測定ユーザインターフェース上で前記受信電波強度の測定条件に関するユーザ入力を誘導するUI処理部と、
前記ユーザ入力に応じた前記測定条件に基づく測定信号を生成し、該測定信号を前記制御通信部から前記制御端末に対して送信させる電波測定命令部と、
前記制御通信部を介して取得された前記測定結果に基づく判定結果を前記UI処理部によって前記電波測定ユーザインターフェースに表示させる測定結果処理部と
を備える、無線システム。
【請求項2】
前記測定信号が、少なくとも、前記測定条件を示す命令部分及び前記受信電波強度の測定対象となる被測定部分を含む、請求項1の無線システム。
【請求項3】
前記電波測定部が、
前記測定信号の前記命令部分から前記測定条件を抽出する測定条件抽出部と、
前記測定信号の前記被測定部分の受信電波強度をサンプリングしてサンプリングデータを生成するサンプリング部と、
前記サンプリングデータを前記測定条件に従って集計して前記受信電波強度の測定結果を生成し、該測定結果を前記無線送受信部から前記コントローラに送信させるデータ集計部と
を含む、請求項2に記載の無線システム。
【請求項4】
前記測定条件が、命令測定回数を含み、
前記データ集計部は、実施測定回数が前記命令測定回数に達するまでにサンプリングされたサンプリングデータを集計して前記測定結果を生成するように構成された、請求項3に記載の無線システム。
【請求項5】
前記測定条件が、命令測定時間を含み、
前記データ集計部は、実施測定時間が前記命令測定時間に達するまでにサンプリングされたサンプリングデータを集計して前記測定結果を生成するように構成された、請求項3又は4に記載の無線システム。
【請求項6】
前記サーバが、前記制御通信部からの前記測定信号の送信中に、前記制御通信部からの前記制御信号の送信を制限する制御信号制限部をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の無線システム。
【請求項7】
前記UI処理部が、前記受信電波強度の測定について候補となる測定条件を示す測定条件選択肢を前記電波測定ユーザインターフェース上に提示し、前記測定条件選択肢に対するユーザ入力に応じて測定条件を決定する測定条件決定部を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の無線システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の無線システムを含み、前記負荷が照明器具であり、前記制御信号が、前記照明器具の点灯状態を決定するための照明制御信号である、照明制御システム。
【請求項9】
無線システムにおいて用いられるコントローラであって、
操作通信部と、制御通信部と、該制御通信部に無線接続される制御端末を制御する主制御部と、サーバとを備え、該サーバが、
前記操作通信部に接続されたユーザ端末に電波測定ユーザインターフェースを表示させ、前記制御端末における受信電波強度の測定条件に関するユーザ入力を前記電波測定ユーザインターフェース上で誘導するUI処理部と、
前記ユーザ入力に応じた前記測定条件に基づく測定信号を生成し、該測定信号を前記制御通信部から前記制御端末に送信させる電波測定命令部と、
前記制御端末における前記測定信号に対する受信電波強度の測定結果を前記制御通信部から取得し、前記測定結果に基づく判定結果を前記UI処理部によって前記電波測定ユーザインターフェースに表示させる測定結果処理部と
を備える、コントローラ。
【請求項10】
前記サーバが、前記制御通信部からの前記測定信号の送信中に、前記制御通信部からの、前記制御端末を制御するための制御信号の送信を制限する制御信号制限部をさらに含む、請求項9に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記UI処理部が、前記受信電波強度の測定について候補となる測定条件を示す測定条件選択肢を前記電波測定ユーザインターフェース上に提示し、前記測定条件選択肢に対するユーザ入力に応じて測定条件を決定する測定条件決定部を含む、請求項9又は10に記載のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線システム、無線システムを用いる照明制御システム、及び無線システムに用いられるコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、照明制御システムなどの無線システムでは、その施工時、保守時などに無線システムの無線通信の正常性を確認するための電波測定が必要となる。例えば、無線システムが、コントローラ、及びそのコントローラからの無線制御信号によって制御される制御端末を含む場合、コントローラから制御端末に対する無線制御信号の受信電波強度の測定及びその評価が必要となる。
【0003】
例えば、特許文献1は、照明システムにおいて制御端末(無線通信装置)から照明器具に対する電波環境を測定する構成を開示する。その照明システムは、電波計測信号を送信する無線通信装置と、電波計測信号の受信時に、電波計測信号の電波強度を計測し、電波強度に関する電波強度情報を無線通信装置に返信する複数の照明器具と、電波強度又は電波強度情報を用いて照明システムの状態を判断する判定部とを備える。判定部は、例えば、全ての照明器具の電波強度が基準値を超える場合に良好であると判定し、少なくとも1つの照明器具の電波強度が基準値以下である場合に不良と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、小電力無線システムにおける制御端末の電波測定には専門知識又は専用機材が必要であり、制御端末又は無線システムの所有者、施工業者などの一般のユーザが手動的な態様で電波測定を円滑に行うのは難しいという問題がある。
【0006】
具体的には、一般のユーザが電波測定の測定条件を適切に選定するには困難が伴う。上記電波測定は、サブギガ帯域(920MHz帯域)に関するものであり、その電波測定には送信制限時間などの種々の制約がある。その制約を受けないように電波測定を選定及び実行するには熟練を要する。またさらに、電波測定のサンプリングデータが得られたとしても、一般のユーザがサンプリングデータから電波測定結果の良否を判定するのは困難な場合が多い。また、特許文献1の照明システムのように、パソコンなどのユーザ端末が制御端末の情報及び電波測定結果の良否判定などに関するデータ及びプログラムを保持していれば、上記の困難の一部は克服され得るように思われる。しかし、現実問題として、比較的実行頻度の低い電波測定のために、作業担当のユーザ毎に上記のデータ及びプログラムをユーザ端末にインストールするのは、巨視的にはリソース(パソコンのメモリなど)の無駄遣いとなり、好ましくない。また、通常は、制御端末の方がパソコンなどのユーザ端末よりも寿命が長く、ユーザ端末の交換のたびに上記のデータ及びプログラムを新たなユーザ端末に再インストールするのはユーザにとって無用な負担となり、円滑な電波測定の妨げとなる。
【0007】
そこで、本発明は、コントローラから制御端末に対する電波測定をユーザが円滑に行うことを可能とする無線システムを提供することを課題とする。また、本発明は、当該無線システムを用いる照明制御システム及び当該無線システムに用いられるコントローラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の無線システムは、操作通信部、制御通信部、主制御部及びサーバを含むコントローラと、制御通信部に無線接続される無線送受信部、主制御部によって生成される制御信号に応じて負荷を制御する負荷制御部、及びサーバによって生成される測定信号に対する受信電波強度の測定結果を生成する電波測定部を含む制御端末とを備える。サーバは、操作通信部に接続されたユーザ端末に電波測定ユーザインターフェースを表示させ、電波測定ユーザインターフェース上で受信電波強度の測定条件に関するユーザ入力を誘導するUI処理部と、ユーザ入力に応じた測定条件に基づく測定信号を生成し、測定信号を制御通信部から制御端末に対して送信させる電波測定命令部と、前記制御通信部を介して取得された測定結果に基づく判定結果をUI処理部によって電波測定ユーザインターフェースに表示させる測定結果処理部とを備える。
【0009】
上記無線システムによると、コントローラがサーバを含み、サーバが、接続されたユーザ端末に電波測定ユーザインターフェースを表示させて受信電波強度の測定条件に関するユーザ入力を誘導し、そのユーザ入力に応じた測定条件に基づく測定信号を生成する。そして、サーバは、測定信号を送信させ、測定信号に対する測定結果を制御端末から取得し、その測定結果に基づく判定結果を電波測定ユーザインターフェースに表示させる。これにより、ユーザは、コントローラのサーバから提供される電波測定ユーザインターフェースに誘導されて決定した電波測定をコントローラに実行させることができる。したがって、コントローラから制御端末に対する電波測定をユーザが円滑に行うことを可能とする無線システムが実現される。
【0010】
本発明の照明制御システムは、上記無線システムにおいて、負荷が照明器具であり、制御信号は照明器具の点灯状態を決定するための照明制御信号である。これにより、上記と同様に、コントローラから制御端末に対する電波測定をユーザが円滑に行うことを可能とする照明制御システムが実現される。
【0011】
本発明のコントローラは、操作通信部と、制御通信部と、制御通信部に無線接続される制御端末を制御する主制御部と、サーバとを備える。サーバは、操作通信部に接続されたユーザ端末に電波測定ユーザインターフェースを表示させ、制御端末における受信電波強度の測定条件に関するユーザ入力を電波測定ユーザインターフェース上で誘導するUI処理部と、ユーザ入力に応じた測定条件に基づく測定信号を生成し、測定信号を制御通信部から制御端末に送信させる電波測定命令部と、制御端末における測定信号に対する受信電波強度の測定結果を制御通信部から取得し、測定結果に基づく判定結果をUI処理部によって電波測定ユーザインターフェースに表示させる測定結果処理部とを備える。これにより、上記と同様に、ユーザは、コントローラのサーバから提供される電波測定ユーザインターフェースに誘導されて決定した電波測定をコントローラに実行させることができる。したがって、無線システムにおいて、コントローラから制御端末に対する電波測定をユーザが円滑に行うことを可能とするコントローラが実現される。
【0012】
上記無線システム又は照明制御システムにおいて、測定信号は、少なくとも、測定条件を示す命令部分及び受信電波強度の測定対象となる被測定部分を含む。これにより、一連の測定信号の送信による簡素な処理構成での電波測定が可能となり、円滑な電波測定が促進されるとともに、各システムの導入容易性が高まる。
【0013】
上記無線システム又は照明制御システムにおいて、電波測定部は、測定信号の命令部分から測定条件を抽出する測定条件抽出部と、測定信号の被測定部分の受信電波強度をサンプリングしてサンプリングデータを生成するサンプリング部と、サンプリングデータを測定条件に従って集計して受信電波強度の測定結果を生成し、測定結果を無線送受信部からコントローラに送信させるデータ集計部とを含む。これにより、制御端末からコントローラには、サンプリングデータが逐次送信されるのではなく、サンプリングデータの集計である測定結果が送信される。したがって、制御端末からコントローラへの送信回数が低減され、電波測定における制限時間の超過が回避される。
【0014】
上記無線システム又は照明制御システムにおいて、測定条件は命令測定回数を含み、データ集計部は、実施測定回数が命令測定回数に達するまでにサンプリングされたサンプリングデータを集計して測定結果を生成するように構成される。また、測定条件は命令測定時間を含み、データ集計部は、実施測定時間が命令測定時間に達するまでにサンプリングされたサンプリングデータを集計して測定結果を生成するように構成される。これにより、適量のサンプリングデータに基づく測定結果の生成が可能となる。
【0015】
上記無線システム、照明制御システム又はコントローラにおいて、サーバは、制御通信部からの測定信号の送信中に、制御通信部からの制御信号の送信を制限する制御信号制限部をさらに含む。これにより、制御信号による電波測定への干渉が回避され、電波測定が障害なく確実に実行される。
【0016】
上記無線システム、照明制御システム又はコントローラにおいて、UI処理部は、受信電波強度の測定について候補となる測定条件を示す測定条件選択肢を電波測定ユーザインターフェース上に提示し、測定条件選択肢に対するユーザ入力に応じて測定条件を決定する測定条件決定部を含む。これにより、ユーザは、電波測定において採用されるべき測定条件を容易に選択することができ、より円滑な電波測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による無線システムである照明制御システムのブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態による無線システムである照明制御システムにおける電波測定方法を説明する図である。
【
図3】本発明の実施形態による制御端末におけるサンプリング集計処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に、本発明の実施形態による無線システム1のブロック図を示す。無線システム1は、相互に無線接続されるコントローラ2及び制御端末3-1~3-nを含む。また、無線システム1は、コントローラ2に接続されるユーザ端末4及び制御端末3-1~3-nに接続される負荷5-1~5-mを含み得る。本実施形態では、無線システム1は照明制御システムであり、負荷5-1~5-mの各々は照明器具である。なお、1つの制御端末3に対して複数の負荷5が直列又は並列に接続され得る。本開示において、制御端末3-1~3-nはいずれも、ブロック図においては同一の構成を有するので、制御端末3-1~3-nを総称して又はその1つを代表して制御端末3ともいう。また、負荷5-1~5-mはいずれも、ブロック図においては同一の構成を有するので、負荷5-1~5-mを総称して又はその1つを代表して負荷5ともいう。なお、本実施形態では、負荷5を照明器具5ともいう。
【0019】
動作の概略として、コントローラ2に関する制御端末3の受信電波環境の測定の状況において、ユーザがユーザ端末4をコントローラ2に接続すると、コントローラ2はユーザ端末4に電波測定ユーザインターフェース(以下、「電波測定UI」ともいう)を表示させ、ユーザに電波測定の測定条件などの選択を誘導する。コントローラ2は、ユーザの選択に応じた測定条件に基づいて測定信号を生成し、その測定信号を制御端末3に送信する。これに応じて、制御端末3は、測定信号によって命令される測定条件に従ってその測定信号に対して電波測定を実行する。制御端末3は受信電波の測定結果をコントローラ2に送信し、コントローラ2は測定結果に基づいて判定結果をユーザ端末4の電波測定UI上に表示させる。これにより、ユーザは、労せずしてコントローラ2に起因する制御端末3の電波環境を知ることができる。このような電波測定は、無線システム1(コントローラ2若しくは制御端末3又はその両方)の施工時、保守時などに行われる。
【0020】
コントローラ2は、通常運転においては、制御端末3を介して照明器具5を制御する装置である。コントローラ2は、操作通信部21、制御通信部22、主制御部23、記憶部24及びサーバ25を含む。操作通信部21、制御通信部22、主制御部23、記憶部24及びサーバ25の全部又は一部は筐体(不図示)に内包され、その筐体が無線システム1の実施領域の所定箇所に設置される。なお、不図示であるが、コントローラ2は適宜の電源部を有し、商用電源などの入力電圧が電源部によって所定の直流動作電圧に変換され、この動作電圧により、コントローラ2の各部が動作するものとする。また、操作通信部21、制御通信部22、主制御部23、記憶部24及びサーバ25は、バスB1を介して信号又はデータを相互に転送可能なものとする。なお、記憶部24は、主に主制御部23の動作に必要なプログラム及びデータを記憶するROM、RAMなどを含む記憶装置である。
【0021】
操作通信部21は、ユーザ端末4(通信部41)と有線又は無線で相互に通信するための通信インターフェースである。操作通信部21とユーザ端末4とは、LANケーブルなどによって有線接続され得る。また、操作通信部21とユーザ端末4とは、例えば、3G、4G、LTE、Wi-Fi(登録商標)などの規格に従ってネットワークを介して無線接続され得る。
【0022】
制御通信部22は、制御端末3(無線送受信部31)と無線接続するための通信インターフェースである。制御通信部22と無線送受信部31とは、サブギガ帯域(920MHz帯域(915M~928MHz帯域))を用いる小電力無線によって無線接続される。具体的には、制御通信部22と無線送受信部31との間では、標準規格ARIB STD-T108(920MHz帯テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備)に準拠した無線通信が行われる。
【0023】
主制御部23は、CPUなどを含む処理部であり、コントローラ2の全体動作を制御し、その結果として制御端末3を制御する。主制御部23は、記憶部24に記憶された照明制御データに基づいて制御信号(本実施形態では照明制御信号)を生成する。照明制御信号は、照明器具5の点灯状態(点灯、消灯、調光など)を決定するための制御信号である。例えば、照明制御信号によって、不図示の計時機能部によって出力される時刻又は時間に応じて照明器具5の点灯状態が決定され得る。また、照明制御信号によって、コントローラ2の付近又は制御端末3の付近に設置された不図示の各種センサ(環境照度センサ、人感センサなど)からのセンシングデータに応じて照明器具5の点灯状態が決定され得る。また、主制御部23は、後述するサーバ25からの各種命令が入力された場合には、それに従う動作を実行する。
【0024】
サーバ25は、ネットワークに接続可能なWebサーバである。サーバ25は、UI処理部250、電波測定命令部255、制御信号制限部256、測定結果処理部257及び記憶部258を含み、UI処理部250は制御端末決定部251及び測定条件決定部252を含む。サーバ25は、主制御部23に対して外付けされる物理的なハードウェアであってもよいし、記憶部24(ROM)にインストールされて主制御部23のCPUによって実行されるソフトウェアであってもよい。また、UI処理部250(制御端末決定部251及び測定条件決定部252)、電波測定命令部255、制御信号制限部256、測定結果処理部257及び記憶部258は、バスB1に接続されたバスB2を介して信号又はデータを相互に転送可能なものとする。
【0025】
UI処理部250は、操作通信部21に接続されたユーザ端末4に、電波測定UIを表示させ、電波測定UI上で電波測定条件などに関するユーザ入力を誘導するように構成される。UI処理部250は、電波測定UIに関する一般的な処理を統括制御するように構成される。
【0026】
制御端末決定部251は、電波測定の対象となる制御端末3(又はそのグループ)を示す制御端末選択肢を記憶部258から読み出して電波測定UI上に提示する。制御端末選択肢に対するユーザ端末4からのユーザ入力に応じて、制御端末決定部251は、電波測定の対象となる1つ又は複数(選択可能な制御端末3の全部又は一部)の制御端末3を決定する。制御端末決定部251が提示する制御端末選択肢は、コントローラ2に無線接続され得る全ての制御端末3を示すものであってもよいし、一部の優先順位の高い制御端末3(又はそのグループ)のみを示すものであってもよい。なお、優先順位とは、制御端末3のID又はアドレス順、前回測定結果順(電波強度の昇順又は降順)、前回測定日時順、設置位置の適宜の順序などによって決まる順位であり得る。
【0027】
測定条件決定部252は、電波測定について候補となる測定条件を示す測定条件選択肢を記憶部258から読み出して電波測定UI上に提示する。測定条件選択肢に対するユーザ端末4からのユーザ入力に応じて、測定条件決定部252は、電波測定において採用される測定条件を決定する。測定条件とは、標準規格ARIB STD-T108に準拠する範囲で、例えば、電波測定の回数(又はサンプリング数)、電波測定の継続時間などが挙げられる。また、測定条件として、例えば、測定信号の周波数(920MHz帯に含まれる周波数)、出力強度、変調仕様などに関する測定信号パターンが含まれてもよい。ユーザが最適な測定信号パターンを選定するには専門の知識が必要となり、その選択が困難な場合もあるため、必要最小限の測定条件選択肢が提示されることが望ましい。また、測定条件決定部252は、制御端末決定部251によって決定された制御端末3に対して前回採用された測定条件を優先的に電波測定UIに表示させてもよい。
【0028】
電波測定命令部255は、電波測定UI上でのユーザ入力に応じた測定条件を記憶部258から読み出し、その測定条件に応じた測定信号を生成する。電波測定命令部255は、その測定信号を制御通信部22から対象の制御端末3に送信させるように主制御部23を動作させる。なお、電波測定命令部255は、その測定信号を制御通信部22から対象の制御端末3に送信させるように制御通信部22を直接動作させるように構成されてもよい。
【0029】
測定信号は、信号フレーム中に、制御端末3の識別情報、測定条件を示す命令部分、及び受信電波強度の測定対象となる被測定部分を含む。識別情報及び命令部分は、例えば、信号フレームのヘッダ付近などに含まれ得る。あるいは、識別情報及び命令部分と、被測定部分とは、複数の一連のフレームのうちの別フレームに含まれてもよい。ただし、この場合も、識別情報及び命令部分のフレームは、被測定部分のフレームよりも先に送信される。複数の制御端末3が電波測定の対象となる場合、測定信号は一斉送信(マルチキャスト)されてもよいし、対象の制御端末3に順次送信(ユニキャスト)されてもよい。
【0030】
制御信号制限部256は、制御信号による電波測定への妨害又は干渉を回避するために、電波測定動作中に制御通信部22から送信される制御信号(測定信号以外の信号)を制限する。具体的には、制御信号制限部256は、制御信号の送信を停止させてもよいし、所定の制御信号のみを送信するように制御信号をロック(固定)してもよい。あるいは、制御信号制限部256は、制御信号の送信を間引いてその送信頻度を低減させてもよい。なお、ロックと間引きは、組み合わせて適用されてもよい。制御信号の停止又はロックによって、最終的な制御対象である照明器具5は、それ以前の点灯状態(消灯を含む)に固定されてもよいし、デフォルトの点灯状態(消灯を含む)に固定されてもよい。あるいは、制御信号の停止又はロックに応じて、制御端末3と照明器具5との間の閉ループでの動作が実行されてもよい。また、別法として、主制御部23が、制御通信部22に測定信号を制御信号に優先して送信させるように構成されてもよい。その結果として、制御信号は、停止され又は間引かれることになる。
【0031】
なお、測定対象の制御端末3と非測定対象の制御端末3とが混在する場合、制御信号制限部256は、コントローラ2に接続される全ての制御端末3に対する制御信号を制限してもよいし、測定対象の制御端末3に対する制御信号のみを制限してもよい。全ての制御端末3に対する制御信号が制限される場合、非測定対象の制御端末3への制御信号が測定対象の制御端末3の電波測定に干渉することを防止することができ、電波測定の信頼性が向上し得る。一方、測定対象の制御端末3に対する制御信号のみが制限される場合、非測定対象の制御端末3は通常の動作を継続することができ、無線システム1の本来の機能(照明制御機能)が電波測定によって受ける影響が最小化される。
【0032】
測定結果処理部257は、測定信号に対する測定結果を制御端末3から制御通信部22及び主制御部23を介して取得し、測定結果に基づく判定結果(例えば、良否判定)を生成する。例えば、後述するように測定結果を構成するサンプリングデータの集計値がサンプリングデータ値の演算処理値(平均値など)である場合には、判定結果はその演算処理値を所定の基準と比較した結果となる。なお、所定の基準は、予め記憶部258に記憶されているものとする。また、後述するように測定結果を構成するサンプリングデータの集計値が判定値(多段評価値など)である場合には、判定結果はその判定値と実質的に同様となる。測定結果処理部257は、UI処理部250を動作させてその判定結果を電波測定UIに表示させる。また、複数の制御端末3が測定対象である場合には、測定結果処理部257は、各制御端末3の判定結果を逐次表示させるようにしてもよいし、複数の制御端末3の判定結果をまとめて表示させるようにしてもよい。電波測定UI上において、前者の場合には判定結果表示のリアルタイム性が得られ、後者の場合には判定結果の一覧性が得られる。ユーザは、電波測定UIに表示された判定結果に応じて必要な措置(制御端末3の電波環境が悪い場合の改善措置)をとることができる。
【0033】
記憶部258は、サーバ25がハードウェアのサーバである場合にはROM、RAM、EPROMなどのメモリであり、サーバ25がソフトウェアのサーバである場合にはプログラムにおける参照テーブルなどに相当する。記憶部258には、コントローラ2に接続される制御端末3の情報(ID、アドレス、機種名など)、各種電波測定条件、電波測定結果の判定基準などが、予め記憶されているものとする。なお、記憶部258への初期の記憶処理は、コントローラ2の設置時に専門のユーザによって行われるものとする。また、本実施形態では記憶部258がサーバ25に含まれる構成を説明するが、記憶部258と同様の記憶領域が記憶部24内に配置されてもよい。また、記憶部258と同様の記憶領域がクラウド上に配置されてもよい。この場合、サーバ25(特に、UI処理部250、電波測定命令部255及び測定結果処理部257)は、コントローラ2の操作通信部21を介して当該記憶領域にアクセスできるものとする。
【0034】
制御端末3は無線送受信部31、負荷制御部32、電波測定部33、電源部(不図示)などを含み、電波測定部33は測定条件抽出部331、サンプリング部332、データ集計部333及び記憶部334を含む。電源部は、商用電源などの外部電源からの入力電圧を動作電圧に変換するコンバータであってもよいし、バッテリなどの内部電源及びその内部電源の生成電圧を動作電圧に変換するコンバータを含むものであってもよい。また、無線送受信部31、負荷制御部32及び電波測定部33(測定条件抽出部331、サンプリング部332、データ集計部333及び記憶部334)は、バスB3を介して信号又はデータを相互に転送可能なものとする。
【0035】
無線送受信部31は、コントローラ2(制御通信部22)と無線接続するための通信インターフェースである。上述したように、無線送受信部31と制御通信部22とは、サブギガ帯域(920MHz帯(915M~928MHz帯))を用いる小電力無線によって無線接続される。無線送受信部31は、検出される測定信号に含まれる識別情報を参照して自制御端末3に送信された制御信号及び測定信号を受信する(取り込む)。
【0036】
負荷制御部32は、通常運転において、主制御部23によって生成された制御信号に応じて照明器具5の動作状態を制御する。具体的には、負荷制御部32は、受信された照明制御信号に応じて照明入力信号を生成し、その照明入力信号を照明器具5に出力する。これにより、照明器具5が、点灯、消灯又は調光される。また、負荷制御部32は、CPUなどを含み、制御端末3の全体動作を制御することもできる。
【0037】
電波測定部33は、電波測定時に、サーバ25(電波測定命令部255)によって生成された測定信号に基づいて受信電波強度を測定する。具体的には、電波測定部33は、受信された測定信号の命令部分から測定条件を抽出し、その測定信号の被測定部分の受信電波強度をサンプリングし、抽出された測定条件に従ってサンプリングデータを集計して測定結果を生成するように構成される。
【0038】
測定条件抽出部331は、受信された測定信号の命令部分に含まれる測定条件(測定回数、測定期間など)を抽出して、その測定条件を記憶部334に記憶する。なお、測定信号によって指定又は命令される測定回数及び測定時間をそれぞれ命令測定回数及び命令測定時間ともいう。
【0039】
サンプリング部332は、測定信号の受信に応じて、測定信号の被測定部分の受信電波強度をサンプリングする。具体的には、サンプリング部332は、所定周期で、測定信号に対してRSSI(受信信号強度)測定を行い、そのサンプリングデータを記憶部334に記憶する。
【0040】
データ集計部333は、抽出された測定条件に従って命令測定回数又は命令測定時間にわたるサンプリングデータを集計して受信電波強度の測定結果を生成し、その測定結果を記憶部334に記憶する。データ集計部333は、その測定結果を無線送受信部31からコントローラ2に送信させる。測定結果は、制御端末3の識別情報及びサンプリングデータの集計値を含む。制御端末3の識別情報は、制御端末3を直接識別する制御端末3のID、アドレスなどであってもよいし、制御端末3を間接的に識別する測定信号の識別情報(測定信号に含まれていた任意の情報)であってもよい。また、サンプリングデータの集計値は、例えば、サンプリングデータ(測定値)の平均値、中央値、最大値、最小値、合計値、標準偏差、分散などの演算処理値又はこれらの組合せであり得る。あるいは、サンプリングデータの集計値は、上記の演算処理値を所定の基準値と比較して得られる判定値(例えば、段階的評価値、パーセント値など)であってもよい。
【0041】
記憶部334は、サンプリング集計処理を実行するためのプログラム(上記の所定の基準値を含む)を記憶するROMを含む。また、記憶部334は、抽出された測定条件、サンプリングされたデータ、集計された集計値又は生成された測定結果などを一時的に保存するRAMを含む。
【0042】
ユーザ端末4は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、ノートパソコンなどの一般的な情報通信端末である。したがって、ユーザ端末4は、一般的な上記情報通信端末と同様の通信部41、CPU42、メモリ43及び入出力部44を備える。入出力部44は、少なくとも、電波測定UIを表示するための画面を有する。入出力部44は、ユーザ端末4がタブレット端末及びスマートフォンの場合にはタッチパネルからなる表示画面であり、ユーザ端末4がノートパソコンなどの場合には表示画面及び入力デバイス(マウス、キーボードなど)である。
【0043】
照明器具5は、駆動回路51及び光源52を備える。駆動回路51は、商用電源などから入力される電力を制御端末3から入力される照明入力信号に応じて出力電流に変換し、その出力電流を光源52に供給する。これにより、駆動回路51は、光源52を駆動する(すなわち、点灯、消灯又は調光させる)。光源52は、例えば、LEDアレイ、放電灯などである。
【0044】
図2を用いて、本実施形態の無線システム1において実行される電波測定方法を説明する。
図2においては、コントローラ2のうちの概ね操作通信部21及びサーバ25をサーバ側と記載し、概ね制御通信部22及び主制御部23を主制御側と記載する。また、本フローの開始の時点で、制御信号がコントローラ2から制御端末3に送信されているものとする。この場合、制御端末3は、負荷制御部32による照明制御処理(不図示)を実行していることになる。
【0045】
ステップS10において、ユーザが、ユーザ端末4をコントローラ2に接続する。これ応じて、ステップS11において、コントローラ2のサーバ25(UI処理部250)は、電波測定UIをユーザ端末4の画面(入出力部44)に表示させる。
【0046】
ステップS12において、サーバ25(制御端末決定部251)は、電波測定の対象となる制御端末3を示す制御端末選択肢をユーザ端末4の電波測定UI上に提示する。ステップS13において、ユーザは、ユーザ端末4に表示された電波測定UIから、対象となる制御端末3を選択及び入力する。ステップS14において、サーバ25(制御端末決定部251)は、ユーザ入力に応じて、対象となる制御端末3を決定する。
【0047】
ステップS15において、サーバ25(測定条件決定部252)は、電波測定について候補となる測定条件を示す測定条件選択肢をユーザ端末4の電波測定UI上に提示する。ステップS16において、ユーザは、ユーザ端末4に表示された電波測定UIから、測定条件を選択及び入力する。ステップS17において、サーバ25(測定条件決定部252)は、ユーザ入力に応じて、電波測定において採用される測定条件を決定する。なお、ステップS15~S17は、ステップS12~S14の前に実行されてもよい。
【0048】
ステップS20において、サーバ25(電波測定命令部255)は、ステップS14において決定された対象の制御端末3及びステップS17において決定された測定条件に基づいて測定信号を生成する。この測定信号には、測定対象の制御端末3の識別情報、測定条件(命令測定回数及び命令測定時間)を示す命令部分、及び被測定部分が含まれる。
【0049】
ステップS21において、サーバ25(制御信号制限部256)は、主制御部23に制御信号を制限させる。なお、
図2では、制御信号の送信が停止されているが、制御信号が所定の信号にロックされてもよいし、間引かれてもよい。
【0050】
ステップS22において、サーバ25(電波測定命令部255)は、ステップS20で生成された測定信号を制御通信部22から送信させるように主制御部23又は制御通信部22を動作させる。
【0051】
ステップS30において、制御端末3(電波測定部33)は、所定周期で測定信号をサンプリングし、測定条件に従ってサンプリングデータを集計して測定結果を生成する(サンプリング集計処理)。このサンプリング集計処理については、詳細を後述する。なお、
図2においては、説明の便宜上、測定信号送信のステップS22の後にサンプリング集計処理のステップS30が位置しているが、実際には測定信号の送信とサンプリング集計処理(特にサンプリング)とは実質的に同じ期間に行われる。ステップS31において、制御端末3(電波測定部33)は、ステップS30において生成された測定結果をコントローラ2に送信する。
【0052】
ステップS40において、サーバ25(測定結果処理部257)は、測定結果を制御通信部22及び主制御部23を介して取得し、測定結果に基づく判定結果(例えば、良否判定)を生成する。ステップS41において、サーバ25(測定結果処理部257)は、UI処理部250を動作させてその判定結果をユーザ端末4に表示されている電波測定UIに表示させる。これにより、電波測定が終了する。
【0053】
ステップS45において、サーバ25(電波測定命令部255、制御信号制限部256又は測定結果処理部257)は、ステップS21による制御信号の制限を解除する。本例では、制御信号の送信が再開される。ステップS45は、測定信号送信の終了に起因して電波測定命令部255又は制御信号制限部256によって実行されてもよいし、測定結果の取得に起因して測定結果処理部257によって実行されてもよい。また、ステップS45は、ステップS22の終了後であれば、ステップS41の前に実行されてもよい。
【0054】
図3を用いて、上記電波測定方法におけるステップS30において無線送受信部31及び電波測定部33によって実行されるサンプリング集計処理を説明する。
【0055】
ステップS300において、無線送受信部31は、検出される測定信号の識別情報を参照して、自制御端末3に対する測定信号が受信されたか否かを判断する。測定信号が受信された場合(ステップS300、YES)、処理はステップS301に進む。
【0056】
ステップS301において、測定条件抽出部331は、受信した測定信号の命令部分から測定条件(命令測定回数及び命令測定時間)を抽出する。抽出された測定条件は、記憶部334に記憶される。
【0057】
ステップS302において、サンプリング部332が、測定信号の被測定部分の受信電波強度を所定周期でサンプリングする。なお、サンプリング部332のサンプリング動作は、測定条件抽出部331によって開始され得る。サンプリングデータは、記憶部334に記憶される。
【0058】
ステップS303において、データ集計部333は、実施測定回数が命令測定回数に達したか否かを判定する。実施測定回数が命令測定回数未満である場合(ステップS303、NO)、処理はステップS304に進み、実施測定回数が命令測定回数に達した場合(ステップS303、YES)、処理はステップS305に進む。なお、データ集計部333は、ステップS303のYESの判定に応じて、サンプリング部332の動作を停止させてもよい。
【0059】
ステップS304において、データ集計部333は、記憶部334に記憶された測定条件に基づいて、実施測定時間が命令測定時間に達したか否かを判定する。実施測定時間が命令測定時間未満である場合(ステップS304、NO)、処理はステップS302に戻り、実施測定時間が命令測定時間に達した場合(ステップS304、YES)、処理はステップS305に進む。なお、データ集計部333は、ステップS304のYESの判定に応じて、サンプリング部332の動作を停止させてもよい。
【0060】
なお、測定信号が命令測定回数を含むが命令測定時間を含まない場合には、ステップS303が実施されてステップS304は実施されなくてもよい。また、測定信号が命令測定回数を含まずに命令測定時間を含む場合には、ステップS303は実施されずにステップS304が実施されてもよい。あるいは、
図3とは別のフローとなるが、実施測定回数が命令測定回数に達し、かつ実施測定時間が命令測定時間に達した場合に、処理がステップS305に進むようにしてもよい。この場合、実施測定回数又は実施測定時間のいずれかが命令に未達の場合にはステップS302が繰り返される。
【0061】
ステップS305において、データ集計部333は、その時点で記憶部334に記憶されているサンプリングデータを集計して、上述した測定結果(サンプリングデータの集計値及び制御端末3の識別情報)を生成する。ステップS306において、データ集計部333は、無線送受信部31を介して測定結果をコントローラ2に送信する。これにより、サンプリング集計処理が終了する。
【0062】
以上のように、本実施形態の無線システム1は、コントローラ2及び制御端末3を備える。コントローラ2は、操作通信部21、制御通信部22、主制御部23及びサーバ25を含む。制御端末3は、制御通信部22に無線接続される無線送受信部31、主制御部23によって生成される制御信号に応じて負荷5を制御する負荷制御部32、及びサーバ25によって生成される測定信号に対する受信電波強度の測定結果を生成する電波測定部33を含む。サーバ25は、操作通信部21に接続されたユーザ端末4に電波測定UIを表示させ、電波測定UI上で受信電波強度の測定条件に関するユーザ入力を誘導するUI処理部250と、ユーザ入力に応じた測定条件に基づく測定信号を生成し、測定信号を制御通信部22から制御端末3に送信させる電波測定命令部255と、測定結果を制御通信部22から取得し、測定結果に基づく判定結果をUI処理部250によって電波測定UIに表示させる測定結果処理部257とを備える。また、負荷5が照明器具であり、制御信号が照明器具の点灯状態を決定する照明制御信号である場合には、無線システム1は照明制御システムとして構成される。
【0063】
上記構成によると、コントローラ2がサーバ25を含み、サーバ25が、接続されたユーザ端末4に電波測定UIを表示させて受信電波強度の測定条件に関するユーザ入力を誘導し、そのユーザ入力に応じた測定条件に基づく測定信号を生成する。そして、サーバ25は、測定信号を送信させ、測定信号に対する測定結果を制御端末3から取得し、その測定結果に基づく判定結果を電波測定UIに表示させる。これにより、ユーザは、電波測定UIに誘導されて決定した電波測定をコントローラ2に実行させることができる。したがって、コントローラ2から制御端末3に対する電波測定をユーザが円滑に行うことを可能とする無線システム(照明制御システム)1が実現される。また、無線システム1において、コントローラ2から制御端末3に対する電波測定をユーザが円滑に行うことを可能とするコントローラ2が実現される。
【0064】
また、測定信号は、少なくとも、測定条件を示す命令部分及び受信電波強度の測定対象となる被測定部分を含む。これにより、一連の測定信号の送信による簡素な処理構成の電波測定が可能となり、円滑な電波測定が促進されるとともに、無線システム1の導入容易性が高まる。
【0065】
また、電波測定部33は、測定信号の命令部分から測定条件を抽出する測定条件抽出部331と、測定信号の被測定部分の受信電波強度をサンプリングしてサンプリングデータを生成するサンプリング部332と、サンプリングデータを測定条件に従って集計して受信電波強度の測定結果を生成し、測定結果を無線送受信部31からコントローラ2に送信させるデータ集計部333とを含む含む。これにより、制御端末3からコントローラ2には、サンプリングデータが逐次送信されるのではなく、サンプリングデータの集計である測定結果が送信される。したがって、制御端末3からコントローラ2への送信回数が低減され、電波測定における制限時間の超過が回避される。
【0066】
さらに、測定条件は命令測定回数を含み、データ集計部333は、実施測定回数が命令測定回数に達するまでにサンプリングされたサンプリングデータを集計して測定結果を生成するように構成される。また、測定条件は命令測定時間を含み、データ集計部333は、実施測定時間が命令測定時間に達するまでにサンプリングされたサンプリングデータを集計して測定結果を生成するように構成される。これにより、適量のサンプリングデータに基づく測定結果の生成が可能となる。
【0067】
また、サーバ25は、制御通信部22からの測定信号の送信中に、制御通信部22からの制御信号の送信を制限する制御信号制限部256をさらに含む。これにより、制御信号による電波測定への干渉が回避され、電波測定が障害なく確実に実行される。
【0068】
上記無線システム、UI処理部250は、受信電波強度の測定について候補となる測定条件を示す測定条件選択肢を電波測定UI上に提示し、測定条件選択肢に対するユーザ入力に応じて測定条件を決定する測定条件決定部252を含む。これにより、ユーザは、電波測定において採用されるべき測定条件を容易に選択することができ、より円滑な電波測定が可能となる。
【0069】
<変形例>
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は、例えば以下に示すように種々の態様に変形可能である。
【0070】
(1)無線システム1の用途
上記実施形態では、無線システム1が照明制御システムである場合を説明したが、無線システム1の用途は照明制御システムに限られない。例えば、無線システム1は、負荷5がリレー、センサなどであるシステムにも適用可能である。
【0071】
(2)操作通信部21に関する変形
上記実施形態では操作通信部21がサーバ25とは別体であるものとして説明したが、サーバ25がハードウェアによるサーバの場合には操作通信部21はサーバ25に直接設けられてもよい。この場合でも、「コントローラ2は、操作通信部21及びサーバ25を含む」ということができる。
【符号の説明】
【0072】
1 無線システム(照明制御システム)
2 コントローラ
3、3-1~3-n 制御端末
4 ユーザ端末
5、5-1~5-m 負荷(照明器具)
21 操作通信部
22 制御通信部
23 主制御部
24 記憶部
25 サーバ
31 無線送受信部
32 負荷制御部
33 電波測定部
250 UI処理部
251 制御端末決定部
252 測定条件決定部
255 電波測定命令部
256 制御信号制限部
257 測定結果処理部
258 記憶部
331 測定条件抽出部
332 サンプリング部
333 データ集計部
334 記憶部