(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180244
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20221129BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20221129BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B41J29/38 205
B41J21/00 Z
H04N1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087248
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】宮下 智基
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP10
2C061AQ04
2C061AS08
2C061CG15
2C061CQ03
2C061CQ24
2C061CQ32
2C061CQ34
2C061HK20
2C061HN04
2C187AC05
2C187AD05
2C187AE01
2C187AG08
2C187BH05
2C187CC03
2C187CD12
2C187CD14
2C187CD24
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB26
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AB51
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】印刷指令を受け付けた後に現在時刻を取得した場合でも、現在時刻を取得できなかった当時の時刻を印刷できる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置のCPUは電源が投入されてからの経過時間を計時する。CPU31はサーバ装置からNTP時間を取得する。CPU31はNTP時間の取得がされる前の状態で、印刷イメージを印刷媒体に印刷する印刷指令を受け付けた場合、印刷データ、印刷ID、及び計時された経過時間を示す時間情報を関連付けて記憶部に記憶させる。CPUは印刷指令を受け付けた後にNTP時間の取得がされた場合、取得されたNTP時間と記憶部に記憶された時間情報と計時した経過時間とに基づき、印刷指令を受け付けた当時の時刻を特定する(S81)。CPUはNTP時間の取得がされた後に印刷指令を再度受け付けた場合、部分イメージ、印刷ID、及び特定された当時の時刻を、印刷媒体に印刷する処理を実行する(S83)。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に印刷を行う印刷部を有する印刷装置であって、
前記印刷装置の電源が投入されてからの経過時間を計時する計時部と、
サーバ装置から現在時刻を取得する取得部と、
記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記取得部による前記現在時刻の取得がされる前の状態で、印刷イメージを前記印刷媒体に印刷する印刷指令を受け付けた場合、前記印刷イメージを印刷する為の印刷データ、所定の特定情報、及び前記計時部により計時された前記経過時間を示す時間情報を関連付けて前記記憶部に記憶させる記憶処理と、
前記印刷指令を受け付けた後に前記取得部による前記現在時刻の取得がされた場合、前記取得部により取得された前記現在時刻と、前記記憶部に記憶された前記時間情報と、前記計時部により計時した前記経過時間とに基づき、前記印刷指令を受け付けた当時の時刻を特定する特定処理と、
前記取得部による前記現在時刻の取得がされた後に前記印刷指令を再度受け付けた場合、前記印刷イメージ、前記特定情報、及び前記特定処理により特定された前記当時の時刻を、前記印刷部により前記印刷媒体に印刷する第一印刷処理と
を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記現在時刻を取得していない状態で、印刷を実行するか否か判断する第一判断処理を実行し、
前記第一判断処理において、印刷を実行すると判断した場合のみ、前記記憶部に記憶した前記印刷イメージ、前記特定情報、及び前記時間情報を、前記印刷部により前記印刷媒体に印刷する第二印刷処理
を実行することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記記憶処理により前記特定情報及び前記時間情報を前記記憶部に記憶する前に、前記取得部による前記現在時刻の取得がされ、且つ前記印刷指令を受け付けた場合、前記印刷イメージと、前記取得部により取得された前記現在時刻とを、前記印刷部により前記印刷媒体に印刷する第三印刷処理
を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記特定情報を受け付ける第一受付部を備え、
前記制御部は、前記第一印刷処理において、前記第一受付部により受け付けた前記特定情報が前記記憶部に記憶されている場合、受け付けた前記特定情報に関連する前記印刷データに基づき、前記印刷イメージ、前記特定情報、及び前記当時の時刻を印刷する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶処理において、複数回に亘って、前記印刷データと前記特定情報と前記時間情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させ、
前記制御部は、前記第一印刷処理において、前記印刷データ毎に、前記印刷イメージ、前記特定情報、及び前記当時の時刻を、前記印刷媒体に印刷する
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載の印刷装置。
【請求項6】
前記電源をオフする為のオフ信号を受け付ける第二受付部と、
表示部と、を備え、
前記制御部は、前記第二受付部により前記オフ信号を受け付けた場合、前記電源をオフした場合に前記時間情報が消去されることを前記表示部により報知する報知処理を実行する
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一つに記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置の一例として、レーザビームプリンタである印刷装置が記載されている。画像形成装置は、ネットワークを介してホストコンピュータからプリントジョブを受信して印刷を行う。画像形成装置は、画像形成装置が起動してからの起動経過時間をカウントする。画像形成装置は、ネットワーク上のサーバ装置から現在時刻を取得する。画像形成装置は、現在時刻を取得する前である場合、起動経過時間に基づいてログを生成する。サーバ装置から現在時刻を取得した後、画像形成装置は、取得した現在時刻及び起動経過時間に基づき、印刷ログに含まれる印刷時の時間を印刷時刻に変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記画像形成装置は、サーバ装置に接続できない環境においては現在時刻を取得できないので、印刷指令を受け付けた場合でも、現在時刻を印刷イメージに含めて印刷することができない。このため、サーバ装置に接続できる環境になった後で、サーバ装置に接続できない状態で印刷を実行した当時の時刻を印刷イメージに含めて印刷できることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、印刷指令を受け付けた後に現在時刻を取得した場合でも、現在時刻を取得できなかった当時の時刻を印刷できる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る印刷装置は、印刷媒体に印刷を行う印刷部を有する印刷装置であって、前記印刷装置の電源が投入されてからの経過時間を計時する計時部と、サーバ装置から現在時刻を取得する取得部と、記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記取得部による前記現在時刻の取得がされる前の状態で、印刷イメージを前記印刷媒体に印刷する印刷指令を受け付けた場合、前記印刷イメージを印刷する為の印刷データ、所定の特定情報、及び前記計時部により計時された前記経過時間を示す時間情報を関連付けて前記記憶部に記憶させる記憶処理と、前記印刷指令を受け付けた後に前記取得部による前記現在時刻の取得がされた場合、前記取得部により取得された前記現在時刻と、前記記憶部に記憶された前記時間情報と、前記計時部により計時した前記経過時間とに基づき、前記印刷指令を受け付けた当時の時刻を特定する特定処理と、前記取得部による前記現在時刻の取得がされた後に前記印刷指令を再度受け付けた場合、前記印刷イメージ、前記特定情報、及び前記特定処理により特定された前記当時の時刻を、前記印刷部により前記印刷媒体に印刷する第一印刷処理とを実行することを特徴とする。
【0007】
印刷装置は、後に現在時刻を取得した場合でも、現在時刻を取得できなかった当時の時刻を印刷できる。
【0008】
前記制御部は、前記現在時刻を取得していない状態で、印刷を実行するか否か判断する第一判断処理を実行し、前記第一判断処理において、印刷を実行すると判断した場合のみ、前記記憶部に記憶した前記印刷イメージ、前記特定情報、及び前記時間情報を、前記印刷部により前記印刷媒体に印刷する第二印刷処理を実行してもよい。印刷装置は、当時の時刻を特定できない場合にも、印刷イメージ、特定情報、及び時間情報の印刷を実行する。後にサーバ装置から現在時刻を取得できた場合、印刷装置は、印刷イメージ、特定情報、及び当時の時刻を印刷媒体に印刷する。ユーザは、当時の時刻を印刷した印刷媒体に特定情報が印刷されているので、先に印刷した印刷媒体との関係を容易に特定できる。
【0009】
前記制御部は、前記記憶処理により前記特定情報及び前記時間情報を前記記憶部に記憶する前に、前記取得部による前記現在時刻の取得がされ、且つ前記印刷指令を受け付けた場合、前記印刷イメージと、前記取得部により取得された前記現在時刻とを、前記印刷部により前記印刷媒体に印刷する第三印刷処理を実行してもよい。印刷装置は、印刷イメージと現在時刻を印刷媒体に印刷できる。
【0010】
前記特定情報を受け付ける第一受付部を備え、前記制御部は、前記第一印刷処理において、前記第一受付部により受け付けた前記特定情報が前記記憶部に記憶されている場合、受け付けた前記特定情報に関連する前記印刷データに基づき、前記印刷イメージ、前記特定情報、及び前記当時の時刻を印刷してもよい。故に、ユーザは、所望の特定情報に関する印刷データを指定して、印刷を実行できる。
【0011】
前記制御部は、前記記憶処理において、複数回に亘って、前記印刷データと前記特定情報と前記時間情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させ、前記制御部は、前記第一印刷処理において、前記印刷データ毎に、前記印刷イメージ、前記特定情報、及び前記当時の時刻を、前記印刷媒体に印刷してもよい。印刷装置は、複数の印刷データが記憶部に記憶されている場合でも、印刷データ毎に、印刷イメージ、特定情報、及び当時の時刻を、印刷媒体に印刷できる。故に、印刷装置は、ユーザにとって利便性が高い。
【0012】
前記電源をオフする為のオフ信号を受け付ける第二受付部と、表示部と、を備え、前記制御部は、前記第二受付部により前記オフ信号を受け付けた場合、前記電源をオフした場合に前記時間情報が消去されることを前記表示部により報知する報知処理を実行してもよい。故に、ユーザは、電源をオフした場合、時間情報が消去され、当時の時刻を印刷できなくなることを認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】印刷イメージIm1、Im2、Im3を示す図である。
【
図5】時間取得後印刷処理を示すフローチャートである。
【
図6】ID選択印刷処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<システム1>
本発明の一実施形態に係るシステム1について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものであり、記載されている装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0015】
システム1は、サーバ装置2、及び印刷装置3を有する。サーバ装置2は、ネットワーク回線10を介してアクセスポイント11と通信可能に接続する。印刷装置3は、アクセスポイント11と無線により通信可能に接続する。このため、サーバ装置2と、印刷装置3とは、ネットワーク回線10及びアクセスポイント11を介して相互に通信可能である。
【0016】
サーバ装置2は、現在の時刻を示すNTP(Network Time Protocol)時間を提供する機能を有する。サーバ装置2は、CPU21、記憶部22、及び通信部23を有する。CPU21は、サーバ装置2の制御全般を司る。記憶部22には、CPU21が実行する為のプログラム等が記憶される。通信部23は、ネットワーク回線10及びアクセスポイント11を介して印刷装置3と通信を行う為の通信モジュールである。
【0017】
印刷装置3は、感熱ラベル(以下、「印刷媒体S」ともいう。)に印刷イメージを印刷する機能を有する。印刷装置3は、持ち運び可能であり、電池(図示略)から供給される電源によって駆動可能である。電池は、印刷装置3の収容部(図示略)に収容される。印刷装置3は、ACアダプタ(図示略)から供給される電源によって、電池を充電できる。なお、印刷装置3は、ACアダプタから供給される電源によっても駆動可能である。
【0018】
印刷装置3は、CPU31、記憶部32、表示部33、入力部34、通信部35、計時部36、及び印刷部37を有する。CPU31は、印刷装置3の制御全般を司る制御部として機能する。記憶部32には、CPU31が実行する為の主プログラム、印刷を行う為の印刷データ等が記憶される。印刷データには、印刷イメージIm1~Im3のテンプレート、テンプレートに関連する印刷ID等が含まれる。
【0019】
表示部33は、液晶ディスプレイである。表示部33は、各種情報を表示可能である。入力部34は、表示部33の下方に設けられた複数の操作キーである。ユーザは、操作キーの操作により、印刷データのテンプレートの選択、オブジェクトの編集等が可能である。
【0020】
通信部35は、ネットワーク回線10及びアクセスポイント11を介してサーバ装置2と通信を行う為の通信モジュールである。通信部35と通信部23との通信により、CPU31は、サーバ装置2が提供するNTP時間を取得可能である。
【0021】
計時部36は、印刷装置3の電源が投入されてから経過した時間をカウントする。つまり、計時部36は、電源が投入されてからの経過時間を計測する。また、CPU31がサーバ装置2にアクセスしNTP時間を取得した場合、CPU31は、取得したNTP時間と計時部36による経過時間に基づき、現在時刻を演算可能である。
【0022】
印刷部37は、印刷媒体Sに印刷を行うことが可能なラインサーマルヘッド(図示略)である。ラインサーマルヘッドの加熱素子は、選択的に加熱され、搬送される印刷媒体Sを加熱する。CPU31は、記憶部32に記憶された印刷データに基づいて印刷部37を制御することで、印刷媒体Sに対して印刷データの印刷を行う。
【0023】
図2に示すように、ユーザは、例えば印刷イメージIm1~Im3の印刷媒体Sへの印刷を印刷装置3に実行させる。例えば、印刷イメージIm1~Im3が印刷された印刷媒体Sは、駐車を禁止されている位置に駐車された車、バイク等に目印として貼りつけられる。なお、印刷イメージIm1~Im3は、NTP時間の取得状況に応じて、夫々印刷される。
【0024】
印刷イメージIm1は、サーバ装置2からNTP時間を取得できた場合に印刷される。印刷イメージIm1は、部分イメージP1、P2、P3で構成される。部分イメージP1は、「駐車禁止」の文字列からなる。部分イメージP2は、「2020.12.01」の文字列からなる。「2020.12.01」は、西暦、日付を示す情報である。部分イメージP3は、「14:30」の文字列からなる。「14:30」は、CPU31が印刷指令を受け付けた時の時刻を示す。
【0025】
印刷イメージIm2は、サーバ装置2からNTP時間を取得できなかった場合に印刷される。印刷イメージIm2は、部分イメージP1、P4で構成される。部分イメージP1は、「駐車禁止」の文字列からなる。部分イメージP4は、「AB0315」の文字列からなる。「AB0315」は、印刷データに関連付けられた印刷IDである。印刷IDのうち、文字列「AB」は、テンプレート等の情報を示す。印刷IDのうち数字「0315」は、印刷指令を受け付けるまでに計時部36が計時した経過時間を示す。数字「0315」は、例えば1分ごとに「1」が加算された数値である。つまり、印刷IDは、印刷装置3に電源が投入されてから、315分が経過した時の時間情報を含む。
【0026】
印刷イメージIm3は、印刷指令を受け付けた際にサーバ装置2からNTP時間を取得できなかったが、後にサーバ装置2からNTP時間を取得できた場合に印刷される。印刷イメージIm3は、部分イメージP1、P2、P3、P5で構成される。部分イメージP1は、「駐車禁止」の文字列からなる。部分イメージP2は、「2020.12.01」の文字列からなる。「2020.12.01」は、西暦、日付を示す情報である。部分イメージP3は、「14:30」の文字列からなる。「14:30」は、初めに印刷指令を受け付けた当時の時刻を示す。当時の時刻の特定方法は後述する。部分イメージP5は、印刷データに関連付けられた印刷IDである。
【0027】
<メイン処理>
図3~
図6を参照し、印刷装置3のCPU31により実行されるメイン処理について説明する。メイン処理は、ユーザにより印刷装置3の電源か投入された場合に開始される。この場合、CPU31は、記憶部32に記憶された主プログラムを読み出して実行する。
【0028】
メイン処理が開始されると、CPU31は、計時部36が計時する時計の時刻を初期化する(S1)。CPU31は、電源が投入されてからの経過時間の計時を開始する。(S3)。CPU31は、印刷指令を受け付けたか否か判断する(S5)。印刷指令を受け付けていないと判断した場合(S5:NO)、CPU31は、NTP時間を取得時の経過時間を記憶部32に記憶している否か判断する(S9)。
【0029】
NTP時間を取得時の経過時刻を記憶していないと判断した場合(S9:NO)、CPU31は、サーバ装置2へアクセスしたか否か判断する(S11)。サーバ装置2へアクセスしていないと判断した場合(S11:NO)、CPU31は、サーバ装置2にアクセスして、サーバ装置2からNTP時間を取得する(S13)。CPU31は、取得したNTP時間と、取得時の経過時間を記憶部32に記憶する(S15)。CPU31は、取得したNTP時間に基づき計時部36の時計の時刻を更新する(S17)。これにより、CPU31は、正確な現在時刻を常時取得可能となる。従って、CPU31は、一度NTP時間を取得した後は、サーバ装置2には再度アクセスしないものとする。CPU31は、処理をS5に戻す。
【0030】
一方、印刷指令を受け付けたと判断した場合(S5:YES)、CPU31は、
図4に示す印刷処理を実行する(S7)。印刷処理が実行されると、CPU31は、TNP時間を取得済か否か判断する(S31)。NTP時間を取得済であると判断した場合(S31:YES)、CPU31は、例えば、印刷イメージを印刷媒体Sに印刷する処理を実行する(S33)。この場合、例えば印刷イメージIm1が印刷される。つまり、S33の処理は、印刷ID及び経過時間を記憶部32に記憶する前に(S35)、NTP時間が取得され(S13)、且つ印刷指令を受け付けた場合(S5:YES)に実行される。CPU31は、メイン処理に戻し、処理をS5に進める。
【0031】
一方、NTP時間を取得していないと判断した場合(S31:NO)、CPU31は、印刷イメージImを印刷する為の印刷データ、所定の印刷ID、経過時間を関連付けて記憶部32に記憶させる(S35)。つまり、S35の処理は、NTP時間の取得がされる前の状態で、印刷指令を受け付けた場合に実行される。なお、記憶される印刷IDには、計時部36が計時した経過時間の時間情報が含まれる。
【0032】
CPU31は、NTP時間を記憶していない状態で印刷を実行するか否か判断する(S37)。なお、NTP時間を記憶していない状態で印刷を実行する否かは、予めユーザにより設定されているものとする。NTP時間を記憶していない状態で印刷を実行しないと判断した場合(S37:NO)、CPU31は、メイン処理に戻し、処理をS5に進める。
【0033】
一方、NTP時間を記憶していない状態で印刷を実行すると判断した場合(S37:YES)、CPU31は、印刷イメージ、及び経過時間の時間情報を含む印刷IDを印刷媒体Sに印刷する処理を実行する(S39)。この場合、例えば印刷イメージIm2が印刷される。CPU31は、メイン処理に戻し、処理をS5に進める。
【0034】
ここで、メイン処理において、NTP時間を取得時の時間を記憶していると判断した場合(S9:YES)、又は、サーバ装置2へアクセスした判断した場合(S11:YES)、CPU31は、時間取得後印刷の指令があるか否か判断する(S19)。なお、時間取得後印刷を実行するか否かは、ユーザにより予め設定されるものとする。時間取得後印刷の指令が無いと判断した場合(S19:NO)、CPU31は、計時部36の時計を進める(S21)。この場合、計時部36は、電源が投入されてからの経過時間を継続して取得する。
【0035】
CPU31は、印刷装置3をオフする為のオフ信号を受け付けたか否か判断する(S23)。オフ信号を受け付けていないと判断した場合(S23:NO)、CPU31は、処理をS5に進める。一方、ユーザの電源操作によりオフ信号を受け付けた場合(S23:YES)、CPU31は、電源をオフした場合に経過時間等の時間情報が消去されることを報知する処理を実行する(S25)。この場合、CPU31は、例えば「経過時間の時間情報が消去されます」、「時間取得後印刷ができなくなります」、「警告」等のメッセージを表示部33に表示する。CPU31は、処理をS5に進める。
【0036】
一方、時間取得後印刷の指令があったと判断した場合(S19:YES)、CPU31は、
図5に示す時間取得後印刷処理を実行する(S27)。時間取得後印刷処理が実行されると、CPU31は、NTP時間を取得済か否か判断する(S51)。NTP時間を取得していないと判断した場合(S51:NO)、CPU31は、NTP時間に基づく印刷を実行できないので、メイン処理に戻し、処理をS5に進める。
【0037】
NTP時間を取得済と判断した場合(S51:YES)、CPU31は、印刷IDを指定して印刷を実行するか否か判断する(S53)。印刷IDを指定するか否かは、ユーザにより予め設定されているものとする。印刷IDを指定して印刷を実行すると判断した場合(S53:YES)、CPU31は、印刷IDを受け付けたか否かを判断する(S55)。印刷IDを受け付けていないと判断した場合(S55:NO)。CPU31は、処理を戻して待機する。
【0038】
ユーザにより入力部34が操作されることで印刷IDを受け付けた場合(S55:YES)、CPU31は、受け付けた印刷IDが記憶部32に記憶されているか否か判断する(S57)。印刷IDが記憶部32に記憶されていないと判断された場合(S57:NO)、CPU31は、受け付けた印刷IDに対応する印刷データが無いので、メイン処理に処理を戻し、処理をS5に進める。一方、印刷IDが記憶部32に記憶されていると判断した場合(S57:YES)、CPU31は、受け付けた印刷IDを選択状態とする(S59)。
【0039】
CPU31は、
図6に示すID選択印刷処理を実行する(S61)。ID選択印刷処理が実行されると、印刷指令を受け付けた当時の時刻を特定する(S81)。CPU31は、取得されたNTP時間と、記憶部32に記憶された印刷IDに含まれる時間情報と、計時した経過時間とに基づき、当時の時刻を特定する(S81)。
【0040】
例えば印刷IDの時間情報が「0315」の場合、印刷指令を受け付けた時刻は、電源を投入してから315分が経過した時刻となる。ここで、計時部36の経過時間は、1分ごとに1カウントアップされる。例えば、NTP時間を後に取得した時の時間情報が「0375」である場合、印刷指令を受け付けてからの経過時間は60分となる。これより、取得したNTP時間が例えば15:00であったとすると、印刷指令を受け付けた当時の時刻は、60分前の14:00であると特定できる。
【0041】
CPU31は、部分イメージP1、P2、印刷ID、及び特定された当時の時刻を、印刷媒体Sに印刷する処理を実行する(S83)。この場合、例えば、印刷イメージIm3が印刷媒体Sに印刷される。つまり、NTP時間の取得がされた後に印刷指令を再度受け付け(S19、S55)、且つ受け付けた印刷IDが記憶部32に記憶されている場合(S57:YES)、CPU31は、受け付けた印刷IDに関連する印刷データに基づき、部分イメージP1、P2、印刷ID、及び当時の時刻を印刷する処理を実行する。CPU31は、時間取得後印刷処理に処理を戻す。その後、CPU31は、メイン処理に戻し、S5の処理を実行する。
【0042】
一方、印刷IDを指定して印刷を実行しないと判断した場合(S53:NO)、CPU31は、記憶部32に記憶されている印刷IDのうち、任意の一つの印刷IDを選択状態とする(S63)。この場合、一例として、CPU31は、印刷IDに含まれる数字の大きい印刷IDから順次選択するとする。CPU31は、
図6に示すID印刷処理を実行する(S65)。ID印刷処理が実行されると、CPU31は、S81、S83の処理を実行して、部分イメージP1、P2、印刷ID、及び当時の時刻の印刷を実行し、処理を時間取得後印刷処理に戻す。
【0043】
CPU31は、複数の印刷IDに関連付けられた全ての印刷データに基づく印刷が完了したか否か判断する(S67)。全ての印刷データに基づく印刷が完了していないと判断した場合(S67:NO)、CPU31は、処理を戻して、S63~S67の処理を実行する。つまり、CPU31は、複数回に亘って、印刷データと印刷IDと時間情報とを関連付けて記憶部32に記憶させた場合(S35)、印刷データ毎に、部分イメージP1、P2、印刷ID、及び当時の時刻を、印刷媒体Sに印刷する処理を実行する。一方、全ての印刷データに基づく印刷が完了したと判断した場合(S67:YES)、CPU31は、メイン処理に戻し、処理をS5に進める。
【0044】
<本実施形態の作用、効果>
以上説明したように、CPU31は、NTP時間の取得がされる前の状態で、印刷イメージを印刷媒体Sに印刷する印刷指令を受け付けた場合、印刷イメージを印刷する為の印刷データ、所定の印刷IDを関連付けて記憶部32に記憶させる。CPU31は、印刷指令を受け付けた後にNTP時間の取得がされた場合、取得されたNTP時間と、印刷IDに含まれる経過時間と、計時した経過時間とに基づき、印刷指令を受け付けた当時の時刻を特定する。CPU31は、NTP時間の取得がされた後に印刷指令を再度受け付けた場合、部分イメージP1、P2、印刷ID、及び特定された当時の時刻を、印刷媒体Sに印刷する処理を実行する。
【0045】
印刷装置3は、後にNTP時間を取得した場合でも、NTP時間を取得できなかった当時の時刻を印刷できる。
【0046】
CPU31は、印刷を実行すると判断した場合のみ、記憶部32に記憶した部分イメージP1、P4、及び印刷IDを印刷媒体Sに印刷する処理を実行する。印刷装置3は、当時の時刻を特定できない場合にも、部分イメージP1、及び印刷IDの印刷を実行する。後にサーバ装置2からNTP時間を取得できた場合、印刷装置3は、部分イメージP1、P2、印刷ID、及び当時の時刻を印刷媒体Sに印刷する。ユーザは、当時の時刻を印刷した印刷媒体Sに印刷IDが印刷されているので、先に印刷した印刷媒体Sとの関係を容易に特定できる。
【0047】
CPU31は、印刷IDを記憶部32に記憶する前に、NTP時間の取得がされ、且つ印刷指令を受け付けた場合、部分イメージP1、P2と、取得された現在時刻とを印刷媒体Sに印刷する処理を実行する。故に、印刷装置3は、部分イメージP1、P2と現在時刻を印刷媒体Sに印刷できる。
【0048】
CPU31は、受け付けた印刷IDが記憶部32に記憶されている場合、受け付けた印刷IDに関連する印刷データに基づき、部分イメージP1、P2、印刷ID、及び当時の時刻を印刷する処理を実行する。故に、ユーザは、所望の印刷IDに関する印刷データを指定して、印刷を実行できる。
【0049】
CPU31は、複数回に亘って、印刷データと印刷IDとを関連付けて記憶部32に記憶させる。CPU31は、印刷データ毎に、部分イメージP1、P2、印刷ID、及び当時の時刻を、印刷媒体Sに印刷する処理を実行する。故に、印刷装置3は、複数の印刷データが記憶部32に記憶されている場合でも、印刷データ毎に、部分イメージP1、P2、印刷ID、及び当時の時刻を、印刷媒体Sに印刷できる。故に、印刷装置3は、ユーザにとって利便性が高い。
【0050】
CPU31は、オフ信号を受け付けた場合、電源をオフした場合に経過時間が消去されることを報知する処理を実行する。故に、ユーザは、電源をオフした場合、経過時間が消去され、当時の時刻を印刷できなくなることを認識できる。
【0051】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。メイン処理のすべての処理もしくは一部の処理は、非図示の電子機器(PC、タブレット端末、スマートフォン等)により実行されてもよい。電子機器のCPUは、電子機器の記憶部に記憶された主プログラムを読み出して実行することにより、メイン処理のすべての処理もしくは一部の処理を実行してもよい。
【0052】
CPU31は、メイン処理において、NTP時間を一度だけ取得したがこれに限らない。例えば、CPU31は、印刷指令を受け付ける度に、サーバ装置2に接続してNTP時間を取得してもよい。計時部36は、1分ごとに経過時間をカウントアップしたが、これに限らない。例えば、計時部36は、1秒ごとにカウントしてもよいし、3分毎にカウントされてもよい。
【0053】
印刷イメージIm1~Im3のうち部分イメージP1は、一例として「駐車禁止」の文字列であったがこれに限らない。例えば、部分イメージP1は、他の文字列、記号、図形などで表現されてもよい。印刷イメージIm3は、部分イメージP1、P2、P3、P5を含んだがこれに限らない。例えば、部分イメージP5は、印刷されず、印刷イメージIm1と同様に印刷されてもよい。
【0054】
印刷IDは、「AB0315」であり、文字列「AB」と、経過時間を示す時間情報「0315」を含んだがこれに限らない。例えば、印刷IDは、文字列「AB」のみで構成され、所定のテンプレートと関連付けられていればよい。この場合、経過時間を示す時間情報「0315」は、文字列「AB」に関連付けられて記憶部32に記憶されればよい。この場合、印刷媒体Sの所定の位置に、文字列「AB」と、時間情報である「0315」が印刷されればよい。
【0055】
印刷装置3は、オフ信号を受け付けた場合に文字列を表示部33に表示したがこれに限らない。例えば、表示部33のLEDが点灯する等してもよいし、音声、ブザー等によりユーザに報知してもよい。
【0056】
<その他>
部分イメージP1、P2は、本発明の「印刷イメージ」の一例である。NTP時間は、本発明の「現在時刻」の一例である。印刷IDは、本発明の「特定情報」の一例である。「0315」は、本発明の「時間情報」の一例である。S13の処理を行うCPU31は、本発明の「取得部」の一例である。S35の処理は、本発明の「記憶処理」の一例である。S81の処理は、本発明の「特定処理」の一例である。S83の処理は、本発明の「第一印刷処理」の一例である。S37の処理は、本発明の「第一判断処理」の一例である。S39の処理は、本発明の「第二印刷処理」の一例である。S33の処理は、本発明の「第三印刷処理」の一例である。S55の処理を行うCPU31は、本発明の「第一受付部」の一例である。S23の処理を行うCPU31は、本発明の「第二受付部」の一例である。S25の処理を行うCPU31は、本発明の「報知処理」の一例である。
【符号の説明】
【0057】
1 :システム
2 :サーバ装置
3 :印刷装置
31 :CPU
32 :記憶部
36 :計時部
37 :印刷部
S :印刷媒体
Im1、Im2、Im3 :印刷イメージ
P1、P2、P3、P4、P5 :部分イメージ